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勇者「世界救ったら仕事がねぇ……とか言ってる場合じゃねぇな!」

1: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/10(土) 23:56:18.83 ID:hdEsplvq0

勇者「魔王倒して世界を救ったら、やることないな~と思ってたんだけど」

勇者「意外と魔物が残ってたり内乱とか勇者外しとかあって」

勇者「別に世界を救うわけでもないんだけど、ちょっくらがんばるぜ!」


前スレ
勇者「世界救ったら仕事がねぇ……」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52001152.html


<注意点>
・同ネタ多数は承知の上
・こんだけ伸びちまったら、最後まで突っ走るしかないなー
・勇者はかっこよくていいじゃない

最後まで適当にお付き合いください
次回投下は明日以降で



12: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:24:17.17 ID:XX3immiNo

勇者「よし、剣持った、光の玉も持った」

僧侶「勇者様、薬草も念のため」

勇者「おう! 小手に仕込んどくか」


商人「ひぃぃ、結局俺も行くのかよ」

女商人「いいから、道具を準備しなさい」

商人「雷の杖に、け、賢者の石に」

女商人「この国出身なんだから、愛国心とか発揮してがんばりなさい」

商人「もう解雇されたんですけど!? 十分がんばってるつもりっすけど!?」

姫「再雇用も視野に入れますわ」

商人「それより探検隊の投資費用は回収できるんすか……」

魔法使い「無理ね」

女商人「あきらめなさい」

商人「やってらんねぇ!」



13: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:24:54.94 ID:XX3immiNo

魔法使い「……広間は二階だけど、数人だと上から攻めるルートは難しいわ。幸い玉座の間までは、一直線よ」

遊び人「どちらでも構いませんよ」

盗賊「ねぇ、あんた、本当に行くつもり?」

遊び人「核を破壊するには、力が足りませんが、儀式の構成を解いたり破壊したりするのは出来るんじゃないかと」

魔法使い「可能なら人手を割きたいからね、素養があって飲み込みも速いし」

盗賊「だからって……いい? あんたは勇者じゃないのよ」

遊び人「そうですねぇ」

盗賊「分かってんの。一般人が出来ることなんて限られてるでしょ」

遊び人「ええ。出来ることをやるつもりです」

盗賊「もう、私たちが出来ることはないでしょ」

遊び人「じっとしてられないんです。探検隊の女の子たちのことを思うと……」

盗賊「あんたが気に病むことじゃないでしょ!」

遊び人「病んでるわけでもないんですけどねぇ」



14: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:25:23.33 ID:XX3immiNo

魔法使い「文句があるのは結構だけど、邪魔だけはしないでちょうだい」

盗賊「あんた、命がかかってるかもしれないのに、巻き込むわけ!」

魔法使い「そう思うなら、そうならないように頭を使ったら」

遊び人「あ、命がけってかっこいいですよね」

盗賊「バカなの!?」

魔法使い「……」

遊び人「すみません」

盗賊「……だったら、私も行くわ」

遊び人「危険ですよ?」

盗賊「私は、あんたの護衛、それでいいでしょ?」

遊び人「ありがとうございます」

魔法使い「ふーん」

盗賊「なによ!」



15: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:26:00.48 ID:XX3immiNo

侍女「……なにしてんです」

戦士「ん? ああ、姫様のところの」

侍女「侍女です」

戦士「そっか……見りゃ分かるだろ。破城槌だ」

侍女「……丸太でしょ?」

戦士「一本、斧をぶっ壊しちまったからな。武器が要る」

侍女「丸太ですよね、これ」

戦士「だから、丸太に壊れた斧をくっつけてだな」

侍女「こんなの使ったら、お城壊れちゃいますよね」

戦士「どの道、闇に覆われているんだから、いいだろ」

侍女「よ、良くねぇ! 絶対に良くねぇですよ!」

侍女「お城を吹き飛ばすつもりですか!」

戦士「大事なものは、いつだって亡くしてから気づくんだ」

侍女「まだなくなる前でしょ!?」



16: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:26:32.38 ID:XX3immiNo

姫「侍女さん、邪魔してはいけませんよ」

侍女「いや、ちょ、姫様、丸太! これ丸太!」

姫「まあ、大きい丸太。まさか、これを……?」

戦士「ええ。即席の武器ですが、格好はつくでしょう」

姫「頼もしいですわ!」

侍女「いやいやいや!」

姫「どうしました……?」

侍女「これ使ったら、私らのお城が確実に壊れますよ」

姫「でも、手段は選んでいられないのでは」

戦士「魔王城に突入するときも、このくらい大きな武器で」

姫「素敵ですわ!」

侍女「おかしいでしょ!?」

勇者「おーい、戦士! そろそろ突入の時間だ!」

戦士「おう、いま行く!」

侍女「あんたらー!?」



17: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:27:00.19 ID:XX3immiNo

魔法使い「戦士、そんなものを持ってくつもり?」

戦士「ああ、まずいか?」

侍女「まずいですよね~、お城が壊れちゃいますしね~」

魔法使い「いいけど、光の玉を使ってから飛び込むから、先頭は勇者よ?」

戦士「まあ、あいつにぶつかっても大丈夫だろ」

魔法使い「まあ、勇者はタフだしね」

侍女「……」

魔法使い「とりあえず、突入前に腕力倍加呪文を使うわ。いいわね?」

侍女「よくねぇー!」

魔法使い「何よ、姫様も容認してるんだけど」

侍女「だって、お城、私に、初めて出来た、住処……」

勇者「なんだよ、何揉めてんだ」ヒョイ

戦士「ああ、ちょっと武器のことでな」

姫「侍女さん、形あるものはいずれは壊れてしまうのです」

侍女「……」



18: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:27:28.84 ID:XX3immiNo

勇者「お城が壊れるのが嫌なのか?」

侍女「……うん」コクン

勇者「分かったよ。壊れたら、俺が建て直してやる」

侍女「……あんたは、いつもそうやって」

勇者「俺はやるって言ったら、やるんだ」

侍女「ぐすっ」

勇者「全部できるわけじゃねぇけどな」ポンポン

侍女「ばかぁ」


魔法使い「……あんた、あてはあるわけ?」

勇者「今度の件で、あまり被害を蒙ってない国がある。分かるか?」

魔法使い「東国ね」

勇者「その通り、軍は出したが余力はある。大義はないが、責任はある」

女商人「大教会があるから、魔物との線は薄いでしょうが、こちらには、正当性のある僧侶さんと姫様がいます」

魔法使い「ふっ、考えてる事は同じね」

勇・魔・女『くっくっく……』


戦士「相変わらずだな、あの連中」

僧侶「ああ、正しい悪巧みを企んでいますように」



19: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:28:02.01 ID:XX3immiNo

――城門前。

闇色の球体は完全に城を覆い尽くしている。
そして、一行がその球体に近づいて見ると、その内部で恐ろしいことが起きているのに気づいた。


勇者「うーわっ! この球体の中、全部魔物がみっしり詰まってんぞ!」

商人「うええええ! もう入りたくねぇ」

魔法使い「広がりがない代わりに、濃厚な闇が魔物を産み出しているのね」

遊び人「……ここまで濃厚で、なぜ広がらないのでしょうか」

魔法使い「そうね、このレベルの暴走状態なら、噴出してもおかしくないわ」

勇者「どうでもいい、早く行くぞ」サッ ぴかー


勇者が光の玉を取り出した瞬間、球体の一角がぼこり、と凹んだ。
それを掲げて勇者が近づく。

ぼこり、ぼこり、ごぼ。


勇者「うはは。おもしれー」

魔法使い「勇者! 効力がいつまで続くか分からないわ!」

勇者「分かってるよ! ……全員、準備はいいな?」


おう、という唱和。


勇者「行くぞっ!!」



20: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:28:37.27 ID:XX3immiNo

魔法使い「腕力倍加呪文!」

僧侶「全体防御呪文!」


二人の呪文が一行に降りかかる。

とりわけ、肉体にぐっと力を入れたのは戦士だ。一回りほど大きくなったかのように見える。
戦士は、丸太……破城槌を腰に構えて、動きを待つ。

勇者は先頭に立ち、光の玉を額に結び付けた。
ぴかーという光をまとわりつかせて、勇者は扉を強引に押し開けた。


ずざざざざ―――ッ


勇者の光によって、一斉に魔物たちが身を退いていく。
勇者は不敵に笑うと、その中へと突入した。


勇者「おらっ、お前ら全員ついてこいや!」ダダッ


叫ぶ勇者の横を、戦士の丸太がさらに先行する。
丸太の先端に添えつけられた金属が、片っ端から重なり合っている魔物たちに激突していく。


ずどおっ、ずどっ、ずどおっ!

―――ぎひいっ、ぶぎぇっ、ぐぼほっ


悲鳴か、奇声か、激昂か、それらをすべて踏み潰して、勇者と戦士は城内を突き進んでいく。


ずどおっ、ずどおっ、ずどっ、ずどっ!!



21: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:29:06.02 ID:XX3immiNo

勇者「おらあっ、遅いぜ!」

戦士「お前が速過ぎるんだよっ!」


ずどっ、ずどっ、ずどおおっ!!


勇者と丸太と戦士が、闇の中を駆け抜けていく。

その後ろを、六者が必死に追いかけていた。


魔法使い「速すぎるわよ! あんた達!」

商人「ひいいい、道が埋まる!」

遊び人「駆け抜けましょう、勇者さんに置いていかれたらまずい!」

僧侶「速度、上昇呪文!」ふわっ

盗賊「ええいっ!」ガスッ

女商人「いちいち付き合うな! ふぶきの剣!」ゴォォ

魔法使い「樹氷結晶呪文!」


魔法使いが唱えると、勇者たちが作った道に、氷の壁が出現した。
隙間を埋めるようにして、勢いを増す魔物たちは、その壁に動きを封じられる。


女商人「余計な魔力!?」

魔法使い「まだ足りる!」



22: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:30:30.49 ID:XX3immiNo

階段を駆け上がろうとしたところで、商人が足を滑らせる。


商人「うおわっ!」

女商人「このバカっ……!」

僧侶「ふんっ……!」


手を差し伸べかけた女商人ごと、僧侶が二人を持ち上げた。
礼を言う暇もなく、僧侶の腕が二人の背を押して、階段を上らせていく。

三人がさらに先行する五人を追うような格好だ。
後ろを振り向きもしない仲間たちに、商人がへとへとになって呼吸を荒くした。
防御を固める呪文も、速度を上げる呪文も、ノーリスクではないのだ。
元々のレベルが低ければ、見合った成果を取り出す事はできない、それ以上をやろうとすれば、当然疲労が先に立つ。

商人は、背負ったバッグの肩ヒモだけは、ぎゅっと握り締めた。
自分には道具を背負うことしかできない。


商人(くそっ、人生で一番走ってるぞ)

商人(これが最後にならなきゃいいが)


商人の前を駆け上がる女商人の足が見える。
時折こちらを気にするような素振りを見せるが、魔物がそれを阻む。

商人がまた、魔物に足を取られそうになったところを、僧侶の一撃が救う。


―――三人が階段をあがりきると、広間の扉が、今まさに戦士によって打ち破られようとしていた。



23: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:32:30.29 ID:XX3immiNo

があん、という激しい開門音。
広間には、濃厚な闇。

ただし、それにも関わらず、先ほどの城内に比べると、異様なほどに魔物の姿は少なかった。

戦士がぶち破った扉に前のめりに突入すると、それに続いて一行が広間になだれていく。

そして、勇者は広間をよく確認しようともせずに躍り出る。
光の玉を強く握り、高く掲げた。
一言を叫ぶ。


勇者「雷よっ!」 ずがっ!


叫びとともに、掲げた光の玉に雷鳴が走る。
閃光が爆発して、広間を激しく揺らす。
はたして、その雷撃は広間の全体に光を撒き散らし、隅まで照らすほどの輝きを放った。


勇者「っしゃ、これで……」


だが、全員が止める暇もないうちに行動したのだ。
誰かが勇者を怒鳴りつけようとして。

息を呑んだ。



24: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:32:58.54 ID:XX3immiNo

そこにいたのは、二頭の巨大な魔物だった。

一体は虎の魔物、見覚えのある。
ただし、その体はつい先日に戦ったものよりも相当に大きく、その金毛は黒色に染まっている。
赤く輝く瞳に、こちらの姿を焼き付けると、全身を震わせて喜んだ。

一体は鳥の魔物、こちらも見覚えがある。
膨らんだ筋肉と、全身を覆う羽毛は真っ赤に染まっており、こちらもまた、巨大化していた。
輝くくちばしに、胸をいっぱいに膨らませて、腕を交差させる。

二頭が、吼える。



25: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/12(月) 21:33:30.25 ID:XX3immiNo

魔法使い「まずいわ……」

僧侶「なんですか!?」

魔法使い「あの二体、魔王のかけらを取り込んでいるんじゃ……」

遊び人「扉は閉めましょう! これ以上、魔物が入るとまずい!」

商人「お、おう」

盗賊「やってる場合じゃない! 散って!」


盗賊が叫び終わらないうちに、二頭が襲い掛かってきた。

激突、黒色の虎が扉をぶち破る。
難を逃れた女商人に、赤い羽根が発射されている。

とっさに盾を広げて、女商人は防御を試みた。
だが、その場に釘付けになったことで、反転した虎の巨体が、彼女に―――


勇者「強雷撃呪文!」


ずがぁんっ!


