ほむさやマミ杏「「「「わたしたちを… 誰だと思っていやがるっっっっ!!!! 」」」」【前編】

2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:07:50.90 ID:6bhkFuzj0

???(ここは一体… 俺、なんでここにいるんだっけ)ポツン

???(あれから、テッペリンがカミナシティになって…)

???(カミナシティのまわりをパトロールしてたらコアドリルが光って…)

詢子「あん? こーらー! こぉんな遅い時間に子供が一人で出歩いてるんじゃなぁい!」ヒック!

???(おかしいな。俺、操縦席に座ってたはずなのに)

???(そもそもここってどこなんだろう? 空は暗いけどあちこち光ってて、見たことない建物がいっぱいだ)

タッタッタッタ… ガシッ!

詢子「くぉらぁ! 聞いてるのか少年!」

???「え、うわぁ!?」コノヒトオサケクサイ…

詢子「やぁっと気付いたか。少年、家はどこだぁ? 喜べ! この詢子さんが送ってってやろー」ウィー

???「いえ? 家はカミナシティってところで…」

詢子「あぁん、かみなしてぃ? どこらぁ? それは」

???「あ、そうだ! もともとはテッペリンって名前の場所で、獣人たちの本拠地で…」

詢子「てっぺりん? じゅーじんだぁ? んん… 少年はもしかして海外の子かぁ?」

???「カイガイ?」


あたしを誰だと思ってるの



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:10:01.77 ID:6bhkFuzj0

詢子「みなまでゆーな。観光か留学れきたはいいけど、迷子になったんらろぉ?」ヘヘヘ

詢子「よぉしぃ、この詢子さんにまぁっかせときにゃさい! とりあえずぅ…」

詢子「しょうねぇーん♪ この麗しい詢子さんを、おうちまで送って欲しいのらぁ♪」

???「えー! なんでそうなるのー!?」

詢子「ほらほら、細かいこと言うにゃぁ! おっと、ところでキミの名前は?」

???「うぅ、お酒臭い上に酔っ払ってるから背負うのも大変なんだけど…」

???「俺? 俺はシモンっていうんだ。ジーハ村のシモン」

詢子「シモンかぁ♪」

詢子「んっふっふ。見滝原市へようこそシモンくん!」ウィー…ヒック

シモン「それよりもおばさんの家って…」

詢子「!?」

詢子「だーれがおばさんだああああ!?おねーさんと呼びなさい!もしくは詢子さんと!」グリグリグリ…

シモン「痛い! いだだだだだだ! わか、わかったってー! わかったから頭グリグリしないで!」

詢子「んっふっふー♪ わかればよろしい。ほーらキリキリあるけぇ、シモン~!」

シモン「はぁ… 俺、本当どこに来ちゃったんだろう」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:13:37.03 ID:6bhkFuzj0

----------

ほむら(繰り返す。私は何度でも繰り返す)

ほむら(同じ時間を何度も巡り、たった一つの出口を探る。あなたを、絶望の運命から救い出す道を)

ほむら(まどか…たった一人の、私の友達…)

ほむら(あなたの…あなたの為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められても、構わない)

----------

-翌朝・鹿目家-

まどか「ふあぁ… おはようパパ、と……………えーっと」ドチラサマ?

知久「おはようまどか」

シモン「お、おはよう」

知久「そうか、まどかは先に休んでたから知らなかったね

知久「昨日の夜遅く、酔っ払ったママをうちまで送ってくれたシモンくんだよ」

シモン「よろしく、きみがまどか? 詢子と知久から聞いてるよ」モグモグ

まどか「」

知久「こら、シモン君。パンを口に入れたまま喋るのはお行儀悪いぞ?」

シモン「ご、ごめんっ…!」ゴクン



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:20:37.89 ID:6bhkFuzj0

まどか「えっと、それでママは…?」

知久「タツヤが行ってる。手伝ってやって」

まどか「はぁい…」テクテク…


オキロコラーー!

ドウボッフォー!?

ママ、アノコドコノダレナノヨー!!

イヤー キノウヨッパラッチャッテサーwwww

ドタンバタン!!


知久「」

シモン「」

知久「ゴホン…ところでシモン君は、なんでこの見滝原にきたんだい?」

シモン「それが、なんでここにいるのか… 俺にもよくわからないんだ」ショボン

知久「わからないっていうと、迷子ってことかな?」

シモン「そういうことに…なるかなぁ」

シモン「せめてグレンラガンがあれば、みんなと連絡が…」

知久「グレンラガン? …お。やっと起きてきた。おはよう、詢子」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:27:22.06 ID:6bhkFuzj0

詢子「……だからほら、ホームステイだと思っておけばいいんだって」

詢子「どうせ部屋も空いてるんだしさ? っと、おはよ。」

まどか「ママったらもう! そういう問題じゃ…」

詢子「シモンはちゃんと眠れたかい?」

タツヤ「しもんー! おあよう!」

シモン「おはよう詢子、タツヤ。うん! 俺、あんなふかふかのベッド生まれて初めてだよ!」

詢子「そいつは良かった」パクッ モグモグ…

知久「ほらほら。ママもまどかもシモン君も、そろそろ急がないと」

詢子「いっけね。もうそんな時間か!」

まどか「シモン君も?」

シモン「俺も?」

詢子「何言ってるんだい。シモンも今日から見滝原中に通うんだよ」

まどか「」

シモン「ミタキハラチュー?」

詢子「安心しな。昨日ちゃーんと和子に連絡入れておいたから」ヨッパラッテタケドネー

まどか「」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 13:50:48.65 ID:6bhkFuzj0

-通学路-

まどか「おは…よう…」

さやか「」

仁美「」

さやか「ま。ま。まどかが同伴出勤してるううううう!?」

まどか「ええええ! さ、さやかちゃーん!?」ガーン

仁美「ま、まどかさん…そんな… 不潔ですわ…!!」

まどか「仁美ちゃんまで!?」オロオロ

まどか「違うの! 二人とも違うんだってばー!」ウワァーン!

カクカクシカジカ

さやか「なぁんだ。ホームステイかぁ、びっくりしたぁ」

さやか「てっきり、わたしの可愛いまどかに男ができたのかと思っちゃったよ!」テヘ

シモン「まどか、ホームステイって?」

まどか「(あのね、話しがややこしくなっちゃうから、そういうことにしておいて! お願い!)」ヒソヒソ

シモン「うん。そうそう、ホームステイ」

シモン(ホームステイって何だろう?)



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:00:21.91 ID:6bhkFuzj0

仁美「でも…一つ屋根の下で家族以外の殿方と一緒だなんて///」

まどか「だーかーらー仁美ちゃん、そうじゃないんだってぇ!///」

さやか「…っぷあはっは!」ヒー オナカイタイ

まどか「もう…!」

シモン(地上にもこんな平和な場所があったんだなぁ)


-見滝原中学校・教室-

和子「今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」

和子「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?」

和子「はい、中沢君!」

中沢「えっ、えっと…どっどっちでもいいんじゃないかと」

和子「その通り!どっちでもよろしい!」

和子「たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」

和子「女子のみなさんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」

さやか「ダメだったか…」

まどか「ダメだったんだね」

和子「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」

和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよ!」

和子「じゃ。暁美さん、シモン君、いらっしゃい」

まどか「えっ。シモン君だけじゃなかったんだ」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:05:40.11 ID:6bhkFuzj0

ガララ

さやか「うお、あの黒髪の子すげー美人!」

まどか「え… 嘘…まさか」ユメノナカノ?

和子「はい、それじゃあ順番に…暁美さんから自己紹介いってみよう」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」マドカ…

和子「よし、次はシモン君」

シモン「えと、ジーハ村から来たシモンっていいます」

シモン「尊敬する人はアニキ。特技は穴を掘ることです。よろしく!」

ザワザワ…

アニキ!?アナヲホル!?///

和子「それじゃぁ二人とも席について」

和子(ジーハ村ってどこかしら)

さやか「…シモンの奴は、あのボロボロの服から制服に着替えたのか」

まどか「さすがにあの格好で授業はね」

仁美「とってもお似合いですわ」ウン



女子A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

ほむら「東京の、ミッション系の学校よ」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:07:16.56 ID:6bhkFuzj0

女子B「前は、部活とかやってた?運動系?文化系?」

ほむら「やって無かったわ」

女子C「すっごいきれいな髪だよね。シャンプーは何使ってるの?」


さやか「ねえ、まどか。あの子知り合い?何かさっき思いっきりガン飛ばされてなかった?」

まどか「いや、えっと…」

仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」

さやか「それにひきかえあっちは…」


男子A「へぇ…特技の穴掘りってそういうことかぁw」

男子B「今度さ、校庭にでっけー落とし穴作ろうぜ!」ワクワク

シモン「…それでさ、俺の友達のキタンって奴が…」ガヤガヤ

男子C「シモンって家どの辺? …ええ!? 鹿目んとこにホームステイ!?」

ほむら「!?」ホムッ!?

ほむら(グギギギギ… ギリギリギリギリギリギリ)

………

……





11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:14:22.04 ID:6bhkFuzj0

さやか「落とし穴にロボットだって。男子って本っ当に子供っぽいんだから」

まどか「あはは…」

まどか(言えない…

まどか(わたしのかんがえたまほうしょうじょ!な絵をときどきノートに描いてるなんて言えないよ)ハァ


-放課後-



……

………

まどか「あのね…昨夜ほむらちゃんと夢の中で会った…ような…」

さやか「あははは。すげー、まどかったらキャラが立ち始めたよ」

まどか「ひどいよぅ。私真面目に悩んでるのに」

テクテクテク

シモン「お待たせ、まどか!」

さやか「よっ。遅かったじゃん、穴掘り転校生!」

シモン「ごめん。服を返してもらったり、なんか色々紙を押し付けられちゃって」フゥ

仁美「シモンさん、いかがでした? 見滝原中での一日目は」

シモン「楽しかったよ! 勉強はわからないことばっかりだったけど…」タハハ



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:19:15.62 ID:6bhkFuzj0

シモン「でも、食事は美味しかったし、俺が初めて見るものばっかりで!」

仁美「ふふ。楽しんでいただけたようで、何よりですわ」

まどか(シモン君が学校に来るって聞いたときは驚いたけど、こんなに喜んでくれるんだったら良かったかな♪)

さやか「安心しろよ! 勉強はあたしもわからない!」ドヤッ!

まどか「さやかちゃん、それ威張って言うことじゃないよ…?」

仁美「全くですわ。…あら、もうこんな時間。ごめんなさい、私はお先に失礼しますわ」

さやか「今日はピアノ?日本舞踊?」

仁美「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験だっていうのに、いつまで続けさせられるのか」

さやか「うわぁ、小市民に生まれて良かったわ」

まどか「私達もいこっか」

さやか「あ、まどか、帰りにCD屋に寄ってもいい?」

シモン「しーでぃー屋?」

まどか「シモン君も一緒に行こっ。どんな場所かは…行ってみてのお楽しみ♪」

仁美「それでは皆さん、ごきげんよう」

さやか「ん。じゃあね」

まどか「ばいばーい」

シモン「うん、また明日」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:24:58.57 ID:6bhkFuzj0

-CD屋-

まどか「~♪」

さやか「えーっと、あったあった」

シモン「すごいやこれ。こんな音楽や歌、聴いたことないよ…!」

さやか「どうだ穴掘り転校生! CD屋は凄いだろぉ!?」エッヘン

シモン「うん!…うん!」

まどか「シモンくん、いま流行りの歌だからこれも…」

QB「(助けて!)」

QB「(助けて!まどか!)」

まどか「え…?え?」

QB「(僕を、助けて)」

さやか「ん?」

さやか「あれ?…なぁ、お前のそのペンダント。何かさっきから光ってないか?」

シモン「コアドリルのこと? …本当だ」

まどか「(誰?誰なの!?)」

QB「(「助けて……)」

シモン「まどか、どうかした?」

タッタッタ…

さやか「あ、おい! そこ立ち入り禁止って書いて…!」

ガチャ…バタン!



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:35:11.66 ID:6bhkFuzj0

まどか「どこにいるの?あなた…誰?」

QB「助けて……」ヨロヨロ

まどか「あなたなの?」

QB「助けて……」パタン

コツコツコツ…

まどか「ほむらちゃん…!?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だ、だって、この子、怪我してる!」

…カチャ

まどか「ダ、ダメだよ、ひどいことしないで!」

ほむら「貴女には関係無い」

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

ほむら「そう」スチャ

…ブシュウゥゥー!!

シモン「こっちだ、まどか!」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:37:11.77 ID:6bhkFuzj0

まどか「シモンくん! さやかちゃん!」

シモン(コアドリルの反応が強くなってる)

シモン(何だ、この…嫌な感じは!)


ほむら「こんな時に」

ほむら(魔女の反応…タイミングの悪い)


さやか「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ! つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?生き物?」

まどか「わかんない。わかんないけど…この子、助けなきゃ」

さやか「あれ?非常口は?どこよここ」
 
シモン「おかしい、どんどん景色が歪んでいく」

さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

まどか「やだっ。何かいる!」

キキキー

ヒヒヒヒヒ

さやか「冗談だよね? 私、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどか! シモン!」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 14:44:19.62 ID:6bhkFuzj0

少し投下遅くなります。
見てくださってる方いたらごめんなさい



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/03/31(土) 15:02:14.95 ID:rfKD/p+80

このシモンってどこまでのシモン?
時系列的にさ



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:13:11.33 ID:6bhkFuzj0

戻りました

>>17
ロージェノム撃破後、数ヶ月~1年くらいのつもりと考えていただければ。
出てくる技術のタイミングとか、原作とは違ってる部分もあります。
あまり詳細に決めて書かなかったので、混乱してしまったらすみません



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:14:35.81 ID:6bhkFuzj0

シモン「二人とも、俺の後ろに隠れて…!」

シモン(こいつらが一体なんなのかはわからない。けど!)

ドカーン!!

シモン「!?」

さやか「あ、あれ?」キョトン

まどか「これは?」

コツ…コツ…コツ…

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

マミ「あら、あなたたちがキュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」

マミ「その子は私の大切な友達なの」

まどか「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」

マミ「ふぅん、なるほどね」

マミ「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね。 …でもその前に」

マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」

シモン「えええ!!変身した!?」

マミ「はっ!!」

ズドドドドドド…!!

…スタッ

まどか「す…すごい」



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:19:04.28 ID:6bhkFuzj0

さやか「景色が元に戻ってく…」

スタッ

シモン「ほむら?」

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい」

マミ「今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「私が用があるのは……」

ほむら(まどか…)

ほむら(そして私のまどかと一つ屋根の下で過ごすなんて羨ま…けしからんことをしているイレギュラーの転校生。ギリギリギリギリ…)

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

スッ…

まどか「いっちゃった…」

さやか「ぷはぁ~」

シモン(あれ、いつの間にかコアドリルの反応がなくなってる?)


QB「ありがとうマミ、助かったよ」

マミ「お礼はこの子たちに。私は通りかかっただけだから」

QB「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」

シモン「喋ったぁ!?」

QB(魔法少女でもないのに僕を認識できるとは、面倒なのがいるようだね)

まどか「えっと…あなたが、私を呼んだの?」

QB「そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか。それと、えーっと…」



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:23:55.02 ID:6bhkFuzj0

QB「えーっと…キュ、キュップイ!」(彼は誰なんだろう)

マミ(わからないのね)

まどか(あ。ごまかした)

さやか(ごまかしたな)

シモン「俺はシモン。穴掘りシモンだ」

QB「わかった。覚えておくよ、穴掘りシモン」

さやか「それで…何で、わたしたちの名前を?」

QB「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」

まどか「お…おねがい?」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

シモン「マホウショウジョ?」


QB「僕は、君たちの願い事をなんでも一つ叶えてあげる」

さやか「えっ本当?」

まどか「願い事って?」

QB「何だってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:29:48.72 ID:6bhkFuzj0

----------

シモン(アニキ…俺は今、アニキやみんながいた世界とは違う、遠い場所にいるんだと思う)

シモン(何で俺がここにいるのかはわからない)

シモン(わからないけど。もしかしたら俺、ここでやんなきゃならないことがあるのかもしれない)

----------

-マミ宅-

マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

まどか「マミさん。すっごく美味しいです」

さやか「んー、めっちゃうまっすよ」

シモン「俺、こんな飲み物や食べ物初めてだ」モグモグ ズズズ…

マミ「そう言ってもらえると嬉しいわ。3人ともどんどん召し上がれ♪」

マミ「キュウべぇに選ばれた二人に、魔女と魔法少女の存在を知った一人。あなたたちにとってはもう他人ごとじゃないものね」

マミ「ある程度の説明は必要かと思って」

QB「ボクとしては、キミはどうでもいいんだけどね。シモン」チョンチョン

マミ「こら、キュウべぇ。そんな言い方しないの」

シモン「気になってたんだけど、この喋る動物はなに?」ヒョイ



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:31:11.62 ID:6bhkFuzj0

QB「気安くボクを抱きかかえないでもらいたいな。ボクは…」ビクンッ

QB(何だい。このざわざわするような感じ)タタッ

シモン「あ、逃げられちゃった…」

マミ「この子はキュウべぇ。魔法少女のスカウトマンってところかしら」

QB「きゅっぷい。きみたちを魔法少女にして魔女と戦ってもらうかわりに」

QB「きみたちの願いを何でも一つ叶えてあげる。それがボクの役目さ」

さやか「え、ホント?」

まどか「願いごとって…」

QB「なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

シモン「どんな奇跡も、かぁ」

QB「念のためにいっておくけど、きみはどんなに願ったって無理だからね」

マミ「またそうやって意地悪いわないの!」

マミ「それで…キュウべぇと魔法少女契約すると生み出されるのが、これ」スッ…

まどか「わわ。きれい」

マミ「これがソウルジェム。魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」

QB「そしてこの石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:35:26.41 ID:6bhkFuzj0

まどか「魔女?」

さやか「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」

QB「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば………

………

……



シモン「zzz…」

まどか(シモン君、難しい話ダメなんだね…)

さやか(そういやこいつ、授業中も眠たそうにしてたもんなぁ)

マミ「」

マミ「…つまり、人を嫌な気分にさせて危害を加える悪いやつが、魔女ってこと」

シモン「なるほど」ナットク

まどか「」

さやか「」

マミ「で、話を戻すわね」

マミ「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

まどか「えぇ!?」

さやか「えっ?」



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:38:38.08 ID:6bhkFuzj0

マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ」

マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

まどか「シモン君は?」

マミ「悪いけど彼はダメよ。魔法少女になれるわけでもないし」

マミ「それに願いを叶えるというメリットがない以上、彼にとっては危険というデメリットしか存在しないの」

さやか「確かに。願いを叶えることができないんじゃ、わざわざ危ないことに首突っ込む必要もないよなぁ」

シモン「俺のことは気にしないでいいよ。でもそんな危険なことなら俺も一緒に…」

マミ「その点は安心して。鹿目さんと美樹さんのことは、私がしっかり守るから」

QB「マミは魔法少女の中でもかなりの使い手だからね。一緒にいれば危険なことなんかないさ」

----------

-翌日 放課後-

シモン(戦ってた時は一日ってあっという間で、気付いたら太陽が沈んでて~って感じだったけど)

シモン(ずーっと勉強してると、こんなにも時間ってゆっくり流れるんだなぁ)

シモン(ほぼ寝てた気もするけど)

シモン「そっか。今日はまどかもさやかも、マミと一緒にパトロールって言ってたっけ」



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:43:07.13 ID:6bhkFuzj0

男子A「おーい! なぁシモン、お前この後って暇?」

シモン「え、うん。特になにもないけど」

男子B「だったら丁度良かった!」

男子C「俺たちこれから出るって噂の廃屋を探検するんだけどさ、シモンも一緒に行ってみないか?」

シモン「出る? 出るって何が?」

男子B「決まってるだろ?」

男子A「これだよ、こ・れ!」オバケ

男子C「なんでもさ、おっそろしい女の幽霊が出るらしいぜ?」ブルルッ

男子A「だからさ、俺らでそいつの写真を撮ってやろうって!」

シモン「幽霊って? 本当にいるのかなぁ…」

男子B「気になるんだったらさ、行くだけ行ってみようぜ」

シモン「うん、わかった」

男子C「学校からは少し離れてるから、家に自転車りに行ってから校門に集合な?」

男子A「シモンは俺らの後ろに乗せてやるよ!」



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:47:31.69 ID:6bhkFuzj0

-隣町-

男子A「…この森を抜けた先なんだ。道が悪いから自転車はここまでだな」

シモン「まだ太陽が沈んだわけじゃないのに、森の中真っ暗だ」

男子B「よし、す、す、進もうぜ」テクテク…

バサバサバサバサ

カァー カァー

男子C「昔さ、まだ廃墟じゃなかった頃のその建物には家族が住んでたんだけど」

男子C「ある日大きな火事があったらしいんだ」

シモン「う、うん…」ゴクリ

男子C「火はあっという間に建物全体に燃え広がって、住んでた家族は全員…」

バサバサ…!

一同「!?」

男子B「なっ、なんだよ鳥じゃねーか!」

男子A「おい、あれ…」

シモン「あれって?」

男子A「あそこ、道の先に誰か立ってる…」

男子B「で、出たあああああああああ!!!!」ニゲロ

男子C「やばい!あれはやばい気がする!逃げようぜ!」ニゲロ

男子A「おいシモン、逃げるぞ! 急げ!」ニゲロ



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:50:07.72 ID:6bhkFuzj0

シモン「え、ちょ… え? え、えええええ!?」

ポツン

シモン「みんなあっという間に行っちゃった… うん…?」

シモン「あ…コアドリルがまた光ってる」

シモン「昨日みたいな嫌な感じの光りじゃない。これって前にも」

シモン(あれ? さっきの人影、もういなくなってる)

シモン(いってみよう)


シモン「開けた場所に出たけど、この建物は…」

???「おいお前、見掛けねぇ顔だけど何者だ。何の用があってここにきた」

シモン(さっきのやつか!? いつのまに後ろに)クルッ

???「返答によっちゃぁ、あたしのこの槍が黙っちゃいないぜ?」グイ

シモン「槍を持った女の子…」

シモン(この子が幽霊の正体なんじゃないかな)

シモン「お化けが出るから見に行こうって、友達に誘われてきたんだ」

シモン「きみの姿に驚いてみんなは逃げちゃったみたいだけど」

???「お化け? あっはっはっは! こりゃ参ったな…あたしが流した噂が逆効果になっちまいやがった」

シモン「どういうこと?」



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:53:05.57 ID:6bhkFuzj0

???「きな。あんた悪いやつじゃなさそうだし、せっかくの客だ。もてなしてやるよ」シュピン

シモン(槍が消えた…!)

