シンジ「僕と綾波とアスカで遊園地ですか?」

1: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2012/11/29(木) 19:26:58.47 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「こっちとしても早くはっきりして欲しいというか」

シンジ「はっきり、ですか?」

ミサト「あ、べ、別にそれで賭けをしてる訳じゃないのよ? 流石にそんなこと、ねぇ」

シンジ「はぁ」


シンジ「遊園地、かぁ」

ミサト「行ったことはある……のよね?」

シンジ「はい。まぁ、一応」

ミサト「……レイは多分、行くの初めてだと思うから」

シンジ「そうなんですか?」

ミサト「ちゃんとエスコートしてあげるのよ」

シンジ「やれるだけやってみます」



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:29:16.64 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「……あ、でも、それならもっと大勢で行った方が」

ミサト「それは駄目!」

シンジ「!」ビクッ


ミサト「あ、えーと、ほら。今回はいつもエヴァに乗ってる三人を労うってことだから」

シンジ「なるほど」

ミサト「だから、ね。三人だけで楽しんでらっしゃい」

シンジ「……ミサトさん」

ミサト「な、なに?」


シンジ「わざわざ、ありがとうございます!」ペコ

ミサト(う……ま、眩しいくらいに純粋な瞳)



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:30:54.07 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「そうですよね……僕も前からはっきりさせないとって思ってたんです」

ミサト「そ、そうなの!?」

シンジ「はい。僕なんかじゃ駄目だと思ってたけど、せっかくの機会だし、頑張ってみます」

ミサト「シンジ君……男前になったわね」



シンジ「必ず、アスカと綾波を仲良くさせてみせます!!」

ミサト「うんうん……うん?」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:34:02.60 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「明日の遊園地、楽しみだね」

アスカ「遊園地なんて、別に楽しみでもなんでもないわよ」

シンジ「えー、好きじゃないの? 遊園地?」

アスカ「あんなのはアンタみたいなガキが楽しむ場所よ」

シンジ「……僕たちはまだ、子供じゃないか」

アスカ「アンタと私を一緒にしないで。私はもう立派なレディーなの」


シンジ「レディーってなんだよ」

アスカ「鼻で笑うな!」



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:36:45.01 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……それに」

シンジ「なに?」

アスカ「私のこと、ほんとは邪魔なんでしょ」

シンジ「邪魔って、なんでそんな話になるのさ」

アスカ「……エコヒイキがいるから」

シンジ「綾波? 綾波がいると、どうしてアスカが邪魔になるんだよ」

アスカ「……」


シンジ「……アスカがいないと、なんの意味もないじゃないか」

アスカ「……!」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:39:02.35 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……ふーん」

シンジ「?」

アスカ「バカシンジは、私がいないと、困るんだ」

シンジ「そりゃそうだよ」

アスカ「……嫌なんだ?」

シンジ「嫌だよ?」


アスカ「……あっそ」クルッ

シンジ「どうしたんだよ」

アスカ「こっち見んな!」ゲシ

シンジ「いた! 酷いよアスカ!」



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:41:19.26 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……しょうがないから」

シンジ「え?」

アスカ「しょうがないから、明日はアンタのレベルに合わせて楽しんであげるわよ」

シンジ「あ、うん、楽しみだね!」

アスカ「……そうね」


シンジ「明日は頑張らないとなぁ」

アスカ「頑張るって、なにを?」

シンジ「ん……秘密」


アスカ「……?」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:44:23.89 ID:JaZ3zFmZP

綾波「遊園地」

綾波「……」

綾波「……」


綾波「初めての、場所」

綾波「初めての、交流」

綾波「……」

綾波「……」


綾波「碇君」

綾波「それと」

綾波「……」


綾波「…………」



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:46:14.47 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「……」

アスカ「……」


シンジ「綾波、遅いね」

アスカ「この私を待たせるなんて、いい度胸してるわ」

シンジ「心配だな」

アスカ「お人よしが過ぎるわよ。きたら早々にビンタかましてやろうかしら」


シンジ「や、やめなよ!」

アスカ「冗談に決まってるでしょ! 私をそこまで野蛮だと思ってるわけ?」

シンジ「違うけど……」

アスカ「ちっ」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:48:11.94 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「……」

アスカ「……」


シンジ「あっ」

アスカ「なによ」

シンジ「綾波」




綾波「…………」テクテク



シンジ「よかった。なんともないみたいだ」

アスカ「そりゃそうよ」



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:50:42.86 ID:JaZ3zFmZP

綾波「……遅れて、ごめんなさい」

シンジ「ううん、気にしないで」

アスカ「ちょっとは気にしなさいよ」

綾波「……」


シンジ「アスカ!」

アスカ「なんでよ」

シンジ「五分くらい、いいじゃないか」

アスカ「私たちは15分前に来たから、計20分も待ってるのよ!」


綾波「……ごめんなさい」

アスカ「うんうん。遅れたら誠心誠意を込めて謝る。これが正しいマナーってやつよ」

シンジ「……そこでこっちが非難するのはよくないよ……」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:52:26.38 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「……でも綾波……私服、なんだね」