勇者の叫びとともに、雷が虎を激しく撃った!



37: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:16:12.10 ID:9jRf/PGJo

勇者は、雷撃を放つと同時に、虎の方へ全速力で駆け寄った。
走りながら、全員に指示を飛ばす。


勇者「虎は俺がやるっ! お前らは鳥と、球体をつぶせっ!」

魔法使い「バカ!? 固まって行動しなさい!」

勇者「一対一の約束がある!」ズダダッ


勇者の攻めに応えるように、虎が大きく吼える。
向かってくる勇者に、大腕を振り抜く、が、それは勇者に当たらずに、広間の床を激しく揺らす。

魔法使いはそれを見遣って、戦士の方を向いた。
戦士は勇者の言葉に従うかのごとく、鳥の方へと丸太を振り上げている。
僧侶もまた戦士をフォローするための呪文の詠唱に取り掛かっている。

女商人は――鳥の羽根にぶつかって動きを止めていたが、盾を持ったまま、魔法使いに視線を送る。
盗賊と遊び人、姿が見えない。

魔法使いは覚悟を決めた。

命をかける、すべてをやりきる。


魔法使い「……鳥を倒す! 女商人は前進!」



38: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:17:17.35 ID:9jRf/PGJo

魔法使いは言いながら、鳥の魔物の全身を観察した。
幸いにして、注意は向かってくる戦士の方へ注がれている、ように見える。

……赤い皮膚と赤い羽根、赤に染まりきった全身に禍々しい黒の曲線がにじんでいる。

闇の力は、身体能力をも向上させるもの。
たとえば以前に死力を尽くして戦った、ドラゴンのように強力な力を与えるものだろう。

振り下ろされた戦士の一撃を、鳥が叩き落とすようにさばく。
そのまま、強烈な風を吹き付けて、戦士の開いた体に撃ち当てる。
ざくぅっ、という強烈な音が聞こえた。

戦士はしかし、構わず丸太を突き上げた。


魔法使い(無茶しないでよっ!)


魔法使いは心中で叫びつつ、砕けた柱を影にして走る。

僧侶がフォローとばかりに回復の呪文を戦士に唱えるが、その二人に向かって、鳥が胸をふくらませた。


魔法使い「光幕呪文っ!」


間半髪か、鳥の口から放たれた強烈な凍気が、魔法使いの呪文によって阻まれた。



39: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:17:45.36 ID:9jRf/PGJo

戦士と僧侶が凍痛をこらえながら、鳥の方へ前進しようとする。
しかし、鳥魔物は大きくステップを踏んで羽根を広げると、ぶわっと跳躍して彼らの頭上を跳び越した。

その隙をついて、女商人が魔法使いの下へ駆け寄る。


女商人「はあっ、はっ、なんですあれ!?」

魔法使い「闇の力で、強力化したのね!」

女商人「確か、虎の魔物は、勇者が連れてきて―――」

魔法使い「暴走しているんじゃないの」

女商人「冗談でしょう!」

魔法使い「冗談な場合でもないわ! しかも連中は四天王よ、二体ともね!」

女商人「ちっ」

魔法使い「待ちなさい、まともにやらないで!」


魔法使いが、飛び出しかけた女商人を引き止める。
周囲を見回しながら、二人は、全速力で壁際に走り出した。



40: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:18:24.62 ID:9jRf/PGJo

女商人「どうするつもり」

魔法使い「鳥タイプの魔物は素早いわ。こちらの行動の前に、二度も攻撃されることもある」

女商人「……要点を話して」

魔法使い「動きを封じる!」

女商人「具体的に!」

魔法使い「戦士と僧侶が引き付けている間に、罠をしかけるのは」


こうっ、と風が吹く。
二人が前方に向かって飛ぶと、元居た場所に赤い羽根が次々と襲い掛かる。


女商人「っぶな!」

魔法使い「いいわよ、こちらが動くことで、戦士たちも態勢を整えられる」

女商人「流れ弾でやられそうですけど!」

魔法使い「爆弾石は?」

女商人「ないわよそんなもの!」

魔法使い「……まきびし、だめね。吹き散らされる」

女商人「即席の罠なんて無茶ですよ」



41: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:18:54.77 ID:9jRf/PGJo

魔法使い「道具だけが罠じゃないでしょ?」

女商人「ちっ、頭を使えってことですか!?」


女商人は毒づきながら、魔法使いと二手に分かれた。

反対側の壁際で、戦士と僧侶が鳥と激しく打ち合っている。
魔法使いはそれとともに、勇者が虎と、半ば組み合うように戦っているのも見た。

急がなければ。
いくら勇者とて、たった一人で強力な魔物を相手にするのは無茶もいいところである。

魔法使いは、戦士たちの方へ目立たないように近づこうとした。

戦士たちも何度か攻撃を加えているが、相手の動きに翻弄されて、思うように攻撃できない。
強烈なパンチに加えて、織り交ぜられる羽根の攻撃は、魔法使いの近くにも撒き散らされていくほどだ。
ついに、丸太を投げ捨てた戦士が、腰につけていた斧を取り外した。

戦士は多少は身軽にして、斧を振るいながら、鳥の猛攻をなんとかしのぐ。
僧侶は懸命に回復呪文を唱えている。


魔法使い(あっちが引き付けているうちに、近づく……)

魔法使い(隙を突いて、動きを止める……)

魔法使い(女商人の合図で)


魔法使いが、鳥魔物とのぎりぎりの間合いを計ったところで、女商人が立ち上がった。


女商人「ふぶきの剣!」 ごおおっ!



42: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:19:45.29 ID:9jRf/PGJo

拙攻―――女商人の行動は、闇雲な攻撃に見えた。
鳥魔物は落ち着きながら、戦士たちとも距離を取って、大きく息を吸い込む。

だが、女商人はそこで盾を構え、剣の代わりに杖を持って突進した!


鳥魔物「切り裂かれろ」


鳥の口からこぼれた呪文が魔風と化して三人に襲い掛かる。
そこで、女商人は杖を掲げて見せた。


女商人「さざなみの、つえっ!」


叫んだ瞬間、光の輪が目の前に飛び出してくる。
魔法で出来た竜巻が、ばぢっ、という音を立てて見事に跳ね返される。
反射の魔法と同じ、光の障壁を作り出したのだ。

鳥魔物は、そこで致命傷を負うわけではなかったが、思わず顔を背けた。
魔法に襲われたのは、戦士と僧侶も同じだ。

そこで、チャンスとばかりに魔法使いも立ち上がり、呪文を唱えた。


魔法使い「全てを沈めるのは、冷たく輝く粒である」

魔法使い「彼の息の根を凍らせる、絶望を与えるのだ」

魔法使い「凍気氷結呪文!」


しん。


魔法使い「……あれ?」



43: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:20:41.44 ID:9jRf/PGJo

魔法使いが汗を垂らした瞬間、鳥魔物が飛び上がった。
一直線に魔法使いのところまで飛んでくると、爪を立てて、押し倒す。

いや、押し倒すと言うよりは、踏み潰すというべきか。


魔法使い「がはっ!」

女商人「ま、魔法使い!」

鳥魔物「……知恵者から、つぶすべきだと」


鳥魔物が、魔法使いの肋骨をぎしぎしと圧迫しながら、笑う。


鳥魔物「ずっと考えていたのです」

魔法使い「まぼのにっ……!」

魔法使い(魔物に言われても、嬉しくないわね!)


憎まれ口さえ吐けない。
魔法使いは地面付近の様子を見て、ようやく自分の失敗に気づいた。

地面に突き立てられた羽根が、魔方陣となっている。
魔封じの陣を描いていたのだ。

腕力勝負では、お互いに早期の決着は難しい。
最初から短期決戦で魔法を使うことを見越して、罠を張っていたのだ……。



44: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:21:12.21 ID:9jRf/PGJo

戦士が、走って鳥魔物を追いかけるが、いかんせん距離が遠い。
鳥魔物は、爪を振り上げながら言った。


鳥魔物「お前たちは姑息です。その姑息さを軽視して、私は魔王様を失いました」

魔法使い(知らないわよっ)

鳥魔物「しかし人間よ、いま、私は魔王様とともにあります」

鳥魔物「魔王様の遺志を受け継ぎ、私が―――」

魔法使い(どけ、どけ、どけっ!)


勇者「魔王の仇なら、俺だろっ!!」


叫び声が周囲に届く。


勇者「雷よっ!」


びぎいっ、という音が、鳥魔物に襲い掛かった。



45: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:22:17.28 ID:9jRf/PGJo

鳥魔物「勇者、貴様っ!」


鳥魔物が振り返る。
しかし、声のした方を見ると、ぼわっとした煙が漂うだけ―――
そして何より、勇者は虎魔物といまだに激しく打ち合っているのだ。

煙の奥から、影が姿をあらわにする。


商人「しゃ、しゃべり方、似てただろ」


変化の杖と雷の杖を握った、商人だった。

鳥魔物は怒りに任せ、その人間に向かって、赤い羽根を発射した。
避ける暇もなく、突き刺さった羽根の痛みで、商人が悲鳴を上げてひっくり返る。

だが、そんな暇はなかったのだ。


魔法使い「相手はこっちでしょ、この役立たず……!」


振り返る鳥の口をめがけて、ひゅっと魔法使いが石を投げつけた。
かつんとくちばしに当たる、その後頭部に、戦士の斧撃が迫っていた。

斬りつけるというよりは、叩きつけるような攻撃。
戦士は鳥を斧で思い切りぶん殴った。

鳥の頭が激しく跳ねる、そこへ、魔法使いが投げつけた石に勢いよくぶつかって。


づどむっ!!



46: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 21:22:47.20 ID:9jRf/PGJo

魔法使いが投げたのは、衝撃を与えて弾ける爆弾石。
鳥と、魔法使いの間の空間に、強い爆発が生じたのだ。

鳥が爆ぜる。
爆発に仰け反る体に、さらに戦士が二撃目を叩き込む。

がんっ、という金属音に近い音が鳴り響き、前転するように鳥魔物が吹き飛んでいく。
一撃目を踏ん張ったためか、柱の手前で減速する。
ぐったりと、倒れこむ。


僧侶「ま、魔法使いさん!」


……鳥によって地面に埋め込まれた状態の魔法使いも、爆発に巻き込まれていた。
全身を強く打ち、顔面から爆発による流血もある。

僧侶はすぐさま魔法使いを地面から引き剥がすと、回復呪文を唱えようとした。
しかし、踏み入れたそこには、魔封じの陣がある。


戦士「僧侶、魔法は難しい、道具を使え」

女商人「ま、魔法使い……」

戦士「うろたえるな! 薬草寄越せ!」

女商人「は、はい!」

戦士「吹っ飛んだやつもいただろ、あいつの手当ても!」

女商人「……鳥はまだ生きているのでは!?」

戦士「手当てが先だ!」



49: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:08:35.85 ID:9jRf/PGJo

……広間の奥の扉。
勇者が壊せと叫んだ球体は、すでに割れて球状を保ってなどいなかった。
その中を、うごめく闇色の魔人たちが、一人、二人―――


遊び人「くっ、はぁ、はぁ」

盗賊「あんた、大丈夫なの!?」

遊び人「あんな衝突が真っ先にくるとは……」

盗賊「薬草、使いなさいよ」

遊び人「はい、でも、早く、あれを破壊しなくては」

盗賊「みんな、戦ってるけど」

遊び人「僕らは、僕らに出来ることを……しないと」

盗賊「あんたね……」

遊び人「儀式を止めれば、再現していたものも効力を低下させるはず」

盗賊「ほら! 分かったから無理をしないの」

遊び人「わ、分かりました」


二人は、戦闘を避けながら、それらに近づいていた。
盗賊が遊び人の肩を支えながら、壁沿いに近づいていく。
薬草を塗りながら歩いていると、次第に遊び人も元気を取り戻し始めてくる。

