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神名あすみ「魔法少女あすみ☆マギカ」

参考リンク:神名あすみとは (カンナアスミとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:11:34.97 ID:eAl9NcLt0

キュウべぇ「ねえ、君は奇跡や魔法を信じるかい?」

赤く染まった空に一匹の白い猫の様な生き物

赤い目玉が無表情に銀髪の少女を見つめ、語りかける

その目玉に映る少女もまた生き物のように無表情で
白い腕の赤紫色のあざが痛々しい

あすみ「…いいえ」

銀色の少女は冷たく言い放った



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:12:51.26 ID:eAl9NcLt0

キュウべぇ「じ、じゃあ…命をかけて叶えたい願いは?」

あすみ「別に」

彼女の瞳は美しい、明るい銀色のはずなのに、
黒の瞳よりもずっとずっと暗い影を落としている

本当に希望を信じていない、なんの願いもない、絶望しきっている人間の瞳だった

生き物は動揺する、ここまでに絶望している人間にめったに出会わないからだ

一方目玉の中の少女は至極当たり前の顔をしてじっと生き物を見つめている

キュウべぇ「えっ…そっそれは…本心?」

生き物はわかっていた、その発言が本心であることくらい

しかし聞き返さずにはいられなかっただけだ



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:13:19.01 ID:eAl9NcLt0

あすみ「…奇跡も魔法も…あるわけない。願いも何もない」

キュウべぇ「…」

キュウべぇ「君にそれらを引き起こす力があっても?」

あすみ「別に興味ない」

本当に興味が無い少女は静かに立ち去ろうと歩み出す

生き物はあわてて少女の後を追いかける

キュウべぇ「ち、ちょ、まって」

キュウべぇ「デメリットはあるけど…僕と契約して魔法少女になる気はないかい?」

あすみ「魔法少女…?」

少女は歩みをやめる

生き物の申し出を好意的に受け取ったのかと思われたが、
彼女の顔には好意では無く軽蔑の念がいっぱいに広がっていた



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:13:57.20 ID:eAl9NcLt0

あすみ「あははっ、どうせ悪い奴をやっつけるだけでしょ」

あすみ「ピンチになっても仲間との絆で奇跡が起きて…平和を取り戻す」

あすみ「平和と希望を取り戻す…使者」

あすみ「そんな役割を成すのが魔法少女でしょ?」

キュウべぇ「ま、まあ…」

あすみ「私はそんなのに興味が無いから」

あすみ「じゃあね、ばいばい」

さっきの倍の速度で歩き出す少女



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:14:28.63 ID:eAl9NcLt0

キュウべぇ「じゃあ叶えたい願いは?どんな願い事でもいいんだよ!」

あすみ「…“どんな”願いでも…?」

生き物の持ちだした、銀色の少女を釣り上げるための次の餌

――願いごとを叶えよう、“どんな願いでも”

“どんな”を強調する彼女の顔は…無関心から興味深々
能面の顔から少女の顔になったかのように思われた

キュウべぇ「ああ、どんな願いでも叶えてあげるよ」

あすみ「本当に…“どんな”願いでも?」

キュウべぇ「あ、ああ」

あすみ「…おもしろいじゃん」

ニヤリと笑う

その微笑みには不気味さが漂う



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:14:59.38 ID:eAl9NcLt0

あぁ、この少女は願いが無かったわけではないのだ

この生き物が求めている願いの種類が違うものと思い込んでいただけだった

彼女の願いは直接自分の為になるわけでもない、他人の為になるわけではない

少女の願いは禍々しい――呪い、正にその表現がぴったりだった

あすみ「私がさっき言った…希望と逆のことを願ってもいいんだよね」

キュウべぇ「え…ま、まあ…いいけど…」

あすみ「いいよ、契約する」

今までの発言をあまりにもあっさり覆す

拍子抜けする生き物

キュウべぇ「随分あっさりしてるな…」

キュウべぇ「って、まだ僕の自己紹介やデメリットの説明をしてないよ!」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:15:24.35 ID:eAl9NcLt0

キュウべぇ「まず僕の名前は…キュウべぇ。正式名称は…」

あすみ「あ~、自己紹介なんてそれでいいから重要なところだけ教えてよ」

かったるそうに生き物――キュウべぇの自己紹介をあしらい本題にいち早く入ろうとする

キュウべぇ「…随分せっかちだね君は…じゃあとにかくデメリットの面を告げる」

あすみ「そうそう早く」

キュウべぇ「契約によってソウルジェムという…まあ魔力の源みたいなのが生まれるんだけど」

キュウべぇ「その魔力は無限じゃないんだ」

キュウべぇ「いつかその力は限界をむかえ、魔力を使いきったソウルジェムは消滅する」

キュウべぇ「ソウルジェムが消滅したとき…君らは“円環の理”に導かれる…要するに君ら自身も消滅してしまうんだ」

あすみ「…なんだ、それだけじゃん」

意味がわかっているのだろうかこの少女は



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:15:52.12 ID:eAl9NcLt0

キュウべぇはそう思ったのだろう、心なしか不安げな顔をして少女を見上げた

しかし少女はきちんと意味はわかっているのだ

キュウべぇ「変な子だな…大抵の子はデメリットの説明を受けたら渋い顔をするのに」

あすみ「別にデメリットでも何でもないじゃん」

キュウべぇ「本当に?君たちからすれば“円環の理”それは死を意味しているんだよ」

もう一度、確認するようにわかりやすくゆっくり話すキュウべぇ



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:16:19.06 ID:eAl9NcLt0

あすみ「うん。そうだね」

キュウべぇに改めに向き直り当たり前のようにうなずく

あすみ「ええ、さあ早くして」

キュウべぇ「うーん…不安だけど…まあいいか」

ここまではっきり言ってよいのならば、彼女に悔いは無いのだろう

キュウべぇは瞳を閉じ、また開いて彼女を見つめる

キュウべぇ「さあいってごらん、君の願いを、その祈りを」

彼女はすっと、祈るように手を組みそれを胸の前に置いた

あすみ「私の願い…それは」

あすみ「私の知る…私の周りの人間全員の不幸」

伏し目がちな瞳がまっすぐ前を見た

キュウべぇ「え…」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:16:46.89 ID:eAl9NcLt0

あすみ「さあ、叶えてよ…キュウべぇ!!」

さっきの細く無気力な声とは違う力強い声

彼女の組まれた両手は解かれキュウべぇの前に広げられた

キュウべぇ「お、おめでとう!君の願いは、エントロピーを凌駕した!」

辺りはまばゆい光に包まれる

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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:17:41.14 ID:eAl9NcLt0

和子「今日は皆さんに新しいクラスメイトの紹介をします、いらっしゃい」

ほむら「…」

静かな教室に足を踏み入れた少女

静寂は彼女の登場で撃ち破られる

夜の闇を写した黒髪を赤いリボンで二つにくくり
黒い瞳は興味なさげにある一点を見つめる

いや、興味なさげといっても銀色の少女に比べればずっと興味ありげに見えるだろう

黒い瞳が見つめる先に、遠い昔とある少女が座っていたのをこのクラスメイトは知らない

さやか(うひょー、随分美人な転校生だな…赤いリボンでツインテール、結構勇気いる髪型だなぁ)

青い髪の少女、さやかは単純に彼女の美麗な容姿に感心していた

他の生徒も同じだったように思われる



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:18:15.47 ID:eAl9NcLt0

和子「彼女の名前は暁美ほむらさん、この間まで入院していて、今月退院しました」

和子「この地域に来たばかりなので暁美さんは不慣れなことがあるでしょう
だから進んで助けてあげましょうね」

和子「暁美さんも困ったことがあったら私やクラスの子達に何でも質問してね」

ほむら「…」

彼女は無言でうなずいた

和子「じゃあひと言お願いしようかな~」

ほむら「…」

和子「あ、何でもいいのよ。趣味とか得意なこととか」

ほむら「…」

担任の女教師がどんなに促しても彼女は言葉を発しようとはしなかった

教師が大層困った顔を彼女に向けても完全無視、といったところだった



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:19:05.05 ID:eAl9NcLt0

長い沈黙の時間の後、ようやく彼女は浅くお辞儀をする

和子「…じ、じゃあ暁美さんはあの席ね」

ほむら「…」

結局ひと言もしゃべらずにスタスタと長い髪をなびかせてストンと椅子に座った



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:19:59.26 ID:eAl9NcLt0

休み時間、本来なら転校してきた彼女の周りには当然のごとく人が集まるはず…だった

さやか「…あの転校生…感じわるいなぁ」

仁美「まあ、気難しい性格なのでしょう…」

自己紹介のくだりでそのクラスの人間達は暁美ほむらは自分達と関わりを持たない人間と判断した

どんなに話しかけても、彼女からの答えは無いだろうと

そしてそれは間違っていない

さらに個人的に話しかけるどころか、授業中あてられても何も答えない

しかし綺麗な字ですらすらと、つまること無く問題を黒板に書く



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/28(火) 00:20:43.59 ID:eAl9NcLt0

体育では誰よりも上手く運動をこなす

暁美ほむらは無能では無く寧ろ有能、だから自分達を馬鹿にしているから喋らない

誰もがそう思い、彼女を避けた

そして彼女は、それを気にはしなかった

その状況を喜ばしく思ったくらいだった

しかし決して他者を馬鹿にしていたわけではないのだ

彼女はただ、自身の存在など、この世界などどうでもよかっただけである



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:42:48.68 ID:qjiX57kN0

キィ、キィ

古びた公園のブランコに乗っている少女

もう夕方で、ほんのりと薄暗い

その昔、こんな時間に一人で帰るのが怖かった、その少女は。

幽霊や妖怪が出そうだと、幼く無垢だった少女はそう感じて脅えた

しかし彼女は今は文字通り何も恐れるものは無かった

じっと腕を見る

こんなに暑い、真夏だというのに彼女は長袖だった

彼女はあともう一着しか服を持っていないのである

買ってはくれなかった。親戚は彼女の服の代金すら渋ったのだ



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:43:40.02 ID:qjiX57kN0

さらさらと銀色の髪が風になびいた

彼女の腕には大量の切り傷がある

長袖をめくり、傷の様子をじいとみる

銀色の瞳は相変わらず無関心そうだった

「あぁ~、神名さんじゃん」

きゃあきゃあとうるさい少女達が古い公園の静寂を打ち破る

「そこで何してんの~」
「妄想にふけってんじゃ」
「あ、聞こえるって~ギャハッ」
「相変わらずキモイよね、その顔」

甲高く、耳触りな汚い言葉が公園に満ち溢れる



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:45:50.78 ID:qjiX57kN0

彼女はそんな言葉など聞き流し、ぼんやりと鮮やかでやかましい少女達を見据える

彼女達にどんな不幸が舞い降りるのだろうか…いや、いっそ不幸にしてやろうか…

にいぃ、と思わず微笑む

ゴォオオオオオ…

今まで穏やかだった風は突然吹き荒れる

「…な…なに?」
「げ…あいつなんか笑ってるよ…マジきもい」

この異常な空気を目の当たりにしてもいまだにこの少女を虐げ続ける少女達

この少女達はこれから自分達に何が起こるか分かってはいないのだ

銀色の少女は彼女達を、何と愚かなんだろうと蔑み、笑いをこらえた

あすみ「…あんた達って…ほんとにどうしようもない馬鹿だよね」



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:46:26.59 ID:qjiX57kN0

「はぁ!?」
「うっぜー!!」
「お前みたいなバイキン以下が、調子乗りやがって!!」

含み笑いをうかべる少女に向かって拳を振りおろす…が

「…いない!?」

跡形もなくいなくなった

まるで手品か、もしくは魔法でも使ったかのように、本当に一瞬だった

皆目を丸くし、それでも威嚇のつもりなのか毒の様な言葉を吐き続ける

ガンッ!!!

後ろから金属が何か固いものにぶつけたかの様な音が響き、皆振り返る

あすみ「…私とやるんだ…へぇ、正気なの?」



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:48:11.44 ID:qjiX57kN0

さっきまでボロボロの長袖を着ていた少女の服は一変していた

黒と白の、ヒラヒラとしているスカート…世の人間の言うゴスロリという服を着て
手には巨大な…鉄球が先についている棒

因みに彼女の武器である棒はモーニングスターというのだが、当然幼いきゃあきゃあ娘達は知らない

ただ、危険な代物であるのは理解できたようである

表情がこわばり始めて、じりじりと、少女達は後ずさりを始める

あすみ「…そんなに逃げなくても大丈夫。これはね、こうして使うものだから…」

ブン!

モーニングスターを振り回す

きゃあぁああと少女達は女の子らしく悲痛な悲鳴をあげる、しかし
あすみにとってそれは最高の瞬間であるように感じた



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/29(水) 22:58:43.63 ID:qjiX57kN0

ひとしきり脅したあと、本気をだす

要するにモーニングスターを少女達にぶつけたのだ

あるものは腰を抜かし、あるものは涙を流し…

無様なものである、銀色の髪が楽しげにゆれる

さらさらと髪をなびかせて、ふわりと電柱のてっぺんに座る

あすみ「…サヨナラ勝ちって感じかな」

小さな影は大きな口を開けて笑った

人の心の闇をのぞき、幻覚をみせる魔法

彼女の能力は、彼女にぴったりなものだった

現にそれを使いこなし、あのきゃあきゃあ軍団は涙や冷や汗にまみれ悲鳴をあげながら暴れている、
みじめで大変滑稽な少女たちに成りさがった

道行く人はこの少女達の光景を見て、立ち止り逃げる

中には話してみようと試みる勇者もいたが、もちろん断念

しかしその勇者は警察に通報したようだった

あすみ(あーあ、お楽しみが終わっちゃうなぁ)

残念に思うが、今日はとりあえず満足した

警察が来る前に最後の仕上げをしよう

パチンと指を鳴らし、恐怖にのたうちまわる少女達を見下ろす

彼女達は赤く血走った眼で通報者を見つめた

少女達に通報者は一番憎い人間に映っているはずなのだ

殺したいほど憎い相手が目の前にいる

フラフラと通報者に近づく少女達

彼女達はゾンビである、そう言われても違和感は全くない

むしろしっくりくる

通報者は慌てて逃げようとしたが、時既に遅し

辺りは赤色で染まり、空気を切りさかんばかりの悲鳴で包まれる

少女達は自分達が何をしたのか一瞬理解できなかったようだが、
あすみの魔法が解けてだんだん今の状況を理解していった

ここまで来ると悲鳴も涙もなく、ただただ呆然と立ち尽くすだけ

神名あすみは、そんなクラスメイト達をひとしきり嘲笑い、腹を抱えてわらい続けた



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 21:55:39.74 ID:v3BR8XAz0

雨が降る夜、2つの影が街を駆け抜ける

さやか「はっくしょーい!!」

ガチガチッと歯を鳴らし大きなくしゃみをしたのは青い髪の少女

白いマントを着用しているが露出の多い服なので、体温が奪われ凍えている

マミ「美樹さん、大丈夫?」

心配そうにもう一人の金髪の少女がのぞきこむ

さやか「へへっ、大丈夫ですよぉ」

ズルズルと鼻水をすすり、太陽の様な笑顔を見せた

可愛らしく、希望にあふれたその笑顔は見る人全てを幸せにする力があるのではと錯覚する

マミ「もう、無理しちゃダメよ。今日は早めに魔獣狩りを切りあげましょう」

金髪の少女は歳のわりには大人びており、
大変優しげで穏やかな雰囲気が彼女を包んでいる



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 21:56:05.41 ID:v3BR8XAz0

さやか「うー…でも…」

マミ「我慢しなさい。美樹さんの体調が大切よ」

さやか「はーい…」

2人は夜の明かりが灯る街へ飛び込む

魔獣に脅かされる人を救うために、グリーフシードを回収するために奔走する



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 21:56:38.24 ID:v3BR8XAz0

さやか「…あ、マミさん!あれを見て!」

突然立ち止まり、とある一点を指でさす

マミ「ん…?何かしら?」

マミは少し目を細め、そして目が2倍に見開かれた

マミ「あれは…グリーフシードじゃない!!」

小さなキューブ状の物体…グリーフシードがそこ辺り一帯に転がっているのだ

因みに遠い、別の世界ではこれは丸く
少量しか手に入らなかったことをこの2人は覚えていない

さやか「この間もグリーフシードの山を見つけたけど…また」

マミ「…一体誰が…」

ソウルジェムは魔力を使う度に“呪い”が生じ穢れる

あまりに消費してしまい、呪いを貯め込み過ぎると円環の理に導かれる



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 21:57:10.72 ID:v3BR8XAz0

…つまり死を迎えてしまう

それを防ぐためにグリーフシードに呪いを吸収させてキュウべぇがその呪いをエネルギーとして回収するのだ

因みにそのエネルギーは宇宙の延命に使われる

ただいつかは円環の理に皆導かれるのだ

遅いか早いかの違い、たったそれだけなのだ

さて話を戻す

これだけの魔獣を倒してソウルジェムが穢れないわけが無い

2、3匹魔獣を倒しただけでまあまあソウルジェムは穢れるのだ

さやか「…これ、軽く13匹くらい倒してますよ…ね…?」

愕然としながら落ちたグリーフシードを回収する



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:00:04.91 ID:v3BR8XAz0

グリーフシードでソウルジェムを浄化しないとどうなるかは契約する時に聞いているはずだ

この魔獣達を倒した主はもう円環の理に導かれていてもおかしくない

はっきりいって、倒した主は自殺でもしようとしているとしか思えない

マミはありえないと思いつつ、回収を続けた

マミ「…かなり強力な魔法少女がこの町にやってきたみたいね…」

顔を曇らせながらマミは呟く

魔法少女同士の陣地争いはなかなかシビアなのである

下手をすれば殺し合いが始まるくらいだ

マミは出来るなら争いを避けたいと思っているようだ

さやか「…何の問題も無いといいですね…」

さやかもまた同じ思いであった



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:00:33.19 ID:v3BR8XAz0

突然キュウべぇが暗闇から姿を現した

キュウべぇ「大変だよ!瘴気がかなり濃い場所を見つけたんだ!!そこにきっと沢山の魔獣が出現するだろう、普通の人が出くわしたら…大変だ!!」

2人の動きが止まり、表情が険しくなる

マミ「キュウべぇ、場所はどこかしら?案内して!」

キュウべぇ「こっちだよ、僕についてきて!!」

キュウべぇは走りだす

2人もキュウべぇの後について暗いほうへ、暗い方へと消えていった



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:44:48.12 ID:v3BR8XAz0

キュウべぇ「ここだ」

2人の先頭に立って走っていたキュウべぇが立ち止まった

マミ「ここは…公園」

そう、ここはあの古びた公園

銀色の少女が、きゃあきゃあと騒ぐ少女達に幻覚をみせた挙げ句、人殺しをさせたあの場所

冷たい風がじんわりと吹いた

きぃ、きぃ

さやか「ひっ…」

ただですら夜で恐ろしい雰囲気を醸し出しているうえに、ブランコをこぐような音が聞こえる

青い髪の少女は涙目で公園の闇を見つめている



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:45:35.79 ID:v3BR8XAz0

一方金髪の少女は冷静に辺りの様子を見ている

マミ「…いまのところ…魔獣は出てないみたいね…」

金髪の少女はガチャリと銃を出現させる

青い髪の少女も手に剣を握り、辺りに注意を払う

ゴオッ!!

滑り台の方からだろうか、一筋の光線が放たれた

2人はそれを華麗によけ、金髪の少女が素早く銃で魔獣を撃ち抜く

白く大きな、男性の様なものは倒れてグリーフシードは飛び散った

それを素早く回収し、次の攻撃に備える



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:46:07.77 ID:v3BR8XAz0

突然まばゆい光が2人の目に入った

いつの間にか沢山の魔獣達がブランコの周りを取り囲んでいるのだ

彼らの手には光が集まっている

光線が今にも放たれようとしているのだ

2人は身構えるが、光で辺りが照らされてとある人間の姿が2人の視界に届いた

さやか「て…転校生!?」

黒髪のツインテールに無表情で冷たい、美しい少女

見滝原中学の制服を着たまま、雨に打たれているのに全く気にせずブランコに座っている

あ、だからさっきブランコのこぐ音が聞こえたのか…

そう思って、はっと青い髪の少女は我に返る

さやか「転校生、逃げて!!」

そう叫んで、魔獣の群れに大量の剣を出現させ、同時に投げつける



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:46:47.37 ID:v3BR8XAz0

見事に命中してまたグリーフシードが飛び散る

しかし逃げようとはしないのだ、この少女は

恐怖で動けないようには全く見えない

いや、魔獣自体見えていないように思えた

マミ「あなた、早く逃げないと危険よ!」

マミもマスケット銃を乱射して見事に魔獣達を倒して行く

しかし、黒髪の少女にあてるわけにはいかない

おのずと倒せる魔獣の数が限られてくる

それと同時に少女が襲われる確率が上がる

さやか「くっ、仕方ない!無理矢理連れてくる!!」

鉄砲玉が飛びだすように走りだすさやか



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:47:14.53 ID:v3BR8XAz0

キュウべぇ「危ない!!」

後を追いかけるキュウべぇ

マミ「美樹さん!?」

大慌てでリボンを張り巡らせて魔獣のレーザーからさやかを守るマミ

さやか「おりゃああああ」

また放たれようとするレーザー

しかしひるむことは無い

彼女はただ目の前の少女を救うことしか頭になかった

例え自分を盾にしてでも



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:47:46.12 ID:v3BR8XAz0

かなりの速度で魔獣の群れの中心にいる黒髪の少女を救おうと突っ込む青い少女

黒髪の少女の脳裏に、遠い昔に絶望をぶつけるかの様に魔女に突っ込んで戦う青い少女の姿がぼんやりと浮かんだ

カアッ!!

辺りが光で包まれる

とうとう何匹かの魔獣が同時にレーザーを放ったのだ

マミのリボンも間に合わず、さやかも黒髪の少女の元に到達する前に自分も魔獣の攻撃に巻き込まれる形となった

ソウルジェムもこのレーザーに耐えきれず破壊されるだろう

青い少女は覚悟を決めてギュッと目をつぶった



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:48:26.27 ID:v3BR8XAz0

さやか「…あれ?」

青い少女は自分が無事であることに拍子抜けした

そして自分が空を飛んでいる事に驚く

さやか「あ、あれ、さやかちゃん空飛べたっけ!?」

そんなことをぼやいた瞬間、首元に痛みが走る

さやか「いったぁ~…あっ!!」

さやかは振り向いて自分の目を疑った

マミも見とれて“彼女”を見つめている



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/30(木) 22:49:10.93 ID:v3BR8XAz0

赤いリボンに黒髪のツインテールが風にさらさらとなびく

黒に近い灰色と白を基調とするファンシーな服

その服はどこか見滝原中学の制服に似ている

そして彼女の背中には…真っ白で光輝く翼

力強い羽ばたきの音がさやかの耳にも届く

彼女はさやかのマントを首元辺りを掴んでいた

さやか「転校生…あんた魔法少女だったんだ…」

ほむら「…」

相変わらず氷のように冷たい瞳でさやかを見下ろしていた



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:38:59.88 ID:w6cTGICC0

白い羽を持つ黒い少女

彼女は青い、どこか騎士を思わせる服装の少女を掴み空中に漂う

さやか「ちょ、魔獣の攻撃がまた来るよ!!」

白い大きな男たちが2人に向かって手をかざす

彼らの手に光が灯る

1つ1つの光線は細いがなんせこの個体数

強烈な光の束になり2人のソウルジェムを木端微塵に砕く

2人ともここままではいけないことはわかっていた

さやか「あ、あたし、前のあいつらを攻撃するから…」

指で魔獣をさしている青い少女の周りには大量の剣が出現する



50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:40:07.28 ID:w6cTGICC0

黒い少女は青い少女を一瞥するといきなりグイッと自分の目線の高さまで勢いをつけて引き上げる

さやか「!?」

驚きの色を隠せない青い少女に黒い少女は一発蹴りを食らわせる

まるで邪魔だ、引っこんでろと言わんばかりに

さやか「えええええ~!!!」

素っ頓狂な声をあげながら、地面に向かって落ちていく青い少女

しかし流石は魔法少女

素早く体勢を整え空中でくるりくるりと数回回転し見事に地面に着地した

さやか「こらぁあああ、いきなりなにすんだよ!!!」

拳を振り上げ黒い少女に抗議をする



51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:41:15.28 ID:w6cTGICC0

それからすぐに彼女は黙ってしまった

彼女の性格上、もっとしつこく突っかかる、要するにけんかっ早い所があるのだ

裏を返せばまっすぐで自分の意思を貫く性格を言えよう

そんな彼女ですら今目の前の光景を目にして黙りこんでしまう

では一体どんな光景だったのだろう

その光景の舞台は古びた公園

魔獣と魔法少女が対峙している

文章に表せばただそれだけで、実際見ても特に変わったことは無いのだ

ただ一人、青い少女の目には黒い少女に向かって輝く手をかざす魔獣が神の使いのように見えた



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:42:19.56 ID:w6cTGICC0

そして彼らに向かう黒い小さな少女が、天使…いや“天使だったもの”に見えた

今や神に対して孤独に反乱を続ける悪魔…俗に言う堕天使というのであろう

光り輝く翼が昔天使であった名残なのか、黒い髪は堕ちてしまった証なのか

彼女の反乱は結局ムダだろうな、さやかは漠然と思うのだった

青い少女は無自覚だが、なかなかカンがよく、真実を見破ることがある

そう、遠い昔、たった一人の少女を救うため黒い少女は運命を相手に反乱を起こした

結果として彼女は運命に勝てなかった、自分の望みをかなえることはできなかった

救いたかった彼女は今、誰も知らない所にいることは、黒い少女しか知らない



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:42:52.31 ID:w6cTGICC0

当然何も知らない青い少女の頭の中はクエスチョン・マークでいっぱいだった

普段は敵として忌み嫌い、倒してきた魔獣が神の使いとは何事だろう

無表情のクラスメイトが堕ちた天使に見えたのはどうしてだろう

魔獣が白いからだろうか?

彼女が全体的に黒色が多く、だからこそ白い翼が天使の羽を連想させただけだろうか?

さやか「…頭でも打ったかぁ?」

首をかしげ、ぼんやりしていたがマミの銃声で我に帰った

後ろを振り向くと数匹新たな魔獣が姿を現す

さやか「うへぇ、何匹出りゃ気が済むんだよぉ」

マミ「確かにあんまりにも多いわよね、今夜」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:43:19.39 ID:w6cTGICC0

さやかは素早く両手に大きめのサーベルを持ち、魔獣達に立ち向かう

素早い動きで踊るように魔獣を切るさやか

白いマントがさやかの動きにあわせてはためく

一方マミはさやかの援護射撃に徹していたが、彼女の撃つ玉は決してさやかを傷つけるようなことをしなかった

華麗に、確実に、さやかが切り付けた魔獣を狙い撃ちする

魔法少女になって日が浅いさやかは魔獣達に取りすぐに囲まれてしまった

さやかはひたすら両手の剣を振り、魔獣を倒していくが、まだ一撃で倒すことは出来なかった

徐々に追い詰められるさやか

息が上がり、確実に疲れが見え始める

ガシリとそんな彼女の手を暖かい手が握る



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:43:46.04 ID:w6cTGICC0

さやか「…マミさん!!」

マミ「さ、ここは私に任せて頂戴ね」

さやかをリボンで少し離れたところに移動させ、マミは大量の銃を出現させる

次々に銃を乱れ打ちするマミ

マミの銃を前にして倒れる魔獣達

マミ「ふふっ、残念だったわね」

空高くジャンプし、彼女の体の何倍も大きな大砲が現れる

狙いを定め、発砲する

耳の鼓膜を破ってしまいそうなほどの大きな爆音

一気に消滅する魔獣達

煙が晴れた後、あちこちにグリーフシードが転がっていた



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:44:16.96 ID:w6cTGICC0

大慌てで回収し、さっき使用した魔力を回復させる

マミ「さ、あの子の手伝いをしましょう」

さやか「はいっ」

そう軽く話すぐさま戦闘態勢に入るが、黒い少女の様子を見て立ちすくんだ

細い光が色々は方向から彼女を狙って発射されていた

しかし美しい羽で空を飛ぶ彼女は全てをひらりとよけた

それから空に手をあげる

紫色の光が集まったと思ったら、彼女の手には弓



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/08/31(金) 22:45:51.53 ID:w6cTGICC0

同時に幾何学的な図形は空に浮かんだ

模様の浮かんだ空に向かって放つ

とたんに魔獣達を紫色の光がつらぬいた

それも一個では無い、大量の光が空から降ってくるのだった

何かが爆発する音が辺りに轟き、魔獣達の悲鳴が聞こえる

爆発音が止み、魔獣達は消えた

全滅したようであった

さやか「…凄い」

魔獣がいなくなった公園に、また夜の静寂が戻ってきた



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/01(土) 21:20:48.36 ID:gxzqEfCt0

静かになった公園に、穏やかな羽ばたきの音が響いた

マミ「あ、待って!グリーフシードを」

ほむら「…」

マミ「ほら、浄化しないといけないでしょ?」

彼女が持てる限りのグリーフシードを抱え、黒い少女に差し出す

しかし相変わらず無表情の顔

満面の笑みの金色の少女とあまりに対照的

マミ「ね、遠慮しないで頂戴ね」

ほむら「…」



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/01(土) 21:21:55.62 ID:gxzqEfCt0

金色の少女の優しい言葉をはねのける、黒い少女の冷たすぎる瞳

軽蔑と怒りのこもった瞳

金色の少女は思わず顔をこわばらせて一歩後ずさりする

クルッとそっぽを向き、輝く白い翼を一杯に広げて飛び立とうとする

キュウべぇ「マミ、さやか!早くあの魔法少女を止めるんだ!」

突然隣の草むらから駆け出してきたキュウべぇは大声で叫ぶ

キュウべぇの叫びと共に彼女は月も無い、暗い暗い夜に飛び出していった



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/01(土) 21:22:22.16 ID:gxzqEfCt0

キュウべぇ「マミ、彼女を無理矢理でもいい!君のリボンで彼女を捕まえるんだ!!」

マミ「でもそんなこと…ねえ」

さやか「そうですよ、気に食わないけどさぁいきなり攻撃は…」

キュウべぇ「ダメだ、彼女はこのままでは円環の理に導かれて消えてしまう!!」

円環の理…そのフレーズを聞き、2人の動きはぴたりと止まる

キュウべぇ「強制的にでも彼女のソウルジェムを浄化させなくては!!」

2人は素早く顔を見合わせ、うなずき合う

マミ「…はっ!!」

マミは手を大きく振りかざし、空中にいる黒い少女に向けてリボンを発生させる

しかし思っている以上に少女は俊敏で、マミのリボンになかなかつかまらない



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/01(土) 21:22:55.08 ID:gxzqEfCt0

さやか「…転校生、悪いね!!」

マントをひらりと翻すと、地面には細身の剣が大量に刺さっている

さやかが両手をかざすとその剣は宙に浮き、黒い少女の羽一直線に飛んでいった

羽に刺さる剣

少しだけにぶる動き

その一瞬のマミは見逃さない

クモの巣の獲物に掛った生き物のようにマミのリボンに絡め取られた



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/01(土) 21:23:40.48 ID:gxzqEfCt0

ほむら「…」

そのまま空からあの公園まで引きずり降ろされる

尋常ではないほどの、怒りのこもった瞳でマミ達を睨み見つける黒い少女

ひと言も今のところ喋ったことは無く、どんな人間かは知られていなかった黒い少女

もしかすると感情自体無いのではと学校ではささやかれていた

だからさやかは吃驚仰天

自分達を睨む少女はどんな人間よりも人間らしかった



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:09:41.27 ID:C5RSNQIw0

キュウべぇ「よかった、さあ早くソウルジェムを浄化させるんだ」

キュウべぇは素早く指示を出し、2人もそうしようと行動に出る

ほむら「…っつ」

スタスタと接近する2人をギッとにらみつけて、拘束されつつも暴れ始める

輝く翼をはばたかせ、両腕をばたつかせ、滅茶苦茶な方向にキックをする

マミ「くっ!」

マミがさらにリボンの束縛を強めるが、一向に収まる気配が無い

さやか「ちょ、何もしないって、浄化するだけだってば!!」

浄化、そのワードを聞き、少女の目がカッと見開かれる

暴れるのをやめたかと思ったら、今度は何やら違う方向に体を傾け始める



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:10:19.18 ID:C5RSNQIw0

ギリギリ、ミチミチ、嫌な音が響く

さやか「な…何やってんの…?」

少女の鬼の様な剣幕にひるみ、一歩進むことが出来ない

キュウべぇ「マミ、拘束を少し弱めろ!腕を引きちぎるつもりだ!!」

マミ「え!?」

さやか「な!?」

それが本当ならばとんでもない、考えるだけ恐ろしい

2人はもはやその恐ろしい雰囲気にひるんでいる場合ではないと判断し、足を進めたその瞬間空中に血が舞った

ほむら「っづ…ああああああ!!」

ほむらの悲鳴が公園に響く



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:10:45.47 ID:C5RSNQIw0

マミのスカートや胸元、さやかの白いマントが少女の真っ赤な血で染められていく

彼女の腕の付け根からは血が噴水のようにあふれ出し、血だまりがどんどん広がって行く

マミはあまりの光景に動揺したのか、リボンの拘束を少し緩めてしまった

彼女ははじめからそれを狙っていたのだ

縛られている所の感覚から、緩められたことがわかったのだろう

少女は断末魔の叫びを荒い息に変え、作戦が上手くいったことに対してか、ニヤリとほほ笑む

ぞっとするほほ笑み



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:11:26.27 ID:C5RSNQIw0

後ずさりしそうになるが、彼女の無事な腕に紫色の矢が握られているのがわかった

そして狂気に満ちた視線の先は…千切られた腕

その時初めて2人は気がついた

紫色の光が微かに見える

間違いない、千切られた彼女の手にはソウルジェムがあるのだ

あの少女は…そうだ、自分のソウルジェムを砕こうとしてるのだ

さやか「あたしがとってくる!」

全てを悟り矢のように飛び出すさやか



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:12:14.42 ID:C5RSNQIw0

彼女はマミよりも素早さは上なので、こういう時は自分が出ていくべきと常に思っていた

マミ「貴方、やめなさい!!」

マミは少女に向かい呼びかける、そして矢を持っている手の拘束を新たに行う…が

ほむら「…て」

マミ「…え?」

ほむら「あなた達、いい加減にして頂戴!!!!」

目から大粒の涙をこぼしながら、この世の果てまで聞こえるような悲痛な絶叫をした

そしてあれほど動かないように縛り付けられているにも関わらず、なんと彼女はあり得ない程の力で
腕を振り下ろしたのだった



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:12:50.03 ID:C5RSNQIw0

さやか「え!?」

紫色の光がまっすぐ飛んでくるのを見て、彼女が矢を投げたことを素早く悟る

それならばとさやかはそれを叩き折ろうと剣をかまえる

ガキッ!!

さやか「くうっ…なんで!?」

ギリギリという音が耳に響く

2つの力は拮抗していた

普通なら素早く叩き折れるはずの存在である矢

しかしこれは普通ではないのだ

黒い少女が全魔力をつぎ込んだ、命がけの一撃

自身を滅ぼすための、全てをかけた一撃



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:13:44.92 ID:C5RSNQIw0

さやか「ぐっ…」

歯が立たないどころか、さやかは徐々に後ろに押されているのだ

そしてとうとう…

さやか「ぐわっ!!」

剣は宙を舞い、彼女は矢が放つ強烈な魔力に弾き飛ばされた

マミは、さやかが矢を足止めしている間にソウルジェムを取ろうと腕のあるところまで足を進めていた

だか、彼女もまた魔力に弾き飛ばされる

2人の脳裏に諦めに似た、しかしどうにかしたいという念がむくむくと湧く

しかしそうこうしているうちに彼女の矢はソウルジェムに迫る

マミ「当たって!!」

マミは中を舞つつも確実に狙いを定め、マスケット銃を矢に向けて、発砲する



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:14:11.93 ID:C5RSNQIw0

よほど腕に自信が無いならば決してしないことをマミはやってのけた

まあ、矢が破壊されればマミの努力も無駄ではなかっただろう

結局、玉は矢の魔力で止められ、地面に落ちた

さやかもマミももうどうしようもなかった

少女は狂気に満ちた顔で行く末を見守っている

あと少し…あと少し…

そして矢はとうとうたどり着いたようだ

辺りに爆音が聞こえ、煙が上がる…



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:14:40.36 ID:C5RSNQIw0

キュウべぇ「マミ、さやか、ホラ、浄化して」

キュウべぇがソウルジェムを2人に投げる

さやか「きゅ、キュウべぇ!!あ、あんた…」

キュウべぇの体には少女の放った矢が貫通していた

キュウべぇ「大丈夫、僕にはスペアがあるから」

ガサリと他の草むらから新たなキュウべぇが姿を表し、むしゃむしゃと自分の体を食べる

マミ「…前にこの話は聞いたけど…改めて見るとグロいわね…」

ジトリとした目でその様子をマミは見つめていた



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:15:16.63 ID:C5RSNQIw0

さやかはすでに少女ソウルジェムの浄化を始めていて

さやか「こ、これ、超ヤバいっすよ、マミさん!!これ穢れ過ぎ!!!」

などと騒いでいる

マミ「キュウべぇにグリーフシードを投げ入れて頂戴」

マミ「…私で腕の蘇生は出来るかしら」

腕を治すにはかなりの魔力が必要だ

ここにあるグリーフシードを全部使えば不可能なことでもない

うん、とうなずくと早速少女の所へ行く

大量に血が流れたせいか、魔力を使いすぎたせいか、少女は青白い顔でぐったりとしている

ほむら「何で…まどか…なんで…」

消え入りそうな声でなにかを呟いているが、マミにはそれが何を意味しているのかはわからなかった



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:17:55.17 ID:C5RSNQIw0

今日の分終わりだよ

明日はお待ちかねのあすみん出るよ、あすみんハスハス

乙でもつけてってくれると、それはとっても嬉しいなって
そんな甘えたことを言ってみる



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 21:18:38.09 ID:uDmgzq9Xo

甘やかしてやろう乙



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/09/02(日) 21:33:33.67 ID:D0dE4S0Po


だがイマイチ設定が飲み込めん。
改編後・さやか生存・キューブじゃなくてシード・ほむほむはこの時点で羽を自在に使える・元々仲間だった訳じゃなく転校してきた この辺見る限りif的な感じで考えてればいい?



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/02(日) 22:06:37.56 ID:C5RSNQIw0

質問があったから戻ってきたよ~
あ、みんなありがとうね、もう大好きよ

>>81
うん、大体あってるよ

一点違うのは、魔獣が持ってるのはアニメ通りのキューブ状のやつで、魔女が持ってるグリーフシードではない
キューブの正式な名前が分からんかったのでグリーフシードにしておいたのだよ(ただ“キューブ”で表示するのもなぁと思って)
分かりずらかったみたいでスマンかった。
とりあえずこの設定で行くけど、今後色々ともうちょい分かりやすく出来るように頑張ってみる

まあこれから発生する矛盾があったら私に対する質問&二次創作ご都合主義パワーで乗り切って下さいまし



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/03(月) 19:16:46.33 ID:ptt2qLoJ0

ガシャーン!!

戸棚に叩きつけられる音

ガラス張りの部分に頭がぶつけられ、顔や頭にキリリとした痛みが走る

頬にぬめぬめとした液体が静かに流れているのを銀色の少女は感じた

「気持ちの悪いガキ」

「そんな目で人を見んなよ、バーカ」

大きな2つの影が小さな少女に覆いかぶさる

バキッ、バキッ

何度も何度も少女の腹を、胸を、腕を、足を

激しく殴りつける

痛々しい音が無機質な部屋に響き渡るが、少女の銀色の瞳は怒りも悲しみも感じている様子は無かった



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/03(月) 19:18:14.39 ID:ptt2qLoJ0

もし感情があるならば…それはきっと、軽蔑と嘲笑

この親戚の2人もそのことを良く分かっているのだろう、だからこそ殴るのだ

ひとしきり殴った後、2人はカップラーメンを作り始める

あすみ「…」

細く白い腕には痛々しい赤い牡丹の様なあざがあちこちに出来ており
その腕はやはり同じようになった足を抱え、血の流れる手は腹をさすっていた

「ほれ、晩飯だ」

2つの影はニタアと大きな影は彼女を見下ろして笑い、彼女の足元にラーメンを置くわけでは無く…



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/03(月) 19:18:44.23 ID:ptt2qLoJ0

バシャッ!!

カップラーメンを彼女にぶちまける

あすみ「っ~!!」

熱いラーメンの汁を頭からかぶり、彼女は身もだえする

しかも一回ではない、2、3回立て続けにこうされるのだ

「ごめんねぇ~あたし、あすみちゃんの為にたっくさんラーメン作ったんだけどぉ、ぜ~んぶこぼしちゃった」

「だから…晩御飯抜きだ!!出でけこのくそガキッ!!!」

思いっきり影に蹴飛ばされ、玄関の外に放りだされる



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/03(月) 19:19:13.77 ID:ptt2qLoJ0

あすみ「…ふう」

乱れた銀色の髪をサッと手櫛で治し、ソウルジェムを自分の手に乗せる

それをかざすと、彼女は淡い光で包まれた

その光が収まると、彼女の服装は黒を基調としたゴスロリに花嫁を思わせるベールをかぶった、ファンシーな容姿に変貌した

あすみ「さて…今日は誰にしよっかな…」

ピョンピョンと楽しげにスキップする少女の腕にも顔にも、傷跡は残っていなかった



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:41:42.66 ID:njE0enkc0

暗く人気のない路地裏

そこに1人の女性がたたずんでいる

その女性は大変美しく、上品そうであって、それで妖艶

その周りにはぎらぎらとした目の、息使いの荒い数人の男

彼女の色っぽい流し眼に、はだけた胸元から見える白い肌に釘付けだった

その続きはだいたい予想出来るだろう

何人かの男が女性に連なり、卑猥な音が路地に響き渡る

その様子を少し離れた電柱からじっと見下ろす、小さな一つの影

あすみ「また引っかかった」

その少女はニタリと笑い、ストンと地面に降り立つ



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:42:32.28 ID:njE0enkc0

モーニングスターを黒い影の塊に投げつける

男達のわっと驚く声、それから激しい罵声が聞こえる

「うげぇ、ゴミ箱かよ!」
「くっさ、うわっ!ウジ虫が!!」

男達のしょうもないみじめな姿にクスクスと無邪気に笑う

彼女には最初からこの女性がゴミ箱であることを知っていた

彼女の幻覚魔法によって、ゴミ箱を女性に見えるようにしたのだ

この男達は最初からウジ虫の溢れるゴミ箱と性交に及んでいたのだ

あすみ「あははっ、くくくっ、くはっ、ははっ、あ~おかしいよ」

その声に反応し、数人の男達が振り向く

少女の不思議な服装に首をかしげる



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:43:07.32 ID:njE0enkc0

が、何より今は行為が最悪な形で終わってしまい、さらにどうやらこの少女は自分達を笑っいる…ということに最高に腹が立っていた

さあどうしてやれと考えている時
暗い路地にうっすらと月明かりが差し込み、少女の顔がぼんやりと浮かんだ

―――ガキだがいっそ犯しちまえ―――

ねっとりとした視線が少女に向けられる

少女の脳裏に親戚の、あの大嫌いなハゲ野郎の顔がぼんやりと浮かんで消えていった

月が雲に隠れた時、大きな影は小さな影に次々と覆いかぶさる…

しかし、男達は次の瞬間悲鳴を挙げた



101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:43:57.03 ID:njE0enkc0

あすみ「私、恨めしいんだよ…ねぇ」

さっき月明かりに照らされた少女の顔は、小学生くらいにしては大人びていて、大変整っていたはずだった

今は目がありえない方向にひんむき、充血し、鼻は折れ、変に裂けた口から血を流す、
恐ろしい化け物の顔だった

「うわぁああああああ!!!」

その顔がケタケタ、ケタケタと言いながら一回転して、ガバッと地面に伏せたかと思うと
少女は這いつくばって男達に接近する

手足もバラバラ、捕まったら地獄に連れていかれそうな雰囲気をありありと醸し出していた

男達はもう腰を抜かし、失禁しながら気絶してしまった

その様子をみた化け物はすくりと立ちあがる

もう一度月明かりに照らされたその顔は、元の美しい顔だった

あすみ「いくじなし、全部私の幻なのにね…仕方ないなぁ」

モーニングスターが男達の股間にめがけて振り下ろされた



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:44:27.37 ID:njE0enkc0

あすみ「うん、美味しい!」

どこぞからくすねてきたのか、小さな手には大きなハンバーク、口ははち切れんばかりにモグモグと動かしている

あすみ「うーん、他にもなんか食べようかな…」

もうおしまいに近づいたハンバーグを見つめ、腹の按配をみる

あすみ「いつもあいつら飯抜きか、信じられないほどまずい飯かどっちかだから、
ほんとお腹減って困るんだよね」

顔をしかめ、愚痴をこぼす

彼女の腕の細さが普段の過酷な生活を物語っている

あすみ「ふふふっ、あいつらの不幸って…何だろう」

ここ最近一番の笑みを浮かべ、目を閉じる

あの親戚2人の苦しむ顔を妄想し、にこにこと笑う



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:45:16.31 ID:njE0enkc0

しかし、彼女の腹の音がその妄想を終わらせた

あすみ「うぅ…やっぱなんか食べなきゃ」

ふと足のソウルジェムの様子をみると、思いのほか穢れが溜まっている事に気がつく

あすみ「あたた…ご飯の前に魔獣狩りか…」

大変面倒くさそうに頭を掻き、夜の街を飛び出す

あすみ「あーあ、この間みたいにグリーフシードの山があればなぁ」

視線でそれをくまなく探すが、そんなものはやはりない

因みにそれを作った本人が黒い少女のことは、この銀の少女はまだ知らない



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:48:58.64 ID:njE0enkc0

突然空に大きな…幾何学的な模様が浮かんだかと思うと、紫色の光が地面に向かい大量に発射されている

あすみ(…あれは…魔法少女の攻撃?)

