さやか「見滝原の悪夢」【後編】

関連記事:さやか「見滝原の悪夢」【前編】




さやか「見滝原の悪夢」【後編】




360:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:31:39.36 ID:d/kwIbnw0

ほむら「……美樹さやか」

実力としては申し分ない
……だが、精神的な部分はどうだろう
ソウルジェムの真実を既に知っていてそれでも自分を保っている
見滝原の壊滅なんてものを乗り越えた上でここにいる
その時点で大丈夫だと考えてもいいのかもしれないが……

ほむらは浮かんでいる映像の一つを見る
そこには一人の魔女が映っていた
……人魚の魔女 その性質は恋慕
愛も正義も、全てを失った美樹さやかの姿

ほむら「……まどかだけが、私の友達。そう考えていたはずなのに……」

転校してきたばかりの自分に、お節介を焼いてくれた
今の変わり果てた自分を見て、それでも親友だと言ってくれた
自分と同じ時間を生き、方法は違うとはいえ同じように時間をわたってきた魔法少女
……この美樹さやかを失いたくない

ほむら「……」

ほむらは頭を振った
たとえどれだけ時間がずれていこうと、まどかを絶望の運命から救い出す
それが、それだけが私に残っている最後の道しるべ
そこに、美樹さやかは一切関係ない

……情を持ってはいけない
持てば、その死に引き寄せられてしまう
そうやって死んでいった魔法少女達をどれほど見てきたか

ほむら「……とはいえ、美樹さやかに頼らざるをえない状況なのも事実」

どの道さやかの魔女化は避けなければならない
さやかに魔女になられれば、また『詰み』だ
……それに今回、美樹さやかが戦力としてカウントが出来るというのも大きい
これだけの好機。これを逃したら、次はないと考えてもいいのかもしれない

ほむら「……今度こそ、まどかの運命を変えてみせる」

その為に、美樹さやかを利用する
……そう考えなければいけない



361:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:33:26.86 ID:d/kwIbnw0

さやか「これで今日出来る事は粗方終了かな」

上条恭介の腕を治した後、さやかは本来の自分の仕事、『正義の味方』をこなしていた
今の時点で対処が打てるものは対処する
ワルプルギスの夜対策も重要だが、自身の本業を疎かにするわけにもいかない

さやか「……それにしても……ほむら、すごい変わっちゃってたな……」

まどかにべったりで、引っ込み思案
それでいて、名前の通り炎のような情熱も同時にあわせもっている
これがさやかの持っていた当時の暁美ほむらへの印象だった

今のほむらは……その炎を持ち合わせていない
乾ききっている
全てを諦めている
そんな目をしている

何度も何度も時間を繰り返したと言っていた
それはつまり、それだけ、あの絶望を見てきた事を意味する
……一体どれだけの絶望を、ほむらは経験してきたのだろう

さやか「……もうほむらに、絶望を見せてはいけない」

ほむらの目に、希望を取り戻す
全てを諦めたあの目に、今一度希望の炎を灯らせる

さやか「よーし!頑張るぞー!!」

朝日に向かってさやかは決意を新たにした
……この時点のさやかは、学校の存在を完全に忘れ去っていた



362:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:34:47.10 ID:d/kwIbnw0

まどか「おっはよう~」

仁美「おはようございます」

さやか「おはよ……Zzz」

まどか「さ、さやかちゃん……。どうしたの、大丈夫?」

さやか「うぅん、単純に寝てないだけだから……Zzz」

仁美「歩きながら、寝てますわね……」



363:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:37:38.58 ID:d/kwIbnw0

キリカの魔法の中に、ひょっとして寝不足対策みたいなものはないかとソウルジェムの欠片を探したが、そんな都合の良い魔法はなかった

さやか「……でも、キリカ初めに会った時、ほとんど寝ないで動きまわってたよな……」

つまりあれは魔法を使ったわけでもなく、本当に自力でこなしていたというわけか
ソウルジェムを無駄に濁らせるわけにもいかないし、そうなるとここで取るべき道は

さやか「Zzz」

まどか「さやかちゃん……」

学校に着くと同時に、さやかは机を枕代わりに、そのまま眠りに入った



364:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:38:27.25 ID:d/kwIbnw0

--昼--

さやかちゃん!

さやか「……おはよう、まどか」

まどか「さやかちゃん……もぅ……」

さやか「今何時?」

まどか「もう、お昼だよ……」

さやか「そうなんだ……起こしてくれてありがとう、まどか」



365:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:42:50.62 ID:d/kwIbnw0

--屋上--

さやか『ほむらもこよーよー!』

ほむら『私は巴マミとそいつの動きを監視しているだけ』

さやか『いや、確かにこいつが何でこんな所にいるのかは謎だけどさ……』

一触即発。今の状況を一言で言うとそんな感じだった
あたしとまどか 何故か屋上にいたキュゥべえ そしてそれを遠くで監視しつつお互いに牽制しあっているマミさんとほむら
まどかはマミさんとほむらには気づいていない
……あたしとしては、まどかを連れてすぐに逃げてしまいたいたかった
何故、昼ごはんを食べにきただけでこんな状況になってしまったのだろう

QB「願い事は決まったかい?まどか」

まどか「……キュゥべえ。わたしは契約なんてしない。少なくとも今は、まだ」

QB「……美樹さやか、君はまどかに何を吹き込んだんだい?」

さやか「ソウルジェムの正体」

QB「……まどか、君は美樹さやかの言う事をそのまま鵜呑みにするのかい?」

まどか「するよ。さやかちゃんは嘘つかないもん」

……や、まどか。流石にあたしも、今までの人生何回かは嘘ついてると思うよ……

QB「まぁ僕としても無理に契約をするつもりはない。契約がしたくなったら、いつでも声をかえてくれればいいよ」

まどか「……」

さやか「……あれ?キュゥべえってそんなキャラだっけ。もっとこう、契約!契約!みたいな感じだったような」

QB「……美樹さやか。君は本当に何者なんだい?」

さやか「……まぁ、いずれ話すよ」

既にまどかやほむらに口に出して説明した以上、キュゥべえには気づかれていると考えていいだろう
逆に気づいていたとして、今あえてこういう聞き方をする理由があるとすれば……マミさん、か?



366:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 21:44:08.22 ID:d/kwIbnw0

キュゥべえがいなくなり、マミさんの気配も消えた
この場にはまどかとあたし……そして、隠れているほむらの気配だけが残る

さやか『ほむら。いい加減出てこようよ』

ほむら『まどかに契約する意思がない以上、まどかにそこまで干渉する気はない』

さやか『……ほむら。話さなきゃ伝わらない事だって、あるんだよ』

ほむら『伝える必要なんて、ない』

さやか『……』

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「……ううん。なんでもない」

ほむらはいつの間にか、立ち去っていた



367:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 22:27:40.10 ID:d/kwIbnw0

12月中は無理だね!
今やっと本編2話前半だよ!

精神的な強さというと……このSSだと全員別ベクトルに強いから、比べにくいような
強いて言えば、さやかだけは無理をして精神的には崩れてないのにソウルジェムが濁って終わるという危険性のあるタイプではある
キリカはこれを危惧していたが故に、一日一回電話してたとか、そんな理由もありました
恭介の死ををほぼ現実逃避とはいえ乗り切ったり、見滝原壊滅を正しく認識した後キリカに心理誘導までしてもらったのにそれを跳ね除けて正義の道に突き進んだりと、すっごい主人公な精神性である。鋼鉄ってか蒟蒻なんじゃないかと。七転八起



368:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/11(日) 22:30:15.13 ID:o/k51oQk0

乙ですたー!
ほむさやの距離感がいい感じなのとは対照的に、動きが読めないマミQがどうなることか



374:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:19:00.00 ID:PEEzB+1I0

--夕方--

マミ「……いつまでそんな下手な尾行を続けるつもり?」

さやか「尾行していたわけでもないんだけどね……」

マミ「私を後ろから不意打ちでもしようとしていたの?」

さやか「あぁいえ、全くそういうつもりはなくて……えぇと……その……」

さやか「ごめんなさい!」

マミ「!?」



375:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:20:36.56 ID:PEEzB+1I0

さやか「昨日のあれは完全に言いすぎだった!まどかはあたしの大切な親友で絶対失いたくないんだけど、それでもマミさんの言ってる事だってしっかり聞いてあげるべきだったのにあんな別れ方しちゃって、だから、えぇと……」

マミ「……その事はもういいわ」

本当は、謝らなければいけないのは私だったはずなのに

さやか「マミさん……」

マミ「それで?今日は何の用?魔女のグリーフシードを独り占めしたいから、ここから出て行けとかそういう話?」

さやか「そういうのではなくて……あたしは、見滝原に家もあるし、学校もある。というわけで、ここから出て行くわけにはいかない」

……自分のいた世界では家出してたけどね

さやか「で、マミさんも見滝原に家もあるし、学校もある。つまりマミさんもここから出て行くわけにはいかない」

マミ「何がいいたいの?」

さやか「共同戦線張らない?同じ街にいてかつ、お互いそこから出られない以上、あるとすれば共存の道しかないと思うんだけど」

マミ「……共存、ね」

マミ「グリーフシードを奪うのが目的なら、相手を殺してしまう方が共存よりも手っ取り早い。共存を提案しておいて、油断したところを……ってところかしらね」

さやか「あたしはそんな事考えない」

マミ「怪しいものね。魔女との戦闘中、いきなり背後から刺されれば私だって対処のしようがないわ」

さやか「む……」



376:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:21:41.13 ID:PEEzB+1I0

さやか「そこまで言うならこうしよう。今からの魔女の戦い、好きな時に相手を狙っていいことにする」

さやか「ただし、あたしは絶対マミさんを狙わない。でもマミさんは好き放題あたしに向かって撃てばいい。さぁこれでどうだ!」

マミ「そんな言葉をそのまま信じると思う?」

さやか「あーもう……マミさん。拘束魔法もってる?」

マミ「え?……えぇ」

さやか「まずそれであたしを拘束してよ」

マミ「えぇ!?何を言っているの?」

さやか「いいから!」

マミ「……」

巴マミの拘束魔法。リボンが美樹さやかを完全に拘束した

さやか「……凄い。これだけのスピードで拘束されたら、かわす気だったとしても対処できたかどうか……」

マミ「……それでどうするの?」

さやか「マスケット銃を召喚して」

マミ「?」

さやか「信用できないならそれであたしを打ち抜けばいい。マミさんはこれで後顧の憂いなく魔女退治に集中できる……これでどう?」

マミ「……」



377:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:22:46.20 ID:PEEzB+1I0

マミは拘束魔法を解いた

マミ「無茶苦茶ね。本当に撃ち抜かれたらどうするつもりだったの」

さやか「その時は見る目がなかったってことで……」

マミ「よくあなた、今まで生きてるわね」

マミ「……でもどうしてそこまで?グリーフシード狙いでないとしたら、あなたの目的は何?」

さやか「それは……」

マミ「……言えないってわけね」

さやか「……すいません……」

マミ「……ついてきなさい」

さやか「マミさん?」

マミ「あなたの実力、見せてもらうわ」



378:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:24:21.60 ID:PEEzB+1I0

ソウルジェムを使って魔女探索を行う
地味な作業ではあるが、こればっかりは仕方がない

さやか「マミさん」

マミ「何?」

さやか「その……ほむらの事、どう思ってます?」

いい機会だし、うまくほむらが悪い奴ではない事を説明できれば

マミ「私の友達を攻撃した敵ね」

さやか「……ははは……そうだよね……」

取り付く島もなかった

マミ「そういえばあなた、暁美さんと友達だったのよね。あの子、前からあんな感じだったの?」

さやか「前は……自信なさげでいつも自分を責めてるような、ちょっと内気なところもあるけど、優しい子だった」

マミ「……あの暁美さんが?意外ね……」

さやか「……いえ、過去形じゃなく現在進行形か。今もあいつは自分を責めながら戦い続けている」

マミ「……あなたは、暁美さんと仲直りできたのかしら?」

さやか「え?……まぁ、はい」

マミ「私の友達を攻撃した暁美さんと仲直り、ね……」

さやか「……ほむらにとって、まどかは特別なんだよ。ほむらは、まどかを危険な目にあわせたくない。だから魔法少女にもさせたくない。キュゥべえに攻撃をしたのも多分そういう事情があったんだよ」

マミ「本当にそうなのかしら。……鹿目さんは物凄い素質を秘めている。そんな魔法少女が現れるのが邪魔なだけのように思えるわね」

さやか「そんな言い方……!!」

マミ「……ごめんなさい。私にはどうしてもあの暁美さんって子が信用できないの。あの子は底が見えなさすぎる」

さやか「……」

この話はもうやめよう。これ以上話を続けても薮蛇だ。

さやか「まどかが物凄い素質を秘めているって、どれぐらいのものなんですか?」

マミ「……そうね、私の見る限り、あの子は最強の魔法少女になると思う」

さやか「最強?具体的に言うと?」

マミ「低く見積もっても、一撃で見滝原を焦土にかえる程度の魔力は持っているでしょうね」

……

さやか「いやいや!そんな魔法少女危険すぎるよ!」

マミ「とはいえ、鹿目さんがそんな事に魔法を使う事はありえない。私の見る限り、彼女はそんな風にはならない」

……そりゃ確かにまどかはそんな事に魔法を使う事はないだろう
だが、そんな魔法少女が魔女になれば?

マミ「彼女が魔法少女になれば多くの人を救う事が出来る。……ワルプルギスの夜だって彼女の力があれば」

さやか「……え?」

マミ「着いたわ」



379:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:25:42.45 ID:PEEzB+1I0

さやか「……!!マミさん!屋上!」

マミ「任せて!!」

屋上から女性が飛び降りてきた
それをマミさんがリボンをクッションにして受け止める
……マスケット銃が主体の魔法少女だと思っていたけど、どちらかというとリボンが主体なのかもしれない

さやか「命に別状はなさそうだけど、少し応急処置は必要そう」

マミ「回復魔法についてはあなたの方が優秀みたいだし、頼んだわ」

さやかは応急処置をその女性にすませ、巴マミと一緒に廃ビルの中に入っていった



380:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:28:12.84 ID:PEEzB+1I0

--魔女結界--

さやかは剣を召喚し、マミはマスケット銃を召喚する
マミさんの武器を見る限り、まさか近距離主体ということはないだろう
……そういえば、遠距離型の魔法少女と組んで戦うのは初めてだ
キリカもゆまも杏子も、基本近距離だったし
なら、あれを試してみるのもいいかもしれない

刀身を使い魔に向けて放つ
そして剣から刀身を放ったことによって空になった弾層を排出する
それと同時にマントから新しい弾層を取り出し、剣に装慎する
これにより刀身は復活するので、それを再び使い魔に向けて放つ
この動作を高速で繰り返すことにより、刀身発射を連続で行うことが可能となる
あたしの剣。わざわざ弾層で刀身が復活するような仕様になってる事を考える辺り、これが本来の使い方なのかもしれない
……杏子やキリカやゆまちゃんが一緒の時は、刀身の爆発が危なくてあまり使う機会はなかったけど

マミ「……不思議な剣ね」

さやか「えぇ、あたしも何でこんな風になっているのかよくわかりません」

マミ「……魔法少女の武器はある程度その人の性質が現れるって話を聞いたことがあるけど……」

さやか「……飛び出して、爆発するのがあたしの性質……なのかな」

そう間違えてもいない気がする

マミ「ま、まぁでも一概にそうとも言い切れないかも。過去に私の会った事がある魔法少女にもいろんな子がいたし!」

さやか「へぇ、どんな?」

マミ「それはまた話す機会があれば……ね」

マミもまたマスケット銃を連続召喚しながら使い魔を撃破していく



381:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:31:47.86 ID:PEEzB+1I0

マミの射撃技術
それはさやかにとって驚嘆に値するものだった
狙う、撃つ、銃を再召喚する
言葉にすればそれだけだが、その行程が恐ろしく速い
さらに、マミは自身への攻撃態勢に入っている危険度の高い敵を優先的に排除し、態勢に入れていない敵については優先度を低くして対処している
これだけの精密な射撃を的確な判断の元、高速に行っているのだ

