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あずさ「約束を」

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:02:36.21 ID:u8MfD43Fo


年が明け、新たな日々が流れていく。



「ふぅ……ふぅ……」


頬をほんのりと赤く蒸気させ、まだあどけなさの残る女性が階段を駆け上がる。


「…………よし」


ひとつ、両手を胸の前で握り扉を開けた。


それを勇気に変えるおまじないのように――





2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:03:16.09 ID:u8MfD43Fo


「ただいま戻りました~」

「お帰りなさい、あずささん」

あずさ「今日も寒くて参っちゃいました~」

「お疲れ様です。今、温かいお茶を――」

あずさ「ありがとうございます。でも、すぐに出ないといけないので……えっと……プロデューサーさんは?」

「一緒じゃないんですか?」

あずさ「先に戻ると……言っていたのに……」

「そうですか~、それはそれは」

あずさ「……」

「あずささん?」

あずさ「小鳥さん、律子さんを含めてお話をしたいので、今晩時間を作っていただけますか?」

小鳥「……それは構いませんけど」

あずさ「……」




3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:05:15.28 ID:u8MfD43Fo

【 2月 】


―――― 事務所



ガチャ


「ただいま戻りました」

あずさ「ただいま――」


「「 鬼はー外ー!! 」」


バッ


あずさ「……!」

「…………」


パラパラパラ


「兄ちゃんカッコイー! あずさお姉ちゃんを身をてーして守ったよ!」

「熱いよこのっ! 色男!」


「亜美、真美、言いたいことが三つ」

亜美「なーに?」

真美「うん?」

「今日はバレンタインデーであって、節分ではない」

亜美「そんなハズ無いよー。日めくりカレンダーは3日になってるよ、ほら」

「マジックで修正されてるようだが、世間では14日だ」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「あ、すいません。中に入ってください」

あずさ「いえ、立ち話もなんですから」

真美「兄ちゃん、たくさんチョコ貰ってきたでしょ、真美達にも分けてよー」

P「傷口に塩を塗るようなこと言うんじゃないっ」

あずさ「プロデューサーさん」

P「あ、今日もお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね」

あずさ「は、はい」



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:06:55.32 ID:u8MfD43Fo

亜美「さびしい兄ちゃんに亜美達から愛のこもったチョコをあげるね。はい」

P「ありがとう」

真美「3倍返しだかんね!」

P「いいのか? 10円チョコ三つで、一つ奪い合いになるぞ」

亜美「はっ! ダメじゃん! じゃあ4倍返しね!」

真美「8倍返しでもオッケーだよん!」

P「ホワイトデーは期待していてくれ。いつも頑張ってるから10倍にしよう」

亜美真美「「 やったね! 」」

P「それで、後二つ。俺は鬼じゃない。ついでに真美、あの掛け声はまずいぞ」

真美「そーなの?」

P「ちゃんと豆の回収をしておくように。いいな?」

亜美真美「「 兄ちゃんも手伝ってよ 」」

P「これから営業に行って来るんだ。小鳥さんにさせないでちゃんと自分たちで――」





「あずささん」

あずさ「……」

「あ、ず、さ、さん」

あずさ「! り、律子さん」

律子「驚くほど気付かなかったんですか」

あずさ「……」

小鳥「渡せなかったんですか?」ヒソヒソ

あずさ「……あ…朝の内に……っ」

小鳥「あ、そうですか……」

律子「塩口がどうのこうのって……一つで充分じゃないの」

あずさ「……でも、押し付けるような形になってしまって。カウントされてないみたいです」

律子「なんて失礼な……!」

あずさ「ちょっと怒ってみようかと……思ったんですけど……できませんでしたっ」

小鳥「……プロデューサーさんを屋上へ呼び出しましょうか」

律子「そうですね。堪忍袋の緒が切れましたよ」

あずさ「……」

あずさ「あの……通達はまだなんですか……?」

小鳥「……はい……まだのようです」

律子「……」




5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:09:04.87 ID:u8MfD43Fo

【 3月 】


―――― 事務所


「おはよーございまーす!」


あずさ「おはようございます、真ちゃん」

真「あれ、なんだか嬉しそうですね、あずささん!」

あずさ「うふふ」

真「さては、あの香水のCM撮影ですね!」

あずさ「嬉しくて困ってしまいます~」

真「あずささんとっても楽しみにしてましたからね」

あずさ「盆と正月と誕生日とバレンタインと夏休みと春休みが一緒に来た様な気分~」

真「どこまでも幸せそうで羨ましいな~」

律子「ほ、ほら、行きますよ。じゃ、収録に行ってくるから」

真「プロデューサーと一緒じゃないの?」

律子「春香とやよいの打ち合わせよ」

真「それじゃ、午後のボクの仕事は……?」

あずさ「大丈夫ですよ、間に合わせると言ってましたから~」

真「……わっかりました! それじゃ二人とも気をつけて!」

あずさ「は~い」

律子「真も気をつけてね」


バタン



真「あずささん忙しそうだなー、ボクも頑張らないと」

小鳥「真ちゃん、帰ってきたらケーキがあるから、楽しみにしててね」

真「ケーキ? やよいの誕生日にはまだ早いですよね。今日、なにか特別な日でしたっけ?」

小鳥「プロデューサーさんがホワイトデーにチョコケーキを買ってきてくれたの」

真「うわぁ、楽しみだなぁ。よーし、今日も張り切って行きますよー!」

小鳥「ふふ」

真「ところでー、小鳥さ~ん」

小鳥「あら、気付きましたか真さ~ん」

真「あずささんの嬉しさメーターが振り切ってましたけど~」

小鳥「プロデューサーさんとあずささんが悩みに悩んだあの香水……イメージは覚えておいででしょうか」

真「アメジスト、ですね」

小鳥「そう……。それが今日、あずささんの手に渡るのよっ」

真「くぅー! なんて良いホワイトデー返しなんだろう!」

小鳥「しかしですよ、真ちゃん」

真「え?」



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:11:28.14 ID:u8MfD43Fo

小鳥「あずささんはそれを受け取るだけで満足してるけど、それをプロデューサーさんの手から渡らなきゃ意味が無いの」

真「そうですね」

小鳥「真ちゃんはインタビュー後に、律子さんへ連絡をする」

真「了ッ解です!」ビシッ

小鳥「物分りが良すぎて少し不安なんだけど、段取りの確認をしてもらおうかしら」

真「ボクと待ち合わせ場所を決めて、律子が持っている香水をプロデューサーに渡して、あずささんへ。ですよね!」

小鳥「100点!!」

真「へへーっ、こういうの大好きなんですよねボク。どうせなら受け取る側になりたいなーって思いますけど!」

小鳥「あ……言っちゃった」

真「あぁ、あずささんどんな表情するんだろう! プロデューサーはどんな表情で渡すんだろう! ドキドキしてきたぁ!」

小鳥「ダメよ小鳥……みんなが幸せになるまで、自分の幸せは後回しって……そう思い込むことに決めたじゃない」



「「 おっはよーん!! 」」


小鳥「おはよう」


ドタドタドタ


亜美「兄ちゃん! 待ちに待ったホワイトデーだよー!」

真美「チョコちょ→だい!!」

亜美真美「「 あれ? 」」

小鳥「預かってるわよ、二人にこれを」

真「特別なんだ?」

真美亜美「「 一つ? 」」

小鳥「……」

亜美「この、かんしょく……」

真美「この、しつかん……」

真「……コンビニで売ってたのみたよ」

亜美「お手軽サイズ!!」

真美「真美達を怒らせるとどーなるか、教えてあげるよぉー!」

亜美「ピヨちゃん、大豆がまだあったよね!」

小鳥「ダメよ! 全部拾うの大変なんだから!」

真「ハム蔵が大活躍だったね」

真美「ふっふっふー、ホワイトデーを…………赤と緑と白色に染めてあげるぜぇ」

真「それ、クリスマスだよ」

小鳥「ちゃんとケーキがあるからっ」




7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:13:10.47 ID:u8MfD43Fo

―― 公園


タンッ...タタンッ


「どうかな?」

「問題ないかと。調子がよさそうですね」

「へへー、なんだか最近調子がいいぞ」

「わたくしも精進しなくては。それでは合わせてみましょう」

「うん、頑張ろうね!」


pipipipipi

「ん……プロデューサー?」


ピッ


「はいたーい! どうしたの?」


「……うん」


「本当に!?」


「やったやったぞ!」


「うん! ありがとね、プロデューサー!!」


プツッ


「吉報が入ったようですね」

「貴音! 自分の企画が正式に決まったって!!」




8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:15:48.98 ID:u8MfD43Fo

【 4月 】


―――― レッスンスタジオ


「ふぅっ…………ふぅ~……」

P「お疲れ、雪歩。はい、お茶」

雪歩「は、はい……ありがとうございますぅ」

P「調子はどうだ?」

雪歩「と、とても……いいと……思います……」

P「あまり無理はするなよ」

雪歩「え……? む、無理をしてるように……見えるんですか……?」

P「してないのか?」

雪歩「……はい」

P「すまん……飛ばし気味に見えたから……」

雪歩「…………」

真「プロデューサー、時間はいいんですか?」

P「え……?」

真「あずささんの撮影ですよ」

P「あ、あぁ……そうだな。それじゃ、貴音も美希も頑張ってくれ」

貴音「心得ました」

美希「ねぇ、プロデューサー」

P「?」

美希「時間が無いの?」

P「……あぁ」

美希「……」

P「ん? 行ってくるけど、話はないよな?」

美希「……うん」



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:17:03.36 ID:u8MfD43Fo

雪歩「あ、あの、お気をつけて……」

P「俺もみんなに負けないくらい頑張るから、その調子でライブに向けて頑張ってくれ!」

雪歩「は、はいっ!」


バタン


貴音「……」

真「……」

美希「それじゃ、ミキも頑張ろっかな」

真「美希がやる気になってるのも珍しいよね」

美希「だって、時間が……無いんだもん……」

貴音「美希……」

美希「うん?」

貴音「いえ……」

美希「……」

雪歩「ど、どうしたの?」

真「なんだろう、少しづつ……焦ってくる」


真「なんて言ってる場合じゃないね、練習再開しようか!」

美希「頑張るのー!」

雪歩「み、みんなの足を引っ張ってばかりだけど……!」

貴音「皆で共に進みましょう」




10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:18:09.08 ID:u8MfD43Fo

―― スタジオ


「「「 お疲れ様でしたー! 」」」

P「お疲れ様でした!」

あずさ「おつかれさまでした~」


P「さて、次はラジオ局ですよ。少し急ぎましょうか」

あずさ「わかりました。あの、進行表をもう一度見直してもいいですか」

P「どうぞ」

あずさ「ありがとうございます。えっと……」

P「あ、歩きながら読まないでくださいっ」クィッ

あずさ「え?」


「おっと、失礼~」


あずさ「あ、す、すいません」

P「いえ。真面目なのはいいですけど、周りを見ないと危ないですよ」

あずさ「そうですね。えっと……トークの後に新曲を」

P「話聞いてない……っ」




11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:19:31.21 ID:u8MfD43Fo

―― 車内


P「あずささん、移動中に読むと酔いますよ」

あずさ「うぅ……っ」

P「遅かったか。……窓開けましょう、今日は温かくて気持ちがいいですよ」

あずさ「そうですね。……ごくごく」

P「……え!?」

あずさ「ふぅ~、まだ冷たさが残りますけど、春の風って素敵ですね~」

P「…………気付いていないっ?」

あずさ「どうしたんですか?」

P「いえ。……なんでも」

あずさ「プロデューサーさん、最近、体の調子はどうですか?」

P「ぼちぼちってところですよ。あずささんは絶好調ですね」

あずさ「はい……おかげさまで……」

P「……」

あずさ「ごくごく……この紅茶、新発売なんですよね……おいし……っ!?」

P「…………」

あずさ「……っ」

P「春香の誕生日……参加できなくて残念でしたね……」

あずさ「そ、そそそうですね……っ」

P「一口しか飲んでいないので、よかったらどうぞ」

あずさ「あ、ありがとうございますっ、すいませんっ」

P「なんというか、最近……ウッカリが多いのでは……?」

あずさ「……そ、そうですか?」

P「……仕事は順調にこなしていますけど」

あずさ「…………」

P「真面目な話、名前も売れているんですから、気をつけてください」

あずさ「プロデューサーさんが居るから安心しているんですね、きっと」

P「いつでも傍にいるわけじゃないんです」

あずさ「……はい」

P「俺が注意できないところだって、これから幾つも出てきますよ」

あずさ「……」

P「もっと……」

あずさ「……」

P「すいません、いきなり説教なんて……」

あずさ「いえ、その気持ちが嬉しいですから」

P「……」

あずさ「……」




12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:20:49.74 ID:u8MfD43Fo

―― ラジオ局


pipipipipi


ピッ


P「はい、どうした律子?」


P「……うん。……珍しいな」


P「わかった。戻ったら相談しよう。こっちは……あと1時間くらいで終わる」


P「それじゃ、事務所で」


プツッ


『世界の音楽祭、出場が決まったそうですね』

『はい~、私たち765プロ全員で参加することになりました~』

『最近、話題が尽きない765プロですが』

『みなさんの応援のおかげですね~』

『なんだか、楽しい気持ちが伝わってくるんですけど、いいことでも?』

『二つ、ありました~』

『二つもですか、いいですね~。春といったら、気持ちも弾んできますからね。ちなみにどんなことが?』

『春の風を感じたのと、春を見つけたのと』

『おっと、同じ意味に捉えそうな言葉ですけど……。爆弾発言のような気がしますね!』

『うふふ』



P「……はい。……それでは明日の午前中に予約を……お願いします」


プツッ


P「……」




13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:22:44.70 ID:u8MfD43Fo

【 5月 】


―――― 事務所



「冗談じゃないわよッ!」

バンッ


律子「ちょっと……落ち着いて」

「なんで私が……ッ!!」

P「外の空気を吸いに行こう、伊織……」

伊織「うるさいわねっ! 放っておいてよ!!」

P「物に当たるなんて、らしくないだろ」

律子「少し、頭を冷やしてきなさい。自分の立ち位置が見えなくなるわよ」

伊織「……ッ!」


ガチャ


「ただ今戻りました~」


伊織「――!」


あずさ「みんなで食べられるように……ケーキを……。……?」


伊織「……っ」

タッタッタ


律子「伊織!」


バタン


あずさ「あの……なにか……?」

律子「プロデューサー、私が行くと、説教してしまいそうなので……」

P「……わかった。あずささん、この後なんですけど……」

あずさ「一人で平気ですよ」

P「すいません。迎えには必ず行きますから」

タッタッタ


バタン


あずさ「律子さん……」

律子「先月から続けて四度目。オーディションに落ちてます」

あずさ「……」

小鳥「伊織ちゃん、どうしたんでしょうか」

律子「焦り……ですかね……」

あずさ「…………」



14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:24:59.38 ID:u8MfD43Fo

―― 公園


伊織「……」

P「……」

伊織「焦ってるのは認めるわ。だけど、なにを焦ってるのかが分からないの」

P「……悩みでもあるのか?」

伊織「あったら、ちゃんと相談してる」

P「……」

伊織「わからないから、余計にイライラして……ッ!」

P「ちゃんと息抜きとか……」

伊織「そうじゃない、そういうのじゃ…ない……!」

P「……すまん。最近、事務所に居られないから、伊織の事……良く分からないんだ」

伊織「私がわかってないこと、アンタにわかるわけ……ないでしょ……」

P「……」

伊織「せっかくここまできて……こんなところで足踏みしている自分が……許せない」

P「……」

伊織「…………」

P「……」

伊織「レッスンがあるから、戻るわ」

P「今のまま受けて、大丈夫か?」

伊織「さぁね」

P「おいしいものでも食べに行くか? 響たちも呼んで」

伊織「なによそれ、慰めのつもり?」

P「いや、丁度いいから、今のみんなの状況を知りたいだけだ」

伊織「時間が勿体無いから、遠慮しとくわ」

P「そうか……」

伊織「代わりに差し入れ、よろしく」

P「……あぁ」


伊織「駅前のケーキ屋ね」

P「あずささんがケーキを持ってきてただろ」

伊織「……こんな重要な時期にあずさを放っておいていいの?」

P「最近は、俺が必要無いぐらいに頑張っているから……安心できる」

伊織「卑屈気味に言わないで欲しいわね」

P「はは、そうだな」



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:26:08.60 ID:u8MfD43Fo

P「……うーん」

伊織「なによ」

P「伊織は……あずささん、苦手か?」

伊織「……」

P「……」

伊織「別に。距離の取り方が分からないだけよ」

P「そうだな……みんなとも交流が取れてないし……」

伊織「私たちは思い出作りに来てるわけじゃないでしょ」

P「でも、想い出はあった方がいいよな」

伊織「……」

P「相談してみるよ」

伊織「……勝手にしたらいいじゃない」

P「あぁ、良くなるように一緒に考えてみる」

伊織「……あれ?」

P「……どうした、キョロキョロして」

伊織「今……なにか……違和感が……」

P「?」


伊織「……なんだったのかしら……?」


P「……?」



「ぴ…ぃ……」

伊織「……あ…」



P「……鳥の……雛?」

伊織「…………震えてる」スッ

ヒナ「……」

P「……」

伊織「怪我してるわ。巣から落ちたのね」

P「あの巣か……。病院が近くにあったな」

伊織「アンタは先に行ってて」

P「一人で平気か?」

伊織「大丈夫……この仔は私が連れて行くから」




16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:28:03.02 ID:u8MfD43Fo

―― レッスンスタジオ


P「陣中見舞いに来たぞ」

亜美真美「「 兄ちゃん! 」」

「プロデューサー、来てくれたんですね!」

P「やよいの顔を見るの久しぶりだな」

やよい「そーですね! 会いたかったです!」

P「俺も顔を見れなくて寂しかったよ。ほら、差し入れだ」

亜美「やったー! さっすが兄ちゃんだよね!」

真美「なになに、何を持ってきてくれたのー?」

P「期待されると困るな……」

亜美「なんだ……ゼリーか」

真美「もっと面白いものがあるのかと……」

P「美味しいよりそっちがいいのか……難しい」

やよい「あの……伊織ちゃん、今日は来ないんですか?」

P「さっき鳥の雛を拾ってな、今動物病院に行ってる。後で来るよ」

やよい「ヒナ……?」

P「巣から落ちて怪我していたんだ。伊織が触ってしまったから、巣に戻せないと思ってな」

やよい「……そうですか」

亜美「兄ちゃん……ホワイトデーのこと……忘れてないよ」

P「まだ引っ張るのか……」

真美「今日とゆう日を、黒と赤と黄色に染めてやるぜぇ」

P「ドイツの国旗……?」


「うぅーん……自分……沖縄の事、全然知らなかったんだなー」


P「響は何をしているんだ?」

やよい「ロケに向けて、勉強だそうです!」




17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:30:10.63 ID:u8MfD43Fo

―― ライブ会場


キキッ


P「到着。行こう、雪歩」

雪歩「わ、私なんかが……出入りしてもいいんですか……?」

P「確かに用事は無いけど、これもプロモーションだと思えばいいさ」

雪歩「は、はいぃ……」

P「……」





雪歩「わ、わぁ……凄い……」

P「ここに来るの初めてだったか?」

雪歩「は、はい……ここであずささんが……」

P「いづれ雪歩もこのステージに――」

「おつかれさん」

P「お疲れ様です。どうでしたか、リハーサル」

「バッチリだね。最近の彼女、磨きが掛かってていいね。こっちも気合が入るよ」

P「ありがとうございます」



あずさ「ありがとうございます」



「この会場を丸々呑み込んでしまう歌声だ」

P「そう言っていただけると、こっちも熱が入ります」

雪歩「あ……」



あずさ「シー……内緒ですよ、雪歩ちゃん」



雪歩「……?」

「彼女も765プロの子?」

P「そうです、雪歩?」

雪歩「は、はいっ!?」

P「自己紹介」

雪歩「はは、萩原雪歩と申しますぅ……!」

「あはは、俺なんかに緊張しなくてもいいのに。いつか、一緒に仕事が出来る日を楽しみにしてるよ」

雪歩「は、はい! よろしくお願いします!」



18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:31:52.01 ID:u8MfD43Fo

「彼女――三浦あずさも初々しい感じだったけど、こんな大きなステージに立つまでになったんだ。なんだか感慨深いね」

P「監督さんの演出のおかげです」



あずさ「……」



「いやぁ、ここ半年、三浦あずさの目覚しい活躍はプロデューサーさんの実力あってのものだろう」

P「まだまだこれからですよ。これからも彼女達をよろしくお願いします」

「どんどん仕事をしていきたいね。長話もなんだから、これで。また飲みに行きましょうか」

P「はい、響が教えてくれたあの店で」

「あぁ、あの店はよかった。それじゃあ」

P「お疲れ様でした」

雪歩「お、お疲れさまでしたぁ……」



あずさ「……私、そのお店に行ったことないですよ?」



雪歩「……ふぅ」

P「彼が舞台監督。気さくな人で面倒見がいいんだ」

雪歩「……な、なんとなくですけど……わかります」

P「こっちが本気ならどこまでも付き合ってくれる。やりがいは想像以上だ」

雪歩「は、はい……わ、私もこのステージに立ちたいですっ」

P「……うん」



あずさ「うれしそうです」



P「さっき二階席を見てたけど……」

雪歩「……えっと」





P「なにもないよな……ステージじゃなくてどうして二階なんだ?」

雪歩「……い、いえ……なんでもないです」

P「?」



あずさ「勘が鋭いですよね」



P「あずささんがいないな……まさか、控え室で寝てたりするのか?」

雪歩「……えっと」



あずさ「プロデューサーさん、私はここですよ~」





19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:33:04.90 ID:u8MfD43Fo

P「電話してみるか……」

ピッピ

雪歩「……」チラッ



あずさ「は~い」フリフリ


P「取るの早いですね……。迎えに来ましたよ。今どこにいるんですか?」


あずさ「すいません、もう少し眺めていたいので、待っていただけますか?」


P「眺める? よく分かりませんけど、とりあえず急がなくてもいいですから」


あずさ「わかりました」


P「なんだか、声が近いような……?」


あずさ「きのせいです」


P「……どうして小声に? 何をしているんですか?」


あずさ「うふふ、ひみつです」


P「……」


あずさ「……秘密ですよ~」


P「客席の方で待ってますから……」


あずさ「わかりました~」



プツッ


P「それほど大事なことなんだろうけど……眺めるってのが分からない」



あずさ「ふふ」



P「雪歩と話がしたかったんだ。そこに座ろう」

雪歩「……は、はい」




20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:35:44.54 ID:u8MfD43Fo

P「舞台監督には、ちゃんと挨拶できたよな」

雪歩「はい……」

P「真や美希の話では、ちゃんと練習に付いていけてると、聞いている」

雪歩「す、すいません……っ」

P「いや、責めてるわけじゃなくて。もう土台は出来上がってるはずなんだ」

雪歩「……っ」

P「……すまん。…………昼にさ、伊織と少し会話をしたんだ」


あずさ「?」


雪歩「伊織ちゃんと……?」

P「あまり上手く話が出来なくて……伊織が抱えてるものをちゃんと聞けなかった」

雪歩「……」

P「だから、雪歩にも、上手く伝えられないかもしれない」

雪歩「?」

P「俺の力不足で雪歩の仕事を取って来れてないけど――」


あずさ「!」


P「雪歩にはまだ時間があるから、ゆっくり確実に上っていこう」

雪歩「……わ、私が……悪いんですよね……っ」

P「あぁ、違う……そうじゃないんだ」

雪歩「うぅ……っ」

P「…………またやってしまった……」


あずさ「お、お待たせしましたっ」

P「……走ってきたんですか?」

あずさ「ふぅ……っ……ふぅ~…………いいえ」

P「いいえ、って……今、息を切らしてましたよね」

あずさ「き、きのせいですよ」

P「どうしてそこで小声になるんですか?」

雪歩「ふふっ」

P「……」

あずさ「お腹が空きましたね。帰りにどこか連れて行ってほしいです」

P「レストランが帰り道にありますから……。荷物は?」

あずさ「あらあら、私ったら、取りに行ってきます~」

P「……」




21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:41:56.05 ID:u8MfD43Fo

―― レストラン


P「それで、何を眺めていたんですか?」

あずさ「雪歩ちゃん、事務所にケーキがあったと思いますけど、いただきましたか?」

雪歩「いえ……」

あずさ「それなら問題ありませんね、食後にケーキを食べましょう」

雪歩「え、えっと……」

P「会計は気にしないでくれ。その代わり、亜美と真美、真には絶ッ対に内緒な」

雪歩「わ、わかりました」

あずさ「私はタルト・オ・フリュイにします。雪歩ちゃんはどうします?」

雪歩「同じので……。あずささん、好きですよね……」

あずさ「うふふ、あの日食べられなかったケーキですね」

P「…………」

あずさ「あ……プロデューサーさん、私、根に持っているわけではありませんよ?」

P「……はい」

雪歩「……?」

P「あずささん、伊織の事なんですけど」

あずさ「はい?」

P「あずささんに対して苦手意識を持ってますよ」

雪歩「ッ!?」

あずさ「まぁ、そうなんですか……寂しいです」

P「時間を合わせることは難しいですけど、なんとか距離を近づけられませんか?」

あずさ「わかりました。努力してみます」

P「努力……?」

あずさ「事務所にいるようにしてみようかと」

P「はい」

あずさ「プロデューサーさんも、事務所にいるようにしてくださいね」

P「そうなんですよね、俺もコミュニケーション取れて無いから……さっきは悪かった、雪歩」

雪歩「い、いえ……。え、えっと……その……直球ですね……っ」

P「遠まわしに言うより、この方が解決策を見つけやすいみたいなんだ」

雪歩「……」

P「あずささん、どうして今日、雪歩を連れてきたかわかりますか?」

あずさ「プロモーションと、話をしたかったからですよね」

P「そうです。あずささん、事務所でケーキ、食べましたよね」

あずさ「……はい」

P「体系管理、どうします?」

あずさ「明後日、ご一緒にジムでトレーニング……ですよねっ」

P「一緒って……俺は甘いもの食べていませんから、朝で充分です……」

あずさ「それじゃあ、それをご一緒します~」



22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:43:46.34 ID:u8MfD43Fo

P「少しズレたけど、こんな風になるんだ」

雪歩「朝……?」

P「朝のランニング。まてよ……話をしたかったのは偶々なんだよな……あれ?」

雪歩「そ、それは……」

P「雪歩、知ってるのか? 教えてくれ」

あずさ「ゆ、雪歩ちゃん内緒ですよ~」

P「あずささん、ズルイですよ?」

あずさ「?」

P「俺だけ見透かされてるようで、悔しいんですけど」

あずさ「プロデューサーさんが分かりやすい人だからですよ、きっと」

P「単純って事ですね」

あずさ「そうですよ。混じりけの無い、素直な人です」

P「浅いとも取れますけど」

あずさ「物は言いようですね。良い方を選びましょう~」

P「誤魔化されてるだけじゃないかと……」

あずさ「うふふ」

P「本格的に誤魔化さないで下さい。で、雪歩、眺めていたってなんだ?」

あずさ「内緒ですよ……雪歩ちゃん?」

雪歩「……」

P「雪歩、どうした?」

雪歩「あ……い、いえ……。意思の疎通……が……できてると……思って……」

P「……」

あずさ「一日一回は顔を合わせてますから。合わせているからじゃないかしら~」

雪歩「ど、どうして言い直したんですか?」

P「ごちそうさま。タルト・オ・フリュイを注文してきますけど、それでいいですよね」

あずさ「お願いします」

雪歩「は、はい」

P「少し席を外します。ゆっくりしててください」ガタッ

あずさ「わかりました。仕事の電話ですか?」

P「いえ、他のところですよ」

スタスタスタ



23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:45:16.18 ID:u8MfD43Fo

雪歩「他……?」

あずさ「雪歩ちゃん、変なことを聞くようだけど」

雪歩「は、はい……?」

あずさ「プロデューサーさんのことで気になることある?」

雪歩「えっと……今日……突然、あずささんを迎えに行こうと言ってくれたこととか…かな……?」

あずさ「やっぱり、少しずつ、変化しているみたい」

雪歩「変化?」

あずさ「以前とは食事の傾向も変わっているのよね……野菜中心で……」

雪歩「…………」


あずさ「雪歩ちゃんと一緒に食事をするのも久しぶりよね」

雪歩「今日は、知らなかったことを沢山知ることができて……楽しいです」





―― 雪歩の家


P「それじゃ、おやすみ」

あずさ「おやすみ~」

雪歩「お、おやすみなさい……」

あずさ「プロデューサーさん、ドライブに行きませんか?」

P「行きませんっ、明日早いって言ってるじゃないですかっ」

バタン


ブロロロロロロ



雪歩「…………」

雪歩「……どうして…………怖くなるのかな……っ」




24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:47:09.99 ID:u8MfD43Fo

―― 翌日・事務所


あずさ「真ちゃん、そろそろ行きましょうか」

真「おっと、そうですね。それじゃ、律子、行ってくるね」

律子「えぇ。しっかりね」


ガチャ


伊織「おはよ……」

あずさ「おはようございま――おはよう、伊織ちゃん」

伊織「プロデューサーは……?」

あずさ「これから、合流してライブ会場に行くけど……」

伊織「……そう」

あずさ「あの、伊織ちゃ――」

真「あずささん! 時間が!」

伊織「話があっただけ。大したことじゃないから……」

あずさ「……わかりまし――わかったわ。そう、伝えておくわね」

伊織「……」


バタン


伊織「相談した結果が……あれなのかしら」

律子「聞いたわよ伊織、雛を見つけたんだってね」

小鳥「プロデューサーさんが、よく見つけたなぁあの視点は――」

伊織「落ちたんじゃなくて、落とされたかもしれないんだって」

律子小鳥「「 え? 」」

伊織「雛が病気を持ってると、親鳥は育児を放棄して……巣から落とすこともある……」

律子「……そう」

小鳥「……」




25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:48:35.46 ID:u8MfD43Fo

「おはようございまーっす!」


伊織「獣医に頼んだから、大丈夫でしょ」

律子「あんたが育てるもんだと思ってたわ」

伊織「冗談でしょ。知識の無い私に育てられるわけがないじゃない……せっかく助かったのに」

律子「正論、ね」

やよい「伊織ちゃん、大丈夫?」

伊織「えぇ、昨日はオーディションに落とされて、ちょっとムシャクシャしていただけ」

やよい「そ、そうだったんだ……」

伊織「今日のボイスレッスン頑張りましょ、やよい」

やよい「うん!」


律子「伊織、ちょっとこっち来て」

伊織「なによ?」

律子「あんた……あずささんの事、苦手なの?」

伊織「昨日まではね」

律子「あ、そう」




26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:51:22.97 ID:u8MfD43Fo

【 6月 】


―――― レッスンスタジオ


「背中押してくれる?」

「えぇ……」グッ

「いっちに、さんしっ」

「ごうろく、しちはち」

「最近……プロデューサーさんの顔みてないなぁ……」

「そうね……」

「いっつも入れ違いなんだよね」

「……タイミングが合わないから、しょうがないわ」

「そうなんだけど。伊織と真にも会ってないや……」

「二人とも最近忙しそうだから……」

「だから私、響ちゃんが企画したロケ、とても楽しみなんだよ」

「……実は私も」

「響ちゃんと言えば、燕の雛の話、知ってる?」

「伊織が拾った雛?」

「うん。ありがとう、次は千早ちゃんの番ね」

千早「よろしく」

「いっちにぃ!」

千早「さんしっ……」

「にぃにぃ!」

千早「さんしっ……掛け声がさっきと違う……!」

「やよいと響ちゃん、あずささんで巣立ちを見送ったんだって」

千早「……よかったわね」

「うん……」

千早「どうしたの、春香?」

春香「あぁー、みんなに会いたいよ千早ちゃん」

千早「そうね……」

春香「私たちしかいないから、駄々こねてみようかな」

千早「……止めたほうがいいわ」

春香「でもね、なんかこう……抑えきれないわだかまりが……」

千早「あの、続きをお願いしたいんだけど……」

春香「まだ律子さんとあずささんが来てないから、遊ぼうよ!」

千早「何を言っても無駄なのね……。わかった……見てるから……」

春香「私一人で遊ぶの? それじゃ、受け身の練習でもしようかな」

千早「フローリングだから痛いと思う……」



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:53:32.50 ID:u8MfD43Fo

春香「えいっ」

ゴロゴロ ザッ


春香「あいたたた」

千早「だから言ったのに……」

春香「はぁ…………どうしてかな、気持ちが先走っちゃう」

千早「…………春香は今、何をみているの?」

春香「え? ……照明?」

千早「それじゃ、私も」

春香「ここが河川敷だったら、二人並んで空を見上げて……青春って感じだよね」

千早「……そうなの?」

春香「そうだよ」

千早「……」

春香「……」

千早「私も、焦っているのだと思ってた」

春香「……?」

千早「みんな忙しくなってきて、私も負けないようにって」

春香「……うん」

千早「だけど、何かが違う」

春香「うん」

千早「これは焦りじゃなくて……」

春香「……不安」

千早「……」

春香「何が不安なのかわからないから……」

千早「……もっと不安になる。だから、春香がジッとしていられないもの分からないではない」

春香「じゃあ、何かして遊ぼうよっ!」

千早「分からないではないわけで、遊ぶという選択は……ない」

春香「じゃあ、一人で遊ぼうー」


ゴロゴロゴロ


千早「ちょ、ちょっと春香?」


春香「小さい頃やらなかった? こうやってゴロゴロ横転するの」



28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:55:40.02 ID:u8MfD43Fo

千早「手首を傷めないよう気をつけて……記憶にないから、やってないと思う」


春香「そうなんだー。よいしょ、よいしょー」


ゴロゴロゴロ


ガチャ


あずさ「おまたせ……」

律子「え……」



ゴロゴロゴロ


春香「お、おはようございます。目が回って――」


P「……」


春香「目が……」

P「何をやってたんだ、春香……」

春香「あ!」

P「ゴロゴロ回転してたよな……」

春香「ち、違いますよっ!」

千早律子「「 プロデューサー 」」

あずさ「プロデューサーさん」

P「わかった。見なかったことにして俺は営業に戻る。律子、音楽祭の事項、よろしくな」

律子「はい、任せてください」

P「千早、久しぶりだな。顔色もいいみたいだ」

千早「おかげさまで」

P「春香、頑張れよ」


バタン


春香「何を応援されたんだろう!!」

千早「あずささん、ストレッチの相手をお願いします」

あずさ「は~い」

春香「久しぶりに会ったと思ったら変なとこ見られたぁー、恥ずかしいー」ジタバタ

律子「今日で最後のレッスンなんだから、気を引き締めていくわよ、春香」

春香「は、はい!」



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:57:18.95 ID:u8MfD43Fo

【 初夏 】


―――― 事務所前



P「お気をつけて。律子たちから く れ ぐ れ も離れないでくださいね」

あずさ「……はい」

春香「行ってきます!」

千早「それではお先に」

律子「後の事、よろしくお願いしますね」

P「あぁ。律子もみんなのこと頼んだぞ」

律子「任せてください!」

P「真、貴音、雪歩、美希。4人もしっかりな」

貴音「はい」

雪歩「が、頑張ってきます……」

真「先に行って待ってますからね、プロデューサー」

美希「安心して任せて欲しいの」

P「……うん」

美希「どうしたの?」

P「いや、最近の美希は……なんだか、気合が入ってるな、と」

美希「……ミキ、頑張るよ」

P「その調子で、みんなを導いてやってくれ」

美希「……」



30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:58:16.34 ID:u8MfD43Fo

美希「今を導いてるのってあずさだよね」

P「……え?」

美希「なんでもない。それじゃあね」

P「行ってらっしゃい。……って、あずささん?」

あずさ「……はい?」

P「早く車に乗らないと……」

あずさ「えっと……その、海に沈む夕陽を……一緒に見たいと思いまして」

P「……?」

あずさ「その、綺麗だと響ちゃんに教えてもらって」

P「……そうですか」

あずさ「……いいですか?」

P「そうですね、みんな一緒に」

あずさ「行ってきますっ」


タンタンッ


バタンッ


「行ってきまーす!」


P「あぁ、後でな!」



ブロロロロロ



P「……」

P「また、約束を……俺は――。」




31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 21:59:23.08 ID:u8MfD43Fo

―― 事務所


やよい「おはようございまーす! 今日もいい天気ですね!!」

P「いや、沖縄の空は快晴らしいが、ここは降り出しそうだぞ……やよい」

やよい「えへへ、そうなんですかー!」

P「やよいの元気を見ていたら……気持ちが晴れてきたなぁ」

伊織「空港に向かわなくていいの?」

P「亜美と真美がまだ来てないんだ」

伊織「響は?」

P「途中で合流するから、二人が到着次第出発だ」

伊織「……そう」

P「……」

伊織「なによ?」

P「……焦りは解決したのか?」

伊織「まだよ。……だけど、それを気にしてたら前に進めないから、今は置いておくわ」

P「……そうか」


ガチャ


亜美「お待たせー!」

真美「さぁー、遠足の始まりだー!」

やよい「楽しみだよねー!」

P「遠足じゃない。そのお菓子の入った袋、置いていこうな真美」

真美「……ダメなの?」

P「……あぁ。ダメだ」

真美「……しょぼん」

小鳥「しょぼんなのは独りお留守番の私っ」シクシク




32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 22:01:15.79 ID:u8MfD43Fo

―――― 那覇空港


「自分の故郷ーッ!!」

P「元気いっぱいだな、響」

響「この太陽の日差し! アスファルトの焼ける匂い! 空の蒼さ!」

響「これがうちなーだよ、プロデューサー!」

真美「コンビニ寄ろうよひびきん」

響「ま、真美、気分が台無しだぞぉー!」

亜美「暑い……暑いですぞぉ……。アイスを食べたいですぞひびきん~」

伊織「もう梅雨は明けたのね……」

P「2日前だそうだ。ラッキーだな」

やよい「ラッキーですねー!」

真美「ひーびーきーん!」

響「ダメだぞ、真美。そろそろ移動しなきゃいけないんだからな!」

P「迎えに来ているはずの運転手さんは……どこだ?」

やよい「あ、あの男の人じゃないですか?」

P「こっちに来るな」

響「よーし、みんなで挨拶するぞー!」

P「そうだな。最初が肝心だ」


男「……えっと、カウンターは3階だったよな」


「「「 よろしくお願いしまーす!! 」」」



33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 22:02:39.26 ID:u8MfD43Fo

男「……?」

タッタッタ


伊織「人違いじゃないの!」

P「……すまん。恥をかかせてしまった」

やよい「わ、私が……悪いんです……」

亜美「沖縄の服を着ていたから、しょーがないっしょ」

真美「いおりん、挨拶してなかったよね」

伊織「し、したわよ」

響「んー?」

「あ、あの……」

響「カウンターは3階だぞ?」

「あ、いえ。……765プロの方ですよね」

P「はい、そうです」

「私、みなさんの旅のお供をさせていただく、美弥嶺(れい)と申します」

亜美「運転手さんはナイスバデーですな」

真美「ふむふむ……これはこれは。あずさねぇねぇに負けず劣らずアルカトラズ」

P「こら」

やよい「よろしくおねがいしまーっす!」

響「ゆたしくうにげーさびら!」

伊織「よろしく」

嶺「はい、よろしくお願いします」

P「騒がしくなると思いますが、これからよろしくお願いします」

嶺「バスの運転手としてじゃなく、ガイドも務めさせていただきます」

響「自分、たくさん勉強してきたから、運転手さんに負けないからね!」

嶺「ふふっ。それでは、バスに案内致します」




34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 22:05:49.16 ID:u8MfD43Fo

―――― バス


響「ハイサイハイサーイ! やってきました自分の故郷、OKINAWAーッ!」


やよい亜美真美「「「 OKINAWA!! 」」」

伊織「やれやれ、ね」

P「……」

響「えっと、なんだっけ?」

P「さっそく段取りを忘れたのか」


P「沖縄に来た経緯、今のこのバスの目的地、今居るメンバー、最後に俺を軽く紹介」

響「わかった」


響「まずは経緯からだね。去年の夏に開催された、世界の音楽祭に自分たち765プロが出場したんだぞ!」

伊織「そう。可憐で優美な私、水瀬伊織ちゃんと」

やよい「あずささん、真さん、律子さん」

亜美「去年は参加できなかったんだよねー」

響「そのメンバーでの出場でファン投票の結果、なんと! STAR OF FESTAの称号を手に入れましたっ!」

伊織「まぁ、私が出場したんだから、当然よね~」

響「その音楽祭が北谷で開かれてるんだけど、今、このバスが向かうのはお昼ご飯を食べるお店!」

やよい「エンダーですよねー!」

響「そうだぞ。そして、紹介しまーす。亜美、真美、やよい、自分のグルーヴィー」

伊織「ちょっと?」

響「伊織も入れてグルーヴィーチューンチームだぞ!」

P「違う、ファンキーノートチーム」

響「あはは。間違えちゃった。今、ツッコミを入れたのが、カメラマンでありディレクターのプロデューサー」

伊織「役名が三つもあってややこしいわね」

響「沖縄の観光地を周って面白おかしく楽しんでいくさー!」


響「というわけで、このロケはこのようになっています! 終わりっ!」




35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 22:07:05.56 ID:u8MfD43Fo
今日はこれで終わりっ