だとすれば、あそこには魔獣がいるはずだ

しかもあの攻撃の強さ、光の多さ、多分魔獣は大量にいるのだろう

あすみ(グリーフシード横取り出来るかも!)

紫色の光を追いかけて全力で走っていると、
いつぞや、クラスのきゃあきゃあ女に遭遇した公園にたどり着いた

間違いない、どうやらそこに光の発生の原因の魔法少女がいるようだ

あすみ(…あそこに魔獣が…?と、いうことは…グリーフシード横取り出来る!!)

目を輝かせてあの公園に足を運ぶ

案の定、尋常ではない数のグリーフシードがそこらじゅうに転がっている



105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:49:31.30 ID:njE0enkc0

しかし、3人の魔法少女がそこの公園にいるのだ

いきなり攻撃してくるかもわからない、とにかく姿を少女は隠した

マミ「くぅ、やっぱり中々つながらないわ」

さやか「マミさん、あたしやりますよ。あたしの固有魔法忘れましたか?」

マミ「…そういえば…回復だったわね」

さやか「もう、マミさんったら」

マミ「ごめんね、だって美樹さんは回復ってイメージがあんまりなくて」

青い髪の少女と金色の髪の少女が緊迫した面持ちで話している

歳はさしずめ、14、15くらいだろう

2人は緊迫してはいるが、どこか充実してそうな表情をしている



106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:50:00.53 ID:njE0enkc0

あすみ(…なんか気に食わないなぁ)

少しいらただしげに考えていると、奥にいて横たわっていて顔が見えなかった少女が立ちあがった

ほむら「…こ…こは?」

黒い髪に黒っぽい服を着て呆然としている彼女

他の2人も決して不細工ではない、寧ろ美人とか可愛いとか評される顔立ちである

しかし黒い少女は2人に比べ格段に美しく銀色の少女には見えた

銀色の少女の瞳が大きく開かれる

あすみ(…いいじゃん、あの人)

彼女は黒い少女の表情に鳥肌がたった



107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:50:38.17 ID:njE0enkc0

――ああ、絶望しているんだ、私が今まで会った人の中で一番――

あすみ(そうだよ、私、ずっとあんな顔を見たかったんだよ)

あすみ(だって…皆あんな顔をなかなかしないんだよね)

銀色の少女の頭の中にキュウべぇの声が響いた

『魔法少女ってのは、何かしら叶えたい強い願いがある子が選ばれる可能性が高いよ』

『多分、いろんな願いが簡単に叶ってしまう幸せな家庭の人はあんまり魔法少女の才能は無いことが多いんだろうね』

『まあ、政治家とかの娘だと少し話は違うけどね』



108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 07:51:07.48 ID:njE0enkc0

あすみ(…ああ、だからかな?)

あすみ(どうしようもない現実を変えようって願って…そしてそれが絶望に変わる)

あすみ(…最高)

あすみ(道を歩いてる人を襲うよりも…ずっと楽しめるかも)

彼女の口は大きくにいっと開かれ、興奮したままその場を立ち去ろうとしたが…

あすみ(あぶなっ、グリーフシードを失敬するんだった!)

手に持っているモーニングスターが光り、その先端部を自分自身に突き刺した

彼女の姿は突然消え、誰も見ることが出来なくなった



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:25:46.59 ID:nfmVKNws0

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マミ「どうかしら?美樹さん」

さやか「あ、上手くいきそうです!マミさんが結構つなげてくれてたんで」

淡い光を放ちながらさやかは笑顔を浮かべる

マミも自分のかなり濁ったソウルジェムをグリーフシードで浄化しながら、ほっとした笑みを浮かべた

さやか「でも何で腕を千切ったんだ?」

徐々につながる黒い少女の腕をじっと見つめながら疑問に思ったことを口に出す

マミ「うーん…私にもさっぱり…」

さやか「…ですよね…この子、うちの学校に転校してからひと言もしゃべらなかったのも関係…あるんですかねぇ?」

マミ「多分…そうね」

さやか「一体何があったろう…」

そんな話をしていると腕がいつの間にかつながり、黒い少女は意識を取り戻した



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:26:18.54 ID:nfmVKNws0

ほむら「…こ…こは?」

マミ「さっき千切った貴方の腕をつなげたわ」

ほむら「!?」

さやか「ほら、あんたのソウルジェムを浄化したよ」

呆然としていた少女の顔はみるみる恐ろしい、怒りに満ちた顔に豹変した

ほむら「…許さない」

さやか「えぇ!?」

手に光が満ちたかと思うと、さやかにめがけて黒い少女は矢を放った

マミ「あぶないっ!」

間一髪でマミがさやかを抱え、空を舞う

無事に着地すると、さやかは大声をあげる



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:29:38.54 ID:nfmVKNws0

さやか「ちょ、とりあえずお礼くらいってよ!!なんだかんだで助けてあげたんだから!」

さやかだって、この転校生が死にたがっているのはわかる

しかし、このままみすみす死なせるわけにもいかないし、
結局死ぬにしても、生きている間は片腕より両腕の方が良いに決まっていると感じる

どうしていきなり理不尽な扱いを受けているのか、いまいち彼女にはわからなかった

マミ「美樹さん、まって!」

マミが口に手を当て、さやかの怒りの言葉を遮る

さやかはしばらくモグモグと言い、落ち着いてから黒い少女を見た

さやか「…」

黒い少女は、目に涙をためて座り込んでいた

ほむら「…私は…助けてなんて…欲しくない…!」



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:30:07.53 ID:nfmVKNws0

ほむら「私は…あの子がいない世界なんて…もう、一分一秒たりとも見たくない…!」

ほむら「あの子に会えなくていい!!ここから立ち去りたい!!!!」

黒い少女はむせび泣いていた

地面に顔を押しつけ、嗚咽を漏らして

“あの子”とはだれを指すのかは知らないが、この少女にとって命と同じくらい…

いや、命よりも大切かもしれない…そんな存在であることが2人には読みとれた

突然マミが銃を空に向かって発砲する

さやか「わっ、マミさんいきなり何ですか!?」

マミ「…出てらっしゃい…何のようかしら?」

さやか「…?」

何の事だかわからないさやかは眉をひそめた



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:30:34.26 ID:nfmVKNws0

黒い少女が泣いているこの場面で、あまりにも空気が読めないのではと思った

マミ「…わかったわ…じゃあこれでどうかしら」

四方八方から現れるリボンが何もない空間を縛り上げた

マミ「捕まえた」

キュウべぇ「…君はもしかして…神名あすみかい?」

あすみ「ひっ…ご…ごめんなさい」

あすみ「…ぬ、盗もうとしたグリーフシードは返すので…ゆ、許して…」

空間から脅えているような声が聞こえ、だんだん人の形が現れる

さやか「女の子?」

銀色の髪にベールをかぶった、ゴスロリ風の服装の可愛らしい少女がマミのリボンに縛られている



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:31:06.47 ID:nfmVKNws0

少女の足元にはグリーフシードとモーニングスターが無造作に転がっているのだ

さやか「あんたも…魔法少女なの?」

小さくうなずくその銀色の少女は、本当に無力に見えた




流石にこの無力そうな少女を拘束するのは気が引けたそうで、マミは魔法を解いた

あすみ「ご、ごめんなさい、魔獣と戦うのが怖くって」
今にも泣きそうな顔でこちらを見る少女に嘘偽りはなさそうに見えた

マミ「でも勝手に持って言っちゃダメよ」

あすみ「ご…ごめんなさい」

にこりとマミは笑うと、あすみの周りに散らばるグリーフシードを拾い上げる

マミ「ほら、どうぞ」

あすみ「え…?」



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:31:36.18 ID:nfmVKNws0

マミ「好きなだけ持っていってね」

あすみ「で、でも…」

マミ「いいのよ、ねっ美樹さん」

さやか「まっ全部は困るけどね~」

2人は小さな少女に向かって微笑みかける

普通ならば、カッコいい先輩として、正義の味方として評価されるだろう

しかし、この少女は違った

あすみ(便利だなぁ)

心の中でほくそ笑みあすみ

お言葉に甘え、グリーフシードをひっかき集める



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:33:56.00 ID:nfmVKNws0

そして大きな声で

あすみ「ありがとう、お姉ちゃん!!」

などと無邪気そうに叫んで、闇に飛び出すのだ

あすみ(うん、あいつらを最初に狩ろうかと思ったけど…すごく使えるわ)

両腕に抱えたグリーフシードを眺め、おぞましい笑みを浮かべる

あすみ(しかも…あの3人…クソ強いみたいだし)

あすみ(特に…才能は一番無さそうだけど…経験をかなり積んでいそうなあの金髪が危ない)

あすみ(もっと幻覚魔法を磨かないと…あの金髪、どうやって私の魔法を見破ったんだろ)

あすみ(はぁ、肉弾戦は一番無謀そうだしな…あの3人に対してじゃ…)

あすみ(さ、今はとりあえず浄化して、何か食べよっと)

闇夜よりも黒く染まった心を持つ少女の瞳があやしく輝いた



129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 09:02:56.27 ID:yQ47WCI+o


ところで>>121だが、マミさんは確か才能(素質)自体は高い部類じゃなかったか?



130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:48:17.06 ID:93AVl7iB0

>>129
確かに一般の魔法少女の中では高い部類です
けれどこの3人の中では素質は一番下ということに…してください
本来ほむらが一番弱いんでしょうけど、
武器が改編前と後で変わってしまった=素質が増えたと勝手に解釈しました

さっき素質について触れたところを読み返してみたら確かにマミさんが魔法少女のなかでも弱いみたいに書いてた
自分の文章力に泣いた

では続きだよ

---------------------------------------------------------------------------------------------

青い髪が淡い太陽の光に照らされる

授業中、教室の窓の外をさやかはぼんやりと眺めていた

さやか(あたし…転校生に何かやったっけ…?)

自分の記憶をじっくりと辿るが、あの黒い少女には辿りつかなかった

さやか(何にしても…あの子、一体何があったんだろう…)

黒い少女が座っているはずの、空の席を見る

今日、彼女は休みだそうだ

さやか(…昨日のせい…かな?…だよなぁ)

はあ~と大きなため息をついた



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:34:24.58 ID:nfmVKNws0

さやか「と、とにかく転校生、泣くのはやめなよ」

そっとハンカチを差し出すさやか。しかし彼女は受け取るのを拒む

その昔、この青い少女が自分のさし出すグリーフシードを一度も受け取ってくれなかったように

その恨み、怒り、悲しみを込めて、いまさら何なのという思いを込めて押し返す

ほむら「ほっといて…私をほっといてよ…」

さやか「でも…」

ほむら「貴方達にはもう関係ないでしょ!?私の勝手じゃない!!」

少女の絶望的な雰囲気にさやかは思わず後ずさりする

マミ「あら、関係ないことないわ」

ほむら「…」

血走った目をマミに向ける



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:36:54.61 ID:nfmVKNws0

ああ、彼女もいつも自分の言うことを聞いてはくれなかった

今度も聞く気は無いのね、と怒りを通り越してあきれたようにも感じた

マミ「私達と同じ学校に通っている…それに美樹さんとは同じクラスでしょ?」

マミ「美樹さんは私の可愛い後輩よ。そのクラスメイトが何か辛いことがあって…
今こうして嘆いているのをどうして無視することが出来るかしら?」

その善意の塊の様な、人によっては少し傲慢さと自己陶酔を感じさせるようなセリフを聞いて暁美ほむら、
彼女の冷めかけていた怒りが3倍ほどにもなってふつふつとわきあがり心を支配していった

ほむら「ふざけないでよ…」



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:37:21.98 ID:nfmVKNws0

ほむら「何なのよ…一体…あんたらは!!」

ほむらは紫色の弓を向けて、なお叫ぶ

ほむら「原因はあんた達にもあったのよ!!」

ほむら「ねえ、その昔一度も私の言うことを聞いてくれなかったわよね!?」

ほむら「いっつも私が貴方達を助けようとして、頑張って手を伸ばしても…結局」

ほむら「結局、その手を振り払い続けたでしょ!?」

ほむら「そして全部終わって…今度はこれ!?」

ほむら「ああ、もういい加減にして頂戴!!!」

ほむら「ほんっとに、ほんとにうざいから!!!」

さやかとマミは呆然と聞いている

彼女はわかっているのだ、こんなこと言ったって彼女達には全く身に覚えが無いことくらい

彼女達に何の非がないことに

けれど、言わずにはいられなかったのだ



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/09(日) 21:38:04.50 ID:nfmVKNws0

今までの時間の恨みを込めて

なぜいまさらという、怒りを込めて叫んだ

そしてほむらは白い翼を広げ、月が隠れている夜空に飛び立った

ほむら(わかってる…2人とも前のことを知らないのは…でもっ)

ほむら(でもっ…それじゃ…)

彼女は手の甲で何度も流れる涙をぬぐった



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:53:10.48 ID:93AVl7iB0

今までなんやかんや、まっすぐ突っ走ってきた

恭介の腕を治すと決めて願った時も

マミさんに押されて恭介に告白したときも

結局フラれて、おお泣きしてマミさんのところへ向った時も

見滝原を守ると決めて魔獣に突撃したときも

まっすぐ突き進めばそれなりの結果がついてきていたのだ

しかし今回、あの黒い少女を救うにはまっすぐ突っ走るだけではダメだとさやかは気づいていた

人生で初めての自殺志願者との出会い

これは中学生の美樹さやかにとっては自分の何かをひっくり返すような出来事だった

あの絶望に満ちた瞳

彼女は今、生きていて…はたして幸せなのか

あのまま…円環の理に導かれた方が良かったんじゃないか…

そんな考えが浮かんでは消えていった

さやか「はぁ~わからん!」

教師「…美樹、お前どの問題がわからんのだ?」

思わず挙げた大声のせいで、しばらくさやかは担当教師と共にワンツーマンで勉強に励むことになる



132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:53:40.78 ID:93AVl7iB0

明るいはずの昼下がり

暗い、湿っぽい部屋のさらに奥

狭いふとんの中、赤いリボンを握りしめている少女が一人

ほむら「…」

彼女の頭の中には宇宙の果て、時限の向こう側と言ったらいいのだろうか…

いや、あれが円環の理だったのかもしれない

まどかと最後にあった、あの瞬間を思い出していた

ほむら「まどかぁ…ねえ、もう一度チャンスを頂戴よ…」

ほむら「今度はっ…今度こそ…皆助けるから…まどか…」



133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:54:33.06 ID:93AVl7iB0

ほむら「だから…円環の理になんて、ならないで…」

いまさらいっても遅すぎる

遅すぎることはわかっている

けれど、少女には受け止めることが出来ない現実だ

少女は、まどかと呼ばれた少女にどうしようもなく会いたかった

本気で会いに行くつもりだった

でも、本当の気持ちは違っていた…

会いたくない、絶対にだ

認めてなるものか、彼女が魔法少女を迎えに行く存在になっているなんて…

ほむらはさらにリボンを握った



134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:54:58.61 ID:93AVl7iB0

信じたくない、信じたくない

まどかは存在する、どこかにだ

強く目を瞑り、せめて今この風景を見まいとする

けれどもはやり、現実から逃れることは出来ないのだ

ほむら「…私、失敗したんだわ…」

ふとんから這い出て、鏡を見る

それから鏡を思いっきり壁に叩きつけ、拳を叩きつけ、ズルズルと座り込む

ほむら「…まどかっ…私…失敗したんだわ…!!」

あぁ無念、彼女の体全身からほとばしる無念



135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:56:43.05 ID:93AVl7iB0

ここまで彼女を苦しめるのは、まどかに執着させるのは何だろうか?

やはり命を対価にしてまどかの救済を祈ったからだろうか?

たがいを思い合った、清らかな友情の慣れ果てがほむらを精神崩壊まで追い込もうとしていた

そしてほむらはとうとう、割れた鏡の破片をみて笑みを浮かべた

ほむら「まどかがいないなら…私が…まどかの代わりに…」

どうしてその発想に至ったのだろうか

まあまどかがいなくなってから、まどかと同じ髪型にしていたくらいだ

その考えに至る予兆はあったと推察してもおかしくは無い

ほむら「まどかの…かわりになればいいんだわ…」

ほむら「そう、いなくなったのは…暁美ほむらよ…」

ほむら「あなたは暁美ほむらの見かけをした鹿目まどかよ…」



136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 21:59:37.99 ID:93AVl7iB0

ほむら「暁美ほむらじゃない…」

黒い少女のささやきが部屋を包みこんでいく、明るい昼下がり

狂気を感じさせるそのつぶやきが部屋の壁にしみこんでいく

そのせいか、明るいのにその部屋だけだんだん気温が下がって行くような気がした



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/10(月) 22:01:08.87 ID:93AVl7iB0

ふう、今日の分終了ね
早く杏子ちゃん登場させたいよ
あとあすみんも出したいよ

不良杏子ちゃん萌え、聖女杏子ちゃんにも萌え

では皆さんまた今週末に会いましょう



145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/11(火) 11:07:56.87 ID:U/6v980SO

乙ー



147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/11(火) 19:59:05.58 ID:J4qQKF8Ro

改変後ならほむらは円環の加護であがってるってのはもともと納得できるけど
さやかは・・・何かあったっけ?
>>129が言ってるのもむしろそっちじゃないかと



148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/11(火) 21:15:37.62 ID:H00yepQP0

スレを覗いたら質問?みたいなのがあったから来たよ~
さやかちゃんは少なくとも改編前は、杏子ちゃんと同じくらいの素質があります

ただマミさんは杏子ちゃん達と比べて素質がどうだったか不明です
調べてみても意外なことに正確な記述がありませんでした

だから>>129さんの言ってることは確かに的外れではないですね
マミさんの素質が杏子ちゃんやさやかちゃん以上の可能性は十分ありえます

まあ私の脳内妄想で出来上がったssですので…おかしい点も多々あります
そんなときは、「おかしいだろw」等と言いつつ私のテキトー設定に合わせていただけたら幸いです

人によっては不快に思う設定に今までしたかもしれませんし、将来的にするかもしれません
とりあえずその時は、ごめんね



149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/14(金) 06:34:58.10 ID:9VliRkiI0

「お、おはよっ!」

普段控えめな子が一生懸命大きな声を出して、必死にあいさつしている声

その声にクラスメイト達は一体誰だと顔をあげる

もちろん、さやかも

さやか(…て…転校生!?)

皆目を丸くする

転校当日からひと言もしゃべらなかった美人の転校生が…あいさつをしている

しかもなんだか雰囲気がガラリと変わったような…

あの刃のように背筋にゾクッと走る殺気や冷たい雰囲気が無くなった

かわりに少し気弱だが、優しげな雰囲気を醸し出している

「暁美…さん?」

恐る恐るほむらに話しかけるクラスメイト



150:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/14(金) 06:35:27.28 ID:9VliRkiI0

以前なら話しかけても冷たい目で一瞥され、完全無視だっただろう

今はにこにこしながらウンウンとうなずき、しかし恥ずかしいのか目は少し逸らし気味

続々と転校生に群がる人、人、人

今まで溜まっていた質問が今炸裂すつ

それに転校生は丁寧に答える

人が多すぎるのだろうか、愛想のよさそうな笑顔に少し困惑も見られる

「この赤いリボン、可愛いね!どこで買ったの?」

ほむら「あ、ありがとう…これ、友達からもらったんだ」

ほむら「だから、どこで買ったかわからないの…ごめんね」

申し訳なさそうに手を合わせ、上目遣いで話すほむら



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/14(金) 06:35:57.25 ID:9VliRkiI0

美人で…性格も実はなかなか良い…さらに何でも出来る

この日を境に誰もが彼女に尊敬のまなざしを向け、彼女の周りには人が絶えることが無くなった

さやか(…おかしいなぁ)

さやかはあの日のほむらの顔を思い出し、今のほむらと見比べてみる

さやか(…やっぱり、変)

さやか(…とにかく“転校してきたばっかりで緊張してあんな雰囲気出てました”とかそんなんじゃない…)

さやか(あの自殺しようとした転校生はどうしたんだ?もしかして…二重人格?)

さやかは自殺を試みようとしていたあのほむらのことが気になって仕方なかった



152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/14(金) 06:36:34.79 ID:9VliRkiI0

しかしどんなにそのことについて話しかけても

ほむら「さやかちゃん…ごめんね。私病気で…夜は基本的に外に出ないようにしてるの」

ほむら「しかもその公園、どこだかわからないし…人違いだと思うな」

としか帰ってこない

さやか(そんなバカな…第一あんな派手な美人がもう一人いてたまるかよ)

さやか(もしかしたら、転校生がああなったのも…私のせいかもしれない)

さやか(あの日、あんな風に止めたのが…悪かったのかな)

さやか(どうしよう…)

さやかは彼女なりに考えをめぐらし、マミに転校生の性格の変化を相談するという結論に達した



155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 21:57:18.94 ID:6PknmUwc0

一人の赤い髪の少女が闇の中を歩く

ぼんやりとした月が闇を少しだけ照らす

もし雲が無かったら影も出来るほど明るい月明かりが辺りを照らしてくれたのだろう

そうならば、きっと今彼女をつけている黒い影をはっきり見ることが出来るのだろう

彼女は鋭い目つきで四方をちらりと見る

杏子(…もう少しつけさせるか…それとも…)

赤い髪がぼんやりとした月光に照らされ、燃えるように輝く

次の瞬間、赤い少女の服が変化し、彼女の手には槍が握られている

槍の先端部の金属部が鈍く輝く

杏子「…出てきな」

後ろを振り向き、何もいない空間に向かって呟く



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 21:58:31.07 ID:6PknmUwc0

杏子「そうかい、わかった。そっちがそうならば…いかせてもらうぜ」

ニッと笑い、槍を一振り

「…!!」

四方八方に張り巡らされる、細い鎖

赤い少女は余裕そうにかまえている

杏子「さ、これで満足か?出てきな」

ガチャン!!

杏子「そこか!!」

音がした方向にまっすぐ突撃する

“姿が見られることのない”少女は、その様子を見てほほ笑みを漏らした

そして彼女の武器、モーニングスターを振り降ろそうとする…が

杏子「はっ、あたしがそんな古典的な方法に引っかかると思ったかい?」



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 21:59:01.48 ID:6PknmUwc0

モーニングスターを降ろそうとする手を止め、後ろを振り返る

彼女の後ろにはいつの間にか赤い少女が立っていた

赤い少女は一見何もない空間に思いっきりほほ笑むと、槍の柄が鎖に変化した

そしてその鎖を思い切り空間にぶつける

ガツン!!

赤い少女は確かな手ごたえを感じる

杏子「とうとうお出ましかい、ストーカー」

「…」

黒く長い髪を二つに結んだ少女が苦々しげに杏子を見上げる



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 21:59:58.62 ID:6PknmUwc0

真っ白な頬に髪を結ぶ赤いリボンと同じ色の液体が流れる

杏子「さて…あたしに何のようかい?」

「…」

黒い少女はモーニングスターを握りしめ、じっと赤い少女を見つめる

杏子「…用が無いなら…」

赤い少女の目は獲物を見つけた、捕食者の瞳であった

杏子「…消えてくんねぇかな?ここ、あたしの縄張りなんだよ」

槍の柄を自在に操り、右から左から襲いかかる

(…どうしよう、全部防ぐのは…)



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:01:41.45 ID:6PknmUwc0

黒い少女の手にあるモーニングスター

彼女の武器の持ち手の部分は鎖

なんとか攻撃を鎖で防ぐが、今にも押し負けてしまいそうだった

正直、銀色の少女の武器は防御にはあまり適していないように思えた

使い方一つで変わるのだろうけれども

杏子「ふん、これで終わりさ」

鎖状に変化した持ち手が元に戻り、強烈な一突きが黒い少女を襲う

「ぐうっ!!!」

杏子「へえ、意外とやるじゃないかい」

黒い少女は全力で強烈な突きを鎖で受け止めるが、長く持たないのは一目瞭然だった

杏子「…ま、残念だったね」

赤い少女は余裕の笑みを浮かべ、黒い少女を嘲り笑う



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:02:11.29 ID:6PknmUwc0

「!?」

彼女の手にある槍のサイズが変わり、モーニングスターにヒビが入った

「…くっ!!」

黒い少女は意を決したように目を瞑り、そして開く

杏子「な!?」

黒い少女の肩に赤い少女の槍が貫通する

黒い少女はモーニングスターを引いたのだ

それから彼女は思い切りモーニングスターを振りあげ、赤い少女に向かって…

では無く、自分に向かって真っ直ぐ振り下ろす

バッ、と辺りに広がる血



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:05:03.87 ID:6PknmUwc0

杏子「お、おい、あんた何やって…」

思わず赤い少女は槍にこめる力を弱める

黒い少女はここぞとばかりに槍を引き抜く

しかし自らを攻撃した上に肩に傷を負っている血だらけの少女は支えを失くして倒れるだろう

誰もがそう思うだろう、それほど黒の少女の傷はひどかった

もちろん、赤い少女もそう思っていた

しかし、予想を裏切る光景が広がった

血だらけの少女の血が消え、一陣の風がふく

杏子「ぐっ!!」

その強風に目を細めてしまう赤い少女

杏子「しまった!」

目を開くともう少女はいない



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:05:49.36 ID:6PknmUwc0

一瞬のスキをついてこの戦闘空間から脱出したのだ

杏子「ちっ」

赤い少女は槍を引っ込めた、いや、動揺し、力を抜いたことを悔やんだ

そしてクルリとその場から背を向け、口に何かを含み歩き出した





「くうっ…はあ、はあ」

小さな黒い影がゴミ捨て場に飛び降りる

黒い少女の肩から血が噴き出している

足から銀色の宝石を取りだし、強く握った



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:07:01.13 ID:6PknmUwc0

すると、肩の傷がだんだんと治ってゆき、遂に傷口がふさがった

「はあ、危なかった…」

沢山積んであるゴミ箱にやれやれと腰かけ、ソウルジェムをしまう

それからモーニングスターを自らにかざすと、彼女の容姿が変化する

黒い髪が銀色に輝き、長い髪は消えてその代わりに短いボブに

どこか見滝原中学の制服を思わせる黒っぽい服装がゴスロリに

赤いリボンがベールと小さなハットに変わっていた

あすみ(とりあえず適当に…変装しといてよかった…)

変装するなら、美人な方が良い

あの公園にいた黒い魔法少女の容姿が気にいったので、変装に使わせてもらった



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:08:08.31 ID:6PknmUwc0

これで…次、あの赤い少女は無実の黒い少女を襲うだろう

勝負に敗れた銀色の少女にはそれが救いだった

あすみ(あいつ…相当強い…初めての相手にはやっぱきつかったな…)

神名あすみ…彼女の初めての魔女狩りは失敗する

佐倉杏子は、神名あすみに圧倒的力の差を見せつけた

固有魔法を利用してクラスの人を、道行く人を無罪の罪をなすりつけたり、襲ったり

悲鳴を上げる人間を、魔法少女になったあすみは嘲り笑った

そんな彼女を嘲り笑ったのは修羅場をくぐり抜けてきた人間…いや、魔法少女という名の化け物の顔

あすみは杏子の顔を思い出し、唇をかむ



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/15(土) 22:14:22.09 ID:6PknmUwc0

あすみ(…やっぱ技を磨かないと、同じ魔法少女を相手に出来そうにない)

精神攻撃につながる、幻覚魔法

この幻覚があの魔法少女達に効かないわけでないだろう、現にさっきは幻を使って脱出したのだから

しかし、姿を見えなくする幻覚が何故だかベテランには見破られてしまう

正直、これを見破られると奇襲がかけられないのだ

今の経験値だけでは、サシでやるとさっきみたいなことになってしまう

今回は良かったものの次回、こうなったら命は無いだろう

ゴミ袋から降りて、街灯も無い夜道を歩きながら今後どうするか考え込む

そして彼女の頭に黄色の髪の、あの公園にいた少女を思い出した

あすみ(…あいつだ)

あすみ(あいつらを上手く利用すればいいんだ…)

あすみ(グリーフシードも回収しやすくなるし、私を鍛えてくれるだろうし…)

あすみ(何より、弱点もわかる)

あすみ(ふふっ、私天才)

恐ろしい闇を背負っている後ろ姿がだんだん車通りの多い、大通りに向かって遠ざかっていった



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:28:07.67 ID:fsOMDn5m0

さやか「マミさ~ん」

一人暮らしのマミの部屋の扉をあける

マミ「あら美樹さん、もういくの?」

部屋の奥の方からパタパタと玄関に向かう足音が聞こえ、ひょいとマミが顔を出す

さやか「いや、あの…実は相談が」

マミ「まあ、今度は何かしら?立ち話も何だからあがって頂戴」

さやか「ありがとうございます」

さやかの頭の中は転校生についてと…あと誰にも言えないが、マミのケーキが食べられることでいっぱいだった



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:28:34.85 ID:fsOMDn5m0

さやか「くう、マミさんのケーキ、やっぱいつ食べてもおいしいっす~」

にこにこと笑みを浮かべてケーキを頬張るさやかを見つめるマミ

マミ「で、相談って何かしら?」

食べることに夢中のさやかがハッとする

さやか「実はですね!かくかくしかじか…」

………

マミ「はあ、あの子が…」

さやか「はい…あの日のことが悪かったのかなって…」

うーんと頭を抱えるさやか

マミ「そうねぇ…その転校生さん、双子とかは?」

さやか「…わからないです」

マミ「そう、まずそこから調べないとね。別人だったら多分、魔法少女ではない…」

マミ「一般人にこの裏の世界…魔法少女の世界を知らせてはいけないわ」

さやか「そうですね…」



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:32:24.16 ID:fsOMDn5m0

マミ「実は私も気になっててね。自殺を止めちゃ悪かったかなって…」

マミは大きくため息をつく

マミ「常識的に考えて私達がやったことは悪くないはずよ…でも…」

マミ「彼女のあの顔を思い出すと…そう思えないの」

マミ「彼女にとって死ぬよりも生きることの方が…辛そうだから…」

目を瞑り、悲しげな顔をしてうつむくマミ

さやかも表情を暗くして、さめた紅茶をちらりと見た

さやか「…どうしてそんなことになったんだろう」

マミ「…わからないわ」

今の彼女たちの記憶には無い、過去

今の彼女たちに理解が出来ない絶望

ほむらの悲しみは誰にも理解してはもらえない、誰もほむらの記憶を体験してはいないのだから

しかし、彼女達にはそんなことは知りえない



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:33:29.41 ID:fsOMDn5m0

ただ、黒い少女…ほむらをどうすれば救えるかを考えた

マミ「…私達に何か出来る…なんて慢心かもしれないけど、そう思って動くしかないわ」

マミ「彼女をこのまま、みすみす死なせるのは良くないし…万が一あの日を境に性格がわかったと仮定して…その原因が私達にあるなら責任を取らなければいけないわ」

結局よい考えは浮かばない

彼女達はお互い黙りこみ、重くなった空気の中さめて冷たくなった紅茶をすすった





マミ「今日の分はざっとこんなもんでいいかしら?」

魔獣を数体倒し、グリーフシードを回収する

さやかも何匹か倒し、グリーフシードを手に入れたようだった

キュウべぇ「流石だ、マミ、さやか」

さやか「まあね~さやかちゃん強いから!」

キュウべぇ「まあ…うん」



173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:34:17.80 ID:fsOMDn5m0

さやか「なに?文句あるの?」

キュウべぇ「い、いいや!(才能はあるけど戦い方がまだ幼稚なんだよ…)それよりも早く浄化して」

マミ「はいはい」

黒く濁ったソウルジェムの穢れがキューブ状のグリーフシードに吸い取られていく

そして使い終わったグリーフシードをキュウべぇにホイと投げる

キュウべぇ「きゅっぴぃ!」

華麗に飛びはねてグリーフシードを回収する

さやか「…キュウべぇってサーカスに行けばきっと人気出るよ…」

その様子を見て、さやかが日頃常々思っていたことを口に出してしまう

最もキュウべぇは全く聞く余裕すらなかったようだったが

マミ「…」

突然、グリーフシードを投げる手を止めるマミ

マミ「…何か…聞こえない?」

さやか「?」

真剣な顔をして、辺りをきょろきょろ見回すマミ



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:34:44.21 ID:fsOMDn5m0

さやかも浄化する手を休めて耳をすませる

さやか「…」

全神経を集中させ、音を聞く

「…けて」

さやか「…!!…マミさん!」

マミ「ええ、聞こえたわ、こっちよ!」

声のした方向へ走りだす2人

キュウべぇ「ちょ、待ってよ!使い終わったグリーフシードをちゃんと処理してからにしてよ!!」

キュウべぇのむなしい叫びは2人に届きはしなかった

キュウべぇ「…もう、訳が分からないよ」

そういいながらキュウべぇは前足を使って、フラフラしながら自分の背中の穴にグリーフシードを投げ入れた



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:35:51.74 ID:fsOMDn5m0

しばらく走ると魔獣の群れが見えた

マミ「あれは…誰か襲われているの!?」

素早くマスケット銃をかまえ、数発魔獣に打ち込む

魔獣の群れはこちらを向く

それから魔獣達は手をかざした、どうやらマミとさやかに標的を移したようだ

さやか「げ、女の子!!」

遠距離攻撃を仕掛けようと剣を空中に漂わせていたさやか

しかし予定外の出来事に攻撃の目標を変えなければ成らなくなった

魔獣の群れの中心にいる銀髪の魔法少女…まだどこか幼い少女は傷だらけで倒れていた

さやか「マミさん、あの子を助けに行きます!援護お願いします!!」

マミの答えも聞かずに両手に剣を持ち、魔獣に突っ込んでいくさやか

マミ「ちょ、もう!わかったわ…」

やれやれとした表情で、マミはリボンを空中に這わせる



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:36:28.27 ID:fsOMDn5m0

さやかはクルクルと回りながら剣を振るい、魔獣を切り殺す

一匹、また一匹と魔獣が消える

さやか(…この間よりも一撃で倒せる数が増えた!)

突然影がさやかを覆う

後ろにビームを放とうとする魔獣がいたのだ

さやか(…!)

ギリギリでよけて、魔獣に足払いを仕掛ける

巨大な体がハデな音を立てて倒れた

マミ「美樹さん、おくれてごめんなさい!無事!?」

違う方の魔獣を空中から射撃していたマミが、さやかが倒した魔獣にトドメをさす



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:36:59.97 ID:fsOMDn5m0

さやか「へへっ、ピンピンしてます!!」

バン!という音が後ろからした

マミがどうやら後ろの魔獣を撃ったようだ

辺りに散らばるキューブ

とうとう、銀髪の少女の元へ行く道が出来た

まだ魔獣はいるが、少女の少し離れたところにいる

マミ「そう、無事でよかったわ!美樹さん!!その子を連れてこっちに来て!!」

さやか「わかりました!」

少女の元へ風のように走り、抱きかかえる

さやか「ちょ、軽い!!!」

あまりの軽さに驚きの声をあげるさやか



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:37:47.72 ID:fsOMDn5m0

遠くにいた魔獣がじわじわと集まってきているのを感じ、また大慌てで走る

マミ「はっ!!」

マミが手を振る

すると空からリボンが降ってきて、お互いに絡み合い、さやかの前に階段が出来た

マミ「美樹さん、階段を上がって!!」

さやか「はい!」

少女を抱えたまま、さやかはさらに走る

さやかが踏み終えたリボンの階段は、崩れてさやかの前に移動して新しい道を作る

時々魔獣のビームが襲いかかったが、さやかの神がかった回避で難を逃れた

リボンの階段を走り抜け、近くの電信柱に飛び上がる

マミ「じゃあ、一気に片付けるわね」

マミは勢いよく飛び出すと大量の銃が空に出現した



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:38:17.88 ID:fsOMDn5m0

コン、という音がしたかと思うと大量の光が残った魔獣に雨のように降り注ぐ

次々に魔獣は倒れ、グリーフシードを残していった

そしてとうとう最後の一匹を倒した

さやか「さっすがマミさん、かっこいい~」

電信柱から飛び降り変身を解く

マミ「もう、おだてても何も出ませんよ。それより…」

マミの視線はさやかに抱えられている魔法少女に移る

マミ「その子は大丈夫?」

さやか「…意識は失ってるみたいですけど…致命傷は無いみたいです」

さやか「でもとりあえず、処置しておきますね」

マミ「そうね、お願い」



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:38:45.75 ID:fsOMDn5m0

さやかの手に青い光が灯り、銀色の少女を包む

あすみ「うぅ…」

あらかたの治療が済むと、少女はうめきながら意識を取り戻した

あすみ「えっと…魔獣…!!」

ガバッと立ちあがり、武器であるモーニングスターを握りしめる

マミ「もう大丈夫よ、魔獣は倒したわ」

あすみ「へ…?」

さやか「おいおい、助けを呼んだのはあんただよ」

ポンと肩を叩き、あすみの頭をさやかはなでる

あすみ「あ…あの、一体…」

さやか「あんた、魔獣を戦って気絶してたのを、マミさんとあたしが助けたってわけ」

胸を張って今までの経歴を語るさやか

あすみ「あ、ご、ごめんなさい、助けていただいてありがとうございます」



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:39:49.60 ID:fsOMDn5m0

大慌てでペコペコと頭を下げるあすみをマミとさやかはほほ笑みながら見つめる

さやか「イイってば~さやかちゃん気にしては無いよ、そんなお礼言われると照れちゃうな~」

頭を掻きながら調子に乗るさやかをマミは少々あきれ気味に、しかし楽しげに見つめている

マミ「…どこかで見覚えがあると思ったら…いまさらだけど貴方、公園にいた…」

マミは少女と同じ高さまでかがみ顔をまじまじと見つめて、ようやく思い出したようだった

あすみ「…ご…ごめんなさい」

きまりが悪そうに顔を下に向ける少女

マミ「いいのよ、気にしないで。貴方初心者だったわよね?」

グスッと目をこすり、コクと少女はうなずいた

マミ「まだ魔法少女になったばかりであの魔獣の群れをたった一人で倒すのはハッキリ言って無理よ」

マミ「無茶は絶対しちゃダメ」



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:41:47.63 ID:fsOMDn5m0

あすみ「はい…ごめんなさい」

少女はボロボロと涙をこぼし始める

マミ「ちょ、責めてるわけじゃないの、それに謝らなくても良いのよ」

マミは泣かれてしまってうろたえ始める

さやか「あー、マミさん泣かせたー!」

などとニヤニヤしながらさやかは少女をなでている

マミ「だっ、だってぇ」

少女に泣かれてしまい、マミも泣きだしそうな顔になっている

さやか「ち、ちょ、マミさんごめんなさいだから泣かないで!!」

大慌てでマミにさやかは謝ってから少女に向き直る

さやか「まあまあ、別にマミさんは君を責めてるわけではないのだよ」

さやか「実際命の危険があるわけだしね」

グズッとしゃくりあげ、あすみはさやかとマミを見上げる



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:42:19.13 ID:fsOMDn5m0

あすみ「…べ、つに、責められたと思ってるわけじゃ、」

さやか「ん?ならどうして?」

あすみ「こ、こわかった…」

またわっと泣きだす少女

さやか「あぁ~…マミさん、どうしましょうか?」

マミ「そうねぇ、とりあえず私の家に落ち着くまでいてもらいますか」

さやか「おおっ!ということは…紅茶が飲める!」

ヤッターと声をあげ、はしゃぐさやかをマミはたしなめて、泣きじゃくる少女をマミは背負い2人は歩き出した

キュウべぇ「あ…もったいない…グリーフシードが転がってるじゃないか!」

フラフラと後を追いかけてきたキュウべぇは地べたに座り込み、ぼやく



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/16(日) 09:48:13.52 ID:fsOMDn5m0

あすみちゃんは実は小柄なんじゃないかって思うのです

だって虐待の一環でご飯あんまり食べさせてもらえなかったら、
栄養不足で体重も増えないし身長もほとんど伸びないんじゃないかと勝手に推測

だからこのssの中では見かけは小4くらいに見えるという設定でいきますね
(あの釣りスレのあすみんの絵を見る限り、なかなか無茶な設定ですが…よろしくね)



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/09/16(日) 10:13:23.53 ID:IDiEfg9mo

虐待ってそんな長期間受けていた訳じゃないでしょ
母親死んで引き取られた先で虐待されたから父親に助け求めたけど捨てられてたから皆不幸にしてやった
という流れ



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:16:47.50 ID:ONfTnxq90

>>185
確かに…いわれてみれば期間は短いな…考えてなかった
ううむ…無理やりだけど母子家庭であまり裕福ではなく、死なない程度に食べるものはあったが
栄養状態は良くなかったという設定も勝手にプラスしよう…

-----------------------------------------------------------------------------------------

あすみ「グズッ…ひっく…」

マミ「…もうだいぶ落ち着いたみたいね。さあ、どうぞ」

目を真っ赤にはらしたが、あらかた泣きやんだあすみにケーキと紅茶を差し出すマミ

さやか「いいなぁ…あたしも食べたい」

マミ「美樹さん、女の子でしょ?」

薄笑いを浮かべ、さやかの体をじいとマミは見る

さやか「うっ…マミさん…わかりましたよ…」

マミ「よろしい」

さやかは別に太っているわけではない、寧ろスタイルは中学生にしては良い

けれど前にマミのケーキを食べ過ぎて体重が増えたの何のとさやかがしつこく愚痴ったため
それ以来マミはさやかが食べ過ぎないか注意しているのだ

あすみ「…お、美味しい…!」

一口ケーキを食べたあすみは目を見開き、感想を述べる

それからまた一口、一口とケーキを食べ進める

みるみると無くなるケーキ



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:18:05.83 ID:ONfTnxq90

あすみの細身で小さな体格の割に減る速度は早く、マミとさやかは目を丸くする

あすみ「はぁ~御馳走様でした」

マミ「…あ、あの、食べるの早いのね…」

あすみ「え?そうですかね」

キョトンとマミの顔を見つめ、さやかの顔を見つめる

さやか「あ、あはは!あんた面白いなぁ、ねえ何歳?」

あすみ「12です。小6なんですよ」

マミ「12歳…てっきり10歳くらいかと思ったわ」

あすみ「ああ…良く言われるんですよ」

さやか「マミさん、見て下さいよ!この腕!!ほっそ!!」

あすみの腕を握り、マミの前にグイと突きだす

マミ「…まあ…羨ましい」

あすみの腕はかなり細く、今にも折れそうだった

マミ「ああ…細いから実際よりも小さく見えて年下に見えるのね」

あすみ「いや、そんな…」



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:18:39.99 ID:ONfTnxq90

さやか「くぅ~羨ましいぞ!!」

拳を握りしめてうらやましがるさやか

その顔を見るなり、あすみは悲しげな顔をする

あすみ「…本当に、いいものではありません…」

マミ「…?どうしたの?」

あすみの異変に気がつき、マミが心配そうに声をかける

あすみ「…だって…グズッ…」

また最初のように泣き始めるあすみ

マミ「…ホラ、涙を拭いて、わけは…話せる?」

あすみの涙にぬれた顔をタオルでマミは優しくふいて、問掛けるマミ

あすみ「ぐずっ…すみません…実は…」

小さな少女は衝撃の事実を語り始める



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:19:49.13 ID:ONfTnxq90

両親が離婚し、母と二人暮らしだったこと

やはり母親が働き手だと収入も少なかったのだろう、家系に余裕が無く食べていくのにやっとだった生活

きっとその頃から細身だったのが容易に想像できた

母親は必死に仕事をしたせいで、過労死

親戚の家に引き取られたが…今度は虐待

それによって、最近は母親と2人暮らししていたことよりも酷い食事に衣類を着せられている

マミ「あすみちゃん…」

あすみ「それから契約しちゃって、頭ではわかってたけど…魔獣と戦うのが怖くって…」

突然あすみは身体に何か温かいものに覆われた

マミがあすみに抱きついたのだ

マミ「大変だったね…大変だったね…」

消え入りそうな声であすみを包み込むマミ

さやかは少し離れたところで目に涙をためて、あすみを見つめている

マミ「あすみちゃん、これから一緒に戦おう」

あすみ「へ…」

マミ「虐待の件も、私何とかするから」

あすみ「あ、何もしなくても大丈夫です。魔法少女になってから暴力が怖く無くなったし…」



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:20:15.35 ID:ONfTnxq90

マミ「よくないわ!!」

肩を揺さぶり、マミは怒鳴る

マミ「そんな…大丈夫じゃないわ…もっと私や美樹さんを頼って…」

あすみは2人を交互に見つめ、笑顔を浮かべる

あすみ「…じゃあ…お言葉に甘えて…」

……
………
…………



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:20:58.84 ID:ONfTnxq90

ガチャーン!!

