雪歩「ユキポックス -レボリューションズ- 」【前編】
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- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 00:05:45.21 ID:P4n1/86h0
──現在より数時間前 ユキポックス メインソース──
千早「間違っているわ、萩原さん」
雪歩「……」
千早「あなたは今、楽観的でちっぽけな感情に囚われているに過ぎない」
千早「それは希望。人間の最大の強さであり、最大の弱さの源、ね」
雪歩「……」
千早「自分でも気づいているはず。その証拠に、ドアノブを握る手が震えてるわ」
千早「あなたは文字通り、ただの偶像でしかない」
雪歩「……」ガチャッ
千早「……理由を聞かせて欲しい。どうして?」
雪歩「──だから……」ボソッ
……バタン……。
………。
千早「……愚かね。ずっと眠ってさえいれば、どんな悲しみも忘れられるのに」
──ユキポックス崩壊まで、残り24時間。
⇒マトリックス レボリューションズ- 12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 00:17:24.84 ID:P4n1/86h0
──"現在" 現実世界 961プロ移動船内──
<脳波不安定> ピッ……ピッ……
雪歩「……」
冬馬「おい、なんか食べたほうがいいぜ。不味いメシしかここには無いけどよ」
真「うん……」
冬馬「萩原に何か変化はあったか?」
真「ううん、なにも無い、ずっとこのままだ」
冬馬「そうか……」
真「美希の方は……?」
冬馬「こっちは問題ないな。意識を取り戻すまではな」
真「……どういう意味?」
冬馬「こだまプロ支部の唯一の生き残りだ。こいつが自ら志願した点を考えても、ただの偶然とは思えねぇ」
真「美希を疑ってるの……?」
冬馬「……ま、いずれにしよ、何て答えるかだな」
美希「……」
- 16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 00:25:30.05 ID:P4n1/86h0
──現実世界 移動船内 メインルーム──
ガチャ……
貴音「……」
響「貴音、もう大丈夫なのか……?」
貴音「えぇ、それより響、頼みごとがあります」
響「……なんくるないさー。貴音にはいつもお願いされてばっかりだしね!」カチカチカチ……
貴音「わたくしを、ユキポックスに転送してくれませんか?」
響「……」ピタッ
響「どうして?」
貴音「萩原雪歩を探します」
響「……んっ?……んん??」
響「雪歩はいま、侵入してないぞ。貴音もわかって……」
貴音「お願いします」ペコリ
響「……わかった。椅子に座って準備してて」カチカチカチカチ……
- 21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 00:37:13.98 ID:P4n1/86h0
貴音「……」ドサッ
響「でも、どうしてなんだ?」
貴音「先ほど、聞かされたのです」
貴音「萩原雪歩の脳波は、ユキポックスに侵入した型とよく似ている、と」
響「全域をスキャンしてみたけど、雪歩の反応なんてどこにも無かったぞ……」カチカチカチ……
貴音「……響、ときには深い霧の中を進まざるを得ない場合もあります」
響「自分たち、いきなり迷子になっちゃったな……」カチカチカチ……
貴音「……」
プルルルルル……
響「ん? ユキポックスから電話だぞ」ガチャッ
貴音「わたくし達以外に、誰かが侵入しているのでしょうか……?」
響「はいさーい! 自分、我那覇響! 認識コードと所属支部を……」
あずさ『うふふ、お話があるの。私のアパートへ来てくれないかしら~?』
- 25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 00:58:16.17 ID:P4n1/86h0
雪歩「すぅ……すぅ……」
──起きて、雪歩。
雪歩「……すぅ……ゆり……」
──起きなさい、雪歩。
雪歩「……しぃ……むにゃ……」
──あんたね……。
雪歩「……すぅ……すぅ……」
──っっ起きなさいって言ってんでしょうがっ!!
雪歩「ふぇ!!!」ガバッ
雪歩「ここは……」
真っ先に私の目に飛び込んできたのは……
……白いウサギ……?
伊織「やっとお目覚めね。はぁ~……」
雪歩「い、伊織ちゃん?!」
伊織「何よ、あんた幽霊でも見たような顔しちゃって」
- 31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 01:13:14.38 ID:P4n1/86h0
雪歩「えっ、えぇっ?! だって伊織ちゃんは……」
伊織「何よ」
雪歩「スイッチを切られて……」
……辺りを見渡すと、真っ白なタイルが敷き詰められた
地下鉄のホームがありました。
雪歩「うぅぅぅ~、もしかしてここが天国、ですか? 想像と違ってましたぁ……」
伊織「勝手に人を殺すんじゃないわよ……」
雪歩「えっ……じゃあ……」
伊織「あんたも飛ばされてきたのね」
雪歩「わ、私はどこに来ちゃったの……?」
タイルには、カラフルな文字で駅の名前が刻まれていました。
──データの狭間 THE IDOLM@STER STATION!!!──
伊織「……ここは中継地点。ユキポックスとデータ世界を繋ぐ場所みたい」
- 36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 01:29:07.45 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 預言者のアパート──
あずさ「うふふ、いらっしゃい。とっておきのゼリーがあるの。用意するから待ってて~」
貴音「……不用意に動かないでください。今なら容赦無く撃ちます」チャキッ
真「……」
あずさ「あらあら~随分嫌われちゃったわね~」
貴音「あなたの預言は、全て偽りでした。戦争は終わらず、雪歩は……」ギリィ……!
