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織莉子「私達が救世を成し遂……」キリカ「引力、即ち愛!」【前編】

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:23:40.31 ID:TNNSrTKk0







これは『呪い』を解く物語――











2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:24:04.13 ID:TNNSrTKk0


その始まり――


『呪い』とは

ある人に言わせると魔女にターゲットとされた人への「マーキング」と説明する


また違う解釈だと人類が誕生し物事の「白」と「黒」をはっきり区別した時に――

その間に生まれる「摩擦」と説明する者もいる



だがとにかくいずれのことだが『呪い』は解かなくてはならない

さもなくば『呪い』に負けてしまうか……





3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:25:26.49 ID:TNNSrTKk0


#1『私と貴女の世界を護るために』


「ただいま!織莉子!」

「おかえりなさい。キリカ」


見滝原中学校の制服を着た少女、呉キリカは息切れをしている。

ベッドに横たわっている美国織莉子は、同居人に答える。

キリカの片手にはパンパンに張ったエコバッグ。

織莉子の片手には自身の魂であるソウルジェム。

二人とも頬は紅潮し、体は少し汗ばんでいる。


織莉子「帰宅時間はピッタリ。予知通りね」




4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:26:30.72 ID:TNNSrTKk0


織莉子「……走って帰ってきたの?」

キリカ「だって!織莉子の熱が心配だから……!」

織莉子「フフ、ありがとう。心配してくれて」

織莉子「それよりも、荷物を置いてきなさい。おつかいちゃんとできた?」

キリカ「馬鹿にしないでよね!織莉子はすぐ私を子ども扱いする!」

キリカ「そんじゃ、食材とアイスを冷蔵庫に入れてくるね」

織莉子「アイス?」

キリカ「お釣りは好きに使って良いって言ったじゃあないか。織莉子の分もあるからね。バニラアイス」

織莉子「あら、ありがとう」




5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:27:06.25 ID:TNNSrTKk0

キリカ「ただいまー」

織莉子「二回目ね」


部屋着に着替えたキリカは、ペットボトル片手に織莉子の部屋へ戻ってきた。

そして「スポーツドリンク買ってきたよ。飲んで」と言ってそれを渡した。


織莉子「えぇ。ありがとう」

織莉子「……ん、美味しい」

キリカ「よかった。織莉子ってスポーツドリンク似合わないから、苦手だったらどうしようかと」

織莉子「に、似合わないって……」

キリカ「ねぇ織莉子?聞くのが遅れたけど、体調はどう?熱は?ダルくない?」

織莉子「熱はまだひいてないけど……今朝よりはよくなったわ」

キリカ「体が重くてトイレに行けないとかなかった?お昼ご飯食べれた?泥棒とか来なかった?心配で落ち着かなかったよぅ」

織莉子「だ、大丈夫よ……。どうしてもという時は魔法を使って気怠さとかをカバーしたわ」

キリカ「ちょ……!無理したらダメじゃないか!」




6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:27:48.50 ID:TNNSrTKk0


織莉子「そうね。無理って程でもないけれど……。まぁグリーフシードもあるし」

キリカ「無駄遣いはダメだ!織莉子にもしものことがあったら私……!」

織莉子「……キリカ。そんなに気遣ってくれるなんて……」

織莉子「キリカのような人が側にいてくれて、私、本当に幸せ」

キリカ「え?えへ、えへへ……そうかな?」

織莉子「そうよ。あなたは私の『天使』だわ」

キリカ「お、大げさだよぉ……」

キリカ「でも私だって、織莉子の看病ができて幸せだよ。織莉子こそマイエンジャルだよ」

織莉子「フフ……嬉しい」

織莉子「……それで、どうだった?」

キリカ「うん?何が?」

織莉子「何って、久しぶりの学校がよ」




7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:28:30.17 ID:TNNSrTKk0


キリカ「ああ。それね。いや~、大変だった。先生や同級生に色々言われたよ」

織莉子「先生は何か言っていたかしら?」

キリカ「適当に世間話したよ。内容は忘れたけど」

キリカ「まぁ、明日からはちゃんと学校に来いってことで落ち着いたね」

織莉子「そう。そうするといいわ」

キリカ「いやしかしなんだね。君も転校生?な~んて聞かれた時はどうしようかと思ったね」

織莉子「大変だったわね」

キリカ「まぁね」

キリカ「久しぶりの授業は面倒臭いの極みだったよ……『特異点』とか超理解不能」

キリカ「ねぇ、織莉子。美術の授業で画家の話になったんだけど、画家の名前なんて覚えて何になるんだろうね?」

キリカ「『ジョット』とか知らないよっての。現社で習う哲学者だってそうさ」




8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:29:23.20 ID:TNNSrTKk0

キリカ「未来を生きる私達には、過去の人間のサクセスストーリーなんか知ったこっちゃないよ」

織莉子「学んだことは将来何かに役に立つかも知れないわ」

織莉子「理科を習えば自然に興味が沸いて高校で生物を一生懸命に学んで海洋系の大学へ進学して紆余曲折の末海洋学者になって書いた論文で博士号がとれるかも」

織莉子「広く教養を持つに越したことないわ」

キリカ「へぇ~……いいことを言う」

織莉子「まぁそれはいいとして……」

キリカ「?」

織莉子「私が言っておいた『彼女』はどうだった?」

キリカ「…………」


キリカは、織莉子の声のトーンと表情を感知し、それに見合った態度をとる。

背筋を伸ばし、コホン、と小さく咳払いをする。




9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:30:22.79 ID:TNNSrTKk0


真面目な表情で、互いに見つめ合う。

温室のような雰囲気は一瞬にして地下倉庫のようなひんやりとした空気となった。


キリカ「……織莉子の言った通りだった。予知通り」

キリカ「『いた』よ……。二年生だった」

キリカ「あ、いや、疑ってたわけじゃないからね」

織莉子「そう。それで、どうだった?」

キリカ「どうって?強そうとか?」

織莉子「それも含めて、あなたの率直な意見が聞きたいの」

織莉子「彼女を見て、どう思った?」

キリカ「んー……意見って言われても……」

織莉子「何でもいいわよ。小学生が書く道徳教材用ビデオの感想文くらいに簡単なのでいいわ」

キリカ「うーん……そういうヤツ書くの苦手だったクチでさぁ」



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:31:54.22 ID:TNNSrTKk0


キリカ「……正直に言うよ」

織莉子「えぇ。正直に言って頂戴」

キリカ「『アレ』が世界を滅ぼすとは到底思えない」

織莉子「…………」

キリカ「ね、念押しするけど、決して織莉子の予知を疑っているわけじゃあないからね」

織莉子「わかっているわ。でも、『魔女になる』以上……人間の時点を見ても何もわからないわ」

キリカ「いや、まぁそれはそうなんだけどね……」

キリカ「それで……作戦はいつ決行する?」

織莉子「いつでも勝てる?」

キリカ「……こないだ、こっそりと暁美ほむらと巴マミの魔女狩りを偵察した話、しただろう?」

キリカ「『暁美ほむら』は時を止めることができるように見えた。ピンと来たよ。固有魔法が私を似てる」

織莉子「えぇ。聞いたわ。その話」



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:32:39.91 ID:TNNSrTKk0


キリカ「だからごめん。わからない」

キリカ「あの眼鏡っ子のスピードを遅くして不意を突いたとて……時を止められたらその時点でアウトだ」

キリカ「そして『巴マミ』……あの身のこなしはハッキリ言って段違いだね。あと髪がクルクルしてる」

織莉子「そうね。巴マミはベテランの魔法少女だと聞くわ。髪は関係ないでしょうけど」

織莉子「ベテランと言うからには、当然私達よりも経験がある」

キリカ「厳しい……かもね」

織莉子「……さて、果たして……私達で処理しきれるものか」

織莉子「いささか不安な気持ちがないこともない……」

キリカ「でもでも!織莉子がやるっていうなら、私、どんな不利な状況でも……!」

織莉子「ダメよ。確実な手を選ばないと」




12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:33:22.50 ID:TNNSrTKk0

織莉子「予知では……まだまだ時間の猶予はある」

織莉子「私達が直接深く干渉しなければその予定が狂うことなし」

織莉子「考える時間も態勢を整える時間も十分ある……」

織莉子「世界を救うことに対して慎重になりすぎるということはないわ」

キリカ「それでもなるべく早くピリオドを打ちたいけれどもね」

織莉子「えぇ……そうね」

織莉子「必ず……必ず、やってみせるわ」

キリカ「うん」

織莉子「彼女を葬り、救世する。それが私の生きる意味……」

キリカ「彼女を『や』って……私達の人生が始まるんだね」

織莉子「えぇ……私と貴女の世界を護るために」


織莉子「『暁美ほむら』を『排除』するッ!」





13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:34:06.62 ID:TNNSrTKk0


時は遡る―――



――病院


「…………」

「今……何週目だったかな」


我々はこの少女を知っている!いや!この赤ぶち眼鏡と、この黒いおさげを知っている!


「うぅ……!ダメだった……!」

「まさか……まさかあんなことになるなんて」

「佐倉さんが魔女になり、美樹さんはその魔女に殺された……」

「巴さんは魔女化の真実を知って動揺しながら、佐倉さんだった魔女と心中した」

「そして……その間に鹿目さんは……別の場所で生じた結界に巻き込まれて……」

「……全員死んだ。最悪だった……」




15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:42:44.59 ID:TNNSrTKk0


彼女――暁美ほむらは頭を抱えた。

前の時間軸のことを思い出す。

前時間軸、紆余曲折あったが友達は『五人』

前時間軸、その内魔法少女は自分含め『四人』

前時間軸、捨てるまでに消費した武器は『14の爆弾』

前時間軸、最後に食べた菓子は茶会に出された『イチジクのタルト』


ほむら「うぅ……」

ほむら「…………考えて。暁美ほむら」

ほむら「鹿目さんは魔法少女にさせないという方向は確定としている」

ほむら「鹿目さんは転校する前に予め何とかすれば、取りあえずは契約を先伸ばしにできる」




16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:43:14.79 ID:TNNSrTKk0


ほむら「だが、美樹さんは……今のところ魔法少女のことを知ったら必ず契約する」

ほむら「前回は魔女になる前に亡くなったけど……魔女になる蓋然性が高いまま」

ほむら「魔法少女に関わらせないようにしたいけど……」

ほむら「キュゥべえがいる以上、何をどうしたところでそれは不可能に近い」

ほむら「…………」

ほむら「……どうしよう」

ほむら「どうすればいいの……?」

ほむら「……何もわかんないよ」




17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:44:08.31 ID:TNNSrTKk0

ほむら「うぅ……」

ほむら「本当に私なんかが鹿目さんを守れるのかな……グスッ」

ほむら「…………」

ほむら「……全部、私のせいだ」

ほむら「敗因は私。私には課題がある」

ほむら「強くなりたい。今の私はあまりに弱すぎる」

ほむら「前の時間軸も、その前も……いつだってそうだった」

ほむら「私は力不足。足手まとい。そんなんじゃあ救えるはずがない」

ほむら「何か新しい『武器』が欲しい。新しい『力』が欲しい……」

ほむら「…………」

ほむら「いや、違う」




18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:44:40.14 ID:TNNSrTKk0

ほむら「肉体的な強さではない。精神的な強さが必要だ……」

ほむら「私に足りないのは……『勇気』と『覚悟』」

ほむら「もう誰にも頼らないだとか……」

ほむら「いざというときは誰かを切り捨てるだとか……」

ほむら「それができる勇気と、それをする覚悟が必要なんだ」

ほむら「私は臆病だから……それができなかった」

ほむら「その差で食いつぶされたチャンスもある」

ほむら「私がもっと強気になれれば……」

ほむら「迷い無き覚悟を持たなければならないんだ」




19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:46:15.59 ID:TNNSrTKk0

ほむら「甘いことを言っちゃあダメだよ。暁美ほむら」

ほむら「私の目的は、鹿目さんを救うこと。契約をさせないこと。それを最優先に考えて」

ほむら「大切な人を救うのに、犠牲が出るのはやむを得ないと考えるべきなんだ」

ほむら「既に……賽は既に投げられている。その道を進むしかない」

ほむら「私は弱い……だから、強くならなければならない!」

ほむら「成長しなければ、栄光は掴めない……」

ほむら「巴さんも美樹さんも佐倉さんも」

ほむら「鹿目さん以外を、いざという時には見捨てる……」

ほむら「そういう覚悟を決めなければならないんだ。勇気を出さなければ負ける」

ほむら「誰にも頼らないという……」

ほむら「そういう、心持ちを……!」




20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:47:25.82 ID:TNNSrTKk0


――帰路


ほむら「……どうすればいいのだろう」

ほむら「どうせなら、今までにやらなかったことをやるべきだ」

ほむら「誰にも頼らないとは言ったものの、すぐに突っ走るなんてのは愚直すぎる」

ほむら「どちらにしても……転校前に誰かと接触を図るのもいいかもしれない」

ほむら「だったら巴さんが一番良さそうかな……」

ほむら「いや、鹿目さんに会うのも悪くない……」

ほむら「美樹さんは特に話すことがないから……」

ほむら「佐倉さんに至ってはどこにいるのか……」

ほむら「…………」

ほむら「でも……今の私は、鹿目さん以外を、いざという時は見捨てしまおう。っていう心持ち」

ほむら「協力してもらうというより、利用させてもらいたいという気持ちの方が、正直強い」

ほむら「そんなこと考えて……そんな気持ちを持って接して不信感を抱かれかねない……か」



21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:48:21.13 ID:TNNSrTKk0

ほむら「……でも、とにかく」

ほむら「何にしても……誰かしらには……」

ほむら「予め接触しておくに越したことはない……と思う」

ほむら「とは言え、今日はもう遅いし……明日あたり行ってみようかな」

ほむら「どういう感じに話そうかな……」


ほむら「――ん!」

ほむら「け、結界が……!」

ほむら「……うーん」

ほむら「武器はたくさん用意してるけど……魔力はあまり使いたくない……」

ほむら「ここからだと少し遠そうだし……」

ほむら「で、でも行かないわけには行かない……!」

タッ



22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:49:29.80 ID:TNNSrTKk0

――結界最奥


ほむら「うわぁ……何、この結界……」


結界の中は、今までにほむらが見た結界の中で、最も人間の暮らしに様子が近かった。

廃れてはいるが小さめの家が多数並んでいて、その一軒一軒をコンクリートのブロック塀が囲む。

10年前の住宅地のような落ち着いた雰囲気の『廃墟の街』……錆びて黒ずんだポストが一際存在感を放つ。


ほむら「真っピンク」


普段の生活とかけ離れている所で、まず目に入る光景、空が『ピンク色』であること。

夕暮れ時の独特のグラデーションであるわけでなく、ベタ塗りされたようなダークピンクの空。

「目に優しくない。何となく深呼吸はしたくない」

と、ほむらは思った。



23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:50:30.11 ID:TNNSrTKk0

次に目に入ったものは、地面だった。

所々地面が、舗装されている道や塀、枯れた『紫陽花』の生えている花壇、大小様々各々の家をぶち破って不自然に隆起している。

隆起した断層というより『壁』が地面から生えてきたかのようだった。


『壁』の高さは目分量で普通1~3メートル。幅は5~8メートル。

一番大きいものでも15メートル程度。

そんな壁がいくつも不規則的に並んでいる。

よく見ると壁には『穴』があった。小さい穴は一つの壁につき2、3個。

まるで目のように見えて、ほむらは不気味に思った。




24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:52:01.59 ID:TNNSrTKk0

ほむら「奇妙な結界……」

ほむら「うーん。何となくノスタルジィみたいなのを感じる。……ってそんなこと言ってる場合じゃないか」

ほむら「どことなく、懐かしいって思えるような景色。半分近く壊滅してる上に空がピンク色だけど……」

ほむら「……初めて見る結界、か」

ほむら「……どうしよう。やっぱり不安だなぁ」

ほむら「こんな時、巴さんがいてくれたらどんなに心強いだろう」

ほむら「……ダメだ。そんな弱気なことを言っちゃ……」

ほむら「一人で戦えるように、成長しなくちゃ!」

ほむら「……あ、何かいる」



25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:53:01.73 ID:TNNSrTKk0


ほむら「あれは……魔女か、使い魔か……」


『カブト虫』の甲のような色をしたポストらしき物体の横に、いつの間にか『人型の何か』が立っていた。

ほむらが人間でないことを断定した理由は、顔が存在しないためである。

身長は推定180センチから200センチ。全身の色は白。

少女の影をそのまま切り抜き、色を反転させたかのような色彩、もやもやした外見。

頭頂部に黄色い弓状の無機質的な物……カチューシャと思しき物体をつけている。

顔が存在しなくとも、その幽霊のような存在がこっちを見つめていることをほむらはすぐに理解した。

ほむらは盾から拳銃を取り出し、臨戦態勢に入る。


ほむら「この魔力の波長……」

ほむら「間違いない。こいつが魔女だ!」

ほむら(……銃)




26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:53:41.58 ID:TNNSrTKk0

ほむら(盗んだばかりの……)

ほむら(…………)

ほむら(……いや、いいんだ。いいんだよ。これで……そう。構わない……)

ほむら(そんなことで悩んでいたら、この先、戦えない……)

ほむら(とりあえず銃を扱うことになんの恐れもあってはならないッ!)

魔女「…………」


結界の主、魔女はゆっくりと歩み寄ってくる。

人型であるため歩いているということはわかるが、足音は全くしない。


ほむら「魔女が直接来る……!?」

ほむら「と、言うことは使い魔はどこかに隠れて不意打ちをするタイプ?」

ほむら「ここは素直に攻めよう!くらえハンドガンッ!」


カチリ



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:54:28.85 ID:TNNSrTKk0

ほむら「え……?」

カチッカチッ

ほむら「えっ!?」

カチカチカチッ

ほむら「ひ、引き金が……!?」

ほむら「引き金が引けないッ!?」

ほむら「どうして!?壊れちゃった!?」

ほむら「あ、セイフティー」

ドゴォッ!

ほむら「がは……ッ!?」


ほむらの隙を突き、魔女は攻撃を仕掛けた。

腕が触手のように伸び、ほむらの腹部に打撃。突き飛ばした。



28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:58:46.46 ID:TNNSrTKk0


ほむら「クッ……!」

ほむら(……このままだと「壁」に叩き付けられる!)


魔女の殴打を喰らい体が宙に浮いた。

ほむらは足と体幹に魔力を込め、空中で体勢を整え、着地する。

ズサッ

ほむら「うぅ……!」

ほむら「グ……ク、げほっ!」

ほむら「お腹が……うぇ……」

ほむら「しかし、壁の寸前で何とか着地できた……」

ほむら「このまま叩き付けられていたらかなりのダメージを喰らっていたってところかな……」

ほむら「それにしてもすごいパワーだ……私はかなりの距離を吹き飛ばされたらしい……!」

ほむら(うぅ……どうしてこんな目に……)

「Uoray――Ow――Ecnahc」

ほむら「ッ!」



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:59:15.93 ID:TNNSrTKk0

ほむら「使い魔ッ!?」

使い魔「Ura――Agihcimonustatufikebuakum――Awineamo」


黒いマントを羽織った人型の使い魔が現れた。

この住宅地の住民であるかのように、全員が廃墟から出てきて、向かってくる。

強力な磁石を近づけたラジオのような音を発している。人の言葉に聞こえなくもない。


体は硬質的でマネキンそのものに見えた。ぎこちない動きでこちらへ歩み寄る。

羽織る黒いマントは質量を感じさせずにゆらりふわりと揺れる。

その数はおよそ十数体。移動速度は人が歩く速度より少し遅い程度。

じわじわとほむらに近づいてくる。


ほむら(まずい……使い魔に囲まれる……!)




30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 22:59:44.09 ID:TNNSrTKk0


ほむら(両手をゾンビみたいに前へ突きだして……私を『壁』に押さえつけようとでもするのか……)

ほむら(何にしてもこのままでは危険すぎる……一旦退い――)

ほむら「ぐッ!?」

ガクッ

ほむら「あ、足に力が……入らない……!」

ほむら「もしかして今の着地で骨が……?」

ほむら「うぅ……ま、まずい……!」

ほむら「このままだと……」

ほむら「し、仕方ない……勿体ないけど、ここは時を止めて……」

使い魔「Aw――Ustotih……」




31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:02:54.36 ID:TNNSrTKk0



「ティロ・ボレーッ!」


ほむら「ッ!?」


ドガガガガガガッ!

ほむらにとって覚えのある声が聞こえた。

その声と同時に、一斉射撃の発砲音が響く。

視界の上から、銃撃――流星群のような攻撃が、使い魔たちを襲う。


ほむら「こ、これは……」

ほむら「まさか……ッ!」

「大丈夫かしら?」

トッ

『らせん階段』のように整ったカールを巻いた金髪の少女。

白いマスケット銃片手に「壁」の上から飛び降りてきた。

そして膝を地につけて呆然としているほむらの前に着地した。

今の攻撃で使い魔のほとんどが消滅していた。


ほむら(と……『巴さん』ッ!)




32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:03:31.08 ID:TNNSrTKk0


マミ「大丈夫?怪我はない?」

ほむら「…………」

マミ「女の子がこんな時間に出歩いちゃダメよ……ってあら?」

マミ「あなた、魔法少女……この辺りの子?」

ほむら「…………」

マミ「あっ……と」


住宅街のような結界は、いつの間にか消えていた。

周りの景色は真っ暗な道端に戻った。


マミ「いけない……逃がしちゃったみたいね」

マミ「意外と逃げ足の速い……まぁ、いいわ」




33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:04:05.75 ID:TNNSrTKk0

マミ「それよりも、大丈夫?」

マミ「震えているけど……もしかして寒い?」

マミ「どこか痛むとこはない?よかったら治療するけど」

ほむら「…………」

マミ「もしかして立てないの?ほら、手を貸してあげる」

ほむら「…………」

マミ「……ど、どうかしたの?」

マミ「あの……何か言ってもらわないと私としてもどうしたらいいのかわからないわ……」

ほむら「うぅ……」

マミ「え?何?もう一回言って?」




34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:05:21.43 ID:TNNSrTKk0


マミはほむらに手を差し伸べている。

ほむらの脳にフラッシュバックする光景。


初めて魔女と出くわし、助けられた瞬間。

「最高の友達の笑顔」と「頼れる先輩の優しい声」

二つの要素が、今、自分の目の前に重なって映る。

脳に流れ込む思い出の処理で言葉が出ない。

堰を切ったように涙があふれ出てきた。

ポロ、ポロ

ほむら「うぁぁ……!あうぅ……!」

マミ「ちょ、ちょっとっ!?」



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:12:40.49 ID:TNNSrTKk0

マミ「そんな、何を泣いて……」

ほむら「うぅぅ……ひぐっ、うあああぅぅ……えぐ……」

マミ「……こ、怖かった、の?」

ほむら「あああ……グスッ、うえぇぇぅ……ひっぐ、えぐっ」

マミ(と、取りあえず……こういう時は抱き寄せてあげとくのがセオリーよね。物語とかでよくあるし)

ギュッ

マミ「大丈夫よ。もう怖くないわ。だからほら、泣かないで。よしよし」

マミ(ついでに頭も撫でちゃったりして)

ナデナデ

ほむら「あうぅぅ……ひぐっ、ども゙え゙ざぁん……ううぅぅ」

マミ「え……?」




38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:13:32.52 ID:TNNSrTKk0

マミ「今、私の名前を……」

ほむら「うあぁう……ああぁぁぅ……!」

マミ「んーっと……どうすればいいのかしら……」

マミ「と、取りあえず落ち着いて……ね?」

ほむら「うぅ……クスン」

マミ「私の家に来る?怪我をしたなら手当するし……」

ほむら「グスッ……」

マミ「あなたのことも聞きたいし……いい?」

ほむら「…………はぃ」




39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:14:28.58 ID:TNNSrTKk0


ほむらは、マミの家に匂いが好きだった。


訪ねればいつだって紅茶の上品な香りや菓子の甘い香りが漂っていたから。

しかし、今は深夜。

マミに夜食を召す習慣がないため、そういった匂いはない。

訪ねる時はいつだって陽が傾きかけた放課後だった。

そのため、嗅覚的にも視覚的にも、ほむらにとっては新鮮だった。


ほむら「……お邪魔します」

マミ「えぇ、いらっしゃい。紅茶淹れるわ」

ほむら「あ、いえ、そんなお構いなく……すぐ、お邪魔しますんで」

マミ「そう?実はティーセットを出さなくて済んで助かっちゃったりして。こんな時間だものね」

ほむら「す、すみません」

マミ「すぐ謝るのね。ここまで来るのに何回も……これで五回目かしら」




40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:15:29.47 ID:TNNSrTKk0


マミ「……それで、いい加減変身を解かせてもらいたいの、だけど……」

ほむら「……?はい」

ほむら(そう言えば何でずっと変身したままなんだろう)

マミ「えっと……ちょっと不格好な格好になるけど、許してね」

ほむら「……あぁ……はい」

ほむら(そっか……)

マミ「飲み込みがよくて助かるわ」


結界内ではカールしていた髪は、変身を解くと同時に解け、癖のあるセミロングになる。

落ち着いた色をした薄手のパジャマを着ている。


マミ「ごめんなさいね。パジャマで。これから寝ようとしてたところだったのよ……」

ほむら(クルクルした髪じゃない巴さん、何だか新鮮……)



41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:16:05.45 ID:TNNSrTKk0


マミ「えっと……色々聞きたいことはあるんだけど……」

マミ「まず、あなたは?」

ほむら「あ、私は……その……」

ほむら「……今度、巴さんと同じ中学校に転校する暁美ほむらです。……二年生、です。よろしくです」

マミ「え?そ、そうだったの?よろしく……」

マミ「あなた、転校生だったのね……私とあなた。運命的な出会いをしたわね……人の出会いって本当に不思議だわ」

ほむら「…………」

マミ(あ、スベった?)

マミ「……ん?待って。同じ学校?同じも何も私まだ何も言ってないわ……」

ほむら「あっ」




42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:16:41.30 ID:TNNSrTKk0

ほむら「い、いえ……その……えっと……」

ほむら「……あっ」

ほむら「そ、そこの制服……です。はい」

マミ「へ?……あ」

マミ「そ、そうなのね。ごめんなさい。クローゼットちょっと開いていたわね……気を使わせちゃった?」

マミ「コ、コホン、えっと……それで、何を話そうかしら」

マミ「……いつから魔法少女に?」

ほむら「一ヶ月後」

マミ「へ?」

ほむら「あ、違う。えっと……前、です。一ヶ月前」

マミ「じゃあ、日は浅いのね」

ほむら「……はい」



43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:17:22.48 ID:TNNSrTKk0

マミ「よかった。もし手慣れてて、私が余計なことしたーって思われていたら困るからね」

ほむら「そ、そんなことは……」

マミ「それから……」

マミ「あなたの魔法武器は……さっきの銃?」

ほむら「…………」

ほむら「……盾、です」

マミ「……じゃあ、あの銃は何?」

ほむら「…………」

マミ「私は銃器に関してはド素人だけど……本物よね?どこで手に入れたの?」

ほむら「…………」

マミ「私は……それほど人生経験は豊富じゃないわ」

マミ「でも、あなたの態度で何となくわかってしまう」

マミ「それ……魔法を使ってどこかで盗んだんじゃない?」

ほむら「…………」

ほむら「……そう、です」

マミ「…………」




44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:18:12.76 ID:TNNSrTKk0

ほむら(巴さんは、魔法少女を希望、正義の象徴と見ている……魔法を悪用することを嫌う)

ほむら(軽蔑されるだろうか)

ほむら(逃げ出したい。今すぐ時を止めて、逃げ出してしまいたい)

ほむら(巴さんの、落ち着いた表情……怒っているのか否か判断しにくい声……)

ほむら(私の心が萎縮して……『覚悟』が揺らいでしまう)

マミ「……理由、教えてくれる?」

ほむら「…………」

マミ「こんな大層な物を盗む行動と、結界で泣きじゃくり今おどおどとして受け答えする性格……二つのことが矛盾しているわ」

マミ「盗まざるをえなかった状態だった、と見受けられるけれど……」

マミ「別に怒鳴るつもりはないわ。夜中だし。ただ、理由を聞きたいの」

ほむら「…………」



45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:19:31.30 ID:TNNSrTKk0

ほむら(まだ知り合ってもいない人を守りたいと言っても変に思われるかな……)

ほむら「…………私」

ほむら「仲間が……いたんです。魔法少女として一緒に戦って……」

ほむら「鈍くさい私と仲良しになってくれた友達……」

ほむら「戦い方と紅茶の淹れ方とケーキの作り方を教えてくれた先輩、とか……」

ほむら「時には、その二人とは別の人ですが、仲違いしたこともありました。敵視されたり……疑念を持たれたり」

マミ「…………」

ほむら「でも……色々あって、全員、死んでしまったんです」

マミ「……!」

ほむら「原因は、私なんです」



46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:20:05.89 ID:TNNSrTKk0


ほむら「私が……私が弱いから。ドジでのろまだから……足を引っ張って……」

ほむら「仲違いだって、攻撃に巻き込んだり、思えば私が空気の読めていないような言動をとっていたりしたから」

ほむら「だから……」

ほむら「だから、これからは一人で頑張れるようにって……強くなろうって……」

ほむら「そう思って……銃を盗みました」

ほむら「暴力団のならいいやっていう中途半端でいい加減な考えの元に……盗みました」

ほむら「強くならなきゃいけないのに、強くなるって、心に誓ったのに」

ほむら「誰にも頼らないって……そういう覚悟でやらなくちゃいけないって……」

ほむら「なのに……結局、今、こうして巴さんに助けられて……こうやって、気を使ってもらって……」


ほむらは声を震わせ、頬を濡らした。テーブルがぼやけて見える。

マミはほむらの涙で潤んだ目をじっと見つめていた。




47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:20:41.70 ID:TNNSrTKk0


マミ「…………」

ほむら「あっ。ご、ごめんなさい……また泣いちゃって……」

ほむら「本当に……私ってダメで……泣き虫で弱虫で……自分が情けないです……」

ほむら「挙げ句に、盗みだなんて……軽蔑、しましたよね」

マミ「……辛かったのね」

ほむら「……」

マミ「……」

マミ「……わかったわ」

マミ「ねぇ……暁美さん」

ほむら「……?」

マミ「私と共闘関係を結びましょう。一緒に戦うの」

ほむら「えっ……」



48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:21:31.39 ID:TNNSrTKk0

マミ「私と一緒に魔女と使い魔を倒す……この街を守りましょう」

マミ「どう?同じ中学校のよしみってわけじゃあないのだけれど」

ほむら「…………」

マミ「あなたの行動は、人によっては軽蔑の対象になるでしょうね……」

マミ「だけど、今までの経緯でスレた結果なのよ」

マミ「……私、あなたを支えてあげたいと思う」

ほむら「……」

マミ「暴力団から盗んだって言ったけど……」

マミ「『そういうこと』を未然に防いだ、誰かがそれによって傷つけられるのを救った、と言えなくもないしね」

マミ「別にそれを『いいこと』とするわけじゃあないのだけれど」

ほむら「……どうして」



49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:22:05.84 ID:TNNSrTKk0

マミ「ん?」

ほむら「どうして……私を軽蔑しないんですか?盗人、なのに……」

ほむら「私なんかを……どうして……!どうして受け入れようなんて思うんですか……!」

マミ「どうして、と言われると……」

マミ「私にも……一人、仲間、というより弟子のような子がいたの」

マミ「だけど、その子とはちょっとした方向性の違いで仲違いしてね……」

マミ「その子は一人で生きていく方が、一人の方がずっと良いって言ったわ」

マミ「私は……その子と出会うまでずっと一人だった。それで、その子が出ていってからまた一人で……」

マミ「寂しいからってわけじゃないの。人は協力してこそ人という生き物なの」

マミ「魔法少女にもそれが言えるって、私、信じている」



50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:22:53.00 ID:TNNSrTKk0


マミ「だから……暁美さん」

ほむら「…………」

マミ「……誰にも頼らないだなんて、寂しいこと言わないで」

マミ「だから、私と一緒に戦いましょう?」

ほむら「で、でも……」

マミ「強くなるのに、孤独である必要はないのよ」

マミ「足を引っ張るんじゃないかって思うのなら……私が支える」

マミ「弱みを握られたと思われようなら、それは絶対ないと誓う」

マミ「私に教えられる範囲であれば、私からも戦い方を指南する」

マミ「大丈夫よ。一度弟子を持った身なんだもの」

ほむら「巴さん……」




51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:23:38.13 ID:TNNSrTKk0

マミ「嫌われるんじゃないかって不安があるなら……その不安を拭えるよう努力するわ」

マミ「『眠いから適当なことを言ってる』とか言われちゃったら嫌いになるかもだけど」

マミ「あなたの罪は、私とあなただけの秘密よ」

ほむら「……どうして」

マミ「?」

ほむら「どうしてそこまで……」

マミ「あなたがいい子だからよ」

ほむら「…………」

マミ「私を頼って。暁美さん」

ほむら「うぅ……」




52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:24:28.71 ID:TNNSrTKk0

マミ「ど、どうしたの?やっぱ、嫌だった……?」

ほむら「いえ……嬉しくて……それと同時に、情けなくて……」

ほむら「私って……結局、巴さん……人に甘えてばかりなんだなって」

ほむら「強くならないといけないのに……」

マミ「……人の本質はね、そう簡単には変わらないの」

マミ「急に変わろうとすると、必ずボロが出る」

マミ「そういうのは直したくても、無理に直そうとすると違う弱点が出てくる」

マミ「それが人間の性……」

マミ「本来はゆっくり変わっていくべきなのよ」

マミ「それに気付けず、そして運が悪ければ……『ドロローサへの道』に突っ込んでしまう」

ほむら「どろ?」



53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:25:27.50 ID:TNNSrTKk0

マミ「あ、ドロローサへの道ってのは要するに困難への道って意味ね」

マミ「とにかく、私と一緒に戦いましょう?」

ほむら「……ありがとう、ございます」

ほむら「本当に……ありがとうございます……!」

マミ「いいのよ。暁美さん」

ほむら(あぁ……私は……)

ほむら(私は何て情けないんだ……)

ほむら(巴さんは……初対面である私のために、こんなに優しい言葉と態度をかけてくれるのにッ!)