綾波「……?」

アスカ「あたり前でしょ」

シンジ「そうだけど、見慣れてないから」


綾波「……どこか、おかしい?」

シンジ「いや、どこもおかしくないよ!」

綾波「そう」


シンジ「その、むしろ……」

綾波「……」

シンジ「似合ってると、思う」

綾波「……そう」


アスカ「…………」



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:54:44.27 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「ちょっと」

シンジ「なに?」

アスカ「なにそれ」

シンジ「なにって」


アスカ「私には、なにも言わなかったじゃない」

シンジ「……?」

アスカ「服よ、服! 私にはコメント一つくれないわけ!?」

シンジ「え、ええー」


綾波「……」



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:56:15.02 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「だ、だって、僕たち一緒に来たじゃないか!」

アスカ「だったら、初めに見た時に言いなさいよ!」

シンジ「初めにって……部屋から出た時には、もうその格好だっただろ?」

アスカ「その時に言えば良かったじゃない」

シンジ「朝からいきなりそんなこと、言えないよ!」

アスカ「どうして」

シンジ「どうしてって、それは……」

アスカ「……」

シンジ「……」

綾波「……」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 19:58:16.41 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「もういいわ。エコヒイキは可愛いと思ったけど、私はシンジ様の好みじゃなかったってことでしょ?」

シンジ「そ、そういうことじゃないよ!」

アスカ「じゃあ、なによ」

シンジ「分かったよ……言えばいいんだろ、言えば……」

綾波「……」


アスカ「……ほら」

シンジ「……あ、あの」

アスカ「……」

シンジ「……その……だから……」

アスカ「……」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:00:23.83 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「きょ、今日のアスカは……」

アスカ「……」

シンジ「か、可愛いと、思う……思い、ます」

アスカ「……」


シンジ「……」

アスカ「……ふぅん」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:02:24.39 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……!」ポカ

シンジ「いたっ、なんでちゃんと言ったのに叩くんだよ!」

アスカ「無駄に緊張しすぎなのよ! アンタのせいで私まで―――」

シンジ「なんだよ!」

アスカ「……っ!!」ポカ

シンジ「い、いたっ! やめてよアスカ!!」



アスカ「……バカシンジなんて放っておいて、いくわよ!」

綾波「……ええ」


シンジ「ま、まってよ! アスカ! 綾波!」



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:04:42.39 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「ファーストコンタクトは、アスカの勝利ね」

リツコ「シンジ君の予想外の発言を逆手にとった、見事な作戦だったわね」

加持「いやはや、デートの初っ端から女性の服を褒めにかかるとは、シンジ君は悪い男になりそうだ」


ミサト「……」

加持「なんだよ、葛城」

ミサト「アンタだって、昔は嫌味ったらしいくらい、人の服装を褒めちぎってきたくせに」

加持「まぁ、俺は悪い男だからな」

ミサト「うげっ」

加持「御所望とあらば、今の葛城の服装も、事細かに褒めてやるぞ」

ミサト「かんべんして」

加持「服装の下なら、尚更だ」

ミサト「……さいってー」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:07:19.33 ID:JaZ3zFmZP

リツコ「ちょっと、イチャついてるんじゃないわよ」

ミサト「いちゃついてないわよ!」

リツコ「……そう言ってるけど?」

加持「素直になれないとこが可愛いだろ?」


ミサト「……もういいでしょ! それより本題!」

リツコ「そうね。あなた達は決まっているの?」

加持「うーん、悩むところだねぇ」

ミサト「んー……」

リツコ「保護者として、一番近くにいるでしょ。ミサトから決めなさいよ」

ミサト「むむむ」



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:17:17.68 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「じゃあ……そうね、レイかしら」

リツコ「あら、意外」

ミサト「そう?」

加持「近くにいて、二人の親密さを見ていれば、アスカとシンジ君が結ばれる展開を予想しそうなものだが」


ミサト「うーん、二人はちょっち近すぎるのよね」

加持「へぇ」

ミサト「いつも傍にいる分、かえって進展を望まないというか、平行線のままでいそうというか」

リツコ「ふーん」

ミサト「相性は悪くないんだけどね。まぁ、恋愛にはちょっとの遠慮も必要ってことでレイに賭けるわ」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:19:54.06 ID:JaZ3zFmZP

加持「リッちゃんは?」

リツコ「私はもちろんアスカよ」

加持「手堅くいくねぇ」

リツコ「勝てる勝負にしか乗らない性質なの」


ミサト「ま、シンジ君はちょっと弱気なところがあるから、アスカみたいにぐいぐい引っ張ってもらえた方がいいかもね」

加持「ただ、アスカは恋愛に関してはシンジ君並に弱気だぞ」

ミサト「……む、たしかに」

加持「むしろ、より酷いといっても過言ではない」

ミサト「うーん……」

加持「倍率は大体同じと考えていいだろうな」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:21:28.63 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「で、そういうアンタはどうするのよ?」