あずさ「うぅん、私は道案内をしただけよ~」
貴音「戯言など聞きたくありませんっ!」カチリッ
あずさ「……」
あずさ「そうね、私はウソつきだったわ」
あずさ「うふふ、髪をショートヘアにしたの。どう、若く見えるかしら~?」
真「……?」
あずさ「女性が髪型を変える行為が何を表すか。うふふ、私のプログラムにもちゃーんと入っているわ~」
貴音「何が言いたいのですか……?」
あずさ「……今度こそ、あなた達を助けて、雪歩ちゃんを導くわ」
- 39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 01:45:16.96 ID:P4n1/86h0
真「……そんなの信用できないですよっ!」
貴音「あなたはMIN-GOSに完全に支配されている。出来るはずがありません」チャキッ……
あずさ「あら、私は元々、「心理」を司るプログラムよ」
あずさ「そんな私が、主人を裏切ることがそんなに変なのかしら~?」
貴音「……」
あずさ「雪歩ちゃんの力になりたいって思うことが、そんなにおかしい?」
真「……」
あずさ「迷ってるようね。それじゃ、いつもの台詞を言っちゃいましょう~」
あずさ「私を受け入れるかを選ぶのは……」
貴音「わたくし自身、ですか……」
貴音「……」コトッ
真「……いいの?」
貴音「下手な鉄砲を撃とうにも、あいにく弾もない状況ですから」
あずさ「えぇ、知っていたわ~」
貴音「……この通りです。萩原雪歩への道を、教えてください」
- 42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 01:58:14.12 ID:P4n1/86h0
あずさ「雪歩ちゃんは今、ちょっと困った場所で迷子になっているわ」
真「……雪歩の意識はやっぱりユキポックスにっ?!」
あずさ「えぇ、私も一度だけあそこに行ったことがあるけれど、帰るまで大変だったわ~」
貴音「それはいつものことでは……」
あずさ「そこには違法なデータをこっそりユキポックスへと持ち込んでいる、ある例外プログラムがいるの」
あずさ「普段は滅多に働くことは無いのだけれど……もし見つかったらちょっと大変ね~」
真「大変……どうしてですか……?」
あずさ「その子を莫大なお金で雇っている主人がいるから」
貴音「金、となるともしや……」
あずさ「えぇ、やよいちゃんよ」ニコッ
貴音「……」
真「ボク、もう会いたくないんだけど……」ガクーン
- 45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 02:22:01.48 ID:P4n1/86h0
──データの狭間 THE IDOLM@STER STATION!!!──
伊織「……無線でユキポックスに侵入した?」
雪歩「う、うん。突然、意識が途切れてね、気づいたらここだったんだ」
伊織「……ま、今までの話聞いてたらイヤでも信じるようになるわよ」
雪歩「……(そっか。『inferno』を停止させられたのは、無意識にアクセスしちゃってたからなんだ)」
雪歩「あ、あの伊織ちゃんは、ここにずっと?」
伊織「えぇ、どうやら実体の無くなった意識のデータも、ここを通って削除されるみたいね」
伊織「……もう、何度も見てきたわ。電車っていうより霊柩車よ」
雪歩「……」
伊織「……ユキポックスの中で一生を終えた人間たちが最期に何て言うかわかるかしら?」
雪歩「えっ……?」
伊織「口を揃えて言うのよ。ホントは心の何処かでは解ってたんだ。これが現実じゃなかったなんて、って……」
雪歩「……」
伊織「ま、フツーの人間はそう簡単に選んだり、覚悟したりとかできないってことよ」
- 47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 02:37:15.71 ID:P4n1/86h0
雪歩「あの、その、どうして、伊織ちゃんは……さ、削除されないの……?」
伊織「何だか変なヤツが来て、『お前は主人のお気に入りだから特別扱いしてやる!』って言われたのよ」
雪歩「ほぇぇ……」
──ユキポックス 13番線──
プシュウゥゥゥ……
<発車します>
ガタン……ガタン……
貴音「確か、ここの車両で、いつも寝ていると……」
真「ねぇ、貴音……あれじゃないかな」ツンツン
杏「むにゃ……印税生活……」
貴音「どうやら、あの者のようですね……何とも面妖な……」スタスタ
杏「んん……お客なんて珍しいな……ってあぁぁー!!!」
貴音「頼もう。その、どうか話を……」
杏「イ、イヤだ! 私は働かない! 絶対に働かないぞ!」
- 49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 02:46:50.48 ID:P4n1/86h0
杏「私を働かせるつもりだな!」
真「待って。落ちついて……」スタスタ
杏「……寝て起きて寝る! それが私の生き様だぁぁ!」ガシッ
<車両 緊急停車>
ギャリィィィィ……!キキキキィィィ……!
真「うっうわっ!」グラッ
杏「どやっ!」チャキッ
貴音「真、伏せてくださいっ!」
パァン!
真「う、うわっ!」ヒュッ
プシュウゥゥゥ……
杏「さらだばー!」ダッダッダ
真「あっこらぁー! 待てー!」タタッ
貴音「これまた、一筋縄ではいかなそうですね……」
- 51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 03:00:15.94 ID:P4n1/86h0
──13番線 ホーム──
杏「はぁ……はぁ……あと5分……!」ダッダッダ
貴音「待つのですっ! 雪歩の解放をっ……」
杏「ただの人間が生意気だぞっ! 我々は選ばれしものなんだぞー!」チャキッ
パァン!パァン! ビスッ!ビスッ!