???「へへ。あたしは杏子。佐倉杏子ってんだ。あんたは?」

シモン「俺はシモンだよ」

杏子「珍しい名前。日本人じゃないよな? 外国人か?」

シモン「うん。クラスでも言われた」

杏子「入れよ。お世辞にも綺麗とは言えねぇけどさ。あたしの住処だ」ガチャ


-朽ちた教会-

杏子「ほら、食えよ」ポーン

シモン「うん。ありがと」ガブッ シャクシャク…

杏子「しかし誰も寄せ付けない為に流した噂で、人がきちまうとはなぁ」

シモン「モグモグ… ってことは幽霊が出るって噂、杏子が広めたの?」

杏子「発端はあたし。そこいらのガキンチョに話してやったら、あとは勝手に広まったみたいだぜ」ケタケタ

シモン「なぁんだ。それじゃぁここで昔火事があったって話も、杏子の出任せなんだ?」

杏子「…………」

杏子「あー……なんつーか、それは本当なんだ」



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:56:05.12 ID:6bhkFuzj0

杏子「昔、この教会には幸せな家族が住んでいたんだ。その家族の父親は神父でね」

杏子「正直過ぎて、優し過ぎる人だった。毎朝新聞を読んでは酷いニュースに涙を浮かべて、真剣に悩んでるような人でさ」

シモン「うん…」

杏子「新しい時代を救うには新しい信仰が必要だって、それがその父親の言い分だった」

杏子「だからある時、その父親は、神父は、教えにないことまで信者に説教するようになった」

杏子「…もちろん、信者の足はパッタリ途絶えたよ。本部からも見放された。誰もそいつの話を聞こうとしなかった」

杏子「当然だよね。傍から見れば胡散臭い新興宗教さ。どんなに正しいこと、当たり前のことを話そうとしても」

杏子「そんなの世間じゃただの鼻つまみ者さ」

シモン「…………」

杏子「住んでいた家族は一家揃って、食う物にも事欠く有様だった」

杏子「その父親の言っていたことは、決して間違っていたわけじゃぁなかったのさ」

杏子「少しでいい、ちゃんと耳を傾ければ、正しいこと言ってるって誰にでもわかったはずなんだ」

杏子「その家族には2人の女の子がいてさ、そんな時だった。姉の前にそいつが現れたのは」

シモン「そいつ?」



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 15:58:00.95 ID:6bhkFuzj0

杏子「神様の使い……いや、ひょっとしたら神様そのものなのかもしんねぇな」

杏子「そいつは姉に向けてこう言ったんだよ」

杏子「『お前の願い事を一つ叶えてやろう。その代わり、お前はこの世界に潜む悪と戦え』ってな」

シモン(それってもしかして…)

杏子「日に日に追い詰められる家族を見ていた姉には、選択肢なんてなかった」

杏子「だから、その子は神様に頼んだんだよ。みんなが父親の話を真面目に聞いてくれますように、って」

シモン(神様への願い事か…)

杏子「翌朝には、この教会は押しかける人でごった返していた」

杏子「毎日おっかなくなるほどの勢いで、父親を信奉する人たちは増えていった」

杏子「かたやその裏で、姉は戦いの日々さ」

杏子「父親の説法がいくら正しくったって、それで神様の言う『悪』ってやつを退治できるわけじゃない」

杏子「だからそこは、自分が頑張らないとって。その子はたいそう意気込んでたらしいぜ?」

杏子「私とお父さんで、表と裏からこの世界を救うんだって」

シモン「うん」



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 16:03:27.08 ID:6bhkFuzj0

杏子「でもね、ある時カラクリが父親にバレた」

杏子「大勢の信者が、ただ信仰のためじゃなく、神様とやらの不思議な力で集まってきたんだと知った時」

杏子「父親がブチ切れたのさ」

杏子「実の娘を、人の心を惑わす悪魔だって。魔女だって罵った」ジワ…

杏子「笑っちゃうよね。その子は毎晩、本物の『悪』と…………と、戦い続けてたってのに」ポロポロ…

杏子「それで神父は……一家の父親は壊れちまった」

杏子「最後は惨めなもんさ。酒に溺れて、頭がイカれて」

杏子「とうとう家族を道連れに、この教会に火をつけて無理心中」

杏子「家族のためにと人知れず戦った姉を……実の娘一人を、置き去りにしてね」

杏子「良かれと思ってやったそいつの祈りが、家族を壊しちまったんだ」グスッ

杏子「他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった」

杏子「……」

杏子「初対面のお前にこんな話しして、こんなツラ見せて…… あたし、みっともねぇよな」グスン…



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 16:06:01.74 ID:6bhkFuzj0

シモン「みっともなくなんてないよ」

シモン「杏子……もしかしてその女の子ってのは」

杏子「グスッ。お前もしかして、今の話素直に信じたのかよ? 何でも願いを叶える神様だぜ?」

杏子「まさか本当にいると思ってるわけじゃ…」グスッ

シモン「信じるよ」

シモン「杏子の話、俺は信じる」

杏子「」

シモン「魔法少女、だろ?」

杏子「!」

杏子「あんた…一体どこでそれを!」

シモン「昨日俺も初めて教えてもらったんだけどね」

杏子「な、なぁ。その話、一体誰から聞いたんだ?」

シモン「えっと。髪がこう、くるくるっとしたマミって子。それから白いネコっぽいの」

杏子「そっか…」(マミとキュウべぇか…)

杏子「お前の想像通りだよ。さっきの話はあたしの家族の話。生き残った女の子ってのはあたしのことさ」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 16:10:00.88 ID:6bhkFuzj0

杏子「わりぃな、シモン。くだらねぇ話聞かせちまって」

シモン「あのさ、杏子。杏子が家族の幸せを願ったことで起きたことは確かにとても悲しいことだと思う」

シモン「でも、それでも。自分じゃない、他の誰かの幸せを願える心をもってるっていうのは、胸を張っていいと思うんだ」

シモン「とことん落ち込んで、とことん後ろ向きになったっていいんだ」

シモン「ゆっくりでも、少しずつでも、また立ち上がれば」

杏子「グスン… へっ! 言うじゃねぇか」ゴシゴシ

シモン「俺、頭悪いから上手く言えないけど… 俺も、前にすっごく落ち込んだことがあったんだ」ニコ

杏子「なんかさ。お前に話したら、少し気が楽になったような感じがするよ」

杏子「今までこんなこと、誰にも話さなかったからかな」

シモン「えっと、なぁ杏子。もし今まで一人で抱え込んでばかりだったならさ」

シモン「これからは俺のことも頼ってくれよ。なぁ!ダチ公!」ビシッ

杏子「あはは、なんだよそれ? 格好つけてるつもりなんだろうが、全然サマになってねーぞ」アハハ

シモン「う"…アニキの真似してみたんだけど、ダメだったか」ズーン

杏子「へぇ、お前も兄弟がいるんだ? じゃぁ今度は…」

杏子「っと。そうだ、ところでさっきから気になってたんだけど」

杏子「お前のそのペンダント、だんだん光が強くなってねぇか?」



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 19:52:29.55 ID:6bhkFuzj0

-教会・裏庭-

杏子「あたしって片付けとか苦手だからさぁ」

杏子「早い話が教会の裏庭とか、もう放ったらかしなんだよな」タハハ

シモン「草が伸び放題だね」(前にこんな場所で、アニキとヨーコと狩りしたっけ)

シモン「コアドリルが一番強く光るのはここか…」ペタペタ

シモン「よし…っ!」ザクッザクッ

杏子「なぁ、なにやってんだ?」

シモン「穴を掘ってるんだよ」

杏子「下に何か埋まってんのか? それとも…トンネルでも掘ろうってのか?」

シモン「わからない。でも、俺のコアドリルが反応してるってことは

ザクッザクッ

シモン「ここに何かがあるんだと思うんだ」

杏子「ふーん。もし大穴掘ってなーんにも出てこなかったら、そんときゃあたしがゴミ捨て場として活用してやるよ」アハハ

ザクザクザクザク…

杏子「それにしても上手いもんだな」

シモン「小さい頃から穴掘りは得意だったから」



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 19:55:45.60 ID:6bhkFuzj0

シモン「だから村では、穴掘りシモンって呼ばれてたんだ」ザクッザクッ

杏子「1メートルくらいか? 結構掘ったけど何も出てこねぇ」

杏子「もうすっかり暗いしさ、その辺にしとけよ」

杏子「お前。帰らねぇと家の奴だって心配するだろ?」

シモン「あ… そうだね。それじゃぁ今日はこのくらいにして、また掘りに来るよ」

杏子「えぇ?まだ掘る気かよ…」

シモン「それじゃぁ俺、そろそろ戻らなきゃ。杏子も今度、街の方に遊びにおいでよ」

杏子「そうだな、気が向いたらそうさせてもらう」(魔女退治とか食料調達でちょこちょこ行ってはいるんだけどな)

シモン「それじゃ、また。リンゴ美味しかったよ、ありがとう!」

杏子「いいって。またな!」

----------

-鹿目家-

詢子「……で。今の今までダチんトコで、制服泥だらけにして穴掘ってたと」

シモン「うん…」



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 19:58:49.84 ID:6bhkFuzj0

詢子「門限とかうるさいことは言わない。でもね、シモン」

詢子「アンタを心配してる人間がいるんだ。せめて晩メシまでには連絡入れな」

知久「僕も小さい頃そうだったから、暗くなるまで遊びたいってのはよくわかるけどね」

知久「でも、連絡ひとつあるだけでも安心するからさ」ニコ

シモン「ご、ごめん…詢子、知久」

まどか「でもママ、連絡ってどうやって?」

詢子「そう思って」ガサゴソ

詢子「ほれ、これ使いな」ポイッ

シモン「うわっとと。これは…?」

詢子「何だあんた、携帯電話も知らないの?」

QB「やれやれ、キミの知性のほどが知れてるね」

まどか「(こらっ…!)」

詢子「それがあれば離れた場所とでも簡単に話しができるんだ。便利だろ? 使い方はまどかに教えてもらいな」

シモン「ありがとう、詢子!」

まどか「じゃぁ晩ごはん食べ終わったら使いかた教えてあげるね!」



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:00:48.61 ID:6bhkFuzj0

シモン「うん!」

まどか「忘れないうちに、私とお母さんの番号とアドレス登録だけ先にやっちゃお♪」カチカチカチ…


----------

ほむら「なぜかわからないけど、突然羨ましいというか悔しいというか」

ほむら「クラスメイトの穴掘るしか能のない男子を無性に踏みつけたい気分だわ」ギリギリギリギリ

----------


シモン「」ブルブルブル

まどか「どしたの?」

シモン「急に寒気が」

まどか「風邪かもしれないから、後で熱測っておいたほうがいいよー」

QB「おや、この星だとバカは風邪を引かないんじゃないのかい?」

シモン(コイツ丸焼きにしたら食べれるのかなぁ)



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:03:29.73 ID:6bhkFuzj0

-翌日-

男子A「シモン、昨日大丈夫だったか!?」

男子B「俺たち先に逃げちゃって、本当にすまん!」

シモン「いいって、全然気にしてないから大丈夫」アハハ

シモン「それよりもさ、あの場所。めちゃくちゃ怖い人が住んでるから、近付かないほうが良さそうだ」

男子C「ええ、そうなのか!?」

シモン「うん。頭がハゲてて上半身素っ裸でヒゲと渦巻き胸毛もっさもさのおじさんが」

シモン「『この猿どもめぇー!』って叫びながら追っかけてくる」

男子ABC「」ブルブル…

シモン(これで、あの場所には近付かなくなるかな)



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:04:45.15 ID:6bhkFuzj0

-放課後-

さやか「ふい~、やぁっとおわったぁ」

まどか「シモン君、授業終わったよ? 起きて起きて」ユサユサ

シモン「んぁ…?」ボサー

さやか「にひひ。まさかわたし以上に居眠りするやつがいるとはなぁ」

シモン「センセーたちの話し聞いてると、自然と眠くなっちゃって」フワァァ

シモン「二人は今日もマミと一緒にパトロール?」

まどか「うん。まだどうするか決められなくって…」

さやか「わたしも。願い事あるにはあるんだけど、なかなか踏み切れなくってね~」

シモン「そっか。気をつけて行っておいでよ」

さやか「さんきゅ♪」

ツカツカツカ

ほむら「ちょっといいかしら?」

さやか「お、珍しいな。根暗転校生が自分から声を掛けるだなんて」

まどか「さやかちゃんったら!」



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:09:39.80 ID:6bhkFuzj0

シモン「えっと… ほむら、だよね?」

ほむら「ええ、そうよ。暁美ほむら」

ほむら「少し付き合ってほしいの」

さやか「お。なんだなんだ、もしかして愛の告白ってやつか?」

まどか「ええ?///」

タタタタッ

仁美「だ、大胆ですわ…!」

さやか「仁美ちゃん、わざわざ走って言いに来なくても…」

ほむら「違うわ」

ほむら「さ。行きましょう」

シモン「あ、うん。それじゃみんな、また明日!」

仁美「ごきげんよう」

さやか「転校生、あんまりシモン苛めんなよー?」

男子A「リア充爆発しろ!」バイバーイ

男子B「爆発しろ!」ジャァナー

男子C「しろ!」マター

仁美「それではわたくしも、お稽古がありますのでそろそろ」

さやか「マミさん待たせちゃ悪いし、わたしたちもいこっか」

まどか「そうだね!」



50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:11:41.87 ID:6bhkFuzj0

-喫茶店-

イラッシャイマセー

ほむら「付き合わせて悪いわね。…どうしたの?キョロキョロして、喫茶店がそんなに珍しいの?」

シモン「俺がいたところには、こんなお店なかったから」

ほむら「ふーん」ホム…

店員「ご注文はお決まりですか?」

ほむら「ホットコーヒーを。…あなたは?」

シモン「じゃぁ俺、この緑色のきれいなのを!」

店員「ホットコーヒーにクリームソーダですね。かしこまりました」ペコリ



ほむら「…………」ズズ…

シモン「…………」ゴクゴク

シモン「面白い飲み物だね、これ。口の中がシュワシュワする」

ほむら(炭酸飲料を知らないのかしら)

ほむら「単刀直入に聞くわ。あなた、一体なんなの?」

ほむら(これまで私が幾度となく繰り返した中で、彼は一度も登場しなかった)

ほむら(それにまどかの家で暮らすなんて……もしかしてインキュベーターが何か細工している可能性もある)



51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:14:03.97 ID:6bhkFuzj0

シモン「一体なんなのって聞かれても。俺は俺、穴掘りシモンだけど」キョトン

ほむら「」

ほむら「そうじゃない」

ほむら「私と同じタイミングで転校してきて、し か も 鹿目まどかの家で暮らしてるあなた」

ほむら「偶然とは思えない」

テーブル「ヒギィ」ミシミシミシ…

シモン「タイミング? 偶然?」ズチュー…ゴクゴク

シモン(どういうことだろう、ひょっとしてほむらは俺がここに来た原因とか知ってるのかな)

シモン(信じてもらえないかもしれないけど、全部話してみようか)

ほむら(シラを切ってるのかしら。でも、そういう風にも見えない)

ほむら(いっそ全て話してしまうべきかしら。…いえ。彼の素性がわからない以上、それは危険ね)

ほむら(それに、話したところでどうせ信じてなんてもらえない)

ほむら「…………」ゴクゴク

シモン「…………」ゴクゴク



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:18:02.70 ID:6bhkFuzj0

シモン「あのさ、ほむら」

ボワァ…

シモン「あれ?」(コアドリルがまた光って… しかもこの反応は)

シモン(この前のマミと会った時と同じ、嫌な感じの反応だ!)

ほむら(…!! これは、魔女の気配!? こんな時にタイミング悪いわね)

ほむら(もしかしてしかして彼のペンダントが光ったのは魔女に関係が?)

ほむら(…考えるのはあとね。今は魔女に対応しなければ)

ほむら「付き合わせておいて悪いけど、ちょっと失礼するわ。会計は済ませておくからゆっくりしていってちょうだい」

シモン「え? え?」

タッタッタッタ… 

アリガトウゴザイマシター マタオコシクダサイマセー

シモン(なんだろう、この前と同じだ。胸騒ぎがする)

prrrrrrrr!!

シモン「わ!?昨日貰ったケータイが」アタフタ

シモン「どうやって話すんだっけ… こうだったかな」ピッ



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:22:29.76 ID:6bhkFuzj0

まどか『もしもし、シモン君!?』

シモン「まどか? 慌ててるみたいだけど、どうしたの?」

まどか『どうしよう! 街中で魔女が出て、さやかちゃんとキュウべぇが見張ってて…!』

シモン「うん、うん…! わかった、俺もマミを探しながらさやかたちのところに行ってみるよ!」

オキャクサマ,テンナイデノオオゴエハ…

シモン「大丈夫。場所は多分わかるから…!」

ガタッ! タッタッタッタ…

アリガトウゴザイマシター マタオコシクダサイマセー


タッタッタッタ……

シモン「マミ! いたら返事してくれ!」

ザワザワ… マイゴカシラ?

シモン(こっちか? コアドリルの反応がどんどん強くなってる)

シモン(まどかがマミと合流できてるといいんだけど)

シュタッ

杏子「よう、シモン!」

シモン「杏子!?」

杏子「お前が呼んでるマミって、巴マミのことか?」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:26:58.21 ID:6bhkFuzj0

シモン「巴…うん。そうだよ!」

杏子「テレパシーで呼びかけてみるから、ちょっと待ってな」

シモン「テレパシー?」

杏子「まぁ、いいから」

杏子「…………」

杏子「…………」

杏子「…………」

杏子「安心しな。マミのやつはもうお前の友達と合流したってさ」

シモン「よかった」ソレ,ベンリダネ

杏子「あと、危ねぇからお前は首を突っ込むなってさ」

シモン「わかった!」

タッタッタ

杏子「わかったって…お前、そっちは!おい、待てよ!」

シモン「嫌な感じがするんだ。胸騒ぎが…あの時と、アニキの時と同じで…!」

杏子「お前一体何言って……」ハッ

杏子「もしかしてお前のアニキって…」

シモン「杏子、その話は後だ!」



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:31:28.45 ID:6bhkFuzj0

タッタッタ…

シモン「そういえば杏子は何でここに?」

杏子「お前に言われて街にぶらぶらしに来たら、魔女の反応があったからな」

杏子「辿ってきてみたら、お前の声が聞こえたってわけさ」

杏子「っと、あそこだ…!」

シモン「この中に…マミもまどかもさやかも?」

杏子「ああ。マミとお前のダチと、突入したみてぇだぜ」

杏子「…あんたは魔法少女でもないのに、自分から危険に首を突っ込むんだ」

杏子「死んでも文句言うんじゃねぇぞ?」

シモン「あぁ」コクン

杏子「へッ!いい覚悟だ。いくぜ!」



-魔女の結界-

シモン(…景色が歪んでいく。やっぱりこの前と同じだ)

杏子「雑魚が全くいねぇ。マミのやつが倒して進んだのか…?」

シモン「杏子! あそこに誰かいる…!」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:34:43.92 ID:6bhkFuzj0

杏子「あん? …ありゃぁ、暁美ほむらじゃねぇか」

シモン「何でここにほむらが!?って、杏子、ほむらのこと知ってるの?」

杏子「なんだ、聞いてないのか? あいつも魔法少女だよ。マミやあたしと同じ」

シモン「そうだったのか」

杏子「それにしてもアイツ、なんで縛られてるんだ?」

コツコツコツ…

ほむら「佐倉杏子。それに…魔法少女でもない貴方がどうしてここに」

シモン「俺の友達がこの先にいるんだ」

ほむら「友達? それは鹿目まどかのこと?」

シモン「まどかだけじゃない、さやかもマミも」

ほむら「…………」

ほむら「シモン君あなた、友達を助けたい?」

シモン「当たり前だ!」

ほむ杏「」ビクッ

杏子「びっくりしたぁ。急に大声出すなよ」



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:40:44.79 ID:6bhkFuzj0

ほむら「…………」

ほむら「…なら、急いでこれを解いて頂戴」

シモン「任せろ!」

杏子「さがってなシモン。理由はわからねぇが、そいつを縛ってるのはマミの…」

杏子「魔法少女のリボンだ。あたしが一気に解いてやるよ!」

ヒュンッ!! ズバァッ

パラパラ…

ほむら「随分と手荒な解き方ね。でも感謝するわ」

杏子「大体なんでお前がマミに縛られてるんだよ」

ほむら「巴さんは、私のことを快く思ってないみたいだから」

ほむら「そんなことよりこっちよ。急ぎましょう」

ほむら(…こんなに早く佐倉杏子が現れるなんて。しかも、今の場所でのタイムロスが少ない)

ほむら(この調子なら巴マミを助けられるかもしれない)



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:45:01.04 ID:6bhkFuzj0

シモン「いた! あそこだ!」

バシュン!ズダン!ズダン!

マミ「体が軽い。こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて」

杏子「どうやら戦い始めてるみてぇだな」

マミ「もう何も怖くない」

マミ「私、一人ぼっちじゃないもの」

ほむら「くっ!」

ほむら「巴マミ! 早くそこから離れなさい…!!」

マミ「ちょっと、あなたどうやって…!?」

さやか「マミさん、上!! 上!!」

マミ「え?」

シャルロッテ「イタダキマース」

シモン「マ…ミイイィィィィ!!」ダダッ!

杏子「!? おいシモン!どうする気だ!お前まで巻き添えに…っ!」

ほむら(…私の時間停止m

シャルロッテ「アングリ…… パクッ♪」

まどか「マミさん…? シモン君…?」

さやか「うそ、うそ… う、うわああああああ!!」

シャルロッテ「ゴクン♪」

ほむら(巴マミと…シモンが丸呑みにされた…)ソンナ…



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:49:18.80 ID:6bhkFuzj0

………

……



マミ「ここは…そっか。私、あの魔女に食べられちゃったのね」

マミ「あの時、暁美さんの忠告を聞いてれば…」

マミ「きっと暁美さんに酷いことしたバチが当たったのね」

ザシュッ…ザシュッ

マミ「パパ、ママ。私、このままここで死んじゃうのかな」グスン

ザシュッ…ザシュッ

マミ「………?」

シモン「諦めるな、マミ!」

マミ「あ、あなたは…」

マミ「ごめんなさい。私が迂闊だったばかりに、助けようとしてくれたあなたまで巻き添えにして」ポロポロ

マミ「諦めるななんて言われたって、もう無理よ」

マミ「魔女の中に呑み込まれたんですもの」

マミ「出口なんてない。きっと私たちこのまま闇に溶けるみたいに消えてなくなっちゃうのよ…」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:53:46.01 ID:6bhkFuzj0

シモン「…ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」

マミ「」ビクッ!!

シモン「丸呑みにされた?出口がない?そんなものは関係ねぇ!」

シモン「壁があったら殴って壊す!出口がなければこの手で創る!」

シモン「…俺を、誰だと思っていやがる!!」カチッ!!

ギュゥゥゥゥン!



……

………

杏子「チキショウ! てめぇ…マミを!シモンを!よくも!!」

シャルロッテ「~♪」ガチン!ガチン!

ほむら「今度は私たちを食べるつもりらしいわ」

さやか「グスッ… グスッ… マミさぁん…」ポロポロ

まどか「嘘だよね…ほむらちゃん。二人が食べられたなんて嘘だよね!?」

QB「本当さ、まどか。あの二人はもう食べられていなくなっちゃったんだ」

まどか「!!」

ほむら(インキュベーター…まどかを煽って契約させようとするなんて)



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:56:53.21 ID:6bhkFuzj0

QB「あの魔女は強い。暁美ほむらと佐倉杏子だけでは勝てないかもしれないな。きみも早く僕と契約しt

ほむら「ダメよ。鹿目まどか」

ほむら(まどかに契約させないためにも、コイツは私が消滅させる!)

杏子「お、おい…あれ…」

シャルロッテ「~………!! @*#%!&"$#!%&$#'%!!」

ほむら「…魔女が苦しんでいるように見えるけど。どういうことかしら」

ピキッ…

ピシッ…ボロボロ…

杏子「んなもん、あたしにわかるわけないだろ…」

杏子「おい、魔女の表面が割れたぞ!?」

パリーン!!

シモン「やった、穴が…空いた!!」

さやか「…シモ…ン?」

まどか「見て、さやかちゃん! マミさんも一緒だよ…!」パァッ

マミ「うそ…私たち、魔女の中から外に出れたの?」

シモン「だから言ったろ? 俺はシモンだ。大グレン団の穴掘りシモンだ!」

シモン「魔女が何なのかは知らないけど… コイツらが壁となって俺の前に立ち塞がるなら、いつだって風穴開けて突き破る!」

シモン「それが俺の、ドリルだ!!」ズバン!



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 20:59:25.26 ID:6bhkFuzj0

シャルロッテ「@*#%!##&"$#!%&$#'%!!」

ほむら「二人とも、魔女が苦しんでるうちに離れなさい!」ハヤク!

シモン「マミ、こっちだ!」ダキッ

マミ「あっ…///」

ほむら「佐倉杏子!」

杏子「言われなくてもわぁーってるって!!」マッテマシタ!

杏子「一気に片付けてやろうぜ!」

バシュッ! ズキュン! ズババッ!