……成程、杏子やほむらが絶賛するわけだ
あたしもあの一年で射撃には相当自信をつけていたつもりだったけど、それでもマミさんにはついていくだけで精一杯だ

しかしながら驚いているのはマミも同様だった
マミが敵に対してつけている優先度を完全に把握し、その上でマミにとってなるべく優先度の低い相手を狙い撃ちにしている
それと同時に自身に迫っている使い魔に対しても的確に対処している
つまり、さやかはマミの動きを完全に把握し、その上で自身に迫る使い魔の動き、マミに迫る使い魔の動き等複数要素から優先度をつけて戦っているのだ
この魔法少女は相当にマクロな視点で戦闘を行っている

マミ「……!!」

さやかの目の前に使い魔が出現した
だが、さやかはそれを無視してマミを背後から狙っていた使い魔を投剣で撃破する
さやかの目の前にいた使い魔は巴マミの手によって撃破された
……既にマミの狙いに入っていたのが見えていたので、あえてさやかは目の前の敵を無視したのだ

マミ「……呆れた。もし私が撃たなければ使い魔の攻撃が直撃していたわよ」

さやか「?マミさんの背後にも敵が迫ってたし、今のが最善の判断だったと思うけど」

マミ「……本当に、呆れた子」

グリーフシード云々言っていた自分が、少し恥ずかしい



382:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:33:35.67 ID:PEEzB+1I0

--魔女の結界最深部--

さやか「薔薇園の魔女、か」

マミ「知ってるの?」

さやか「鋏や蔦を使った攻撃を得意としている魔女。かなり強いから気をつけて」

マミ「あなたこそ」

まず、さやかが先手必勝とばかりに剣を複数召喚し、刀身を発射した
しかし、それを薔薇園の魔女は空を飛んで回避する

さやか「……くっ!」

魔女の結界の中にいるせいか、前に戦った時より数段動きがいい
多少の調整は必要か

空をとぶ魔女に対しマミが銃を撃つが、ことごとくが回避されている
逆にマミに対して使い魔が纏わりつく

さやか「マミさん!」

さやかは一刀を召喚し、そのまま自らに速度向上の魔法をかけ高速の剣撃を放つ

さやか「スクワルタトーレ!!」

使い魔は一瞬で切り裂かれ、マミは解放された

マミ「ありがとう」

……?マミさん必殺技帳の技なんだから、それに対して少しぐらい突っ込みがあってもよさそうなものなのに

さやか「……ひょっとすると」

マミ「どうしたの?」

さやか「いえ……しかしあの魔女。意外とすばしっこい。なら、ここは」

『速度低下』
呉キリカの魔法をさやかは使った
薔薇園の魔女の速度が大幅に低下する

マミ「……やるじゃない。なら私も。レガーレ・ヴァスタアリア!」

マミは空を飛ぶ薔薇園の魔女の真下に向けて銃弾を撃ち込んだ
……なるほど。マミさんのマスケット銃。構成しているのは恐らくリボン
さやかは銃弾から何かが産み出されるのを確認し、必殺の魔法の準備に入る

銃弾から幾重にもわたるリボンが現れ、薔薇園の魔女を拘束する
マミは、必殺の魔法を放つべく、巨大な銃を召喚した
それとほぼ同時で、さやかも同じように巨大な剣を召喚している

マミ「……まさか」

さやか「多分思ってる通り!いっせーのでお願いします!」

マミ「……わかったわ。いっせーの……」

さやマミ「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃弾と刀身が薔薇園の魔女を貫いた



383:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:35:18.73 ID:PEEzB+1I0

マミ「まさか、私以外のティロ・フィナーレを見る事になるなんてね」

さやか「あたしも本家本元ははじめて見たよ」

マミさんの本家本元ティロ・フィナーレ
攻撃力こそ同等だが、精度と発射までにかける時間があたしのものと格段に違う……まだ、この魔法には上があるってことか

マミ「他の子には、その魔法は危険だから使わないように言ってきかせてるんだけど。……あなたにはそれは言う必要はなさそう。初めてよ、ここまで完璧に再現されたのは」

さやか「あたしのはまだまだ未熟ですよ。マミさんのものに遠く及ばない」

マミ「……私も追いつかれないように精進しないとね」

流石に自分の考えた魔法を自分以上に使いこなされてしまっては立つ瀬がない

マミ「さて、グリーフシードを落としたけれど」

さやか「む……いらない。何かグリーフシード目的で倒したと思われるのは嫌だ」

マミ「……今回の戦いはあなたの手柄でもあるわけだし……半分こ、しない?」

さやか「……う……」

マミ「今日の戦いを見て分かった。あなたはいろいろ私に隠してるみたいだけど、いい子であることは間違いない。……仲直りの意味もこめて、ね?」

さやか「……そういうことなら」



384:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:36:27.24 ID:PEEzB+1I0

マミ「……それにしても、キュゥべえから聞いた限りあなたはつい最近まで魔法少女じゃなかったみたいね。それなのにこの実力……」

さやか「……」

いっそ未来から来たと言っても信じてもらえるんじゃないだろうか
それでほむらの事も話してしまえば……ただ、信じてもらえなければ一気に不信感が増してしまう。ここでそれはあまり得策ではないようにも思える

マミ「それも、何か言えない理由があるのね。……まぁ、いいわ。今度私の家に遊びにこない?あなたと鹿目さんで。歓迎するわよ」

さやか「え……いいの?」

マミ「えぇ。もう今更、あなたに関して信用できないとか言う気はないわ」

さやか「……その、できればほむらも……」

マミ「……ごめんなさい。暁美さんは別」

さやか「……そう……だよね……」

マミ「でも、いずれ……そうね。今回は無理でも、暁美さんには私から、少しずつ話しかけるようにしてみる」

さやか「マミさん!」

マミ「その……暁美さんの気持ちもあるし、あまり期待しないでね」

さやか「大丈夫だよ。マミさんならきっと」

マミ「そうだったらいいんだけど……ね」



385:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 20:46:40.15 ID:PEEzB+1I0

12月中に終わらせる予定と言った過去の自分を殴りに(ry

いやーまぁうん。PSP発売日までに終わればいっかなぁという気になってきました!
こっから先しばらくマミさんストーリーが続くのでいっそ纏めてUPしようかと思ったのですが
……終わらん
構想段階ではそこまで長くなかったのに、何か文字にすると長い
年末ターゲットにしてたけどこりゃ無理ということで、
結局小分けにしてUPすることにしました
……来年の抱負は『計画性をつける』にしよう
とまぁそんな感じで、よいお年を!



388:SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/31(土) 23:42:01.74 ID:WUgYQLQeo



良いお年を



396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:22:04.62 ID:n9OxnUSp0

--夜 ほむらの家--

ほむら「何故当然のように私の家に上がりこんでいるのかしら」

さやか「今回は友達の家に泊まりに行くって家族に伝えてから来たから、ばっちり!」

ほむら「何がばっちりなのかよく分からないけど」

ほむら「……それで、巴マミとはどうだったの?」

さやか「取り敢えず協力関係は築けそう。ほむらの事も許してくれそうな雰囲気だったよ」

ほむら「……流石ね。あれだけ険悪に別れておいて友好関係が築けるなんて」

さやか「……それを言うなよぉ。これでも反省してるんだからさ」

ほむら「言い方が悪かったわ。でも、あの警戒状態に入った巴マミと友好関係が築けるってすごいことよ。どんな手を使ったのかしら」

さやか「どんな手って……その場のノリ、かな」

ほむら「……それで何とかできてしまう事がすごいのよ」

そういう事が出来るのは、美樹さやかの強みだと純粋に思う
……私とは大違いだ

さやか「それとワルプルギスの夜の事なんだけど……ってほむら?どうかした?」

ほむら「何でもない。……ワルプルギスの夜がどうしたの?」

さやか「あ、うん……今日話を聞く感じ、ワルプルギスの夜の事をマミさんも知ってる風だった」

ほむら「恐らくキュゥべえから聞いたのね」

さやか「……ひょっとするとマミさんのまどかへの勧誘は、ワルプルギスの夜対策の部分もあるのかもしれない。願い次第な部分もあるとは言え、本来ルーキーをあれに挑ませるなんて愚策なんだろうけど……」

ほむら「まどかならば、ワルプルギスの夜を一撃で撃破する事も可能。そういう意味では、確かに対ワルプルギスを想定する上でまどかを魔法少女に勧誘させるという方法は間違えてはいない」

さやか「……あれを一撃、か」

それだけの力を持った魔法少女が魔女になった時、どれほどの絶望を産み出すのか……

ほむら「無論まどかを魔法少女になんか絶対にさせないし、魔女化の事を考えれば対ワルプルギスを想定していてもさせるわけにはいかない。……とはいえ、魔女化の事を巴マミに話すわけにもいかない」

さやか「でも、マミさんはワルプルギスの夜と戦うことに選ぶと思うよ」

ワルプルギスの夜のような存在を前にして、マミさんが逃げるようなことは考えにくい
あの人は多分一人になろうとワルプルギスの夜に立ち向かうだろう
ワルプルギスの夜が来る事を知らないのであれば、やり方はいくつかあったのだが……

さやか「少なくとも対ワルプルギスの夜に向けてマミさんと協力関係を結ぶ事は、もう避けるわけにはいかないと思う」

ほむら「……魔女の話を隠しつつ、まどかの勧誘は阻止しつつで付き合っていくしかないわね」



397:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:23:32.88 ID:n9OxnUSp0

さやか「……それにしても……」

ほむら「どうしたの?」

さやか「魔女化の事を抜きにして考えたとしても、ワルプルギスの夜と戦う為にまどかを勧誘する……なんて手をとる人にも思えなかったんだよ。……ちょっと贔屓目入ってるのは認めるけどさ」

ほむら「……巴マミがまどかを勧誘する理由はそれだけではない。……けど……」

巴マミは孤独さ故に仲間を求めている部分がある
……が、今回巴マミは魔法少女となった美樹さやかに出会った

ほむら「ひょっとすると今回は本当に、巴マミと友好的な関係を築けるかもしれないわね」

さやか「お!ほむら、何か策が?」

ほむら「策はあなたよ」

さやか「……マミさんは孤独だから、まどかを求めてる。ならあたしが仲間になれば、それは解消されるってこと?」

ほむら「そう」

さやか「……理屈はわかるけど、そういう打算めいたやり方はあまり好きじゃない」

ほむら「もしワルプルギスの夜の事がなかったとして、あなたは巴マミと協力関係は組まないの?」

さやか「それは……そりゃ、組もうと考えるだろうけどさ」

ほむら「難しく考えなくていい。あなたはあなたのまま巴マミと接すればいいのよ」

さやか「……わかった」



398:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:26:35.17 ID:n9OxnUSp0

さやか「そういえばほむらは今日何をやっていたの?」

ほむら「かざみのに行って佐倉杏子を探していたわ。……結局見つからなかったけど」

いつもならこの時期はキュゥべえ狩りを実施していた
その上で巴マミとコンタクトを取り、仲間にする
……その後佐倉杏子とも、場合によっては美樹さやかも仲間にしていた
そして美樹さやかの魔女化を避けることが出来た時、辿り着いた結末は……

ほむら「……」

さやか「ほむら……ほむら!!」

ほむら「……どうしたの?」

さやか「どうしたのじゃないよ!突然真っ青な顔になって」

ほむら「……なんでもないわ」

さやか「なんでもなくないよ。少し横になる?」

ほむら「なんでもないと言ってるじゃない!!」

さやか「……ごめん」

ほむら「いえ……今のは私が悪い。不快な思いをさせてごめんなさい」

さやか「ほむら……うん。何でもないならいいんだよ」

ほむら「……」

……巴マミは美樹さやかに任せる
マミに関して言えば、明らかに私よりさやかの方が相性がいい
そう考え、佐倉杏子の勧誘を前倒しで実施すべく探していたが……

ほむら「結局私は、あなたにばかり負担をかけているわね……」

さやか「いや、一日探して見つけられなかったぐらいで何言ってるのさ。あいつは居場所を転々としてるし、そう簡単に見つけられるような奴じゃない」

ほむら「それは分かっているのだけれど……」

まどかにソウルジェムの真実を伝えることが出来た
巴マミとも友好的な関係を築くことが出来そうだ
全て未来から来た美樹さやかのおかげで

さやか「ほむら、まさか自分が今何の役にもたってないとかそんな事考えてない?」

ほむら「……事実よ。これだけ時間を繰り返してきたのに、一体私は何を」

さやか「さやパンチ!(弱)」

ほむら「痛!」



399:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:30:14.91 ID:n9OxnUSp0

ほむら「……くない。むしろ心地いい。ってそんな馬鹿な」

流石にそんな気質は私にはない……はず

さやか「そりゃ回復魔法併用してるからね……ってそんな事はどうでもいい」

さやか「あたしが今までやった事を話してみるよ。まどかに魔法少女の真実を伝えた。自分やほむらが未来から来た事も伝えた。マミさんと喧嘩した。その後仲直りした。これぐらいかな」

さやか「うまくいってるからいいけど……もし、まどかがあたしの言う事を全く信用しなかったら?マミさんとの件だって完全に嫌われてしまう可能性だってあった。うまくいってるのは、ただそれが結果としてうまくいっただけの話だよ」

さやか「で、今回のほむらの杏子探索。結果見つからなかったらその行動が正しくなかったなんて言ったら違うよね。この段階で佐倉杏子が見つけられて、仲間にできるならそれに越したことはないんだから」

さやか「役にたつとかたたないとか、結果だけで見ればそりゃそうかもしれない。でもそれって全く意味がない事なんだよ。大事なのはその行動の内容。その観点で見た場合ほむらの行動は全く間違えていないし、役にたっていないとは言えない」

ほむら「……それは誰かの受け売り?」

さやか「……うん。実はこれもキリカの受け売りです」

良手が悪い結果を生み出す事もあるし、悪手が良い結果を生み出す事もある
大事なのは結果ではなく、その結果を生み出すに至った手段であるべきだ
悪手で成功した人間は、その悪手で後に手痛い失敗を経験する事になる
だ か ら 例えうまくいってもちゃんと振り返りを実施して、自分の行動に反映していかなきゃ駄目だよ!というキリカの教え
……多分、あたしの行き当たりばったりな行動に対する戒めの意味で伝えてくれた話なんだとは思う

ほむら「本当に、あなたに大きな影響を与えていたのね。キリカは」

さやか「あたし自身、このキリカの話をしっかり生かせていないと思うけどね」

結局今回も行き当たりばったりである



400:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:32:13.25 ID:n9OxnUSp0

ほむら「あなたの言うとおりね。少し弱気になってたみたい」

さやか「ほむら……その、さ。あたしじゃ頼りないかもしれないけど、相談事ぐらいには乗ってあげられるかもしれないよ」

薄々気づいてはいた
ほむらの精神状態は相当に不安定だ
……こんな悪夢のような時間を永遠と繰り返したのだから、当然だろう
むしろ今の状態を保っている事の方が奇跡に近い
何とか支えになってあげたいのだけれど……

ほむら「……心配かけてごめんなさい。でも、大丈夫だから」

さやか「……そっか」

ほむらは強いのだ
それを一人で支えきれてしまうほどに
そしてそういうあり方は、崩れてしまえば、脆い
普通の人間ならそこから建て直しもできるけど、魔法少女はそれがそのまま致命傷になることだってある
……見滝原が壊滅した時。キリカや杏子やゆまちゃんがいなかったら自分などとっくに魔女になっていただろう
支えてくれた人達がいたから、今自分はここにいることができる