しかし、近づけば近づくほど、彼らは目の前の物体のおぞましさを感じ取った。


盗賊「な、なんなのよ、これ」



50: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:09:27.25 ID:9jRf/PGJo

遊び人「本当に、クソッタレですねこれは」

盗賊「一体どうなってるの?」

遊び人「……『電池』のときと同じです」

盗賊「それって、つまり」

遊び人「魔王と同等の闇の力を再現するために、人間を詰め込んで、強引に魔力を利用しています」

盗賊「……なんか、動いているけど」

遊び人「闇の力の影響を受けているんですね。だからこんな状態でも生きている」

盗賊「こんな状態って」

遊び人「……魔力を生み出すだけの材料状態ってわけです」

遊び人「あ、これがホントの人材ってやつですかね」

盗賊「笑えないわ……」

遊び人「ともかく、この儀式の構成を破壊しちゃいましょう」

盗賊「私には分からないから、とにかく、指示をして」

遊び人「僕もよく分かりませんけどね」

盗賊「あ、あのねぇ」



51: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:10:01.79 ID:9jRf/PGJo

遊び人「えーっと、なんか武器持ってきてます?」

盗賊「短剣ならあるわ」

遊び人「それで十分です。まずは球体の中心部にある『魔王のかけら』でも探しましょうか」

盗賊「いきなりさらっと、とんでもないことを言うわね」

遊び人「多分、あるはずなんですが……割れているから、入るのは簡単ですし」

盗賊「ね、ねぇ、中で動いているのは安全なの?」

遊び人「さぁ」

盗賊「あとさ、この球の中、なんだかぬるぬるっとしているんだけど」

遊び人「それは闇の力が液体化したものですね。なるべく触らないように」

盗賊「無理に決まってんでしょ!」

遊び人「……長い得物で中央部分をぐりぐりするのはどうです」

盗賊「そういうのが必要なら、最初から言ってよ!」

遊び人「実際に見てみないことには分かりませんでしたから」

盗賊「仕方ないわね。とりあえず、短剣に紐を結びつけて……」


盗賊は、中央部分に向かって、ひゅうっと一振りを打ち出した。



52: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:10:31.08 ID:9jRf/PGJo

遊び人「おお、さすがにうまいですね」

盗賊「伊達に洞窟荒らしはしてないからね」

遊び人「ほめられた特技じゃないですからねぇ」

盗賊「うるさいわね! それで?」

遊び人「手ごたえはどうです?」

盗賊「何かにぶつかったような感じはしたわ、でも」

遊び人「どうかしましたか」

盗賊「なんかこう、逆に引っ張られるような感じが」

遊び人「! すぐに放して下さい!」

盗賊「え、ちょ、きゃあっ!」ぐいっ

遊び人「盗賊さん!」


遊び人が、引きずり込まれそうな盗賊の肩をつかむ。

なんとか紐を手放させると、その中心部に、ざばり、と影が一つ立ち上がるのが見えた。


魔人「……ぶれ、ぶれ、ぶれ……」

盗賊「な、なに」

遊び人「……」



53: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:11:12.96 ID:9jRf/PGJo

魔人「無礼、なるなるなる、なるぞ……」

魔人「南国、国王に、傷をきず、きず、傷をつけるるる、とはとわ、とは」

盗賊「……マジ? この化け物が国王だって言うの?」

遊び人「……」


南国王の体は、すでに闇色に染まっていた。
短剣が突き刺さってはいるが、痛みは強くないらしく、つながっている紐をぶらぶらと弄んでいる。


盗賊「国王まで実験体とか、うわ、ショック……」

遊び人「―――恐れながら、陛下。事は急を要する事態でございます」

盗賊「ちょ、ちょっと」

南国王「う、む」

遊び人「我が国は、この壮大な実験の失敗によって、壊滅の危機に瀕しております」

盗賊「……」

盗賊(この路線で、何かするつもりなのね?)

南国王「失敗? しっぱしっしっぱいない。なななない」

遊び人「いいえ。残念ながら、もはや失敗は明瞭でございます」

南国王「う、むむむむ」

遊び人「魔物が暴れ回り、人間同士で争いあう始末です」



54: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:12:34.22 ID:9jRf/PGJo

遊び人「陛下、どうぞ実験を中止なさってください」

南国王「しかし、しか、しか、大臣が」

遊び人「大臣こそ、この計画をぶち上げ、我が国を破滅に導いた男です」

遊び人「彼は、私の家を、理由にならない理由で取り潰し、その研究成果を誤った方向へ」

盗賊「危ない!」


盗賊が叫ぶと同時に、遊び人を押し倒す。
そのすぐ上方を、弾丸が通り過ぎていく。

ぱん、という弾ける音が響き、穿ったのは、南国王の頭部であった。


南国王「ぶぎゅ」

南大臣「……外したか」

盗賊「当たってるわよ」

遊び人「大臣、生きていたんですか」


南大臣は、ぐしゃぐしゃになった服を整えることもせず、骨の魔物から奪った武器を、二人に向けていた。
彼もまた闇に侵食された顔をぎらつかせて、二人にその視線を向けている。



55: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:13:07.11 ID:9jRf/PGJo

南大臣「……勇者ではないな」

盗賊「どういうつもり!? あんたがこれの首謀者なんでしょ!」

南大臣「冒険者か。汚らわしい」

盗賊「けっ……!」

遊び人「盗賊さん、とりあえず動かないで。あの武器は危険です」

盗賊「分かってるわよ」

南大臣「目利きの良い連中というわけか」

遊び人「おかげさまで」

盗賊「……あんたが首謀者でいいのよね」

南大臣「私は陛下に提案申し上げただけだ。不敬しか見せぬ貴様らとは違う」

遊び人「頭を吹っ飛ばすのは不敬ではないんですかねぇ」

南大臣「闇の力を受け入れれば、あの程度の傷は取るに足りぬ」

盗賊「不敬ってそういう問題じゃないでしょ……」

遊び人「相変わらず、自分に都合の良いことだけですか」

南大臣「……?」



56: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:14:03.46 ID:9jRf/PGJo

遊び人「あんたは昔から、自分のすることは合理的で正義にかなっていると思い込んでましたね」

遊び人「本気でそう思ってるから、始末が悪い。反対する連中が異常者だと思ってしまう」

南大臣「お前のような小僧に指摘される筋合いのものではない」

遊び人「ありますよ。父がお世話になったそうで」

遊び人「魔王の研究なんて、悪趣味なものを、正義のために接収されたんですよね」

南大臣「……あの男のせがれか」

遊び人「そうそう」

南大臣「実に不愉快な男だった。冒険者の集める情報に、多額の報奨を与えようと提案したのもやつだった」

南大臣「冒険者は寄生虫だ。私は、国家財政からこの悪弊を一掃し、より強い国家を」

南大臣「それだけではない。英雄に頼らずとも、すべての人間が戦える、強力な社会を作るのだ」

遊び人「はいはい。お説結構」

遊び人「……他人の研究成果を横取りし、気に入らない相手を敵に回すのは、確かに寄生虫ではありませんが」

遊び人「そうですね、ハイエナって言うんですよ。ハイエナが国家を語ると滑稽に見えますね?」

南大臣「……」

遊び人「現に、あんたは今、国を一つ滅ぼそうとしているでしょ」

盗賊「そ、そうよ!」


がおんっ!



57: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/13(火) 23:14:47.40 ID:9jRf/PGJo

遊び人「……最後は実力行使」

南大臣「貴様は本当に正しいと思うのかっ、英雄に頼りきった社会が!」

遊び人「英雄に過剰に期待しちゃう連中がおかしいだけでしょ。勇者さんは自分のやれることしかしませんよ」

盗賊「……それはその通りだし」

南大臣「誰もが強くならねばならんのだ!」

遊び人「子どもを戦争に巻き込むのはどうかと思いますし」

遊び人「強権を振りかざしているあんたみたいなのが強くなるだけじゃないですか」

南大臣「私は、自ら身を削り、戦ってきた!」

遊び人「はい、ウソ」

遊び人「だとしたら、なんであんたはこの球体の中にいなかったんです?」


南大臣は銃を構えた。
もはや語る事もない、とばかりに。

遊び人は目をつぶる。
その体に、盗賊が覆いかぶさる。

引き金が絞られて、銃弾が発射されようとするその瞬間に――ー
勇者と虎の体が、三人に向かって転がり込んできた。



72: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:17:37.43 ID:3hnFdmkLo

勇者「うおっ!」

虎魔物「何か踏んだな」

遊び人「勇者さん!」

盗賊「勇者! あんた、ちょっと、痛い!」


勇者は飛び込んだ二人からすばやく立ち上がると、剣を構えなおした。
が、相手方もバランスを崩しているのを見て、すばやく呪文を唱える。


勇者「癒しの輝きよ!」パァァ

虎魔物「……タフな野郎だ。本当に人間なのかね?」

遊び人「確かに気になりますね」

盗賊「どうでもいいでしょ、そんなこと!?」

勇者「おう、お前ら、離れてろって言っただろ」

盗賊「あんたが飛び込んできたのよ!」

遊び人「割れた球体を調べていたのですが」

勇者「魔法使いに聞け!」

盗賊「どこまで人任せなのよ……」



73: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:18:15.92 ID:3hnFdmkLo

勇者「それより、おい、虎!」

虎魔物「どうした?」

勇者「お前、頭が変になった振りしやがって、めちゃくちゃ正気じゃねぇか!」

虎魔物「振りをしていたわけでもねーよ」

勇者「けっ、話が分かるなら、言うぞ! 邪魔するな!」

虎魔物「悪いが、無理な相談だ」

勇者「お前、一回俺らに負けただろうが!」

虎魔物「おお、しかし、お前と一対一で戦う約束をしたはずだぜ」

勇者「だから、それはまた後でな」

虎魔物「悪いが今のチャンスを逃しては、後はない」


そう言う虎の体から、かすかに黒い湯気が立ち上っている。
黒毛から満ち溢れているのは、みなぎる闇の力だけではないようだった。


虎魔物「せっかくだから、やるだけやっちまおうぜ!」

勇者「バーカ! ……お前ら、離れてろ」


勇者は二人に言い捨てて、向かってくる魔物に火炎の呪文を放った。



74: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:18:43.48 ID:3hnFdmkLo

虎は腕を十字に覆って突進してくる。
魔法の威力など構わないかのようだ、実際に、闇の力のため、大した威力も望めない。

魔物の突進をすべるようにして勇者は避ける。
一方の魔物は、割れた球体に見事にぶち当たる。
硬質な音のすぐ後に、ぐらあっ、と球体が震えた。

中の魔人たちが、ざわめいて抗議の声を上げるが、反転して球面を足蹴にする虎には届かない。


勇者「雷よっ!」

虎魔物「馬鹿の一つ覚えみたいだぜ」


激しい魔法が虎を貫くが、闇の力にさえぎられてか、足止めにさえならない。
虎が腕を振って勇者を捉える。

勇者は衝突の直前に、その腕に剣を突き刺した。
吹き飛ばされるのと同時に、虎の腕に引きずり傷が付けられる。

肉を打たせて肉を切る、だが、つり合っているようにはとても見えない。


虎魔物「はっはぁ! 本当に面白いな、てめぇは!」

勇者「……」ガラガラ

虎魔物「腕力があるわけじゃねぇ、魔法も一級ってわけでもねぇ、タフはタフだが……」

虎魔物「とにかく、立ち向かってくる。どんなに押しつぶそうとしても」

勇者「……期待されたら、ますます逃げられねぇな」



75: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:19:10.91 ID:3hnFdmkLo

虎魔物「魔王様を倒したときも、こんな感じだったのかい?」

勇者「ちょっと待て! しゃべらせたいなら、回復させろ」

虎魔物「……」

勇者「癒しの輝きよっ!」パァァ

虎魔物「へっ、こっちも時間がねぇってこと、分かってるか?」

勇者「ああ、うっせうっせ。前にも話したが、俺は一人じゃ大して強くねーの!」

虎魔物「笑わせてくれる」

勇者(マジなんだがな……)