36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/04(金) 22:14:44.31 ID:xBwThi3d0

前のやつの続きか



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 00:42:39.77 ID:ih5y0Lrzo
前のスレタイ頼む



39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:00:43.52 ID:Dn6vDb0to

前作:あずさ「嘘つき」の続きになります。
ネタバレしちゃうので、楽しめないのではないかと思い伏せていました。申し訳ありません。



40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:02:33.40 ID:Dn6vDb0to

―――― 北谷


あずさ「お待ちしていました~」

P「ッ!?」


亜美「あずさねぇねぇ?」

あずさ「みんなが到着するって聞いて、ここまで迎えに来ちゃいました」

やよい「ありがとうございまーっす!」

P「え? 一人でですか?」

あずさ「もちろんです」

P「え?」

あずさ「もぅ、信じてくれないんですか?」

P「……」


千早「……」フルフル


P「信じます」

あずさ「うふふ。それじゃ会場まで案内しますね」

響「……千早が――むぐ」

伊織「いいから、千早が見守ってるとか、いわなくていいから、ね?」

響「……」コクリ

真美「見守ってるってことは……」

P「ちゃんと、一人で……迷わずに……?」



響「曲が聞こえてくるぞ……」


『 CHANGE IN MY WORLD!! 』


やよい「この曲は……!」



『 止まらない愛 探して 』



あずさ「真ちゃん達です」

P「す、少し急ぎましょうか。俺も早く観たいですから」




41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:04:05.83 ID:Dn6vDb0to

―― ライブ会場・控え室


P「舞台袖が控え室も兼ねてるんだな……」

律子「長旅、お疲れ様です」

P「お疲れさま。どうだった、午前の部は?」

律子「バッチリです。安心してください」

P「……そうか」


『 新しい未来追いかけながら
  私らしい私でもっともっと 』


P「……雪歩もみんなに付いていってるな。いい感じだ」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「……」

あずさ「長いフライトでしたから、疲れているんじゃありませんか?」

P「そうですね……」

あずさ「体の調子はどうですか?」

P「はい……」

あずさ「やよいちゃんが肩車してほしいそうです」

P「わかりました……。貴音も気合入ってるな……最近なにかあったのか……」


律子「どうしたんですかね。いつもならこっちを気遣うのに」

あずさ「集中すると周りの声が耳に入らなくなるんです」

千早「え、そ、そうなんですか?」

あずさ「月に二回くらいですけど……」

春香「し、知りませんでした……」


亜美「兄ちゃん、パフェが食べたいな」

P「さっきアイス食べただろ……?」

真美「意識を取り戻したかー」

伊織「はやく肩車しなさいよ」

やよい「あ、あの……その……えっと」

P「肩車……?」

響「……」




42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:05:14.91 ID:Dn6vDb0to

―― バス内


律子「はーい、みんな今日はお疲れさまー。これからホテルに戻りまーす」


「「「 はーい 」」」


響「このロケの説明はしなくていいの?」

律子「ホテルでしましょう。カメラマン役のプロデューサーがいないからね」

響「……わかった。今日家に泊まるメンバーは決まってるんだよね」

律子「えぇ。民宿は、よみたんにあるって話だけど、運転手さんに確認してあるわよね」

響「バッチリだぞ!」

亜美「あれ、あずさねぇねぇもいないよ?」

律子「落し物を探してるから、もう少し待っていましょ」

春香「えんだー?」

真美「おいしかったよー」

美希「あふぅ」

雪歩「……ふぁぁ」

真「ボクも……眠くなってきた……」

貴音「西の空が……なんとも美しい……」

やよい「綺麗ですねー……」

伊織「……この景色を見てるのね」

千早「うん……きっとね……」




43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:06:32.16 ID:Dn6vDb0to

―― 砂浜


P「……あれ?」

あずさ「見つかりましたか?」

P「いえ……誰も……いない……」

あずさ「あ…あれ……?」

P「……」

あずさ「……!」

P「律子か……」

あずさ「……え、えっと」

P「バスに戻りましょう。今日は朝早かったので、疲労が溜まっているはずですよ」

あずさ「ま、まだ……平気ですよ…っ……?」

P「あずささんもそうですけど、みんなこのロケの為に過密なスケジュールを――」

あずさ「……最近」

P「……?」

あずさ「突き放されているように感じるのは気のせいでしょうか」

P「え……」

あずさ「事務所に居る時間も少なくなってると、小鳥さんから聞きました」

P「仕事が順調な証拠ですよ。嬉しい悲鳴ってやつですね」

あずさ「以前のプロデューサーさんなら……」

P「……」

あずさ「いえ、なんでもありません。……私の勘違いだったみたいですね」

P「そう…ですか……」

あずさ「私に時間をください」

P「……」

あずさ「応えてくれないんですか?」

P「どうしたらいいのか、分からなくて」

あずさ「今は一緒に、夕陽を見ます」

P「……」

あずさ「あの先はどんな景色なんでしょうね~」

スタスタスタ


P「あ、ちょっと、あずささん……!」


P「……」


P「…………すいません……本当に」

タッタッタ




44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:08:09.81 ID:Dn6vDb0to

―――― 我那覇邸


響「とうちゃーく!」

P「ここが響の実家……」

真「よいしょっと」

雪歩「ここが……」

貴音「響の育った家、なのですね」

美希「意外と近かったね~」

あずさ「まぁまぁ……素敵なお家ですね~」

P「……運転手さん、明日からもよろしくお願いします」

嶺「はい。こちらこそよろしくお願いします」

響「運転手さんも一緒にご飯食べていくよねっ!」

嶺「お気持ちだけで。戻って業務報告もありますから」

響「残念だぞ」

嶺「ありがとうございます。それでは」


響母「遠いところからよく来てくれました。私、響の母をやっています」

P「初めまして、私、765プロで我那覇響をプロデュースしている者です」

響母「話は響から聞いていますよ」

P「響は単身で上京してきたにも関わらず、元気で明るく、事務所のみんなと楽しく過ごしています」

響母「……」

響「コケ麿~!」

コケ麿「コケー!!」

響「会いたかったぞ~!!」

コケ麿「コケー!!」

P「仕事現場でも今のように、誰にでも温かく接しているので、潤滑油のような存在ですよ」

響母「え、響」

響「うん?」

響母「絶対に逃がすんじゃないよ?」

響「はぁ?」


響「それより、アニキは?」

響母「ニィニィはまだ仕事」



45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:09:33.70 ID:Dn6vDb0to


響母「さぁさ、みなさん上がってくださいね~」

響「遠慮することないぞー」

真「友達のお家にお邪魔するってなんだか緊張するなぁ」

雪歩「う、うん……」

貴音「……」

美希「お邪魔するの~」

あずさ「あ、プロデューサーさん」

P「はい……?」

あずさ「背中に糸くずが……はい、取れました~」

P「ありがとうございます」

あずさ「いえいえ」

響母「……」

響「おかー? はやく、夕飯の――」

響母「響、あんた、諦めなさいね」

響「はぁ?」





46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:11:04.83 ID:Dn6vDb0to

―― 仏間


響「おとー。プロデューサーとみんなを連れてきたよー」

P「響、俺も線香をあげてもいいかな」

響「うん。おとーも喜ぶよ」

あずさ「私も、失礼して」

響「……うん!」

P「――。」

あずさ「響ちゃんのおかげで、私はいつも楽しく過ごせていますよ。
    元気な、その姿をいつまでも見守っていてください」

真「ここでなにを?」

貴音「響のお父様にお祈りを捧げているのですね」

雪歩「わ、私の家にある仏壇より広いです……」

美希「ミキもいいかな?」

響「うん……挨拶してくれると……嬉しいな」

貴音「わたくしも」

真「えっと……この鉢でいいのかな」

雪歩「し、失礼します……」

P「……」

あずさ「……」

貴音「――。」

美希「誰にでも優しく接している響はみんなに好かれているの、
   だから安心してゆっくり休んでね、響のお父さん」

P「美希……」

貴音「言葉には力が宿ります。美希の想い、必ずや届いていることでしょう」

真「そっか……。響のお父さん、響はいつも一生懸命に頑張っています、見守っていてください!」

雪歩「響ちゃんは、いつも私を励ましてくれてます……今日は挨拶ができて嬉しいです……」

響「……」グスッ

P「……」

響母「…………」




47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:13:05.35 ID:Dn6vDb0to

―― 居間


美希「ご飯美味しかったの、ミキ食べ過ぎちゃった」

あずさ「美希ちゃん、食べてすぐに横になったら」

美希「じゃあ、あずさの膝を借りるね」

あずさ「えっと…………じゃあって……?」

美希「うーん、いい気持ちなの」ゴロゴロ

P「こら」

美希「羨ましい?」

P「今は大事な話をしてるんだぞ」

美希「はぁい」

貴音「……」

雪歩「……」

あずさ「……」

P「明日は午前に響たちのチームがライブに参加。午後はあずささんたちのチーム」

響「歌いまくるぞー!」

P「午後に、あずささんを除いたここにいるメンバーで観光地を周ってロケだ」

美希「……あふぅ」

雪歩「あ、あの、観光地は決まっているんですか?」

P「あぁ」

響「首里城と、公設市場だぞ」

真「首里城は有名だけど、公設市場ってあまり聞かないね」

響「テレビでよく流れてたけど、真はアンテナが足りないぞー」

貴音「わたくしも、幾つか拝見したことがあります」

P「運転手さんがガイドをしてくれるから、心強いな」




48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:14:45.65 ID:Dn6vDb0to

P「……と、まぁ、こんなものかな」

あずさ「プロデューサーさん、明日の朝はどうされます?」

P「……そうですね。どうしようかな」

真「朝?」

P「いや、気にしないでくれ」

P「適当にやります。せっかくの休暇みたいなものですから、あずささんはゆっくりしてください」

あずさ「……」

P「それじゃ、部屋に戻って休むように。寝坊して響のお母さんのご飯を食べられない、なんてことの無い様に」

美希「わかったのー」

P「俺は部屋で仕事を片付けてくるけど、何かあったら言ってきてくれ。おやすみ、みんな」

スタスタスタ


貴音「お休みなさいませ」

雪歩「お、おやすみなさい……」

真「……」

響「……むぅ」

美希「素っ気無いね」

あずさ「……」

真「あずささん、プロデューサーって……いつもあんな感じですか?」

あずさ「最近は……そうね……伊織ちゃんの雛の巣立ちの辺りから」

貴音「……」

真「せっかく色々とお喋りできると思ったのになー……」

雪歩「うん……」

響「つまんないぞ……」

あずさ「明日も早いから、部屋に戻りましょう」

響「うぅー」

あずさ「うふふ、私に提案があるのよ」

貴音「提案……?」

真「なんですか?」

あずさ「それは部屋で、ね」

雪歩「……は、はい」

響「楽しいことなら大歓迎だぞ」




49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:16:31.81 ID:Dn6vDb0to

―― 階段



貴音「……?」



「だけど、やっぱり、俺でもフォローできないところが出ているみたいですね。
 だから、今回みたいな仕事が楽しいみたいで……良かったな、と思っています」

「……大変だや」



貴音(プロデューサーと……響のお兄様……?)



「いえ、みんなが頑張ってるのに、俺が弱音を吐くわけには……って、
 こんなこと言ってる時点で頼っちゃってますけど」

「歳も近いし、男同士だから言えることもあるさ。気にしないでいいよ」



貴音(月を望むのは明日に――)



「もう一つ、聞いてもらってもいいですか?」

「なんね?」

「ドラマの仕事を貰ってきました。内容は、
 『療養生活を支える物語』です」

「……ふむ」



貴音「?」



「……」

「……え?」

「誰が適役かな……と」

「その相談は乗れないな……」

「そうですよね、すいません」

「それは全然いいけど、候補はいるんでしょ?」

「響の持つ暖かさに注目しています……」

「暖かさ?」

「お兄さんもそうですけど、沖縄の暖かさを感じました」

「そうね?」

「食事のときも、お母さんと響を見てると……」

「響の温かさ、か……」



貴音「……」

貴音(この不安は……)




50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:19:05.42 ID:Dn6vDb0to

【 二日目 】



チュンチュン

 チュンチュン



―― 台所


P「おはようございます」

響母「はやいね、どうしたの?」

P「少し走ってこようかと思いまして」

響母「……以心伝心だね」

P「?」

響母「なんでもないさ。迷子にならないようにねー」

P「は、はい」




―― 玄関



P「迷子か……」


ガチャ


P「すでに迷子なのかも――」


あずさ「おはようございます~」


P「え?」

真「ほら、雪歩、ちゃんと体を解さないと」

雪歩「う、うん……真ちゃん、引っ張って」

響「あだだだっ、た、貴音っ」

貴音「失礼しました。身長差が不幸を招いたようです」

美希「あふぅ」

あずさ「美希ちゃんもストレッチしないと。はい、背中を合わせて、行くわよ~」

美希「んー……」

P「……」




51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:21:33.74 ID:Dn6vDb0to

――…


真「はっ……はぁっ……、いっちばん!」

響「うぎゃー! 負けたぞー!」

真「へっへ~ん」

響「悔しい……、自分のホームなのに……!」

雪歩「ふぅ……ふぅっ……はぁ、なっ……なんとかぁ……」

貴音「大分体力も付いてきましたね、雪歩」

雪歩「お、おかげさまで……って、涼しい顔……っ」

P「みんな、クールダウンをちゃんとしとくんだぞー」

「「「 はーい 」」」

P「俺はもうちょっと走ってくるから、先にシャワー浴びといてくれ」

真「あ、それじゃ付き合いますよ」

P「せっかくレディーファーストしてるのに」

真「あ、そうなんですかぁ、えへへー」

P「じゃ、行って来る」

タッタッタ


真「はっ!? 上手くかわされた気分!」

雪歩「あ、あれ……美希ちゃんとあずささんが……まだ……」

貴音「……」

響「自分ももう少し走ってこようかな」

真「ダメだよ、響。せっかくのプロデューサーの厚意を」

響「……わ、わかったぞ」

真「明日もあるんだから、急がない急がない」

響「だけど、プロデューサーとあずささんが泊まりロケで、毎朝走っていたなんてねー」

真「なんか、いいよねぇ……! いいなぁ、いいなぁ……!」

貴音「……」

雪歩「四条さん……?」

貴音「いえ……。それでは……参りましょう」




52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:22:52.17 ID:Dn6vDb0to

あずさ「はっ……はっ……」

美希「あ、あずさ! ミキたち迷ってない!?」

あずさ「だ、大丈夫……っ……大丈夫……っ」

美希「す、ストップなの!」

あずさ「ふぅ~、わかったわ。……でも、道を戻ってるだけだから、大丈夫よ?」

美希「はぁっ、はぁ……そ、そんなに大丈夫って言われると……信用できないの……」

あずさ「うふふ、ほら、美希ちゃん」

美希「ふぅぅ…………あれ?」


P「あれ!?」


あずさ「もう一周するんですか?」

P「……はい」

あずさ「ご一緒しますね」

P「あずささん、道に迷って逆走してましたね」

あずさ「そうみたいですね~」

美希「……」

P「美希、疲れたか?」

美希「あずさをもっと信じたほうがいいの」

P「?」

美希「ミキが言うことじゃないけどね! 先に着いたほうがおかずを一品多く貰えるのー!」

タッタッタ


あずさ「あらあら~」

P「……しょうがないな」




53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:24:13.58 ID:Dn6vDb0to

―――― バス


響「今日も一日ゆたしくうにげーさびら!」

嶺「はい、よろしくお願いします」


P「ライブ会場に戻って、響たちのライブの後、観光撮影だ」

真「わかりましたー!」

雪歩「げ、元気一杯だね、真ちゃん」

貴音「……」

美希「すやすや」


あずさ「……」

響「あずささん?」

あずさ「はい?」

響「どうしたの? ぼんやりしてたけど」

あずさ「響ちゃん、プロデューサーさんが食後に何か飲んでいたもの、それが何か解る?」

響「うん……ビタミン剤って言ってたけど……?」

あずさ「……そう…ですか」

響「?」

あずさ「なんでもないのよ、気にしないでね」




54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:54:16.74 ID:Dn6vDb0to

―――― 北谷・サンセットビーチ


春香「おはようございますっ、プロデューサーさん!」

亜美真美「「 おはよー、兄ちゃん! 」」

千早「おはようございます」

やよい「おはようございます!」

P「みんなおはよう! 今日も頑張って行こうな!」


「「「 はいっ! 」」」


P「お子様チー……ファンキーノートチームは午前の出番だから、気を引き締めていけよ!」

伊織「お子様って言ったわね!?」

P「さぁ、観客が待ってるぞ! 舞台袖で準備だ!」

やよい「はい!」

響「張り切っていくぞー!」

亜美真美「「 いえーぃ!! 」」


律子「元気ね……」

あずさ「……」

律子「あずささん、様子はどうでしたか?」

あずさ「そうですね……律子さんはどう見えます?」

律子「私は……いつも通りに見えるかな……」

あずさ「やっぱり、ずっと一緒にいないと気付けないみたいですね」

律子「何か、ありましたか?」

あずさ「少しだけ……」

律子「……この沖縄ロケが分岐点なのかもしれませんね」

あずさ「はい」

あずさ「みんなと一緒に過ごせる……」




56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:55:55.90 ID:Dn6vDb0to

―― ライブ会場・控え室



『 Yo 灯台 もと暗し Do you know!? 』

『 ギリギリで おあずけ Funky girl 』



『ファンキーノートチームでしたー!!』


『それじゃ、みんな、またねー!』


ワァァアアアアア!!!