シャルロッテ「」



QB(わけがわからないよ)

QB(いったいなんなのさ、あの力は)

QB(魔女に飲み込まれなんてしたら、普通の人間ならたちまち絶望に包まれて取り込まれてしまうのに)

QB(もしかして彼は…鹿目まどかに勝るとも劣らないほどの可能性を持ち合わせているとでもいうのかい)

QB(以前彼が僕に触れた時のざらつきのようなものも、それに関係しているんだろうか)



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:02:41.58 ID:6bhkFuzj0

さやか「良かった…マミさん、本当に無事で…!」グスッ ヒック

まどか「シモン君も、私本当に心配したんだから!」

マミ「今回は結果的に良かったけど…魔法少女でもないあなたが、あんな無茶をするのは感心しないわ」

杏子「ちょっとマミ、あんた助けてもらったのにそんな…」

マミ「とはいえ、シモン君。私のこと助けてくれて本当にありがとう」フカブカ

マミ「それと、みんなには心配掛けて本当にごめんなさい」

マミ「暁美さん。あなたの言葉を聞き入れず、酷いことしてごめんなさい…」シュン

ほむら「いいのよ、別に気にしてないから。それよりも全員無事で何よりね」

マミ「鹿目さん、美樹さん、魔法少女になって戦うというのはこういうことなの」

マミ「私はたまたま運が良かったけど、ひょっとしたら命を落としていたかもしれない」

マミ「だから。あなたたち自身の命と引き換えにしてでも、叶える必要のある願いがなければ…」

マミ「あなたたちは魔法少女にならない方がいいと思うの」

ほむら(巴マミ、あなた…)



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:09:15.03 ID:6bhkFuzj0

QB(厄介だね。これまでは二人を魔法少女にすることに肯定的だった巴マミが、ここに来て意見を変えて来るなんて)

QB(穴掘りシモン。どうやらきみは、ボクが思っている以上に邪魔な存在なのかもしれない)キュプ

杏子「それにしてもシモン。さっきのアレ、格好良かったじゃねーか!」ニヒヒ

さやか「そういえば大グレン団って?」

シモン「それは…」

マミ「まぁまぁ、みんな。魔女の結界も消滅し始めてることだし… 良かったら私のうちに来て話すのはどうかしら?」

さやか「さんせーい!」

まどか「ほ、ほむらちゃんも来るよね?」

ほむら「そうね。断る理由もないわ」

ほむら(美樹さやかが魔法少女になっていないとはいえ、ベテランである巴マミが生き残ったのは大きい)

ほむら(美樹さやかと佐倉杏子が早い段階で出会ったことで険悪になっていないのも、良い方向に影響しそうね)

ほむら(そして穴掘りシモン。彼は本当に一体…)



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:12:51.28 ID:6bhkFuzj0

杏子「なぁ、マミ。お前の手作りお菓子ってあったりする? あれ、うっめぇんだよなぁ!」

さやか「そうそう! マミさんの手作りお菓子、美味しいんだよねー」ホワァン

杏子「お。なんだお前、話しがわかるヤツだな! 遅くなっちまったけど、あたし佐倉杏子ってんだ」

杏子「今更言う必要ねーかもしんないけど、魔法少女やってる」

さやか「わたしは美樹さやか。で、こっちが鹿目まどか」

まどか「は、はじめまして!」ペコリ

さやか「マミさんは3年生だけど、それ以外はみんな2年生の同じクラスなんだ」

杏子「ま。二人とも改めてよろしくな!」

さやか「おう! よろしくぅ!」

まどか「よろしくね、杏子ちゃん!」



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:18:41.45 ID:6bhkFuzj0

-マミの部屋-

マミ「へぇ…それじゃぁ、そのアニキさんが立ち上げたのが、『大グレン団』なのね?」

シモン「うん」モグモグ

杏子「んで、その大グレン団ってのは何やってた集まりなんだ?」モグモグ

シモン「敵のガンメンぶんどって、人間を地下に押しこめてた螺旋王の獣人軍団と戦ってたんだ」パクパク

さやか「ガンメン? ラセンオー? ジュージン?」

シモン「あ…」(しまった、つい本当のこと言っちゃったけど…)

さやか「シモン…! お前もしかして…」ジリ…

シモン「え、えっと…それはその」アセアセ

さやか「そういう漫画とかゲームとか、すっげぇ好きだったりするのか!?」

シモン「へ?」

さやか「わーかってるって。別に隠さなくてもいいんだよ?」

シモン(そっか、やっぱりそうだよなぁ。この世界にはガンメンもないみたいだし、何より平和だもんなぁ。信じられるわけもないか)

マミ「恥ずかしがることないのよ、シモンくん」

マミ「私たちくらいの男の子だったら、そういう空想物語って大好きだと思うの」



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:25:42.01 ID:6bhkFuzj0

杏子「男じゃなくても、必殺技に名前付けたがるよーなヤツもいるしな?」チラッ

マミ「あ、あれは私が気に入ってるからいいの!」

杏子「コイツさ、あたしの必殺技にまで名前つけたんだぜ?」モグモグ

マミ「いいじゃない! 佐倉さんだって、いいんじゃねぇか~なんて言ってたくせに!」

杏子「その場の空気ってのがあるだろ? あたしはそれを読める女なんだよ!」エヘン

さやか「そういえばまどかも、魔法少女のコスチューム描いてたよね?」ニマニマ

ほむら「!?」ホム!?

まどか「も、もし自分がなったらどんな服がいいかなぁって…///」

ほむら(実に興味深いわね… …じゃなくて、まどかを魔法少女にさせるわけにはいけないのよ!)

ほむら(それよりも…)

………

……





69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:29:13.27 ID:6bhkFuzj0

マミ「あら、もうこんな時間。そろそろお開きにしましょうか?」

まどか「いけない! シモン君、ママに連絡入れないと二人してまた怒られちゃうよ!」

シモン「忘れてた…!」ピポパ

シモン「もしもし詢子? 今、まどかと一緒にマミの家にいるんだけど……」

マミ「あら。シモンくん携帯電話持ってるなら、番号交換しておきましょうか」

さやか「いいね。杏子もほら、交換しようよ?」

杏子「わりぃ、あたし携帯電話もってないんだ」イヤー,ハハハ

さやか「じゃさ、杏子が持つことになったら交換ね? 約束!」

杏子「ちっ… しゃーねーなぁ/// わかったよ、約束だ」

ほむら(ふふ。子供ね…番号交換くらいではしゃいじゃって)

まどか「せっかくだから私もほむらちゃんやマミさんと番号交換したいな?」

ほむら「ええ、のぞむところよ!」キラーン!

カチカチ…

杏子「っと、そうだ… 忘れてたよ、さっきのグリーフシード」

杏子「マミ、ほむら、ソウルジェム出せよ。3人で浄化に使おうぜ?」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:30:49.29 ID:6bhkFuzj0

ほむら「そうね。ありがたくそうさせてもらうわ」スッ…

マミ「ありがとう佐倉さん。助かるわ。…あら?」

杏子「あれ、マミのソウルジェム… これ、全く濁ってないんじゃねーのか?」

QB「どれどれ…これは不思議だね。あれだけ戦っていたのに、微塵も穢れていないなんて」

QB(魔女に呑まれたことで、巴マミは相当絶望したはずだ)

QB(なのに…おかしい。ひょっとしてこれも彼が関係しているのかな)

杏子「濁ってないならそれに越したことないし、これはあたしとほむらで使わせてもらうよ」

マミ「ええ。そうしてちょうだい」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:35:25.70 ID:6bhkFuzj0

-帰り道-

テクテク

さやか「いやー 今日は楽しかったなぁ♪」

まどか「さやかちゃんったらもう。あんなに怖い思いしたの忘れちゃったの?」

さやか「そういえばそうだった」テヘヘ

さやか「あれ、シモンは? まどかの家に住んでるんだし、帰り道一緒じゃなかったっけ?」

まどか「んっと、少し寄り道して帰るって言ってたよ?」



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:39:51.83 ID:6bhkFuzj0

-朽ちた教会・裏庭-

杏子「おいおい、本当にまた掘ってるよ」

ザクッ ザクッ ザクッ

シモン「暗くなるまでにまだ少しありそうだし。それに、気になっちゃって」

ザクッ ザクッ ザクッ

シモン「また反応が強くなった… もう少し、もう少しで…!」カキンッ

杏子「何だ、今の音?」

シモン「…………これは!!」

シモン「ラガン!!」

杏子「なんだなんだ、何か掘り当てたのか?」

杏子「って…な、な、なんだよシモン、それ…!そのでっけぇ顔!!」アワワ

シモン「コイツはラガン。俺の大事な相棒だよ」

杏子「ラガンんん!?」

コツ…コツ…コツ…

ほむら「あなたの話に出たガンメンというのはそれのことかしら」

シモン(ほむら…)



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:47:33.56 ID:6bhkFuzj0

杏子「ほむら、なんでここに!」

シモン「…コイツはガンメンの中でも小型らしいんだけどね」カチャカチャ

杏子「小型っつったって、軽自動車…とまではいかなくても、コイツ結構な大きさはあるだろ?」

杏子「しかも。これで小型っつーことはだ。更にでっけーのがいるってことなのか」

ほむら「話しがあるの。穴掘りシモン、佐倉杏子」

ほむら「巴マミにも連絡を入れておいたから、直にここに来ると思うわ」

シモン「わかった」

シモン「でも良かったね、ほむら。交換した番号が早速役に立ってさ」

ほむら「そうね。さすがに離れ過ぎていてはテレパシーも届かないわ」


杏子「なぁシモン。そいつって動かせるのか?」

シモン「ちょっと待ってて。試してみるから」

シモン(でも何でラガンがこんな場所に?)

シモン(操縦席の中は…間違いない。これ、俺が乗ってたラガンだ!)

カチャ…



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 21:50:34.29 ID:6bhkFuzj0

シモン(よし、起動はする。パワーはそこまで上がらないみたいだけど…)

ガボッ ガションガション…

杏子「おお! 動いたあ!」キラキラ

シモン「うん。普通に移動させたりするくらいなら大丈夫みたいだ」

ほむら「一体どういう原理で動いてるのかしら」

シモン「実は俺も、そこまで詳しいわけじゃないんだ。リーロンって人がそういうのに詳しいんだけど」

シモン「……そうだ、リーロンに連絡!」

シモン「通信機は…よし、動く!」

ザザー ザ… ザザー…

シモン「こちらシモン!カミナシティ、応答してくれ!」

ザザ… ザー… シモ… イマ、ドコニ…ザー……

ザー………

ほむら「ダメみたいね」

シモン「いや。そうでもないさ」

シモン「多分だけど俺の声は届いてる。だったら…繋がる可能性はある!」

杏子「なんつーか、お前ってとことん前向きだよなぁ」アハハ

ほむら「そうね。あなたを見てると、私もそうありたいってときどき思うわ」

ほむら「色々と話すことも聞きたいこともあるけど。まずは巴マミを待ちましょう」



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:00:15.33 ID:6bhkFuzj0

~その頃のマミさん~

マミ「佐倉さん、何でこんな薄気味悪い森の奥に住んでるのよ…」ガクガク

カァー カァー

マミ「暁美さんも…集まるならもっとほかに場所があるじゃない…」ブルブル

ギャギャギャギャ!!

マミ「いつも思うのだけど、森でよく聞こえる変な鳴き声。なんなのかしら…」トボトボ

----------



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:02:38.23 ID:6bhkFuzj0

マミ「待たせちゃってごめんなさい」

ほむら「疲れてるのに呼び出して悪いわね」

杏子「うーん、やっぱりシモンが動かしてる時よりも、あたしだと元気がないっつーか」

ガション…ガション…

シモン「俺用に調整とかされてるから、他の人だとあんまり動かないのかも」

マミ「で、あれは一体何なのかしら。そして何をしてるのかしら」ジー…

ガッションガッション

オイ,コイツトマラナインダケドオオオオオオ

キョウコー ソッチハカベガー!

ドゴーン!

アタシノイエガアァァァァ!!

マミ「えーっと。止めた方がいい?」

ほむら「お願いするわ」

マミ「ティロ・フィナーレ!」ドカーン!!

杏子「うをわあぁぁ!? いきなり何すんだよ、マミ!」

シモン「び、びっくりしたぁ!!」ドキドキバクバク



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:06:47.52 ID:6bhkFuzj0

ほむら「改めて確認するけど…キュウべぇは一緒じゃないのね?」

マミ「ええ。恐らくだけど、今は鹿目さんのところで営業活動でもしてるんじゃないかしら」

ほむら(とは言え、あれは神出鬼没。これからの会話も、聞かれるものと思っておいた方が良さそうね)

ほむら「わかったわ。私からも、魔法少女である二人に話しがあるのだけど」

ほむら「その前にシモン。あなた、話すことがあるわよね?」

シモン「うん」

シモン「ごめん、みんなには黙ってたんだけど… 俺、実は別の世界の人間なんだ。きっと」

杏子「また随分突拍子もないことを直球で言うヤツだな」

マミ「別の世界!? それじゃぁ昼間話してたのは…」

杏子「漫画でもゲームでもねぇ。本当のことってわけか」

シモン「うん」

シモン「…俺たちの世界では、人間は長い間地面の下で暮らしてた。地上は恐ろしい獣人たちが支配していたから」

シモン「でも俺とアニキは地上へ飛び出したんだ」



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:14:50.05 ID:6bhkFuzj0

シモン「敵が使ってたガンメンを奪って、仲間を増やして戦い続けた」

マミ「そんな世界があるなんて、にわかには信じられないわよね…」

シモン「うん。それは俺も同じだったよ」

シモン「この街を見て回って、最初はこんな平和な場所があるだなんて、夢なのかなって思ったくらいだから」

ほむら「裏で魔女なんてものが存在しているのが、平和と言えるのかは疑問よね」

ほむら「悪いわね、続けて」

シモン「…そして俺たちは、獣人たちのリーダーである螺旋王を倒した」

シモン「今は敵の本拠地だったテッペリンってとこを、新しい街カミナシティとして作り替えてるところなんだ」

杏子「なぁ、シモン。お前のそのアニキってのは…」

シモン「アニキは死んだよ。戦いの中で」

杏子「そっか、やっぱりそうなのか。わりぃ、嫌なこと聞いちまったな」シュン

シモン「いいんだ杏子。アニキは確かに死んじゃったけど…俺のここで一つになって生き続けてるから」トンッ

マミ「シモン君…」



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:19:19.59 ID:6bhkFuzj0

シモン「俺さ、昔はアニキがいないと何もできない…一人じゃ何もできないって思ってた」

シモン「でも今は違う。俺は憧れ続けた、追い掛け続けたあの背中に笑われない男になって、いつかはアニキだって越えてみせるよ」ニコッ

マミ「グスン。シ"モ"ン"く"ん"… 私、応援してるから!」ダキッ

シモン「わぷっ!? く、苦しいよ、マミ!///」

杏子「別世界、かぁ」

杏子「そんな話、信じられねぇけど。ラガンっつったっけ? そんなの見せられちゃ、信じるしかねぇよな」

シモン「ありがとう杏子。俺の話はこんなところだ」

シモン「ほむらも何か話したいことがあるんだよね?」

ほむら「ええ」

ほむら「本当は、今の今まで話すべきか迷っていたのだけど」

ほむら「穴掘りシモン。あなたのことを見ていて、あなたの話を聞いて決心がついたわ」

シモン「俺の?」

マミ「暁美さん、ちょっと待って」

ほむら「なにかしら?」ホム

マミ「その話って…難しい話?」

ほむら「そうね。それなりには」

マミ「……シモンくん。今 度 は 寝 な い よ う に ね?」ニコ

シモン「う"…」キヲツケマス



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:25:58.10 ID:6bhkFuzj0

ほむら「巴マミ、佐倉杏子、あなたたちにとってはショックなことも話すけど… 決して取り乱したりしないで欲しいの」

ほむら「お願い」

杏子「わかったよ」

マミ「ええ。約束するわ」

………

……



マミ「時間遡行者…」

杏子「同じ一ヶ月を何百、何千回も繰り返すって…あたしなら耐えられそうにないな」

杏子「それにほむらの話しが本当なら、キュウべぇ…アイツ、とんでもないヤツだ」

マミ「このソウルジェムが私たちの魂… これが濁りきったとき、魔法少女は魔女に…」ガタガタ

シモン「落ち着いて、マミ」ポンポン

マミ「それにワルプルギスの夜。あんなとんでもない魔女が、この街に現れるだなんて」ギュ…

ほむら「でも、決して希望がないわけじゃない」

ほむら「今のあなたたちは、私が繰り返してきた時間軸の中ではかなり良い状態なの」

杏子「なぁ、ほむら。お前が知る中でのベストの状態ってのはどうだったんだ?」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:31:06.08 ID:6bhkFuzj0

ほむら「魔法少女は鹿目…まどかを除く4人。お互いの人間関係も良好な状態で立ち向かうことができたわ」

杏子「でも。お前が今、この瞬間あたしたちの前にいるってことは…」

ほむら「…………」

杏子「正直に話せ。お前、今の状態で勝てると思ってるのか?」

杏子「さやかが魔法少女になっていない、今の状態で」

ほむら「そ、それは……!!」

トコトコトコ

QB「まず無理だろうね」キュップイ

ほむら「キュウべぇ!…いえ、インキュベーター!」

QB「陰から話は聞かせてもらったよ。まさか時間遡行者に異世界人とはね」

QB「暁ほむら、穴掘りシモン、キミたちのことは薄々おかしいとは感じていたんだ」

QB「ボクとの契約もなしに、魔法少女として降り立った暁美ほむら」

QB「穴掘りシモンに至っては、ひょっとするとこの世界の常識すら通用しないのかもしれない」キュプ

シモン「…………」



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:34:32.57 ID:6bhkFuzj0

QB「ほむら、キミは彼女たちを無駄死にさせたいのかい?」

ほむら「そんな…!」

QB「わかるよ、キミにとってはきっとこの時間軸さえも通過点の一つに過ぎない」

QB「キミにとってのほかの魔法少女たちは、所詮捨て駒ってところなんじゃないのかな?」

杏子「…………」

マミ「…………」

QB「キミたちだって、むざむざ捨て駒にされて死にたくはないだろう?」

QB「だからボクは、鹿目まどか、美樹さやか両名の魔法少女化を提案するよ」キュップイ

ほむら「インキュベーダァァァァッッ!!」ズダン!!

QB「」

トコトコトコ

QB「無駄な事だって知ってるくせに。懲りないんだなあ、君も」

QB「代わりはいくらでもあるけど、無意味に身体のストックを潰されるのは困るんだよね」



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:44:09.23 ID:6bhkFuzj0

QB「そうだ、穴掘りシモン。キミは元の世界に戻りたくないのかい?」

QB「キミにだっているだろう? キミの帰りを待っている人たちが」

シモン(俺の帰りを待っている人たち… ヨーコ、キタン、ロシウ、ダヤッカ……ニア!!)

シモン「あぁ…」

QB「だったら話は簡単だ。キミが少し協力してくれればいい」

QB「キミは…さっきの話をまどかにもするんだ」

QB「そしてこう言えばいい。魔法少女の願いで、ボクを元の世界に戻して欲しい。ってね」キュップイ

QB「彼女の秘めている力ならば、次元の壁を越えるくらい容易いことだろうからね」

ほむら「やめて…お願い、やめて…!」

QB「何より彼女は心優しい少女だ。きっと、人の為に願いを使うことさえ厭わない」

QB「佐倉杏子、かつてきみがそうだったように」

杏子「テメェ… インキュベーター!!」グッ

QB「やめときなよ。ボクを殺してもどうにもならないことは、たった今実証済みだろ?」



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:46:55.44 ID:6bhkFuzj0

シモン「やめろ、杏子!」

杏子「何で止めるんだ!シモン…テメェまさか…」

マミ「シモン君…!?」

ほむら「お願い、だめ…シモン、お願いだから…!!」

シモン「キュウべぇ、お前の言う通りだ。俺にもいるよ。俺の帰りを待ってる大切な人たちが」

QB「だったら話は決まったね」

QB「さぁ、キミの意思が変わらないうちにまどかのところへ行こう」キュプキュプ

ほむら「………エグッ…ヒック…ヒクッ…」

QB「いつまでそこに突っ立ってるんだい?ほら。早く行こう」

シモン「…………ナメんじゃねぇ!!」

ほむマミ杏「」ビクッ!

QB「どういうことだい」

シモン「あぁ、確かにいるよ。俺にだって…守りたい。大切だって思う人たちがな!」

シモン「だがな、ここで…この世界でのダチを見捨てて、俺だけのこのこ帰るなんてできやしねぇ!!」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:49:42.17 ID:6bhkFuzj0

シモン「そんなことをして戻ったところで、俺の、俺が信じる大グレン団のみんなは」

シモン「俺を信じてくれる大グレン団のみんなは、誰一人として喜びやしねぇ!!」

シモン「それに…俺が憧れ続けたあの背中に、追い掛け続けたあの背中に笑われちまうんだよ!!」

ほむら「うぅっ…ヒグッ、シモン…」ポロポロ

QB「せっかくのチャンスを無駄にするなんて。どうかしてるとしか思えないよ」

シモン「うるせぇ!! 知らねぇんだったら教えてやる。知ってるんだったら何度だって言ってやる!」

シモン「それが俺たち大グレン団なんだよ…! それがこの俺、穴掘りシモンなんだよ!!」

マミ「シモンくん…///」

杏子「ヘヘ、お前、大馬鹿野郎だぜ!」ニカッ

シモン「ほむら!」

ほむら「」ビクッ

シモン「知ってる? ドリルってのは、一回転すればほんの少しだけ前に進むんだ」

シモン「お前はこれまで、投げ出しもせず…諦めもせず、何度も何度もドリルを回し続けてきたんだろ?」



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:51:25.13 ID:6bhkFuzj0

シモン「だったら…この一回転で、お前を押さえ付ける天井をぶち壊してやれ!」

ほむら「エグ…エグッ…うん… うん…!」ポロポロ

シモン「キュウべぇ」ガシッ

QB「い、言っただろう? ボクに気安くさわ、触らないでほし、ほしいね…」

QB(おかしい、おかしいおかしい。この手に掴まれて、嫌なはずなのにこの湧き上がるようなものは…)

QB(…嫌? 嫌ってなんだろう)

シモン「今のが俺の出した答えだ。俺は…俺の、大グレン団のやり方でこの世界の天井を突き破る!」

QB「まさかキミがここまで愚かな人間だったとはね。…好きにするといいよ」ヨロヨロ…

シモン「あぁ。そうさせてもらう!」

----------



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:54:07.54 ID:6bhkFuzj0

ほむら「悪かったわね、取り乱して///」ホム

マミ「暁美さんにもあんな一面があっただなんてね♪」

杏子「ま。いいんじゃねーの? ツンツンしてるよか、そっちの方が親近感も沸くってもんだぜ」ニカッ

ほむら「そ、そうかしら///」

マミ「でも驚いたわ。私たちがお互いを傷付けあったりしていた世界もあっただなんて」ブルブル

杏子「で、これから具体的にどうするよ?」

ほむら「ワルプルギスの夜が来るまで、たっぷりとは言えないけれど、幸いまだ時間はある」

ほむら「みんなには、鹿目まどかと美樹さやかが魔法少女にならないようにしてもらいたいの」

マミ「そうね。魔法少女の真実が本当にあれなら…」

杏子「これ以上増やすわけにもいかねーしな」

シモン「俺は…」

ザザ…ガピー…

???『シモン! 聞こえる!? 聞こえていたら返事して頂戴!』

杏子「おい、今のって…!」

シモン「ラガンからだ!」ダダッ



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 22:56:38.64 ID:6bhkFuzj0

シモン「聞こえてるよ! よかった、やっと繋がった…!」

???『あら、成功ね♪ ちょっとアナタ今一体何処にいるの?』

シモン「その声はリーロンか!?」

リーロン「はぁぃ、大正解♪ あ な た の、リーロンよぉ?」

杏子(オカマだ)

ほむら(オカマね)

マミ(あなたの!?)