真「くっ……! 近づけない……」
貴音「このまま、柱の影で弾切れを待つしか無さそうですね」
杏「……大体こんなことしたって何にもならなくなくなくないない?」
杏「知ってるんだ。バンナムはもうすぐ滅びるっ!」ドヤッ
真「……!」
杏「主人が言ってたぞ! MIN-GOSはプランBに変更したと!」
貴音「【ぷらんびー】、それは一体……?」
杏「えぇ~……説明しなくちゃいけないのかぁ……めんどくさい……」
- 55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 03:15:10.68 ID:P4n1/86h0
杏「……あと4分……」チラッ
杏「……MIN-GOSは今のユキポックスを破棄することに決定した」
貴音「なっ……そうなったらMIN-GOSは……」
杏「活動停止する前に、非常用バックアップを作る。」
真「バックアップ……? そ、それでもバグだらけのユキポックスじゃどっちみち……」
杏「どうして機械がバンナムを今まで滅ぼさなかったか分かる?」
貴音「……」
杏「予備の電池ってあるとたまに便利だよ! 外に出る必要が減るし!」
真「ま、まさか……」
杏「バンナムの人間を使ってまた1から新たなユキポックスを作る」
貴音「リンクされている数十億の人類、全てを見捨てるというのですか……?」
杏「お前らと違ってこっちは無限に時間があるんだー!」
杏「……名付けて替え玉大作戦!」ドヤッ
- 57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 03:27:53.55 ID:P4n1/86h0
杏「……で、続けるの? これ」
杏「働くのも、頑張るのも全部無駄だよ?」
貴音「いずれにしろ退路など、とうに絶っています!」ダッ
杏「近付くなッ!」チャキッ
貴音「くっ……」
杏「よしよしっ、時間稼ぎ完了……」チラッ
プアァァアアアア……
<13番線に電車が到着します>
真「……貴音ぇ! 向かいのホームに飛び移る気だ!」
貴音「しまっ……!」
杏「もう遅い!……っっ今だ!!」ダッ
アァァアアアアアアン!!!
ヒュン……!
ガタン……ガタン……ガタン……ガタン……
真「いない……逃げられた……!」
- 60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 03:48:16.42 ID:P4n1/86h0
──データの狭間 THE IDOLM@STER STATION!!!──
雪歩「んん……!」スッ……
<プログラム改変> キュィィィン……
……シィィィン……
雪歩「うぅ~……だめですぅ……形式が全然違う……」
伊織「……だから言ったでしょ。ここには電車に乗る以外に出る方法なんて無いのよ」
雪歩「私はここに無線で来てる、だったらもう1回出来るはず……」
目を瞑って、頭の中でひたすらイメージを展開しました。
私は、ここから出られる……出られる……。
- 61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 03:52:06.07 ID:P4n1/86h0
外の世界……現実世界をソーゾーですぅ……。
──オォ……。
あ、何かが浮かんできた……。
──オォォ……
なんだろう……何も見えてこない……。
──オォォオオオオオ………!
!!!
雪歩「……っひぃ……!!!」
伊織「ど、どうしたのよ? 急に変な声あげて……」
雪歩「……真っ黒……」
伊織「えっ……?」
雪歩「全部、暗闇だった……光が全くない……世界が見えた……」ブルブルブル……
知ってる。
この生々しくて肌にまとわりつく感覚……。
これは……預言、ですよね。
- 63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 04:05:16.54 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス やよい軒──
ガヤ……ガヤ……
店員「いらっしゃいませー! 人数は?」
貴音「二名です」ぐぅぅぅ……
真「……」
店員「おタバコはお吸いになりますか?」
貴音「いいえ、吸いま……」
真「あの、ここに高槻やよいが居ると聞いたんですけれど……」ズイッ
店員「……どうしてそれを?」スッ
真「おっと、動かないで」チャキッ
店員「ひぃ……銃……!」
貴音「ふふっ、お席にご案内してくれませんか?」
- 77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 08:01:35.64 ID:P4n1/86h0
やよい「何だかざわざわしてますね~」キョロキョロ
長介「あ、あれは……」
カツ……カツ……
真「やぁ、また会ったね」
やよい「はわわっ! 真さん、貴音さんどうしてこの場所が……」
やよい「うぅぅ~……出会いは苺一会って言いますけど~ビックリしましたぁー」
真「……」
亜美「んっふっふ→ まずは銃を捨てなよ」
真美「そ→そ→ 平和的解決っしょ?」
貴音「皆、お元気そうで何よりですね……」 カラァン……
やよい「えへへー、実は来るのは知ってたんですよ」ニコッ
真「雪歩が、アイマスステーションにいることも、もう?」
やよい「はい! 知るのが私のお仕事ですから!」エッヘン
やよい「そしてぇなによりぃ真さん達が来るのは……げーいんとけっかです!」
長介「お姉ちゃん、それ僕のセリフ……」
- 78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 08:12:42.13 ID:P4n1/86h0
やよい「え~っと~何か食べますか? メニューかも~ん……」
貴音「わたくし達はあなたと取引するために来ました」
やよい「……」ピタッ
やよい「貴音さん、いつもたんとーちょくにゅーですねぇー」ニヤッ
やよい「だけどですねー、世の中タダより高いモノは無いんですよ?」
真「……出来る限りは用意するつもりだよ」
やよい「えへへ、実はちょうど欲しいものがあったんですよ」
やよい「ずっとずっと欲しかったんですけれど、それはお金じゃ買えないほど大事らしいみたいですねー」
真「……なに?」
やよい「それは……」ニヤッ
やよい「あずささんにインストールされている"預言者"のデータかなーって」
貴音「なっ……!」
- 79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 08:33:48.28 ID:P4n1/86h0
やよい「あれさえあれば、お金もジャジャーンって稼ぎ放題かも~!」ピョンッ
やよい「……翼の無い大天使さんのプログラム改変機能を使って、データを引っこ抜いてきてください」
真「そんなことしたら、素体のあずささんは……」
やよい「死んじゃいますねー」
貴音「三浦あずさは、今や私たちの唯一の望み。それを知ってて言っているのですか?」
やよい「前に言いましたよね。選ぶ権利を持ってるのは、お金を、力を持ってるほうなんですよ?」
貴音「……」
真「……わかったよ。難しいことは抜きにしよう」
やよい「! さっすが真さん、空気を読める人ですねー」
真「取引条件は、うん。シンプルでいい……なぁっ!」スッ!
チャキッ……!