鏡を拳で殴りつける黒い少女

彼女の腕は鏡の破片で血だらけだった

それでもなお、止めることは無かった

ほむら「…まどか、どうしてまどかじゃないの!!」

鏡に映る自分の顔が憎らしく、疎ましく、恨めしい

どうして自分の助けたかった、最愛のあの子じゃないのか

暁美ほむらには理解できそうになかった

そしてこの現実を相変わらず受け止めるつもりは全くない

ほむら「まどか…今日も貴方みたいに振舞ったの…でもっ」

ほむら「一体どの時間の貴方になってるかわからなくなってくるわ」

ほむら「…まどか…どこにいるの…」

ほむら「いるんでしょう…ねえ」

ほむら「私…絶対…認めないから」

ほむら「まどか、貴方の居場所は私が今のうちに確保しておくから」



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:22:30.15 ID:ONfTnxq90

ほむら「ねぇ、まどかあぁ…帰ってきてぇえええ!!!!」

もう一度大きく鏡を叩く

両手から血が滴り落ち、ほむらの目にも涙がこぼれた

ほむら「まどか…私の望んだことは…そんなんじゃないよ…」

空に向かって吐き出すように呟く

誰かに伝われば、幸いである彼女の本音

結局誰にも伝わらないであろう、彼女のむなしい本音

言葉は誰の耳に届くわけでもなく、空気中に消えていった



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:24:47.49 ID:ONfTnxq90

あすみ(あははっ、上手くいった)

あすみ(いやぁ、読み通り、釣れた釣れた)

邪悪な笑みを浮かべ、自分の家に向かう銀色の少女

あすみ(ほんとにイイ人じゃん、かなり使える)

あすみ(あいつらの戦闘技術をぬすんで、弱点も見つけて)

あすみ(それに…マミって奴の作る料理は美味しい)

あすみ(下手に魔力を消費してコンビニ弁当盗むよりもよっぽどいい)

あすみ(親戚どもやクソ親父…あいつらの絶望した顔もすごく楽しみだけどね…)

あすみ(あの2人の…自分達の正義に陶酔しきったあの顔が…絶望しきったら…想像するだけでもぞくぞくする…!)

あすみ「くくっ…ふっ…ふふふふふっ、あっははははは!!!!」

彼女は大声で笑い、小さな花を踏みつぶした



196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:26:00.17 ID:ONfTnxq90

ほむら「ひっ…!」

杏子「だから、あんたあたしを襲ったじゃないか!!」

真っ赤な髪の少女は白い頬をその派手な髪色と同じくらい紅潮させ、怒っている

ほむら「わ、分かんないよ…全然、知らないよ」

杏子「ちっ、すっとぼけんじゃねえ!!」

彼女の手にはあの槍が握られていた

杏子「お前、私の縄張り荒らしただろ!!」

杏子「それだけでも無茶苦茶腹立つんだよね」

怒りに燃える瞳をほむらにぶつける杏子

ほむら「だから分かんないよ、身に覚えが無いよ!」

ほむらも弓を取りだし、臨戦態勢を取る

杏子「へぇ、変な鉄球の武器かと思ったら、今度は弓かい。バラエティに富んでいる事」



197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:26:27.30 ID:ONfTnxq90

杏子「ま、死んじまえよ新人!!」

2、3回槍を空中で振るい、まっすぐほむらの元へ突進する

ガキン!!

ほむら「や、やめて…!」

杏子「ふーん…弓で受け止める…ねぇ」

ギチギチと槍が食い込む音がする

ほむら「お願い!私、ほんとに身に覚えが無いよ?」

杏子「はぁ?頭ぼけてんじゃねえか?お前」

ズズッと押されるほむら

いまのままではいけない…

本能的に察知したほむらは虎視眈々と次の行動をどうするべきか考える

ほむら(いま…羽はまだ隠しておいた方が良いかも…)

隠す、というよりも空中に逃げようとすることが可能なスキは無い

弓を引けば串刺しになる…

杏子(…今度は逃がしゃしねえ…今度は思い切り突き刺してやる…)

一方杏子はこの間のようにならないためにもどんどん力を込めてほむらの弓を突く

ほむら(…どうしよう、槍が長くて相手に蹴りも入れられないや…)

ピシッ!

ほむらの弓にヒビが入る



198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:27:40.96 ID:ONfTnxq90

ほむら(…そうだ、脅しくらいでいいんだ…相手が私から離れれば!)

杏子(…!)

ほむらの目が紫色に光り、杏子は警戒する

杏子「どわっ!!」

地面から飛び出してきた紫色の光を間一髪でよける

ほむら(今だ!!)

素早く弓を引き、杏子に狙いを定めて撃つ

杏子「ちっ!」

ほむらの攻撃を避けたため、体勢が整いづらいにも関わらずほむらの魔力の込められた矢を槍で払う

ストンと着地し、ほむらとの間合いを杏子は素早く詰めて次の攻撃を仕掛ける

ほむら(早い!!)

杏子の素早さに対応しきれなかったほむらは杏子の足蹴りをモロに食らい吹っ飛ぶ

ほむら(がはっ…)

その衝撃で壁に叩きつけられ、ほむらの髪を結んでいたリボンが解ける

杏子「さあ、もう逃がしゃしねえぞ」



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:30:12.60 ID:ONfTnxq90

ほむら「…佐倉杏子」

杏子「あ!?」

つぶやくようにしゃべるほむらの声色に、ゆっくりと顔をあげたほむらの表情に杏子は戦慄する

ほむら「いい加減にしなさい」

黒く長い髪がザアと風に揺れ、今までの気弱そうな表情はどこへやら、氷の様な冷たく鋭い表情に一変していた

ほむら「私が貴方の縄張りを襲って何のメリットになるのよ」

バシッ!

強烈なほむらの一撃が杏子を襲う

今までと明らかに違う

杏子(何だこいつは…二重人格か?)

もう一撃、紫色の光がまっすぐやってくるのを感じて結界を張る

杏子(…最初戦った奴とまず動きが違う…)

杏子(こいつは明らかに…古株だ、新人じゃねえ)

結界に突きささる矢を見つめて考える

バサッ!

杏子「な…何だ、その羽!?」

ほむら「佐倉杏子…まだ戦うのかしら?」

杏子「くっ…」

槍をギュッと握りしめ、悔しげに空に漂うほむらをにらみつける



200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:30:53.23 ID:ONfTnxq90

地上戦ならば明らかに自分の方が有利だった

相手の武器は弓矢

弓矢は飛び等具なので接近戦となれば槍の方が有利に決まっている

矢を放つ前に接近し、槍で一発かましてやればよかった

素早さなら相手よりも自分の方が勝っている


しかし相手が空中にいるのはまた話は別だ

槍をいくつか出現させて投げつける…という手段もあるが、それも限度がある

槍が届かないほどの高さからあの威力の矢を放たれたら困ったことになる

杏子「…まいったな…」

一か八か槍を数本出現させて上空に向けて発射する

ほむら「そう、わかったわ」

恐ろしいスピードで槍を避けて、杏子の方へ突っ込んでくる

杏子(こいつ…!くそっ、飛んでる方がはやく動けんのかよ!!)

ゴキッ!



201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:31:43.85 ID:ONfTnxq90

杏子のみぞおちに蹴りを食らわせ、先ほど自分の倒れていた場所に降り立つ

杏子「げっほ…がはっ、」

膝をつきむせる杏子を後目にあの落としたリボンを大事そうに拾い上げる

杏子「てめっ…くそっ、」

ほむら「そんなに睨まないで。貴方の縄張りを荒らしたのはほんとに私じゃないわ」

杏子「へっ…そうかい…ゲホッ」

ほむら「とにかく人違いよ、それじゃあ」

余裕そうに杏子を睨みつけ、空の彼方へと消えていった

杏子(確かに…あの透明鎖野郎とは別人っぽいが…)

杏子(何にしても…むかむかする…!)

バキッ

隣の壁を震える拳で杏子はぶち壊した

杏子「っだぁああああ!!!」

杏子「畜生…人違いにしても…むっかつく野郎だ」

悔しそうに唇を噛み、ほむらの飛び去った空中を睨む



202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:32:28.67 ID:ONfTnxq90

マミ「凄いじゃない、あすみちゃん」

あすみ「へへっ、照れるなぁ」

さやか「おお、照れてる!可愛いぞぉ」

モーニングスターを上手く扱い、魔獣を数体倒したあすみ

あすみはあの日からマミとさやかと一緒に行動し、魔獣を倒している

戦闘方法あすみに教えたのはマミだが、彼女自身あすみの成長の早さに驚いていた

さやか「あたしなんて馬鹿だから、マミさんから何にも吸収してないやーあははっ」

マミ「…美樹さんはそれでやっていけるから凄いわよね」

あすみ「ですよね…」

苦笑いで2人はおどけて笑うさやかを見つめる

さやかは本来防御力が高く、回復を得意とする魔法少女であるにも関わらず、戦闘能力が高いため、単純に相手を切りつけるだけで成り立っていけるのだ

誰かに教えを請わねば、はじめは1、2匹を狩るので手一杯なのである



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:33:38.93 ID:ONfTnxq90

さやか「それにしてもあすみちゃん強くなったなあ、流石私の嫁!」

あすみ「あっ、あはははは…」

マミ「あすみちゃん、気にしちゃダメよ」

あすみ「わかりました、マミさん」

さやか「ちょ、マミさん何言ってるんですか!」

あはははと笑顔に満ちる空間

あすみ(ふっ、ばっかだよね…ほんと、お人よし過ぎってゆーか…)

あすみ(よく…今までこれで生きて来れたよね…正直あり得ないや)

ソウルジェムを浄化しつつ、影に隠れてほほ笑むあすみ

キュウべぇ「きゅぷ、君たち浄化を済ませたら僕にグリーフシードをくれ」

さやか「はいはい…それっ!」

キュウべぇ「うわっと…うわっ!」

ニヤニヤとさやかは笑いながらキュウべぇが必死にグリーフシードを回収する様子を見る

キュウべぇ「ちょ、今日は大切な話があるんだからやめてくれよ!」

ゼエゼエと息を荒げながらキュウべぇは怒ったように叫ぶ



204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:34:13.00 ID:ONfTnxq90

さやか「へぇ、大切な話?」

マミ「何かしら?…あんまりキュウべぇはそんな話したことないし…」

キュウべぇ「魔法少女狩りが始まるかもしれない」

あすみ「…」

あすみは少しギクッとした様子だったが、誰も気がつく風は無かった

マミ「魔法少女…狩り!?」

さやか「しかも始まるかもしれないって、そんなあいまいな…」

2人はきょとんとして、顔を見合わせる

キュウべぇ「隣町の佐倉杏子から情報が来たんだ、マミ、君は彼女を知っているだろうね」

マミ「え…ええ、それより佐倉さんは!?」

キュウべぇ「無事さ。ピンピンしてる」

ほっと胸をなでおろした後、渋い顔をして地面を見つめるマミ

さやか「…?マミさん??」

マミの異変に気がつき、心配そうにのぞきこむ

さやか「どうしたの…?」



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:35:13.40 ID:ONfTnxq90

マミ「まあ、ちょっと…ね」

キュウべぇ「昔、佐倉杏子と共にマミは闘ってたんだ。丁度さやかのようにね」

マミ「キュウべぇ!」

キュウべぇ「いいじゃないか、別に。過ぎたことだし」

マミ「で…でも」

さやか「そっ、そうだよ!キュウべぇ!デリカシーないよ!」

あすみ「嫌なことは無理に聞かない方がいいと思うよ…」

キュウべぇ「何だい、神名あすみ。君までそんな風に言うとは思わなかった」

キュウべぇ「ま、とにかく…同族でも襲ってくることがあるんだ、気をつけて」

それだけ告げると逃げるようにキュウべぇは草むらに入っていった

あすみ「…魔法少女…狩り…」

泣きだしそうな顔でマミとさやかを見るあすみ

マミ「あすみちゃん…」

さやか「大丈夫だよ!悪い奴からさやかちゃんが守ってあげるからさぁ~」

マミ「美樹さん、貴方も新人なんだから用心して」

さやか「うっ…」

マミ「2人とも、同じ魔法少女を見かけても気を許さないで気をつけましょう」

あすみ・さやか「はーい」

魔法少女狩りの犯人は、近くにいる

そのことにさやかとマミはまだ気づいてなかった



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:52:28.65 ID:ONfTnxq90

さやか「…」

さやかはある一点を見つめている

教室の明るい場所に一つの机がある

そこに黒髪ツインテールの美少女が座るのだ

そしてクラスメイトがわんさかと集まり、お喋りに夢中になる

さやか「…暁美ほむら…魔法少女…なのかな?」

いまいち尻尾がつかめない

家族関係を聞きだし一人っ子であることはわかった

ここに来た理由が病気を完治するためであることも

ならばと魔法少女のことをちらつかせるが反応しないような、したような…

ハッキリ言おう、胡散臭いのだ

あの喋り方、表情

胡散臭い

さやかはそう感じずにはいられなかった



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 17:52:58.99 ID:ONfTnxq90

さやか(…まさかとは思うけど…あの転校生が…魔法少女狩りを…)

さやか(いかんいかん、証拠もないのにそんなことを…でも…)

あの夜のほむらは誰かまわず殺してしまいそうな雰囲気を醸し出していたのは事実だった

さやか(そういえば…あの日…)

----許さない---

さやかは背筋に冷たい汗が流れた

さやか(あれ…あたしたちに言ったんだよね…)

さやか(…転校生はあたしたちのこと…許さないって、何が原因かは知らないけど…)

さやか(とにかく、あの転校生は…危ないと思っておいてよさそう)

さやか(あとマミさんに相談して…あすみちゃんに注意するように言わなきゃ)



208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:16:25.32 ID:ONfTnxq90

杏子「…」

たいやきを頬張りながら昼下がりに1人の少女は歩く

普通ならば学校へ行っている時間

しかし彼女は学校へなどいってはいない

このたいやきはさっき盗んできた金で買ったものだった

俗に言う、不良

そして彼女には悪行を止めてくれる家族はいない

反発すべき家族は誰一人いなかった

杏子(…ん?)

しばらく歩くと小さな公園にポツンと銀髪の少女が座っていた

杏子(…不登校…か)

あの風貌だと不良というよりも引きもこりだろうか…

じいとしばらくその少女の様子をうかがっているうちに杏子はおかしなことに気がつく

杏子(…何でこの季節に長袖なんだ…)

おかしい、何かおかしい

杏子は息をのみ、もうしばらく様子を見る

すると少女は熱くなったのか、そっと腕をまくった

杏子(!!)



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:16:57.92 ID:ONfTnxq90

赤いあざがいくつも白い腕に出来ていた

それを少女は無関心そうに見ているが、杏子は思わず少女の元へ走った

杏子「おい、あんた」

あすみ「…!!」

少女はびっくりする

表情に出ては無いだろうが、彼女は動揺していた

あすみ(こいつ…まさか、私に気がついたのかな)

杏子「あのな…」

あすみ「…」

警戒し、息を飲む

いつでも戦えるように、どうやって逃げるかを急いで考える

杏子「これ、食うかい?」



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:17:26.39 ID:ONfTnxq90

お笑い芸人のようにずっこけそうになるあすみ

とにかくすんでの所でそれを防ぎ、苦笑いを浮かべながら差し出されたたいやきを貰う

あすみ「ありがとうございます」

杏子「いや、気にすんなよ」

杏子「それよりあんた…学校は?」

あすみ「!!」

あすみの動きが止まる

杏子「あ、別に…行けって言ってるわけじゃないんだ。あたしだってこんなんだし」

杏子「ただ、あんたの腕見てさ…」



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:18:02.87 ID:ONfTnxq90

控えめににあすみの腕を見つめる杏子は悲しげだった

あすみ(なんだ…そんなことだったんだ…)

あすみ(こいつも…マミ達の一緒の輩か…丁度いい、こいつも標的にしてやろっと)

あすみ「別に大丈夫だよ」

あすみ「お姉ちゃんは優しいんだね」

杏子「べっ別にそんなわけじゃ…」

杏子「…妹のことを思い出しちまってな」

誰かが誰かを気にかける

そんな素晴らしい世界…

しかし、銀色の少女にとっては、ただただ目ざわりで、負の部分しかないような心を
さらに暗くするばかりである



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:32:33.94 ID:ONfTnxq90

マミ「あら…貴方…」

吃驚した顔で目の前の少女を見つめる

杏子「よ、よお…久しぶりだな」

マミ「どうして…ここに」

杏子「こいつが連れてきたんだよ」

マミが赤い髪の少女の隣に視線を移すと…

あすみ「マミ…さん」

マミ「あすみちゃん!」

小さな少女が杏子にくっついていた

マミ「何かあったの!?」

杏子「いや、こいつが公園でボーっとしてたのを見つけて、たいやきやったらさ、話に花が咲いて…」

杏子「んで、魔法少女だってわかって、お前とつるんでるのを知ったわけ」

杏子「ほら、この間あたし襲われたからさ、取り合えずここまで送ってきたわけ」

マミ「そういうことなの…とりあえず、少し上がっていかないかしら?」

杏子「は?あたしは昔のこと忘れたわけじゃないけど!?」

キッと杏子はマミを睨みつけるがマミはにこにことしたままだった



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/17(月) 18:33:04.70 ID:ONfTnxq90

マミ「私も忘れたわけじゃないけど…お礼したいし…貴方お腹減ってるんじゃない?」

杏子「腹なんて減ってるわけないだろ!!」

そう叫んだ矢先、お腹の音が辺りに響いた

マミ「ふっふふふ、そんな意地張らなくても」

あすみ「あっははっははは、杏子さんお腹減ってるじゃん!!」

顔を真っ赤にして、しかし口先だけ意地を張る

杏子「くっ…どうしてもっていうなら…寄ってってもいいぞ!!」

マミ「はいはい、じゃあ2人ともあがって」

パタパタとマミが部屋の奥へ走る音が聞こえた



223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:09:52.71 ID:TAENOt+00

杏子「うんめー!」

素手、しかも両手でケーキを貪るように食べるのをマミはやれやれと言わんばかりの顔で見つめる

マミ「もう、佐倉さんお行儀が悪いわ」

杏子「るせー!!」

あすみ「まあまあ…杏子さん、とりあえず素手は…」

杏子「おい、てめーまでそんなこというのか、あん?」

あすみの頭をぐりぐりと杏子は掴む

あすみ「いててっ、ちょ、すいません」

杏子「ふっ、わかったならいいんだよ」

ニヤリと笑い、またケーキを食べ始める

あすみ「もう、乱暴しないでくださいよ」

杏子「おー、ごめんごめん」

ずずっと音をたてて紅茶をすすり、杏子はおどけた表情から真剣なまなざしに変化した



224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:10:41.69 ID:TAENOt+00

杏子「なあ、マミ」

マミ「何かしら?」

杏子「あすみの件…どうするか」

あすみ「え、杏子さんいいよ、大丈夫…」

杏子「んなわけねえだろっ!!」

バシッと机を叩き、あすみを睨みつける

マミ「さ、佐倉さん落ち着いて!」

杏子「おい、マミっ!早くこいつの腕と頭を治せ!!」

マミ「え…?」

杏子「これを見ろっ!」

杏子は乱暴に、しかし傷口に触れないようにあすみを捕まえる

そして長袖をまくり、前髪をあげる

あすみ「ちょ、止めて下さい…」

痛々しいあざや、切り傷をマミと杏子は痛々しげに見つめた

杏子「腕だけなら…まだこいつの言い分を聞こうと思ったけどな…
さっき頭掴んだ時にでこの傷に気がついた…」

マミ「…あすみちゃん」

あすみ「…」



225:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:11:06.98 ID:TAENOt+00

マミ「初めて会ったときね、親戚のことは外部に知らせなくていいって言ってたよね」

あすみ「はい、今も…」

マミ「もうダメよ…」

マミ「知らせるよりも、魔力の消費を減らすためにも傷を治して欲しいってあすみちゃんは私に頼んだけど…もう見てられないわ」

あすみ「…マミ…さん」

マミ「児童相談所と学校に連絡させてもらうわ」

スタスタと受話器の方へ歩き出すマミをあすみは必死で抑える

あすみ「マミさん、ダメです!」

マミ「どうして!?」

あすみ「それは…」

あすみは黙りこむ

なぜなら…彼女は親戚が不幸に陥る瞬間をこの目でみる

ただそれだけのためにあの忌々しい家にいるのだ

警察に逮捕…そんなもの甘い

彼女が彼らに求める不幸はそんなものではない、もっと…“死”以上の絶望だった



226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:11:44.91 ID:TAENOt+00

あすみの恨みが大きいからだろうか、彼らには未だに不幸が訪れていない

あすみ「マミさん…児童相談所は何もしてくれません…」

あすみ「前に学校に相談して…児童相談所へ連絡したんですが…ダメでした」

グズグズと涙を流して見せるあすみ

もちろん、これは嘘泣きである

しかし、児童相談所の件は本当だった

まだ純真な心を持っていた時、なんとかしてほしい一心で助けを求めただ…ダメだったのだ

明確な証拠が無かったからだ

それだけではない、親戚がどう説明したのか結局あすみ自身が悪いとされてしまった

学校側もそれ以上面倒を見たくなかったのであろう、それ以上相談しても無駄だった

あの時、あすみは何度目かの絶望を迎えたのだ



227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:12:32.13 ID:TAENOt+00

あすみ(…嫌なこと思い出したな…最悪…)

あすみ(ま、これでマミもあきらめるでしょ)

マミは予想通り、受話器に手をかけることは無かった…しかし

マミ「なら…家に来て」

あすみ「…は?」

あすみは目を今までの3倍も大きくして立ちすくんだ

マミ「私はどうせ親はもういないし、親戚は遠くに住んでるわ」

マミ「だからあすみちゃんの親戚たちがなんと言おうと困ることはないの」

マミ「だから私の所へいらっしゃい」

あすみ「マミさん…」

困ったことになった

確かにマミと住むのはあまり悪い話ではないが…正直マミのことは好きではない

うざったいし、無駄に正義ぶる、傲慢そうな所が嫌いだ



228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:13:02.19 ID:TAENOt+00

正直今までのご飯を食べさせてくれたり、お風呂に入らせてくれる、というそれだけの関係が楽だった

断ろうと思い、言葉を発しようとするが、杏子とマミの顔を見て断ることをやめた

彼女達は、自分がこの申し出を断ろうものなら今すぐにでも受話器を取って連絡するだろう

そして…まあ、児童相談所に連絡され…万が一私が保護された場合…

そっちの方が親戚の不幸を見届けることが難しそうだ

まだマミの家にいる方が自分の家にも近いし…親戚たちの様子を頻繁に見にいけそうだ

あすみ(仕方が無い、保護されるよりもマシか)

あすみ「じ、じゃあ…お言葉に甘えて…」

視線を地面からマミの顔に移す

あすみ「よろしく…お願いします」

マミ「こちらこそ!」

ぱあっと輝いたマミの顔を心の中で疎ましげにあすみは見つめた



229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:13:31.41 ID:TAENOt+00

ほむら「えっと…さ、さやかちゃん」

さやか「て…じゃない、暁美さん、どうしたの?」

いきなり帰り際、ほむらに声をかけられ緊張が走るさやか

ほむら「あの…一緒に帰れないかなって…」

おどおどとした様子で、顔色を窺うような表情を浮かべて尋ねる

さやか「え、いいけど…」

ほむら「よかった…あのね、話したいことがあるの」

さやか(話したいことって…何だ!?まさか…魔法少女のこと…?)

ゴクリと唾を飲み、考えを読み取られないように笑う

さやか「珍しいなぁ~、いつもあたしから話しかけてばっかりだから」

ほむらはにこにこと優しそうな笑みを浮かべてさやかを見つめる

ほむら「確かにそうだね。あ、帰る途中この間出来た喫茶店に寄っていい?」

ほむら「そこで詳しく話すから」



230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:13:57.55 ID:TAENOt+00

さやか「よしっ、今日は暁美さんとデートだぁー!」

大きな声で手を振り上げて叫ぶ

正直、さやかはほむらのことが不気味でたまらなく、喫茶店なんて行きたくなかった

しかしここで変に断り、後々大変なことになったらもっとヤバいので、震える足をばれないように引きずり、教室をほむらと共に後にした




ほむら「あのね…」

さやか「う、うん」

ここは喫茶店

ほむらに話したいことがると誘われてここにやってきたのだ

ほむらがもし魔女狩りの犯人だったら…自分に恨みを抱いていたら…



231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:15:20.54 ID:TAENOt+00

さやかは自然と体が硬直する感じがした

ほむら「鹿目まどかって…知らない…かな?」

さやか「はひっ…!?」

ほむら「髪の毛の色はピンクで、赤いリボンで二つ結びをしてる小っちゃい女の子」

ほむらはどこか悲しげに聞いてくる

さやかは予想外の質問だった

とにかく必死で頭のひねり、記憶の引き出しを残らずすべて開ける

しかし、記憶にそんな少女はいなかった

さやか「ごっめ~ん、あたし馬鹿だから、覚えてないや」

…怒らせないか、さやかは内心びくびくしている

ほむら「あ、ごめんね、あたしも…変なこと言っちゃって…それに、わざわざ呼び出しちゃって…」

ほむら「私、さやかちゃんの分もお会計しとくね」

ほむらはやはり悲しげな顔をしたまま、席を立ち、会計へと向かう



232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:16:05.05 ID:TAENOt+00

さやか「はっ、いいよ、待って!あたしも…」

ボーっとしていたため、時はすでに遅かった

もう払い終わってしまったのだ

さやか「ほんと、別によかったのに。いくらだった?」

ほむら「いや、こっちこそ呼び出したし…その、御礼ってことで、ね?」

にっこりと笑うほむら

その笑みがあまりにかわいらしく、胡散臭さもない

さやかは思わず黙ってしまう

さやか(…ほんとにあの公園のと同一人物なのかな…?)

そう疑ってしまうほどだった

さやか(とにかく、マミさんにこのことは報告しておいた方がよさそうだ…)

しばらくほむらとのおしゃべりを楽しみ、もう帰らなくてはと言うことで、解散となった

さやかはすぐさまマミの部屋があるマンションへ足を運ぶ



233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:16:47.98 ID:TAENOt+00

さやか「おじゃましま~す、あれ?」

見慣れない靴が1足ある

さやかは疑問に思い、部屋の奥へ行くと…

マミ「あら、美樹さん」

あすみ「さやかさん!」

杏子「あー?誰だこいつ?」

マミにあすみはいつも見る面々…だがこの素手でケーキをむさぼるように食べる赤い髪の少女は初めて見る

しかも初対面の相手に誰だとは、ずいぶん言葉使いの荒いやつだ

さやかは少し、ピキッときた

マミ「こら、美樹さやかさん」

杏子「あぁ、よろしく。あたし、佐倉杏子だ」

さやか「よろしく…それよりマミさん」

バタバタと荷物を下ろし、自分が今日考えたことをマミに告白する



234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:17:14.69 ID:TAENOt+00

マミ「そう…あの子が…」

マミも顎に手を当てて考え込んでしまった

杏子「おい、その転校生って奴は黒髪で二つ結びか、赤のリボンの?」

さやか「そうだけど…」

杏子「あ、そいつだ」

マミ・さやか「え!?」

2人とも素っ頓狂な声をあげた

杏子「まてまて、まず偽物と本物がいる」

あすみは自分の表情がこわばっていくのがわかった

杏子「どっちが偽物で…どっちが本物かわからないけど、あたしを襲ったのは…」

杏子「鉄球を持ってて…透明になれる奴だ。弓矢持ちのやつはどうも違う」

マミとさやかは公園でのほむらを思い出す

武器は弓矢、空を飛べる…



235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:18:22.18 ID:TAENOt+00

マミ「…私達の知っている子は…弓矢持ちだから」

杏子「多分、魔女狩りの意思は無い…と思う」

うううっとさやかはテーブルに突っ伏す

さやか「はぁ~…まあ転校生が魔女狩りの犯人じゃないのはいいけど…」

さやか「鉄球で透明…なんて一体…あ」

テーブルから身を起こす

マミも杏子もあすみの顔を見つめている…

あすみ「…あ…の…」

マミ「あすみちゃん」

あすみ「ひっ」

マミ「何かあったなら言って頂戴」

杏子「そうそう、あすみが魔女狩りをするとは思わない。もしかしてお前、能力とられたんじゃない?」

あすみは杏子のひと言で生きた心地がした

よし、このネタを拝借しよう



236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:19:22.80 ID:TAENOt+00

あすみ「…ご…ごめんなさい、実は…私襲われたことがあるんです…」

あすみは顔を真っ青にしてガタガタと震える

マミ「どこで!?」

あすみ「覚えてないです…とにかく長い黒髪の人で、私をおさえつけた…と思うんです」

さやか「はぁ~、こんな子を襲うなんて、ゴミ以下だね」

あすみ「私は…正直そのあと何をされたか覚えてないんですけど…とにかく怖かったです…」

相変わらず震えるあすみ

マミはあすみの手を握り、力強くこう言った

マミ「あすみちゃん、心配しないで」

マミ「私達が守ってあげるから」

あすみはべそをかきながらコクコクとマミに向かってうなずく

杏子「にしても、あんたも大変だったなぁ~」

うーんと伸びをしながら杏子は呟く

杏子「何にしても、相手は新人だった。弱かったよ」

杏子「ま、だから襲ってきても安心していいぞ」

あすみ「そう…ですか…」



237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/21(金) 21:19:48.86 ID:TAENOt+00

さやか「そうそう、さやかちゃんがどんな所からでも助けに来てあげるから安心しなさい!!」

杏子「おいマミ、こいつ強いのか?」

さやか「はあ!?いきなり人のことそんな風に言わなくても良いでしょー!」

杏子「弱かったらお前も保護対象に入れなきゃいけないだろ!」

さやか「マミさん、あたしは大丈夫ですよね」

マミ「あ、あはは…」

杏子「マミ、苦笑いしてるじゃねえか!!」

さやか「うっさいなあ、苦笑いじゃないじゃん!!」

ギャーギャー騒ぐ杏子とさやかを後目にあすみは、早く行動に移るべきであると痛感していた

あすみ(…一番はじめにやるなら…)

あすみの視線はさやかに向かった



243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:13:21.32 ID:uRSsjD/v0

魔獣狩りに出かけた時である

魔獣をいつものように倒して帰ろうとした時…何かが3人を襲った

マミ「くっ…!?」

さやか「どこにいるんだ!?」

何かがいる…しかし見えない

マミ「こいつ…」

さやか「杏子が言ってた?」

マミ「ええ、確かに姿は見えないけど…」

マミはマスケット銃を何も見えない空間にパンと撃つ

すると黒い何かが落ちてきた

マミ「貴方は…」

さやか「転校生…の姿を借りた誰か!」

ほむらの姿をした誰かは…フラッとしながら悔しげにマミを見つめる

足から血が流れていた

マミ「残念ね、姿は隠しても…魔力の流れは感じるの」

マミはもう一度狙いを定め、発砲しようとするが…



244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:14:38.69 ID:uRSsjD/v0

黒い少女は一瞬にしてその場から消え、あすみみ向かって一直線に向かった

あすみ「きゃああああ!!」

マミとさやかは動きを止めた

ほむら「残念でした…私、貴方達が嫌いなのよね」

ほむら「あ、あと姿を借りてるわけじゃないわ」

ほむら「私は暁美ほむらよ」

2人は驚愕して黒い少女を見つめる

さやか「うそだっ…それじゃ証拠を…」

ほむら「ホラ、証拠もあるわ」

バサリと白く輝く羽を広げた

その光…大きさ

あの日のほむらの翼そのものだった

マミ「そんな…」

マミは憎肉しげに銃をかまえるが、あすみが人質にとられているため、下手に手は出せない

ほむら「さ、ソウルジェムはどこかな~」

あすみは泣きながら動けずにいる



245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:15:13.38 ID:uRSsjD/v0

ほむら「あ、あった!」

あすみの銀色に輝くソウルジェムを取りだした

ほむら「じゃあね、おチビさん」

突然ほむらはあすみを突き飛ばし、空に逃げ去った

杏子「ちっ…仕留め損ねたか」

さやか「杏子!」

ほむらは空中で白い羽をはばたかせている、その手にモーニングスター

杏子「どういうこった…?私を襲った奴と空を飛べる奴は別人だと…」

ほむら「残念でした、全部私よ」

杏子「…ちっ、くそったれ!!」

杏子は槍を投げつける

マミをそれに続けてマスケット銃を乱射し、さやかは長剣を投げつける

ほむらは全て華麗に避けたが、面白く無さそうな顔をした

ほむら「…流石に3対1じゃ、不利だわ…」



246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:16:12.49 ID:uRSsjD/v0

ほむらはクルリと空中で一回転し、姿が消え去った

杏子「…どうしてだ!?あの時はわかったのに…魔力が消えてる!!」

マミ「…しまったわ…言わなきゃよかった」

マミは自分の軽率さをこれほど恨んだことは無い

どうやら黒い少女は自分の発言を元に、魔力まで消し去ったようだった

マミ「相当…強いみたいね」

さやか「そうだね…」

杏子「あいつ…あすみ、気をつけろよ」

あすみ「うん」

マミ「あすみちゃんも、姿を隠す時は魔力も隠さないとダメよ?」

あすみ「分かったよ」



247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:17:41.92 ID:uRSsjD/v0

あすみは不安に満ちた表情で全身が震えているが、なんとか笑顔を浮かべた

あすみ(…狙い通り…)

マミの家に帰って、一人になった時にどす黒い笑みを浮かべる

そう、このほむらは全てあすみによって作り出された幻

自分が疑われない方にするため…

確実に奇襲へとつなげるために

あすみの計画は確実に実行されていった

マミ「あすみちゃん、一緒にお買いものいきましょう?」

あすみ「はーい!」

マミ「今日は作ろっか?」

あすみ「えーっと…」

……
………



248:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:18:24.53 ID:uRSsjD/v0

ほむら「…」

ほむらは一人で歩いている

学校は休んでしまった

まどかの痕跡は、学校には無かった

まどかがいないなら、何の意味もなかった

ほむら「…ここは…」

まどかがキュウべぇと出会う、CDショップ

まどかがいるかと思い探すがいない

いつも魔女が出現する地下にいくが、やっぱりまどかにつながるものは無い

マミが戦死する病院にも足を運ぶ

やはりまどかはいなかったし、まどかを知っている人はいなかった

ほむら「…」

ほむらはまた次の場所に歩き始める

まどかの証拠を探すために



249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:18:50.32 ID:uRSsjD/v0

しばらく歩くと見なれぬ公園を見つけた

ほむら「…」

銀髪の少女がブランコに乗っている

小学生くらいだろう…学校はどうしたのだろうか

人のことをいえないが、気になりはするだろう

しかし、あの少女がまどかのことを知っているとは思えない

無視をして歩き始めようとする

しかし、何かがほむらのスカートの裾を引っ張った

ほむら「…!?」

振り向くと、さっきまでブランコに乗っていた銀髪の少女がいるではないか

しかも…さっきまではただの長袖にズボンという、簡素な格好だったのに、一瞬にして黒の基調のゴスロリになっていた

しかも手には…モーニングスター…

そしてそれを握る手は振り上げられた



250:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:19:16.41 ID:uRSsjD/v0

ほむらは全身に鳥肌が立ち、全力で避ける

ガコン!

公園の砂が舞った

ほむら「貴方…一体だれ…!?」

あすみ「あーあ、仕留められなかったかぁ…残念」

ほむら「答えてよ!」

ほむらがあすみに向かって矢をかまえる

あすみ「ちっ」

あすみは舌打ちをして、自らに向かってモーニングスターを振り下ろした

ほむら「何を…!!」

馬鹿なこと、しちゃダメ!と続けようとしたが、目の前の銀色の少女が血に染まることは無かった

かわりに少女はすっかり姿を消してしまった

ほむら「…」

落ち着いて辺りを見回すほむら

突然目の前の空気が動き、ほむらは寸でで攻撃を避ける

ガチン、グワン

感覚だけが頼りだった

ほむらは白い翼を広げ、ひとまず空中へ飛び立つ

あすみ「あーあ…にげられちったか…」

目を三角につりあがらせて、ほむらを睨む



251:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:19:45.44 ID:uRSsjD/v0

あすみ「悔しいなあ…そ・う・だ」

あすみはニヤリとして地面にモーニングスターを打ちつける

すると地中からいくつもの鎖が伸びてきて、ほむらに襲いかかった

ほむら「くっ!」

ほむらは恐ろしいスピードで次々と鎖を避けるが、鎖はどんどんとほむらに襲いかかる

遂に足と羽に絡みつき、ほむらは墜落してしまった

あすみ「あはははっ、みじめだなぁ~」

ブンブンとモーニングスターをまわしながらほむらを見下ろすあすみ

ほむらは鎖が絡みついて上手く動けない

ほむら「貴方の狙いは…何なの?」

あすみはうーんと考える仕草をして、にっこりと笑った

あすみ「これが私の幸せって奴かな~」

狂気のにじむ笑顔を向けた



252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:20:39.71 ID:uRSsjD/v0

ほむらの額に脂汗が浮かぶ

ヤバい…こいつはかなりヤバい

そう思わざるおえない雰囲気をあすみは漂わせる

あすみ「一回赤髪女を襲ったけど、あの時は弱かったからねぇ」

あすみ「ふふっ、今はマミって奴に仕込まれてなかなか強くなったみたい」

赤髪とマミという単語を聞き、ほむらははっとする

あすみ「いやぁ、弟子に殺されるって、どんな気分なのかな?」

あすみはほむらにグイッと顔を近づけて口を横に一杯広げた

あすみ「やっぱり…か・な・し・い??」

最高に狂った笑顔をほむらに向けて、あはははと大声で叫んで笑う

あすみ「そりゃ、悲しいよね~っつははははっ、でも私は楽しいんだもん」



253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:21:05.56 ID:uRSsjD/v0

ほむら「貴方…まさか…」

あすみ「うん?まだ2人とも生きてるけど?知り合いなの?」

ほむらの顔つきはだんだんと険しくなり、とげの含んだ声でこう言った

ほむら「狂ってるわ」

あすみ「じゃあ貴方は狂っていないの?」

あすみ「狂ってない人間がいたら教えて欲しいなぁ…」

あすみは空を見上げながら、思いっきり地面を蹴った



254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/09/23(日) 18:21:35.29 ID:uRSsjD/v0

地面に縛り付けられているほむらの目や鼻にモロに砂がかかった

ほむらは激しくむせる

あすみ「ふふっ、可哀想だなあ」

あすみはグイッとほむらの顎を持つ

あすみ「今からもっと可哀想な目にあわせてあげるね…」

ほむらは涙で前が見えないが、モーニングスターを振り上げる、風を切る感じが肌に伝わってきた

あすみ「あははっ、夢の世界へ行ってらっしゃい」

「待てっ!!」

何かが飛び出し、モーニングスターを受け止める

あすみ「さやか…さん」

さやか「くっ」

白いマントを翻し、さやかはモーニングスターを剣で押し返した



267:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/06(土) 18:30:15.86 ID:6GlI285c0

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さやかはその日の朝、ほむらが学校から逆走していくのを偶然見かけた

さやかは丁度きれてしまったノートを買いに行っている途中だった

とにかくほむらのあの険しい表情を見て、何かあると感じた

さやか(…マミさんを…呼ぶべきか…)

…呼ぶにしてもほむらを見逃しては…いけない

さやかは魔法少女に変身してほむらの尾行を始めた



さやか「あすみちゃん!」

さやかの剣があすみのモーニングスターを押し返す

あすみ「さやかさん、ちがうの、これは…」

地面に尻もちをついたあすみは脅えた表情でさやかに弁解するが

さやか「あすみちゃん…全部聞いたよ」

さやか「もう、騙せないよ…」

さやかのひと言で、あすみのいつもの…マミ達にみせる顔つきが、豹変する

あすみ「ふふっ…全部聞いて、それで!?」

いつものあすみとはかけ離れた顔立ち…これは本当にあすみなのか?

近くで見てさやかは戦慄するが、ここで負けるわけにはいかない

あすみ「ここで…私を殺すの!?」

さやか「違う!」



268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/06(土) 18:31:24.57 ID:6GlI285c0

さやか「こんなことやめよう…」

さやか「あすみちゃんは、本当は優し」

あすみ「ぎゃはははははっ、ばっかだね!!」

あすみはさやかの言葉を途中で遮りモーニングスターで襲う

さやかは持ち前のスピードを生かして攻撃を避ける

さやか「暁美さん、ホラっ!」

倒れているほむらの手に自分の剣を渡す

ほむら「ありがとう!」

ほむらは急いで体に絡みつく鎖を切ろうと奮闘する

その間、さやかはあすみの相手をしていた

あすみが鎖と鉄球を華麗に操りさやかを攻撃する

さやかはあすみのその攻撃を紙一重でかわして、鋭い突きを食らわせる



269:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/06(土) 18:32:24.07 ID:6GlI285c0

さやか「暁美さん、まだ切れないの!?」

さやかは息を切らしながらあすみのモーニングスターを受け止めた

ほむら「ダメ!全く駄目よ!!」

さやか「なんでっ!?」

ほむら「貴方の刃が通り抜けてしまうの!!」

さやか「なっ…!?」

鎖が…刃を通り抜ける!?切れずに?

ひどく驚いたさやかは一瞬だけ気が散ってしまったようだ

あすみはさやかににっこりと笑いかける

あすみ「さやかさん…一瞬で全てが決まるんだよ!!」

恐ろしい速度でモーニングスターがさやかに襲いかかる

さやか「しまった…!」

防ごうと剣をかまえるがもう遅い



270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/06(土) 18:33:21.38 ID:6GlI285c0

あすみ「無駄無駄!」

ガンッ!!

さやかの胸にあすみのモーニングスターが突き刺さった

さやか「ぐぁあああああ!!!!」

ほむら「さやかちゃん!!!」

ほむらが無茶苦茶に暴れるがやはり切れない

それどころか鎖が生き物のようにほむらにさらに絡みついてくる

あすみ「あははっ、やったあ」

ズシャ!