P「……調子良さそうだけどな、伊織」


亜美真美「「 兄ちゃん! 」」

響「自分たちのステージ、どうだったー!?」

P「文句無い出来だ。とてもよかったぞ!」

やよい「やったね、伊織ちゃん!」

伊織「ま、当然だけど、満足できたわ」

P「着替えをして、さっそく観光に行こう」


「「「 はーい! 」」」


律子「次は私たちの番ね、気合入れていくわよ」

春香「了解ですっ」

千早「えぇ」

あずさ「うふふ」




57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:57:44.00 ID:Dn6vDb0to

―――― バス内


亜美「二日連続エンダー……」

響「さすがに、もう……遠慮したいぞ……」

やよい「おいしかったけどなー」

貴音「真に、堪能できた喜びを感じています」

真「ボクたちは初めてだからね……」

雪歩「え、えっと……次はどこですか、プロデューサー」

P「まずは首里城、次に牧志公設市場だな」

響「ねぇねぇ、プロデューサー、公設市場の二階ににね、食堂があるんだよー」

P「沖縄料理が食べられるのか?」

響「そうだぞ。ヒージャー汁とヤギの刺身、どっちがいい?」

美希「すやすや」

真美「ひーじゃ汁にしよう!」

P「どっちでもいいんだけど、響のお勧めは?」

響「ヒージャー汁だぞ!」

伊織「ひぃじゃぁってなんなの?」

響「ヤギ!」




58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 21:59:38.45 ID:Dn6vDb0to

―――― 牧志公設市場


嶺「豚の頭、チラガーになります」

雪歩「……ふぅ」フラリ

やよい「雪歩さん、しっかり!」グググッ

真美「やよいっち、ナイスフォローだよ!」

P「インパクトあるな……」

嶺「そうですね。内地の方は、大抵驚かれます」

P「内地……北海道や沖縄から見た、本州を差す呼び方ですね」

嶺「そうです」

P「運転手さん……は、内地の方?」

嶺「出身は札幌になります」

P「そうなんですか。札幌から……沖縄へ……環境の差が凄いですけど、どうしてそこまで?」

嶺「ふふ、沖縄に魅了されました。私みたいな人をシマナイチャーと呼ぶそうですよ」


「もしかして、響ちゃんじゃない!?」

「そうだぞー! って、変装してるんだから、大きな声で呼んじゃダメっ」

「ほら、響ちゃん、これ食べていってよ」

「ありがとね! ん~、まぁさんー」

「亜美ももーらい!」

「はいはい、どうぞ~」


嶺「響さんはとても人気がありますね」

P「地元に愛されてますね。沖縄に住んでどれくらいなんですか?」

嶺「まだ2年ほど」

真「……」スゥ

P「2年でまだ……う゛!?」ゾクリ

真「誰とでも仲良くなるのプロデューサーの良い所だと思いますけど……大事な人のこと――」

貴音「――努々お忘れなきよう」

雪歩「……」

P「……うん」

雪歩「…………」

伊織「こんなところでなにを油売ってるのよ」

やよい「響さん達2階に上がりましたよー?」

P「じゃあ、いただくか。ヤギ」

伊織「血の気が引いてるわね? 何があったのかしら」

真「さぁね~」



59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:00:16.48 ID:Dn6vDb0to

貴音「わたくしたちも参りましょう」

雪歩「あ、あの、四条さん」

貴音「?」

雪歩「大事な人って、あの人ですよね」

貴音「……そうですが」

雪歩「……」

貴音「どうしたのです?」

雪歩「辛い顔を……していませんでしたか……?」

貴音「……え」


……






60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:02:54.02 ID:Dn6vDb0to

―――― ホテル・ロビー


P「うぅ……食べ過ぎた……」

真美「だいじょうぶ、兄ちゃん?」

P「……胃が重い……!」

伊織「サトウキビジュースなんて無理して飲むからよ」

真「あれが止めだったね。急所にガツンと」

P「……部屋で横になってくる」フラフラ

やよい「だ、大丈夫ですか、プロデューサー……」

P「大丈夫……だけど、あずささんには内緒にしておいてくれ」

雪歩「ど、どうしてですか?」

P「最近、なにかと心配させてしまってるから。……食べすぎで寝込んでるって情け無いだろ」

伊織「……はぁぁ、ほんっとーに情け無いわね」

亜美「大丈夫だよ。亜美は兄ちゃんの事、カッコいいと思ってるからね!」

P「気を遣わせて悪いな、亜美……」

律子「お帰り~って、どうしたんですか?」

P「食べ過ぎた……。仕事も残ってるから、少し篭ってくる」

フラフラ


律子「そうですか……お大事に……」

貴音「……」

伊織「……まったく。無理して食べることないじゃないの」

やよい「えへへー」

伊織「?」

響「あ、バッテリーが切れちゃうぞプロデューサー……あれ?」

やよい「部屋に戻りましたよ?」

響「うーん……どうしよう、このカメラ」

伊織「大事に持ってなさいな」



61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:04:51.55 ID:Dn6vDb0to

春香「おかえりっ! 楽しかった?」

亜美「もち! の」

真美「ろん! ちゃんかん!」

春香「いいなぁ……!」

律子「真美、変な言葉を覚えないように」

あずさ「あらあら、おかえりなさ~い」

響「ただいまー!」

あずさ「プロデューサーさんは……?」

響「いないね……食べ過ぎて部屋で寝込んでいるのかな?」

あずさ「あらあら、大変!」

真伊織雪歩「「「 言っちゃった…… 」」」


貴音「律子、少しよろしいでしょうか」

律子「うん、いいけど……どうしたの?」

貴音「響、きゃめらを貸していただけますか」

響「うん、はい」

貴音「再生できるてれびのある部屋にてお話をしたいと」

律子「それじゃ……えっと……千早がいるけど、私たちの部屋でいい?」

貴音「……はい」




62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:06:49.87 ID:Dn6vDb0to

―― 律子・あずさ・千早・春香の部屋


貴音「失礼します」

千早「四条さん……?」

貴音「読書をしていたのですね」

千早「そうですけど……」

律子「えっと、接続はこれでいいのかしら……?」


ピッ


『響、きゃめらを貸していただけますか』


律子「話って?」

貴音「えぇと……巻き……巻戻しは……」

律子「私がやるから、止めたい映像が流れたら言ってね」

貴音「はい」


ウィーーーン



貴音「すとっぷです」

律子「……」

ピッ


『わたくしも、この刺激の強い匂いに、一つ退がりたい気持ちを隠せません』


ピッ


律子「ここでいいのね……?」

貴音「はい。状況を説明しますと、ひぃじゃぁ汁という沖縄料理を食す場面になります」

律子「ひぃじゃぁ?」

千早「……沖縄の方言でヤギ。とてもクセの強い料理だとか」

律子「ヤギ汁……詳しいのね」

千早「が、我那覇さんに教えてもらって」

律子「千早も一緒に勉強してたわよね、そういえば……」

千早「……っ」



63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:08:50.62 ID:Dn6vDb0to

貴音「再生を」


ピッ


『わたくしも、この刺激の強い匂いに、一つ退がりたい気持ちを隠せません』


『しかし、それではこのひぃじゃぁに対して、誠意を失うのではないか。そう思うのです』


『皆にそれを強いるのではなく。少しだけでもその誠意は持っていて欲しいと……』

『……そうだね』

『うぅ……私……食べ物で遊んだらダメだって言ってたのに……』

『いえ、申し訳ありませんでした。今のはわたくしの我儘でしかありません。どうか、聞き流してください』


貴音「映像にはありませんが、ひぃじゃぁ汁をプロデューサーが一口……」


『プロデューサー……』

『…………コメントできないっ』



貴音「すとっぷ」


ピッ


貴音「真、亜美、真美、雪歩、美希、プロデューサーは料理を一つ口にし、箸を置きました」

律子「……伊織とやよいは食べたのね」

貴音「重要なのはここから。再生を」


ピッ


『ふふっ、……みんな、わたくしの我儘を聞き入れてくれて、感謝していますよ』

『自分と貴音とプロデューサーで全部食べるさー』

『え……』

『健康とスタミナには最適な料理なんだぞ、プロデューサー』

『そ、そうか……よし。食べようじゃないか』


貴音「すとっぷ」


ピッ


貴音「律子は気付きましたか?」

律子「プロデューサーは無理して食べたから、今、部屋で休んでいる……」

貴音「そうです」

千早「それは……四条さんの言葉を受け止めたからでは……?」

貴音「そうやもしれません。しかし、違和感を感じました」



64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:11:41.56 ID:Dn6vDb0to

千早「どうして違和感を?」

貴音「もう一度、今の場面を再生していただけますか」

律子「……」


ピッ


『自分と貴音とプロデューサーで全部食べるさー』

『え……』

『健康とスタミナには最適な料理なんだぞ、プロデューサー』

『そ、そうか……よし。食べようじゃないか』


律子「……健康を気にしているから食べる気になった、と」

貴音「やはり、何か知っているのですね」

律子「……」

千早「あの……何を、言いたいのか私には……」

貴音「そうですね」

貴音「プロデューサーのことで最近、異変を感じたことはありませんか」

千早「え――」

律子「……」

貴音「些細なことでも……」

千早「……」

貴音「申し訳ありません。少し、気になっていたからと……不安にさせてしまったようです」

律子「そう思うきっかけがあった、ってことよね……?」

貴音「昨夜、プロデューサーと響のお兄様との語らいを耳にしました」

千早「……」

貴音「『療養生活を支える物語』という仕事の話を――」

律子「――!」

貴音「…………」

千早「……」

貴音「じょぎんぐの予定がありますので、失礼します」

スタスタスタ


律子「貴音」

貴音「心得ております」


バタン




65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:35:57.72 ID:Dn6vDb0to

律子「……」

千早「四条さん、とても顔色が悪かったわ」

律子「……そうね。緊張もしていたみたい」

千早「それに繋がる、プロデューサーの異変……」

律子「思い当たる節……千早、ある?」

千早「……幾つか」

律子「教えて……」

千早「私はライブを終えた後、プロデューサーから改善点を含めた評価を頂いているんだけど」

律子「……」

千早「以前より、指摘される点が的確になった」

律子「的確……ね」

千早「私たちと一緒に居られる時間が少ないから、レッスンの先生方に直接、私たちの不足している点を聞いているんだと思う」

律子「……うん」

千早「それでも、あの指摘は不自然」

律子「それは、あずささんと共同であなた達の計画を立てているから。
   だから、ステージに立つ私たちの視野が見えてきている、のだと思うわよ」

千早「…………そうね」

律子「納得して無いって顔ね」

千早「ううん、納得した。けど、余計に不自然に感じた」

律子「え?」

千早「まず一つ、あずささん。二つ、みんなの士気・意識の高さ。三つ目、みんなの不安」

律子「…………」

千早「不安だから、向上心が芽生えるというなら辻褄は合う。でも、あずささんが……」

律子「あずささんの件は置いてていいわ。というか、知ってるでしょ?」

千早「う、うん……そうね」

律子「みんなの不安か……さっきのプロデューサーの指摘と繋がりそうね」

千早「えぇ。……以前なら、一つ一つ確実に乗り越えていくところを、今では数歩先までみている。……まるで」

律子「……」

千早「……ううん。なんでもない」

律子「ありがと、千早。……これから一つでも見落とさないように注意しましょう」

千早「……今度は私が質問する番」

律子「なに?」

千早「健康とスタミナの二択を……どうして、健康だと選択できたの?」

律子「…………そうね。貴音も気付いたみたいだし、話しておくわ」

律子「貴音が聞いた仕事の話、私は知らない。それがプロデューサーの異変の一つね」

千早「……!」

律子「最初に気付いたのは仕事でほとんど一緒に居るあずささんなの」

千早「……」

律子「今は小鳥さんと私だけが知っている話。まだ確信では無いけれど――」



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:37:44.17 ID:Dn6vDb0to

―― プロデューサーの部屋


コンコン


ガチャ


P「はい――」

あずさ「大丈夫ですか?」

P「誰から聞きました?」

あずさ「えっと……勘です」

P「そうですか。何か用事でも?」

あずさ「ありません」

P「……仕事があるので」

あずさ「手伝いますよ」

P「いつもなら、そうしてもらうところですけど、個室なので、遠慮してください」

あずさ「……はい」

P「心配してくれて……ありがとうございます。それでは……」

あずさ「……」スッ


バタン


P「……ふぅ」

あずさ「……」

P「うぅ……サトウキビジュース……あれほどの破壊力とは」


pipipipi


ピッ


P「はい、もしもし」

あずさ「……ここがプロデューサーさんのお部屋」

P「……はい。来週には戻ります。詳細は後ほどメールにて」

あずさ「上着が脱ぎっぱなし……」

P「はい、よろしくお願いします。また何かありましたらいつでも連絡をください。……失礼します」


ピッ


P「? あずささんの声が聞こえたような……?」

あずさ「?」

P「思春期の高校生か俺は……」

あずさ「……?」

P「……」

スタスタスタ



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:39:32.79 ID:Dn6vDb0to

ガラガラガラ


P「いい景色だな……一人部屋なんてもったいない……」

あずさ「……」ソォー

P「海が広がって……。みんなの部屋はどうなんだろう……」

あずさ「同じ景色ですよ」

P「そうなんですか。初夏とはいえ、もう夏の空ですよね」

あずさ「そうですね。少しオレンジの入った空が切なくて」

P「……南国特有の空気ですよね。…………油断したな」

あずさ「上着、ハンガーにかけておきました」

P「これで何度目ですかっ」

あずさ「えっと……まだ3回目」

P「前は京都で……」

あずさ「最初は富山でしたね」

P「あの、本当に、次は無いですよ?」

あずさ「うふふ、どうしましょう」

P「勝手に入ってこないで下さいっ」

あずさ「プロデューサーさん、思春期の高校生って?」

P「純粋って意味ですよ……少し、寝ます」

スタスタ


あずさ「純粋……プロデューサーさんはピュアなんですね」


あずさ「おまけに無垢も付けちゃおう」



ゴロン

P「……はぁ……って、いかん。慣れたらダメだろこれ」


P「そうだ、小鳥さんに連絡……」


P「ひぃじゃぁ……クセの強い料理だったなぁ……」


ピッピッピ


trrrrrrrrr


ガバッ

P「もしもし、お疲れ様です、小鳥さん」


P「……はい、順調です。……ライブもいつも以上に気合入ってて……」




68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:42:00.32 ID:Dn6vDb0to

ガラガラガラ

シャー


P「……? ちょっ! ……いえ、こっちの話…………え?」


P「千早にですか?」


ギシッ


あずさ「……」

P「それは凄い…………って!」

あずさ「?」

P「あ、いえ。こっちの話…………あずささんから目が離せなくて」

あずさ「まぁ、ふふ」

P「違いますよ、いい意味ではないです。予想外の行動に出るので。千早の件は律子と相談します。それでは……!」

ピッ

P「あの、俺も男なので、ベッドに並んで座られると、困るんですけど」

あずさ「でも、いままで一度も――」

P「カーテンも閉めないで下さいっ」

スタスタスタ

あずさ「横にならなくても?」


シャー


P「……。あずささん、いつも言ってますが、無防備すぎます」

あずさ「……ん~」

P「今の話をしているんです。思い当たる節を探さないで下さい」


P「それより、千早の事で相談があるんですけど」

あずさ「はい。どうぞ、こっちに」ポンポン

P「いや、俺はソファに座りますから。……午後のあずささん達のステージの後、事務所に連絡が入りました」

あずさ「連絡?」

P「千早の将来に関する事です」

あずさ「千早ちゃんに話すべきかどうかですね」

P「……いつも思いますけど、どうして俺の考えを先読み出来るんですか?」

あずさ「いつも一緒にいますから」

P「……」

あずさ「そうですね……。千早ちゃんは今、沖縄の雰囲気をたくさん吸収していますから、
    この音楽祭が終わるまでは伏せておいたほうがいいと思います」

P「同じ……考え……です……。なんだ、この悔しさは……っ」

あずさ「それじゃ、メールの作成しますね~」

P「俺の仕事ですから、あずささんはみんなと遊んできてください」



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:43:58.39 ID:Dn6vDb0to

―― ホテル・ロビー


やよい「プロデューサー! 行ってきまーっす!」

P「あぁ、あまり騒がしくしないようにな」

亜美「に、兄ちゃーん!」

真美「真美ここにいるよー、絶対に離れたくない!! 勉強やだもん!」

P「……すでに騒がしい気がするんだけど、大丈夫か」

伊織「さようなら……安寧の日々……」

律子「ほら、行くわよ」グイグイ

亜美真美「「 あいるびーばーっく 」」ズルズル

響「行ってくるね、プロデューサー!」


P「明日な……」

千早「……」

あずさ「それはそうと、せっかくですから、海辺を歩くのはどうでしょう」

P「すいません、俺はいくつか打ち合わせがあるので、部屋に戻ります」

あずさ「それは残念ですね~」

千早「夕食の時間になりましたら、迎えにいきます」

P「結構食べたから、お腹空かないと思うけどな……」

千早「……」

あずさ「ちゃんと食べないと、ダメですよ~」

P「……はい。それじゃ、後で」

スタスタスタ


あずさ「私達は、明日の予習でもしましょうか、千早ちゃん」

千早「あの、あずささん」

あずさ「はい?」

千早「ステージでも感じたのですが、今日はなんだか……とても嬉しそうですよね」

あずさ「うふふ」

千早「差し支えなければ、教えてくれませんか?」

あずさ「手を失礼」


ギュ


千早「……」

あずさ「こういうこと」

千早「……?」

あずさ「あ、真ちゃんが帰って来たわ」

真「ふぅー……あれ、こんなところでどうしたんですか?」

あずさ「なんでもないのよ~」



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:45:39.68 ID:Dn6vDb0to

真「いやー、綺麗な夕陽を眺めながら海辺を走るのもいいですねー」

春香「お疲れ様、真。私も行けばよかったなぁ」

真「気持ちよかったよ……って、響たちは?」

あずさ「実家へ行ったわよ」

真「そうですか。響のお母さんの料理、美味しかったからまた食べたいな~」

千早「あずささん、もう少し詳しく教えていただけますか」

あずさ「今日の午前中に、少し怖い思いをしたのね」

千早「えっ!?」

あずさ「それで……なんとかなって」

真「それ、迷子になったときじゃないですか!?」

あずさ「そうだけど……」

春香「え、えぇー……」

千早「とりあえず、話の続きを……」

あずさ「怖い思いなのは変わりなくて……気が付いたときにはプロデューサーさんの手を……」


ギュ


あずさ「こうやって握っていたというわけなのよ……うふふ」

千早「……そうですか」

春香「肝心なところ抜け落ちてるけど……とりあえず、安心していいのかな?」

真「ダメ、ダメだよ……それ、プロデューサーはなんと?」

あずさ「『離れないで下さい』と」

真「本当に、離れないで下さいね。変な汗かきましたよ……」

美希「ふぅ、疲れたけど、気持ちよかったのぉ~」

雪歩「あ、あれ? 四条さんは……?」

真「一緒じゃないの?」

千早「……私が探してくる」

真「あ、うん……」

あずさ「?」




71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:46:10.48 ID:Dn6vDb0to

―― 砂浜


ザザーン


貴音「……」

千早「四条さん」

貴音「……わたくしにできることはなんでしょうか」

千早「できること……」

貴音「いえ。これは己が導き出すべき問い」

千早「…………私も考えてみます」

貴音「……」

千早「……」



ザザァーン




72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:46:50.68 ID:Dn6vDb0to

―― プロデューサーの部屋


コンコン


千早「プロデューサー、私です……」


コンコン


千早「……」


コンコン


千早「…………?」


千早「寝てるのかしら……」


ガチャ


P「……ちょっと待ってて」

千早「電話中でしたか、失礼しました」

P「……はい、…………落ちていません」

千早「?」

P「……今のところは。……はい、それでは」


プツッ


P「どうした? って、夕食の時間か」

千早「あの、今の……仕事の電話ですか?」

P「いや、他のところだよ。レストランだよな?」

千早「……案内します」




73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:48:10.44 ID:Dn6vDb0to

―― ホテル・レストラン


「プロデューサーさーん! こっちですよ! こっち!」


千早「春香……」

P「注目集めてるな……すぐ見つかったからいいけど……」

千早「プロデューサー、先程の電話は……?」

P「今後について相談していたんだ。……なにか気になるのか?」

千早「少し、表情が硬かったので」

P「内容が内容だったからだけど」

千早「そうですか。詮索するようなことをして、すみません」

P「……」


真「ささ、どうぞ」

P「あ、ありがと」

あずさ「バイキングですので、プロデューサーさんの分、私が取ってきますね」

P「あの、あずささ――あぁ……行ってしまった」

春香「何か食べたいものでもありますか?」

P「いや、量を少なめに……」

春香「わかりました、伝えておきますね」

真「春香、楽しそうですね。ボクも行ってきます」

P「……美希は行かないのか?」

美希「雪歩にお願いしたの」

P「そうか……って、自分で行かないとダメだろ?」

美希「むぅ、あずさに行って貰ってるのにぃ」ジー

P「そうだな……じゃあ、飲み物でも取ってくるよ。何がいい?」

美希「オレンジをお願いするのー」

P「千早は?」

千早「私は、プロデューサーと同じもので」

P「わかった」

美希「ふぅー、砂浜を走るのって疲れるね……」

千早「美希、今日の撮影でプロデューサー……なにか変わったことなかった?」

美希「特になかったけど……どうしたの?」

千早「いえ、無いならいいの。私達もお皿を取りに行きましょう」

美希「おにぎりあるかな~」

千早「…………」




74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:50:42.02 ID:Dn6vDb0to

―― 海辺


春香「んーっと……!」ノビノビ

美希「海風が気持ちいいの~」

あずさ「本当に……」

貴音「月の光が海に反射して……善き時間が流れていますね」

雪歩「……疲れが心地良いね」

真「…………うん」

美希「あずさ、膝枕してくれる?」

あずさ「いいわよ~どうぞ~」

美希「にやり」

あずさ「?」

美希「ごめんね、ミキで」

あずさ「美希ちゃんっ!」

真「食べてすぐ寝るなんて……」

春香「あれ、プロデューサーさんと千早ちゃんは?」




P「ごくごく……」


P「……ふぅっ」

千早「プロデューサー」

P「っ!?」

千早「こんなところで何を……?」

P「ビタミン剤を補給してただけだよ。最近疲れが溜まってるみたいで」

千早「……」

P「今日はどうかしたのか? なんというか、珍しいな」

千早「いえ、探していただけです」



ザザァーン

 ザザーン





75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:51:58.72 ID:Dn6vDb0to

春香「……」

あずさ「……」ナデナデ

美希「すやすや」

P「美希……潮風に当たりながら寝ると風邪引くぞ……」

真「……」

千早「ここ……静かでいいわね……」

貴音「真に……」

雪歩「……」

P「…………」



ザザァーン



あずさ「プロデューサーさん」

P「?」

あずさ「レストランでも思いましたけど、少し寂しそうですね」

P「え……? そうですか?」

春香「?」

あずさ「ひょっとして……」

P「ひょっとして?」

あずさ「響ちゃんが恋しいのでは?」

P「…………」

真「……」

美希「すやすや」


ザザァーン



pipipipipi


ピッ


P「もしもし」

『もしもし、私です。食事は取られましたか?』

P「あぁ。今は、みんなで海を見てるよ。そっちはどうだ?」

『海って、青春してますね。こっちは――』

『プロデューサー! こっちは勉強しかしてないぞー!』

『『 助けてよ兄ちゃーん! 』』

『ちょっと、しずかにしなさい! すいません、騒がしくなるので切りますね』

P「響に明日のラジオ出演の件、再確認しておいてくれ」

『はい、わかりました。それでは』


プツッ



76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:53:41.71 ID:Dn6vDb0to

P「俺が行かなくて正解だったな……」

千早「律子からですか?」

P「あぁ、あっちは勉強中だそうだ」

春香「顔が綻んでますよ、プロデューサーさん」

P「響の声を聞いたからな。あずささんの言ったことがわかりました」

あずさ「まぁまぁ」ナデナデ

美希「むにゃむにゃ」

P「思えば、さっき別れるまで、ずっと響と行動を共にしていたんですよね」

P「響が俺を呼んで、沖縄の魅力を一つ一つ、教えてくれて」
  俺が響を呼んで、新しいことを一つ一つ、教えてもらって」

P「沖縄の暖かいイメージがそのまま響なんだなぁって」

貴音「……」

P「俺は賑やかな方が好きみたいです」

あずさ「なんだか、羨ましいです」

真「じゃあ、賑やかにしましょうか!」

P「こういう静かな時間があるから、それも感じられるって話だな。無理に賑やかにしないでいいから」

真「……そうですか」

春香「私も、告白しちゃいますけど」

春香「プロデューサーさんが恋しかったんですよ?」

P「……律子に任せっ切りだったからな」

春香「本当ですよ。亜美達から撮影の話を聞くたびにいいなぁって、
   響ちゃんが楽しそうなのを見てると羨ましいなぁって」

P「そうか……」

真「うわぁ……なんかいいですねぇ、こういう告白大会」

P「大会……?」

真「雪歩は何か無いの? 今がチャンスだよ」

雪歩「え、えぇ!?」

P「それより、春香たちチームは明日一日オフだけど、どこに行きたいとか決めてるのか?」

あずさ千早春香「「「 美ら海水族館へ 」」」

美希「ミキも行くの!」

P「そうか。美希たちも午後からオフで、丁度いい……」

P「…………」

P「……」

P「え」




77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/05(土) 22:54:31.45 ID:Dn6vDb0to


―――― 我那覇邸


律子「ほら、いつまでも騒いでないで、寝るわよ」

亜美真美「「 はぁーい 」」

やよい「いつ行けるのかなー、美ら海水族館」ワクワク

伊織「そうね、明後日が一日オフだから、その時じゃない?」

やよい「とっても楽しみー」ドキドキ

響「みんな、おやすみぃー」




83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:01:11.58 ID:1uE5XE5co

【 三日目 】


―――― A&W・牧港店


春香「やよいの話を聞いて来てみたかったんです!
   エーアンドダブリューですよ! エーアンドダブリュー!」

P「三日続けて……」


律子「響のラジオ、聞いていましたよ、プロデューサー」

P「どうだった?」

律子「ハラハラさせられましたけど、及第点だと思います」

P「……そうだな、響の新しい一面も見られた。美希達を連れてきてくれたのか」

律子「そのまま撮影に行けたらと思って」

P「助かる。……で、やよいの様子はどうだ……?」

律子「それはもう……見ているこっちの心が痛くなるくらいの空元気で……」

P「楽しみにしていたからな。お気に入りのカーリーフライで元気出るといいが……」


店員「店内でお召し上がりですか?」

あずさ「はい」

P「急いでます」

あずさ「まぁ、そうでしたね。すいません。お持ち帰りでお願いします~」

店員「はい、かしこまりました」キラキラ

P「律子、やっぱり俺がライブ会場に残るよ」

あずさ「……!」

P「その代わり、カメラ頼むな」

律子「それはいいんですけど……」

あずさ「……お先に……バスに……乗っていますね」

フラフラ

千早「あずささん! 一人にならないでください!」

タッタッタ



84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:02:20.40 ID:1uE5XE5co

律子「うーん……あずささんが放心してしまった……でも、やよいも気になるし……」

P「律子も行きたかっただろ?」

律子「それはそうですけど」

響「こうなったら、自分に任せてよ、律子!」

律子「え……?」

響「地元パワーを発揮する時だぞ!」

店員「お待たせしました、響ちゃん!」

響「はーい」

店員「あれ、あずささんがいない……!」

響「あずささんのファンなの?」

店員「『9:02pm』でファンになって……! その後に……響ちゃんに出会えたの!」

P「あずささんのデビューから……」

響「いちゃりばちょーでーだよね!」

店員「響ちゃん……!」

P「どういう意味?」

響「一度会ったらみんな兄弟って意味だぞ!」

P「……兄弟か」


P「店員さん、響たちのサインと、この最終日のチケットを。予定が空いていればぜひ」

響「いつも応援ありがとね! 見に来てほしいぞ!」

店員「」




85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:03:20.39 ID:1uE5XE5co

―――― ライブ会場・控え室


やよい「あ…! プロデューサー…! 来てくれたん…ですね…!」

P「これは危険だな……」

伊織「どうするのよ、これほど落ち込んだやよい、みたことないわよ?」

やよい「伊織ちゃん…! 私…! 大丈夫…だよっ…!」

亜美「うぅ、やよいっち……それほどまでに水族館が楽しみだったんだね」

真美「なんだか、真美の胸が痛いよ、兄ちゃん」

P「……俺もだ」

やよい「よぉし…! ライブ……! がんば…る…よ…ぉ……」

伊織「あぁ! 電池が切れたみたいになったわ!」

響「やよい、大丈夫だぞっ」

やよい「……わかってます……山があって谷がある…………それが人生ですよね……」

P「悟ったやよいなんて見たくないな」

響「アニキが車を出してくれるって、だからライブに集中するんだ、やよい!」

やよい「ほんとうですか……?」

響「うん! 絶対だぞ!」

やよい「わっかりましたー! 私、頑張っちゃいますねー!」

伊織「よかった……本当に…よかった……!」

亜美真美「「 うんうん 」」

P「感動するのはあとだ。みんな最高のステージにしてこい! 美ら海水族館が待っているぞ!」

「「「「 はいっ! 」」」」


スタッフ長「私達も気を取り直してがんばるわよ!」

スタッフ一同「 はい! 」




86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:05:03.58 ID:1uE5XE5co

―――― 備瀬のフクギ林


伊織「ど、どこなのよここは?」

真「か、勝手に入っていいのかな……?」

P「住民に迷惑をかけなければいいんじゃないか……?」

貴音「不穏な空気が漂っていますね……」

真美「なにか出そうですな」

律子「というより、異世界への入り口のような雰囲気ね」

P「……そうだな、不思議な雰囲気だ」

千早「……」

やよい「ドバーンと大きなジンベエザメが泳いでいて、ビックリしましたー!」

春香「私もだよー! 大きな海に触れることが出来た、貴重な一日だよね!」

千早「ここに来るまでずっと同じことを……」

P「本当に、やよいを連れてきてよかったよ……」

亜美「はい! 亜美にみょー案があります! ゲームしようよ!」

P「ゲーム?」

亜美「ここ迷路なんだよね、ひびきん!」

響「そうだぞー。海がすぐ傍にあるから、台風が来たとき家を守るようにと防風林が植えられてて、
  今も陽射しがさえぎられていて暗いよね」

律子「迷路か……」

伊織「あずさと相性が良さそうな場所ね」

あずさ「まぁ~、どうしましょう~。うふふ」

P「伊織が皮肉が通用しない……!」

響「……水牛車もあって、観光客を乗せているんだぞーって、誰も聞いてないなんて酷いっ!」

千早「が、我那覇さん……私はちゃんと聞いていたから」

亜美「三人一組でチームを組んで、鬼ごっこしよう!」

P「待ってくれ、ライブが終わった後で、海洋博公園でも結構歩いてるんだぞみんな」

真美「鬼チームを三人……えっと、ここには何人いるの?」

あずさ「律子さんを含めたアイドルが13人……プロデューサーさんで14人」

真「それじゃ、チームを作りましょう」



~ 作成中 ~




87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:07:16.82 ID:1uE5XE5co

真「運動能力を考慮してこうなりました」


真「お星様チーム!」

千早「如月の月……」

律子「秋月の月」

美希「あふぅ」


真「竜宮チーム!」

亜美「双海亜美です!」

伊織「水瀬の水ね」

春香「海っていいよね」


真「ボクのいるチーム!」

やよい「頑張りまーっす!」

真美「ボクのいるチームって変じゃない?」


真「そして、沖縄チーム!」

響「飛ばして行くからね!」

あずさ「頑張ります~」

貴音「必ずや、仕留めて見せましょう」


真「……あれ」

亜美「一人……足りない……」

P「深海の海のコーナーで変なトラウマを持ったか……連れてくる……」


律子「真、竜宮チームはあずささんが適役じゃないの?」

真「どうして?」

律子「亜美と春香は海が被ってるわ。三浦の浦島太郎で竜宮と繋がるでしょ?」

真「うわー! 律子頭良いね!」

律子「なるほど……竜宮なんとかってユニットもいいわね」

春香「私もユニットに入るんですか?」

律子「そうなる、かな」

真美「律っちゃーん! 真美も海が入ってるよー!?」

あずさ「……ユニット」

律子「まぁ、仮の話よ。ユニットを作るなら……のね」

雪歩「私なんて……私なんて……ブラックホールに吸い込まれて違う世界へ跳んじゃえばいいんだ……」シクシク

美希「スケールが大きいの」

P「真、どうする?」

真「よく考えるとあずささんが一人で走るのって危険ですよね」



88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:11:00.54 ID:1uE5XE5co

真「と、いうことで、あずささんと雪歩を入れ替えて」


響「沖縄チーム!」

雪歩「うぅ……誰か私を深海の海へ連れて行ってください……っ」シクシク

貴音「新生沖縄となりまして。仕留めて見せます」

P「誰をだ、貴音……」


真「残ったプロデューサーはあずささんとペアで。そのペアをジャンケンで取り合いしましょう」

貴音「代表者、前へ」

千早「お星様チーム代表です」

亜美「竜宮の使いだよん!」

真「ボクが大将だね」

響「負けないぞー!」


「「「 じゃーんけーん 」」」




89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:12:11.36 ID:1uE5XE5co

――…


P「『人数が多いから鬼』って、俺たちは完全にババじゃないか……!」

あずさ「うふふ、仕方ありませんね~。沖縄チームで頑張りましょう」

P「そうですね……見つけたら、俺が追いかけますから、後ろから付いてきてください」

あずさ「はい、わかりました」

P「絶対ですよ?」

あずさ「はい」

P「ここは本当に迷路なんですから。見失わないようにしてください」

あずさ「――はい」

P「一応、俺も離れないようにしますけど」

あずさ「――だいじょうぶ」

P「とりあえず、歩きますか。これだけ人数がいるんですから、鉢合わせもすぐでしょう」

あずさ「――。」

P「……? あずささん、今なんて――」


スッ

真「うわっ!?」

P「捕まえた」スッ

真「甘いですよッ!」サッ

タッタッタ


P「惜しい……! 待て真!」

ダッ


真「捕まえてごらんなさ~い」

P「くっ……余裕じゃないか!」

ダダダダッ


真「さすが成人男性ですねー!」

P「女の子の真に負けてられないからなッ!」

真「あ、今つかまってもいいかなーなんて思いましたよー!」

P「そんなことで……ッ……捕まったら許さないからなッ!」

真「へへーっ、そうこなくっちゃ!」

P「あずささん! 付いてきてますよね!?」

「はーい」


真「それっ」スッ

P「曲がったか……ッ! あずささんが迷子になるの……ッ……知ってて……やられた……ッ」



90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:13:28.55 ID:1uE5XE5co

P「ハァッ……ハァッ」

「捕まえました」

P「え……?」

やよい「うぅー、プロデューサーが走って行ったから、良かったーと思っていたんですー」

あずさ「うふふ、油断大敵、よね」

P「こういう利点もあるのか……ふぅ~」



……





美希「……っ」


ザッザッ


「どこ行ったー?」

ザッ


美希「ふぅ~、響しつこいのぉ……どうしてミキばっかり……」

春香「美希……」コソコソ

美希「春香、どうしたの?」

春香「私もここに隠れさせて」

美希「分かったの」



「あ……ッ」

「また見失ってしまいましたね~」

「ハッ……ハァッ……ッ……」

「だ、大丈夫ですか、プロデューサーさん」

「だ……大丈夫……です……ッ」



美希「ドキドキするね」ヒソヒソ

春香「……」コクリ



「少し、休みましょう」

「で、でも時間が……っ……はぁ…ふぅ……」

「罰ゲームは私が受けますから」

「いやいや、それでは俺が情けないじゃないですか……」



美希「……」

春香「……」




91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:15:13.92 ID:1uE5XE5co

「情けないなんて……そんなことないですよ」

「え……?」

「いつも、私達を支えてくれているじゃないですか」

「あ、あずささん……?」



美希「……!」

春香「……!」



「私を……私達をここまで連れてきてくれたんです……とても感謝しています」

「……」

「一昨日、一緒に見た夕陽……綺麗でしたね」

「……はい」



美希(いい雰囲気なの~……)ドキドキ

春香(え、えぇ!? 二人はすでにそういう関係だったのぉ!?)ドキドキ



「私、プロデューサーさんと一緒にあの夕陽を見ていて、決心したことがあるんです」

「決心……?」

「プロデューサーさんのおかげで、私は……私達は」

「……」

「……トップに手が届くところまできました」

「そうですね……後少しで、俺の夢も叶います」


美希(私の夢も。……時間は待ってくれないから)

春香(あれ……? プロデューサーさんの声が……変わったような……)


「……」

「このロケが終わって沖縄から帰れば、忙しい日々が待っています。ラストスパートですよ」

「……どうして、ラスト、なんて言うんですか」

「……」

「最後……なんですか?」

「……」


春香「!」スッ

美希「……っ」クイッ

春香「……?」

美希(あずさに任せるの)フルフル




92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:16:50.70 ID:1uE5XE5co

「プロデューサーさんが最後というなら、私にも考えがあるんです」

「……?」

「ある人に告白をします」

「え……!?」


美希「ッ!?」


ガサッ


春香「~ッ!?」

美希「にゃ~う」



「……猫さんですね」

「あの……とりあえず、歩きましょう」

「…………はい」

「……」


ザッザッ


美希「こうしちゃいられないのっ」

春香「だ、ダメだよ、美希!」



ガサガサッ



P「はい捕まえた」

美希「にゃっ!?」

あずさ「うふふ」


ガサッ

タッタッタ


「芝居の稽古なんてずるいですよー!」


P「春香もいたのか!?」


「気付いてなかったんですかー!?」



……





93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:22:50.48 ID:1uE5XE5co

― ビーチ ―


響「たくさん走ったから汗が凄いぞー」

律子「……二人とも汗を拭きなさい。はい、タオル」

響「ありがとー」

真「……うん……あれ?」

P「どうした?」

亜美「あ……」

真美「…ず……」

春香「……さ……」

やよい「……さ……」

雪歩「…………ん……」

貴音「……………が……」

伊織「………………い……」

千早「…………………な……」

真「………………………い……」

美希「あ、あずさがいないの!」

P「なななッ! この迷路の中にいるのか!?」

律子「気を利かせて、タオルを取りにバスへ……?」

亜美「大丈夫っしょー! 迷子になるわけ――」

シ ィ ー ン

亜美「ごめんね、軽い気持ちで言っちった」

真美「ううん、亜美は悪くないよ」

P「みんなで探すと余計混乱しそうだな……律子はここにいてくれ」

律子「わかりました」

P「千早とやよいはペアで、貴音は伊織とペアを組んで捜索、他は一時待機」

千早「はい」

伊織「しょうがないわね。無茶な競争をした真たち二人はへばってるし」

真「ぐっ……」

響「うぅ……」

P「じゃ、行って来る」

タッタッタ


律子「……プロデューサーも疲れてそうだけど」

真「プロデューサー、体力落ちてるよね」

亜美「そーなの?」

真「……うん、やっぱり少し変だよ」

伊織「貴音、行くわよ?」

やよい「千早さん?」

貴音千早「「 少し、待ちましょう 」」



94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:24:43.78 ID:1uE5XE5co

―― フクギ林 ――



P「あっ! ラッキーだ! あずささーん!」



「……」スッ



P「どうしてそこを曲がるんですか!」

タッタッタ



P「……あ、あれ?」


P「入り組んでるから……本当に迷路だな……」


P「えっと……こっちか?」

タッタッタ


P「いない……っ」




95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:26:15.94 ID:1uE5XE5co

―― ビーチ ―――


あずさ「あら?」

貴音「おや?」

千早「あ……」

律子「あー、今度はプロデューサーが迷子に……」

あずさ「まぁまぁ、プロデューサーさんが迷子なんですか?」

真「いえ、……まぁ、その……なんですかね。あずささんを信じなかったこと謝ります」

伊織「まったく……世話の焼けるコンビねぇ……」

響「……」

美希「ねぇ、あずさ」

あずさ「?」

美希「あずさは――」

律子「あずささん、お願いします」

あずさ「わかりました。責任を持ってプロデューサーさんを探してきます」

スタスタ


律子「あずささんに任せましょう」

亜美「また迷子になるよ、律っちゃん?」

律子「……」

真美「律っちゃん?」

律子「しばらくしたら、みんなで行動すればいいのよ」

やよい「……」

伊織「……律子、あんた……なにか知っているんじゃないでしょうね」

律子「何も知らないわよ……私は……私たちは何も聞いていないんだから」

伊織「……」

亜美「なにかって……なに……?」

千早「……」

貴音「……」

美希「…………」

響「ど、どうしたんだみんな……」

雪歩「さ、さっきまで……あんなにはしゃいでいたのに……っ」

真「……」




96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:27:26.61 ID:1uE5XE5co

―― フクギ林 ――



P「まずい……完全に迷子になった……」


P「とりあえず、一度ビーチに戻るか……?」


P「というか、ビーチってどこだっけ……」


P「迷路だな……本当に……」


P「……」


P「………………もう少しで……トップに……」


P「……」


P「大丈夫……なんくるないさー、だよな……、響」


P「俺の代わりが見つかれば……」


P「…………なんとかなるさ」




――




あずさ「……こっちでもない」



あずさ「…………」



あずさ「……」



あずさ「絶対に……」



あずさ「……」




P「おっと……」

あずさ「……あら」



Pあずさ「「 やっと、見つけました 」」




97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:29:36.96 ID:1uE5XE5co

P「いや……」

あずさ「あの……」

P「迷子になったの、あずささんですよね」

あずさ「……えっと……そうですね、はい」

P「???」

あずさ「うふふ、なんでもありません」

P「……よかった。それじゃ戻りましょう」

あずさ「……はい」


P「……」

あずさ「……」

P「今日は良い運動になりましたね」

あずさ「そうですね……」

P「……歩きっぱなしでちょっと疲れましたけど、良い思い出になれたかな」

あずさ「たくさんの思い出が作れています」

P「それならよかった」


P「この沖縄ロケの為に、みんな過密なスケジュールをこなしてくれて、乗り切ってくれて……」

あずさ「…………」

P「みんな、本当に成長しましたね。ライブを見ているとそれをとても実感して」

あずさ「…………」

P「もっと、見ていたいなって――」

あずさ「もっと見ていてください」

P「……」

あずさ「私も、見ていて欲しいんですから」

P「ある人――その人のことはいいんですか?」

あずさ「もぅ、いじわるです」

P「……」

あずさ「さっき、律子さんの案を聞いていて思ったことがあって……」

P「?」

あずさ「私も、美希ちゃんのように髪を切ったほうがいいですか?」

P「……美希は、自分で決めて、ショートカットにしました」

あずさ「……」

P「あれ? ここでもない……?」

あずさ「迷っちゃいましたね」

P「……本当に。とりあえず、進みましょう」

あずさ「はい」

P「…………」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:31:51.43 ID:1uE5XE5co

あずさ「あの、さっきの話。私もショートにしたほうがいいでしょうか?」

P「……あずささんが決めてください」

あずさ「……」

P「絶対、どっちも似合いますから」

あずさ「……」

P「…………」


P「……えっと、どっちだ?」

あずさ「質問を変えます」

P「え?」

あずさ「今のロングヘアの私と、ショートヘアの私……どっちがいいでしょう?」

P「いえ……どっちがいいかとかではなく」

あずさ「一緒に決めてきたんですから、一緒にここまで来たんですから、これからも一緒に考えてほしいです」

P「……俺は」

あずさ「はい」

P「今のあずささんがいいと――」

あずさ「わかりました~」

P「いや、最後まで聞いてください」

あずさ「うふふ、髪を切ったほうが若く見えるかな~なんて思っていたけど、ずっとこのままにしようっと」

P「待ってください、一緒に考えてないじゃないですか」

あずさ「そんなことありませんよ~。私はプロデューサーさんに相談しました」

P「そうですけど……そうじゃないですよ……!」

あずさ「ではショートのほうが?」

P「…………」

あずさ「やっぱりこのまま?」

P「……」コクリ

あずさ「ふふ……なんだか、嬉しい」

P「……」

あずさ「ありがとうございます、プロデューサーさん」

P「?」

あずさ「プロデューサーさんは、私を――」


「こっちだぞー!」


P「響?」

あずさ「みんなが見つけてくれましたね」




99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:33:48.46 ID:1uE5XE5co

響「やっとみつけた。二人とも迷子になるんだから、困るよっ!」

伊織「早くバスに戻りましょ、疲れちゃったわよ」

真美「えっと、バスはどこ?」

春香「あっちじゃないかな」

千早「…………」

雪歩「く、暗くなってきたよ……」

やよい「お化けがでるかもしれないですねー!」

貴音「や、やよい。言霊という――」


ガサガサッ


貴音「!」


黒猫「にゃあ」


亜美「きゃあ、こわーい」

律子「棒読みじゃないの……」

貴音「……ふぅ」

美希「あふぅ」

真「今日は本当に疲れたなぁ……」

春香「ほんと……バスでぐっすりだよねー……」



P「行きましょうか」

あずさ「私を――安心させてくれる人なんです」

P「……」

あずさ「だから、迷子になっても必ず見つけます」

P「…………」

響「お腹すいたさー」

あずさ「うふふ、帰りましょう、プロデューサーさん」

スタスタスタ


P「……ッ」



「プロデューサーさ~ん」



P「は、はい……!」



P「時間が…惜しい……ッ」




100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:37:00.47 ID:1uE5XE5co

―――― 我那覇邸


P「……」

律子「……」

小鳥「あの?」

P「小鳥さんですか?」

小鳥「そうです」

律子「れ、連絡してくれればいいのに……」

小鳥「驚かせようと思ったんです、もっと驚いてくださいっ」

P「とりあえず、響たちを起こすか……」




響「くぅー……すぅ……」

P「響、着いたぞ、ひびきー」

響「ん……すぅ……」

P「起きてくれ」ユサユサ

響「んー!」バシッ

P「いた……」

響「……すぅ……すぅ」

千早「我那覇さん、起きて」ポンポン

響「ん……? ……千早と……プロデューサー?」

千早「みんなを起こさないよう、静かに降りましょう」

響「うん……ふぁぁ……懐かしい夢みたさー」

P「どうして俺が起こすと……機嫌が悪くなるんだ?」





―― 仏間


響「おとー、春香と千早が来てくれたぞー」

春香「――。」

千早「――。」

律子「先日はお騒がせしましたぁ」

あずさ「今日もお世話になります~」


P「……」




101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:39:08.60 ID:1uE5XE5co

―― あずさ達の部屋


春香「響ちゃんのお兄さん、プロデューサーさんに似てたね!」

千早「……そうね。……あの、春香?」

春香「二人並んでると、双子かっ、なんてねっ」

千早「あのね、春香」

春香「お母さんも優しいし、沖縄ってイメージ……ううん、響ちゃんのイメージそのままだよねっ」

千早「落ち着いて春香」

春香「楽しいよねっ、みんなと一緒だからもっと楽しいよねっ」

律子「うるさいっ」

春香「……すいません」

響「すぅ……」

千早「響が寝ているんだから、静かにしないと」

春香「へへー」

千早「な、なに?」

春香「名前で呼んで……なんだか、いいよねぇ」

千早「……っ」

律子「早く寝なさい、明日午前中にライブなんだから」

春香「なんだか、もったいないーって」

律子「気持ちはわからないでもないけど……あずささんは何を書いているんですか?」

あずさ「プロデューサーさんの日記です」

律子「そうですか……」

春香「プロデューサーさんの」

千早「……日記?」

あずさ「……あ」

律子「な、なんですかそれ!?」

春香「見せてくださいっ」

千早「……」チラッ

あずさ「だ、ダメですよっ、まだダメです」

パタン

律子「まだ?」

あずさ「ダメ」

響「ん……ん……?」

あずさ「起こしてしまったじゃないですか」

律子「いやいや、あずささんのウッカリのせいでしょう」

響「すぅ……」

千早「……ふぅ」



102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:41:23.84 ID:1uE5XE5co

春香「プロデューサーさんの日記……交換日記ですか?」

あずさ「……それ、いいわね~」ポワァー

律子「戻ってこーい」

千早「……いつも一緒にいるから意味が無いのでは」

律子「そうだ……確認しないといけない事があった……」

あずさ「プロデューサーさんにですよね」

律子「そうですけど?」

あずさ「……」ジー

律子「いや、言いませんって……。行って来ます」


バタン


あずさ「ないしょ」

春香千早「「 はい 」」

あずさ「小説とか、詩ではありません」

春香「……」

あずさ「今日あった、出来事なんかを書いているだけ」

千早「……」

あずさ「うん。……えっと、今日は……」カキカキ

春香「私たちが疑っていないと信じてるよね」ヒソヒソ

千早「そうね」ヒソヒソ

響「…………ん……?」




103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:43:39.13 ID:1uE5XE5co

―― プロデューサーの部屋


コンコン


律子「プロデューサー、明日の事で話があるんですけど」


律子「……」


コンコン


律子「居ない……?」




―― 階段


「おとー、さ」

「え……、えぇー……」

「ショックだわけ?」

「いえ、光栄なんですけど。……兄を通り越して親……複雑です……」


律子(居間でお酒を飲んでるのかな……話しかけても大丈夫よね)


「真面目な話、響を一人の女性として見たことあるね?」


律子「ッ!?」


「ステージや、仕事で輝く響にドキドキすることはあります。
 それは、響だけじゃなく……。はい」

「……ふむ」

「……だけど、それはアイドルとしての魅力なのかな、と」

「……」

「苦しくても努力して、今までの自分を乗り越えていく姿を見てるから、
 人として、とても尊敬する部分があります。
 だから、女性というより、まず先にくるのがアイドルなんですね」

「難しいさ」

「そうですね。難しいなぁ……。
 人として尊敬している部分を好意に変えてしまうと、
 アイドルとしての彼女達を上手く引き出せないような気がするんです」


律子「……」

律子(って、立ち聞きするのね私……)




104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:45:59.45 ID:1uE5XE5co

「俺は……不器用なので、みんなに苦労かけています……。
 だから、アイドルとしての彼女達を見守っていることが成功の近道なのかと。
 
 これは……彼女達に一番失礼なことをしているかもしれない」


律子(戻るか……)

律子(彼女達には失礼だけど……それだけなら……あずささんを今の地位まで引き上げられない)


ギシギシッ


律子(少なくとも……あずささんだけは……一人の女性として見ていたはず……あの日までは)

律子「なにが……それを変えたのか……」


ガチャ


響「んー……」

律子「響?」

響「アニキたちの……声がする……ぞ……」

律子「ちょ、ちょっとまって」



―― 居間


響兄「娘のいいところをたくさん見つけて……ってヤツじゃないかな。だからお父さんだわけさ」

P「そ、そうなんですか……」

響兄「響が小さい頃におとーが亡くなってさ。
   それまでおとーが響を起こす度に、うるさいなぁーって感じで手を払ってたよ」

P「俺が起こすときに手を叩かれたのって……」

響兄「そうさー。だから、雰囲気が似てたんだねぇ」

P「雰囲気?」

響兄「おとーの雰囲気よ。プロデューサーさん、今の話聞いてて思ったけど」

P「は、はい」

響兄「それ、事務所の子達、全員に当てはまってないでしょ」

P「え……?」

響兄「最初の――それは、響だけじゃなく――の後に、誰かの顔が浮かんだよね」

P「……」

響兄「その人がプロデューサーをアイドルとしてじゃなく、
   一人の女性としてもドキドキさせてるんじゃない?」

P「――!」

響兄「図星みたいだね。沖縄方言で胸(チム)どんどんって言うさー」

P「ち、違っ……」

響兄「早く飲んで、グラスを空にしないと寝かさないよ」

P「うぅ……!」

響兄「響には可哀相かもしれんけど、強制はできないさ」

P「…………」



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:49:25.42 ID:1uE5XE5co

響兄「俺は安心したよ。これからもよろしくね、プロデューサーさん。酒が美味しいさ……ごくごく」

P「……忘れて、もっと先へ進んで欲しい」

響兄「ん? 忘れる……?」

P「いえ、なんでも……ごくごく」

響兄「変なこと聞くけどさ」

P「?」

響兄「プロデューサーさん、健――」

「んー、アニキー?」

P「起きてきたのか……」

響兄「……明日もライブだろ? 早く寝ろよ」

響「明日は一日オフさー……たくさん遊ぼうね、プロデューサー……」

P「そんなとこに座らないで、部屋に戻るんだ、響」

響「まだ日付越えてないからいいさー」

律子「ちょっと、響……こんなところで寝ないの……!」

響「寝てないぞー」

P「律子まで……」


千早「……急にどうしたの響?」

響「んー……なんかねー、プロデューサー見ないと……落ち着かなかったー」

千早「……」


春香「なんですかっ、まだなにかあるんですねっ?」

P「そのテンションはどうした春香。起きてたのか?」

律子「しずかに寝ようとしていたんですけど……春香以外」

P「あずささんは寝てるんだな……ほら、部屋に戻って――」

あずさ「すいません、降りてきちゃいました」

P「あぁ……!」

響母「なんね、まだ起きてたの?」

あずさ「すいませんお母さん、中々寝付けなくて」

千早「私もです……」

響母「クワンソウ茶淹れようね」

春香「くわんそう……って、なんですか?」

律子「昨日、亜美達はこれを飲んで静かになったの」

P「ぜひっ!」



106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 21:50:45.96 ID:1uE5XE5co

響母「はいはい、あんたにも飲ませてあげるさ~」

P「あ、いえ……俺にはお兄さんが作ってくれた……」

響「どれどれ、どんな味?」

P「待てっ!」グイッ

響「うがっ!」

P「こんな時間に野生化は困る」

響「野生化ってなんだ?」

あずさ「ごくごく」

P「えぇ!?」

千早「あ、あずささんっ!?」

律子「……明日……大丈夫かしら」

あずさ「ふぅっ」

P「どうして……!?」

あずさ「うふふ、プロデューサーさんが遠慮してらっしゃるので~」

P「意味がわかりませんよ……!」

あずさ「……ちょっと、強い」

P「泡盛なんですから……」

あずさ「あらあら~」ポワァー

P「律子」

律子「はい、任せてください」

響兄「……プロデューサーさんにはそっちが必要みたいだねぇ」

P「え……?」

律子「すいません、プロデューサー」

P「なぜ謝る?」




107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:05:50.37 ID:1uE5XE5co

【 四日目 】


―――― バス


冬馬「……」

P「あずささん、紹介を」

あずさ「彼がジュピターのたちつてとうま君」

亜美真美「「 あまとうです 」」

冬馬「甘党って呼ぶんじゃねえ」

亜美「おやおや~? ルートビアよりオレンジを選んだのはどこのあまとうですかな~」

真美「ここのあまとうですな~」

冬馬「俺がここにいる意味ってなんだ」

千早「知りません。今すぐ下車しても構いませんよ。どうぞ」

冬馬「走行中だろうが!」


伊織「なんでアレが乗ってるのよ」イライラ

春香「私がぶつかった成り行きで……」

伊織「どういう成り行きでこうなるのよ」

律子「まぁまぁ、千早の週刊誌の件は彼らと関係ないって社長が言ってたんだし」

伊織「……それなら、別にいいんだけど」

律子「事務所を変えて彼らも再起したんだから、上手く利用すればいいのよ」


冬馬「で、どこに向かってるんだ?」

千早「答える必要があるんですか?」

冬馬「知る必要あるだろ」

千早「こちらに合わせていれば問題ないかと」

冬馬「ほとんど強引だっただろ、知る権利があるんじゃねえのか」

千早「権利? 無銭乗車で権利を主張しますか」

冬馬「だから、ほとんど拉致だったじゃねえか。財布を忘れてもしょうがねえだろ」

千早「言葉が過ぎます。控えてください」

冬馬「だから、降ろせよ。嫌われてるのに乗り続ける意味あんのかよ」

千早「どうぞ」

冬馬「だから、走行中だろうが!」

千早「運転手さん! 彼が降ります!」

冬馬「待て、財布忘れたって言っただろ。携帯電話も持って無いんだよ」

千早「歩いて帰ればいいじゃないですか」

冬馬「午前のライブで疲れてんだよ。土地勘もねえし、無茶言うな」

千早「帰りたいんですか? 乗り続けたいんですか? ハッキリしてください」

冬馬「ぐっ……」

亜美真美「「 あまとうの負けー! 」」



109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:07:47.66 ID:1uE5XE5co

千早「プロデューサー並みに優柔不断――あ」

P「あ、じゃないぞ、千早」

千早「と、とにかくどいてください!」

冬馬「ブルーシールアイス、うめえな」

やよい「うわー! お店がたくさん並んでるよ伊織ちゃん!」

伊織「……そうね」

響「国際通りって言うんだぞやよいっ!」

春香「プロデューサーさん、ハブ酒ですよ! ハブ酒!」

P「この速度でよく見えるな……」

律子「やよいの隣に座りたいだけなのよね……千早は」

P「俺、優柔不断ですか?」

あずさ「偶に……」

P「うーん……」

あずさ「アイスのダブル、種類を選ぶのに、迷っていましたよね」

P「おぉ……本当だ……」

あずさ「しょうがないですね、プロデューサーさんは……うふふ」

伊織「しょうがない、じゃないわよ。あんたも同じくらい悩んでたじゃないの」

律子「結局同じの買ってるからね、迷コンビだわ……」

亜美真美「「 時代はトリプルだよね。うまうま 」」

響「……うーん、なんだろ、ざわざわする……?」




110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:10:29.52 ID:1uE5XE5co

―――― 斎場御嶽


響「千早の希望で来ました、斎場御嶽ー!」

千早「ここが……セイファーウタキ……!」

嶺「私でよければ、解説いたしますが」

千早「よろしくお願いします」

嶺「はい」


冬馬「空気が重いな……」

亜美「ここだけ重力が3倍あるんだって」

冬馬「ホラ吹いてんじゃねえよ」

真美「視える、視えますぞ……あまとうの両肩に、口裂け女の霊が四人」

冬馬「反応に困る霊視すんなよ」

亜美真美「「 やっぱり兄ちゃんじゃないとダメだね、ダーメ 」」

冬馬「おまえら……!」


やよい「プロデューサー、一緒に見て回りませんか?」

P「う、うん……?」

やよい「ダメですか?」

P「いや、改めて言うほどの事じゃない……よな」

やよい「えへへ」

伊織「?」

あずさ「……」


律子「鬱蒼としてるわね。まるでジャングルね……」

春香「ハブとか出てきませんよね……」




111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:12:30.05 ID:1uE5XE5co

―― 斎場御嶽・三庫裏(さんぐーい)