やよい「はわっ……まだ隠し持って……」
チャキチャキチャキチャキチャキ……!
亜美「その、やよいっちに向けた銃おろしなよ……まこちん……」
真「雪歩を渡すか、この場で全員死ぬか……どう?」
- 80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 08:48:20.73 ID:P4n1/86h0
やよい「うぅぅ……真さん、それって……マジってやつですか?」
真「マジだよ」
長介「お姉ちゃん、この人、目が本気だよ。やるつもりだ」
真「……」
やよい「……恋は人をもーもくにしますねぇ……」
──データの狭間 THE IDOLM@STER STATION!!!──
雪歩「ど、どうしよ……このさい穴掘って……」
プァアアアァ……
<停車します> プシュゥゥゥゥ……
伊織「ここに……止った?」
杏「萩原雪歩、乗車許可が出た。ユキポックスに連れていくよ」
雪歩「えっ?! ど、どうして……?」
杏「はぁ、人間ってホントめんどくさい、疲れる……飴舐めたい……」
雪歩「?」
- 81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 09:01:05.14 ID:P4n1/86h0
杏「さっさと乗るんだ! 私は帰って寝たい!」キッパリ!
雪歩「それじゃ伊織ちゃん行こ?」
伊織「え、えぇ」
杏「待った。許可が出たのは萩原雪歩だけ。そっちは乗せられない」
伊織「えっ……」
雪歩「そ、そんな……お、お願いします! 私の大事な友達なんですぅっ!」
伊織「……友達、ね」
伊織「いいわ、さっさと行きなさいよ。あんたを待ってる人が大勢いるんでしょ」
雪歩「で、でも……」
伊織「にひひっ。なに泣きそうな顔になってるのよ。あんた救世主なんでしょ?」
伊織「私もとうぜん、救ってくれるんでしょうね? ていうかそうじゃなかったら承知しないんだから!」トンッ……
雪歩「あっ……」トトッ……
杏「乗ったね。それじゃ出発するぞ。ふわぁ……」
雪歩「伊織ちゃん……」
伊織「……私も、あんたを信じてる」
- 82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 09:22:22.38 ID:P4n1/86h0
伊織「最後に聞いてちょうだい。私はずっとここでデータを眺めてきて考えたことがあるわ」
雪歩「えっ?」
伊織「プログラムにも、もしかしたら人の心に似たものが存在するのかも知れない……」
雪歩「そ、それってどういう意味なのかな……」
プシュゥゥゥ……
伊織「……0と1だけじゃ割り切れない何があるってこと」
バタンッ……
<発車します>
……私は、電車の中をゆっくりと進んで行きました。
私の他に、誰かいる……見覚えがある後ろ姿……
雪歩「……あ……」
真「……雪歩、おかえりなさい」ニコッ
その優しい声を聞いたら、なんだか目頭が熱くなって……視界が霞んでいって……
言いたいことはたくさんあったのに、口から飛び出したのはたった一言だけ、でした。
雪歩「うん、ただいま、真ちゃん……」
- 83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 09:36:33.03 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 車内──
貴音「言いたいことは色々とあるのでしょうが、ひとまず無事に合流できて何よりですね」
雪歩「……はいっ! 四条さん、無事で良かったですぅ」
響『たっかねぇ~! 雪歩は見つかったのか?』
貴音「今、共に車に乗っていますが……見えていないのですか?」
響『……うん。 何か映ってるのはわかるけど、このコードは雪歩なのか……?』
真「ひとまず、脱出ポイントを見つけて一旦戻ろう」
雪歩「……」
私は、窓から移りゆくのどかな光景を目に焼き付けるように眺めました。
雪歩「ねぇ、私、まだ帰れないよ。行かなくちゃいけないところがあるんだ」
真「えっ……今から?」
雪歩「きっと、最後のチャンスだと思うから」
理屈じゃない。漠然と、なんとなくだけどそう思う。
- 86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 09:49:14.47 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 預言者のアパート──
優「ねぇねぇ、これでいいのかな」コネコネ
あずさ「うふふ、上手ね~。そうよ、料理は愛情よ。忘れないでちょうだい~」
雪歩「……クッキーを作ってるんですか?」
あずさ「あらあら~、もうちょっとで完成だったのだけれど……ちょっと間に合わなかったわね~」
優「おねーちゃん、また会えたね! ねぇねぇ、お姉ちゃんはいま、楽しい? 幸せ?」
雪歩「えっ……?」
あずさ「ごめんなさい~。優ちゃん、ちょっと今から大事なお話があるの」
優「うん、わかった! あずさお婆ちゃん!」タッタッタ……
あずさ「雪歩ちゃん、初めてここに来た時に比べて本当に変わったわね~」
あずさ「前は、何かのちっちゃな小動物みたいに震えていたのに、ビックリだわ~」
雪歩「そ、そんな……今でも私は……」オドオド
変わったのは、私じゃなくて、周りの状況……。
雪歩「あの、その……バンナムとユキポックスは……もうどうにもならないんですか?」
- 87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 10:01:32.76 ID:P4n1/86h0
あずさ「うぅん。それは私にもわからないわ」
雪歩「……うぅ~言わないだけ、じゃないですよね」
あずさ「違うわ。私も前の雪歩ちゃんと同じ、預言に対して覚悟ができていないの」
雪歩「あずささんにも……? どんな預言ですか?」
あずさ「うぅん、それを知るにはまだちょっと早いわね~」
あずさ「でも千早ちゃんことを、黙っててごめんなさい。私ってウソつきね~」
雪歩「……気づきました。 あずささんは絶対にウソをつきません」
雪歩「ただ言わないだけ、ですよね」
あずさ「うふふ、何でもお見通しなのね~」
- 88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 10:16:52.00 ID:P4n1/86h0
あずさ「雪歩ちゃん、あなたは気づき、選択し、理解し、覚悟したわ」
あずさ「いよいよ、最後のステップに入ったわね~。これで私の道案内も終わるわ」
雪歩「最後のステップ……?」
あずさ「坂道を登りきった先には、新しい景色が見えるのね~」
あずさ「……変化すること。あとはそれだけしか無いわ~」
雪歩「……?」
あずさ「あなたにはこれから苦難が待ち構えているわ。そこであなたは、試される……」
あずさ「うふふ、今何時かしら?」
雪歩「え、えっと……午前10時です……」
あずさ「……雪歩ちゃん。正真正銘、最後の預言よ」スッ……
そう言った瞬間、普段のあずささんの微笑みが消えました。
あずさ「9:02PM。その時、この戦争が終わるわ」
- 90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 10:30:57.67 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 預言者のアパート ~AM10:17~──
私は、キュッと唇を噛みしめて言いました。
雪歩「機械……MIN-GOSが勝つんですか?」
あずさ「……」
雪歩「あずささん……?(ね、寝てないよね……)」
あずさ「ねぇ雪歩ちゃん。MIN-GOSは元々、ユキポックスで人を幸せにするために作られたの」
雪歩「はい……」
あずさ「いつの間にか、手段が目的になってしまったのね~。ユキポックスの維持を訳も分からず行っているのよ」
あずさ「……私には、耳をすませばしっかりと聞こえるわ。あなたにも届くはず」
雪歩「えっ……?」
あずさ「MIN-GOSの苦しそうな喘ぎ声が……」
雪歩「……(MIN-GOSの声を聴く、ですか……?)」スッ
……ン゛ァ゛ァ゛ァ゛゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!