リツコ「どっちも駄目というのは無しよ。つまらないから」

加持「……いや、どっちも、でいかせてもらうよ」

リツコ「ちょっと」

加持「勘違いするなよ。どっちも手に入れる……ハーレムエンドに俺はBETだ」


ミサト「……うわぁ」

リツコ「本気?」

加持「当たり前だろ。男はいつだってハーレムを望んでいるものさ」

ミサト「……シンジ君はそんなこと、考えてないでしょ」

加持「ハーレムに望まれる男というのもまた、いるものさ」



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:24:10.08 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「ま、アンタがそうじゃないのだけは確かね」

加持「ああ、俺は葛城一筋だからな」

ミサト「……」

加持「惚れ直したか?」


ミサト「…………問題はシンジ君が恋愛より、女同士で友情を結ぶことを期待していることだけど」

リツコ(話を逸らしたわね)

加持「女性陣が多少、強引に来てくれることを望もう」

ミサト「レイ~……頑張りなさいよぉ!」


加持「どのみち、苦労するのはシンジ君だろうが……頑張れ、若人」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:26:43.67 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「ふんふんふふ~ん♪」

シンジ「……アスカ」

アスカ「なにのろっかなー♪」

シンジ「……アスカ」

アスカ「どれのろっかなー♪」

シンジ「……アスカ!!」


アスカ「なによ」

シンジ「歩くのが早いよ!」

アスカ「アンタたちが遅いんでしょ!」

シンジ「アスカが早いんだよ!」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:28:51.90 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「こんなにアトラクションがあるのに、時間は限られているのよ!?  急がないと!!」

シンジ「……なにがレディーだよ」ボソッ

アスカ「なにか言った?」

シンジ「別に、なにも」


綾波「……」

シンジ「綾波? 大丈夫、疲れてない?」

綾波「……ええ、平気よ」

シンジ「そっか、アスカがなんか張り切ってるからさ、ついていかないと」

綾波「……」



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:31:00.11 ID:JaZ3zFmZP

綾波「楽しそうね」

シンジ「え?」

綾波「……」

シンジ「アスカのこと?」

綾波「……」コク


シンジ「そうだね。あれでもうちょっと、こっちのことも気にしてくれれば文句ないんだけど」

綾波「私も、ああいう風になれるかしら」

シンジ「なりたいの?」

綾波「……分からないわ」


シンジ「……みんなでいれば、分かるよ。だからさ、行こう」

綾波「……ええ」



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:33:59.90 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「さーて、なにから乗ろうかしら」

シンジ「僕はなんでもいいよ」

アスカ「うわ、他人任せな男って嫌ね」

シンジ「えー……」


綾波「……」

アスカ「……エコヒイキは、なんか乗りたいもの、あるの?」

綾波「……」

アスカ「ま、アンタにそんなもの、あるわけないでしょうけど」

綾波「……」


シンジ「あ、アスカ!」

アスカ「なによ」

綾波「……」



53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:35:50.16 ID:JaZ3zFmZP

綾波「……あれ」ピッ


シンジ「えっ」

アスカ「あれ!?」

綾波「……」コクリ


シンジ「あれ……って、ジェットコースターだよ?」

アスカ「いきなり遊園地の王様に行くとか、せっかちね」

綾波「……」

アスカ「でも、その判断、嫌いじゃないわ。行きましょう、ジェットコースター!」

シンジ「いいのかな……」


綾波「……」



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:37:45.17 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「二人ずつ並ぶみたいね」

アスカ「じゃ、エコヒイキは余りね」

シンジ「え、なんでだよ」

アスカ「なんでって、そうじゃないと」

シンジ「……?」

アスカ「そ、そうじゃないと……だ、だって、私、エコヒイキの隣なんて嫌だもの!」

シンジ「な、なんてこと言うんだよ!」

アスカ「知らないわよ!」


シンジ「ごめんね、綾波。アスカって、ちょっと変だから」

アスカ「んなっ」

綾波「……」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:40:37.44 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……まぁ、別に? どーしてもって言うなら、アンタの隣でもいいけど……」

綾波「……」

アスカ「ど、どうなのよ」


綾波「……私も」

アスカ「ん?」

綾波「私も、あなたの隣、嫌だわ」

アスカ「……はぁ!?」


綾波「……」

アスカ「こ、この女、言わせておけば!!」

シンジ「わ、わぁ! 暴力は駄目だよ!! アスカ!!」ガシ



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:43:00.18 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「アスカもそうだけど、どうして綾波までそんなこと言うんだよ!!」

綾波「……」

シンジ「綾波!」

綾波「……」


アスカ「あっ、この女、まさか」

シンジ「どうしたの、アスカ?」

綾波「……」


アスカ「……ふーん、そういうこと」

シンジ「なんだよ、なにか分かったなら教えてよ」



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:46:32.74 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「バカシンジ」