虎魔物「お前は強い。数いる魔物でも、俺にぶん殴られれば、誰でも逃げるか、諦めるか、した」

勇者「ほう」

虎魔物「知ってるか? 魔物は力の強い者に従う……だから、戦い合ってリーダーを決めるのだ」

勇者「……」

虎魔物「知恵のある者でも、弱者はいない。みな強者が上に立つ」

虎魔物「だからだ、俺は魔王様に憧れた」

勇者「ああ、そうかい」

虎魔物「だが、お前らは違う」



76: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:19:37.46 ID:3hnFdmkLo

虎魔物「弱者でも、遠慮せずに口出しをする。徒党を組み、諦めることがない」

虎魔物「さらに、自分を弱いといって憚らない、そりゃなぜだ?」

勇者「実際、弱いからだろ」

虎魔物「ウソをつけ! 現に一対一でも、お前は平然と俺と戦っている」

勇者「こっちゃ生き残るので精一杯だぜ」

虎魔物「……勇者よ。俺は心配してんだ」

勇者「は?」

虎魔物「真の強者であるお前が、ないがしろにされる世界はおかしくないか?」

虎魔物「弱者が強者を嘲り、追い詰める、異常だとは思わねぇか?」

勇者「けっ!」


勇者は唾を吐き捨てる。


勇者「何べんも言わすな! 俺は強くねぇんだ」

勇者「……一人ぼっちじゃ、冒険にも出かけられなかったくらいに」



77: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:20:15.42 ID:3hnFdmkLo

勇者「俺を追い詰める、糾弾する、結構じゃねぇか!」

勇者「ただし、俺は全力で抵抗するし、仲間も集めるし、戦ってやるぞ」

勇者「お前のところの強者は……」


勇者が息を吐く。


勇者「そうして、負けたんだからな」

虎魔物「はははっ、そうか!?」


虎魔物がどんどん、と足を踏み鳴らす。
揺れ、きしむ、地面を蹴って、転がるように勇者に飛び込んでくる。

バランスを取ろうとした勇者の手前で、ちぎれとんだ球体の破片を蹴り上げた。

勇者はそれをさばこうとして、直撃する。
虎が投げた破片をさらに殴りつけて、加速させたのだ。

ばがん、と衝撃音。

勇者は虎の振りぬいた腕に突き上げられた。



78: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:20:38.99 ID:3hnFdmkLo

球体の前で。

盗賊「な、なんなのよ、あの化け物」

遊び人「それについていっている勇者さんも大概ですがね」

盗賊「と、とにかく……あのジジイは」

遊び人「おっ、さっきの衝突に巻き込まれたようです。ラッキーですね」

盗賊「……あんたも大概ね」


盗賊はそう言いながら、倒れている南大臣の銃をもぎ取ろうとした。


盗賊「この、固いわね……!」

遊び人「あなたも大概じゃないですか」

盗賊「盗賊の基本でしょ!」

南大臣「こ、小娘……」

盗賊「ひゃあ! 生きてるんじゃないわよ!」ゴズッ

遊び人「ふん!」ゴン

南大臣「ぬぐっ」



79: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:21:10.66 ID:3hnFdmkLo

遊び人「縛り付けておきましょう」

盗賊「あー、びっくりした」

南大臣「き、貴様ら……後悔するぞ」

遊び人「それはあんたの方でしょ」

南大臣「英雄に頼りきった社会が、長く保たれるはずがないのだ! なぜ分からん!」

遊び人「頼りきってないから、僕らがここにいるわけですけど」

盗賊「猿ぐつわもかませとくわ」

遊び人「……あんただって、闇の力に頼ってるでしょうに」

南大臣「ふぐっ」

遊び人「もうあんたと話す事はなんもないです」


遊び人が、南大臣を柱に縛り付けたところで、盗賊が叫んだ。


盗賊「遊び人、割れた球!」

遊び人「なんですか」

盗賊「なんか陣形みたいなのが浮いてるわ」


遊び人も一目で分かった。

黒い球体は、ひっくり返って底面を晒している。
その底の部分に、魔方陣が引いてあるのだ。



80: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:21:55.71 ID:3hnFdmkLo

……広間の壁際。

魔法使い「げっほ……」

僧侶「ああ! 魔法使いさん!」

女商人「大丈夫? ちゃんと起きれる?」

魔法使い「……鳥は」

戦士「様子は見てきた。ぴくりとも動かねぇ」

商人「なんか、変なんっすよ。赤い体が、黒っぽく変色していって」

魔法使い「……そう」

戦士「おい、お前も重傷だったんだ、動き回るんじゃねぇ」

商人「い、いやいや、でもですね」

僧侶「魔法使いさん、蘇生呪文、効いたとは思うんですが……」

魔法使い「無理するなって? そうも、言ってられないわ……」ぐぐ

戦士「寝てろ」

女商人「私たちが手足をやりますから、あなたは指示をしなさい」

魔法使い「……じゃあ、あの半球体の方まで連れて行って」



81: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:22:27.54 ID:3hnFdmkLo

戦士「よし、おぶされ」

魔法使い「んー……硬い」

戦士「鎧着てるんだから当たり前だろうが」

魔法使い「……勇者は?」

僧侶「それが」


轟音が鳴り響く。
今まさに、件の勇者が、虎に攻め立てられ、追い詰められていた。
虎のこぶしが、広間の床を打ち抜く。

振動が魔法使いたちにも襲い掛かり、城もまた、限界に来ていることを証明していた。


魔法使い「僧侶……勇者を、フォローしてあげて」

僧侶「はい!」ダッ

商人「い、一対一とか言ってなかったっすか」

魔法使い「負けたら別でしょ」

女商人「……死ぬかもしれませんしね」

商人「あ、あんたな! ……ってぇ!」ズキッ

戦士「お前も無茶するんじゃない。寝てろ」



82: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:22:54.70 ID:3hnFdmkLo

盗賊「……あ! 魔法使い!」

遊び人「魔法使いさん! こっちです」


ひっくり返った球体の前で、二人が手を振っている。
魔法使いはそれに力なく手を振り返して近づいた。

目の前にある、黒色の球体の底面。
魔方陣が薄らぼんやりと輝いている。


魔法使い「……なるほど」

盗賊「あんた、大丈夫なの? 顔が青ざめているわよ」

魔法使い「蘇生したてだから……」

遊び人「魔法使いさん、手短にお聞きしますが、コレが『魔王システム』の術式ですね」

魔法使い「……うん」

戦士「魔法使い、降ろすぞ」

魔法使い「お願い……」


そっと降ろしたにも関わらず、魔法使いはその場に崩れ落ちた。


盗賊「ちょ、ちょっと!」

魔法使い「大丈夫じゃないけど、騒がないで、辛いから」



83: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:23:29.93 ID:3hnFdmkLo

魔法使い「……確かに、計画書にあった通りね」

遊び人「『魔王のかけら』を核として、闇の力を増幅させる術式ですね」

戦士「……ということは、こいつを叩き壊せばおしまいってことか?」

盗賊「じゃあ、さっさと片付けちゃいましょうよ」

魔法使い「……壊したら、吹っ飛ぶかもしれないわ」

魔法使い「『増幅』の指示から、『消滅』の指示に書き換えるの」

魔法使い「……側近と相談したわ……」

遊び人「では、どのようにするのですか」

魔法使い「……ちゃんと指示するから、順番に傷をつけていって」

戦士「斧でいいか」スチャ

盗賊「鉄の筒とかもあるけど!?」カチャ

遊び人「魔法の杖でいいでしょう。僕が中心にやります」

魔法使い「お願い……あと、ツッコミも」

遊び人「心得ました」



84: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:23:56.53 ID:3hnFdmkLo

魔法使い「第二主線を右に引きなおす……」

遊び人「はい」ギギー


魔法使いの指示に従って、遊び人が杖を振るう。
すると、光が杖の先にほとばしり、陣形を走っていく。

そして、悲鳴。


ぐぎゃああああ! ぎびいいいいいいっ!


球体の中に閉じ込められている状態の魔人たちが、暴れているのだ。


盗賊「こ、こいつら」

戦士「この術を成り立たせている怪物どもか……どうやら苦痛を感じているみたいだ」

盗賊「……これ、元は人間なのよね?」

戦士「魔法使い、どうする」

魔法使い「……」

盗賊「犠牲にする気なの!?」

魔法使い「……そんなつもりは」

遊び人「やりましょう!」



85: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:24:28.22 ID:3hnFdmkLo

遊び人「もう、彼らは人間から変質してしまっています」

遊び人「球体から引き剥がせば、おそらく……」

魔法使い「……」

遊び人「それより、戦士さん! 暴れていて、うまく引けません」

戦士「分かった、押さえよう」タタッ

盗賊「……なんか、気分が悪いわ」

魔法使い「……そうね」

魔法使い「遊び人、第四と第六主線に、直線を入れて!」

遊び人「はい!」


……なおも続けようとする魔法使いたちの後ろで、南大臣が猿ぐつわを噛み千切った。


南大臣「やめんか、貴様らっ!」


振り返る全員の耳元に、銃声が飛び込んできた。
どこに隠していたのか、南大臣が撃った弾丸は―――


遊び人「うぐっ」

盗賊「遊び人!」



86: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:25:16.76 ID:3hnFdmkLo

盗賊「この!」


盗賊は持っていた自分の銃を投げつけた。
硬い銃身をもろに顎に食らって、南大臣が頭を垂れる。

ついで、そのまま遊び人の方へ駆け寄る。
魔法使いもよろけながら近づく。


盗賊「遊び人!」

戦士「ちっ、クソジジイが!」


戦士は舌打ちして駆け寄ると、南大臣を思い切り殴った。

闇の力を受け入れたからだろう……手ごたえは人のそれではなく、硬質の手触り。
ちょうど、あの魔人たちと似たような感触を得て、戦士は斧を引っつかんだ。


南大臣「き、貴様……」

戦士「まだ息がありやがるのか、しぶとすぎるぞ」

南大臣「だ、黙れ……はぁはぁ」

戦士「ふざけたまねをしやがって!」

南大臣「私は、自らの、正義を……」

戦士「八つ当たりだろうが!」


斧の柄で殴ると、今度こそ、南大臣は沈黙した。



87: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:25:42.84 ID:3hnFdmkLo

盗賊「遊び人!」

魔法使い「ただの傷じゃないわね……回復呪文、ちゃんと効くかしら」

盗賊「あんた、こいつ死なせたら承知しないわよ」

魔法使い「……分かってるから、静かにして」

遊び人「はぁはぁ、ちょっと、皆さん」

盗賊「あんた、あんたね!」

魔法使い「……癒しの力よ……」フワッ

遊び人「い、急がないと……」


遊び人の言葉通りだった。

術の書き換えの途中のためか、半球体の下にいる魔人たちの動きが激しくなっている。
戦士が押さえを外したために、半球体が今にも転がりだしそうなほどだ。

がたがた、と揺れる半球体から、闇が漂ってくる。

その向こう側から、商人と女商人が駆けてくる。


商人「旦那~!」

女商人「みなさん! まずいです!」

盗賊「今度は何よ!」



88: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:26:13.76 ID:3hnFdmkLo

女商人「鳥が……!」

商人「鳥の体から、なんか吹き出てるんだよ!」


魔法使い「……術の書き換えが中途半端だからかしら」

遊び人「や、やりましょう」

盗賊「無茶だって!」

戦士「おい、まずいぞ! 魔物どもが広間に入り込もうとしてやがる!」

魔法使い「……光の玉の効果が切れかけているのね」

遊び人「魔法使いさん、早く指示を。あといくつですか?」

盗賊「ああもう、分かったわよ! 一緒にやりましょう!」

遊び人「ありがとうございます」

魔法使い「……あと、二つで済む」

戦士「ちっ、早くしろよ!」


戦士が半球体を取り押さえ、遊び人が杖を握りなおす。


魔法使い(ああ、思ったとおりね)

魔法使い(私は、仲間に恵まれていたのよね……)

魔法使い(勇者、あんたもそう思うでしょ?)



89: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:26:46.92 ID:3hnFdmkLo

―――勇者は、全身を床に叩きつけられても、必死に駆けずっていた。

虎に語った言葉に嘘はない。
勇者は生き延びるだけで精一杯なのである。

前に向かって攻撃を仕掛けるのも、生き延びるためだ。
自分を省みず攻撃するように見えるのも、それが最善だと思うからだ。
勇者は無鉄砲なスタイルを自ら選んで戦いに挑んでいる。

地面を蹴って、とにかく動きながら虎の攻撃を避ける。
しかし、虎が足元の球体の破片を巻き上げて打ち付けてきたところで、とうとう勇者は動きを止めた。

殴られて、浮き上がる。

宙に浮いた頭で、呪文を唱えようとするが、思い浮かばない。
とにかく床をごろごろと転がりながら、追撃を避ける。

顎の辺りが妙な感じがしたので、勇者は袖に仕込んである薬草を上の歯で引き出した。
飲み込みながら、今度は反対側の袖をあさる。


勇者(くそっ、なんかねぇのか!)


その間にも、黒い巨体が近づいてくる。
あせる勇者の耳に、声が届く。


僧侶「勇者様ー!」

勇者(そ、僧侶さん)


勇者は声を出せないため、制止のポーズを取った。
が、僧侶の方は、もう回復呪文の詠唱を終えている。



90: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:27:13.52 ID:3hnFdmkLo

僧侶「癒しの輝きよ、わが友の苦痛を取り払え!」


僧侶の呪文に応えて、勇者の顎がみるみるうちに復元されていく。
虎魔物も、僧侶の姿を認めて、その場で停止する。


勇者「僧侶さんや、これは一対一で―――」

虎魔物「かまわねぇぜ! 回復くらいは認めてやらないとな!」

僧侶「悪しき魔物よ! やはり、お前の本性はそれなのですか!」

虎魔物「ああ、闘争こそが魔物の本能だ!」


虎が、地面を強く踏む。


勇者「僧侶さん、さがって!」

僧侶「勇者様、上です!」


虎は跳躍していた。
勇者の真正面に飛び掛り、勢いをこめて、広間の床を殴りつける。


がぎいぃっ! びしっ!


床が砕ける音がする。
二階部分の広間の床が抜ければ、こちらもひとたまりもない。



91: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:27:40.65 ID:3hnFdmkLo

虎魔物「勇者、俺は勝てるのか!?」


虎が吼える。


虎魔物「魔王様に勝ったお前に、俺は勝てるか!?」

勇者(十分勝ってるだろ)


勇者は僧侶を外側へ押し出し、代わりに自分は虎の方へ飛び込む。

虎がさらに地面を打って、勇者の足を止めようとする。
しかし、ヒビが広がり、重量のある虎を中心に、床に亀裂が入る。

かえってバランスを崩した虎に、勇者は剣を突きたてた。
無論、虎には刺さらない、その剣に向かって叫ぶ。


勇者「雷撃呪文!」


剣先を伝って、雷撃が虎に届く。
焼ける肉体に、もう一度、勇者は剣を押し出した!