伊織「す、凄いわよ! 早くこっちに来なさいよプロデューサー!」

P「ど、どうした!?」

やよい「うわぁー! すごーい!」

あずさ「まぁ……」

P「……岩が真っ二つ……!?」

伊織「綺麗に割れているわ……!」

あずさ「岩と岩が寄りかかるように……素敵です~」

千早「岩と岩の三角の洞門……やはり、実物と写真では違いますね」

嶺「この洞門は約1万5千年前に起こった地震の断層のズレからできたと言われています」

千早「1万5千年……」

伊織「神秘的よね……!」

真美「これやったの、真美なんだよね」

P「自慢話か……」


「おーい、プロデューサー!」


やよい「あ、響さんが手を振ってます。奥に行けるみたいですよ」

P「行ってみよう」

嶺「奥に行くと、ある島を見ることができます」

伊織「島……?」

亜美「凄いよねー、本当に三角のくーかんだもんねー」

あずさ「岩のトンネル」

律子「本当に……凄い場所なのね……」




112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:13:39.10 ID:1uE5XE5co

―― 斎場御嶽・久高遙拝所


響「ここ、ここから久高島が見えるんだぞ」

P「くだかじま?」

響「神の島って呼ばれてるんだよ。ほら、あの島!」

P「あれが……神の島」

やよい「み、見えないです、プロデューサー……!」ピョン

P「こっちの石に……これ踏んでもいいのかな……」

響「うーん……拝所は石が重要だったりするから、踏まないほうがいいぞ」

P「うがんじゅ?」

響「神様を拝む場所のこと」

亜美「ほら、兄ちゃん、屈んでよ」

P「う、うん……?」

真美「ほら、やよいっち」

やよい「え?」

伊織「肩車よ」

Pやよい「「 ゑッ!? 」」

あずさ「やよいちゃん、失礼するわね~」ギュッ

やよい「あ、あずささん!?」

あずさ「プロデューサーさん、いきますよ~、よいしょっ」

P「…………大丈夫か、やよい」

やよい「うぅー、恥ずかしいですー」

伊織「あれが神の島……ねぇ」

P「ど、どうだ?」

やよい「はい、見えます」

P「そうか」

やよい「……」

P「……」

やよい「……海が綺麗ですね」

P「そうだな……」

やよい「……不思議な気持ちがします」

P「……」

響「あ、向こうから春香たちが手を振ってるぞ」

亜美「おーい!」

真美「こっちおいでよー!」



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:15:11.34 ID:1uE5XE5co

やよい「プロデューサー、行きましょー」

P「こ、このままか?」

やよい「えへへ、なんだか楽しいです」

P「やよいがそれでいいなら……」

あずさ「うふふ」

響「あはは、まるで家族だぞ」

亜美「兄ちゃん、あずさお姉ちゃん、こっち向いてー!」


あずさ「なんでしょう?」

やよい「あ、いぇい!」ブイッ

P「おっと……」


ピロリン♪


冬馬「なにやってんだ、あんた……」

嶺「ふふ……」

P「……まずい、他の観光客にも笑われてる」

やよい「視線が高くて、面白いですー!」

千早「私達もいきましょう、春香」

春香「う、うん……どうしたの千早ちゃん、溜息交じりなんだけど……」

伊織「ここで終わりなの?」

嶺「まだ奥にありますよ」

伊織「寄満(ゆいんち)よね?」

嶺「それでは全部回ったことになりますね」

やよい「プロデューサー、あっち、あのショウニュウセキのところお願いします!」

P「……そろそろ降りないか、やよい」

やよい「えへへ、もう少しだけお願いしますね!」

P「……珍しいな」

真美「これは何かな?」

響「チイタイイシだって」

あずさ「壺の水量によってその年の豊凶を占っていたそうよ」

亜美「水占いですな」

やよい「もう少しで触れそう」

律子「や、やよい、ダメよ?」

やよい「はい、止めておきますね」

真美「あずさねぇねぇもなにか水で占いできるのー?」

あずさ「いえ、もう占いはいいんです」

P「え……」

亜美真美「「 えぇ!? 」」



114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:15:42.98 ID:1uE5XE5co

あずさ「なんて、言ったらどうしますか?」

P「……亜美真美と同じくらい……それ以上にビックリします」

あずさ「……そうですか」

P「…………」

やよい「プロデューサー、そろそろ降ります」

P「わかった。……ほら」

やよい「ありがとうございました、楽しかったですー!」

P「……そうか、それはよかった」

千早「……」

あずさ「……」

春香「プロデューサーさん、ユインチに行きませんか?」

P「いいよ、行こう」

やよい「私もユウエンチに行きます!」

P「やよい、全然違うから。運転手さんに解説してもらってきなさい」

やよい「でも、プロデューサーがいないと見れません!」

P「胸張って言うことじゃないぞ……」




115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:17:33.80 ID:1uE5XE5co

―― 斎場御嶽・寄満(ゆいんち)


やよい「ここは特別な場所なんですねー!」

P「やよいは……なんというか、体が重く感じたりしないのか?」

やよい「しませんよー!」

P「どういうことだ? ここは『霊威の高い聖なる場所』……」

嶺「人によって違うということでしょうか」

P「運転手さんも感じますよね、霊的な、重さというか」

嶺「そうですね。自然のエネルギーが凝縮されているような」

律子「……」スゥ

P「あぁ、上手い表現――う゛」ゾクリ

律子「プロデューサー殿?」

P「……はい」

律子「大事な人が、いますよね?」

P「…………」

律子「返事は?」

P「……大事すぎて……どうすればいいのか、分からない」

律子「え?」

やよい「プロデューサー、律子さん! おかしな縄を見つけましたよ、見てください!」

ハブ「シャー」

P「」

律子「」

嶺「あの、やよいさん」

響「やよい、それは縄じゃないぞ。今すぐ放り投げて」

やよい「おもちゃみたいですね、動きますよー!」

ハブ「シュルルル」

P「」

あずさ「どうしたんですか、プロデューサーさん?」

P「ハッ!?」

春香「プロデューサーさん! ハブですよ! ハブ!」

P「春香、刺激しないでくれ。やよい、それを、捨てるんだ」

やよい「はぶ?」

ハブ「シュルル」

やよい「わ……」

P「やよ――」



116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:19:26.97 ID:1uE5XE5co

ハブ「シャー」

やよい「――ッ!」

嶺「……ッ!」ガシッ

ハブ「シュ」

嶺「ふぅ……」

響春香律子「「「 おぉー! 」」」

パチパチパチ

嶺「実践で捕まえたのは初めてですけど、訓練の賜物ですね」

冬馬「すげえ……」

亜美「こう、ガッとハブの頭を」

真美「バシッと捕まえたよね!」

春香「訓練すれば運転手さんのようになれるんですか!?」

嶺「こういう場所を案内するから、という理由ですよ。一般人……アイドルには必要ないかと」

千早「……」


やよい「あの……」

P「……え?」

あずさ「……あら?」

やよい「だ、大丈夫みたいですよ?」

P「そ、そうか」

あずさ「よ、よかったですね」

P「で、ですね」

あずさ「う、うふふ」

P「あ、あはは」

やよい「二人が守ってくれたから、助かりました! ありがとうございます!」


Pあずさ「「 ……いいえ 」」


律子「身を挺したのはいいけど、危なかったと気付いているのかしら…………はぁ……」

伊織「……」



117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:20:48.28 ID:1uE5XE5co

―――― バス


響「おきなわワールドとひめゆりの塔!」

P「そうだな、ひめゆりの塔へ行きたいと思う」


P「律子、悪いけど……みんなのこと、頼んだ」

律子「……頼むのはいいですけど、みんなの意見聞いてませんよね?」

P「え……?」

亜美「どうして亜美たちがぎゅくせんどう行くと思ったの?」

P「いや……あれ?」

やよい「ちょっと怖いかもですけど、みんなと一緒なら平気かなーって」

真美「うんうん、可愛い子には旅をさせよっていうかんね」

伊織「まぁ、後学のためね」

千早「そうね、人の感情は歌にとても重要だから。学べることはたくさんあると思う」

春香「私も……ちょっと怖いって思うけど……プロデューサーさんと一緒に行ってみたいです」

響「みんなが沖縄をもっと好きになってくれたら嬉しいさー!」

あずさ「プロデューサーさんと一緒です」

P「…………」

伊織「……テーマパークにも心残りがあるけどね」

やよい「ショウニュウドウ……見たかったかもです」

真美「地底探検……」

律子「こればっかりはしょうがないわよ」

千早「……そうね」

春香「あれ? 両方は――」

冬馬「両方行けばいいんじゃねえのか?」


一同「え?」


冬馬「ん?」





118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:22:30.66 ID:1uE5XE5co

―――― ひめゆりの塔


嶺「慰霊碑、納骨堂になります。その手前が第三外科壕」

冬馬「……」

P「……」

響「……」



―― 第一展示室 ― ひめゆりの青春


春香「私達と同じ歳……」

千早「……時代が違うだけで……こうも変わるのね」

P「……」

響「……」



―― 第二展示室 ― ひめゆりの戦場
 


伊織「……これは、ジオラマね」

亜美「……うん」

嶺「防空壕を病院に……読んでも分かると思いますが、想像以上に過酷だったと思います」

真美「…………」

P「……」

響「……」



―― 第三展示室 ― 解散命令と死の彷彿


律子「結構……」

やよい「……~っ」ギュ

あずさ「…………やよいちゃん」

P「……」

響「……」



―― 第四展示室 ― 鎮魂



P「遺影……か……」

響「……うん」





119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:23:36.83 ID:1uE5XE5co

―――― ひめゆりの塔


冬馬「……おい」

P「……?」

冬馬「いや……声かけてやんねえのか」

P「……そうだな……」

冬馬「?」


響「衝撃的だよね、戦争は」

伊織「……」

やよい「……」

亜美「……」

真美「……」

律子「みんな放心状態ね……。無理もないけど」

千早「……明るい太陽の下の、暗くて深い闇の中で……彼女達は……何を思っていたのかしら」

あずさ「生きたいと強く、願っていたのでは……」

P「――!」ホロリ

P「ッ!」ゴシゴシ

あずさ「……」



――



嶺「少し歩いたところに、第一外科壕がありますが」

P「第一……?」

嶺「ここは第三外科。第一、第二とあります」

P「…………」

嶺「防空壕の中に、少しだけ入られますよ」

P「……はい」

響「プロデューサー……?」

P「みんなはお土産屋か、バスで少し待っててくれ」




120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:24:59.92 ID:1uE5XE5co

―――― 第一外科壕


P「……あ、ここが?」

嶺「そうです。うっかりしてたら通り越す場所ですよね」

P「…………運転手さん、どうしてそこまで俺に?」

嶺「何かを学びたいから、ひめゆりを選んだのだと思いまして」

P「…………」

嶺「沖縄の深い部分を知っていただければ、より好きになっていただける。
  響さんがおっしゃっていたことと同じですね」

P「……」

P「…………」




嶺「……」

あずさ「あの……」

嶺「少し待っていましょうか」

響「……うん」

あずさ「……」




――


P「セイファーウタキと同じくらい重いな……」


P「…………」


P「……ここで…………死と……隣り合わせに……」


P「彼女達は生きて……」


P「……」


P「同じ気持ちだったのか」


P「違う――」


P「俺にはまだ」


P「彼女達は……」


P「……」


P「…………」


P「…………生きたいと強く」


……





121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:26:11.46 ID:1uE5XE5co

―――― 沖縄県平和記念公園


P「シーミー?」

嶺「清明祭。旧暦の三月に、お墓の前で行われる行事ですよ」

響「ピクニックだよね。ジュースやお酒を飲んだりして、御馳走を食べるんだぞ」

P「へぇ……」



伊織「私……戦争なんて……遠い国の話だと思ってた」

やよい「……うん」

伊織「沖縄であったって聞いても、そういうものだって」

真美「……うん」

伊織「広島や長崎でも……ね」

亜美「…………」

やよい「……」

真美「……」

嶺「落ち込んでるみたいですね」

律子「うぅん……私も意外すぎて……」

千早「無理も無いと思う」

響「ちょっとだけそっとしておくさー。すぐいつものみんなに戻るぞ」

春香「……」

冬馬「楽観過ぎないか?」

響「その為のエイサーだからね!」





―――― 駐車場



美希「バスはどこ……?」

小鳥「えっと、ここでいいのよね」

真「あ、あれ?」

雪歩「ど、どうしてっ?」

貴音「なんと……」

冬馬「なんだおまえら」

真雪歩「「 えぇーっ!? 」」

P「みんな揃ったな」




122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:27:52.49 ID:1uE5XE5co

―――― おきなわワールド


ドォン! ドォン!!


P「……」

あずさ「……」


響「自分も踊りたくなってくるさー!」

やよい「……」

伊織「……」

亜美「……」

真美「……」

貴音「……」

美希「お子様チームがしずかなの」

雪歩「ど、どうしたのかな……っ…」

律子「戦争体験を肌で感じてね。……これがエイサー」

小鳥「……」

真「かっこいいなぁ……なんだか勇姿って感じで!」

千早「活力が漲って……」


ドォン! ドォン!!


嶺「季節限定の踊りですが、ここでは毎日披露されています」

春香「なんだか、太鼓の音が胸に直接響いてくるよね、やよい」

やよい「……そうですね……」

伊織「先祖供養の舞踊って言ってたわよね」

嶺「そうです。送迎の心をもって旧盆時期に踊り、先祖の霊に見てもらうという行事ですね」

響「自分も上京するまでは毎年踊っていたんだぞ」

春香「響ちゃんも太鼓を持って踊ったの?」

響「そうだぞ。手踊りでもよかったんだけど、太鼓を叩きたかったからね!」

真「響のイメージ通りだよね」

P「響のイメージ……か……」


ドンドン! ドンドンッ!


真美「……ひびきんの踊ってるところ見てみたいな」

亜美「…………うん」

響「自分も見てるとなんだかウズウズしてきたぞ」

やよい「胸にどんどんっって……響いてくる」

春香「……うん」

冬馬「ふぅん……」

P「……太鼓の力強い音……、勇気付けられるな」

あずさ「……」



123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:29:06.88 ID:1uE5XE5co

―――― ホテル・駐車場


亜美真美「「 お疲れ、あまとう! 」」

冬馬「……」

P「……」

冬馬「おい、色々と重かったんだが……」

P「いつもはもっと、騒がしいんだけどな……」

冬馬「なにかあんのか?」

P「?」

冬馬「いや、部外者だから分かるっつーか。おまえらの雰囲気がいつもと違ったからよ」

P「……そうか」

冬馬「……」

「チャオ☆」

「ここにいたんだ、冬馬君」

冬馬「すまねえ」

「はいこれ、冬馬君がお世話になったから、コザで買ったお土産」

P「あ、ありがと」

「じゃあねー」

「チャオ☆」

冬馬「まぁ、なんだ。あんまり心配かけるな。とりあえず、今後は馴れ合い一切無しだからな」

P「わかった。……またな」

冬馬「またな……って、こういうのを止めるって言ってんだよ!」


P「心配……か……」




124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:30:58.16 ID:1uE5XE5co

―― ホテル・ロビー


「「「 じゃんけんほい! 」」」


律子「か、勝ってしまった……」

P「よし。そうと決まったら、響の家に移動する人は荷物をまとめてバスに乗ってくれ」

響「はーい!」

やよい「わかりましたー!」

美希「はいなのー!」

雪歩「わ、分かりましたぁ!」

あずさ「……」

小鳥「あの、いいんですか?」

P「俺がここに残るから平気ですよ。小鳥さんも楽しんできてください」

小鳥「そういう意味では……」

響美希やよい「「「 あー! プロデューサーが一緒じゃない! 」」」

伊織「今頃気付いたのね……」

雪歩「う、嬉しさのあまりに……忘れるなんて……」シクシク

春香「うぅ……みんなでご飯……」シクシク

真「はぁ……しょうがないか……」

亜美「むむむ……」

真美「……むむむ」


律子「あずささん、小鳥さん、千早。三人に話があります」

あずさ「……」

千早「……」

小鳥「……はい」

貴音「律子、わたくしも参ります」

律子「……それじゃ、外へ」




125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:34:33.01 ID:1uE5XE5co

―― ホテル・外


律子「あずささん、そろそろ話していただけますか?」

あずさ「……」

律子「私達……まだ確信には到っていませんが、ほとんど見えていると思います」

千早「……プロデューサーが隠していること」

あずさ「……そうですか」

貴音「あずさは、やはり知っているのですね」

律子「私と小鳥さんは大体知っていますけど、あずささんほどじゃないと思います」

あずさ「……」

千早「やはり、ビタミン剤では……ない……?」

あずさ「今ここで、告白しちゃいますけど」

律子「?」


あずさ「私――アイドルを引退しようと思います」


律子「えッ!?」

千早「なッ……!」

貴音「……」

小鳥「ど、どうしてそんな急に!」

あずさ「急に、ではなかったりします。沖縄に着いてから、いえ、あの日からそれは考えていました」

律子「……プロデューサーには相談したんですか?」

あずさ「まだです」

律子「ど、どうしてそんな大事なことを私達に最初に話すんですかッ!」

千早「り、律子!」

あずさ「……」

律子「ずっと一緒にやって来ていたじゃないですか……! 私が……プロデューサーの立場なら!」

律子「他の誰よりも一番最初に受け取りたい言葉ですよ!?」

あずさ「……ごめんなさい。プロデュースする側の気持ちを考えずに」

律子「……ッ」

貴音「わたくしも、あずさとプロデューサー、二人の歩む姿を見てきました」

貴音「心から信頼し合える二人の姿は、あずさのあいどるとしての地位を高めたのだと確信しています」

あずさ「そうですね。プロデューサーさんが一緒じゃなければ、私は……ここまでこられなかったと思います」

貴音「あずさに牽引される形で、今のわたくし達があると言っても過言ではありません。
   二人の後姿を見つめながら追いかけて来たのも、また事実」

あずさ「……」

千早「その信頼関係を……壊しかねない思いまでして、私たちに告白した理由があるんですよね……?」

あずさ「……はい」

律子「あずささんの引退と……プロデューサーが隠していることに繋がるということですか?」

あずさ「そうです」

小鳥「……」



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:36:21.79 ID:1uE5XE5co

あずさ「小鳥さん、社長に聞いて欲しいことがあります」

小鳥「ひょっとして……」

あずさ「そうです。今、確認をしてくれますか?」

小鳥「わかりました」



小鳥「もしもし、お疲れ様です、社長」


『沖縄は楽しんでいるかね?』


小鳥「はい、おかげさまで」


『それはよかった。是非、お土産には紅芋タルトという――』


小鳥「あの、すいません、社長。プロデューサーさんのことでお話が」


『彼の事で話?』


小鳥「プロデューサーさんが隠していることについて」


『ふむ……彼が隠していること、か』


小鳥「……」


『私が知っているとして、だ。それを今、伝えられると思うのかね』


小鳥「いえ。重要なことでしたら、電話ではなく直接会って話すべきかと」


『その通りだと私も思う。それでは、この電話の意図を聞こう』


小鳥「……」


『私に聞かざるを得ない状況だと思うが……』


小鳥「少々お待ちを。……あずささん」

あずさ「はい」


『三浦君?』


あずさ「そうです。お忙しいところ申し訳ありません」


『……それは構わないが』


あずさ「私の決心を聞いて欲しくて電話しました」


『…………そうか』


あずさ「……」




127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:38:25.87 ID:1uE5XE5co

『彼が隠していることについて、だったね』


あずさ「……はい」


『君達が帰ってきてから、直接話すとしよう。三浦君の話も、その時に聞こうじゃないか』


あずさ「社長は……私が――」


『君の決心も大よそ把握できている。私は君達の親だと、勝手ながらそう思ってもいる』


あずさ「……」


『無事に帰ってくるのを待っているよ』


あずさ「はい、失礼します」



プツッ



あずさ「……」


小鳥「社長はなんと……?」

あずさ「無事に帰ってくるのを待っている。話はその時に、と」

律子「期限は事務所に帰るまで……ということ、かしら」

あずさ「そうだと思います」

千早「……」

貴音「…………」

あずさ「律子さん、プロデューサーさんのこと、みんなが感じ取っていますよね」

律子「真も気付き始めてる……かな。あと伊織も最近焦っているみたい…ですけど、……他は」

あずさ「美希ちゃん、やよいちゃん……」

千早「やはり、斎場御嶽でのやよいは……」

貴音「なにかあったのですか?」

千早「いつもより、プロデューサーを慕っていると言うか、傍にいようとしていました」

貴音「戦争の体験を肌で感じたからだと聞きましたが、順は逆だったのですね」

小鳥「あまり長い話はできません、ロビーに戻りましょう」

律子「ふぅ……あずささんの件は、プロデューサーに託しましょうか」

あずさ「あの――」


伊織「そんな顔で戻ったら、プロデューサーに感づかれるじゃないの」


律子「伊織……どこから聞いていたのよ」

伊織「あずさが社長と話をしてるところからよ。私が迎えにきてあげたんだから、感謝なさい」

貴音「……」



128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:39:46.83 ID:1uE5XE5co

千早「伊織、どうして焦ってるのか、自分でも気付いているの?」

伊織「さぁね。あんた達が知らないんだから、私もわからないわよ」

律子「……」

伊織「あずさ以外はね」

あずさ「……」

あずさ「今、変わってきていると感じるんです」

律子「え……?」

あずさ「少しずつ、プロデューサーさんの中で何かが……」

千早「……」

あずさ「だから、もう少し……待ってください……」

貴音「……」

律子「わかりました。二人を信じます」

あずさ「わがままを聞いてくれて……ありがとう……」

小鳥「……」

あずさ「さぁ、待たせるのもなんですから、行きましょう~」

律子「あずささん、プロデューサーは響の家に行けませんよ」

あずさ「あ……」

律子「しょうがない……私と代わってもらいますから……」

あずさ「ありがとうございます! 律子さんっ!」

律子「……そこまで喜んでもらえると嬉しいですね。伊織も亜美達と一緒に後で追いかけなさい」

伊織「……いいの?」

律子「やよいが心配だからね」

伊織「……」




小鳥「社長への電話で……みえてしまいましたね……」

貴音「プロデューサーは一人で抱え、あずさはそれを支えていたのですね」

律子「……想像以上に……キツイ……」

千早「あずささん……っ」




129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:41:10.55 ID:1uE5XE5co

―――― 我那覇邸・仏間


響「おとー、みんながまた来てくれたぞ」

亜美「ひびきんのおっとさん、今日も遊びに来たよん」

真美「今日もみんなと一緒で楽しかったよん」

やよい「今日もお邪魔します」

伊織「私達を見守っていてくださぃ」

小鳥「初めまして、響ちゃんと同じ事務所で働く、音無小鳥と申します。お世話になります」

あずさ「今日で三度目ですが、お世話になります~」

P「……」



……





―― 仏間


P「面白いですね……」

嶺「沖縄の死生観――文化ですね」

亜美「ねえ、兄ちゃん」

P「?」

亜美「ひびきん知らない?」

P「一緒にお喋りしてたけど……」

嶺「先ほど響さんのお兄さんのお部屋へ行きましたよ」

真美「ひびきんの兄ちゃん? お話してるの?」

P「そうだけど?」

亜美真美「「 ふーん 」」

伊織「アンタはなにをしてるのよ」

P「運転手さんに沖縄の文化を聞いているんだ」

美希「すやすや」

伊織「あずさは?」

P「縁側で小鳥さんと泡盛を飲んでる……」

伊織「まったく、あんた達は……いつまでぐずついているのよ。イライラするわねぇ」





130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:42:51.47 ID:1uE5XE5co

―― 響兄の部屋


響「話ってなに?」

響兄「おまえさ、プロデューサーさんのこと……大事に想ってるだろ?」

響「当たり前だぞ」

響兄「……そんなにハッキリ言われると、戸惑うな」

響「?」

響兄「それは恋愛としての好意か?」

響「…………うーん」

響兄「……」

響「それは違う」

響兄「どうして?」

響「プロデューサーは、事務所みんなのことを大事に想っているんだ」

響兄「……」

響「そりゃあね、頼れるし、ちゃんと見守ってくれるし、支えてくれる。とっても応援してくれるよ」

響兄「……」

響「困っていたら助けてくれる。弱きになったら励ましてくれる。落ち込んでいたら慰めてくれる」

響兄「……」

響「それは自分だけじゃなくてね、みんなに」

響「誰にでも優しくて、誰にでも厳しくて、誰にでも……甘やかしてくれる。そんな人」


響「だから好きだぞ」


響兄「……」

響「それに、大切な人がいるんだ。二人が並んでいるのがでぇじ好きさー」

響兄「……それはおとー、と同じ感覚じゃないか?」

響「……?」

響兄「おまえ、さっき言ったよな。おとーの夢をよくみるって」

響「……うん」

響兄「それ、プロデューサーさんの近くで眠ってるときだろ」

響「…………」

響兄「おまえはプロデューサーさんと、おとーを重ねてみてるさ」

響「そ、それが……?」

響兄「……」



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:43:25.12 ID:1uE5XE5co

響「なにが……言いたいのか…………わからない」

響兄「無意識に気付いてるだろ。プロデューサーさんが何かを隠して――」

響「聞きたくない」

響兄「響……おまえはあの時、小さかったから」

響「アニキの馬鹿ッ!」

響兄「……」

響「なんでそんなこと言うんだ!!」

響兄「響、そうやって怒鳴るってことは……自分で認めているってことだぞ……」

響「――ッ!」


ガチャッ


バタンッ


ドタドタドタ......



響兄「はぁ……キツイ宣告したな……」




132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:44:46.04 ID:1uE5XE5co

―― 玄関


響「最低だぞっ!! 馬鹿馬鹿! バカアニキッ!」

P「響、どうした?」

響「うぅッ! プロ…デューサー……ッ!」ジワァ

P「響……!」

響「~ッ!」

ドタドタドタ


亜美「ひびきん! どこ行くの!?」

響「散歩っ!」

ガチャ

バタン


響母「ケンカはしょっちゅうだけど。今のは珍しいさ、余程の事があったに違いないね~」

P「お母さん……」

響母「行き先は決まってるから、大丈夫よ」

小鳥「どうしたんですか?」

あずさ「響ちゃんの声が……」

響兄「ちょっと、喧嘩しまして……」

P「行ってきます」

響母「座喜味城に行ってるよー」

P「……わかりました」

響兄「プロデューサーさんは行かない方がいいよ」

P「え……?」

あずさ「私が行きます」

伊織「ちょ、ちょっと! あずさが行ったら迷子じゃないの!」

やよい「わ、私も」

小鳥「私とあずささんで行くから、待っててね」

やよい「……わかりました」

P「お願いします」

あずさ「はい」


ガチャ

バタン



小鳥「えっとザキミグスク……」

あずさ「こっちですよ」

タッタッタ


小鳥「……」




133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:47:16.75 ID:1uE5XE5co

―――― 座喜味城跡


響「……」

あずさ「いい風……」

響「あずささん、迷わずに来れたの?」

あずさ「三度も泊まっているから、覚えちゃったみたい」

響「…………」

あずさ「お昼にきたら、海が綺麗にみえるのかしら……」

響「……東シナ海が見える」

あずさ「……」

響「ここは入り口だから、あの城……」

あずさ「?」

響「城壁の上からみるともっと景色が広がるんだぞ」

あずさ「明日の朝、来て見ましょうか。みんなで」

響「……うん」

あずさ「……」

響「……」

あずさ「…………」

響「なんにもないから、夜景が綺麗ってわけでもないし、
  近くに米軍基地があるから空が明るくて星もあまり見えないよね」

あずさ「……」

響「だけどね、自分……ここの夜風がとっても好き」

あずさ「私も……好きですよ。包んでくれるようで」

響「うん」


響「……自分が小さい頃にね、おかーと一緒に来たことがあって」

あずさ「……」

響「二人で一緒に、おとーにお別れを言ったの……覚えてる」

あずさ「……っ」

響「それから二人で泣いて……っ」グスッ

あずさ「……うん」

響「どうしてっ……そんな事思い出すんだろッ」グスッ

あずさ「きっと、温かい思い出だから」

ギュウ


響「――!」

あずさ「プロデューサーさんが、沖縄の暖かいイメージがそのまま響ちゃんなんだな、って」

響「……」



134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/06(日) 22:48:47.97 ID:1uE5XE5co