ほむら(巴さんと既に会っている私は……いざという時は『見捨てる』だなんて……)

ほむら(そんなことを考えていた私が情けない!)




54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:26:55.57 ID:TNNSrTKk0

マミ「それともう一つ……」

マミ「あ、いえ。やっぱりいいわ」

ほむら「?」

マミ(何で私の名前を知ってるのか聞きたいけど……やめておこう)

マミ(どうして聞かない方がいいと思ったのか、そこのところ自分でもよくわからないけど……)

ほむら「あの、巴さん。えっと……もう、遅いですし、私、帰ろうかと思います」

マミ「あら、もう日付が変わってる……」

ほむら「学校があるのに、夜分遅くにすみませんでした。それと……本当にありがとうございました」

マミ「フフ、いいのよ」

ほむら「それじゃ……失礼します」

マミ「えぇ。あなたが学校に来るの、楽しみにしているわ」

ほむら「はいっ」

ほむら「お邪魔しました……!」

マミ「またね。暁美さん」




55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:27:32.40 ID:TNNSrTKk0


バタン…

マミ「……ふふ、可愛い笑顔ね」

マミ「……仲間、できちゃった……嬉しい」

マミ「暁美さん、か……」

マミ「もう、一人じゃないのね。私……」

マミ「……あ、メールアドレスとか聞いておけばよかった」

マミ「でも、またすぐに会えるから、その時に聞けばいいわよね」

マミ「♪」


鼻歌を口ずさみながら、マミはカーペットを指で撫でた。

そして、ふと、パジャマの裾から覗く足首が目に入る。


マミ「……あれ?」




56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:29:02.29 ID:TNNSrTKk0

マミは眉をひそめ、裾を捲る。

そこには、点線の、歪な荒い楕円のような「傷」があった。

血は出ていない。


マミ「おかしいわね……」

マミ「攻撃は一切喰らってないのに……」

マミ「まるで、動物に『噛みつかれたような傷』……」

マミ「気付かなかっただけ?……油断大敵ね」

マミ「…………」

マミ「何か気持ち悪いからシャワー浴びよう」

マミ「……明日、寝坊しないといいけど」



57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 23:35:24.99 ID:TNNSrTKk0

今日はここまで。お疲れさまでした。


初めての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりです。
過去に二作まどか×ジョジョクロスを書いた者です。

今回は波紋鉄球に続き、スタンド編となります。


しかしリアルの都合でなかなか書く都合がつきませんでして……
本当はジョジョアニメでツェペリさんが出てきた頃には完成させたかったんですがね……。

あと、色々と作風の変更・新しい試みをしてみました。

・////や「」横の効果音(「わー」グッパォン 的な)の廃止。しかし効果音自体は使います。
・スピードワゴン先生ばりのセリフでは限界があるので地の文を使ってみました。初めての試みであまり自信ががないので少な目。
・スキあらばブチ込んでたジョジョネタを缶コーヒーの甘さ控えめ並に自重しました。
・外伝組を登場させてみました。口調等のほとんどは他のSSから参考にしています。原作も読みはしましたが、コレジャナイを感じたら申し訳ないです。
・文中の!や?の後に空白をあけないことにしました。割と多用するので文章がスカスカになりそうなので……読み辛いというご指摘があれば以降訂正します。多分


それと、これまで書いたもので最も長いです。

なので試みとして場面ごとにサブタイトルを設定してみました。

まとめて読むぜって方はサブタイトルを基準に休み休み読むと目に優しいかもです。

しかし第一話で50レスも使っちゃってたとは……二スレ目行くかもわからんね


今年中に書ききりたいとは考えてます。書ききれるといいなぁ。

上述の通り無駄に長い作品ですが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。



60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 00:00:28.40 ID:FQpnXCKDO
タイトルからして六部とのクロスなのだろうか



61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 00:04:19.32 ID:0InLjhcLo
六部なら誰がパンティくれるのかが問題だな



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 15:19:13.46 ID:BJ8/1rIIO
スタンドはスタンドでもまた七部だったりして



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:21:06.47 ID:x5B4HQt90

#2『夢の中で会った、ような……』



――数日後


和子「カ~リフォ~ルニャア~♪」

和子「おはようございます。さて、皆さん……」

和子「『カリフォルニア』を『カリフォルニャアー』と言うのは許します……」

和子「私も学生時代『メソポタミア』を『メソポタミャー』と言っちゃったことがありましたからね……」

和子「まぁその辺は……訛りの範囲内だろうし、何より猫っぽくて可愛いですからいいとします……」

和子「むしろカリフォルニャって言った方が発音的に本場っぽいかもです」

和子「しかし『カ"ル"フォルニア』と言うのは許しません!これは完全に誤りです!California!綴りが違います!"i"です!」

和子「『アイ』を湾曲させるのは許しませんッ!絶対にッ!人としてッ!英語教師としてッ!」

和子「皆さんも今度の小テスト気をつけるようにッ!」

中沢「先生、何をそんなに怒っているんですか?」

和子「察してください」




68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:21:59.10 ID:x5B4HQt90

仁美「『また』……のようですわね」

さやか「今度は教養が許容範囲内に満たない人だった、ってとこかな?」

まどか「そうかも……」

さやか「教養が、許容、に、ね」

まどか「え?うん」

さやか「……もういい」

まどか「?」


和子「と、いうことで転校生が来てます」

まどか「そっちが先なんだ……」




69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:22:51.83 ID:x5B4HQt90

ガラッ

ほむら「……」

仁美「まあ美人」

さやか「すごい髪だねぇ」

和子「さ、自己紹介をどうぞ」

ほむら「あ、はい」

ほむら「……暁美ほむらです。よろしくお願いします」

和子「暁美さんは東京の病院で入院していましたが、最近越して来ました」

和子「慣れない環境故、戸惑うこともあるでしょう。みなさん仲良くしてあげて下さいね」

ほむら(何回目だろう。この自己紹介……何回やってもこの瞬間は緊張する)

ほむら(鹿目さん……今回こそ……)

まどか「…………?」

まどか(こっち見てる?)

まどか(うーん……それにしても……)

まどか(夢の中で会った、ような……)



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:23:39.60 ID:x5B4HQt90

女子生徒a「部活とかやってたァん?運動系とか文化系とかァ」

ほむら「入院生活が長くて……あんまりです」

女子生徒b「この世の中で一番大切なものは何か?」

ほむら「え?えっと……友情……かな」

女子生徒c「すごい髪ね。毎朝大変?ラブ・デラックス調子いい?」

ほむら「へ?」

女子生徒d「もしさあ……ここにカバンが落ちてて、中に1千万円入ったとしたら、君……届ける?」

ほむら「はい?」

男子生徒a「フフフ、まさかあ~~、もらっちゃいますね……!」

男子生徒b「ハハハ!正直だね……でもさあ……もし俺が私服警官で、それを見ちゃってたら?」

ほむら「えーっと……」

男子生徒c「人が人を選ぶにあたって……一番『大切な』ことは何だと思うね?」

ほむら「…………あ、あの」



71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:24:07.18 ID:x5B4HQt90

女子生徒e「なにをおさがしかね?」

ほむら「す、すみません……えっと、保健室に行きたいのですが」

女子生徒e「ほけんしつゥー?フーム」

女子生徒a「だったら、まどっちの出番ね」

女子生徒b「カモォ~ンまどまどちゃ~ん」

まどか「しょうしょう、おまちください」


まどか「ってことで、行ってくるね」

さやか「転校生を独り占めというわけだァー」

仁美「保険委員冥利に尽きますわ」

まどか「お、大げさだよォ……」




72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:24:38.07 ID:x5B4HQt90

ほむら「…………」

まどか「わたしが保険委員だよ」

ほむら「うん」

ほむら(鹿目さん……)

まどか「わたし、鹿目まどか。よろしくね」

ほむら「こちらこそ、よろしく」

まどか「それじゃ、行こっか」

ほむら「うん」



73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:25:37.15 ID:x5B4HQt90


――廊下


ほむら(さて……何を話そうかな)

まどか「何か、ごめんね。騒がしくって。転校生なんて珍しいからさ」

ほむら「あ、う、ううん」

まどか「暁美さん、学校慣れそう?」

ほむら「うん。大丈夫、そう」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん、って呼んでいい?」

ほむら「へ?」

まどか「特に何でってこともないけど……馴れ馴れしいかな?」

ほむら「そ、そんなことないよっ」

まどか「えへ、よかった」



74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:27:43.28 ID:x5B4HQt90

まどか「あっ、ほむらちゃん。ちょっと待って」

ほむら「?」

まどか「制服にゴミが……取ってあげる」

ほむら「ん、ありがとう」

まどか「これは……毛かな?」

ほむら「毛?」

ほむら「んー……?」

ほむら「これは……猫の毛、だね」

まどか「猫」

ほむら「うん。ちょっとね」




75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:28:10.71 ID:x5B4HQt90

ほむら「飼ってる訳じゃないんだけど、ちょっと、色々あって懐かれて……」

ほむら「今朝飛びつかれちゃったから多分その時のじゃないかな」

まどか「ほむらちゃんって猫に好かれるタイプ?」

ほむら「どうだろう。特別人懐っこい仔だから」

まどか「人懐っこくてこの毛の色……エイミーかな?」

まどか「あっ、エイミーって言ってもわかんないか……えっと、近所の仔猫なんだけどね」

ほむら「多分、そうだと思うな」

ほむら(と、言うよりそうだよ)




76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:28:42.87 ID:x5B4HQt90

まどか「猫って可愛いよねー」

ほむら「うん。爪を研ぐポーズが好きかな」

まどか「あっ、ほむらちゃんもそう思う?」

まどか「えへへ……わたし達気が合うかも」

ほむら「ふふ、そうだね」

ほむら「…………」

ほむら(鹿目さん……)

ほむら(こんな私と話してて、こんなに可愛らしい笑顔を見せてくれる……)

ほむら(……どうして、こんなにいい人が……あんな目に)

ほむら(いい人故に……か。だからこそなおさら、あんなことがあってはいけない)




77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:30:11.30 ID:x5B4HQt90


ほむら「…………」

ほむら「……ねぇ、鹿目さん」

まどか「ん?なぁに?」

ほむら「鹿目さんは……自分の人生が貴いと思う?」

まどか「へ?ど、どうしたの?」

ほむら「家族や友達を大切だって、思う?」

まどか「そりゃあ……もちろんだよ?大好きで、とっても大事な人達だよ」

まどか「今日からはほむらちゃんもその一人っ」

ほむら「そ、そう言ってもらえると……嬉しいなぁ」

ほむら「えへへ……って、そうじゃなくて」

ほむら「も、もしその気持ちが本当なら……リスクを持ってしてでも変わっちゃおうだなんて絶対に思わないでほしいの」



78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:31:13.42 ID:x5B4HQt90

まどか「えっと……それは……?」

ほむら「無理に変わろうとすると……全てを失うことに繋がりかねない……」

ほむら「鹿目さんは、鹿目さんのままでいてほしいの」

まどか「…………?」

ほむら「……あ、ご、ごめんね。急に変なこと言っちゃって」

まどか「つまり、急がば回れってことだね!」

ほむら「……え?」

まどか「わたし……結構、鈍くさいというか人に流されやすいというか……コンプレックスっていうの?そういうのがあるの」

まどか「いつか……そんな弱い自分を変えたいだなんて思ってた時期もあったよ……」

まどか「遠回りこそが、本当の近道!ほむらちゃんはそう言いたいんだね」

ほむら「あ、あの……」

まどか「なりたい自分には、ゆっくりなっていけばいい、と……」

ほむら「…………えーっと」



79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:33:00.32 ID:x5B4HQt90

ほむら「そ、そうです。急に変わろうとするとボロが出ますから……あはは……」

ほむら(ち、違う……。私が言いたかったのと何か違う……)

ほむら(鹿目さんは今ので一体何をどう解釈したの?いや、私も何が言いたいのかいまいちアレだった気もするけど)

ほむら(……でも、そういうことでいいや)

まどか(急に家族がどうこう言ってきたけど……)

まどか(もしかしてほむらちゃん。家族のことで何か悩みでもあるのかな)

まどか(もしそうなら、力になりたいなって)

まどか「ねぇ、ほむらちゃん。今日のお昼、一緒に食べない?」

ほむら「あっ……えっと……誘ってくれるのはすっごく嬉しいけど……」

ほむら「今日は……その、何ていうか……先に約束してる人がいて……上級生なんだけど」

まどか「そっか……」

ほむら「明日。明日また、誘ってくれると嬉しいな」

まどか「うん!」




80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:33:33.62 ID:x5B4HQt90


――CDショップ


まどか「……と、いうような人生におけるアドバイスをほむらちゃんからいただきました」

さやか「……へ、へぇー、よかったね」

まどか「それとお昼一緒に食べる約束したんだ~。今日はダメだったみたいけど」

さやか「ふーん」

まどか「お弁当のおかず交換とかするって約束もしたの」

さやか「へぇ、お弁当……」

さやか「転校生って、一人暮らしなんだって?」

さやか「病弱な上に一人で家事をやりくりして挙げ句にお弁当まで作るのかね……」

まどか「大変そうだよね……」




82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:34:29.31 ID:x5B4HQt90


さやか「一人暮らしか……」

さやか「ちょっぴり尊敬アンド憧れちゃうね」

まどか「パパの料理やお弁当が食べられないだなんて、わたし、一人暮らしは到底無理そうだよ……」

さやか「転校生が特別なんだよ。普通中学生で一人暮らしなんてそうそうしないよ」

まどか「ほむらちゃんってスゴイなぁ」

さやか「ちょっと変わり者だとは思うけどね」

まどか「そう?」

さやか「だって、転校初日にあたしの嫁の誘いを断るなんてなぁ」

まどか「さやかちゃんとも仲良くなれるよ。多分」

さやか「あっ、スルーっすか。……それよか何で"多分"ってつけるかなァー!?」

まどか「だってさやかちゃん。すぐちょっかい出しそうなんだもん。多分ほむらちゃんにとって苦手なタイプだよ」

さやか「そ、それは……まぁ……うん、イジりやすそうとは思ってましたけども」



83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:34:57.97 ID:x5B4HQt90

店員「お客様。こちらになります」

さやか「あ、はい」

店員「ありがとうございました。またお越し下さいませ」

さやか「どもども」

さやか「買ったった~♪」

まどか「何のCD?」

さやか「ん、ちょっとね」

まどか「でもよかったね。予約しておいて。あんまりお店にないみたいだよ。そのCD」

さやか「ふふふ、さやかちゃんに抜かりはない……ちゃんとお取り寄せしてたもんね」

まどか「ゴ機嫌だねぇ」

さやか「一枚いかがァ~?735エェ~ン」



84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:35:49.99 ID:x5B4HQt90

まどか「……あれ?」

さやか「ん?どうかした?」

まどか「今……声が……」

さやか「声?」

まどか「何か聞こえない?」

さやか「いや、別に?」

まどか「そ、そう……?でも……」

さやか「空耳でしょ」

まどか「そうかなぁ」

まどか「でも……『助けて』って聞こえるんだけど……」

さやか「何それ怖っ。でもまどかがそんなオカルトな冗談言うとは思えないし……」

さやか「おし、恐怖を認め克つとしよう。その声とやらがする方に行こうか」




85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:36:34.36 ID:x5B4HQt90

――廃墟内部


まどか「……ここからだ」

まどか「声はこのドアの向こうからするよ」

さやか「ここ結構前からあるけど……工事してないのかな」

まどか「ここから、何かが、わたしを呼んでいる……」

さやか「端から見たらすごい痛い子みたいになってるよまどか」

まどか「……本当なんだもん」


まどかは、体の中から呼びかけられているような声を感じた。

それは、自身を呼ぶ声だった。さやかには聞こえない。

しかしさやかは、まどかは嘘が下手であることを知っている。

幼なじみだからこそわかる、まどかは嘘を言っていないという確信がある。



86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:37:20.03 ID:x5B4HQt90

さやか「じゃ、じゃあ、入ってみる?」

まどか「うん……ちょっと怖いけど」

さやか「ゆ、勇気とは怖さを知ること……!」

ガォンッ!

まどか「うあっ!」

さやか「わっ!?」


中にあるさび付いた扉を開けると、二人は急に吸い込まれた。

気圧差のある飛行機の扉が開き、空気が外に吸い込まれるかのように。


まどか「あれ……?」

さやか「ん?」

まどか「え?ええ?」

さやか「な……何……?これ……」



87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:38:23.10 ID:x5B4HQt90

気が付くと、二人は異常な空間の中にいた。

薄暗いコンクリートだけの廃墟の床が、緑色になっている。

「魔女の結界」

何故だか、まどかは脳裏にそのような言葉が浮かんだ。

黒装飾で箒に跨るイメージの『魔女』という言葉から、遠く離れた世界観。

それにも関わらず、何故咄嗟にその言葉が出たのか、まどかには理解できなかった。


さやか「ま、まどか……これ……夢、だよね?」

まどか「夢……じゃないよ……」

まどか「きょ、恐怖で……一歩も動けない……というの、なら……紛れもない現実……」

「――――」

さやか「な、何か……聞こてくる……よ?」

まどか「あ……ああ……あぅ……」




88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:38:50.68 ID:x5B4HQt90

さやか「こ、こっちに来る……?!」

さやか「あたし達を狙っているのか……!?」


狼狽えるさやか、呆然とするまどか。

その二人に、突如現れた異形な生物のようで無機物のようでもある「何か」が近寄ってくる。


まどか「ひ、ヒィッ!」

さやか「うああああ!あんな変な物体が最後に見るものだなんて嫌だァ――――ッ!」


「危ないッ!」

カチッ



89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:39:41.26 ID:x5B4HQt90

まどか「い、今の声……!」

さやか「……ほぇ?」

まどか「あ……あれ」

さやか「さ、さっきの変なのは……?」


異常な光景であるには違いないが、二人の目の前から突如その「何か」の姿は消えていた。

その代わりに、一人の少女がそこに立っている。片手に銃のような物を持っている。


まどか「あ……!」

さやか「あんたは……!」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「二人とも、どうしてここに……?」



90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:41:15.95 ID:x5B4HQt90

まどか「わ、わたしもよくわからない……助けを呼ぶ声が聞こえて……」

ほむら(声……?)

さやか「転校生……!その格好は……!?」

ほむら「こ、これは……その……」

まどか「ほむらちゃんが……助けてくれたの?」

ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「話は後で。とにかく……危ないから、私から離れないで……」

まどか「う、うん!」

さやか「な、何か物騒な物持ってるけど……」




91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:41:54.53 ID:x5B4HQt90

まどかもさやかも、ただただほむらの後ろでへたり込むだけだった。

迫り来る生き物が現れる度に、何故かその目の前で爆発が発生した。

その爆発で、得体の知れない物体は消滅していった。

そしてその手に持った黒い鉄から、鼓膜をつつくような音を放つ。

鉛の粒が当たった物体はバチュンと音を立てて体を削ぐ。

――数分間、計三回の爆音、計六回の発砲音を響かせて、得体の知れない空間は無彩色だけの光景に戻った。


さやか「あ……」

まどか「け、景色が……」

ほむら「結界が解けた……と、いうことは……倒したのかな」

ほむら「……ふぅ」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」



92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:43:14.54 ID:x5B4HQt90


ほむら「もう大丈夫。怪我は……?」

まどか「う、うん。大丈夫……」

さやか「そ、それよりもッ!一体何があったんだ!?」

さやか「転校生あんたは何者なの!?」

さやか「さっきの化け物は何!?」

さやか「あたし達何があったの!?ここどこ!?死後の世界!?いやん!」

ほむら「え、えっと……落ち着いて。……質問は一つずつで」

まどか「……ん、誰か来るよ?」

さやか「へ?」

「大丈夫かしら?三人とも」

ほむら「あ、巴さん」



93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:44:11.21 ID:x5B4HQt90

金髪でカールを巻いた少女が早足で歩み寄る。

その格好は今のほむらとベクトルが似ている。

その腕に白い小動物のような物を抱えている。


さやか「え、えーと?」

まどか「ほむらちゃんの知り合い?」

マミ「暁美さん。怪我はない?」

マミ「膝すりむいてない?どこか打ってない?痛いところはある?」

マミ「あら、埃が……払ってあげる」

ポンポン

ほむら「あの、大丈夫なんですけど……」

マミ「あなたの『大丈夫』はイマイチ信用できないわ。足手まといにならないようにって無茶する傾向にあるんだもの」

マミ「だから使い魔を倒すのに専念してもらったのよ。はい。グリーフシード」

ほむら「す、すみません……」



94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:46:54.11 ID:x5B4HQt90


まどか「あ、あのォ……」

マミ「あ、ごめんなさいね」

マミ「私の名前は巴マミ。あなた達と同じ見滝原中学校の三年生よ」

さやか「えっと……マミ、さん……状況が全く読めないんですけど」

マミ「それはそうよねぇ……」

マミ「その割には落ち着いてるように見えるけど……あまりに理解を超えてると逆に冷静なんて、あるかしら」

マミ「今のは『魔女の結界』と言うの」

さやか「魔女?」

マミ「そしてキュゥべえが見えているということは……魔法少女の素質はあるということね」

まどか「『魔法少女』……?」

さやか「見えるって……?これが……?」



95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:47:58.94 ID:x5B4HQt90

マミの腕の中にいるものは、白い猫のようでもあり兎のようでもある。

そんな奇妙な小動物がいた。マシュマロのような白い体に所々傷がついている。


マミ「えぇ。この子はさっきの魔女の手下……使い魔って言うんだけど、それに襲われちゃってね」

ほむら(巴さんの銃撃に巻き込まれてたように見えたのは気のせいだった。うん、気のせいだった)

QB「僕と契約して……魔法少女に、なって、よ」

さやか「うわっ、喋った」

QB「こ、この台詞は大事だからね……」

マミ「キュゥべえ、あなた大丈夫なの?」

QB「うん。元々、大した傷じゃなかったからね……」

マミ「どう見ても大した傷よ」

ほむら「…………」



96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:49:02.30 ID:x5B4HQt90

まどか「えーっと……すみませんマミさん。混乱しちゃって……何がなんだか」

QB「魔法少女……さっきの使い魔や、マミが戦った魔女と戦う使命を負うけど、どんな願いでも叶えてあげられるんだ!」

さやか「どんな願いも……」

まどか「それって……何だか夢みたい……」

マミ「ふふ、そうね」

ほむら「……できることなら」

QB「ん?」

ほむら「契約はしないで欲しいの」

まどか「……え?」

さやか「転校生?」

マミ「……暁美さん?」



97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:49:48.42 ID:x5B4HQt90

ほむら「鹿目さん……」

まどか「う、うん?」

ほむら「さっきの使い魔もそうだった……戦うということは、そういう怖い思いをすること……」

ほむら「魔法少女と関わったら……運命は大きく変わってしまう。巻き込みたくない」

QB「でも……素質がある以上、既に巻き込まれていると言えるよ」

ほむら「……私は、普通の人生を送ってもらいたい」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

さやか「…………」

さやか(転校生……あたしは?)

マミ「……暁美さん」

ほむら「…………」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:50:19.94 ID:x5B4HQt90

マミ(あなたの事情を……友達を失ったということを知ってるから……)

マミ(その気持ちは汲み取れる……)

QB「魔女という存在と戦う運命、それに引き替えに願いが叶う……。二人には契約をする権利がある」

QB「その権利を一方的に否定することはできないよ」

ほむら「うぅ……」

マミ「……体験ツアーでもやりましょうか」

さやか「体験ツアー?」

マミ「そう。魔女と戦うことがいかに危険かを教えるのも義務よ」

マミ「もしかしたら、危険性を目の当たりにして契約を思い留まるかも」

マミ「……ね、暁美さん」

ほむら「……!」

ほむら「そっ、そうですね……!」

マミ「と、言うわけで明日のお昼にでも会いましょう」

さやか「はいっ」

まどか(魔法少女……かぁ)



99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:51:15.13 ID:x5B4HQt90

――翌日


二人の魔法少女と、二人の普通少女は、結界にいる。

魔女の結界ではなく、使い魔の結界。ダークピンクの空。


ほむら「こ、この結界は……!」

さやか「わ、わぁ……これで結界ってのに入るのは二回目だけど……」

まどか「何だか、割と案外、普通の街並みっぽいよね」

さやか「うん。空がピンク色だけどさ」

マミ「……暁美さんと初めて出会った場所。魔女はいないけど」

マミ「あの時は結局使い魔の特性は見れてなかったし、少し様子見するとして……やっぱり不気味ね」

マミ「いい?二人とも。そこの断層の陰に隠れていて」

さやか/まどか「はいっ!」



100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:52:09.94 ID:x5B4HQt90

マミ「さて、体験ツアースタートよ」

ほむら「……じゃあ、どうしましょう?」

マミ「そうね……暁美さんの戦い方は結構、いえ、かなり特殊だからね……」

マミ「でもそれより時を止めちゃったら見学にならないのが問題ね」

ほむら「…………」

マミ「何てね。お互いの戦闘スタイルをよりよく知るためにも、自由に戦っていいわよ」

ほむら「は、はいっ」

使い魔「Ihcimoneh"onomurerabare"etiki――Awustotih」

使い魔「"Ihcimonehihs"abukanomas――Awustotihuom」


使い魔は発する音に所々に抑揚をつけ、話しているかのようだった。

何か意味のあることを話しているようではあるが、ノイズにしか聞こえない。


マミ「来たわね……!行くわよ!」

ほむら「あ、はいっ!」



101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:52:42.88 ID:x5B4HQt90

さやか「スゴイね……カッコイイ」

まどか「うん……!」


マミはマスケット銃で黒い人形を撃ちリボンで『斬り』足下に花を咲かす。

華やかさと躍動感の溢れる戦い方だった。

攻撃する度に何か叫んでいるようだが、ここからではよく聞き取れない。

ほむらは使い魔へ銃を発砲し「瞬間移動」して爆弾を仕組む。

動きはマミと比べるとよたよたして頼りないが、確実に使い魔を倒している。


QB「あの使い魔は大した強さではなさそうだ」

まどか「あ、キュゥべえ」



102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:53:45.95 ID:x5B4HQt90

QB「動き自体が遅いし、まともに攻撃を仕掛けている様子を見受けられない」

さやか「そうなの?」

QB「ほむらは契約した覚えのないイレギュラーでその実力は未知数だけど、マミはベテランの魔法少女だ」

QB「この程度の使い魔なら何てこともなく終わるだろう」

まどか「マミさんってスゴイんだね……」

さやか「憧れちゃうなぁ」

QB「二人も、契約をして訓練をすればあれくらい造作ないと思うよ」

QB「辛いことだというのは認めるよ。だけど、マミは、魔法少女としての自分に誇りを持っていると言ってくれた」

QB「ずっと一人だったから、寂しかったとも言っていたね。君達が契約をすれば、マミの心も救われるよ」

まどか「ほむらちゃんじゃ役者不足ってこと?」

QB「そうとは言わないけ――」

QB「きゅぶッ!」

グシャッ

まどか「ッ!?」

さやか「?!」


「うわっ、踏んじゃったよ……キモイねぇ」



103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:54:25.87 ID:x5B4HQt90

「やぁ、こんにちは」


――そこには、少女がいた。

正確には、魔法少女だった。

突然魔法少女が空から降りてきて――キュゥべえを踏んだ。


何が起こったのか、まどかとさやかは一瞬パニックになる。

少し離れた場所で戦っているマミとほむらはその存在を認識していない。

首に一文字の小さな切り傷がある。

動揺もあってか、そこに一度目に入るとそれ以外の外見的特徴を見出せない。




104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:54:51.48 ID:x5B4HQt90

まどか「あ、あな、あなたは……!?」

少女「名乗る程のもんじゃないけど、僕はしがない魔法少女でさぁ」

さやか「……ッ!」

さやか(な、何かヤバイ!マミさんと転校生は戦ってる最中……!)