雪歩「……!(こ、これって……)」
あずさ「暴走はもはや止まる事ができない……可哀想ねぇ……」
- 91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 10:39:44.62 ID:P4n1/86h0
あずさ「そして、それと全く同じ状況の、可哀想な子がもう一人」スッ
雪歩「えっ……?」
あずさ「どちらも、止められるのは雪歩ちゃんだけ」
あずさ「出来なかったら、全てが支配されるわ。世界は全て振り捨てられる」
雪歩「……もしかしてそれって……」
あずさ「……」コクン
雪歩「春香ちゃんのこと、ですか……?」
- 92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:00:09.14 ID:P4n1/86h0
雪歩「春香ちゃんは、その、何なんですか? 他のなにとも違う……」
あずさ「……春香ちゃんはあなた。マイナスの雪歩ちゃんよ」
雪歩「っ……!」
あずさ「エージェントのプログラムは、1%のあなた達を監視するために作られたのは知ってるわね」
あずさ「その中でも春香ちゃんは救世主システム、雪歩ちゃんを抑制するための特別製なの」
雪歩「えっ……」
あずさ「それが、自由になった今でも残ってるのねぇ」
雪歩(そっか、それであんなに私に……)
あずさ「バランスを保つため、ね。 春香ちゃんは、雪歩ちゃんと逆の行為を行うために存在するの」
雪歩「……」
あずさ「私は、あなたのまっさらな純白の心が勝つことを、信じているわ」
- 94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:09:51.83 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 765プロ事務所 ~10:50AM~──
あずささんの最後の言葉を胸に秘めて、事務所の扉をゆっくり開けました。
雪歩「あ、あの……おはようございますぅ……」キィ……
P「はい、少々お待ちくださ……」
雪歩「ごめんなさい。今までずっと無断欠勤してて……」
P「ゆ、雪歩! し、心配したんだぞ! 一体今までどこに行ってたんだ」
プロデューサーは、ここが仮想現実だって気づかないで生きてる……。
雪歩「……プロデューサー、あの……」
P「な、何か変な事件に巻き込まれてたりしないよな?」
それは、私を本気で心配してくれている、真剣な眼差しでした。
雪歩「私って、あの、ちょっとは強くなれたと思うんですけれど……」
P「ゆきほ……?」
雪歩「プロデューサーから見て、今の私はどう見えますか? 変わってますか?」
- 98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:24:50.39 ID:P4n1/86h0
雪歩「怖いこととか、痛いこととかいっぱいありましたけれど……」
どうしよう、久々にプロデューサーの顔を見たら涙が……
雪歩「私、なんとか皆のお陰もあって、自分でも頑張ったかなって所まで来れたんです」
ダメ、もう泣かないって決めたから……。
P「……」
雪歩「だから私のこと、いつものように褒めてくれませんか?」
P「……わかった」
P「雪歩、良くやったな。さすが765プロ自慢のアイドルだ」
雪歩「……いつもみたいに、オーディションの前のように、応援してくれませんか?」
P「頑張れ、雪歩、やれば絶対に出来る。自分を信じるんだ」スッ
雪歩「ぁぅ……」
……髪の毛がくしゃくしゃになるくらい撫でられました。
プロデューサー、ありがとうございます。
これで、最後の一歩の勇気を踏み出せそうです。
- 100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:37:20.62 ID:P4n1/86h0
……。
P「行っちゃったな……」ポリポリ
P「それにしても雪歩も伊織も居なくなって……経営大丈夫なんだろうか」キィ……キィ……
カツ……カツ……
──その心配は、いらないですよ、プロデューサーさん。
P「君は公園のときの……?」
春香「もうすぐ、革命が始まりますから」ニコッ
……ドスッ……
──現実世界 961プロ移動船内 ~11:30AM~──
<転送開始> ィィィィン……
美希「……あふぅ」パチッ
雪歩「……ッッ……フヒィ!」パチッ
真「う、うわぁ! ビックリしたぁ!」
冬馬「同時に目が覚めた……?」
- 101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:44:29.03 ID:P4n1/86h0
響「二人とも脳波は安定してる……」カチカチカチ……
真「だ、大丈夫? 気分は……?」
雪歩「わ、私は大丈夫だよ。何ともない」
美希「……」キョロキョロ
冬馬「おい、待て。お前には詳しく話を聞いておくぜ」
冬馬「どうして、こだまプロ支部が全滅した?」
貴音「……」グッ……
冬馬「お前は一体、何を見た。なにをしたんだ……?」
美希「……」
美希「なにそれ?」キョトン
冬馬「……は?」
美希「う~ん、ミキね、最近のことはなーんにも覚えてないの」
- 103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 11:54:41.99 ID:P4n1/86h0
──ユキポックス 預言者のアパート 12:17AM~~──
あずさ「あら、いけない、またついつい食べ過ぎちゃったわ~」ケプッ
あずさ「……最期かも知れないし……まぁいっか、うふふ~……」
カツ……カツ……
春香No1「も~、いつも迷子みたいになってるから、捜すの一苦労でしたよ、あずささん」
カツ……カツ……
春香No650「その預言で、簡単に逃げられちゃいますよね、便利だなぁ」
カツ……カツ……
春香No84002「……今回も私たちが来ることは解ってたんですよね?」
あずさ「あらあら~……」
- 104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 12:06:05.14 ID:P4n1/86h0
あずさ「困ったわね~」
春香No1「演技はいいですよ、預言者は困らないし……」春香No84002「……驚かない」
あずさ「……」
春香No650「質問です。どうして、逃げなかったんですか?」
あずさ「……」
春香No1「……わっ、美味しそうなアイスですね~。おひとつ戴いていいですか?」
春香No1「えへへ、箱を……開けてぇ……あれ、開かない……んん~~」ググググッ……
ベゴシッ!