あずさ「別け隔てなく一緒にいられる温かさは誰にも負けない」

響「?」

あずさ「ある人の言葉です」

響「……プロ…デューサー?」

あずさ「そうですよ。さっき言っていました」

響「んー、……別け隔てなくってのがわからないぞ」

あずさ「うふふ」


あずさ「そういえば、小鳥さんは……」

響「ピヨ子……? あ、あの人影」

あずさ「こっちですよ~」

響「……」

あずさ「私達も戻りましょう、プロデューサーさんが心配してるわ」

響「……うん」

小鳥「私は邪魔かなーと思いましてぇ」

あずさ「明日の朝、ここからの景色を望みましょう。海から昇る朝日もいいですね」

小鳥「あの……あずささん……東は向こうですよ。地平線の方」

あずさ「まぁ……東シナ海だからてっきり……!」

小鳥「東シナ海だから東……と覚えたわけですか……」

響「あのね……」

あずさ「?」

響「最近のプロデューサーを見てると……胸の奥がざわざわってする」

小鳥「……!」

響「アニキにそれを言われて……だから自分……怖くなって……」

あずさ「……」

響「二人は……しない?」

小鳥「私も……プロデューサーさんが私たちと違うところ見ているように思う……っ」

響「あずささんは?」

あずさ「……私は、しないみたい」




138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:36:16.87 ID:g3zELUwYo

―――― ホテル・春香達の部屋


春香「うぅー! どうしてあの時チョキを出さなかったんだろぉ!!」ジタバタ

千早「枕に顔を埋めて……気持ちはわかるけど、そのまま表現するなんて春香らしいわね」

律子「気持ちは分かるんだ……」


pipipipipi


春香「千早ちゃんのケータイじゃない?」ジタバタ

千早「うん……。プロデューサーから……?」

律子「あ……伊織たちの事すっかり忘れてた……」


ピッ

千早「もしもし……はい。今は部屋にいます。……え? 響の三線……?」




139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:37:56.62 ID:g3zELUwYo

―― ホテル・ロビー


真「急にどうしたの?」

春香「響ちゃんの三線だって」ワクワク

貴音「さんしん……? ばったぁぼっくすに響が立つのですか?」

律子「アウト決定なのね……」

千早「テレビ電話……?」

春香「そうだよー。顔を見ながらお話できるの」ワクワク

千早「科学の進歩はそこまで……」

真「千早が思っている以上に進んでるけどね……」


pipipipipi


春香「来たっ」


ピッ


春香「はい、こちら天海春香ですっ」


『みんな揃ったのか。庭で演奏するから、聞いていてくれ』


千早「……はい」


『いよっ、ひびきん!』

『 パチパチパチ 』

『なんだか恥ずかしいけど、それじゃ弾くね。 十九の春 』


貴音「?」

千早「沖縄の民謡曲……」

律子「詳しいのね」

千早「響のお母さんに少し教えてもらって」

春香「……」

真「……」

千早「なに?」

春香真「「 いえいえ 」」


『 カンカラカカカン 』

『  わたしが~ あなたに~ ほれたぁ のぉは~ 

   ちょうど 十九の春でしたぁ~        』


千早「え――」

貴音「このような唄い方……今まで……」

真「聞いたことない……」

律子「新鮮ね……」

春香「……」



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:39:08.70 ID:g3zELUwYo

『  もとの~ 十九に しておく~れ~  』

『 カンカラカカカン 』


千早「……」

律子「サンシンという楽器も弾きこなして……」

貴音「……」

真「……」

春香「……」


『   主さん 主さんと 呼んだとて~

    主さんにゃ 立派なかぁたがある~

    いくら主さんとぉ 呼んだとてぇ

    一生 忘れぬ 片想い~       』
  


千早「響……」

律子「どうしたの?」

千早「いえ……なんでも……」

真「?」



『 春がくるような~ 夢を見て

  ホケキョ ホケキョと 鳴いていた~ 』


『 カカカン カン カン カン...... 』  


『ブラボー! ひびきーん!』

『凄いですー!』

『 パチパチパチパチ! 』


春香「なんだか……圧倒されちゃった……」

律子「もったいないことしたわね……」

真「あぁ、どうしてあの時チョキを出さなかったんだろう」

貴音「時の巻き戻しが出来ないのを残念に思います」

真「早送りもできないよ、貴音……」

律子「千早?」

千早「え、あ、うん……凄かった」


『なんだか照れるぞっ』

『凄く良かった。感動したよ、響』

『えへへ、ありがとー、プロデューサー』


千早「……」



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:40:24.86 ID:g3zELUwYo

『響……よかったぞ』

『アニキ、おとーもこの曲をおかーに聞かせたんだよね』

『そうさ。……技術は落ちたけど、気持ちは比べ物にならないな』

『当たり前さー! 自分は完璧だからね!』

『あのさ、響……』

『うん……? どうしたプロデューサー……って、なんで携帯電話をそこに置いてるの?』

『あんたの演奏、数キロ先の千早にまで届いてるわよ』

『『 んっふっふ~ 』』

『……え?』

『ぐろーばるすたんだーど、ですよねー!』


律子「ん?」

貴音「やよいはなんと……?」

真「さ、さぁ?」

春香「響ー! 私達も聞いてたよー!」


『は、春香!?』

『テレビ電話で中継を……な』

『うぎゃーっ! 自分! 演奏ダメダメだったぞー!?』


千早「ひ、響……とても良かったから!」


『おかけになった電話番号は現在使われておりません。
 ピーという発信音の後にメッセージをお願いします。ピー!』

『あらあら』

『喋っちゃダメだぞあずささん!』


律子「使われて無いのに留守電に繋がってるわよ響……」

千早「あ、あのっ、あずささん」


『どうしたの、千早ちゃん?』


千早「響を……その……抱きしめてあげてください」


『ち、千早!? なにを言って――』

『は~い』

『――ふぎゅ!?』


律子「千早、どういうこと?」

千早「多分、何かあったんだと思う……プロデューサーのことで……」

律子「…………え」

貴音「……」

真「……」



142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:41:42.40 ID:g3zELUwYo

春香「響ちゃん、顔が真っ赤だよ~! あはは」


『はるるん、さっきねー、兄ちゃんといおりんがラブラブだったんだよー』


春香「は……」ピキーン

千早「……は?」

律子「今、なんて……?」

貴音「真、貸切り自動車の手配を」

真「かし……? あぁ、タクシー……駆けつけてどうするの!?」


『ちょっと! なに言ってんのよ!?』

『うふん、兄ちゃんの目見せてぇん』

『真美、いおりんは兄ちゃんのこと兄ちゃんって呼ばないよー?』

『あ、そっか。うふん、プロデューサーさぁん、メガネを取りますわぁん』

『いおりんの目綺麗だぜ、ベイベー』


千早「プロデューサー、弁解をどうぞ」


『なんで信じるんだよ!? 伊織はシークヮサーの皮で俺に目潰しをしようと――』

『話を誤魔化そうとするのはプロデューサーさんのよくないところだと思います』

『いや、違うでしょあずささん!?』

『少し見つめ合っていましたよね』

『空気が全然違いますからっ』



千早「……」

春香「……」

貴音「……」

律子「……」

真「現場のプロデューサーさぁーん……ここの空気、張り詰めてまぁーす」


『ま、真は信じてくれるんだな!』


真「当たり前じゃないですか!」


『そうか……!』


真「伊織にそんな度胸無いですからね!」


『なんですって……!?』




143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:47:25.57 ID:g3zELUwYo

真「ボクだってラブラブしたことないのに、伊織にそんな経験あるはずないでしょ」


『プロデューサーの一人や二人、どうってことないわよ! 私の魅力でイチコロなんだから!」


律子「……伊織、その表現」

春香「楽しそうだなぁ……」

貴音「真に」

千早「……」

真「はいはい」


『むっかーっ!』

『プロデューサーは一人なの、二人もいないのぉ』

『あんたは寝てなさいよ!』

『響のサンシン良かったのぉ……あふぅ』

『あとね、レイレイがさーたーあんだぎー占いをしてくれたんだよ~』

『不肖、音無小鳥、来年はいい年だそうです!』

『やったね、ピヨちゃん!』

『サーターアンダギーを転がして食べただけだぞ、ピヨ子……』

『すいません、適当でした』

『えぇー!?』


春香「運転手さんがそんなお茶目なことを……。喉渇いちゃった……」

真「小鳥さん酔ってる……?」

律子「気が沈みそうだったからってところかな……」

千早「小鳥さん、いつも場を明るくしてくれるから」

貴音「……そうですね」


『プロデューサー! あずさとお喋りしてないでこっちにきなさいよ!』


真「邪魔するなよ、伊織!」


『うるさいわよ、見てなさい真』

『そろそろ切るぞ?』

『プロデューサー、少ししゃがんでちょうだい』

『……なにをする気だ』

『警戒するんじゃないの。……ほらッ』

『うぐっ!?』

『ほらね、気がついたら、同じ目の高さ♪』


貴音「強引でしたが」

千早「何を?」

律子「はぁ……なにやってんだか……」



144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:49:16.96 ID:g3zELUwYo

『さっきも思ったんだけど、アンタの目……気に入っちゃったみたいなのぉ』

『は、離せ……』

『暴れないの……、素直にならないとご褒美あげないわよ?』

『まぁまぁ、伊織ちゃん大胆ですね~』


真「……」

貴音「……」


『うふふ、吸い込まれそうになる……素敵な瞳……』

『亜美、真美。協力してるんじゃない』

『ドキドキしてきたよー』

『うぅー、伊織ちゃん、楽しそうですー』

『ほら、じっとして……私をみつめてほしいから』

『あのなぁ……』

『うふふ、まるでドラマのようですね~』


律子「……」

千早「……」

春香「えっと……なんだろう、これ?」


『教えてあげる。メガネを取ると、アンタの目、とっても可愛くなるのよ』

『伊織、怒るぞ』

『二度も通用しないわ。ほら……私に映るあなた……見えるでしょう?』

『……』

『息遣いまで……伝わってくる……ふふ……』

『……伊織』

『あずさがたまにやってるわよね、こうやって額を合わせて……』

『俺がやられてるみたいな言い方するな』

『それはどうかしら、いつも二人一緒だから、知らないところで……』

『おい』

『これは冗談。怒ったりしたら雰囲気が台無しよ?』

『……』

『……』


律子「お……?」

貴音「あずさの様子が……」

千早「さすがに近い」

真「……悔しい、ドキドキしてきた」




145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:50:29.90 ID:g3zELUwYo

『ずっとこうしていましょうか……』

『……』

『それとも、少しだけ進んでみる?』

『伊織』

『な、なによ?』

『冗談だとしても、何の意味があるんだ?』

『……』

『もういいだろ』

『冗談で、こんなことできると思ってるの?』


千早律子真「「「 っ!? 」」」


『アンタも、もう亜美達が抑えていないんだから、逃げられるでしょ』

『やっぱり……何か試しているんだな』

『さぁ……それはどうかしら』

『……』

『少なくとも私は、ドキドキしてる』

『そうか……』

『くしゅっ』

『私の胸に、手を当ててみればわかるわよ』

『いや……』


律子「くしゃみしたの……あずささん?」

真「……」

貴音「そのようで……」

千早「……」


『くしゅっ』

『唇、奪ってもいいかしら?』


律子千早「「 ! 」」

真「……」


『……』

『なによ、その目は』

『俺は伊織のことを分かりたいと思う。だけど、これがどういう意味なのかが分からない』

『……それで?』

『それが少し悔しい』

『……』

『……』



『アンタ、私達に吐いてはいけない嘘、吐いてない?』




146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:51:50.73 ID:g3zELUwYo

貴音「……!」

千早「伊織!」

律子「何を言ってるの!」


『……』

『答えて』

『嘘はついていない。みんなに隠すことはあっても、騙すことは絶対にしない』

『本当に?』

『あぁ。嘘はつかないって、決めている』

『……』

『疑うなら、なにをしてくれても構わない』

『……』

『今、この場で――』

『うるさいバカッ!』

『 コンッ 』

『いてっ!?』

『あらあら、いい音が……くしゅっ』

『いつっ……まったく、石頭なんだから……っ、あんた達も止めなさいよね……』

『何か本気だなーと思ったぞ、自分』

『どうせ止まるんだろうな、と思いました』

『ごごにじゅうご、ごろくさんじゅう、ごしちさんじゅうご』


真「雪歩ー! 九九の練習してないで戻ってきてー!」

貴音「……」

律子「まったく、ギリギリでやることじゃないでしょうに。焦りすぎよ……」

千早「……ふぅ」

真「あずささん、余裕だよね。伊織はそれも試したっぽいなぁ……」

律子「そうね。私も伊織に一杯食わされた感があるのに」

貴音「春香は……?」

千早「飲み物買ってくる、と」

律子「一番の大物は春香よね……」




147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:54:10.97 ID:g3zELUwYo

―――― 我那覇邸・小鳥達の部屋


小鳥「ぅ……ん……やよぃ…ちゃん」ギュウウ

伊織「ちょ、ちょっと……目を覚ましなさいよ……!」

小鳥「だい…じょうぶ……らよ」ギュウウ

伊織「く、苦しい……!」

亜美「抱き枕だね」

真美「兄ちゃんはどこで寝るの?」

亜美「おっとさんの所」




―― 仏間


響兄「へぇ、響が……」

P「一緒にでかけたりとか……?」

響兄「仕事に就く前はありましたけど。上京してからは機会が無くなりましたね」

P「ロケだと響への応援が必ずあるんですよ」

響兄「あのじゃじゃ馬が……頼もしくなったもんだ……」

P「…………」

響兄「……プロデューサーさん?」

P「あ、いえ……」


コンコン


P「……はい?」


「プロデューサー……わ、私です……」


P「雪歩……? どうしたんだ?」


「え、えっと……す、少し話がしたくて……」


響兄「入ってきていいよー」


「お、お話してたんですか? ご、ごめんなさいぃ……」


響兄「終わったから大丈夫、俺は失礼するさ」


「うぅ……」


P「もうこんな時間ですから……」

響兄「話がしたいって言ってるのに?」

P「いえ……これは――」



148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:56:13.71 ID:g3zELUwYo

スーッ


雪歩「し、失礼します……」

P「雪歩、俺はまだいいとは言ってない」

雪歩「で、でも……」

P「こんな時間に男の部屋に入るなんて――」

響兄「はい、そっちに座って」

雪歩「……っ」

P「お兄さん、これは俺の信条です」

響兄「……」

P「彼女達を守り抜くためならなんでもします。けど、これはそれに反していると判断しました」

P「これまでも、これからも、俺は自分が決めた流儀を守っていきたいんです」

雪歩「うぅ……や、やっぱり……」

響兄「建前でしょう?」

P「誓いです」

響兄「……」

P「明日、話を聞くから――」

雪歩「や、やっぱり……居ます! 聞いてください!」

P「雪歩、ダメだ」

雪歩「……っ」

響兄「あのねぇねぇがいたほうがいいのかや……」

P「……え?」

響兄「俺にはよ、プロデューサーさんが距離を置き始めてるとしか思えないさ」

P「……」

雪歩「……」

響兄「……そうだった」

響兄「はい、この続きはあんたに任せたよ」ポン

雪歩「ッ!」ビクッ

響兄「じゃ、おやすみ」

P「あの……」

響兄「?」

P「響の話、ありがとうございました」

響兄「どうってことないさ。ゆくいみそ~れ」


スーッ パタン


P「そんな……ゆっくりしていけって……」

雪歩「……?」



149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:58:18.45 ID:g3zELUwYo

P「……」

雪歩「……ぅ…」

P「…………」

雪歩「……っ……っっ」

P「……雪歩」

雪歩「ぷ、プロデューサーが私の為に叱ってくれているのは分かりますっ」

P「……」

雪歩「でも……でも、明日じゃダメなんですっ。今じゃなきゃ……っ」

P「……雪歩がその意思を通そうとしてるのは解る。だけど――」

雪歩「わかって……いません……。私がわかっていないんですから……」

P「……?」

雪歩「私が……事務所、みんなの足を引っ張っているのは……お荷物なのは知ってます……」

P「そんなこと」

雪歩「あります……。私がこのまま事務所に居ても……プロデューサーの夢が叶えられないことも」

P「雪歩」

雪歩「っ!」ビクッ

P「『夢はみんなまとめてトップアイドル』」

P「そのみんなは雪歩が入っていなきゃいけないんだ」

雪歩「……」

P「だから、そんなこと言わないでくれ」

雪歩「……さっき、伊織ちゃんとあずささんが話をしてるとこ聞いちゃって」

P「話……?」

雪歩「プロデューサーが……隠していることについて……です」

P「……」

雪歩「私も……それになんとなく気付いてたのに……でも、どうしたらいいか分からなくて……」

雪歩「伊織ちゃんが詰め寄っても……それでも言えない事なんだと……ハッキリわかりました」

P「…………」

雪歩「た、頼りにならない、ちんちくりんな私ですけど……っ、私っ、頑張りますからっ!」

P「雪歩……」

雪歩「プロデューサーの夢を叶えるためにも……っ、絶対……絶対に……」

P「そんなに気負わないでくれ。俺の夢がみんなの足枷になっては意味が無い」

雪歩「……足かせなんかじゃ……ありませんよ」

P「……」

雪歩「最近……沖縄に来る……ずっと前から……嫌な夢を見ているんです……」

P「夢……?」

雪歩「プロデューサーが……私達を……置いて……遠くに行く夢……」

P「……!」

雪歩「雪のように……冷たくなっていく感覚……それが嫌で目が覚めて……」

雪歩「最初は……私のせいなんだって……私の仕事が少ないからなんだ……って、思っていました」



150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 10:59:51.64 ID:g3zELUwYo

P「……」

雪歩「だけど……沖縄に来て……プロデューサーと楽しそうにしている響ちゃんを見て、みんなを見て……」

雪歩「隣で微笑んでいるあずささんを見て安心……暖かい気持ちになると同時に……怖くなるんです」

P「……」

雪歩「その暖かさを失わないようにするためには……どうしても……プロデューサーの夢を叶えなくてはいけないんですっ」

P「…………」

雪歩「もちろん、自分のためにも、です。だから、これからもよろしくお願い……しますっ!」

P「悪かった」

雪歩「……」

P「雪歩の意思を解ってるなんて……言ってしまって。全然解ってなかったんだな。知ろうともしないで」

雪歩「い、いえ……」

P「でも……、わかった。伝わったよ、その強い気力。これからも一緒に頑張ろう、雪歩」

雪歩「は、はい……ッ!」

P「…………やっぱり、雪歩の勇気は凄いな」

雪歩「……?」

P「いや。……でも、どうして、急にそんな決意が」

雪歩「亜美ちゃんからケータイの写真を見ました……」

P「写真……?」

雪歩「楽しそうなやよいちゃん、微笑むあずささん、困りながらも二人を気遣うプロデューサー。暖かい場所……」

P「…………」

雪歩「あずささんのように……素敵な人になりたいと……思いました」

P「……ッ」

雪歩「どう……したんですか……?」

P「……いや、なんでも……ない」

雪歩「……」


コンコン


P「はい……?」


「プロデューサーさん、私です~、あずさです~」


P「こんな時間にどうしたんだ?」


「えっとぉ、一緒に眠りたいなぁと思いまして~」


P「あのな……亜美」


「まぁ……」


P「あれ?」




151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:01:02.01 ID:g3zELUwYo


スーッ


亜美「えへへ、バレちゃったかぁ」

真美「真美もいるよー」

雪歩「……ど、どうしたの?」

亜美「それがねー……」

やよい「ぐすっ……」

P「やよい……どうしたんですか……?」

あずさ「ひめゆりの塔で見た写真を思い出したそうです……」

やよい「ぅ……っ……ぐすっ」

P「……」

亜美「亜美も思い出しちゃった……」

真美「…………」

P「……とりあえず、入ってください」

あずさ「……はい」

美希「……」スッ


スーッ パタン


P「ちょっと待ってくれ、美希?」

美希「なぁに?」

P「その枕はなんだ?」

美希「寝るときに使う道具だよ?」

P「いや、そうじゃない」

やよい「ぐすっ……プロデューサー……」

P「明日……大丈夫だろうか」

あずさ「一つ一つ解決していきましょう」

P「……そうですね。……えっと、雪歩はもう解消したというか、な?」

雪歩「……大丈夫です。私も、やよいちゃんが気になりますから、頑張って起きてます」グッ

P「うん……」

亜美「よいしょっ」ファサ

真美「ぽんぽん」ポンポン

亜美真美「「 準備おっけー 」」

美希「ありがとうなの……」ゴロン

亜美「ちょっと、ミキミキ、亜美達の布団で寝ないでよー」

P「俺の布団だ……」

やよい「……っ」

P「座って、やよい」

やよい「……はい」グスッ

P「……」



152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:02:53.60 ID:g3zELUwYo

やよい「写真に写っていた人たち……私と変わらない年齢でした……っ」

P「……うん」

やよい「きっと……友達とか……っ……家族とか……大切な人が……たくさんいたと思います……」

P「……」

やよい「そ、それなのに…っ……離れ離れに……なって……っ…」

やよい「私が……っ……そうなったら……嫌だなって……悲しいなって…………胸が痛くて……っ」グスッ

雪歩「やよいちゃん……っ」

亜美「……っ」

真美「……」グスッ

あずさ「……」

P「それはきっと、大事な痛みなんだと思う」

やよい「……大事……ですか?」グスッ

P「人は、その痛みからは決して逃れられない」

真美「……でも、やだよ……離れたくない……」


P「うん。俺だって離れたくない、ずっと……一緒にいたい……」


あずさ「――ッ!」


やよい「プロデューサー……?」

P「辛く悲しい痛みだ、寂しくなるから、その先を考えてしまうと怖くなる」

亜美「に、兄ちゃん……?」

P「亜美は……そうだな、響と響のお母さんを見て……どう思った?」

亜美「え………………それは……」

P「真美は響のお兄さんと、運転手――嶺さんと一緒に居てどう思った?」

真美「……楽しいと……思った」

P「響に話しかける地元の人たちをみて……やよいはどう思った?」

やよい「楽しそうだと……思いました」

P「こんな言い方……失礼かもしれないけど、沖縄の人は寂しがり屋なのかもしれない」

雪歩「……寂しがり屋」

P「うん。だから、誰かと一緒に居て、楽しく賑わっていたいんだと思う」

あずさ「……」

P「一人じゃ寂しいから、みんなと繋がって、誰かを引き入れてもっと楽しくしようって」

やよい「あ……」

P「俺も寂しがり屋だから、そう……勝手に思っているだけなんだけどな……」

あずさ「賑やかなのが好き、ってそういうことなんですね」

P「……はい」

亜美「亜美も……わかるよ……。みんなといたほうが楽しいもんね」

真美「……うん」

P「やよい」

やよい「は、はい」



153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:04:50.26 ID:g3zELUwYo

P「その痛みから一時的に逃げることも目を背けることも、それは悪いことじゃないと思う」

やよい「……」

P「でも、やよいにはその優しい気持ちを忘れずにいてほしい。……なんて、これは俺のわがままだな」

やよい「はい……! 私……アイドルだから……きっと、楽しくさせる方法がたくさんあるはずですよね」

P「……!」

やよい「な、なんだか……明日が楽しみになってきました……!」

亜美「亜美もだよ……!」

美希「いいなー、お子様チームは……」

P「起きてたのか……って、投票次第では美希達も午後の出場がありえるんだからな」

美希「はーい。おやすみなのぉ」

P「頼むから部屋に戻ってくれっ」

真美「兄ちゃん、寂しいの……?」

P「え……あ……」

雪歩「……そういうこと……ですよね」

美希「どうなの?」

P「いや、今は……みんながいるから……ら……来週からハードになるけど頑張ろうな」

真美「んっふっふ~」

P「待て、俺はここに一人で寝るぞ」

あずさ「えっと……響ちゃんを呼んできますね」

P「どうしてですか!?」


スーッ


響「プロデューサー……聞いてたぞ自分」グスッ

P「くぅ……なんで布団を持ってきている……!」

響母「誰が寂しがり屋って?」

P「私ですね。沖縄の人ではなく私が寂しがり屋なんですね」

響母「あながち間違ってないかもね。ほら、お茶淹れたから、これ飲んで休んでね」

美希「ありがとうなのー♪」

やよい「ありがとうございます……」

亜美「うぅ、眠り茶だよ……」

真美「眠くなるんだよねー……枕投げ出来ないねー」

P「響のお父さんの前で暴れようとするんじゃない」


P「みんな、これを飲んだら部屋に戻って寝ような……」

響「そっかぁ、プロデューサーは寂しがり屋だったのかぁ……」グスッ

P「……っ」

雪歩「ふふっ」

あずさ「響ちゃん……」




154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:06:09.73 ID:g3zELUwYo

――…


チュンチュン

  チュンチュン


雪歩「プロデューサー、起きてください」

P「……ん……? おはよう……」

雪歩「おはようございます」

P「……ん?」

あずさ「すぅ……」

響「くぅ……」

P「嗚呼……お茶を飲んでそのまま寝てしまったのか……」

雪歩「やよいちゃん」ユサユサ

やよい「……は……はい…………あさですか?」

雪歩「おはよう」

やよい「おは…よぅ……ございます……」

P「なにが信条だ……なにが流儀だ……ダメじゃないか俺……」

亜美「すやすや」

真美「むにゃむにゃ」

やよい「美希さん、朝ですよー」ユサユサ

美希「すぅ……」グラグラ

P「……響、朝だぞ」ユサユサ

響「んー? なにー……?」

P「お父さんの夢、見たか?」

響「ふぁ…………見てないぞ……たぶん……」ボケー

P「そうか……。あずさん、朝ですよ」

あずさ「すぅ……すぅ……」

P「……あずさ…さん」

あずさ「……ん…………すぅ」

P「……」

響「ふぁぁ……」



あずさ「すぅ……」

P「……ッ」


雪歩「プロデューサー……?」




155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:07:21.71 ID:g3zELUwYo

P「悪い、雪歩、みんなを起こしておいてくれ……」スクッ

雪歩「え……」


P「……」


スーッ


パタン


亜美「おはよぉ……やよいっち……」

やよい「おはよー」

真美「あれ? 兄ちゃんは……?」

響「……」

雪歩「あずささん、起きてください」

あずさ「……ん…………はい……?」

雪歩「プロデューサーが……辛い顔……してましたよ」

あずさ「……」

あずさ「そう……ですか…………」

雪歩「……」




―― 小鳥と伊織の部屋


小鳥「すやすや」

伊織「朝……ね…………蛇…違うわ……ハブね…ハブに巻きつかれるなんて」

小鳥「やよい……ちゃん……らいじょう……」ギュウウ

伊織「起きなさいよ……小鳥……」

小鳥「……い、伊織ちゃん? どうして私の腕の中に!?」

伊織「あんたのせいで悪夢見たわよ、悪夢」




156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 11:09:04.04 ID:g3zELUwYo

―― 玄関


響兄「色々と大変だろうけど、ちばりよー」

響「……うん。自分には、みんながいるから……」

響兄「あの頃、おまえは小さかったからあまり覚えていないだろうけど」

響「…………」

響兄「真剣に聞いている響の前で、おとーはとっても楽しそうに三線を弾いてた」

響「……っ」

響兄「昨日の夜は逆だったけど、俺はそれを見てとても誇らしいと思ったよ」

響「うん……っ」

響兄「……自慢の妹さ」

響「ありがと、アニキ」

響兄「自分を信じれな、響」

響「うん! なんくるないさー、だよね!!」





「「「 お世話になりましたっ! 」」」

響母「五日間とても楽しかったさ~、また来てね~!」

美希「ご飯おいしかったの~、またね、響のお母さん」

あずさ「それではお元気で、またいつの日かお会いしましょう~」

響母「はいはい、元気でね~」

P「それでは、また」

響母「あんまりみんなを心配させるんじゃないよ、本当に」

P「……は、はい」

響母「響のこと、よろしくね」

P「はい!」

響「それじゃーね、行って来るさー!」

響母「ちばりよー、響!」




157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:02:43.67 ID:g3zELUwYo

【 最終日 】


―――― 北谷・特設ステージ


あずさ「なんだか、懐かしい気分になってきました」

P「え?」

あずさ「今、春、冬、秋、夏、そして私のデビュー、『9:02pm』」

P「……」

あずさ「このライブが終わったとき、私の決心を聞いてください、プロデューサーさん」

P「……」

あずさ「応えなくても、聞いてもらいます」

P「あずささん――」

あずさ「みんな、知りません」

P「……」

あずさ「だけど……みんなの想い、ちゃんと受け止めてくださいね」



P「……ッ」



雪歩「うぅ……よかったぁ……わ、私のせいでアンコール出場できなかったらどうしようって……っ」

真「ボク達だって負けてなかったんだから、当然だって!」

春香「みんなで歌いたいって……私は感動だよっ、千早ちゃん!」

千早「う、うん……春香、落ち着いて」

やよい「うぅー! 武者震いですぅー!」ブルブル

響「やよい、頼もしいぞっ!」


律子「一曲目は我が765プロの看板、あずささんを筆頭に真、響、貴音、千早。二曲目から全員で行くからね」

「「「 はい! 」」」



スタッフ「スタンバイお願いしまーす」


律子「あ、はーい!」

真「それじゃ、あずささん、いつものアレを」

あずさ「アレ?」

春香「コレですよ!」


スッ


あずさ「はいは~い」

真「バシッと決めてやりますよー!」

真美「うーし、やってやろうじゃんかー」



158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:04:14.05 ID:g3zELUwYo

伊織「通過点に過ぎないけど、手を抜くつもりは無いわ」

亜美「メラッてきたよー!」

やよい「うぅー!」

雪歩「よ、よぉし!」

響「みんなに負けないぞー!」

千早「……ふふ」

あずさ「それでは~、765プロ~~」

貴音「……?」

あずさ「ふぁいとぉ~」


あずさ「おぉ~~」

一同「……」


あずさ「あら」

真「あの、あずささん。いつもの気迫はどこへ……?」

あずさ「そうですか? いつもと同じだと思いますが……」

伊織「ちょっと! デビューした時に戻ってるじゃないの! プロデューサー!」

P「気持ちだけじゃなく、感覚まで遡ってしまったか……」

響「えっと、どうするんだ?」

あずさ「それでは、もう一度~、765プロ~~」

春香「ファイトーッ!」


「「「 おーっ!! 」」」


P「あずささん、真、響、貴音、千早!」

「「「 はいっ! 」」」

タッタッタ


律子「ふぅ……空気読めてないのが逆に空気を読んでて……助かったかな」

春香「え……」



『みなさんこんにちは~』

『こんにちはー!』

『はいさーい!』

『……』



ワァァァアアア!



『あらあら、凄い歓声~……うふふ』

『あずさ……?』

『ちょ、ちょっとあずささんどこへ行くんですか!』

『舞台を通りこしちゃダメだぞー!』



159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:05:37.27 ID:g3zELUwYo

P「あぁ……またそれを見るなんて……」

やよい「また、ですか?」

P「あずささんの最初のステージ、緊張しすぎて同じことしたんだ……」

亜美真美「「 あはははっ 」」

P「笑い事じゃないんだが……」

律子「さっきの掛け声といい、今のあずささん、少し変ですね……」

伊織「なにか、あるわね」キラン

美希「おでこが光ったの!」

伊織「鋭い目が光ったのよ!」


『三浦あずさと申します~』

『菊池真ですッ!』

『我那覇響だぞー!』

『四条貴音』

『如月千早です』

『それでは、さっそく。一曲目ですね~』

『響、曲紹介よろしくね!』

『まかちょーけー! それじゃーみんな、行くよー!』



『 THE IDOLM@STER !! 』




……






『 男には耐えられない痛みでも 』

『 女には耐えられます 』


『『『 強いから 』』』


ドォンッ!



ワァァアアアアアア!!





あずさ『うふふ、声援ありがとうございます~!』

響『ありがとーッ!』



マコトサマーッ!



真『ちゃんとボクを見ていてよね!』



160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:06:47.70 ID:g3zELUwYo

貴音『……さて』

千早『二曲目に入る前に……』



アズササーン!



あずさ『まぁまぁ、ありがとうございます~』

千早『あずささん、メンバー紹介を』

あずさ『そうですね。ウチの事務所で歌唱力が高い、如月千早ちゃんです~!』

千早『……えっと』

真『ち、違いますよあずささん! ほら、みんなが今か今かと待ちわびていますよ!』

響『765プロの紹介だよね!』



P「みんな、音楽祭最後のライブだ。思う存分楽しんで来い!」


「「「 はいっ! 」」」


あずさ『リボンがトレードマークの天海春香ちゃんです~!』

春香『こんにちはー! 楽しんでいきましょうねー!』

あずさ『元気がトレードマークの高槻やよいちゃんです~!』

やよい『うっうー! また歌えて嬉しいですー!』

あずさ『双子がトレードマークの双海亜美ちゃん、双海真美ちゃんです~!』

亜美真美『『 双子だよ~ん! 』』

亜美『いやいや、双子がトレードマークってあずさねぇねぇ?』

真美『おやおや、一週回ってザンシンな紹介ですな』

あずさ『繊細な心がトレードマークの萩原雪歩ちゃんです~!』

雪歩『こ、こんにちはーッ!」

あずさ『メガネがトレードマークの秋月律子さんです~!』

律子『ど、どうもー! コンタクトにしたら周りからこの人誰と疑われた私ですー!』

あずさ『おでこ――』

伊織『みんなー! この水瀬伊織ちゃんが出たからには更に盛り上がって行くわよー!』

あずさ『お昼寝が大好き――』

美希『ミキだよー! 思う存分歌っちゃうのー!』


ワァァァアアアア!!





161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:07:32.10 ID:g3zELUwYo

やよい『わぁー、たくさんの人ですねーっ!』

雪歩『す、すごいですぅ!』

真美『ほんとだー、いち、にい、さん、しー』

貴音『何を数えているのです、真美。もしや観客の……』

律子『えっと、私たち765プロのメンバーが旅に出たのよね、伊織』

伊織『そうそう、最初はどうなるのかと思ったけどぉ。伊織、とっても楽しかったなぁ』

亜美『五日連続のエンダーもいい思い出だよね!』

真『沖縄の色んな観光地を周ったよねー』

あずさ『うふふ、それはともかく。二曲目まいりましょう~』

春香真『『 えぇー! いきなり話題を終えた!? 』』

美希『ミキも早く歌いたいから、そうするの!』

響『会場の声援に負け無いよう頑張ろうね、みんな!』


『『『 おぉーっ! 』』』


律子『せっかくの宣伝が……。千早、二曲目の紹介を』

千早『それでは聞いてください MUSIC♪  です!』



P「……」

小鳥「……」




162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:09:00.66 ID:g3zELUwYo

『 さあ PLAY START MUSIC♪
  
  進めGO!! かけ出すMELODY 今へ 』



P「…………」

小鳥「……」



『 もう DON'T STOP MUSIC♪

  掴めGOAL!! のり出すRHYTHM 未来へ 』



P「小鳥さん」

小鳥「はい」



『 PHRASE!!

  心を自由に描いてみよう 歌詞(ことば)にして
  
  声にして 響いてく  』



P「俺、事務所を辞めます」

小鳥「!」



『 FRESH!!

  歌うよ音楽に壁なんてない VOLUME上げて 最高に 

  STANDBY STAND UP 』



小鳥「理由を聞かせてください」

P「逃げます」



『 てっぺん目指せ!! 』



P「……」



『 奏でよう 夢のMUSIC 音符の翼 』



P「みんなにもちゃんと謝ります。夢を中途半端にしたこと」

小鳥「それだけで、納得できると思っているんですか?」



『 どこまでも翔ばたいてゆけるPOWER 』



P「いえ、納得せざるを得ないでしょう」

小鳥「……」




163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:10:09.01 ID:g3zELUwYo

『 鳴らそう 好きなMUSIC どんなKEYだって 』



P「俺のわがままで、彼女達を見てきましたけど。もう限界みたいです」



『 歌えばほら新しいDOOR 開いてく輝いて
  
  始まる世界LISTEN!!  』



P「彼女達は、どこまでも輝いていけるんです」



『『『  私のMUSIC♪  』』』




P「俺は幸運でした」



P「――――。」



小鳥「――そうですか」

P「……驚いてくれるかなって、期待してました」

小鳥「なんとなく、気付いていましたから」

P「……え?」

小鳥「現実味が無いから、小説やドラマのような感覚なのかもしれません」

P「……」

小鳥「でも、彼女は……傍にいましたよね」

P「知らないと、さっき聞きました」

小鳥「彼女の決心を受け止めてください」

P「酷ですよ」

小鳥「私から言えるのはここまで」



……






164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:20:22.06 ID:g3zELUwYo

真『その映像が発売されるかどうか……正直、ギリギリじゃないかな……』

雪歩『そ、そうなの? 楽しかったのにぃ……』

美希『ミキたち、遊んでただけだもんね』

響『そ、それは困るぞ……企画したの自分だから……』

律子『あぁ……私がもっとしっかりしていれば……』

伊織『ちょっとぉ、観客の前で遠い目をしないでくれるぅ~?』

亜美『このおきなーWAの旅は楽しかったよね!』

やよい『すーっごく楽しかったですー!』

真美『真美もめちゃ楽しかった!』

律子『っと、話は尽きないけど、最後の曲を歌いましょうか』

貴音『皆の想いを曲に乗せ、届けましょう』

千早『この曲は、私が苦しんでいるときに、みんなが歌ってくれた歌です』

春香『……』

千早『この歌を聴いて、誰かの心に少しでも伝わるのなら……、
   私が歌うことの意味をこれからも見つけていけると、そう信じて……』


P「千早……」


あずさ『私たちの大切な人へ』



『 約束 』



P「……」


  ねえ今 見つめているよ 離れていても

   Love for you 心はずっと 傍にいるよ 



P「みんなが成長する姿は……とっても綺麗で」



  もう涙を拭って微笑って 一人じゃない どんな時だって

   夢見ることは生きること 悲しみを超える力 



P「アイドルとして、とても魅力的で……」



  歩こう 果てない道 歌おう 天を超えて

   想いが届くように 約束しよう 前を向くこと



    Thank you for smile 



P「ずっと、ずっと……見ていたかった……」ホロリ





165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:21:47.23 ID:g3zELUwYo


……






―――― タクシー内


貴音「……」

真「薬を誤魔化すために、ビタミン剤と……」

雪歩「……ッ」

美希「……あずさは……知ってたのかな」



―――― 


千早「きっと、その先も知ってる」

春香「その先……?」

律子「プロデューサーが、隠し通す理由……」

春香「――え」



―――― バス内


亜美「もぉー! しつこいよー!」

真美「あずさお姉ちゃんを付け狙うパララッチ!」

やよい「あずささんとプロデューサー、大丈夫ですよね……」

小鳥「大丈夫よ、運転手さんが上手く引き寄せてくれたから」

亜美「レイレイの作戦大成功だよねー!」

嶺「恐れ多いですが、あずささんの身代わりになるのは気が引けました……」

真美「いやいや、ナイスバデーだもん」

小鳥「…………」

伊織「響……」



響「プロデューサー……やっぱり……おとーのように……」グスッ



響「いなくなっちゃうの……?」ボロボロ





166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:40:42.78 ID:g3zELUwYo


―――― 浜比嘉島・ビーチ



あずさ「プロデューサーさん、あの端まで行ってみませんか?」

P「……」




あずさ「綺麗な所ですね」

P「……」



ザザァーン



あずさ「あの、怒っていますか?」

P「……」

あずさ「アイドル引退の決心を……黙っていたこと……」

P「……いえ」

あずさ「そうですか……」

P「……あの、あずささん」

あずさ「はい」




「俺には時間がありません」

「……」

「病気を患っていて、…………余命を宣告されました」

「……」

「……約束も………誓いも……守れませんでした」

「……」

「…………沖縄に来るんじゃなかった……」

「……」

「人とのつながりを思い出したから迷いが生まれた……」

「……」

「生きていたい…って……ッ」ボロボロ

「……」

「あのまま……志半ばでも……よかった……ッ」ボロボロ

「……」



167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:42:33.03 ID:g3zELUwYo

「諦めて…いたから……ッ……無心で……いられた…のに……ッ」ボロボロ

「……」

「俺はまた…っ……あずささんとの約束を――」ボロボロ

「手を、お借りしますね」


ギュ


「…っ………っ」ボロボロ

「どきどきしますか?」

「……いえ…………」グスッ

「私も、しません」

「……?」

「去年の秋」スッ

「ッ!?」

「こうやって、おでこを合わせた時、とてもどきどきしましたけど」

「……俺が…風邪気味の時……」

「そうです。つい、うっかり……やってしまって」

「…………」

「不思議です。今は心が落ち着いていくんです」

「……」

「ふふ、伊織ちゃんの言うとおり、あなたの目、可愛いです。気付けなかったのが悔しいかな」

「……あの」

「すいません。話が逸れましたね」

「……」

「知っていました」

「え……」

「あの日に見た……健康診断の通知」

「あの時はまだ……」

「数値を見ても、私には理解できませんでした」

「……」

「それから間を置かず、健康診断を受けるよう社命という形で指示がありましたよね」

「あ…あれは……!」

「はい。私と小鳥さん、律子さんで相談して社長にお願いしたんです」

「……ど、どうして……というか…そろそろ」

「今、離れると私が不安になるので、もう少しだけお願いします」

「……」

「あの吹雪の日、私をプロデュースして下さいとお願いしたのは、隣に・・・いたかったから」

「……」

「あなたが、離れないように、迷わないように」

「……っ」



168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:45:12.74 ID:g3zELUwYo

「遠い彼方へ、行ってしまわないように」

「……」

「私の目を、見てください」

「……ッ」

「……」

「…………どうして」

「ずっと、あなたを目で追いかけていましたから」

「……」

「みんなが不安になったように、私も不安でした」

「……」

「二度目の健康診断の通知を見せていただけなかったことで、私はあなたへの不安が病気だと確信しました」

「……」

「あなたが不安にならないよう、私が頑張っていようって決めていましたけど」

「……」

「それは間違いだったようです」

「……」

「あなたにはみんなが、みんなにはあなたが、必要なんですから」

「それは……俺じゃなくても――」


「キス、してもいいですか?」


「……」

「私、昨日の夜……とても怖かったんですよ?」

「え……?」

「らぶらぶしていたじゃないですか」

「して…ません……」

「余裕なんて全然ありませんでした……」

「……」

「いつも傍にいてくれた……あなたを遠くに感じて……」

「……」

「隣に・・・いてくれるから」

「……」

「私の心は落ち着くことが出来て、安心できるんです」

「……」

「私はあなたの未来を信じられるんです」

「……!」

「諦めないでください」

「……」

「生きたいと……強く願ってください」

「……ッ」



169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:46:37.90 ID:g3zELUwYo

「……」

「~ッッ!」

「あなたの弱さを、初めて感じました」

「うぅッ」ボロボロ

「……ずっと、一緒にいてくれますか」

「でも……ッ」ボロボロ

「私の最後のわがままですから」

「ぅ……ぁ…ッ」ボロボロ

「額だけじゃ心細くなってきたみたいです」


ギュウ


「――!」

「……」

「すいません……こんな…ッ情け無い……ッ」ボロボロ

「情けないなんて……そんなわけないじゃないですか」

「ッッ!!」ボロボロ

「だいじょうぶ。こうして、掴まえていますから」

「……っ…っ」ボロボロ

「離しませんから」

「……安…心……しま…す……っ」ボロボロ

「…………私もです」

「あ…あり……っ……ありが……っ」ボロボロ

「これくらいのことなら、幾らでも」


ギュウウ


「……ッッ」ボロボロ

「……」

「……っ」グスッ

「……」

「すぅ……ッ……はぁッ……」グスッ

「……」

「怖いというより……無念さしか……ありませんでした……」グスッ

「……」

「輝くみんなを見られないのが…………夢を……途中で終わらせてしまうことが……」グスッ

「……」

「だけど……いつも……傍にいてくれたから……っ」

「……」



170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:48:53.51 ID:g3zELUwYo

「俺は……おち…ついていられたんです……」

「……」

「もう……大丈夫……」

「……もう……少し……このままでいさせてください」

「…………」

「いつも一緒にいたのに……あなたを掴まえきれなくて……」

「…………」

「涙を堪えるの大変でした」

「え……?」

「『おれだって離れたくない、ずっと……一緒にいたい……』」

「……!」

「やっと、心の声がきけた……って」

ギュウウ


「…………」

「やっとつかまえることができたんです」

「…………」

「…………もうすこしだけ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「うふふ、すいません、プロデューサーさん。そろそろ離れますね」



P「ありがとうございます、あずささ――」

あずさ「きゃっ!?」ズルッ

P「あ、危なッ!?」ギュウ

あずさ「!」

P「海に落ちるとこだったじゃないですか……」

あずさ「あ、……はい」

P「いくらビーチだからといって……服のまま海水浴は……」

あずさ「あの……」

P「あ、顔見ないでくださいね。……体勢を立て直します……」

あずさ「プロデューサーさんはしてないみたいですね……」

P「窮屈ですけどもう少し……え?」

あずさ「私……どきどきしています……」

P「?」



171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:51:16.58 ID:g3zELUwYo

あずさ「プロデューサーさんに……その……抱きしめられて」

P「あ――」

あずさ「きゃぁ!」

P「あずさッ――!!」


ザッブーン



律子「あらら、落ちちゃった」

春香「あ、あれ……誰もいないよ?」

真「こっちじゃないのかな?」

美希「二人とも残念、とっても素敵なシーンを見逃したの~♪」

春香真「「 え? 」」

貴音「千早、髪を結って……どうされました?」

千早「青臭いかもしれませんが。私もこの日の思い出を作ろうと思います」

律子「千早、二人が落ちたのは事故なのよ?」

真「プロデューサーとあずささんが海に入ってる!?」

千早「如月千早、参りますッ」

貴音「千早」

千早「?」

貴音「わたくしも、付き合いましょう」

千早「あ、あの……っ、勢いを殺がれると……!」

貴音「準備は整いました。いざ!」

タッタッタ


春香「え、えぇ!?」

律子「……まぁ、いいか」



P「あずささん、大丈夫ですか?」

あずさ「はい。貴重品は律子さんに預かってもらっていますから」

P「いや、体の怪我とか……。防水だから、ケータイ壊れてないよな……?」

あずさ「プロデューサーさんは大丈夫ですか?」

P「はい。迷いが晴れました」

あずさ「……」


......タッタッ...