さやか「ま、今ほむらとあたしは同じ目的の為に頑張ってるんだからさ。お互いの荷物はお互いで背負っていこうよ」

ほむら「……ありがとう。気持ちだけ受け取っておくわ」



401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:33:44.70 ID:n9OxnUSp0

ほむら「荷物といえば……あなたの持ってきた荷物。随分大きいけど」

さやか「ん?そりゃワルプルギス戦までずっとここに泊まる予定だからね」

ほむら「……はい?」

さやか「家族の許可は貰ってきたから大丈夫だよ」

ほむら「あなたの家族に一度会ってみたくなってきたわ……じゃなくて!」

さやか「ワルプルギス戦まであまり時間がない。本当は学校もさぼっちゃいたいけどそんなわけにもいかないし……せめて最低限の時間は節約して行動したい」

ほむら「……別にいいけど。布団そんなに数あったかしら……」

さやか「大丈夫だよ。床があれば寝れるから。外でダンボールで寝るのに比べたら、それで充分だよ」

ほむら「……未来のあなたに何があったのか問い詰めたいところね……」

……そういえば、私が最初にいた時間。美樹さやかは行方不明になっていた
魔女に殺されたのかもしれないと考えていたけれど、こうして生存しているわけだから……

さやか「寝袋もばっちり買ってきたしね」

ほむら「……良かった。布団あった。ほら、寝袋に入らないで、ちゃんと布団使って」



402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:36:46.15 ID:n9OxnUSp0

その後、今後の方針等を話しあった。
結局引き続きあたしはマミさんと一緒に行動し、ほむらは杏子を探索するというところで決着した

ほむら「さて、明日も早いし、そろそろ寝るわよ」

さやか「なんか友達の家に寝泊りとかひさしぶりだよ。ちょっとドキドキするよ」

ほむら「ドキドキ、ね……」

私は毎ループあなたの行動にドキドキしっぱなしだ
……今回も例外ではないが

さやか「そうだ、ほむら。これは聞いておきたかったんだけどさ」

ほむら「何かしら」

さやか「『人魚の魔女』ってあたしだよね」

ほむら「……」

さやか「後、あたしって魔法少女になったら大抵魔女になっていたのではないだろうか」

ほむら「…………」

さやか「よし、ビンゴ!」

ほむら「何で、こんなタイミングで」

さやか「ごめん。……多分気を使って隠してくれてそうだったからさ。そういう気遣いは不要だよって言いたかったんだ」

ほむら「……」

さやか「それだけ!おやすみ!」

ほむら「……まったく」



403:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/11(水) 23:40:17.15 ID:n9OxnUSp0

この美樹さやかについて、理解できてきた
美樹さやかは強い
戦闘面でも、精神面でも
何よりちゃんとその場その場で考えて行動してくれているのが心強い
……が、反面今までの美樹さやかの抱えていた甘さや、感情での行動も目立つ
しかもさやかはそれを自分自身で理解をしてはいるのだ

ほむら「面倒な仲間を持ったものね」

そう思いつつ、それほど嫌でもないなと思っている自分がいる
……危険な傾向だ。私は多分、このさやかに好意を持ちつつある
この子を失った時、私はそれに耐え切れるのか……

さやか「Zzz」

……人の気もしらないで……

さやか「……恭介、まどか、仁美、ほむら……みんな死んじゃうよ……誰か、助けて……」

ほむら「……」

ほむら「……大丈夫です。ここにいますよ。美樹さん」

さやか「ほむら……よかった……Zzz」

……本当に、危険だ



404:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/12(木) 00:03:08.66 ID:yD/IKsm50

さやパンチとは

さやかは正義の味方をやる上で不殺を貫いていた
問題となったのが、魔法少女としての攻撃力である
剣で切り付けられれば人は死ぬ
そこでさやかが考案したのが、『さやパンチ』である
本来魔法少女のパンチはそれだけで充分危険なのだが、このさやパンチはさやかの回復魔法を併用することで非常に安全性の高いものとなっている
実際一部の最初でさやかに倒された強盗は、気絶から回復した後肩こり腰痛頭痛その他の症状が改善し、刑務所では生き生きと労働していたとかなんとか
ほむらに今回使ったのはその弱バージョン。パンチとしての攻撃力が弱まって回復効果が強くなっている。効能の抜群に高いマッサージ器具のようなものであり、そりゃ痛いわけもない



第一部でお蔵入りになってたさやパンチ設定。何か使う機会が出たので公開してみた

BAD END公開はなしの方向でお願いします。てかTHE ENDの後にBAD END連続とか書いてる俺のジェムが崩壊してしまうww
まぁいつか別のところでそのBAD ENDを再利用することもあるかもしれないし、その時日の目を見せるような感じで
実際この話も過去の没ネタを結構復活させてる部分もある
というか、この三部自体過去の没ネタである
当時は速度低下の魔法や、いろんな精神論を教え、さやかに強く影響を与えたさやかと一緒にいた未来の魔法少女
一体何者なんだ……的な話だった記憶



407:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/01/12(木) 00:50:47.13 ID:zso/g7lAO

お疲れ様でした
さやかちゃんは癒やし



418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:50:45.99 ID:yD/IKsm50

まどか「な、何かドキドキするよ……」

さやか「うーん……本当はほむらも連れてきたかったんだけどねぇ……」

--回想--

ほむら「あなた達だけで行きなさい」

ほむら「……巴マミに誘われたのはあなたとまどかだけ。下手に私がついて行って険悪になれば、今後に影響が出る」

--回想終わり--

さやか「気にしすぎだと思うけどなぁ……」

まどか「スーハー」

さやか「……てい!」

まどか「わわわ!さやかちゃん!びっくりさせないでよー!」

さやか「いやーちょっとリラックスさせようと思って」

まどか「うー……さやかちゃんは未来から来てもさやかちゃんだよ……」

さやか「どういう意味だー!このこのー!」

まどか「やめてよさやかちゃん。やめてー」



419:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:52:44.18 ID:yD/IKsm50

まどか「……そういえばさやかちゃん。……上条君のお見舞いって行ってる?」

さやか「ん?行ってないよ。……恭介に何かあったの?」

まどか「上条君の手が突然治ったって。今はまだ足のリハビリ中だけど、それが終われば退院できるんだって」

さやか「……そりゃ、あたしが治しちゃったし」

本当は足も治してしまいたかったけど……腕の方と違い、恭介の足はしっかり全快する。折角ここまでリハビリを頑張って後少しというところなのに、それを魔法で治してしまったらそれまでの恭介の努力を全否定しまうような気がした

まどか「……さやかちゃん。上条君の事好きなんだよね」

さやか「……好きだよ」

まどか「なら、お見舞いに」

さやか「あたしはもう恭介の事と一緒になる気はないんだけど……今恭介に会ってしまえば、その決意が揺らぐ。そうなった時に、仁美が恭介に告白した時のソウルジェムへの影響が怖いんだ」

まどか「あ……」

さやか「……それに……気恥ずかしくてさ。ほら、あたし一年間恭介と会ってなかったし。眠ってる姿ぐらいならまだ大丈夫だけど、おきてる姿なんか見たらもうね」

どんな形であれこの気持ちに決着はつけるべきだとは思ってる
……でも、それをやるべきは今じゃない

まどか「ごめん……」

さやか「謝らないでよ。あたしの勝手みたいなもんなんだし」

まどか「……」

さやか「……この話はもうやめよう?それより今からマミさんちに行くんだからその事について話そうよ」

まどか「……うん」



420:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:54:07.25 ID:yD/IKsm50

まどか「……マミさん。わたしの事怒ってたりしてないかなぁ」

さやか「?どうしてさ」

まどか「だって……さやかちゃんがマミさんと喧嘩した時、わたしすぐにさやかちゃんを追いかけちゃって、マミさんの事全然考えてなかったし……」

さやか「やー……あれはあたしの責任だし。もうそこは仲直りしたんだから、まどかの事だって気にしてないと思うよ」

まどか「本当かな……」

さやか「……ケーキの量が半分こになってたり」

まどか「そんなのあんまりだよ!」

さやか「ぅぉぅ」

……おいしかったもんね。あのケーキ

まどか「あ……えぇと、別にケーキの為にマミさんの家に行くわけじゃなくて……」

さやか「よし、それならまどかの分まであたしがマミさんのケーキを食べてあげよう」

まどか「……さやかちゃんのいじわる」

さやか「あはは」

--マミの家--

マミ「待ってたわ。さぁ、上がって」

まどか「お邪魔します」

さやか「お邪魔します!」

まどか「マミさん。この前は本当にすいませんでした」

マミ「……あの件は私が悪かったと思ってる。美樹さんの言う通り、まだ魔法少女にもなっていない子を魔女との戦いに巻き込もうとするなんてどうかしてた。……本当にごめんなさい」

まどか「マミさん……」

マミ「……だから今日はその仲直り会の意味も込めて、いつもよりはりきってみました!」

さやまど「おー……」

ケーキにクッキーに紅茶にその他お菓子もろもろ……
以前来た時よりラインナップが豪華だ

マミ「おかわりもあるから、遠慮せずに食べてね」



421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:55:51.07 ID:yD/IKsm50

いろんな話をした
それはまどかとあたしの出会いの話だったりまどかの演歌論だったりマミさんの昔の話だったり……
特に心に残ったのがマミさんの昔会った魔法少女の話、
その時の苦い経験……
多分これって杏子の事なんだろうな
……あいつにそんな可愛い時期があったなんてなぁ……

さやか「じゃぁその魔法少女は今、かざみのにいるんですか?」

マミ「いえ……あの子はもうかざみのに拘る理由がない。いろんな街を転々としているんじゃないかしら」

さやか「……」

あたしが会った時はゆまちゃんが一緒にいた
……あの頃の杏子はゆまちゃんに気を使ってあえて同じ場所に留まっていたのかも
そうすると、佐倉杏子は今現在かざみのにいない可能性もでてくる
ほむらに相談してみて、場合によっては探索規模を拡大させたほうがいいのかもしれない
……

さやか「マミさん。……ワルプルギスの夜の事、知ってるよね」

マミ「……えぇ。後一ヶ月……いえ、数週間もしない内にワルプルギスの夜が現われる」

さやか「マミさんの言ってた友人だった魔法少女。彼女やほむらと力を合わせて戦うのが、ワルプルギス戦では最善かと思う」

マミ「いえ、それは最善ではないわ」

さやか「……というと?」

マミ「鹿目さんに契約してもらい、ワルプルギスの夜を撃つ。それが最善策よ」

まどか「!?」

さやか「マミさん、まどかを……」

まどかを犠牲にするような案は賛成できないと言おうとして
それを言い切る前に視界が歪んだ

さやか「……あれ?」

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「うぅん。特に何かしたわけでもないのに、眩暈が……」

いや、この感覚は……

さやか「……やられた」

さやかは剣を召喚し左手に突き刺した
さらに痛覚を若干強化する
痛覚で一時的に眠気がはじけ飛ぶ

マミ「……」

そのまま右手に剣を召喚して
その剣はマミのマスケット銃で撃ち弾かれた

マミ「動かないで」

空中に複数召喚されたマスケット銃。それらは全てさやかに向けられている

さやか「……流石」

足元からリボンが発生し、さやかは完全に拘束された



422:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:57:40.79 ID:yD/IKsm50

マミ「まさかそんな方法で眠気を消そうとするなんてね……私の部屋を汚さないでほしかったんだけど」

さやか「……」

まどか「え?え?」

マミ「……悪いけど。鹿目さんをここに呼び寄せる為に、美樹さんを利用させてもらったわ」

まどか「……!」

マミ「鹿目さんにお願いがあるんだけど、いいかしら」

マミ「キュゥべえと契約をして、魔法少女になってくれない?」

まどか「!?」



423:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 21:59:52.01 ID:yD/IKsm50

さやか「……マミさん……」

さやか「……全部、演技だった?」

さやか「ほむらと仲良くするといった事も、仲直りといった事も、……今日、ずっと楽しそうに話をしてきた事も全て!」

マミ「そうよ。全ては鹿目さんをここに誘き出し、あなたを油断させる為の布石。……まさかここまでうまく踊ってくれるなんて思ってなかったけれどね」

マミ「……剣を消して、回復魔法を使ったら?拘束されててもそれぐらいはできるでしょう?」

さやか「……」

今痛覚がなくなれば確実にそのまま眠り落ちてしまう
ここでひくわけにはいかない

マミ「……まぁいいわ」

マミ「鹿目さん。ワルプルギスの夜についてどのくらい知ってるのかしら?」

まどか「……さやかちゃんから一通りの事は聞きました」

マミ「なら、話は早いわね。……ワルプルギスの夜を倒す為、あなたの力がほしいの」

さやか「マミさん。魔法少女になるってことがどういうことか」

マミ「私達……友達だったあの子の力を借りたとしても、ワルプルギスの夜は倒せない。このままでは見滝原は終わりを迎えてしまう。……でも鹿目さんの力ならその運命を変えることが出来る」

まどか「……わたしの力で?」

マミ「そうよ。救いのない絶望も、避けようのない悲劇も、あなたの力で覆す事が出来る。……鹿目さん。あなたの力をこの街の為に捧げてほしいの」

さやか「……キュゥべえがはっきり言ったの?あたし達ではワルプルギスの夜を倒せないって」

マミ「うぅん。難しいといっただけ」

さやか「……可能性が0じゃないのなら……」

マミ「可能性が0じゃないのなら立ち向かうつもり?1%でもあるのなら、99%無理だといわれても。絵に描いたような正義の味方ね」

マミ「……でも私は違う。私達にワルプルギスの夜を倒せる可能性が薄いのであれば、確実にワルプルギスの夜を倒す方法をとる。……その為には鹿目さんの力に頼るしかない」

まどか「でも、魔法少女は、ソウルジェムは……」

さやか「まどか!駄目!!」

今この状況で言っても信じてなどくれない
もし仮に信じてくれたとしても、この状況化では最悪の結末にしか繋がらない

まどか「でもさやかちゃん!このままじゃ……!!」

マミ「美樹さんに何か吹き込まれたのね。……鹿目さんの願い事を私が決めてあげる」

マミ「『美樹さんを蘇えらせてほしい』それが、あなたの願い。これでどう?」

まどか「!?」

さやか「……あんたはどこまで……」

マミ「そうね、その願いを叶える為には……」

マミは浮いていた銃の一つを手にとった

マミ「この銃を撃つ必要があるわね」

まどか「待って!……マミさん、待ってください……」

さやか「……まどか。大丈夫、策はある」

まどか「?……さやかちゃん?」



424:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:03:15.73 ID:yD/IKsm50

マミ「へぇ……この状況でどんな策があるというのかしら」

さやか「……ほむらをこの場所に呼ばなかった理由が分かる?」

マミ「……」

さやか「今、ほむらは遠くから狙撃銃でマミさんの部屋に狙いを定めている。もうあたしをマミさんが殺そうとしているのは見えている。今はテレパシーで止めてるけど、あたしを殺せばほむらはマミさんを撃つ」

嘘だ
今回ほむらに一緒に遊びに行かないかと誘ったけれど、ほむらをそんな風に待機するようには一言も言っていない
……マミさんはほむらに対して警戒している
なら、このハッタリは充分に有効なはずだ

マミ「……なるほど、ね。流石にあなたもそこまで馬鹿ではなかったというわけ」

マミ「でもね。別に相打ちでもいいの。最終的に鹿目さんが魔法少女にさえなってくれればいいんだから。鹿目さんが美樹さんを救う。ワルプルギスの夜も倒される。……私の命一つで全てがまるく収まる……違う?」

さやか「……!?」

つまりマミさんは自分の命を捨てる覚悟でこんな策を……

マミ「さようなら。美樹さん」

まどか「マミさんやめて!わかった!わたし魔法少女に……!!」

さやか「まどか!」

ほむら「その必要はないわ」

一瞬だった
浮かんでいた銃は全てへし曲がり、あたしを狙っている銃はマミさんの手に持っている銃ただ一つとなる

マミ「え!?」

ほむら「……」

最後の銃を盾で弾き飛ばし、ほむらの膝蹴りがマミさんの腹部に直撃した

マミ「ぐ!!」

さやか「ほむら……どうしてここに?」

ほむら「私はあなたほど甘くはない」

そういいながら、ほむらはあたしの手に突き刺さっていた剣を引き抜くと、その剣を使ってリボンの拘束を解いた



425:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:04:45.69 ID:yD/IKsm50

実のところ美樹さやかのハッタリはそれなりに的を射ていた
さやかは完全にマミを信用しきっていたが、私はあの一件以来巴マミを常に信用していない
……そもそも本当の意味で信用している人間なぞ私にいるのかと問われると疑問ではあるが
万が一にでも巴マミが凶行に及べばまどかの命が危ない
そう考えて近くに潜んでいた
結果、今回はそれが表に出たようだ