リーロン『あなたがパトロールしてる最中に、いっきなりグレンラガンの信号がロストしちゃうんだもの。もうみんな大慌て』

シモン「ごめん。俺、実は今、別の世界に来てるみたいなんだ」

リーロン『その点は心配しなくても大丈夫よ。違う世界だろうと、こっちではラガンの信号辛うじて拾えてるからぁ』

リーロン『それにロージェノムが遺していたシステムの解析が進めば、直に帰り方もわかると思うわ』

シモン「助かるよ。でもそのことなんだけど…」

リーロン『あぁん、もう。みなまで言わなくてもわかってるわよ』

リーロン『どうせあなたのことだから、そっちの世界ですぐに帰れない事情でもできたんでしょ?』

シモン「さすがリーロン。適わないや」アハハ

シモン「ところでさっき、ラガンの信号拾ってるって言ってたけど…グレンは分離してそっちにあるの?」

リーロン『そのことなんだけど………』



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:01:54.53 ID:6bhkFuzj0



……

………

ほむら「それじゃ、整理するわ」

ほむら「最初に鹿目まどか、美樹さやかが魔法少女になるのを阻止する」

ほむら「次に、シモンが元の世界に帰るために必要な…グレンとやらを探す」

ほむら「最後に、これまで同様の魔女退治」

杏子「魔女退治は、あたし、マミ、ほむらが組めばそうそう危なくなることもないだろうな」

マミ「とはいっても、油断は禁物よ?佐倉さん」

杏子「うぐ…マミに言われると説得力があり過ぎるぜ」

杏子「グレンも、ラガンの時みたいにお前のそのペンダントが反応するのか?」

シモン「わからない」

ほむら「何か手がかりになりそうなものはないのかしら?」

シモン「手がかりかぁ。ラガンよりもずっと大きくて、見た目は赤い鬼みたいなんだ」

シモン「だから。もし目立つところにあるなら、多分騒ぎになるとは思う」

マミ「それなら、私と暁美さんでテレビもチェックしておきましょうか」

ほむら「そうね。ただ、ニュースで取り上げられたりしてしまうと回収が大変そうだわ」



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:04:09.32 ID:6bhkFuzj0

シモン「場所さえ分かれば、あとは俺がどうにか操縦して移動させるよ」

ほむら「ええ。お願い」

杏子「一番難しいのは、まどかとさやかのことか…」

ほむら「これに関しては恐らく、インキュベーターも手を出してくるでしょうからね」

マミ「いっそ、全て話してしまうのはどうかしら?」

ほむら「場合によってはそれも仕方ないわね。でも、美樹さやかに話す時はくれぐれも気をつけて欲しいの」

ほむら「私がこれまで経験した時間軸では、彼女はこの中で一番魔女になる可能性が高いから」

マミ「……ええ。気をつけておくわね」

杏子「わかった」

シモン「…………」

ほむら「どうしたの、難しい顔して」

シモン「なんかさ」

ほむら「?」

シモン「お腹すかない?」グキュゥ-

ほむマミ杏「」



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:48:35.47 ID:6bhkFuzj0

----------

-ラーメン屋-

ほむら「で。何でラーメンなのよ」ズルルルル

シモン「歩いてる時にこの建物からすっごいいい匂いがしてたから、一度入ってみたいな~って思ってたんだ」タハハ

杏子「あたしは好きだぜ? ラーメン!」ズルルルルー ズルルルッ

マミ「たまには悪くないわよね♪」ハフハフ

杏子「しっかしすげぇよな。魔法少女三人に異世界人が、同じテーブルでラーメン食ってるってのもさ」

シモン「今度はさ。まどかとさやかも連れてこようよ」ズルルッ ズルズル…

ほむら「悪くないわね」

杏子「ところでさ、あたし金もってねーんだけど」ズルズル

ほむら「……いいわよ。今日は私があなたたちの分、ご馳走してあげる」

シモン「ありがとう、ほむら!」

杏子「お!マジで!? やっりぃ! おじさーん、餃子と炒飯も追加で!大盛りな!」

シモン「あ、俺もそれ食べてみたい!」コッチモ



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:50:47.01 ID:6bhkFuzj0

ほむら「あなたたちねぇ…少しは遠慮ってものをしなさいよ」

マミ「ふふ。私も半分出すわね」

ほむら「いいのよ、巴マミ。気にしないで頂戴」

マミ「暁美さん、最初に会った時に比べるとだいぶ変わったんじゃないかしら」

ほむら「…………」

ほむら「そうかも知れない。でも、不思議と嫌な気分はしない」

ア! ワタシノチャーシューカエシテヨ!!

エエ! マミ,ノコシテルカラタベナイノカト

サイゴニタベヨウトオモッテタノー!!

モウウバウシカナイジャナイ!!

コノチャーシューハワタサナイワヨ

----------



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:54:37.55 ID:6bhkFuzj0

-翌日-

さやか「おっはよー♪ まどか、仁美、シモ………どうしたのさ、その顔」

シモン「おはよう、さやか…」ヒリヒリ

まどか「昨日あの後、おそー…くまで帰ってこなくって。で、ママにどやされた上に…」

仁美「きつぅーいお仕置き、だそうですわよ?」

さやか「あーらら…」

まどか「でも、それだけママもシモンくんのこと心配してるってことだよ?」

シモン「うん。わかってる。わかってるんだけど…あのビンタは効いたなぁ」ヒリヒリ

仁美「学校についたら、鹿目さんと一緒に保健室で湿布をもらってはいかがでしょう?」

まどか「そうだね、ちょっと痛々しいもんね」ウンウン

グラグラグラ…

シモン「地震…!?」

仁美「………おさまったみたい、ですわね?」

まどか「怖いなぁ」



101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/31(土) 23:59:51.10 ID:6bhkFuzj0

-放課後-

シモン「あれ? 今日はさやか先に帰っちゃったの?」

まどか「うん。今日はね…」

シモン「?」

まどか「マミさんも魔法少女体験はもう終わりって言ってたし… シモンくん、良かったら帰りにどっか寄ってみる?」

シモン「うん。そうしようかな」

シモン(あれから…まどかのそばにキュウべえの姿は見えないけど、諦めたとは思えない)

テクテク

まどか「それじゃぁどこに寄り道しよっか?」

シモン「ねぇ、まどか。この辺で…どこか見晴らしのいい場所ってないかな?」

まどか「見晴らしのいい場所?」

シモン「うん。見滝原って街の全体を一度見てみたいんだ」

シモン(これでグレンの場所がわかればいいんだけど)

シモン(あ、コアドリルの反応…もしかして近くにグレンが!?)



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:07:28.79 ID:MrMvrdZ20

シモン(いや、違う!この反応は…!)

まどか「うーん…それってどこがいいかなぁ…… あれ? 仁美ちゃん?」

まどか「仁美ちゃ~ん。今日はお稽古事…ぁ」

まどか「シモンくん、今の印…!」

シモン「印?」

まどか「どうしよう、あれ…あの印、魔女に目を付けられた印だって、マミさんが…」

シモン「やっぱり、近くに魔女がいるのか…!」

まどか「私、仁美ちゃんを止めてくる! シモンくんはマミさん達に連絡お願い!」

シモン「まどか! …俺もみんなを呼びながら追い掛けないと」

prrrrrrrrr…

マミ『あら、シモンくん。グレンは見つかった?』

シモン「もしもし、マミ! 魔女が出た…!」

シモン「場所は…えっと…」(しまった、俺、この場所なんて伝えればいいのかわからない!)

マミ『落ち着いて。何か目印になるようなものはないかしら?』

シモン「目印、目印… あった! 池みたいな場所で、水が流れる柱が何本もあって…」

マミ『ありがとう、それだけわかれば十分よ!』

マミ『そうだわ、もしかしたらキュウべぇが鹿目さんに契約を持ちかけるかも知れないから、鹿目さんの傍にいてあげて!』

シモン「わかった!」



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:12:13.14 ID:MrMvrdZ20

タッタッタ…

まどか「仁美ちゃん! お願い…少し、少しの間だけでいいから止まって!」

仁美「あら、鹿目さん、御機嫌よう」

まどか「こ、こんばんは… ねぇ仁美ちゃん、私と少しお話しようよ? ね?」

仁美「うふふ。お誘いは嬉しいのですけれども… 私、行かなければなりませんの」

まどか「行くって…どこ、に…?」

仁美「どこって、それは…ここよりもずっといい場所、ですわ」

まどか「仁美ちゃん…」

仁美「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に」

仁美「ええそうですわ、それが素晴らしいですわ」

シモン「止まれ! 仁美!」

まどか「シモンくん!」

シモン「まどか! そっちの腕、引っ張って!」

まどか「う、うん…!」

ズル… ズル…

シモン「なんて…馬鹿力だ!」

まどか「そんな、私たち二人を引っ張るなんて…!」



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:14:53.74 ID:MrMvrdZ20

ズル… ズル…

シモン「こんのおおぉぉぉぉ!!」ググググッ

まどか「仁美、ちゃ…んんんんっ!!」グググッ

仁美「うふふふ……」

ズルッ… ズルッ…

仁美「うふふふふ… うふふ、ふ… うふ…?」

仁美「…………」パタン

まどか「仁美ちゃん…?」

prrrrrrr…

まどか「ほむらちゃんからだ!」

ほむら『お待たせ。今、魔女は消滅させたわ』

ほむら『鹿目まどか、そっちにキュウべぇはいるかしら?』

まどか「えっと…近くにはいないよ? そういえば昨日の夜から見てないなぁ…」

ほむら『そう、それなら…………美樹さやか!? あなた、どうして…!!』

まどか「あれ? さやかちゃんそっちにいるの? え、あれ…どうして…?」



105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:15:52.56 ID:MrMvrdZ20

ほむら『そこにシモンはいるかしら?』

まどか「うん… うん… シモン君、ほむらちゃんから。代わってって」ハイ

シモン「ありがと。…ほむら?」

ほむら『迂闊だったわ。キュウべぇはまどかを優先して魔法少女にするとばかり思ってた…』

シモン「まさか…」

ほむら『美樹さやかが魔法少女になったのよ』

シモン「そんな…さやかが!?」



QB「無駄だよ暁美ほむら。シモン。キミたちがどう足掻こうと、ボクまどかを魔法少女にしてみせる」キュププ



106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:22:44.30 ID:MrMvrdZ20

-朽ちた教会-

マミ「やられたわね…」

杏子「インキュベーターの野郎…!!」ガンッ!

ほむら「やめなさい、佐倉… 杏子」

ほむら「…魔法少女になってないのがまどか一人になった分、守りやすくなったという考えもできるわ」

マミ「こういう言い方は良くないのだけど。美樹さんを戦力として期待できるってことでもあるわね」

杏子「クソッ!!」

シモン「なぁ、ほむら。前に魔法少女のことを話してくれたとき、キュウべぇには感情がないって言ってたよね?」

ほむら「ええ」

シモン「俺の思い過ごしかもしれないんだけど… キュウべぇは、俺たちが苛立つようなことを仕掛けてきてる気がするんだ」

シモン「初めて会った時から、俺に対しては嫌味ばっかり言うし… 昨日の夜だって、今日のさやかのことだって」

ほむら「もしインキュベーターに感情が生まれたのだとしたら、そういった行動をとるのも頷ける」

ほむら「嘘をついたり、口八丁に相手を誘導したり。或いは相手の神経を逆撫でしたり」



107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:25:04.80 ID:MrMvrdZ20

ほむら(まどかが心配だわ…)

杏子「そうだ。その話とは全く関係ないんだけどさ…」スッ

マミ「あ、私も」スッ

ほむら「これのことね」スッ

シモン「これって、ソウルジェムだっけ?」

シモン「キラキラしててとっても綺麗だ」

杏子「今日の魔女退治、三人ともそれなりに力を使ったはずなんだけど」

杏子「この前のマミのときと同じように、今回は三人ともジェムの濁りがほとんどないんだよな」

ピピッ

リーロン『それについてはワタシが説明してあげちゃ~う♪』

杏子「おわぁ!? こ、この前のオカマか!?」

シモン「リーロン!…ラガンの通信、つけっ放しだったっけ」

マミ「ご、ごめんなさい…さっき私が…」タラー

シモン「いや、いいんだ。怒ってるわけじゃないから」

リーロン『アタシなりに色々調べたんだけどね、こちら側の世界には螺旋力ってエネルギーがあるのよ~』

シモン「螺旋力?」



108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:28:01.45 ID:MrMvrdZ20

リーロン『そ。どうやらロージェノムは何らかの理由でそれを研究して…螺旋力を持たない獣人を創り出してたみたい』

シモン「どういうこと?」

リーロン『ざぁんねん、理由はまだわからないわ。でもね… 彼の言葉を借りれば、こちら側の世界でいう人間は螺旋族って呼ばれていたらしいの』

ほむら「ひょっとして…あなたたちの世界の人間が持つ特有のエネルギーが、螺旋力…?」

リーロン『あら、誰だか知らないけどご明察ぅ♪』

リーロン『もっとも、この世界の人間特有なのか…そっちの世界の人間にも多かれ少なかれあるのかは、分からないのよねぇ』

リーロン『話を戻すわね。その螺旋力っていうのは、どうやら人の心に影響を受けるみたいなのよ』

杏子「人の…心?」

リーロン『そうよ。例えば…すっごく楽しい気分の人って、周りの人までハッピーな気持ちにさせたりするじゃなぁい?』

リーロン『それと同じってワケね。さっきそっちの誰かが教えてくれたんだけどぉ… あなたたちの持ってるソウルジェムってものは、言わば…』

リーロン『人の気持ちとか、タマシイとか…そういったものの集合体。シモンがとてつもない螺旋力を秘めているんだとしたら』

リーロン『ひょっとしたらそれに影響されたのかもしれないわね♪』



109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:32:24.62 ID:MrMvrdZ20

マミ「シモン君の傍にいたことで、私たちのソウルジェムに良い影響があったということかしら」

シモン「俺が?いま一つ実感わかないや」

リーロン『あくまで可能性の一つとしての話よ?』

リーロン『つまりぃ。シモンの勇気とか前向きな気持ちに影響されちゃうと、ソウルジェムに溜まってるもやもやも吹き飛んじゃう~ってこと♪』

ほむら(彼の心の昂ぶりが、私たちのソウルジェムの穢れを…)

マミ「文字通り、心が躍るってことなのね」

リーロン『もしかするとソウルジェムの表面に、汚れに強い抗菌加工でもオマケされてるかもしれないわねぇ』

ほむら「そんなエネルギーが… 凄い…」

リーロン『だーかぁーらぁー…あくまで可能性よ? 可能性ぃ』

リーロン『それから、そのインキュベーターって生き物の感情についても同じことが言えるわね』

リーロン『もともと無感情だったのが、シモンの螺旋力に影響されて』

シモン「何らかの変化を起こした…?」

リーロン『そゆことぉん♪』

リーロン『ついでに言うと、螺旋エネルギーはラガンの動作にも関係してるみたいだからぁ…』

リーロン『今なら、前よりもラガンの出力が上がってるはずよぉ?』



110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:36:25.55 ID:MrMvrdZ20

シモン「そうか、わかったよリーロン。ありがとう!」

リーロン『ふふ。頑張りなさいよシモン♪ そ~れじゃ、また何か分かったら連絡いれるわぁん』

リーロン『以上、あなたたちのリーロンで・し・た♪』

杏子「あなたたち…になってやがる」



シモン「そっか…俺にそんな力があるかもしれないのか」

杏子「あたしは、前々からシモンはタダもんじゃないって思ってたぜ?」ヘヘッ

マミ「もう、調子いいんだから」クス

ほむら「このことが、少しでも勝機に繋がるといいんだけど」

ガサッ…

ほむら「インキュベーター!?」

???「違うよ」

???「キュウべぇだと思った?残念、さやかちゃんでした!」フラァ

ほむら「あなた…一体どうしてここに!」

さやか「実はさぁ。わたし…聞いちゃったんだ。今さっき。キュウべぇから」アハ

杏子「アイツ何のつもりだ!」



111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:41:41.91 ID:MrMvrdZ20

さやか「魔法少女のこと。魔女のこと。全部、全部、全部、ぜーんぶね」アハハハハ

ほむら「そう」

さやか「酷いよねぇ。わたし、もう人間じゃないんだよ?」シュン

さやか「なんでだよ…」ギロッ

ほむら「…………」

さやか「知ってたんだったら、なんでわたしに教えてくれなかったんだよ、暁美ほむらあぁぁぁ!!」ガシッ

ほむら「離しなさい、美樹さやか」

さやか「こんな身体になっちゃって…わたし、どんな顔して恭介に会えばいいのよ!!」

さやか「あんたの…あんたのせいだ。あんたのせいだ」ブツブツ

さやか「まぁいいや。今日はそれを言いに来ただけなんだ」フッ

さやか「便利だよねぇ、この身体。無理すれば、痛みも感じないだなんてさ」

さやか「安心してください、先輩方」

さやか「これからは見滝原市の平和はこの魔法少女さやかちゃんが、ガンガン守りまくっちゃいますからね」アハハ

さやか「それじゃぁ、さようなら」タッタッタ…



112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:44:14.39 ID:MrMvrdZ20

ほむら(まずいわ…美樹さやかの心が大きく崩れている)

杏子「さやか、アイツ…なんで!なんでだよ!!」

ほむら「美樹さやかには、上条恭介という幼馴染がいるの」

ほむら「クラスも同じなのだけど…彼は事故に遭って以来、ずっと入院しているわ」

ほむら「上条恭介の夢はバイオリニスト。でも、彼の左腕はもう動かない」

ほむら「動かない…はずだった」

マミ「願い、ね?」

ほむら「ええ」

ほむら「美樹さやかは、上条恭介の左腕と引き換えに魔法少女になった」

杏子「誰かの為の願い… あたしと同じじゃねーか。なのに」

シモン「なあ、ほむら。さやかのあの状態だと、魔女化ってのはすぐに始まるのか?」

ほむら「彼女のソウルジェムを目の当たりにしたわけではないから、なんとも言えないわね」

シモン「そうか…」



113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:46:24.60 ID:MrMvrdZ20

マミ「美樹さんは私が話をしてみる」

マミ「暁美さん、あなたは鹿目さんにこれまでの真実を全て話した方が良いと思うの」

ほむら「巴マミ…」

杏子「そういうことならマミ。あたしもあの馬鹿のところに一緒に行くよ」

マミ「ありがとう。でも佐倉さんは優しいし、心配してすぐムキになっちゃうから…気をつけないとダメよ?」

杏子「う、うるせぇ!///」

ほむら「二人とも…ありがとう」ペコ

シモン「ほむら、一人で大丈夫かい?」

ほむら「ええ。まどかの方は大丈夫。私が…絶対に魔法少女にはさせないから」グッ

シモン「わかった。なら俺もさやかのところに一緒に行くよ」

ほむら「ならあなたたちに、美樹さやか、上条恭介、志筑仁美のことについて話しておくわ」

シモン「仁美も?」

ほむら「ええ。志筑仁美も、美樹さやかが魔女化する要因の一つ」

………

……





115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:50:02.59 ID:MrMvrdZ20

杏子「親友と同じ人を好きになって、しかもその好きになった相手が幼馴染、か」

シモン(俺も…あの時、ヨーコとアニキのことを…)

ほむら「これまでの彼女はその優しさゆえに、自身の中で葛藤し、徐々に心を蝕まれていったの」

ほむら「杏子、ひょっとしたらあなたのところに美樹さやかがくるかも知れないけど…決して戦ってはダメよ」

杏子「わかってるよ。何よりあたし自身、アイツとは戦いたくない」

杏子「あの大馬鹿野郎を絶対魔女なんかにさせたりしねぇ!」

シモン「そうだ、詢子に連絡しておかないと。遅くなったらまた心配かけちゃう」

マミ「いえ、今日はここまでにしておきましょう」

マミ「美樹さんがすぐにまた接触してくるとも考えにくいし、私たちも心と体をしっかり休めておかないと」

ほむら「賛成よ」

杏子「そうだな。心に余裕を持つのが大人のオンナってやつだしな!」

マミ「もう、佐倉さんったら」クス

マミ「そうだ、佐倉さん。もし良かったらしばらく私のうちに来ない?」

杏子「え。いいのかよ!?」



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:53:23.31 ID:MrMvrdZ20

マミ「当たり前よ。私たちもう…ダチ公、でしょ?」ビシッ

杏子「」

シモン「」

ほむら(巴マミ。あなたもまた変わりつつあるのね…)

杏子「ぶはははは! 何だよそれ、シモンの真似のつもりかぁ?」ケラケラ

マミ「そうよ?アレ、違ったかしら?」ウーン

シモン「え、ええ…俺、そんな風に見えるのかなぁ」オロオロ

ほむら「ところでシモン、あなたのラガンはどうするつもり?」

シモン「俺、まどかとまどかの家族に話してみようと思う」

ほむら「それは、あなたの境遇も含めてってこと?」

シモン「うん」



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 00:54:52.39 ID:MrMvrdZ20

ほむら「鹿目家の人たち…ね。でも、果たして信じてもらえるのかしら」

シモン「わからない。けど、そろそろ俺の口からちゃんと話しておきたいんだ」

シモン「もしダメだったら、その時はまた考えるよ」ニコ

杏子「なあ、そしたらその時はお前もマミん家に来いよ!」

マミ「え…///」

杏子「なんだ、マミ。嫌なのか?」

マミ「そ、それは…シモンくんは男の子だし、ね、ほら」アタフタ

ほむら「…顔が真っ赤よ?」

マミ「~~~………!!」

マミ「もう…ティロ・フィナーレ!!」ズドーン!

シモン「何で俺なのおぉぉ!?」ドカーン!



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:01:27.08 ID:MrMvrdZ20

-鹿目家前-

ガション ガション ガション…

シモン「ありがとう、ほむら。助かったよ」

ほむら「お安い御用よ。それにあなたの知ってる表通りでは、そんなもの動かしていたら目立ってしまうでしょうから」

シモン「ほむらは…まどかに会っていかないの?」

ほむら「ええ。私の話は明日にしておこうと思っているの」

ほむら「言い忘れたけど、もしもインキュベーターが現れたら、その時は思いっきり掴んでやるといいわ」

ほむら「あのオカ…彼、いえ…彼女……どっちでもいいわ。リーロンという人の話しから推察するなら」

ほむら「あなたの力の影響を受けさせることで、怯ませるくらいはできるはず」

シモン「わかった。それじゃぁ…明日また学校で!」バイバイ

ほむら「あなたの話しが上手くいくことを願っているわ」フリフリ

ほむら「またね、シモン」スタスタ

シモン(よし、とりあえずラガンは庭の端っこにでも移動しておいて…と)

ガション ガション

シモン(杏子のくれた雨避けシートを掛けておけば、少しは目立たないかな)バサッ

シモン(穴だらけだった…)



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:04:27.76 ID:MrMvrdZ20

ガチャ…バタン

シモン「ただいまー!」

知久「おかえり、シモン君」

タツヤ「おあえりー しもん!」

シモン「ただいま、知久、達也」

知久「悪いけどシモンくん。もうすぐ夕食だからそれまでの間、達也の面倒見てやってくれないかな?」

シモン「うん。わかったよ」

シモン「おいで達也。手を洗ってくるから、俺と一緒に遊ぼうか」

シモン「そうだ、まどかは?」

知久「部屋で勉強してると思うよ」ジュージュー

シモン「そっか、ありがとう」

ワー キャッキャッ

ガオー! カイジュウダゾー

ビーム! ビーム!

ヤーラーレータァー

ドタンバタン



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:06:12.89 ID:MrMvrdZ20

知久「二人とも、そろそろ晩ごはんだから食器並べるの手伝ってくれるかい?」

タツヤ「あーい」カチャカチャ

シモン「うん」カチャカチャ

知久「まどかー 晩ごはんできたからおいでー!」

タツヤ「まろかー」キャッキャッ

………

シモン「こないね」

知久「食器並べ終わったら、呼んできてくれるかな?」

シモン「食器はこれでよし…と。達也、一緒にお姉ちゃん呼びにいこっか?」

タツヤ「あい!」テテテ

知久(達也はすっかりシモンく○に懐いてるみたいだ)

知久(もしまどかが男の子だったら、あんな感じだったのかな)ウンウン


コンコン

シモン「まどかー 知久が、晩ごはんできたって」

…………

シモン「寝てるのかな?」

タツヤ「まろかー」ガチャ

シモン「あ。こら達也、お姉ちゃんの部屋勝手に開けちゃ…」

QB「やあ」



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:10:20.86 ID:MrMvrdZ20

まどか「…………」

シモン(コイツ…!)