さやか「まどか!下がれッ!」

まどか「!」

少女「お?」

さやか「こ、これ以上あたし達に近づくんじゃあないッ!」

少女「ん、いいよ」


さやかは少女のニヤニヤした表情を見て「嫌な予感」がした。

さやかは体験ツアーに持ち込んだバッドを剣道の竹刀のように構え、少女に対し精一杯の威嚇をする。

まどかは断層に背中を押し当て、怯えた表情を向ける。



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:55:33.25 ID:x5B4HQt90

少女「ド素人の構えだね」

さやか「あんたは何なんだ!」

少女「魔法少女だけど?」

さやか「さ、下がれッ!あたし達に近づくなッ!」

少女「おいおい、僕はさっきから近づいてないじゃあないか」

少女「人の話を聞かないヤツだなぁおまえさんは」

さやか「あたしの質問に答えろッ!」

少女「そんなに警戒することないじゃあな――」

少女「――おっと!」

さやか「わっ!?」



106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:56:24.05 ID:x5B4HQt90

二人の間に、黒髪の少女が「瞬間移動」して割り込んだ。

さやかの威嚇で異変に気付いたらしい。


まどか「ほ、ほむらちゃん!」

ほむら「…………」

ほむら(……時を止めて、間に割り込んだ)

少女「びっくりした……急に現れるなよぉ……」

少女「テレポートの能力?」

少女「そんな顔しても、威圧感がないなぁ」

ほむら「……!」



107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:57:01.40 ID:x5B4HQt90

ほむら(だ、誰だ……!?)

ほむら(初めて見る……今までの時間軸でも……)

ほむら(『こんな人』出会ったことがない!)

ほむら「ふ、二人に手を出させない!」

少女「うわ、声可愛い。ますます怖くない。威嚇してるつもりなんだろうけど」

少女「ん……別に今は危害を与えるつもりないから」

少女「それよかほら、よそ見してると……」

ほむら「……よそ見?」



108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:58:04.33 ID:x5B4HQt90

少女はチラリと視線を上方へ向けた。

ほむらは警戒――いつでも時間停止できるようにしつつ、視線の先を見た。

高さ3m程の断層、その上に使い魔が立っていた。

もしその場から飛び降りたら、真下にいるまどかと衝突しうる。


使い魔「Ozuarom――Eteku」

ほむら「ッ!」

ほむら「危ないッ!」

まどか「え?」

ダンッ!



109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:58:51.73 ID:x5B4HQt90

ほむらがハンドガンを構えようとした瞬間、使い魔の頭は撃たれた。

使い魔は後方に倒れ、壁を転がり落ちて消えていった。


まどか「ひゃあ!」

ほむら「と、巴さん!」

マミ「暁美さん!使い魔は私が――」

使い魔「Aterabare――Awiihsamatonok」

少女「ん?」

ほむら「あ……」

さやか「つ、使い魔が……」


使い魔の言葉に対し、他の使い魔がコクリと俯いたかのようにほむらは見えた。

一匹の使い魔は影のようなマントをひらりと揺らし、近くの廃墟の中へ向かっていく。

他の使い魔達もそれに続く。まるでやることを済ましたかのように。

使い魔が急に戦意をなくした。その異様な状況に、マミは見ていることしかできなかった。

まどかは断層から背中を離し、さやかはバッドを降ろした。ほむらは警戒を解かない。

――そして魔女の結界は解かれた。



110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 19:59:23.49 ID:x5B4HQt90

少女「ありゃ……結界が……なんか魔女狩りを邪魔したみたいで悪いねぇ」

少女「しかし、あの使い魔共。急に逃げるように去ったいったが……?」

マミ「大丈夫!?二人とも!」

少女「僕は何もしてないよぉ。信用ないね。まぁそりゃそうか」

マミ「あなたは、何者かしら?」

少女「別に名乗る程のもんじゃない。僕はM市の方でテリトリー張らせてもらってる魔法少女さ」

ほむら(よその町の魔法少女……!?)

マミ「そう……わざわざ見滝原のテリトリーに何の御用?」

少女「別に大した用は……」



111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:00:03.64 ID:x5B4HQt90

少女「あ、そうそう。さっきの使い魔のことなんだけど……」

少女「最近こいつを色んな場所で見るよ。行動範囲は市外に及んでいたってわけだ」

マミ「知っているの?この使い魔を」

少女「ん。巷では『引力の魔女レイミ』と呼ばれているヤツ。そいつの使い魔だ」

ほむら「レイミ……」

マミ「引力……?何が由縁かしら?」

少女「ん、僕はこの魔女の使い魔に出会ってからというもの……」

少女「この魔女、あるいは使い魔に襲われたことのある人とよく出会うんだ……。引力に導かれるようにさ……」

少女「同じような現象が多々あるらしいので、引力と呼ばれている。諸説あるが、僕個人としてはこれが一番説得力がある」

少女「レイミという名前の由来は知らない。いつの間にかそう呼ばれてたから僕もそう呼んでる」




112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:01:24.14 ID:x5B4HQt90

マミ「それで……?結局何をしにここに?」

少女「いやぁ……その……特には」

少女「うーん。見滝原の魔法少女は一人だけって聞いていたんだが……」

ほむら「…………」

少女「二人いるし、下手したら四人になりかねない、と」

まどか「…………」

さやか「…………」

少女「今日はもう帰るよ。それじゃ」

マミ「あっ、ちょっ……な、何だったの……?」

ほむら(この時間軸は……イレギュラーだ)

ほむら(さっきの人……この時間軸でどういう立ち位置になるだろうか)

ほむら(ワルプルギスの夜の戦力となりうるか……?)

まどか「あ……!」

さやか「うん?どうしたまどか」

まどか「『足』が……」

さやか「ま、まどかッ!?」



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:02:53.92 ID:x5B4HQt90

ほむら「え?」

さやか「『ケガ』してるッ!」


まどかの靴下に輪状の血染みができていた。

靴下越しに何かが刺さったらしい。


マミ「こ、これは……!?まさかさっきの人が……」

まどか「で、でも、わたし……何もされてません」

まどか「なのに、いつの間に……」

ほむら「鹿目さん!大丈夫!?」

まどか「うん……痛みはないけど……」

マミ「ケガをさせちゃうなんて。不甲斐ないわ……」

まどか「いえ、そんな……」



114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:03:30.67 ID:x5B4HQt90


マミ「責任はちゃんと取るわ。脱いで。治してあげる……」

まどか「あ、はい」

スルッ

さやか「うわ……何?この傷……」

ほむら「何かの『咬み傷』みたい……」

マミ「血は止まっているわね。傷跡は絶対に残さないからね」

まどか「はい……ありがとうございます」

ほむら「靴下は弁償するね」

まどか「え、それは流石に悪いよ……」

ほむら「いいから。鹿目さんにケガさせちゃったんだし……」

マミ(……あれ?この傷、どっかで見たような……)




115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:04:47.36 ID:x5B4HQt90


QB「やぁ」

まどか「あ、キュゥべえ」

さやか「だ、大丈夫だった?思い切り踏まれてたけど」

QB「うん」

マミ「ねぇ、キュゥべえ……さっきの子って……」

ほむら「…………」

QB「彼女は確かにM市の魔法少女だ。身分の偽りはない」

QB「僕も会ったことがある」

QB「でも、基本的には他の魔法少女が治めるテリトリーに入ることはしない……」

QB「争い事に関しては消極的な性格だと思っていたよ」




116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:05:39.32 ID:x5B4HQt90

さやか「じゃあ、何で……」

QB「人の考えることはわからないからね」

ほむら「……何か事情でもあったのかな」

まどか「キュゥべえ……その……さっきの人みたいなのって……」

QB「他の魔法少女のテリトリーに侵入する魔法少女が他にもいるのかってことかい?」

QB「他テリトリーの魔法少女を始末してグリーフシード、テリトリーを強奪する」

QB「そういう魔法少女もいるよ」

まどか「そう、なんだ……」

さやか「そんな自分勝手なこと……魔法少女の風上にも置けない!」

QB「世界的に見ればそう珍しいことじゃあないよ。この国では少ないけどね」




117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:06:49.34 ID:x5B4HQt90

ほむら「……グリーフシードを強盗は聞いたことあるけど、強殺……か」

マミ「でも私……今までそういうのに会ったことないわ」

QB「他者のテリトリーを侵してまで魔女を退治するメリットはあまりないからね」

QB「無駄な争いや野心を持たず、決められた領域で……っていうのが基本的な姿勢だよ」

QB「国民性というヤツなのかな。例外は勿論あるけれど」

マミ「……うーん、まさか自分のテリトリーに起こるなんて」

QB「以降、用心に越したことはないね」

マミ「……それもそうね」

マミ「でも、暁美さんという心強い味方もいるし、大丈夫よっ」

さやか「頼もしいなぁ」

QB「マミはほむらが来てから、大分明るくなった。というのが僕の見解だ」

QB「感謝するよ。ほむら。マミはそれまで仲間が欲しいと頻繁に言っていたからね」

ほむら「……ん」




118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:08:22.23 ID:x5B4HQt90


――
――――


少女「……やれやれ、参ったね」

少女「ついこの間までは見滝原をテリトリーとする魔法少女は一人だけと聞いていたが……」

少女「ちょっと、相手の手札が見えない以上」

少女「変に刺激するのは得策じゃあないよなぁ……」

少女「また近い内会いにいこう……かな?」

少女「カプセルホテルにでも泊まろうかなぁ……」

少女「って、子どもにゃ無理か」

少女「一旦帰って、明日の朝に学校サボってお出かけだぁ」



119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:10:20.41 ID:x5B4HQt90
これで第二話終わりです

言い忘れてましたが、やたら出しゃばってくるモブキャラと言う名のオリキャラが出てきます。
忠告し忘れていた以上、苦手な方はすみませんが我慢してください。

外見は描写されてませんが、おりマギでお菓子の結界でくたばってた人とかまどマギオンラインのアバターのとか……
その辺、お好きにご想像ください。首に傷ってのもせめてのも個性に過ぎませんし


あとウェヒティヒ(何か響きがエシディシみたい)を廃止したということも忘れてました。
半角カタカナを効果音限定になる程度で特に理由も意味もありません。


もう一つ言い忘れてたことですが、今作は全15話構成になってます。
なので一日二話分書かないと今年中、残り八日に終わらないかもです。できれば今年中に終わらせたいのです。


ってことで23時くらいに再開します。

スタンド編なんだからいい加減スタンド一体くらいは出しとかないとアレですし。
(七部オマージュとしてスタンドの概念が出るのが遅れたってことにしよう)



120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 20:12:13.00 ID:0InLjhcLo


レイミって四部の幽霊の子か



122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 22:59:07.76 ID:x5B4HQt90


#3『守るわたしになりたい』



――翌日

学校


さやか「おはよーぅ、転校生」

仁美「おはようございます。ほむらさん」

ほむら「あっ、美樹さん、志筑さん。おはようございます」

仁美「すみません。待ちぼうけさせてしまって」

仁美「結局待ちあわせに来られなくて」

ほむら「いえいえ」

さやか「さやかちゃんお寝坊しちゃったよォ」




123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 22:59:49.01 ID:x5B4HQt90

さやか「時に転校生」

ほむら「はい」

さやか「一人暮らしで寂しくないかぁ~?」

ほむら「だ、大丈夫ですけど……」

仁美「でも、お体が弱いと聞いてますから……心配と言えば心配ですわね」

ほむら「志筑さんまで……」

ほむら「大丈夫です。最近すこぶる調子いいですからっ」

仁美「ふふ、それならいいんですけど」



124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:00:21.58 ID:x5B4HQt90

さやか「ところで、まどかは?」

ほむら「実は、鹿目さんも来なかったんです……」

さやか「へ?」

ほむら「それで、結構待ったんですが……一応メールを送って先に……」


和子「ボンジョルノです!みなさん!」

さやか「あ、先生来た」

仁美「それでは、また後で」

ほむら「あ、はい」



125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:00:58.97 ID:x5B4HQt90

和子「えー、っと。今日の欠席は、鹿目さん、っと」

さやか「えっ!まどか休みスか!?」

ほむら「!」

和子「はい。熱出ちゃったそうです」

「欠席すると親御さんから連絡がありました」

仁美「昨日は元気ようでしたのに……」

さやか「わからないもんだねぇ」

和子「ちなみに欠席するという連絡を受けていないのにここにいない人は遅刻とみなしまーす。中沢くん遅刻でーす」

ほむら(鹿目さんが……休み……)



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:01:32.71 ID:x5B4HQt90

ほむら「鹿目さん……風邪かぁ」

さやか「元気出しなよ転校生。誰だって風邪の一つや二つするよ」

仁美「ほむらさんは特に鹿目さんと仲がいいですからね」

ほむら「…………」

さやか「そんなに気になるなら、サボっちゃえば?」

ほむら「え……」

仁美「もう、さやかさんったら……何を仰っているのですか」

さやか「いやぁ、ハハ、冗談だってばさぁ」

ほむら「…………」

仁美「さやかさんの言うことをあまり本気にしないでくださいね?」

さやか「何か引っかかる言い方だなぁ」

ほむら「…………」




127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:03:07.73 ID:x5B4HQt90

ほむら「……早退します」

仁美「なっ……!?」

さやか「えっ……」

ほむら「志筑さん。すみませんが、ノート、よろしくお願いしてもいいでしょうか」

仁美「で、でも……」

さやか「あ、あんたねぇ……」

ほむら「美樹さん。私、二時間目くらいに気分が悪くなるので保健室行きます」

さやか「お、おぉい……」

ほむら『鹿目さんが心配なんです。もしかしたら昨日何かされたのかもしれないですし……』

ほむら『あの使い魔か、それともあの魔法少女が……何かしら原因がある。そんな気がするんです……用心に越したことないです』

さやか(テレパシー……うぅむ、魔法少女関連の話を出されたら何とも言い難いじゃないか)



128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:03:33.33 ID:x5B4HQt90

仁美「い、いけませんわ、ほむらさん。そんな仮病だなんて……」

ほむら「じ、実は今朝から熱っぽくてですね」

仁美「さっき調子いいって言ったじゃないですか」

ほむら「ゴホンゴホゴホ、ぶり返してきちゃいました。ゴホホーン、ゴホン。ゴホン」

さやか(演技下っ手くそっ!)

仁美「……それほどなんですか?」

ほむら「……あ、授業始まる」

さやか「おっと、本当だぁ」

ほむら「それじゃあ、その時になったら、お願いしますね」

仁美「え、えぇ……」



129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:04:20.88 ID:x5B4HQt90

さやか「……あぁ、あたしには転校生が何を考えてるのかさっぱり理解できんよ」

仁美「……まどかさん思いなんですね」

さやか「そうだねぇ」

さやか「仁美何ニヤニヤしてんのさ?」

仁美「ほ、微笑ましいじゃあないですか。あそこまで思われてるだなんて」

さやか「いや、そういうニヤつきには見えな――」

仁美「クシュゥン!」

仁美「失礼。くしゃみです」

さやか「…………」




130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:05:06.14 ID:x5B4HQt90

――
――――


ほむら「初めて……学校サボっちゃった……」

ほむら「……でも思ったよりなんてことないや」

ほむら「と、いうことで居ても立ってもいられなくなって来てしまったわけだけど……」

ほむら「うーん……鹿目さんのお父さんに変に思われちゃうか」

ほむら「やっぱり、よくないことだってわかってるし……」

ほむら「とは言えもう実際に早退しちゃったし……」

ほむら「もう後には退けないっ」




131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:06:26.12 ID:x5B4HQt90

チャイムを押した。

ドアが開くのに十秒もかからなかった。

まどかの父、知久はその来客にほんの一瞬動揺した。

娘の通っている学校の制服を着た少女が、今、この時間に訪れるはずがないのだ。


知久「……えっと、どちら様、かな」

ほむら「あ、あのっ、わ、私、鹿目まどかさんの……その、友達の暁美と言います」

知久「暁美……あぁ、ほむらちゃんだね。まどかからよく聞いてるよ」

ほむら「ど、どうも」

ほむら「その、お見舞いに来ました」

知久「それはわざわざ……それで、その、学校はどうしたんだい?」



132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:07:13.92 ID:x5B4HQt90

ほむら「……え、えっと」

ほむら「……その」

ほむら「……早退しました」

知久「……早引きしてまで、まどかのお見舞いに?」

ほむら「は、はい……その……」

ほむら「……ず、ずる休みです」

知久「…………」

知久「まどかのことを思ってくれるのは嬉しいけど、ずる休みは感心しないな……」

ほむら「す、すみません」



133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:08:34.68 ID:x5B4HQt90

知久「謝られても……それに、うつっちゃったら申し訳ないし」

ほむら「だ、大丈夫です!」

知久「いや、ほむらちゃんがよくても僕が困るよ。まどかからは一人暮らしな上に体が弱いって聞かされているし……」

ほむら「お、お願いしますっ」

知久「いや……でもねぇ……」

知久「…………まぁ、早退をしてまって、来てしまったものは仕方ない」

知久「わざわざ来てもらったのを帰すのも気が引けるし取りあえずあがって」

ほむら「は、はいっ。お邪魔しますっ」

知久「あ、ちょっと待って。……あった。はい。マスクを付けるといいよ。くれぐれもうつされないように気を付けてね」

ほむら「あ、ありがとうございます……!」



134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:09:27.21 ID:x5B4HQt90

知久「それじゃあ、お言葉に甘えてまどかの世話をほむらちゃんに手伝ってもらうとして……」

知久「お昼はまだだよね。ウチで食べていくかい?」

ほむら「そ、それは申し訳ないので……お昼には帰ろうかと」

知久「そうかい?まぁ、表向きは体調が悪くて早引けしたわけだし、それがいいね」

知久「しつこいようだけど、移らないように気を付けてね」

ほむら「はい。わかりました」

タツヤ「ねーちゃ、だえー?」

知久「あ、そうだ。まどかから聞かされているとは思うけど、まどかの弟のタツヤ」



135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:09:54.37 ID:x5B4HQt90

知久「タツヤ。お姉ちゃんの友達だよ。挨拶しなさい」

タツヤ「こんにっちゃ!」

ほむら「うん。こんにちは。私はお姉ちゃんの友達、ほむらだよ」

タツヤ「ほむねーちゃ!」

知久「ハハ、早速タツヤに懐かれたようだね」

ほむら「タツヤくんのお守りもしましょうか」

知久「気持ちだけありがたくいただくよ。僕の仕事が減ってしまうからね」

知久「まどかの部屋は二階だよ。寝ているかもしれないから静かにね」

ほむら「はい」



136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:11:12.23 ID:x5B4HQt90

まどか「……誰か来たのかな?」

まどか「うーん……」

まどか「どうしちゃったんだろう……わたしぃ」

まどか「寝冷えしたのかな……?」

まどか「でも喉が痛いわけでも鼻水が出るわけでも寒気もない。ただただ熱がある……」

まどか「40℃以上だなんてインフルエンザにかかって以来だよ……」

まどか「体が重い……こんなの初めて……」

まどか「……あれ?メール来てた」

カチャ…

まどか「ん……パパ?」

「か、鹿目さん……起きてる?」




137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:12:14.64 ID:x5B4HQt90

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「わっ!え、あ、鹿目さん。起きてたの?調子はどう?」

まどか「どうして……!が、学校は!?」

ほむら「えっと……さ、サボっちゃった」

まどか「そ、そんなのダメだよっ!」

ほむら「鹿目さんがどうしても心配で……」

まどか「そんな、大げさだよ」

ほむら「昨日は元気だったのに急に高熱を出すなんて……何か変だと思って」

まどか「へ、変って……」



138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:12:56.00 ID:x5B4HQt90

ほむら「もしかしたら、昨日の使い魔か……あの魔法少女に何かされたんじゃないかって」

ほむら「一度でもそうじゃないかって思ったらいてもたってもいられなくって」

まどか「…………」

まどか「そうだったんだ……」

まどか「……ごめんね。ほむらちゃん。それと、ありがとう」

まどか「熱が出たのは今朝からなんだ。だからただの風邪。昨日の一件は関係ないと思う」

ほむら「早退しちゃったものは仕方ないから、ただの風邪でも看てるよ」

まどか「ほむらちゃん……」

まどか(嬉しいけど……どうしてここまでしてくれるんだろう)



139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:14:13.76 ID:x5B4HQt90

ほむら「熱が出たって言うけど……どれくらい?」

まどか「40℃くらい」

ほむら「よ、40!?本当に大丈夫?!」

まどか「喉が痛いとかはないの。強いて言えば体がダルいくらいで」

まどか「でも、ほむらちゃんが来てくれたからかな……何だか、急に楽になった気がする」

ほむら「そ、そう?」


コン、コン

まどか「あ、パパ」

知久「調子はどうだい?」




140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:15:04.73 ID:x5B4HQt90

まどか「うん。いい感じ」

知久「そう。ほむらちゃん。ちょっといいかな」

ほむら「あ、はい、何でしょうか」

知久「ちょっと僕はタツヤを連れて買い物に行ってくるよ」

ほむら「え……」

知久「鍵はかけておくから、まどかを看ていてくれるかな」

まどか「看られるよぉ」

ほむら「あの……い、いいんですか?」

知久「うん?」



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:16:15.72 ID:x5B4HQt90

ほむら「その、私みたいな……他人にお留守番させて。お使いでしたら、私が……」

知久「制服で?」

ほむら「あ……で、でも一人暮らしだからそこは仕方がないというか……」

知久「大丈夫。気にしないで。なるべく早く帰ってくるから」

ほむら「は、はい……」

まどか「ほむらちゃん、ちょっと気を使いすぎだと思うなって」

ほむら「そう……かな?」

知久「それじゃ、行ってくるよ」

タツヤ「いてくー!」

まどか「いってらっしゃ~い」

ほむら「あ、いってらっしゃい」



142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:17:03.36 ID:x5B4HQt90

まどか「二人っきりだね」

ほむら「うん。そうだね」

ほむら「……あ、そうそう。忘れてた」

ほむら「お土産って程でもないんだけど、スポーツドリンク買ってきたんだ。水分補給はスポーツドリンクがいい」

まどか「え、ほんと?ありがとう!」

ほむら「えっと、確か盾の中に……」

まどか「あ、鞄の中ってわけじゃないのね」

ほむら「うん。盾に入れておくと中身の時間が経過しないというか……」

ほむら「飲み物は冷えたままだし、グリーフシードは穢れないの」

まどか「そうなんだ」




143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:17:39.51 ID:x5B4HQt90

ほむら「はい。どうぞ」

まどか「ありがとう……ん。美味しい」

まどか「……あっ」

ほむら「あっ」

まどか「え、えへへ……ちょ、ちょっとこぼしちゃった」

ほむら「えっと、ティッシュティッシュ……」

まどか「ごめんね」

ほむら「あ、あった」




144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:18:22.70 ID:x5B4HQt90

ほむら「はい、口拭いて」

まどか「うーん」

ほむら「あ、そういえば髪もバサバサだね。ついでに櫛通そっか」

まどか「うん」

ほむら「汗もかいてるだろうし、濡れタオル用意してくるね」

まどか「うん。ありがとう」

まどか「ほむらちゃんほむらちゃん」

ほむら「なぁに?」

まどか「下着も穿き替えさせてー」

ほむら「えッ!?」



145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:18:55.14 ID:x5B4HQt90

ほむら「えっと……あの……いや、その」

まどか「あはは!冗談だよぉ!冗談!」

クルクル

ほむら「も、もうっ!からかわないでよ……」

まどか「ごめんごめん」

まどか「ほむらちゃんの看病で安心して、つい」

ほむら「看護婦さんの見様見真似なんだけどね」

まどか「ほむらちゃんならいいナースさんになれるよ!」

ほむら「そ、そうかな?」



146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:19:58.67 ID:x5B4HQt90

まどか「でも、何だろう」

まどか「さやかちゃんや仁美ちゃん、マミさんに同じ看病されても……」

まどか「ああいう冗談言える気がしないなって」

ほむら「……それって、喜んでいいのかな?」

まどか「うん!それほどリラックスできる。何でだろうね。まだ出会ってそんな経ってないのに」

まどか「……出会ってそんな経ってないのに、わたしってば図々しいかな」

ほむら「そ、そんなことないよ!」

ほむら「えっと……それじゃ、タオル持ってくるね!」

まどか「うん」



147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:20:57.24 ID:x5B4HQt90


まどか「…………」

まどか「本当にほむらちゃんって優しいなぁ……」

まどか「魔女と出会った時も、他の魔法少女が来た時も、ほむらちゃんは私を助けてくれた……」

まどか「いつだって気遣ってくれて、勉強も教えてくれる」

まどか「強くて優しくて頼りになる。子どもの頃憧れた魔法少女像って、こんな感じだったかも」

「僕にもそういう人がいる」

まどか「ッ!?」

「優しくて、頼りになる。もちろん強いしカッコイイ。頭もいいし貯金だってある」


突如、聞き覚えはあるが聞き慣れていない声がした。

声の方向を向く。そこにいたのは……。




148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:24:17.63 ID:x5B4HQt90

まどか「あ、あなたは……!」

まどか「あなたはッ!昨日のッ……!」

少女「昨日ぶりだねぇ」

まどか「ど、どうして……!」

少女「ん、さっきいつぞやの黒髪三つ編み魔法少女を見かけてねぇ……」

少女「何で平日の朝にいるのかはさておいて、尾行してきた」

少女「家を特定した後……すぐに侵略するのもガッつくようなので時間を置いて来た」

少女「おまえさんの親と思しき人も出かけたし、密会するには丁度いい。結果オーライだ」


昨日出会った魔法少女は窓枠とピシッと指で弾いた。

するとカチリと開錠し、鹿目家の家はあっさりと侵略者を受け入れてしまった。

少女はまどかの部屋の中央に立ち、周りを見る。



149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:25:04.24 ID:x5B4HQt90

少女「ん……いい部屋だねぇ。いかにも女の子って感じで」

まどか「か、鍵が……」

少女「魔法少女に鍵なんてないものと思っていただこうか」

まどか「あ……ああ……!」


まどかは体が固まってしまった。

「グリーフシードを多く手に入れるために魔法少女を殺してテリトリーを奪う」

「……グリーフシードを強盗は聞いたことあるけど、強殺……か」

昨日に聞いた会話の断片。まどかの心を恐怖と緊張が支配した。



150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:26:57.89 ID:x5B4HQt90

少女「あの眼鏡っ子はどこだ?台所か?トイレか?大穴で風呂か?」

まどか「ああ……あ……!」

少女「……声でないのか?喧しくないのはいいが、いかんせん面倒だな」

少女「落ち着きな。別におまえさんを殺すわけじゃあないんだか――」

まどか「あっ!」

少女「ハッ!」

ほむら「…………」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」



151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:27:58.38 ID:x5B4HQt90

まどかに詰め寄ろうと一歩踏み出した少女の前。

まどかとの間に割り込むように、突如として、ほむらの姿が現れた。


少女「ビックリしたぁ!やめろよ急に現れるのォッ!」

ほむら(……時を止めた)

ほむら(昨日の魔法少女……どうしてこんなところに……)

ほむら(……そのまま彼女を撃退できるならしたいけど……)

ほむら(……襲撃の理由、聞き出したくはある)

少女「……おまえさんは、やっぱりテレポートの能力なのか?」

少女「心臓に悪い能力だ……まぁいい」

少女「戦いは避けられないとは思っていた」




152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:28:43.11 ID:x5B4HQt90

ほむら「あなたの目的は一体、何だというの……?」

少女「え?目的ィ……?」

少女「なぁに、至ってシンプルさ。言う必要性さえ疑うね」

少女「僕はこの見滝原のテリトリーを乗っ取るつもりでいる」

まどか「え……!」

少女「風邪っぴきのおまえさんは将来魔法少女になる可能性を秘めているのかもしれないが、今はいいとして」

ほむら「……」

少女「本当は結界で出会った時には戦いを挑みたかったんだが……」

少女「素人がいる手前でそういうことするのも主義に反するし……人間同士の争いは単純に数が物を言う。僕にとっては圧倒的不利だった」

少女「故に一人ずつ!見滝原をテリトリーに構える巴マミより先に、おまえさんを始末してくれる!」

ほむら(まさか!今、やる気かッ!)




153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:29:12.23 ID:x5B4HQt90

少女「ところで、ピンクのおまえさん。熱を出してるみたいだね」

少女「汗をかくということは体内の悪い物質を出すということだ。ガンガン出してくれたまえ」

ほむら「……場所を移しましょう」

少女「ん?……あぁ」

少女「それもそうだね……このままだと、そこの風邪っぴきを巻き込んでしまう」

少女「やはり、僕としても素人を巻き込みたくないからな」

ほむら「…………」

少女「…………」



154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:29:59.40 ID:x5B4HQt90

まどか「ほむらちゃん……」

グツグツ…


まどか「へ?」

まどか「な、何の音……?」

まどか「ん……?」

ほむら「え……」

まどか「ス、スポーツドリンクから……湯気が……」

ほむら「いや、ふ……『沸騰』してるッ!?」

少女「『おまえさんの』は67℃くらいかな?」

バッ

まどか「熱ッ!?」

ほむら「ッ!?」



155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:30:42.45 ID:x5B4HQt90

まどか「あ、あヅヅっ!熱いッ!」


ペットボトルが小刻みに揺れている。

ペットボトルの底からボコボコと気泡があがる。

そしてまどかは突如体を捩り悶えはじめた。

ポットの湯をカップに注いでいる時に跳ねて手についた時の痛みが、全身に走る。


まどか「汗が!汗が!熱いッ!」

ほむら「かッ!鹿目さ――」

少女「僕の能力だ。この子の『汗』を熱湯にした」

ほむら「――ハッ!」

ガシィッ

ほむら「なっ!?」



156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:31:33.31 ID:x5B4HQt90


少女「腕を掴んだ!」

少女「君はこの子を助けた。そして看病している。つまり、この子はおまえさんの友達以上は確実」

まどか「ハァ……ハァ……お、収まった……?」

まどか「ああッ!ほ、ほむらちゃん!」

少女「この子にダメージを与え……おまえさんを躊躇させる餌にした」

少女「さっき素人に手を出さないと言ったが……スマンありゃ嘘だ」

少女「もし火傷して痕になったごめんよ」

まどか「そ、そんな……!」

ほむら(しまった!う、腕を掴まれた……何かわからないけど、このまま触れられているのはマズイッ!)



157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:32:25.57 ID:x5B4HQt90


ほむら(触れられていると時間を停止しようにも……この人を時の止まった世界へ一緒に入れてしまっては意味がない)

ほむら(ま、まずい……!どうする!?)

ほむら(爆弾は論外……爆発で鹿目さんを巻き込む!)

ほむら(撃つか……!?でも、こんな時間帯で発砲するのも……!サイレンサーを付けておくべきだった!)

ほむら(何より、鹿目さんの目の前で人を撃つわけにはいかないッ!)

ほむら(どうする!?どうする!?どうすればいいッ!?)

ほむら(どうす――)

ほむら「熱ッ!?」

まどか「!?」



158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:33:08.18 ID:x5B4HQt90

ほむら「……えッ!?何ッ!?」

少女「ニヤリ」

ほむら「う、うおああぁぁッ!」

ほむら「う、腕がッ!腕の『中』からッ!?」

まどか「ほむらちゃんッ!」

少女「僕の能力だ……『水を熱湯に変える』……ドリンクや汗の水滴も熱湯に変えられる」

少女「さらに直接触れなきゃだけど、体を構成する水分も熱湯にできる!」

ほむら「み、水を……熱湯……!?」



159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:33:45.19 ID:x5B4HQt90

少女「ちなみにタンパク質はたった42℃で変性を開始すると言われているんだぞォ――ッ!」

ほむら「『腕』が『熱い』ッ!」

まどか「ほむらちゃぁぁんッ!」

ほむら「あああッ!ぐッ!」

まどか(どうしよう……!ほむらちゃんが……!)

まどか(わたしを守ってくれた、わたしを看病してくれた、わたしの大切な友達がッ!)