P「こんな俺ですけど……」

あずさ「ぷ、プロデューサーさん……っ」

P「あずささんと――」



172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:53:29.16 ID:g3zELUwYo

千早「えい――ッ」

貴音「せや――ッ」


ザッブーン


あずさ「きゃ!」

P「千早――! 貴音――!?」


ザバァ


千早「ふぅっ」

貴音「……素敵な気分ですね、千早」

千早「えぇ……とっても」


P「なにをしてるんだー!?」

あずさ「えっと……?」


千早「この行為を思い返した時、恥ずかしくて後悔すると思います」

P「……」

千早「それでも、その後悔は……良い思い出としていつまでも残ってくれる」

あずさ「……」

千早「みんなでいつの日か集まって、今を思い出したとき、笑いあっていたいから」

千早「だから、飛び込みました」


P「千早……知っていたのか」

千早「律子と小鳥さんの情報、やよいの敬慕、響の戸惑い」

貴音「伊織の問い、それを裏付けるプロデューサーの行動」

P「……」

千早「そして、あずささんの揺るがない想い」

あずさ「……」

千早「何度否定しても、辿りつく結論は同じ」

貴音「その耐え切れない不安を歌で昇華しようと決意いたしました」

P「…………あぁ、届いたよ」

あずさ「あの、二人ともこっちへ」

貴音「はて?」

千早「はい……?」


亜美真美「「 とぉ――ッ! 」」


ザッブーン


千早「きゃっ!?」

亜美「へへー、千早姉ちゃんだけ楽しい思いはさせないよーん!」



173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:55:01.38 ID:g3zELUwYo

真美「そうだよー……っ!」

貴音「真美!?」

真美「あぶっ……ぶぶっ」バシャバシャ

千早「真美ッ! こっちに!」

あずさ「ま、真美ちゃん!」

P「真美――ッ!」


真美「あ、足着くじゃん」

P「おいー!! 古典的すぎるだろ!」

真美「えへへ、あんがとね、兄ちゃん」

P「そうだった、携帯電話! ……よかった」

P「……みんな、貴重品は?」

千早「運転手さんが……飛び込むかもしれないから置いていけと」

貴音「こうして、身軽な服を身に纏った次第です」

P「この島に来れたのも運転手さんのおかげだよな……世話になりっぱなしだ」



P「……みんな、出るぞ」

あずさ「あ、あの……」

千早「さ、先に出てください……」

貴音「思いのほか、羞恥心が……」

P「あ、あぁ……」

亜美「兄ちゃん、ひびきんが……」

P「え……?」

真美「ライブが終わってから……」

P「……」


あずさ「……」

千早「そろそろ出ましょうか」

貴音「……海は生命の源。これもいい経験かと」


やよい「響さん、どうして……っ」グスッ

雪歩「うぅ……ぐすっ……ッ」

響「……やだっ……やだやだ……」ボロボロ

P「……響、まだ、わからないんだから」

響「もう、あんな思いするのは……嫌ッ」ボロボロ

P「響、手を借りるぞ」


ギュ


P「俺は、ここにいるから」

響「うぅぅ……ッ」グスッ



174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:56:23.01 ID:g3zELUwYo

P「もう、みんなから逃げないよ」

響「ぐすっ……」

P「……」

伊織「話しなさいよ。アンタが抱えているもの」

P「……わかった」


千早「着替えるのはあとですね」

貴音「……」

あずさ「……」

亜美「こ、怖い……っ」

真美「え……」


P「春香、美希、真もこっちに来てくれ」


春香「……はい」

美希「……」

真「……」


P「とりあえず、座ろう、みんな」

響「……っ」グスッ

P「765プロの今後についてから話す」

あずさ「……」


P「あずささんの引退が決まった」

亜美「え……」

真美「え……!」

やよい「本当ですか……!?」

あずさ「はい。私はアイドルを引退することに決めました」

真「……」

美希「……」

雪歩「……っ」

P「そして、千早」

千早「はい……?」

P「正式に移籍の話が来た」

春香「え……!」

千早「私が移籍……?」

P「千早の敬愛する人だ」

千早「え!?」

小鳥「すぐにでも来て欲しいと、先ほど社長へ連絡が入ったそうです」

真「小鳥さん……」

小鳥「うまく撒いたわ」



176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 21:58:34.98 ID:g3zELUwYo

千早「イタリア……」

小鳥「後日、事務所へいらっしゃるそうですけど……」

千早「……」

亜美「ま、待ってよ! なんで……なんで急にこんな!」

真美「そうだよ! いきなりすぎるよ!!」

伊織「……」

P「千早の気持ちを一番に考えるそうだ」

千早「彼女は、この音楽祭の為に来日していたのですね」

P「あぁ。彼女はとても――」

真美「待ってよ兄ちゃんッ!」

P「……」

真美「あずさお姉ちゃんが引退するってだけで寂しいのに! 千早姉ちゃんまでいなくなるって!」

亜美「い、嫌……だよ…………」

P「事務所から二人去ることになるが、一人はあずささんじゃない」

亜美「ど、どういうこと……?」

美希「……」

P「あずささんは俺の跡を継ぐ」

響「――嫌ァッ!」

あずさ「響ちゃん……」

真美「え、え?」

やよい「ぅ……!」グスッ

P「響、俺は――」

響「聞きたくないぞッ!!」

P「……」

あずさ「響ちゃん、プロデューサーさんが寂しがり屋さんなのは、昨日聞きましたよね」

響「うぅ……!」

あずさ「大丈夫だから。いなくならないから、ね」

響「……ッ」


P「俺の命は、来年の春まで持たないと宣告された」


雪歩「――!」

真「――な」

亜美「なにそれ――」

真美「――いや」

やよい「ううぅっ」ボロボロ


P「手術をしても助かる見込みは無いと」


伊織「……なによ……それ」

律子「……ッ」



177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:01:20.39 ID:g3zELUwYo

小鳥「……」

春香「……」

美希「……」

伊織「どうして…隠していたのよ……」


P「一番近くでみんなの成長を見ていたかったからだ」


伊織「なによ……それ、バッカじゃないの!?」

P「……」

伊織「アンタの為に私たちが居る訳じゃないでしょッ!」

やよい「伊織ちゃん……!」ボロボロ

伊織「ふざけないでよ! 今までで一番ムカついたわよッ!!」

やよい「伊織ちゃん~!」ガバッ

P「……すまん」

伊織「離して…このバカは引っ叩かないと――」

やよい「それで痛い思いするの伊織ちゃんだよ!?」ギュウウ

伊織「――ッ」

やよい「プロデューサーのこと、本当に心配してたの知ってるよ!」ボロボロ

伊織「ち、違う……ッ…」

律子「……いおり」

伊織「……ッ」

律子「どうして怒っているのか、落ち着いて考えてみて」

伊織「…………っ」

伊織「アンタ、夢を……どうするつもりだったのよ」

P「……途中でも構わないって思っていた」

伊織「この――ッ!」

美希「酷いよ」

P「……」

美希「私たちの夢も、プロデューサーを含めた全員でトップに立つことなのに」

P「……」

伊織「アンタだけ、途中で降りたら、私たちはどうなるのよ……!」

やよい「うぅぅ……ひぐっ……ぅぅっ」ボロボロ

貴音「やよい」

やよい「うぅ…~っ」ギュウ

真「ずっと見ていて欲しいのに…………あんまりじゃないですか……ッ!」グスッ

雪歩「き、昨日……一緒に頑張ろうって……っ……言ってくれたのに……ッ」ボロボロ

P「一人、勝手に諦めてた。すまない」

伊織「……許さないん…だから……」グスッ

P「……」



178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:03:42.41 ID:g3zELUwYo

春香「本当に……治らないんですか……」

P「入院して、延命しても……意味が無いと思ったから、俺はその時間で限りを尽くそうと思っていたんだ」

律子「思っていた……って……」

P「俺は、生きることを諦めない。諦めないでいれば、希望は見えると思う……いや、見える」

亜美「兄ちゃん……ッ……兄ちゃんっっ」ボロボロ

真美「……ほん…と…う……に…………」

P「『夢はみんなまとめてトップアイドル』」

P「――だから」

あずさ「私たちの夢を叶えましょう」

千早「夢……?」

あずさ「私たちにしか出来ない夢を」

千早「――!」

真美「だって……あずさお姉ちゃんは……」

あずさ「私にもまだ、やるべきことが残っています」

やよい「ぐすっ……」

響「……」

春香「やろうよ、みんな」

亜美「はる…るん……?」グスッ

P「春香……」

春香「私、プロデューサーさんの為にも絶対にトップに立ってみせる」

あずさ「……」

真美「でも……ッ」

春香「夢を叶えて終わり。なんて絶対にさせない」

伊織「……っ」

春香「 歩いて行こう 決めた道 歌って行こう 祈りを響かすように 」

千早「 そっと誓うよ 夢を叶える 君と仲間に 」

P「――!」

春香「明るさだけが取り得の天海春香! 頑張りますっ!」

貴音「目指した先にある景色、プロデューサーにお見せしましょう」

P「それは……」

小鳥「お礼なんて言わないでください、当たり前なんですから」

律子「みんなを守ってやりますから、期待していてください。少し棘アリですけど」

真「真は期待に応えられる強い人、なんて言われちゃ止まってられないじゃないですか!」

亜美真美「「 みんなに元気を渡せばいいんだよね 」」

やよい「私……優しくなんてないですけど、少しでも誰かに伝わったら……嬉しいです」

P「……ッ」

雪歩「わ、私……臆病で頼りないかもですけど…ッ……絶対自分に負けませんから!」

伊織「高いところからの視野なんて、あるのかわからないけど、見ていてあげるわ」

美希「みんなを導いてやるの!」



179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:05:13.60 ID:g3zELUwYo

伊織「ちょっと、なによそれ」

美希「だって、プロデューサーがそう言ったんだもん」

伊織「アンタ、美希に変なこと――」

「――ッ」

伊織「……」

あずさ「嬉しくて顔を上げられないそうです」

「か、勝手に代弁しないでくださいっ」

あずさ「うふふ」

千早「私の歌声を、みんなに届けたい。だから、イタリアへ行きます。プロデューサー」

P「……あぁ、厳しいだろうが、千早なら乗り越えられる」

千早「はいっ」


千早「私の歌を、天を超えてあの子へ届ける。それが、私にしかできない事……」


千早「ありがとう、あずささん」

あずさ「…………うん」




181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:06:45.19 ID:g3zELUwYo


響「……」


P「響」


響「……」


P「ひびき……?」


響「…………」


P「俺こと……お兄さんから聞いたのか?」

響「……おとー、自分たち家族の為に……頑張って、気付いた時には……って」

P「知ってたんだな」

響「……なんだか、疲れちゃった」

P「え……?」

響「なんかね……力が入らないよ……」

P「……!」


響「おかーや、アニキ……みんなが応援してくれたのに……自分……」


響「ステージが終わって…………目的がなくなったみたい……」


響「また……家族がいなくなる…………」


響「自分……もう…………疲れた」


響「……こんな気持ち……面倒だな――」


P「立ってくれ、響」

響「……」

P「ほら、立つんだ」グッ

響「……ん」

P「響から貰った、暖かさ、返すぞ」

響「え……?」

P「……悪い」

ギュウ


響「……!」

P「俺のことで悩ませていたのに……あんな最高のステージに立てたんだ」

P「感動を通り越して、俺は響を尊敬するよ」

ギュウウ


響「ぷ、プロデューサー……!」

P「ありがとう、響……」

響「うぅ……っ」



182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:09:01.80 ID:g3zELUwYo

P「みんなと沖縄でずっと一緒に過ごせて、良かった」

響「うぅっ」ボロボロ

P「響の暖かさに触れて……本当に良かった」

響「うぅぅ……あぁぁぁああああ!!!」

P「大丈夫だから……」

響「やだ……やだぁ……!」ボロボロ

P「……ひびき」

響「おとー……っ……に……会いたいのにっ……会えな…いんだよ……!?」ボロボロ

P「……っ」

響「いやだ、こわいっ……もう……っ」ボロボロ

P「ひびき……ッ!」


あずさ「 約束 」

P「……!」

あずさ「約束を――もう一度してください」


響「や…やく……っ…そ……く……?」グスッ


P「俺は、いなくなったりしない」


響「――! ぜ…絶対…だからね……プロデューサーッ!」

P「……あぁ」


P「響、俺と約束だ」

響「……うんっ……す…る……約束……したからねっ」グスッ

P「あずささんの言葉で落ち着いたのか……暖かさ、全然伝わってないじゃないか」

響「だって……プロデューサー……冷たいんだもん」グスッ

P「海に入ってたからな……」

響「へへ、でもね……少しだけ……温かい」グスッ

P「……こんな俺でも、少しは伝えられたのかな……」

ギュウ


響「……うん……あたた……かいっ……」ボロボロ

P「……俺も、教えてもらったから」

響「ぅぅっ……こわい…けど…………がんば…る……よッ」ボロボロ

P「ありがとう、響」

響「ま…まだ早いぞ……」グスッ

P「そうだな、一緒に頑張ろう」



183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:11:44.26 ID:g3zELUwYo

響「うん……。あのね……それはいいんだけどね」グスッ

P「なんだ?」

響「あずささんという人がいながら、いつまで自分に抱きついてるの?」グスッ

P「あぁ、すま……ん? なぜそれを?」

響「お、お見通しだぞ……っ」

あずさ「うふふ」


真美「し…信じて……いいの……?」グスッ

P「頼りない俺を支えてくれ」

亜美「しょ、しょーがないな! 兄ちゃんは! 亜美達が居ないと……ダメだね、ダーメ!」

小鳥「……っ」グスッ

律子「……」

美希「今度は絶対……破らないでね……」

P「あぁ……」

あずさ「……」


やよい「ぐすっ……」

伊織「やよい、今はそんな顔してる時じゃないわ」

やよい「……うん」

伊織「あのバカに病気のことを忘れさせるくらい楽しませなきゃ」

やよい「……どうして」

響「ずっと……一人で抱えていたんだよね……」

あずさ「ずっと……私たちに悟られまいと一人で」

やよい「どうして話してくれなかったんですか……?」

あずさ「寂しがり屋さんだから。みんなと一緒にいたいから」

小鳥「それが裏目に出ていましたけど……ぐすっ」

律子「まったく……バカプロデューサー」


あずさ「律子さん、プランを考えてみました」

律子「プラン?」

あずさ「今まで、私のわがままでプロデューサーさんは一緒に活動していましたけど」

律子「もう、前を見ているんですか、あずささん」

あずさ「ここからが正念場だと思っています」

律子「どこまでみているんですか?」

あずさ「ずっと未来まで、ですよ」

律子「わかりました。私だけじゃなく、全員に伝えなくては……」

あずさ「そうですね」




184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:15:09.87 ID:g3zELUwYo

律子「みんな集まってー!」


美希「どうしたの?」

千早「?」

律子「えっとね。とりあえず今のみんなの状況を伝えるわね」

真「状況?」

律子「あずささん、プロデューサーが入院するまでってどのくらいですか?」

あずさ「通院しながらですから、秋までの2・3ヶ月です……短くみて」

美希「大体合ってると思う」

律子「その計算の早さ……なんだろう……」

響「以心伝心だよね!」

律子「まぁいいや。プロデューサーは嫌うんだけど、ランクで分けてみるわね」


律子「あずささんが765プロの看板として、ランクAAの位置。つまりトップにいる」

あずさ「ここまで来ましたから、ランクS――頂点を目指します」

律子「プロデューサー無しでですか?」

あずさ「……はい」

律子「大きなこと言ったんですから、自信なさそうにしないでください。とりあえず話を続けます」


律子「次が真と伊織のランクBBB。これも……1・2ヶ月でランクA――トップに到達できる」

真「それじゃ遅いと考えたほうがよさそうだね」

伊織「そうね」

律子「それで、美希がランクBB。今回の音楽祭でみんな上がるでしょうけど」

美希「みんなを引き上げる為にも、早く駆け上がらなきゃいけないの」

律子「そして、春香、響、貴音、千早のランクB。2ヶ月のライブ漬けでAに到達できるかなってとこ」

貴音「承知いたしました」

春香「よぉし!」

響「頑張りまくるぞー!」

千早「……」

律子「プロデューサーと一緒に仕事をして、動き回らないといけない亜美、真美、やよいのランクCCC」

亜美「ただ遊んでるだけじゃダメだね、真美!」

真美「そうだね、もっともっと遊ばなくちゃいけないよね! 亜美!」

やよい「うぅー! やりますよー!」

律子「そして、ランクCの雪歩」

雪歩「はい!」

律子「雪歩の問題は精神面だったから、今回の旅で格段に上がっていくわ」

あずさ「雪歩ちゃんにしかできない……ですよね」

律子「……はい。プロデューサーが言いそうな事をどうして」



185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:16:43.43 ID:g3zELUwYo

美希「律子は?」

律子「え? ……私は……その……ランクB?」

あずさ「セルフプロデュースしていけば、1ヶ月でランクAだと思います」

美希「どうして?」

あずさ「私の前に、プロデューサーさんは律子さんをプロデュースしていたのよ」

美希「そうだったんだ」

律子「なぜ……そう思うんですか?」

あずさ「うふふ、プロデューサーさんといつも一緒にいますから。大体は」

律子「一緒にいてわかる内容じゃないんですけど……」

あずさ「引退後はプロデューサーとして、みんなを支えたいと思っています」

律子「……なるほど。だから以心伝心なわけですか」


小鳥「3ヵ月後にライブを行い、それを大成功させればトップアイドルですね」

律子「えぇ。みんな、わかってるわね」

「「「 はいっ! 」」」

律子「この中の全員がランクAまで到達、そしてドームライブを2daysクリアして初めて夢が叶ったと言えるわ!」

春香「はい!」

真伊織「「 えぇー!? 」」

美希「あずさのすぐ後ろにいるのに、怖気づいてるの」

伊織「い、言ってくれるわね……!」

真「ど、どれだけ大変か……って……」

響「みんなの夢、必ず掴まえてみせるさー!」

やよい「……うん」

真伊織「「 ……むむ 」」


千早「あずささん、アレをやりましょう」

あずさ「えぇ、みんな、手を……!」


スッ


律子「あずささん、みんなの前で一つ確認させてください」

あずさ「なんでしょう?」



186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:17:56.94 ID:g3zELUwYo

律子「知っていて、辛くなかったんですか?」

春香「……」

美希「……」

千早「……」

真「……」

雪歩「……」

やよい「……」

伊織「……」

亜美「……」

真美「……」

響「……」

貴音「……」

小鳥「……」

あずさ「大切な人の隣にいるんです。辛いわけないじゃないですか♪」


美希響真雪歩「「「「 ――ッ! 」」」」

やよい伊織亜美真美「「「「 ――! 」」」」

千早貴音小鳥「「「 ……強い 」」」

春香「そうですね! 私たちの大切な人ですよね!」


律子「一人解ってなさそうだけど……気合入った……!」

あずさ「これからは春香ちゃんがお願いね」

春香「わ、わかりました!」

律子「初日に千早の凱旋ライブ、ラストはあずささんの引退ライブ! やり遂げるわよ!!」

春香「765プローッ、ファイトーッ!」


「「「 おぉーッ!! 」」」


律子「……よし!」

亜美「そうと決まったら兄ちゃんと遊ぼー!」

真美「あ! レイレイと雑談してるよー!」

雪歩「あ、あずささんもいつの間に!?」

律子「あずささん……プランは発表しないのね……」

美希「今は結束を固めただけなの」

律子「うぅ……あの迷コンビ……!!」




187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:20:25.87 ID:g3zELUwYo

P「神々の住む島……」

嶺「この島にはシルミチュという男神、アマミチュという女神が住んでいたと伝えられています」

嶺「アマミチュのお墓があり、無病息災、五穀豊穣、子孫繁昌を祈願されていますね」

あずさ「…………」

P「しるみちゅとは別なんですか?」

嶺「はい。神様達が住んでいたとされる洞穴がありまして、子宝を授かる霊石もそこに」

あずさ「……!」ボフッ

嶺「?」

P「あずささん? 顔が真っ赤ですけど……寒いんですか?」

あずさ「い、いえ……っ……なんでも……っ」カァァ

嶺「私、何かおかしなことを?」

P「いや……言ってないと思いますけど」

嶺「あ……あぁ……なるほど」

P「昨日もくしゃみしてましたけど、体調悪いんじゃないですか?」

あずさ「違い……ましっ……」

P「とりあえず、心配しなくてもいいんですよね?」

あずさ「だいじ…です…っ」

P「何が? ……それでアマミチュはニライカナイから来たと」

嶺「あ、はい」

伊織「このバカッ!」チョキン

P「いてっ!? 耳が! カニで攻撃!?」

伊織「あずさに変なこと言ったんでしょ!」

P「言ってないですよね!?」

あずさ「そ、そのっ……は、はい」カァァ

P「待ってください、それは言いましたって反応――」

伊織「アンタ、見かけによらず」

P「待ってくれ……なにがなんだか」

あずさ「あ、あのっ……プロデューサーさん…っ……」カァァァッ

P「どうしたんですか!?」

嶺「あの、私……お二人の間柄を知っていますから」

伊織「そうじゃないのよ、このバカは……!」

P「律子と今後について話してくるっ」

ザッザッザ


嶺「シルミチュ」

あずさ「……!」ボフッ

伊織「なによそれ?」

嶺「後で案内しましょうか?」

あずさ「……っっ」コクリ

伊織「ちょっと! 教えなさいよ!!」



188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:23:07.82 ID:g3zELUwYo

小鳥「まだ日は高いから、もう少しだけ楽しむ時間を――」


P「……なるほど、そうか」

律子「千早は、海外での経験が日本にいるよりも力をつけるのではないかと」

P「あぁ、俺もそう思っていた。新しい環境、慣れない生活、厳しい状況だけど」

P「千早の先生となる方は本物だから、吸収できる速度が計算できないけど、3ヶ月で充分だな」

律子「はい」

P「それと……律子、これから俺の仕事を託していくことに――」

律子「私じゃないですよね」

P「……律子が765プロを引っ張って――」

律子「最初の内はですか?」

P「怒ってる?」

律子「当然です」

P「……すまん」

律子「千早の件は、私を無視して一人……いや、あずささんと二人で進めちゃって」

P「……」ズキッ

律子「周りを頼れと言っていた本人様が、周りを不安にさせるだけでしたからね」

P「……」ズキィ

律子「これで約束まで破ったら、許しませんから」

P「……わかった」

律子「わかれば、いいです」

P「ありがとう、律子」

律子「…………はい」

P「……」

律子「こ、これからも礼を言わせますから、どんどん頼ってください」

P「律子は代わりの利かない相棒だな」

律子「……そんな感じですね。私も頼りにしてますから」


律子「人生の伴侶はちゃんと掴まえていてくださいよ?」

P「わかってる」

律子「うわ……恥ずかしい」

P「言ったの律子だろ」

律子「しかし、驚きましたね。音楽祭の評価を棄権してまで、みんなで観光をしたいだなんて」

P「あぁ」

律子「そのツケを取り戻すのは容易じゃありませんけど。それ以上の期待はできる」

P「……」

律子「どうしたんですか?」

P「俺、恵まれてるな……と」

律子「やめてください、そんな台詞吐くの……」

P「そうだな。自分を蔑ろにするのはもうやめる。……律子も泳ごう」



189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:24:21.76 ID:g3zELUwYo

律子「嫌ですよ。水着ならともかく服着て泳ぐなんて」

P「それが沖縄スタイルだそうだぞ。運転手さんが言っていた」

律子「……」

小鳥「律子さん、私が撮影していますから」

律子「……やっぱりいいです」

P「真ー! 美希ー!」

律子「?」


美希「どうしたの?」

真「なんですか?」

P「律子が海に入るの遠慮してるんだ」

美希「ふぅん……」ガシッ

真「そうなんだ」ガシッ

P「メガネ取っておこうな」スッ

律子「ちょっと!?」

ズルズル

律子「止めなさいよ! 怒るわよ!?」

美希「怖くないよー」

真「真に」

律子「貴音の真似、面白かったわよ。だから、離して、真、ね?」

真「Non」



P「ちょっと、バカになってきます」

小鳥「ふふ」



真「ここから放り込もう」

美希「貴音、よろしくなの」

貴音「次は律子ですか」

律子「や、やめなさい」

貴音「御意」ギュ

P「足は俺が」

律子「ちょっとーー!!」


真美「かもん、律っちゃーん」

やよい「えへへ、楽しいですよー!」




190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:25:55.88 ID:g3zELUwYo

貴音「いち、にの」

P「さん」

P貴音「「 はい 」」ポイッ


律子「きゃぅ」


ザッブーン


千早「大丈夫?」

律子「……まったく」ポタポタ


伊織「にひひっ、律子も形無しね」


律子「プロデューサー、次はそのキジムナーを」


伊織「誰が妖怪よ!」


P「……」スッ


伊織「ふんっ」サッ


P「なに……!?」


伊織「アンタに捕まるほど私は馬鹿じゃないのよ、べーっだ」

タッタッタ


あずさ「……はい」ギュウ

伊織「――ふぎゅう!?」

美希「サルトッテはミキが預かっててあげるね」

伊織「シャルルよ……鼻が……」ヒリヒリ

あずさ「ふふふ、伊織ちゃんも一緒に遊びましょう……ふふ」

伊織「な、なによ、この迫力……あんた……昨日のこと……やっぱり……」

あずさ「うふふ」

P「二人に放り投げられるのと、遠心力、どっちだ?」

伊織「……遠心力」

真「乗り気じゃないか伊織!」

美希「ふぅん」

あずさ「……あら」

伊織「ほら、しっかり握ってよね」

P「海に飛び込みたかったのか……?」ギュ

伊織「……海以外のところに放り出したら、怪我じゃすまないんだから」

P「じゃ、止めよう」

伊織「はぁ……本当に夢は叶うのかしら」

P「……行くぞ」ギュ

伊織「うん」



191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:27:29.77 ID:g3zELUwYo

P「……よしっ」ブンッ

伊織「……ッ!」


やよい「伊織ちゃん楽しそう」

真美「スリルだよ、スリルを楽しんでいるんだよ」


ブンッ ブンッ


伊織「小さい頃、お父様にされたことがある」

P「余裕だな、伊織」


ブンッ


P「そろそろ離すぞ」

伊織「……」


ブンッ


P「それ――」

伊織「……」ギュ


ブンッ


P「おい!?」

伊織「ちょっと、怖くて」ギュ


ブンッ


P「バ、バカ!!」

伊織「馬鹿とはなによ!」


P「待て待て待て」

伊織「ほら、止めなさいよ」

P「わかってる」

伊織「……」


P「……ふぅ、怖かった」

伊織「だらしないわね」ギュ

P「いや、伊織が怪我したらと思うと怖いだろ」

伊織「……」ギュ

P「……それほど勢いは出してないけど」

伊織「少し、目が回って」フラリ

P「大丈夫か?」

伊織「にひひっ、駄目みたぁい♪」ギュウ


トンッ




192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:29:26.19 ID:g3zELUwYo

P「いお――」


ザッブーン


千早「伊織?」

律子「また、この子は……」

亜美「あれ? はるるんは?」

やよい「見てないよー?」


ザバァ

P「最初から巻き添えにするつもりだったのか……」ポタポタ

伊織「いつつ、足を捻ったわ」

P「わ、わかった。真、マッサージしてやってくれ」

真「わかりました!」

P「ほら、砂浜まで行くぞ」

伊織「さすがプロデューサー、優しいのねぇ……」チラッ


あずさ「!」

美希「むぅ! でこちゃんのやりたい放題なの!」

律子「こら! 伊織!!」


伊織「いつっ……着水した時ね……」

P「……何か企んでないか?」

伊織「疑うなんてひどいわね。ここでいいわよ」

P「いや、ちゃんと水から上がったほうが」

伊織「菊池流、足払い」グイッ

P「うおっ!?」


ザブーン


真「こらー! 勝手に伝承するなー!」


伊織「ふふ、昨日の続きをしましょうか」

P「どこが足払いなんだ……」



小鳥「視聴者のみなさん、沖縄は海だけじゃありません、空も美しいのです」

小鳥「 空になりたい 自由な空へ 翼なくて 翔べるから素敵ね 」



伊織「ほら、海に浸かりながら密着すると、不思議な気分にならない?」

P「……どくんだ、伊織」

伊織「相変わらず、女性を傷つけるのがお上手だこと」

P「……ッ!」

伊織「ふふ、アンタにはいい薬ね」



193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:31:16.60 ID:g3zELUwYo

P「……」

伊織「あずさと大分近づいたみたいだけど、まだまだ私が入り込む余地はあるみたい」

P「…………」

伊織「? なんとか言ったらどうなの?」

P「昨日はわからなかったけど、今はわかる」

伊織「へぇ、答えてみなさいよ」

P「俺とあずささんを困らせたいだけだろ」

伊織「正解。よくできた子には、ご褒美を……」スッ

P「……」

伊織「……」

P「……」

伊織「後ろに退がらないと、本当に奪うわよ」

P「伊織、怒ってるのか」

伊織「当たり前でしょ。私の夢を、アンタなんかに潰されそうになったんだから」

P「……そうか」

伊織「…………」

P「まだなにか……あるのか……?」

伊織「バカね、それを言っちゃったら、後には引けないじゃない」


ギュウ


P「!」

伊織「私の胸の響き、伝わる?」

P「……あぁ」

伊織「昨日の夜も、私の呼吸、伝わっていたでしょ」

P「…………あぁ」

伊織「それなのに、どうしてアンタの鼓動は落ち着いているの?」

P「……」

伊織「あずさに対してもそうなの?」

P「…………そうだった」

伊織「……」

P「みんなの存在は俺にとって、とても崇高なものだったんだ」

伊織「……」

P「そこに、男性としての好意を含んでしまうと、みんなの輝きが陰ると判断した」

伊織「…………」

P「心配させてしまったから、ちゃんと言うけど」

伊織「……なによ」

P「輝くみんなを見ているだけで、救われていたんだ」

伊織「ふざけるんじゃ……っ……ないわよ……ッ」



194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:33:41.09 ID:g3zELUwYo

P「それが俺の生きている意味だと、悟ったつもりでいた」

伊織「……ッ」

P「だけど、そんな諦めていた俺を、いつも傍で見守ってくれていた人が……」

伊織「あ…………ごめん」スッ

P「たまに素直になるな」

伊織「空気読みなさいよ」

P「……すまん」

伊織「やっぱり、腹が立つのよね」

P「……え?」

伊織「私たちはアンタだけの神様じゃないのよ?」

P「…………失礼なことをしていたと思う」

伊織「これでも人間よ。……あずさに嫌な思いをさせるのは本意じゃないけど」

P「?」

伊織「あずさと、キス、したの?」

P「いや、ま――どうでもいいだろ!?」

伊織「まだなのね……お子様なのはどっちよ」スッ

P「止まるんだ」

伊織「……なによ」

P「沖縄の神々は人間味が溢れてて、どの逸話も身近な感覚で捉えることができるんだ」

伊織「……それで?」

P「兄妹の神話が幾つもある。親と子の繋がりより、兄妹の血の濃さが表れているとか」

伊織「何が言いたいのよ」

P「俺は伊織のことを実の妹のように――」

伊織「アンタ、緊張すると口数が無駄に多くなるのよね」スス

P「話を聞くんだ、伊織」

伊織「アンタにならいいわ。私の初めて、あげる」

P「俺は伊織を信じ――」

伊織「……っ」スッ

P「……ッ」


コンッ


伊織「いった!」

P「怒らせたのは悪いと思うけど、頭を冷やせ」

伊織「……ここまでさせて……私のプライドはどうなるのよ」

P「だから、悪かったって――」

伊織「本当の兄妹の方が良かったかもね……ッ」スッ

あずさ「はい、お仕舞いですよ~」ギュッ

伊織「……あら残念、時間切れ」

P「……はぁ」



195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:35:19.27 ID:g3zELUwYo

伊織「遅いんじゃないの?」

あずさ「もぅ、伊織ちゃん」

伊織「わ、悪かったわよ……あんた達があまりに無防備だから……つい」


律子「つい、じゃないわよっ!」

ビシ コンッ

ビシ コンッ


P「いつっ」

伊織「ぎゅぅ!? チャームポイントに――」

律子「正座」

P「はい」

伊織「……はい」


ザザァーン


やよい「春香さんそこですー!」

春香「きゃー!」

真美「後はひびきんだねー!」

亜美「出てきたところを捕まえてやるさー!」

千早「きゃ!」

ザッブーン

真「千早ー!!」

雪歩「あ、足元をすくわれた!?」

貴音「次はわたくしが鮫の役を演じましょ――うッ」

ザッブーン

亜美真美「「 お姫ちーん!! 」」

雪歩「親指を立てながら沈んでいった……!?」


ザザァーン


律子「で、今のなに?」

P「わかりません……」

律子「めーごーさー!」ゴッ

P「いづっ! 本気の拳骨か……」ズキズキ

律子「……」

伊織「どこかのバカのせいで、私に魅力が無いのだと思っていました」

律子「暴走気味だったけど、まぁいいわ。ほら、亜美たちと遊んできなさい」

伊織「はーい♪」

P「え!?」

律子「馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、ここまで馬鹿だとは」

P「……評価が地に落ちた」




196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:37:27.81 ID:g3zELUwYo


小鳥「……ふぅ、びっくりしたぁ」



律子「あとはお願いします」

あずさ「……」

P「あ……」

あずさ「プロデューサーさんがそういうのにマヒしているのは、知ってます」

P「……はい。アイドルを女性としてじゃなく、偶像信仰の対象としているみたいです」

あずさ「…………」

P「…………」

あずさ「怖かったんですよ?」

P「……はい」

あずさ「……さっき……しておけば……よかった」

P「……えっと、体力のあるうちに」

あずさ「……え?」

P「失礼します」

あずさ「きゃっ!」



小鳥「まぁ、お姫様抱っこ♪」ウフフ



ジャブジャブ


あずさ「ぷ、プロデューサーさん……ッ!」

P「目を瞑ってください」

あずさ「え、え? この体勢で?」

P「大きく息を吸い込んで、行きますよ、一緒に海に堕ちましょう」

あずさ「そっちなんですか――っ!」

P「えいっ」


ザッブーン



美希「……」





197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:38:43.26 ID:g3zELUwYo

あずさ「も、もう……!」

P「いきなりですいません」

あずさ「うふふ、少しガッカリしましたけど嬉しかったりします」

P「そ、そうですか……ガッカリ?」

あずさ「あ、いえ……」

P「……っ」

あずさ「……っ」

P「……」

あずさ「……っっ」

P「ありがとうございます、あずささん」

あずさ「……」

P「……いつも支えてくれて」

あずさ「私も、支えられていますから」

P「……」

あずさ「……えっと、そうですね」

P「……?」

あずさ「引退とは別に、もう一つ決心したことがあるんです」

P「別?」

あずさ「…………きいてくれますか」

P「はい、なんでも」



あずさ「それじゃあ……」






あずさ「結婚してください」


P「――はい」





あずさ「…………」


P「…………」


あずさ「今度は冗談なんかじゃありませんよ?」

P「よかった」




198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:40:56.30 ID:g3zELUwYo

ザバァ!

春香「あずささん、食べちゃうぞー!」

真「プロデューサー! 覚悟してくだ……さ……」


あずさ「……」

P「……」


真「失礼しました……!」

春香「あ、すいません。稽古の練習……?」

Pあずさ「「 ぷふっ 」」

春香「えへへ、なんだか楽しいですよねっ!」



律子「あぁ……」

千早「春香……」


美希「やったのー!!」ダキッ

あずさ「美希ちゃん……」

P「……」

美希「ミキね、とってもとっても嬉しいよ……っ」グスッ

あずさ「……」

美希「だけど…ッ……やっぱり怖いよッ」ボロボロ

P「……美希」

美希「だから…………っ……少しだけ……二人に甘えていいよね……ッ」ギュウウ

あずさ「……うん」

美希「うぅぅっ……」ボロボロ

P「……」

やよい「プロデューサー……ッ」クイッ

P「……みんなを不安にさせてばっかりだな……」

真美「兄ちゃんがいなくなるの……絶対……ッ…絶対やだかんね!」ギュウ

P「……あぁ。みんなに負けてられないからな」

亜美「……ぐすっ」

雪歩「もうっ……あの冷たい感覚は嫌ですぅ……っ」グスッ

伊織「まったく……っ…アンタはどこまで罪を作るつもりよッ」

P「……ちゃんと、償うよ」

真「絶対乗り越えましょうね、プロデューサー……っ」グスッ

P「頼もしいみんながいるから、大丈夫だ」

律子「言ったからには……っ…お願いしますよ」

P「あぁ」

あずさ「あの、美希ちゃん?」

美希「……ねむ……」

律子「……号泣したら眠くなる性質なのかしら」グスッ



199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:42:48.67 ID:g3zELUwYo

春香「まだまだ今日は終わってないよ、みんな!」

真「明日からジャンジャンバリバリ頑張るんだから! もっと遊ばなきゃ!」

雪歩「そ、そうだよね!」

響「あはは、プロデューサー、大変だなぁー」スイスイ

P「響、あれやってみるか?」

響「あれ?」

P「肩車からの前宙」

響「いいの!?」

律子「プロデューサー!!」

P「海だから大丈夫かと……」

律子「馬鹿!」

やよい「わ、私もやってみたいかなーって」

真「じゃあさ! プロデューサーの肩に足を乗っけて、ロケットのように発射すればどうかな!」

P「なるほど。じゃあ、屈むからな」

響「おっけー!」


千早「ふふ」

貴音「もしや……」

千早「?」

貴音「……いえ」

千早「やっと……あの吹雪の日のような、プロデューサーに戻りましたね」

貴音「そうですね」




200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:44:08.20 ID:g3zELUwYo

ザバァッ!



響「とりゃー!」


クルッ


ザッバーン


「「「 おぉー! 」」」


P「すごいな……!」

春香「まるでイルカショーだよ、響ちゃん!」

響「えへへー、凄いだろー」

千早「凄いを通り越してる……」

貴音「真に」

真「それじゃ、次はボク」

雪歩「ま、真ちゃん、次は私」

伊織「待ちなさいよ!」

やよい「あ、あの!」

亜美「さぁ、よろしくね、兄ちゃん」

真美「ずるいよ、亜美!」

美希「くぅ……すぅ」

あずさ「み、美希ちゃん?」

律子「いくら安心したからって、海の中でも寝るのね……」



小鳥「……」



―――

――







201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:45:39.98 ID:g3zELUwYo

ザバァッ!