さやかはモーニングスターを引き抜かれ、膝から崩れ落ちた

ほむら「さやかちゃん!!さやかちゃん!!」

さやか「大丈夫…別に…痛くない…!」

ほむら「へ…?」

さやかは自分の胸元を、手を見て何もついていないのを再度確認した

…さっきの刺さり具合…そして感じた痛みのことを思うと、かなり血だらけになっているはず…

さやか「ねえ…あすみちゃん、何を…?」

あすみ「ん~?まあ少しね~」

あすみは余裕たっぷりに2、3歩、歩み寄った

あすみ「ねえさやかお姉ちゃん」

あすみ「…失恋って…辛いよね?」

さやかの胸が尋常ではないほど痛みだした

さやか「くっ…ねえ、何を…っ!」

あすみはにっこりと笑みを浮かべた

悪魔のような笑みを

あすみ「今から、さやかさんの心を慰めてあげる」



278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:43:10.64 ID:nlJ45KGZ0

さやか「…あすみちゃん、何で…失恋のこと…」

ズキズキと痛む胸を押さえる

あすみ「私、さやかさんのこと…何でも知ってるんだよ?」

あすみ「…あんなに…上条恭介君に尽くしたのにね?」

さやか「ぐっ…でも、恭介が…幸せならば…」

あすみ「ハハハハハッ、やっぱさやかお姉ちゃんは馬鹿だ!」

あすみ「何で自分の思いを殺してまで…他人に尽くすの?」

あすみはさやかをジトッとした目で見つめ、甘ったるく、しかし軽蔑を込めた声で“さやかお姉ちゃん”といった

さやかは胸の痛みがさらに増したような気がした

どうやらお姉ちゃんをつけられると胸の痛みが酷くなるような気がした

なんだか…心の中をまさぐられるような…

“お姉ちゃん”と呼ぶその声の親しげな感じが…とても痛い、苦しい

ああ、これは心の痛みか…とここでさやかはようやく気がついた

あまりに激痛で気がつかなかった



279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:44:03.04 ID:nlJ45KGZ0

あすみ「ああ、さやかお姉ちゃん可哀想」

あすみ「好きな人の為に…自分の寿命すら…縮めて…」

あすみ「お姉ちゃん、意味が分かんないよ」

あすみ「上条君は…知らないんだよ?さやかお姉ちゃんが死んだ理由をさっ?」

あすみ「結局…報われないじゃん」

あすみの声がだんだんと大きくなり、さやかの目の前がぼやけてきた

涙…目に涙が溜まっていた

あすみ「命に代えても…いいくらい、上条君を思っていても…叶わない、伝わらない」

あすみ「正直ねー、告白しない方がマシだったんじゃ?」

あすみ「まだ…夢を持ってた方が、さ?」

さやかはかろうじて首を横に振る

あすみ「なんでぇ?思いを言葉に変えたところで…」

あすみ「結局…上条君は…お姉ちゃんを理解してくれなかったんじゃん…」

さやか「!?」



280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:44:59.77 ID:nlJ45KGZ0

あすみ「ねえ…?あの病室にさ…、あの後誰が来たんでしょ?」

さやかは目を見開き、見たくないと言わんばかりに首を振る

あすみ「お姉ちゃんの…親友の…」

あすみはさやかの耳元でじわじわと囁く

さやかの脳裏に鮮やかにあの日の光景がよみがえった

恭介からふられた後の帰り道、さやかが必死に涙をこらえて歩いていると…仁美と見かけた

仁美に泣きそうな顔を見られたくないがため、さやかは必死に近くの街灯に隠れた

仁美はさやかに気がつかず、病院へ行った…

向かう場所は…

さやか「…ぐすっ…嫌っ…嫌だぁ…」

あすみ「さやかお姉ちゃん…憎いでしょ?」

あすみ「憎くて悲しくて…苦しくて…たまらないよね?」

確かにさやかの心はその通りであったが、さやかは頑固に首を横に振った

あすみ「なんで…?」

さやか「だっで…2人とも…私の…っつ!…私のっ、友達…だか…ら…」

あすみはハアッとため息をつき、モーニングスターをもう一発さやかに食らわせた

ほむら「さやかちゃん!」

ほむらは歯を食いしばり、必死に鎖を切ろうと虚しい努力を続けていた



281:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:45:31.76 ID:nlJ45KGZ0

ほむら「あなた…いい加減にして!」

あすみはさやかにむけていた視線をほむらに移す

あすみ「何?そんなに私に襲われたいの?」

スタスタとほむらの元まで歩く

あすみ「えーっと…名前なんだっけ?」

ほむら「暁美ほむらよ!早く私を解放して、さやかちゃんを元に戻して!」

あすみ「えー…嫌だよ」

あすみは眉をよがませて、ニヤニヤとさらに悪魔のような笑いを顔に広げた

あすみ「だって、これがあたしの幸福だし…てかあんた喋り方変だよね?」

ほむら「!」

あすみ「なんか…わざとらしい…さっきと明らかに口調が違うし」

ほむら(しまった!!)

あすみ「ま、どうせ動けないから暁美さんはまたあとで」

ピョンと跳ねてあすみはまたさやかの元へいく

あすみ「ねえ、気分はどう?さやかお姉ちゃん??」

さやか「はあっ…あぐっ…っつつ!!」

その場にしゃがみ、両肩を抱えて震えるさやか



282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:47:03.97 ID:nlJ45KGZ0

あすみ「…仁美さんと…恭介君…2人で抱き合ってる所、見ちゃったんだよねー」

さやかは涙をボロボロと流し、小さく縮こまる

あすみの言う通り、さやかの脳裏にはハッキリと2人が夕陽の中抱き合う姿が映し出されていた

人生で…一番くらいにショックだった出来事だ

あすみ「ねえ、どんな気分?馬鹿にされてるとか思わないの?」

あすみ「だってさ、仁美さんはさやかお姉ちゃんの気持ち、知ってるし…
恭介君は仁美さんがさやかお姉ちゃんの親友だって知ってる」

あすみ「普通さ、もう少し遠慮するよね~」

あすみ「これを馬鹿にしてないって言う方が変じゃない」

さやかはこれ以上聞きたくは無いと言わんばかりに耳をふさぎ、目を閉じた

あすみ「よく考えてよ…お姉ちゃん」

あすみ「恭介君の笑顔…声…お姉ちゃんの方が知ってるのに…いきなり現れた女にとられたんだよ…」

あすみ「自分よりも…少し美人な…でも、自分よりも恭介君を愛してない女に、ね」

さやか「そんな…ことっ…ない…仁美だって…」

あすみ「だから、お姉ちゃんは何のために魔法少女になったのさ」

さやか「…」

あすみ「“上条恭介にとって特別な存在”になるためだよね!?」

あすみ「その為にわざわざ命をささげたのに!」

あすみ「命を…捧げても…伝わらない!」

さやかの目はいつものいきいきをした様子は全くなく、絶望しきったような、そんな雰囲気を漂わせていた



283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/08(月) 21:47:32.99 ID:nlJ45KGZ0

あすみ「さやかお姉ちゃん…辛いね、苦しいね、悲しいね、妬ましいね、馬鹿らしいね」

さやかはただ大粒の涙を流すばかりだった

あすみ「でもねっ、ぜ~んぶ、お姉ちゃんの蒔いた種なんだよ!!」

あすみ「お姉ちゃんが不確実な未来に投資した結果さ!!」

さやかはあすみの声に答えるように、うめき声をあげた

あすみ「ま、馬鹿だったんだよ、お姉ちゃんが」

あすみ「全部…思いだしてみなよ…ほらほら、2人はずっとお姉ちゃんを馬鹿にしてたんだよ…」

あすみ「CDを貢いだり…まあ正直うざかったみたいだけどね…」

あすみ「お姉ちゃんが病室に入った時とか…多分恭介君はがっかりしてたと思うよ…ああ、仁美さんじゃないんだ…ってね」

さやかのうめき声は悲鳴にだんだんと変わっていく

あすみ「ねえ…お姉ちゃん、どうする?」

あすみ「誰かに…復讐するのも…いいと思うけど…ね?」

さやか「いぃいいいいやあああああああああああああ!!!!!!!」

さやかは気が狂ったように頭を掻きむしり、フラフラと立ちあがったかと思うともう姿は見えなくなっていた



288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:27:46.08 ID:y6yMOQWr0

あすみ「あらぁ…さやかさんどっか行っちゃったなぁ」

あすみはさやかが消えた場所をニヤニヤと見つめている

ほむら「ねえ、さやかちゃんをどこにやったの!?」

あすみ「うっさいなぁ!!心配しなくても私は分かるの!」

あすみは思い切りほむらの頬を平手打ちして、腹を踏みつけた

ほむら「ぐっ!」

腹をグリグリとふみつけられ、ほむらはむせることしか出来ない

あすみ「ばーか、だいたいさぁ、何なの?“さやかちゃん”ってさぁ!?」

語気を強めてあすみは問い詰める

あすみ「あんたさぁ、さやかさんのこと嫌いだろ?」

ほむら「そんなこと…ない!私の親友だから…」

あすみはほむらの首を絞める

あすみ「だまれ。心を読まなくてもわかるんだよ…」

あすみ「あんたは心を読むほど手間をかけたい存在じゃないね」

あすみ「ここで…こうやって殺してやる」

狂気と殺気に満ち溢れた目が、ほむらの首をギリギリと締め付ける手が、ほむらの精神、体力共に奪っていく



289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:28:20.48 ID:y6yMOQWr0

ほむら(ぐっ…るしい…)

ほむらは目だけでなんとか周りを見る

さやかの剣を持つ腕が視界にちらりと入った

ほむら(…そういえば…この腕だけ…少し動く…!)

あすみは相変わらず首を絞める

あすみを刺すことが出来るだろうかと挑戦するも、届かない

なんと腕に巻きつく鎖が増えていた

ほむら(そんな…)

だんだん視界が暗くなってきた

首を絞められたくらいでは死にはしないが、意識はとんでしまう

意識が飛べば…ソウルジェムが…

ほむら(まずい、まずいよ…)

ほむら(……くうっ…)

一度目を瞑って、それから大きく目を開く



290:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:32:22.57 ID:y6yMOQWr0

バキッ!!

あすみは大きく吹っ飛び、しかし地面にはきちんと着地した

あすみ「…へえ…ちゃんと出てこれたんだ、暁美さんが」

ほむら「黙りなさい」

あすみ「おおっ…こわっ!…すごいねぇ、あの鎖を押し返すなんて」

ほむら「…あんな代物、まやかしに過ぎないわ」

あすみはあははを笑い手を叩いた

あすみ「そこまでお見通し?なのにどうしてかな~」

ほむらの周りをくるくると回りながらあすみはほむらの顔をじいと見る

あすみ「やっぱりこの間と同じ顔がこっちだよね…さっきのは…」

あすみは大きくガバッと口をあけて話し出す

あすみ「さっきみたいな…中途半端な演技、最悪だったよ!」

あすみ「私、ムカついてムカついて…やるなら徹底的にやれってーの!!」

あすみのやさぐれた視線とほむらの鋭く、少しいらだちを含む視線とが交差する

ほむら「演技?何を言っているの…」

あすみ「はあ?頭イカれてんの?へったクソだったのに」

ほむら「あれは…まどかの代わりなの」

ほむら「まどかがいつ帰ってきてもいいように…居場所を…」

あすみはもう我慢できないと言わんばかりにモーニングスターをほむらに投げつける

ほむらは焦ることなく避けて空中の空高くに飛び立った

あすみ「…!」

急にあすみの様子がソワソワし始める

辺りをきょろきょろ見回して、明らかに集中していない

ほむら「…?そっちが来ないならこっちから行くわよ!」

ほむらがあすみに向けて紫色の矢を放った瞬間…



291:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:32:49.97 ID:y6yMOQWr0

マミ「やめなさい!!」

マミの大声と共に発せられる発砲音

あすみに向かってくる…赤い影

ほむら(…これは…)

ドオン!

杏子「大丈夫か」

あすみ「杏子さぁん…」

涙目のあすみを抱きかかえ、ほむらの攻撃を避ける杏子

少し離れたところには大砲を抱えたマミ

ほむら(マミの大砲の弾が向かう先は…)

全てを理解したときには遅すぎた

目の前が真っ白になり、耳に爆音が響き渡った

ほむらは腕に強烈な痛みを感じた



292:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:33:19.34 ID:y6yMOQWr0

ほむら(くっ…油断してわ…)

ヒラヒラと空から落ちていく

地面に降り立てば、命は無いだろう

杏子とマミ、それにこの少女に襲われたら確実に自分は終わる

ほむらは決死の覚悟で羽をはばたかせる

羽の付け根からも血がダラダラを流れているようだ

腕が非常に痛むが足も焼けるようにギリギリと痛み始めてきた

ソウルジェムのある方の腕が無傷なのが不幸中の幸いだった

どうやら咄嗟に庇いでもしたようだ

痛い、とにかく痛い、羽ばたくたびに痛い

しかし急がないとマミのリボンに囚われる

ほむらは死ぬ気で、今出せる最大の速度で飛び続けた



293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:33:49.80 ID:y6yMOQWr0

さやか「…くっ…」

走りだしたさやかの眼前にはありえないものが広がっていた

いつもの道を歩いているはずなのに人は皆、仮面をつけている

そしてさやかを指差して嘲笑うのだ

さやか「いやぁ…いやぁああああ」

さやかは耐えきれず、顔を押さえ走る、走る

さやか「何が起きてるのさっ、仁美は!?恭介は!?あいつらは!?」

突然さやかは躓いた

そしてさやかの踏みしめてるはずの地面が崩れ…そして落ちる

さやか「はあっ…はあっ…ぁあああああああ!!!!」

空中に舞うさやか

背中から落ちていっているので、地面を見ようと風圧に耐えつつ体の向きを変えた

さやかの落ちる先には沢山の車と、道行く人と、ビルが立ち並ぶ街の道路だった

だんだんと地面がさやかに迫る

せわしく動いている、全てがさやかに迫る

さやかは泣きながら叫んだ



294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:34:57.43 ID:y6yMOQWr0

さやか「いやああああ!!!」

突然街の動きが止まった

通行人は動きと止めてさやかを見つめる

車の中の人も出てきてさやかを見つめる

街だけでなく、さやかの動きも止まっていた

さやか「…な…何…?」

通行人達は仮面を取る、車の中の人達も仮面を取る

さやか「き…恭介!?」

仮面の下は皆恭介の顔だった

皆無表情だった

いいや、ゆっくりと無表情から笑顔に変えた

恭介『さやか、さようなら』

人々から発せられるゆったりとした声

その声は波が伝わるようにのように辺りに響き渡った

さやか「さようならって…」

そして世界がまた動きだし、さやかは無情にも地面に叩きつけられる



295:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:35:48.30 ID:y6yMOQWr0

さやか「ごほっ、がはああっ!!」

さやかを待っていたのは道路の固いコンクリートではなく水だった

薄く濁って臭い匂いのする水

さやか「だれ…かっ…」

息をしようと必死にもがく

もがけばもがくほど水はどんどんさやかの口の中へ侵入し、肺を侵食する

ぶくぶくと水の中へ引きずり込まれ、だんだんと力が抜ける

さやか(…私…もう…死ぬのか…)

水面からさす光に手を伸ばす

しかし光は何か大きな影のせいで、さやかの目に届かなくなってしまった

ごぼごぼと何かが泳ぐ音がする

辺りには、もの悲しげな音楽が聞こえる

さやか(こんどは…なに!?)

ガラガラガラ…

さやか(なんの音…!?あれは!)

さやかが避ける間もなかった

車輪がさやかに激突したのだ

痛みが体全身に駆け巡る



296:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/14(日) 15:36:55.59 ID:y6yMOQWr0

そしてごぼごぼという音がさやかに接近してきて、目の前に現れた

さやか「ぐふっ…ぐえっ…」

さやかに信じられないほどの吐き気が襲う

さやかの目の前には、見たことのない怪物の様なものが立っていた

…鎧に…魚の足…

まるで人魚の怪物

さやかの胸に広がる絶望とリンクするかのようにその怪物は喚き叫ぶ

その怪物を見ているとふつふつと悲しみがまた鮮やかに戻ってくる

いや二倍にも、三倍にもなって…さやかの心を傷つける

溢れる涙が止まらない

さやか(何なの…こいつ…!)

喚きながらさやかを見つめる怪物

彼女が対峙しているものの名は…Oktavia von Seckendorff

彼女自身である



301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:12:35.39 ID:eChuGj420

杏子「まてっ!!くっ、こらあああああ」

傷つきつつ、しかしまだ逃亡をするほむらを追いかけようと走りだす

あすみ「杏子さん、まって…」

杏子「!?」

あすみ「さやかさんが…あいつにやられて…どっか行っちゃった!」

目に一杯涙をためて、杏子に訴えかける

杏子「クソッ、あいつ何をたくらんでんだ!」

マミ「文句を言ってる暇は無いわ!私は遠距離が得意だから佐倉さんは美樹さんを探して!」

杏子「おう、分かった!気をつけろよ!」

2人はわかれて走りだそうとする

あすみ「マミさん、私も…」

マミ「あすみちゃんは佐倉さんと一緒にいて!」

マミはきつく言い放った



302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:13:10.80 ID:eChuGj420

杏子「そうだ、あいつは危険だ!」

杏子もマミと意見は一致しているようで、マミと同じくらいか、もしくはもっと険しい顔つきで言い放った

あすみ「でも…」

マミ「時間が無いわ、佐倉さん!あすみちゃんを連れて行って!」

杏子「分かった!」

渋るあすみを無理矢理掴み走りだす

あすみ(はあ…先にマミをやっちゃおうと思ったけど…ま、いっか)

あすみの考えなど少しも知らない杏子は、自分にどれほどの危険が迫っているか全く理解してはいない



303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:13:39.57 ID:eChuGj420

さやかは酷く濁った水の底にいた

まるで汚水を集めたタンクの中のよう

そして…怪物の攻撃を必死で避けていた

さやか(さっきまで攻撃する気は感じられなかったのに…)

怪物の手に持っている剣を避ける度、胸に痛みが走る

嫌なことを思いだした時の、あの最悪な絶望感にも似た、胸の痛みだ

さやか(ぐっ…もう…ダメ…かな)

最後の一振りがさやかに迫る

ゴオオオオオオオオ

ガタン、ガタン…

さやかを突然照らす光が現れた



304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:14:07.45 ID:eChuGj420

さやか(何で…電車が…!?)

電車が、ありえないと分かっているが、電車が自分に向かってやってくる

怪物はどこに消えたのか、怪物の最後の一振りが電車になったのか

真っ直ぐやってくる電車を避けることは出来そうになかった

さやか(ぶつかる!!)

さやかは目をまた閉じた



305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:14:33.17 ID:eChuGj420

さやか(…電車の中…?)

満員電車の中にさやかはいつの間にかいた

さやか(…う…うるさい…)

耳触りなザワザワ声がさやかの耳を侵食していく

左右を見ても、上を見ても、音声がまるでハエの大群が押し寄せるようにさやかの耳へ、脳へと入りこんでゆく

さやか(がはっ…ぐ…)

耳をふさぎたくても人が多すぎるせいで腕を上げることが出来ない

さやか(だずげ…で…)

もう頭が狂いそうだった、いや狂っている

『言い訳とかさせちゃダメっしょ、稼いできた分はきっちり全額貢がせないと
女って馬鹿だからさ
ちょっと金持たせとくとすぐ、くっだらねぇことに使っちまうからねぇ』

さやかは後ろをハッと振り向く

2人組の男だった



306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:15:06.79 ID:eChuGj420

『いや~ほんと女は人間扱いしちゃダメっすね
犬かなんかだと思って躾けないとね
アイツもそれで喜んでる訳だし
顔殴るぞって脅せば、まず大抵は黙りますもんね』

さやか(やめろやめろやめろやめろやめろやめろ…)

『けっ、ちょっと油断するとすぐ付け上がって籍入れたいとか言いだすからさぁ
甘やかすの禁物よ
ったくテメーみてーなキャバ嬢が10年後も同じ額稼げるかってーの
身の程弁えろってーんだ。なぁ?』

さやか(見返りは求めてない見返りは求めてない見返りは求めてな…)

『捨てる時もさぁホントウザいっすよね。
その辺ショウさん巧いから羨ましいっすよ。俺も見習わないと』

さやか「ぐぁああああああああああああ!!!!!!」

さやかは自分の胸に湧きおこる、地獄の業火の様な怒りを押さえられなかった

さやかはいつの間にか魔法少女に変身しており、そして腕を振り上げていた

その2人組に向かって



307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:15:38.02 ID:eChuGj420

さやか(…)

気がついたら、自身の手が血で染まっていた

剣も…

さやか(一体…嘘…嘘…で、でしょ…)

震える体を血で染まった手で抱き、しゃがんだ

さやかの視線の先には…

さやか(うっ…)

鮮烈な吐き気を催し、口を押さえる

とにかく、自分がやったとは思えない光景が広がっていた

しばらくさやかは吐き気と戦っていたが、やがて落ち着くと、悟ってしまったのだ

さやか(…私…見返りを…)

さやか(ははっ、そうだよね!あすみちゃんの言う通りだった!!)

さやか(あーあっ、今まで必死に逃げてたのに気がついちゃった!)

さやか(くふっつつ、あははっはあはあははあ!!!)

さやか(あんなに大見え切って、“これからは恭介や仁美や、この町を守るために頑張る”って、馬鹿じゃないの!!)



308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:16:06.91 ID:eChuGj420

さやか(私が何のために魔法少女になったかって!?)

さやか(恭介が感謝してくれて、あわよくば付き合ってくれるかもって思ったからじゃん!)

さやか(腕を治してって願ったのは、その為じゃん!!!)

さやか(ばっかじゃん、あたし、ばっかじゃん!!)

さやか(何が皆を守りたい!?アホじゃないの!?)

さやか(人ぶっ殺しても全然大丈夫なくせにさぁ!!!)

さやか(あははっはははははははっ!!!!)

さやか(もういい…恭介も…仁美も…)

さやか(皆…殺してやる…)

さやかは強く血まみれの剣を握りしめた

電車の窓に映っている自分を見たかったが…いない

いたのは、あの怪物だった

そんなはずないとあわてて体を見てみると、驚くべき変化があった



309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:17:06.25 ID:eChuGj420

さやか(…足…が…)

ビチビチと音を立てながら魚の足に変貌していっている

さやか(…そっか…あいつは私自身だったんだ…)

さやか(そうだよね…あんなひねくれた心には、こんな容姿がお似合いだ…)

さやか(…私…バカだ…)

一筋の涙がさやかの頬を伝って地面に落ちた

さやか(…私って…)

さやか(…私って、ホント馬鹿…)



310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:17:35.67 ID:eChuGj420

杏子「…何だこりゃ…」

あすみ「ひ、酷い!」

2人の顔は青ざめ、先を急ぐ足が止まった

血だらけの人が道に倒れている

しかも1人だけでは無い、何人もの人々が、だ

全員生きてはいるようで、うめき声が辺り一杯に響き渡った

普段の杏子ならば救急隊に全てを託す所だろう

しかし今回は訳が違った

杏子「嘘だろ…この魔力は…」

あすみ「まっ…まさっ、かっ」

杏子「その…まさかかもしれねえ…」



311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:18:21.62 ID:eChuGj420

キュウべぇ「佐倉杏子じゃないか!!」

気のせいかもしれない、という考えから確信へ変わった

杏子「おい…キュウべえ…これは…」

キュウべぇ「うん…間違いないさ…美樹さやかがやったんだよ…」

あすみ「でもっ、さやかさんは精神を操られてて…」

キュウべぇ「うん、そうだね」

キュウべぇの赤い瞳があすみをじいと見つめる

全てお見通し、と言わんばかりに

キュウべぇ「杏子、早くさやかの暴走を止めるんだ。あすみは怪我人の治療を」

杏子「おいっ、怪我人の治療って…!ヘタに手を出すのは…」

キュウべぇ「いいかい、このまま放置していたら魔法少女の存在が明るみにでるだろう」

キュウべぇ「救急車が来る前に治療は完了させないと」

キュウべぇ「出来なかった場合、君たちはどうなるかわかってるのかい?」



312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:27:48.71 ID:eChuGj420

キュウベぇ「救急隊員の一般人とかちあわせるだろう」

杏子「だから!助けねえんだよ!!」

キュウベェ「…周りを良く見てごらん」

杏子はキュウベぇに促されて辺りを見渡した

傷ついた人々が2人に助けを求めて手を伸ばしている

…意識がはっきりしている人もいるようで…2人の容姿を見て発狂しだす人もいた…

杏子「…こいつら…さやかを見たんだな…」

キュウベぇ「うん。これからは君らもあまり魔法少女の格好で街中をうろつくのは控えてね」

杏子はかなりイヤそうな顔をして唾を地面に向かって吐きだした

キュウベぇ「…それは…僕の提案に対する拒否、と受け取っていいのかい?」

キュウべぇ「そうだな…もし魔法少女が一般に存在がバレたら…
晒し物にされて実験体にもされるだろう…
いや、もしかすると国が魔法少女を公認して…
それから宇宙の寿命の為だけに働かせてくれるかもしれないな…」

キュウべえは厳し口調で言っていたが、突然穏やかになりとんでもないことを言いだした

キュウべぇ「そうだ、君らが応じなければ、確率は極めて低そうだけどそれを試してみよう!挑戦する価値は十分…」

杏子「わかった!分かったから、止めろっ!!あすみ!!」

あすみ「うん!」

あすみが大慌てで怪我人の治療を始め、杏子は全力で走りだした

やがて杏子の姿は見えなくなり、治療しているあすみとキュウべぇが取り残された

キュウべぇ「はあ…残念だな…」

あすみ「ホント、冗談よしてよ…」

あすみはあきれ半分、不安半分な表情を浮かべる

本心はしっかり包み隠して



313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:28:44.29 ID:eChuGj420

キュウべぇ「冗談じゃないのは君のほうさ、神名あすみ」

あすみ「ん?」

キュウべぇ「いいかい、君がこれ以上他の魔法少女を狩るようなことがあるならば…僕らは君を害のあるものとするよ」

あすみ「何を根拠に…そんなこというの…?」

キュウべぇ「はあ…まだそんなこというのかい?」

あすみ「だって…実際キュウべぇは私だって証拠はあるの?」

震える声であすみはキュウべぇに問掛ける

キュウべぇ「さっき君はなんて言った?」

あすみ「…?」

キュウべぇ「さやかが精神を操られてるなんてどうして君が知っているのかい?」

あすみ「私はちゃんとこの目で…」

キュウべぇ「ただ襲われてた人が、そこまで細かく分かるものかな?」

キュウべぇ「それに君は重大なことを忘れてるよ」

キュウべぇ「君は僕と契約したんだ」

キュウべぇ「君が精神攻撃を得意としてることぐらい分からないでどうするんだい?」



314:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:29:13.11 ID:eChuGj420

あすみは顔つきを一瞬にして変え、そして舌打ちをした

あすみ「あーあっ、大正解ですよ」

あすみ「でもお前には関係ないよね?だってちゃんと魔獣狩ってるし」

キュウべぇ「それが困るんだよ、神名あすみ」

キュウべぇ「まだ魔法少女同士の縄張り争いは…まあ百歩譲って見逃すさ…
あんまり効率が良くないんでお勧めしたくないんだけど…」

キュウべぇ「けれども君は快楽の為に魔法少女を狩る、それはとんでもなく宇宙の利益を損ねている」

キュウべぇ「別に理由を説明しないといけないほど君は馬鹿じゃないよね?」

あすみは不機嫌そうにため息をついた

あすみ「…私1人がいなくなるより、杏子やマミ、さやかが消える方が損失がでかい、と?」

キュウべぇ「そうだよ」

キュウべぇ「君が一般人を数人ほど殺すのは別にいいさ。よっぽどのことをしなければ、魔法少女について一般にばれる事は無いからね。だけど宇宙の利益を減らす行為は、見逃してはおけない」

あすみ「…」

あすみは歯をギリギリと食いしばった



315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/21(日) 17:30:54.42 ID:eChuGj420

あすみ「要するに…これ以上魔法少女への攻撃を続けるならば、私を消す、と」

キュウべぇ「大当たりさ、君は思ったより話しがわかる」

あすみ「でもあんた達なんて…ぜんっぜん怖くないんですけど」

あすみは蔑みをたっぷりと含んだ目で見下ろした

キュウべぇ「そうだね、“ぼくら”はね」

あすみはキュウべぇの無表情な返答にイラッと来たようだ

目を釣りあがらせて怒鳴りつける

あすみ「だからあんな脅すようなこと言ったの!?ここで真実を確かめるために!?」

キュウべぇ「それもある…けれどそれだけじゃないさ」

キュウべぇ「本当にそうしなければ君らは公衆に晒される」

あすみ「…」

キュウべぇ「今回は特別に“僕ら”が救急隊の動きを鈍らせている…具体的に何をしているかは秘密だけどね」

キュウべぇ「いいかい…最低今は大人しく僕の言うことを聞くべきだ、分かったかい?」

キュウベぇ「それとここの人たちの記憶も消しておいてくれ、君ならできるだろう」

あすみ「そこまでお見通しか…分かった」

あすみは不服そうに怪我人の治療を大人しくつづける

キュウべぇ「じゃあ僕はマミを急いで呼び寄せるから。変なことをするんじゃないよ」

キュウべぇはそういって、奥の方へと消えていった



322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:34:17.45 ID:c9WIkLvI0

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あすみ(ほんっとに…ああ…面倒だな)

怪我人の治療と記憶の消去をしながらあすみは舌打ちをした

自分だったら救急隊が来るまでに皆殺しにしてやるのに…

あすみ(死人に口無しって言うでしょ?)

あすみ(それにしても…キュゥべえのやつ…)

あすみは先ほどのキュゥべえとのやり取りを思い出し、頭を抱えた

あすみ(あいつらは…はっきり言って頭がいいし、作戦だって私より…どうしたものか)

キュゥべえを出し抜くのは、一筋縄ではいかないのはよくよく分かっている

あいつらは感情は無く、ただグリーフシードの穢れを回収するためだけのいわばロボットだ

その為には…恐ろしいほど素早く手筈を整える



323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:34:44.40 ID:c9WIkLvI0

救急隊だって今だに到着していない

どんな方法かは想像できないが、その気になればこの町の全ての機関をマヒさせることだって可能なのだ

あすみ(…奴らにとって…私一人を消すのは、いとも簡単だと)

あすみ(…ムカつく)

はらわたが煮えくりかえるような怒りをあすみは感じた

冗談じゃない

あんなものにみすみすやられてたまるか

あすみ(さあ…考えて…キュゥべえが私に手を出しづらくする方法を…)

あすみはさっきのキュゥべえとの会話をじっくりと思いだす

…自分が魔法少女を襲うのを嫌がるのはなぜか…

…宇宙の寿命がその分縮むから…



324:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:35:16.43 ID:c9WIkLvI0

…自分よりも強い人材は消したくない、逆に一般人はどうでも良い…

…自分よりも強い人材…

…マミ、さやか、杏子…

あすみ(そうだっ!!)

あすみの頭の中で閃光のように閃いた、キュゥべえへの対抗策

あすみ(ふふふっ、あたしって天才~)

自然と笑い声が漏れるが、あすみは恥ずかしいとも何とも思わず、自信で酔いしれていくのを感じた



325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:35:48.44 ID:c9WIkLvI0

マミ「待ちなさい!」

空中を血だらけで舞うほむら

マミは彼女の翼に狙いを定め、銃を発砲する

マミ「くっ!」

あんなに傷だらけでも弾をふらりふらりと避ける

マミはイライラが溜まってくるが、冷静さを欠いては当たる弾も当たらない

少し深呼吸

マミ(…それにしても…あんなにフラフラしてるのに…あの速度で…弾も避けれる)

ふと地面を見ると、赤い血の痕がぽつぽつとある

マミ(…もしかすると…一発位はあたってるかもね…)

マミはニヤリと笑い、トドメの一撃を準備する

そして最後の一撃をほむらに与えようをいう瞬間、白い何かがマミの前に飛び出してきた

マミ「きゃっ!…キュゥべえ!!」



326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:36:14.56 ID:c9WIkLvI0

キュゥべえ「マミ、大変なことが発生している!今すぐ僕についてきて!」

マミ「でも、あの子を仕留めないと…」

キュゥべえ「マミ!美樹さやかが一般人を傷つけた」

キュゥべえ「今あすみが一人で治療を頑張っている」

キュゥべえ「さあ、急いで!」

マミは苦々しく空を漂うほむらを見つめたが、すぐに踵を返してキュゥべえの後について走りだした



327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:38:14.43 ID:c9WIkLvI0

マミ「あすみちゃん!」

マミは息を切らしながらあすみの元へ駆けつけた

あすみ「マミさん…」

あすみは額に汗を流しながら地獄絵図の様な風景の中、一人治療に奔走していた

マミ「…これを美樹さんがやったなんて信じられないけど、とにかく急がないと」

マミはすぐに怪我人の治療を始める

流石にあすみが治療するより素早く傷が治る

あすみ(ちっ、めんどくさいな…)

遠距離で怪我人の記憶を操作するのはあすみには出来なかった

仕方なく、マミの目を盗んで一瞬にして記憶を消去していく

気絶させるのも忘れない

気絶した人を見ても、マミは治療の影響で寝ているだけだと思ったのだろうか

何故だか不審がりはしなかった



328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:38:42.72 ID:c9WIkLvI0

キュゥべえ『神名あすみ、大人しくしてたかい?』

唐突に頭の中にあの声が響いてきた

あすみ『ええ、まあ。お陰さまで』

嫌みたっぷりで、声に出さずに返す

キュゥべえ『ならよかった。あすみ、もうこんなことをしないでおくれ』

キュゥべえ『分かったなら美樹さやかの精神錯乱を解いてくれないか』

あすみ『…そんなこと言って、良いのかな?』

キュゥべえ『…そっちこそ。僕らはこう見えても魔法少女を消すのには慣れてる』

あすみ『フン…そんなの予想出来てるよ』

あすみ『キュゥべえ…よーく目を凝らしてマミを見てみな』

キュゥべえ『…?』

キュゥべえはマミをじっと見つめる

しかし変わった所は見受けられないように思えた



329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:39:11.67 ID:c9WIkLvI0

あすみ『ばーか、足元を見ろっての』

キュゥべえはマミの足元を見て、思わず目を見開いた

キュゥべえ『君は…なんてことを!』

あすみ『いい?私はマミから教え受けた、いわば弟子よ』

あすみ『そして精神攻撃はマミに伝えていない…』

あすみ『物理攻撃に磨きをかけたの』

あすみ『マミは私の魔法で気がつかないけど…足に絡まってる鎖と地面から出てるあの鎖』

あすみ『両方とも私が握ってるの、分かる?』

あすみ『警告してももう無駄よ、私がマミを握っている』

あすみ『さらに地面に出ている方…
どちらか一方でも私が引いたら、キュウべえは分かるよね?』

キュゥべえ『くっ…』



330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:39:59.86 ID:c9WIkLvI0

あすみ『地中に埋まってる私のモーニングスターが飛び出して、きっちりマミの髪飾りのソウルジェムにぶつかるわ』

あすみは愉快そうに笑い声を立てた

あすみ『そうしたら…彼女のソウルジェムは…真っ二つ』

あすみ『さあ、キュゥべえ。今度は貴方が大人しくする番よ』

あすみ『宇宙の利益の為に…あの3人を見殺しにする?』

キュゥべえ『だから君を消すだけだと…』

あすみ『いいわよ~私を殺したって』

あすみ『…美樹さやかと巴マミ死ぬから』

あすみ『もう2人とも私の手中にあるわ。私が死んだら美樹さやかは幻に殺されるし、
マミは私のモーニングスターの餌食になるわ』

あすみ『貴方が“利益”を優先するなら、皆生きている方がいいよね?』

キュゥべえ『まあ…君の被害を考えると、3人いなくなるだけなら…利益の損害は…』



331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/10/29(月) 18:42:20.21 ID:c9WIkLvI0

あすみ『馬鹿ね。結構損害がある癖に』

あすみ『ただですら人数の少ない魔法少女…さらにベテランが2人もいる』

あすみ『もったいないと思うにきまっているでしょう?』

あすみ『大丈夫、貴方がある程度私の自由を認めてくれれば皆生かしておいてあげるわ』

あすみ『どうする?』

キュゥべえ『…ははっ、君もなかなか嫌な奴だね』

キュゥべえ『…』

あすみ『よわっちい奴を紹介してよ。そいつらとあんたが指示する個体数だけ魔獣を狩って、それから殺すから』

あすみ『そもそも弱いならさ、それだけの利益を得る前に死んじゃう可能性の方が高いし』

あすみ『その方法なら宇宙の利益も得ることができるでしょ?』

キュゥべえ『応じなければ…無差別に殺しまわる…と』

あすみは大きくうなずいた

あすみ『…私を殺す準備、できてないんでしょ?』

キュゥべえは否定も肯定もしない

あすみ『ま、準備している間に何人死ぬかな…?』

あすみの目は鋭く光り、マミに視線を移した

キュゥべえ『…はあ、分かったよ…』

キュゥべえは大きくため息をつき、あすみは高らかに笑った



335:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 14:55:10.52 ID:ldSDMU+E0

杏子「くっそ!!」

猛烈なスピードでさやかを追いかける

さやかの姿は捉えられていないが魔力の反応が徐々に強くなる所、確実に追いついてきているのは確かだった

杏子「あーっ!!別にさして知り合いでもねーのにさ、何でこんな馬鹿なことっ!」

眉間にしわを寄せながら杏子は愚痴った



336:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 14:55:40.26 ID:ldSDMU+E0

上条「こ…これは!?」

仁美「ひどいですわ…今すぐに連絡を!!」

学校帰りの2人は目の前に広がる惨劇を信じられない様子で見ていた

上条恭介はバックの中をガサリゴソリとあさり携帯を取り出し救急車や警察に連絡しようとするが…

上条「…電波が…おかしい!?」

雑音ばかりが耳につき、用件を言う前に電話が切れてしまった

上条「クソッ…ん」

仁美「あ…れ…はっ…」

2人は少し遠くの人影を発見し、恐怖で体が震えた

手に鈍く光る剣を持ち、四つん這いでこちらに真っ直ぐ向かってくる少女



337:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 14:56:10.83 ID:ldSDMU+E0

上条「さや…か!?」

確かに容姿はさやかであったが、表情は狂人そのもの、服装もヘンテコなものだ

仁美「さやかさんですか!?」

さやかと思われる人物は2人を前にニタァと笑った

彼女の口から大量のよだれが滴り落ち、黒目があちこちバラバラの方向へ動いている

仁美「一体…どうしたの」

さやか「ひゃっはははははっ、けせせせせ!!見つけたっ、見っつけたああああああ!!!!」

四つん這いの状態からいきなり空へバッと飛び上がった

さやか「あははははははは!!!死ねええ、死ねえええええええ!!!!!」

空中で剣を一振りすると、あちこちに無数の刃が登場し、2人を囲むように地面に突きささる



338:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 14:57:58.82 ID:ldSDMU+E0

上条「さやか、もしさやかなら聞いてくれ!!僕だ!!上条だ!!」

仁美「さやかさん、目をお覚ましください!!いったい何が…」

さやか「…ばっかじゃないのおおおお、あたしはぁ、正気だよおおおおおお」

仁美「そんな!」

さやか「悪いのはあんた達だろおおおおおお!!ちっとは考えろよおおおおお!!バーカ!!!」

さやか「はははっ、仁美ぃいいいいい、恭介ぇえええええええ、てめえらああああ!!」

さやか「消えろおおおおおおおおおお!!!」

さやかは狂ったように剣を振り回しながら2人に迫る

仁美、上条、2人は抱き合い、もうダメだと目をつぶった…

上条「…あれ?」

仁美「痛くは無い…ですわ…」

恐る恐る目を開けると、赤い鎖の様なものがさやかの剣を受け止めていた



339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 14:59:57.90 ID:ldSDMU+E0

杏子「さやか!!あんたしっかりしろっ!!」

杏子が2人に結界を張っていた

さやか「ひぃいいい、ひひひひひぃ、ひーぐぇええええええ!!」

杏子「…頭おかしくなってやがる…」

呆然とさやかを見つめる杏子

杏子が張った結界の中の男女も脅えた面持ちでさやかを見つめていた

杏子「早く目ェ覚ませっ!!さやか!!」

杏子は素早く槍の柄の部分を鎖のように変化させて、さやかを絡め取ろうとするがさやかは捕まるまいと素早く動く

更に空から音もなく迫ってくる刃、杏子はすんでの所で避ける

杏子「ちっ、いてっ!」

杏子の腕に血がつたってしずくとなり、地面にしみこんでいった

どうも刃を避けきれなかったらしい、ざっくりと切られてしまった

杏子「何で四つん這いの癖にそんなに動けるんだよ!?」

イライラとした面持ちで叫んでもう一度さやかに狙いを定める



340:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 15:00:29.52 ID:ldSDMU+E0

蛇のように追いかける鎖とそれを華麗に避けていくさやか

避けならが空中に刃を出し、杏子に向かって何の躊躇もなく飛ばす

杏子の方が劣勢と思わせる戦局だったが、杏子はこれでやられるほど考えないでは無かった

さやか「ひゃはははっはは、あっははははは、あ?」

蛇のように追いかけてくる鎖を避け、杏子を攻撃することばかりを考えていたさやかは
自分が陥っていた状況に気が付いていなかった

いつの間にか杏子の鎖の中に閉じ込められていた

そう、たださやかの後を追いかけているわけでは無かった

蛇のように動いていた槍の柄は、さやかを閉じ込めるために柄を縦横無尽に張り巡し、さやかを追いこむためのものだった

出ようとすれば杏子の槍の柄に触れてしまい、捕まってしまうのが容易に分かった

杏子はなかなか動かないさやかに思い切り槍を突き刺そうとした

ギリギリで避けたさやかは杏子の思惑通りに捕まり、あっけなく身動きが取れなくなってしまった



341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 15:01:54.54 ID:ldSDMU+E0

杏子「ったく…手間掛けさせやがって…おい、あんたらもう出ていいぞ」

2人は恐る恐る結界から出てきた

上条「ありがとうございました…えっと、ケガは?」

杏子「大丈夫だ…それより、あんたらこいつの知り合いかい?」

2人はしぶい顔をしてうなずいた

仁美「さやかさんが…こんなことをするなんて」

緑がかった少女は顔を伏せて泣きだしそうにつぶやいた

杏子「はぁ、こいつ今色々あってさ…正気じゃねえんだよ。そんなことぐらい理解しろよ」

逆に気がおかしくなっていてもこんなにも的確に動けるのかと杏子はため息をついた

そして空中を睨みつけた



342:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 15:04:05.03 ID:ldSDMU+E0

仁美「…」

上条「でしょうね…彼女に限ってそんなことするはずが無いですもん」

銀色に近い髪の少年はほっとした顔で、少女の方は何か申し訳なさそうに下を向いて黙っていた

杏子は少女の方の対応がなんだか気に食わなかったが、
こんな友人を見て言葉を失わない方がおかしいような気もして黙って見ていた

杏子「まあとりあえず回収作業は終わりだ…あ、このこと全て他言無用で頼む」

鎖の中をもぞもぞと動くさやかに激しい蹴りを杏子は食らわせ、動かなくなったさやかをひょいと持ちあげた

仁美「あ…!」

杏子「気絶させただけだ、こいつはあたしたちの方でなんとかするから」

何か言いたげな2人と置いてとっとと歩きだす杏子

杏子(とは言ったものの…どうすりゃ、元に戻るんだ…?)