まどか「ほ、ほむらちゃんを……」

まどか「ほむらちゃんを離してェッ!」

少女「むっ……」



161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:34:47.19 ID:x5B4HQt90

まどかは手元にあったぬいぐるみを投げつける。

少女は軽く叩き落とす。

ほむらの顔は苦痛に歪んでいる。


少女「邪魔をするな。チビ……!」

まどか「うっ……!」

まどか(うぅ……目を逸らしてしまった!)

少女「この眼鏡っ子の次は君をブチのめしてやろうか?!」

ほむら「ッ!」

まどか「うぅ……!」

ほむら(このままでは……鹿目さんが危ない……!)



162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:35:50.57 ID:x5B4HQt90

ほむら(や、やるしか……!)

ほむら(やるしかない……!)

ほむら(『撃つ』しかない!)

ほむら(盾から銃を取り出し、あの人を撃つしかないッ!)

ほむら(撃って逃れるしかないッ!)

ほむら(頭か!腕か!お腹か!撃たなくては!)

ほむら(やるしかない!やらなきゃやられるッ!)

まどか(い、いやだ……)



163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:36:43.56 ID:x5B4HQt90

まどか(そんなのいやだよッ!)

まどか(ほむらちゃんに優しくしてもらったのに……ほむらちゃんに感謝してるのに……)

まどか(ほむらちゃんに……助けてもらったのに……!)

まどか(そのほむらちゃんの危機に!わたしは何もしてあげられない……!無力……!)

まどか「うぅ……い、いやだ……!」

まどか(ほむらちゃんに守られるわたしでなくて……)

まどか「やめて……ッ!」

まどか(ほむらちゃんを守るわたしになりたい……ッ!)

まどか「やめてェェェェ ッ!」



164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:37:14.12 ID:x5B4HQt90

ドガッ!


少女「ブッ……ガッ!?」

ほむら「……え?」

まどか「あ、あれ……?」

少女「ゲフ……クッ……」

少女「ゲボッ?!」


――突然、少女は口から血を垂らしながら、倒れ込んだ。

まるで「殴られた」かのように頬が腫れあがっている。その時に口の中を切ったらしい。



165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:38:05.06 ID:x5B4HQt90

まどかは目を丸くして口をポカンと開けていた。

ほむらはハンドガンを握ったまま体が静止した。


ほむら「え、今……何が……?」

少女「き、貴様……!」

まどか「わ、わたし……?」

少女「よくも……僕を殴ってくれたじゃあないか……」

少女「まさか……使えるとは思わなんだ……ス……」


少女「『スタンド』を……!」



166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:39:09.73 ID:x5B4HQt90

ほむら「スタ……ンド……?」

まどか「な、何を言ってるの……?」

ほむら「何が……何が起こっているというの!?」

まどか「わ、わかんない……と、突然……倒れて……」

まどか「……ん?」


まどかは、視界の端に、何かが見えた。

上目遣いになってそれを確認する。

「拳」そして「腕」が見える。

それを辿った先にいた……「人」



167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:39:48.17 ID:x5B4HQt90

まどか「きゃっ!」

ほむら「鹿目さんっ!?」

まどか「だ、誰!?い、いつの間にわたしの後ろに!?」

ほむら「う、後ろ?鹿目さんの後ろって……」

ほむら「何も……いない、けど……」

まどか「…………」


まどかのそばに立つ者。

明らかに人間ではないが、それは人のような姿をしている。



168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:40:18.29 ID:x5B4HQt90


ミケランジェロの彫刻のように存在感がある。

しかしその体は少し透けていてうっすらと向こう側が見える。

黒い髪が靡く。無生物的ではない。


まどかがすぐに思いついた単語は『悪霊』

得体の知れない末恐ろしい何かが、その拳で少女を殴った。

まどかは自分が呪われたのかと思った。

だが、すぐに思い直した。


「悪霊じゃない。むしろ守護霊だ」




169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:40:54.45 ID:x5B4HQt90

まどか「あなたが……」

まどか「あなたが守ってくれた……んですよね?」

ほむら「か、鹿目さん……?誰と話して……?」

まどか「え?ほ、ほむらちゃん……?ほら、ここ。この人……」

ほむら「え……?」

まどか「だ、だから、この人……ひ、人なのかな?とにかくこの人があの子を殴った!」

ほむら「……?」

まどか「もしかして……見えてない?」

ほむら「う、うん……」

ほむら「何のことかわからない……」



170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:41:38.48 ID:x5B4HQt90

ほむら「でも、鹿目さんの言う『その人』が……助けてくれたの?」


まどかの視線の先には、人型の『何か』がいる。

ほむらだけが、その『何か』は視認できない。


まどかは……その理由を説明することはできないが、理解し、思った。

わたしの目には「人の形」に見えるけど……この人は!

「物体」じゃあない……!

あの人の『何か』もほむらちゃんにはまったく見えない……それと同じ。

キュゥべえは魔法少女の素質のない人には見えないというけど……それと同じ!

「この人」は「エネルギーの形」なんだッ!

よく見ると背後の壁とか机が透けて見える……。

普通の人の目には見えないけど何故かエネルギーが「形」をつくってわたしの目には見ることができる……!


わたしの汗を「熱湯」にしたのは、あの人が持つ『何らか』の能力!

スポーツドリンクを沸騰させて私の汗を「熱湯」にしたのも多分それ!



171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:42:21.94 ID:x5B4HQt90

まどか「この人が……わたしの……」

まどか「『スタンド』……」

少女「何……?初めてか?成る程なぁ……」

少女「だったらまともに扱えるようになる前にブチ殺――」


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」


まどか「わわっ!」

少女「ッ!?」


人の形の何かはそう叫びながら拳のラッシュを放った。

予想以上に大きな声でまどかは驚いてしまった。


ほむら「?」



172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:44:05.95 ID:x5B4HQt90

しかし、ほむらはその声も認識さえできない。

ほむらにわかることは、まどかが襲撃してきた魔法少女を攻撃しているということだけ。

少女は体を前屈みにし、顔面を腕で必死に防御している。


少女「う、うおぉぉッ!?」

少女「な、なんだこのパワーとスピードッ!まずい!このままではッ!」

少女「……くそっ!仕方ない!」

「オラァッ!」

ドギャァッ!

少女「ブゲッ!」


ガシャァン!



173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:45:55.37 ID:x5B4HQt90

ほむら「あッ!」

少女「ふ、フフ……こ、これが我が逃走経路だ……!」

少女「渾身の一撃と思しきストレートを喰らった……敢えてだ!」

少女「その勢いのまま窓から飛び出してアディオスだァァァァ!」


少女の体が宙に浮かび、そのまま窓を突き破り吹き飛んで行った。

それと同時に、まどかが呼び出した「何か」は構えを解き、霧が晴れるかのように消えた。


まどかは理解した。

「『この人』はわたしの闘争心だとかそういうのに反応している!」

「精神のエネルギーだ!」



174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:46:47.36 ID:x5B4HQt90

まどか「ハァ……ハァ……」

まどか「か、勝った……?」

ほむら「鹿目さん……」

まどか「何だろう……この疲労感……はぁ、はぁ」

まどか「……フゥ」

ほむら「…………」


まどかは息切れをしている。

ほむらは目を丸くしている。


まどか「ほむらちゃん……えっと」

まどか「その……本当に見えないの?この人……」

ほむら「……うん」



175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:49:01.80 ID:x5B4HQt90

まどか「ほら、ほら、ここ、ここ」

ほむら「……ごめん。私には見えないみたい……」

まどか「謝られても……」

まどか「えっとね……わたしも、よくわからないの」

まどか「さっきの人……『スタンド』って……言ってたよね」

ほむら「スタンド……」

まどか「わたしが思うに……この人は『超能力』だと思うの。今、目覚めた」

ほむら「ちょ、超能力……?」

まどか「そう……。曲がるスプーンとか壊れる壁とか……そういう超能力を受けた物体じゃなくて、超能力そのものが姿になったって感じの……」

ほむら「えっと……つまり……その」

ほむら「鹿目さんは『スタンドっていう超能力』が使えるようになったってこと?」



176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:50:04.65 ID:x5B4HQt90

まどか「そ、そうなるね……」

ほむら「…………」

ほむら「……ごめん。何というか……理解が超えているというか……何て言えばいいか」

まどか「説明が下手でごめんね……でも……そうとしか言えないの」

ほむら「…………」

まどか「…………」

ほむら「……そ、そういえば鹿目さん。さっき汗が熱くなったって言ったけど、もう大丈夫?」

まどか「え?あ、うん。大丈夫……」

まどか「……ん、そういえば、何か体が軽くなったような……」

ほむら「……?ごめんね。ちょっと、いい?」

まどか「うん?」



177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:54:56.71 ID:x5B4HQt90

ほむら「おでこに触るね」

ピタ…

まどか「あっ……」

まどか(ほむらちゃんの手、柔らかくて……気持ちいい)

ほむら「熱がひいてる……?」

まどか「え?ほんと?」

ほむら「な、何でだろう……あんなに熱かったのに……急すぎる」

ほむら「何だか……もう、わけのわからないことが続いて……」

ほむら「とりあえずは……鹿目さん。安静にしててね。疲れてたみたいだし」

まどか「あ、うん……」

ほむら「それより……」



178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:55:38.18 ID:x5B4HQt90

ほむら「掃除しなくちゃ……」

まどか「うん……」

ほむら「やっちゃったね……」

まどか「うん……」

ほむら「……電気がチカチカして気になるから、と言った私が蛍光灯を変えようとするも足を滑らせ窓を割って、パニックになって血をまき散らしてしまった。ということで」

まどか「えぇ!?ほ、ほむらちゃんは何も悪くないのに!」

ほむら「だって、見ず知らずの人が襲ってきたなんて言えないもん……」

まどか「で、でもぉ……」

ほむら「魔法で何とかできないか、巴さんに相談してみよう……」

まどか「ああ、パパに何て言おう……」



179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:58:40.08 ID:x5B4HQt90


まどかの部屋の状況――。


窓は割れ、カーペットやカーテンには血痕が付き、散乱するガラス。

腕が千切れかけているぬいぐるみ。泥まみれのベッド。

ベッドの足下に血が付いた奥歯が一本、床に転がっていた。

ほむらの白く細い腕には、赤い握られた痕と水疱ができている。

まどかはどう言い訳をすればいいか悩んだ。

ほむらは弁償すればいくらかかるか悩んだ。





180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 23:59:06.90 ID:x5B4HQt90


スタープラチナ 本体:鹿目まどか

破壊力 A スピード A 射程距離 E
持続力 E 精密動作性 A 成長性 E

まどか曰く、「強くて速い」人型スタンド。その性質は「勇気」
誰かの力になりたい、守りたいという強い思いから発現した。
何ら特別な能力は持たないが、最強レベルの性能を誇る。
しかしまどかの精神力に伴っていないため、その力を出し切れていない。
まどかは、このスタンドには成長の余地があるという確信がある。

A―超スゴイ B―スゴイ C―人間と同じ D―ニガテ E―超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある




181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 00:00:49.13 ID:YYsSShrR0


くぅ~疲れましたw これにて第三話完結です!
実は、波紋編と鉄球編のほむらを登場させる第三部として構想したのが始まりでした
本当は話の都合上ポシャったのですが←
25周年記念を無駄にするわけには行かないので
特に前作とは無関係な形で挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと黄金の精神なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「矢を持った承太郎さんやプッチ神父あたりが来ると思った?
残念!スタンドそのものでした!」

マミ「『*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある』ってあるけど同じ名前なだけで見た目は全く同じと限らないって解釈もできるわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、まだ一言も喋ってねぇけどよ!」

ほむら「・・・基本的にモブキャラ同じく外見の描写はしてないので、その辺ご自由にイメージしていただければ幸いです」メガホムッ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、スタープラチナ「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、喋れるの!? 改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に続く




……コピペ改変はともかくとして、スタンドはこんな風に出てきます。今回はここまでです。

ちなみにオラオラは効果音扱いです。



185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 00:06:56.36 ID:y/vlzJ370

すげぇパワーで物をブン投げるッとかもできるけど
まどっちに近距離パワータイプがきてしまったか…



187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:33:23.96 ID:YYsSShrR0

#4『「狩り」に行こう!』


――翌日

魔法少女とその関係者は、昼休み、屋上へと集まった。

まどかがさやかを、ほむらがマミを連れてきた。

仁美は偶然にもクラス委員の呼び出しを重なったためこの場にいない。


マミ「……スタンド?」

まどか「そうなんです。スタンド」

ほむら「魔法少女の魔法とは違う……」

さやか「…………」

さやか「まどかが超能力に目覚めた……って……なんか……」

さやか「いや、でも……何か……うん」



188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:34:01.47 ID:YYsSShrR0

さやか「魔法少女だ魔女だどうこうを見たから……なんか驚きが薄いわ」

ほむら「えぇー……」

まどか「もっと驚いて欲しかったなぁ」

QB「興味深いね」

マミ「あ、キュゥべえ」

まどか「キュゥべえはスタンドのこと知らない?」

ほむら「スタンドという名称は人から聞いたものだから便宜的な物かも知れないけど……」

QB「聞いたことがないね。それこそ、夢だったんじゃないかと言ってしまいそうだ」

さやか「だよねぇ。超能力なんて突拍子なさすぎだよ」

マミ「でも魔法少女やスタンドとやらも……突拍子もないという点では共通の事実ね」



189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:35:04.52 ID:YYsSShrR0

QB「そのスタンドというものがいかなるものなのか、是非見てみたいな」

ほむら「ダメだよ」

QB「……どうしてだい?」

ほむら「スタンドは、見えないの」

QB「見えない?」

まどか「そう。例えば、ほら。今『スタープラチナ』がここにいるよ」

さやか「スター……なんだって?」

まどか「あ、そうそう。わたし、そのスタンドの人をスタープラチナって呼ぶことにしたの」

まどか「話しかけても返事してくれないし……」

ほむら(見えない何かに必死に話しかける鹿目さんは……言ってはなんだけど……その……痛々しかった)

まどか「スタンドはスタンドを使える人にしか見えないみたい」



190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:36:11.98 ID:YYsSShrR0

マミ「魔法少女とキュゥべえの関係みたいね」

QB「なるほど。それはわかりやすい」

さやか「それで?その超能力はどういう使い方すんの?」

さやか「マミさんみたいにリボンシュルシュルとかするの?」

まどか「よくわかんない」

まどか「スタープラチナは強くて速くて器用ってくらい?」

ほむら「そうだね……遠くの物を持ってくることもできないし」

さやか「……日常生活の上で役にたたなそうだね」

まどか「で、でもっ!お裁縫が得意だよ!それことミシン並!」

さやか「なるほど……すげー羨ましいね」

まどか「うぅ、興味なさそう……」



191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:37:51.66 ID:YYsSShrR0

マミ「……ねぇ、鹿目さん」

まどか「はい」

マミ「鹿目さんならそんなことないだろうけど、一応忠告しておくわね」

まどか「忠告、ですか?」

マミ「スタンドとか、魔法もね、そういう特別な力は悪用してはだめってことよ」

ほむら「…………」

ほむら「鹿目さんに限ってそんなことは……」

マミ「えぇ、わかっているけど、一応」

まどか「はい!わかりました!」

マミ「ん、誇りを持って、恥ずかしくないように使うのよ」



192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:39:32.31 ID:YYsSShrR0

さやか「……あっ、やっべ!時間が……!」

ほむら「時間?……あ」

まどか「急いで戻らなきゃ!」

マミ「あら、そんな慌てなくても……まだ時間はあるわ」

ほむら「時間割が変わって次の授業が体育になったんです。着替えなくっちゃなのです」

マミ「まぁ、それは大変ね」

さやか「それじゃ、行こう。まどか、転校生」

ほむら「巴さんお先に失礼します」

まどか「します」

マミ「えぇ。またね」




193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:40:03.15 ID:YYsSShrR0

マミ「…………」

マミ「……ねぇ、キュゥべえ」

QB「何だい?」

マミ「一つ、頼まれて欲しいことがあるの」

QB「内容によるよ」

マミ「虫の知らせというものかしら……」

マミ「私、佐倉さんのことが気になるの」

QB「……なるほど」

マミ「だからキュゥべえ、風見野に行って、佐倉さんの様子を見てきてほしいの」

QB「ああ、その程度なら構わないよ」



194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:40:43.45 ID:YYsSShrR0

QB「早速行った方がいいかな?」

マミ「できれば今日中に答えが欲しいけど……」

マミ「頼んだ側だし、その辺りあなたの都合に合わせるわ」

QB「わかったよ。マミ」

QB「さて、マミも教室に戻った方がいいんじゃないかい?」

マミ「えぇ、そうね。それじゃあ……キュゥべえもまたね」

QB「うん。それじゃあ」

QB「…………」

QB(……スタンド、か)



195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:43:15.16 ID:YYsSShrR0

――見滝原に隣接する風見野。


その外れに廃教会がある。

そこには、とある一家が暮らしていた。

しかしある日、そこで火災が起きて一人が行方不明、他全員が焼死したという――。


そこから少し離れた公園のベンチで、一人の童女が座っている。

姉の迎えを待っているかのように、足をプラプラ揺らす。


この童女の名は「千歳ゆま」という。




196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:45:22.01 ID:YYsSShrR0

『ゆまの母親』はとても美しい女性であったけれども、決して良い母親ではなかった。


産後、幼いゆまを置き去りにして彼女はよく夫(ゆまの父親)と夜の街に遊びに出かけた。

寝ていて夜、目を醒ますと両親が家にいない。

1~2歳の子どもにとってそれはどんな恐怖と絶望なのだろう……

ゆまは暗闇の中で泣いても無駄なのでただひたすら震えていただけだった。


しかもこの女は父親の見ていないところでよくゆまを殴りつけた。

「人の煙草を見ただけでビクビクしやがってイラつくガキだわ!」

これは逆だった……煙草に怯えるようになったのは明らかにこの女が原因だった。



197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:46:02.69 ID:YYsSShrR0

そして娘のこうした状況に対し、父親は無関心を貫いていた。

「めし」「フロ」「ネル」以外の言葉を聞いた記憶が、ゆまにはなかった。

ゆまは自分がこの世のカスだと信じるようになり、愛というものを知らずに成長した。

このままではゆまが心のネジ曲がった人間に育っていくことは誰が見ても時間の問題だった。

それどころか15歳になるまで生きていられるのかさえわからなかった。


――しかし、ある事件がきっかけでゆまは救われることになる。


ある日、ゆまは両親に連れられ「いい家庭」を演じる手伝いとして街を歩いていた。

気が付くと、両親が肉塊と化していた。

生きているのか?死んでいるのか?それさえもわからなかった。



198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:46:36.86 ID:YYsSShrR0

するとそこに、両親を肉塊にした「何か」と戦い、勝利した『少女』がゆまの前に立つ。

ゆまはその少女に何かを言ったらしいが、当の本人はその時の記憶がない。

そしてゆまの言葉を受けた少女は、両親を失ったゆまに控えめな慰めの言葉を与え、続けた。


「あたしについてこい」――ゆまはそれに従った。


少女に同情の気持ちはなかった。

ただゆまに対して亡き妹の影が重なり「一人で生きる術を教えてやろう」と思っただけだった。


少女は『魔法少女』だった。



199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:47:32.53 ID:YYsSShrR0

少女はゆまに食事、銭湯、寝床を嫌な顔一つせずに与え、連れてってくれた。

家そのものはないが、少女との生活にゆまは安らぎを覚えた。

両親から学ぶはずの「人を信じる」という当たり前のことを、ゆまは不器用な他人を通じて知ったのだ。


もうイジけた目つきはしていない……ゆまの心に温かい空気が吹いた。

少女はゆまを「魔法少女の世界に巻き込まない」という厳しい態度をとっていたが……

『救ってくれた恩義』と『役に立たなければという脅迫観念』を抱くゆまの気持ちは止まらなかった。

ゆまの中に生きるための目的が見えたのだ……


こうして「千歳ゆま」は芸能界の大物スターに憧れるよりも……

『魔法少女』に憧れるようになったのだ!




200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:47:59.35 ID:YYsSShrR0

「あの……」

ゆま「……ん?」


ゆまに話しかけたのは、自身と同い年か一つ二つ上くらいの童女だった。

腕に鉄錆色をしたバルーンアートの犬を抱え、小さい手は一枚の紙を握っている。

その指にある装飾品、ゆまはそれと似たような物を見たことがある。


ゆま「ま、魔法少女……!」

童女「あ……魔法少女を知ってるの?そ、それじゃあ……あの」

スッ

童女「こ、これ……」



201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:48:36.41 ID:YYsSShrR0


童女「この『写真』の人、知ってる?」

ゆま「……んーん」

ゆま「知らない……」

童女「……そう」

童女「わたしね、お姉ちゃんとK町の西の方で魔法少女をしていたの」

童女「でも、他の所から来た魔法少女にイジめられて……追い出されちゃったの……」

童女「それでお姉ちゃんが風見野に行くって言って……それっきり帰ってこなくなったんだ……」

ゆま「……」

童女「だから探しに来たの」



202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:49:58.66 ID:YYsSShrR0

童女「ほんとに知らない?チラッとでいいの。見てない?」

童女「写真では被ってないけど、よく変な形の帽子つけてるの」

ゆま「……ううん。知らない」

童女「…………」

童女「……嘘だよ」

童女「あなたは今、嘘をついた」

ゆま「へ?」

童女「お姉ちゃんは風見野の魔法少女に会いに行ってるの!」

童女「だから、会ってるはずだよ!魔法少女なんでしょ!?魔法少女のことを知ってるってことはそうなんでしょ!」

ゆま「ゆ、ゆまは違うよ!」



203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:50:27.11 ID:YYsSShrR0

「……なんだ、やっかましいヤツがいるな」

童女「!」

ゆま「あ……『キョーコ』!」

杏子「……何か訳ありって感じだな」

杏子「こいつは……ゆまは魔法少女じゃない。しかしあたしは魔法少女だ」

童女「魔法少女……!」

杏子「こいつはあたしの知り合い……だから知っている」

杏子「ちょいと面貸しな。二人で話そう……ゆま、もうちょい待ってろ」

ゆま「う、うん……」

童女「…………」



204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:51:59.30 ID:YYsSShrR0

――廃教会前


童女「――と、いうことなの」

杏子「ふーん、姉ちゃん、ねぇ……」

杏子「悪いが、あたしもあんたの姉なんて知らないよ」

童女「そ、そんなはずはない!」

童女「あなたは風見野をテリトリーにとっている……そしてお姉ちゃんは風見野へ行った……」

童女「知らないはずがない!会ってないはずがないの!」

杏子「そうは言ってもなぁ……わからんもんはわからん」

杏子「でも、これだけはわかるぞ」



205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:53:01.88 ID:YYsSShrR0

杏子「あんたの姉はあたしを倒してテリトリーを奪おうとしに来てるはずだってことなんだろ?」

童女「そ、それは……」

杏子「気ぃ落とすな。最近、魔法少女の縄張り争いが激化しているらしいからな……」

杏子「それを悪いこととは言わない。世の中は弱肉強食ってヤツだ」

杏子「まぁそれはいいとして……」

杏子「きっとグリーフシードを手に入れようとして探し回ってるんだろう。妹思いな姉なんだな」

童女「……うん」

杏子「悪いけどさ、本当に、知らないもんは知らないんだ」

童女「で、でも……!」

杏子「わかってる。言いたいことはわかるよ……参ったな」



206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:54:22.91 ID:YYsSShrR0

杏子「……じゃあ、さ、あんた」

童女「……うん」

杏子「あんたには結局、グリーフシードが必要なはずだ」

童女「……うん」

杏子「この廃教会……あたしとさっきのヤツはここをいつもいるわけじゃあないが、拠点にしている」

杏子「拠点と言ってもそんな大げさなもんじゃない。グリーフシードはそこに隠してるだけさ」

童女「……」

杏子「大した量はないが、好きなだけ持ってっていいぞ」

童女「え!?」

杏子「あ、やっぱり二つだけだ。あんた用と消えた姉を見つけた時用。二つだけ持ってってけ」

童女「……いいの?」

杏子「いいんだ。あたしはあんたに敬意を表してやる」



207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 17:59:22.63 ID:YYsSShrR0


杏子「姉を探して、単身市外へ……」

杏子「それはいい家族愛だと思うぞ」

杏子「……まぁ、なんだ」

杏子「言い方を変えれば、見逃してやるという解釈もできるがね」

童女「うん……」

杏子「まずは入り口から右にある棚の三段目を見てみろ」

童女「…………ありがと」

杏子「何、気にすんな。行ってきな」

童女「……うん!」



208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:00:31.12 ID:YYsSShrR0

杏子「…………」

杏子「……行ったか」

杏子「いい笑顔じゃあないか」

杏子「きっと、いい家庭を持って暮らしてきたんだろうな。ちょっと羨ましい」

杏子「……うーん」

杏子「腹も減ってきたな……」

杏子「これ以上ゆまを待たせるのもとは思うが……致し方ない」

杏子「そんじゃ、ちゃっちゃと『一仕事』いきますかっと」


杏子は童女の後を追い、歩いていった。



209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:02:47.20 ID:YYsSShrR0

マミから指令を受けたキュゥべえは先程、風見野に到着した。

会いに来た人物がよくいる場所。廃教会の中へ、割れた窓から入った。

今、キュゥべえスタンドという概念について考えている。


QB「スタンド……か」

QB「一体何なんだろう」

QB「この僕が視認できないということは、魔法少女のシステムとは全くの別物なのだろうか」

QB「スタンドという能力……」

QB「今……考えられる事象は二つある」

QB「杏子がスタンドというものに翻弄され、既に風見野を追いやられている可能性」

QB「そしてもう一つは……」



210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:03:50.36 ID:YYsSShrR0

「お、キュゥべえじゃあねぇか」

QB「うん?あぁ、杏子。ここにいたんだ」

杏子「まぁな。それより、処理してほしいグリーフシードがあるんだが」

QB「あぁ、もちろんいただくよ」

杏子「丁度良い。ここで待ってろ」

QB「うん?……どうしてだい?」

杏子「いや、何てこともないよ」

QB「……ん?今、奥を歩いてるのは……」

杏子「知り合いか?」

QB「確か……K町だったかな。三ヶ月くらい前に契約した」

QB「彼女は姉妹で魔法少女をしていて、いつも一緒に行動していたはずだ」



211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:05:12.13 ID:YYsSShrR0

QB「それが何故、妹単独で離れた風見野に……」

杏子「あぁ。何でも姉を探しに来たとか」

QB「……いいのかい?」

杏子「何が?」

QB「何がって……君はそこにグリーフシードを置いていただろう?」

杏子「あぁ。あたしに言われた場所になくて、戸惑いながら別のとこ探してるってとこだな」

QB「このままだと彼女に横取りをされるんじゃないかな」

杏子「いいんだよ。これで」

QB「……分け与える、ということかい?」

杏子「そうだな」

QB「少し前の君からは想像できない」

杏子「何かつっかかる言い方だが、いいんだって」



212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:07:05.28 ID:YYsSShrR0

杏子「ちょいと待ってろ」

QB「?」

杏子「家畜も魚もウドっつー植物も、若い内の方が美味いんだ」

QB「何を言って……」


「チューブラー・ベルズッ!」

QB「ん?」

杏子「おっ」

QB「何だい、今の声は……」

杏子「そろそろかねぇ」

QB「?」

「キャアアアアァァァァァァァッ!」

QB「……ッ!」

杏子「よし、来た」



213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:08:43.48 ID:YYsSShrR0

突如、建物の奥から甲高い叫び声が鳴った。

少し離れた位置にいた杏子とキュゥべえにも聞こえるくらいの大きさ。

その声色は明らかに恐怖を感じている。

瞬間、その廃教会に魔女の結界が生じた。

空間が一瞬にして毒々しい色となり、禍々しく歪む。

杏子は何てこともなく、変身し、槍を構えた。


杏子「何だぁ?今の呪文は。チューベラ何だって?今のが辞世の句でよかったのか?」

QB「……何ということだ」

QB「君は今……何を……したんだ?」

杏子「あ?何をって?」



214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:09:58.46 ID:YYsSShrR0

QB「そこの廃教会にある魔法少女が入っていった……」

QB「そして、いきなり魔女が現れた……」

QB「しかも君は……現れることがわかっていたかのような振る舞いじゃあないか」

QB(……いや、現れた、ではない)

QB(今……エネルギーを得た。つまり……魔女が「生まれた」ということ……)

QB(タイミングからして……間違いなく、さっき入って言った魔法少女が……)

QB(たった今絶望して『魔女になった』……!)

杏子「……そりゃ、言うまでもないことだ」

杏子「テリトリーを狙った魔法少女を絶望させて魔女にして……『狩る』んだよ」



215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:11:07.47 ID:YYsSShrR0

QB「!」

QB(絶望……させる?)

QB(杏子……!魔法少女が魔女になることを知っている!)

QB(い、一体どこで知ったんだ……!?)

杏子「最近多いんだよ。テリトリーを侵略しようとする魔法少女、全部返り討ちだがね」

QB「……」

杏子「それよりもてめー。魔法少女が魔女になるだなんて、とんでもないことを隠してやがったな?あ?」

QB「……嘘はついてないよ」

杏子「ふん、まぁいい」

QB「魔法少女が魔女になると知ったからと言って……故意に魔法少女を魔女にするだなんて……」

QB(僕としては嬉しい限りだけど……)




216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:12:20.59 ID:YYsSShrR0

QB「まさか君も『スタンド』を……」

杏子「ほう……」

杏子「知ってたのか」

QB「……まあね。見滝原にも、スタンドを使う魔法少女が襲撃してきたんだ」

杏子「ふーん」

杏子「じゃあさっきのガキもそうだったりしてな。スタンド名か。チューブラー・ベルズってのは」

QB「杏子。君は……」

杏子「そうだ。あたしは『スタンド使い』だ。名前は『シビル・ウォー』」

QB「…………」

杏子「折角だから教えてやろう」



217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:13:13.94 ID:YYsSShrR0

杏子「あたしの能力のヒントは……相手の『罪悪感』だ」

QB「罪悪感?」

杏子「キュゥべえ。あんたはあたしの能力に作用していないようだ」

QB「何だって?」

杏子「つまり、既にスタンド攻撃に巻き込まれてることにすら気付いていなかったってことだ」

杏子「それはつまり、あんたは今まで一度も『罪悪感』を覚えちゃいねーってこった」

杏子「あたしの『シビル・ウォー』は罪悪感と深い関係にある」

QB「それは……まぁ、感情がないからね」

杏子「だろうな。希望だとか抜かしてこっそり魔女の卵孕ませやがって」

QB「希望の代価だよ」




218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:13:57.22 ID:YYsSShrR0

杏子「魔法少女が魔女になるだなんて知った時はびびったけどよォ……」

杏子「ま、要は慣れだな。最近になって魔女になるならそれはそれで仕方ないなって気分になってきた」

杏子「そしてあたしから奪おうと考える愚者を、返り討ちにする」

杏子「いかんせん魔女にした方がやりやすいし……グリーフシードもオイシイ」

杏子「遺体も結界の中に置いときゃ勝手に消えとるからな……合理的さ……へへ」

魔女「NUGAAAABAAAAAHH!」

杏子「おっと、そうだった。こいつも狩らなくちゃな」

杏子「キュゥべえ。こいつを狩るまでテキトーに時間潰して待ってろ」

杏子「終わったらすぐに使用済みグリーフシードくれてやらぁ!」

QB「あ、ああ……」



219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:14:39.88 ID:YYsSShrR0

QB(…………)

QB(感情のない僕でもわかる)

QB(この杏子……何か『おかしい』ぞ)

QB(偽物かもしれない、という意味じゃあない。だがしかし、彼女はそんなことをする性格ではない)

QB(使い魔を逃すとかじゃなく、魔法少女が魔女になることを認識した上で、わざと魔法少女を魔女にするだなんて……)

QB(あり得ない……一体、何があった?)