シンジ「なに?」

アスカ「誰と隣になるのか、アンタが決めなさいよ」

シンジ「えっ」


アスカ「エコヒイキも……それで文句ないでしょ」

綾波「……」コクリ


シンジ「えーっと……」

アスカ「早く」

シンジ「そ、それじゃ―――」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:48:43.38 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……で、どうしてこういう結果になるのかしら?」

綾波「……」

アスカ「また20分も待たされるし……」

綾波「……」

アスカ「バカシンジは、いつの間にかはぐれちゃったし……」

綾波「……」

アスカ「アトラクションに乗るだけならまだしも、待ち時間をアンタと二人きりとか、勘弁してほしいわ」

綾波「……」

アスカ「ここまで言われても無反応だし……」

綾波「……」



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:51:12.61 ID:JaZ3zFmZP

―――キャー!!


―――ウワァアアアアアアア!!



アスカ「上はなかなか盛り上がってるわね」

綾波「……あれに」

アスカ「あん?」

綾波「あれに私たちは、乗るのね」

アスカ「そうよ。あんたが乗りたがったんじゃない」

綾波「……」


アスカ「……アンタ、もしかしてビビってるの?」

綾波「……ビビってないわ」



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:53:20.75 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「ウソでしょ」

綾波「……嘘ではないわ」

アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「知ってる? ジェットコースターって、けっこう脱輪するのよ」

綾波「……」

アスカ「月に一回は死亡事故起こしてるんだって」

綾波「……」

アスカ「それでも乗りたがるんだから、人間って不思議よね」

綾波「……やめて」



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:55:46.63 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「なによ」

綾波「嘘、言わないで」

アスカ「ウソじゃないもの」

綾波「……」

アスカ「もしかしたら、私たちが落ちる番、引いちゃうかもね」

綾波「……」

アスカ「あ、そろそろ私たちの番よ」

綾波「……」

アスカ「神様に祈っときなさいよ、死なずに済みますようにって」

綾波「……」



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 20:57:31.38 ID:JaZ3zFmZP

ピピー


―――『発進します』



アスカ「一番前に乗れるなんて、ラッキーだったわね」

綾波「……」

アスカ「この落下前に登ってる感じが、天国へのカウントダウンって感じで心地いいのよねぇ」

綾波「……」


アスカ「ほら、見てよ、この眺め」

綾波「……」

アスカ「…………最期の景色には、ふさわしいでしょ?」

綾波「……」



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:00:00.53 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「あ、そろそろ落下するわよ」

綾波「……」

アスカ「さぁーん、にぃーっ、いーち!」

綾波「……」ギュッ


アスカ「ちょ、ちょっと、私の服、掴まないでよ!」

綾波「……」

アスカ「……ぐえっ、首、しま―――」



―――キャー!!

―――ウワァアアアアア!!



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:02:09.03 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「いやぁ、楽しかったね、ジェットコースター!」

アスカ「……」

綾波「……」


シンジ「二人は、どうだった?」

アスカ「……死ぬかと思ったわよ」

シンジ「……? アスカって、絶叫系とか大丈夫なのかと思ってた」

アスカ「絶叫系っていうか、昇天系っていうか……」

シンジ「なにそれ」

アスカ「……トラウマになったら、アンタたちのせいだからね」


シンジ「なにかあったの?」

綾波「いいえ」



86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:04:33.65 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「……ちょっと」

リツコ「なによ」

ミサト「なんだか、勝利者無しのルートを突き進んでいる気がするんだけど」

リツコ「そうねぇ」


加持「肝心のシンジ君があの調子だからね、どうしようもないよ」

ミサト「……NERVの力で、どうにかならないの?」

加持「盗聴と盗撮が限界」

リツコ「それだって、見つかったら懲罰ものよ」


ミサト「くっ……私たちって、なんて無力なの」



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:06:22.27 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「かくなる上は!」

リツコ「なにするの?」

ミサト「電話よ! シンジ君に電話して、作戦内容の変更を指示して―――」


加持「それは、タブーだろ? 葛城?」ヒョイッ

ミサト「ちょ、ちょっと、私の携帯、返しなさいよ!」

加持「子供の恋愛に、大人が首を突っ込むなんて真似、一番やっちゃいけないな」

ミサト「む、むぅ」


加持「俺たちは下衆らしく、黙ってニヤニヤしながら見守ってればいいんだよ」

リツコ「結末は、神のみぞ知るってことね」

ミサト「……分かったわよ」



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:09:01.85 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「ふぅー、食べた食べた」

シンジ「アスカは本当によく食べるね」

アスカ「エコヒイキが食べなさすぎなだけー」


綾波「……」

シンジ「綾波、本当にそれだけでいいの?」

綾波「ええ」

シンジ「そっか」


アスカ「まったく……よく食べ、よく遊ぶ。子供ならそうしなさいよ」

シンジ「アスカって……」

アスカ「ん?」

シンジ「……いや、なんでもないよ」



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:10:54.62 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「この後、どうする?」