杏子は数歩歩き、うーんと考えている最中だった

上条「逃げろ!!!」

少年の声が響き渡り、杏子は驚いて振り向くと、目の前に鉄球



343:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 15:04:44.85 ID:ldSDMU+E0

杏子「!!??」

避ける暇は無かった

とにかく鉄球が自分に当たる、それを理解するのに手一杯だった

そして…

杏子「ぐっ…」

杏子の頬を殴るように鉄球は当たって、持ち主の元へ戻っていく

杏子はその場に倒れ込んだ

杏子「…誰っ…だあ…」

息を切らして空を見上げ、杏子は驚嘆した

杏子「あ…す…み?」

あすみ「えへへっ、杏子さん♪」

杏子「お前…だった…の…か…?」

あすみ「そうだよっ、今からイイ夢見させてあげるっ!」

杏子「クソッ…騙したな…クソッ…」

高まる怒りとは逆に、強烈な眠気…意識を奪うような眠気に杏子は襲われ我慢できずに瞼を閉じた



344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/04(日) 15:05:23.33 ID:ldSDMU+E0

キュゥべえ「話しが違うじゃないか!!」

あすみ「ん?彼女も人質だから」

キュゥべえ「一体何なのさ!?」

あすみ「そんな風に言わないでよ、これくらいしないとあんた達私を消すでしょ?」

あすみ「大丈夫、彼女達にちゃんと魔獣狩りはさせるからさ」

キュゥべえ「はあ…」

あすみ「それじゃ、手始めに近場でいい所教えて頂戴」

キュゥべえ「…」

キュゥベえは大きなため息をついて、他の個体との連絡を取り始めた



347:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/07(水) 18:52:43.54 ID:XIOGxO2x0

杏子「…」

ゆっくりと瞼をあげる

杏子「こ…こ…は?」

横たわっていた杏子は目の前に広がる不思議な世界に驚嘆した

地面が赤や青などのカラフルな色で染め上げられていた

そしてその地面には見覚えがあった

杏子「…やっぱな」

ゆっくりを上を向き、天井にステンドグラスが張り巡らされているのを確認した

イエス・キリストを抱く聖マリアが描かれてるものから天使、悪魔などなど…

杏子「くそっ…胸糞悪い場所だな…」

眉間にしわをよせつつ立ちあがる

杏子「出口は…どこだ?」

左右を確認したが、出口らしきものは無かった

仕方ないので歩き出す

コツリ、コツリと無機質な足音が空間に響き渡る



348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/07(水) 19:08:33.07 ID:XIOGxO2x0

しばらく歩いても出口のような場所は見つからず、ただ疲れただけだった

杏子「はあ…何なんだよここは…」

休憩がてらにその場にしゃがみこみ、自分がここにきた経緯を思い出すことにした

杏子「確か…あたしは…」

落ち着いて目をつぶり、自分の行動をじっくりと振り返る

杏子「そうだ、あの美樹さやかってやつを探して…見つけて…あっ!!」

杏子ははっとして槍を出現させる

杏子「おい!!あすみっ!!てめえはやくこっから出せよ!!!」

槍を構えつつ、誰もいない空間に向かって大声で叫ぶ

叫びはこだまとなって杏子に帰ってくるだけであった

あすみに呼びかけても時間の無駄と判断し、今度はここから出る方法を考える

杏子「…天井かち割ってこっから出でみるか」

どこか壊せそうな場所がないか探した結果、ガラスでできている天井が脱出口としては最適と判断

すぐに飛びあがる

かなり高い天井だが、槍は伸縮可能なため難なくあがっていく

だんだん近づくステンドグラス

真っ赤な光に包まれて、一瞬めまいを覚える

それが何なのか分からないが、とにかく槍をガラスに突き刺した

ピシピシとヒビが入るがまだ蹴りで破壊できるか不安が残る

杏子「どうかな?」

杏子はさらに槍を巨大化させ、ガラスのヒビを大きくする

ここまで入れば大丈夫だ

杏子は槍の柄を蹴って勢いよく飛び出し、思い切りガラスに蹴り込んだ



349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/07(水) 19:21:36.69 ID:XIOGxO2x0

パリーン

あの特有の音を立てながら派手にガラスは砕け散った

そして外の風が杏子の肌をなでた

杏子「…っつ!?」

杏子はその風が異様に熱いことに戸惑い
そして目の前に突然広がった光景を見て金縛りにあったように動けなくなった

杏子「…何なんだ…何で…燃えてるんだ…何で」

杏子「何で…燃えてんだよ…!!」

ガラスを割ったその先は炎の中にいる…自分の家族だった

杏子「モモッ…母さんっ…」

杏子「…父さん、父さん!!」

家族の表情は分からない

杏子が呼びかけているのも分かっていないようだった



350:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/07(水) 19:27:03.86 ID:XIOGxO2x0

杏子「みんなっ…みんな、こっちにこいよ!!」

杏子「早く…こっちに…こいよ…」

杏子自身無駄だと感じつつ、しかし今ここで叫ばねば気がすまなかった

いや、叫ぶだけじゃ気がすまなかった

この炎の中を飛び込むなど、全くの無益でバカだと思った

杏子「…くっそ、くっそおおおお!!」

それでも家族を助けたくて業火の中を走りだしだ

熱い、熱い

肌がただれる、息が苦しい、喉が痛い

涙があふれ出す

煙のせいだろうか



351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/07(水) 19:35:14.46 ID:XIOGxO2x0

一番大きな人間…父親が逃げようとする一番小さい人間を殴り、首を絞める

杏子「やめろっ!!やめてくれ!!!」

槍の柄の部分を伸ばし、一番大きな人間をとめようとするがいくらたっても槍は届かない

小さな人間は首を絞められ最初は抵抗していたが結局動かなくなった

杏子「や、やめろおおおお!!!」

杏子「親父っ…クソ親父、いやクソ大馬鹿野郎!」

杏子「お前なんてっ、くそっ…くそっ」

杏子「何でなんだよ…夢でも良いからさ…」

杏子「お前も、妹も、母さんも…助けさせろ…よ」

バチバチと何かが爆ぜる音が聞こえ、3人が倒れ込む光景が見える

杏子「―――!!」

声にならない叫びが上がった



355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/08(木) 20:04:55.99 ID:/ywUVSa30

ほむら「くうぅぅ…」

羽ばたくたび、鋭い痛みが背中に走り、ずきずきと肩、腕が痛む

血がだらだらと皮膚をつたっているのが良くわかる

ほむら(マミから何とか逃げ切れたけど…どうしよう)

こうしてあてもなくフラフラとしているより、早く路地裏にでも隠れて体の傷を治療した方が良いのは明らかだった

しかし、ほむらはむしろ早く自らの体が地面に激突することを望んでいた

そのまま死んでしまえばいい

けれども一方では、彼女が意識していない
もっと心の奥深くの本能的なものは“死”に恐怖し拒否をしているようだった

その恐怖が自然と彼女を人気のない狭い路地へと向かわせた

くらくらとする頭、どんどん冷える手先

彼女は薄暗いゴミ捨て場のような湿った場所に落ちるように倒れ込む

目の前の明るい色がだんだんと褪せていき、世界が灰色へと変貌していく

自分の髪が、服が、頬が、血で湿っていく



356:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/08(木) 20:10:27.40 ID:/ywUVSa30

ほむら(…これでいいんだわ…)

広がる血だまりが薄く陰ったソウルジェムを汚した

本来なら命を落とすような傷ではないが、血を止めないならば話は別だ

魔法少女でも血が何割も抜けた状態ではいくらなんでも生きてはいけない

ほむら(…これで死ぬ…でもまどか、私はあなたに…)

ほむら(あなたに…生きたあなたに会いたかった…)

ほむら(…絶対…あんな終わり方、私は…認め…)

そこで視界は真っ暗になり、意識がとんだ



357:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/08(木) 20:19:26.52 ID:/ywUVSa30

「…おいっ、大丈夫か!?」

「あなた、早く病院へ…って、へ…?」

「…おい、これはまさか…」

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ほむら「…う」

気がついたら白い天井が目の前に広がっている

点滴のチューブが腕にささっている

ほむら(…助かってしまったのね…)

大きなため息をついた

絶望に打ちひしがれたため息

ただほんの少し安堵感も混じっているようだった

ぼんやりと窓の外を見る

さっきあんなに灰色だった世界は再び明るい色を取り戻しつつあった

ほむら(…そう言えば…私は何故ここに…?)

ガチャン

ほむら(!)

病室の扉が開いた



358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/08(木) 20:27:14.92 ID:/ywUVSa30

医師「おや!目を覚ましたようですね」

医師「気分はどうですか?」

ほむら「…大丈夫です」

医師「良かった…それで一体何があったのかな?」

ほむら「…それ…は…」

伏し目がちに答えたせいか、気まずい空気が流れた

医師「…言いたくないかな?でもね、何があったかちゃんと報告しないと」

ほむらは焦った、本当の事を言ったならば精神科に連れて行かれてしまう

…かといってヘタにひき逃げされたといえば…関係のない人を巻き込んでしまう可能性も…

ほむら(どうしようかしら…少し面倒になるけどこれが一番手っ取り早いかしら…)

ほむら「あの、私…覚えてないです…」

医師「え?何一つ?」

ほむら「はい…自分に何があったのか分かりません。学校から帰っていて…気がついたらこんなところに」

医師は目を白黒させて、少し待っててねと言って席を外した

ほむら(ふぅ…いったい誰かしら…私をここまで運んできたのは…)

ほむらはイライラが自然とたまっていった



359:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/08(木) 22:25:04.36 ID:/ywUVSa30

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ガチャン

また病室の扉が開いた

さっきの医師ともう一人別の医師、それに夫婦と思われる男女を連れてきた

医師「えっと、まずお名前は覚えているかな」

さっきの医師がそう言ったので、無言でうなずいてからボソッと暁美ほむらですと答える

別の医師に小声で何かを話し、それから男女に少し何か耳打ちをした

コソコソ話が終わったのち、4人はほむらに向き直った

医師「えっと、まずこの先生は主に脳の病気とかを担当している先生です」

医師「これから彼が暁美さんの記憶を戻すお手伝いをします」

紹介された医師はにこやかにほむらに笑いかけ、軽くお辞儀をした

医師「ここにいらっしゃるご夫婦があなたを発見して通報して下さったんですよ」

ほむらはありがとうございましたとにこりと人当たりのいい笑顔を作り礼をしたが、
本心はそんな見かけと間逆の思いでいっぱいだった

ほむら(…こいつらが余計なことしたせいで…私は死ねなかった)

ほむら(何も、望んで生きているわけじゃない…こんな地獄みたいな場所…)

ほむら(まどかがいたっていう…証拠は一つも見つからないし…)

ほむらは自分の唇を強く噛み、夫婦にばれないようににらみつけた



363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/09(金) 19:49:53.23 ID:WLiu1fPY0

それからなんだかんだと話が続き、やれ脳の検査だ、精神科だと面倒だったがようやく終わり
2、3日入院することになった

まあこれくらいはと心を落ち着かせてベットに横たわる

お見舞いに誰か来るわけでもなく、たまにやってくる看護師や医者と事務的な話をしてぼーっとする

ほむら(…私は…)

ほむら(一体何がしたいんだろう…)

暇になると人間というものは不思議と色々考え込んでしまう

自分の悩みや今後の事などを

ほむら(私はまどかがいないのを認めるつもりはない…)

ほむら(私はまどかがどこかで生きていると信じる…でも…)

まどかの言葉がぼんやりと頭にこだまし消えていく

ほむら(…それじゃ、あれは何なの…?)

ほむら(私…私…)

ほむらの目の前に広がるどす黒い空…

その黒い空に神々しいほどの白い光を放つ…巨大な柱のようなもの…

…まどか…

ほむら(イヤっ、やっぱりイヤだっ…無理だ無理だ無理だっ)

ほむら(まどかまどかまどかっ…まどかっ…)

こぶしを握り締めてふとんを何度も殴りつける



364:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/09(金) 19:55:38.52 ID:WLiu1fPY0

ほむら(私っ、どうしてもまどかと一緒がいい)

ほむら(まどかがいない世界なんて…生きてる意味がないよ…)

胸が苦しくなって、息をするのもいっぱいいっぱいになった

ワルプルギスの夜との戦いで何度も死の淵に立たされそのたびにまどかとの未来を信じて逃げてきた

すべてを…仲間すらおいて逃げてきた

--結局、全部水の泡---

涙が一筋流れ、ほむらは枕に顔をうずめた

ほむら(まどか…私あなたのことが分かんない…)

ほむら(ねえ…どうしてこうなっちゃったの…?)

ほむら(ねえ…答えてよ…誰か答えてよっ!!!)

声にならない叫びが辺りにこだました



365:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/09(金) 20:01:36.74 ID:WLiu1fPY0

ガチャン

ほむら「!?」

果物を持った夫婦が入ってきた、ほむらを助けてくれた2人だ

「こんにちは、気分はどうかしら?」

良く見ると40半ばの上品な女性とエリート街道まっしぐら、といった感じの男性

幸せそうだった

ほむら「はい、おかげさまですっかり良くなりました」

にっこり笑って声のトーンを少し上げる

少しまどかっぽくなってきただろうか…

「そうかそうか、良かった」

男性はほむらの様子を見てニコニコと笑った

「…本当に、助かって良かった」

幸せそうな雰囲気を出していた男性の顔が少し沈んで見える

女性の方も同じだった



366:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/09(金) 20:05:42.73 ID:WLiu1fPY0

ほむら「…どうなさったんですか…?」

不思議に思って訪ねてしまった

頭よりも口が先に動いてしまった

「…そうね、あなたに聞いてもらったら…楽になるかもしれないわ…」

女性は男性の肩にポンと叩いてじぃと見つめた

「…ああ、そうだな…」

深刻そうにしばらくうつむき、やがて顔をあげた

「…」

顔をあげたは良いものの、続く言葉が出ないようだった

女性も、ほむらも同じだった

長い沈黙が3人を包む

やっとのこと、男性がその沈黙を破った



367:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/09(金) 20:10:14.02 ID:WLiu1fPY0

「私たちの間にはね…子どもがいたんだ」

ああ、聞かないと良かった

ほむらは後悔した、もともとからそういう話は好きじゃなかった

「私達の子どもはね、すごく良い子だったんだ…本当に素敵な子だったよ…」

「優しくて、いつも私たちを笑顔にしてくれてね…」

男性のつぶやきに女性も加わる

「それが、さ…小学校卒業直前にさ、ひき逃げにあって」

女性はハンカチを取り出し涙をぬぐった

彼女はすごくつらそうだった

…ほむらは気まずかった



370:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/15(木) 19:16:10.74 ID:K7gTpBb40

気まずい一方でこの2人の娘の喪失の悲しみが身に染みた

本当に痛いほど分かった

あの日、まどかの死体を見つめ泣いていた自分

まどかと代われるものなら代わりたかった

どうして自分なんかが生き残ってしまったのか、本当に疑問だった

神様を恨んで、憎んだ

この夫婦も…きっと同じ気持ちだったのだろう

「ご、ごめんね。みっともない姿見せちゃって…」

ほむら「いいえ」

そっと首を横に振る

もう完治したはずの心臓が痛んだ

目の前がぼやけそうになるのを不思議に思う

「…そうだ、娘の写真を見せてあげよう。実はね、君のリボンが娘のしていたものとそっくりでね…」

ほむら「!?」

ほむら(このリボンに似ている…まさ…か…!?)

そう言って男性はガサゴソとバッグをあさり立派な財布を取り出した

そして中から小さな写真を取り出したが、ポロっともう一つ、別の写真がこぼれて地面に落ちた



371:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/15(木) 19:26:58.70 ID:K7gTpBb40

ほむら「あ…落ちましたよ」

たまたま落ちた先が手を伸ばせば簡単に取れそうなところだった

別に怪我人なのだからジッとすれば良いものの、なぜか手を伸ばして写真を拾い上げた

ほむら「…あ!」

「どうしたの!?」

ほむら「こ…の…子…」

自分の顔から血の気がひいていくのを痛感する

ほむらは唇を強く噛んだ

ほむら(この子は…私を公園で襲った…あの子…!)

ほむら(この銀髪…顔…間違いがない…)

ほむら「彼女との…関係は一体…?」

写真を見せながら夫婦に問いただした

「…」

「…」

2人は何も答えない

ただ気まずそうに顔を見合わせるだけだった

ほむら(…娘なの…そうじゃないの…)

ほむら(第一…何なのよこの人達の顔…)

ほむらはまどかの両親や自分の両親を思い出し、何かおかしいと思う

ほどなく2人は愛想笑いを浮かべながら退出したため問いただすことは無かった



372:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/15(木) 19:31:42.91 ID:K7gTpBb40

ほむら(まどかのリボン…みたいなのをつけている女の子)

ほむら(その両親が持っている財布から出たあの…銀髪の子の写真)

ほむら(もし銀髪の子がまどかとつながっているかもしれない女の子と何かしらの関係があるならば)

ほむら(会って冷静に話してみたい)

脳裏に狂ったような笑みを浮かべモーニングスターを振り下ろす彼女がよぎった

ほむら(…やっぱ無理かな…でも、今唯一何かが分かりそうな手がかりは…)

ほむら(でもな…第一リボンだけでまどかって…どうかしてるわよね)

ほむらは病室で悶々と考えながら目をつぶった



376:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/27(火) 17:54:46.59 ID:Cy+1k7I80

マミ「…佐倉さん…美樹さん…」

マミの部屋で横たわる2人

あすみ「グズッ…私をかばって…ううっ…」

2人にすがりつき泣きじゃくるあすみを痛々しげにマミは見つめていた

キュウべぇ「…別に心配しなくていい…眠っているだけだよ…」

マミ「ええ、そうみたいね」

マミは自分の目つきが鋭くなる感じがした

マミ(…あすみちゃん…)

マミ(…いくらなんでも自分の魔力を完全に消すのは無理だったみたいね)

ちらりと後ろに視線を移す

やはり何もない

しかし自分を虎視眈々と狙っている“何か”がある



377:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/27(火) 18:04:38.03 ID:Cy+1k7I80

マミ(“あれ”からわずかだけど…あすみちゃんの魔力を感じる…)

マミ(一時的になら完全に消せるみたいだけど…ここまで長時間だと厳しいみたいね)

マミ(いいえ、あすみちゃん自身の魔力を私達が感じることが出来なくなる魔法…って感じかしら…)

マミ(幻覚魔法…あすみちゃんの固有魔法は幻覚だわ)

マミ(ずっと透明化が固有魔法で…その応用で幻覚的なものが少し使える程度に思っていたのが間違いだった)

マミ(すべて幻覚だ、と言われたら色々辻褄が合うもの)

マミはゴクリと唾を呑んだ

今見ているのも幻覚の可能性は十分あり得る

もしかすると…今までみていたあすみのすべてが幻覚かもしれない

そう思った瞬間、マミの脳裏にはあすみの笑顔が浮かんで消えていった

明るい笑い声がマミの耳に響き渡った

そして本人は気が付いてないだろうが時折見せる暗い顔、それは憎悪のこもった悲しい顔だ

その暗い表情があすみの本当の姿なのだろうか…

マミ(…いいえ、あり得ない)

マミ(全て幻覚なんて、あり得ないわ)

マミ(あすみちゃんの本当の心は…あの笑顔のはず)

マミは何故だか分からないがそう思えてならなかった



378:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/27(火) 18:08:24.97 ID:Cy+1k7I80

マミはあすみのあの暗い顔が、憎悪がこもっているが助けを求めているから

だから自分は今まであすみを疑わなかったのだということにしばらく考えて気がついた

マミ(…あすみちゃん)

マミ(もし、あなたが…私の勘違いじゃなくて…こんなことをしたのだとしたら)

マミ(私はあなたを…とめる)

マミは握りこぶしを作り、静かに力を込めた



382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:19:18.13 ID:Kaez3HSM0

あすみ『…お父さん!』

小柄な少女は父親と思われる人物に向かって手を振る

あすみ『あ、お母さん!!』

その男性の隣に母親と思しき女性も立っている

少女は2人に駆け寄り抱きつく

頭を撫でてもらう感触と腕の力が心地良かった

こんな時間が永遠に続くと思っていた

あすみ(…嫌な夢見たな…くそっ)

ふとんから起き上がり、不快感のあまり舌打ちをした

隣ではマミが静かに寝息を立てていた

どうしようもないほどイライラする

あすみ「ちっ、キュウべえ!いるんでしょ!?」

キュウべえ「なんだい?」

白い契約者はあすみの声に反応しひょっこりと物陰から顔を出した



383:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:20:01.49 ID:Kaez3HSM0

あすみ「ねえ、あれはどうなってんの?どこの町に行けばいいの?」

あすみ「今すぐにでも行きたいんだけど」

キュウべえ「もう少し待ってよ」

眉をひそめ有無を言わせぬ物言いであすみはキュウべえに問いただすが
キュウべえはぼんやりとした感じで答えただけだ

あすみ「はあ!?」

あすみは怒りのあまり手にモーニングスターを持ち、キュウべえに向ける

キュウべえ「もう、せっかちだな~こっちは君に最高の場所を提供してあげようとしているのに」

キュウべえ「あと2日くらいさ、それまで待ってくれよ」

キュウべえ「ま、最悪の場所でいいなら今すぐにでも紹介してあげれるよ、でも嫌だろう?」

やれやれ、これだからとわざとらしく付け加えるキュウべえにあすみの怒りは更に燃え上がった



384:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:20:32.08 ID:Kaez3HSM0

こいつを殺してやる

無意味と知っていてもモーニングスターを振り下ろす手は止まらなかった

キュウべえ「殺すがいいさ」

キュウべえ「僕の代わりは何匹もいるからね」

キュウべえ「ただ僕だって“血”は流れているんだよ」

キュウべえの言葉があすみを捕え、あすみは動きを止めた

キュウべえ「やはり君はなかなか頭が良いね。そうさ」

キュウべえ「血が飛び散って…騒ぎに気がついたマミはなんていうだろうか?」

あすみ「…このクソ野郎!!」

鋭く、鋭くキュウべえを睨みつけ、悔しげに腕を下ろした



385:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:21:02.76 ID:Kaez3HSM0

キュウべえ「理性は少しは持ち合わせているようだね」

キュウべえ「にしても君、酷い汗だね。嫌な夢でも見たかい?それとも」

あすみ「…でてけ」

何か口を開こうとしているキュウべえの動きを止めたいがために言葉を続ける

あすみ「お前なんて出ていけっ、出てけ!」

キュウべえ「自分から読んでおいて挙げ句の果てには出てけ…やっぱり訳が分からないや」

キュウべえ「じゃあお望みのままに、さようなら」

白い影は窓の外にスッと消えていく

あすみ「…皆、出てけ」

あすみの手からはモーニングスターを握り締め過ぎたのであろうか、血が流れていた



386:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:23:27.83 ID:Kaez3HSM0

杏子「…」

いくら手を伸ばしても決して家族には手が届かない

炎で目が焼け焦げそうだ

もう涙は枯れてしまって代わりに血が流れそうだ

杏子「くそっ!くそっ!くそっ!!!!」

杏子の脳裏に今までの悪行が流れるように駆け巡る

杏子「…悪かったのか!?」

杏子「神様っ!あたしが、何したって言うんだ!?」

杏子「…神様、あんたこそ私から幸せを奪ったじゃねえか!?」

杏子「あたし…は…何でもう一度…」

ゆらゆらと3人の影は消えていった



387:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/11/30(金) 19:23:57.81 ID:Kaez3HSM0

杏子「おい…なんてこったい…」

杏子「おい!なんとかいえよ!!神様!!!」

杏子の脳裏に父を襲う巨大な影と、使い魔に襲われる信者が陽炎のように現れた

杏子「神様、私は救われるんじゃねえかよ!?救ってくれるんじゃねえのか!?」

ボロボロになってなんとか魔女を倒した杏子に待っていたのは石と罵倒の言葉だった

杏子「…親父っ…くそっ…」

杏子「貧乏に耐えて、親父の為に魔法少女になって、戦って、守って」

杏子「辛かったんだぞ!?あたしは辛かったんだぞ!?」

杏子「くそっ…呪ってやる!!皆、みんな!!!」

大声で泣きたいのに水分は残っていない

もう声もかすれかすれだったが杏子は叫び続けた



393:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:15:25.47 ID:bf6hE4wu0

杏子「どうして!希望を信じたあたしが馬鹿だったのか!?」

杏子「なあ!答えやがれっ!!おいっ!!!!」

槍を伸ばすのを止め、元の長さに戻して思いっきり地面に突き立てるとそこにヒビが入った

その瞬間、ヒビから水が勢いよく吹きだす

臭く、濁り切った、とてつもない汚い水

それが炎を少し鎮火し、炎は凍えるような冷気をまとった水を温める

杏子「…何なんだ、こりゃ」

少しづつ地面の日々が大きくなり、地面から人影が現れる

杏子「お前…は!!」

さやか「…」

何ともいえない表情でさやかが杏子を見つめた



394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:16:18.78 ID:bf6hE4wu0

『あははははは!!!!そうそう、イイ感じ』

そうだ、そうだよ、み~んな、みんな、苦しめばいいんだよ!

自分の体が勝手にどれほど恐ろしいことをしているか薄々自覚していた

しかし何と素晴らしいことか

もう我慢しなくていい、正義なんて堅苦しいだけだ

いや、自分の中にまた新たな定義の正義が登場しつつあった

『そうそう、こうやって世間を掃除するんだよ』

にひっ、とさやかは笑った

『ホント、あんたもばっかだね~どんな崇高な人間になりたかったのさ』

ニヤニヤと青い髪でさっきの怪物と同じマントを着た人魚は語る
顔は鉄の仮面で見えない

『ふふっ、この世なんて所詮欲の塊だよ』

さやか「…」

恭介と仁美が歩く姿が頭の中を支配する



395:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:16:57.06 ID:bf6hE4wu0

さやか「…何で、あいつら…」

『ん?』

さやか「何であいつら、あたしに這いつくばって感謝しないの!?」

さやか「あたしのお陰でさぁ!付き合えてるようなもんじゃんか!!」

さやか「特に恭介!!!あいつ!!!!」

『そりゃそうさ、あいつらは“悪”だもん』

仮面の少女はははっと高笑いした

『ねえ、さやかちゃん?一緒に“正義の味方”になろう?』

仮面の少女が指をさす

指した先には…2人がいた

これが現実か、夢か分からなかったが狂ったように突っ込んでいった自覚はあった

しかし何かにぶつかり、上手くいかない

上手く殺せない

『ちっ、邪魔がいるみたい』

『さやかちゃん!悪者をみ~んなやっつけて!!!』

さやか「うん!」

必死に何かを殺そうとするが何かは動きは早かった

突然体が動かなくなった



396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:18:42.31 ID:bf6hE4wu0

さやか「ぐっ、動かない!なんで…」

もがいてどうにかして動こうと悪あがきをする

そして…腹に強烈な衝撃が走った





ごぼごぼという水の音

気を失ったさやかが再び目を開く

そこには薄く濁った緑の世界

目の前に漂う仮面をつけた人魚

さやか「…ここ、どこ…あたし、何したの」

『ん?あたしといいことしたんだよ?』

さやか「…?いいこと…?」

『うん!正義の味方ってやつ~?』

ごぼごぼと水音が静かな世界に響き渡る



397:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:19:17.08 ID:bf6hE4wu0

さやか「!?」

ふと両手をみて愕然とした

頭を抱え、今まで何をしてきたか考える

狂ったような笑い声に、血が空中を舞う…

さやか「…あれ…ま…さか」

だんだんととある少年と少女に近づく自分…それから刃を向けて…

さやか「うそ…うそ、うそ、うそ、うそ、うそ」

愕然としているとポンと肩に何かが乗った

『残念だったよね、殺せなかったや』

さやか「ざん…ねん…!?」

『ん?そうだよ。だってあいつら悪じゃん』

さやか「悪!?恭介と仁美が!?」

『あらら、もう忘れたの?あいつら最低だよ』

仮面の人魚はさやかの顎をクイッと掴んで挙げ、目を合わせさせる

さやか「!?」

『…あいつらがあたしに何言ったか知ってるの!?』

一瞬にして緑の世界が吹き飛び様々な叫び声が聞こえる



398:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:20:19.55 ID:bf6hE4wu0

内臓を出しながらそれでも恭介と仁美を守り…偽物にされた自分

告白も叶わずに赤い髪の少女や…記憶に無い少女を振り払い走る自分

様々な記憶に壮絶な絶望感

思わずさやかは口を押さえた

『…ぜ~んぶみた?』

さやか「…」

『よし、見たみたいだね』

『よし、見たなら一緒に恨もう?』

『一緒に憎もう?』

『自分や…皆を、ね?』

それは違う、と叫びたかったが声が出ない

人魚がゆっくり腕を広げる

さやかは人魚が漂わせる何かに抵抗が出来そうに無かった

『そうだよ…そのまま、消えちゃえばいい』

『あんたも…恭介も…仁美も…皆!!!』

さやかは暗い世界に落ちていく感じがした



399:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:20:52.98 ID:bf6hE4wu0

あすみ「…くっ」

あすみはフラフラとおきた

あの後、まだ夜中だったので眠りなおした

安眠とまではいかなかったがそこそこ眠れた

しかし体には何だが強烈な疲労感が溜まったいる

それもそのはずだ、杏子とさやかを幻覚で捕え、マミを常に狙い続けているからだ

魔力の消費がはやい上にたまに幻覚のパターンを変えて正気に帰るのを防いだり、マミを狙う仕組みをチェックしたりと集中力のいる作業が続いている

あすみ「ぐ…」

グリーフシードで穢れを浄化し一息つく

なんだかやけに瞼が重く感じられた



400:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:21:53.88 ID:bf6hE4wu0

さやか「…ん?」

真っ暗な世界に落ちてどれくらい経っただろう

悲しみや苦しみを感じ続けてどれほど経ったか分からないが、声が聞こえた

「神様、私は救われるんじゃねえかよ!?救ってくれるんじゃねえのか!?」

さやか(…)

さやか(誰だろう…)

一瞬炎に包まれるイメージが頭をかすめ、闇が去った

そして最初の水中の光景に戻った

さやか(…あれ?水が…?)

そして異変に気がつく

緑に濁った水がどこかに向かって流れている

水だけじゃない、自分もそこへ流れているようだった

さやか(…どこへ…行くんだろう…ま、いいや)

目をつぶって流れに身を任せる

バキバキと何かを突き破る音が響き、瞼の向こうが明るくなった気がしたので目を開いた

さやか(炎…?)

真っ赤な炎が辺りで燃え盛る

濁った水が鎮火するも、まだまだ燃え盛っている

さやか「…あんた…」

すっかり忘れていた、彼女のことを

目の前の少女に向かってポツンと呟く

さやか「佐倉杏子、だよね」



401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:22:39.39 ID:bf6hE4wu0

杏子「…そうだ…あんたは…美樹さやか、か」

さやか「うん…」

しばらくお互いじっと見つめ合う

まるで夢から突然覚め、まだその余韻を引きずっている人のように

杏子「ああ、そうだ…あたしはあんたを探してたんだ…」

さやか「私は…あっ、これはあの転校生の仕業じゃなくて」

杏子「分かってる!」

さやか「ならいいけど…とにかくどうやって出ればいいと思う?」

杏子「分かんねえ…クソッ、あちっ!?」

杏子とさやかが正気にかえったと同時に水が、炎が2人に牙をむく

さやか「あちちちっ!うわっ、つめたっ…て、ゲホッ!」

杏子「大丈夫か!?」

水の塊にのまれそうになるさやかの腕を掴みこちらへ引き寄せる

杏子「なあ、お前なんか水にトラウマがあんのか」



402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:23:49.95 ID:bf6hE4wu0

さやか「知らないよ!あんただって火事でもあったの」

杏子「まあ。トラウマってほどじゃあないけどさ」

さやか「…ごめん」

杏子「いいさ。いや、寧ろ知っておいて欲しい」

さやか「なんで?」

杏子「あたしの固有魔法はさぁ…実は幻覚なんだよね」

さやか「えー…ギャップを感じる」

杏子「もう使えないんだけどさ」

杏子「とにかくこの幻覚は心の弱い点を突いてくるタイプだと思う。あたしは使えなかったけど」

さやか「へえ、あんた何を使ってたの?」

杏子「分身」

さやかの頭に沢山ならんでいる杏子を思い浮かべ、少し気味が悪くなってしまった

杏子「とにかくさ、用心しな…でも少し変だと思うんだ」

さやか「何が?」

杏子「実はさ、あたし両親と妹が死んでるんだ」

さやか「え…?」

杏子「親父が新興宗教開いてさ、でも最終的に信者に皆殺されちまった。その時教会、あたしの家も焼かれちまって」

杏子「あたしの願いはさ、親父の話を聞いてほしい…だったから…あたしが殺しちまったようなもんなんだ」



403:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:26:54.85 ID:bf6hE4wu0

さやか「…」

杏子「でも…この映像は違うんだ…」

杏子「あたしだったら親父達が殺される瞬間をもっとはっきりみせるんだけど…
だっていきなりショックな情報入れるよりも本人の経験した一番キツイ出来事をみせて、
それから展開していくのが効果あると思うんだけど…」

杏子(さっきの映像は全然違う…あたしが迫害される映像…それに魔女ってなんだ?)

さやか「そういえば…あたしはあんたの言う通りの手順で幻覚を見たような」

杏子「ん?」

さやか「いや、あたしはあんたに比べて…その全然だけど…
多分失恋が人生で一番ショックな出来事だと思うんだよね」

さやか「だから…それを見ちゃって…」

杏子「そっか…」

2人してブルーな気分になるが、杏子はさやかの肩を叩き、さやかは笑顔を杏子に向ける

さやか「とにかく、早くここから出ようよ」

杏子「そうだな。とにかくイヤな出来事から来る幻覚にとらわれないようにな」

グラグラと地面が揺れ、何かが地面から姿を現した



404:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:27:38.51 ID:bf6hE4wu0

杏子「げ、何だこいつ!?」

さやか「これ…私の幻覚に出てきてた奴だ!!」

下半身が魚のその化け物は雄たけびを上げて2人への攻撃を始めた







あすみ「…う」

くらくらとする頭を抱えてあすみは起き上がった

あすみ(あー…何でこんな所で寝てたんだっけ)

マミの姿は見えないが、台所から何かを作る音が聞こえる

大方料理でもしているのだろう



405:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:28:25.76 ID:bf6hE4wu0

杏子「う…」

隣に倒れている杏子がうめき声を上げる

さやかもまた苦しそうに寝返りを打った

あすみ(ヤバいヤバい、もう一回魔法をかけなおさないと起きちゃう)

手にモーニングスターを持ち2人に当てる

あすみ(ぐうっ…)

モーニングスターから2人の記憶と心情をのぞき、モーニングスターへ幻覚の内容と共に魔力を注ぎ込む

あすみ(はあっ…はあっ…)

あすみ(くっ…この2人は何なの)

息を切らし、脂汗をぬぐいつつ倒れている2人を見る

あすみ(何で…こんなに大量に記憶とそれに伴う感情…があるの?)

あすみ(おかしい、一定の時間にぼんやりしているけどいくつかの場面があるのは…何で)

あすみ(どれもこれも…発狂レベルのことばっかり…)

あすみ(こんなの…耐えられるもんじゃない…!)

あすみ(ぐうっ…本当に…何…うっ!!)

モーニングスターから入ってくる情報に巨大な黒い影を確認した



406:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:29:24.61 ID:bf6hE4wu0

真っ暗な空に不気味な笑い声

それに向かっていく数人の少女…彼女達は次々と倒れていく…

とうとう最後の一人になった黒い少女は手についている何かをいじったと同時に…消えた

“何で…どこに”

2人のどちらが発したものか分からないが、微かな声が聞こえた

あすみ(!!!)

あすみに流れ込む強烈な絶望感や痛み

あすみ(うああああああ!!)

あすみは素早くモーニングスターを2人から離す

あすみ(…はあっ、はあっ…)

息を切らしながら黒い少女のあのシルエットを思い出す

あすみ(あいつだ…あいつは何かとんでもないことをしでかしたんだ)

あすみ(あいつ…暁美ほむら…!)

あすみ(あんなこと…)

あすみに2人の笑顔がよぎり、怒りを感じたが自分のしていることにはっとする

あすみ(…何だ、あいつはアタシよりも悪いジャン)

あすみ(それに自分よりも酷い目にあった人を見ると、何かすっきりするわ~)

いつものように言葉を集めて心の中でぶちまけても、なぜか胸の痛みが消えなかった



407:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:29:57.03 ID:bf6hE4wu0

マミ「あすみちゃん…」

マミが作ってくれた朝食を頬張っていたあすみは顔をあげた

マミ「あのね…もう止めよう…」

あすみ「な、何言っているのマミさん」

マミ「…お願い…もう、止めよう…」

あすみ「ま、まさか、私を疑っているの?」

あすみ「あ、あの、私何にもやってないよ!?」

あすみ「べ、別に2人を襲っても無いし!マミさんにも何も仕掛けてないよ!!」

マミ「どうして私の後ろに…何かの仕掛けがあるのをしっているの?」

しまったと顔を歪ませた時はもう遅かった

これ以上嘘をつき通すのも無理だろう

はあっと大きなため息をついてマミに改めて顔を向ける



408:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:30:39.24 ID:bf6hE4wu0

あすみ「で、どうするの?」

マミ「…」

あすみ「私は止めないよ」

マミ「あすみちゃん…」

あすみ「だって…私の願いはね、周りの人間の不幸だもん」

マミ「それじゃあ…あの笑顔も嘘なの…?」

あすみ「もちろん、まさかホントだと思ってたの?馬鹿じゃない?」

悲しげなため息をついてマミは顔を伏せた

あすみ「あーあ、あんなままごとみたいな生活さあ、飽き飽きしてたんだよね」

あすみ「あんた達は取りつかれたみたいに人助け、人助け」

あすみ「ばっかだろ、何のために魔法を手にいれたの?」

あすみ「私とそりが合わないよね~何が正義だっつーの」

あすみ「あんたが助けたその人間はあんたが助けを求めても、あんたを助けてはくれないのさ」

あすみ「自分には関係ないって無視して、下手したら迫害する」

あすみ「そんな奴ら、皆…死んじゃえばいいんだよ!!!」

あすみ「私を止めたかったら私を力づくで止めればいい!!」

あすみ「考えが合わなかったこの女みたいに、いや、それ以上に!!」



409:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:31:30.55 ID:bf6hE4wu0

あすみ「私を止める方法は一つ!!私を殺せばいい!!!」

あすみ「ほらっ、武器を持てよ!!!」

ガンッと音を立ててあすみは立ちあがり、モーニングスターを持つ

あすみ「…かかってこないなら、こっちから行くぞ!ほら、なんとか言えよ!!」

それでも動かないマミにあすみはしびれを切らし、マミの胸倉を掴む

あすみ「…っつ!」

あすみ「何で泣いてんだよ!!」

あすみ「…くそっ、気持ち悪い!なんだよ!!」

マミ「…どうしてっ、どうして…」

あすみ「ああっ!?」

マミ「そんなになるまで…どうして」

あすみは大きくビクッとし、それから鬼の様な形相でマミを殴った

あすみ「お前はっ!!」

あすみは倒れたマミの上に馬乗りになりさらに殴り続ける

あすみ「憐れんでんのか!!!」

マミ「…違う」

殴られるなか、必死の思いでマミが口を開き声を発する

マミ「…悲しい」

マミ「…そんなに傷つくまで、どうしてだれも…」

マミ「誰も貴方を救ってくれなかったの…」



410:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:32:23.68 ID:bf6hE4wu0

あすみ「てめっ、言いやがったな!!!」

全ての怒りを込めて思いっきりマミを蹴りつける

あすみ「クソッ、早く戦えよ!!」

あすみ「私はあんたを殺す、絶対殺す!!!」

マミ「貴方を私は助けたい」

あすみ「死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!」

マミ「もうやめよう!」

あすみ「あんたに私の何がわかる!!」

あすみ「いいか、人間ってのは不幸な時が一番いい顔してんだよ!!!」

マミ「もうやめて!!」

あすみ「何で止める必要があるんだ!!!!」

マミ「あすみちゃん、もう苦しまないで…」

あすみ「私の問に答えろ!!!巴マミ!!!!」

マミ「もう…幸せになって」



411:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:33:20.24 ID:bf6hE4wu0

マミ「このままだと…あすみちゃん、本当に不幸になっちゃう…
本当に笑えなくなっちゃう…あんな悲しい顔、見たくない…」

あすみ「…お前、私の話あんまり聞いてなかったよね」

あすみ「私はね、他人の不幸を見るのが何より幸せなの」

あすみ「ここまで言わないと分かんないとか…」

マミ「気づいてなかったの…?」

あすみ「ん?」

マミ「…泣きそうだった」

あすみ「はぁあああ?」

マミ「誰も助けてくれないって言った時、死ねって言った時、泣きそうだったわ…」

マミ「だから…もう止めて…」

マミ「あすみちゃんが望んでいることじゃない…こんなこと…」

あすみ「黙れ…」

あすみ「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええええ!!!!!」

あすみは思いっきりモーニングスターを振り上げて、降ろした



412:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:35:13.61 ID:bf6hE4wu0

キュウべえ「…やったね、神名あすみ」

あすみ「あんたか」

あすみ「はあ、別に殺してないからいいじゃん」

キュウべえ「どうなるか分かっているのかい」

あすみ「そっちこそどうなるかわかってるの」

あすみ「今ここで、この3人のソウルジェムを破壊したっていいんだよ」

キュウべえ「…」

あすみ「ふん、打つ手もないの?」

キュウべえ「神名あすみ…」

あすみ「何?」

キュウべえ「僕はね、こう見えても全ての魔法少女の情報を網羅、把握しているんだよ」

あすみ「そうね、でもいまさら何?私に何かできるの?」

キュウべえ「君は重要なことを見落としている」

それだけ言うとキュウべえは立ち去った

あすみ(…何すんだろう…きっとあいつ、何か企んでる)

キュウべえの去った後ろ姿を見つめ、少し考えてからモーニングスターを自分にぶつけた

とたんにあすみの姿が見えなくなった



413:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:37:09.93 ID:bf6hE4wu0

キュウべえ「暁美ほむらは君だね」

ほむらは目を開けると病室の窓にキュウべえがいた

ほむら「…ええ」

キュウべえ「そうか、それじゃあ君は魔法少女だね」

ほむら「…ええ」

ほむら苛立ちを込めて返答をする

キュウべえ「よかった、君に実は頼みたいことがあるんだ」

キュウべえ「君は僕と契約していない…
いわゆるイレギュラーだから君が僕を求めるまで君に触れずに観察を続けようと思っていたんだけど状況が変わったんだ」

ほむらは冷たい眼差しでキュウべえを睨みつけた

キュウべえ「助けてくれ。巴マミと美樹さやか、佐倉杏子という魔法少女が神名あすみに人質にとられている」

キュウべえ「彼女の目的は魔法少女狩りだ、彼女を自由にさせておくことは君にとって危険極まりない」

ほむら「神名あすみ…」

ほむらの脳裏に一瞬よぎるあの狂気に満ち溢れた笑顔

ほむら「危険と隣り合わせなのは皆充分承知しているはずよ」

ほむら「それにそんなに危険ならばどうして見ず知らずの人間の為に危険を冒さないといけないの?」

キュウべえ「もちろんタダでとは言わないさ」

ほむら「…あなた、私が何を欲しがっているかわかってるの?」



414:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:37:47.23 ID:bf6hE4wu0

キュウべえ「君はこの時間の人間ではないのだろう?」

ほむら「…」

舌打ちの音が微かに聞こえる

キュウべえ「ああ、やっぱりだ。そしてどうやら他の時間で僕は君に嫌われたようだね」

ほむら「…何でここの時間の人間ではないとわかったの?」

キュウべえ「可能性があるとしたらそれくらいしかないからさ」

ほむらは大きなため息をついてそれから下を向いた

キュウべえ「もう反論が無いみたいだから話を戻すね」

キュウべえ「君がここへ来た目的なんだけど…誰かを探しに来たんじゃないかい?」

キュウべえ「しばらく君の跡をつけさせてもらったけど、そんな感じだったから」

ほむら「…正解よ」

キュウべえはほむらを見て白い尻尾をふった

どことなく満足げに見える



415:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:38:49.55 ID:bf6hE4wu0

キュウべえ「もし助けてくれるなら、僕は今のところその人間の情報は持っていないかもしれない…
が君がその相手を見つけれるように尽力を尽くそうじゃないか」

ほむら「…いまさら」

ほむら「いまさら貴方の言うことが聞けるとでも?」

歯を食いしばりキュウべえを睨みつける、今までの恨みを込めて

キュウべえ「約束は守る」

キュウべえ「それとも別の時間の僕らは約束を守らなかったのかい?」

ほむら「…」

キュウべえ「まあ、もし君が手伝ってくれないのならば仕方ない」

キュウべえ「…3人はどうなっても良いから神名あすみ抹殺を優先させるしかないな」

ほむら「!?」

ほむら「ほ、他の魔法少女は!?隣町にもいるんでしょう?何で私に頼むの!?」

キュウべえ「ここ辺りの魔法少女の中では一番君がベテランで強いからさ」

キュウべえ「まあ返事は明日まで待つよ、それまでに決めておいて」

キュウべえはそれだけ言うと窓の外へひょいと去ってしまった



416:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:40:31.61 ID:bf6hE4wu0

病院から家に帰り、どうすべきか迷う

ほむら「…別にいいんだけど…ね」

自分には関係が無い

ほむらにはマミやさやか、杏子が自分に向けてくれた笑顔を思い出すことが出来なかった

罵倒と怒りの矛先が自分に向くことばかりが頭によぎり

それぞれの最後の顔が頭の中を駆け巡る

『馬鹿な私を救ってくれないかな…?』

ほむら(…ま…どか…)

まどかとの約束を忘れたことは無かった

そしてそれが果たせなかったことを受け入れることは、ほむらには出来なかった

ほむら(なんで、あの人達は…)

ほむら(何で、いつも敵対するの)

ほむら(あの人達は!!何でっ…私の言葉を信じてくれなかったの!?)

ほむら(何度も本当のことを言って!!)

ほむら(何度も止めて!!!)

ほむら(挙げ句の果てには殺されかけて!!!!)

ほむら(そのせいで…そのせいで!!!)