92: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:29:03.53 ID:3hnFdmkLo

虎魔物「……これで終いか」

勇者「くそっ!」


虎魔物が自分の体にずぶり、と刺さった剣には構わず、手を組んだ。
握り合わせた拳を、高く掲げる。

勇者が剣を手放そうとした瞬間、ぶしいっ、と後方で何かが激しく噴き上がる音がした。
それは、鳥魔物が、闇を放出する音だった。

術式が書き換えられたのだ、「増幅」から「消滅」へ。


僧侶「ゆ、勇者様! 前を!」


気を取られた勇者は、勢いよく振り下ろされた虎の腕を、避けることができず―――

ごごん、という音が響く。
勇者に攻撃が直撃した音と、もう一つ、広間の床が衝撃で崩れ落ちたのだ。


僧侶「勇者様ーっ!」



93: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:29:30.79 ID:3hnFdmkLo

……広間の崩落に、虎も飲み込まれていく。
広がっていく穴に向かって、僧侶は飛び込もうと姿勢を取った。
その肩を、戦士がつかむ。


僧侶「せ、戦士さん、勇者様が……!」

戦士「落ち着け、崩れるぞ、こりゃ」

魔法使い「僧侶、勇者は」

僧侶「お、落ちてしまったのです! 助けなければ!」

魔法使い「……私が行くわ。僧侶は、けが人を抱えて脱出してほしいの」

僧侶「何を言うのですか!」

魔法使い「遊び人に、商人、傷が深くて回復がおっついてない連中を、そのままにしておけないわ」

戦士「それを言うなら、お前もだろ」

魔法使い「……大丈夫よ。蘇生魔法が、ちゃんと効いたみたいで」

戦士「いい加減にしろ!」

魔法使い「う」ビクッ

戦士「お前が勇者に助けたいのは分かるが、そんな場合じゃないだろうが!」



94: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:29:57.33 ID:3hnFdmkLo

戦士「……おい、お前ら!」

遊び人「な、なんでしょう」

戦士「魔法使いが、道を開く。お前らはそれにしたがって、脱出しろ」

女商人「分かりました」

魔法使い「……戦士」

戦士「魔法を使って、どうにかしろ。頭のあるのはお前くらいだろうが」

僧侶「私は、勇者様を追います!」

戦士「できれば俺も行きたいが、けが人どもを抱える必要があるからな」

魔法使い「……」

魔法使い「その必要はないわ」


魔法使いは服の中から小瓶を取り出した。
ぐいっと飲み干して、ふうーと息を吐き、天井を見上げる。

城が大きく揺れ始めている。
その天井をめがけて、魔法使いは大声を上げた。


魔法使い「爆裂呪文!」


どうどっどどどっ!



95: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:30:26.78 ID:3hnFdmkLo

魔法使い「あんたら、そこに集まって」


ぶち抜いた天井の真下に、魔法使いが四人を集める。


魔法使い「あんたたち、よくやってくれたわ」

魔法使い「あんたたちがいなかったら、もっとひどい様だったと思うから」

商人「は、はあ」

女商人「気持ち悪いです」

遊び人「……ありがとうございます」

盗賊「嫌な予感しかしないんだけど」

魔法使い「あとで報酬もきちんと払うから、許してね」

四人『は?』

魔法使い「強 制 移 動 呪 文!」


声を上げる間もなく、四人は空高く放り投げられた。



96: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/15(木) 23:31:10.30 ID:3hnFdmkLo

戦士「おい、お前!」

魔法使い「なによ、これが一番安全な脱出策でしょ?」

僧侶「それはそうかもしれませんが」

魔法使い「それより、何をぼさっとしているの、勇者を助けないと」

戦士「……ちっ、あのバカ、死んでないだろうな」

僧侶「早く、早く助けに行きましょう!」ダッ


僧侶がいち早く、穴へ飛び込んでいく。
それを追いかける魔法使いが、ぼそっと零した。


魔法使い「おうえ。やっぱり、魔法の聖水ってマズ……」

戦士「……馬鹿が、無理ばっかりしやがって」

魔法使い「そうでもないわよ」

戦士「してるんだよ。勇者もお前も」


戦士がわしっと魔法使いの頭をなでつける。


魔法使い「……ありがと」

戦士「俺につかまってろ! 降りるぞ!」


戦士と魔法使いも、暗い穴へと飛び込んでいった。



112: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:08:03.46 ID:JjlA0aggo

城の一階。

闇の中で、魔物がじわじわと消えうせていく。

虎が打ち抜いた広間の床が、瓦礫となって一階に崩れ落ちている。
その中心部に、鋼鉄と化した勇者が埋もれている。

……勇者は、殴られる直前に鋼鉄に変化していたのだ。
その変化が解けると、頭を振って闇の中に目を凝らす。

瓦礫を跳ね除けて、手探りする。


勇者「……どうなった」

虎魔物「お前の勝ちだ」

勇者「虎!」


暗がりの中で、虎が膝をついているのが見える。
……虎もまた、じわじわと消えかけている。


虎魔物「体が動かん」

勇者「……」

虎魔物「元々時間制限があるから、分の悪い勝負だったんだが」

虎魔物「まあ、こんなもんだろ」



113: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:08:55.95 ID:JjlA0aggo

勇者「勝ちたいんじゃなかったのか」

虎魔物「……魔物の本能は闘争だ、戦えれば、勝ち負けにこだわらんのよ」

虎魔物「勝者を称え、敗者は従う。それだけの話だ」

勇者「……」

虎魔物「ちょっとおしゃべりもしすぎたしな……」

勇者「魔物ってのは、本当に戦えればそれでいいのか」

虎魔物「あ?」

勇者「俺があった魔物は、別にそこまで戦いたがらなかったけどよ。仕事だからやってただけ、みたいな」

虎魔物「……」

勇者「つーか、魔王自体が、元々こっちの世界にケンカ売りにきたってより―――」

虎魔物「……そうだな」

虎魔物「魔王様は、力も強かったが、知恵もある御方だった」

虎魔物「そうだな、それこそ闇の力を拡散させず、自らにすべて集めきっていれば、お前らなんか造作もなかったかもな」

勇者「うっせ」



114: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:09:19.90 ID:JjlA0aggo

虎魔物「……力にひかれるあまり、俺も、力にこだわりすぎたのかもな」

勇者「……」

虎魔物「まったく、誰の役にもたたねぇことで……」


そのとき、天井が、二階の天井が激しい爆発音とともに砕け散った。
突き抜けた床と、魔法使いの爆裂呪文で吹き飛んだ屋根から、光が差し込んでくる。

そのまぶしさに、虎の姿が照らされる。

勇者は目を細める虎の前で、その天井に指を突きつけた。


勇者「……見ろよタイガー! 空が青いぜ」

虎魔物「あ?」

勇者「俺の雷撃が速いか、お前の爪が届くか、勝負してみないか」

虎魔物「……」

勇者「力を振り絞ってみろ! 役に立たないことだろうが、納得できないまま終わっていいのか!?」


虎魔物が、呆気に取られて勇者を見つめる。

しかし、それも数瞬。
にゃあ、と笑うと、前のめりに倒れこむようにして、ちょうど相撲を取るような前傾姿勢になった。



115: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:09:47.04 ID:JjlA0aggo

勇者「悪いが俺の魔法は速いぜ!」

虎魔物「抜かせ、あのときちゃんと殴られてりゃ、俺が勝ってたんだ!」


びりびり、と虎の毛から闇の力が吹き出てくる。
全身から抜けていく力に抗して目の前の敵をにらむと、虎の体内に熱が戻ってくる。

勇者もまた、指先から青い閃光をほとばしらせる。
すでに魔力はつきかけていたが、高鳴る心臓に応じて、閃光が勢いを増していく。

互いに目と鼻の先、虎が伸び上がれば、勇者に容易に届くだろう。
しかし、雷撃呪文の速さは、避けられるようなものではない。

ごんごん、と城が崩れる音がする。

そして、勇者を呼ぶ声が聞こえた瞬間、虎の体が跳ねた。


勇者「……雷よっ!」


びりっ、ばりぃぃいいっ!


―――青い雷と、黒い爪が交錯した。



116: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:10:15.49 ID:JjlA0aggo

僧侶が叫ぶ。


僧侶「勇者様! 勇者様!?」

戦士「穴に垂直に落ちたんなら、この辺だと思うんだが……」

魔法使い「危ない!」


魔法使いの声に、二人が足を止める。
その声の前方で、青い光が天井から落下する。

爆発音。


戦士「……!」

僧侶「ゆ、勇者様……!」

魔法使い「……」


閃光が収まる、といっても城の崩壊は止まらないのだが。

三人が、そちらに駆け寄ると、黒く焼け焦げた巨体が、うつぶせに倒れている。


僧侶「勇者様、勇者様!」


僧侶が駆け寄って、その巨体を引き剥がす。
下敷きになっている勇者が、顔をのぞかせた。



117: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:10:44.00 ID:JjlA0aggo

僧侶「勇者様! こんなところで、嫌です!」

戦士「落ち着け、やつは無事だ」


僧侶が勇者を揺する手を、戦士が止める。
目を閉じていた勇者が、うめき声を上げた。


勇者「……無事じゃねーよ」

魔法使い「元気そうで何よりだわ」

勇者「ああ? 俺のどこが元気に……って、お前、どーした」

魔法使い「戦士に姫抱っこされてる」

勇者「そういうことじゃねえって、顔! 鼻血とか傷ついてんぞ!」

魔法使い「……目の前で爆弾石を破裂させたからね。しょうがないわ」

勇者「だーっ、女なんだから、顔に傷つけてどうすんだよ」

魔法使い「なに、心配してくれるの?」

戦士「いちゃつくのは後にしろよ」

僧侶「勇者様、回復をしましょうか!?」

勇者「あ、ああ……いや、脱出しよう」



118: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 22:11:10.98 ID:JjlA0aggo

魔法使い「崩れそうだしね、懸命な判断だわ」

勇者「よしっ、ちょっと、起き上がれないから、手を貸して」

僧侶「はい、どうぞ」


勇者は僧侶の手を取って、ぐいっと引っ張りあげられた。


勇者「……誰が開けたか知らんが、天井に穴が開いているからな。移動呪文を使うぞ」

戦士「おう」

僧侶「これで、終わりなのですね」

魔法使い「この場ではね……」


互いにつかまりあい、陣を組む。

勇者は、傍らに倒れている魔物を見た。
仰向けにひっくり返った姿は、次第に消えていく途中にある。


勇者「あばよ、虎」


勇者は移動呪文を唱えた!