『とりゃー!』


クルッ


ザッバーン


『『『 おぉー! 』』』



「ひびきちゃん、すごいです」


『すごいな……!』

『まるでイルカショーだよ、響ちゃん!』

『えへへー、凄いだろー』

『凄いを通り越してる……』

『真に』

『それじゃ、次はボク』

『ま、真ちゃん、次は私』

『待ちなさいよ!』

『あ、あの!』

『さぁ、よろしくね、兄ちゃん』

『ずるいよ、亜美!』

『くぅ……すぅ』

『み、美希ちゃん?』

『いくら安心したからって、海の中でも寝るのね……』



「たのしそうですね、クロ」

クロ「にゃうん」

「とっても楽しい時間でしたよ」

「……」

クロ「にゃう」

「もう一度みんなでどこか行きたいですね。次は冬の北海道とか」

「なにをしているんですか……?」

「え?」




202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:47:19.07 ID:g3zELUwYo

『お、おぉ……!』


『春香にはまだ早いのー!』

『み、美希ー!?』

『 ザッブーン 』

『きゃー! 兄ちゃーん!』

『きゃー! あずさお姉ちゃーん!』

『あんた達も、まだ早い』

『『 うぉっ!? 』』

『 ザッブーン! 』

『『 わぁぁっ……! 』』


『海の中でなんてロマンティックな……!』

『小鳥嬢』

『た、貴音ちゃん、どいて! 私が見えないの!』

『ダメだぞピヨ子。カメラ持ってるじゃないか』

『あ……』



「……見ててドキドキしちゃいました」

「…………」

クロ「にゃ~う」


ピッ


「「 あ…… 」」

「お、終わりですよっ!」

「あずささん素敵でしたよ」

「も、もぅ!」

「やよい先生……なにをしていましたか?」

やよい「まだ、秘密ですよ~」

「や、やよいちゃん!」

「ひみつですか……」

やよい「はい、秘密です」

クロ「にゃん」




203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:48:46.28 ID:g3zELUwYo

「みないですか?」

やよい「そろそろ、響さんの番組が始まりますよ?」

「みます!」

やよい「はい、それじゃ、テレビに戻しますね」

「ふぅ、最後まで観るなんて……」

クロ「ゴロゴロ」


ピッ


『ジャコスは毎日が感謝day!』


ピンポーン


「は、は~い」

スタスタスタ


「やよい先生、あるぷすです!」

やよい「いいですよ~、はい、こっちに来てください」

「はいっ」

やよい「それじゃ、せっせっせ~の」

「よいよいよ~い」

やよい「あ~る~ぷ~す~」ペチ

「い~ち~ま~ん~じゃ~く~」ペチ


ペチペチペチ


「懐かしいことやってるわね」

「うふふ」

やよい「あ……」




204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:49:45.89 ID:g3zELUwYo

『あなたのハートをぶち抜くぞっ☆』

『ズギューン』


「ぶちぬくぞっ」

やよい「わわわっ」

「だ、ダメよそんな言葉覚えちゃ」

「りつこさん」

律子「はい、こんばんは」

「こんばんは」

律子「やよいも久しぶりね」

やよい「はい、お久しぶりです。最近、律子さんの事務所に行けなくて……」

律子「あぁ……すっかり落ち着いちゃって……」

やよい「?」

律子「いえ、なんでも……って、あずささん、まだ料理してるんですか?」

「はい~、中々決められなかったので~」

律子「仕事以外の事になると……優柔不断になるんだから……。こういう時は鍋にしましょう」

「あ、そうですね~」

やよい「それじゃ、私、手伝います」

律子「よろしくね」

やよい「はい!」

テッテッテ




205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 22:51:18.67 ID:g3zELUwYo
投了

病気の件、引っ張りすぎました。前作を知ってる人は退屈させたと思います。
構成もめちゃくちゃ……難しかった……

Pの心情を考えると、こうなってしまいます。

伊織のポジション、本来なら美希なんですけど、可哀相かな、と思いそのまま。

レスにあった通り、Pが居なくなった世界の早送りしただけで、病気を消したわけではありません。
そこらへん、貴音と誰かにおまけとして解説したいと思います。

あとがき終わり。

ここからが本編(?)後日談の続きです

【参考曲】

MUSIC♪



約束






214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:02:40.70 ID:pHjVdoaAo

律子「さっきのアイドル……伊織と同い年なのよね……」

「?」

律子「あ、ほら、始まるわよ」

「……!」



『 ジャジャンジャジャーン! 』


『『 はいさーい! 』』


「ひびきちゃん!」


『今日は3周年記念! の前の週だから……えっと、前夜祭でいいの?』

『打ち合わせ通りやろうな』

『生放送だぞ!』



律子「あぁ……響ぃ……!」

「だぞ!」


『今日はスペシャルゲストとして、ゴリ衛門が来てくれたぞ!』

『ハイサイ、ハイサイ、沖縄出身タレントということで呼ばれました!
  しかしゴリ衛門ではありません! ありませんよー!』

『年に一度の沖縄スペシャルー!』

『あんたのせいで、俺は道行く人から、ゴリ衛門と呼ばれるようになりました~』

『嬉しいよね!』

『よくないから否定アピールしてるんだろ!』



「ひびきちゃん、おこられてます」

律子「うんー……そういうのとは違うんだけど……」



ピンポーン


「はいは~い」

律子「あ、あずささん、私が出ますから」

「お願いしますね~」

律子「……貴音は春香たちと来るって言ってたから……誰だろ?」

スタスタ



215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:04:48.08 ID:pHjVdoaAo

『これで4回目の登場だよね』

『毎年呼んでくれて嬉しいさー』

『今日はいつもの音楽紹介は無しなんだよ』

『そうなのか』

『以前に発売された沖縄ロケの話で盛り上げて欲しいぞ!』

『任せなさい。たくさんあるよ~……俺行って無いけど!?』

『来週のスペシャルの為に必要な話なんだよね』

『見ても無いから知らんよ!?』

『7650枚の初回生産限定のDVDが完売したんだよね。今ではプレミアが付いてて凄い値らしいんだぞ』

『話を続けるかぁ……、それは凄い』

『それでね、当時、追加生産の依頼があったんだけど……』

『その後に発売されたって聞いてなかったな。それはどうしてか?』

『ここで問題! どうして追加生産されなかったのか、3択です』



「こんばんは……あ!!」

「こんばんは……ゆきほ……ちゃん?」

雪歩「小さいあずささんがいるぅ~!」ダキッ

「ひゃっ!?」

律子「雪歩、落ち着いて」



『3.ノーカットバージョンの作成が困難だったから』

『難しいなぁ、2.キジムナーが映っていたから、っていうのも面白いけど。3で行こうか』

『正解!』

『はい、ありがとう』


律子「理由は私たちの希望だから。って、あれを公表できないわよねぇ」

雪歩「はぅ~」スリスリ

「うぅぅ……」

律子「ちょっと、雪歩」

雪歩「ご、ごめんね……」

「っ……」

律子「ほら、怯えちゃったじゃないの」

雪歩「あ、……えっと、どうしよう」

律子「ほら、怖い人じゃないから」ナデナデ

「……う、うん」

雪歩「ごめんね」

「……だいじょうぶ」

雪歩「……ッ」キュルルン



216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:09:38.47 ID:pHjVdoaAo

『実は、マスター映像の所有権があずささんに渡っているからでもあるんだぞ』

『そうかぁ……俺、なんで呼ばれたんだろう……』


律子「ちょっと、あずささんの事は触れちゃダメでしょうが……!」

雪歩「あずささん、ケーキ買ってきました」

「ありがとう、雪歩さん。……もしかして?」

雪歩「ふふ、そうです。タルト・オ・フリュイです」

「たるとおふるい?」

雪歩「お母さんの大好きなケーキなんだよ」

「ふるーつたくさんですか?」

雪歩「うん」

「すきです~っ」

雪歩「買ってきてよかったぁ」


『いつもはここで音楽紹介をするところだけど、今日はお休み』

『代わりになにが始まるば?』

『来週の告知をするぞ!』

『あれか、765プロ復活ライブ』

『そうそう! 来週はなんと――』

『ちょっと! いい加減に紹介しなさいよ!』


「いおりちゃん」

律子「はい、正解です」

雪歩「時間とか計算したやりとりなのかな……」

律子「多分してないわね。毎年遊び感覚だから……」

雪歩「そうなんですか……それって……凄いなぁ……」

クロ「にゃう」

雪歩「ふふ、可愛い」ナデナデ

クロ「ゴロゴロ」



『週刊誌にスクープされて世間が賑わってるけど事実ね?』

『普通そういうこと言わないわよ?』

『大変だな、伊織も』

『まぁね。有名税ってやつよ』

『して、熱愛してるば?』

『だから、そういうこと聞かないでよ。スタッフが白い顔してるじゃないの』

『どうなの、伊織?』

『盛り上がってるよな、結婚は間近か! って』

『話を聞きなさいよ。まぁいいわ、答えてあげる』



217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:13:40.15 ID:pHjVdoaAo

「けっこん……?」

雪歩「律子さん、これって、打ち合わせ通りじゃないですよね』

律子「そうだけど。でもいいわよ」


『結婚もいいけどぉ』

『いいけど?』

『私のメガネにかなう人じゃないわね~』

『大きく出ましたよぉ』

『口喧嘩が痴話喧嘩だなんて、滑稽よ。もうちょっと良い見出しをつけなさい、ふふーん』

『なぜか得意げだぞ。言いたかった台詞なんだな、きっと』

『相手は勢いのある若手俳優ですよね。お互いいい関係だと思いますが』

『あんた記者になったの? あれはウチの後輩を侮辱したからよ』

『さすが伊織だよね、怖いもの知らず』

『いいんですか? 生放送でそんなこと言って。相手は大手事務所ですよ?』

『No Problem. この番組スタッフには少し悪いけど、後輩を守れないんじゃ765プロの名が廃るわ』

『しかしですよ、キジムナー』

『あのね、今それを言ってるのあんただけよ? 伝わらない言葉使わないでよ』



律子「本当にやりたい放題ね……。まぁ、これがウケてるみたいだけど……」

「きじむなー?」

律子「妖怪のこと」

「よーかい……」

やよい「怖い妖怪もいれば、優しい妖怪もいるんですよ~」

「……きじむなぁは?」

やよい「少し、悪いことしますけど。いい妖怪です」

「……そうですか。よーかいってなんですか?」

やよい「明後日に、ご本を持って来ますから、一緒に読みましょうね」

「はい」

雪歩「うぅ……!」ウズウズ



『それで、本命はいるんですか?』

『そうねぇ……』

『お、居るって反応だぞ』

『あの海で、お互いの体温を感じあった瞬間(とき)は今でも忘れられない』

『して、来週はなにがあるって?』

『イタリア組が帰ってくるんだぞ! 初代765プロ全員が揃うスペシャル!』

『お互いの鼓動を一つ一つ交わしたの。あの夏の初めをもう一度、あの人と共に……』

『あ、あずささんは出演しないからね!』

『あのメンバーが揃うのか。大変だな』

『大変じゃないぞ、楽しいんだぞ!』



218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:15:16.82 ID:pHjVdoaAo

雪歩「千早さん達、到着してる時間ですよね……」

律子「えぇ、もうこっちに向かってる頃だろうけど」

「ちはや……さん……?」

やよい「そうですよ。一緒に歌を聴きましたよね」

「……わすれました」

律子「正直でいいわねぇ……」


ピンポーン


律子「噂をすれば、かしら」

やよい「お迎えに行きましょう」スッ

「はい……!」ギュ

テッテッテ

雪歩「やよいちゃんに信頼を寄せてますね」

律子「いつも一緒にいるからね……って、あずささんはどこ?」



「はるかさん!」

春香「はーい、久しぶりー!」

「ボクの名前わかる!?」

「はい。さっき、みました」

「しぃえむ、でしょうか」

「たか……?」

「わたくし、四条貴音。と申します」

「たかね……」

貴音「お初にお目にかかります。貴方が、あずさのご息女なのですね」

「……?」

春香「あはは、そうだよねー?」

やよい「あずささんがお母さんですよね」

「はい」

春香「お邪魔していいかな?」

やよい「どうぞー」

「そ、それで。ボクの名前は?」

「まこと……くんです……」

真「くぅ~、ボクのボディを鋭く叩いてくるなぁ」




219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:18:09.85 ID:pHjVdoaAo

貴音「雪歩、来ていたのですね」

雪歩「貴音さん!? 全然変わってないよ!?」

春香「本当だよねー……、不思議だよねぇ」

「お母さん……?」

やよい「お母さんは買い物に行きましたよ」

「……」

やよい「一緒に行きますか?」

「ううん……」


『貴音も帰ってくるでしょ、美希も真美も帰ってくる。やよいも一日だけ復活だぞ!』

『そうか。頑張れよ』

『ここで水瀬伊織から重大告知よ! 私の全国ツアーのファイナルとなるドームで、
 一曲だけの特別で最高な時間を演出してみせるわ!』

『どうして一曲なんだ、伊織?』

『イタリア組の、如月千早、星井美希、双海真美が特別に出演してくれることが決まったからよ!』

『へぇ……って、聞いて無いぞ自分』


律子「あれ、私も聞いて無いんだけど」

「へぇ、凄いね、真美。伊織ちゃんのライブにゲストとして出るなんて」

「あ、あみちゃん……」

亜美「えへへ、お邪魔してるよ♪」

「……」

亜美「どうしたのかな?」

「まみちゃん……くるってききました」

亜美「どうして真美を知ってるの?」

「お母さんとけっこんしきみました」

亜美「結婚式? ……あぁ、結婚式の映像ね」

律子「あの映像もあずささんの意向でノーカットなのよねぇ……だから味があるっていうか」

真「あ、ボクもそれみたい!」

春香「わ、私も! 結局見て無いんだよね、あの映像!」

貴音「はて?」

やよい「私も見たいって言ったんですけど、あずささんが隠してしまって……」

春香真雪歩「「「 えぇー…… 」」」

「……ごめんなさい」

亜美「どうして謝ったのかにゃ?」

「かってにみたからです」

雪歩「ちっとも悪くないよっ」ダキッ

真「そうだよっ、先越されたっ」

「うぅ……っ、やよい先生ぇ……」

やよい「ゆ、雪歩さん、少し苦しそうです」

雪歩「ご、ごめんね……うぅ、嫌われちゃう……」



220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:21:40.66 ID:pHjVdoaAo

『来週は1時間のスペシャル放送だぞー!』

『ちゃんと見てくれなきゃ、ダメよー?』

『また来年~』


春香「あ、終わっちゃった」


ピンポーン


やよい「あ、千早さんかな?」

「むかえにいきます!」

やよい「はい、行きましょう~」

テッテッテ


真雪歩「「 可愛いなぁ~ 」」

貴音「律子の姿が見えませんが……?」

亜美「律子さんなら、ベランダだよ」

貴音「亜美、成長しましたね」

亜美「貴音さんは変わらないね~」

貴音「ふふ、浦島太郎の気分ですよ」

亜美「ふむ?」



「あぁっ! 小さいあずささんがいるっ!」

「そうかな? 見た目はあずさだけど……」

「Da quanto tempo、お久しぶりだね~」


やよい「わぁ……!」

「ちはや……ちゃん?」

千早「な、名前を……か、可愛い……っ」キラキラ

「みき……ちゃん」

美希「Mi sei mancata! 会いたかったよ!」

「まみちゃん!」

真美「いぇーっす! 双海真美、只今、凱旋ッ!」

亜美「真美、久しぶりだね」

真美「おぅおぅ、亜美じゃねえですか。って、私に内緒で髪を切ったのね」シクシク

やよい「ちょうど、あずささんが帰ってきました」

「まぁまぁ、みんな揃って……!」

千早「あずささん……」

美希「あずさ……」

真美「えへへ、あずさお姉ちゃんってまだ呼んでいいよね」

「うふふ、さ、中へどうぞ」

真美美希「「 お邪魔しまーす 」」

千早「お邪魔します」



221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:24:36.69 ID:pHjVdoaAo


律子「あ、お帰り」

真美「えぇー? 律っちゃん、反応薄いよー!」

千早「何度か連絡取ってるから、そういうものかも」

美希「淡白だなぁ、律子は」

律子「それより、あんた達、伊織のドームコンサートに出演するって話、どうして黙ってたのよ」

美希「私はあずさから聞いただけだよ?」

律子「あずささん?」

「えっと、お鍋といったらこれよね」

千早「あずささん、夕食を?」

「はい。と言っても、まだ作ってる最中ですけど」

真美「イチゴショートケーキ買ってきたよん!」

「ありがとう、真美ちゃん。そうだ、様子を見てくるから、やよいちゃん、お鍋の方をお願いね」

やよい「わかりました」

「少し失礼して。みんなゆっくりしててね~」

スタスタスタ


真美「あの落ち着き……!」

律子「響と伊織はこれから向かうのかしら……?」

春香「真美、美希、千早ちゃん!」

千早「久しぶりね、春香」

貴音「……わたくしは、それほど」

真美「お姫ちん!?」

千早「貴音さん!?」

美希「全然変わってないね」

貴音「わたくし、少しばかり旅に出ていました。どのような旅かは、とっぷしぃ――」


真美「どうしたのん?」

「……」

真美「なにか、顔に付いてるかな?」

「ううん……」

真美「あ、知らない人が来たから、びっくりしてるんだね?」

「あいたかったです」

真美「私?」

「はい」

真美「そっかそっかぁ、あずさお姉ちゃん達から真美の偉業を聞いたのかぁ」




222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:26:26.45 ID:pHjVdoaAo

真「貴音、どこに行ってたの?」

貴音「ですから、とっぷしぃ――」


やよい「ずっと真美に会いたがっていたよ? 結婚式の映像を見たから……って」

「さびしそうでした」

真美「あ、あぁ~、えへへ、あの時、とっても寂しかったからね」

「……」

真美「……兄ちゃんのこと考えてしまうとね…………あのとっても楽しい時間がね……」

「?」

真美「終わっちゃったって、そう思ったから」

「……」

亜美「真美……」

真美「でも、こうやってまた、あなたに会えた。だから、私はもう寂しくないよ」

「……はい」

真美「優しいところ、本当に、あずさお姉ちゃんだよぉ……」


雪歩「沖縄ロケの映像?」

やよい「そうです、さっきまで一緒に見ていましたよね?」

「たのしかったです」

千早「うぅ……! Vorrei abbracciarti!」

雪歩「?」

美希「抱きしめたいんだって」

「?」


美希「貴音、どこに行ってたの? 宇宙の外?」

貴音「ですから、とっぷしぃ――なぜそれを」


律子「ノーカットの沖縄ロケ、私も観たいのよねぇ……」

真「それじゃ、せっかくだから再生っと」


「ダメだぞ……律子、真……」


律子「いいじゃないですか、響の番組は後で観てくださいよ」

「お父さん……だいじょうぶですか?」

「ふぁぁ……大丈夫だよ……」

真美「兄ちゃん? どったの?」

亜美「なんだか、ダルそう……」

「亜美の声が響くな…………熱が出たみたいで……寝てたんだ」

律子雪歩「「 え!? 」」

「あ、大丈夫ですよ。熱は下がりましたから」



223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:31:06.45 ID:pHjVdoaAo

美希「本当に大丈夫なの?」

「体がびっくりしただけだろう。あずさ、水を――」

「どうぞ」

「はやい……ありがと。悪いが、響から確認させてくれ」

ピッ


『 ジャジャンジャジャーン! 』


『『 はいさーい! 』』


千早「あの、プロデューサー、お久しぶりです」

「……ん? あ! 千早、美希、真美! 来ていたのか!?」

美希「えー、さっき話しかけたのにぃ」

「すまん、寝惚けてた」

「千早さん、これを」

千早「え? ……あ、これは白蛇の……集合写真」

律子「懐かしいわねぇ、沖縄の地底探検の後に撮ったのよね」

雪歩「この一枚しかないんですよね……」

真美「その額縁、あまとうから貰ったお土産だったよね……どうしてるかな……」

亜美「きっと、私たちを見守ってくれてるよ……あの一番星のように……キラン」

「空に人を思い浮かべるんじゃない……亜美はスタジオで今日会っただろ」

亜美「そうでしたね♪」

貴音「……」

真「プロデューサー、観ないんだったら、沖縄ロケ、再生しますよ」

「だ、ダメですよっ、真さん!」

真「え? どうしたんですか、あずささん?」

「せめて最初からっ」

やよい「ふふ、さぁ、お鍋ができましたよ」

「……おなべですか?」

やよい「そうですよ……んー……もう時間過ぎてるから、先生は終わりね」

「うん! いっぱいたべようっよっ」

真美「兄ちゃんとあずさお姉ちゃんのあっつ~い bacio……」ポッ

「映ってないだろ……!」

「そ、そうですよっ」

千早「いえ、私たちの想い出には深く残っています」

「ばーちょ……?」

真美「キスって言うんだよ」

「きす?」

やよい「真美!」



224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:33:24.99 ID:pHjVdoaAo

春香「え……私、知らないよ……」

美希「だからね、春香にはまだ早かったんだよ」

春香「えぇ……基準が分からない……」

真美「両親の話なんだから、問題ないっしょ?」

やよい「そうだけど、まだ早いよ!」

亜美「過保護だよねぇ、やよいちゃんは」

「みんな、いいから座ってくれ……」

「ご飯にしましょう~」

「ごはんです」

千早「はい、そうしましょう」キラキラ

「千早、フェニーチェ劇場はどうだ?」

千早「素晴らしいの一言です。先生を身近で拝見していて……私は未だに感動することしか出来ていません」

「そうか……。いや、立てるのかって意味――」

千早「世界を甘く見すぎです。勘が衰えましたね、プロデューサー」

「そこまで怒るのか…………すまん」

美希「千早さん凄いんだよ」

千早「そんなことないわ。先生は来るもの拒まずだから」

真美「そうだけど……先生の凄さ知って諦めた人多いじゃん」

「そうか……話には聞いていたけど、そこまで……」

千早「私なんて……まだまだまだまだまだ」

美希「う……」

真美「その千早姉ちゃんの後を追ってる私たちはどうすればいいのよん」


真「はい、貴音」

貴音「……」

真「ほら、お椀を受け取ってよ……貴音?」

貴音「浦島太郎は……このような気持ちだったのですね」

真「え? どうして落ち込んでいるの?」

「もやしがたくさんです、やよいちゃん!」

やよい「みんなで集まった時はこれって決まっているんだよ~」

「きまっているんですかぁー」ピョンピョン

やよい「座ってないと、ダメだよー?」

「はぁいっ。みんなでったべようっよっ」

雪歩「楽しそうだなぁ……」ホンワカ

律子「プロデューサー、あずささんとイタリア組の件、企てましたね」

「伊織のドームの話か? そうだけど」

律子「正直でいいですねぇ……! 私、聞いていないんですけどぉ……!!」

「あ、あずさ…さん?」

「えっと、一緒に伝えようと思っていたんですけど……伊織ちゃんが告知をしちゃって……」

律子「プロデューサーが復活しての最初の共同企画ですからね、気持ちは分かりますよ」



225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:37:04.82 ID:pHjVdoaAo

律子「でも、ですね、これでも私、所長なので、本当に、そういうこと、されると、みんなに示しが、つかなくて」

春香「律子さんが悲しみながら怒っている……」

「律子さん……す、すいませんでした」

「なんというか、すまん」

律子「別に、いいんですけどねー」

美希「拗ねたの」

「ごめんなさい」

律子「この家族、ずるい……ッ!」

亜美「みんなに行き渡ったところでぇ、あ、この、わたくしぐぁ、乾杯の、音頭をぉ」

「りょうてあわせて」

真美「いただきまーっす」

「「「 いただきまーす 」」」

亜美「おぉ、恒例のギャグが……」

やよい「ぶおなぺてぃーと!」

千早「ふふっ」ホンワカ

「伊織、週刊誌の事、しれっと喋ってるな……」

「まぁ、本当ですね~」

「お父さん、はい、あーん」

「あーん……もぐもぐ…………響ぃ……!」

「自由にやっていて、楽しそうじゃないですか」

「あーん」

「あーん……もぐもぐ……って、ちゃんと食べなきゃダメだろ?」

「うふふ、そうですよ~。今度はこっちから、あーん」

「はい、あーん……もぐもぐ」

「あれ、この味……いつもと違う……?」

「やよいちゃんが作ってくれましたから」

「やよいちゃん、あーん」

やよい「私が出汁を取りました……あーん」

「おいしいよ、やよい」

「この味は出せませんね~」

「おいしい!」

やよい「ありがとう~」

貴音「…………」

美希「…………」

千早「…………」

雪歩「…………」

真美「…………」

律子「どうしたの、みんな?」

「「「「 なんでも……ないです…… 」」」」



226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:40:20.13 ID:pHjVdoaAo

美希「暖かさを感じたら寒さを覚えるっていうよね……」

真「言わないでよ、美希……」

亜美「律子さん、いつも……こんな風景だったっけ?」

律子「あずささん達? そうだけど」

亜美「なんだか、プロデューサーとあずささんが遠くに行っちゃったようで、寂しくなっちゃった」シクシク

やよい「あの、美希さんと千早さん、真美に報告があります」

千早美希真美「「「 ? 」」」

やよい「私、アイドルを休業していましたけど、来週の響さんの番組出演を最後に、引退します!」

千早真美「「 え!? 」」

春香「決めたんだ、やよい……」

千早「ど、どうして……?」

やよい「プロデューサーとあずささん、律子さんが頑張っているのを見ていて、私も支える側に、って」

真美「え、えぇ……え……ぇ?」

やよい「プロデューサーも復帰しましたから、私も本格的に専念したいと思いますっ!」

美希「そうなんだ……これは知らなかったなぁ」

律子「私としては……セルフプロデュースとして頑張ってもらいたいんだけど……」

「そうですね~、私もそう思います」

「お父さん、きんぴらがありません」

「寝ていたから、作れなかったな。今度作るからね」

「はい」

やよい「でも、私……律子さんほど上手く動けないと思います」

律子「プロデューサーはどう思いますか?」

「……貴音は、復帰するんだよな」

貴音「はい。まだ、気力は衰えていません」

「やよい、貴音のプロデューサーとしてやってみてはどうかな?」

やよい「え……?」

貴音「……」

律子「それはプロデューサーを薦めると?」

「うん。貴音は復帰とはいっても、相当のブランクがある。……全然変わって無いから、ブランクを微塵も感じないが」

貴音「……」

「やよいはあずさ…さんと一緒に勉強していたから、それなりに動けるはずだ」

やよい「……貴音さんに甘えてしまいそうで」

「そうか、甘えか……」

律子「……」

「一番最初、俺が律子をプロデュースして活動していたのは知ってるよな」

やよい「……はい」

「俺は律子がいたから、プロデューサーとして力が付いたと思っている」

春香「……!」

真「……そうなんだ!」



227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:43:13.65 ID:pHjVdoaAo

「そうですね。いつもそう仰っていましたから」

「あの、照れくさいので、それを言わないでください……」

律子「あの、私も照れくさくなるので、話の続きを」


真美「やよいっちの秘伝の味なんだよー」

「おいしいですね!」

真美「おいしいよね~」

「はい、あーん」

真美「あ、あーん……もぐもぐ……おぃしぃぃ」


「その後に、あずさ…さんの担当ととして、重点的にプロデュースを行った」

やよい「……はい」

「あずさ…さんもプロデューサーとしての勉強をしていて、俺と試行錯誤を重ねたからあの場所まで辿りつけたと思っている」

貴音「……」

「だから、甘えてもいいんだ。それに慣れて、おんぶにだっこがやよいの嫌うことなんだと思う」

やよい「代わりの利かない相棒……ですね」

「あの時の俺と律子がそうであったように、今のあずささんと律子がそうであるように……な」

貴音「やよい、わたくしと更なる頂を目指してみませんか」

やよい「はい、よろしくお願いします! 貴音さん!」

貴音「恐らく、やよいよりわたくしの方が歳は下……」

律子「社長に話を通すの忘れないでね」

貴音「はて? 律子は事務所に居られないのですか?」

律子「私は第二事務所にいるから」

貴音「第二?」

春香「私も第一がいいのに……」

真「ボクもですよ! プロデューサーがせっかく戻ってきたのに!」

「そうは言っても、二人ともあの事務所の出入りは禁止されてるからな……」

真美「どうして禁止されてるの?」

亜美「春香さんと真さんは第一事務所で遊ぶから……律子さんが令を出しただけの事さぁ」

千早「プロデューサーはまだあの事務所に?」

「社長と一緒にな。新人育成も兼ねてる」

亜美「んっふっふ、プロデューサー、さっちゃんに手を焼いてるよね」

「今日初めてあったばかりなのにな……あれは手ごわい……千早と同じくらい……ん?」

千早「手を焼かれていたんですね……」

「ほら、たくさん食べて、お母さんのように健康な体を作るんだぞ」

「はい」

「ま、まぁ……っ」

雪歩「話題を変えたね……」



228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:45:17.49 ID:pHjVdoaAo

真美「誰、さっちゃんって」

律子「候補生なんだけど……ちょっと変わり者でね……ん?」

千早「変わり者だったのね、私……」

律子「ほら、フォローしなさい春香」

春香「変わり者のどこが悪いんですか……!」ドンッ

「……」

千早「春香……誰も悪いなんて言ってない……」


ピンポーン


やよい「響さんですよ、きっと」

「!」ガタッ

「ちゃんと飲み込んでからですよ」

「もぐもぐもぐもぐ」コクリ

「しょうがないな、ほら、抱っこするから、おいで」

「もぐもぐもぐ」

「よいしょっ、急がないでゆっくり噛んで」

「もぐもぐ」コクリ

スタスタスタ


美希「プロデューサーがお父さんになってるぅ……!」

真美「兄ちゃんが父ちゃんに……」

千早「帰ってきて……よかった」

雪歩「……よかった」



ガチャ


伊織「あー、疲れた」

「おい、アイドルが疲れたお父さんみたいな声出すな」

「もぐもぐ」

響「はいたーい」

「……!」スッ

響「あはは、プロデューサーに似て、甘えん坊だぞ。おいでー」ギュッ

「俺……甘えん坊なのか……?」

伊織「さぁね」

「……てれびみました」

響「そっか。ありがとね」

「伊織、あの告知もうちょっと――」

伊織「うるさいわね。玄関で説教しないでよ」

「それもそうだな」




229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:47:42.45 ID:pHjVdoaAo


響伊織「「 貴音ッ!? 」」

貴音「久しいですね、二人とも。背が伸びたようで、歳相応といったところでしょうか」

「貴音は全然変わってないんだよな……」

伊織「なによこの遺伝子……」

響「まぁいいか……貴音は貴音だぞ」

「ひびきちゃん」

響「今日は生放送があったから、家族を連れてこれなかったさー、ごめんね」

「ううん……」

響「ほっぺにご飯付いてるぞ」

「こっちですか?」

響「そうだぞ」



『この太陽の日差し! アスファルトの焼ける匂い! 空の蒼さ!』

『これがうちなーだよ、プロデューサー!』


響「自分がいるね」

「ほんとうです」

「……また観るのか」

春香「私たち、観てませんから!」

雪歩「そうです!」

伊織「お邪魔するわねぇ」

美希「でこちゃん、私たちに挨拶してくれないの?」

伊織「あんたも、いつまでそれ言ってるつもりなのよ」

「お椀をどうぞ、伊織ちゃん」

伊織「ありがと。千早も真美も久しぶりね」

千早「えぇ。元気そうね」

伊織「まぁね~」

真美「いおりんから大人の魅力を……」

伊織「そうでしょ?」-☆

真美「やっぱり変わらないね」

真「雪歩のあの映画すっごくよかったよー」

雪歩「え、う、うん。ありがとね、真ちゃん」

真「そうだね、今はボクよりロケの映像が楽しいよね」

春香「あの、律子さん、私、第一事務所に移動したいのですがっ」

律子「そのうち、あずささんとやよいが移動するから、我慢しなさい」

春香「うぅ……それはそれでいいんですけど……」

やよい「そ、そうなんですか?」

「そ、そうなんですか!?」

律子「え、だって、プロデューサーが復帰したから……あずささんも第二で専属になってくれないと」



230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:49:43.40 ID:pHjVdoaAo

「……えっと……まだ体調の方が気になって……!」

律子「プロデューサーのことは、響と小鳥さんに任せて大丈夫だと思いますけど」

響伊織「「 あ……忘れてた 」」

「早く小鳥さんに連絡するんだ」

響「い、伊織頼んだぞ」

伊織「い、嫌よ、どうして私が」

「俺は大丈夫ですよ、あずささん」

「今日、挨拶回りでしたよね」

「う……! それでへばってるからいい格好ができない……!」

「へば……?」

響「疲れたーってなることだぞ」

「いおりちゃん、へばってるの?」

伊織「さ、さっきのは違うのよ~」

響「お父さん、帰ってきてどうだった?」

「やよいちゃんがきて、すぐねました」

律子「あずささんが第一、第二を行ったり来たりしてるから、無駄が生まれてるのよねぇ」

響「ゆんな~だよ、律子」

律子「……まぁ、そうね。今急いで決めることじゃないわ」

「ゆんな~ですね」

「うふふ」

響「ゆっくり、ゆっくり、ね」

「ゆっくり~、ね」

美希「そうだよね、時間はまだまだあるんだから」

千早「……えぇ」

「はやく、体力を戻さないと……!」

「焦りは禁物ですよ~」

真美「んっふっふ~、兄ちゃん、真美達が居ないから、怠けてたっしょー」

「確かに、あの頃は鍛えられてたのかもしれないな……」

「食べたいものありますか?」

「はくさいです」

「はーい、どうぞ~」

「もぐもぐ」

春香「……」


雪歩「アイスクリーム食べてたんだぁ」

真「ボク、それ食べてないなぁ」

貴音「わたくしもです」

響「うわ、なんだか恥ずかしいぞ」



231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:51:13.84 ID:pHjVdoaAo

亜美「私も恥ずかしいよぉ」

真美「ん?」

伊織「真美は変わらないのね」

千早「……そうね」

伊織「私も上品のままだけど」

真「ふっ」

伊織「誰よ今、鼻で笑ったの!」

美希「おいしいの~」

やよい「わ、私もなんだか恥ずかしいな……」

律子「無邪気なあなた達はもう……」

「ご飯付いてますよ」

「どこですか?」

「はい、取りました~」

「もぐもぐ」

「ほら、髪がご飯に付く」

「うん……?」

「髪、切ったほうがいいんじゃないか?」

「お母さんとおなじがいいです」

「……そうか」

「髪を結びますから、ジッとしててね」

「はい」

春香「……」



……






232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 21:53:23.06 ID:pHjVdoaAo