シモン「達也、俺の傍から離れるなよ!?」

タツヤ「?」キョトン

QB「おっと、安心していいよ。その子には何もしないから」

QB「ボクの興味はまどかだけだからね」キュププ

QB「それに、今日は他愛ない話をしにきただけなんだ」

シモン「お前…まさか!」

QB「どうだった、まどか? ボクの話した異世界人と時間遡行者、それに…魔法少女の真実の話は」キュップイ

タツヤ「まろかー なかないれー」ナデナデ

QB「そろそろ食事なんだろう? 邪魔者はこれで退散するとしよう」スタスタ

シモン「待て、キュウべぇ!」

QB「おっと、キミに掴まれるわけにはいかないな」ヒラリ

QB「あはははは。それじゃぁね、シモン。まどかを魔法少女にしないように、せいぜい頑張ってみるといいさ」スタスタ



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:13:32.45 ID:MrMvrdZ20

シモン「まどか…!」

まどか「…………」

まどか「…………わたし、どうしたらいいの」

タツヤ「まろかー」


知久「まどか、なんだって?」

シモン「今はあんまり食欲がないみたい。後で食べるって」

知久「そうか、それじゃぁ僕達で先に食べてようか」

シモン「その前に俺、ちょっと電話してきます」

シモン(ほむらに伝えないと…)

prrrrrrrrr…

ほむら『もしもし。どうしたのかしら?』

シモン「キュウべぇが…まどかに全てを話した」

ほむら『…………そう。まどかの様子は?』

シモン「今は多分混乱してる…と思う。いや、落ち込んでもいるかな」

ほむら『おおかた、私たちの間を引っ掻き回してそこに付け入るつもりでしょうね』



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:20:20.95 ID:MrMvrdZ20

ほむら『でも、想定内よ』

シモン「わかった。ほむらが冷静で安心したよ」(声が震えてる。無理してるんだろうな)

ほむら『私もあなたに影響されたのかしら。こんな時でも前向きに考えようとするようになってしまったの』

シモン「ほむら…」

ほむら『必ず救いましょう。美樹さやかも、まどかも』

シモン「当然だ!」


シモン「ごちそう様、美味しかったよ!」

タツヤ「ごいようやぁま!」ペコッ

知久「好評で嬉しいよ。おそまつさまでした」

シモン「ねぇ、知久。詢子が帰って来たらさ、みんなに話しがあるんだ」

知久「…大事な話のようだね。わかった。温かいお茶でも飲みながら、まどかも呼んでみんなで聞こう」

タツヤ「たっくんもぉ!」

シモン「達也も一緒に聞いてくれるのか? ありがとう」ナデナデ

----------



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:22:57.30 ID:MrMvrdZ20

…コンコン

詢子「まどか出ておいで。シモンからみんなに大事な話しがあるそうだ」

まどか「わたし…聞きたくないよ」

詢子「あんたに何があったかは知らない」

詢子「でもね。そうやっていつまでも耳を塞いで、何か変わるのかい?」

まどか「…………」

まどか「…………」

ガチャ

詢子「さ、おいで。アイツの大事な話、あたしたちでしっかり聞いてやろうじゃないか」ポフ

まどか「ママ…」

コツコツコツ…

詢子「待たせたね、シモン」

知久「さぁ、ママもまどかも。お茶が入ったから召し上がれ」

タツヤ「zzz…」

知久「達也、さっきまでシモンくんの話を聞くんだって、がんばって起きてたんだけどね」

シモン「いいんだ」

まどか「…………」

シモン「…実は俺、この世界の人間じゃないんだ」



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:27:46.64 ID:MrMvrdZ20



……

………

詢子「驚いた。そんな話されても、はいそうですか。とは信じ難いな」

まどか「…………」

知久「僕達の暮らしているこの世界以外にも別の世界があって、そこにも人が暮らしているってことか」

詢子「獣人。ガンメン。兄弟の死。それに敵の親玉との対決。あんたの話しが本当なら、その歳で随分苦労してきたんだね」

まどか「わたし…わたしも信じられないよ。シモンくんが他の世界の人だなんて…」ボソ…

シモン「まどか…」

シモン「みんな、見て欲しいものがあるんだ。こっちに来て」

ガララッ

ザアァァァ…

詢子「…降り出しちまったか」

シモン「濡れちゃうからみんなはそこにいて」

詢子「ん? 庭の隅の…なんだい、あれ」

バサァッ…

知久「でっかい…顔、かな?」



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:31:23.22 ID:MrMvrdZ20

まどか「…それが、ガンメン?」

カチッ

ガション ガション ガション

詢子「へぇ…動くのかい。たいしたもんだね」

シモン「ごめん、勝手に庭に持ち込んで」

詢子「本当なんだな」

知久「こんなの見せられたら、そう信じるしかなさそうだね」

まどか「じゃぁ、キュウべえの言ってたことも…ほむらちゃんのことも…」ボソ…

シモン「あぁ」コクリ

詢子「事情はわかった。んで…シモンはこれをあたしたちに伝えて、どうしたいんだい?」

シモン「あ、俺…これをちゃんと自分の口から伝えたかっただけで」

シモン「その先までは考えてなかった…///」

知久「ぷっ、はははは。そういうところはシモン君らしいね?」

詢子「そうか。なら、どうもすることなんてないさ。何も変わりゃぁしない」

シモン「?」

詢子「例え異世界人だろうが地底人だろうが、あんたはもうあたしらの家族も同然なんだよ」

詢子「そういうわけだから、あんまり親に心配掛けんじゃねーぞ? ガキんちょ」クシャクシャ



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:34:24.02 ID:MrMvrdZ20

知久「すっかり濡れてしまったね。シモンくん、たまには僕と一緒にお風呂でも入ろうか」

知久「キミの世界のこと。仲間のこと。兄弟のこと。是非聞かせて欲しいな?」

シモン「詢子… 知久…」

まどか「…………」

詢子「浮かない顔だね、まどか」

詢子「あんたはシモンのことが嫌いかい?」

まどか「そんなこと…ない…」

詢子「だったら顔を上げな。どこの世界の人間だろうが…いや、宇宙人だろうが何だろうが、シモンはシモンさ」

詢子「ひたすら前向きで、元気が良くて、あたしに引っ叩かれて涙目になって」

知久「どっか抜けてて、服を泥だらけにして帰って来て… それでいて小さい子の面倒見が良い」ウンウン

詢子「あたしたちの大事な家族だよ」

まどか「ママ… わたし、わたし…!」ジワッ

詢子「ったく、なーんであんたが泣くんだい。そこはシモンが泣くところだろ!?」ズビシッ

シモン「あはは、俺、嬉しいよ」

シモン「こういうの、あんまり知らないから…なんだかとっても!」



128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 01:36:29.19 ID:MrMvrdZ20

----------

ほむら『そう、そっちはうまくいったのね』

シモン「うん。ほむらのことについては、まどかはまだ悩んでるみたいだけど」

ほむら『なら、次は私の番』

シモン「ほむらならきっと大丈夫だよ」

ほむら『不思議ね。あなたにそう言われると、自分でもそんな気がしてくる』

----------



134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:21:34.91 ID:MrMvrdZ20

-翌日・放課後-

prrrrrrrr



……

………

ほむら『…まどかから言われたわ。どんなに時間を繰り返していようと、お互い違う時間を生きていようと』

ほむら『私にとってのほむらちゃんは、今、目の前にいるほむらちゃんなんだよ。って』

シモン「その様子だと」テクテク

ほむら『心配掛けたわね。私の方ももう大丈夫よ』

シモン「よかった」テクテク

シモン「キュウべぇは?」

ほむら『今のところこちらでは見かけてないわ』

ほむら『このままずっと大人しくしてくれると良いのだけど』



135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:26:26.44 ID:MrMvrdZ20

シモン「でもそれは」

ほむら『わかってる。私がまどかの信頼を得た今、きっとアイツが次に仕掛けてくるとしたらそれは』

シモン「決戦当日、か」

ほむら『ええ』

ほむら『ところであなたの探し物は見つかったのかしら?』

シモン「リーロンの話だと、ラガンの近くに転移してる可能性が高いって言ってたから…近いうちに、またあの教会の近くを探してみるよ」

ほむら『そう。手が空いてれば手伝うから、その時は連絡を頂戴』

シモン「ありがと。手伝ってくれると助かr

シモン「……コアドリルが。この反応は魔女だ!」

ほむら『場所は? すぐ向かう』

シモン「ほむらは、今日はまどかと一緒にいてあげて。魔女は俺たちで何とかするから…!」

ほむら『危険よ!』



136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:28:52.86 ID:MrMvrdZ20

シュタッ

シモン「あ…」

杏子「携帯貸せよ、シモン」

杏子「よう、ほむら。それはあたしたちじゃ頼りないってことかい?」ニヒヒ

ほむら『佐倉杏子?』

マミ「暁美さん、私もいるわよ?」

ほむら『巴マミ…』

杏子「魔女が出た以上、グリーフシード欲しさにさやかも来るかもしんねーしな」

杏子「この前みてぇに…あたしら全員が片方に行ってる間に、インキュベーターに裏掻かれるのも癪だしさ」

杏子「お前にはまどかを頼みたいんだ」

ほむら『佐倉杏子、あなた…』

杏子「って、マミが言ってた」

ほむら『はぁ…わかったわ。でも、くれぐれも無理はしないで』

杏子「まかせとけって!」



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:30:36.96 ID:MrMvrdZ20

ほむら『はぁ…わかったわ。でも、くれぐれも無理はしないで』

杏子「まかせとけって!」

ほむら『あ…ちょっと待って』

杏子「あん?」

まどか『もしもし!私、ほむらちゃんから全部聞いたよ!魔法少女のことも、魔女のことも』

まどか『だからお願い。さやかちゃんを…さやかちゃんを助けて…!!』ポロポロ…

マミ「鹿目さんを泣かせたりして。美樹さんには、後でたっぷりお説教しないといけないわね」

杏子「おう、あたしたちを誰だと思っていやがる!ってな?」

シモン「行こう。マミ、杏子!」



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:35:24.54 ID:MrMvrdZ20

-魔女の結界内-

マミ「何よこれ、ズタズタじゃない」

杏子「さやかのヤツがやったんだ…」

マミ「こんな滅茶苦茶な戦い方をするなんて」

シモン「もしかして、もう魔女も倒されてるってことは?」

マミ「多分それはなさそう。魔女が消えれば結界も消えるし、シモン君のペンダントもまだ反応してるでしょ?」

シモン「うん」

杏子「そうと決まれば急ごうぜ」

タッタッタ…


杏子「いた、あそこだ!」

さやか「あははは! ホントだ。キュウべぇの言ってた通りだ!」

さやか「その気になれば痛みなんて…あはは。完全に消しちゃえるんだ!」

ズバシュッ! ズバッ…ザシュッ!

マミ「なんて戦い方を…」

杏子「あのバカ野郎、見てるこっちの方が辛くなるじゃねぇか!」



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:40:05.25 ID:MrMvrdZ20

さやか「やり方さえ分かっちゃえば簡単なもんだね。これなら負ける気がしないわ」ズバンッ!!

魔女「」

さやか「ふう、一丁上がり」

カランコロン…

さやか「なぁんだ。今頃きたんだ?」

さやか「遅かったじゃないですか、先輩方」ヒョイ

さやか「これ、あげますよ。私にはもう必要のないものだから」ポイッ

杏子「さやか、お前…!」

マミ「美樹さんのソウルジェム、あんなに濁って…!」

マミ「いい加減にしなさい! 美樹さん、あなた…このままじゃ魔女になっちゃうのよ!?」

さやか「アハハ、そうですね」

さやか「でも、それもいいかもしんないなぁ」

さやか「せっかく…せっかく恭介の腕を治せたと思ったら、今度は私自身が人間じゃなくなっちゃって」

さやか「笑っちゃうよね。これじゃあまるで…わたし、ゾンビみたいなもんじゃないですか」ウルッ

さやか「聞きましたよ、この身体。心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても」

さやか「魔力で修理さえすれば、すぐまた動くようになるんでしょ?」



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:43:43.32 ID:MrMvrdZ20

マミ「………」

杏子「………」

シモン「さやか…」

さやか「なんなのよ、これぇ!! マミさんも…杏子も、わたしも…これじゃぁただの化け物じゃない!!」

さやか「わたしね、恭介のこと好きだったんです」アハ…

さやか「でも、もうアイツのことを好きでいられる資格なんてない」

さやか「だってわたし、もう死んでるもん。ゾンビだもん」

さやか「こんな身体で抱き締めてなんて言えない。キスしてなんて言えないよ…」ザシュッ!!

杏子「やめろ、さやか!!」

マミ(美樹さん…自分で自分の身体を刺すなんて…!)

さやか「ほらね、痛みもないんです」アハハハハハハ

さやか「こんな、こんな身体で一体どんな顔してアイツに会えばいいって言うんですか!?」ポロポロポロ

さやか「だったら。だったらいっそ魔女になって… こんな世界ぜんぶ、何もかも壊してやる」



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:50:16.78 ID:MrMvrdZ20

シモン「さやか」

さやか「何だよ異世界人」

さやか「あんたはいいよね? わたし達と違って、ちゃぁんと血の通った身体があるんだからさ」

さやか「あんたなんかさっさと元の世界に帰っちゃえばいいんだ」

さやか「キュウべぇが言ってたよ。あんたさえいなければ、この世界はうまく回ってたかもしんないって」ギロ

杏子「おい…お前!」

さやか「そうだよ。あんたさえ…あんたさえいなければ!!」

ザシュッ!!

シモン「…………う、ぐぁっ…!!」

さやか「痛い?ねぇ、痛い?腕を貫かれて…痛いでしょ?」

さやか「良かったよねぇ。それはあんたがまっとうな人間だって証なんだからさ!」

さやか「あは、あはははははは! 何でそんな顔してるのさ!? もっと喜ぶべきなんじゃないかなぁ!」

さやか「右腕だけじゃなくてさ、ついでに左腕も刺してあげよっか?」

マミ「美樹さやか! あなたって人は…!!」チャキッ



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:54:41.74 ID:MrMvrdZ20

シモン「やめろ、マミ!!」

杏子「シモン、お前… 早く血を止めねぇと!!」

シモン「さやか。言いたいことはそれだけか」

さやか「な、何よ…」

シモン「言いたいことはそれだけかって聞いてるんだよ!!」

さやか「え?」

シモン「……歯ぁ食いしばれ!さやかあああァァァァッ!!」

ガスッ!!

さやか「………あ、ぐぅっ!?」バタッ

マミ「シモン君!? 怪我した腕でそんなこと…!」

シモン「ダチに散々心配掛けて… テメェで決めてやったことの結果を人のせいにして」

シモン「挙句、全部壊してやる? お前はそれで気が済むのか!!」ポタポタポタ…

さやか「なにいってんの?あんたバカじゃないの!?」タジッ

さやか「だって、だって!わたし、もう人間じゃないんだよ!? 生きてるのか死んでるのかだってわかr

シモン「……関係ねぇんだよ!!」



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 10:57:41.41 ID:MrMvrdZ20

シモン「そうなっちまったもんは仕方ねぇ。でも」

シモン「生きてるのか死んでるのか? 人間なのかそうでないのか? …そんなの知ったことじゃねぇ!!」

シモン「お前はお前だ。どんな姿になろうとお前は!俺やまどかのダチ、美樹さやかだろうが!!」

シモン「もしも。今のお前をさやかじゃないなんて言うヤツがいるなら…」ググッ

シモン「そんときゃこの俺が、思いっきりブン殴ってやる!!」ボタボタ…

さやか「」

杏子「ったくコイツは、血ィ流しながら熱くなり過ぎだっての。でもな」

杏子「シモンだけじゃねぇ。あたしだって同じ気持ちさ。その…上条恭介だっけ?」

杏子「あんたはそいつの為に命張ったんだからさ、もっと胸を張っていいんだよ」

杏子「好きなら好きって言って来い」

杏子「なんだったら、魔法少女のことだって全部話しちまったって構わねぇ。ほむらが何て言おうが、あたしが許す!!」ズビシッ

杏子「でさ。そいつが…もしもあんたのことをさやかじゃない、なんて言いやがったら。

杏子「シモンとあたし、二人で思いっきりぶっ飛ばしに行ってやるぜ!」ニマ



144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:02:01.77 ID:MrMvrdZ20

マミ「あら、シモン君や佐倉さんだけじゃないわ」

マミ「私だって同じ気持ちよ?」

杏子「んじゃ…マミも入れて三人で、その野郎をぶっ飛ばしにいかねぇとだな?」

さやか「ま、待ってよ。そんなことされたら恭介が…!」オロオロ

シモン「…さやか、目ぇ醒めた?」ニコ

さやか「あ…シモン…わたし、わたし…ごめん、ごめ"ん"な"さ"い"…ヒグッ…」ポロポロポロ

さやか「わたし…シモンに殴られて、すっごく痛かったんだ。おかしいよね、散々戦ってた時は痛みなんて感じなかったのに。グスッ…グスッ」

シモン「良かった、さや…か…」ヨロッ…パタン

マミ「シモン君!?」

杏子「おい、シモン!?戻るぞ!さやか、マミ、手伝え!」

さやか「グスン…う、うん…!」(あれ…わたしのソウルジェム、あんなに濁ってたのにいつのまにこんな…)

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145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:08:00.38 ID:MrMvrdZ20

-見滝原総合病院・病室-

シモン「zzz…」

杏子「どうだって?」

マミ「大丈夫。もう安定して命に別状はないみたい。でも、血を流し過ぎて一時は危なかったそうよ」

さやか「わたしのせいだ…」グスッ

さやか「わたしがシモンに酷いことしちゃったから…」

さやか「わたしが、わたしがシモンをあんな風に…」

まどか「さやかちゃん…」ギュッ

さやか「わたしのせいだ…」

マミ「……」

マミ「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!」ビシッ

まどほむさや杏「」

マミ「なーんて、きっと彼ならそう言うと思うの」クス

ほむら「病院では静かになさい」

マミ「シモン君ってそういう人だから…」

マミ「この前ね、向こうの世界のリーロンって人が言ってた」



146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:10:47.56 ID:MrMvrdZ20

マミ「『余計なことに首突っ込んで、自分が傷ついても突き進んで。アイツはそういう男よ』って」

杏子「大グレン団、かぁ」

シモン「…うーん、アニキぃ、それ…俺のチャーシュー…zzz…」

まどほむさやマミ杏「」

ほむら「これだけの怪我しておいてラーメンの夢? 呆れて言葉も出ないわ」

杏子「どんだけ食い意地張ってんだよコイツは」

マミ「佐倉さんは人のこと言えないでしょう?」

さやか「あー…その、さ。シモンが元気になったらみんなでラーメン食べに行こっか?」

さやか「その…酷いことしちゃったお詫びに、私が奢るからさ」

マミ「美樹さん、あなたが変な負い目を感じる必要はないのよ?」

杏子「でも、ラーメン食いに行くってのは賛成だな!」

まどか「うん。私もみんなと一緒に行きたいな♪」

ほむら「美樹さやか。一つだけあなたに忠告しておいてあげる」

さやか「な、なによ…」

ほむら「……そこで寝てる彼と杏子、物っっ凄く食べるわよ」トオイメ



147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:15:13.75 ID:MrMvrdZ20

シモン「…アニキ、俺……違う世界に…友達ができたんだ…zzz…」

まどか「シモン君…」

マミ「お兄さんの夢を見てるのね」

杏子「チクショウ、泣かせるじゃねーか…」


さやか「わたし…みんなに謝らないと」

さやか「みんな、酷いこと言ったりしたりして、本当にごめんなさい」シュン

さやか「こんなわたしだけど… ワルプルギスの夜との戦い、手伝わせてほしいんだ」

杏子「お前。あたしたちに気を遣ったり、無理したりして言ってるんじゃないよな?」

さやか「ううん、そんなことない!」

さやか「わたしさ、みんなの気持ちも知らずに勝手なことして魔法少女になって…」

さやか「だからせめて、この力をみんなの為に使いたいんだ」



148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:17:57.40 ID:MrMvrdZ20

さやか「でも別に罪の意識とか、そういうのじゃないんだよ?」

ほむら「そういうことなら。私からも是非お願いするわ、美樹さやか」ペコリ

さやか「ほ、ほむら…ちょっとやめてよ、そんな畏まらなくっても」

ほむら「…………」

ほむら(揃った。4人の魔法少女が…こんなにも早く)

まどか「ほむらちゃん… 泣いてるの?」

ほむら「泣いてない… まだ、泣くわけにはいかない」グスッ

マミ「暁美さん…」

杏子「さやか。お前が魔法少女になっちまったのは素直に喜べねぇけどさ」

杏子「こうなった以上は、お前の力にも期待させてもらうぜ?」

さやか「任せてよ! それに応えられるように、わたしもがんばるからさ!」



149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:21:06.08 ID:MrMvrdZ20

マミ「でもみんな、それぞれ変わったわよね」

杏子「そうだな。以前のあたしは、もう二度と人の為になんて戦うもんかって思ってた。でも今は違う」

杏子「ムカつく野郎から与えられた力だけどさ、この力でお前らと一緒に戦いたいって思ってる」

まどか「杏子ちゃん…」

さやか「わたしも。魔法少女の真実を知って、なにもかもどうでもよくなって…自分のことさえどうでもよくなってたけど」

さやか「シモンにぶっ飛ばされて、なんていうんだろう… そういうの、全部どっかいっちゃったみたいだ」

さやか「どんなになっても、わたしはわたし。美樹さやかだって胸を張って言えそうだよ」

ほむら「…私は、自分でもよくわからない」

まどか「変わったよ、ほむらちゃん」

まどか「転校してきたばかりのほむらちゃんだったら、きっとこんな話しても何も言ってくれなかったもん」クス

ほむら「そ、そんなことないわよ?」アセッ

さやか「そうだよね。わたしほむらのこと、きっとすごく誤解してたと思う。ごめん」

ほむら「謝らなくていいのよ、美樹さ…… さやか///」

さやか「にひ。わかったよ、ほむら」



150:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:25:51.32 ID:MrMvrdZ20

杏子「マミも随分変わったよな?」

マミ「へ? 私?」

さやか「うんうん。さっきマミさんが『ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!』って叫んだ時はびっくりしちゃった」アハハ

マミ「あ、あれはシモン君ならきっとそういうかな~って。ね?」アセッ

ほむら「確かに…縦ロールで紅茶が好きで、お菓子作りの上手な人の台詞じゃないわね」

マミ「あ、暁美さんまで…」

まどか「でも、みんなシモン君に出会って変わったんだね。こんな短い間に」

杏子「本当変なヤツだよな」ツンツン

シモン「………うぅ、う~ん、う~ん…zzz」

マミ「…もちろん、お兄さんの影響も大きかったのでしょうけど」

マミ「そんなシモン君だから、大グレン団の人たちも集まったのかも知れないわね」

杏子「大グレン団かぁ」

さやか「そうだ!」

まどか「どうしたの?さやかちゃん」



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:29:23.65 ID:MrMvrdZ20

さやか「わたしたちもグレン団結成ってどうかな?」

マミ「それならさしずめ、見滝原グレン団ってところかしら?」

さやか「マミさん乗り気ですなぁ♪」

杏子「んならさ、シモンが起きる前に決め台詞とか作っておくか。なぁ?マミ」ニヤニヤ

マミ「なんでそこで私に振るのかしら」

ほむら「全くあなたたちは…」

さやか「ほむらはこういうの嫌い?」

ほむら「べ、別に… 嫌いではない、けど…」アセッ

まどか「じゃぁ決まりだね♪」

まどか「ほむらちゃん、その…ワルプルギスの夜が来るまでに、まだ時間ってあるんだよね?」

ほむら「ええ。今回は今までで最短で魔法少女が揃ったから、まだ余裕はあるわ」

まどか「そっか、わかった♪」

杏子「んじゃ、見滝原グレン団の最初の任務は…」

ほむら「動けない彼の代わりに、グレンを探すことね」

----------



152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:34:30.57 ID:MrMvrdZ20

-翌日・放課後
     朽ちた教会近くの森-

ほむら「以前彼が話してたけど、グレンとやらもこの辺りにある可能性が高いらしいわ」

杏子「おーい、グレン出てこーい」ガサガサ

ほむら「猫や犬を探すんじゃないんだから。呼んで出てくるとは思えない」

さやか「せめてどんなものなのか、形だけでもわかればなぁ」

杏子「んじゃここか?」ゴロン

まどか「杏子ちゃん、虫じゃないんだから石ひっくり返しても…」ア、アハハ…

マミ「確か…ラガンと合体するのよね? それならロボットでしょうし、もし見つけたらわかるんじゃないかしら?」

さやか「しまった。シモンに絵でも描いてもらえばよかった」

ほむら「それよりもさやか、あなた…上条恭介のことはいいの?」

さやか「いいって、なにが?」キョトン



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:36:59.46 ID:MrMvrdZ20

ほむら「彼、今日から登校してたけど…あなたが着いていなくても大丈夫なのかしら」

さやか「なぁんだ、そんなことか」

さやか「それなら大丈夫だよ。アイツのことは、仁美がちゃんと見てくれてるからさ」

ほむら「さやか、あなた」

さやか「おっと。そんな顔で見ないでよ? これは、わたしがやりたくてやってることなんだから」

さやか「あんなわたしをダチって言ってくれた。今はシモンの力になりたいんだ」

さやか「あ、でも!恋愛感情とかじゃないですから! 安心してくださいね、マミさん?」

まどか「マミさん、シモンくんのこと好きなんですか!?」

マミ「か、鹿目さん!?///」

杏子「へ~ぇ?」ニマニマ

杏子「シモンのヤツ、あんなナリしてモテそうだからなぁ。ライバル多いかもしんねぇぜ?」

マミ「ちょっと、佐倉さん…!///」

杏子「うはははははは…………は!?」グラグラグラ



154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:40:15.06 ID:MrMvrdZ20

さやか「地震!?」

まどか「大きい…!」

ほむら(これもワルプルギスの夜が近付いてるせい…?)