ほむら「さやか、回復魔法を使って少し休みなさい。このままではソウルジェムへの負担が大きい」

さやか「ん……でも、ほむら」

ほむら「ここはもう大丈夫。私を信用して」

さやか「……わかった。じゃぁ、後は任せ……」

と言いながら、さやかは崩れおちた

まどか「さやかちゃん!」

まどかが慌ててさやかを支える
……本当にぎりぎりのラインで耐えていたのだろう

ほむら「……さて」

ほむらは巴マミに向き直り……デザートイーグルを向けた



426:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:06:54.26 ID:yD/IKsm50

マミ「……痺れをきらして出てきたって訳?」

ほむら「美樹さやかの名誉の為に言うわ。さやかは何も考えてなどいなかった。ただ友人の家に遊びに行くと、まどかと一緒にはしゃいでいた。……こんな事が待っているなんて欠片も考えてなどいなかった」

ほむら「私がいたのは最初からあなたが信用できなかっただけ。私だけの意思であり、美樹さやかは一切関係がない」

マミ「……」

ほむら「……分かっているの?あなたはあなたを信用してくれた仲間の信頼を踏みにじったのよ!他ならぬあなた自身の手で!」

……私はいつの巴マミに向かって、この言葉を投げかけているのだろう

マミ「……私に本当の仲間なんて必要ないわ。あの子と別れて以来、今までだってずっと一人でやってきた。そしてこれからもずっと。美樹さんは利用した。鹿目さんもワルプルギスの夜を倒す為に利用する。ただそれだけよ」

ほむら「……!!」

衝動的に巴マミの頬を殴っていた
……『利用する』か
私だって巴マミとやってる事は対して変わらないのに

マミ「銃は使わないの?」

ほむら「あなたなんかに使う弾が惜しい」

マミ「……甘いのね。あなたも、美樹さんも」

ほむら「……何とでも言いなさい」

ふとテーブルを見た
ケーキは砕け散り、ティーカップがあちこちに四散している
……やめよう。考えたところでもうどうしようもない

ほむら「まどか。帰るわよ」

まどか「……うん」



427:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:09:29.55 ID:yD/IKsm50

--ほむらの家--

さやか「……ここは……」

ほむら「私の家。ついさっきまでまどかもいたけれど、遅くなったからもう家に帰らせた」

さやか「……完全に下手打ったね。あたし」

ほむら「あれの予測は不可能よ。私だって今日見張ってはいたけど、その実こんな事が起こるなんて想定もしていなかった」

友達をあれだけ欲している巴マミが友達を裏切るような行動をとるなんて……
恐らくキュゥべえに誘導でもされたのだろうが

ほむら「むしろそこよりも……手に剣を突き刺して眠気を抑えるなんて……無茶がすぎるわ」

さやか「……無茶しなきゃ、まどかは契約してたよ」

ほむら「それは……」

その通りだ。……私は何を言っているのだろう

さやか「……魔法少女は痛覚がコントロールできる。とはいえ分かりやすく痛みが発生している箇所がないと痛覚を発生させる事は難しい。……結局その一手分の遅さでマミさんにマスケット銃を召喚されてしまった」

でも仮に最初から剣を召喚していたとしてあのスピードに対処できただろうか
……厳しかっただろうな
マミさんからすれば確実性をとって睡眠薬を使ったんだろうけど……?

さやか「……でも、あれ?」

マミさんは全てが演技だったと言った
仲直りも、ほむらと仲良くすると言ったことも
……でも、本当にそうなのだろうか
そうであれば薔薇園の魔女との戦いの前、あたしにあれだけきつく当たってきた必要性が見えない
あそこであたしがきれてしまえばそれで終わりだったわけだし
マミさんが知りえる情報内で、普通あんな手を打つか?
……ひょっとしてマミさんの中でも、考えがゆれている?

ほむら「……とにかくこれではっきりした。巴マミは敵よ。ワルプルギスの夜が来るまでひたすらに勧誘してくるだろうから、私がそれを徹底して妨害することにする。……あなたは私の変わりに佐倉杏子をお願い」

さやか「……わかった」

全ては楽観的な推測だ
大体キュゥべえからワルプルギスの話を聞いたタイミングがいつかも分かっていないわけだし
……あたしは失敗した。マミさんの手に完全に踊らされた
そう考えるべきだろう

ほむら「……その、ショックだろうけど。あまり無理はしないようにね」

さやか「……ありがとう、ほむら」



428:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:10:49.74 ID:yD/IKsm50

--マミの家--

QB「失敗したね。マミ」

マミ「……えぇ、そうね。……でも、これで良かったのかもしれない」

QB「マミ?」

マミ「だってそうでしょ?ワルプルギスの夜の為に鹿目さんを犠牲にして、美樹さんや暁美さんまで傷つけて、こんな作戦成功するべきじゃない」

QB「見滝原はどうなってもいいというのかい?」

マミ「……そんなわけない。そんなわけないけれど……」

成功しなければいけなかった
でも失敗してほしかった
だから美樹さんにあんなに辛くあたったのに、それでもあの子はそんな私を信用してくれて……
暁美さんの言うとおり
私は自分を信頼して一緒に戦ってくれた仲間を、裏切ったんだ

マミ「……そうね。もう後にはひけない」

鹿目さんを契約させ、見滝原を救う
それしか道がないのだから仕方ない。でも……

マミ「……本当にこれでよかったのかな……」



429:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/23(月) 22:18:45.81 ID:yD/IKsm50

しかし書く前の段階で薄々感づいてはいたが、この辺は……うーん……
後半へ続く!いつ後半書けるかわからないけれど!



430:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2012/01/23(月) 22:26:20.23 ID:tN0h1jS8o

乙乙

さやかちゃんマジ直情おバカさん
だがそこがいい
後半が待ち遠しいぜ



485:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:39:54.64 ID:TUhPfVSl0

--ほむらの家--

さやかを先に寝かせ、ほむらは一人スクリーンを映していた
その中には今までの巴マミが映っている

ほむら「……これだけ早い段階でまどかが魔法少女の真実に辿り着くことは今までなかった」

それが巴マミの今回の行動に結びつくとしたら、間違いなくキュゥべえの仕業だろう
けれど……

ほむら「あの時の巴マミの指はトリガにかかっていなかった」

「さようなら。美樹さん」と巴マミは言った
だがその後本当に巴マミは引き金をひいただろうか
考えるまでもない
錯乱してもいない巴マミが仲間を殺すわけがない
つまりは、完全なブラフだ
あれで鹿目まどかが契約すると言えば儲けものといったところだったのだろう
契約しなければ「気が変わった」だの、「死体を処理するのが面倒だ」だの「部屋を汚したくない」だの適当な理由をでっち上げてまた別の手を打てばいい
美樹さやかの蘇生なんて願いに拘る必要性はどこにもない
ただ、まどかに願いを叶えさせてしまえば契約としては事足りる

……おかしな点は他にもある
私の不意打ちに対して巴マミは本当に何の反応も出来なかったのか?
その前に美樹さやかが狙撃銃なんて警戒を煽るような事を言っていたのに?
大体あの後普通に素手で殴ってしまったが、いくらなんでもあれは避けれる
そもそもまどかの契約を狙うのであれば、あの場面私達を逃がす理由がない
いくら不意打ちが成功したとはいえ局面としてはまどかと眠っているさやかを抱えている以上、あちらの方が有利だったのだ
では何故逃がしたのか?
……巴マミにはこちら側に状態が気になってしかたがない怪我人がいた
私の不意打ちをそのまま受けたのはその怪我人が治療できるような状況を作り上げる為
逃がしたのは、その怪我人の回復魔法がどこまでのものか断定できない以上、ここでの追撃はその怪我人を最悪危険にさらす事態になると判断した……
大方こんなところだろう
そもそも巴マミと戦って巴マミからの攻撃によるダメージを全く受けていないというのがおかしいのだ

ほむら「……どっちが甘いのよ」

巴マミが睡眠薬を使ったのは事実だし、美樹さやかの信頼を踏みにじったのも事実だ
巴マミは敵となった。それは間違いない
……ただ、巴マミが守りたかったものは見滝原の住民もあるだろうけど、それ以上に……



486:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:41:42.06 ID:TUhPfVSl0

--マミの家--

QB「ところでマミ。疑問があるんだけど」

マミ「……何。キュゥべえ」

QB「何故、美樹さやかを殺そうとしたんだい?君のやろうとしている事と矛盾しているじゃないか」

マミ「……殺す気はなかったけど殺すように見せる必要はあった。これであの子達は私の目的が何なのか絶対に辿り着くことは出来ないはず」

暁美さんの奇襲
確かに作戦は失敗したけれど、ある意味において大成功だった
美樹さんのブラフに乗った形とはいえ、結果としてこれ以上ないほどの演出となった
これで実は殺そうとしてなかったなどと気づく人間は誰もいない
もし仮に気づいたとしても、それを断定できる根拠は何もない

QB「でも、別にいちいち目的を隠す必要なんてないじゃないか」

マミ「……あなたはあなたの命を守る為にあなたの親友を危険な運命に巻き込むと言われたらどう思う?」

QB「……どうだろうね。ただ君達の価値基準で考えるなら命より重いものはないんだろう?なら親友を危険な運命に巻き込む方をとるべきじゃないのかな」

マミ「……あなたはそう考えるのね……」



487:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:42:37.98 ID:TUhPfVSl0

--次の日--

マミ「……もう、こんな時間。……パトロール、行かなくちゃ……」

今だって魔女に襲われている人がいるかもしれない
……気持ちを切り替えないと

マミ「まずは優先度の高いところから……歓楽街……病院……」



488:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:44:35.28 ID:TUhPfVSl0

--病院--

恭介「……さやか!?」

まどか「ごめんなさい……」

恭介「鹿目さんか……どうしたんだい?」

まどか「その、少し話があって……」

恭介「……入って」

恭介「……さやか。僕の腕が治ったって聞いてどうだった?」

まどか「……喜んでたよ。さやかちゃん、ずっと上条君の腕が治るよう祈ってたんだもん。喜ばないわけないよ」

恭介「……そうか」

さやかが恭介の事を諦めたといった日
お見舞いに行く事をやめた日
それ以降、まどかはこうして上条恭介のお見舞いに来ていた
……さやかちゃんは諦めたといっていたけど、好きなのに諦めるなんてそんな終わり方は悲しすぎる
何とかできないのだろうか
そう考え、病院のロビーをうろうろしていた所を、上条恭介に発見されたのが始まりだった

恭介「本当のことを教えてくれないかい?」

まどか「……本当のこと?」

恭介「さやかはもう、僕の事が嫌いになったんじゃないかな」

まどか「そんなこと……!!」

恭介「……無理もないさ。いつも沈んでいて、時に八つ当たりだってしたこともあった。そんな僕の傍にいつまでもいるほうがおかしいんだ」

恭介「……それに、思うんだ。怪我をする前から……いくら親友といっても、さやかは僕と一緒にいすぎた。ヴァイオリンだけが生きがいのような僕とずっと一緒にね」

恭介「こうして腕は治ったけど……さやかは僕の為に人生を縛られすぎている。……さやかにはもっと自由に生きてほしいんだ。僕なんかに構うべきじゃない」

まどか「……違うよ上条君!さやかちゃんは上条君の……」

看護婦「ごめんなさい。そろそろリハビリのお時間ですよ」

恭介「うん。わかった。……鹿目さん。それじゃまた」

まどか「……」

--病院の外--

まどか「……このままじゃ……」

上条君はさやかちゃんの事を大事に思っている
さやかちゃんだって上条君の事が好きなのに……

まどか「……なんで、うまくいかないのかな」

……まどかは気づいていなかった
孵化寸前のグリーフシードから発生した黒い霧が、まどかを包み込もうとしていることに



489:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:46:23.72 ID:TUhPfVSl0

ほむら「……!!」

まどかの反応が途絶えたのは病院のすぐ外……恐らく魔女だ
しかもあの位置に現われるとするならば、現状一番厄介なあの魔女……

ほむら「迂闊だった……!!」

美樹さやかが上条恭介のお見舞いに行かなければ、どうなるか?
この可能性を全く考慮できなかったなんて……!!
とにかくすぐに魔女結界まで

ほむら「……」

……ここからではテレパシーが届かない。ほむらは携帯電話を使った

さやか「やっほーほむ」

ほむら「魔女結界にまどかが捉われた。場所は見滝原の病院……上条恭介のいる場所よ」

さやか「!!」

ほむら「私は今から魔女結界まで向かう。あなたもお願い」

さやか「もう向かってる!」



490:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:48:31.68 ID:TUhPfVSl0

--魔女空間--

マミ「チョコレートにレーズンにクッキー……さながらお菓子の魔女といったところかしらね」

まだ魔女の結界は完全に完成しきっていない
今ならまだ病院に影響が出る前に対処する事が可能そうだ
……後ろに気配を感じマミは振り返った

マミ「……暁美、さん」

ほむら「……巴マミ」

マミ「……この前の決着でもつけるつもり?」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなたは退いて」

マミ「……そういうわけにもいかない。魔女を倒すのが、私の役目よ」

……これぐらいしかもう、私には縋れるものがない

ほむら「今のあなたにこの魔女を任せるわけにはいかない……どいて」

今の巴マミは精神状態が不安定だ。まさか負けるとは思えないが、万が一がありえる

マミ「……」

ほむらに無数のリボンが絡みつく

ほむら「……巴マミ……!!」

マミ「そこで大人しくしていなさい。……結界も張ってる。使い魔程度なら近寄ることすら出来ないはずよ」

ほむら「……今回の魔女は今までの魔女とはわけが違う!!」

マミ「……そう。心に留めておくわ」

ほむら「待って!この先には……この先にはまどかが……!!

マミ「……」

巴マミは無言で去っていった

ほむら「……く……」

……最悪だ



491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:49:21.61 ID:TUhPfVSl0

まどか「嫌……やだ……!!」

2度目の魔女結界
でも、今はさやかもほむらもいない
一生懸命隠れていたが……ついに見つかってしまった

使い魔「キキキ」

まどか「誰か、助けて……」

銃声が響きわたり、使い魔は一瞬で弾けとんだ

まどか「……あなたは……」

マミ「……」



492:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:50:32.62 ID:TUhPfVSl0

まどか「……マミさん……」

マミ「……何?」

まどか「わたしの契約……まだ諦めてないんですよね……」

マミ「……ここで強引に迫れば、あなたは契約してくれるのかしら?」

まどか「……」

マミ「……」

マミ「取引をしましょうか。私が魔女を倒したら、あなたには契約をしてもらう」

まどか「!?そんなのって……!!」

マミ「どうするの?あなたの答えに、病院の人間全ての命がかかっている」

……鹿目さんが断ろうと契約を決めようと、魔女を倒す事に変わりはないが

まどか「……」

マミ「答えられないなら、そうね。特別に別の条件を提示してあげる」

いつぞや、屋上で美樹さんが鹿目さんに話したと言っていた
……あの美樹さんが話した事だ。恐らく本当の事なのだろう
美樹さんは教えてくれそうになかったが、或いは鹿目さんなら

マミ「ソウルジェムの正体を私に教えてくれれば、この魔女は私が倒す」

まどか「え!?で、でもそれは……」

さやかちゃんにも口止めされていて……でもこのままじゃ……

マミ「どうするの鹿目さん。全てはあなた次第よ」

まどかは迷い、決意し、そして口を開いた

まどか「ソウルジェムは魔女を産むんです。ソウルジェムが完全に濁りきった時、ソウルジェムはグリーフシードへと変化を遂げ魔女へと産まれ変わる。それがソウルジェムの真実です」

マミ「……!?」



493:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:51:58.48 ID:TUhPfVSl0

信じられなかった
いや、信じたくなかった
……でも、一方で……

マミ「……それが事実として、私の体はどうなるの?普通の人間に戻るとも思えないけど」

まどか「……魔法少女になった時点で魂はソウルジェムに変化しているんです。つまりソウルジェムがなくなれば、魔法少女は死ぬ」

マミ「……突拍子がなさすぎて、とても信じられない」

……でも、あの美樹さんがそんな嘘をつくとも思えない

マミ「……約束は約束。魔女は私が倒す。……今からあなたを結界の外に移動させる時間的な余裕もない。ついてきなさい」

まどか「……はい」



494:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:52:56.44 ID:TUhPfVSl0

マミ「あれがお菓子の魔女、ね」

ぬいぐるみ……のようにしか見えない
まったく動きがないのが逆に不気味だ
……これまでの魔女とはわけが違う、か
……使い魔相手にいくらか手傷を負ってしまったあたり、
自分が本調子ではないのはもう見えている
……時間を長引かせれば、それだけ戦いが不利になる