「セイファーウタキ……聖域であんなにはしゃいで……」

真美「楽しかったからいいっしょー」

律子「そういう問題じゃないの」

「……ん……ん?」

「あら、起こしちゃった?」

「ことり……さん?」

小鳥「ごめんね、うるさくしちゃって」

「うぅん……」

「すぅ……すぅ……」

「お父…さん…………」

「くぅ……すぅ……」

「……ん…………」

小鳥「あらあら」

響「お父さん大好きだよね」

「うふふ、そうなの」

「すぅ……すぅ……」

「すやすや」

春香「……」


貴音「あずさ、シロの姿が見えませんが」

「お母さんの方に懐いちゃって、その子供のクロちゃんと一緒に暮らしているのよ」

律子「そういえば、春香が来てから見えなくなったわね」

春香「……」

真「人見知り?」

「そうみたい。部屋で寝ているのかな?」

真美「亜美、兄ちゃんと一緒だったんでしょ? どうだったの?」

亜美「私も注意してみていたから、あの頃と変わりなくしてて、安心してたんだよ」

律子「そうよね。だから、さっき熱が出たって聞いたときはビックリしたわ」

「すぅ……くぅ……」

「すやすや」

伊織「私も眠くなってきたわぁ……ふぁぁ」

美希「それじゃ、川の字になって寝ちゃおうかな」

雪歩「あずささん、洗い物終わりましたよ」

「ありがとう、雪歩さん、やよいちゃん」

やよい「ケーキ、出そうかなと思っていたんですけど……」

「すぅ……」

「すぅ……」

美希「あんなに……小さかったのに…ね…………あふぅ」

春香「……」



233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:14:38.32 ID:pHjVdoaAo

「起きるのを待ちましょうか」

やよい「分かりました」

小鳥「春香ちゃん?」

春香「……」

小鳥「は、る、か、ちゃん」

春香「は、はい。なんですか?」

小鳥「なんだか、二人の親子を複雑そうな顔して見ているから」

春香「あ、あはは……」ホロリ

「もう、無理はさせませんから」

春香「……っ!」ボロボロ

雪歩「春香ちゃん……っ」

春香「凄い……なって……思っ…て……っ……」ボロボロ

律子「……」

「……ん……また寝ていたのか……」

「すぅ……すぅ……」

「おはようございます、お水、ここにありますからね」

「おはよう……」

真美「夜なのに?」

美希「すやすや」

「なんで美希まで……」

春香「……ッ」グスッ

「春香…どうしたんだ……?」

春香「三人を見ていたら、感動しちゃって……よかったって……っ」グスッ

「…………この子が、隣で寝ていると、決まって同じ夢を見る」

「すぅ……すぅ……」

伊織「夢……?」

「あの3ヶ月間の夢」

「……」

千早「あずささんの引退ライブまでの3ヵ月……ですね」

「あぁ。14人が一丸となって活動してるんだ」

律子「……」

「千早はいなかったのに、夢には必ず出てくる」

千早「……!」

真「へぇ……」

雪歩「な、なんだか素敵ですっ」

「あの時間があったから、この子と一緒に居ることができると思っている。ありがとう、春香」

春香「お礼なんて言わないでくださいっ」ボロボロ



234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:19:01.38 ID:pHjVdoaAo

「社長や小鳥さんも……力強く応援してくれた……」ナデナデ

「んん…………すぅ……」

小鳥「……」

「まぁ、この通り、夢から覚めると服が涎まみれになっているんだけどな」

春香「ふふっ……」グスッ

「着替えてくる……。悪いな、みんな来てるのに、寝てばっかりで」

貴音「いえ」

「すぅ……」

美希「くぅ……」

貴音「今日一日で、それほどの疲労が?」

「そうみたい。でも、顔色はいいので、気にしないでね」

律子「あの時の社長の活力……凄かった」

小鳥「そうですね。昔以上に……力が漲っていましたから……」

千早「あの3ヶ月……」

真美「休む暇なんて……無かったよね……」

伊織「……3daysに変更しちゃって……どれだけ……ハードルを上げるのよ……」

「うふふ、ごめんなさい」

伊織「あずさ、やっぱりあんただったのね……」

雪歩「でも……その3ヶ月を経験したから……もうなにも怖くないよね」

真「そうだね……その後の大きな試練も乗り越えているからね……ボク達」

真美「まこちんが言うとどうしてこうも格好いいんだろっ!」

貴音「……」

「貴音さん?」

貴音「……夢の話ですが、一つ気になることが」

律子「千早がいて、社長、小鳥さんを含めて14人……一人足りないのよぉ……ねぇ……」

真春香亜美「「「 え…… 」」」

伊織「さぁ~、だぁ~れだ?」

雪歩「うぅ……! やっぱり私……!?」

小鳥「だ、ダメよ、そういう話は」

美希「すぅ……」

「……ん…………おとう……さん……?」

「あらあら、よいしょ~」ギュッ

「おかぁ……さん…………っ……おとうさん……っ」グスッ

春香「――!」

「着替えに行っただけですよ、すぐに戻ってくるから、ね」

「ぅぅっ……ぐすっ……」

千早「……」

「ずっと、入退院を繰り返してたから……」

貴音「…………そうですか」



235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:21:37.71 ID:pHjVdoaAo

響「大丈夫だぞー、ちゃんといるからね」ナデナデ

「ぐすっ…………うん……」

やよい「……」

伊織「……」

「あの頃の美希の眠り癖が移ったみたいだな……なんて」

律子「……」

真美「……」

真「……」

「あれ……」

「ぐすっ……ひっく……」

「はい、お願いします」

「うん……」

「おとうさん……」ギュウ

「ごめんな、いつも心配させて」

「…………ん」ギュウウ

「もうおやすみする?」

「うぅん……」

「ケーキ、食べますか?」

「……はい」

やよい「それじゃ、準備しますね!」

亜美「私も手伝うよ!」

春香「律子さん、私、第二事務所で頑張りますからあずささんを――」

律子「あのね、春香。春香のそういうところがあぶなっかしいから、第一事務所の立ち入り禁止にしたのよ?」

春香「え……?」

伊織「なんでもかんでも抱え込もうとしないでよね。私たちはなんなのよ」

春香「……」

「事務所のために、じゃなく、自分の為だけに頑張ってもいい頃ですよ、春香ちゃん」

春香「……!」

律子「春香にとってはそれが難しいのかもしれないけど、いいのね?」

春香「……はい!」

律子「じゃあ、後輩の面倒とあずささんのフォローをよろしく。ついでに第一の出禁も解除ね。
   ……律儀に守る必要も無かったんだけど」

春香「そ、そうなんですかー」

響「あはは」

真「やったね、春香! ボクも遊びに行きますからね、プロデューサー」

「いや、真……」

貴音「真の出入りはまだ認められていませんよ」

真「え? なんでボクだけ……理不尽ですよ!」

律子「あんたがいると、候補生が集中しないからよ。諦めなさい」

真「うわ……本当に理不尽だぁ……」ガクッ



237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:25:10.98 ID:pHjVdoaAo

「色々と遊んでくれるって評判だったぞ。大人しくしているんだ」

真「……頷きたくない!」

小鳥「あ、あはは……」

「ほら、響と遊んでもらえ」

「はい」

響「おいでー」

春香「もう時効だよね、千早ちゃん」

千早「え?」

「なにがだ?」

「どうしたの、春香ちゃん?」

春香「あずささん、プロデューサーさんの日記ってなんですか?」

「はいっ!?」

「俺の……日記?」

千早「は、春香っ!」

響「なになに、なにそれ?」

「なんですか?」

美希「えっとね、その日のプロデューサーの体調とか、異変に感じたこととか」

「みみ、美希ちゃんどうしてそれを!?」

美希「ないしょー」

春香「なぁんだ……」

律子「がっかりしてるけど、なんだと思ってたの?」

春香「嬉しいこととか、楽しかったこととか。二人のらぶらぶ~な想い出~♪」

千早「それは交換日記よ……春香」

春香「そうだよね~、あずささんはプロデューサーさんの……為に……」

「ど…どうして……知っているの……っ」

「え……っ」

「い、いえ……そのっ」

「あ、えっと……っ」

小鳥「付き合い始めの初々しいカップルですか!?」

美希「せっかく私がフォローしたのになぁ……」


真美「ねぇ、兄ちゃん」

「な、なんだ? まだなにかあるのか?」

真美「亜美のことなんだけど、どうして兄ちゃんをプロデューサーなんて呼んでるの?」

「……」

真美「みんなをさん付けで呼んじゃってるよね」

「亜美は亜美で、色々と考えがあるんだろう。それか……」

真美「それか?」

「真美がいなくて寂しいから、無理して変わろうとしてるのかもな」

真美「ふむ……」



238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:27:03.38 ID:pHjVdoaAo

フッ


貴音「面妖なっ」

律子「照明が消えただけじゃない」

「けーきですね!」

響「そうだぞー。クローそろそろ出てこーい」

「クロ~」

雪歩「テレビ消すね」

真「うん。……雪歩の願掛け、叶ったね」

雪歩「……うん。そうだと嬉しい」

「願掛け?」

真「プロデューサーが復帰するまで、頑張るって」

「……そうか」

雪歩「ただ、それだけです」


亜美「ハッピーバースデー……じゃない」

やよい「復帰おめでとうございます! プロデューサー!」


「「「 おめでとー 」」」


「ありがとう、みんな」

「ろうそくです!」

「俺の代わりに消してくれ」

「?」

「ふぅーって」

「はいっ」


春香「せーっの!」


「ふぅーー!」


パチパチパチ


真美「兄ちゃんおめでとー!」

律子「まぁ、これからなんですけど」

美希「相変わらず鬼なの」

「ありがとう、雪歩」

雪歩「お礼なんて……いいですからっ」

「顔を見せないから、寂しくしてたけど」

「あずささん、あずささん、それ以上は」

「雪歩さんの新曲を聴いたり、雑誌やテレビで活躍してるのを見て満足してのよ」

「暴露しすぎですよっ」

雪歩「うぅ……っ」グスッ



239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:28:32.40 ID:pHjVdoaAo

「けーき……です」

雪歩「う、うん……ありがとっ」

「……あーん、してください」

雪歩「あ、あーん」

「……」

雪歩「おいしい……もう大丈夫だよ。…あ……目が……プロデューサーとそっくり」

「?」

伊織「どれどれ」

美希「でこちゃん、調子に乗るからダメ」グイッ

伊織「な、なによそれ!?」

クロ「ゴロゴロ」

響「白猫なのにねぇ、クロ」

「ね~、クロ」

小鳥「こ、このケーキはいつまでも変わらない味ね……極上!」

雪歩「真ちゃんも、ありがとう」

真「いやー、ボクは雪歩に便乗しただけだって」


真美「ね、やよいっち」

やよい「なに?」

真美「あの子、どうして、あーん、ってやるの?」

やよい「それは……」

響「お父さんに出来ること。なんだって」

真美「できること?」

響「なにかしてあげたいって、それだけ」

やよい「それが嬉しいんだと思う」

響「最近は癖になってるみたいだけどね」

真美「…………そっか」



240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:30:36.43 ID:pHjVdoaAo

貴音「響」

響「ん?」

クロ「にゃ」

貴音「人と人とのつながり」

響「?」

貴音「それは、縁」

貴音「その儚く紡がれた細い糸は出会いと時間を幾重にも重ね、強く頼れる縄になります」

響「……うん」

貴音「それは、絆」

響「……」

貴音「土質が劇的に変化したのは、貴方の存在が大きいそうですよ」

クロ「にゃ」

響「うん。なんの話?」

貴音「家族を思い遣る心。それが――」

「ひびきちゃん、あーん」

響「あーん……ん~、おいしいぞー」

「はい、あーん」

響「自分で食べないと、なくなるよ?」

「もぐもぐ」

美希「響がいたから未来が変わったの?」

貴音「いえ。確かに、響がきっかけにはなりましたが。
   響が持っている温かさは誰にでも持っているものなのです」

美希「ふぅん」

貴音「ですが、人はそれを忘れてしまうもの。気付かせてくれる存在が響なのですね」

美希「なるほどね」


響「おいしいね~」

「おいしいですね~」

響「お母さんにあーんってやってくる番だぞ」

「はい」

クロ「にゃ」


響「ごめんね、貴音。なんだっけ」

貴音「いえ、響は響。いつまでもそのままで」

響「よく分からないけど、分かったぞ」

クロ「にゃう」




241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:32:52.57 ID:pHjVdoaAo

「亜美」

亜美「なに、プロデューサー?」

「真美と一緒に、イタリアに行ってみたらどうだ?」


亜美真美「「 え? 」」


「私もそれは考えていましたけど」

律子「……ふむ」

「どうだ?」

亜美「やだ」

「どうして」

亜美「真美に負けてるもん!」

真美「そりゃ、あたくし、姉ですからん!」

亜美「あの時まで周りに心配ばっかりかけてたっしょ!」

真美「そうだよ~、あの時 ま で は」

亜美「うあー! 藪からハブだよー!」

「戻ってしまったか……」

やよい「ふふ」

「はぶ、なんですか?」

響「蛇だぞ」

「もう、大丈夫みたいですから」

「……そうですね」

亜美「兄ちゃん、私を、765プロで頑張らせてくだせぇ」

「わ、わかった。って、担当は俺じゃないが……」


真美「ねぇ、兄ちゃん。14人って、誰が居ないの?」

「俺の夢の話か?」

真「聞いていいことなのかどうか……」

律子「……そうね」

小鳥「……」

春香「……」


「お母さん、ふるーつたくさんです」

「おいしそうですね~。いちご食べますか?」

「たべたいです!」

「はい、あーん」

「もぐもぐ……おいしぃです~」


やよい「……」

伊織「……」



242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:54:49.30 ID:pHjVdoaAo

「夢の中では、なぜかあずさ…がいないんだ」


貴音「……」

響「……」


「お母さん、あーん」

「あーん……」

「おいしい?」

「おいしいですよ」

「ふふっ」


雪歩「笑い方があずささんだぁ」

千早「……」


「不安で目が覚めると、あずさの瞳が映る」


美希「……」



「『おはよう』って、必ず声をかけてくれる」



「はい、キウィですよ、あーん」

「あーん……もぐもぐ」

「おいしい?」

「おいしいです!」



「そして、この子が隣で寝ている」


「それが生きがいで、すべてなんだ」



「お母さん、けーきついてます」

「ここですか?」

「ちがいます。とります……はい、おっけーですよ」

「ありがとう」

「はい」



「夢をかなえてくれた――」




243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:55:59.02 ID:pHjVdoaAo



「あずさを愛している」


「私もあなたを愛していますよ」


「はい、お父さんとお母さんだいすきです」











244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 22:58:24.87 ID:pHjVdoaAo

以上で終わりです。


読んでくれた方、感想をくれた方。ありがとうございました。




208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/07(月) 23:48:10.55 ID:Sf5EFdFno
時間順にまとめて貰えたら嬉しいです



245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 23:04:09.51 ID:pHjVdoaAo

時系列

あずさ「嘘つき」(一週目の冬) 

    ↓

/ 旅行者(宇宙人襲来)による時間早送り / ―なぜ早送りなのかは貴音のおまけ解説アリ



Pのいる時間・吹雪の日(2週目・経験地貯めてスタート)※一週目では倒れる1年前

    ↓

響の沖縄ロケ(2週目の初夏) ※一週目では倒れる半年前

    ↓

 あずさの結婚式(2週目の秋)

    ↓

   Pの手術(2週目の冬)

    ↓

母子で結婚式の映像(数年後)

    ↓

765プロによるPの復帰祝い 

    ↓

    ?


これで分かるでしょうか? 不足してるところを指摘してくれると助かります。

一年前に早送りした、と明記してなかったのが読者を困惑させた原因ですね。




246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/08(火) 23:36:37.21 ID:82JSe1+DO
今のプロデューサーは病気完治してるが入退院繰り返してたから体力筋肉共に一気に堕ちてリハビリ?を兼ねてプロデュース業再開したって事?



247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:12:05.47 ID:FdKSdEvso
そうです。
一気に体力が落ちるため、引退後すぐに結婚式を挙げたという経緯があります。
そのための、あの島なんですね。

もう一つのENDがあるので、それを投下して貴音に入りたいと思います。

終わらせ方間違えたぁぁ!!!!



248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:14:22.03 ID:FdKSdEvso




――

―――




【 6月 】



あずさ「三浦あずさ、と申します。初めまして」

P「これから、よろしくお願いします」

あずさ「えっと、その……私、運動が苦手といいますか……」

P「?」

あずさ「ダンスレッスン、大丈夫でしょうか?」

P「え? 俺に聞くんですか……?」

あずさ「はぁ……プロデューサーさんですよね?」

P「そうですけど……えっと、練習をこなしていけば大丈夫かと」

あずさ「そうですね、テニスで三振しちゃうような私ですけど……こなしていけば、なんとか……!」

P「……え?」

あずさ「はい?」

P「今、凄く不安になることを聞いたような……?」

あずさ「ダンスレッスンをこなしていけば……?」

P「いえ、そこじゃなくて」

あずさ「?」

P「…………」

あずさ「……」

P「えっと、そうですね。初対面同士ですから、お互いの夢を発表して、なんというか、距離を縮めましょう」

あずさ「それは名案ですね、はい」

P「夢は、俺の手でトップアイドルを育て上げることです!」

あずさ「それは凄いと思います~。応援していますね」

P「…………はい」

あずさ「トップアイドル……そうですねぇ、そこまでいけばきっと……見つけてくれるのかもしれません」

P「……」

あずさ「…………」

P「あずささんの、夢……は?」

あずさ「あ、ある人を探しているんです……」

P「ある人?」

あずさ「は、恥ずかしいので、今はこれだけです~」




249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:15:14.42 ID:FdKSdEvso

【 7月 】



P「あずささん! ステージデビューが決まりましたよ!」

あずさ「まぁまぁ、それは凄いですね~」

P「どうして他人事なんですか! デビューするのはあずささんなんですよ!」

あずさ「そうですね、夢のようで嬉しいです~」

P「というか、お菓子を食べながらのんびりしてて、いいんですか……?」

あずさ「もぐもぐ……?」

P「時間……」

あずさ「まぁ……3時……」

P「急ぎましょう、真達も待ってますから……送っていきます」

あずさ「ありがとうございます~。あ、でも……私、車酔いしちゃうので……電車で行こうかと」

P「……え、えっと……酔い止めの薬、買って来ますから、準備していてください!」

タッタッタ


あずさ「食べながら歩くのは行儀が悪いですね。食べ終えてから行きましょう」




250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:16:12.09 ID:FdKSdEvso


【 8月 】


あずさ「あの、本当に私なんかが出場してもいいんでしょうか……?」

P「だ、大丈夫ですよ」

真「そうですよ! ボク達だって、そんなに経験が無いんですから!」

伊織「そ、そうよ! せっかくのチャンス、無駄にするわけにはいかないわ!」

律子「伊織も緊張してるし……プロデューサーは頼りないし……大丈夫なのかしら……」

あずさ「うふふ、楽しみですね、南国の島」

真「そうですね~、テレビで紹介していましたけど、リゾート地になっていて、たくさん遊べそうでしたよ」

あずさ「まぁ~、いいですね~」

伊織「ちょ、ちょっと! 遊びに行くわけじゃないでしょ!」

P「遊びとは違うけど、楽しんでみよう。肩に力が入っていても結果は出せないからな……うん!」

律子「……はぁぁ……本当に大丈夫なのかしら……」




251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:16:58.31 ID:FdKSdEvso

【 9月 】


高木「まさか、短期間でそこまでいくとは」

P「律子と真が、伊織とあずささんを引っ張ってくれたようです」

高木「うむ、これからも君には期待してるぞ」

P「はい!」


響「はいたーい!」

P「今日も元気だな、響」

響「ねぇねぇ、自分の仕事、まだないのー?」

P「……そうだな、まだレッスンの日々だ」

響「自分が稼がないと家族を路頭に迷わせてしまうぞー!」

P「今は辛抱だぞ。律子も真も伊織もあずささんもそれがあったから……」

響「いぬ美が! ハム蔵が! へび香、シマ男、オウ助、うさ江、ねこ吉、ワニ子、ブタ太が!!」

P「わ、わかった。家族想いの響の期待に応えようじゃないか。俺も頑張って営業かけてくるッ!」

響「頼りにしてるからね、プロデューサー!」

P「律子、行くぞ」

律子「え……どうして私を……」

P「時間、空いてるよな?」

律子「頼りになるんだか、ならないんだか……」

小鳥「行ってらっしゃーい」

響「どうして律子と一緒?」

小鳥「戦略を立てるのかな?」


あずさ「今月の双子座は……」

亜美「……どうなのかな? わくわく」

あずさ「健康運、仕事運絶好調~!」

真美「遊び運はないの~?」





252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:17:39.52 ID:FdKSdEvso

【 10月 】


P「ひっくしゅっ」

あずさ「まぁ、大丈夫ですか?」

P「……油断しましたかね……くしゅっ」

あずさ「体温測りますね」スッ

P「……?」

コツ


P「ッ!?」

あずさ「えっと……そうですね、少し熱が……っ!?」

P「さすがに、それは……無防備すぎますよ、あずささん」

あずさ「すすすっ、すいませんっ」

P「というか、風邪移しそうなので、近づかないように……帰ったら手洗いとうがいを必ず……くしゅっ」

あずさ「……っっ」




253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:18:27.22 ID:FdKSdEvso

【 11月 】


美希「しあわせなの~!!」

春香「いいなぁ、美希……」

千早「……」

美希「千早さん、これおいしいよ~、食べてみる~?」

千早「いい。……悪いけど、歌詞を覚えているから」

美希「ごめんなさいなの~」

春香「どうして美希だけ、プロデューサーさんの料理を味わってるの?」

美希「ご褒美なんだって」

春香「よく分からないけど……」

あずさ「まぁまぁ、おいしそうですね~」

美希「プロデューサーが、ミキのために作ってくれたきんぴらごぼうだよ」

あずさ「……きんぴらごぼう?」

美希「食べてみる? おにぎりと絶妙のコンビネーションなの!」

あずさ「それじゃ、一口だけいただきますね」

美希「はい、どうぞ」

あずさ「もぐもぐ……ん!」

春香「た、食べたくなってきた」

千早「…………席を外します」

春香「……千早ちゃん…………」

あずさ「千早ちゃん」

千早「なんですか?」

あずさ「はい、あーん」

千早「遠慮します」

あずさ「あーん」

千早「……いえ」

あずさ「はい、あーん」

千早「…………ぱく」

あずさ「……どうでしょう?」

千早「よく、わかりません」

春香「おいしいよね! そうだよね!」

美希「春香はまだ食べてないの」




254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:19:41.24 ID:FdKSdEvso

【 12月 】


P「お、これからレッスンだったな」

貴音「はい。行ってまいります」

雪歩「……っ……い、行ってきます……っ」

P「気をつけてなー」


P「最近は俺にも慣れてきたみたいだ。少しずつだ、雪歩」



ガチャ


P「ただいま戻りましたー」

やよい「おかえりなさーい」

伊織「お帰り」

P「え……」

伊織「アンタ、私が挨拶したら引くってどういう神経してんのよ」

P「ただいま! 嬉しいぞ俺は!」

伊織「あっそ」

やよい「えへへー」

P「昼からのボイスレッスン、忘れて無いよな」

伊織「ノープロブレム」

P「うん。……それはそうと、なにか食べたい果物とかあるか?」

伊織「なによそれ」

P「仕事に関係しているんだ」

伊織「桃ね。桃よ桃、桃しかないわね、桃がいいわ」

P「そんなに好きだったのか。オレンジだと思ってたが……やよいは?」

やよい「梨かなー……?」

P「……わかった」

伊織「駅前のデパートで買ってきなさい、高級なヤツね。缶詰なんか買って来たら承知しないわよ」

P「…………小鳥さん、あずささん、知りませんか?」

小鳥「屋上で空を見てくるって言ってましたよ」

P「そうですか。そろそろ時間だから、呼んできます」

小鳥「ふふ、ごゆっくり~」

P「……? 急いでるって意味だったんだけどな?」

伊織「ちょっと、缶詰は駄目って聞いてるの?」

P「いいから、ちゃんと準備しておくんだぞ」

やよい「わっかりましたー!」

伊織「むっかー! 私を蔑ろにしたわね!?」



255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:20:13.26 ID:FdKSdEvso


P「伊織も元気だな」


ガチャ



―― チリン。



P「鈴の……音?」





256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:21:52.11 ID:FdKSdEvso


「幸せの青い鳥は、身近に居る……ひょっとしたら……?」

「あずささん、寒くないんですか?」

「はっ!?」

「え!?」

「ぷ、プロデューサーさんっ、今の聞いていましたか!?」

「い、いえ……」

「そ、そうですか…………ふぅ」

「そんな格好では風邪引いてしまいますよ」

「うふふ、大丈夫ですよ。あたたかい、ですから」

「……よく分かりませんけど。レッスンの時間ですから、行きましょう」

「……そうですね、わかりました」

「そうだ、あずささんが好きなケーキ、なんでしたっけ」

「えっと……? なんでしたっけ?」

「ほら、フルーツがたくさんのってるケーキですよ」

「あ、タルト・オ・フリュイですね。……でも私、そこまで好きではありません……けど」

「あ、あれ? ……そうなんですか。……伊織の件といい、知らないことばかりだな、俺」

「そのケーキがどうしたんですか?」

「昨日の仕事で、あずささんは俺との約束を守ってくれたので、そのお返しに、と」

「約束……」

「指きりげんまんでもしますか? なんて、子供っぽいですよね」

「わかりました」

「いや、冗談ですよ……変なこと言ってすいません」


「はい、どうぞ~」


「う……」


ギュ


「ゆびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼんの~ます」


「……」


「うふふ、約束です」


「わ、わかりました……夜までには戻れると思いますので」




257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:23:04.49 ID:FdKSdEvso


―― チリン。


「ん? また鈴の音が……どこから?」



「……くしゅっ」


「わっ、あずささん! 早く中に入りましょう!」


「あら?」


「どうしたんですか……指をきらないんですか?」


「心の中が寒く感じたから……くしゃみ……を?」


「心が寒い……?」


「今は……あたたかい…です……。こうして、小指で繋がっていますから」


「……そうですか」


「……」


「……?」


「プロデューサーさんは――」




―― 運命の人、って……信じますか?






258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:25:03.55 ID:FdKSdEvso


―――

――





貴音「……」


ガラッ


貴音「おや?」

美希「少し冷えるけど、気持ちいいね」

貴音「……」

美希「邪魔かな?」

貴音「いえ。美希も一緒に、月を望みませんか」

美希「そうするね」

貴音「……」

美希「綺麗だね~」

貴音「明日も早いのでは?」

美希「ううん。日本に帰ってきたんだから、少しは余裕あるよ」

貴音「そうですか」

美希「みんな寝ちゃったから、チャンスだと思って。聞いて欲しいことがあるの」

貴音「美希は覚えているのですか?」

美希「ううん、違う」

貴音「的を射た発言が多くみられましたが」

美希「覚えているじゃなくて、知ってるが正しいよ」

貴音「知ってる?」

美希「ミキ……じゃなくて、私、あの頃よく寝てたでしょ?」

貴音「今は、時間を戻しても構いませんよ。わたくしも、時間はそれほど流れておりませんから」

美希「ふぅん……じゃあ、18のまま?」

貴音「いえ。19です」

美希「じゃあ、ミキ達の方が経験豊富なんだ。それって凄いね」

貴音「浦島太郎は、竜宮城から帰ったとき、知人が一人も残されていなかったと記されていますね」

美希「うん」

貴音「その気持ちを味会わなくて本当に良かったと、皆に囲まれて思いました」

美希「うん。ミキも貴音に会えてよかった」

貴音「……」

美希「なんかね、その寝ていた時間が多かったから、記憶が他の人より特質なんだって」

貴音「……記憶?」

美希「えっと、ネガフィルムって知ってるかな?」

貴音「写真の現像に用いられるふぃるむで相違ないですか?」

美希「そうそう。昔、映画の撮影なんかで使われてたやつね。それが流れ込んでくるの」



259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:28:36.79 ID:FdKSdEvso


美希「意識して目を瞑ると、そのフィルムがずらーっと並んで、一コマずつにたくさんの私――ミキ達がいるのね」

貴音「……」

美希「その一枚を取って、集中してみると、映像として動くの」

貴音「映像?」

美希「それは、思い出だったり、未来の予知だったり。もしかして、の世界だったり」

貴音「それが……記憶」

美希「うん。最初は小鳥みたいな妄想なのかと思ってたけど、違ったみたい」

貴音「人類の記憶を引き出し出来る……もしや――」


貴音「あかしっくれこぉど」

美希「そうみたい。でも、ミキ達以外には視えないから良くわかんないけどね」

貴音「その点について、補正を」

美希「?」

貴音「美希はこの宇宙の秘密に気付いていないのですか?」

美希「秘密……?」

貴音「宇宙規模による幾億の再生によって蓄積された、わたくし達の記憶。美希はそれを視ているのです」

美希「……」

貴音「先ほど挙げた、未来予知・もしかしての世界は、思い出として一つということ。それ故、人類の記憶」

美希「一度経験したことだったんだね。これも知らなかったなぁ」

貴音「それを教えたのは誰なのです?」

美希「リツって人と、黒猫。あ、あと忍者」

貴音「個性に富んだ集団ですね……」

美希「そのリツって人が黒猫と会話をしてて……その時初めてこの力? に気付いたの」

貴音「はて……、別の旅行者が……」

美希「多分違う」

貴音「美希も旅行者を存じているのですか?」

美希「うん。映像を視て、貴音に間接的に教えてもらったよ。宇宙の秘密は聞いて無いけど」

貴音「旅行者の説明不足ですが……腑に落ちません。この点を説明しなければ、接触する理由が……」

美希「貴音が隠したことなんじゃないの?」

貴音「わたくしが隠す……? その理由も……なるほど、合点がいきました」

美希「?」

貴音「話は後ほど。まずは美希の話を聞き終えてからにしましょう」

美希「うん」

貴音「美希はこの力をあの3ヶ月間で使っていないと推測しますが」

美希「まぁね。ただのデジャヴだと思っていたから。これを使えばトップなんて……朝飯前なのに……」

貴音「頑張りましたね、美希」

美希「……っ」

貴音「視えなくてもいいものまで視えてしまったのではないですか」

美希「う、うん……っ」グスッ



260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:30:12.80 ID:FdKSdEvso

美希「そ、それでね。……あの子の未来を視てもいいのかなって」

貴音「プロデューサーの病が……あの子にも……と?」

美希「……うん。怖くて……まだ視てないんだけど……」

貴音「あずさをはじめ、わたくし達はプロデューサーに対し不安を感じていましたね」

美希「……うん」

貴音「その不安が、今のこの時間を創っているのだとしたら、それは罪だと考えますか」

美希「ううん、絶対にそれは無いの」

貴音「喩え、神に対する冒涜であろうと、悪魔への尊崇だろうと、摂理の崩壊を招くとしても」


貴音「わたくしは美希を守ると誓いましょう」

美希「……わかった」


美希「手、握っててくれる?」

貴音「わかりました」


ギュ


美希「……ふぅ」



美希「――」



貴音「……」



美希「……」


貴音「どうでしたか?」



美希「もう一回」


ギュッ


美希「――――」



貴音「……」




美希「…………」


貴音「……」


美希「ミキと、貴音、律子の三つのフィルムがあるとするよ?」

貴音「はい」



261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:32:08.37 ID:FdKSdEvso

美希「三本の細長いフィルムが並んでいて、左から過去、右へ未来とコマは流れていくの」

貴音「……」

美希「三人が同じ想い出を作ると、それぞれ一コマに同じ映像が並ぶのね」


美希「その次のコマに移ると、三つそれぞれが全く違う映像になるの。そうやってフィルムはつくられている」


美希「それは最後まで。私たちが寿命を迎えるそのときまで」

貴音「はい」

美希「だけど、あの子には……その次のコマが無いの」

貴音「それは……?」

美希「わかんない」


美希「あずさの胸の中で眠るあの子。やよいと遊んでいるあの子……過去はあるけど、未来が視えない」

貴音「……」

美希「……ミキも詳しいことは分からないけど」

貴音「この時間は、特別なのやも」

美希「特別?」

貴音「決められた時間ではない、それだけのことですよ」

美希「ふぅん……あ、そっか。さっきのやよいの決意がそれなんだ……」

貴音「……」

美希「貴音の言うとおり、これから先は決まってないみたいだね」

貴音「皆で守っていきましょう。何が起ころうともこの時間を」

美希「うん。……ありがと、相談してよかった」


貴音「……もしや」

美希「そうだよ。この力? は、その旅行者がくれたみたい」

貴音「……辛いのなら、消してもらいますよ」

美希「できるの?」

貴音「……」

美希「探しに旅に出なきゃいけないんでしょ? いいよそこまでしなくても」

貴音「しかし……」

美希「私が適任だったんだよね……導き手として。特質だったから、丁度良かったって」

貴音「先を知るというのは、視えなくてもいい世界を視てしまうというのは、相応の負担になるのでは」

美希「うん。だから、悩んでいた真美と一緒にイタリアへ行ったの」

貴音「……」

美希「有り得ない選択を選んで、頑張ってみようって。おかげで、世界も広がったよ」

貴音「……美希」

美希「ズルだから、つまらなくなるけど……ミキはほら、保険? だからね」

貴音「道を間違えないように、と?」

美希「そう」



262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:34:44.20 ID:FdKSdEvso

貴音「酷な事を聞いても?」

美希「いいよ」

貴音「この時間の前……1周前を、存じているのですか?」

美希「うん。……プロデューサーのいない世界……」

貴音「……」

美希「あずさが頑張ってた」

貴音「そうですか」

美希「みんなの為に……っ……隣に・・・いない……っ……誰かさんを想いながらッ」グスッ

貴音「……」

美希「……だからね、ミキ……この時間がとっても嬉しいんだっ」

貴音「…………」

美希「あの美希が……少し……可哀相かな…………」

貴音「悲恋、なのですね」

美希「ま、まぁね」

貴音「美希があの初夏を迎える前、それが理由で髪を短くしたのですか」

美希「違う。このままだと、また……いなくなっちゃうなぁって感じたから。決意表明だよ」

貴音「……」

美希「勘違いしないでね? ミキはまだ……誰も好きになって無いんだから」

貴音「それはそれで、ですね」

美希「そうなんだよね……。あはっ、ありがと、貴音!」

貴音「聴いているだけ、ですよ」

美希「誰にも相談できないことだからね。とっても楽になったよ」

貴音「そうですね。話せば、余計に気を遣わせてしまうでしょう」

美希「……うん」

貴音「夢を見て、目が覚めれば悪い映像を視てしまってはいないか、など」

美希「そう、みんな優しいから」

貴音「やはり、早送りであって、消した訳ではなかったのです」

美希「……どうして早送りなの?」

貴音「既視感を強めるため、ですよ。今の自分自身に生まれ変わるのは時間を要しますから」

美希「そうなんだ……スケールが大きすぎるの」

貴音「先ほどの話に戻りますが。美希に世界の秘密を黙していたのは、何度も悲しみを味わう可能性があったからだと推測します」

美希「…………」

貴音「わたくしから旅行者の話を聞いた時の状況、話していただけますか?」

美希「えっとね。ミキはソファで寝てて。律子に起こされて、小鳥が貴音を急かしてて」

貴音「……」

美希「あずさが空を見に、屋上へ行っている間、貴音から、黒猫の正体を聞いたの」

貴音「……」

美希「あずさが屋上から戻ってきてからも少し聞いたよ」



263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:36:11.16 ID:FdKSdEvso

貴音「その時のあずさの様子は?」

美希「少し調子悪そうだった。でも、すぐに回復して、ミキと貴音のレッスンに行ってるから大丈夫」

貴音「……プロデューサーの居ないその後の世界」

美希「気になる?」

貴音「答え様によっては聞かせてもらえるのでしょうか」

美希「ううん、それは無理。だんだん、フィルムを伸ばしたようになって、視えないんだもん……」

貴音「必要ないということ、なのやもしれませんね」

美希「そうだね。大事なのはプロデューサーの居るここであって、これからなんだもん!」

貴音「真、同意致します」

美希「うんうん」

貴音「……」

美希「……」

貴音「……あの、美希」

美希「ごめんね」

貴音「やはりっ!」

美希「貴音の過去、うっかり視ちゃった♪」

貴音「――!」

美希「ミキはもうこんなヘンテコな力? 持ってるから、驚きはしないんだけど」

貴音「みみ美希き」

美希「誰にも言わないの」

貴音「ふぅっ」

美希「でもね、貴音」

貴音「はいっ?」

美希「ミキと貴音の未来……それほど幸せじゃないんだよね」

貴音「なんと……!」

美希「ううん。それなりに幸せなんだけど……三人の家族のような、あの幸せじゃないの」

貴音「なんと……!?」

美希「ミキ達以外は良い……やっぱ止めた」

貴音「なんと……」

美希「あーぁ……。こればっかりはつまんない……って思っちゃうなぁ……あ、そうだ」

貴音「?」

美希「ミキが、幸せになれるように……これを見てるあなた!」




美希「早くミキを迎えにきてね☆」





264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:38:48.10 ID:FdKSdEvso

貴音「それは誰に向けためっせぇじなのです?」

美希「ミキと同じ力? を持った誰かに」

貴音「美希、相手も同じ時間を生きていなければ意味がありませんよ」

美希「あ、そっかぁ……なぁんだ……」

貴音「美希も、あずさのように積極的になってみてはどうでしょうか」

美希「……そうだね。それがいいかも!」

貴音「わたくしも精進しなくてはいけないようですね」


美希「それじゃ、次はミキの運命の人――ハニーを見つけようっかな」



美希「あふぅ」



End




265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/09(水) 00:44:26.29 ID:FdKSdEvso


美希に負担かけすぎ笑えない……!!!


リツ(けいおん・ドラマー)
黒猫(葛の葉ライドウ・ゴウト)
忍者(極上生徒会・歩)

以前に書いたssの設定です。便利なのでクロスさせました。
アカシックレコードの元ネタはぬ~べ~です。


あずさ「嘘つき」はこれで完結です。
以前から付き合ってくださった方、ありがとうございました。




268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/01/09(水) 02:23:59.18 ID:RyuefqPko

おつでした



転載元
あずさ「約束を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357300955/
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         コメント一覧 (55)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 04:34
          • 読み始めて30分経つけど、長いなこれ…
            最後まで読んだら朝になるなぁ
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 04:41
          • まだ10/95だからか「いったい何が起きてるんだ……?」状態
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 05:16
          • 1/95という数字を見てスレをソッと閉じた……
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 05:28
          • 5/11まで来たがさっぱりだぜ
            もう短くていいからネタバラしして欲しいくらいだ…疲れたから寝る
            んで明日コメント欄見て読むか考える
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 05:33
          • 半端ないな。SSって長さじゃ無い……
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 06:17
          • あずにゃんかと
            知らない話だったので僕はそっとクリアボタンを押した
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 06:34
          • これを最後まで読める勇者はまだ現れんのか!!
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 07:03
          • 最後まで読み終わったけど途中まで前作の内容忘れてたから頭の中疑問符だらけだったわ
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 07:13
          • 4 読み終わったら朝じゃないか…まぁ良い話だったからいいか。

            長いからこそ良かったと思う。
            読んでると、なぜか場面毎にセピア色の雰囲気を受けるのは凄いと思った。
            あと、Pが全てを話すところより、直後の千早の言葉がジーンときた。

            仮眠するわ…
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 07:32
          • 話自体は前作のちょいと昔の話と、未来の話。前作と繋げると、対応策がなく病気で死んだP→凄い力を持った宇宙人(猫)が
            、全く同じ過去、環境、状態という条件がそろうまで時間を進める→本来なら全く同じ未来を辿るはずだか、765プロの皆が前回の記憶を断片的に持っているのでPが死ぬ未来を回避できた→Pの手術が成功して本来はなかったであろう未来の話。的な内容だった?と思う。
            周回してるから分かり辛いが、パラレルワールドではないって作者はいってた。
            眠気で何を言ってるか自分でもよくわからん。
            前作も読んだから気になって読んだが、まさかこんな時間まで掛かるとは一時間後には仕事か……
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 08:04
          • 前作のタイトルは?誰か教えて下さいませんか。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 08:08
          • >>11

            あずさ「嘘つき」
            ってタイトルだよ こっちも長いからがんばりな
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 08:20
          • 二つとも読んだから言える事だけど、
            先にこっち書いてP死亡エンドにして前のやつを出せば個人的にすっきりしたかも

          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 08:20
          • 72ページで休憩
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 08:37
          • 前作を読んでないからかも知れんが、少し冗長に感じたな。SSという形式である以上もう少し贅肉落とすべきでは?
            内容自体は良かったと思う
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 09:09
          • 5 やっぱりどこかのアホリボンと違ってあずささんがヒロインだと面白いね!
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 10:11
          • 4 冗長すぎで内容ペラッペラ
            沖縄旧跡観光案内いらねー
            切り抜いたポスターみたいなヘナヘナの登場人物達
            全部読んだ俺の時間を返せ
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 10:18
          • 前作のタイトルに関しては>>1があえて伏せてる
            って序盤でそのことに触れてるんだがそこまで読まずにコメント欄見てんのか?
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 11:12
          • 俺は長さに屈したようだ
            みんなは頑張れ
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 12:38
          • 95を携帯で読み始めたら1時間以上になりそう。。
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 12:49
          • ※17
            と言いつつ四ツ星。優しいな
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 12:54
          • 序盤・・・?と思ったらマジで>>32だったでござる。俺もリタイアしとく
            気合の入ったSSってのは本と違って読むのが疲れるなー
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 12:59
          • 1/11ってのに気付いて読むの諦めたわ
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 13:04
          • 4
            ようやく読み終わっても?が若干並ぶな

            でも、読みごたえあって面白かった。
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 15:14
          • 4 最後の最後辺りで ん?ってなったけどそれはそれで自分は楽しめた。
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 17:16
          • 1/11という表記を見た俺はそっとページを閉じた
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 19:47
          • 4 前作から前作読んだけど、貴音のネタバレパート無視して自分で勝手に納得したほうが分かりやすい気もする。

            面白かったけど宇宙人関連は深く考えず、とにかく世界を一巡させたよ!って認識でいいかも
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 22:40
          • 途中まで読んだけど最後まで読む気しないな
            伏線なんだろうとは思うが序盤の意味不明な下りがとにかく長すぎる
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 22:50
          • 2 謎のせいで読み辛いのかと思ってたら、素で読みにくいうえに謎のせいでさらに読みづらい
            そして深読みするほどの謎でもなかったし、内容に対してあまりに長い
            とにかく情景や状況がわかりづらい
            あといろいろ…
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月09日 23:49
          • 難しい話ではないしそれなりに面白かったと思うが長かったな
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 00:00
          • 1 こんだけ長いと読む気なくすなぁ。まぁ実際読んでないんだが。
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 00:33
          • 1 なんというか、馬鹿が一生懸命頭を捻って書いた感じ
            完全に時間の無駄でした
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 00:53
          • 宇宙人の介入のせいで無駄に長くなってるって感じしたけど
            なかなか楽しめた
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 01:52
          • スクロールバーを見て絶望した
            なぜいつもあずささんスレは無駄に長くなるのか
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 02:32
          • 4 前作も読んだけどこの人の作品の空気感凄い好き。問題は読み始めた時間が悪かった。今日早番なのにOTZ
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 02:37
          • ※34
            あずささんSSは長く
            伊織SSは短く
            春香SSは中ぐらい
            ここから導き出される意味はなんだろうか
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 05:28
          • 3 春香が全然出てこないからキーパーソンなんだと思ってたらそんなことなかった…いい話だったけども
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 07:45
          • 2 なんだろう、このSS読んでると目が滑る。凄く読み辛い。
            テンポとか文章運びとか構成とか、もっと考えた方が良いんじゃないか?
            セリフしかないのに読み辛いってどういうこった
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 10:24
          • 最近低評価つけたりボロクソに叩くコメント書くやつ極端に増えたな

            いや感想だから別にいいんだけどね
            一昔前はここの※欄もあんまり殺伐としてなかったから気になっただけさ
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 11:41
          • ※39
            ここは春香厨がいくら面白くても低評価つけまくるから気にしない方がいいよ。
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 12:09
          • ※40
            流石にそれはない
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 15:07
          • 内容の割りにだらだら長い、読み辛い
            全部読むの無理
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 15:32
          • 2 やりたい物はなんとなく解るけど
            作者の頭の中で補完してる部分がちらほら粗に見えて読みづらさに繋がってるのか?
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 22:31
          • 頭っからテンション低い感じで始まるから途中で疲れちゃうのかもね
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 23:14
          • 確かに物凄く読み辛いな
            長編なのに最初っからわかりにくい書き方してるせいで全然内容に惹きこまれなくて全部読む気にならない
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月10日 23:16
          • 11ページwwww
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月11日 02:16
          • 無駄に長い
            それが全て
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月11日 22:02
          • 作者の中では前作ありきなんだけど
            この作品を書くに当たっては新規でいこうとか考えて前作紹介を控えたりしてたせいで
            設定と伏線のふわふわ感が半端無くなってる印象
            前作を読み込んだヒトには”あれ?”とか“ニヤリ”ってさせる意図なんだろうけど
            雰囲気だけで読んでたヒトや新規のヒトには意味不明な楽屋ネタの振りのように読んでて疲れる状態にさせるね
            適当に章分けして引きを強めに書いて読者に邪推や妄想させるネタみたいにすればつきあう人多かったんだろうけど
            前作がいわゆる転と決のようなモノだったから至る経緯を後付けされてもわくわく感はないな
            掲載順をかえて全章でそろったあとで”ひとまとまりの繰り返しモノだった”って方がつきあえたしおもしろかったろうなと思うと残念
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月12日 01:29
          • ※48
            お前長文なのに的確だな
          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月12日 03:43
          • 2 読み手の事を考えていない自己満足的な内容でしたね
            纏められる部分があっても冗長で、まるでページ数でも稼ごうとするラノベ作家のようです
            あと全体的に読みにくくて疲れます、話に起伏が無く山場が解らないのも読みにくさの原因だと思ういます
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月15日 03:06
          • 2 SSなんて自己満足でしかないのを分かってて楽しむモンだと思ってるんだが、
            冗長すぎる上読みにくく、波がないんで読んでてイライラする。
            完全に時間の無駄だった。
          • 52. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年03月24日 21:25
          • 5 自分は凄く良かったと思う
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年09月23日 11:39
          • 5 乙、幸せになれた。
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年05月18日 00:33
          • 4
            前作を読んでないならわけわかんないだろうから低評価でも仕方ないな
            読んでればいい作品だなと思うよ

          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年07月06日 19:24
          • 1 わざとやってんのかってくらい極端に読みづらかった。
            読みやすくする技術がないなら、変に謎めいた要素は排除してシンプルに纏めた方がいい

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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