シンジ「パンフレット、見ながら決めよう。綾波はなにか乗りたいものある?」

綾波「……これ」ピッ

アスカ「これ、って」

シンジ「メリーゴーランド?」

綾波「……」コクリ


アスカ「さすがにこれは子供っぽすぎでしょ」

シンジ「あ、あはは」

アスカ「……ていうかさ、ジェットコースター以来、こういうメルヘン系にばっか乗ってない?」

綾波「……」



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:13:10.14 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「あんた、まだビビってるの?」

綾波「ビビってないわ」

アスカ「そりゃそうよ。殺されかけた私の方がビビってるわよ」

綾波「……」


アスカ「ね、シンジ。エコヒイキが乗れないっていうなら、私たち二人で絶叫系回りましょうよ」

シンジ「え、それは綾波に悪いよ」

アスカ「だって、乗れないっていうならしょうがないじゃない」

綾波「……」

アスカ「それに絶叫系にちょびっとしか乗らないなんて、遊園地に来た意味ないじゃない」

綾波「……」



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:15:49.51 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「うーん……」

綾波「……」

シンジ「綾波……絶叫系、駄目?」

綾波「……」

アスカ「……なんとか言いなさいよ」

綾波「……生命維持に、異常をきたすわ」


アスカ「……」

シンジ「……」

綾波「……」

シンジ「じゃ、じゃあ、やめとこうか」

アスカ「ま、まぁ、しょうがないわね」



104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:18:20.28 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「でも、メリーゴーランドなんて嫌よ」

シンジ「……あ、じゃあ、こういうのはどう?」


アスカ「お化け」

綾波「屋敷」


シンジ「ここから近いしさ。ある意味、絶叫系って言ってもいいよね」

綾波「……」

シンジ「綾波も、これなら大丈夫でしょ?」

綾波「ええ」

シンジ「よかった、アスカもこれでいいでしょ?」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:20:27.84 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「嫌よ」

シンジ「え」


アスカ「……」

シンジ「……」

綾波「……」


シンジ「ど、どうして」

アスカ「お化け屋敷なんて幼稚なもので、どうやって楽しめっていうの?」

シンジ「どうやってって言われても」

アスカ「暗闇で仮装した人間がわぁわぁ言ってるだけでしょ。アトラクションでもなんでもないわ」

シンジ「そんなぁ」



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:21:36.69 ID:m8KnxL760

アスカかわいい



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:22:52.95 ID:JaZ3zFmZP

綾波「怖いのね」

アスカ「……あ?」

綾波「……」

アスカ「喧嘩売ってんの!? この根暗メルヘン!!」


シンジ「だ、だからやめてよ、アスカ!」

アスカ「だって、こいつが、今!」

シンジ「綾波の希望と、アスカの希望が合致したんだから、もうこれでいいじゃないか!」


アスカ「う……」

綾波「……」



112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:25:27.20 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……シンジは」

シンジ「え?」

アスカ「バカシンジも、一緒に行くんでしょ?」

シンジ「ああ、僕は行かないよ」


アスカ「なんでよ!!」

シンジ「だって、ほら、パンフのここに書いてあるじゃないか!」

アスカ「……二人ずつの、ペア、で」

シンジ「うん、僕は出口で待ってるからさ。二人で行ってきなよ」


アスカ「……」

綾波「……」



113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:27:23.96 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「なんで、またアンタと二人っきりにならなきゃいけないのよ」

綾波「知らないわ」

アスカ「それも、こんな真っ暗な……」

綾波「……」

アスカ「こんな……」

綾波「……」


アスカ「ちょ、ちょっと! 歩くのが早いわよ!」

綾波「あなたが遅いのよ」

アスカ「こ、こんのー……!」

綾波「……」



114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:29:25.36 ID:JaZ3zFmZP

ヒュー……


ドロドロドロドロ!!


アスカ「ひっ」ギュッ

綾波「引っ張らないで」

アスカ「引っ張ってないわよ!」

綾波「離して」

アスカ「…………」パッ


綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:31:49.21 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「い、言っとくけど、別に幽霊とかそういうのが嫌なんじゃないのよ」

綾波「……」

アスカ「こう……暗い所で、突然大きな音がしたら、誰だってちょっとビクつくでしょ」

綾波「……」

アスカ「だから、そう、人間として当然の反応をしているだけなのよ、私は!」

綾波「……」

アスカ「ま、お人形みたいなアンタには、わかんないでしょうけど……?」

綾波「……」



綾波「―――!!」パンッ

アスカ「!」ビクッ



118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:35:04.69 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……ちょっと」

綾波「なに」

アスカ「なんで急に手を叩いたのよ!」

綾波「……蚊がいたの」

アスカ「嘘つきなさいよ!」

綾波「嘘ではないわ」

アスカ「この嘘吐き根暗メルヘン!! 性根が腐ってるんじゃないの!!」

綾波「……」



綾波「―――!!」パンッ

アスカ「!」ビクッ



120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:38:08.46 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」