杏子「おい、マミ!ちょっとからかったからって地震起こすなんて!!」グラグラ

マミ「私のわけないじゃない!」

グラグラ…ガラガラガラッ

杏子「は…ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

まどか「大変! 崩れたとこに杏子ちゃんが!」

ほむら「地面が陥没した!?」

さやか「杏子おぉぉぉぉ!返事してえぇー!」

…………

杏子「心配すんな~! こっちは大丈夫だ!」

杏子「しっかしだいぶ深く落ち………」

グレン「……」ズーン

杏子「っぎゃあああああああああ!鬼いいぃぃぃぃ!!」ピィ



155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:44:01.10 ID:MrMvrdZ20

シュタッ

ほむら「鬼? 魔女ではなくて?」

杏子「あ、あ、あ、あれ。あれ」

ほむら「これは……サングラスを掛けた、鬼…?」


シモン『手がかりかぁ。ラガンよりもずっと大きくて、見た目は赤い鬼みたいなんだ』


ほむら「もしかして…これがグレン?」



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:51:40.76 ID:MrMvrdZ20

-見滝原総合病院・病室-

まどか「えっとね、こんな感じだったと思う」キュキュッ

ほむら「まどかは絵がうまいのね」ホム

シモン「そうだよ、これがグレンだ!」ガバッ

シモン「いってええええぇぇぇぇ!!」ズキズキ

さやか「そんな急に起き上がるから」

マミ「まだ当分は大人しくしててもらわないとね?」

シモン「こんなところでいつまでも寝てられないよ」

シモン「俺のことなら大丈夫だから、その場所に連れてってくれないか」

マミ「うーん…」

さやか「無理しちゃダメだよ?シモン」

シモン「で、でも。もし本当にグレンだったら、動くかどうかも確かめたいし」

マミ「わかったわ。ただし…具合が悪くなったりしたら、すぐに言うこと」

シモン「ありがとう、マミ!」

まどか「マミさん、シモン君の保護者みたいですよ」アハハ

ほむら「途中で倒れたりしたら、杏子にでも運ばせましょう」



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 11:57:47.64 ID:MrMvrdZ20

-落盤現場-

杏子「お。やっと戻って来たか…って、シモン!?お前大丈夫なのか!?」

シモン「うん。今は痛かったりもしてないから」

ほむら「鎮痛剤が効いてるだけよ。ところで…間違いないかしら?」

シモン「確かにコイツはグレンだ」

杏子「改めて見ると…でっけえな」

まどか「すっごい不敵な顔とゆーか…」

マミ「シモン君、どうかしらー?」

シモン「やっぱり。操縦席は俺がこっちに来る前のままだ」

シモン「大丈夫、動かせそうだよ」

シモン「みんな、一度穴の外に出て!グレンを地上に上げるから!」

ほむら「…待って。そのことなのだけど、グレンはしばらくそのままの方がいいと思う」

シモン「うん?なんで?」



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:00:28.69 ID:MrMvrdZ20

ほむら「それだけの大きさよ。森の中とはいえ、穴の外に出せば人目についてしまうんじゃないかしら」

杏子「確かに、この森も全く人が来ねぇってわけでもねーからなぁ」

まどか「そっか、知らない人に見つけられちゃったら大騒ぎだものね」

シモン「それもそうか。わかった」

杏子「安心しな。グレンはあたしが時々様子見ておいてやるよ」

さやか「ぃよーし。それじゃぁ見滝原グレン団の初任務は、無事成功ってとこだね♪」

シモン「見滝原グレン団?」

さやか「そ。見滝原市のグレン団! わたしたちで結成したんだ」

シモン「そいつはいいや。アニキが聞いたら喜びそうだ」アハハ

グレン「……」

ほむら(4人の魔法少女にシモン、それにグレンとラガン)

ほむら(いいわよね。私も少しくらい希望を抱いたって…)

----------



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:07:45.47 ID:MrMvrdZ20

-鹿目家・リビング-

詢子「あっきれた! それで結局、傷も治ってないのにそのまま退院したってわけかい?」

シモン「ほ、ほら。このくらいの傷、どうってことないからさ、ずっと寝てるのも退屈だったし…!」アセアセ

スパコーン!

シモン「」

まどか「ママ… 何もスリッパでぶたなくても」エー

詢子「いーんだよ、言ったろ? コイツはもううちの家族同然だって」

詢子「家族だから…バカなことした時にゃぁ、遠慮せずぶっ叩く!」

パカーン!

シモン「」

シモン(前々から思ってたけど、詢子って大グレン団のみんなと気が合いそうだ…)ヒリヒリ

タツヤ「しもん~ らいじょぉぶ?」ナデナデ

知久「まぁ、それだけ心配してるってことだよ」

知久「僕も詢子も、シモン君が病院に担ぎ込まれたって聞いたときは顔面蒼白だったからね」

シモン「心配掛けてばっかりでごめん…」

知久「男の子は多少元気過ぎるくらいがいいとは言うけど、子供を危険な目に遭わせたくないってのが親だから」

知久「そこは知っておいてほしいな」

シモン「うん…」



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:13:21.78 ID:MrMvrdZ20

-シモンの部屋-

コンコン

シモン「開いてるよー」

ガチャ

まどか「シモンくん、ちょっといいかな?」

シモン「まどか。どうしたの?」

まどか「その、大した用事じゃないんだけど、なんだかお話ししたくって」

まどか「腕と…さっきスリッパで叩かれたとこ、大丈夫?」

シモン「腕はまだ痛むけど、このくらいなら大丈夫」

シモン「腕よりも、詢子にスリッパで叩かれた方が痛かったかも?」アハハ

まどか「ごめん! ママが叩いちゃってごめんね?」オロオロ

シモン「冗談! 冗談だからそんな謝らないでも!」オロオロ

シモン「…まどかの父さんと母さんってさ、本当にいい人たちだよね」

まどか「うん。私の自慢のパパとママだよ♪」

シモン「ほむらの話だと、数日後に来るワルプルギスの夜を倒さないとこの街も、街の人たちも」

シモン「いずれこの世界の全てまでも滅茶苦茶にされてしまう」

まどか「うん…」

シモン「だから俺、戦うよ」

シモン「詢子や知久、達也を守る為に、俺は俺に出来ることをやりたいんだ」



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:19:43.26 ID:MrMvrdZ20

まどか「シモンくんは強いね」

シモン「まどか…?」

まどか「私、みんなに守られてばっかりで何もできないよ…」

シモン「まどか」

シモン「ほむらがさ。これまで諦めずに時間を繰り返してきたのって、まどかがいたからだろ?」

シモン「土を掘る時にさ、すっごく頑丈で大きな岩にぶち当たることがあるんだ」

シモン「その岩は、ちょっとやそっとじゃ崩せないけど…」

シモン「やっと崩してやると、そいつが支えてたまわりの小さな岩や土が全部崩れ落るんだ」

まどか「うん…」

シモン「まどかはさ、頑丈で大きな岩なんじゃないかな」

シモン「ほむらやさやか、マミに杏子、それに俺も。戦うみんなの背中を支えてくれる、大きな岩なんだと思う」

シモン「だからまどかだって、ちゃんとみんなの力になってるんだよ?」

まどか「…ありがとう、シモンくん」

まどか「そろそろ部屋に戻るね。お休みなさい、また明日」ニコ

シモン「お休み、まどか」

----------



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:27:12.95 ID:MrMvrdZ20

-数日後…決戦前日-
     早朝・朽ちた教会

シモン「空、だいぶ荒れてきてるな」

ほむら「この前の地震もそう。恐らく、ワルプルギスの夜の影響よ」

さやか「今日明日は市内の学校、全部休校だってさ」

マミ「その方が被害も少なくて助かるわね」

杏子「シモン、グレンラガンはいけそうか?」

シモン「あぁ。このラガンとグレンで、本当は操縦者が二人必要なんだけど…」

シモン「グレンをオートにして、合体後ラガンの方で動かしちゃえば大丈夫」

杏子「なんかよくわからんけど、お前が大丈夫って言うなら心強いな」ヨッシャ

ピピッ

リーロン『やっほ♪ みんなのリーロンから嬉しい お・知・ら・せ♪』

ほむら「朝っぱらから唐突ね」

リーロン『シモンの帰還方法がわかったのだけど…』



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:31:30.03 ID:MrMvrdZ20

シモン「本当に!? さっすがリーロン!」

リーロン『グレンラガンには、螺旋界認識転移システムってものが搭載されていて』

ほむら「あなた自身に関わることなのだから、寝てはダメよ?」

シモン「」

リーロン『超加速しながら螺旋力を持った人間がシステムを起動すると、ある程度任意の場所に空間転移…つまりワープできるみたい』

リーロン『でもね。このシステムについてはまだ未解析の部分も多いから、今は使えても一度だけ』

リーロン『しかも、一度使うと当分使えなくなりそうなの』

シモン「一度っきりのチャンスってことか…」

リーロン『肝心のシステム起動についてはね…』

………

……



リーロン『つまり… 強い想いがあれば、距離も次元も飛び越えられちゃう!ってこと♪』

シモン「そういうことか、ありがとう!」

リーロン『明日、決戦なんでしょ?』

リーロン『みんな心配してるんだから。無事に帰ってきなさいよ? 待ってるわ♪リーダー』ピッ



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:35:01.96 ID:MrMvrdZ20

マミ「想えば飛べる、かぁ。なんだかロマンチック…」キラキラ

シモン「でも、その話は後だ。今は魔女の親玉を倒す為にやれることをやっておこう」

杏子「あぁ、そうだな」

杏子「ほむら。お前が調達してきた爆薬のセット位置教えてくれないか?」

マミ「私と佐倉さんで、手分けして仕掛けてきてあげる」

ほむら「二人ともありがとう。位置はこの地図に印をつけておいたから、お願い」

ほむら「一応人が近付かないような場所を選んだつもりだけど、もし誰かいたらその場所は外して頂戴」

マミ「わかったわ。それじゃ、ちょっと行って来るわね」



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:44:53.85 ID:MrMvrdZ20

さやか「なぁほむら。わたしはやれること何かないかな?」

ほむら「あなたは…そうね。シモンを手伝ってあげて」

ほむら「引き上げたグレンにカムフラージュのシートを被せるのは、彼一人だと大変でしょうから」

さやか「お安い御用だ!」マカセテ

シモン「助かるよ、さやか」

さやか「シモン…もしかして腕、まだ痛むの…?」

シモン「少しだけね。でも、このくらいなら大丈夫だ」

さやか「本当…あの時はごめん」シュン

シモン「いいって。それよりも、終ったらみんなでラーメン食べに行くんだろ?」

シモン「俺、ぜったいおかわりするから…覚悟しておいてよ?」

さやか「うへぇ…お、お手柔らかに…」タラタラ



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:49:42.43 ID:MrMvrdZ20

ほむら(あれからインキュベーターは一度も私たちの前に現れていない)

ほむら(諦めてこの街から引き上げた… なんて考えは甘いわよね)

prrrrrrr…

まどか『もしもし、ほむらちゃん?』

ほむら「まどか?」

まどか『明日の準備、進んでる?』

ほむら「ええ。みんなのお蔭でとても捗っているわ」

ほむら「この様子なら、まだ明るいうちに準備は終りそうよ」

まどか『それならちょうどよかった!』

ほむら「?」

まどか『あのね。今夜私の家で、みんなでパーティしない?』



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:54:05.56 ID:MrMvrdZ20

-鹿目家-

詢子「いらっしゃい、みんなまどかとシモンのダチなんだって?」

詢子「一気に年頃の娘が増えたみたいで、嬉しいねぇ」

知久「外はこんな天気だし…食事も飲み物もたっぷり用意してあるから」

知久「みんな、ゆっくり楽しんでってね」

ほむさやマミ杏子「「「「お邪魔しまーす」」」」


杏子「ぶあっはっはっは! ほむらの、ほむらの鼻メガネ…!」ヒー オナカイタイ

ほむら「な、なによ! そんなに笑うならあなただってつけてみるといいわ!」ポイッ

杏子「いいぜ? よぉーっく見てろよ…?」チョーン

ほむら「ブフゥーッ!!」

マミ「よそのお宅でジュース噴きかけるなんて、暁美さんったらお行儀悪いわよ…?」ジトー

さやか「そうだぞ、ほむら。マミさんの言う通りだ」チョーン

マミほむ「「ブフゥーッ!!」」

マミ「な、な、なんで美樹さんまで鼻メガネなのよ…」プルプル

ほむら「」ヒクヒク

まどか「もう、マミさんもほむらちゃんも笑い過ぎだよ!」チョーン

マミほむ「「」」ビクンビクン



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 12:58:13.57 ID:MrMvrdZ20

詢子「あっはっは! 本当、みんな賑やかでいい子たちじゃないか」ケタケタ

シモン「うん。俺、偶然とは言えこっちの世界に来れてよかったよ」アハハ

知久「ほぉら、新しい料理ができたよ。みんな、いっぱい食べてくれ」

杏子「おぉっしぃ! 出番だぜ!」

シモン「あ、俺もそれ食べたい!」

杏子「なんだぁ、シモン。あたしと大食い勝負するってかぁ?」

杏子「だったら見滝原グレン団鉄の胃袋、杏子様の力を見せてやるよ!」キラーン

ほむら「ちょっと二人とも、私たちの分も残しておいてほしいわね」

杏シモ「「もごご!もっふぉふぇるふあぁぁぁ!」」

マミ「聞いてなさそうよ…?」

まどか「もう、いっぱいあるからそんな慌てなくてもいいのに…」ヤレヤレ

さやか「お、たっくん久し振りでちゅねー?」

タツヤ「さぁかぁ!」キャッキャッ

さやか「よしよしおいで~ おねーちゃんが抱っこしてあげまちゅよー♪」ダキッ

マミ「あら、そうしてると美樹さんお母さんみたいね?」

まどか「本当だ。たっくん、おねーちゃんに抱っこしてもらったの? よかったねー♪」

さやか「えぇー!? わたし、まだ華の中学生なのにい」ブーブー

ほむら「ちょっと…シモンが喉詰まらせてひっくり返ってるわよ」

シモン「」ピクンピクン

杏子「へへ!この杏子様に勝とうなんざ百年早いってんだ!!」ゲプ



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:00:56.11 ID:MrMvrdZ20

-まどかの部屋-

杏子「ぶっはー…食った食った!」

マミ「ごちそうさま。鹿目さんのお父さんの料理、とっても美味しかったわ♪」

さやか「ご飯も食べたし! 後は明日に備えて寝るだけってね!」

まどか「そうそう、そのことなんだけど。ママが今日はみんな泊まっていきなさいって」

シモン「天気も荒れてるから、その方が良さそうだね」

ほむら「!?」

ほむら(ま…………ま、ま、まままままままままどかとお泊りですって!?)

ほむら(それはつまりあんなことやこんなことがあったりなかったり)

ほむら(ほむらちゃんわたしもうがまんできないのなてんかいがあったり)

ほむら(いっしょにおふろにはいってあらいっこしたりだとでもいうの!?)

ほむら「のぞむところよ!!」

杏子「いや、何がだよ」ビシッ



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:06:39.53 ID:MrMvrdZ20

まどか「それとね、これ…私からみんなへのプレゼント」ハイ

マミ「あら、なにかしら?」ガサガサ

さやか「これって…シモンが最初に着てた服の…」

シモン「グレン団のマークじゃないか!」

杏子「へぇ…バンダナかぁ。いいじゃねーか♪」

マミ「あら、ちゃんとMitakiharaって入れてあるのね?」

まどか「わたしね、みんなが危険な目に遭って戦ってるのに、何にもできないから…」

まどか「だから、せめて御守りだけでもと思って作ってみたの」

まどか「シモンくんがやってたみたいに、腕に巻くといいかなーって」

ほむら「ありがとうまどか。あなたの作ってくれた御守り、これほど心強いものはないわ」

マミ「明日は…絶対勝ちましょう」

さやか「そして、みんなで生き残るんだ!」

杏子「勝って…今度はまどかもさやかも一緒に、ラーメン食いに行こうぜ!」

シモン「見滝原グレン団!勝つぞ、この戦い。絶…対…に……zzz…」

シモン「」



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:12:44.12 ID:MrMvrdZ20

さやか「ふう。ベッドに寝かせてきたよ」

ほむら「…ごめんなさい、シモン」

ほむら「みんな、本当に後悔しないのね?」

マミ「ええ。本来これは私たち魔法少女と魔女の戦いよ」

杏子「だったら、あたしたちだけでケリをつけるのが、道理ってもんだしな。それに…」

杏子「もしあたしたちが全滅しても、アイツだったらまどかを守ってくれそうだしさ」

さやか「全滅なんて言わないでさ、勝ってみんなでシモンに怒られようよ?バッカヤローってさ」エヘ

ほむら「そうね」クス

ほむら「まどか、決着がつく頃には目を醒ますと思うから…それまで彼のことお願い」

まどか「うん… ほむらちゃん、みんな… 私、私…」

杏子「おいおい、泣くなって」

さやか「そうだよまどか。別にわたしたち、死にに行くわけじゃないんだしさ?」

マミ「そうよ、鹿目さん。泣くのは勝ってからにしましょう?」

ほむら「少しだけ休んだら、夜が明ける前に私たちは行くわ」

ほむら「まどか。あなたのご家族にも、ありがとうって伝えて頂戴」

まどか「……うん……うん……ヒグッ…」ポロポロ

----------



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:27:15.92 ID:MrMvrdZ20

-決戦当日・早朝
     見滝原市内-

ビュオオォォォ…

さやか「うっひゃ~! 荒れに荒れてるこの空模様」

杏子「絶好の魔女退治日和じゃねーか」

マミ「今日は市内全域に避難指示が出てるみたいよ」

杏子「ってことは、今頃まどかたちは総合体育館にでも行ってるんだろーな」

ほむら(それにしても…なんなの。まだ現出していないというのにこの威圧感)

ほむら(怖い…これまでに戦ったどのワルプルギスの夜よりも強いというの?)

トコトコトコ

QB「やぁ、魔法少女のみんな。お揃いだね」キュップイ

杏子「テメェ!インキュベーター!! どのツラ下げてきやがった!」

QB「まぁそう邪険にしないでおくれよ。僕はキミ達に、とぉ~っても有益な情報をもってきたんだからね」

ほむら「聞くわ」

QB「そうこなくっちゃ、暁美ほむら」キュププ



173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:32:35.45 ID:MrMvrdZ20

QB「キミたちがこれから戦おうとしているワルプルギスの夜のことだけど」

QB「きっと。これまでに暁美ほむらが戦ったどのワルプルギスの夜よりも強く、強大だろうね」

さやか「だからなにさ?」

QB「相変わらず頭が悪いね、美樹さやか」

QB「わからないかな?キミ達に、万に一つも勝ち目はないってことさ」

マミ「そんなこと…やってみなければ!」

QB「でもどうやら、彼女はそうは思ってないみたいだよ? ね。暁美ほむら」

QB「何体ものワルプルギスの夜を見てきた彼女なら、もう気付いたはずさ」

QB「これまで目にしたワルプルギスの夜なんて、比べ物にもならない魔力係数を」

ほむら「……そ、そんな…」ガクガク

杏子「どういうことだ!」

QB「時間遡行者、暁美ほむら」

QB「君の存在が、一つの疑問に答えを出してくれた」

QB「『何故、鹿目まどかが魔法少女として、あれほど破格の素質を備えていたのか』…今なら納得いく仮説が立てられる」



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:36:10.70 ID:MrMvrdZ20

QB「魔法少女としての潜在力はね、背負い込んだ因果の量で決まってくる」

QB「一国の女王や救世主なら兎も角、ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに」

QB「どうしてあれほど膨大な因果の糸が集中してしまったのか不可解だった」

QB「だが……ねえ、ほむら」

QB「ひょっとしてまどかは、君が同じ時間を繰り返す毎に、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい」

ほむら「それは…」

マミ「そうなの? 暁美さん」

QB「図星みたいだね。…原因は君にあったんだ」

QB「正しくは、君の魔法の副作用……と言うべきかな」

ほむら「……」

QB「君が時間を巻き戻してきた理由はただ一つ。鹿目まどかの安否だ」

QB「同じ理由と目的で何度も時間を遡るうちに、君は幾つもの並行世界を螺旋状に束ねてしまったんだろう」

QB「…鹿目まどかの存在を中心軸にしてね」

QB「その結果、決して絡まるはずのなかった平行世界の因果線が、全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら」

QB「彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得がいく」



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:41:56.34 ID:MrMvrdZ20

QB「君が繰り返してきた時間。…その中で循環した因果の全てが、巡り巡って鹿目まどかに繋がってしまったんだ」

QB「あらゆる出来事の元凶としてね」

QB「そしてそれは、同時に魔女に対しても同じことが言える」

ほむら「シモンの…存在…」

QB「その通り。鹿目まどかを強力にするのがキミという存在なのだとしたら」

QB「あのシモンという少年の…たった一度の出現がもたらした因果は、ワルプルギスの夜に莫大な力を与えた」

QB「お手柄だよ、ほむら」

QB「ボク達にしてみれば、今回のことはプログラム上のバグのようなものではあるけど」

QB「君が世界を繰り返してくれたお蔭で、鹿目まどかが最強の魔法少女に育ってくれたと同時に…」

QB「それを遥かに凌駕する、ワルプルギスの夜という絶望が生み出されるんだ」

QB「楽しみだね。最強の魔法少女の誕生はもとより…」

QB「彼女が絶望に堕ちるときに生み出される感情エネルギーが、一体どれほどのものなのか」

ほむら「……インキュ…ベーダー!!」ポロポロ

QB「さて。それじゃぁボクはこれから、鹿目まどかへの最後の営業に出るとするよ」キュプププ



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:44:28.03 ID:MrMvrdZ20

QB「おっと、忘れていた。もう一つ、キミ達にいい情報をあげる」

さやか「まだ、何か用かよ」ギリッ

QB「これから来るワルプルギスの夜は、『隠れない』」

QB「ただしそれは、結界を張る必要がないって意味じゃぁない」

QB「ご覧よ。こんな大荒れの天気だっていうのに、人間の報道陣というものは仕事熱心だね」

QB「まどかの避難している場所にも、恐らくテレビはあるだろう」

杏子「こ…の…クソ野郎!!」

ほむら「そんな…そんなのって…!」

QB「ワクワクするね。最凶の絶望に抗えず、ズタボロになってゆくキミたちを見た時。まどかがどういう反応を見せるのか」



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:47:49.02 ID:MrMvrdZ20

マミ「インキュベーター」

QB「なんだい、巴マミ? 何か質問でもあるなら手短に頼むよ。何せボクはこう見えて多忙でね、これからまd

マミ「さっきから聞いてれば…」

マミ「くだらねぇことをゴチャゴチャ言ってるんじゃねぇ!」

QB「」

ほむら「マミ…?」グスッ…グスッ

QB「キミは頭の良い子だとおm

マミ「因果が何よ!最強が何よ! ほむらの…いえ、私たち見滝原グレン団のドリルは、そんなものだって突き破ってみせる!!」ビシィッ!