124: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:00:50.14 ID:JjlA0aggo

―――『勇者の町』。

勇者「なんつーか、有事が終わっちまうとな」

勇者「勇者的にはやることがないんだよなー」

勇者「町長っつっても、行事のあいさつくらいしかすることないし……」

勇者「ごろごろしてっと、それはそれで魔法使いとか怒るし」

勇者「戦士は出産でてんやわんやだし」

勇者「僧侶さんは北国でまた慈善事業してるみたいだし」

勇者「……」

勇者「戦争でもおきねぇかなぁ」

魔法使い「おい、クソ勇者」ガラッ



125: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:09:07.37 ID:JjlA0aggo

勇者「なんだよ、またお前かよ」

魔法使い「あんた、ちょっとは少女ちゃんを見習いなさいよ」

勇者「ああ、あの子がどうかしたのか」

魔法使い「町長代理ってことで頑張ってるじゃない。あんたよりも」

勇者「そもそも、俺が町長を引き受けるって話もなかったよな?」

魔法使い「わざわざ、あんたでも出来そうな仕事を見つけてあげたのに……」

勇者「面倒ごとを押し付けたってやつだろ、それ」

魔法使い「文句があるなら、少女ちゃんと結婚でもしてあげなさいよ」

勇者「はぁ? なんで俺があのちびと結婚せにゃならんのよ」

魔法使い「町長代理の正当性が立たないからよ」

勇者「……意味が分からんけど」

魔法使い「そこらへんの小娘が町長代理ですって、どう考えてもおかしいでしょ」

勇者「まあ、そうかもしれんが……」

魔法使い「ところが、勇者と結婚して町長夫人となれば、どう?」

勇者「あーあー、聞きたくねぇ」



126: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:18:20.74 ID:JjlA0aggo

魔法使い「女王様との結婚も断っちゃうし」

勇者「あー、南国の姫様か? 国王が亡くなったから」

魔法使い「そうよ。求婚されたのに、わざわざ断りの手紙を書いたんでしょ」

勇者「……なんかあれで結婚すると、俺が国王を暗殺して地位についたみたいに見えねーか」

魔法使い「一時期は尻をおっかけてたくせに」

勇者「……俺、あのときは姫様って肩書きと結婚したいだけだったんだよなー」

魔法使い「……」

勇者「なんだよ」

魔法使い「ドン引きだわ。こいつ、マジでクズ勇者じゃね?」

勇者「違うだろ! 勇者のイメージとな、ギャップに悩んでたってわけだし!」

魔法使い「だって、女王様、あんたにラブラブじゃん」

勇者「って言うんだけど、実際はウソだろ、それ」

魔法使い「……あ~あ」

勇者「なんだよ」

魔法使い「女王様マジでかわいそ。侍女ちゃんも愛人にしてあげればまるっと収まるのに」

勇者「いや、だからな」



127: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:24:42.62 ID:JjlA0aggo

勇者「そういうお前はなんなの? 事務所は武闘家にまかせっきりだし」

魔法使い「まーね。私、結構飽きやすい性格みたいで」

勇者「じゃあ俺と同じじゃねーか! さげすみはやめろ!」

魔法使い「あんたと一緒にしないでくれる?」

勇者「……待てよ。この流れで行くと、お前も俺と結婚したいとか?」

魔法使い「勇者夫人となったら、何でもできそうよねぇ」

勇者「やっぱなしだわ。お前はありえん」

魔法使い「じゃあ、誰と結婚したいのよ?」

勇者「誰とって……」

魔法使い「女商人とか?」

勇者「また次点でありえないやつを持ってくるなよ」

魔法使い「お似合いそうじゃない。頑固なところとか」

勇者「後輩指導に忙しいんだろ。飛び回ってる嫁ってのもどうもな」

魔法使い「……」

勇者「なんだよ」

魔法使い「あんた、細かいところで残念な人間性を発揮するわよね」

勇者「知らねぇよ!」



128: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:34:23.23 ID:JjlA0aggo

側近「うおーい、アホ勇者!」ガラッ

魔法使い「あら、アホ悪魔」

勇者「おお、アホ悪魔」

側近「……」

勇者「早く言えよ」

側近「あんた、私のお菓子屋さんに子猫と子鳥を置き去りにしたでしょ!?」

勇者「お前のところに、育て屋さんがいるじゃんか」

魔法使い(自分でお菓子屋さんとか言っちゃうセンスに脱帽)

側近「竜魔物は育て屋じゃないっつの!」

勇者「だって、俺、動物とか飼ったことないしよ」

側近「だからって……おい、なんか言いなさいよ、魔法使い」

魔法使い「まあ、良いんじゃない? あんたのところの方が」

側近「なんでよ! 動物の毛は困るんだから!」


魔法使い「……南国から拾ってきたってやつ?」ヒソヒソ

勇者「あー、うん、そう」ヒソヒソ

魔法使い「あんたもロマンチストね」ヒソヒソ

勇者「……ん、まー、でも、将来の大魔物になるかもしれんぞ?」ヒソヒソ



129: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:46:39.13 ID:JjlA0aggo

勇者「……あ、そうだ。側近」

側近「な、なに」

勇者「こないだの話なんだけど」

側近「あ、あー、魔界への道のこと?」

魔法使い「―――なんですって?」

勇者「おう、どうだ。開きそう?」

側近「ぶっちゃけ、まだ全然見当がつかないわ」

魔法使い「おい、勇者」

勇者「なんだよ」

魔法使い「この世界と魔界をつなげて、どうするつもり?」

勇者「そりゃお前、魔界侵略だよ!」

魔法使い「闇の底に……」

勇者「冗談だ」

魔法使い「……側近、何をたくらんでいるの、こいつ」

側近「さあ? ただ、魔王様の遺志がどうとか」

魔法使い「……勇者」

勇者「おう、実はな……」


勇者「……魔界と通商条約を結ぼうかと思ってな」



130: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/16(金) 23:56:16.86 ID:JjlA0aggo

側・魔『通商条約?』

勇者「うん。よーく考えるとな、魔王がしたかったのって、侵略っつーより、雇用対策の方が大きかったと思うんだよ」

魔法使い「……」

側近「そ、そうかしら」

勇者「侵略できるくらいの軍事力があるってことは、そんだけ頭数が余ってるわけで」

魔法使い「まあ、わざわざ命かかってるところに長期で出たりしないわね、普通は」

勇者「なんか危機感を持って出てきたっていうよりは、案外、適当だしな、魔物って」

側近「馬鹿にしてんの?」

魔法使い「……実際、どうなの?」

側近「う、うーん、まあ、食うに困ってる連中が多かったかしら……」

勇者「だろ? んだから、交易でもすりゃ、仕事になるじゃん」

側近「……」

魔法使い「いや、無理でしょ」

勇者「なんでだよ。結構、いいアイデアだと思ったんだが」

魔法使い「だってこいつら、馬鹿みたいに力強くて、こっち見下してるじゃない」

側近「目の前でそれを言うか」



131: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 00:08:12.41 ID:WJwKpB6Ro

魔法使い「だったらあんたは見下してないっていうの?」

側近「何よ! あんたこそ、私をアホ扱いしてるじゃない!」

魔法使い「……」

勇者「お、そうだ! 企画書つくれよ、魔法使い!」

魔法使い「はあ?」

勇者「このアホでも人間と交易を結びたくなるような計画をつくるんだよ!」

側近「おい」

魔法使い「……まあ、自分中心に考えている連中とやりあう方法はなくはないけど」

勇者「よっしゃ! そしたら、何が必要だ?」

側近「いやあの」

魔法使い「魔界に通じる道は、こいつに探してもらうとして、やっぱり魅力的な商品がこっちにも欲しいわよね」

勇者「あ、そうか……戦士に相談してみるか!?」

魔法使い「アルコール類は魔王城にもあったし、行けるんじゃないかしら」

側近「ねえ、ちょっと」

勇者「よし、そうと決まれば、早速、戦士のところに行ってくるわ!」ガラッ

魔法使い「バカ、まだ相談することがあるわよ!」

側近「ちょっと待ちなさい!?」



132: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 00:12:01.71 ID:WJwKpB6Ro

かくして、再び冒険が幕を開ける。
勇者の行く手には、様々な困難が待ち受けている。
……大半の困難は、自分で作っているような気がしないでもないが。

しかし、必ず彼は立ち向かうだろう。
勇気ある者、それが勇者なのだから。

―――たとえその困難が、無職であっても。


おしまい。



134: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 00:20:06.51 ID:WJwKpB6Ro

お、おおお、終わった。終わりました。
みなさん、ありがとうございました。

勇者は強くてかっこいいんでいいと思いながら書き始めましたが、
案外格好悪くて、弱いけど、諦めない感じになったのではないかと思います。

リクエストに答える形で続きを書いたので、ぶち込むだけぶち込んでやれ、と出来る限りやっちまいました。
途中途中で自分でも辛くなりながら書きましたが、この辺でこの話はおしまいにしたいと思います。

勇者SSは以前にも兄と妹で書いたんですが、こんなに長くはならなかったなぁ……。
次回もよろしくお願いします。



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/03/17(土) 00:37:12.18 ID:bX4x/Zn0o


とても面白かった



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/03/17(土) 00:42:14.31 ID:PJr23J2lo

乙!!
最高だったぜ



156: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:29:57.33 ID:WJwKpB6Ro

おまけ。

『少女と結婚したら』

少女「お兄ちゃん、起きて」

勇者「……寝かせてくれ」

少女「昨日あんなに激しかったから?」

勇者「激しいってお前、口げんかだろ」

少女「だって、お兄ちゃんが認めてくれないから」

勇者「あたりめーだろ!? なんで勇者が公営ギャンブル認めるんだよ!」

少女「だって、スラちゃんがいっぱいいるんだよ!?」

勇者「やっかましいわ! スライム牧場だけじゃ飽き足らず、スライムグッズ屋にスライム銀行まで作りやがって!」

勇者「その上、スライムレースまで認められるか!」

少女「別にお金は賭けないもん」

勇者「却下だ、そんなもん! 裏で絶対やる連中が出るんだし!」

少女「なんでいけないの」

勇者「お前なー。生意気だとは思ってたけど、そういうことをする子じゃないと思ってたんだけど」

少女「……仕事しないからでしょ?」

勇者「あ?」



157: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:30:32.10 ID:WJwKpB6Ro

少女「お兄ちゃんが町長の仕事をしないからでしょ?」

勇者「ばっ、お前、あっちこち飛び回って定期船の航路開拓とかやってますし」

少女「お家にいたくないから、飛び回ってるんだ」

勇者「そうじゃねーって」

少女「私が嫌いだから、お家にいたがらないんだ」

勇者(めんどくせー!)