アスカ「……バカシンジに、このこと言ったら、ぶっとばすわよ」

綾波「……」


アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」ギュッ

綾波「……」



121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:40:47.10 ID:JaZ3zFmZP

ミサト「楽しそうねぇ」

加持「行くか? 遊園地」

ミサト「遊園地っていう歳じゃないでしょうに」

加持「大人が童心に帰る場所でもあるさ」

ミサト「ものは言いようねぇ」


加持「りっちゃんは、どうだい、遊園地?」

リツコ「私もパスね。本でも読んでいる方がまだ楽しめるわ」

加持「残念」


ミサト「おほほ。シンジ君と違ってアンタには行く相手もいないのね」

加持「こうして一緒にいるだけで満足するのがいけないのかもな」

ミサト「……ど、どーしてアンタはそういう臭い台詞を次から次へと!」



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:42:29.17 ID:JaZ3zFmZP

リツコ「諦めなさい。口では加持君には勝てないわよ」

ミサト「いいえ、口喧嘩では負けたことなかったもの」

リツコ「謝ることを貴方がしなかっただけではなくて?」

ミサト「うっ……」


加持「俺が悪かった。愛してるよ……って言うと、すぐに萎れるんだよ、葛城は」

ミサト「変なこと言わないでよ!」

リツコ「いい加減、よりを戻したら?」

ミサト「死んでも、嫌!」


リツコ(……さて、シンジ君たちとどっちが早いかしらね)



124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:45:51.27 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「陽が傾いて来たわね」

シンジ「時間的に、次で最後かな」

アスカ「どれに乗ろうかしら……やっぱりジェットコースターにもう一度?」

綾波「……」

アスカ「な、なによ、文句でもあるの」

綾波「別にないわ」


シンジ「待ってよ、アスカ。最後に乗るものは決まってるんだ」

アスカ「どれ?」

シンジ「観覧車」


アスカ「観覧車ぁ~?」

綾波「……」



127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:48:17.73 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「あれ、退屈じゃない」

シンジ「うーん、でもここの観覧車は景色が良いらしいんだ。夕日と相まって、すごく綺麗だと思うよ」

アスカ「えー……」


綾波「私は、良いと思うわ、観覧車」

シンジ「ほんと?」

綾波「ええ、碇君がオススメしてくれるなら」

シンジ「ありがとう、綾波」


アスカ「……ちっ、じゃあ私もそれでいいわよ」

シンジ「そう?」

アスカ「ただし! ……退屈させたら、承知しないからね!」

シンジ「それはアスカ次第かもしれないけど」

アスカ「……?」



128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:50:38.79 ID:JaZ3zFmZP

シンジ「……次が僕たちの番だね」

アスカ「……そういえば、席ってどうするの」

シンジ「席?」

アスカ「だって、片方に全員が座るのって、変じゃない」

シンジ「好きに座ればいいと思うけど」

アスカ「だ、だから! 好きにしたら荒れるでしょ!」

シンジ「荒れる?」


アスカ「それは……。……エコヒイキも、なんとか言いなさいよ」

綾波「……私は、好きな方に座るわ」

アスカ「だから、それをはっきり言えって言ってんでしょ!」

シンジ「なに言ってんだよ、アスカ……」



129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:52:46.13 ID:JaZ3zFmZP

―――『お客様ー? どうぞこちらへー』


シンジ「ほらほら、アスカ、先に入って」グイグイ

アスカ「あ、お、押さないでよ」


シンジ「綾波も、入って、入って」

綾波「ええ」


シンジ「ふぅ……」

シンジ「……」

シンジ「じゃ、閉めちゃってください」


アスカ「……は!?」

綾波「……」



133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:55:40.22 ID:JaZ3zFmZP

―――『い、いいんですか?』

シンジ「はい、お願いします」


アスカ「ちょ、ちょっと、バカシンジ!」

綾波「……」


シンジ「早く! 出てきちゃうから!」

―――『は、はい、では失礼します』ガラガラ


アスカ「あああ!」

綾波「……」


シンジ「じゃ、二人とも。ごゆっくりー」フリフリ

アスカ「呑気に手ぇ、振ってんじゃないわよ!!」

綾波「……」



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 21:58:35.45 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……なんで、こんなことに」

綾波「……」

アスカ「あのバカ、いったい何を考えてんのよ……」

綾波「……」

アスカ「この観覧車、一周何分よ……」

綾波「……」

アスカ「アンタも、なんとか言いなさいよ」

綾波「……」

アスカ「はぁーあ……」

綾波「……」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:00:44.10 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……わっ」

綾波「なに」

アスカ「外、綺麗だわ」

綾波「……」

アスカ「全部が赤とオレンジで、2号機みたい」

綾波「……」

アスカ「ま、バカシンジの言うことも、たまには間違いじゃないってことね」

綾波「……」



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:02:55.90 ID:JaZ3zFmZP

綾波「……綺麗」

アスカ「あん」

綾波「綺麗って、なに」

アスカ「はぁ?」

綾波「楽しいって、なに」

アスカ「……」


綾波「あなたが感じていた、その気持ち」

アスカ「……」

綾波「私には、分からないの」

アスカ「……」

綾波「……なぜ?」

アスカ「……」



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:04:26.99 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「人の気持ちなんて、私には分からないわよ」