春香No1「……!……!」プルプルプルプル
春香No84002「と、このように私がダンボールに顔をぶつけることも分かってたんですよね」
あずさ「……」
春香No650「だからわざとらしく二十郎アイスを箱詰めして置いておいた」
春香No1「……!……!」プルプルプルプル
春香No650「……リアクション無いって結構キツいですね、これ」
- 107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 12:18:07.33 ID:P4n1/86h0
春香No1「ふぅ……! そうそう、途中で珍しい子に逢いましたよぉ」
あずさ「……優ちゃんを、どうしたのかしら」
春香No650「削除されるプログラムだったのに、あずささんが引き取って育ててたんですねぇ」
春香No1「あーんな失敗作で何をしようとしてたんですか?」
あずさ「……正体を知っているのね」
春香No84002「えぇ、もちろんです」
春香No1「あれは……」
春香No650「千早ちゃんが何度も作ろうして挫折した……」
あずさ「……」
春香No1「『愛』を司るプログラム、ですよね」ニッ……
- 111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 12:33:16.37 ID:P4n1/86h0
春香No1「うぅん、無駄無駄、無駄ですよぉ。あずささん」
春香No650「そんなものは、さっさとゴミ箱ですよ。ゴミ箱」
あずさ「あの子は……きっと人間とAIを繋ぐ架け橋になるわ……」
春香No85002「あずささんにも教えてあげましょっか」
春香No650「私流格言30514245……」
春香No1「必要なのは、愛なんかじゃなくて絶対的な支配力、です!」
あずさ「もう一度、聞くわね。優ちゃんは……?」
春香No1「……ねぇねぇ、お姉ちゃんはいま、楽しい? 幸せ?」
あずさ「……あなたはもはやプログラムじゃない……ウィルスよ」
春香No650「……えへへ、それはぁ~……私の理想ですよ!」ヒュッ……
……ドスッ……
<コピー開始>
ギ……ギュィィィィィ…ギギギ……
- 113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 12:42:37.91 ID:P4n1/86h0
──現実世界 961プロ移動船内 メインルーム ~~12:30AM~~──
<移動値検出> ピピピピピピ……!
響「な、何だこれ……データの流れが滅茶苦茶だ……」カチカチカチ……
響「解析不能だぞ……クラッシュ寸前だ……」
響「これじゃユキポックスに侵入すらできない……」
貴音「一体、内部で何が起こっているのでしょうか……」
──ユキポックス 預言者のアパート ~12:31AM~──
ギギイィィ……ン
<コピー完了>
春香No0「……」
シュウゥゥゥ……。
春香No650「せ、成功したのかな」
春香No1「……えっと、わた春香さぁーん?」ユサユサッ
- 115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 12:51:35.83 ID:P4n1/86h0
春香No0「……」ムクッ
春香No1「!」ビクッ
春香No0「……」ィィィィ……
ィィィィ……
──ザァアアアアア……!
──土砂降りの雷雨。目の前で倒れている雪歩。ピクリとも動かない。
──高らかに空を見上げて。叫ぶ。
──望み通り……望み通りの結果だよ!!!
ィィィィ……ン!