スラ「ぴーっ、ぴーっ!」

竜魔物「……町長、夫人、町内会議の準備が出来てますが」

少女「はーい! 今行きます!」

勇者「うそなきしてんじゃねーよ!」

少女「……私がまだ幼いから、夜もしてくれないんでしょ」

勇者「頭痛いから勘弁してくれます?」

少女「じゃあ、ゼンギからでいいよ、ゼンギ」

勇者「意味知らないで使ってるだろ!」



158: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:31:09.74 ID:WJwKpB6Ro

『南国の姫と結婚したら』

女王「勇者様、またお忍びですか?」

勇者「い、いや、まあ」

女王「冒険者の方がいらっしゃいますよ? 冒険の書をつけるお仕事が残ってますのに」

勇者「だあってよー、ずっと座りっぱなしはキツいっつーか」

女王「暇さえあれば、出かけていってしまうのですから……」

勇者「俺はやっぱり国王には向いてねーよ」

女王「……」ウルウル

勇者「あー、すみません、謝るから、泣かないでくれ」

女王「……こうなったら、北国みたいに議会を開いてしまおうかしら」

女王「そうしましたら、暇な間に勇者様と一緒にあちこち……」

勇者「ええ~? 北国なんか大揉めに揉めてるじゃん」

女王「だって、勇者様がいないと、夜も寂しいですし」

侍女「猥談ですか?」サッ

勇者「てめーはくんじゃねーよ!」



159: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:31:40.19 ID:WJwKpB6Ro

侍女「おやおや? 私にも関係があると思いますがね」

女王「……勇者様?」

勇者「だー! 側室扱いにするって言ったのは姫様だろ!?」

女王「それで最近、量が……」

侍女「まあ、城内に元遊び人さんもいますしねぇ」

女王「え、え、あの方、学者様ではなかったのですか? それに確か男性だと……」

侍女「それが夜の方もすごいらしいんすよ」

女王「まあ……」

勇者「ふざけんな!」

侍女「それはそれとして、お茶が入りまして」

女王「ありがとう。そろそろ侍女さんも、お茶を淹れられる立場になりますからね」

侍女「てめーの茶くらいてめーで入れますよ」ズビズバー

勇者「人の話を聞いてくれぇ……」



160: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:32:06.36 ID:WJwKpB6Ro

『僧侶と結婚したら』

僧侶「勇者様、休憩にいたしましょう!」

勇者「へ~い」

僧侶「……本当に、勇者様がいてくださって、助かりますわ」

勇者「助かるも何も、俺は僧侶さんの旦那なんだから」

僧侶「そ、そうでしたわね」

子ども1「先生、顔が赤くなってるよ?」

子ども2「ひゅーひゅー」

僧侶「からかうんじゃありません!」

勇者「お前ら、もっと褒め称えろ! 俺の奥さんは一級だろ?」だきっ

子ども達『わあーっ』

僧侶「きゃあ! 勇者様、降ろしてください!」

勇者「ガキどもにはちゃんと見せ付けてやらんといけませんからねー!」

僧侶「降ろさないと痛いですよ」

勇者「はい」ストン



161: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:32:33.19 ID:WJwKpB6Ro

勇者「……降ろしたのに殴られた」

僧侶「あ、当たり前です!」

勇者「それにしても、僧侶さんが北国に住み着いちゃうなんてな~」

僧侶「ええ、まだまだ困っている子ども達がいますから」

勇者「修道院にでもすれば、貴族連中から寄付をもっとふんだくれたんじゃ?」

僧侶「そ、それでは……勇者様と一緒にいられませんでしたから」ポッ

勇者「そ、そっか」

僧侶「もじもじ」

勇者「貴族とかいたのに、良かったんですか」

僧侶「私は、自分の心に従ったまでです。なにより、勇者様が……」

子ども1「わ~、勇者も顔が真っ赤だ!」

子ども2「エロい!」

勇者「よーしお前ら! そこまで言うんなら今から性教育な」

僧侶「……勇者様?」ヒュウッ



162: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:33:15.33 ID:WJwKpB6Ro

『女商人と結婚したら』

女商人「勇者。領収証が足りませんけど」

勇者「ああ~? 戦士のとこ行った時のやつだろ、領収書なんぞねぇよ」

女商人「いい加減にしてくれます? ごまかしは」

勇者「あ、あのな……出張経費をそこまで細かく管理したって、余銭は出てこないだろ」

女商人「あなた、本気で言っているんですか?」

勇者「な、なんだよ」

女商人「『勇者商会』の設立から何年経っていると思っているんですか。各国から調査が入ってきていることを知らないんですか!?」

勇者「ま、まあ、そりゃそうだけどさ」

女商人「一番中心になるべきあなたがそんなに適当でどうするのですか!」

勇者「いや、でも、プライベートでいいじゃんか」

女商人「振り分けるには、まず全部出してもらわないと、こ・ま・る・のですよ!」

勇者「……ヒステリックな」

女商人「……」



163: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:33:47.73 ID:WJwKpB6Ro

女商人「そりゃ、私はヒステリックで可愛げがないけど……」

勇者「お、女商人?」

女商人「あなたに選んでもらって、二人でがんばろうって……」

勇者「わ、悪かった! ちゃんと出すから! だから泣くな、な!?」

女商人「……私のこと、嫌いじゃない?」

勇者「嫌いじゃなかったら、隣にいないだろ!」

女商人「ホントに?」

勇者「ホントだよ、こういうところは面倒だけど」

女商人「ならいいです。一人目が出来れば、責任感も出るでしょうし」

勇者「な、なに」

商人「旦那~! 師匠~!」

女商人「入室の際の礼は教えたはずですが」

商人「あ、失礼しました。南国支店の報告に来ました!」

勇者「おい、お前、おい」

女商人「あなたは早いところ、抜けた領収証を持ってきてください」



164: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:34:49.08 ID:WJwKpB6Ro

『遊び人と結婚したら』『側近と結婚したら』『マスターと結婚したら』……


勇者「……おい、いい加減にしやがれ」

魔法使い「なにかしら?」

勇者「俺は、魔界との通商条約の計画を作れって言っただろうが!」

魔法使い「だから、別に作ってあるでしょ」

勇者「誰がついでに俺の家族計画まで作れって言った!?」

魔法使い「小芝居まで入れたんだから、ほめて欲しいわ」

勇者「大体、なんだ、これ、その、なんか男とか、異種族とかいるし……」

魔法使い「あら? 嫌なの?」

勇者「そういうことじゃねーよ!」

魔法使い「ハーレムを作るとなると、今度こそ大戦争になりそうだし。さすがにそこは自重したわ」

勇者「だから、そこじゃねーって!」

魔法使い「……あんたのお母さんが、マジで私をくっつけたがってるからでしょ」

勇者「……しらねーよ。女商人のたわ言を真に受けただけだろ」

魔法使い「ともかく、向こうはやる気満々なんだから、誰か選びなさいよ、マジで」

勇者「あのなぁ、俺にはまだその気はないんだよ」

魔法使い「じゃあ、強制的に私とになるけど」

勇者「ぐうっ……」



165: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:35:25.93 ID:WJwKpB6Ro

勇者「……なんとかならんのか? モテ過ぎてすると命に関わるとか言って」

魔法使い(マジだから困る)

勇者「まだ若いつもりだから、結婚する気はないし……」

魔法使い「じゃあ、視点を変えなさい。ちゃんと計画に書いたけど、自分がどの仕事を取るかによって、選ぶ相手が変わってくる、と見たらどう?」

勇者「はぁ?」

魔法使い「肩書きがどうのって言ってたけど、この町で町長をやるならあの小娘、南国に戻るなら女王様、とか」

勇者「お前なー、そういうのは卑劣だろ」

魔法使い「……じゃあ、一番好きな娘と結婚すれば?」

勇者「一番好きな娘って、大体、お前、あれだ、相手の思いも大事だろ。こういうのは」

勇者「明らかに、俺を嫌ってるだろうってやつもいるしさ」

魔法使い「……あ~あ」

勇者「なんだよ」

魔法使い「いいえ。勇者なんだから、やりたい放題やっても、喜ばれると思うんだけどなーて思って」

勇者「なんだ、そのクズ野郎」



166: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:36:01.14 ID:WJwKpB6Ro

側近「おい、ちょっとぉ!?」ガラッ

勇者「またお前か」

魔法使い「ほら、魔族との架け橋とかどう?」

勇者「……やめてくれ、マジで」

側近「何の話よ。それより、あんたたちにもらった子猫が、なんか立ち上がってるんだけど!?」

勇者「……え、マジでマジなのか?」

魔法使い「魔王のかけらの影響? でも、魔物は元から魔物のはずだし……」ブツブツ

側近「あのね、そういうのはいいから、もうあんたたちが引き取りなさいよー!」

勇者「いや、お前に懐いてそうだし、お前が育てろや」

魔法使い「お菓子屋さんのマスコットにすればいいじゃない」

側近「あんたたちが両親みたいなもんでしょ、むしろ」

勇・魔『勘弁してください』


ちゃんちゃん。



167: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 21:39:20.48 ID:WJwKpB6Ro

もふもふは、もふもふは、想像に任せるッ!
みんなの心の中で成長譚を描いてくれ!

今度こそこれでおしまいなの……

次回は勇者SS以外になると思うので、また、どこかで。



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/17(土) 21:53:18.22 ID:JCo47kDPo


楽しかったわ



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県):2012/03/17(土) 23:57:32.57 ID:0iq2GAd6o

おつお
虎の洞窟日記楽しみにしてたんやで?



176: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/17(土) 23:59:37.50 ID:WJwKpB6Ro

あ……洞窟日記……
よし、もうちょいがんばる



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/03/18(日) 00:25:54.06 ID:Mbhiy9mRo

よっしゃ、もうちょいがんばれ



186: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:26:17.03 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

今日から四天王として働くことになった。

そしたら、悪魔族の娘が複写式の日誌をつけて報告書にしろ、と言ってきたので、書き留めることにする。

ちなみに、この複写式の日誌は魔王様の考案らしい。
あの方は機械系の商品開発部に所属していたが、力と出身で判断する職場に嫌気がさして、クーデターを起こしたそうだ。要するに魔法とか細かい仕掛けを考えるのが好きなタイプだっつーことだ。

力で判断するのが嫌だって言っても力で魔界統一してんだけどな。』

『某月某日
鳥のやつが悪魔族の娘をいじめていたので、殴っておき、魔王様にチクる。

娘が「ありがとタイガー、うえっへっへ」と気味悪く笑ってきたので、こいつも殴る。

お前だろ、変な呼び名はやらせようとしてるの。

その後、娘がガチ泣きし始めたので、菓子をおごってやる。』



187: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:28:02.24 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

人間界に侵攻する。人間どもは歯ごたえがないが、魔界よりも空気が悪い。
日差しも明るすぎる。

魔王様がいろいろ考えているみたいだ。』

『某月某日

暇なので魔王城の兵士と戦闘訓練。

かなりの数を病院送りにすると、龍のやつがキレる。
「竜人型のブサイクなやつらとはいえ、仮にも近衛兵だぞ!」

担架で運ばれてるやつらが感動して泣いていた。

ムカついたので、龍とケンカ。

なお、魔王様にばれてダブルビンタ。いてぇ。

やっぱり竜人タイプより、普通のドラゴンの方が美形なのかね。』

『某月某日

魔王様が闇の力を世界に広げる。

これであちこちに侵攻できるとのこと。』



188: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:29:51.18 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

四天王の行き先も決まる。

鳥は北国、龍は極東(西の海をずっと行くとたどり着けるそうだ)、骨は中央海に、俺は北極……北極ってどこだよ?

それと、南部に古代の遺跡ありとのこと。

何でも数代前の魔王様が使った居城で、大型農耕機械を呼び出せるかもしれないとかなんとか。』

『某月某日

出発パーティーをする。

鳥のやつが、魔王様から離れるってんで泣きじゃくる。自業自得だろ、お前。
悪魔族の娘が側近になったのも、こいつが変な噂を流したのがきっかけだし。

大体、参謀希望って、鳥はパワータイプなんだよな。

その側近は、魔王様とデュエットしていた。なんとなく精神性が似ているのかもしれん。
魔法とか得意みたいだし。

俺はせっかくなので、魔王様と手合わせしてもらう。
結果は惨敗。本気になると強いんだよな。』



189: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:31:10.48 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

とりあえず、現場に到着。

くっそ寒い!

毛皮があるからって、あったかいわけじゃねぇ!

拠点になる洞窟に行くと先行していた部下や、現地で採用した氷の魔人が出迎え。
リアルに寒いんだけどよ、お前ら。』

『某月某日

洞窟に荷物をおいて、周辺を見回りする。
なんかそもそも雪だらけで人家が少ない。

どうすんだ、マジで……。』



190: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:33:12.98 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

連絡係の魔物がやってくる。

話によると、人間どもの冒険者の中に勇者ってのがいて、そいつらを待ち受けるって任務らしい。
精霊の加護を受けた化け物みたいなやつだとか。

そういえば、そんな話だったかな。

部下どもはいきり立ったが、なんとなく嫌な予感がする。』

『某月某日

勇者は来ない。

まあ、すぐ来るようなもんでもなかろうと思い、洞窟の整備や宝箱の設置を指示する。

ついでに外回り。人間を発見するが、川向こうなので、襲えず。
暇なので、吼えてビビらせる。』

『某月某日

勇者は来ない。というか、冒険者が来ない。

せっかくなので、内装を調えようと思い、カーペットを注文。』



191: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:34:38.97 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

勇者は来なかった。冒険者も来なかった。

つーか、こないだ見かけたやつ以外の人間を見ていない。』


『某月某日

連絡係に、本当に勇者ってのがいるのか、確認する。

冒険者はたくさんいるし、それなりに手強いのもいて、よくわからんそうだ。

じゃあ、北国攻める鳥や、東から影響を与える龍と違って、俺がいる意味はなくね?』


『某月某日

今日も勇者は来なかった。
せっかくなのでカーペットを洗濯したら、寒さで凍った。

部下の氷の魔人が「ぶっちゃけ嫌がらせっすよね……この任務」とつぶやいていた。

多分、俺が訓練だからと調子に乗って、魔王城の連中を一通り病院に叩き込んだせいだと思う。
すまねぇ、みんな。』



192: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:36:14.47 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

北東地方に遠征することにした。
このままここにいても腐る!

全員一致で行軍しながら戦闘訓練を兼ねる。
途中で現地の魔物や人間がいたので、適当に殴る。

古びた塔があったので、みんなでマラソン。

最上階に人間どもがお宝を抱えていたので、戦闘。
なかなかの強敵もいたが、「盗賊団の親分」で勇者ではないという。

あと一歩まで追い詰めたが隙を突かれて逃げられる。
幸い、お宝を残していったので、洞窟の財宝と部下の給料代わりにいただいていく。』


『某月某日

日をおいて帰ってくると、連絡係がキレて待っていた。

なんと、あの龍がやられたらしい。

東にいたから、南下すりゃ会えたかな、と言うと連絡係がさらにキレたので殴る。
ついでにペロペロしてやった。』



193: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:37:29.02 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

勇者は来なかった。が、いるのは分かってるんだから、今日も訓練と遠征の計画を練る。
ウキウキしていると、連絡係に外出禁止令を出される。

当然殴る。

ついでにペロペロとモフモフして抵抗力を奪う。』


『某月某日

勇者は来なかった。が、なんと冒険者がふた組も来た。

連絡係が宣伝? したらしい。

張り切ってぶっ飛ばす。』


『某月某日

打って変わって人間が来なくなる……なぜだ……。』



194: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:38:52.73 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

勇者はまだ来ない。
いいかげん、待ち仕事は飽きたぞ!』


『某月某日

闇の力が失われた。

その力によって存在していた氷の魔人がただの氷塊になってビビる。

その他の部下を、魔王城へ遣いに出す。』


『某月某日

部下が帰って来ない。
連絡係も来ない。』



195: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:40:38.12 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

連絡係がボロボロになってやってくる。魔王様がやられたらしい。

嘘だろと思ったが、本当らしい。

闇の力が消えた影響で、下級の魔物は魔界の穴に吸い出されたり、弱体化したりしたそうだ。

手当てをしたが、連絡係も弱って死にそうになっている。
モフモフさせてやると笑った。』


『某月某日

魔王様もやられたとなれば、俺もいよいよ危ないだろう。
単独で活動はできるが、弱体化している。

この辺は人間があまり来ない地域ではあるのだが……。

連絡係に身の振り方を聞く。

転生術みたいなものがあるので、闇の力にも光の力にも影響の少ないスライムに転生して、仕事をしたいという。

死んでも仕事をするってアホか! と叱ったのだが、割りと頑固だった。』



196: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:43:04.59 ID:pdDIjHDIO

『某月某日

いまだに人間どもは攻めてこない。

ひょっとして、俺は勇者に知られてないんじゃなかろうか。

連絡係は、スライムになったら記憶を失ってしまった。
野良だが、一応、魔王城の方に逃がしてやる。』


『某月某日

やっぱり待ってるのは良くねぇな。北国まで行って、鳥のやつでも探そう。』


……ここで日誌は終わっている。



197: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:46:55.99 ID:pdDIjHDIO

子虎のモフモフ日記

『○月×日

勇者が変な子猫と小鳥を店の前においてきた。
仕方がないので、タイガーとバードという名前をつける。

タイガーもバードも案の定、私に反抗的だ。
ミルクと水を用意して、スイーツに使っている木の実やベリー類などもチェック。
トイレまで準備しておく。

なんで私がこんなことを……。』
側近


『○月△日

タイガーちゃんもバードちゃんもカワイイ~♪
タイガーちゃんはスラちゃんと仲良しなんだよ! いつもぽよぽよして遊んでるみたい。

バードちゃんは撫でさせてくれないけど、餌を食べてるところを見られると、照れてぷいっとしちゃうの♪

モフモフしてるの~』
少女



198: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:47:58.85 ID:pdDIjHDIO

『△月×日

勇者が、南国城の遺体捜索の際に見つけた子猫と小鳥なんだけど、成長の様子を追うと、明らかに魔物に近い感じがする。

闇の力が抜けると、動物に戻るなんて話は聞いたことないし、側近も「配合」とかよく分からないことは言っていたが、虎魔物や鳥魔物に使える術ではないという。
私も、勇者をロマンチストだと笑ったんだけれど、このままってのも……。