綾波「……」

アスカ「誰がどう感じるのかなんて、そんなの人それぞれでしょ」

綾波「……そう」


アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」


アスカ「…………ああっ、もう!!」クシャクシャ

綾波「……?」



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:06:12.50 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「アンタさぁ、今日一日、どうだったのよ」

綾波「……」

アスカ「楽しいとか分からなくても、『また来たいな』とか『もうちょっとここにいたいな』とか思わなかったの?」

綾波「……」

アスカ「バカシンジがいて……まぁ、ついでに私もいて」

綾波「……」

アスカ「それで、一人でいる時よりも、安心するっていうか……」

綾波「……」

アスカ「とにかく! そういう感覚に、ならなかったの!?」

綾波「……」



145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:07:42.52 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「景色だって同じよ」

綾波「……」

アスカ「『またいつか見れたらいいな』とか『ずっと見れていたらいいな』」

綾波「……」

アスカ「そういうのが、綺麗とか楽しいってことよ」

綾波「……」

アスカ「…………なにも感じないなんてこと、あるわけないでしょ」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」



146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:08:37.18 ID:JaZ3zFmZP

綾波「……そう」

アスカ「……」

綾波「これが、綺麗とか、楽しいってことなのね」

アスカ「……」

綾波「あなたは、ずっとこれを感じていたのね」

アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:09:54.69 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……一つ、聞きたいんだけど」

綾波「なに」

アスカ「……アンタってさぁ、バカシンジのこと、どう思ってるの?」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……よく、わからないわ」

アスカ「言うと思った」

綾波「……」

アスカ「……」



153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:12:17.32 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「特別?」

綾波「……」

アスカ「他の人よりも、一緒にいて欲しい?」

綾波「……」

アスカ「他の誰よりも、隣にいたい?」

綾波「……」

アスカ「……」


綾波「…………そう、碇君は、私にとって、特別」

アスカ「……ふぅん」

綾波「……」

アスカ「……」



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:13:59.12 ID:JaZ3zFmZP

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」


綾波「あなたにとっても、碇君は、特別?」

アスカ「……はぁ?」

綾波「……」

アスカ「あんなやつ、特別な訳ないでしょ」

綾波「……」

アスカ「私にとっては、オモチャね。オモチャ」

綾波「……」



160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:16:22.44 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……でも、ま、便利ではあるし……」

綾波「……」

アスカ「遠慮しないでいいし、良いところ、全くないわけじゃないし……」

綾波「……」


アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」


アスカ「…………だから、あげないわよ」

綾波「……」



167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:19:08.24 ID:JaZ3zFmZP

綾波「いま、なんて言ったの?」

アスカ「なにも言ってないわよ」

綾波「そう」

アスカ「ええ」


綾波「……」

アスカ「……」


綾波「…………碇君は物じゃないわ」

アスカ「聞こえてるじゃない!!」ガタッ


綾波「立つと危ないわ」

アスカ「くっ」ストン



170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:22:24.49 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「はぁ……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」


アスカ「……アンタってさぁ、けっこう頑張ってるわよね」

綾波「……?」

アスカ「自分のこととか、エヴァの訓練とか……」

綾波「……」

アスカ「なにもしてないわけじゃない……」

綾波「……」



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:26:10.24 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「エコヒイキじゃ、ないのよね」