QB(何が彼女をあんなことを平然とやってのける性格に至らしめたというんだ)

QB(まず考えられるのはスタンドだが……)

QB(この変わり様……まるで『魔女の呪い』じゃないか)



220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:15:38.72 ID:YYsSShrR0

QB(この前まどかとほむらを襲ったというM市の魔法少女もスタンド使いだったらしい)

QB(彼女は争い事を嫌う性格なのに、だ……)

QB(……もし、魔女の口づけか何かを既に受けていたとすれば……?)

QB(……まあ、今のところ特に支障はないか……)

QB(それどころか、エネルギーを得られている。むしろこのままの方がいいかもしれない)

QB(過程はわからないが魔法少女を魔女にする能力か……)

QB(まどかが契約したら紹介するとして……)

QB(さて、果たしてマミに杏子のことをどう報告しておくべきなのだろうか)



221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:19:38.14 ID:YYsSShrR0

QB(流石にそっくりそのまま話すわけにもいかない)

QB(そうしたらきっとマミはここに来る)

QB(今、この杏子をマミと会わすわけにはいかないな……)

QB(さらにまどかがスタンド使いであることを知られるのもよくないだろう)

QB(ほむらがいるとは言え……今、マミ失うのは総合的に見れば損失となるだろう)

QB(テリトリーを狙う魔法少女が増えていると聞いた以上、まどかが契約する前に消される可能性を否定できなくなったからだ)

QB(ただせめて、魔法少女の縄張り争いが激化している、ということは伝えておこう)

QB(見てきたことその全てを話すようには言われていないからね)



222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 18:22:07.35 ID:YYsSShrR0
今回はここまで。

一応魔女の呪いとかそれっぽい理屈はついてますが、杏子ファンの方々ゴメンです。

こういうキャラ崩壊というか、そういうの割とあります。


あと場面場面で長さに差があることに今気付きました。

23時くらいに再開します。クリスマス?えっ?



223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 19:11:37.88 ID:Ld4g1KEAO


この杏子からは吐き気を催す邪悪臭がプンプンするぜェ―――!
魔女なら仕方ないな



224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 19:14:20.32 ID:NfEeVhVCo
シビルウォーは原作読んでてよくわからなかった
とりあえず自分の過去の罪から目を背けようとしてんのかな杏子は



225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 20:31:58.01 ID:hvP4OLWV0

よりによってシビルウォーとは……対魔法少女の能力としてはえげつないなと思ったけど、言ってみればエリーも同じようなもんか



226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:04:48.11 ID:YYsSShrR0

#5『AWAKEN――目醒め』


――翌日


仁美「さやかさん。制服にご飯粒がついてますよ」

まどか「あ、本当だ」

さやか「朝ッ!こぼれ落ちた、二粒の米ー」

仁美「取ってください」

さやか「はい」

さやか「……あっ、マミさんだ。おーい、マミさぁーん」

まどか「マミさん。おはようございますっ」

マミ「……あっ、みんな。おはよう」



227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:05:38.68 ID:YYsSShrR0

ほむら「……おはよう、ございます」

マミ「えぇ……暁美さん。おはよう」

まどか「?」

マミ「えっと……そちらの方は?」

仁美「初めまして。私、志筑仁美と申します」

仁美「マミさんのことはさやかさんから常々聞いております」

マミ「そうなの?志筑さんね。よろしく。巴マミです」

仁美「こちらこそですわ」



228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:06:24.85 ID:YYsSShrR0

さやか「ふわ~、それにしても眠たい。もっと寝たいなぁ」

仁美「あら、寝不足ですか?」

さやか「さやかちゃんちょっと夜更かししちゃってさぁ!」

さやか「これじゃ、数学の時間に寝ちゃうかもだよォ~」

まどか「いつも授業中に寝ちゃうのに」

さやか「うぅっ、まどか……言ってくれるじゃあないか」

仁美「それにしても、さやかさんがちゃんと宿題をするなんて珍しいですわね」

さやか「……え?」

仁美「あ、今のは流石に失礼なこと……」

さやか「……宿題?」



229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:07:18.62 ID:YYsSShrR0

まどか「…………」

仁美「……宿題をやって夜更かしをしたんじゃ……?」

さやか「…………」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「へるぷみー」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ『暁美さん』

ほむら(テレパシー……)

ほむら『はい、巴さん』

マミ『昨日話したことなんだけど……』

ほむら『……はい』



230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:08:03.59 ID:YYsSShrR0

――
――――


昨晩。

風見野へ行ったキュゥべえはマミに、以下の内容を報告した――。


杏子は取りあえず無事だ。生活も安定している。心配はいらないだろう。

それで、これは杏子から聞いた話だけれど……。

どうやら最近、テリトリーを奪おうとする魔法少女が増えているとの話だ。

僕が杏子に再会した時、杏子はそういった魔法少女と戦っていたようだった。

マミ。警戒するに越したことはないけど、狙われたら迎え討つ姿勢をとらなければならないだろう。

君がそういうことを、魔法少女同士で争うことを望まない性格であることは理解しているつもりだ。

でも、今はそういうことなんだ。

もし君が非暴力の意志を貫こうとすれば、もっと悲惨なことになるかもしれない。



231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:10:00.21 ID:YYsSShrR0

そう報告を受けたマミは、ケータイを手に取り、アドレス帳を開く。

五十音順に表示されるアドレス帳、一番目に表示される相手。

「暁美さん」に、電話をすることにした。


――――
――


ほむら『魔法少女の縄張り争いが激化してる……という話ですね』

マミ『えぇ……』

マミ『それで、私考えたの……』

マミ『もう体験ツアーはやめよう、と』

ほむら『……えぇ、その方がいいと思います』

ほむら『もしも結界内でそういう魔法少女と出会ったら、二人が危ないです』

マミ『残念だけどね……それとね?』



232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:11:13.12 ID:YYsSShrR0

マミ『暁美さんと鹿目さんを襲った魔法少女のことなのだけど……』

ほむら『はい……わかってます。もしかしたら、まだ見滝原にいるかもしれませんね』

マミ『もしそうなったら……鹿目さんと美樹さんが危ないわ』

マミ『だからなるべく、二人に目を離さないようにしないといけない』

ほむら『スタープラチナのいる鹿目さんはまだしも……美樹さんは特に、ですね』

マミ『そうね。でも、暁美さん』

ほむら『はい』

マミ『あの時の魔法少女だけでなくとも、既に、いるかもしれないわ』

マミ『私達以外の魔法少女は……案外近くにいるかもしれない』

マミ『警戒してね』

ほむら『はい、わかりました。二人には私の方から伝え――』



233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:12:43.21 ID:YYsSShrR0

さやか「転校生!」

ほむら『は、はいっ!何ですか美樹さん!』

マミ『暁美さん。それ、テレパシー』

ほむら『あ……』

ほむら「は、はいっ。美樹さん」

さやか「あたしの話聞いてた?」

ほむら「……?」

まどか「さやかちゃん、宿題忘れたから見せて欲しいんだって」

マミ「まぁ、美樹さんったら。自分でやらないと意味ないわよ」

さやか「でもでもぉ~」



234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:13:56.01 ID:YYsSShrR0

ほむら「……何で私に?」

さやか「だって、転校生って意外と頭いいじゃん」

仁美「意外って……その言い方は失礼ですわ」

まどか「ほむらちゃんって頭いいよね」

ほむら「そ、そんなことは……」

マミ「あらあら、謙遜しちゃって」

ほむら「と、巴さぁん」

ほむら(同じ授業を何度も受けてるからであって、特別頭がいいというわけではないのにな……)



235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:15:15.12 ID:YYsSShrR0

――休み時間


さやか「うへぇ……提出に間に合って良かった……」

まどか「お疲れさま。さやかちゃん」

さやか「転校生、ありがとう……命の恩人だよぉ」

ほむら「そ、そんな……」

まどか「でも、さやかちゃん。これっきりだからね」

まどか「ほむらちゃんは頼まれたら断れない性格なんだから」

さやか「はいはーい。現代文の先生かっつーのー。まどかぁー」

まどか「ほむらちゃんも、キッパリ断ってね。さやかちゃんのためにならないよ」

ほむら「あ、うん……」


「やぁ、君達。ちょっといいかな」



236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:15:47.44 ID:YYsSShrR0


まどか「へ?」

「ここって、転校生が来たクラスだよね?今その子いる?」

さやか「ん?」

ほむら「え?えーっと……その……」

「あ、私?」

「私は三年生の『呉キリカ』っていう者なんだけど……」


まどか、ほむら、さやかにとって初めて見る顔。

黒い髪の上級生が話しかけてきた。

呉キリカと名乗る少女はまどかとさやかの間、ほむらの顔を見て尋ねる。



237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:17:38.86 ID:YYsSShrR0

キリカ「例の転校生はいるかい?」

ほむら「あ、あの……」

さやか「えーっと、ですね。先輩?いるも何も……"これ"なんスけど」

ほむら「こ、これって……」

キリカ「あっ、君がそうなのかぁ!何だ、さっさと言ってくれればいいのに」

キリカ「ふーん。君が『暁美ほむら』か……」

まどか「ほむらちゃんのこと知ってるんですか?」

キリカ「ん?あぁ、まぁね。転校生なんて珍しいからさ」

キリカ「転校した時上級生下級生が覗きに来たりしなかった?」

ほむら「え、えっと……その……私に、何か……?」

キリカ「何か?」



238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:18:29.88 ID:YYsSShrR0

キリカ「あぁ。用があるんじゃないのかって?」

キリカ「いいや、別に……好奇心で見に来ただけだよ」

キリカ「やっぱり気になるじゃん。よそのクラス学年と言えど転校生なんて」

まどか「…………」

さやか「まぁわかりますけどねー」

キリカ「あ、カッコイイ指輪してるじゃん」

まどか「あっ」

ほむら「こ、これは……その……」

キリカ「オシャレだねぇ。それはマニキュア?」

さやか「ハ、ハハ。ま、まぁそんなとこっスよ」



239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:19:39.46 ID:YYsSShrR0

キリカ「いやぁ、ほむら。いかにも小動物って感じで可愛いね」

キリカ「まぁ可愛さでいったら私の知り合いも負けていないけどさ」

キリカ「そうか……眼鏡、か。眼鏡もありだね」

まどか「へ?」

キリカ「あ、いや。こっちの話」

ほむら「あ、あのー……」

キリカ「ん?あぁ、ひょっとして迷惑だった?私ィ」

ほむら「い、いやっ、そういうわけじゃ……」

キリカ「大丈夫。すぐに教室戻るさ」

キリカ「折角来たからもうちょい話したいな……ふむ」



240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:23:36.25 ID:YYsSShrR0

キリカ「……あっ、そうだ」

キリカ「ロッキー食べる?」

さやか/ほむら/まどか「……」

キリカ「いらないの?」

キリカ「じゃあ~、君」

さやか「あたし?」

キリカ「うん。試しにそっちの端を持って」

さやか「?」

ポキィッ


キリカ「あっあ~♪君、意地っ張りって言われるでしょ」



241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:25:06.19 ID:YYsSShrR0

まどか「……」

ほむら「……」

さやか「……」

さやか「な、何なんですか?先輩……」

キリカ「『ロッキー占い』だよ。占い信じる?折れた感じで占うんだ」

キリカ「君、意地っ張りじゃない?折角なら多く取ってやろうと欲張って力を込めちゃったから、こうして君の持ち分が短く折れる」

キリカ「無意識的に意地張っちまったんだ。無意識はその人のことが一番よくわかる運命の形……とある人は言う」

キリカ「意地っ張りという性格は自分の考えが正しいものだという思い込みの激しさに繋がる」

キリカ「それは時として周りの空気を乱す。君は周りの人をひっかきまわす性質だ」

キリカ「あ、別に意地っ張り=KYって言ってるんじゃあないよ。一つのものの見方だね」



242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:26:01.68 ID:YYsSShrR0

さやか「おいおいおい……、ロッキー占いだァ?」

さやか「聞いた?まどか、転校生……」

さやか「全然当たってないよなあ~あたしがKYだってさ!?」

まどか「あ、あはは……」

ほむら「…………」

キリカ「まぁ、所詮占いだよ」

キリカ「さて、私は次の時間、移動教室だから退散させてもらうよ」

キリカ「君達と話ができて楽しかったよ。それじゃ」

ほむら「は、はぁ……」



243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:27:37.24 ID:YYsSShrR0

ほむら「…………」

まどか「……な、何だったのかな?」

さやか「へ、変な先輩だったね」

さやか「でも……あんな人三年生にいたっけかなぁ?見覚えがない……」


仁美「あ、あのー……」

まどか「あ、仁美ちゃん。おかえり」

仁美「えぇ。あの、今の三年生の方は……?」

さやか「え?いや、別に……よく知らない人。転校生の顔を拝みたいとかなんとか」

仁美「そうですか……間に入り込めずにまごまごしている内に行ってしまいましたね」

さやか「ありゃ、仁美既に戻ってきてたんだ」



244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:28:17.80 ID:YYsSShrR0

ほむら「志筑さんは……あの方を知ってるんですか?」

仁美「その……委員会で先輩からその話をチラッと聞いたという程度ですが」

まどか「知ってるの?」

仁美「えぇ。その……あまり良い言い方ではありませんが……」

仁美「学校にほとんど来ていないそうで。今の方……呉さん、でしたっけ?」

さやか「不登校……ってヤツ?」

仁美「えぇ。詳しいことは私も分かりませんが……」

さやか「ふぅ~ん……」



245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:29:11.96 ID:YYsSShrR0

さやか「不登校児って割にはさっぱりした人だったね」

さやか「もっとこう、言葉のイメージ的に。」

さやか「根暗そうだとか常に人を見下してそうだとか」

さやか「むしろ手のつけられない暴れん坊だとかさ」

まどか「その言い方は失礼だよ」

ほむら「…………」

ほむら(初めて知った……あんな人がいたなんて)

ほむら(何というか、ちょっと変わった人だったなぁ)

ほむら(……あ、そうだ。縄張り争いが激化してること、二人に話しておかなくちゃ)



246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:29:56.37 ID:YYsSShrR0

――その日の夕方。


バラの木が植えられている庭。

大きな洋館。そこには二人の魔法少女が暮らしている。

ベッドの上の銀色の髪をした少女は、上半身を起こし、紅潮させた頬で、同居人を見つめている。

黒い髪をした少女は真面目な表情で、背筋を伸ばして、今日あったことを報告した。


キリカ「……織莉子の言った通りだった。予知通り」

キリカ「『いた』よ……。二年生だった」

キリカ「あ、いや、疑ってたわけじゃないからね」

織莉子「そう。それで、どうだった?」



247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:31:31.74 ID:YYsSShrR0

キリカ「どうって?強そうとか?」

織莉子「それも含めて、あなたの率直な意見が聞きたいの」

織莉子「彼女を見て、どう思った?」

キリカ「んー……意見って言われても……」

織莉子「何でもいいわよ。小学生が書く道徳教材用ビデオの感想文くらいに簡単なのでいいわ」

キリカ「うーん……そういうヤツ書くの苦手だったクチでさぁ」

キリカ「……正直に言うよ」

織莉子「えぇ。正直に言って頂戴」

キリカ「『アレ』が世界を滅ぼすとは到底思えない」

織莉子「…………」



248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:32:04.59 ID:YYsSShrR0

キリカ「ね、念押しするけど、決して織莉子の予知を疑っているわけじゃあないからね」

織莉子「わかっているわ。でも、『魔女になる』以上……人間の時点を見ても何もわからないわ」

キリカ「いや、まぁそれはそうなんだけどね……」

キリカ「それで……作戦はいつ決行する?」

織莉子「いつでも勝てる?」

キリカ「……こないだ、こっそりと暁美ほむらと巴マミの魔女狩りを偵察した話、しただろう?」

キリカ「『暁美ほむら』は時を止めることができるように見えた。ピンと来たよ。固有魔法が私を似てる」

織莉子「えぇ。聞いたわ。その話」

キリカ「だからごめん。わからない」

キリカ「あの眼鏡っ子のスピードを遅くして不意を突いたとて……時を止められたらその時点でアウトだ」



249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:32:47.59 ID:YYsSShrR0

キリカ「そして『巴マミ』……あの身のこなしはハッキリ言って段違いだね。あと髪がクルクルしてる」

織莉子「そうね。巴マミはベテランの魔法少女だと聞くわ。髪は関係ないでしょうけど」

織莉子「ベテランと言うからには、当然私達よりも経験がある」

キリカ「厳しい……かもね」

織莉子「……さて、果たして……私達で処理しきれるものか」

織莉子「いささか不安な気持ちがないこともない……」

キリカ「でもでも!織莉子がやるっていうなら、私、どんな不利な状況でも……!」

織莉子「ダメよ。確実な手を選ばないと」

織莉子「予知では……まだまだ時間の猶予はある」

織莉子「私達が直接深く干渉しなければその予定が狂うことなし」

織莉子「考える時間も態勢を整える時間も十分ある……」



250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:33:13.45 ID:YYsSShrR0

織莉子「世界を救うことに対して慎重になりすぎるということはないわ」

キリカ「それでもなるべく早くピリオドを打ちたいけれどもね」

織莉子「えぇ……そうね」

織莉子「必ず……必ず、やってみせるわ」

キリカ「うん」

織莉子「彼女を葬り、救世する。それが私の生きる意味……」

キリカ「彼女を『や』って……私達の人生が始まるんだね」

織莉子「えぇ……私と貴女の世界を護るために」


織莉子「『暁美ほむら』を『排除』するッ!」



251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:33:55.06 ID:YYsSShrR0

キリカ「とは言ったものの、未だ特に何もしてないんだけどね」

織莉子「それは言わないで……だって、何から取り組めばいいのかわからないんだもの」

織莉子「さぁ明日から本腰あげて考えようと思った矢先に熱が出ちゃったから……」

キリカ「……ま、まぁ無理しないで。猶予はあるんでしょ?」

織莉子「それはそうだけど……」

キリカ「予知では余地があるんだろう?」

織莉子「そうね」

キリカ「予知では余地が、ね」

織莉子「…………」

織莉子「少し熱がひいたみたい。ありがとう」

キリカ「……な、何かゴメン」



252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:37:02.81 ID:YYsSShrR0

織莉子「……そうねぇ」

織莉子「理由はわからないけど、最近魔法少女同士の縄張り争いが激化していると言うわ」

織莉子「だからキュゥべえの興味を反らせられる……殺人を計画していることは割れることはない」

織莉子「しかし……未契約者ならまだしも、魔法少女を殺すには経験の差が露呈するはずだわ」

織莉子「……引き入れられそうな魔法少女の一人や二人でもいればいいのだけれど」

キリカ「引き入れる……?」

織莉子「縄張りを奪おうとする魔法少女……グリーフシードをちらつかせて交渉すれば乗ってくると思うの」

キリカ「……私じゃ信用できないのかい?イジケーッ」

織莉子「そうじゃないわ。もちろんキリカが私の一番よ。念には念を、ってね」

キリカ「私が一番……えへぇ」

織莉子「何にしても風邪を治してから考えましょうね」

キリカ「うん」



253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:38:05.17 ID:YYsSShrR0

織莉子「それにしても、何で急に体を壊しちゃったのかしら……」

キリカ「さぁ……」

キリカ「こないだの空が真っピンクの結界でついた傷からばい菌が入ったのかも」

織莉子「それならあなたにも似たような傷ついたのに……免疫がないのかしら。私」

キリカ「どうだろう……」

キリカ「免疫といえば、織莉子。お腹空いてない?」

キリカ「食べないと体もっと壊すよ」

織莉子「そうね……まだ夕飯には早いと思うけど」

キリカ「よぉし!ちょっと待ってて!作ってくる!」

バタン

織莉子「あっ、ちょっ……もう。せっかちねぇ……」



254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:39:13.19 ID:YYsSShrR0

織莉子はキリカが戻ってくるまで読書を始めた。

ある一族と一人の男の六世代に渡る因縁の物語。

第一部の三章、その序盤を読み始めた時、キリカがドアを開けた。


キリカ「お待たせ!織莉子!」

織莉子「待っていたわ」

キリカ「ってことではい!織莉子!お粥作ったよ!」

織莉子「まぁ……!」


四十分程かけて、キリカは夕食を作ってきた。

タンポポ畑に軽く雪が降り注がれた景色のようだった。


織莉子「キリカにここまでしてもらうなんて……たまには体調を崩すのもいいかもしれないわね」

キリカ「えへへ」

織莉子「……綺麗な黄色。卵粥ね」

キリカ「卵……あ、うん。まぁ、卵だね」

織莉子「?」



255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:39:58.00 ID:YYsSShrR0

織莉子「……それじゃ、キリカ」

キリカ「ん?何?」

織莉子「そ、その……た、食べさせてくれる?」

キリカ「えっ……」

キリカ「そ、それって……あの、も、もしかして……"あ~ん"ってヤツ?」

織莉子「べ、別にこういう時くらい……いいでしょ?」

キリカ「織莉子……」

キリカ(可愛い……)

キリカ(おお……なんて……なんて可愛いんだろう)

キリカ(私にあ~んを求めてくれている……織莉子が……)

キリカ「織莉子……いつだって甘えてくれてもいいんだよ。むしろ甘えてよ」



256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:40:54.08 ID:YYsSShrR0

織莉子「……ありがとう。それじゃ、食べさせて?」

キリカ「うん。それでは……」

キリカ「あ、あーん」

織莉子「あー……」

パク

織莉子「ん……」


至福の時。


キリカ「どう……かな?」

織莉子「…………」

キリカ「…………」



257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:41:32.58 ID:YYsSShrR0

織莉子「……キリカ」

キリカ「はい」

織莉子「正直に答えて」

キリカ「?」

織莉子「これは何?」

キリカ「何って……?」

織莉子「答えて。これは何?」

キリカ「もしかして……マズかった?」

織莉子「何とも言ってないわ。これは、何粥?この黄色いのは何?」

キリカ「カスタードクリーム」



258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:42:38.05 ID:YYsSShrR0

織莉子「…………」

キリカ「カスタードクリームも手作りだよ?」

織莉子「キリカ。食べてみなさい」

キリカ「え、そ、それって……」

織莉子「いいから。ほら、あーん」

キリカ「か、間接キス……!」

織莉子「なっ……!」

キリカ「では……ゴクリ、い、いただいちゃいます。あ~ん」

織莉子「い、意識しないで頂戴。こっちが恥ずかしいわ……」

キリカ(流しちゃったけどさらっと織莉子が私にあーんしてくれてる。可愛い)

パクッ

キリカ「…………」

織莉子「……どう?」



259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:43:38.49 ID:YYsSShrR0

キリカ「ゥンまあぁ~い!」

キリカ「濃厚なカスタードクリームにお粥の滑らか部分がからみつく美味しさ!」

キリカ「我ながら素晴らしい創作料理だァァ~!私ってば天才!?」

織莉子「…………」

織莉子「……私、キリカとやってける自信がなくなってきたわ」

キリカ「えっ」

織莉子「冗談よ」

キリカ「美味しくなかった?」

織莉子「…………」

キリカ「……と、とにかく!織莉子が寝るまで尽きっきりで看病するからね!」



260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:44:16.72 ID:YYsSShrR0

織莉子「え、えぇ、お願いするわ」

キリカ「任せて!」

織莉子「それじゃあお砂糖を一切使ってないお粥をいただけるかしら」

キリカ「あ、やっぱマズかった……?」

織莉子「…………」

キリカ「沈黙は肯定ととるよ……?」

織莉子「……あなたの今後のために言うけど、カスタード粥は人様に出してはだめよ」

キリカ「はぁい」


その夜、キリカは織莉子の側を離れず看病をし続けたのであった。



261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:45:51.03 ID:YYsSShrR0

今回はここまで。割と短い。

予告ってほどでもありませんが、次回はおりキリスタンド発現話です。

シビル・ウォーはよくわからないスタンドとして定評があるそうですね。

別に厳密に再現するわけでもないのであまり身構えることはないかと思います。



264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 01:04:58.43 ID:N99D/rih0

キリカワイイ
甘い粥も結構いけると思うんだけどなぁ…



265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 01:07:16.47 ID:fRinsZRso
ミルク粥とかあるけどカスタードはさすがにアカンやろ
しかもキリカのことだからたぶん砂糖マシマシ



267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:51:57.49 ID:Tw1rzQE90

#6『「レクイエム」とでも、呼びましょうか』



――翌朝


織莉子「……んん」

織莉子「朝……」

織莉子「あら、体が軽い……」

織莉子「どうやら熱はひいたようね」

「……コ!……リコー!」

織莉子「ん……何の音かしら」

「オリコー!」

織莉子「……キリカ?」

織莉子「どうしたの?朝からそんな騒いで……」

キリカ「ここ!ここだよ!」

織莉子「え?ここ?」

キリカ「あぁっ!ダメ!ダメ!動かないで!」

織莉子「え?えぇ?」

キリカ「動いたら潰れる!」

織莉子「潰れ……?え?」



268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:54:00.47 ID:Tw1rzQE90

織莉子「まさかキリカ。私が寝ている間に生卵を枕元に置いたとか……イタズラしてないでしょうね?」

キリカ「私がそんなことするわけないだろう!?動かないで!潰れるというか、潰される!」

織莉子「な、何?何なのよ?何が潰れるというの?」

キリカ「……よし、いいよ。そのままゆっくりと……ゆっくり動いてね」

キリカ「うん。織莉子。そんでもって横向いて。横。私の声のする方向に」

織莉子「キリカ。さっきから私に何をさせた……」

織莉子「……い……の?」

キリカ「ヤッホー」

織莉子「……え?」

キリカ「今の私がどういうことになってるか、わかった?」

織莉子「……ふぅ」

キリカ「どう?」

織莉子「……そうね。わかったわ。私、寝ぼけているのね。もう一眠りしようかしら」

キリカ「ゴロンッてしちゃダメ!織莉子!違う!」



269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:54:39.30 ID:Tw1rzQE90

キリカ「目の前に見えているのは現実!マジ!本当のことッ!」

織莉子「そんなことないわ……魔法でもない限りそんなことないもの……すぅ」

キリカ「オオオオオオオオオオリィィィィィィィィィィコオオオオオオォォォォォォォッ!」

キリカ「ORYYYYYYYYYYYYYYY!Cooooooooo!」

織莉子「…………」

キリカ「織莉子!私だってマジに何が起こってるのかわからないんだよ!」

キリカ「私の体が『小さくなった』ッ!」

織莉子「……ゆ、夢じゃなさそうね」


織莉子は舌の先を小臼歯で軽く噛み、痛覚があることを確認した。

その眼前――キリカの全身が映っている。キリカが枕の上に『立っ』ている。

手をパタパタ動かして存在感をアピールしている。

その大きさ、推定15センチ。

身長が約十分の一程になっている同居人がいた。



270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:55:40.38 ID:Tw1rzQE90

織莉子「……落ち着いた?」

キリカ「う、うん……」


キリカはテーブルの上にチョコンと立ち、織莉子を見上げる。

声はほとんど聞き取れないため、テレパシーを用いて会話をする。


織莉子「体が小さくなったのよね」

キリカ「うん」

織莉子「それで、私に潰されると危険を感じて起こした」

キリカ「うんうん」

織莉子「つまり、大きい……もとい、元のサイズの時は私のベッドの中に潜り込んでいたってこと?」

キリカ「……はい」

キリカ「エッチなことはしてないよ」



271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:56:39.47 ID:Tw1rzQE90

織莉子「…………」

織莉子「……まぁ、キリカだからいいけれども」

キリカ「温かくて柔らかくて素晴らしい匂いでした。はい」

キリカ「スー、スー、って寝息が心を安らげさせてくれたよ。うん」

織莉子「聞いてないわ」

織莉子「……それにしても」

キリカ「?」

織莉子「ふむ……」

キリカ「お、織莉子……?」

織莉子「……可愛い」



272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:57:19.68 ID:Tw1rzQE90

キリカ「なっ……!?」

織莉子「すごく可愛い。小さいキリカ可愛いわ」

織莉子「な、撫でてもいいかしら。人差し指で頭を撫でてみてもいいかしらっ」

キリカ「う、うぅ……」

キリカ(織莉子が私をなでなでしたいと言ってくれている……!)

キリカ(織莉子……可愛いよ。うずうずを抑えようとしてるけど全く抑え切れてない君の方が可愛いよ)

キリカ(ああ……嬉しい!だけどっ。嬉しいけどっ。いかんせん恥ずかしいっ!)

キリカ(本来なら「そんなこと言ってる場合じゃあない。私の体を元に戻す方法を考えてよ」とか言う場面だけど……)

織莉子「いけないかしら……?」

キリカ「……ど、どうぞ」

キリカ(織莉子にそんな顔をされて、なでなでされずにはいられない!)



273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 20:58:44.71 ID:Tw1rzQE90

織莉子「ありがとう。キリカ!」

織莉子「それでは、早速……」

ナデナデ

キリカ「は、はぅ……」

織莉子「どう?指重くない?」

キリカ「大丈夫だよ……優しいね……君は……」

キリカ(は、恥ずかしい……。だが、至福である……ッ!)