さやか「マミさん…そうこなくっちゃ!」ヘヘッ

さやか「だったら!見滝原に、可憐に舞い咲くグレン団!!」エヘン

杏子「おいおい。ったく…しゃーねぇなぁ」ニヤニヤ

杏子「ゴホン… 乙女の魂背中に背負い、塞がる壁をこの手で砕く!!」ズビシ!

ほむら「バカ…あなたたち、みんな大バカだわ!」グスン

マミ「ええ。大バカよ?」クス

さやか「だから…ほむら!」

ほむら「わ、わかってるわよ///」

ほむら「…因果も輪廻も突破して!」

ほむら「掴んでみせる!明日への道を!!///」


ほむさやマミ杏「「「「わたしたちを… 誰だと思っていやがるっっっっ!!!! 」」」」



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:53:07.25 ID:MrMvrdZ20

QB「なんだ…なんだ、なんなんだ! この不快な気持ちは…」

QB「わけがわからないよ!!」

QB「ふん、好きにするといいさ。どうせキミ達に勝ち目はないんだから」スタスタスタ


杏子「……なぁ、見たか? あのインキュベーターの顔!」ププッ

さやか「見た見た! あれ、絶対眉間に血管浮き出てたよね?」ネー

マミ「ボク達には感情がないんだ。なーんて最初は言ってたのにね」ヤダワァ

ほむら「ふふ。あの悔しがる顔が見れただけでも、あなたたちと一緒に戦えて良かったと思えるわ」クス

さやか「違うだろ、ほむら」

マミ「そうよ暁美さん。あんな白なますの悔し顔で満足なんてできるわけないじゃない」クス

杏子「ぶっ倒してやろうぜ! あたしらで…最強とやらをさ!!」

ほむら「そうね、見せてやらなければね。魔法少女の…いえ、見滝原グレン団の力を!!」

ワルプルギス「キャハハハハ…!!」

杏子「さぁて。どうやら…お出ましのようだぜ?」

マミ「いきましょう、みんな!」

さやか「おーし、いっちょやりますか!」



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:56:54.93 ID:MrMvrdZ20

-見滝原総合体育館-

タツヤ「きょうはおとまりぃ~?きゃんぷなの~?」

知久「ああ、そうだよ。今日はみんなで一緒にキャンプだぁ~」

タツヤ「やったぁ、きゃんぷ~おにくやくの~?」

知久「はっはっは、お肉はどうだろうねぇ?」

詢子「しっかし避難指示とは参ったな」

シモン「zzz…」

詢子「こんな大変な時に、全く呑気なんだか大物なんだか」ヤレヤレ

まどか「ほむらちゃん…」

オイ、ナンダアレ…

バケモノダ!!

マチノウエニデッカイバケモノガ!

まどか「え、もしかして…」

まどか(なんで、テレビで魔女が映ってるなんて…魔女だけじゃない、みんなまで!?)

まどか「パパ、ママ! 二人ともあれ、あの大きなの見える…!?」

詢子「な、なんだいありゃ…ガンメン、じゃないよな?」

知久「僕は夢でも見ているのか…?」ゴシゴシ



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 13:59:32.42 ID:MrMvrdZ20

まどか(やっぱり、普通の人にも見えるんだ…!)

QB「その通りだよ、まどか」

まどか「(キュウべぇ!?)」

QB「今回のワルプルギスの夜。あれはその魔力の強大さが故に、ごく普通の人間の目にも映る」

QB「さらにあれは、ほむらがこれまで戦った中でも規格外の強さ。最強最悪の存在だ」

QB「キミにも見えるだろ? あの大きさ。従えている使い魔のとてつもない数。そして近付くことさえ許さない猛攻」

QB「予想外に、ほむら達もしぶとく生き残っているけど…時間の問題だろうね」キュップイ

まどか「(私に…私に魔法少女の契約をさせにきたのね)」

QB「察しが良くて助かるよ。さぁ……ボクと契約して魔法少女になってよ!」

まどか「(私が… 私が契約すれば、あの魔女に勝てるの?)」

QB「あぁ、勝てるとも!」

QB(なんてね。…まどか。キミが魔法少女になったところで、あれを消滅させるのは難しいだろう)

シモン「zzz…」


シモン『俺は俺に出来ることをやりたいんだ』


まどか「………」

まどか「シモンくん、ごめんね…!」



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:02:12.86 ID:MrMvrdZ20

詢子「……どこ行こうってんだ?オイ」グイッ

まどか「ママ…」

まどか「私、友達を助けに行かないと」

詢子「自衛隊か警察に任せろ。素人が動くな」

まどか「いやだ…いやだよ。みんながあそこで戦ってるのに」

まどか「私だけ安全な場所で震えてるのは、もう嫌なの!!」

詢子「テメェ一人のための命じゃねぇんだ!あのなぁ、そういう勝手やらかして、まわりがどれだけ…ッ」

まどか「わかってる。私にもよくわかる」

まどか「私だってママのことパパのこと、大好きだから。どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。自分を粗末にしちゃいけないの、わかる」

まどか「だから違うの。みんな大事で、絶対に守らなきゃいけないから」

まどか「そのためにも、私今すぐ行かなきゃいけないところがあるの!」

詢子「理由は説明できねぇってか」

詢子「なら、アタシも連れていけ」

まどか「ダメ。ママはパパやたっくん、シモン君の傍にいて、みんなを安心させてあげて」

まどか「ママはさ、私がいい子に育ったって、言ってくれたよね。嘘もつかない、悪いこともしないって」

まどか「今でもそう信じてくれる?私を正しいと思ってくれる?」



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:02:56.95 ID:MrMvrdZ20

詢子「当たり前だろ」

詢子「…絶対に下手打ったりしないな?誰かの嘘に踊らされてねぇな?」パッ

まどか「うん」

まどか「ありがとう、ママ」

タッタッタッタ…

QB「愚かだね、鹿目まどか」スタスタスタ



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:06:21.76 ID:MrMvrdZ20

-見滝原市空中-

杏子「食らいやがれ!ロッソ・ファンタズマァッ!!」ズバババッ!!

杏子「…ダメだ、分身で叩いたくらいじゃ使い魔の数が減りゃしねぇ!!」

ほむら「起爆装置、15、22、27番作動」ズドドド…!

さやか「なんだ、杏子ってばもう息切れ? そんなんじゃぁ、主役の座はこのさやかちゃんがいただきだね!」ヒュッ…ザシュッ!!ザシュッ!!

マミ「ティロ・フィナーレ!!」カッ…!!

マミ「もう。二人とも、口よりも手を動かしましょう?」

さやか「ひゃぁ…マミさん、相変わらず凄い破壊力ですね」スゲェ

ほむら(確かにマミの大技なら、使い魔の数を一時的に大きく減らすことができる)

ほむら(でも、その後に魔女の本体まで辿り着けるかどうか)

ほむら(仮に辿り着けたとしても、あの大きさではさやかの剣でも杏子の槍でも、火力不足なのは否めない…)

マミ「ほらほら諦めないで、暁美さん」バシュン…バシュン!

ほむら「あら。人聞きの悪いこと言わないで頂戴」

ほむら「あなたたちとこうして戦ってる現実を、ちょっと噛み締めてただけよ」ファサッ

ほむら「私の後ろには、まどかたちが避難している体育館がある」

ほむら「例えこの手足が千切れたって、あの魔女をこれ以上進ませるわけにはいかない!」



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:08:12.31 ID:MrMvrdZ20

-見滝原市総合体育館-

男子A「こっからじゃ小さくてよくわかんないけど」

男子B「あのでっかいのと誰か戦ってるよな」

男子C「誰かわからないけど、がんばってくれー!!」


シモン「zzz…」

詢子「こんな時に…!!」

詢子「おい、シモン! いつまで寝てるんだ!」ペシペシ

詢子「起きろ!起きてくれ…!! 頼む、頼むから…」

詢子「まどかが… まどかが行っちまったんだよ!!」ポロポロ



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:14:44.08 ID:MrMvrdZ20

----------

???『起きろ、シモン』

シモン「ううん…まだ眠いよぉ」

???『ったく…いつまで呑気に寝てやがるんだ?』

シモン「え…あ、うん…?」ゴシゴシ

???『…やぁっと起きたか』ニカッ

???『よぉ。元気にしてたか? 久し振りだな』

シモン「」

シモン「」

シモン「あ、あ、あ、あ」

???『なんだ、俺の顔見忘れたかぁ?』

シモン「アニキイィィィ!!」

カミナ『おう!! ジーハ村に悪名轟くグレン団! 漢の魂背中に背負い… 不撓不屈の!あ!鬼リーダー!! カミナ様だ!』

シモン「会いたかったよ、アニキ!!」ダキッ

カミナ「いっぱい…いっぱい、話したいこともあるんだ!」

シモン「アニキ! 俺、みんなと力を合わせて螺旋王を倒したんだ!」

シモン「今ではさ、あのテッペリンに新しい街ができてて…」

シモン「それにさ、俺、今違う世界に来てて…そこで友達もできたんだ!」



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:20:57.64 ID:MrMvrdZ20

カミナ『そうか、螺旋王を、あのでっけぇ天井をブチ破ったのか。良くやったな、シモン』

カミナ『さすが俺の見込んだ男だ』

カミナ『でもな、シモン』

シモン「なに? アニキ」グス

カミナ『一度しか言わねぇ。耳かっぽじってよぉく聞けよ?』

シモン「う、うん…」

カミナ『テメェ…そのダチを放っておいて、こ ん な と こ ろ で 何 し て や が る!!!!』

シモン「!!」

カミナ『忘れたのか、シモン』

カミナ『お前がいまやるべきことは何だ』

カミナ『こんなところで俺に思い出話を聞かせることか?』

カミナ『お前のドリルは!! こ ん な と こ ろ で 燻 っ て る タ マ じ ゃ ね え だ ろ!!!!』

シモン「俺、俺は…」

カミナ『行って来いよ。ダチ公!』ニヤッ

シモン「アニキ…」

シモン「ありがとう、アニキ」

シモン「俺、行って来るよ!!」グッ

カミナ『ああ!!』グッ

…………

カミナ『頼もしい背中になったじゃねぇか、シモン』

カミナ『さてと…』

----------



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:23:46.91 ID:MrMvrdZ20

シモン「ん…うぅ。ん」パチッ

詢子「シモン…起きたのか!?」

シモン「ごめん、詢子!寝坊した!」ガバッ

詢子「まどかが…まどかが…! アイツ、友達を助けに行くって外に!!」

シモン「まどか…」


まどか『私、何もできないよ…』

まどか『何度も何度もほむらちゃんを悲しませて、みんなに助けられてばっかりで…』

まどか『みんなは魔法少女になって戦うのに、私だけ何もできない』


詢子「引き止められなかったんだ。あたし、アイツの親なのに…」

詢子「シモン…あたしの娘のことで、アンタにこんなこというのは」ポロポロ

詢子「すごく勝手だってことは、よくわかってる」

詢子「それでも、頼む、シモン。まどかを…アイツの友達を助けてやってくれ…!! 頼む…!」

シモン「なにいってるんだよ、詢子」

シモン「家族だろ? 当たり前だ!」ニコ



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:25:04.12 ID:MrMvrdZ20

詢子「シモン…」グスッ

詢子「そ、そうだ。これ、あんたがこっちに来たとき着てた服」ガサゴソ

シモン「とっておいてくれたんだ!? …ありがとう!」バサッ

詢子「やっぱり…あんたは学校の制服よりも、そっちの方が似合ってるよ」

シモン「詢子、俺、まどかもみんなも助けて、あの天井ブチ破るから」

詢子「天…井? まさかと思うけど、あの空に浮いてるデカブツのことかい!?」

シモン「ああ!」

シモン「行って来るよ、詢子!」

タッタッタ…

詢子「おい、ちょっと待て!天井をブチ破るって…」

詢子「あぁもう!シモン!絶対にみんなで帰ってこないと、承知しねぇからなぁ!!」



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:32:12.91 ID:MrMvrdZ20

-見滝原市内-

タッタッタッタ…

スタスタスタ…

QB「ねぇ。まどか? キミはいったい何処に行こうっていうんだい?」

QB「こっちはみんなが戦ってるのとは全然違う方向だよ?」

まどか「…………」

QB「まさかと思うけど、家族もみんなも見捨てて逃げるっていうのかい?」

QB「キミはボクと契約して魔法少女になって、そしてワルプルギスの夜を倒すために飛び出してきたんだろう?」

QB「だったらキミは今すぐ戻るべきだよ。聞いてるのかい、まどか」

まどか「ならないよ」

QB「え?」

まどか「キュウべぇ。私、魔法少女にはならないよ」

QB「キミが何を言ってるのか、わけがわからないよ」

QB「でも、それならなおさら…キミはいったい何処を目指してるんだい?」

タッタッタッタ…

スタスタスタ…



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:34:24.92 ID:MrMvrdZ20

まどか「はぁっ、はぁっ…はぁっ… あれ、ラガンが消えて…穴?」

まどか「ううん。いまはそれよりも…!」バサァッ

グレン「……」

QB「」

QB「まどか。まさかキミは」

まどか「私は、魔法少女にはならない」

まどか「でも…私だけ、見ているだけなのはもうイヤなの!」ヨジヨジ

まどか「私だって… 私だってみんなの力になりたい。みんなと一緒に戦いたい!!」バンッ

グレン「……」

QB「どうやらロックが掛かってるみたいだね。叩いたくらいで開くはずないだろう?」

まどか「お願い!グレンさん! 私に力を貸して…!!」バンバン

QB「こんな金属の塊に頼るより、魔法少女になった方が確実だよ?」

QB「ましてこれは未知のテクノロジーだ。キミなんかに動かせるわけが」

ウィーン…

まどか「大きい顔の口が開いた…!」

スタッ

QB「」



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:37:44.61 ID:MrMvrdZ20

QB「待ってよ、まどか!」タタッ

ウィーン…ガシャン

QB「閉じ込められたようだね」

まどか「キュウべぇ、ちょっと黙ってて」

QB「」キュップイ

まどか「これかな…ううん、やっぱりこっち?」カチャカチャ

まどか「………」

まどか(ど、どうしよう…やっぱり動かし方、わからないよ…)オロオロ

まどか(私に…本当にできるのかな… キュウべぇの言うとおり、私には無理なのかな)シュン


???『どうした? んなシケたツラしてんじゃねぇよ』


まどか「………?」キョロキョロ

QB「ボクと契約する気になったかい?」

まどか「今、誰か喋らなかった?」

QB「さぁ? 少なくともボクには何も聞こえていないね」



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:40:09.73 ID:MrMvrdZ20

???『どうだ、グレンの乗り心地は?最高だろう!』

まどか(え、嘘… 勝手に明かりがついた!?)

まどか(だ、誰? 誰なの…!?)

???『俺がどこの誰だとか、細けぇこたぁいいんだよ! それより嬢ちゃん、シモンのダチなんだろ?』

まどか(うん…)

???『よぉし!んだったらお前は俺のダチだ』

まどか(え、え? ええええええ!?)

???『お前、名前は?』

まどか(まどか…鹿目まどか、です)

???『なぁ、まどか。オメェは何しにここに来た。何でここに座った』

まどか(勝手に座っちゃってごめんなさい!だ、誰かいるとは思ってなくて…)アタフタ

???『俺が言いたいのはそういうことじゃねぇ!!』

???『お前は!今!何をしてぇんだ!ってことなんだよ!』



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:42:04.35 ID:MrMvrdZ20

まどか(私が、今、何をしたいか…)

まどか(私は…私は)

まどか(ほむらちゃんを助けたい!! ほむらちゃんだけじゃない、さやかちゃんも杏子ちゃんもマミさんも…みんなの力になりたい!!)

???『なら、できるかどうかじゃねぇ! そいつはオメェがやるんだよ!!』

???『アタマでわかろうとするな。理屈じゃねぇんだ!お前が思うままに、感じるままにやってみろ』

???『きっと、グレンはそいつに応えてくれる』

まどか(うん…)

???『なぁ、まどか』

???『お前を信じろ。誰かにいわれる言葉じゃねぇ。誰かに言葉を求めるんじゃねぇ』

???『大事なダチを助けたい。その一心でここまで駆けて来たお前自身を、お前が信じてやれ』

まどか(…もしかして、もしかしてだけど。あなたがカミナさん、なの…?)

???『カミナさんだぁ!? なんだなんだ、そのデコ助みてぇな気の抜けた呼び方は!』

???『俺のことを呼ぶなら、アニキ!と呼べ!』フンス

まどか(ありがとう、アニキさん。私、やってみる…!)

カミナ『あぁ、その意気だ!』



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:44:32.74 ID:MrMvrdZ20

まどか(思うがまま、感じるままに…!)ギュ…カチッ

まどか「動いた!!」

カミナ『な? やりゃぁできるじゃねぇか』ニヤッ

QB(信じられないよ。ボクにさえわからないテクノロジーを、まどかが動かしただなんて)

ズンッ…

ガションガションガション…

カミナ『いいぜ、その調子だ… 走れ、走れ!まどか!!』

まどか「うん…!」

ガンッ

まどか「きゃぁっ!! お店の看板壊しちゃった…!」

カミナ『んなもんぶっ壊れたってイチイチ構うな!今は、ダチんとこ行くのが先だろうが!』

まどか「うん…! ほむらちゃん、みんな、待ってて…!」

QB(まどか。キミは一体誰と話しているんだい?)



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:48:34.60 ID:MrMvrdZ20

-見滝原市空中-

さやか「数が…使い魔の数が多過ぎる!」ズバァッ

マミ「美樹さん、弱音を吐くなんてあなたらしくないわよ?」

マミ「でも…確かにこれはキリがないわね」


ワルプルギス「キャハハハハハハハハハ!!」


杏子「あの野郎…自分は高みの見物ってわけかよ!」ジャララッ…ザシュザシュッ!!

ほむら「全く。高みの見物なら、レーザーなんて放出せずに大人しくしていてくれないかしら」ダダダ゙ダッ…

ほむら(私の弾もいつまでもつか)

さやか「でも、最初に比べたらだいぶ使い魔の数は減ったかな?」ボロッ…

マミ(あんなに綺麗だったソウルジェムが、もうこんなになるなんて。きっとみんなのも…)

マミ「さすがに力を使い続けたら、そうなっちゃうか…」ポツリ

杏子「マミ?」

マミ「このまま使い魔を減らし続けていても、先に息切れするのは私たちの方よ」



196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:53:45.93 ID:MrMvrdZ20

ほむら「マミ…?」

マミ「私が魔女本体への道を開いてあげる。そしたら…」

杏子「そういうことか。しゃーねーな、あたしが付き合ってやるよ」

さやか「マミさん?杏子? だ、ダメだよそんなの!」

さやか「ねぇ、ほむらからも言ってよ!!」

ほむら「…………」

杏子「んじゃ。ちょっくら行って来るわ。シモンとまどかによろしく言っといてくれよな?」ニヒヒ

ほむら「さや…か…」ギリッ

ほむら「二人が作る道、絶対に…絶対に無駄にしちゃダメよ…!!」ポロポロ

さやか「ほむら…」


杏子「結局、シモンには伝えそびれちまったなぁ?」ニマニマ

マミ「な、何をよ!?」

杏子「べぇーつにぃー?」

杏子「なぁ、マミ。後悔してねぇのか?」

マミ「当たり前じゃない。後悔なんてあるはずない!」

杏子「よっしゃ! …ぶつけてやろうぜ、あのいけすかねぇヤツによ!」ハン

マミ「ええ! 私たちに残った全ての力。…受けてみなs


「だめえええええええええええ!!!!」



197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 14:56:46.81 ID:MrMvrdZ20

マミ杏「「!?」」

ブゥンッ!!

杏子「な、なんだ!? あのでっけぇブーメラン…!」

ワルプルギス「キャハハハハハハハハハ…アハハハハハハハ?」

マミ「すごい…使い魔がどんどん消滅していく…」

シュタッ

さやか「マミさん! 杏子!!」

さやか「今の、なんなの!?」

シュタッ

ほむら「あれは…!」

マミ「見て! あそこのビルの上…!!」

杏子「ありゃぁグレンじゃねーか!! …でも、一体誰が動かしてるんだ!?」

「ごめん、みんな! やっぱり…やっぱり私だけ守られてばっかりはもうイヤなの!!」

ほむら「あの声…まどかなの!?」

まどか「助けにきたよ、ほむらちゃん!」

マミ「鹿目…さん?」キョトン

杏子「おいおいおいおい、マジかよ!?」ウヒャー!



198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:01:40.22 ID:MrMvrdZ20

さやか「なんできちゃうかな…まどかって本当バカ!」ニマッ

ほむら「ええ、本当ね…」

まどか「ほむらちゃんもさやかちゃんも、酷い!!」プピー!

さやか「あはははは! グレンがプンスカ怒ってら」ゲラゲラ

まどか「……みんなはさがって少し休んでて」

まどか「私が、あの魔女への道を作るから!!」


カミナ『いいダチじゃねぇか』

まどか「えへへ」

まどか「私の…自慢の友達だもん」

カミナ『そうかよ。だったら何が何でも守ってやらねぇとなぁ?』

まどか「当然!」グッ

まどか「必殺…!」ドキドキ

まどか「…よくもみんなをキイィ―――ック!!」

ドガガガガガガ…!!

カミナ『いよぉし!』



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:03:54.65 ID:MrMvrdZ20

まどか「私がみんなを守るんだブウゥ―――メランッ!!」

バシュゥンッ!!…ズババババッ!

カミナ『上出来じゃねぇか!まどか!』

まどか「で、でも…本当にこんな掛け声でいいのかな…?」タラー

カミナ『細けぇこと気にしてんじゃねぇ!!』

カミナ『テメェの魂、技にのっけて大絶叫! それが漢ってもんだろうが!!』

まどか「私、女の子なんだけど///」アノー

カミナ『ボサボサすんな! アイツらのために道を開いてやるんだろうが!!』

まどか「うん…!!」

ドガーン!! ズガガガガガ…



200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:09:52.17 ID:MrMvrdZ20

杏子「すげぇ…スゲェ、スゲェ、すっげええぇ!!」パァッ

ほむら「まどかが…まどかが道を切り開いてくれてる!!」

さやか「…道は無駄にしない。だったよね?」

さやか「だったら…わたしたちも、いつまでも休んでなんていられない!」ググッ

マミ「当たり前じゃない。いきましょう、みんな!」


まどか「みんな! 今なら魔女に攻撃が届くはずだよ!!」

マミ「…食らいなさい! ティロ・フィナーレッ!!」

杏子「貫けえええええええ!!」

さやか「とぉっ…っりゃああぁぁぁっ!!」

ほむら「一斉射…!」

ワルプルギス「キャハ」

………キィィィンッ!!



201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:11:11.35 ID:MrMvrdZ20

さやか「弾かれた!?」

マミ「あんな至近距離からの攻撃だったのに…!」

ほむら「結界を張る力を、バリヤに回したとでもいうの!?」

ワルプルギス「キャハ!!アハハハハハハハ!!」

杏子「やべぇ!攻撃が来るぞ!!」

ほむら「あぁぁぁっ!!」

杏子「ぐぁっ!?」

マミ「ダメ…弾き、飛ばされる…っ!!」

さやか「マミさんっ!? …きゃあぁぁっ!」



202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:14:49.34 ID:MrMvrdZ20

まどか「みんな!!」

QB「どうやら、キミ達の力ではあの魔女に届かないらしいね」キュププ

QB「わかったろ?まどか。もう方法は一つしかない。キミが契約して魔法少jプギュ

カミナ『ごちゃごちゃうるせぇ!この白なます野郎!!』ムギュ

QB「な、なんだか思いっきり踏み付けられてる気がすrギュゥ

カミナ『うろたえるんじゃねぇ!!』

まどか「でも、でも…アニキさん、あんなのどうやって倒せば…!?」

カミナ『いいか、まどか。漢なら…どんな時でもドーンと構えているもんだ!!』ドーン

まどか「あの…だから私女の子なんだけどなぁ…///」

カミナ『…………』

まどか「…………」

まどか「………あの…」

カミナ『…どうやら来たみてぇだぜ? 最高の相棒がなぁ!!』



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:16:52.54 ID:MrMvrdZ20

マミ(…このままじゃ地面に叩き付けられちゃう!!)