マミ「一気に決める」

一連の連続攻撃の後、マスケット銃でお菓子の魔女を空に打ち上げ、必殺の魔法を放つ

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃弾はリボンへと変化して、お菓子の魔女を絡みとり、
一瞬で絶命させる……はずだった
だがしかし、お菓子の魔女の口から大きな蛇のような化け物が現われ……



495:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:53:45.70 ID:TUhPfVSl0

巨大なケーキにティーカップ
まるで不思議の国のような空間
……さっきまでいたお菓子の魔女の結界とは違う。ここはどこだろう?
……あの赤い髪は

マミ「佐倉、さん……?」

……違った
微妙に似ているが造詣が歪な……使い魔だ
よく見ると佐倉さん以外にも、美樹さんや鹿目さん、暁美さんにそっくりな使い魔もいる
ふと自分の姿を確認する

マミ「……」

異形のそれは、魔女そのものだった



496:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:56:19.99 ID:TUhPfVSl0

マミ「……死ぬ間際に見る夢……というわけでもなさそうね……」

……恐らくこれがソウルジェムの真実
魔法少女の末路

マミ「魔法少女が魔女になるなら……もう死ぬしか……」

遠くで話声が聞こえる

QB「願い事を決めるんだ!まどか!」

まどか「……」

マミ「……キュゥべえ?」

何故こんなところに……
いや、待て
つまりは……そういうことか

QB「早くしなきゃ君が死んじゃうよ!!」

まどか「……きゃあああああああ!!」

マミ「……」

鹿目さんの悲鳴が聞こえる
……無理もない。こういうものは聞かされるのと実際に見せられるのでは全く違う
お菓子の魔女の標的は、いまや私から完全に鹿目さんに移っている
今の私なぞ興味にも値しないといったところか

……この魔女結界が完全に動き出せば病院の人の多くは犠牲になるだろう
何より、このままでは鹿目さんが殺されてしまう
……大丈夫、まだ動ける

QB「さぁ契約を!!」

マミ「その必要はないわ」

まどか「……え?」

QB「マミ!?」

つい最近誰かが言っていた台詞をそのまま使い、銃を空に向けて撃った
まだ自分は戦えるという意思表示
お菓子の魔女が再びこちらを振り向いた
体が痛い。というよりもさっきの魔女の攻撃で体が半分近くなくなっている
左手、左胸、左足……左半身の大部分はもっていかれた
……だが、今の一撃で終わっていた可能性も考慮すればこれでも充分ましだ
本調子ではないし、動揺もあった
だけどソウルジェムがもし魂だとすれば、それさえ守りきれば一撃死は避けられるかもしれない。そう判断した上での回避行動が、吉と出た
私の魔法、命を繋ぐリボンを体に直接結びつけ、なくなった箇所の代用品とする
まどか「マミさん!!」

マミ「鹿目さん、もう大丈夫。……あなたは私が守る」

魔法少女が魔女となる
つまり、鹿目さんは最強の魔法少女となると同時に最悪の魔女となる
こんなもの、最善の策でも何でもない
まんまとキュゥべえに乗せられた……いや、判断したのは自分か
鹿目さんを魔法少女にすれば誰も死ぬ事はない
見滝原の住民を……鹿目さんも、美樹さんも、暁美さんも、そして佐倉さんも確実に死なずにすむ選択肢。それを私は選んだつもりだった
だが、そんなものはなかった
もし鹿目さんの魔力から魔女が産まれれば、世界が終わる
……みっともない愚行の挙句が、この様だ
せめて美樹さんや、鹿目さん、暁美さんに謝りたい
私が馬鹿だったと 本当に悪かったと
でも、もうそんな時間は残されてはいない
……ならば、私が最後にすべきことはそんな泣き言ではない



497:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:57:43.48 ID:TUhPfVSl0

さやか「ほむら!」

さやかはほむらを拘束しているリボンを一気に切り裂いた

さやか「……どうしてこんなことに?」

ほむら「話は後!私につかまって!!」

さやかはほむらの手を掴み
ほむらは時間停止を発動させた

さやか「これがほむらの……」

ほむら「私の手を離さないで。あなたの時間まで止まってしまう」

さやか「ほむら、マミさんはどこに?」

ほむら「この結界の最深部。魔女のところよ」

さやか「……ほむら、これって触れてさえいればいいんだよね」

ほむら「……そうだけど」

さやか「ならさ。ほむら、ちょっと私に背負われてくれないかな」

ほむら「?こう?」

さやか「よし。じゃぁ、一気にいくよ!!」

速度向上魔法を自身にかけ、さやかは一気に加速した



498:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 14:59:42.12 ID:TUhPfVSl0

さやか「……魔力の残り香?」

点々とソウルジェムが反応するレベルの魔力が塊となって放置されている。
これは一体?

ほむら「……それは恐らく巴マミのものよ。それを伝っていけば魔女の元に……まどかの元にも辿り着けるはず」

さやか「……でも、何故こんなものを?」

ほむら「最悪のケースの為の保険。でしょうね」

もし巴マミが死ねばあのリボンは外れる
そこで魔力の残り香を辿れば最短ルートで魔女の元に辿り着ける
……最悪の場合、私にお菓子の魔女を任せるつもりだったのだろう

ほむら「本当にあの人は……」



499:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:01:29.83 ID:TUhPfVSl0

マミ「私を食べ残したのが仇となったわね。好みのお菓子とは違ったのかしら?」

お菓子の魔女「!」

お菓子の魔女が急接近してくる
……さっきの噛み付き攻撃だ
一度見た手は二度と……と言いたいが、この代用品を使っている体では完全に回避する事は難しいか
また体の一部を食いちぎられる
だが当然ただでは終わらせない

お菓子の魔女「!?」

お菓子の魔女の口の中にマスケット銃を放りこんだ
……というより、お菓子の魔女が噛み付こうとした地点にマスケット銃を配置していた
今の状態では痛みでまともな射撃すらままならないが、
これならば外しようがない
マスケット銃をお菓子の魔女の口の中で撃ち放つ

マミ「……」

痛みがひどい上にリボンに魔力をまわしている状況では、マスケット銃の生成は精々一本ずつといったところか
……この魔女を倒すには充分だ

お菓子の魔女が再び襲い掛かる
だが、今度はさっきより遅い
恐らく噛み付く瞬間にまたマスケット銃を召喚される事を警戒しているのだろう
……狙い通り
お菓子の魔女の横につき、マスケット銃の銃口をその体に突きつけ、撃ち放つ

お菓子の魔女「!!」

怒った魔女が再び噛み付きにかかる
それを寸前までひきつけ、回避する
……直撃こそ避けれたものの、また攻撃を受けてしまった
……が、攻撃を受けた部分はリボンで再構成をした箇所。今お菓子の魔女は私のリボンを食べてしまったことになる。つまりは

お菓子の魔女「!?」

再びお菓子の魔女の口の中で爆発が発生した

……完全にこちらの手の上だ
何をすればいいか分からなくなっている魔女に対し、確実に手を打っていく



500:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:03:15.55 ID:TUhPfVSl0

さやかは思わず呆然としてしまった
マミさんの体はもう6割がた残っていない
足りないパーツを全てリボンで代用している
そしてそのリボンも既に真っ赤に染まっているような状態
……マミさんは痛覚遮断を知らないはずだ
いくら魔法少女の元々の痛みがかなり抑えられているとはいえ、あんな状態で動けるはずがない
でも、それなら今あたしが見ているものは何だ?

「まぁ少なくともあたしの知る限りでは最強の魔法少女だったな。能力とかそういう類の強さではなく、ただ強かったんだ」

かつての佐倉杏子の言葉を思い出す。見滝原最強、正義の味方巴マミ……

まどか「さやかちゃん!ほむらちゃん!」

さやか「まどか!?」

その声で我に返った

さやか「ほむらはあの魔女を頼む!あたしはマミさんの回復にまわる!」

ほむら「わかった」

ほむらは手榴弾を魔女に向かって投げつける
魔女の標的が巴マミから、暁美ほむらに変更される

ほむら「……来なさい」



501:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:04:59.81 ID:TUhPfVSl0

マミ「美樹さん?……良かった」

今、魔女と戦っているのは暁美さんのようだ
……あの魔女を圧倒、か
まさかあそこまで強いなんて

マミ「……どうやら、何とかなりそうね」

そういいながら、巴マミは崩れ落ちた

さやか「マミさん!今グリーフシードと回復魔法を使うから!」

マミ「……無駄よ。今の私の体が見えてないの?」

さやか「それは……!」

マミ「……そのグリーフシードはあなたの為にとっておきなさい。私なんかの為に使うのは勿体無い」

さやか「マミさん……」

マミ「……ちょっとだけ話を聞いてくれる?」

マミ「……魔法少女は魔女になる。ソウルジェムの正体ってそういう事よね?」

さやか「……!!」

マミ「でもこの事実が確信できた時、ショックではあったけど……少しほっとしちゃった。だってもうこれで鹿目さんを強引に魔法少女にするなんて事を考えなくていい。こんな馬鹿みたいな事はやめる事が出来るって」

さやか「マミさん……?」

マミ「……ワルプルギスの夜を倒す為に鹿目さんを魔法少女に巻き込むなんて手は取るべきではないとわかっていた。それでも……」

それでも、振り払う事が出来なかった
魔法少女になったあの日。家族を全て失ってしまったあの瞬間
ワルプルギスの夜によってそれが再現される
そんな事だけはどんな手を使ってでも避けたかった

マミ「……なんでもない。忘れて」

今更話して、何になるというのだろう



502:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:06:09.55 ID:TUhPfVSl0

魔女結界が消え去った
暁美さんがお菓子の魔女を倒したのだ

ほむら「……もう虫の息だった。あなたがあのまま戦っていても、勝つことはできたでしょうね」

マミ「あら、気を使ってくれているの?」

ほむら「……まさか」

まどか「マミさん!」

マミ「……美樹さん。……鹿目さんに、暁美さんも。ごめんなさい。私がどうかしてた。もう少しで……取り返しのつかない事を、私はしてしまうところだった」

マミ「謝ってすむ問題じゃない事もわかってるけど……本当にごめんなさい」

さやか「マミさん今はそんな事……!」

マミ「うぅん。今だからこそ、よ」

まさか本当に謝れるなんて
悪人の結末にしては恵まれすぎている



503:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:08:12.40 ID:TUhPfVSl0

マミ「ソウルジェムの濁りがひどい。これをこのまま放置すれば、私は魔女になる」

さやか「……!!」

ほむら「……自分でやるのがつらいなら……」

マミ「そこまで面倒を見てもらう気はないわ。これぐらい一人でやれる」

マミはマスケット銃を手にした

マミ「……最後は一人で逝きたい。悪いけど、ここから立ち去ってもらってもいいかしら」

ほむら「……わかった。行くわよさやか……さやか?」

さやかはマミのマスケット銃を切り捨てた

さやか「いつぞやのお返しってことで」

マミ「……こんな時に何を?」

さやか「はい、グリーフシード。これでもう少しもつよ」

マミ「……美樹さん……」

ほむら「さやか。もうあなたの回復魔法でも巴マミを回復させる事は不可能よ」

さやか「確かに、あたしの回復魔法なら不可能だろうね」

あたしのならね

ほむら「……!?この魔法は……?」

さやか「あたしの魔法で不可能でも……ゆまちゃんの回復魔法なら!」

ほむら「!?」

確かに千歳ゆまの魔法は回復魔法というよりは、肉体の再構成レベルまで達していた
あれならばひょっとしたら巴マミの傷を癒す事も可能かもしれない
でも、あれは千歳ゆまの膨大な魔力があったからこそ成立する魔法だ
もしさやかが使えば

さやか「こんな終わり、あたしは認めない。あたしの力で覆してやる!」

ほむら「馬鹿!やめなさい!!!」

千歳ゆまの回復魔法が、美樹さやかの手によって発動した



504:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:09:24.47 ID:TUhPfVSl0


深い水の中にいる
……実のところこの経験は別に初めてというわけではない
というより、無茶をした時は大抵このパターンだ
この光景についてずっと疑問に思っていたけど、
これってあたしの魔女となった姿が『人魚の魔女』だったからなんだ……
……まぁそんな事はどうでもよくて、問題は今回、結構深いところに沈んでいるということである
ちょっと自力での回復は難しいかもなぁ……どうしたものか……

まどか「さやかちゃん!!」

ほむら「さやか!!」

マミ「美樹さん!!」

声が聞こえる
……水が引いてきた



505:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:12:41.18 ID:TUhPfVSl0

目が覚めたら3人が目の前にいた

さやか「……おはよう」

まどかに抱きしめられ、ほむらには……殴られた

ほむら「あなたを大切に思っている人のことも少しは考えなさい」

ほむらの手にはグリーフシードが握り締められていた
多分あれであたしのソウルジェムを浄化してくれたんだろう

さやか「ごめん。助かったよ、ほむら」

さやか「……え?でも大切に思ってる人って」

ほむら「まどかよ」

さやか「……そうですか」

本当につれない……

マミさんは終始困ったような顔をしていた
……マミさんの体は見る限り、元に戻っているようだが……

さやか「マミさん、もう大丈夫?」

マミ「えぇ、大丈夫なんだけど、その……」

ほむら「ついさっきやっとまともに歩くことが出来るようになったところよ。……千歳ゆまの回復魔法を完全再現することは出来なかったようね。そのおかげであなたは助かったようなものだけど」

さやか「あー……」

見よう見まねではあったけど、何回も使ってるところは見てたし大丈夫だと思ったんだけどなぁ……

さやか「ごめんなさい。うーん……次使う時はもう少し構成を工夫して」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「……ごめん。流石にこの魔法は封印だね」

マミ「そういう事じゃなくて……なんで私の為に、こんな事を……?」

さやか「……?マミさんは困った人がいたら、手を差し伸べようとするよね」

マミ「……そんな感覚でこんな無茶を……」

さやか「ところで、さ。少なくとももうまどかを無理やり魔法少女にするって事は考えてないんだよね。なら提案があるんだけどさ」

さやか「マミさん。あたし達と一緒に、ワルプルギスの夜を倒そう!」

マミ「……」

あんなにひどい事を言われて
銃まで突きつけられて
信頼を完全に踏みにじられたのに

マミ「……本当に凄い子ね。あなたは」

さやか「え?」

マミ「わかった。私の力でどこまで役に立てるかわからないけど……できる限りあなたの力になってみせる」

一度は捨てた正義
もう取り戻せるなんて思ってはいないけれど
ただこの優しすぎる正義の為に、何か出来ることはあるかもしれない



506:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:14:41.24 ID:TUhPfVSl0

--マミの家--

さやか「というわけで再び仲直り会!!」

まどか「わー!!」

ほむら「再び、ね」

さやか「……こら。そこを突っ込まない」

マミ「じゃぁ紅茶と食べ物を買ってくるわね。……誰かついてくる?」

さやか「?冷蔵庫の中に食べ物はあるし、紅茶はそこの戸棚にあるじゃないですか」

マミ「何で人の家の事情に精通してるの!!じゃなくて……えぇと……」

ほむら「また睡眠薬や毒を入れるのを疑わないのか?と巴マミは言っているのよ」

さやか「……マミさん。それじゃ意味がない」

マミ「え?」

さやか「マミさんが入れた紅茶に、マミさんが作ってくれた料理。それをあたし達が食べる。これでやっと仲直りが成立する」

さやか「……信頼っていうのはさ。お互いにしっかり歩みよらなきゃいけないと思うんだ。毒だとかそういうのを恐れて食べないとかやってるようなら、いつまでたっても信頼なんてできないよ」