キリカ「も、もうちょっと重みをかけてくれていいよ」

織莉子「ありがとう。……これくらい?」

キリカ「……んっ、これ、いい」



274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:00:06.12 ID:Tw1rzQE90

織莉子「まるで小動物……癒されるわ……!」

織莉子「ねぇキリカ。そのまま私の中指にしがみついてみて」

キリカ「こ、こう……?」

ギュッ

織莉子「…………」

キリカ「…………」

織莉子「いい……!」

織莉子「その表情グーよ。キリカ。素晴らしいわ。顔を真っ赤にして中指にしがみつくその様。いいわよ」

織莉子「まるで初恋の人と手を繋ぐ想像をして恥ずかしくなっている少女が枕を抱きしめて自分の気持ちを自分で誤魔化しているかのよう。素晴らしいわ!」

織莉子「胸がキュンと揺れるこの感覚。これが世に言う『萌え』というものなのね……!」

キリカ「お、織莉子にそんな一面があるとは思わなかったな……」



275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:01:31.89 ID:Tw1rzQE90

織莉子「幻滅して嫌いになった?」

キリカ「……大好き」

織莉子「ふふ、子供の頃……金魚とか猫とか飼ってたことあるけどあなたが一番きゃワイイわ」

キリカ「金魚と同列に語られた!?」

織莉子「そんなことはないわ。例え話よ。た・と・え・よ」

織莉子「写真。撮らずにはいられないわ」

織莉子「そういえば子どもの頃に遊んでいたお人形まだあったかしら……」

織莉子「キリカにあのフリフリエプロンドレスを着てもらわないと今夜は安眠できそうにないわ」

織莉子「あぁ、忙しくなるわ」

キリカ「…………」

織莉子「ご、ごめんなさい。悪ノリしてしまったわ」



276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:02:33.11 ID:Tw1rzQE90

織莉子「コホン……それで?これは何という魔法なの?」

キリカ「魔法?いやいや、違うんだよ織莉子」

織莉子「?」

キリカ「私もよくわからない内に小さくなっていたんだよ……」

織莉子「え?」

キリカ「もう一度言うかい?『いつの間にか小さくなっ』てた」

織莉子「てっきり私は、新しい技を開発したはいいけど戻れなくなってしまったのかと思ったのだけれど……」

キリカ「ねぇ、私はどうすればいいかな?」

織莉子「当人がわからないと言うなら私がわかるわけなじゃない……」

織莉子「……もしかしたら魔女の仕業かもしれないわ。何か心当たりは?」

キリカ「ない。起きたら小さくなってた」



277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:03:23.56 ID:Tw1rzQE90

キリカ「足の咬み傷の他に、腕に何か『切り傷』もできてるし……ほら、この腕」

織莉子「ほらと言われても小さくて見えないわ……」

織莉子「まさか、寝ている内に魔女の呪いが……?」

キリカ「どうしよう。こんな体じゃキスしてなんて言えないよ……」

織莉子「別に小さくなったからキスできないなんてことはないわよ」

キリカ「してもいい?」

織莉子「考えておくわ」

織莉子「しかし参ったわね。本当に戻れないと言うのなら……写真撮ってる場合じゃないわね」

キリカ「どうしよう織莉子」

織莉子「キリカ。服を脱ぎなさい」

キリカ「え?」

織莉子「魔女の口づけでもついてるんじゃないかしら。ほら、脱いで」



278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:04:29.98 ID:Tw1rzQE90

キリカ「えっ、ちょ、ま、待ってよ……!」

織莉子「腕に切り傷があると言ったわね。もしかしたら口づけでなくても他にそういう傷がついてるのかも……」

キリカ「ぬ、脱ぐなんて……それも織莉子の前で……恥ずかしいよ……」

織莉子「別にあなたの裸が見たいってわけじゃないのよ。ほら、早く」

クイッ

キリカ「わっ、やっ、やめてっ!人形みたいな感覚で脱がせようとしないで!じ、自分で!自分で脱げるから!」

織莉子「あなたが小さいままだと、救世が……いずれにしても呪いは解かなければならないわ」

キリカ「あン!織莉子!もっと優しく。それはダメ!ダメェん!」

織莉子「ちょっと!変な声出さないで!」

キリカ「ああン!優しくして、優しく!服を脱がさないでッ!感じる!いやぁん、ダメ!」

織莉子「何を感じると言うのよ!」

キリカ「ひゃ、ひゃぁッ!」


スパンッ



279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:05:44.90 ID:Tw1rzQE90

織莉子「……え?」

キリカ「……ん?」

織莉子「…………」

ボタリ、ボタリ

キリカ「な、何の音……?」

織莉子「何が……起こったの……?」

キリカ「え……」

織莉子「指が……」

キリカ「あ……?」

キリカ「ど、どう……して……」

織莉子「一体何が……」

キリカ「織莉子の……織莉子の指が……」

キリカ「『無い』……ッ!?」



280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:07:39.95 ID:Tw1rzQE90

キリカの服をつまんでいた、織莉子の左手人差し指、親指の一部。

それらが無くなった。

『切れ』たのではなく『無くなっ』た。

その跡から鮮血が流れ出る。織莉子は指のあった跡を押さえる。

キリカは織莉子の骨を見てしまった。血でテーブルが汚れてしまった。


織莉子「……!」

キリカ「ま、まさか……私がやったのか!?」

キリカ「わ……私は何も……何もしていない!どうして……!」

キリカ「無意識の内に……斬っちゃったのか!?」

織莉子「何で……指が……」

キリカ「お、織莉子!わ、私は本当に何もしていないんだ!私が織莉子にそんなことするはずがない!」

織莉子「えぇ……わかって……いるわ……」




281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:08:29.60 ID:Tw1rzQE90

織莉子(キリカの爪で斬られたというのであれば……切断された指があるはずだけど……)

織莉子(しかし……それらがない)

織莉子(しかも、本当に断たれたのかはわからないけれど……この断面)

織莉子(断ったという感じじゃあない)

織莉子(そもそも服を脱がせようと少し悪ノリをしてしまったとは言え……)

織莉子(あのキリカが私を攻撃するなんてあり得ない)

織莉子(それは私がよくわかっている)

織莉子(とにかくこの傷は魔法で治療するとして……何が起こったのか、頭の中を整理したい)

織莉子(キリカが小さくなり……私の指が消えた……)

織莉子(その二つに関連性も共通点も見出されない)



282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:10:28.27 ID:Tw1rzQE90

織莉子(と、いうことはこの二つはそれぞれ別の……)

織莉子(別の……何だというの?)

織莉子(魔女か使い魔の仕業……?)

織莉子(それは考えにくい……)

織莉子(キリカから魔女・使い魔の結界に入ったという報告を受けていないし、私も感じていない)

織莉子(あったとしてもついこの間の……空がピンク色な使い魔の結界くらいか……)

織莉子(でも、もしそれが原因ならもっと早くに影響があるはずだ)

織莉子(キリカの身に一体、何が……!)

織莉子(そして、私の指は一体どうし――)




283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:12:48.22 ID:Tw1rzQE90

織莉子「――ハッ!」

織莉子「キ、キリカッ!」

キリカ「えッ?!何ッ?!」

織莉子「その『頭に被っているもの』は何ッ!?」

キリカ「へ?」

織莉子「それは何なのかと聞いているのよッ!」

キリカ「え!?え!?私は何も被ってないよ!?」

織莉子「き、気付いていない!?ちょっと待って……!」

織莉子「ほら、これ!鏡……!」

キリカ「まさかコンパクトミラーを姿見として使う日が来ようとは……」

キリカ「うわァッ!?な、何だこれェ!」




284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:14:48.09 ID:Tw1rzQE90

キリカの頭に『フードのようなもの』が被さっていた。

角の生えた頭蓋骨の上顎の上に、黒い布が被さっているような何か。

その眼窩の位置には、黄玉のような眼球らしき物が埋め込まれている。


キリカ「……な、何だ?この……なんて言うか……」

キリカ「頭蓋骨を頭に乗せてその上から頭巾を覆ったようなヤツは……」

キリカ「取りあえずこんな物被って人前に出れな……」

ガォンッ!

キリカ「うわおゥッ!?」

織莉子「なッ!?」


キリカが姿見に近づくと、それは『削れ』た。

鏡に、コルクの栓を抜いた後のような、くっきりとした円形の穴をあけた。



285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:16:18.97 ID:Tw1rzQE90

キリカ「ああ……!な、何かわからないけどゴメン!高かったでしょこれ!?」

織莉子「鏡のことより自分の心配を……」

キリカ「むッ!?」

織莉子「ん?」

キリカ「何だ『おまえ』はッ!いつの間にいたッ!」

織莉子「ちょ!?な、何!?」

キリカ「織莉子!危ない!後ろだ!」

織莉子「後ろ?」

織莉子「――なッ!?」

織莉子「こ、これは……!」

キリカ「織莉子から離れろー!」




286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:17:43.65 ID:Tw1rzQE90

織莉子の背後に、人型の「何か」がいた。

右人差し指に鋭い爪が生えている、ロボット風デザイン。

よく見ると背後の壁が透けて見える、半透明の像。

左手の親指と人差し指と思われるパーツが欠損している。

しかし、織莉子の指の治療を終えると同時に、欠損していたパーツが元に戻っていった。


織莉子「…………」

キリカ「織莉子!離れてッ!小さい私では対処ができないッ!」

織莉子「あ、なたは……」

キリカ「織莉子!離れろと言うんだ!早く!何かヤバイ!こいつッ!」

織莉子「…………」

キリカ「何故離れないッ!?お、織莉子ォォ――――ッ!」




287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:18:30.12 ID:Tw1rzQE90

キリカは必死に叫ぶ、

しかし織莉子は黙って背後の『何か』を見つめたまま動かない。

「まさか、体を麻痺させているのか!結界を持たない使い魔が存在するのか!」

とキリカは思った。


織莉子「…………」

キリカ「――あれ?」

キリカ「……え?」

キリカ「なッ?!」

キリカ「お、織莉……子……?」

キリカ「わ、私……私の体が……」



288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:19:56.09 ID:Tw1rzQE90

キリカは自分の目を疑った。

下から見上げていた織莉子の顔が、今は視界の下にある。

小さくなった次は大きくなったのか、とキリカは思った。

しかし、自身の腕の太さと織莉子の首の細さ。その比率は正しい。

デッサンが狂ったようなことはない。


キリカ「も、元の大きさに戻っている……!?」

織莉子「キリカの大きさを『元に戻し』た……」

キリカ「え?え?ええ?」

織莉子「キリカ。落ち着いて聞いて」

キリカ「わ、私にもわかるように説明してよ!」



289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:22:03.59 ID:Tw1rzQE90

織莉子「えぇ。そのつもりよ」

織莉子「いい?これは敵ではない」

キリカ「……もし敵なら既に攻撃してるはずだもんね」

織莉子「あとテーブルから降りなさい」

キリカ「あ、はい」



――
――――

織莉子「――と、いうことだと、私は推測する」

キリカ「えっと……つまり……その……」

キリカ「どゆこと?」

織莉子「そうね……もうちょっと噛み砕いて言うと……」



290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:23:33.18 ID:Tw1rzQE90

織莉子「私達は何やら不思議な能力に目覚めた。恐らく、今朝か昨夜に。魔法とは別物」

織莉子「さっきの騒動、私の指が無くなったのも、あなたが小さくなったのも、それが原因」

織莉子「この像は超能力を絵でイメージ化したようなもの……」

織莉子「世間一般的に超能力はビルを崩したり、光や電気のようなものでパワーの強さを表現するでしょう?

織莉子「今ので言えば、破壊と縮小とでも言おうかしら」

織莉子「これは……それ自体を表現した像」

織莉子「私の能力はこの背中にいる人(人型というだけで人には見えないけど――)が爪で傷つけたものを『小さく』する」

キリカ「私の能力は……このフードっぽいヤツのせいだね」

キリカ「触れたものを消滅というか粉微塵にするにするというか、そんなことしちゃう空間を創造する」

キリカ「『暗黒空間』とでも呼ぼうかな」

織莉子「……まぁ、好きにお呼びなさいな」



291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:25:10.70 ID:Tw1rzQE90

織莉子「考えられる要因は一つ……」

織莉子「いつぞやの結界でついた咬み傷でしょうね。タイミング的にそれで私は高熱を出したわけだし」

キリカ「それ以外にないね」

織莉子「キリカを裸にして確かめたから魔女の口づけでは決してない」

キリカ「お、思い出させないでよ……」

キリカ「でも私は熱出してないんだよね」

織莉子「そればっかりは『個人差がある』としか言いようがないわね」

織莉子「この能力は魔女の呪いではないのかしら……?」

キリカ「魔女の口づけならぬ咬み傷ってとこかな?」

織莉子「かな?って私に聞かれても……私だって理解が超えているもの」

織莉子「まず言えるのは――」



292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:26:01.14 ID:Tw1rzQE90

織莉子はこの能力に関しての意見をまとめた。


①この能力は、魔女の呪いの類と考えられる

②この能力は自身の意志に呼応して操ることができる

③害はない……多分、きっと

④魔法少女に変身するような感覚で、能力のON/OFFを切り替え、体内に「収める」ことができる

⑤肉体が傷つくと能力の像も傷つく(人型なら部位相応。そうでない場合どうなるかは不明)

⑥おそらくその逆も然り


織莉子「――どうかしら?何か意見は」

キリカ「うん。私からは特に異論なし。そんなとこだろうね。……でも収めるって?」

織莉子「だってそうとしか表現しようがないもの」

キリカ「ふーん。魔女の呪いか……じゃあ魔女を倒さないとマズイね」



293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:27:52.25 ID:Tw1rzQE90

織莉子「……そうかしら?」

キリカ「え?マジで言ってるの?」

織莉子「使いこなせば、きっと役に立つわ」

キリカ「そうかなぁ」

織莉子「……何となくだけど、もう一人の自分って感じがしない?」

キリカ「もう一人の自分……?」

織莉子「そう。あのときの魔女がトリガーだとすればほんの数日前になるけれど、まるでずっと前からいたような」

キリカ「わ、私は嫌だよ!」

キリカ「眼帯付けて髑髏被って暗黒空間を操り爪を武器とする黒い魔法少女……」

キリカ「挙げ句の果てに必殺技の名前がヴァンパイアファングゥ~?中二病もいいとこだよ!ファングって牙じゃん!」

織莉子「……それは、『それ』のせいなの?」



294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:29:01.69 ID:Tw1rzQE90

織莉子「まぁそのあたりは己が精神と『共鳴』したとかそういう理屈で」

キリカ「うぅ~ん……」

キリカ「何にしても、何て言えばいいんだろうね?これ」

キリカ「サイコキネシスとかテレポートとか、超能力には名前があるだろう?」

織莉子「それもそうね。……ちょっと『予知』してみるわ」

キリカ「え?何で?」

織莉子「いつかこの能力が理解できることを前提として、予習するのよ」

織莉子「例えるなら推理小説を読む際に終盤の方を先に読んで犯人を確認してから読むかのような」

キリカ「犯人が先に分かっている推理物って……刑事コロンボみたいな?」

織莉子「それとこれは違うわ」



295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:31:32.36 ID:Tw1rzQE90
――
――――

未曾有のスーパーセルにより見滝原のほぼ全域が壊滅した。


災害により住民のほとんどが犠牲となった。

最も被害の大きかった地域では、生存者はたった一名のみ。

瓦礫の山の上で一人俯き跪く、眼鏡をかけた三つ編みの少女。

傍らには一つの遺体が置かれている。顔はわからない。

少女は視線を地面から空に移し、大きく、太く、不格好で、逞しい絶叫をあげた。

少女の魂はドス黒い物に変化する。

そして、背中から黒い光が放たれた。



296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:33:48.45 ID:Tw1rzQE90

少女の姿を見つけ走り寄ってきた自衛隊員が、ネジの切れた玩具のように突如倒れる。

瓦礫の臭いを嗅ぎ廻っていたシェパードは突然眠りだし、蛾はポトリと地面に落ちる。

似たような光景が、一つの結界を中心に広がっていく。


「二日でこの国全体。一週間でアジア一帯。十日で世界」

「全ての生命の魂が消滅してしまうだろう」

「彼女の素質ではそんな芸当はできない上に、エネルギー回収率が想定値よりも低い……」

「まさか、僕には見えないが『――――』がエネルギーを吸い取って変化したとでも言うのだろうか」

「全く……困ったものだね。『――――』というものは……」

白くて丸い尻尾はそう呟き、瓦礫の隙間に消えた。


――織莉子は、崩壊する世界の前奏曲を見た。

この未来を訪れなくすることが、織莉子の生きる意味。



297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:35:10.21 ID:Tw1rzQE90
――――
――


織莉子「…………」

キリカ「……どう?」

織莉子「予知が……」

キリカ「うん?」

織莉子「予知が変わった……」

キリカ「え?」

織莉子「キリカ……私の予知、覚えてるわよね?」

キリカ「うん。『暁美ほむら』って転校生が『魔女』になって『世界』を滅ぼす」

織莉子「そう……その通りよ。今、私が見たのもそうなっていた。でも……」

織莉子「『一部』違っていた」

キリカ「うん……?ごめん。何を言ってるのか理解できない」



298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:38:34.75 ID:Tw1rzQE90

織莉子「……疑問に対する答えから言うわ」

織莉子「私達の持っている能力……小さくするのと粉微塵にするのは『スタンド』という名前で、超能力のようなものらしいわ」

キリカ「スタンド」

織莉子「そう。魔法とは違う……精神、あるいは生命のエネルギー。パワーある像(ヴィジョン)……」

織莉子「このスタンドは、スタンドを扱える人間にしか見えないそうよ」

キリカ「しろまるじゃあるまいし……」

織莉子「とにかく『そう』なのよ。魔女の呪いと断定するに足りる物は見えなかったけど」

キリカ「で、そのスタンドと世界を滅ぼす魔女とどう関係するの?」

織莉子「えぇ。話を戻すわ」

織莉子「魔女になった暁美ほむらが世界を滅ぼすという予知……それは今見ても正しい」

織莉子「しかし、前見た時は私はスタンドは見えなかった。その時に視認できない物は予知の映像でも見えないようね」

キリカ「…………それって」



299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:39:38.68 ID:Tw1rzQE90

織莉子「そうよ……私も、まさかとは思った……」

織莉子「暁美ほむらの背後から、私の『これ』と同じように……」

織莉子「黒いプラスチックのような翼だか触手だか、そんな感じの物が浮き出てきたわ」

織莉子「魔女になるにつれて、それは太くなって長くなって本数が増えていった」

織莉子「つまり!魔女になった『暁美ほむらのスタンドが世界を滅ぼす』というのが正確な答えだったのよッ!」

キリカ「な、何だってー!」

織莉子「もっと正確に言えば、『暁美ほむらのスタンド』が魔女になる過程で『世界を滅ぼす存在となる』ということッ!」

キリカ「……パワーアップするってこと?」

織莉子「えぇ……全ての生命を滅ぼしていった」

織莉子「まるで魂を天国に導いていくような……進化と言うより、変化したスタンド」



300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:41:16.48 ID:Tw1rzQE90

織莉子「世界への鎮魂歌……『レクイエム』とでも、呼びましょうか」

キリカ「暁美ほむらの……スタンドがパワーアップして……『レクイエム』になる」

キリカ「暁美ほむらのレクイエムが世界を滅ぼす……!」

織莉子「私にはそう見えた。そして、そう理解した」

織莉子「どちらにしても暁美ほむらの魔女化だけは阻止しなければならない。それはレクイエムを阻止することになる」

織莉子「……レクイエムの発動条件がわからない以上、それを止めるのは難しいものがある」

織莉子「ましてや現段階では私達と同じように、スタンドが使えるかもわからない」

織莉子「仮にまだスタンドに目覚めていないとして……あの使い魔を殲滅するにも時間が経ちすぎて居場所がわからない」

織莉子「私達の時は使い魔が単体で現れた、使い魔の結界だった……既に同じような使い魔が分散されていると考えてもいい」

織莉子「どちらにしても暁美ほむらを抹殺(エリミネート)する以外に道はない」

キリカ「以外も何も、最初からそうするつもりだったけどね」

織莉子「まぁそれはそうだけれども……」



301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:42:12.31 ID:Tw1rzQE90

キリカ「よく考えたらこれってタイムパラドックスってヤツじゃない?」

織莉子「細かいことは気にしないのよ」

織莉子「そんなことより、名前を考えておいてね。キリカ」

キリカ「名前?」

織莉子「そう。いつまでも超能力だスタンドだと呼ぶわけにもいかないわ」

キリカ「この髑髏頭巾に名前をつけろって?」

織莉子「そういうこと言わないの。これから付き合い長いんだろうから」

キリカ「うへぇ……」

キリカ「うーん……」




302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:44:11.80 ID:Tw1rzQE90

キリカ「……ねぇ、織莉子。今日のおやつは?」

織莉子「え?どうしたの?いきなり」

キリカ「おやつはなぁに?」

織莉子「……アイスクリームがあるわ。バニラ味」

織莉子「と言うよりあなたが買ってきたんじゃないの」

キリカ「あれ?そうだっけ?……あぁ、そうだった。パニクってる内にうっかりしちゃってたよ」

織莉子「あなたがつまみ食いしてない限り、そのアイスがおやつになるわね」

キリカ「してないよ……」

キリカ「うん、じゃあこの能力はアイス、いや……『クリーム』って呼ぶよ」

織莉子「『クリーム』……そんな決め方でいいの?」

キリカ「いいんだって」

キリカ「何も子どもや会社の名前を決めるわけじゃないんだ」



303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:46:40.56 ID:Tw1rzQE90

キリカ「こういうネーミングはパパッと決めるのが丁度いい」

キリカ「使ってるうちに定着していくものさ」

織莉子「そういうものかしら?」

キリカ「いいのいいの。見た目がホラーだからせめて名前だけでも可愛くってね」

織莉子「そう」

織莉子「じゃあ、私のスタンドも簡単に決めてしまおうかしら。ふむ……」

織莉子「爪で傷つけるだけで小さくしてしまうから……」

キリカ「スモールライトとかガリバートンネルとか」

織莉子「んー……」

キリカ「まさか織莉子に無視される日が来ようとは」

織莉子「リトル(小さい)……フィート(妙技)」

織莉子「『リトル・フィート』と呼ぶことにするわ」




304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:50:26.49 ID:Tw1rzQE90

キリカ「『リトル・フィート』……織莉子っぽいようなぽくないような」

織莉子「使っているうちに定着していくものでしょ?」

キリカ「ん。それもそうだね」

織莉子「それにしても……」

キリカ「?」

織莉子「私の能力が爪だなんて……面白い偶然じゃない?キリカ」

キリカ「…………うーん」

織莉子「どうしたの?」

キリカ「……ごめん。クリームと織莉子の共通点が全く思いつかないや」

織莉子「キリカ……あなた変な所に拘るのね」



305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:51:58.99 ID:Tw1rzQE90

キリカ「あ、そうだ。織莉子」

織莉子「何?」

キリカ「もう一度私をリトル・フィートしてよ」

織莉子「え?どうして?」

キリカ「そしてアイスを持ってきて!」

織莉子「……あなた、まさか」

キリカ「ねぇ頼むよ!小人になって巨大スウィ~ツを食べるってのが小さい頃の夢だったんだよ!」

キリカ「プリンに抱きつきたいとかジュースの中で泳ぎたいとか思ったもんだよ」

織莉子「そんな腹ぺこキャラみたいなことを……アイスを食べ過ぎると体冷やしてお腹壊すわよ」

キリカ「大丈夫だって。いざって時は魔法という便利なものがあるんだから」

織莉子「そういうのに魔法は……と言いたいところだけど私も昨日の高熱の件があるから強く言えない……」



306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:52:36.38 ID:Tw1rzQE90


キリカ「お願いだ織莉子!巨大おやつは全甘党の夢なんだ!」

織莉子「聞いたことないけど……仕方ないわね。体冷やし過ぎちゃダメよ」

キリカ「わぁい!織莉子大好き!」

織莉子「そうそう。キリカ。今度の休日は予定を空けておいてね」

キリカ「もちろん織莉子以外の誘いは全部断るさ」

織莉子「『風見野』に行くわよ」

キリカ「……風見野?」

織莉子「そこに、会うべき人がいるわ」

キリカ「……そっか」



307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 21:55:33.71 ID:Tw1rzQE90
今回はここまでです。

スタンドに食べられるという表現が難しい。……という理由でクリームにはフード状になってもらいました。
ダサいと言われてるけどあくまで演出上の感性です。あのデザイン個人的に割と好きです。
ガォンガォン



310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 22:17:03.12 ID:lDwLr09E0

小さい=リトルフィートがすぐに出てきたけれど、
織莉子のキリカへの反応からグーグードールズかとも思ってしまったww



316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:31:46.52 ID:lH0vbrgD0

#7『猫は千歳ゆまが好き』



――風見野


「千歳ゆま」は、最近不思議に思っていることがある。

今、魔女を狩りに出かけている佐倉杏子の帰りを待っている。

疑問に思っていることとは、魔法少女のこと、魔女のこと。

何故か最近。他の地域から魔法少女がよく来るようになった。

ある人は杏子に決闘を挑み、ある人は杏子を挑発する。

ある人は有無を言わさず杏子を攻撃する。杏子はそれによりケガもする。

一方で杏子は争うことが嫌いらしく、いつも同じ対応をしている。

「あそこの廃教会にグリーフシードが置いてあるから持ってっていい。だから帰ってくれ」

現れた魔法少女の目的はグリーフシードだった。



317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:33:13.87 ID:lH0vbrgD0

譲歩を受けた魔法少女は言われた通りに廃教会へ行くのだ。

杏子も少し遅れて後を追う。

不思議なことはその後に起こる。

魔法少女を追い返した十数分後、早くて数分後に必ず「魔女」が現れるのだ。

場所も同じ、かつて杏子が暮らしていたという廃教会。


魔法少女が現れ、廃教会へ行き、魔女が現れる。

同じ光景を、ゆまは何度も目撃した。

杏子に尋ねてみた。

「気にするな。あいつらを囮にして魔女を誘っているのさ」

「あそこは魔女スポットなんだ。だから気にするな」

と、返ってきた。ゆまは魔法少女でないため事情がわからない。

そのため二つ返事で納得した。



318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:36:52.40 ID:lH0vbrgD0

キュゥべえという猫とも犬ともつかない生き物曰く。

「ゆま。君には魔法少女の素質がある。杏子と同じだ」

「何か、願いはあるかい?魔法少女になる代わりに、叶えてあげられる」

「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

杏子はすぐに追い返し「あいつの言うことは聞くな」と言った。


しかしゆまは、魔法少女になれるという事実が嬉しかった。

自分も、杏子と同じ存在になれる、と。

杏子みたいに、強くて格好いい魔法少女になれる、と。

その上、自分の願いまで叶うのだ。

良いことずくめとはこういうことを言うのだと思った。



319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:37:48.02 ID:lH0vbrgD0

恩返しができる。役に立てる。

母親から「役立たず」と罵られてきたゆまにとって、そのことはどんなに嬉しいことか。

かつて「ゆまも魔法少女になってキョーコの役に立ちたい!」と言ったことがある。

すると、杏子は「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」と怒鳴る。

何回も同じことを言った。

「危ないからダメ」「なりたいなんて思うもんじゃねぇ」

「何を願うつもりだ?え、あたしを死なせないように?バーカ」

「痛くて怖いぞ。やめとけ」「絶対に泣くし後悔するぞ。やめろ」「しつこい」「いいから寝ろ」

止められた。

ゆまにしてみれば、その理由はよくわからなかった。

力にならなければと思う反面、杏子が言うのであればしかたがないという気持ちがあった。

もどかしい気持ちになった。どうすればいいのだろう。



320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:40:43.06 ID:lH0vbrgD0

ゆま「はぁ……」

「……何を落ち込んでいるんだい?」

ゆま「あ、キュゥべぇだ。また来たの?」

QB「君と杏子のことが気になって、来てみたよ」

ゆま「そうなんだ」

QB「それで、何か悩んでいるようだけど?」

QB「溜息と吐くということは、悩みがあるということだ」

ゆま「うん……」

QB「契約のことかい?」

ゆま「うん……」



321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:49:17.61 ID:lH0vbrgD0

ゆま「ゆま、魔法少女になって、キョーコの役に立ちたい」

ゆま「でも、キョーコはなっちゃダメって言う」

QB「杏子が何て言おうと、素質がある以上君には権利がある」

ゆま「でも……キョーコが……」

ゆま「キョーコはね……ゆまを心配してくれてるのよ」

QB「…………」

QB「いいのかい?君は甘く見られているんだと思うよ。この僕は」

ゆま「甘い?」

QB「うん」



322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:52:10.32 ID:lH0vbrgD0

QB「君はまだ幼い」

QB「杏子は君が足手まといになると思っているんだ……と、僕は推測する」

ゆま「…………」

QB「しかしだね、ハッキリ言って、君の素質そのものはなかなかなものだよ」

QB「要するに、契約すればその時点で君は結構な強さの魔法少女になれるってことさ」

QB「少し訓練さえすれば、ついていけるはず」

ゆま「そ、そうかな?」

QB「僕個人の意見としては、二人で戦った方がその分、杏子が死ぬ確率が下がる」

QB「変わりに君が死ぬ確率が生まれてしまうけど……」

QB「確かに魔女狩りが辛いことであるのは事実ではある。無理強いはできない」



323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:53:04.50 ID:lH0vbrgD0

ゆま「…………」

ゆま「キョーコ……死んじゃうの?」

QB「可能性だよ」

QB「何でも最近は縄張りを狙う魔法少女が現れるそうじゃあないか」

QB「しかも、スタンドという概念がこの世に生まれたらしい」

QB「その分、杏子は大変な思いをするだろうね」

ゆま「…………」

QB「尚更君の助けが必要になるかもしれないね」

ゆま「…………」

ゆま「ゆまが……ゆまが強くなったら……」



324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:55:33.81 ID:lH0vbrgD0

ゆま「ゆまが魔女と戦うのに役立てれたら……」

ゆま「ゆまが魔法少女を追い払うの手伝えたら……」

ゆま「ゆまがキョーコを助けられたら……」

ゆま「キョーコもきっと、喜んでくれる……かな」

QB「そうかもしれないね」

ゆま「…………」

ゆま「それなら……」

ゆま「それなら、ゆま……!」

ゆま「ゆまは……!キュゥべえ……!」


初めてゆまは、約束よりも欲求を優先した。

魔女と戦うだけでなく、魔法少女とも「ケンカ」をする杏子。

ケガをする杏子。ゆまは見るに耐えなかったのだった。


――それだけではない。



325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:57:25.07 ID:lH0vbrgD0

十分程前。ゆまの前を横切った二人組がいた。

銀色サイドテールの少女と黒色ボブカットの少女。

「佐倉杏子ってどんなヤツなんだろ」

「会ってみないとわからないわ」

と、いうような会話を二人はしていた。

魔法少女であることはすぐにわかった。

ゆまは、この二人から『嫌な予感』を感じ取ったのだった。

特に、背が高い方の少女から「それ」を感じた。

遠からず近からず、この二人が自分たちに害を与えるかもしれない。

そんな気がした。

何となくでしかないこの直感。

今でこそ、それもゆまの決断を後押しする要因となってしまった。



326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 14:58:57.98 ID:lH0vbrgD0


ゆまを待機させている公園から少し離れた――廃教会。

その庭にあたる場所。

そこに杏子はいた。


杏子のスタンド能力『シビル・ウォー』

相手に罪悪感を逆撫でする幻覚を見せる能力。

幻覚を生み出す空間を支配する能力。

シビル・ウォーに捕らわれたら、魔法少女は自らの罪悪感に耐えきれずに絶望する。

魔法少女は――絶望すると魔女になる。

杏子は、その魔女を倒してグリーフシードを量産している。


一体の魔女を少し苦戦しつつも力ずくに倒した後――杏子は考える。



327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:00:34.70 ID:lH0vbrgD0

この廃教会……。

『シビル・ウォー』を展開する舞台として利用しているが、あたしにとってはその程度でありそれ以上の場所。

ここが好きな場所なのか嫌いな場所なのか……シビル・ウォーを手に入れてからかな。悩むようになったのは。

ここは、貧しいながら幸せだと感じていた思い出の場所だ。だが、今は魔女を養殖する場所にしているわけだ。

何となく矛盾している気がする。


杏子「あたしにとって……ここは何なんだろうな」

杏子「……親はともかく……モモには申し訳ないと思う」

杏子「ともかくって……あたし、自分の父親のことをどう思っていたっけ」

杏子「見下していたか、恨んでいたか、なんやかんやでそれなりに慕っていたか……」

杏子「自分で言っててちゃんちゃらおかしいが、自分の気持ちが、わかんねぇんだよな……」

杏子「最近……何とも言えないモヤモヤした気分をよく味わう……後味の悪いことだ」

杏子「…………」



328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:01:38.91 ID:lH0vbrgD0

杏子「何の用だ……?」

杏子「あたしの愚痴に付き合ってくれるってのはありがたいが……」

杏子「『無礼』という行為に相当するんだぞ?」

杏子「独り言を盗み聞きするってことはな……」

杏子「何者だ」


「…………」

「…………」

杏子「……何なんだ、あんたら」


「なぁんだ……バレてたんじゃん」

「流石……というべきね」



329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:03:26.25 ID:lH0vbrgD0

「……私の名前は、美国織莉子。こちらは呉キリカ」

「よろしーく」

杏子「……何か用か?」

織莉子「私達は、ある目的を持ってしてあなたに会いに来ました」

杏子「何だ?あたしのグリーフシードでも欲しいのか?」

杏子「それともシンプルに殺し合いしに来たのか?」

キリカ「おぉ、怖い怖い」

織莉子「ご心配なく」

織莉子「私達は、そんなくだらない話をしにきたのではありません」

杏子「あん?」




330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:04:31.87 ID:lH0vbrgD0

織莉子「単刀直入に言います」

織莉子「あなたに『協力を依頼』したい」

杏子「…………」

杏子「……は?」

キリカ「もう一度言う?協力してくれ、と言っているんだ」

杏子「話が読めないね」

杏子「何であたしが見ず知らずの他人に協力を願われなきゃいけないんだ?」

キリカ「黙って協力してくれりゃあ報酬だってくれてやるよ。グリーフシード何個欲しい?三つ?三つ……イヤしんぼめ!」

杏子「一人で何言ってんだこいつ」

織莉子「ごめんなさい。何だかさっきからテンション上がっててこの子」

キリカ(織莉子とお出かけ。それはとっても嬉しいなって)