マミ(はや、く…体勢を…)

ガションガションガションガション

「マ…ミイイイィィィィィィィ!!!!」

ダンッ…!

マミ(だ…れ?)

シモン「間に合った!! …痛ッ!」キャッチ

マミ「シモン君!? それにラガンも…!」

杏子「シモン!!」

さやか「なんでここに!?」

ほむら「そんな、あなたに飲ませた薬の効果はまだ!」

シモン「ったりめぇだ!! …ダチのピンチにいつまでも寝てるわけにはいかねぇんだよ!!」

まどか「シモン君…!?」

シモン「グレンを動かしてるのは、まどか!?」



204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:19:08.12 ID:MrMvrdZ20

シモン「マミ、しっかり掴まってて。シャッターを閉めてグレンと合体する!!」

ピピッ

シモン『聞こえる?まどか!これからラガンをグレンと合体させる!!』

まどか「うん、わかった…!」

まどか「でも、合体ってどうやれば…」

カミナ『安心しな。俺が下から支えてやるよ』

カミナ『ダチを救うってお前の決意。アイツが上から引っ張り上げて、この俺が下から押し上げてやる!!』

カミナ『だから…』

ピピッ

まどか『だから… シモンくん! 私、やってみる!!』

シモン「よし…まどか、合体だ!!」

ギュウゥゥゥン…!!

…バチンッ!!

シモン「ぐぁっ!!」

マミ「きゃぁっ!」

杏子「ラガンの体勢が崩れた!?」



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:21:33.09 ID:MrMvrdZ20

まどか『シモンくん! どうしたの…!?』

シモン「なんでもない…っ!! まどか、もう一度行くぞ!!」ボタボタ…

さやか「……!! アイツ、もしかして腕の傷が開いたんじゃ…!」

さやか「わたしの、わたしのせいだ…」ジワ…

まどか『さやかちゃん…』

シモン「さやか!ぐだg

マミ「ぐだぐだ言ってんじゃねぇ!!」

シモン「」

マミ「心配ないわ、美樹さん!」

マミ「シモン君の腕が使えないなら… 私が、私がシモンの腕になる!!」ガシッ

シモン「マミ!?」

マミ「グレンと合体するんでしょ? タイミングを教えて、シモン!!」

シモン「わかった!!」

シモン「今だ、マミ!まどか! 今度こそ合体だ!!」

ギュウゥゥゥン…!!

まどか『うん…!!』

ギュウゥゥゥン…!!

…ガシィンッ!! ギュンッ!!



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:26:43.94 ID:MrMvrdZ20

報道A「おい、何だあれ… ズームして映せ映せ!!」

報道B「でっかい…ロボットか!?」


杏子「おい、あれ…」

さやか「やった! 上手くいったみたい!」

ほむら「まどかぁっ!!」ダッ

カパッ

まどか「ほむらちゃん!」ダキッ

まどか「私は… ほむらちゃんが大好き!!」

まどか「ほむらちゃんだけじゃない… さやかちゃんも、マミさんも、杏子ちゃんも」

まどか「ママも、パパも、たっくんも、シモン君も!!」

ほむら「まどかぁ…」ウルッ

まどか「だから…だから…」

まどか「見滝原中学校、2年…組、出席番号…番、鹿目まどか!!」

まどか「大好きな人たちがいるこの街を、滅茶苦茶になんて…絶対にさせない!」

杏子「まどかのやつ…カッコイイじゃねぇか!!」

さやか「まどか…」ヘヘッ



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:28:39.87 ID:MrMvrdZ20

シモン「…無茶で無謀と笑われようと!意地が支えの喧嘩道!!」

マミ「壁があったら殴って壊す!道がなければこの手で創る!!」

シモマミ「「心のマグマが炎と燃える! 超 絶 合 体 ! グ レ ン ラ ガ ン !! 」」

シモン「何度だって叫んでやるさ!!」

シモン「俺を!!」

まどほむさやマミ杏「「「「「私たちを!!」」」」」

「「「「「「誰だと思っていやがる!!!!!!」」」」」」



詢子「」

知久「」

タツヤ「まろかー!しもんー!」キャッキャッ

詢子「まったく…何やってんだい、うちの大バカ野郎どもは」ヤレヤレ

知久「あはは、本当に。…がんばれ、まどか!シモン君!」



208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:32:22.62 ID:MrMvrdZ20

仁美「まどかさんにさやかさん!? え、ええ…?暁美さんにシモン君も!?」

恭介「さやか、本当にキミなのかい…!?」

和子「」

男子A「おい、あれシモンだ!!」

男子B「鹿目に美樹に暁美もいるぞ!」

男子C「おおおおい!! がんばれー!」


カミナ『大した啖呵じゃねぇか?見直したぜ、まどか!』

まどか「えへへ///」

カミナ『ま、俺様の啖呵に比べりゃぁ、まだまだヒヨっ子だけどな!』

まどか「もう、アニキさんったら」アハハ

カミナ『ミタキハラグレン団、だったな』

まどか「うん…」

カミナ『へっ…オメェら最高だぜ!』グッ



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:34:04.78 ID:MrMvrdZ20

カミナ『まどか。もう、お前は大丈夫だ』ポフッ

カミナ『アイツにもよろしく言っといてくれ』

まどか「アニキさん…」

カミナ『それじゃ…俺ぁそろそろ行くぜ。達者でな、ダチ公!!』

まどか「ありがとう…アニキさん」

ピピッ

シモン『まどか…?』

ほむら「まどか、どうしたの?」

まどか「なんでもない。なんでもないよ、ほむらちゃん、シモン君!」

まどか「それよりも…」

マミ『ええ。突き破りましょう、あの天井を…グレンラガンで!!』

ほむら「あの分厚い壁が勝つか…私たちのドリルが勝つか、真っ向勝負よ!」

シモン『そのためにも』

シモン『邪魔だ!雑魚は…すっこんでろ!!』

ギュウゥゥゥン…!!

杏子「ぜ、全身からドリルが…!」スゲェ!



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:37:32.21 ID:MrMvrdZ20

さやか「凄い…!あんなにいた使い魔、今のでほとんどやっつけちゃったんじゃない!?」

ワルプルギス「キャハハハハハ!!アハッ!!アハハハハハ!!」

まどか「…そうやって笑ってられるのもいまのうちだよ!」

ヒュンッ…ヒュンッ… ジャキンッ!!

ワルプルギス「キャハハハハ!?アハ?ア…!?」

シモン『行くぞ!!』

シモマミ『『ギィィガァァ…!!』』

まどほむ「「ドリルゥゥゥ…!!」」

シモマミまどほむ「「「「………ブレェェェイクウゥゥゥゥッッ!!!!」」」」

杏子「いっっっっっけえええええええええ!!!!」

さやか「今度こそ…貫けえええええええ!!!!」

グググッ…ギュゥゥゥンッ!!

シモン「俺の!」

まどか「私たちのドリルは!」

シモまど「「天と明日を創るドリルだあああああああああ!!」」

ワルプルギス「キャハ?キャハハハハハハハハハハ!?………キャ…ハ………アアアアアアアアアアアァァァ!!!!」

ワルプルギス「」

ズド………ン!!

…………



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:41:02.68 ID:MrMvrdZ20

ほむら「ワルプルギスの夜が…消えていく…」ポロポロポロ…

まどか「勝った…勝ったんだよ、ほむらちゃん!!」ダキッ

マミ『私たち…やったのね…』ジワ…

シモン『あぁ。ほむら、もう…繰り返さなくていいんだ』

まどか「そうだ、シモンくん」

まどか「アニキさんが…シモンによろしくって♪」

シモン『もしかしてまどかは…』

シモン(…そっか。ありがとう、アニキ)ヘヘッ

さやか「やった、やったよ杏子!!」ウワァーン!ダキッ

杏子「あぁ…やった!あたしら、あの魔女に勝ったんだ!!」ダキッ



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:42:48.34 ID:MrMvrdZ20

ピピッ

リーロン『お疲れ様、シモン』

リーロン『グレンラガンのものっすごいエネルギー、こっちにまでビンビン伝わってきたわ♪』

シモン「ふう。全部終わったよ」

リーロン『そう、心配事は無事に片付いたってことね?』

リーロン『なら…そのエネルギーが残っている間に、ちゃぁんと戻ってきなさい』

シモン「…わかった。その、残ってる時間ってもう全然ないのかな?」

リーロン『今すぐとは言わないけど…そっちの時間で、目いっぱい引き伸ばして明後日の朝までってところね』

マミ「………」

リーロン『一日ゆっくり休んで…お別れ済ませて戻ってらっしゃい、シモン』

ピッ



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:45:20.31 ID:MrMvrdZ20

シュゥゥン…

スタッ

杏子「やったな、ほむら!!」ダキッ

ほむら「きょ、杏子…くるしいっ」

さやか「わたしたち、ちゃんと生きてる♪」

まどか「でも、これからが大変かも?」

さやか「多分テレビとか…映っちゃってるもんねぇ」タハハ

詢子「まどかあああああ!!」ダキッ

まどか「わぷっ…ま、ママ!?」

詢子「良かった…無事で、本当に良かった…!!」グスン…

知久「まどかもシモン君も… それにみんなも、お疲れ様」

タツヤ「まろかー!」

知久「君たちがあの怪物をやっつけてくれたんだね」

まどか「パパ、ママ、なんでここに…///」

詢子「バカ野郎!! テレビであんたらを見て…」

詢子「でっけぇ化け物も消えて外の嵐がおさまったから、一目散に来たんじゃないか!」

シモン「詢子、知久、達也、ただいま!」ニコ



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:47:20.07 ID:MrMvrdZ20

詢子「二人とも…バカ野郎!大バカ野郎が!! 無茶を…無茶をしやがって…!!」

シモン「無茶を通して!」ビシッ

まどか「道理を蹴っ飛ばす!」ビシッ

ゴツン!!×2

シモン「」

まどか「」

詢子「調子に乗るんじゃないよ!!」ポロポロ

ほむら「さすがのグレン団も、母親の前では形無しね」クス

杏子「そーみてぇだな」アハハ

マミ「さぁ、帰りましょう?」

さやか「ラーメンがわたしたちを待っている!!」

ほむら「さやかったら…もっと勝利の余韻を噛み締めなさいよ…」ヤレヤレ

シモン「あはは、さやからしいや」



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:49:12.61 ID:MrMvrdZ20

まどか「そうだ。みんなで写真撮ろうよ?」

杏子「写真かぁ。いいな!」

さやか「さんせーい!」

マミ「ほらリーダー、あなたは真ん中」ホラホラ

シモン「え、お、俺?」

杏子「当たり前だろ。お前、自分を誰だと思ってやがる!」ニカッ

ほむら「あなたは大グレン団のリーダーにして、見滝原グレン団のリーダー」

さやか「穴掘りシモン、でしょ?」ツンツン

詢子「ほらほら、ガキんちょども。この詢子さんが撮ってやるからさっさと並びな!」

まどか「はーい!」

マミ「ポーズはもちろんアレよね?」

さやか「だね?」

杏子「決まってんだろ?」

ほむら「人差し指を天高く掲げて…」ピッ

詢子「撮るぞー? よし、笑え!!」

………パシャ!

----------



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:51:00.40 ID:MrMvrdZ20

-翌日・昼過ぎ-

杏子「うんめぇ!やっぱり人の奢りで食うメシは最高だな!」ズゾゾゾゾー

シモン「おじさーん、俺、ギョウザもう一皿おかわり!!」

杏子「んだとぉ?ならこっちはラーメンとチャーハン追加だ!」

ほむら「命拾いしたわね、さやか」ズルズル

さやか「」

店主「おう、お前らはこの街のヒーローだからな! 金はいいからたーんと食ってくれ!!」

まどか「お金出してたら、さやかちゃんのお小遣いすっからかんになってたかもね」ハフハフ

マミ「見てるこっちのお腹が膨れちゃいそう…」ズズッ


シモン「ふう。ご馳走様でした!」

杏子「美味かったぜ、おっちゃん!」

店主「いいってことよ! ご馳走してやるから、また来いよ!」

アリアトヤッシター!

ガラララッ



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:53:59.87 ID:MrMvrdZ20

まどか「結局、あんまり普段の生活と変わらないかも?」

さやか「あーあー、もっと取材とかスカウトとか、どっば~!って来ると思ってたのになぁ」

マミ「ふふ。きたのは地元新聞が何社かくらいだったわね」

ほむら「でも、いいじゃない。こうやって…みんなで美味しいラーメンを食べられたのだから」

QB「キュップー」チョコチョコ

杏子「コイツもすっかり喋らなくなっちまったなぁ?」

ほむら「あの戦いで…グレンの中で、私がずっと踏ん付けてたなんて」

ほむら「本当に気付いてなかったのよ?」

QB「ガクガクブルブル」

さやか「すっかり、人畜無害の愛玩動物になっちゃってるよね」

トコトコトコ

QB「!!」

QB2「まさかこんな結末になるなんてね。ボクたちも思ってもみなかったよ」



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:56:38.59 ID:MrMvrdZ20

QB2「その個体はおそらく未知のエネルギーに曝され続け、それが影響して感情というものを手に入れたんだろう」

QB「キュゥ…」

QB2「でも。それと引きかえに、知性や言葉というものを失ってしまった」

QB2「果たしてそれは進化といえるのか、それとも退化というべきなのか」

QB2「ボク達にも全くわからないよ」

ほむら「用件は何かしら」

QB2「今回のことで、ボク達は新たなエネルギーの可能性を見つけ出した」

QB2「人が絶望に堕ちるその時を遥かに凌駕する、明日を創るためのもの」

QB2「残念だけど、ボク達は人間に対する認識を一度改める必要があるらしい」

シモン「…………」

QB2「そういうわけで、魔法少女計画は当面凍結だよ」

ほむら「それじゃ…」

QB2「鹿目まどかを魔法少女にする必要ももうないし、魔女についても今残っている分が消滅すれば」

QB2「もう新たに生み出されることもない」



219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 15:57:56.86 ID:MrMvrdZ20

さやか「へぇ… んじゃ、もう一頑張りってところだね」

QB2「現存の魔法少女についても、キミたちが不利にならないような」

QB2「何かしらの措置をするつもりだよ」

マミ「随分と気前がいいのね?」

QB2「感情を持ったばかりの頃の、その個体がどうだったかは知らないけど」

QB2「インキュベーターは、別にキミたち人間に対して憎しみを抱いているわけでもないからね」

QB2「話はそれだけさ。ボクはそこの個体からこの街を引き継いだから、ソウルジェムが穢れた時にはいつでも呼んでくれ」キュプ

QB2「もっとも…キミたちのソウルジェムは、穢れとはもう無縁になってしまったのかも知れないけれど」スタスタスタ

杏子「いっちまった…」

ほむら「悪い話ではなかったわね」ヨカッタ



220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:00:55.41 ID:MrMvrdZ20

-見滝原ショッピングセンター-

さやか「やっぱお土産ったら饅頭が定番っしょー!」ホレホレ

さやか「見滝原饅頭! 中にこしあんが入ってて美味しいよ?」

ほむら「あら、お饅頭よりも私はこっちのお煎餅を勧めるわ」ハイ

シモン「え、ええっと…どっちにしようかな??」

まどか「大丈夫だよシモンくん。ママが、『帰る前に欲しいものしっかり買ってこい!』って、お小遣いいっぱいくれたから♪」ホクホク

杏子「え!んじゃあたしもこれとこれを…」

まどか「もう…杏子ちゃんは帰らないでしょー?」ペシッ

杏子「てへ」



221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:03:11.26 ID:MrMvrdZ20

シモン「結局…こんなに買ってもらっちゃった」ドッサリ

ほむら「いいんじゃないかしら? みんながこうして無事でいられるのは、あなたのお蔭なんだし」

マミ「そういえば、グレンラガンはどこに移動したのかしら?」

シモン「今は学校の校庭に置かせてもらってるんだ」

さやか「男子連中が目をキラッキラさせながら写真撮ってたよ?」アハハ

杏子「明日の朝…だっけ?」

シモン「うん。陽が登る前に発つことにしたよ」

さやか「帰っちゃうんだな…シモン」

杏子「あーあ、なんかさ。お前に会ってから今日まで、あっという間だったよ」ハハ

ほむら「明日の朝、みんなで見送りにいくわ」

マミ「ええ…」ポロポロポロポロ

さやか「マミさん…まだ、泣くの早いよ…」グスッ



222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:08:34.67 ID:MrMvrdZ20

-鹿目家-

詢子「もう、あと数時間ってところか」

シモン「うん」

シモン「みんな、色々…本当にありがとう」

知久「シモン君、これ…お弁当作っておいたから、向こうで食べるといいよ」

まどか「もう、パパったら。電車に乗るんじゃないんだから」

シモン「ありがとう、知久! 知久の料理、とっても美味しかった!」

タツヤ「しもん~ ばいばい」

シモン「達也、大きくなったら… 父さんと母さん、それにお姉ちゃんを守ってあげるんだよ?」ナデナデ

まどか「シモン君… わたし、シモン君がうちに来てくれて本当に良かった…」ポロポロ

詢子「バカ!泣くんじゃないよ、この子は…」グスッ

詢子「シモン。また…いつでもうちにおいで。あんたは…あんたは立派な、あたしたちの家族なんだから」ギュッ…

シモン「うん…!」



223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:12:14.08 ID:MrMvrdZ20

-翌日・早朝
   見滝原中学校校庭-

さやか「これ、わたしからの餞別。このCD聴いてさ、たまには見滝原のこと思い出してよね」

まどか「私からはこれ。この前の写真、プリントして額に入れたんだよ」

シモン「ありがとう。さやか、まどか!」

まどか「もう時間なのに。マミさんと杏子ちゃんこないのかな」

ほむら「あの二人、こういうお別れは弱いんじゃないかしら」

さやか「マミさんなんか、昨日もボロボロ泣いてたもんね」

まどか「えー? さやかちゃんだって一緒に泣いてたじゃない」

ほむら「………」ホム



224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:15:02.85 ID:MrMvrdZ20

----------

-昨夜・見滝原中学校-

ほむら「なにかしら?二人して話しって」

マミ「暁美さん、お願いがあるの」

杏子「いや、ちょっとしたことなんだけどさー」

マミ「明日の、シモン君の見送りのことなんだけど…」

………

……



ほむら「あなたたち本気なの?」

杏子「あぁ」

マミ「ええ」

ほむら「全く。インキュベーターではないけれど、わけがわからないわ」

ほむら「………」

ほむら「いいわ。でもその代わり…」

ほむら「………」ポロポロ

杏子「わーってるって。絶対に、な?」ギュ

マミ「約束するわ、暁美さん」ギュ

----------



226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:21:17.06 ID:MrMvrdZ20

リーロン『そろそろ時間よ?』

シモン「あ、うん…」

シモン「…………」

シモン「俺、みんなのこと…この街のこと、絶対、絶対忘れないよ!」

まどか「私も! 私も、シモン君のこと絶対忘れない!」

さやか「あの時さ、わたしのことぶっ飛ばしてくれてありがとね。シモン!」ウルッ

さやか「またラーメン食べに来おいでよね!絶対に!」

ほむら「…あなたは私を救ってくれた。まどかを救ってくれた。ありがとう、シモン…!!」

シモン「みんな、マミと杏子にも、ありがとうって…言っておいてよ!」

ほむら「嫌よ。これっきりもう会えないなんて決まったわけじゃないのだから」

ほむら「また会った時に、あなたが自分の口から言いなさい」

まどか「ほ、ほむらちゃん手厳しい…」アハハ

シモン「それもそうだね」アハハ



227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:22:26.48 ID:MrMvrdZ20

シモン「…………」

まどか「…………」

さやか「…………」

ほむら「…………」

シモン「それじゃ、俺、そろそろ行くよ」

まどか「うん…きをつけてね…!」

さやか「元気でな、シモン!!」

ガシャン

「あばよ、なんて台詞は言わねぇ!! また会おうぜ!見滝原グレン団!!」ビシッ

ゴオッ…!!

…………

さやか「…あっという間に空高く、かぁ」グスッ

まどか「うん… 絶対また会おうね、シモン君!」

ほむら「……ありがとう、シモン」

ほむら(三人とも。絶対に…また会いましょう)



228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:24:57.36 ID:MrMvrdZ20

----------

-見滝原市上空-

シモン(街が…どんどん小さくなっていく)

リーロン『螺旋界認識転移システム始動、スタンバイOKよ♪』

リーロン『転移先の座標軸安定。そのまま最高加速までもっていけば、問題なく…』

ピピッ

???『きゃあああぁぁぁぁぁ!?』

???『揺れるうぅぅぅぅぅぅ…!!』

???『キュプギュ!?キュイィィ!!』

シモン「!?」

リーロン『あら、グレンのコクピットに… シモン。あなたも隅に置けないのね?』

シモン「ええっ!?…グレンの操縦席から通信!?」

???『えへ…ついて来ちゃった』テヘ

???『よ、よぉ!またよろしく頼むぜ?』

???『キュプー…』

シモン『ま…マミに杏子!?それにキュウべえも! なんでグレンに!!』



229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:27:00.49 ID:MrMvrdZ20

杏子『まぁ、なんだ。お前のいた世界ってとこも面白そうだしさ』

マミ『私ね、シモン君に何度も助けられて… 今度は、シモン君の支えに…うぷ、吐いちゃいそう…』

杏子『ちょ、ちょっと待てマミ!!吐くな!吐くなよ!?』

シモン「ほむらのヤツ…自分で言えってそういうことかああああああ!!」

シモン「無茶だよおおおおおおお!!」オロオロ

リーロン『言っておくけど…今さらもう後戻りはできないわよ♪』アラアラ

マミ『無茶で無謀と笑われようと!意地が支えの…………………ウエェ』

QB『キュプー!キュプー!!』

杏子『だから吐くなあぁぁ!!』

シモン「」

シモン「ど、どどどどどどうすればいいのお!?」

リーロン『決まってるでしょ、我らが大グレン団のリーダーなら』

マミ『そうよ?リーダー!』スッキリ

杏子『頼りにしてるぜ?』ニッ

シモン「どうしようどうしよう!? …もう、どうにでもなれだ!」

シモン「連れてけばいいんでしょおおぉぉぉぉ!!」

マミ『当たり前よ! 私を誰だと思って…思って………………ウエェ…』

杏子『お前、またかよ!!』

シモン「」

シモン「…覚悟を決めろ、マミ!杏子!」

マミ『そうこなくっちゃ!』

杏子『おう!!』



-廻る銀河のその果ての 青く輝く小さな星で 重なり合った二つの世界
                        語り尽くせば日がまた昇る-

シモン「………行くぜ!ダチ公!!」

----------


END



230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 16:28:50.63 ID:MrMvrdZ20

以上で投下終了となります。
誤字脱字、読みにくい箇所や突っ込みどころも多々あったとは思いますが
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。



233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本):2012/04/01(日) 16:54:42.26 ID:tUBh/rzH0


面白かったで!



235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/01(日) 17:38:20.56 ID:MrMvrdZ20

SS初投下で終始ビクビクしながらだったのですが、楽しんでいただけたのでしたら良かったです!

知人からのリクエストで、最初はマミさんのみのENDだったのですが、杏子ちゃんそのままにすると
ごはんがなくて干乾びそうだったので、急遽放り込んでみました。

いつになるかわかりませんが、構想まとまったらグレンラガンの大人編が中心の続編やってみたいな~と思ってます。
その時には、ニアとマミさんの絡みもがんばります(・ω・)

それでは皆様、ありがとうございました!



242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/04/01(日) 21:17:28.11 ID:/vkgTazP0

今読み終わった!

乙!!アンタサイコーだぜ!!

続編楽しみにしてます

ほむさやマミ杏「「「「わたしたちを… 誰だと思っていやがるっっっっ!!!! 」」」」【後編】



転載元
ほむさやマミ杏「「「「わたしたちを… 誰だと思っていやがるっっっっ!!!! 」」」」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333166732/
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