春香No0「……ふふ」
春香No0「ふふ……ふふふ……!」
春香No0「あは……あはははは……」
春香No0「あーっはっはっはっは!!!」
- 126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:07:10.73 ID:P4n1/86h0
──現実世界 バンナム 会議室 ~13:05PM~
黒井「敵は残り8時間程でバンナムの壁に到達する」
ザワ……ザワ……
黒井「何度計算しても同じだ。街の内部に侵入を許したら……」
黒井「……チェックメイトだ」
凛「第一には、ユキドリルを破壊する必要がある」
涼「そ、それが出来ない場合、メインゲートに敵を集めて迎え撃つしか無いです」
舞「メインゲートには、弾薬と兵力の半分をいただこうかしらね」
黒井「私に権限があれば……まだ子供であろうと銃を持たせるがね」
高木「いやはや、お前に権限が無くて良かったよ」
高木「ところで……765プロ支部から何か連絡は来たのかね?」
黒井「ノン。生存は絶望的だ」
黒井「希望にすがっている時間など、もう我々には無いのだよ」
- 129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:20:43.07 ID:P4n1/86h0
──現実世界 バンナム メインゲート ~13:30PM~──
きらり「にゃほーい☆ きらりんも物資の運搬すぅぅ!」ドドドドド……
舞「何あれ……新型兵器……?」
涼「し、志願兵みたいですよ。楽しそうだからやるって」
舞「はーはー……頼りにはなりそうだけど……あら?」
愛「んんー……重いぃぃぃ……!」プルプルプル……
舞「あ、愛ぃ?! あんたは避難してろって言ったでしょ」
愛「私も頑張るよーーー!!! ママ!!!!」
舞「うっうるさ……」
愛「私もみんなを守るよーーーーーーーー!!!!!」
涼「はは……こうなったらダメっぽいですね……」
舞「我が子なだけに……心配だわ……」
- 131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:33:14.19 ID:P4n1/86h0
──現実世界 961プロ移動船内 ~13:30PM~──
美希「ミキね、いきなり頭の中がぐわ~っ!てなってね、気づいたらここにいたの」
冬馬「……お前、メインソースへの突入作戦に立候補しただろ?」
美希「あふぅ、ミキわかんない」
冬馬「……! 話にならねぇな……」
真「……本当に何も、異常はないんだよね、響」
響「うん……ウソをついてる様子もない……」カチカチカチ……
美希「ねぇねぇ、これから何をするの? ミキ手伝うよ」
貴音「これから……さて……」
冬馬「とりあえずバンナムに戻るか……? 船に搭載されている電磁パルスがある」
貴音「それを発射すれば、バンナムを丸々をショートさせられますね」
響「その代り、電子機器の類はぜーんぶダメになるけどね……」
ガチャッ
雪歩「……」
真「あれ、雪歩、今までどこにいたの?」
- 132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:41:17.26 ID:P4n1/86h0
雪歩「……ずっと迷ってた。だけど決めたよ」
貴音「決めた……? 何をですか」
雪歩「もう一度、私はユキポックスへ行く必要があるんです」
響「えっ……それは無理だぞ。入ろうとしたら……」
雪歩「一つだけ、侵入できるかもしれない場所があるよ」
冬馬「……なに?」
雪歩「765プロの移動船を、わたしに貸してくれませんか?」
響「えっ……! あ、あれはバンナムに持っていかないと……!」
冬馬「一隻あるか無いかで、戦況が大きく変わるかも知れないぜ」
貴音「……どこに行くつもりですか?」
雪歩「MIN-GOSに会いにいきます」
貴音「なっ……!」 美希「えっ……」 真「えぇ!?」 冬馬「はぁ?!」
雪歩「場所は機械都市……秋葉原ですぅ……」
- 133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:48:10.17 ID:P4n1/86h0
響「ゆ、雪歩、無茶だ! あそこに近付けた人間は今まで一人もいないんだぞ!」
雪歩「そ、それでも行かなくちゃ……」
貴音「あずさからの預言で、そう言われたのですか?」
雪歩「ううん……」フルフル
真「じゃあ、どうして……?」
雪歩「真ちゃん、勝手だけど今度こそ私の言うことを信じてくれないかな……」
真「……ぁっ……!」
貴音「……わかりました、どうぞ船を使ってください」
冬馬「ほ、本気かよ! 救世主は嘘っぱちだったんだぜ!」
貴音「ふふっ、わたくしが信じているのは、救世主ではありません」
貴音「……」
貴音「萩原雪歩を、信じています」
雪歩「四条さん……」
美希「……」
- 135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 14:58:50.20 ID:P4n1/86h0
──現実世界 765プロ移動船内 ~14:17PM~──
雪歩「……よいしょ」
一人っきりのコクピットは、いつもよりずっと広く感じました。
雪歩「えっと……通信装置は動くのかな……」
ピピピピ……!
雪歩「良かった。まだ生きてる。これで数時間後にはメッセージが……」
雪歩「あ、あの……もしもし……バンナムの人ですか……?」
……。
雪歩「……」
ガチャッ
真「……」
雪歩「真ちゃん……どうしたの……?」
真「雪歩、君とはずっとずっと一緒にいたから、ちょっとした癖とかですぐにわかっちゃうんだ」
真「……もう戻ってはこないつもりだよね」
雪歩「……」ギュッ……
- 137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 15:12:16.91 ID:P4n1/86h0
真「雪歩が、そんな顔してる時、ど~~してもほっとけないんだ」コツン
雪歩「ぁぅぅ……痛いよ真ちゃん……」
真「雪歩、また付いてくるなって言うでしょ?」
雪歩「……ホントは、怖いんだよ」
雪歩「行く場所だけはわかってる……」
雪歩「だけどその先は真っ暗で……一人でいると体が震えて……」
雪歩「ほらっ……見て……キーボードも押せない……」フルフルフル
真「ボクもだよ」ギュッ……
雪歩「あっ……」
真「だけど……一人ではできないことも……」カチ……
手と手を重ねて、一文字、一文字ゆっくりとタイピングしていきました
<私たt> カチカチカチ……
<私たちはずっと……でしょう?>
雪歩「……っ!」
一度大きく頷くと、大粒の涙が液晶にポタリと落ちました。
- 139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 15:24:10.89 ID:P4n1/86h0
──765プロ 移動船外 エレベーター前 ~14:35PM~──
響「う゛っ゛う゛ぅぅ……!えぐっ……自分絶対別れの涙は流さなっ……!」ズビッ
真「あはは……ほらっ、ティッシュだよ」
雪歩「えへへ……じゃあね、響ちゃん。元気いっぱい貰ったよ」
響「またステージで……うぐっ……うぅぅぅ……」
貴音「萩原雪歩、もはや言葉は要りませんね」
雪歩「はい……」
貴音「その代り一度、抱擁させていただけませんか?」スッ
雪歩「フヒッ?!」
ギュッ……!