331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:05:32.49 ID:lH0vbrgD0

杏子「……何だか知らないが、今、あたしはグリーフシードに困っちゃいない」

杏子「かったるいことは嫌いなタチなんでな」

杏子「ってことでお引き取り願いたい」

キリカ「むぅ……ねぇ織莉子。ホントにこんなのが役に立つの?」

織莉子「巴マミを除くと、この辺りで名実ともに優れた魔法少女というは彼女くらいなのよ」

杏子「……!」

杏子「巴マミって、見滝原のか?」

織莉子「あら、知っているのですか」

杏子「あ、あぁ……ちょっとな……」

キリカ「それなら話しやすいね」

杏子「何なんだよ。あんたら。もしかして、マミの差し金か?」

織莉子「私達はむしろ、その逆ね」

杏子「逆?」



332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:06:27.52 ID:lH0vbrgD0

織莉子「いきなりですが……あなたの未来をお話しします」

杏子「は?未来?いきなりなんだよ」

織莉子「私の固有魔法は予知」

杏子「生憎、あたしはそんなうさんくさい占いなんか興味ないんでね」

キリカ「失礼な。予知は占いなんかじゃないよ」

織莉子「あなたの未来を話す。と言ってるんです」

杏子「未来……」

織莉子「……『爆死』します、ね」

杏子「……は?」

織莉子「過程や方法は省かせていただいたけど、爆死するという未来が見えました。あなたの未来」




333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:06:59.81 ID:lH0vbrgD0

織莉子「いきなりですが……あなたの未来をお話しします」

杏子「は?未来?いきなりなんだよ」

織莉子「私の固有魔法は予知」

杏子「生憎、あたしはそんなうさんくさい占いなんか興味ないんでね」

キリカ「失礼な。予知は占いなんかじゃないよ」

織莉子「あなたの未来を話す。と言ってるんです」

杏子「未来……」

織莉子「……『爆死』します、ね」

杏子「……は?」

織莉子「過程や方法は省かせていただいたけど、爆死するという未来が見えました。あなたの未来」




334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:08:09.44 ID:lH0vbrgD0

キリカ「あぁ、あの魔女に殺される前に死ぬってことになるんだね」

杏子「何を言ってるんだよ?あたしが爆死ぃ?」

杏子「馬鹿言ってんじゃあねぇよ」

杏子「何か?爆弾を武器とする魔法少女の知り合いでもいるってのか?」

織莉子「細かいとこまでは読みませんが……」

織莉子「どういうことか、とにもかくにも、あなたは『爆発』で死ぬ」

杏子「…………」

織莉子「無論、私の予知する未来というのは私が『予知をしなかったらこうなるかもという可能性』に過ぎません」

織莉子「未来を知った上で行動すれば、私が干渉すれば、未来は変えられる。予知とは所詮、絶対的な物ではない」

杏子「何を言っているんだよ……怪しい壷は買わないぞ」



335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:09:04.39 ID:lH0vbrgD0

織莉子「…………」

織莉子「元々、私はとある魔法少女が世界を滅ぼす魔女になるという予知を見ました」

杏子「は……?」

キリカ「聞こえなかった?どこぞの魔法少女が世界を……正確には全ての生き物をどうにかしちゃう魔女になる」

杏子「おい……それって……ど、どういう……」

キリカ「言葉通りさ。この際ハッキリ言わせていただく」

キリカ「ソウルジェムは穢れきるとグリーフシードとなり、魔法少女は魔女になる」

織莉子「要するに今まで倒した魔女は元魔法少女ということ」

織莉子「ショッキングな真実でしょうけど、落ち着いて聞いてください」

杏子「いや、それは知ってるよ」

キリカ「あ、あれー?」

杏子「あたしが気になったのは『世界を滅ぼす』って点だ」



336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:10:38.24 ID:lH0vbrgD0

杏子「しかもワルプルギスの夜とかじゃあないんだよな。魔女に『なる』ってことは……」

織莉子「ワルプルギスの夜?」

杏子「何だ?知らないのか?」

キリカ「私達は結構ルーキーだからね。そういう情報には疎い」

杏子「それはいいとして、とにかく続きを聞かせろ」

織莉子「……失礼。話を戻しますと……予知で未来を知った上で行動すれば、未来は変えられると言いましたね?」

織莉子「私は暁美ほむらという魔法少女を、世界を滅ぼす魔女になる存在として抹殺するつもりでした」

織莉子「暗殺するのが一番手っ取り早く確実だと思っていました」

織莉子「……そして私達はある力に出会った。いつの間にか、です」

キリカ「スタンドって知ってる?」

杏子「ああ……あたしもいつの間にかに身に付いてたな。スタンド」

織莉子「そうですか。それなら話がもっと早くて助かります」



337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:12:10.41 ID:lH0vbrgD0

織莉子「そして、その後私はもう一度予知をした。そしたら違う未来が見えました……」

織莉子「その予知は『暁美ほむらにスタンドが目覚めていて、魔女化に伴ってそのスタンドが進化し世界を滅ぼす』というものだった」

織莉子「スタンドはスタンド使いにしか見えない。だから、予知では見えなかった新事実」

織莉子「……いえ、スタンドではない。スタンドを超えた何か」

キリカ「私達は個人的にレクイエムと呼んでいる」

杏子「スタンドの先……レクイエム……」

織莉子「とにかく、彼女のレクイエムは世界を無にしてしまいます」

織莉子「レクイエムを発現させた以降の未来を予知できないのは多分、私が死ぬため……」

杏子「……何か?スタンド使いの魔法少女が魔女になると、レクイエムってのになるのか?」

キリカ「さぁ?」

杏子「さぁ?って……どういうことだ。何故わからない」

織莉子「私が見たのは、レクイエムが発現するという『結果』だけ」



338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:15:24.15 ID:lH0vbrgD0

織莉子「あくまで『何らかの方法』で、暁美ほむらのスタンドはレクイエムになるということです」

織莉子「魂が魔女へと変貌する際に生じるエネルギーか何かを吸収する、というのが仮説」

織莉子「なら、私達も魔女になったらスタンドが進化するのか?それはわからない」

キリカ「適当にしょっ引いて魔女にしてみるテスト。だなんてわけにもいかないからね」

杏子(……ほむらってヤツが特別なんだろう……既にあたしはスタンド使いを魔女にしたことがあるからな)

杏子「……つまり、簡単に言うとあんたらはこう言いたいのか?」

杏子「世界を救う手助けをしてくれと」

キリカ「ざ、雑なまとめ方だなぁ」

織莉子「まぁ、そうですね。概ねその通りです」

織莉子「予知は、現段階で『予知をしていなかったら起こりうる未来』を見ることなんです。しつこいようですが」

キリカ「つまり、未来は変えられるというわけだ。見れるのは未確定の未来」



339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:19:32.44 ID:lH0vbrgD0

織莉子「私達二人では、未来を変えるのは難しいのです」

織莉子「あなたは世界を滅ぼす魔女になるのでなんとかならないでください。スタンドを持たないでください……と言うわけにもいかない」

織莉子「……だから抹殺する」

織莉子「しかし、暁美ほむらを殺すとなれば必ず巴マミという魔法少女が立ちふさがる」

キリカ「既に暁美ほむらがクルクルボインな彼女と共闘関係を結んでいることがわかっているからね」

杏子「それでマミか……」

織莉子「……彼女達は現段階でスタンド使いかはどうかはわからない。しかし、魔法少女としてはベテランであることは真実」

織莉子「スタンド使いでないとしても、魔法少女としての経験の差は警戒に値する」

キリカ「仮に彼女達が既にスタンド使いであったら、何をしてくることやら……」

織莉子「だから、協力が必要なのです。風見野にベテランの魔法少女がいることは予知の力で『予習』済みでした」

杏子「…………あたしに何かメリットはあるのか?」




340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:20:45.16 ID:lH0vbrgD0

織莉子「メリット……暁美ほむらを抹殺する過程で、巴マミも殺すとします」

織莉子「そうすると、見滝原のテリトリーは空きます。そこで、見滝原を得た暁には、その『テリトリーの一部』をあなたに提供します」

杏子「……ほう」

キリカ「一部っていうのは、私達の生活もあるから一部ねってことだよ」

織莉子「しかし一部というのも曖昧で、納得がいかないと思うので……」

織莉子「必要とあらば、キリカをお貸しします」

杏子「……こいつを貸すって?」

織莉子「キリカのスタンド能力は無敵の能力です。その能力を教えることはできませんが……」

織莉子「それで見滝原以外の……M市やT町等、他のテリトリーを支配したいと言うのであれば協力させます」

織莉子「私はキリカとここで、二人で、静かに暮らせればそれでいいと考えていますから」

キリカ「織莉子……私も、織莉子と二人なら……それはとっても嬉しいなって」

織莉子「キリカ……」

キリカ「織莉子……」

杏子「おい、戻ってこい」



341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:22:20.88 ID:lH0vbrgD0

織莉子「コ、コホン……失礼」

キリカ「で、どうする?」

杏子「……」

キリカ「君は私達に協力する。私達は君の力になる」

キリカ「君は織莉子に選ばれたんだ。名誉なことだよそれは」

杏子「いや知らんけど……」

杏子「ふむ……だが、確かに見滝原は絶好の狩り場だ」

杏子「それに見滝原だけでなくても、テリトリーは広いに越したことはない」

杏子「協力をすれば……それをくれるってのか?」

キリカ「見滝原は一部だけだよ。私達の街だから一部」

織莉子「それで手を打っていただければ幸いなのですが……」

キリカ「ギブアンドテイクだ。win-winだと思うんだけどね?」



342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:23:35.66 ID:lH0vbrgD0

杏子「けど断る」

織莉子「……」

キリカ「え~~~何で~~~?」

杏子「あたしが自分で強いと思っているヤツに『NO』と言って断ってやるその理由……」

杏子「あたしははっきり言ってあんたらが気に入らないし、あたしは今、ここを離れるわけにはいかなんでね」

キリカ「…………」

織莉子「…………」

杏子「……まぁどっち道、いきなり現れて世界が滅びるとか爆死するとか言われて『はい、ソーですか』って信用できるかってーの」

織莉子「魔法少女が魔女になるということは誰も知らないこと……」

杏子「あたしは自分で知って、理解したぞ?」

キリカ「……ちょ~っと待った!私はともかくとしてだよ!織莉子が気に入らないだなんて――」

織莉子「キリカ。ステイ」

キリカ「むぅ……」



343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:25:14.99 ID:lH0vbrgD0

織莉子「……わかりました。今回は引きます」

杏子「そうしてくれると助かるね」

キリカ「むむむ……」

織莉子「ただ……せいぜい爆発物には注意してくださいね。あなたに死なれるとこっちが困るので」

杏子「……ふん」

織莉子「この地図を差し上げます」

杏子「ん?これは……見滝原か?」

キリカ「このタイミングで見滝原以外あり得ないだろう」

杏子「あ?」

織莉子「……もし気が変わったら、この赤丸の住所まで来てください」

織莉子「私達は、あなたの協力が必要なのです。なので……正しい選択を期待します

織莉子「では……。行くわよ。キリカ」

キリカ「はぁい」



344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:26:55.13 ID:lH0vbrgD0

杏子「………………」

杏子「……世界を滅ぼす?レクイエムだって?」

杏子「スタンドのその先、か……」

杏子「シビル・ウォー・レクイエム?興味がないこともない」

杏子「……それにしても……あいつら」

杏子「あたしが爆死するだって?」

杏子「頼んでもいないのに人の死ぬ未来と死因を言ってくるなんて、性格の悪いヤツだ」

杏子「しかし、条件も悪くないし……背の高い方は身なりからして結構裕福そうだった」

杏子「ゆまを預けて養わす分には……上辺だけでも協力してもよかったか?」

杏子「いや……『罠』である可能性も否めねぇ、か」

杏子「まぁいいや。考えるのは後回し後回し!」

杏子「ゆまが腹空かせてるだろうな……戻るか」



345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:28:36.07 ID:lH0vbrgD0

杏子「……と、言いたい所だが」


杏子が踵を返し、歩み始めようとしたが、留まった。

先程のやりとりを遠目で監視していた者がいる。


杏子「…………」

「おまえさん……魔法少女だね?ここの……」

杏子「……チッ」


そこには一人の少女がいた。

首に一文字の切り傷がある。


少女「さっきの二人は仲間とか先客なんじゃないかと思って隠れてたんだけど」

杏子「あぁ……くそ。今そんな気分じゃねーっての……」



346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:30:48.89 ID:lH0vbrgD0

少女「風邪かい?」

杏子「そんなんじゃあねぇよ……。もういい。ぶっちゃけて聞くぞ」

杏子「あんたの目的は詰まるとこグリーフシードだろ?」

少女「否定はしないけど」

杏子「だったら……そこの廃教会にあたしのストックがある。好きなだけ持ってってかまわない」

杏子「大した量ではないが、それで勘弁してほしい。帰ってくれ」

杏子「今気分が悪いんだ。人も待たせてるし」

少女「差し出しちゃうのか……チキンなヤツだねおまえさんは」

杏子「……」


佐倉杏子の常套文句。「そこの廃教会にグリーフシードがあるから勝手に持っていけ」

一見、争いを好まない平和的性分、あるいは臆病者に捉えられる。



347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:32:34.96 ID:lH0vbrgD0

杏子(さぁ、『罠』にかかれ……)

杏子(あたしの能力『シビル・ウォー』は既に廃教会に『結界』を作っている)

杏子(シビル・ウォーは人の心を抉る幻覚を支配する能力……)

杏子(グリーフシードは魔法少女なら誰もが生ツバゴクリもので欲しがるもの……)

杏子(それを「餌」に、シビル・ウォーの『結界』へと誘い込み、絶望させる)

杏子(この能力に目覚めてから……魔法少女の縄張り争いが激化してから……)

杏子(取りあえずテリトリーの防衛戦においては何も恐れることはない)

杏子(シビル・ウォーが発現した当初は「幻惑の能力かよ」ってげんなりしたもんだ……)

杏子(さらに幻覚を見せて絶望させて戦意を削ぐつもりが魔法少女が魔女になった時は、どうしたもんかと思ったが……)

杏子(慣れたもんだな)



348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:34:08.22 ID:lH0vbrgD0

少女「ところで……ねぇ」

少女「顔、紅いけど……おまえさん。熱でもあるの?」

杏子「いいったら!帰れったら!」

杏子(とっとと罠にかかれよ。……ああ、イライラする)

杏子(こちとら変な奴に嫌なこと聞かされてムカッ腹がたっているんだ)

杏子(世界が滅ぶとか爆死するとか聞かされてよォ……精神衛生上魔女を思いっきりぶちのめしてスカッとしたいところだ)

少女「ねぇ、どうなの?魔法少女って風邪ひくの?僕アレルギー性の鼻炎持ちなんだけど、ブタクサの花粉って魔法で予防できる?」

杏子(ああ!目の前にいるこいつがウザい!)

杏子(それにしても……くそっ、何だか……)

杏子(何か……『蒸し暑い』……)



349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:35:39.25 ID:lH0vbrgD0

少女「……いやぁ、蒸すねぇ」

少女「風見野では昨日雨が降ったらしいけど……あれ?違ったっけ?」

杏子(……くそ、さっきから……なんか、暑い……ジトジトする……)

少女「暑いからか、頭痛がするからか……イラついてる理由は、まぁいいとしよう」

少女「確かに、僕はグリーフシードが欲しい……だが」

杏子「……?」

少女「貰えるものは病気以外ならなんでもいただく」

少女「奪えるものは徹底的に奪っておく」

少女「我が目的はおまえさんのテリトリーッ!見滝原を得るための拠点ッ!」

少女「そのために!前もって貴様を殺すのだッ!」

杏子「なッ!?」



350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:36:45.11 ID:lH0vbrgD0

少女「じわじわと暑くなってることに疑問に思わないとは油断したなァ!」

杏子「暑く……!?」

少女「地面に染みこんでいる水分の温度を『あげた』」

少女「地面からは生温かい水蒸気があがる」

杏子「……ッ!」

杏子「こ、こいつ……!?」


『地面から湯気が出ている』

その異常な光景に、杏子は今、初めて気付く。

杏子は目の前の少女を罠にはめることを考えていた。

しかし、罠にかかっていたのは自分自身だった。

それを理解するのに時間は要さない。罠をかけることに夢中になり過ぎた。



351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:38:18.75 ID:lH0vbrgD0

杏子「スタンド使いッ!」

少女「汗をかいたな!」

少女「『水を熱湯に変える』ッ!これが能力!」

少女「慣用句じゃないが地面は焼き石に水ぶっかけたみたいになっているぞ!」

杏子「クッ……?!」

杏子「ッ!?」

杏子「う、うがああぁぁッ!?」


魔法少女に変身したが、その直後に杏子は額に激痛に近い熱さを感じた。

額に手をあてると、手に同じ痛みを感じた。


杏子「あ、『熱』ッ!?熱いッ!」

ガッシィッ!

杏子「ッ!?」

少女「よし掴んだ!おまえさんの『汗』を80℃ちょっとにしてあるぞ!」



352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:39:52.02 ID:lH0vbrgD0

少女「スキを作って、頭を掴む!」

少女「生物に触れた状態でこの能力を発動すれば、生物の『水分』も『熱湯』にできる!」

少女「そのまま脳みそをグツグツ煮込んでやるよォッ!」

杏子「なっ……!こ、こいつッ!」

少女「僕のことをスタンド使いだと見破ったな?じゃあおまえさんもスタンド使い」

少女「見滝原に行った時にも会ったよ。その子は魔法少女ではなかったが……まぁいい」

少女「安心しろ……殺しはしない。ただ脳みそ茹だって廃人にでもなってもらおうかッ!」

少女「野望の果てを目指す者に、生け贄をッ!」

杏子「うおおおおォォォォォッ!」


「キョーコをイジめるなァ――――ッ!」



353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:41:25.02 ID:lH0vbrgD0

少女「!?」

杏子「!?」

杏子「ゆ、ゆまッ!?」

少女「な、何だこのガキンチョ!やんのか!」

杏子「お、おまえ……その姿は……!」


杏子はゆまの姿を見て、動揺した。

ゆまは既に『魔法少女』になっていた。見てわかる。

魔法少女のゆまが、全力疾走で突っ込んでくる。


杏子「い、いつの間に……!な、何故ッ!?」

少女「知り合いか……!」

ゆま「倒して!『猫さん』ッ!」

ズギャンッ

少女「ッ!?」



354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:42:06.04 ID:lH0vbrgD0

走り向かってくるゆまの背後から、質量感はないが圧倒的存在感を放つ人型の影。

エネルギーの像。『スタンド』が現れた。


杏子「な、何ッ!?こいつはッ!」

少女「ヤツもスタンドを――ッ!」

ゆま「いけぇ!」

ブンッ

少女「うおっ!」

バッ!

少女「あ、クソッ!離してしまった!だがッ!」


ゆまのスタンドが繰り出した拳を、少女は回避した。

その拍子に杏子の頭を掴んでいた手を離してしまう。

しかしすぐに、ゆまのスタンドの手を掴んだ。



355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:43:46.29 ID:lH0vbrgD0

少女「よ、よし!」

少女「予想以上に早い攻撃なんでちょいとヒヤッとしたが、おまえさんのスタンドの動きは見切れた!」

ゆま「…………」

少女「何かわからんがくらえ!僕はスタンドに触れている!」

少女「そのまま右手の血液を沸騰してくれるゥゥ――ッ!」

杏子「ゆ、ゆまァッ!」

ゆま「……触れている」

ゆま「ゆまの猫さんに『触れた』……」

杏子「……ゆま?」

ゆま「ゆまの猫さんに……触られちゃった……」

少女「あん?」

ゆま「ゆまの猫さんの能力だよ。触って発動するの」

ゆま「ゆまの『スタンド能力』……それは……」



356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:44:57.75 ID:lH0vbrgD0

ゆま「『触れた物を爆弾にする』……!」

少女「何……だと……?」

ゆま「守って!『キラークイーン』ッ!」


薄いピンク色の「猫っぽい頭をしている人型スタンド」は小柄なゆまと同じような体型をしている。

恐らくゆまが身体的に成長をすればそれ相当にそれの体格も代わるだろう。

予想外の突飛な能力に動揺した少女は、手を『キラークイーン』から放す。

そしてキラークイーンは短い左腕を一杯に伸ばして杏子の体を引き寄せた。


杏子「……ッ!」

少女「一体僕に何をし――」

ビシ、ビシビシッ!



357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:47:15.47 ID:lH0vbrgD0

少女「ふぇ……?」


突如、少女の体に『亀裂』が生じる。

その亀裂から白い煙が噴出する。

自分の体の異変に気付く前に、少女の体は――

ドッグォォォォンッ!


少女「たバァッ!?」


肉体が『爆発』した。

首がもげ、腹は裂け、腕が千切れ、脚は砕け、眼が吹き飛んだ。

爆発音は周りの空気をビリビリと鳴らす。

そして少女の肉体は塵のようになり、消えた。

肉片一つ残らない。

ただソウルジェムの拉げた外枠を残して、その少女の全てが消滅した。

死んだ。



358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:48:15.26 ID:lH0vbrgD0

杏子「う、うぅっ!?」


凄まじい爆風の勢いが杏子を包んだ。

キラークイーンの陰になっていたため、爆発に巻き込まれることはない。

ゆまは杏子の胴にしがみついていた。


杏子「あ……ああ……?!」

杏子(う、嘘……だろ……)

杏子(一瞬で……あんな……ふ、触れただけで……)

杏子(触れただけで……さっきのヤツが消えた)

杏子(骨一つ残ってねぇ……ぶ、ブッ飛んでやがる……!)

ゆま「キョーコ!大丈夫!?」

杏子(ゆま……)



359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:49:12.74 ID:lH0vbrgD0

杏子(ゆまに……こんな、こんな恐ろしい能力が……)

杏子(いつの間に契約したのかというのもそうだが……)

杏子(いつ、どこで、ゆまはスタンドに目覚めたんだ……!?)

杏子(……いつの間に『契約』……?)

杏子(……ま、まさか!?)

ゆま「これで今夜も安心して眠れるね!」

杏子(ま、待てよ……ゆまのスタンド能力……)

杏子(……触れた物を……爆弾に……)

杏子(……『爆、発』?)

杏子「――ハッ!」


杏子「は、離せェッ!」



360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:50:36.00 ID:lH0vbrgD0

バシッ

杏子はしがみつくゆまを振り払った。


ゆま「え……」

杏子「ハァ……ハァ……」

ゆま「な、なに?キョーコ……?どうしたの?」

杏子「……ふぅ」

杏子「……おい、ゆま」

ゆま「う、うん」

杏子「おまえ……何でだ?」

杏子「何で、契約したんだよ」

ゆま「う……」

杏子「魔法少女なんかになるなって……言っただろ?」




361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:51:37.60 ID:lH0vbrgD0

ゆま「あ、あのね……」

ゆま「お、お留守番している間にキュゥべえが来てね?」

ゆま「魔法少女になれば、キョーコの助けになれるって言って……」

ゆま「それで……契約したの」

杏子(あいつ……いつの間に……!)

ゆま「それに!キョーコの帰りが遅くて!キョーコを狙う悪い人がいるから!」

ゆま「居ても立ってもいられなくなって!」

ゆま「ゆまは!ゆまはキョーコの役に立ちたいの!キョーコを助けたいの!」

ゆま「だから、スタンドを……!」

ゆま「『強いスタンドが欲しい』って契約したの!」

杏子「…………」



362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:56:05.62 ID:lH0vbrgD0

ゆま「キョーコを守るゆまになりたいって!」

ゆま「キュゥべえはスタンドのことはよくわかってなかったけど、ゆまが知っていれば叶えられるって!」

ゆま「ゆま!魔法少女としてはキョーコの足を引っ張るかもしれない……でも!猫さんが……キラークイーンがいればッ!」

ゆま「キョーコの力になれる!キョーコの役に立てるッ!」

杏子「…………ふざけんなッ!」

ゆま「!?」

杏子「ふざけたこと言ってんじゃあねーぞッ!」

ゆま「ど、どうしたの……?」

杏子「あたしはテメーを魔法少女にしたくなかった!」

杏子「魔法少女なんかになったら……なっちまったら……!」

杏子「……魔法少女に、な、なったら……!」

杏子「……クソッ!……そ、それにグリーフシードの消費も増えちまう……」



363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:56:45.41 ID:lH0vbrgD0

ゆまが自分のことを強く思ってくれていること。

それ自体は悪い気はしない。

むしろ、ゆまと過ごすことで棘が無くなってきている自身が存在している。

そんなはずがないと思う反面、そういう事実が心の中に、確かに存在している。


そもそも、ゆまを魔女の手から救ったのは、何となく妹の影と被ったからだ。

それ「だけ」のために契約――魔女との戦いに巻き込ませたくなかったと言ってもあながち過言ではない。

人間から魔法少女へ契約してしまった以上、人間へは不可逆。

杏子には、ゆまが魔女の卵となってしまったという……その悲しみがあった。

自分と関わってしまったことで、残酷な真実を抱えさせた……その自責があった。

いつかその最悪な事実を知ってしまった時。

ゆまに「あの時、助けてくれなきゃよかったのに」と言われるのではないか。その不安があった。


しかし、杏子に芽生えた『別の感情』が、それらの後悔を覚える前に全て塗りつぶしてしまった。



364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:58:49.37 ID:lH0vbrgD0

ゆま「でも……ゆまは……」

杏子「あたしは……」

ゆま「キョーコ……?」

杏子「あたしは、おまえを『捨てる』ことにした」

ゆま「…………」

ゆま「……え?」

杏子「…………」

ゆま「う、嘘だよね?キョーコ……」

杏子「嘘じゃない。本気だ」

ゆま「……う、嘘!」



365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 15:59:57.64 ID:lH0vbrgD0