綾波「……」


アスカ「……」

綾波「……」

アスカ「……」

綾波「……」


綾波「……見て」

アスカ「え?」

綾波「下」

アスカ「なによ」

綾波「碇君」



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:27:51.33 ID:JaZ3zFmZP

綾波「手を振っているわ」

アスカ「……そうね」

綾波「……」

アスカ「間抜け面晒しちゃって、まるで主人の帰りを待つ犬ね」

綾波「……でも、私たちを待っているわ」

アスカ「……」

綾波「私たちを、待ってくれている」

アスカ「……そうね」


綾波「……行きましょう」

アスカ「ええ」



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:29:23.01 ID:JaZ3zFmZP

加持「というわけで、俺の勝ちだな」

リツコ「厳密に言うと、違うけれど」

ミサト「ま、ここまでの結果でいうと、認めざるを得ないわね」


加持「まいど」

ミサト「はぁーあ、私のお酒が~」

加持「なんだったら、次の賭けでもするか?」

リツコ「対象はなに?」

加持「もちろん、俺たちの未来を」ギュッ

リツコ「ふふっ」


ミサト「……」ピキッ



176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:30:40.45 ID:JaZ3zFmZP

リツコ「でも駄目よ、全員がミサトに賭けたら、賭けにならないわ」ペシッ

加持「なに言ってるんだよ、俺はハーレムルートに賭けるに決まってるだろ?」


ミサト「……ハーレムルートなんて、あるわけないでしょ!!」


リツコ「あらあら」

加持「そうかそうか、葛城」


ミサト「ん?」

ミサト「……」

ミサト「……!」


ミサト「そーいう意味じゃ、なーい!!」



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:32:16.68 ID:JaZ3zFmZP

エピローグ


シンジ「明日、綾波と遊びに行くんだって?」

アスカ「……レイに聞いたの?」

シンジ「うん」

アスカ「あっそ」


シンジ「……」ニコニコ

アスカ「なに、ニヤニヤしてんのよ」

シンジ「アスカと綾波が仲良くなってくれて、嬉しいんだ」

アスカ「はぁ?」


シンジ「……」ニコニコ

アスカ「……」



179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:34:37.89 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「言っておくけど」

シンジ「なに?」

アスカ「アンタも一緒に来るんだからね」

シンジ「……聞いてないよ!」

アスカ「私、あの子に誘うように言っておいたもの。言葉足らずだったみたいだけれど」

シンジ「ええー……」

アスカ「嫌なの?」

シンジ「嫌じゃないけど……」

アスカ「じゃあ、いいじゃない」

シンジ「いいのかな……」



190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:44:31.98 ID:JaZ3zFmZP

アスカ「……そもそも、アンタがいないと、意味ないし」

シンジ「なんで?」


アスカ「知らない。さっさとご飯、作りなさいよ」

シンジ「え、ちょっと、アスカ」

アスカ「いいから! 口答えしないの!」

シンジ「ちぇっ、なんだよ……」


アスカ「……」

アスカ「……」


アスカ「……~~♪」



191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:49:05.74 ID:JaZ3zFmZP

綾波「初めての場所」

綾波「初めてではない交流」

綾波「……」

綾波「……」


綾波「碇君」

綾波「それと」

綾波「……」

綾波「……」




綾波「……アスカ」



終劇



195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:50:36.34 ID:JaZ3zFmZP

オワタ。
△書いてないな―と思って始めたのに、なんかアスレイものになってもうた(´・ω・`)
あー。



197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:51:18.67 ID:eVzdNNo00

明日も頼むで



199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:52:02.63 ID:36j01e5C0

あさっても頼むで



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:53:06.43 ID:CnoxJl3Z0

明々後日も頼むで!



211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/29(木) 22:59:20.46 ID:kcuGIVfZ0

おつ
また書いてくれよ



転載元
シンジ「僕と綾波とアスカで遊園地ですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354184818/
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         コメント一覧 (23)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 00:54
          • 加持さんイケメンだなぁ そしてこのシンジお人好しというか鈍感というか
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 01:24
          • なんか絵と声が自然に浮かんだ。
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 02:06
          • これは面白い
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 02:20
          • 5 ええやないの。
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 02:47
          • 最近ちょくちょく書いてる人か
            よく次から次へネタが出てくるなあ
            中味もいいし
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 02:54
          • シンジくんもう食べちゃいたい!
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 04:04
          • アスカとレイがここまで仲良いSSは珍しい
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 04:23
          • こういうSSもいいねえ
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 05:34
          • 加持さんのキャラとか、すげーよく理解してる
            この人のSSは秀逸だ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 06:28
          • ぽかぽか出来た、ありがとう
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 08:32
          • なんかほっこりした。
            これ好き。ホント好き。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 09:57
          • 4 さりげなく加持さんが素敵
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 10:20
          • 二人とも可愛いよ
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 10:20
          • ぽかぽかした
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 12:57
          • シンジくんが幸せになるなら何でもいいよ、うん
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 13:54
          • ニヤニヤした
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 16:25
          • うん、なんかスッキリした!!
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 00:42
          • 5 すごい面白かった!
            子供達はとってもかわいいし、大人組も良かった。この人の話、また読みたいな。
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 02:24
          • 1人がシンジにアタックかける→シンジがかわして二人にされる→仲良くなる→ループ
            1人じゃかわされるし十分仲も良いので共同戦線を張る→2人一緒だからシンジが気を回す必要もなくなる
            気をまわす必要がなくなり余裕が出て、シンジに正常な感覚が戻る&今までかわされてきた二人はここぞとばかりに攻勢に出る
            若い理性は脆くも崩れ去る→ハーレムエンド完成

            長期的に見ればこの手が最良・・・
            シンジさん・・・やはり天才か・・・
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 09:16
          • アスカとレイの二人が名前で呼び合う仲かぁ~いいなぁ~
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 10:42
          • ぽかぽかした
            やっぱりレイとアスカがなんだかんだ言って仲いいSSは良いなぁ
            シンジがくっつきそうなのがどちらかのヒロインに偏っていないのも好印象
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 10:43
          • ついでに言うとこの人に大人組のSSも書いてもらいたいと思った
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月04日 09:03
          • アスカとレイが仲が良いのってポカポカするな。
            本編でも名前を呼び合うとかあったらかなり感動しそうだ。

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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