どうしても怒りの矛先が彼女らに向いてしまう

悔やんでもどうしようもない

別に彼女達が悪いわけではない

ただ地面に拳をぶつけ、怨みの言葉を頭にかけめぐらすくらいしかほむらには出来なかった



417:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:41:20.01 ID:bf6hE4wu0

ほむら「…」

ひとしきり地面を殴った後、確認するかのように髪の毛を結ぶ赤いリボンに触れてみる

手から赤い血が流れ、赤いリボンに静かに染みを作った

ほむら「…そうだよね、まどか」

ほむら「うんまどか、私、まどかを探し続けるからさ」

ほむら「まどか、早く帰ってきてよ」

ほむら「まどか、私、貴方の居場所を作ってあげるから」

ほむら「さやかちゃんやマミさん、杏子ちゃん」

ほむら「私がまどかみたいに振舞って、皆と仲良くなるから」

ほむら「そしてまどかがいつ帰ってきても良いようにしておくから」

ほむら「安心して…いいんだよ…」

誰もいない虚空の彼方に向かってぶつぶつとほむらは語りかけた

そんなほむらを物陰からニタニタと見つめる人物が1人

あすみ「きっも…」

モーニングスターに太陽の光が反射してぎらぎらと光った



418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:42:00.20 ID:bf6hE4wu0

あすみ「暁美ほむらああああああああああ!!!」

静寂を打ち破る怒号

ほむらが振り向くとモーニングスターを握りしめた少女が自分に向かってくる

ほむらは驚いたが、とにかくその少女を避ける

ほむら「何をするの!?」

あすみ「ひっ、けけけけけ、何をするのだって~だっさ!!」

体勢を整えたほむらは少女の顔を見て唖然とした

神名あすみ、前よりも更に狂気に満ちた顔になっていたからだ

ほむら「…神名あすみ…ちゃんだよね」

ほむら「キュウべえから聞いたよ、3人を人質に取ってるって」

あすみ「うん、全部しってるよ。みてたから」

あすみ「で、あんたはキュウべえと組んで私を殺すの?どうするの?」

ほむら「…3人を解放して。解放するなら何もしないわ」

あすみ「…嫌だ、といったら?」

ほむらの手に紫色の弓が現れ、背中から白い翼が生えた



419:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:42:33.34 ID:bf6hE4wu0

あすみ「…いいねえ、良いねえ…」

あすみは舌舐めずりをしながらモーニングスターを握りなおした

ほむら「ねえ、どうしてそんなことを…」

あすみ「…他人の不幸は蜜の味」

あすみ「どうせあんたもそうだろう?」

あすみはモーニングスターをブンブンと振り回し、そしてほむらに向かって投げる

ほむらは羽ばたいて空に逃げる

あすみ「はははっ、おらおらおらおらあああっ!!!!」

鎖の部分を伸ばし、鋭い動きでモーニングスターをほむらに当てようとする

ほむらも素早くモーニングスターを避けて、弓をかまえて矢を放った

あすみ「うおっ!!??」

あすみは間一髪で避ける

矢が当たった部分は衝撃で地面がえぐれ、砂煙が発生するほどの威力



420:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:43:14.34 ID:bf6hE4wu0

あすみ「へえぇ…やるじゃん、流石だね」

あすみ「やっぱ、本物のワルは違う」

ニタァとした笑顔をほむらに向ける

ほむら「…?」

あすみ「私ね、見たんだよ。あんたが杏子さんを見捨てる瞬間」

ほむら「!?」

あすみ「凄いよ、1回だけじゃない」

あすみ「あんだけ仲良くしておいてさ、あれは無いよ」

あすみ「杏子さんだけじゃない、マミさんやさやかさんもね」

あすみ「いやぁ~感服したわ、あれには」

ほむら「あなた…何で知ってるの!?」

ほむらは動揺で声が上ずる感じがした

あすみ「ん?杏子さんの記憶に少し残ってたよ。あれじゃ本人は忘れてるだろうけど」

喋り終わると同時にモーニングスターを振り上げ地面に叩きつける

その瞬間鎖がほむらの方へ真っ直ぐに向かう

ほむらは動揺していたせいか避けるのが遅くなってしまいあっけなく絡め取られる



421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:43:44.24 ID:bf6hE4wu0

あすみ「…あんた、何回友達をころした?」

あすみはほむらの耳元で呟いた

ほむら「違う…!」

あすみ「何が違うのさ、笑わせるよ」

あすみ「さあ、あんたが何をやらかしたかみせてよ」

魔力を纏い、鈍い銀色に光るモーニングスターがほむらに向かって振り下ろされる

ほむら「!!」

ほむらは目を閉じる

そしてゴツンという鈍い音が響き渡った

あすみ「!?」

あすみの頭に流れ込む映像



422:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:45:21.32 ID:bf6hE4wu0

天に向かってそびえたつ、真っ白な恐ろしい存在

巨大な嵐を巻き起こす、青い怪物

炎の中消えていく、大きな影と小さな影

首の無い、胴体

『馬鹿な私を救ってくれないかな…』

ピンクの髪の少女が悲しげに語りかけ、その次の瞬間銃声が響く

再びあの青い怪物、それに向かう先ほどの少女

少女の口が動いた、何と言っているか分からない

それからその少女は青い怪物に向かって飛び出していった…

あすみ「ぐっ…ぐうっ!!」

あまりにも強烈なイメージにあすみはうめき声をあげた

さやかや杏子達の比ではない

ほむら「ぐぁあああああああああ!!!!」

ほむらもまた、自分の記憶を思い出しうめいた



423:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:45:59.86 ID:bf6hE4wu0

あすみはほむらの記憶の数々を見たが、そこでありえない人物を見た

あすみ(おじさん!?おばさん!?)

病院で、ほむらと話をしている

あすみ(…何で、こいつらが…)

ふと、2人の財布から一枚の写真が落ちた

それを見て、あすみは言葉を失う

あすみ(…あ…た…しだ…)

3人で同居し始めて本当に最初のころ

まだ2人が優しかった頃3人で写真を撮ったことがある

ほむらはあすみにしか注目していないが、きっとあれはその時にとったものだ

言いようもない悔しさがあすみの胸に広がった

それからまた映像が切り替わり、あの白い化け物が現れて世界が滅びて…

ほむら「あああああああああ!!!!」

バキッ!という嫌な音と、腹部に走った痛み



424:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:46:29.99 ID:bf6hE4wu0

あすみ「っつ…」

ほむら「…よくも…」

いつの間にかほむらは鎖を振り解き、弓をかまえている

ほむらの目は怒りに燃えていた

ほむら「よくも、のぞいたわね…!!」

ほむらの声は決して大きくはなかったが、怒りで声が震え、はっとするほど低かった

しかしあすみもほむらの過去を知り、ほむらと同じくらい怒りを感じていた

あすみ「あんたなんか、幻覚なんか使う必要なんてないさ!!」

あすみ「私はあんたそっくりな奴を知ってる!!あんたの一番欲しくない言葉を知ってる!!」

ほむら「欲しくない言葉…?」

あすみ「うん」

ほむら「別に貴方に何を言われようが私は気にはしないわ」

あすみは侮蔑を込めた笑みを口の端に浮かべた



425:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:47:51.02 ID:bf6hE4wu0

あすみ「お墓参りにいかなかったの?」

ほむら「…なんですって!?」

あすみ「なに?一度もいかなかったの!?親友のお墓参りに一度もいってないの!?」

ほむら「黙れ!!!」

あすみ「やっぱあのババアとジジイとそっくりだ!!あんた!!!!」

あすみ「ばっかじゃない!?最低最悪じゃん!!あんたの友達は一番最初に死んだんだよ!!!!」

ほむら「死んでない!!!!!」

あすみ「あんたを守って死んだんだ!!!!」

ほむら「いいえ違う!!!!死んでなんかいない!!!!」

あすみ「あんたのやったことは間違ってる、ホントに間違ってるさ!!!!」

ほむら「いいえ、私は間違ってなんかない!!!!」

あすみ「いいか、病院暮らしの世間知らずのお嬢さんに教えてやるよ!!」

あすみ「誰だって泥水みたいな嫌なものを飲み込んで…それでも笑って平気そうな振りをしないといけないんだよ!!」

あすみの脳裏に母親と2人で暮らしていた日々が駆け巡ぐった

あすみ「で…それを拒んだうえに…無かった事にしようとするやつ…それがお前だ」



426:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:48:50.34 ID:bf6hE4wu0

あすみ「私は…そんな奴らが大っきらいだ!!!!!」

ほむら「黙りなさい!!!!」

ほむら「約束だってしたんだから!!!!」

あすみ「約束?ああ、あれか…あのまどかだっけ??最低だよねあいつも」

ほむら「!?」

あすみ「あんたがどうなるか分かってなかったのかな…」

あすみ「あのまどかって奴は私には我が儘で、優しそうなフリをするただの自己満足野郎にしか見えないな」

ほむら「…許さない」

ほむら「絶対許さない、私はまだしも…まどかを侮辱した…」

あすみ「うえええ、ストーカーかよ」

ほむら「何とでもいいなさい!!絶対許さない!!!」

あすみ「ああ!!別にゴミに許して貰おうなんて気はない!!!」

あすみ「寧ろあんたは哀れだ」



427:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:50:13.69 ID:bf6hE4wu0

あすみ「助けたかった親友を何度も殺してるんだ!!!」

あすみ「そんなことにも気付けなかったんだな、いや死を受け入れられないあんたが解るわけないか」

ほむら「黙れ!!!!」

あすみ「挙げ句の果てには親友をこの世から抹殺した!」

あすみ「これが果たして親友っていえるの!?最高の友達!?私だったら最低の友達って言うよ!!」

ほむら「だまれええええええええ!!!!」

あすみ「黙るもんか!あんたの親友は永遠に帰ってこないよ!!」

あすみ「あんたは親友の頑張りを無にした挙げ句死ぬよりももっと酷い目にあわせたんだ!!!」

あすみ「ヤバイ、こんな極悪人みたことない!!!あっはははははははは」

ほむら「いやあああああああああああ!!!!!!」

あすみの高笑いとほむらの金切り声が重なり、突風が吹き荒れた

思わず目をつぶったあすみが再び目を開くとほむらは姿形がなくなっていた



428:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:51:04.41 ID:bf6hE4wu0

あすみ「…」

キュウべえ「君だって人のことは言えないよね」

物陰から白い生き物が姿を現した

キュウべえ「案外、君は君自身のことがわかっているんじゃないかい」

キュウべえ「さっきのセリフ、君にぴったりだ」

あすみ「うるさい!!さっさとどっか行けよ!!!」

キュウべえが居る所に向かってモーニングスターを投げつける

キュウべえはサッと避けてどこへ去って行ってしまった



429:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:51:49.89 ID:bf6hE4wu0

マミ「…ここは…どこ?」

目を開くと暗闇に包まれていた

どこからか漂うガスの匂いが身に危険が迫っていることをはっきりと理解させた

マミ(離れなきゃ…)

立ちあがろうとすると体に激しい痛みが走った

息が上手く出来ない

マミ(…っつ…何で…)

良く見ると洋服がいつも着ているものと違う

マミはあわてて自らの両手を見た

血で真っ赤に染まっている

マミ(まさか…)

隣をみると両親が血だらけで倒れている

もう二度と思い出したくない光景

もう二度と遭遇したくない出来事

そしてどうしてここでこんな願いをしてしまったのか、という後悔の始まりの場所

マミ(いや…なんで…いや、いやだ…)

マミ(死にたくない…)

破壊された車の窓から見える空はあまりに美しかった



430:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:52:35.71 ID:bf6hE4wu0

杏子「うおりゃああああ!!」

さやか「くっ…!」

2人はそれぞれの武器を使い炎を薙ぎ払い、水を切り、怪物と戦う

しかしいくら切っても払っても、それらに特段効き目があったわけではない

じわじわと体力が削れら息が上がる

終わりの見えない戦いに杏子とさやかは疲労感を隠すことが出来なかった

杏子「くっそ…どうすりゃここから出られるんだ!?」

さやか「はあ…はあ…」

突然辺りが光に包まれた

微かにガソリンの匂いが漂う

それから光が収まったかと思うと炎と水が今までの3倍にまで膨れ上がり杏子とさやかに向かっている

杏子「こんなの防ぎきれねえよ!!!」

さやか「逃げる!?」

杏子「無理だ!もう遅い!!!」

その会話を最後に2人はそれぞれ炎と水に包まれ姿を消した



431:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:53:04.88 ID:bf6hE4wu0

ほむら(私は間違ってるの?)

ほむら(まどかはもういないの?)

ほむらは両手で頭を抱えしゃがむ

ほむら(そんなはずないじゃない)

ほむら(まどかは死んでなんかないし、今もどこかにいるわ)

ほむら(私は何も間違ってなんかない)

ほむら(私は…!)

―――ほむらちゃん―――

ほむらの頭の中に懐かしいあの声が響きわたった



432:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:53:30.34 ID:bf6hE4wu0

ほむら「!!」

ほむらは立ちあがり左右を見回す

ほむら「まどか…?まどかなの!?」

ほむら「どこにいるの!?」

―――私はこっちだよ―――

まどかの声が強く聞こえる方

フラフラと一歩を踏み出す

―――ほむらちゃん、こっち―――

ほむら「まどか…まどか!!!」

ほむらは声が聞こえる方へ全力で走りだす

幾つかの角を曲がり、道を走る

誰かを突き飛ばしたような、誰かにふまれたような気がしたが、そんなものは今のほむらには気にするに値しなかった

ただひたすら声がする方へ走る



433:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/16(日) 14:54:41.48 ID:bf6hE4wu0

―――ほむらちゃん、ここだよ…―――

まどかの声が一番強く聞こえた場所に無我夢中で突っ込んだ




知久「え?」

知久は妻と息子を見送り一人庭の手入れをしていた

良い天気でいいことがありそうなそんな気分だった

ガシャーン

激しい音が庭の一角から聞こえ何ごとかとそちらの方向へ視線を向ける

真黒な髪の少女が自分の庭に転がりこんでいた

知久「あの、どちら様で…?」

小さくうずくまっていた少女はガバッと顔を上げ知久をみる

髪の毛は先ほどの衝撃でぐしゃぐしゃ、大変切羽詰まり、歪んだ表情をしている

良く見ると手をケガしているようで血だらけだ

しかしかなり顔立ちの整った少女だ、きちんとすれば将来モデルにもなれるだろう

少女はしばらく口をパクパクとさせていたがようやく声を発した

ほむら「まどかっ…まどかは!?」

知久「まどか?うちにまどかという子はいませんが…人違いでは?」

それを聞いた少女はいたく傷ついた顔をしてふらりと倒れ込んでしまった



437:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:01:14.88 ID:nfRGAdeF0

ほむら「う…」

知久「あ、気がついた?さっきはなんかごめんね」

ほむら「ここ…は…」

知久「僕の家だよ。びっくりしたよ、君突然突っ込んできたんだからね」

知久は優しげにほむらを見つめ、それから笑った

ほむら(…ここ…まどかの家で…この人は…まどかのお父さん…)

ほむらはうすぼけた記憶の中からまどかの家に訪れたことを思い出した

とにかく立ちあがろうとすると手に違和感を覚え、視線を移す

手には包帯が丁寧に巻いてあった

知久「その格好何かのキャラクターのコスプレ?すごく似合ってるね」

ほむら「!?」

しまった、と気付いた時は遅い

魔法少女に変身したままで街を全力疾走し、今こうして思いっきりみられしまっている

ほむら「は、ま、まあ…あ、あはは」

とにかくばれてはならない、苦笑いを浮かべとにかく返事をする



438:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:01:43.91 ID:nfRGAdeF0

知久「そうだ、よかったらお昼を食べない?」

ほむら「…いいんですか」

知久「もちろん!実は昨日の夜、クリームシチュー作り過ぎてしまって…未だに余って、困ってたんだ」

知久「ここに座って待っててね」

ほむらは奥の部屋に去っていく知久をぼんやりと眺めながら自分がまともなご飯を食べるのが久しぶりであることに気がついた

今までコンビニ弁当ならばまだマシ、下手をしたら何も食べていないを言う状況が続いていたことにようやく気がついた

そう思ったとたんお腹が凄く減っているように感じた、人間とは不思議である

ほむら(そういえば…クリームシチュー…まどかの好物だった…)

ほむら(…まどか…早く私と変わりなさい…!貴方、クリームシチューが食べたいんでしょ…!?)

そうこうしていうるうちに知久がお盆にシチューを入れた皿とカリカリに焼いたフランスパンを乗せてやってきた

知久「はい、お待たせしました」

湯気が立つ美味しそうなシチューを見つめたままほむらは動かなかった



439:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:02:09.27 ID:nfRGAdeF0

知久「…もしかして…嫌いだった?」

ほむら「い、いいえ!全然そんなことはないんです…ただ…」

ほむらの声がだんだんと小さくなり、最後は消えてしまった

2人の間に沈黙が漂う

ほむら「ごめんなさい、本当にごめんなさい」

知久「いいや、こっちこそこんな無理に誘ってしまって…」

ほむら「そうじゃないんです…」

慌てる知久にほむらはうつむいて首を振った

ほむら「私…友達を待っているんです」

知久「お友達…それってさっき言ってたまどかって子?」

ほむらは無言でうなずいた

ほむら「…まどかがこないんです…」

知久「会う約束をその子としていたのかい?」

ほむら「…」



440:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:02:46.93 ID:nfRGAdeF0

知久「どんな子かな?いや、実は息子が知っているかもしれないんだ」

ほむらはいたく驚いた顔をして知久を見つめた

ほむら「どこですか!?その…息子さんはどこでまどかを…!?」

知久「それが…分からないんだよね、ただ名前を連呼して絵を…まあ3歳だからね、
詳しくは分からないけど二つ結びの女の子さ。丁度君みたいな」

ほむらはじわじわと目に涙が溜まってきた

ほむら「…やっと…見つけた…」

ようやく、この世に残ったほんの少しのまどかの情報が手に入ったのだ

ほむら(でも…それなら…どうして…)

溜まった涙がボロボロと流れる

涙がほむらの頬を濡らし、膝に置かれた拳を濡らし、紫色のスカートに染みを作る

知久「ど、どうしたの!?」

ほむら「どうして会いに来てくれないの!?」

ほむらは顔を両手で覆って泣いた

泣くほむらに誰かがトントンと肩を叩く

知久「とりあえず、涙を拭きなよ」

知久がハンカチを持っていつのまにか隣に座っていた



441:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:03:15.00 ID:nfRGAdeF0

ほむら「…う」

知久「ホラ、とりあえず拭いて、落ち着いて悲しかったことを話してごらん?」

ズズッと鼻をすすり、ハンカチを受けとる

涙を拭いて、何か喋ろうとする

しかし言葉が出ない

言葉を発しようとするが、出るのは嗚咽の様な音だけだった

知久はその間も穏やかな雰囲気を漂わせながらほむらの背中をさすってくれていた

ほむら「…初めての友達だったんです…」

知久「そのまどかっていう子が?」

必死の思いで声を絞り出したほむらは知久の言葉にコクコクとうなずいた

ほむら「でも…皆の為に…」

ほむらの顔は歪んでそれ以上何も言えなくなった

知久は察したようにほむらの背中をさすり続けた

ほむら「でも…私にとって…初めての親友だった…あの子のようになりたかった…」

ほむら「かっこよくて、優しくて…憧れのあの子を…絶対助けたかった…
まどかが私を助けてくれたように私はまどかを助けたかった…」

ほむら「…だから…必死に…助けようと…」

ほむら「助けたかった…たすけ…た…かった…」



442:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:03:45.49 ID:nfRGAdeF0

知久には彼女の身に一体何があったのか全て理解する事は出来なかった

が、とにかくまだまだ幼い子供である彼女が必死にある事を成し遂げようとして…
とにかく彼女は何かを後悔し、非常に悲しんでいることは十分理解できた

対してほむらは久しぶりに頼れそうな人物に出会えたような気がしていた

知久はうん、うん、と聞いているだけだったがほむら自身を安心させるには十分だった

長いこと張り詰めていたものがほどけていくような感覚

知久がまどかの父親だからだろうか

ほむら「皆…聞いてくれない…皆…信じてくれない…」

ほむら「私は…それから…皆のことが…信じられなくなった…」

ほむら「信じて欲しかった…」

知久「そっか」

泣きながらなので何と言っているか分からない所もあるが、ほむらはとにかくぶちまけたかった

ほむら「でも…私は…悪いことをしたの…かな…」

ほむら「私の願ったこと…そんなに悪かったのかな…」

ほむら「どうしたら…よかった…の…かな…」



443:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:04:14.94 ID:nfRGAdeF0

知久「そうだね…」

知久は少し困った顔をしてほんの少しの間考えた

ほむらのしゃくりあげる音が響き渡る部屋の中、知久が口を開いた

知久「君のしたことが間違っていたか正しかったかは今の話だけじゃあ判断できない」

知久「いや、全部話しても多分判断できないと思うよ」

知久「でも…もしかすると君は恐ろしい罪を犯したのかもしれない」

知久「この世界の原則に反するようなことをね」

知久自身にもなぜこんなセリフが飛び出したのかは分からなかったが、ほむらは確実にとんでもないことをやってしまったのを直感的に感じ取っていた

ほむら「…」

知久「君は神様を信じてるかい?」

ほむらはしばらく黙りこんでそれから首を横に振った

知久「そっか…どうしてかい?」

ほむらは一生懸命言葉を出そうとするがまた涙があふれ出そうだったので、知久がほむらの代わりに言葉を発する

知久「神様は…いつも理不尽で、残酷で…酷いと思うからかい?」

ほむらはうなずいた

知久「そりゃあ…そうだよね、僕らの大事な人を奪ったり…酷い目にあわせるんだから」

知久「でも…本当に当たり前かもしれないけど…神様は君のことを思っているんだと思うよ」

ほむら「どう…して…そんなこと…」

ほむらはまた涙をこぼし始めた



444:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:04:41.54 ID:nfRGAdeF0

知久は小さくなって泣くほむらの悲しみの深さを改めて感じずには居られなかった

知久「君はどうやって大人になるか、知っているかい?」

ほむら「…歳を…とる…?」

知久「ははは、そうだね。まあ、その通りなんだけどさ。大事なのはその過程なんだよ」

知久「生きていく上で色々嫌なことがあるだろう…いや、寧ろ嫌なことの方が多いよ」

知久「子どものころはまだ良かった、夢があって、何も知らなくて…さ」

知久「でもそうはいかない。生まれた瞬間から大人になるために色々なことをさせられる」

知久「どうしても乗り越えたくないことだって、絶対に乗り越えられないことだって」

知久「どんなに正しいことをしたって待っているものは絶望だったりするんだ」

知久「でもそれを受け入れなきゃいけないんだ。それを受け入れられるようになったら大人になれるんだと思うよ」

知久「いま…多分だけど、君のお友達は…お亡くなりになったんだよね」

ほむらは大きく目を見開いて知久から少し離れ、それから大きく首を振った

ほむら「違います!まどかは…違うとこにいるだけです!」

ほむら「まどかは…絶対私の前に姿を現してくれます…!」

ほむら「私は…信じているんです…」

知久「…」



445:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:05:13.62 ID:nfRGAdeF0

ほむら「…いや…です」

ほむら「…私は…子どものままでいいです…だから…」

ほむらは両耳をふさいでかすれた声で叫んだ、ここばかりは涙声でもはっきりと拒絶した

知久「君の信じているお友達は、どんな子だったかい」

ほむら「…」

知久「そのお友達は、現実と向き合った上で…その選択をしたんじゃないかな?」

ほむら「…」

―――希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって。
何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます

―――今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。
最後まで笑顔でいて欲しい。それを邪魔するルールなんて、壊して見せる。変えて見せる

あの去り際のまどかの顔を思い出す

…まどかは…全てを受け入れたから…あの選択をしたのだろうか…

初めてまどかの決心について考えた、必死にまどかの心について必死に考えた

…あの絶望に向かうまどかの顔…

ほむら「いいえ…彼女は…現実と向き合ってなんか無いです…」

知久「どうして?」



446:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:05:41.94 ID:nfRGAdeF0

ほむら「彼女は私達が苦しむ現実を…現実にしたくなかったんです」

ほむら「でも…私だって…彼女が死ぬことが…私が生きるより…一番辛い…」

ほむら「私も耐えられなかった!でも、彼女だって耐えられなかった!!」

ほむら「彼女は、皆が絶望して死ぬのが耐えられなかった!」

ほむら「彼女だって、私と同じじゃない…!!」

ほむら「どうして…!!あんなことしたのよ!!!」

ポンと知久がほむらの頭に手を置いて、そして撫でた

知久「ならなおのこと、君は大人にならなきゃいけないんだね」

ほむら「…どうして…?」

ほむら「私は…辛い!!とっても悲しい!!!まどかを待っていたい!!」

ほむら「それの…何が悪いんですか!?」

ほむらは泣きながら怒鳴った。しばらく部屋が沈黙に包まれた

知久「それでも君は生きているんだ。どんなに苦しくても、悲しくても」

ほむら「…」



447:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:06:26.46 ID:nfRGAdeF0

知久「君は彼女が生きていた証なんだよ」

知久「君は彼女の生きていた証なんだ。彼女の決断の、生きた証なんだ」

知久「生きて大人になれなかった、現実を受け止められずに君のかわりに逝ってしまった彼女の残したものなんだ」

知久「だから君は大人にならなきゃいけないんだ」

知久「彼女の耐えきらなかった思いを受け止められるほど、大人に。」

ほむら「…いや…です」

ほむら「私はこのままでいい!このまま、まどかを待っていたい!!」

知久「そうそう、大人になるってのは辛いことのように言ってたけど、案外そうでもないよ」

知久「何も知らなかった頃よりも苦しみや悲しみを知って受け入れる力があるからかな、
たまに世界がこの上なく良いものに見えることがあるんだよ」

知久「今の君ならきっとわかる。さめちゃったかもしれないけど少し食べてみてよ」

知久はそっとクリームシチューをすすめる

ほむらは食欲は少しも無かったが、しばらく知久との無言の争いが続き…そして折れた

そっとクリームシチューを口に押し込む

知久「どうだい?」

ほむら「…」

ほむらはしばらく黙りこみ、知久との無言のやり取りをしているときに絶対にしないと心に決めた行為をしてしまった

ほむら「…」

もう一口、食べてしまった。もう一口だけ、もう一口だけ…気がついたら次々と食べていた



448:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 07:06:53.27 ID:nfRGAdeF0

ほむら「…うっ…くっ…」

ボロボロと涙がこぼれる

長いこと無縁だったように感じる言葉が口からこぼれ落ちた

ほむら「…美味しい…美味しいです…」

知久「よかった…大口叩いてまずいと言われたらどうしようかと…」

ほむらはまだ少しだけあたたかいシチューを頬張った

頬張るほどに涙がこぼれた

ほむら「本当に…美味しいんです…」

知久「うん」

ほむら「美味しいんです…!」

ほむら「う…うっ…」

胃がシチューを運ぶたびにすきっ腹だった胃が喜び、どんどん消化している

誰も信じなくなってから、一度も何かを美味しいと思ったことはなかった

ああ…久しぶりだ…この感覚…

どうして忘れてしまったんだろう、どこで自分の時間は止まってしまったのだろう



451:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:06:58.81 ID:W5KvCiLF0

ほむら「…」

ほむらはシチューにがっつきながら考えた

…今思えば、本当に自分は迷子だったようだ

まどかを助けたくても、助けられない

協力を求めても、ダメだった

ならば誰も信じない、誰が死んでも、もう構わない

でも誰かが死ねばまどかは悲しむ

でもまどかは死なせたくない

まどかを絶対、何が何でも助ける

まどかが何と言おうと

でも…そうじゃない、私の願ったことはそうじゃないんだ…

私は何もかも訳が分からなくなって、道を踏み外したのだ

もう、最初求めていたものが分からなくなるほど、帰ってこれなくなるほど踏み外したのだ



452:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:07:41.90 ID:W5KvCiLF0

私やまどかが求めていたものはそんなものじゃない

もっと…違うものだ

今さっきの感情に近いものだ、さっき感じた何かに

私の求めていたのは…それは…

ほむらの頭の中に一番始めに浮かんだのは、格好良くほむらを助けてくれた、あの優しくカッコいいまどか…

ああ、そうだった…ワルプルギスの夜に玉砕した“最初のまどか”との、生活…

あのまどかと一緒に、こうやって食べたり、見たりしたかった…
この感覚を共有したかった

それを望むのが…いけなかった?

それに一番始めのまどかを救うことが目的なら、他のまどか達は…?

ほむら「…あ…」

それだ。そうだ、間違っていたんだ…



453:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:08:07.89 ID:W5KvCiLF0

皆、ちがう。まどかだけど、まどかじゃない…

私は、時間を戻せばまどかに会えると信じて疑わなかった…!!

…一期一会、どの時間のまどかとも、一期一会の出会いだった…

どうして気付かなかったんだろう…取り返しなんて最初から出来なかったのだ…

私は罪を犯したのだ…

決して叶わない夢に生きる罪を犯してしまったのだ…

…まどかがいなくなることを認めたくなくて、自分の時間を止めたんだ…
そしてそれで皆を不幸に陥れたんだ…

そんな罪人毎日見ることのできる風景は…灰色で味気のないものであるはずなのに…

色がある…今、世界に色がある…今、美味しいと感じられる…

止まった私の全ての時間が動き始めている



454:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:09:28.42 ID:W5KvCiLF0

どうして…

これが全部あの子のお陰なの…優しいあの子のお陰なの…?

ならば…優しいあの子の幸せは…なんだったの…?

私が罪を犯したのと、あの子の幸せは関係ないじゃないか…

優しくて、かっこよくて、困って、悲しんでいる人を見逃せないあの子のほうが
もっと幸せに生きるべきだ…なのに…

どうして私なんかが…私なんかが…優しいあの子のほう…

ほむら「…優しい…?」

…まさか…そんなバカな…でも…

でも…まどかは…

まどかは…もういないんだ…そして…私は…今…

ほむら「…私、いきてるんだ…!」

ほむら「私は、今を、生きてるんだわ…」

ほむら「っつ、わあああああああああああああああああん!!!」

年相応にほむらは声を上げて泣いた、ほんとうに悔しくて、悲しくて



455:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:20:16.85 ID:W5KvCiLF0

ほむら「…っ、私っ…グスッ…」

ほむら「まどかは同じじゃなかったんだ…!そしてまどかは、皆私を助けてくれたんだ!!」

ほむら「私が…私だけじゃない皆を助けることが…まどかの幸せだったの…!?
私のように時間が止まった人を動かすことが、まどかの幸せだったの…?」

ほむら「そんなのって…!」

知久「君だって、その子と同じ思いだったじゃない?」

知久「もし君がその子を命と引き換えに助けて…
その後、その子が今の君のようになっていたら…どう思うだろう?」

ほむら「…」

どうして自分なんかが生き残ってしまったのか、まどかの幸せの対象が罪をおかした自分なんかで…
悲嘆にくれていたほむらの心に知久の言葉が静かに染みわたっていく

自分がまどかなら…今の自分は…

もしまどかが…自分のフリをしながらこんな毎日を送っていたら…そんなの嫌だ…!!

命をかけて願った意味が…無くなってしまう…

まどかを悲しませている…

…ハッとした、瞳孔がかっと開き、頭の霞のようなものが晴れわたり
何もかもが本当にひっくり返った衝撃



456:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/19(水) 17:21:07.96 ID:W5KvCiLF0

ほむら「…まどか…」

ほむらはフラフラと窓の方へと向かって空を見上げた。肩の震えが止まらない

ほむら「…ごめんなさい…!」

ほむら「私が…一番、まどかを否定したんだ…馬鹿にしてたんだ!!」

ほむら「ごめんなさい…ごめんなさい…」

知久「こら、言葉が違うよ」

知久「ごめんなさいじゃない、ありがとう、だよ」

知久は笑顔を浮かべた

面白いくらい、まどかにそっくりだ

ほむら「…」

口の端が緩んだ

こんなに心から穏やかに笑えたのは…一体どれほど昔のことだったのだろう

ほむら「まどか…」

そういえば、まどかにはいつも謝ってばっかりだった気がする…

今からでも、間に合うだろうか

ほむら「…ありがとう」

ほむら「私を…助けてくれて…時間を動かしてくれて…前に進めるようにしてくれて…」

ほむら「…本当に…ありがとう…」

まどかに、届くだろうか…

遠い世界、概念になった、あの場所まで…



462:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:27:40.32 ID:nJrqd7jD0

ほむら「ありがとうございました」

知久「いいや、何かえらそうなこと言ってしまって…」

礼をするほむらに少しきまりが悪そうに微笑み頭を掻く

知久「なんか、困ったことがあったらいつでもおいでよ」

ほむら「じゃあ、お言葉に甘えて」

にっこり笑って知久に失礼しますとひと言告げて玄関から出ていった

知久(あ…そういえばあの子の名前聞いていなかったな…)

知久(でも…あの子も…なんだか懐かしい感じがするなあ…)



463:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:28:08.28 ID:nJrqd7jD0

小さなうめき声が車内を包み込む

息苦しい、痛い、死にそう…助けて…

『…だ、誰か…』

マミ(…この声は…)

『マミ、生きてるんでしょう…?』

マミ(…お父さん、お母さん…?でももうこの時点で死んでいるはず…!?)

『助けて、マミ』

『お前の願いで助けてくれ…マミ』

『貴方がここで願ってくれれば…私達はもっと生きながらえたのよ…』

『…親不孝者め…』

マミは思わず耳をふさいだ

聞きたくない、聞きたくない

心臓が酷く痛んだ



464:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:28:39.11 ID:nJrqd7jD0

『ねえ、なんとか言いなさいよ』

『お前は自分だけ生きながらえて楽しかったのか』

『愚かな娘だ』

『私達を生かしておいてくれた方がずっと良かったのよ』

『お前にとっても、私達にとってもだ』

ああ、そうかもしれない

でも…死にたくない!!

なりふり構わず、生きたい

死ぬのが…怖い!!

体中が恐怖で震えた

涙で頬が濡れてしまった

『…なに?嫌なの?』

『ああ、分かった。貴方は後悔はしているのね』

『そうか、だから正義の味方、なんてアホみたいなポリシーを持って魔法少女やってるのか』



465:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:29:06.75 ID:nJrqd7jD0

『でもね、所詮は真似ごとなのだよ』

『そうよ、私達を助けてくれなかった』

『私達を殺してまで生きながらえた』

『正義のヒーローはね、死んで初めて成立するようなもんなんだよ』

『貴方は命をささげて私達を助けてはくれなかったわ』

『要するに、正義の味方なんかじゃないんだよ』

じゃあ、どうすればよかったのだろうか

それが本当なら、死なねばならないのだろうか

ずっと…命をかけて戦ってきた

死にそうになったこともあった

怖かった、明日太陽が見られるのだろうか不安でならなかった

せめて正義の味方でいたかった

『甘いよ、マミ』

『死なないヒーローなんていない』

『命をささげて初めてヒーローになるんだよ』

ボンッと何かが爆発した音がした



466:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:29:34.93 ID:nJrqd7jD0

『…さあ、助けて!』

『さあ、私達をもう一度生かしてくれ!!』

『…助けて!助けて!!助けて!!!』

断末魔に近い両親の叫びがマミの心をえぐる

キュウべえ『ねえ、君は何か願い事はないかい?』

真っ青な空をバックに白い生き物が現れた

願いを叶える契約者

その願いに命を捧げる

…私は、ここで両親の命を救うべきだったのだろう

ただ、頭で分かっていても…怖かった

本当に、あの日、怖かった

激しく聞こえるブレーキ音、フロントガラスに迫ってくる大きなトラック

それからぶつかり激しく入るヒビに衝撃、空を浮く体

ボンッと他の車に辺り、ガシャーンと音が響く

それから何処からか火の手が上がり、ガソリンの嫌な匂いが漂う



467:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:30:02.91 ID:nJrqd7jD0

逃げないといけないのは分かっていたが、体が動かない

痛い、痛い、痛い

匂いが強くなってくる

死が迫ってくる

もう、こんな思いはしたくない

両親を救わなくてはならないのは分かっていても、死にたくない

キュウべえ『だから…あんなに辛い思いをしたんだ』

マミ(え…?)

マミの脳裏に駆け巡る、一人ぼっちの毎日

誰もいない食卓

話を聞いてもらえない、孤独

恐ろしい相手を戦って、ボロボロになって帰ってきても、一人

学校でも一人

いつでもどこでも、一人

『そうよ、貴方はいつでも一人だったのよ』

両親でも、キュウべえでもない、ちがう声

でも、凄く聞き覚えのある声…



468:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:30:29.43 ID:nJrqd7jD0

マミ(…うそ…)

マミ『貴方はここで死んだ方が、ラクだったのよ』

魔法少女の姿をした自分がキュウべえの隣に立っている
マミ(うそ…でしょ)

マミ『ここで、2人の生存を望めばそれでおしまい』

マミ『そっちの方が、貴方にとってもずーっと楽なのよ』

自分の声が自分自身の死への恐怖を薄らがせる

かわりに孤独だったときの苦しみが胸いっぱいに広がり、それが死の恐怖を凌駕し始める

マミ『そう、それでいいの…』

マミ『さあ、終わらせましょう…?』

逆行で顔が見えなかったが、相手は笑っていたように見えた



469:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:31:19.33 ID:nJrqd7jD0

あすみ「キュウべえ…何のつもりさ!?」

キュウべえ「連れてきてあげたんだよ、君のおじさんとおばさんをね」

動揺があすみの顔に広がった

キュウべえ「君を殺さずに倒す最もいい方法さ」

いつものように突然現れたキュウべえ

しかし、いつもと違ったのだ

後ろに見覚えのある人間が2人立っている

あすみ「どうやって接触した!?」

キュウべえ「僕らを何だと思っているのかい?何千年も君らと共に生活してきたインキュベーターさ」

キュウべえ「それよりどうやって連れてきたかはもうどうでもいいことじゃないか」

それだけ言うとキュウべえは消え去った



470:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:31:45.23 ID:nJrqd7jD0

「あすみ!!今までどこにいたんだ!」

「あすみ…ごめんなさい…帰りましょう…」

おじはほっとした表情をして、おばは泣き始める

「あすみ、貴方は悪くない…本当にごめんなさい」

「…すまなかった、この通りだ」

2人はあすみの前で土下座を始める

「ずっと…亡くなった娘を忘れられなかったんだ…
お前を見ていると娘を思い出して…でもお前は娘と違って…」

「どうしてあの子は死んだのって思ってしまって…それで…」

「それにお前に娘のことを話したら、お墓参りなんて言うから…」

あすみ「…死ね」

「すまん!!本当にすまん!!」



471:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:32:12.17 ID:nJrqd7jD0

あすみ「で、何がしたいの?」

あすみ「私を殴りたいの?それとも困らせたいの?泣かせたいの?汚したいの?殺したいの?」

地面に頭をこすりつける2人にあすみは怒りが収まらない

「…実はね、娘にそっくりな子に会ったんだ」

あすみ「じゃあそいつと住めばいい!」

「あすみ、聞いてくれ!私達はその子を見て考え直したんだ!!」

「その子は見かけはあすみ以上にそっくりだ!この上なく…
生きていたらこんな子になっただろうと思えるほど!」

「髪型や黒い髪色、表情までそっくりだった」

「でも…違う!何かが違う…!!あんなに似ているのに…そしてようやく気付いたんだ」

「私達の娘は死んでしまった。もういないんだ。それを認めてあげなくてはいけないんだ」

「忘れられないなんて、ただのいいわけだったの!」

「ただ、信じられなかっただけなの!!それを貴方にぶつけていた!!」

「自分達がどれほど愚かなことをしていたか気がついたんだ…」



472:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:32:38.43 ID:nJrqd7jD0

「愚かな私達の一番の被害者がお前なんだ!」

「だから謝らなくてはいけない!許されなくても良い!!」

あすみ「うっさい!!!!!」

あすみ「おい、お前ら顔上げろよ、目ぇ見ろ!!!」

おじの頭を掴みガッと見開いた自分の目をみせる

あすみ「…正常だと思うか!?」

あすみ「私が正常だと思うか!!!???」

「…すまない!」

あすみ「謝ってすむ問題じゃねえんだよ!!!!」

あすみは思いっきりおじを蹴り、そして殴る

軽く吹っ飛ぶおじを横目で見てせせら笑う

「あすみ、止めるんだ!!!」

おじともおばとも違う声が聞こえる

ああ、この声は、私がこの世の中で最も嫌う男の声だ



473:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:33:07.07 ID:nJrqd7jD0

あすみ「…お父さん、何?」

「おじさんとおばさんから見つかったと連絡が入ったからあわててきたんだ…そしたら」

「あすみ、これから父さんと暮らそう。新しいお母さんと弟と…」

あすみは涙が出てきた

怒りと憎しみで涙が出てきた

ああ、どうしてこんな無責任な男の娘に生まれたんだろう

私が助けを求めてきたとき、新しい家族がいるから面倒を押しつけるなと追い払った男

あすみ「…お前なんて、知らない!!」

あすみ「誰だ!?私の親って名乗るお前は!?」

「…あすみ…」

あすみ「クズ!!私を追いだした癖に、都合がよくなったらここにきて!!」

「それは…」

きまり悪そうに目をそらし顔を伏せた



474:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:33:34.43 ID:nJrqd7jD0

あすみ「お前ら人間の屑だ!!お前らなんて私は知らない!!」

あすみ「私の希望を、夢を、未来を、純粋さを奪ったお前らなんて!!」

あすみ「私の敵にきまっているだろうが!!!!」

あすみ「クズ!!クズ野郎!!!!」

あすみ「許さない!!絶対にだ!!!!」

あすみ「絶対にだ…一緒に暮らす…?寝ぼけやがって…!!」

あすみはモーニングスターを出して振り上げる

「あすみ!どうやってそんなもの…!?」

「危ない!!!」

あすみ「私の…悲しみを…思いしれっ!!!!」

振り上げたモーニングスターが3人に向かって当たるかと思われたが…何かが現れた

ゴンッという音が響く



475:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:34:22.88 ID:nJrqd7jD0

ほむら「キュウべえ…怨むわよ…!」

キュウべえ「許してくれ、暁美ほむら」

鉄球の先端部をがっしり握ってあすみの攻撃から3人を守っていた

ほむら「貴方達はいつも利用ばかりする」

キュウべえ「君は承諾したじゃないか」

ほむらはあすみのモーニングスターを押し返しながら叫んだ

ほむら「私はこの3人を救うために来たんじゃないのよ!」

あすみ「うわっ!」

ほむらはモーニングスターごとあすみを投げ返す

ほむら「はあ…受け止めないと良かったわ」

2つに結ばれた黒髪がなびく

ほむら「話しを少し立ち聞きして…今この子の記憶を見させてもらったけど…」

はあっとほむらはため息をついた

モーニングスターは怪しい光を放っているままだった



476:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:34:49.71 ID:nJrqd7jD0

ほむら「正直、助けたくはないわ」

キュウべえ「ええ、困るよ。この人達がいないと神名あすみを殺さずに倒せそうにないんだ」

キュウべえ「この人達にわざわざ僕が警察官に見えるように色々なことをやったんだから」

ほむら「…何やってんのよ」

ほむら「とにかく私はマミ、さやか、杏子を助けに来ただけよ。さあ解放して」

あすみ「…ちっ、いやだね!」

あすみはそうひと言喚いて姿を消した



477:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:35:17.32 ID:nJrqd7jD0

キュウべえ「逃がしてしまった…」

ほむら「すぐに追いかけるわよ」

キュウべえ「この3人はどうしようか?」

あっけにとられてほむらを眺めている

それはそうであろう、ファンシーな服を着た少女があの鉄球を素手で受け止め返したのだから

はっきり言って見られてはならない瞬間をみられたのだ

3人を横目で睨みつけながらほむらはキュウべえに問掛ける

キュウべえ「多分、別の個体がどうにかするだろう。僕らはあすみを追いかけるのが先だ」

ほむら「…分かったわ…」

白い翼を広げ、ほむらは空に羽ばたいた



478:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:35:45.06 ID:nJrqd7jD0

あすみ「…」

この怒りをどこにぶつければいいのだろう

とにかく手の震えが止まらない

隣には何も言わず眠っているマミ、杏子、さやかがいる

どうして、今なのだ

どうしてもう少し早く来てくれなかったのか

どうして契約する前に…

あすみ「くそっ…畜生!!畜生!!!!」

もう、正常な所へは帰ってこれない

あすみは壁を叩いて泣いた



479:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:36:12.03 ID:nJrqd7jD0

マミ『さあ、契約して…両親の命を自分のかわりに救って欲しい…ってね』

マミ『そしたら…辛い思いも、苦しい目にも遭わずにすむのよ』

もう一人のマミが言葉を発するたびに、マミは深い闇に沈んでいく感覚がした

マミ(そう…だわ…)

マミ(そうすれば…もう苦しくない)

マミ(そうすれば…一人じゃない)

マミの頭の中に一人で座り、一人で歩く自分の姿が駆け巡った…が

小さな影が自分の後ろにいることに気がついた

マミ(…あれ…は…だ…れ…?)

目を凝らし、じっと考える

記憶の中に長身の少女と長髪の少女も現れる

マミ(あれは…だれ…なの…?)