ほむら「……で、こんな子をあなたは仲直り会と称して嵌めたわけだけど」

まどか「ほむらちゃんそれは……」

マミ「……本当にごめんなさい」

さやか「ほむらもしつこい!てかお腹すいたし今から買ってきてとか待てない!!」



507:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:16:14.41 ID:TUhPfVSl0

まどか「おいしい!」

さやか「んーマミさんが作るものは本当においしいや。ほむらの家カップばっかだし……」

ほむら「……じゃぁここに住めば?」

さやか「冗談だってば。……でもご飯だけここに食べに来るというのはありかもしれない」

まどか「さやかちゃん、そこまでするならちゃんとお家に帰ろうよ……」

ほむら「それにしても……確かにおいしいわね」

マミ「あなたも普通に食べるのね……」

ほむら「これで毒が入ってなければあなたを信用することにするわ」



508:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:17:56.05 ID:TUhPfVSl0

ほむら「……で、あの時の会話についてそろそろ解説がほしいわね」

さやか「……ほむら、流石に引きずりすぎだよ」

マミ「うぅん。全部私が悪いんだし。……でも解説って何を?」

ほむら「そうね。『部屋を汚さないでほしかった』発言がその後一切攻撃してない事に対する目くらましのつもりだったとかそういうところからかしらね」

マミ「!!!!」

さやか「え?……あー」

ほむら「美樹さやかを殺そうとしたのもブラフ。違う?」

マミ「……その通りよ。美樹さんを殺す気なんて最初からなかった」

さやか「じゃぁ、『さようなら、美樹さん』とか言ったのは?」

マミ「あれはあなたの狙撃銃発言を受けて、そう言えば確実に暁美さんが動くと判断しての行動。暁美さんが攻撃してくれれば本当に殺そうとしたかどうかは有耶無耶にできる」

マミ「……それにあまり時間があるようには見えなかったし。早めにあの状況を区切りたいという考えもあった」

まどか「時間がない……ですか?」

さやか「どういうこと?」

ほむら「さやか、あなたがそれを……。単純な話よ。誰かが手に剣を突き刺していたから、それを即急に手当てする必要があったということ」

さやか「……あ」

ほむら「大方美樹さやかを眠らせて、それでさやかをうまく使いつつまどかを魔法少女に誘導するつもりだったんだろうけど……その骨格がいきなり崩れた」

マミ「……そうね。その通り」

さやか「……」

つまり、「剣を消して、回復魔法を使ったら?」は割と本心だったということか……



509:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:20:56.34 ID:TUhPfVSl0

ほむら「大体1パーセント云々もよく言ったものね。あなたはたとえ0パーセントでも街を守る為に突っ込む性格でしょうに」

マミ「……」

さやか「そういえばよく考えたら、あそこでいちいち浮かせてる銃を手に取る必要性もないよね」

ほむら「そもそも殺すつもりならさっさと撃ってしまえば良かった」

マミ「……浮かんでる銃を傾けるだけだと演出としては弱いし。銃を手にもった方がいろいろ小細工がやりやすかった」

まどか「ひょっとして相打ちの話も……」

マミ「その場のでっち上げ。美樹さんを殺す気がないんだから相打ちなんて狙えない。ただその後の発言を自然に見せる為の演出」

さやか「……」

ベテランの魔法少女の行動にはその一つ一つに意味がある、かぁ……

まどか「でも、何でさやかちゃんを殺そうと見せかける必要があったんですか?」

さやか「あ、それあたしも気になった」

そもそもそんな事をしたところでマミさんになんの利益もないはず

マミ「それは……」

ほむら「美樹さやかを殺そうとしていた場合と殺そうとしていない場合の『見滝原住民』の意味合いの違いを考えてみなさい」

さやか「え……つまり」

ほむら「巴マミは守ろうとしている対象に私達が含まれている事を悟られたくなかったのよ。多分分かりやすい悪役になった方が私達がやりやすいとかそんな理由で」

マミ「……」

さやか「あー……」

あたしを殺そうとしていた場合だと、見滝原住民を守る為にあたし達を犠牲にする魔法少女
あたしを殺そうとしていない場合だと、見滝原住民とまどかを含むあたし達みんなの命を守る為に、まどかを魔法少女にしようとする魔法少女……
確かに前者の方が悪役っぽい



510:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:24:02.13 ID:TUhPfVSl0

ほむら「……そんなところかしらね」

さやか「何かほとんど全てほむらが語ってた気がするんだけど……」

マミ「……ところで私も気になることがあるんだけどいい?」

さやか「え?どうぞ」

マミ「暁美さん。あなたの能力って『時間操作』であってる?」

ほむら「……何を根拠に?」

マミ「足跡よ。……あなたはこの前土足で入ったから、靴の跡が家の中にそのまま残っていた。この時点で空間移動はない」

マミ「ついでに言うと……鍵穴を銃で破壊して入ったでしょ?銃弾の音と同時にあなたが家の中に現われた……まず時間操作は疑うわよ」

マミ「後は今の会話ね。大体にしてあなたとは会ったばかりのはずなのに、少し情報を知りすぎている」

美樹さんを殺せない
この情報を断定できるだけの根拠は一切ない
でも、もしそれを感情論だけで持つのであれば
それはただ『情報を知っている』だけのレベルではありえない

マミ「美樹さん。あなたもよ。『スクワルタトーレ』。ずっとひっかかってたけど……あれは私が考えていた剣の必殺技じゃない。私の頭の中にしか入っていないはずの技を何故あなたが使っているの?とてもあんな言葉が偶然の一致で出るとは思えない」

さやか「……」

やっぱりこの時間ではまだマミさんの必殺技帳に『スクワルタトーレ』は記載されていなかったんだ……

マミ「あなた達は何らかの方法で私を知っていた。……例えば未来から来た、とか?」

さやか「!?」

……何でたったこれだけの情報でそのキーワードが導きだせるんだこの人は!

さやか「……ほむら、全部話しちゃっていいよね」

ほむら「……そうね。もうこの状況なら」



511:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/01/28(土) 15:32:25.70 ID:TUhPfVSl0

以上で大体後半終了!
……何かもう、すまんかった。いろんな意味で
つまりこのSSのマミさんは正義の為に誰かを犠牲にというより、誰も犠牲にできなかったから正義を捨てたとかそんな感じ
個人的にはこんなマミさんもありかなぁと思うけど、まぁその辺は人それぞれということで何卒……



514:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/01/28(土) 15:53:35.46 ID:Wi831yzAO

お疲れ様です
謝る必要はないと思う



542:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:12:00.52 ID:6wK+w1qk0

マミ「……普通なら、とても信じられない話ね」

マミ「でも……確かにそれなら、一応の辻褄は合う。……信じるわ」



543:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:14:20.47 ID:6wK+w1qk0

--帰り道--

さやか「……何かさ。今回の件、自分はやっぱりまだまだだなーって思えたよ」

ほむら「あなたの実力も巴マミ程じゃないとはいえ、相当なものよ」

さやか「いや、そういう実力とかじゃなくて……なんていうんだろ。精神的なものっていうか」

ソウルジェムの真実を自力で乗り越え
痛覚遮断も知らないのに肉体の大部分を失っても戦い
まどかや恭介……病院の人達の為に戦った正義の味方
……いつかはあれほどの領域に自分も辿り着けるのだろうか

ほむら「……そうね。私は彼女をいろいろ勘違いしていたのかもしれない」

美樹さやかが魔女になってその魔女を私が倒した後、すぐに巴マミは発狂した
他にも呉キリカが魔女になった時、本来の実力が出せなくなった事もある
前者は仲間が魔女になり、後者はゆまや杏子がいたとはいえ彼女が本当の意味で仲間と思える相手はいなかった
そして今回の件、あの場にはまどかが、守るべき仲間がいた
つまり、巴マミは仲間を守る事を意識した時にこそ本来の力を発揮するタイプだったのだろう
……薄々気づいてはいたが、しかしこれ程とは思っていなかった
ただ……

まどか「マミさん凄いかっこよかった。まるで昔見た……」

ほむら「でも、その魔法少女がやがて災厄を撒き散らす。それが魔法少女の真実よ」

まどか「!!」

ほむら「あなたが見た強さも、優しさも、最後はそれと同じだけの災いとなって返ってくる。それは巴マミとて例外ではないわ」

まどか「……そんな言い方」

さやか「事実だよ、まどか。あたし達魔法少女はそういうものだ」

まどか「さやかちゃんまで……」

さやか「……ま、でもあたし達魔法少女がいなかったらまどかは助かっていなかった。それもまた真実なんじゃないの?ほむら」

まどか「……さやかちゃん……」

ほむら「……それを否定はしない。私達魔法少女から産まれた魔女がいなければ、こんな事にならなかった事も含めて」

さやか「それはその通りだけどさ……」

ほむらはまどかを絶対に魔法少女にするべきではないと考えている
あたしはまどかを魔法少女にしたくはない。でも正しく魔法少女を理解し、その上で完全に自分の意思で魔法少女の道を選ぶなら、それはそれでしょうがないのかなと思っている
多分そこに関して、ほむらとあたしの考え方にはずれがある
……ほむらはまどかを魔法少女にしない事に固執している
世界が滅ぶこととは別に、もっとほむらの根本となっている理由があるのかもしれない



544:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:15:30.88 ID:6wK+w1qk0

--マミの家--

QB「帰ったみたいだね」

マミ「キュゥべえ……」

思わずマミはキュゥべえを睨みつけてしまう

QB「……君達はいつもそうだね。事実を知ると決まって同じ反応をする」

マミ「何故教えてくれなかったの?」

QB「聞かれなかったからさ」

マミ「人は知らない事まで聞くことはできないわよ」

マミ「でも、そうね。……あなたがいろいろな事を隠している事には気づいていた。気づいていながら、私は今までそのことに気づかない振りをしてきた」

QB「どういう意味だい?」

マミ「人の願いを叶え魔法少女にし、魔法少女は魔女と戦う宿命を背負う。……でも、その魔女は何故現われるのか。魔法少女とは何なのか。……そのことは今回の件ではっきり理解できた。でもまだ一つ、肝心なところが分かっていない」

QB「美樹さやかや暁美ほむらに聞けばよかったじゃないか」

マミ「うぅん。この事だけはあなたから直接聞きたかったの」

マミ「あなたの目的は何?あなたはこのシステムでどんな利益を手に入れているの?」

マミがずっと疑問に思っていたこと
それは、キュゥべえが魔法少女を作りそして魔女と戦わせる事に対して何を得ているのかということだ
まさか世界を守る為に慈善事業でやっているなど、とても考えられない
何か理由があるはず……でも、それを今までずっと聞くことができなかった
今の関係が崩れてしまいそうで、それがとても怖かった
でも、もうそんな事を言っていられる時期はとっくに終わりを告げている

QB「……君はエントロピーという言葉を知っているかい?」

キュゥべえは語った
彼らの作り出した、魔法少女システムの全てを



545:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:17:59.04 ID:6wK+w1qk0

マミ「なるほど、ね。つまりは魔法少女が魔女になる際に発生するエネルギーをあなたは回収しているというわけね」

QB「そうだよ。流石マミ。理解が早くて助かるね」

マミ「……でも今回。私が魔女に食べられてしまったら私のエネルギーの回収は出来なかったように思えるけど」

QB「別に全ての魔法少女のエネルギーを貰おうなんて考えてないさ。ただより多くの人間と魔法少女の契約をすれば、それだけ魔法少女が魔女になる回数も増える。……それに今回の場合、鹿目まどかという一番優先すべき人間がいた」

マミ「……美樹さんの話や、暁美さんの話を聞いて疑問に思った事があったんだけど、聞いてもいい?」

QB「何だい?」

マミ「美樹さんや暁美さんが最初にいた世界と今の世界を比較した場合に、鹿目さんの魔力が明らかに強くなっている。その原因は何?」

QB「それは僕にも理解できていない。でも一つ仮説はたてられる」

マミ「……」

QB「恐らく暁美ほむらがループを繰り返す度に鹿目まどかは強くなっていったんだろう。いくつもの絡まるはずのなかった並行世界の因果が鹿目まどかに集中した。そして今回、美樹さやかというもう一つの因果が加わり、鹿目まどかは最強の魔法少女となり、最悪の魔女となる素質を得た」

マミ「……やっぱり、そういう事なのね」

美樹さんが言っていた2回目のワルプルギスの夜。
キュゥべえの言うことから考えるなら、ワルプルギスの夜もまたいろんな人間の因果を吸い上げ、強くなっていったのだろう
だが、最初ワルプルギスの夜に、私と二人がかりで戦って負けた鹿目さんが、今やその強くなっているはずのワルプルギスの夜なぞ比較にならないだけの素養を手に入れている
疑うなら、暁美さんや、美樹さんしかいない
……いや、実質暁美さんのループこそが最大の原因なんだろうけれど……

QB「しかしこんな事、ループを繰り返していた本人である暁美ほむらはとっくに気づいているはずだよね。どうしてこんな無駄な事を繰り返すことが出来るのか、マミには理解できるのかい?」

マミ「……恐らく、暁美さんにとって鹿目さんが大切な友達だからよ」

QB「その結果その大切な友達が最強の魔女となり、世界を滅ぼす事になってもかい?……やっぱり僕には人間の感情は理解できないね」

マミ「……」

あぁ、もうキュゥべえと元の関係を築く事は出来ないんだなと
そう感じた時、マミは少しだけ泣きそうになった



546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:20:53.53 ID:6wK+w1qk0

--次の日 ほむらの家--

マミ「大したものね。これだけ調べあげるなんて……」

ほむら「この資料はかつてあなたが調べたものも含まれている。……他にも呉キリカの物も」

マミ「呉さん……確か美樹さんの言ってた」

さやか「……うん」

マミ「……」

さやか「マミさん?」

マミ「うぅん、なんでもない。それよりも今後どうするか、だけど」

ほむら「……佐倉杏子。彼女を戦力に加える」

マミ「佐倉さん……そう、よね」

さやか「……マミさん」

対ワルプルギスの夜。失敗すれば見滝原も、あたし達も終わる
……だがその場合であっても、佐倉杏子はあたし達に巻き込まれない限り、何事もなく生きていることができる

さやか「……やっぱりあたし達3人で倒す作戦を」

ほむら「ないわね。元々勝ち目の小さな戦いなのに、さらに勝ち目を薄くする理由なんてない。……あなたもわかっているはずよ。巴マミ」

マミ「……えぇ」

もうこうなった以上、私情を挟むわけにはいかない

ほむら「……巴マミが仲間になった今、さやかに杏子を任せる必要性がなくなった。佐倉杏子の勧誘は私がやる」

ほむら「さやかは見滝原をお願い。魔女の討伐の意味もあるし、ワルプルギスの夜に向けてグリーフシードを確保したい」

さやか「わかったよ……ってマミさんは?」

ほむら「巴マミはその体を何とかワルプルギスまでに使いこなせるレベルまでもっていって」

さやか「……あ」

あたしの回復魔法。やっぱり……

マミ「あなたが気をおとすことじゃないわ。これは全部私の責任なんだから。それに……大丈夫。たとえ本調子じゃなくても魔女相手に遅れなんてとらない」

ほむら「あなたが最も怖いのはその油断よ」

マミ「油断をするほど余裕はないわ。それにブランクを空けてワルプルギスに挑むような事だけは避けないとね」

ほむら「……あなたがこの時期に欠けると非常に痛いの。本当に気をつけて」

マミ「暁美さんこそ。……うっかり佐倉さんと戦いになれば、あなたの命だって危ない」

ほむら「……えぇ。それは良く知っている」

伊達にループを繰り返してきたわけじゃない
佐倉杏子の強さは身にしみている



547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:22:31.31 ID:6wK+w1qk0

結局話し合いの末、あたしとマミさんが見滝原の魔女を狩ってグリーフシードを確保し、ほむらがかざみのとその周辺の街をまわり、杏子を探す
そういうところで纏まった

ほむら「じゃぁ任せたわ。……何かあったら知らせて」

さやか「うん。まぁ、こっちは何かある要素もないとは思うけど」

お菓子の魔女も、趣の魔女も倒した。後この時期の見滝原で厄介な魔女というと、影の魔女ぐらいか

さやか「とはいえ、油断もできないか」

ワルプルギス前に、別の魔女に殺されましたなんていう落ちだけは避けないと

さやか「そうだ、ほむら。佐倉杏子の事なんだけどさ」

ほむら「何?」

さやか「お菓子の魔女騒動であたしは途中で打ち切っちゃったけど……多分あいつ、あたし達が探している事に気づいている上で立ち回っている気がする。ただの勘みたいなもんだけど……一応気をつけて」

ほむら「……分かったわ」



548:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:24:15.45 ID:6wK+w1qk0

マミ「二人で別れて行動して、魔女を発見したらもう片方に連絡。……それでいい?」

さやか「うん。無理に仕掛けないで。マミさんは万全じゃないんだから」

マミ「それぐらいわかってるわ。……頼りにしてるわよ。美樹さん」

さやか「任せて!」

マミ「……」

1年後の未来から来たという意味では、佐倉さんと大体同じぐらいキャリアということになる……もし、佐倉さんにあの出来事がなければ、同じような魔法少女に育っていたのかも……

さやか「マミさん?」

マミ「うぅん。なんでもない。……それじゃぁ魔女探し、開始しましょう!」

さやか「了解!」



549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:26:27.14 ID:6wK+w1qk0

--郊外の裏路地--

さやか「……いきなり遭遇ですか」

魔女ではない。恐らく使い魔……にも関わらず結界が作れるまで成長している
ただこの程度の相手ならマミさんを呼ぶまでもない
……むしろ、問題は何故あいつがここにいるのか……いや、今はそれを考えるのはよそう

さやかは剣を召喚し、使い魔に投げつけた
その投剣は真っ直ぐ、正確に使い魔に向かって飛んでいく
だがその正確さ故に、守る側としては実に容易い
さやかの剣は、槍によって弾かれる

杏子「ちょっとちょっと。何やってんのさ」

さやか「!?」

隠れているのは気づいていた
だが、まさかこのタイミングで動いてくるとは思っていなかった
使い魔を助けた……でも、何の為に?