ゆま「嘘だッ!嘘でしょ!?ねぇ!?」

杏子「そのスタンドで、自分の力で生きろ」

ゆま「い、嫌だッ!ゆま、キョーコと一緒にいたい!」

杏子「今、あたしはあんたが嫌いになったんだよ」

ゆま「……ッ!」

杏子「ったく……!中途半端な情を持ったのが間違いだった!」

ゆま「…………」

杏子「何言ってるのかわかんねーってのか?助けなきゃよかった、そのまま使い魔の餌にしとけばよかったって思ってるんだよ!」

ゆま「そ、そんな……そんなのってないよ……!」

ゆま「ゆまはキョーコを助けたのに!」

杏子「誰が契約しろと言ったんだ!」



366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:01:37.46 ID:lH0vbrgD0

杏子「いいか、魔法少女ってのはな、ソウルジェムを汚しきっちまったら……」

杏子「…………いや、やっぱいい。何でもない!」

杏子「……消えな。好き勝手に行きやがれ。グリーフシードを一個……いや、二個餞別してやる。ほれ」

ゆま「や、ヤダッ!ゆ、ゆまを一人にしないでよォッ!」

杏子「おまえは一人じゃあねーよ。なんのためのスタンドだよ」

杏子「魔法少女になった以上、中途半端に力を得た以上……」

杏子「あたしの邪魔だ。わかれ」

ゆま「あ……あぁ……キョ、キョー……」

杏子「消えろっつってんだろうがッ!」

ゆま「……!」

ゆま「……う、うああ……ああ……」


ゆま「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」




367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:03:50.09 ID:lH0vbrgD0

ゆまは大粒の涙を撒き散らしながら走り去っていった。

杏子は黙って、捨て子が小さくなっていく様を見つめた。


杏子「……絶望はしたって訳でもないのか。魔女にならねぇってことは」

杏子「…………」

杏子「はぁー……!」


ゆまが見えなくなったことを確認すると、杏子は深く溜息をついた。

全身の力が抜け、そのまま地べたに座り込む。

水を熱湯にするスタンド使いによって、昨夜の雨で湿っていた地面はカラカラに乾いている。

対象的に、杏子はドッと冷や汗を溢れ出した。


杏子「ハァ……ハァ……」

杏子「何とか……虚勢を張ったが……」

杏子「……『逆上』……されなくてよかった」



368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:06:23.17 ID:lH0vbrgD0

杏子「逆上されて……スタンドを向けられなくてよかった……!」

杏子「ゆま……あんなヤツと……」

杏子「一緒にいられるわけがない……ッ!」

杏子「あ、足が震えてやがる……!クソ……ッ!」

杏子「……こ、『怖い』……ッ!」

杏子「このあたしが……い、今までで一番……きょ、恐怖を感じた……」

杏子「何なんだよ……キラークイーンとかいうスタンドの……プレッシャーは……!」

杏子「くそっ、寒ぃ……血液が冷たいところてんになったかのようだ……!」


杏子はキラークイーンの目を思い出す。背筋が凍るような眼だった。

化け物、怪物、殺人鬼。そういう言葉が真っ先に浮かんだ。

スタンド使いだからこそわかる、スタンドから放たれる圧力。

杏子は蛇に睨まれたカエルの気持ちを少しだけ理解した。



369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:08:46.19 ID:lH0vbrgD0

杏子「しかもあいつ……!ゆまのヤツ……」

杏子「人を爆殺しといて『何とも』思ってやがらねぇ……!」

杏子「助けるために必死だったからだとか、もちろんそういう理由もあるが――」

杏子「残虐すぎる殺し方をしたのに『罪悪感』を全く覚えていない。さも当然のように爆殺した」

杏子「シビル・ウォーの性質上、罪悪感にはそこそこ敏感になったからわかる」

杏子「罪の意識を感じてたとしても……」

杏子「自転車で地べたを這うミミズをうっかり轢いてしまったくらいにしか思っていやがらねぇ……!」

杏子「……よくわからんがサイコパスってヤツなのか……?それとも、あれは元からのゆまの性質か?」

杏子「キラークイーン……直訳すると殺人の女王」

杏子「スタンドは精神力だ……だから、あのスタンドのせいだと思いたい」

杏子「あのスタンドが発現したからゆまの性格が少し改変されたのだと」

杏子「…………そう、思いたい。思わないと『恐ろし』すぎる」



370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:10:30.93 ID:lH0vbrgD0

杏子の心を支配したのは単純な恐怖だった。

足の震えは、決して武者震いなどではなく戦慄そのもの。


目の前で人が爆発した。その事実もさることながら――

それが平然とやってのけたゆまに恐怖した。

子どもが、何の躊躇もなく人を惨殺した。その事実に怯えている。

まるで魔女のようだ、と杏子は思った。

こういうヤツが最悪な魔女、例えばワルプルギスの夜のようなのになるんじゃあないか、とも思った。


杏子「うぅ……寒気が治まんねぇ」

杏子「暑かったり寒かったり……今日は厄日だ……」

杏子「……美国織莉子」

杏子「あいつが妙なこと言わなければ……」



371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:12:55.81 ID:lH0vbrgD0

杏子「『爆死する』だって……?」

杏子「キラークイーンに殺されると言ってるようなもんじゃあねぇか!」

杏子「それさえ無ければ、魔女狩りが捗るってんでゆまを割と普通に受け入れられていたかも……」

杏子「いや……いずれ誤爆か何かで爆発に巻き込まれてか……あるいは裏切られて殺されてただろう……どっち道な」

杏子「……あたしは、あいつに助けられたのかもしれない」

杏子「…………」

杏子「爆死……か」

杏子「予知通りじゃねぇか……くそっ」

杏子「と、いうことは……だ」

杏子「あいつの言っていたことが真実だとすれば……」



372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:13:38.66 ID:lH0vbrgD0

杏子「暁美ほむら……世界を滅ぼす魔女……」

杏子「……世界がヤベェって、マジなのか?」

杏子「…………」

杏子「世界を救う……か」

杏子「近い内に行ってみるか……見滝原」

杏子「…………」

杏子「……ゆま」

杏子「『スタンド使いとスタンド使いは引かれ合う』……という格言がある」

杏子「……磁力とか引力とかみたいにな」

杏子「もしかしたら……また、会うかもしれないな」



373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:18:37.87 ID:lH0vbrgD0

――見滝原


マミ「ちょっと食材買いすぎちゃったかしら……」

マミ「買いすぎたのは単純に安いのがいけないのよ……」

マミ「冷蔵庫に収まるかしら」

マミ「……あら?」

「えぐ……ぐすん……うぇぅ……」

マミ「女の子……泣いてる?」

マミ「あの……どうしたの?お嬢ちゃん」

「うぅ……うぇっ、ひぐっ……ううぅ……」

マミ「お名前は?いくつ?」

「うぅ……『ゆま』……」

マミ「よしよし。ゆまちゃん。泣かないで?どうしたの?迷子?」



374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:19:56.37 ID:lH0vbrgD0

ゆま「ひぐっ……うえぅ……うぎゅうぅ」

マミ「落ち着いて……お父さんかお母さんは?はぐれちゃった?」

ゆま「……死んじゃった」

マミ「……ッ!」

マミ「……そ、そうなの。ごめんなさい」

マミ「あ……」

マミ「そ、その指輪……」

マミ「あなた……魔法少女ね」

ゆま「ぐしゅ……ぅん」

マミ「お姉ちゃんもそうなのよ」

ゆま「……ほんと?」



375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:20:37.58 ID:lH0vbrgD0

マミ「えぇ……怪我とかしてない?」

ゆま「……うん」

マミ「ねぇ、何があったの?よかったら話してみてくれる?」

ゆま「グスッ……えぅ、キョーコに……ふぇっ、嫌われちゃったのぉ……」

ゆま「ゆまは邪魔だって……いらないってぇ……」

ゆま「ゆま……一人ぼっちになっちゃったぁ……」

ゆま「うえぇぇぇぅ……!あぅぅ……!」

マミ「……きょお、こ?」

マミ「それは……佐倉杏子?」

ゆま「うゅううぅぅ……ひぐっ、えぐっ」

マミ「…………」



376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:21:10.87 ID:lH0vbrgD0

マミ「と言うことは……風見野から来たのね。あんな遠くから……たった一人で……」

マミ「ゆまちゃん……」

ギュッ

マミ「よしよし……辛かったのね。泣かなくていいのよ」

ゆま「ひっく……あったかい」

マミ「私の家においで?」

ゆま「クスン……いいの?」

マミ「もちろん。ひとりぼっちは寂しいものね……」

ゆま「……うん、一人はいやだよぉ……」

マミ「えぇ。そうね……嫌よね……」



377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:22:05.96 ID:lH0vbrgD0


水を熱湯に変えるスタンド 本体:M市の魔法少女

破壊力 B スピード C  射程距離 B
持続力 D 精密動作性 C 成長性 D

水を『熱湯』に変えるスタンド。その性質は「傍流」
半径42m以内に存在する「水」の温度を最大99.974℃まで上昇させる。
また、物質を構成する「水分」の温度を上昇させることも可能。
ただしそれが生き物の場合、直に触れなければならない。

A―超スゴイ B―スゴイ C―人間と同じ D―ニガテ E―超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある




378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:26:49.08 ID:lH0vbrgD0
今回はここまで。

あぁ、どんどんと杏子像が崩れていく……。杏子が悪い人になっていく……でも怖いなら仕方ないね。

そろそろ感づいてる方もいるのではないかと思うのですが
登場するスタンドは「既に本体が死んで消滅したスタンド」を意識しています。水を熱湯に変えるスタンドは知らない。DISCがどうなったのかは知らない。
だから四部のスタンドはかなり限られます。

でもよく考えたらスタンド使いの大抵は死んでるっていうね、生きている方が珍しいっていうね


何時になるかわかりませんが夜に再開します。



379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 16:27:57.71 ID:OJuOTyIRo

杏子の死亡フラグが立ちすぎィ



383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 17:27:37.15 ID:BScCWPlco
フラグってレベルじゃねえぞ、あんこちゃん

よりによってこの流れでゆまにキラークイーンとは、意地悪いなぁ(褒め言葉)




387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:21:53.00 ID:lH0vbrgD0

#8『佐倉杏子の新しい事情』


マミ宅。

テーブルを囲む五人。

五人はビスケットをつまみながら、いつものお茶会をしている。

本日お茶会が開かれたのは、マミの家に一緒に暮らすこととなった魔法少女を紹介するためである。


マミは昨夜、ゆまの話を聞いていた。

それをマミなりに話を整理して、再び来客に伝える。

ゆまは心地いい気分ではなかった。

杏子に捨てられたということを再びマミの言葉で聞かされたために。



マミ「――――と、いうことがあったの」

ゆま「…………」



388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:23:24.46 ID:lH0vbrgD0

まどか「そうだったんだ……ゆまちゃん、だっけ……。大変だったんだ……」

さやか「……杏子とかいうヤツ!こんな可愛い子をほっぽり出すだなんて……!」

ゆま「……キョーコを悪く言わないで」

ほむら「…………」

ほむら(千歳ゆま、ちゃん……今までの時間軸では……初めて、お目にかかる)

ほむら(しかも、最近増えている魔法少女の縄張り争いに巻き込まれたとかじゃないらしい)

ほむら(そして佐倉さんと一緒に行動をしていたと言う……)

ほむら(イレギュラーな存在で、少し気がかりなところはある。でも……)

ほむら(この子は『スタンド使い』だと言う……それも、聞くところによると、ハッキリ言って恐ろしい能力だ)

ほむら(キラークイーン。触れた物を爆弾にする)

ほむら(でも……恐ろしい反面、頼もしい味方になれる)



389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:24:34.00 ID:lH0vbrgD0

ほむら(そして気になるのは……佐倉さんが、ゆまちゃんを「追い出した」ということ)

ほむら(佐倉さんは、なんだかんだで面倒見のいい性格なのに……)

ゆま「……ゆまね、怖いスタンド持っちゃったの」

ゆま「だからキョーコに嫌われちゃったの……」

ほむら(果たして……それだけなのだろうか……?)

ゆま「…………」

さやか「……爆弾のスタンド……ねぇ」

マミ「ゆまちゃん……スタンドのことになると、すぐ落ち込んじゃうのよ」

マミ「そんなことない。大丈夫って言っても……」

マミ「その、佐倉さんに見捨てられて、よっぽどショックだったらしくて……」

ほむら「……それでも、悪く言わないでって言うくらいだから、好きなんですね」



390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:25:24.76 ID:lH0vbrgD0

まどか「……大丈夫だよ。ゆまちゃん」

ゆま「……」

まどか「別に、触れた物全てが爆弾になるわけじゃないんでしょ?」

まどか「だったら、気にすることもないよ」

さやか「……そ、そうだよ!既に転校生という爆弾魔がいるんだから!」

ほむら「ば、爆弾魔ァッ!?」

ゆま「……お姉ちゃんも爆弾使うの?」

ほむら「あ、食いついてきた……え、えっと……」

ほむら「わ、私はスタンド使いじゃないけど……うん。爆弾使うよ」

ほむら「だから……その……ですよね?」

マミ「え?私に振るの?」

マミ「えと……そ、そう!」



391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:26:37.18 ID:lH0vbrgD0

マミ「だから私達は爆弾なんか怖くないの!」

ゆま「……ほんと?」

マミ「ええ!」

まどか「ゆまちゃんは、その杏子って人を守るためにそのスタンドを得たんでしょう?」

ゆま「……うん」

まどか「ゆまちゃんが守るのは『女の子』だけじゃなきゃダメなのかな?」

まどか「『街』や『みんな』でもいいと思うな」

まどか「マミさんやほむらちゃんは、この街の人を守るために戦ってる……」

まどか「ゆまちゃんも、一人じゃなくてたくさんの人を守ってくれたらいいなって」

ゆま「…………」

まどか「どうかな?」



392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:27:21.98 ID:lH0vbrgD0

さやか「流石スタンド使いは言うことが違いますなぁ」

マミ「そこに痺れる」

ほむら「憧れるぅ」

ゆま「……うん」

ゆま「……頑張ってみる」

まどか「うん!頑張って!」

ゆま「うん……!マミお姉ちゃん。ゆま、頑張る……!」

ゆま「ゆま、猫さんをみんなのために使う!」

ほむら「きゅ、急に元気に……!」

マミ「よく言ったわ。ゆまちゃん。偉いねぇ~」

ナデナデ

ゆま「えへへぇ」



393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:31:37.81 ID:lH0vbrgD0

ゆま「ありがとう!お姉ちゃん!」

まどか「え、えへへ、どういたしまして」

さやか「何照れてんの」

まどか「お姉ちゃんって呼ばれちゃった……照れるぅ」

ほむら「現役のお姉さんなのに?」

まどか「だって、まだ言葉あんまり喋れないし……」

まどか「あ、あとわたしの名前はまどかだよ。ゆまちゃん」

ゆま「まどかお姉ちゃん!」

まどか「グッド」

さやか「何で英語?」

マミ「あ、そうだ。よく考えたらゆまちゃんはまだあなた達のこと知らないわよね」



394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:33:10.63 ID:lH0vbrgD0

マミ「何で紹介してなかったのかしら……ゆまちゃん、こちらは美樹さん」

ゆま「…………」

さやか「やぁ!さやかちゃんだよ!」

ゆま「…………」

ゆま「さやか!」

さやか「うぉう!?何で呼び捨て!?」

ゆま「何となく、キョーコに雰囲気が似てる気がしたから」

マミ「そう?似てるかしら……?」

ほむら(……あの二人はなんやかんやで仲が良い時間軸が多い……どこか繋がるところがあるのかもしれない)

さやか「あたしはその杏子ってヤツを知らないんだけどね」

ゆま「じゃあ、さやかお姉ちゃん?」

さやか「……うッ」



395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:33:57.20 ID:lH0vbrgD0

さやか「お、お姉ちゃん……か」

まどか「?どうしたの?」

さやか「うへぇ……あたし一人っ子だから、そう呼ばれるのは、う、嬉しいことではあるんだけど……」

さやか「何か気が抜けちゃうというか、背中がムズ痒いというか……やっぱさやかでいいよ。よろしくね。ゆまちゃん」

ゆま「さやか!」

さやか「ベネ」

マミ「何でイタリア語?」

ほむら「それで、私は……」

さやか「こいつはほむほむだ」

ほむら「ほ、ほむッ!?」

まどか「ほむ?」

マミ「ほむ……」

ゆま「……ほむほむ」



396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:34:50.67 ID:lH0vbrgD0

ほむら「ゆ、ゆまちゃん。私はほむら。暁美ほむらだよ?」

ほむら「いい?ほ・む・ら。言ってごらん?」

ゆま「…………」

ゆま「ほむほむ!」

ほむら「え、えぇー……」

ゆま「ほむほむゥ!」

マミ「あらあら、その呼び方、気に入っちゃったようね」

さやか「ハハハ!ウケる!」

まどか「あ、あはは……」

ゆま「ほむほむ~」

ほむら「そ、そんなぁ……」



397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:35:23.77 ID:lH0vbrgD0

ゆま「ほむ!」

ほむら「……まぁ、いいけど」

ゆま「ほむほむほむほむっ」

さやか「アハハハハハハ!」

まどか「さやかちゃん笑いすぎだよ」

さやか「ハハ……ごめんごめん……」

さやか「ハァー……」

さやか(――にしても……)

さやか(……こんな小さい子が魔法少女、かぁ……)

さやか(杏子ってヤツを助けたいって契約したのか……その結果は悲しいことになったけど)

さやか(……契約、か)

さやか「…………」



398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:38:46.20 ID:lH0vbrgD0

――同時刻


「……ここ、か」


緑色のパーカーを着ているポニーテールの少女は見滝原にいた。

片手に持っていた、地図を乱雑に丸めてポケットの中へ押し込んだ。


「やぁ、待っていたよ。佐倉杏子」

杏子「……キリカ、つったか」

キリカ「名前、覚えてくれてたんだね。私は自己紹介した覚えないけどさ」


佐倉杏子は今、大きな洋館の前に立っている。

手入れをされず不格好に伸びたバラの木がそよ風に煽られ揺れていた。


キリカ「まぁ、入りなよ」

杏子「……ああ」



399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:40:46.90 ID:lH0vbrgD0

キリカ「織莉子ぉ~。佐倉杏子が来ぃ~たよ~」

織莉子「いらっしゃい。佐倉さん。そしておかえり。キリカ」

織莉子「予知で来るタイミングはわかっていたわ」

織莉子「お茶の準備は既にできてるから手を洗ってうがいしてらっしゃい」

織莉子「佐倉さんを洗面所に案内してあげて」

キリカ「うん!」

キリカ「さぁ、こっちだよ」

杏子「……ん」



400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:46:28.96 ID:lH0vbrgD0

杏子「…………」

キリカ「こんな大きな家だとは思わなかったでしょ」

杏子「……ぼんぼんなのか?」

キリカ「まぁ、お金はある。でも、その辺とこ、織莉子に話しちゃあいけないよ」

杏子「あ?」

キリカ「これは、織莉子の御尊父の遺したもの、とでも言えばいいかな」

キリカ「別に仲が悪かったわけじゃない。むしろ良い親子だったそうだ」

キリカ「まぁ……うん。色々あってね。織莉子のためにも、父親のことは話題に出さないでくれ」

杏子「…………あぁ、わかった」

杏子「あたしも……父親のことは話題に出されたくないからな」

キリカ「そっか……。私も家族と仲が良いとは言えないからね。お互い丁度良いって感じかな」



401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:47:21.98 ID:lH0vbrgD0

キリカ「……ねぇねぇ」

キリカ「私、今朝からちょいと気になってることがあってね」

杏子「あん?」

キリカ「織莉子にも聞いたことなんだけどさ……」

キリカ「魔法少女と魔女ってどっちが先なんだろう」

杏子「はぁ?」

キリカ「ニワトリと卵どっちが先かっていう議論と似た話なんだけどさ……」

キリカ「グリーフシード、もとい魔女って元は魔法少女なわけじゃん」

キリカ「じゃあ最初の魔法少女ってのはどう生きていたんだ?ただ魂が濁りゆくのを黙って眺めていたのかな?」

キリカ「それとも魔女っていうのは魔法少女どうこう関係なしに既に存在させられていたのかな?」

キリカ「つまり……何が言いたいんだろうね?ゴメン」

杏子「うぜぇ」

キリカ「…………ゴメン」




402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:49:36.80 ID:lH0vbrgD0


カチャ…


織莉子「どうぞ」

杏子「ああ」

杏子(……こういう紅茶を飲むってのも久しぶりだな)

織莉子「お砂糖はいくつ?ジャムは何杯?」

杏子「自分で勝手に入れる」

織莉子「そう?紅茶のおかわりは自由よ」

キリカ「…………あの」

織莉子「何?」

キリカ「……わ、私にもお砂糖を」

織莉子「そうね……いくつ?」

キリカ「……いくつくれるの?」

織莉子「ああ……そういえばキリカ。私が寝込んでいる間に家の角砂糖をたくさん食べちゃった罰で砂糖に触れることを禁止してたんだったわね」



403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:50:52.70 ID:lH0vbrgD0

織莉子「勝手にもうヒョイパクヒョイパクと……」

織莉子「そう言えばジャム一瓶丸々ゼリー感覚で食べてたんだったっけ……うん……忘れてたわ」

杏子「……」

キリカ「うぅ……絶対嘘だ……まだ怒ってる?出来心なんです。悪気はないのぉん」

織莉子「別に。……それで?甘いのいくつ欲しいの?」

織莉子「二つ?」

キリカ「ええ~~ッ!やぁ~だぁ~~もォ~~ッと。も~、もォーッとォ~~」

織莉子「嘘よ。五つあげるわ。頑張ったもんね」

キリカ「やったッ!」

織莉子「ふふ、別に怒ってなんかないわよ。今日もお疲れさま。キリカ」

キリカ「えへへ」

杏子「何だあんたら……」



404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:52:10.06 ID:lH0vbrgD0

キリカ「うん、うん……」

キリカ「やっぱり角砂糖五つ入れた織莉茶はとっても美味しい」

織莉子「お、織莉茶って……」

織莉子「でも、キリカに喜んでもらえて……私も淹れがいがあるというものよ」

キリカ「でへへ~」

キリカ「そういや杏子。さっきから静かだね。まるで何だかよそから借りてきた猫みたいだ。初対面の時の威勢はどこ行ったのさ」

杏子「……色々あんだよ」

織莉子「猫……そう言えば、世間にはネコミミというものがあるらしいわ」

織莉子「キリカ今度つけて」

キリカ「えぇっ!?」

杏子「置いてけぼりなんだが……あたし」




405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:52:55.53 ID:lH0vbrgD0

織莉子「こ、コホン……失礼しました」

織莉子「……それで、佐倉さん。ここにいらした、ということは……」

杏子「……ああ」

杏子「あんたの予知、信じるよ」

キリカ「どういう心境の変化なんだい?」

杏子「爆死に心当たりができたからだ」

織莉子「心当たり?」

杏子「ああ……。予知でわかってなかったのか?」

織莉子「えぇ。見てませんから」

織莉子「それに見たとて、その予知がその通りにいくとは限りません故」

杏子「……ふぅん」



406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:53:57.35 ID:lH0vbrgD0


キリカ「まぁ、これで心強い味方ができたってわけだね」

織莉子「えぇ。一緒に世界を救いましょう」

杏子「……そんな大げさな、とは思うんだが」

キリカ「やれやれ、やっぱりまだ実感できてないのかな」

織莉子「まぁまぁ、それは追々……私としては協力さえしてくれれば……」

織莉子「ところで佐倉さん。紅茶のおかわりはいかがですか?」

杏子「……」

杏子「その丁寧語はやめてくれないか」

杏子「ぶっちゃけ、逆に見下されてるみたいでムカつく」

キリカ「何だそれ?」

織莉子「……では、仲間ということで丁寧語を解除するわ」



407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:55:37.55 ID:lH0vbrgD0

キリカ「んじゃ、そろそろ今後のことを話そうか」

織莉子「そうね」

キリカ「結論から言うとだね。杏子。体勢を整えたら、私の通う『学校を襲撃』するつもりでいる」

織莉子「具体的な日付はまだ決まっていないから、いつかは未定よ」

杏子「…………ふーん。学校に、ねぇ」

織莉子「生徒にとって授業中ほどある意味無防備な時間はない。奇襲をする上でこれほどいいチャンスはない」

織莉子「まさか一般人を大規模に巻き込むような、学校を襲撃するようなことはと思わないでしょう」

織莉子「キリカも生徒ならではの動きやすさというものもあるし……」

織莉子「何より、彼女達が他の生徒への心配、気を取られる可能性がある」

織莉子「障壁を乗り越えるには、世界を救世するにはあらゆる手段も惜しまない」

杏子「面倒なことをするねぇ」

キリカ「面倒かもしれない。でも、シンプルがいい」



408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:56:53.00 ID:lH0vbrgD0

織莉子「レクイエムの発現条件がわからない以上、早い方がいいものね」

織莉子「何より……時間停止能力を持つ暁美ほむら、スタープラチナというスタンドを持つ鹿目まどか、ベテラン魔法少女の巴マミがいる」

キリカ「何さやか……だったっけかな?名字忘れた。とにかくそんな感じの名前な魔法少女候補もいたから、それもいるかもしれない」

杏子(……キラークイーンのゆまもいるかも知れないな)

杏子「…………」

杏子「……チト気になったんだが、スタンドを発現させる要素からほむらってヤツを守るっていう手もあるんじゃあないか?」

織莉子「私は確実な手を下す。スタンドを発現させる魔女、あるいは使い魔がいつどこにいたものか……安心できない」

織莉子「そもそも今、暁美ほむらがスタンド使いでないとは限らない。予知でも偵察でもわからない」

織莉子「魔女狩りで使わなかっただけかもしれないからよ。……どっち道何をしでかすかわからない、未知の危惧がある」

杏子「ふーん……まぁいいけどさ」

キリカ「何?ここにきて怖じ気づいた?」

杏子「そんなことはない」



409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:58:25.28 ID:lH0vbrgD0

織莉子「なら、いいわ」

織莉子「それで、暁美ほむら抹殺計画についてなのだけど……」

杏子「…………」

織莉子「まだ何も決まっていないというには語弊はあるけれど……目的くらいは」

織莉子「まず今の現状を話して。キリカ。よろしく」

キリカ「オッケー」

キリカ「えっとだね、取りあえずって感じなんだけど」

キリカ「スタンドにおける魔法少女の縄張り争いの激化のてんやわんやで、幸いにもこの計画はしろまるには割れていない」

キリカ「もし知られることがあるとすればせいぜい私達と君が手を組んだってことくらいだ」

キリカ「ところで、杏子」

杏子「ん?」



410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:59:07.04 ID:lH0vbrgD0

キリカ「レイミ……もとい、スタンドを発現させた魔女、使い魔の結界のことだけど……最近見た?」

杏子「いいや。見てない」

キリカ「実は、そこに迷い込んだことのある一般人がいるらしいんだ」

キリカ「それも、喰われたりとかせずに生きて帰ってきたパターンがある」

杏子「……口づけ喰らったんじゃねぇの?」

キリカ「その辺はわからない」

キリカ「でもね、生きているということは『スタンド使い』になっていると言ってもあながち過言じゃあない」

杏子「……マジか」

キリカ「『悪魔の手の平』という名前で都市伝説になっている」



411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 21:59:57.75 ID:lH0vbrgD0

キリカ「まぁ、よくある変な世界に迷い込む系の、現実味ペラペラ都市伝説の一つになってるんだけどさ」

杏子「……なるほど」

織莉子「……魔法少女がスタンドを得て、縄張り争いが激化した」

織莉子「なら、もし一般人がスタンドを得たら……」

杏子「……どうなると思うんだ?」

織莉子「仮にスタンドという超能力をどこかのルール無用な人間の手に渡ってみなさい」

キリカ「自分の欲望でしか考えないゲスのことだ。この世界は世紀末状態になりかねない」

杏子「…………」

織莉子「それだけは阻止しなくてはならないッ!」

キリカ「ストップでハッピー」

杏子「は?」



412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:00:51.46 ID:lH0vbrgD0

織莉子「救世の使命を持った者としての絶対的『使命』!」

キリカ「戦いの犠牲が出るからこそ『大切なもの』が手に入る」

織莉子「何が言いたいかというと、学校襲撃のターゲットは「暁美ほむら」だけでなく『スタンド使い』が追加された、ということよ」

杏子「回りくどいなオイ」

杏子「しかし、スタンド使いもターゲットとなると……あんたらもあたしもそうなるが」

キリカ「わかってないな。悪いヤツに力は与えるなってことだよ」

織莉子「あなたは利己的な人よ。どこぞの魔法少女のように、テリトリーを奪ってより多くのグリーフシードを採集せんとする魔法少女とは違う」

織莉子「この世に『奪う者』は必要なし。正義、正しい心を『受け継ぐ者』またそれを『与える者』がいればいい」

キリカ「スタンド使いが少なくなればスタンドを悪用する蓋然性が著しく低くなる」

キリカ「極論、スタンド使いが私達三人だけになれば、そんな心配もないだろうってね」

杏子「……そうかよ」

杏子「まぁ、ほむらだろうが一般人だろうが別にどうでもいいよ」



413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:02:52.65 ID:lH0vbrgD0

杏子「で?あたしは、何をすればいいんだ?」

キリカ「お?仕事が欲しいのかい?やる気だねぇ」

杏子「そうでもない。やることもわからずに連れてこられてもあたしが困るからな」

織莉子「そうね……今は特にして欲しいことはないわ」

杏子「…………」

織莉子「せいぜいこれまで通り、風見野で魔女を狩って、というとこくらいかしら」

キリカ「グリーフシードはあって困ることはないからね」

杏子「そう、かよ」

織莉子「時期が来るまで、ここを拠点としてお使いなさい」

杏子「……ここに暮らせ、と?」

キリカ「織莉子と二人きりの時間が減るけど……仕方ない」

織莉子「空いてる部屋もあるから、問題ないわ」



414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:03:20.84 ID:lH0vbrgD0

織莉子「ただし、暁美ほむら達に存在を知られてはいけない……」

織莉子「もとい、見滝原を不用意にうろつかない、余計なことをしないことを約束なさい」

杏子「わかったよ。……とは言え、暁美ほむらの顔を知らないからどうすりゃいいのかわからんが」

キリカ「その辺大丈夫。暁美ほむらや巴マミの通う学校の方向とここは結構違うからね」

キリカ「見滝原で魔女が出ても無視すりゃあいいんだよ」

織莉子「使用済みグリーフシードは風見野で回収してもらって」

杏子「……面倒だな。だが、寝床がもらえるって言うんだ。我慢する」

織莉子「理解が早くて助かるわ」

織莉子「……さて、取りあえず」

織莉子「こうして話している間にお風呂が沸いたようね」

杏子「風呂?」



415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:04:13.21 ID:lH0vbrgD0

織莉子「入ってらっしゃい」

杏子「……ひょっとしてあたし、臭う?」

織莉子「そうは言わないけれど……」

織莉子「その、あなたの生活から考えると……」

キリカ「やっぱり気になるよ」

杏子「……そうか。まぁ、仕方ない」

杏子「着替えとかあるのか?」

織莉子「えぇ」

杏子「ん。じゃあ、入ってくる。場所はキリカについでで教えてもらった」



416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:04:53.49 ID:lH0vbrgD0

ガチャ…

キリカ「……行ったね」

織莉子「……えぇ」

織莉子「……キリカ」

織莉子「うん?」

織莉子「彼女に心を許してはいけないわ」

キリカ「…………」

キリカ「言わずもがな。私が心を許しているのは織莉子だけだよ」

織莉子「彼女はただ、利用するだけよ」

織莉子「目的を果たして彼女が生き残っていたら……クリームで飲み込んでやりなさい」

キリカ「……え?」



417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:05:35.95 ID:lH0vbrgD0

キリカ「い、いいの?マジィ?」

キリカ「まぁ織莉子がやれって言うならもちろんやるけど……」

キリカ「何て言うか……私はそういうの好まないかな。義理というか……いや、否定してるわけじゃないよ」

織莉子「義理?そんなもの必要ないわ」

織莉子「彼女は、最終的には私達を裏切る可能性を孕んでいる」

キリカ「そっ!それは本当!?」

織莉子「予知で見たわけではないけど、臭いでわかる。そういうことをしかねないって」

織莉子「私達が生きるために、後々邪魔になるのは間違いないわ」

織莉子「何と言っても、スタンド使いだし」

キリカ「ふぅ~ん……まぁ、いいけどね……。……ねぇ、織莉子」

織莉子「……何?」

キリカ「あ、いや……別に、やっぱいいや」

織莉子「?」

キリカ(織莉子……なんか、性格が変わった、というか……何というか……)

キリカ(……まぁ、いっか)



418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:06:08.83 ID:lH0vbrgD0

杏子「…………」

杏子(スタンド使いがいなければスタンドを悪用される心配はない……か)

杏子(……確かに余計な力を持つ者は少ないに越したことないだろう。あいつらの言うことにも一理ある)

杏子(だが……あたしのスタンド……シビル・ウォーは魔法少女を魔女にするくらいにしか役に立たない)

杏子(故にもとよりあたしはまだしも……)

杏子(あいつらの能力を、あたしは知らない……心配がないとは言えねぇ)

杏子(そもそも、あたしは魔法もスタンドも悪用している。それはいいのか?って話になるじゃあねぇか)

杏子(そんなあたしをその正義のために味方につけるなんて……いや、事情を知らないんだろうけど)

杏子(何が正義かわかったもんじゃねぇな。正義なんてのは、こうあやふやなもんだ……)

杏子(ま、こんな豪勢なとこにしばらく住めるんだ。何も言うまい)



419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:07:00.92 ID:lH0vbrgD0


キラークイーン 本体:千歳ゆま

破壊力 A スピード C  射程距離 E
持続力 D 精密動作性 D 成長性 C

触れた物を『爆弾』にする能力(一度に一つだけ)。その性質は「護身」
キラークイーンが触れた物はどんな物でも爆弾になる。
爆弾の大小問わず大爆発。強い力が欲しいと願ったことで発現。
体型はゆまと同じくらい。ゆまはキラークイーンを「猫さん」と呼ぶことがある。
左手の甲から、魔力を探知して自動追尾する爆弾戦車「猫車」を出すことができる。

A―超スゴイ B―スゴイ C―人間と同じ D―ニガテ E―超ニガテ

*実在するスタンドとデザイン・能力が多少異なる場合がある




420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 22:10:02.28 ID:lH0vbrgD0
うわ、短い。今回はここまで。お疲れさまでした。
住所不定に帰る場所が与えられた回でした。

ゆまの呼び方に関して特に深い考えはありません。ほむほむ。

ちなみにですが、ゆまはスタンドが欲しいという内容で契約したので
「魔法武器が無い&回復魔法は使えない」という設定です。スタンドが魔法武器。
別に魔法武器や回復を使わせる機会が無かったからではないです。
別に魔法武器や回復を使わせる機会が無かったからではないです。
決して何かよくわからない棍棒っぽい武器のことを忘れてたなんてことはないです。

ついでにキラークイーンはオリジナルよりも等身が小さい設定です。
セト神戦の小さいシルバーチャリオッツみたいな等身を想像していただければ……


ネタバレって程でもないですが、次回さやか契約します。エリー回とも言いますかね。

ぶっちゃけちゃうと恋慕関係の下りは面倒くさいというか好きでないというか……
そういうわけで他の話と比べると手の入れ方が雑と捉えられるかもです。


織莉子「私達が救世を成し遂……」キリカ「引力、即ち愛!」【後編】



転載元
織莉子「私達が救世を成し遂……」キリカ「引力、即ち愛!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1356269020/
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