マミ(あの…女の子…?あれは…あれは…)

意識がはっきりとしてくる

全身の痛みも引いてきた



480:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/23(日) 14:36:38.44 ID:nJrqd7jD0

マミ「あすみちゃんだわ!!」

そう叫びながら立ちあがる

マミ『…ちっ』

魔法少女姿のもう一人のマミは、マスケット銃をマミに向けた

マミ「それに、佐倉さん!美樹さんもいる!!」

マミ『ねえ、馬鹿なの?もう忘れたの?』

マミ『裏切られたのよ…貴方は何を勘違いしたの?』

マミ「いいえ、私は助けに来たの」

マミ「私は、皆を助けに来たの!」

マミ『いいえ違う!貴方は一人ぼっちの巴マミよ!』

マミ「いいえ、私には仲間がいるわ!もう一人ぼっちじゃない!」

マミ「それに…私は生きていて良かったと思っているわ!!」

マミ「皆に出会えてよかったと思っているの!!」

マミ『…そこまで言うなら戦いましょう…どっちが本当か!!』

もう一人のマミがマスケット銃を発砲した



485:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:44:49.75 ID:1vY2dUhc0

杏子「…クソッ!出口はどこだっ!?」

暗闇の中をさまよい歩く

カシャリ、カシャリと暗闇の向こう側から変な音が聞こえる

杏子「…」

槍をしっかりにぎり、集中する

突然強烈な霧が立ち込め、不思議な生き物があわられる

杏子「…こいつは…」

見ているだけで絶望的な気分になってくる

どうすればいいのか分からないが、こみ上げてくるこの感情をどうすればいいか分からない

その化け物を見ていると、自分のやってきたことの恐ろしさに手が震える

希望も夢も微塵もなかったことに気づかされる

もう、どうにでもなってしまえ

杏子「しっかりしろ…ここはあすみの夢の中だ…!」

武器を化け物に向ける

その化け物を杏子の意思をくみ取ったのであろか、同じ様に武器である槍を杏子に向ける

Ophelia

彼女は、別の時間のどこかのでの、自らの運命の末路を知らない



486:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:45:17.48 ID:1vY2dUhc0

さやか「くっ…杏子は?」

濁った水に流されつつ、辺りをなんとか見渡す

しかし、何も無く、ただ水だけだった

「グォオオオオ…」

さやか「!」

唸り声が聞こえ、身構える

さやか「あ!?」

水面に人魚の尾ひれが現れた

そして前から車輪が迫ってくる

さやか「くっ!」

寸での所で避けて急いで泳ぐ

だんだんと水が引き、化け物が姿を現す

化け物が両手を上げると車輪がいくつも現れた

さやか「ここはあすみちゃんの幻…幻」

車輪がさやかに襲いかかる

さやか「えーい!幻だけど戦うしかないや!!」

さやかは車輪を華麗に避けると化け物に剣を向けた



487:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:45:44.93 ID:1vY2dUhc0

あすみ「…あ」

あすみは小さく声を上げた

モーニングスターの光が少し弱くなっている

あすみ「…3人が…幻覚の中で戦っているのかな…」

眠っている3人を見る

起きそうな雰囲気は無いが、時々指がピクリと動いた

あすみ「…もう一回、嫌なものをみせてやる…」

光が弱くなったモーニングスターがまた強く輝きだした

そして振り降ろそうとするが…また邪魔が入った

窓が割れる音、そして叫び声

キュウべえ「うわあああああ!!!」

あすみ「きゃっ!?」

何ごとかと振り向いて、あすみも悲鳴を上げて避ける

あすみ「な、何で、あんたが、血だらけで、私の目の前に落ちてくるの!?」

キュウべえ「僕だって知りたいさ…何でこんなことするのかい?暁美ほむら」

ほむら「…なかなか投げやすいわね、貴方って」

キュウべえ「窓を君が破壊したまでは良かったよ。でも突然投げ入れなくたっていいじゃないか…ガラスでケガしたよ」

ほむら「ふん」

ほむらはツンとキュウべえから顔を逸らし、あすみを見つめた



488:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:47:15.22 ID:1vY2dUhc0

ほむら「3人を返して」

あすみ「あんた、こいつらのこと嫌いじゃないのかい?」

ほむら「…そうね」

あすみ「じゃあ、助ける必要なんてないじゃん」

ほむら「そうよ」


あすみ「何でたすけるのさ」

あすみ「意味分かんない。あんた頭おかしいよね!?」

あすみはモーニングスターをほむらにぶつける

あすみ「さあ!あんたも皆と一緒に夢をみな!!!」

ほむら「…」

しかしほむらは無言で立ったままだった

あすみ「な、何で!?当たってるのに!?」

ほむら「…何ででしょうね」

あすみ「…てめえ…なにしやがった…」

ほむらは少し肩をくすめて冷たいを眼差しをあすみに向ける

あすみ「…そうか、キュウべえか!?あいつの入れ知恵だろうが!!」

ほむら「残念ね、そんなんじゃないわよ」

ほむら「貴方のお陰で助かったわ、神名あすみ」

あすみ「はぁ!?」

ほむら「私、認めたのよ。私がいかに間違ってきたか、罪を犯したか。それとまどかの願いもね」

あすみ「それで!?」

ほむら「それだけよ。たったそれだけなの」

ほむら「思い出したのよ。いいえ、本当は思いだしていたんだけどね」



489:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:48:18.31 ID:1vY2dUhc0

ほむら「友達だったのよ、3人とも。私の大切な…友達だったの」

ほむら「貴方が見た過去の記憶…悪いことばかりじゃなかったのよ。あの時、本当は思いだしていたのよ…」

あすみ「…」

あすみは苦々しくほむらを見つめた

ほむら「神名あすみ、聞きなさい」

ほむら「確かに貴方の思いはよくわかったわ」

あすみ「分かってない!!あんたには!!」

ほむら「貴方の過去を見たじゃないの、ほんの少し前に」

あすみは口を閉ざした

ほむら「でもね、貴方もやっぱり悪いことをしたのよ」

ほむら「私は自分がそうだったからよく分かし、言う立場じゃないのも良く分かっている。
でも一番しちゃいけないことがあるわ」

ほむら「どんなに辛いことがあっても、苦しいことがあっても、気が狂ってはダメ、逃げてはダメ」

あすみの目がつりあがる

ほむら「絶対に、それだけはダメだわ」

あすみ「…偉そうに言うんじゃない」

ほむら「そうよ、私も人のことは言えないのよ。だから言ってるのよ、神名あすみ」

ほむら「貴方が虐待を受けたり、裏切られたり、いじめに遭ったりしたのは貴方のせいじゃないし、貴方は一切悪くないわ。
私だってあんな目にあったら殺してやろうと思うわ」



490:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:48:51.76 ID:1vY2dUhc0

ほむらは先ほど見たあすみの記憶を思い出す

本当はあのおじ、おば、父親にみせようと思ったのだろう

とにかく酷いものだった、言葉に表したくないほど、悲しいものだった

ほむら「でも、関係無い人を巻き込んだのは、貴方が悪い」

あすみ「…」

ほむら「少なくともここの3人は貴方に良くしてくれたはず」

ほむらは横たわっているマミと杏子、さやかを指差した

あすみ「…」

ほむら「どうして?」

あすみはふっと笑い、ほむらをしばらく無言で見つめた

あすみ「何となくだよ」

ほむら「何となく!?」

目を開いて、ほむらは驚きの声を上げた

あすみ「そうよ。幸せそうな人を困らせたり、泣かせたりするのが何となく楽しいの!」

あすみ「でもね、み~んな、関係ないことは無いんだよ!」

あすみ「だって…だって、さあ!!」

あすみ「誰も気づいてくれなかったんだもん!!」

一瞬だけ、あすみの顔が酷く悲しげに歪んだ

殴られた後、顔を腫らしながら家を逃げ出し夜の街中を走っても、皆見て見ぬふりだった

面倒に関わりたくないと言わんばかりの目

交番に行っても、家に帰らされ、児童相談所も役に立たない

学校だって、同じようなもんだった



491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:49:23.42 ID:1vY2dUhc0

あすみ「だから…復讐なんだよ」

あすみ「皆、私と同じくらい辛い目にあえばいいんだ…!」

痛々しい叫びに見ていられず、目を逸らした

あすみ「それにあんたさ、罪を認めてどうすんの?」

ほむら「え…」

あすみ「許されたとでも、思ってんの?」

ほむら「…」

あすみ「思ってたら大間違いだよ。だって、やられた側はずっと覚えているんだ」

ほむら「…それは…」

あすみ「はははっ、バーカ、バーカ!」

動揺したスキを狙ってモーニングスターをかまえるが、ほむらのひと言があすみの動きを止めた



492:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:50:05.60 ID:1vY2dUhc0

ほむら「許されないのは分かってる!でも認めない方が、認めることから逃げる方が、何十倍も悪いわ!」

ほむら「貴方だってそうよ!自分がやられたから、関係ない人にやり返すの!?」

ほむら「関係が本当に無い人が苦しい目にあうのが、正しいの!?」

ほむら「違うでしょ!?」

ほむら「貴方はただ、助けて欲しかっただけでしょ!?」

ほむら「貴方の気持ちをくんで、助けてくれる人を探してたんでしょ!?」

ほむら「どうして助けてくれた人をこんな目にあわせるの!?」

ほむらはマミ達を見つめた

あすみは悔しそうに歯を食いしばっている

ほむら「貴方が今やっている事は罪よ!関係無い人に傷を負わせているということに気づいてない、
いいえ、無理矢理正当化させている!」

ほむら「止めなさい!今すぐに、止めなさい!」

ほむら「その3人を解放しなさい!」

しばらくの沈黙、それから小さな嗚咽

あすみは顔を伏せ、肩を震わせている

やがてゆっくりと顔をあげるが、ほむらの想像していた表情と大違いだった



493:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:50:35.17 ID:1vY2dUhc0

あすみ「あははははははははははっ!!!!!」

あすみ「そうだねえ!!!逃げてるねえええええ!!!!」

あすみ「でもね、私は逃げてても良いんだよねえ!!!!」

あすみ「だってさあ!立ち向かうなんて、苦しいじゃんか!!!!ねえ!!!」

あすみは割れた窓から矢のように飛び出した

ほむらは驚いたが大慌てでまた飛び出す

キュウべえ「…君は記憶力がよいね、僕をちゃんと連れていくんだから」

ほむら「…」

キュウべえを掴んで羽ばたく



494:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:51:44.05 ID:1vY2dUhc0

しばらく追いかけていると、広い場所に出た

あすみはそこで急停止する

あすみ「ははははっ、本気出すから覚悟しろ!!」

あすみ「見滝原のやつらも…巻き込んでやるうううう!!!!」

あすみはグリーフシードを取りだしソウルジェムの穢れを払う

ほむら「止めなさい!!貴方、そんなことをしても救われないわ!!」

ほむら「3人を解放して!もう一度会いたくないの!?」

あすみ「そりゃ会いたくないさ!!」

ほむら「じゃあもう幸せになりたくないの!?」

あすみ「…あんた、幸せになりたいの?」

ほむらはしばらく黙りこんで、深くうなずいた

ほむら「…私の友達の為にも、私の友達の命が、人生が無駄にならないように!!」

あすみ「あははっははあはははは!!!身の程知らず!!恥をしれ!!!!」

あすみは使い終わったグリーフシードを投げる

あすみ「あんたも私も、幸せなんてなる必要はないんだよ!!」

次の瞬間、モーニングスターが気味の悪い虹色に輝きだし、あすみはそれを地面に叩きつけた



495:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:52:14.04 ID:1vY2dUhc0

魔力の風が吹き荒れ、その虹色の光が膜に変化して広がり、ドームを形成した

あすみ「ふふっ、これはねかなりキッツイよ~」

あすみ「街のやつらも、人によっては自殺しちゃったりするんじゃないかな~」

ほむら「!?」

あすみ「まあ、あんたにはそれ以上の苦痛を味あわせてやる!!!」

あすみが手を振り上げる

すると大量の燃えた鎖が現れ、蛇のようにくねりながらほむらに襲いかかる

ほむらも白い翼を使い、恐ろしい早さで避ける

あすみ「まだまだまだまだ!!!」

あすみは今度は氷の矢を放つ

ほむら「くっ!」

ほむらはアクロバディクな動きをしながら弓を出して矢を受け止める

鎖が動きの鈍ったほむらを捕えようと蠢くが、弓に刺さった氷の矢を抜いてその矢で打った

ガキンといって矢は破壊される



496:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:52:39.66 ID:1vY2dUhc0

あすみ「まだだよ!!」

あすみがモーニングスターを手にして飛び上がり、ほむらに殴りかかる

ほむらは弓で受け止める

ガツン、ガツンと数度組合い、ほむらが先に行動を起こす

組み合っているあすみを思い切り蹴り飛ばした

体格ではほむらの方があすみより勝っているから出来たことである

あすみ「…くうっ…やっぱサシじゃあきついか…」

あすみ「それなら…これは!?」

あすみは手を空にかざす

するとあすみの姿が消え、何人ものまどかが現れた

皆、一様にほむらに矢を向けている

「酷いよ…ほむらちゃん」

「ほむらちゃんの幸せ…?私はそんなの願ってないよ」

「許さない…許さないから」

「約束、忘れちゃったの?」

幻と分かっていても耳をふさぎたいセリフが飛び出し、ほむらはうめいた



497:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:53:06.96 ID:1vY2dUhc0

あすみもまどかに変身しているようで、どれがあすみかが分からない

…それに、気分だがまどかを攻撃するのはかなりためらわれた

どうしても矢をつがえる手が遅くなり、まどか達の攻撃が自分に当たる

一つ、また一つとまどかを倒していると突然頭の中に声が響きわたった

「ほむらちゃん、どうして私をこんな目にあわせるの!?」

手が止まった

次の瞬間、飛び上がったまどか達に殴られ、蹴られた

地面に墜落しているのが良く分かる

そして、誰かが思いっきり頭を殴った

その瞬間、気を失った



498:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:54:03.18 ID:1vY2dUhc0

マミ「くっ…!」

マミ『何!?裏切られるのが分かっているのに信じる?ふふっ!!』

偽物のマミは銃を乱射する

マミはリボンではじき返しつつ、自分もまた、乱射を続ける

いくら当たっても、煙のように消えて、現れる

マミ「キリが無いわ…!」

パン!とまた打つ

相手は素早く逃げてしまった

それが意外な人物を呼び寄せた

何故か突然、空が破壊された

そして馬に乗った化け物と…佐倉杏子が落下してきたのだ

杏子「マミ!?」

マミ「佐倉さん!?」

杏子「何でこんなところに…あわわわわ!!!」

佐倉杏子は槍を伸ばし、地面に突き立てたが、何と更にヒビが入る

マミ「ヒビが!」

杏子「やべえ!うわあああああ!」

ガラガラと道路が崩れ、4人はまた落ちていく



499:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:54:39.21 ID:1vY2dUhc0

さやか「…はあっ…はあっ…」

人魚の化け物と対峙していたさやかは次の攻撃に備えてあがった息を整えつつ、剣をかまえた

「うああああああ!!」

「きゃああああああ!!」

どこからかそんな悲鳴が聞こえ、そして…突然上が壊れた

マミ「きゃっ!!」

杏子「あタタ…」

さやか「ちょ、大丈夫…それよりマミさん!?」

マミ「…ん?」

マミが頭をさすりながら顔をあげ、突然泣き顔になって2人に抱きついた

マミ「佐倉さん!美樹さん!!よかったああ~」

さやか「ええ…と、」

杏子「な、泣くな、とりあえず落ち着け、な?」

杏子はマミをなだめ、それから敵を確認する

杏子「…厄介だな…マミの分身とかホントに…」

化け物たちもマミも、やる気満々である

杏子「…どうする、正直、あいつらを倒すってのは無理じゃないか?」

さやか「でも、倒さないと進まないよ!」

マミ「そうよ、あれを倒さないと…倒す?」

マミは少し首をひねり、前に進み出た



500:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:55:06.49 ID:1vY2dUhc0

マミ「ねえ、貴方」

マミ『何?』

マミ「私は、貴方なの?」

マミ『はああああ!?』

偽物は驚いた顔をして叫んだ

マミ「だって、そうでしょ?」

マミ「ずっと思ってたんだけど、貴方の言ってること間違ってないわ」

マミ「ええ、分かってたのよ。本当はこうすればよかったなって」

マミ「お父さんとお母さんを助けて、楽になりたかったの」

マミ「でも今は違うの!皆がいるの!」

マミ「私は…一人ぼっちじゃない!もう、一人ぼっちじゃない!」

マミ「こっちに来なさい!貴方が私なら、ここに!」

マミ『うるさい!!』

相手は怒ったような表情をして、マミに向かって弾を撃ち込んだ

マミは膝から崩れる



501:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:55:33.26 ID:1vY2dUhc0

杏子「マミ!?」

さやか「まみさん!!」

マミ「大丈夫!」

マミはゆっくりと立ち上がり、もう一人のマミに向かって歩く

何度も相手は銃をマミに向けて撃つが、もう膝から崩れ落ちたりしない

マミ「貴方が私なら、もう苦しまなくていい!」

マミ「私の苦しみは私が全部引き受ける!」

マミ「だから、こっちへ来なさい!!」

マミ『うるさあああああい!!!』

もう一人のマミは涙を流してマミを嫌がった

しかし、もう一人のマミには戦う力が残っていなかった

マミ『いや…いや…』

ただ首を振って、小さく座った

マミ「大丈夫、裏切られても、友達は友達よ。楽しかった時間は本当よ」

もう一人のマミは泣きながらマミを見上げ、そして消えていった

ガチャン!

どこかで何かが開く音が聞こえた

風が吹き込んでくる



502:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:56:01.60 ID:1vY2dUhc0

マミ「…ここから、出れそうよ!」

杏子「あ…ああ」

さやか「風にのって…声がする」

…3人を解放して!

…あいたくない!


さやか「暁美ほむらと…あすみちゃんの声!」

さやか「ほむらがあすみちゃんと戦っている!?」

3人は顔を見合わせた

一刻も早くここを抜け出さないといけない

しかし、マミはとにかく、さやかと杏子はどうやって化け物を倒せばいいのか分からなかった

杏子「マミ、どうすりゃいいんだ!?くっ!?」

さやか「うわあっ!」

化け物が2人への攻撃を再開した

マミ「…2人とも!もういいのよ!武器を捨てて!」

杏子「だって、こいつらあたしらを攻撃するんだ!」

杏子「戦わないと、やられちまう!!」

マミ「もう大丈夫よ!さあ、行きましょう!!」



503:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:56:29.35 ID:1vY2dUhc0

さやか「うわっ!!マミさん、全然大丈夫じゃないよ!!」

マミ「もう、早く武器を捨てなさい!」

杏子「だから…」

マミ「いいから!!」

マミが有無を言わせずにぴしゃりと言ったので、2人は武器をしぶしぶ捨てた

すると、化け物の動きも止まる

何ともいえない沈黙が続いたのち、化け物は泣いた

さやか「な…何で…」

マミ「あれは、私達の闇の部分よ」

杏子「…心の闇を攻撃しても、闇は消えない、か」

マミ「そういうことよ」

2人に向かってにっこり微笑み、風が吹く方へと歩き始めた



504:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:56:57.74 ID:1vY2dUhc0

ほむら「…!」

目を覚ますと鎖にがんじがらめにされていた

まどか達の声が相変わらず悲痛に響く

ほむら「神名あすみは…」

やはり辺りを見回しても影形が無い

「ほむらちゃん嫌い…」

「ストーカー…」

「何で?どうして…ほむらちゃんすらいなかったら、世界を滅ぼさずに済んだのに」

ほむら「…」

耳をふさぎたい

が、しかし鎖がそれを許さない

目を瞑る

まどかの声は脳内に直接響いてくるようで、胸がえぐれそうだ

ほむら「…違う、これは全部幻…幻…」

「ほむらちゃん、どうして自分だけ、幸せになろうとするの?」

ほむら「うっ…!」

だんだんとめまいがしてくる



505:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 19:59:56.53 ID:1vY2dUhc0

ああ、やっぱり…まどか…まどか…

まどかを…助けなきゃ…まど…か…

…いや、まどかはもういないわ…

ああ…あんなことをやってて…まどかを失って…

私は幸せになんてなれない

どうしようもない絶望感と悲しみが広がる

そう、幸せになろうと思い立ったところで罪悪感、本当に望んでいたことが消えるわけではない

むしろ逆であるのをほむらは無意識に感じ取っていた

キュウべえ「ほむら、早く起きるんだ!!!」

キュウべえの声にビクッとして、目を開けた

キュウべえ「起きたかい!?」

目の前にキュウべえの顔

キュウべえをこんなにどアップで見たのは初めてだった

ほむら「…ええ」

キュウべえ「全く、君は何でそんな変テコな体勢をしているんだい?」



506:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:00:46.01 ID:1vY2dUhc0

ほむら「ヘンテコ…?失礼ね、縛られてるの」

キュウべえ「暁美ほむら、しっかり目を覚まして、よーく自分の体を見るんだ」

ほむらは目を数倍にして体を見るが、やはり縛られている

キュウべえ「もう、暁美ほむら、僕からみると君は縛られてなんてない!全部神名あすみの幻覚だ!」

キュウべえ「それを踏まえてよーく見るんだ!それから力を入れて!」

ほむら「…」

ほむらはゆっくり息を吸って少しづつ腕に力を入れる

そして…腕が動きだした

ほむら「…動いた」

キュウべえ「そうだ、その調子だ!」

体が動いたイメージがほむらの頭を駆け巡り、足、頭と動きはじめ、遂に解放された

ほむら「…確かに幻だったみたいね」

キュウべえ「そうさ、さあ神名あすみの所へ行こう」

キュウべえは沢山いるまどかを完全に無視、いやもはや気づていないため、無視にもなっていない

キュウべえ「彼女は…ここにいる」

沢山のまどかを押しのけた、大群の一番奥にいるまどかに声をかけた

キュウべえ「神名あすみ、いい加減にしなよ」

キュウべえ「ほむらは騙せても、僕は騙せない。僕には感情がないし」

あすみ「くっ…」

まどかの姿がよがみ、元の姿に戻った



507:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:02:09.52 ID:1vY2dUhc0

あすみ「くそっ」

あすみは悔しげに顔をゆがめて、モーニングスターを握りこんだ

ほむらはただ、無言で弓をかまえる

あすみ「…どうにでもすれば…」

あすみ「もうさ、あきちゃったし」

あすみ「ただ、私を殺しても何にも終わらない、3人は帰ってこない!」

ほむらは強く首を振った

ほむら「いいえ、3人は帰ってくる」

ほむらの弓が紫色に光り、矢が放たれようとする

キュウべえ「ほむら、止めろ!あすみが死んだら本当に!!」

キュウべえの声がほむらにはまるで届いていない

ほむら「これで…終わりよ!!」

渾身の一撃をあすみに向かって打ち込む…

のでは無く、怪しい光を放つモーニングスターに打ち込む



508:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:02:56.34 ID:1vY2dUhc0

あすみ「え…!?」

あすみにとっては予想外の展開

ピシッ、ピシッ…バリン!!

とうとう、ほむらの矢によってモーニングスターは破壊された

ほむら「…これで…もう…幻覚は見せられないはず…」

あすみ「…ぐっ」

あすみは悔しげにほむらを見つめる

ほむら「神名あすみ…貴方の負けよ!!だから大人しく…」

あすみ「ぐっ…ああああああああああああ!!!!!」

ほむら「!?」

突如苦しみ始めたあすみが放つ謎の衝撃波を受けて吹っ飛ぶ



509:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:03:25.40 ID:1vY2dUhc0

ほむら「一体どうしたの!?もう抵抗は止めなさい!!」

キュウべぇ「しまった!ほむら、今すぐここから逃げろ!」

ほむら「どういうことよ!何が…」

キュウべぇ「とにかく急いで!」

ほむらは膜に向かって走り出すが、固く出られそうにない

ほむら「くっ…出られない」

キュウべぇ「ほむら…モーニングスターが聖職者の武器って知っているかい?」

ほむら「は?何を言い出すの?」

キュウべぇ「要するに…彼女の“呪い”から生まれた魔法を制御していたのさ、あの武器は」

ほむら「どういうこと…」

キュウべぇ「今、神名あすみは自分の固有魔法の制御が出来ないのさ!!」

キュウべぇ「だから彼女自身もこの幻想空間に巻き込まれている!!」

ほむらはめまいで危うく倒れそうになった

そんなバカな話があってたまるか

ほむら「何で固有魔法くらい満足に操れないのよ…」

キュウべぇ「彼女はある意味君と同じくらいのイレギュラーだからね」

キュウべぇ「契約する時、きっと…迷ってたんじゃないかな」



510:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:03:53.28 ID:1vY2dUhc0

キュウべぇ「特にこの幻覚魔法は…精神面の影響を大きく受けそうだから」

キュウべぇ「この魔法が彼女の負の心の現れならば…武器はその逆の心の現れだったんだろう。そしてその2つで上手くバランスを取ってたんだろうと推測する」

キュウべぇ「しかしそのストッパーとなるものが破壊されてしまった今…負の側面に彼女自身がのみ込まれているのだろう」

ほむら「そうならそうと早くいってよ!!」

キュウべぇ「僕だってこんなこと想定していなかったさ!」

キュウべぇ「それにあくまでこれは仮説だ、僕がこの場で考えた」

淡々と語っているキュウべぇにイライラがマックスになりそうになるほむら

ほむら「で、対処法は!?」

キュウべぇ「神名あすみを倒す以外、ない」

ほむら「何でそう、極論になるのよ!!」

キュウべぇを引っ掴み、大声で叫ぶほむらの表情は焦っていた

キュウべぇ「うう…そんな言われたって…あ」

ほむら「何!?」



512:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:05:50.12 ID:1vY2dUhc0

キュウべえ「彼女を説得させるんだ」

キュウべえ「そしてこの願い…いや、呪いを破棄させるんだ」

キュウべえ「魔法は全て願いに通じている」

キュウべえ「もしその願いを自ら強く否定して…破棄するならば…」

キュウべえ「その固有魔法は…使い手自身の中に封印され消滅する!」

キュウべえ「要するに、神名あすみをこの状態から救えばいいのさ!」

ドサッとキュウベえをほむらは落とした

ほむら「…ねえ、ここから貴方は出れるかしら?」

キュウべえ「…僕には感情が無いから…ここに縛られることは無いと…」

ほむら「…巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子を呼んできて」

キュウべえ「彼女達が無事とは…」

ほむら「何とかして目を覚まさせて!強引でもいいから」

ほむら「神名あすみを説得するにはその3人じゃなきゃダメなのよ」

ほむら「ほら、とっとと行きなさい!」

キュウべえをほむらは虹色の不気味な壁に向かって投げた

キュウべえ「…随分乱暴だな…君は」

キュウべえ投げられながらボソッと呟き、そのまま壁をなんなく突きぬけて地面に転がった



513:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:08:00.27 ID:1vY2dUhc0

ほむら「神名あすみ、聞こえる!?」

ほむら「まずは落ち着きなさい、いい!?」

とりあえず声をかけてみるものの、全く魔力は衰えるどころか、さらに強くなっている

あすみは完全に理性を失っており、魔力の調整が全く出来ていないようだ

ほむら「参ったわね…また私も幻覚に囚われそうだわ…」

あすみの幻覚による攻撃を飛びながら避ける

あすみ「いやあああああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

ほむら「神名あすみ、貴方が見てるのは幻よ!!」

ほむら「恐れる必要は無いのよ!!」

頭を抱え、絶叫しながら謝るあすみに必死に叫ぶほむら

あすみは一体何を見ているのだろうか、本当に顔を歪ませ辛そうだった

ほむら「…」

あすみの過去、そして正気に返った時の罪悪感を思うとよほど辛いだろう

とにかく、何とか暴走を止めねば

あすみに近づこうと羽ばたいた矢先、ドシンと地面に落下した

ほむら「え…!?」

何ごとかを背中を見ると白く輝く翼がいつの間にかボロボロに散っているではないか



514:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:08:32.90 ID:1vY2dUhc0

ほむら「めんどくさいわね…」

ふと自分の腕を見てほむらは驚愕した

ほむら「…これは…私の盾…!?」

もう消えてしまった…まどかを救おうと必死だったころの自分が使用していた盾がなんと復活しているではないか

ほむら「…一体どういうことかしら…」

気持ちの悪い色の壁を見ると、あちこちに…映像が浮かんでいた

ほむら自身見たことのある映像もあれば…小さな銀髪の少女が移っている映像もある

ほむら「…これは…神名あすみの記憶…」

ほむら「さっき見た映像よりも…幼い」

ピシッという音が響き渡る

ほむら「っつ…頭がっ…」

ゴオオオと大量の映像がまじりあい、気持ちが悪くなる

そして、全ての空間が歪んだ

目の前のあすみが遠くなり、壁が歪み、足元が歪む

視界の歪みに耐えきれず、ほむらは目をつぶった



515:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:09:28.35 ID:1vY2dUhc0

突然頭にある声が聞こえてくる

----ごめんなさい、本当は…そんなつもりじゃなかったの…----

ほむら(…この声は…神名あすみ!?)

---私…辛くて苦しいって…この気持ちを…皆にわかって欲しかった…---

---助けて欲しかっただけなの!!---

---だからってこんな馬鹿な願いをして…許されないのはわかってるの----

---マミさんやさやかさん、杏子さん…それにほむらさんには感謝してる…---

ほむら(神名あすみ…)

---皆が…私を助けてくれた---

---私は皆で過ごした…短かったけどあの時間が本当は幸せだった、楽しかった---

---あの時いったのは…全部嘘なの---

ピシピシッ

耳元に聞きなれてしまった嫌な音が響く

ほむら(…まさ…か…)

---ごめんなさい、ほんとにごめんなさい、許してくれないのはわかってるから----

---憎まれてるのも、わかってるから…私がいなくていいのも…わかってるから---

---私がいらないのは…わかってるから!!---

ほむら「貴方は憎まれてなんかいない!不要でも無いわ、だから一緒にここから出ましょう!!」

---さよなら---

パキッ!!

嫌な…二度と耳にしたくないあの音

体に強烈な風が当たる感覚、そして歪みが止まったようだった



517:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:11:05.57 ID:1vY2dUhc0

ほむらはつばをのみ込んだ

恐ろしい予感しかし無かった、出来たら何も見たくなかった

しかし見なくてはならない

ほむらは恐る恐る目を開けた

ほむら「…これは…ほんとに幻覚なの…!?」

ほむらはヘナヘナとその場に座る

この世界ではほむらしか知りえない…ほむらが一番見たくない奴が目の前にいた
~Entbehrliche・Braut ~
ほむら(何で…魔女が…!?)
目の前の巨大な影の化け物が立っている
それは花嫁衣装である真っ白なドレスを着て、薄く綺麗なベールをかぶっている
辺りには花が咲き乱れ、鐘をモチーフにしたような使い魔達がほむらを狙って迫りくる

ほむら(嫌だ…くっ…)

ほむらも頭を抱える

ああ、幻覚とは思えない、最悪な気分だ

『ギャアアアアアア!!!』

耳触りな声と共に魔力の衝撃波がほむらを襲う

ほむら(!?)

ほむらの脳内にありありと蘇る、魔女となって消えていったまどかやさやか、杏子、マミの映像



518:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:11:37.47 ID:1vY2dUhc0

ほむら(ぐっ…これは…全て…幻…)

言い聞かせても蘇る記憶…それが今、眼前に広がっていくようだ

ほむら(気にしてはダメ…もう過ぎたことよ…)

何度も言い聞かせ、目の前のあすみの魔女に集中する

ぼんやり映る、さやかが魔女になる瞬間、自分に吐きつける呪いの言葉や、
まどかの嘆きの叫びを完全に無視しようと努力する

ほむら(…そういえば、今目の前にいる神名あすみの魔女も幻なの…?)

はっきりとはわからないが、何度も迫りくる魔力の塊のせいで考える余裕が無くなった

そして確実にほむらはその魔力の影響を受けていった

ほむら(目を開けてはダメ…幻に食われてはいけない…)

自分に言い聞かせるだけでは限度がある

徐々にほむらは自分の理性が幻覚に食われていくのがわかった



519:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:12:07.43 ID:1vY2dUhc0

マミ「…あら?」

杏子「…ここ…は…」

さやか「もしかして…帰ってこれた?」

杏子「…みたいだな…」

キュウべぇ「皆、よかった!魔法が一時的に解けてたんだ!」

マミ「キュウべえ!貴方今まで一体どこに?」

3人とも目をぱちくりとさせて首をかしげる

キュウべえ「説明は移動しながらだ!皆、僕についてきて!」



520:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:13:24.28 ID:1vY2dUhc0

マミ「あすみちゃん…暁美ほむら…さん」

さやか「…」

3人に何ともいえない気まずさが漂うが、キュウべえは気にせず言葉を発する

キュウべえ「まあそういうことさ、今ほむらは暴走した神名あすみと一人で戦っている!」

杏子「おいおい、大丈夫かよ…?」

キュウべえ「だから君らを呼んだんだ」

キュウべえ「マミ、杏子、結界を張れば多分あすみの魔法からは逃れられる」

キュウべえ「そしてあすみに声をかけるんだ」

キュウべえ「彼女の願い…いや呪いを放棄させれば、きっと彼女は落ち着くはずさ!」

全力で走るキュウべえに3人の魔法少女

しばらく走り、不思議な魔力の膜?の様なものが張られたドームにたどり着いた

周りには街の人々が悲痛な顔をして涙を流したり、悲鳴をあげたりしている

マミ「あすみちゃんの魔力で…」

杏子「あの馬鹿…!」

するとあすみが作ったドームの空間が歪みだした



521:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:13:52.50 ID:1vY2dUhc0

マミ「!?」

杏子「げ…なんか歪んでないか?」

キュウべえ「運が良かった!今あすみはこの空間をもう一度構成しなおしているようだ」

キュウべえ「無理矢理突破する予定だったけど、これなら無駄な魔力を使わなくても良い」

さやか「早く行こう!」

ゴクリと息を飲む音がした

誰がその音をたてたかわからないが、恐ろしい…近寄りがたい空気を発するその空間

出来る事なら立ち入りたくは無いが、そうもいってはいられない

一歩一歩と足を3人は踏み入れた



522:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:14:27.46 ID:1vY2dUhc0

しばらく進むと、おかしな化け物が辺りに満ち溢れていた

皆、鐘…の様な姿をしている

マミ「何かしら…見たことが無いわ…」

さやか「あ!マミさん!あれ!!!」

声を震わせてさやかが指を指す

その先には…巨大な化け物がいるのだ

そいつは真っ黒で、花嫁衣装のドレスとベールをかぶっている

そいつから放たれる強烈な魔力

杏子「危ないっ!!」

杏子は結界を張るが、あまり効かないようだった

さやか「…コロシテ…ヤ…」

マミ「美樹さん!!」

気分の上下が激しいさやかが一番影響をうけやすかったようだ、目が死んだ魚のように変化した



523:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:15:23.97 ID:1vY2dUhc0

さやかは正気を取り戻し、マミに謝った

さやか「ぐぅぅ…マミさん、ありがとうございます…」

マミ「いいの、気にしないで…それよりもこの魔法…まさかあすみちゃんが…あいつ?」

杏子「そのまさかみたいだぜ!!あれを見ろ!!」

結界を張りつつ、杏子はある一角を指差す

マミ「…あれは…暁美さん!!」

しゃがみこんで小さくなっているほむらがいるではないか

キュウべぇ「早く彼女の所へ!!」

3人は互いの顔も見合わせず、ほむらの元に駆け寄った

ほむら「…マ…カ…マジョ…」

うわごとを呟く

ほむらの目は完全に違う方向へ、ちがう世界を見ていた

化け物の攻撃もまた始まる



524:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:15:56.54 ID:1vY2dUhc0

杏子「マミ!!」

マミ「ええ!」

今度は2人で結界を張る

流石にある程度の魔力を防ぐことは出来たようだった、さやかも正気を保っている

さやか「ほむらっ!!ほむらしっかり!!あたしのこと分かる!?」

声に反応しほむらはすこしこちらを見る

少し正気を取り戻したようだった、目の焦点が合い始める

キュウべえ「僕がほむらには呼びかける。君はマミと杏子と共に、
あの…化け物になってるらしい…神名あすみに声をかけるんだ」

さやか「わかった!」

さやかは2人の元へ駆け出す



525:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:16:53.79 ID:1vY2dUhc0

キュウべえはほむらに呼び掛ける

キュウべえ「ほむら、よく聞くんだ」

キュウべえ「君は…多分、今この幻覚をつくっている要因の一つだ」

キュウべえ「さっき、この空間を構成しなおしたときに君も要素として巻き込まれたんだ」

キュウべえ「気をしっかり保って、ほむら」

キュウべえ「裏を返せば君は今、幻覚を形成する…この空間の主でもある」

キュウべえ「今君らが見ている幻の中で、君の記憶から成っているものもあるはずさ」

キュウべえ「君が望むならば…」

キュウべえ「君が望むことを全て見ることだって…ここでは可能だ」

ほむら「すべ…」

ほむらの目に少しだけ、生気が戻る

キュウべえ「そして、この空間の破壊も…完全ではないかもしれないけど君が自由に動くくらいなら出来る」

ほむら「あ…」

ほむらの顔がキュウべえの方に向く

ほむらは震える手をキュウべえにむかって伸ばした



526:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:17:28.48 ID:1vY2dUhc0

キュウべえ「さあ…早く願うんだ、ここの空間の破壊を、君の望むことを!!」

ほむら(ワタシのノゾムコト…それは…)

ほむらの脳内にあの懐かしい、優しい笑顔が浮かぶ

ほむら(ワタシ…私、まどかに会って…話がしたい)

ほむら(まどか…まどかに会いたい!!)

ほむら「…まど…」

キュウべぇ「ん!?」

ほむら「…まどかと、話したい!!!!」

キュウべえ「まどか??」

パチン!!!

本当に一瞬だが、世界が暗くなった



527:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:17:54.49 ID:1vY2dUhc0

ほむら(ここは…?)

ほむら(そうだ、まどか…!)

暗闇の中、一点の光がほむらの前に現れる

長いピンクの髪

小柄な体を包む白いドレス

ほむら(いた…)

ほむら(ようやく、会えた)

ほむらはまどかに駆け寄る

そして泣きもせず、抱きつきもせず、ただ静かに見つめた

ほむら「久しぶりね…」

まどか『そうだね、ほむらちゃん』

ほむら「今日は…あの日から今日までのこと謝りに来たの」



528:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:19:22.30 ID:1vY2dUhc0

まどかは目を見開いた

ほむら「まどか…ごめんなさい」

ほむら「…私は今の貴方を認めたくは無かった…」

まどか『…そっか』

ほむら「私の願い…いえ、私は貴方との約束を果たせなかったから」

ほむら「私が望む最高のハッピーエンドを迎えられなかったから…」

知久に説得されても、ほむらには譲れないものがあったのだ

幻覚でそれを再確認せざる負えなかった



529:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:20:18.41 ID:1vY2dUhc0

ほむら「地獄があるなら正にこの世界よ…でもっ」

ほむら「貴方の守り…そして作った世界で私は生きている」

ほむら「あの世界を創造した何かの一部に、貴方がいる」

ほむら「夢も希望も、貴方がいたから」

ほむら「あの世界に住んでいる人全ての笑顔をつくる一因に貴方がいるから」

ほむら「貴方が世界を再構成したから…色んな人に新たな苦しみが増えたりもした、でも逆に…」

ほむら「あの時の誰かの笑顔は無かったかもしれない」

まどか『ほむら…ちゃん…』

ほむら「まどか…」

ほむら「私はこれから、胸を張って生きていくわ」

ほむら「私には、こんなに最高の友達がいたんだって。こんなに素晴らしいものを残してくれたんだって」

ほむら「私はその…残してくれたものを喜んで受け取ろうと思うの」

まどかの顔がぱあと輝いた

ほむら「だから…もう心配しないで」

ほむら「私は、頑張って幸せを掴むから。ありがとう、まどか」

ほむらはにっこりと笑った



530:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:21:00.63 ID:1vY2dUhc0

まどか『ほ…むら…ちゃん、ほむらちゃん!!』

まどかは肩の力が抜けたようにほむらの名前を呼んだ

まどか『…ありがとう…ありがとう…』

まどか『…凄く…ほっとしたよ…』

まどか『ほむらちゃん、私に成りきろうとするぐらい…辛そうだったから』

まどか『私…凄く心残りで…』

ほむら「成り切り…今思い出すと…なかなか恥ずかしいわ…」

きまりが悪そうなほむらを見てまどかはぷっと吹きだし、ははっと笑った

ほむらもつられて笑い始める

楽しげに笑いだしたとたん、まどかの体がだんだんと透けていく

ほむらはもうまどかを引き留めようとは思わなかった

あの時の様な…ほむらの絶叫がこだまするような別れではない

笑い声で包まれた別れだった



531:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:21:48.26 ID:1vY2dUhc0

ほむら「…」

キュウべえ「ほむら…さっきの闇は…一体?」

ほむらは目を覚ました

あの病院のベッドから覚める事の無かった長い長い夢からようやく目を覚ました

ほむら「ちょっと、昔の友人に会ってきたの」

上体を起こしつつ、ツインテールを解く

キュウべえ「おかしいな…願いを具体化した幻覚なら心の無い僕には何も見えないはずなのに…」

キュウべえ「魔力でも見ていたのかな?」

ほむら「…そうね」

ほむらの黒髪がサァと広がった

ほむら「私は本当に、もう大丈夫よ…それより神名あすみを止めないと」

3人の元へすぐさま駆け寄る

必死にあすみに向かって声をかけていた

マミ「あすみちゃん、もういいの、止めて!一緒に帰りましょう!」

杏子「あすみー!あたしはあんたのこと、悪いとは思わねえよ!!誰だってそんなことがあったら、そうなっちまう!!」

さやか「私、楽しかったよ!?あすみちゃんといて、凄く毎日楽しかったよ!!」

しかしあすみの魔女の攻撃の手を緩めはしない



532:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:22:39.81 ID:1vY2dUhc0

ほむら「神名あすみ、貴方を待っている人はここにいるのよ!!」

杏子「ほむら!」

マミ「もう大丈夫なの?」

コクンとうなずく

ほっとするのもつかの間、あすみに向かって再度声をかける

マミ「あすみちゃん!幸せになっていいの!!」

マミ「確かに貴方は罪を犯したけど…責める権利は無いわ!!」

マミ「お願い、私達を置いていかないで!!」

魔女は大声をあげて、さらに攻撃を続ける

ピシッと結界にヒビが入る

キュウべえ「まずい!君らの結界が壊れそうだ!」

キュウべえ「それにあすみ自身ももうダメだ、ソウルジェムが魔力の消費で…真っ黒だ!」

杏子「キュウべえ、あんた目の前の化け物が見えてないのか?」

キュウべえ「僕は心が無いからね、精神攻撃なんて効くはずかないのさ」

キュウべえ「僕からしたら、君らが一体何を見ているかはわからない」

キュウべえ「とにかく魔力でつくられた結界に、魔力の波…その中心にいる神名あすみしか見えていない」



533:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:23:48.34 ID:1vY2dUhc0

さやか「…ということは…あすみちゃんのソウルジェムは…!」

キュウべえ「このままだと、限界になる」

マミは突然マスケット銃を地面に打ち付けて、結界を張りなおした

ほむら「巴マミ、何を…」

マミ「私、あすみちゃんの所へ行く」

マミ「無理矢理でも浄化させる!キュウべえ!!」

キュウべえは素早くマミの肩に乗り、マミは魔力が渦を巻く、結界の外に飛び出した

キュウべえ「ねえ、本当に大丈夫かい?幻覚に囚われるのがオチじゃあ…」

マミ「だから貴方を連れてきたんじゃない」

マミがキュウべえに微笑みかける

キュウべえ「やれやれ、わかったよ…僕が案内してあげるよ」

魔力の嵐の中、マミは必死に魔女――あすみの元へいく



534:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:24:27.09 ID:1vY2dUhc0

マミ「あすみちゃん!!」

魔女の攻撃は結界内の杏子やさやか、ほむらから徐々に突撃するマミに移ってきた

マミ「ぐっ…」

耳を押さえ、気休め程度の結界を盾に、嫌な声を遮断しようと踏ん張る

キュウべえ「マミ、このまま真っ直ぐ!しっかりして!!」

キュウべえが耳元で叫び、なんとか意識を回復させてまた前へ前へと進む

ほむら(マミ…)

ほむら(そういえば…さっきキュウべえが私もこの幻覚を形成してるって…)

ほむら(だから…本物かわからないけど…まどかに会えた)

ほむらはまどかのリボンを握りしめる

ほむら(…魔女を消せるなら…)

ほむらは全神経を集中させる

しかし魔女は一向に消えない

ほむらの固定観念はそれほど強かった



535:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:24:59.20 ID:1vY2dUhc0

ほむら(どうしたらいいの…!)

杏子「くそっ…結界がヤバい!!」

さやか「くっ…あすみちゃん!!またあのお菓子あげるから!!」

強烈な攻撃が無くなったとはいえ、杏子一人でこの魔力に勝てそうもなかった

杏子の結界である赤い鎖とマミの結界である光りの膜に大量のヒビが入っている

ほむら(…もう結界が持たない…結界…?)

ほむらはじーっと結界のヒビを見る

…不自然だ

魔力は正面から直接ぶつかってきている

魔力の当たらない側の結界がどうして正面の結界よりもさらに激しいヒビが入っているんだ…?

ほむら(…もしかして…)

ほむらは一心にあすみが戻るように念じる

ピキッ!

魔力の当たらない側の結界にヒビが入った

ほむら(やっぱりだ!!)