さやか「どういうつもり?」

杏子「どういうって……あれは魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードなんて持ってるわけないじゃん」

さやか「それでも人間を襲う事に変わりはない」

杏子「だから、4、5人食って魔女になるのを待てっての」

杏子「弱い人間を使い魔が食う。それが育って魔女になったらあたし達が食う。これが当たり前のルールなんだからさ」

さやか「……」

千歳ゆまと会わなかった佐倉杏子
それが今、目の前に立っていた



550:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:28:28.92 ID:6wK+w1qk0

実のところ、この佐倉杏子の考え方自体に異論はない
使い魔を倒すのにだって魔女ほどではないにしろ殺されるリスクはついてまわるし、そうでなくても魔力の消費は避けられない
にも関わらず倒したとしても、何の見返りも得る事が出来ない
だから魔女になるのを待って、その上でしっかり見返りが得られる状態になってから倒す
……千歳ゆまと会うことがなく、ただ一人で生きてきた魔法少女
それ故の理屈だ。間違っているとは思えない。だけど……

杏子「まさかとは思うけど、あんた、やれ人助けだの、正義だのお茶らけた冗談かます為にキュゥべえと契約したわけじゃないよねぇ」

さやか「……」

さやかは無言で剣を投げつけた
杏子はそれをあっさりかわす

杏子「いきなり何すんのさ」

さやか「弾かれなくてよかった」

杏子「何……まさか!?」

悲鳴が聞こえた
杏子が避けた先には先ほどの使い魔の結界が広がっており……使い魔にさやかの剣が突き刺さっていた

杏子「てめぇ……!!」

さやか「……その通りだよ」

杏子「……?」

さやか「さっきの話。契約した理由とは少し違うけど……人助け。正義。そんなお茶らけた冗談を、お茶らけた冗談にしない為にあたしは戦っている」

杏子「!!」



551:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:31:11.94 ID:6wK+w1qk0

さやか「まぁ、あんたは多分魔法少女とは何かってのをあたしに教えてくれる為に言ってくれたのかもしれないけどさ……。一応それ、理解はしてるつもり。でもその上であたしはこの道を選んだんだ」

杏子「……」

甘ったるい正義
かつて自分が目指そうとして、挫折した道
その道を進んでいる魔法少女が目の前にいた
……その事に対して、ひどい苛立ちを覚える

さやか「いきなり剣を投げたのは悪かったよ。でもそのままの位置でも当たらないぎりぎりのところを狙ってってぇえ!?」

杏子の投槍がさやかに襲い掛かった
完全に予想外の攻撃だったが、さやかはあわててそれを回避する

さやか「な、何するんだよ!!」

杏子「さっきのお返しだよ。……あんたの考え、あたしが叩きなおしてやる。もう二度とそんな下らない正義なんてものを言えなくなるぐらいにな」

さやか「……杏子。あんたにはあんたの考え方があるように、あたしにはあたしの考え方がある。そこを踏み越えるような行為は」

杏子「……何であたしの名前を知っている?」

さやか「……あ。えぇと、それは」

杏子「……巴マミを知っているのか?」

さやか「え?……うん。よく知ってる」

杏子「……そういう事かよ……」

巴マミとあたし、考え方はどんどんずれていっているのは気づいていたし、いつかはこんな日が来るとは思っていた
ATM強盗や空き巣を繰り返す日々。……そんな魔法少女を巴マミが許すはずはない
見滝原から魔法少女が来ている事に気づいた時、何となくそういう事なのかと気づいてはいたけれど……認めたくはなかった。だから逃げ回っていた
けど、もうこうして巴マミの仲間である魔法少女にここまでちょっかいを出してしまった以上、今更引き下がることはできない

杏子「もう逃げるのはやめだ。あんたを倒して、巴マミも倒す。あの黒い奴もその後ぶちのめす。それで見滝原との関係はしまいにする」

さやか「……ストップ。何か勘違いをされている気がするんだけ」

ぞっとするような殺気
……佐倉杏子とは何度か戦ったことがあるが、恐らくこれほどの殺気は最初に会った時のただの一度きり。とはいえその時はこの殺気を正しく読み取るほどの技術はなかったが……
駄目だ。杏子がこうなったらもう引くことはできない

さやか「……一つ、提案があるんだけど。負けた方が勝った方の言う事を一つ聞くというのはどうだろう」

杏子「……なんだそれ。……別に構わないさ。もっとも終わる頃にはあんたは口を開くことすら出来なくなってるだろうけどな!!」



552:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 00:44:43.07 ID:6wK+w1qk0

ここまで

キリカ再登場は三部ではないと思う。織莉子、ゆまも同様に
あるとしてもちょい役かなぁ……
いつかまたキリカメインな展開をやってみたいもんだね
いいアイディアがさっぱり思い浮かばないが……



557:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/02(木) 08:02:10.76 ID:P5iUqNIDO

乙乙!
戦闘は避けられないか・・・
とはいえ素質も経験も同程度だから相手の手札を知ってる知らないはかなり重要だな



565:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:32:55.26 ID:BWNbakE/o

杏子「くらいな!」

杏子の多節槍による連撃
最初に杏子と戦った時はこれの対処がうまく出来ずいいようにやられた気がする
……昔の話だ
さやかは杏子の多節槍を的確に剣で防ぐ

杏子「大口叩いた割にこの程度かい!正義の味方!」

さやか「……」

中途半端に攻めに転じたところを潰す
その為の挑発だろう
……とはいえ、このまま守りつづける理由もない
さやかは速度向上の魔法を使い一気に杏子との間合いを詰める

杏子「……!?」

杏子は慌てて後退しつつ槍を通常モードに切り替えた

さやか「遅いよ」

その後退する杏子に向かってさやかは投剣を放つ
杏子は投剣を槍を回転させて弾き返す
だが、さやかは投剣の一本だけ杏子の近くで速度を上げ、杏子の槍を突破させた

杏子「ぐ!!」

杏子の右足に、さやかの剣が突き刺さった

杏子「やるじゃん……少し舐めすぎたか?」

杏子は刺さった剣を引き抜く
……こんな状況でなければすぐにでも回復魔法を使いたいのだが
でもそれは杏子への侮蔑になってしまう
なら、あたしに今出来ることは一つしかない

さやか「……きなよ杏子。全力で相手してあげるからさ」



566:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:34:00.34 ID:BWNbakE/o

杏子の槍とさやかの剣が交わる
杏子の攻撃、その途切れ目をさやかは的確に狙って潰しにいく

杏子「……ちぃ!」

幾度目かの斬撃
杏子は確実に手傷を負っていくのに対し、さやかはここまでノーダメージだ

杏子「畜生……なんであんたみたいな奴に……!」

さやか「……あんたはあたしを知らないけど、あたしはあんたをよく知ってる。だからこれは当然といえば当然の展開なんだよ……」

技術の差でも、まして思いの差なんてものでもない
ただ、相手の技を知ってるか知らないか
本当にそれだけ

杏子「……わけわかんねぇこといいやがって」

さやか「まだ続ける?もう結果は見えてる気がするんだけど」

杏子「ふざけんな!……まだあたしはやれる!」

さやか「……」



567:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:36:55.58 ID:BWNbakE/o

杏子「っが!!」

杏子の動きは明らかに鈍っていた
杏子の槍をかいくぐって放たれたさやかの回し蹴りが杏子の腹部に直撃する
杏子が後ろに弾き飛ばされた
さやかはこれを追撃を誘う罠と判断し深追いをしない

杏子「……っち、かからねぇか……」

杏子はちょくちょく罠をさやかに向けて仕掛けている
だがそれを全て読まれ、裏をかかれてしまっている
……あたしをよく知ってるか。あながち嘘でもなかったのかもしれない
でも……

杏子「それでもあたしは、あんたを認めるわけにはいかない……!!」

かつて切り捨てた正義
その正義に負けるような事はあってはいけない
そうでなければ、巴マミを振り切ってまで通した覚悟が何の意味もないものになってしまう

さやか「……」

……手加減はできない
なら、せめて次の一撃で終わらせる



568:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:39:02.76 ID:BWNbakE/o

さやかは一刀流に切り替え、速度向上魔法をかける
さやか必殺の剣技、『スクワルタトーレ』
対する杏子も突撃の構えを取る

杏子「……そういや聞いてなかったな……あんたの名前、なんていうんだ?」

さやか「……さやかだよ。美樹さやか」

杏子「……じゃぁ、いくぜ!さやか!」

杏子の突進。ただ、もう明らかに速度が落ちている
さやかのスピードに対応できるものではない

さやか「スクワルタ……」

だが、さやかはこの杏子に妙な違和感を覚えた
そうだ。これはあたしが初めて杏子と戦った時にとった……!
杏子は途中で一気に加速してきた
つまりは最後の一撃を速度以上に見せる為の戦法
なら、かつての杏子と同じように幻術で……
……それは駄目だ。ここは槍を避けて、そのまま反撃に持っていく



569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:41:19.44 ID:BWNbakE/o

以前さやかは杏子の願いについて話を聞いていた
かつて家族を救う為に願いをしたこと
その願いが、家族を壊してしまったこと
そして、そのトラウマで杏子は自身の幻術技が使えなくなってしまったこと
その知識があったから、さやかは杏子がこの技が使える可能性を頭から外してしまっていた
それが完全に裏目に入る

さやか「ロッソ……ファンタズマ……!?」

さやかのところまで辿り着いた槍は、そのまま杏子ごと消失した
反撃を狙ったさやかの剣は完全に空を切る
トラウマを克服できていない杏子に幻術技はない
確かにそれは事実ではあったが、杏子はこの一時だけそれを乗り越えたのだ

本物の杏子は上空
既に一撃必殺の槍撃が、さやかに向けて放たれている

さやか「っく!」

そうだ、こういう事が出来るのが杏子だった
頭では理解していたはずだったのに……!!
さやかは体制を崩しながら、それでも防御の体制をとる



570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:45:03.01 ID:BWNbakE/o

--マミの家--

杏子「……ここは?」

凄く懐かしい気がする
そうだ、ここはマミの……

杏子「……っつ」

頭が痛い。……そうだ。あたしはロッソファンタズマを使い……そのまま気絶したのか
……あんな魔法。もう二度と使う気もなかったけど
だからこそこの魔法ならば裏をとれる。そう考えた

杏子「……これはマミのベッドか」

そしてすぐ近く。そこにはついさっきまで戦っていた相手が椅子に座りながら眠っていた

杏子「……おい!!」

さやか「!?」

さやかは慌てて目を覚まし、杏子が起きている事を確認してほっと胸をなでおろす

さやか「よかった。目を覚まさなかったらどうしようかと思ったよ……」

杏子「何であんたがそんなに心配してんのさ……」

杏子「……ここはマミの家だろ?マミの奴はどうした」

さやか「マミさんなら今、外に買出しにいってるよ。いろいろあんたと話したいことがあるって言ってた」

杏子「……そうかい」

特に拘束されているわけでもない
……てっきり巴マミがあたしを殺そうとしてるぐらいに考えていたが、誤解だったようだ
まぁ、実のところこの青いのと戦ってる最中に薄々気づいてはいたが
こっちが殺気を放ってるのに、さやかの殺気は何ひとつ感じ取れなかった

杏子「……結局、あんたとの戦い。最後はどうなったんだ?」

さやか「……杏子の勝ちだよ。杏子の槍は確実にあたしを捉えていた。……もしマミさんが止めてくれなかったら、あたしはやられてた」

杏子の最後の攻撃とあたしの剣がぶつかる前に
駆けつけたマミさんの拘束魔法があたし達を包んでいた
あれがなかったら多分、杏子の槍はあたしの剣を弾き飛ばし、見事あたしの体を貫いていただろう
……最初に戦った時も幻術、今回も幻術
つくづくあたしって進歩のない……

杏子「……負けた方が勝った方の言う事を一つ聞く。だったか?」

さやか「う……その、出来る限りの方向で。使い魔を倒すなとかそういう生き方そのものをひっくり返しかねないような話はやめてほしいな……」

正直に言って、負けるケースを全く想定していなかった
杏子はあたしに何を要求するのだろう……

杏子「……あんたさ。馬鹿ってよく言われない?」

さやか「……?何だよ突然」

杏子「別に」

この状況なら勝敗なんていくらでもでっち上げられただろうに
どうして馬鹿正直に自分が負けたなんて事を言う必要があるのか



571:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:47:39.03 ID:BWNbakE/o

杏子「何故あんたがあたしをここまで知っていたか。それを教えてくれ」

さやか「……え?熱?」

杏子「何でだよ……そもそもあんたが勝手にした約束だし、あたしがあんたに求めてる事なんかそうあるわけないだろ」

さやか「……あたしは未来から来ていて、未来の杏子と何回も戦ったことがあった。だから杏子の手の内も知っていた。……というのが答えだったりするんだけど」

杏子「……でもあんたの能力、時間系にも思えなかったけど?」

さやか「あたしの友人が時間系の能力をもっててさ。その人の力で飛ばされてきて、あたしは今ここにいる……という」

杏子「なるほどね。……未来から、か。確かにそれなら一応の説明はつく」

さやか「……え!?信じるの!?」

杏子「嘘ついてんのか?」

さやか「いや、そういうわけでもないけど……」

普通いきなり言われたら疑うと思うんだけどなー……

杏子「あんたのあたしを知っているのレベルが何回か戦ってる相手って話じゃないと説明がつかなかったんだよ。マミの奴だって別れて以降あたしと戦った事なんてなかったしな」

杏子「後は幻術魔法か。マミから聞いているならあんたは当然あたしの幻術魔法を知っていたはず。なのにあの時、あたしの幻術魔法を考慮から外していた」

しかもマミは、あたしが幻術魔法が使えなくなった事に気づいていなかった

杏子「……あんたは使えない事情がある事を知っていた。違うか?」

さやか「……正解。あんたが幻術魔法が使える事は知っていたけど、だからこそ今のあんたが使えるなんて思っていなかった」

ロッソファンタズマ
あれを杏子がまた使えるようになるまでどれだけ苦しんだか知っていたから
たとえ土壇場であろうと、あれが使えるようになるなんて想定をしていなかった

杏子「……あそこでのあたしの策は結果として大当たりだったわけだ」

さやか「でも無茶だよ……あんた、あれで気絶してたじゃん。もしマミさんがリボンで止めてくれなかったらあたしを巻き込んで地面に激突だよ」

杏子「それぐらいやんなきゃあんたには勝てないと思った」

さやか「……どうしてそこまで」

杏子「……あんたという存在を、認めたくなかったんだよ……」

甘っちょろい正義
そんなものを掲げてここまでの強さを持つ魔法少女なんてのを認めたくなかった
……もうあそこまでやられた時点で認めざるをえなかったが



572:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:49:09.17 ID:BWNbakE/o

杏子「でも何でわざわざ未来から?何か理由があるんだろ?あんたが隠してること含めて全部話しなよ」

さやか「え……うーん……でも……」

杏子「……負けた方は勝った方の言う事を何でも聞くんだよな」

さやか「……話すけど……この辺はあまり楽しい話じゃないよ。ひどい話のオンパレードだし」

マミさん死んだり、魔法少女の真実だったり……

杏子「いいから話しな」

さやか「……後悔してもしらないよ?」



573:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:52:12.36 ID:BWNbakE/o

さやか「……という話」

杏子「……」

さやか「……大丈夫?」

杏子「待て。……ちょっと整理させろ」

杏子「……つまり、今の話を総合するとだ」

杏子があたしを睨みつける
……まぁ、全部話せばそうなるか

杏子「あんたはさっき全力を出していなかったどころか、ほとんどの技を封印して戦ってたってわけか?」

……そこ!?