人類の敵だし、生かすか[ピーーー]か悩んだが、うまく育てれば魔界との交渉に使えるかもしれない。
けど、そういう視点で見るのも成長に良くないと思う。

子猫ってカワイイわね~』
魔法使い


『△月△日

チビ虎とチビ鳥が立って歩くようになった。
俺に会うたび突っかかってくるから困る。

ちゃんと育てろ、側近。』
勇者


『知らないわよ!』
側近



199: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:48:40.83 ID:pdDIjHDIO

子虎「あ、ゆうしゃだ、ゆうしゃ!」

小鳥「ゆうしゃ! ゆうしゃ!」

勇者「うるさいな、ガキども」

子虎「ゆうしゃ! たたかえ!」

勇者「ああ、お前らが大きくなったらな」

子虎「おれはもう大きいぞ!」

勇者「ほーう、まだ抱えられるくらいには小さいがな」ヒョイ

子虎「うお、よ、よせ」

勇者「ほーれ、もっふもふ~」

小鳥「ゆうしゃ、しになさい!」ゲシゲシ

勇者「蹴り倒すぞ、お前」ぽいっ

小鳥「きゃっ」

子虎「ふん、こうかいするなよ」



200: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:51:06.78 ID:pdDIjHDIO

勇者「お前ら、戦うだけの無能だと生き残れないんだぞ」

虎鳥『マジでっ』

勇者「マジだ。どいつもこいつも嫌がって、誰も雇ってくれなくなる」

小鳥「わ、わたし、おみせのおてつだいしてますから」

子虎「おれも、ぼくじょういってるし」

勇者「うむ。だが、それに加えて、友達や仲間がいると心強い」

小鳥「と、ともだち……」

子虎「なかま……」

勇者「もっと大事なものがある。知恵だ。頭を使わなけりゃ、仲間がいても烏合の衆だからな」

勇者「うひひひ、お前らのその態度じゃ仲間も知恵も手に入らんぞ」

小鳥「と、ともだちくらい……」

子虎「あ、あたまわるく、ないし」

側近「なにいじめてんのよ」

勇者「あたっ」



201: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 18:51:52.32 ID:pdDIjHDIO

魔法使い「子どもはちゃんと愛情持って接しなさいよ?」

勇者「けっ、うっせ」

側近「ほい、ガキども。お姉さんがおやつを作ってきたわ。手を洗ってきなさい」

鳥虎『はーい!』タタッ

勇者「うーん、成長したなぁ。側近も」

側近「こいつ殴られたいの?」

魔法使い「成長した成長した」

側近「なんなのよー!」

勇者「まあ、生温い目線はともかく、そろそろ会議しようぜ」

魔法使い「側近、お菓子って私の分もある?」

側近「あるわよ」

魔法使い「うし! 勇者、食べながらやるわ」

勇者「へいへーい」



202: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 19:03:46.14 ID:pdDIjHDIO

これで終わりです。

Q:魔法使いルートなん?
A:勇者は結婚したがらないと思うのです。
なので、一番結婚しないで自然な相手かなーって。
ただし、勇者が素直に好きって言えちゃうのは僧侶だったりして。

Q:魔法使いはデレないの?
A:デレません。怒りの方向で振り切れて喜びはためちゃうタイプなので……。
スイーツの時とかも、

魔法使い(なんなのよ! ブレスシャーベットとか、魔界めっちゃいきたいわ~!)

とか、内心大はしゃぎですし。


それでは次回があれば。



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/18(日) 19:06:06.83 ID:1IgkGr09o

お疲れさんでした
最初から最後まで、おまけまでおもしろかったよ



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県):2012/03/18(日) 19:57:04.34 ID:+mad+NNBo

お疲れ様
次回作があれば期待してます



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽):2012/03/18(日) 21:52:47.17 ID:4zPathDAO

乙。
これでお終いなのが残念でならねぇ



207: ◆WPwc2pN1N6:2012/03/18(日) 22:07:35.04 ID:nso7eZZUo

こんだけ応援をいただけると、背中を押されるような形で続きを書いて、
つたないながらも週3ペースくらいで書き続けて、やるだけやった甲斐があります。
本当にありがとうございました。
また楽しんでもらえるように、がんばります。



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/03/18(日) 22:33:58.77 ID:TO+lsvfqo

お疲れ
楽しかったぜ



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/18(日) 23:53:16.64 ID:351DjWjto

おつおつおつ!
楽しかったよ!ありがタイガー



転載元
勇者「世界救ったら仕事がねぇ……とか言ってる場合じゃねぇな!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1331391378/
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         コメント一覧 (63)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 17:58
          • 5 懐かしいSSを有難う。速報でこのSSが終わるまで、毎日かかさず更新を確認してた時期があったわ
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 19:22
          • な、なげえ・・・
            気づいたらこんな時間だ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 19:40
          • これだから勇者系SSはやめられない
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 21:06
          • めっちゃ面白かった。
            ただ見過ぎたから明日のテストヤバス
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 21:37
          • 5 長い、ひたすら長い
            でもそれに見合うだけ面白かった
            長さが読み応えになるって凄い
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 21:54
          • 面白かったー

            少女のスライムがタフでおまけに炎吐けたってことは……つまりあのスライムは……
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 23:36
          • 5 ヤバい

            かなりの良作!
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月25日 23:45
          • 長いのに全部面白く読めた。
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 00:15
          • 5 魔法使いちゃんペロペロ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 00:38
          • 5 キャラが全員素晴らしい
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 01:05
          • 全体的にスレイヤーズの本編を彷彿とさせる話だったな、雰囲気とか。

            細かいとこだと生きたままの肉塊とかも
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 01:07
          • 5 竜人さんのスライム牧場の行く末が気になる(・ω・)
            干しスライムは名産になるのかw
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 01:33
          • 4 作者さん、サービス精神あるね。面白かった
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 03:03
          • 読み終えたらこんな時間だよ。でも、それだけ面白かったよ。
            この作者の次の作品知っている人いるなら、教えて下さい。
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 03:13
          • 長いだけだった
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 05:49
          • 2 なんか中途半端に『まおゆう』と被る
            長さの割にあんまおもしろくない
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 09:53
          • 5 昔ながらのファンタジーだの
            懐かしさすら感じた
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 10:13
          • 長かった…が面白かった。

            何か読んだことあるな~と思ってたらだいぶ前のだったか。
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 17:42
          • 5 なんか昔の勇者ssを読んでるような懐かしい気持ちになった
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 18:49
          • 側近と魔法使いが恐ろしく可愛い
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 22:44
          • 5 長かったけど面白かった~。
            アスリート系僧侶いいね!勇者と僧侶がくっつかないルートなら貴族とくっつくんかな?
            あとスイーツと遊び人も好きだわ。
            ってかみんないいキャラしてたわ~。虎もっふ!
            シーン的には要塞vsスライム隊とか、虎vs勇者とか燃えたね。いいね。
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 22:59
          • 侍女ちゃんが1番かわいいと思った(小並感)
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月26日 23:10
          • 鳥魔物の声がずっとフリーザボイスで再生されていた
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 00:30
          • 長過ぎる…
            前編の2ページ目で読む気失せた…
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 00:46
          • いい出来だった
            癖もなく読めるいい作品だ
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 01:57
          • >動けるアストロン

            この僧侶どこの大魔王バーン様だ
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 08:31
          • 面白かった!
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 13:28
          • 5 最初長いと思ったが、気が付いたら
            最後まで読んでいた、面白かった
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月27日 15:26
          • 前編が最初かなりグダグダしてたが、そこを越えたら面白かった
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月28日 02:52
          • キャラがちゃんと立ってたのが良かった

            にしてもこんな時間になるとはorz
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月28日 06:38
          • すっげえ面白かったというか側近かわいい
            しかし完徹
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月28日 09:32
          • とても引き込まれて一気に読んでしまった
            商人が良いキャラしてる
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月29日 00:28
          • 久々に読み応えのあるSSだったわ
            もうちょい町勃興のところは丁寧にみたかったなー
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月29日 01:23
          • コメディな王道ライトファンタジーssかと思ってたら、話のバランスの良さにびっくりしました。
            途中ダークな部分もあるけど暗くなりすぎない程度なので物語の雰囲気を壊さずに
            最後まで楽しく読めました  魔物側にとってもハッピーENDを迎えられるssはなかなかないですよね
            ファンタジーもののssは結構ありますが、このシリーズは良作、とはっきり言える出来だと思います
            素晴らしかったです
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月29日 18:50
          • 僧侶の神に捧げるトレーニングってのはブラックロッドシリーズのハックルぼーん神父みたいだな

            神のためにスクワットとプッシュアップを1万回捧げている面白いやつだった
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 07:10
          • 虎の生き様はいいな
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 08:52
          • 5
            虎の魔物の「にゃあ・・・」でやられたwww
            真面目なシーンなのに想像したら可愛かったw
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月30日 15:45
          • 全然関係ないけど小鳥ピヨ…
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月01日 03:11
          • 5 虎のイメージが完全にとらだった。
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月02日 08:40
          • 5 面白い。素晴らしかった。
            ストーリーもキャラもよくできてた。
            しかし、よくもまぁ色んな視点で書けるなー……
            キャラ動かしぎだろ。すげぇ。
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月06日 05:18
          • 5
            作者さんこの※欄見てますか
            読み終わりたくないと強く願う素晴らしい冒険譚でした
            爽やかな読後感、大変上等なものを楽しませて頂きました
            是非多くの方に読んで貰いたい作品です 今後の創作も楽しみにしています
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月06日 05:24
          • みんな勇者だったよ
            それぞれできる事をやった勇者!
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月16日 03:45
          • いや、これは本当に良い。
            戦闘シーンが熱いし、終始出てくる「頭を使え」って言葉が良い。
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年02月02日 22:46
          • 虎がもし人間側にいればきっと勇者の良いライバルになったんだろうな・・・
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年08月21日 19:27
          • どんどん女性キャラが増えていくと思ったら案の定これだよ
            最初に終わりって書いたところで終わらせておけばよかったのに
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年09月15日 04:52
          • 面白かった!!もっと読みたいぐらい
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年11月17日 20:33
          • 5 できれば魔法使いとくっついてほしかったなー

            後半貴族の出番なさすぎカワイソス
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月06日 14:09
          • 3 まあまあ。最初は職探しの話だったのに普通に魔王倒した後の新たな冒険だったな。文章は下手。側近は好き
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月12日 23:25
          • 戦闘シーンの描写の読みづらさはあったけど、どのキャラも魅力的で読んでて楽しかったわ
          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年05月18日 06:17
          • 5
            面白かったよ〜(^^)
            魔法使いルートも下さい
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年08月01日 06:32
          • 完徹ねみい、がその甲斐はあった
            前※と同じく鳥はフリーザ様の声で脳内再生…あの口調だしな
            武道家や女商人が勇者に軽蔑されたり叱られたりした時のエピソードも見たかったなあ
            鳥と虎が転生したっぽいのが良かった、魔物側にも救いがあるエンドだったな

          • 52. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年09月18日 20:12
          • 5 読むの2回目だけどおもろかったよ
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月06日 03:31
          • おい22時からだらだら読んでたらこの時間だぞおい
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月28日 15:37
          • 5 名作
          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年12月03日 22:41
          • 5 名作っすねぇ。
            メディア化してもおかしくないくらい。劣化も込みで。
          • 56. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年01月06日 09:25
          • 5 魔王勇者SSは読み切ったと思ってたけど、まだこんな良作があったことに驚き!

            キャラが皆立ってたし、話も面白かったし、何より読みやすかったです★
          • 57. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年03月11日 09:57
          • 面白かった。キャラが皆立ってて凄い
          • 58. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月28日 06:40
          • 1 ※45
            ほんとコレ
            ゴミ
          • 59. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年07月31日 00:39
          • 久しぶりに読み直した
            やっぱ面白いのは飽きないね
          • 60. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年09月14日 15:34
          • 面白かった
          • 61. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年12月28日 21:36
          • 年末にゆったり読もうと思ってたら一気に読みきってしまった…。
            それにしてもなげぇな。ラノベ2冊はあるぞこれ。
          • 62. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年01月09日 10:37
          • いやあ面白い
            この勇者が勇者・魔王タグで1番好きな勇者かもしれん
          • 63. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年06月16日 22:54
          • 取り敢えず殴る虎可愛い

        はじめに

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