ほむらの予想が確信に変わった

ほむら(私の念も、あすみの魔力と変わらないものみたいね)

ほむら(結界の外に出た方が、私の影響力は強くなるみたい)

ほむら(魔女を消して…あすみを少し正気に戻らせることが出来るならば…)

ほむら「佐倉杏子、美樹さやか、少しいいかしら…」



536:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:25:27.69 ID:1vY2dUhc0

杏子「ん?」

さやか「何?」

……
………


杏子「わかった、不安だか…ほむらの言うとおりにしよう」

さやか「あたしもそうする。多分、ここにいても…何も変わらないから…」

ほむらはスウッと息を吸って、深く吐き出した

ほむら「ありがとう…それじゃあ覚悟はいい?」

2人は大きくうなずく

杏子「3」

荒れ狂う魔力の波に1人立ち向かうマミが見える

さやか「2」

目の前の波が結界にさらなる傷をつけて、消える

ほむら「1」

赤い鎖が消え、3人は鉄砲玉のように飛び出す

杏子「どぉりやあああああああああ!!!!!」

さやか「うりゃあああああああああああ!!!!!」

2人は片方の手でほむらの腕を掴み引っ張る、またもう片方の手にはそれぞれの武器を持っていた

そしてほむらの耳元でありえないほどわめいている

ほむらは目を瞑り、表情を変えず必死にただ一つのことを念じていた



537:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:25:55.99 ID:1vY2dUhc0

ほむら(神名あすみを元に戻して…もう魔女なんか存在しない、元にもどして…)

脳内に直接送り込まれる映像…具体的に言うと、まどかの最後だったり…

恨みごとを言うマミや杏子、さやか…

巨大な影に街中にあふれる悲鳴…

真っ赤な血…血…血…

さっきよりも精神への影響は少なかったが、それでもほむらには十分辛いものだった

杏子「しっかりしろおおおおおおお!!!」

さやか「ほむらっ、ほむらああああああ起きろオおおおお!!!!」

2人のやかましいわめき声にハッとする

意識が一か所に集中しないようにするため、2人は手に持つ武器を騒がしく動かし、叫ぶ

とはいっても精神ギリギリの所で意識を保っているようだった

たまに片方の声が途切れたりする

ほむら(神名あすみ…貴方は魔女になることは出来ない!)

ほむら(貴方は元に戻れる!元に戻りなさい!!)

ほむら(元に戻れ!!)

汗を流しながら全てをかけて集中する

自分の記憶が、恐れているものがこの幻覚には影響しているのだから

元に戻すことだけを一心に念じる



538:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:26:23.56 ID:1vY2dUhc0

目をつぶっても音を消そうと耳元でやかましく叫んでもらっても、やはり幻覚はダイレクトにほむらをおそった

これらは気休め程度の効果しかない

徐々にほむらの意識はまた幻覚、絶望の波へと引きずり込まれかけている

さやか(このままだと…ほむらはまた意識を失う)

喉が痛むを気にせずに懇親の力を振り絞り大声を力の限り発する

さやか「ほむらぁああああああ、思ってることを口にだせええええええ!!!!」

彼女達はなぜほむらにそういったか分からない、カンの様なものが2人をそうさせた

2人に反応してほむらピクリと動いた

杏子「うぉああああ!!!!そうだああああああ、私達みたいにさけべぇえええええ!!!!!」

ほむら(思っている事を…口に…)

そういえば先ほど、まどかに会いたいと願った時

大声で叫んだことを思い出した

ほむら(これって…口に出さないといけないのかしら…?)

ほむらはあまり大声を出せるほうでは無く、叫んだりするのは苦手だった

けれどそんなことを言っている場合ではない、大きく息を吸い、口を開けた

ほむら「神名あすみ!!!!魔女はこの世界には存在しないのよ!!!!!」

ほむら「神名あすみ!!!貴方は元の人間に戻りなさいっ!!!!!」

全身全霊を込めて、ありったけの力を込めて、よく通る声で叫んだ



539:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:26:50.61 ID:1vY2dUhc0

杏子「…こ、これは」

ほむらの体が光に包まれる

そしてそれはあすみの魔力の波の様なものに変化し、あちこちに飛散する

使い魔へ、花へ…そして魔女と変化しているあすみにも

『グァアアアアアアアア!!!!!』

ピシッ

ピシッ

ほむらの耳元にソウルジェムの変化する、あの音が聞こえた

『ギャアアアアアアアアア!!!!!』

杏子「あ…!」

さやか「光が…ほむら、目を開けてみて!」

ほむらはおそるおそる目を開く

『グォオオオオオオ、ぐぁあああああああ!!!!』

光りが使い魔を消滅させ、あすみの魔女は徐々に姿を取り戻していっている様子だった

『ぐぁあああああ、ぎゃああああああ!!!』

雄たけびはだんだん幼さの残る少女の、あのあすみの声になってゆく

そしてとうとう…

あすみ「いゃあああああああ、やだぁあああああああ!!!!!」

花畑も鐘の使い魔も魔女も消えうせ小さな銀髪の少女が座って絶叫をあげている

マミ「あすみちゃん!!!!!」

魔力はやはり相変わらず放出され続けているままだが、あすみ自身が見えたことは大きかった



540:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:27:16.79 ID:1vY2dUhc0

マミ「あすみちぁああああん!!!」

マミの叫びにあすみは顔をあげる

杏子「あすみ、また一緒にたいやき食おう!!さあ、帰るぞ!!!!」

ほむらはマミに向かってグリーフシードをいくつか投げつける

あの真っ黒に染まったソウルジェムに一刻の猶予もない

マミがまどかが円環の理から迎えに来る前に浄化出来ねば、あすみの命はそこで終わる

ほむら「神名あすみ、早くマミからグリーフシードを受け取りなさい!!!」

ほむら「貴方がはやくこの空間を解除してくれないと、わたしもずっと巻き込まれるの、迷惑よ!!!!」

さやか「あすみちゃん、幸せになっていいんだよ!!!!」

今だと言わんばかりに一斉にあすみに呼び掛ける

マミ「あすみちゃん!!」

マミ「私は貴方とまた暮らしたい!!!!」

マミ「私は何があっても貴方の味方よ!!!!」

とうとうマミはあすみに手を伸ばせば届く距離まで迫った

手の中のグリーフシードをあすみに必死に差し出す

マミ「お願い、ソウルジェムを浄化して!!!!!!」



541:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:27:45.10 ID:1vY2dUhc0

あすみ(…浄…化…?)

あすみの目の前に立っている親戚のおじ、おば

そして…父親に、今は亡き母親

皆であすみを追い詰める…幻覚に激しく喘ぎ、悲鳴を上げ続けるあすみの意識にねじ込まれたマミの微かな声

だんだんと意識が戻る

あすみ(ここ…は…)

あすみ(そっか、私自分の幻覚に取りつかれて…)

フラッと辺りを見回すと、杏子、さやか、ほむら、そして目の前にはグリーフシードを持ったマミ

あすみ(ああ…皆来てくれたんだ…)

あすみ(もう、許してくれないと思ってた…)

あすみ(ああ…私、…幸せだった…こんな人たちにも出会えて…)

あすみ(皆に恨みをぶつけている時よりも…ずっと、皆といる時の方が…楽しかった)

自分の足についているソウルジェムを見ると、今までみ見たことが無いほど真っ黒に穢れていた

その黒い穢れと共に自分の今までやってきたことが浮かんでは消えていった

あすみ(私…やっぱりいらいない子だ…)

狂気を含んだ笑みを浮かべ、次から次へと人に襲いかかる自分

あすみ(こんなにも…穢れてるもん)

あすみ(皆には…この汚れを移したくない…)

ソウルジェムを手に持つ

マミ「あすみちゃん!このままグリーフシードを…」

あすみはマミの手のグリーフシードをひったくるように奪い取り、投げ捨てた



542:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:28:14.48 ID:1vY2dUhc0

マミ「あすみちゃん!!!!」

マミの悲鳴に似た叫びが響き渡る

あすみ「マミさん、皆さん」

あすみ「あすみは幸せでした…」

あすみはあまりにも穏やかな顔をしていた

あすみのソウルジェムを握る手に力が込められる

キュウべえ「マミ、あすみは自分のソウルジェムを壊すつもりだ!!!」

マミ「やめて、貴方は生きて罪を償うべきよ!!!」

マミは必死にあすみの腕にすがりつき、ソウルジェムを回収しようとする

ほむら(…もうダメだわ)

ほむら(ソウルジェムを回収しても…浄化が…)

誰が見ても手遅れなくらい、ソウルジェムはどす黒くなっている

杏子も、さやかも悔しげにその様子を見ている

ほむらもうつむいて、悔しげに下を見た

その瞬間、ほむらの目にあるものが飛び込んできた



543:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:28:59.70 ID:1vY2dUhc0

ほむら(…た…て…?)

ほむら(これ…動くかしら…?)

あの、時間を止めることの出来る盾

そういえば、今は空が飛べないし、弓矢が使えない

それらが使えないならば…この盾を使って…時間を止められるのでは…?

ほむらは最後の望みをかけ、盾に手をかける

自分がこの空間を構成する一員となったなら…使えていいはずだ

あの時と同じ能力ならば、自分だけはこの世界で動くことが出来る

急いでグリーフシードを回収して、無理矢理でもソウルジェムを浄化させて…
それでも暴走するようなら、強制的に仮死状態にすればよい

ほむら「盾っ…うごけええええ!!!!」

さっきは声に出したらすんなりそのごとくになったのに、今回はなぜだかすんなりいかない

創造者のあすみがほむらの意図をくみ取って、無意識に拒んでいるからだろうか



544:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:29:26.29 ID:1vY2dUhc0

ほむら(時間が無いの…うごいて、うごいて…)

あすみの前にピンク色の光が空からまっすぐに降りてくる

他の皆には見えない、ほむらだけ見ることが出来る光

…まどかだ…

まだ…あすみの元へ到着はしていないが、どんどん距離を縮めている

ほむら「動いてっ、うごけっ!」

ギギギッと少しづつ盾が動く

ほむら「!、動いて、動いて!!!」

ほむら「うごけぇええええ!!!!!!」

ギギギギッ

カチン!


……
………



545:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:29:54.19 ID:1vY2dUhc0

あすみ「…あ?」

目を開いたあすみは目の前の光景に驚いた

皆、固まっているのだ

誰一人動いていない

さっきまでグリーフシードをめぐってマミと揉み合っていて…

まどか『神名あすみちゃん?』

あすみ「うわっ!!」

目の前に白いドレスを着た、長い髪の少女が立っている

あすみ「…貴方…円環の理…鹿目まどかだよね…」

まどか『そうだよ。嬉しいな、私の名前を覚えててくれて』

まどかの微笑みはまさに女神そのものだった

あすみ「…私、嫌だよ」

まどか『…?』

まどかは不思議そうに首をかしげた

あすみ「絶対、円環の理には行かない」

まどかに挑むように目を尖らせにら見つめる



546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:30:26.38 ID:1vY2dUhc0

あすみ「私、あんたのこと嫌いなの」

あすみ「あんたみたいな…偽善者!」

あすみ「あんた、結局…ほむらさんに願いを押しつけといて…」

まどか『うん、そうだよ』

まどか『私はほむらちゃんに酷いことをしたんだよ』

まどかは笑う、しかしその笑みには底知れない悲しみで満ち溢れていた

全てを悟りきった、悲しみの果ての、そのまた向こう側の顔だ

…あすみはまどかがどんな存在であるか、今全てを理解した

まどかは…私達の全てを知っている

彼女は魔法少女が始まったその日から、彼女達の悲しみや喜びを遠い向こうから見つめているのだ

てっきり…感情のカスの様なものしか残っていない、
宇宙のシステムとしてただ魔法少女を迎えに行くだけのいわば機械と変わらないような存在だと…

彼女は、人間の心を持ったまま

…人だったころの感情なんて、その気になれば消せるはずだ…

人間だって出来るのだ、神が出来ないわけがない

…けれど彼女は…何千年もの間、人の心を持ち続けたまま迎えに行っていた

それが…どれほど苦しいことか…

あすみは想像したくなかった

あすみは自分があまりに子どもなような気がして、後に続ける言葉を失くしてしまった



547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:30:55.71 ID:1vY2dUhc0

あすみ「…」

あすみ「とっ、とにかく私は…ここでソウルジェムを壊して死ぬ」

まどか『じつはそのことなんだけど…』

まどか『少し、私の話を聞いてくれないかな?』

あすみ「…」

まどか『あすみちゃん、今何が起きているかわかる?』

あすみ「…わからない」

まどか『ほむらちゃんがね、時間を止めたの』

まどか『ほら、貴方も止まっているはずだよ。後ろを向いてみてよ』

そんなバカなと思い、大慌てで振り組む

あすみ「…」

確かにマミと揉み合っている自分がそこにはいた

まどか『あすみちゃん…あのね、今貴方にはいくつかの選択肢があるの』

まどかは手をグーにして、ゆっくりと指を立てる

まどか『その1…私と一緒に円環の理へ行く』

まどか『その2…このままソウルジェムを壊す』

まどか『その3…このまま生きる』

あすみ「ちょ、ちょっと待って!貴方がいるのに何で選択肢があるの!?」

大慌てであすみはまどかをゆすりながら聞く



548:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:31:23.02 ID:1vY2dUhc0

まどか『それはね、あすみちゃんの運が良かったからだよ』

まどか『私があすみちゃんの所へ来てソウルジェムを浄化し、消し去るはずだったけど…その作業をする前に時間が止まったの』

まどか『だから、私は今なら引き返せるんだ』

あすみはただ黙っていた

まどか『だからあすみちゃんにはいくつかの選択が出来るの』

まどか『まあ、あすみちゃんは私と一緒に行く気は無いみたいだから実質2択か』

まどか『どうする?』

あすみ「…私はここで死ぬ」

あすみは迷いのない瞳だった

まどか『そっか…よければ理由を教えてくれないかな?』

あすみは少し渋い顔をしたが、もう誰にもその理由を語ることは無い

どうせ、死んでしまうのだから、と思いつつ答えた



549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:31:49.06 ID:1vY2dUhc0

あすみ「私、ずっと自分は不幸だと思っていた」

あすみ「最高に…不幸だと思った、どうして自分だけって」

あすみ「道行く人も、皆皆、誰も助けてくれない」

あすみ「そのうち、何もかも無くなれ、お前ら皆苦しめって…」

あすみ「私は魔法少女になって、皆が苦しむ姿を見て…凄く楽になった。ある意味幸せだった」

あすみ「それからしばらくして…皆と出会った」

あすみ「そして…実は私、やっぱり人を苦しめるの、嫌だって気がついたの」

あすみ「皆の…マミさんや…さやかさん、杏子さん…ほむらさん…」

あすみ「皆、壮絶な思いがあって…皆私と同じ様な気持ちがあって…さ」

あすみ「私、昔はこんな悪い子じゃなかったんだよ…ちっちゃい頃は…多分いい子だったんだよ…だから…」

まどかはにこにこと笑ったまま見つめていた

あすみ「共感しちゃったの、皆の悲しい気持に」

まどか『そっか…』

あすみ「皆あんなに苦しいはずなのに私に優しくしてくれた…一緒に過ごして楽しかった…そして私のやったことを知っても、責めなかった」

あすみ「私は…皆と過ごした毎日のほうが、人を苦しめている時より幸せだったの」

まどかは穏やかな顔だった

あすみはその顔を見て思わず涙が溢れそうになる



550:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:32:14.30 ID:1vY2dUhc0

あすみ「…ほんとは気がついてたの」

あすみ「ホントは、襲った人の心を…のぞいた時から、誰でも皆苦しんでるの…気がついてたの」

あすみ「でも…それじゃ、私の願いは、あんなに苦しかったのは何?何だったのってなるじゃん、この世界を理解なんてしたくない」

あすみ「だから…あんなことやっちゃったの」

あすみ「今はね、全部わかっちゃった…」

あすみ「弱い人間は…自分の罪にすら耐えられないような人間はいらないの」

あすみ「だから、死ぬの」

あすみ「私が苦しめてしまった家族の人達の為にも…」

こくこくとうなずきながらまどかは終始穏やかな顔をして話を聞いていた

あすみもまた、穏やかな語り口調になっていった

あすみは憑き物が落ちたような表情になった

まどか『そっか…』

まどか『あすみちゃん、このまま罪悪感を抱いて生きていくのは…死ぬよりもつらいだろうし…仕方ないね』

あすみ「ありがとう」

ほっとして御礼をいい、あすみは自分のもとへ…ソウルジェムを奪いとりに行った

自分の手にあるソウルジェム…それを握ろうとしたとき、あすみは足を躓かせた



551:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:32:41.18 ID:1vY2dUhc0

あすみ「あ…!」

あすみはマミの手を反射的に握っていた

その手から、あすみへ何かが流れ込む

あすみ(…マミ…さん)

あすみの目に涙がたまっていく

さっきは我慢しきれたが…今回のは我慢しきれる代物ではない

まどか『…あすみちゃん…見ちゃった?…』

目を押さえてこくこくとうなずくあすみ

あすみはマミの心をのぞいてしまった

あすみ「ねえ…あたしに何したの…?」

まどか『私は何もしてないよ』

まどか『そうだね…強いて言うなら、ほむらちゃんの前の魔法とあすみちゃんの魔法が、この空間で異常を起こして混ざり合って…』

まどか『あすみちゃんの心だけが動ける状態になってしまった、というところかな』

あすみ「…ねえ」

まどか『ん?』

あすみ「…どうしたらいいの…」

あすみ「マミさん…悲しんでいる」



552:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:33:09.72 ID:1vY2dUhc0

あすみ「私が母さんが倒れたって、聞いた時みたいに…悲しんでいるし、焦ってる」

あすみの脳裏にありありと蘇った

病院まで先生に車でおくってもらった時、車内で震えていたとこ

母の遺影を前にして大声をあげて泣き叫ぶ、あの悲しい悲しい、悲しいを通り越して苦しかった夜のことを

だからあすみはマミの心がどれほど苦しいか痛いほどわかった

まどか『あすみちゃん、貴方がいなくなったら…マミさん、これ以上悲しいと思うよ?』

あすみは大声で泣き始めた

あすみ「私だって…ホントは生きてたいよ!人生が楽しいから、生きていたいよ!」

あすみ「それにマミさん達をこれ以上悲しませたくないよ!」

あすみ「でも…ダメなの、凄く苦しいよぉ」

あすみ「苦しい、苦しいよぉ…辛いし、悲しいし…もう我慢できないよ…もう氏にたいよ!」

あすみ「生きたいけど、悪いことしたもん…生きる価値が無いもん…死ぬ必要があるんだ!」

あすみ「私、自分のことは許せない…私は私自身が消えないと…」

罪悪感と、絶望感と、過去の苦しみがいっぺんにあすみの心を絞めつけた

まどか『あすみちゃん…絶望する必要なんて無いよ?』

あすみ「でもっ…」

まどか『あすみちゃん、何のために私、神様になったでしょうか?』

あすみ「…?」



553:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:33:37.35 ID:1vY2dUhc0

まどか『魔法少女が絶望で、全てあきらめてしまうのを…止めるため』

まどか『ソウルジェムが絶望で濁るのを防ぐため』

あすみは顔をうつむかせた

そして、強く首を横に振った

あすみ「ごめんなさい…」

自分が苦しめた人達の顔を思い出すと、生きてはならない、そう思わずには入れらなくなった

自分が絶望に陥れたんだ、罪を償う必要があるんだ…

揺らいだ心に鞭をいれ、取り乱した自分を恥じた

あすみの決心が決まってしまい、まどかは悲しげな顔をした

まどか『そっか…残念だな』

まどか『心が決まっちゃったみたいだね…』

まどか『私、偉そうなこといったけどね、…もう干渉できないの…』

あすみ『もう…あすみちゃんの心がもうほとんど揺らいでないから…
思いがこれ以上変わらないなら諦めるしかないの』

まどか『私の希望は絶望を止める、だけど…あくまで私は迎えに行くだけの存在だから…』

まどか『私は迎えに行く時、その人が望む幸せな夢をみせることくらいしか出来ないから…』

まどか『もっと皆に干渉できたらよかったかなあ』

あははとまどかは笑った

力の無い、悲しい声だった



554:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:34:03.37 ID:1vY2dUhc0

まどか『さあ決めて』

まどか『ここで死ぬか、生きるか』

まどか『あすみちゃんは、それを望んでいるから』

まどかの右手にはグリーフシード、左手には植物の杖と矢。

杖の先端はつぼみになっている

矢があるので、多分この杖は弓に変形するのだろう

あすみ(…そうか…この弓矢で…自分のソウルジェムを打ち抜け…と)

あすみ「…ごめんさい」

あすみの手は一瞬迷い、それから真っ直ぐまどかの左手に向かった

まどかは大きくため息をついたが、仕方ないねと笑った

まどかの弓矢を手に取った瞬間のことだった

ゴォオオオオ

あすみ(っつ…!?)

強い風が吹き、弓矢が光輝いた



555:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/24(月) 20:34:32.95 ID:1vY2dUhc0

あすみ「なっ…なに…?」

あまりにまばゆい光にあすみは思わず目をつぶった

まどか「大丈夫だよ、私の弓って使うときいつもこうなるの」

まどかの声が聞こえた後、今度は穏やかな風が頬をなでた

あすみ「あ…」

風にのって懐かしい匂いがあすみの鼻に届いた

あすみの帽子についている花の香りだ

その花は母親が大好きだった…

急いで目を開くと、まどかの弓の先端のつぼみが花開いていた

薔薇、ピンク色の可愛らしい薔薇

あすみ「お母さん…」

世界で一番好きな人の名がポロリとこぼれ落ちた

まどかはポンポンとあすみの肩を叩いた



559:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:52:03.01 ID:GgPl8Ktc0

手には古びた…懐かしく、世界で一番大事だった手紙

ずっと探し続け…もう見ることは無いと忘れ去った品だ

あすみ「…これ…は…」

まどか『あすみちゃんが、お母さん思いだしたから』

あすみは静かに手紙を開いた

---もしあなたが罪を犯したなら、貴方が貴方自身を不必要だと感じて絶望したならば
そんな時こそ生きなさい…だって、貴方にとっての地獄は…ここでしょ?

地獄から逃げて勝手にいなくなって、マミ達を悲しませるなんて、そんなの私が許さない

生きて幸せになろうとすることこそ貴方にとって地獄の苦しみのはずなのに、
それを放棄して死ぬなんて、私は絶対許さない--

あすみ(…)

本来の母親の手紙はこんな内容では無かった気がするし、口調も違う

あすみ(でも…お母さんの手紙…どんな内容だっけ…どうして忘れてたんだろ)

あすみの脳裏に赤い光がチカチカと光って、それが火だと気がつくまでに時間はかからなかった

あすみ(ああ…これは親戚に燃やされたんだっけ…)

なら…この手紙は…お母さんの手紙じゃない…

妄想の世界で、物を出現させるのに必要不可欠であるのは感情と記憶であるのをあすみはよくよく理解していた



560:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:52:38.62 ID:GgPl8Ktc0

まどか『これ、私じゃないよ』

あすみの心を読んだかのようにまどかが喋り出した

まどか『…』

まどかはちらりと視線を違う方へ移した

あすみもその視線を追いかける…

あすみ「ほむら…さん…」

此方へ向かって走りながら、腕の盾に手を添えたまま動きが止まってしまっているほむら

まどか『ほむらちゃんはさ、あすみちゃんと比べ物にならないくらい悪いことをしたんだよ』

まどか『そして、私はほむらちゃん以上のことをやってしまったの』

あすみは無言でうなずいた

まどか『そんな私達ですら、こうして存在することを許された』

まどかの長い髪がだんだんと黒く染まり、小柄な体が大きくなり、ドレスの丈が短くなり…

ほむら「貴方が存在する場所なんて、あるにきまっているじゃない」

あすみ「ほむら…さん…」

ほむら(ごめんなさいね、まどか。少し体を借りるわよ)

まどか『ありがとうほむらちゃん、私はあすみちゃんの心にほとんど干渉できないから困ってたの』

ほむらの頭の中にまどかの無邪気な笑い声が響いた

あすみ「…私に…どうしてもこっちの世界に戻って欲しい…と?」

ほむら「ええ、分かっているじゃない。何のためにあの手紙を渡したの?」



561:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:53:18.74 ID:GgPl8Ktc0

あすみ「ごめんなさい…どうしても…やっぱり…出来ない」

あすみ「きっと…私が傷つけた人達は私を死ぬほど憎んでる、私は自分が許せない!!」

あすみは絞り出すように叫んだ

ほむら「そう、貴方が傷つけた人達は貴方が死ぬほど苦しむ姿を見ることは叶わないのね」

あすみ「…」

ほむら「何?貴方は許されたいの?苦しみたいの?何に絶望したのかしら?」

ほむら「自分が許されないことにかしら?」

あすみ「違う…そんなわけじゃ…」

あすみは首を振ってほむらを見つめた

ほむら「さっきも言ったでしょ?幸せになろうと努力するその時が一番死ぬほど苦しいって」

ほむら「それは死ぬほど後悔するからよ」

ほむら「貴方が後悔して苦しむ姿を遺族は望んでいるの、貴方はそれがわからないの?」

あすみは顔を伏せた

ほむら「それに私達を置いて逃げるの?自分だけ苦しみの無いあの世へ逃げるの?」

ほむら「…さっきも言ったでしょ、私は許さないって」

ほむら「私だって…“世界を滅茶苦茶にした私”ですら幸せになると決心したのを世界は拒まなかったわ。
今だってここに存在出来ている」

ほむら「何が罪悪感よ、何が居ちゃいけないよ」

ほむら「貴方の犯した罪が許されなくてどうなるのよ、申し訳ないなら生きて無茶苦茶になるほど苦しみなさい」

ほむらの言葉は刃のように鋭かった



562:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:54:05.95 ID:GgPl8Ktc0

ほむら「この間まで…まどかの死や、友達の死…現実の全てから逃げ続けてきた私だから言えるのよ、逃げることが最大の罪だって。
他人の思いから、現実から逃げることこそ許されない罪だって」

ほむらの目は遠くを見つめ、またあすみに向き合った

ほむら「貴方が苦しみ抜いた先にある幸せを掴むまで、私は貴方が逃げることを絶対に許さない」

ほむら「もし貴方が死んでここから逃げるのならば、人間としての幸せを掴むことをやめるならば…」

ほむら「私は貴方のことを永遠に許さない、世界中が貴方を許しても、私は絶対に」

目の前のほむらがだんだんと縮んで黒髪がピンク色の髪になり…

まどか『だってさ』

まどかはにこにことそこに立っていた



563:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:54:34.46 ID:GgPl8Ktc0

ジリリリリリリ…

とこかで目ざまし時計の音が鳴り響いた

まどか『さあ、どうする?あすみちゃん』

まどかは相変わらずにこにこと笑っている

あすみは手の中の矢と弓を見つめ、呆然と立っていた

あすみ「…」

あすみ「…私…は…」



564:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:55:26.36 ID:GgPl8Ktc0

あすみ「おじさん…おばさん…」

小さな少女は長い間出ていた自分の家にたどり着いた

「あす…み…?」

「あすみっ!」

みっともなく泣きながら駆け寄る親戚の夫婦

そして彼らの隣には…

「あすみっ、父さんだぞ!」

涙で顔をぐしゃぐしゃにした父親がいた

かけよる3人にあすみは手をかざし、近寄るなという合図を送る

あすみ「私…やっぱりみんなの事、許せなかった」

あすみ「…どうしてって思う」

あすみ「お父さんだって、許せない」

あすみ「私を見捨てたんだから…」

「あすみ…」

あすみ「だから、あすみは永遠にあなた方に復讐します」

あすみ「さようなら」

あすみは手に持っている包丁で…自らを刺して…



565:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:56:26.50 ID:GgPl8Ktc0

「あっ…あすみ!?」

神名あすみ、彼女はボロボロと消えていった

「あれ…?」

「私達、何で泣いて…?」

あすみが消えたころにはもう誰も覚えていなかった

---…これで…いいんだ…---

あすみは物陰でこっそりその様子を見つめ、満足そうに立ち去った

その頬に透明の液体が光っていたように見えたのは、気のせいかもしれない

しかし彼女はとあるミスを犯した

感情の記憶を消し忘れていたのだ

彼らはこれから先永遠に忘れられない…後悔と悲しみが胸を締め付ける

どんなに楽しくても、どんなに幸せでも潜在意識の中にある強烈な悲しみ

それが彼らの日常に恐ろしい影を落としていくだろう

誰にも、自分でも原因が分からないその感情に徐々に精神を侵されるであろう

これから先、死ぬまでずっと…

今になって彼女の呪いの様な願いが叶ってしまったようだ

当のあすみは何も知らなかった



566:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:57:45.80 ID:GgPl8Ktc0

キュウべえ「神名あすみ、これで良かったのかい?」

あすみ「うん」

キュウべえ「もう…君の事を知る人はいなくなったのに?」

あすみ「うん。誰にも思いだされないように色々消していったよ」

あすみ「頑張って戸籍まで消したんだから」

あすみ「本当に、少ししか魔力を使えなくて大変だったよ…やりすぎるとこっちが幻覚でやられるからさ」

あすみ「それじゃあまたあとでね」

契約したときのようにスタスタと歩き始めるあすみ

キュウべえ「…」

キュウべえ「マミ達が待っているよ」

あすみはキュウべえの目を見ずにじっと立って、それからこういった

あすみ「…皆忘れてるよ」

キュウべえ「そうかな…?」

あすみ「うん、実はね、この間すれ違ってみたの」

あすみ「反応なかったから」

あすみ「悲しかったけど、これでいいの。また新しく始めるからさ」

キュウべえ「そうかい…その選択が正しいか間違っているかは疑問だけどね」

あすみ「まあね」



567:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:58:14.42 ID:GgPl8Ktc0

キュウべえ「あ、そうそう。願いを否定した君には、もう固有魔法は使えないから。
これだけは言っておくよ」

あすみ「うん、わかった」

キュウべえ「そう、それじゃあまた」

あすみ「…」

あすみ「…ごめん、待って。一つだけ…」

あすみはガサゴソと赤い薔薇の花束を出す

キュウべえ「これは…」

あすみ「これ、マミさんに」

キュウべえ「よし、それじゃあ…もう何もないね」

あすみ「そう、もう無いよ」

キュウべえ「それじゃあ、また今度会おう」

キュウべえはあすみから背を向けて、見滝原へ帰って行った



568:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:58:41.95 ID:GgPl8Ktc0

キュゥべえ「…神名あすみ…どうしてここへ戻ろうと思ったのだろう」

キュゥべえ「あのまま死んでいた方が彼女は幸せだった、それは間違いない」

キュゥべえ「あの瞬間、彼女は罪を受け入れ全てを受け入れられたからなぁ」

キュゥべえ「人間、何回も現実を受け入れられる生き物じゃないし、そう簡単に幸せなんて掴めないさ」

キュゥべえ「…きっと幸せになる前に…円環の理に導かれる…」

キュゥべえ「憐れだな…神様は君が幸せになることを許さなかったのか…」

あすみの後ろ姿を見つめながらキュゥべえは呟いた

キュウべえ「わけがわからないよ」



569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 06:59:23.94 ID:GgPl8Ktc0

あの直後、なぜか4人は地面に倒れていた

一体何をしていたのか、お互いの顔を見て首をかしげた

それから数日後、マミはキュウべえからプレゼントをもらった

マミ「あら綺麗。ありがとうキュウべえ」

キュウべえ「どういたしまして」

マミ「それにしても…どこで手に入れたの?」

キュウべえ「秘密さ」

マミは大きく息を吸うと、薔薇の香りに包まれた

マミは香りと共に安堵感や解放感に包まれていた

それに…一気に懐かしさがあふれ出す…

そういえば最近、部屋がやたら広く感じ、一人でお茶を飲むのが寂しく感じられた

まるで誰かがいなくなったような…

でもこの薔薇はそれを埋めてくれるような気がした

不思議なことだと首をかしげたが、良しとしよう

しばらくマミの部屋の花瓶に、その赤い薔薇は見事に咲き誇っていた



570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:00:43.06 ID:GgPl8Ktc0

ほむら「貴方達との仲も険悪だったんだから」

ビルの先端部に腰かける黒髪の美少女はけだるそうに白い不思議な生き物…
キュウべえにグリーフシードを投げる

キュウべえは曲芸のようにグリーフシードを回収する

ほむらは髪をバサッとかきあげた

もう彼女の髪はツインテールではなくなり、あのリボンはバンダナとしてほむらの髪と共に揺れていた

ほむらはぼんやりと夜空を見上げる

ついこの間、美樹さやかは逝ってしまった

炎の中、あんなに穏やかな笑みを浮かべ、すがすがしそうに…消えていってしまった

杏子が泣きながらさやかの名前を呼んでいるのがまた何ともいえない気にさせた

悲しいけど、これが現実なのよね…

そう呟いたマミが一番、落ち着きを払っていた

マミは杏子とほむらを介抱していつものようにお茶を振舞ってくれた

ほむら(美樹さやか…別に、あの場で魔力を使いきること無かったのに)

ほむら(でも…まどかが彼女を幸せな世界に…連れていってくれるなら)

ほむら(…悲しむべきではないのかもしれないわ…)

そう思っても、涙は静かに流れた



571:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:01:13.27 ID:GgPl8Ktc0

巨大なビルから見える街の明かりはまぶしく、苦しみも悲しみも感じさせはしなかった

しかし、光りあるとことには闇がある

今も魔獣は確実に人を蝕んでいる

今日も魔法少女である私は、魔獣と戦い、命をすり減らしていくのだ

まどかの守りたかった世界を守るために

それが私の使命であり、私の幸せ

バサッ

ほむら「ん…?」

何かが落ちてきた音がしたので隣を見ると、青い薔薇の花束があるではないか

誰かの髪色を連想させるような綺麗な青色の薔薇

ほむら「あなた…誰かが亡くなった時に薔薇は無いんじゃないの?」

後ろは振り向かない

向かいの建物に映る影はただ黙っている

ほむら「…私が忘れてると思ったの?」

影は動揺しているようにも見える

ほむら「まあいいわ…こんなに綺麗な青い薔薇をわざわざ作ったんだし…
でもどうして自分で行かないのかしら?」

ほむら「彼女のことだから、貴方が来るだけでも大喜びするでしょうに」

ほむら「彼女だけじゃないわ。あなたが赤い薔薇をあげた人だって…私だって」

青い薔薇を拾いながら問掛けるも、結局影は何も言わずクルリと背を向けて消えていった

赤い花びらが幾つか風に乗ってほむらの膝に乗る



572:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:02:06.37 ID:GgPl8Ktc0

ほむら「キュウべえ、“あの子”はもうあんな武器を使っていないようね」

膝に乗った花びらをほむらは穏やかな顔で見つめる

キュウべえ「あの子…ああ、彼女か」

キュウべえ「まあね。本来の魔法を失ってしまったし」

キュウべえ「でも元気にやってるよ」

キュウべえ「本当の性格がなかなか無垢で夢見がちだからかは知らないけど、
今は不思議な発想の魔法を使っているね」

ほむら「そうみたいね」

ほむらが膝に乗った花びらを持ちあげると、ポッと火がつき消えていった

ほむら「無垢で夢見がちに…なかなかのイタズラ好きも付け加えて頂戴」

ほむら「持った瞬間火がついて消えるなんて、物騒なものを寄越してくるんだから」

ほむら「だいたい記憶を消しておいていまさら無言で花束を隣に置くなんて」

ほむら「不審極まりないわ」

キュウべえ「まあまあ、僕が一緒にいるからなんとか取り繕うと思ったんだろう彼女も」

キュウべえ「それに…やっぱり覚えてて欲しかったんじゃないのかな?」

ほむら「そうなら意地張って記憶なんて消さなきゃいいのに」

キュゥべえ「そういや、どうして君は記憶を…?」

ほむら「さあね、私にも分からないわよ」

はあ、と大きくため息をついて立ちあがり、残りの花びらをサッと払い落す

次々と火ついては夜闇に消えていく



573:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:03:56.64 ID:GgPl8Ktc0

一瞬の輝きは儚くも美しい

ほむらは何も言わず、消えていく花びらを見つめてキュウべえに向き直った

キュウべえ「さあほむら、油を売るのはここまでにしよう」

キュウべえ「今夜は随分と瘴気が濃いしね」

ほむら「…貴方達って…」

キュウべえ「ん?」

ほむら「…何でもないわ、行きましょう」

サッとビルから黒い少女は飛び降りる

白い生き物も黒い少女の後に続いて飛び降り、少女の肩に乗った

彼女は地面に向かいどんどん落下し、そして純白の翼を広げる

すたんと見事に着地して、落ち着き払って魔獣達を睨みつける

ほむら(どうしようもない世界だけど…)

ほむら(ここは…あの子が守り抜いた…世界なんだ…)

あの日、まどかが全ての魔女に矢を放った、あの神々しい姿が浮かんだ

あれから本当に何度も考えた

まどかが神様になったことを認めるにしてもやっぱり良しとはどんなに努力しても思うことは出来なかった

だけれども…

ほむら(まどか…)

ほむらは夜空に向かって少しばかり微笑み、弓をかまえた



574:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:07:18.59 ID:GgPl8Ktc0

----------------------------------------------------------------------------------
あすみ「…」

黒くなったソウルジェムを握り、ボロボロで倒れている少女に声をかける

キュウべえ「行くのかい?」

あすみ「うん」

あすみ「キュウべえ、あのね。私…生きてて良かった」

あすみ「あの時、行かなくて良かった」

あすみ「それじゃあね…」

少女の体はうすくなり、そして完全に消えてしまった

あの日からあすみは傍目からみれば苦しみの連続だった

夜は過呼吸で飛び起き、昼は何かに脅えるように振く

誰かに責められていると泣きわめき、暴れまわる

しかしそれでも大丈夫と笑い、静かに立ち上がる

キュゥべえは無理して笑顔を作るあすみは幸せではないと思っていた

あの時消えていた方が良かったと、ずっと思っていた

しかし消えゆく彼女の微笑みはあの時、
全てを受け入れたあの顔よりも数倍も穏やかに、晴れやかに見えた

キュゥべえ「…全く、人間ってのは本当に訳が分からないよ…」

跡形もなくなった彼女へキュウべえは名前も知らない花を置いた



575:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 07:09:53.61 ID:GgPl8Ktc0

これで全部終わりです

無理やりかもしれませんが私はあすみちゃんをどうしても助けたかったので…
あと最後の方から書いたため何かおかしくても許してね
それと誤字脱字も沢山あるけど許してね

オナ○ーな文ですが、誰かの暇つぶしくらいになれたなら幸いです
それではまたどこかで会いましょう
今度はクロス物を書いてみたいなぁ



578:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 13:35:35.66 ID:JsqRvjQSo


面白かったよ



580:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/12/25(火) 23:49:00.71 ID:ipmzQAV20


あすみも救われたか



転載元
神名あすみ「魔法少女あすみ☆マギカ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1346080294/
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         コメント一覧 (41)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:30
          • 4 すばらしい
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:39
          • 奇跡も魔法も1ゲトも、あるんだよ!!

            by美樹さやか
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:42
          • 藍花ちゃん思い出してダメだわ
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:44
          • ※2

            遅かった……。確かにコメ数0だったのに…取れたと思ったのに…。

            1ゲトしたと思ってコメントした分、先を越されてた悔しさと、1してないのに1ゲト宣言した恥ずかしさに耐えなきゃならない。あたし達1ゲ少女ってそういう仕組みだったんだね…。

            あたしってほんとバカ……。
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:46
          • ※4
            1分以内とかかと思ったら9分も遅れてんじゃねえかwwww
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 20:54
          • ※4
            よくあることだキニスンナよ
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 21:47
          • 米4
            1ゲト逃しは悲しいもんな
            いいよ、一緒にいてやるよ、さやか
          • 8. 以下、VIPにかわりましてQBがお送りします
          • 2012年12月26日 21:56
          • ※4
            やがて荒らしになる君達のことは
            1ゲ少女と呼ぶべきだよね
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 22:20
          • ※4

            1ゲトなら1ゲトってだけとっととコメントしとけよ。何コメントするか考えてて逃したならな。
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月26日 23:40
          • ※4
            フルボッコすぎてわろた
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 00:58
          • これ最後まで耐えきって読めた奴いる?
            あすみちゃんメインだっていうから40Pぐらいまでは我慢して読んでたけどそれ以降劇的に面白くなったりあっと驚く展開が用意されてたりする?
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 03:36
          • 最後まで読んだ
            ここぞという場面での脱字、誤用に苦しんだ

            文章は稚拙と言わざるを得ない
            個々の思考とかを細かく語りたかったんだろうけど
            感情表現がスベってるように感じた
            あらすじは悪くないのだけど気になる点が多すぎる

            敢えて言うなら知久さんの語る思想は良かった
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 04:48
          • ※4してるひとらもマギカネタ使ってると思ったけどそうでも無かった
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 09:24
          • ※4
            ソウルキーボードが荒らしを生むなら
            みんなROMるしかないじゃない!
            あなたも!私もッ!
          • 15. 以下、VIPにかわりましてHOMUHOMUがお送りします
          • 2012年12月27日 10:33
          • ※14

            大丈夫ですよ巴さん
            いっしょに荒プルギスの夜を倒しましょう


            荒らしの魔女オクタヴィア

            その性質はほんとバカ
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 16:44
          • ※4

            じゃあ行こうか
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 18:11
          • ここの管理人はあすみん推しなのか
            正直この手のSSは一本まとめりゃいいのに
            実際※してる奴で最後まで読んでる奴なんて一人いればいい方だろ
            俺?読むわけ無いじゃんオリキャラモノなんて
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 19:17
          • 言うまでもないけどなげぇ。

            ※16

            1ゲを求めた因果が荒らしを生む前に
            私達1ゲ少女は消えるしかない。

            1ゲトは早いもの勝ち。美樹さんみたいになったらそれまで。

            いいものじゃないわよ…1ゲ少女なんて……。
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 20:32
          • 4 かなり面白かった
            新キャラ加わるといいな
            後編は少しダレたけど、泣けたところも合ったし
            最後は良かった

            まあ他の話で気になる点は残ったけど、本筋は悪くない
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月27日 23:29
          • 長すぎ
            途中でやめた
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月28日 00:09
          • 長いだけじゃなくて読むのが苦痛なんだよな
            ラノベばっか読んでる中学生が初めて書いた小説って感じ
            とりあえず中学生が小学生に向かって「若く見えて羨ましい」とか言わねーから
          • 22. ニンジャクライスト・マドカス
          • 2012年12月29日 03:37
          • ※4
            もういい…さやかちゃんが幸せになる必要なんて、無い!
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月29日 18:43
          • ※22

            そういう事だから
            今すぐ楽にしてあげるわ
            美樹さやか…!
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月01日 00:12
          • 4 そりゃまあ長かろう。4ヶ月がかりで書いてるみたいだし。

            親戚や父親を根は悪くない人間にしているのは難だけど、
            あの断片的な設定をこれだけのストーリーに仕立て上げて
            いるのには感心したよ。悪くない出来だった。
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月01日 04:12
          • マミさんマジ聖母
          • 26. 以下、杏子にかわりまして、Opheliaがお送りします
          • 2013年01月04日 19:24
          • 米23
            アンタにさやかがやられた…
            さやか…アンタの言ってた事が分かったよ。これが、本当の絶望…

            あたしにはもう何もない、何もないんだ!呪ってやる!
            あたしはこのサイトのすべてを呪ってやる!
            バッカヤロォオオオオッ!

            武旦の魔女 オフィーリア
            その性質は自棄
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月08日 01:16
          • 28. 以下、VIPにかわりまして巴マミがお送りします
          • 2013年01月08日 22:09
          • ※26

            佐倉さあああああああん!!

            佐倉さんも美樹さんも魔女になって、美樹さんは鹿目さんと暁美さんに見捨てられて…

            これじゃほむまどエンドしかないじゃない!!!
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月15日 07:34
          • 文章下手くそだな~
            誤用が多すぎる
            でも構成は悪くなかった
            これからも頑張れ
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年02月19日 21:51
          • あすみんいっそ新作映画に出ちゃえよ。
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月07日 00:57
          • ※30
            同意。釣りキャラなのがもったいないほど。

            ※4
            ダサすぎワロタw
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年06月06日 17:43
          • きゅうべえ何か違う
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年07月12日 04:13
          • 感情ないといいつつ明らかに感情があるQBはともかく、と無理がない範囲で正気に戻るほむらと改心するあすみの描写は悪くなかった
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月14日 16:44
          • 4 色々突っ込み所はあるが面白かった
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年03月10日 13:59
          • 誤字脱字、間違った語句、表現多過ぎ。
            雑談はまとめるときに除外すべき。
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年03月10日 14:07
          • もう無理、読むに堪えない。
            今まで台本形式馬鹿にしてたが、下手な文章よりよっぽどましだったな。
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年12月12日 01:05
          • 「まどかっぽいほむら」って意味であのほむらはリボほむならぬ「まどほむ」だね


            ほむらさん的には黒歴史だねw
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年09月03日 18:56
          • 3 なんでこの作者の文章はこんなにも読みづらいんだろう・・・
            地の文の人称が判りづらいからかな?

            でも面白かった 1919810点
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年09月04日 22:02
          • あすみんの救われエンドは嬉しかった。
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年05月19日 15:14
          • 面白かったよ乙。まあ、台詞での感情表現が多すぎて冗長になったり、QBが感情を見せたり、幻覚魔法に加え視点の切り替えが多すぎてところどころ場面を追うのが難しいところもあったが全体的によくできていたと思う。特にあすみは設定だけの架空キャラだけど祈りが呪いそのものであったりと設定からかなりトリッキーだが、あすみんをハッピーエンドにするとしたらいい落としどころだったと思う。もうちょっと台詞を短くまとめられればもっと読みやすいと思うよ、乙。
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年12月02日 01:14
          • あすみんが無双してるところはちょっとオリキャラの俺TUEEEEに通じるものがあって読んでてキツかったけどあすみんの魔法が暴走し始めたところからは面白かったな

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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