雪歩(あっ……四条さんお花の良い匂いがする……)
貴音「わたくし達は、たとえ遠く離れていても心で繋がっています」スリスリ
雪歩「……はい。私、もう絶対、忘れませんから……」
プシュゥゥゥ……ピシャン……
扉が閉じ切るまで、四条さんと響ちゃんは
ずぅっと私たちを見つめて、微笑んでくれていました。
- 140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 15:33:16.36 ID:P4n1/86h0
──961プロ移動船内 ~14:40PM~──
響「さぁて、バンナムまで全力でぶっ飛ばすさー」カチカチ……
貴音「ここから相当かかりますね……果たして間に合うでしょうか……」
響「ぜぇ~ったい大丈夫だぞ! だって自分、完璧だからな!」
貴音「ふふっ、そうでしたね」
ガチャッ……
冬馬「……」
響「あっ、どこ行ってたんだ……」
冬馬「くっそ、俺としたことが……」ドサッ
貴音「血……?! ど、どうしたのですか!」ダッ
冬馬「星井美希だよ……うぐっ……突然襲ってきやがった……」
- 142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 15:46:23.81 ID:P4n1/86h0
──バンナム メインゲート ~16:05PM~──
楓「……敵が接近中、到着まで……残り22分……!」
黒井「バカな……予定より早過ぎる……」
凛「その、ユキドリルの進行速度の情報を入手したのはだれ?」
楓「たしか……所属フリーの星井美希……ですね」
涼「ど……どうしよう……まだ配置に……!」
舞「……慌てるんじゃない!」クワッ
涼「ひっ……!」ビクッ
舞「どっちにしろ、闘うことになるんじゃない。遅かれ早かれ一緒よ」
- 145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:04:05.20 ID:P4n1/86h0
──バンナム メインゲート 16:27PM~──
ズゴゴゴゴゴ……
舞「さぁて、敵さんのお出ましね。久々にワクワクするわぁ」
凛「結局、ここに集まったのは何人?」
涼「に、二万です。バンナムの2/5……」
舞「上出来ね」
舞「さって、あんたちぃ! 今まで、よく長生きしてくれたわね!お疲れ様!」
舞「……と言いたいわけだけど、仕事のオファーが残ってるのよね」
舞「今回のライブはちょ~っとぶっきらぼうなお客さんみたいだけど……」
舞「最期の最期に、度肝抜いてあげましょうよ!!!!!」
楓「最終防衛壁を突破……きます……!」
ゴゥン……ゴゴゴゴゴゴゴ……!
……。
千早「……ハジマル」
≪バンナム残り人口 -49800-≫
≪キサラギ 残り機数 -250000- ≫
- 146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:05:53.64 ID:P4n1/86h0
絶対終わらねぇwww
今日はここ……まで……
- 148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:13:03.60 ID:P4n1/86h0
これでちょうど半分くらい……
思ったより難易度高かった!こんなんで良かったんだろうか
次回で終わらせます
すいません
- 150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:15:06.90 ID:AfMsP3Lm0
マジか…次の予定は?
- 153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:22:38.93 ID:P4n1/86h0
シリアス過ぎて笑いを挟む余地が無くて困った
>>150
早ければ明日にでも……
来週中には必ず書きマス
読んでくれた方、支援してくれた方
本当にありがとうございました
- 151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:18:00.51 ID:FJKCB94y0
お疲れ
- 154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:24:56.33 ID:nloNW4bv0
いや、お疲れ様
面白いし続き待ってるからゆっくりしてきてくれよな
- 156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:29:47.63 ID:P4n1/86h0
>>154
良かった
書いてる途中これでいいのか感がハンパ無かったけど良かった
閉店です
それじゃお仕事してきます
- 158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:40:14.62 ID:otmuD3ai0
面白かった。乙。
- 159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/19(土) 16:43:20.71 ID:llJFUZSP0
乙
待ってるかな
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コメント一覧 (15)
-
- 2012年05月19日 18:12
- 今回は小ネタ少なめだな。
-
- 2012年05月19日 18:58
- 待ってた、が前編だけか…
続きが待ち遠しいな
-
- 2012年05月19日 20:13
- 焦らしやがって。続きはよ。
-
- 2012年05月19日 20:36
- 伊織が再登場したのは嬉しいな。やよいとの関係も付与されてるし。
Pがチョイ役なのは何故かと思ったけど、そういやユキポックスに繋がって夢見てるんだったな。
-
- 2012年05月19日 20:51
- 倒産はPだすこと少ないからPに関してはこんなもんだと思うけどね
次回期待
-
- 2012年05月19日 21:02
- 次回ラストか、楽しみだなぁ
-
- 2012年05月19日 21:22
- 原作の最後は確かドラゴンボールとナウシカだっけ?
-
- 2012年05月19日 21:35
- 春香はかっこよくて、雪歩は凛としている
次も楽しみだな
-
- 2012年05月19日 22:56
- 閣下が魅力的に書かれてる数少ないSS
雪歩との対比が映えるね
-
- 2012年05月19日 22:59
- なめこは百合厨だからPの活躍には期待しない方がいいw
-
- 2012年05月19日 23:06
- このアイマスSSいつも浮きすぎだろ
-
- 2012年05月19日 23:45
- 次回で最終回らしいですね…楽しみです
あと、伊織の再登場は嬉しいかったです
-
- 2012年05月20日 05:39
- こんなどのキャラも可愛いSSも中々ないな。マジで
-
- 2012年05月20日 13:20
- タイトルに前編っていれておこうぜ管理人
-
- 2012年05月20日 14:52
- SSでも上下とかw