さやか「ちょっと待って。そこ以外にもいっぱい重要なところが」

杏子「あたしの最後の突撃。あんたは剣で捌かなくても、幻術を使って避けるという選択肢があった。……何故幻術を使わなかった?」

さやか「……それは……」

あたしの幻術技は杏子の使っていた魔法のコピーだ
……下手に使えば、それは杏子のトラウマを想起させてしまう
だから使えなかった……などと言えるわけもなく……

杏子「あたしに気を使ったわけか」

さやか「……!」

言うまでもなく、読まれた

杏子「つまり、あんたは相手に気を使って自分の技を封印し、その相手に危うく殺されるところだったわけだ……本当に馬鹿だな。あんた」

さやか「……」

杏子「……なぁ、一つ聞いてもいいか?」

さやか「うん」

杏子「魔法少女が魔女になるって話。あんたはどう考えてる?」

さやか「いつか魔女になるにしたって、今すぐってわけでもないしね。それまではあたしのやりたいように生きる。それがあたしにとっての正義の味方」

杏子「やりたいように……か」

さやか「そうだよ。あんたとおんなじ。かなり方向は違うけどさ」

杏子「……どおりで、強いわけだ」

人の為の魔法を使う
願いに裏切られようと、魔法少女の結末が魔女だと知っていてもそれが貫けるのなら
絶望に負け潰れてしまったあたしなんかより、強くて当然ってわけか



574:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:56:48.79 ID:BWNbakE/o

さやか「別に強くなんかないよ。現実、あたしは負けたわけだし」

杏子「手加減した上での話だろ?普通にやりゃあんたが勝ってた」

さやか「手加減というか……ポリシーというか……」

杏子「……あたしを仲間に引き入れる為に戦ったんだから、殺せなかったのは仕方ないと思う。でも、だからって相手の気を使ったり、変なポリシーで技を封印する必要はないだろ。相手を知ってる事も含めて、全てあんたが持ってる手札なんだからさ……なんて話は、多分未来のあたしもしてるんだろうな」

さやか「……うん」

杏子にも、キリカにも言われた
……今回の戦い、キリカに見られてたらどう言われたんだろう……

杏子「……ベテランなのか、トーシロなのかよくわかんないよな。あんた」

さやか「うー……自覚はあるんだよ。あるんだけど……こう、譲れないものが……」

杏子「お仲間の魔法少女も、さぞかし頭が痛かっただろうさ」

さやか「……返す言葉もない」

杏子「まぁ、でもそんなあんただから……」

未来のあたしも、その仲間の魔法少女もあんたに惹かれたのかもしれないな

さやか「……?」

杏子「……何でもないよ」

さやか「言いかけてやめるなよー!」

杏子「うぜぇ!……付き合ってやるよ。ワルプルギス退治。それなりに見滝原には世話になってたしな」

さやか「!?……本当!?」

杏子「嘘言ってどうすんだよ」



575:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 10:58:34.06 ID:BWNbakE/o

--マミの家の外--

ほむら「……自分の部屋の前で何をしているの?巴マミ」

マミ「別に。ただ、外の空気がおいしくてね」

ほむら「……今日も、佐倉杏子を見つけられなかったわ。明日はさらに探索範囲を広げてみようと思う」

マミ「もうその必要はなくなったみたいよ」

ほむら「……?」



576:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/12(日) 11:10:59.15 ID:BWNbakE/o

スクワルタトーレ……
書き始めた頃は、PSP版発売日付近まで続ける事を全く想定していなかったからなぁ……

以下設定的な話

さやかが今回封印してたのは、速度低下・幻術・痛覚遮断の三つ
理由は借り者の力を使って杏子に勝ってもとか、
ソウルジェムの真実を知ってれば簡単に使える技術を使うのは卑怯だとかそんなん
ちなみに自分もたまに設定そのものを忘れてしまうさやかeyeは今回使用していた
何か裏があるな→今までの杏子の戦術と照らし合わせ→回避という手段をとられてたので、そりゃ杏子のトラップに引っかかる要素はない
そこそこにチート。だけど、二重トラップに弱いという弱点もあったりする
そういや公開するタイミングを完全に逸してしまったけど
マミさん回でさやかが睡眠薬飲んじゃった時
実はこのさやかeyeでマミさんが何か隠してるっぽい事は見えていた
けれど、最終的に自分の目よりマミさんを信じてしまったという。さやかeye、かなり宝の持ち腐れ



583:saga:2012/02/19(日) 16:43:39.02 ID:tYvV9aiSo

--マミの家--

マミ「佐倉さん……」

杏子「……別に今更正義の味方に戻る気はないよ。ワルプルギスの夜を倒すまでの関係だ」

マミ「えぇ、わかってるわ。でもそれまでは、チーム復活ね」

杏子「……っけ」

マミが杏子に手を差し出し、杏子がその手をとる

さやか「あたしもいるぞー!」

ほむら「……」

4人揃った
……揃ってしまった
これであのワルプルギスの夜に……

ほむら「……」

さやか「……ほむら!?」

倒れそうになるほむらを、あわててさやかが受け止める

さやか「ほむら!どうしたのさ!!」

ほむら「……なんでもないわ」

マミ「……大丈夫なの?少し横になったほうが」

ほむら「今は杏子が寝てるじゃない。いいから私はほっておいて」

杏子「あたしはもう大丈夫だよ。この青いのがしつこいぐらいに回復魔法かけてたみたいだしな」

ほむら「……別にいい。頼むから今の私に構わないで」

さやか「……」

さやかの電話の着信音が響き渡った

ほむら「……あなたのよ。出たら?」

さやか「……うん」

……まどかだ

さやか「どしたの?まどか」

まどか「さやかちゃん!助けて!!」

さやか「!?」



585:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 16:45:48.65 ID:tYvV9aiSo

まどか「仁美ちゃんの様子がおかしいの!他のみんなも……」

さやか「まどか、落ち着いて。今の周りの状況を詳しく……うん、わかった……すぐ向かう」

ほむら「まどかに何かあったの!?」

さやか「魔女の口付けを受けた人達にまどかが捉われてる。仁美……あたしの親友も魔女の口付けにやられてるみたい。すぐに助けにいかないと」

マミ「……佐倉さん。あなたはどうするの?」

杏子「チーム組んでる間はあんたらに従うよ。それに複数人に魔女の口付けを使えるような奴なら間違いなく『魔女』だろ。狩らない理由はないさ」

ほむら「……まどか……!」

マミ「暁美さん待って!チームを二手に分けましょう。暁美さんと美樹さんは魔女の口付けを受けた人達を止めてもらってもいい?私と佐倉さんで魔女を叩く」

さやか「わかった。……ほむら、大丈夫?」

ほむら「大丈夫よ。あなたが何を心配しているかわからないけど」

さやか「……」

いろいろ心配だよ……

杏子「あたしも別に異論はねぇよ。とっとと片付けちまおうぜ」



586:>>584 thank!書き込んだ後気づいた:2012/02/19(日) 16:50:23.17 ID:tYvV9aiSo

ほむら「……恐らくあなたなりの意図はあるのでしょうけど」

さやか「?」

ほむら「あなたは佐倉杏子と戦って負けた。本来なら、あなたはそこで終わっていた」

さやか「……」

ほむら「それだけではない。もしマミがあの時入れたのが睡眠薬ではなく、毒薬だったら?あなたの回復魔法でもおいつかないものであったなら、あなたは死に、まどかは契約していた」

ほむら「あなたは睡眠薬にも薄々気づいていたし、佐倉杏子にも本気を出せば何の手を打たせずに勝つことだってできたはず。違う?」

さやか「後の方は違う。もしもあたしが全ての力を駆使して戦っても、あの杏子に何の手も打たせずに勝つなんて事は不可能だよ」

さやか「……それに、あたしは本気だった。あたしがあの時持てる最高の状態で戦ったつもりだよ」

速度低下や幻覚を使わなかったのは自分の我侭という理由もあるけど
これを使って杏子と戦った場合、自分の精神的な揺らぎが予測不可能という問題もあった

ほむら「……」

さやか「……見えてきたよ。まどかに……街の人達。仁美もいる」

……それにしても、これだけの人間を一度に操るなんて……

ほむら「ハコの魔女の仕業ね」

さやか「ハコの魔女?」

……見滝原にそんな魔女いたっけ?
まぁあの時数多くの魔女に会ったけど、あれで見滝原の全ての魔女だったわけでもない
あたしの知らない魔女がいたってそれは不思議な事ではないか



587:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 16:52:02.42 ID:tYvV9aiSo

仁美「邪魔をしてはいけません。あれは神聖な儀式ですのよ」

まどか「だって、あれ危ないんだよ?ここにいる人達、みんな死んじゃうよ!」

仁美を止めようとしたまどかを、仁美は殴りつける
まどかが苦しみ悶え……

さやか「……ほむら、落ち着け」

ほむら「落ち着いているつもりだけど」

仁美がまどかを殴った瞬間
威圧感だけで人が殺せそうなレベルの殺気がほむらから放たれていた
……どこが落ち着いているんだ……

さやか「あたしは仁美込みであの辺一帯を。ほむらは『それ以外』を。任せたよ」

ほむら「……わかったわ」

今のほむらに仁美を任せるのはまずすぎる
それに今回仁美がこの中に混ざっているのはひょっとして……



588:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 16:54:01.90 ID:tYvV9aiSo

仁美「そう。私達はこれからみんなで、素晴らしい世界へ旅に出ますの」

仁美「それがどんなに素敵なことかわかりませんか?」

さやか「へぇ、恭介のいない世界にね。……どういうつもりだよ。仁美」

仁美「!?さやか、さん?」

まどか「さやかちゃん!ほむらちゃん!」

ほむら「まどかは私の後ろに隠れていて」

まどか「う、うん!」

さやか「ほむら、操られてるだけで普通の人達なんだから。間違えても銃乱射とかやらないでね」

ほむら「安心して。殺さない程度には抑えるつもりよ」

あたしは衝撃波、ほむらは対人用麻酔銃を使って相手を気絶させていく。……ておい!

さやか「それ!大丈夫なの!?」

麻酔銃だって場合によっては人死ぬよ!

ほむら「魔法で調整はかけてる。大丈夫なはずよ」

そもそも対人用麻酔銃なんて、日本じゃ正式には使われていないはず……
……もう何も言うまい



589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 16:56:55.63 ID:tYvV9aiSo

仁美「さやかさん……あなたにはこの素晴らしさが理解できないんですか?生きてる体なんて邪魔なだけですのに」

……ひどい皮肉だよ、それ

さやか「欠片も理解できない。大体……仁美の言う素晴らしい世界に、恭介はいないんだよ。仁美は恭介が好きなんじゃないの?」

仁美「……上条君の事なんて、何とも思っていませんわ」

さやか「……」

この時点で仁美が恭介を好きになっていない可能性もあるけど……

さやか「なら、仁美が死んだ後あたしが恭介の事もらうことにするよ」

仁美「そんなの駄目!!!」

……仁美はあたしよりよっぽど強い
少なくとも魔女の口付けなんかにやられるような子じゃない
でももしやられるとするなら……

仁美「いぇ……でも上条君にはさやかさんが……」

あたしのいた世界でも、仁美が病院で検査を受けていた時期があった
確か夢遊病だったとか……
あれはこの魔女の仕業で、まどかかマミさんが倒していた?
そしてその後に何か仁美の吹っ切れるような出来事があったのかもしれない
……今となってはもう確かめようのない昔話

さやか「大丈夫だよ。恭介の事、あたしは何とも思っていないから。仁美は何も気にせず、恭介と付き合っていいんだよ」

仁美「嘘ですわね」

さやか「……」

仁美「まどかさんほどじゃないかもしれないけど、私はあなたをずっと見てきました。上条君をあなたが見る目も。……あの事故があった日の事も。なのにどうしてあなたはそんな事が言えるんですの?」

さやか「……仁美、それは」

それはもう、あたしが人じゃないからだよ……



590:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 16:59:36.81 ID:tYvV9aiSo

杏子「そりゃ魔法少女4人で突入かけりゃ、並の魔女なら逃げの一手に出るか。……マミ、分かるか?」

マミ「えぇ、……こっちよ!」

杏子「……」

まるで昔みたいだな。そういいたくなったが、ぐっと堪える
その言葉はお互いを傷つける結果にしかならない

杏子「そういえば、マミ。体の方は大丈夫なのか?」

マミ「心配されるほどのレベルではないわよ。……でも何故あなたがそれを知ってるの?」

杏子「……キュゥべえから聞いたんだよ。マミが重傷を負ったってな」

マミ「……」

杏子「……見滝原の魔法少女がかざみのに来ていた時、てっきりあたしはあんたがあたしを殺そうとしてると思った」

マミ「!?……そんな事、私がするわけないじゃない……あなたは私の……」

杏子「そうだよな。あんたはそういう奴だった。……ごめんな。……まぁ、もしあたしを殺すなら、いの一番であんたが来ると思ってたからね。何かあると思ってた矢先にキュゥべえから話を聞いて、まず直接あんたと話がしたいと思ったのさ」

マミ「それがあなたが見滝原にいた理由だったのね……」

杏子「その途中で青いのと会って、うっかり喧嘩ふっかけちまったけどな。……あいつ、マミの次ぐらいには強いんじゃないか?仮にあいつがあたしの事を何も知らなかったとしても、勝てるとは思えねぇ」

マミ「……あの甘さがなければ、だけど」

杏子「あんたがそれを言うかぁ?あたしと戦った時手加減しまくりだったじゃねぇか」

マミ「あれから、いろいろ考える事もあったのよ」

もし、あの時佐倉さんが一切の加減もなく斬り込んでいたとしたら
私はあのまま終わっていた



591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:01:24.92 ID:tYvV9aiSo

杏子「……でも、さ。あたしはあの時覚悟とかいったけど、あんたはあんたで必死に止めようとしてたんだよな」

あの時いっちょ前に覚悟といったけれど、そもそも覚悟といったっていろんな種類がある……そんな事もあたしは見えていなかったのかもしれない

マミ「……その話はもうやめましょう。……ここね」

魔女結界を前にし、巴マミは戦闘態勢に入る

杏子「……なぁ、下らない話をしてもいいか?」

マミ「何?」

杏子「魔法少女が魔女になるならさ。……魔女になった奴を、元に戻すことだって出来るんじゃねぇか?こう、魔女を倒したらぽーんとソウルジェムが出てきたりしてさ」

マミ「……私がその事実を知った時。似たような事を考えてキュゥべえに聞いてみたの。キュゥべえは『前例はない』と言っていた」

杏子「それはつまり、あいつの知らない事もあるって」

マミ「つまり不可能ということよ。キュゥべえと魔法少女との関係はここ数十年なんてレベルじゃない。何千年。いえ、何万年の話になる。その中で過去にただの一度も成功した事例がない。それはそのまま不可能と受け止めていいと思う」

杏子「……悪い、本当に下らない話だったな」

マミ「……あなたは変わったようで、変わらないのね」

根本に優しさがあるから、悪に徹しきれない
美樹さんを殺そうとしてたという話は聞いたし、確かにあの最後の一撃は美樹さんを的確に捉えていたけど……私があのまま止めなかったとして、美樹さんを佐倉さんが殺すような事はなかったと思う

杏子「……うっせぇ」

マミ「じゃぁ、先輩としてあなたがこの一年。どこまで強くなったのか見せてもらおうかしら」

杏子「今更そういう事言わないでくれよ……ま、あんたは万全じゃないし、そこまで無理もできないんだろ。後ろでのんびり紅茶でも飲んでりゃいいさ」



592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:06:27.55 ID:tYvV9aiSo

さやか「と、とにかく。仁美が死ぬ必要なんて全くないんだって。ただ仁美は自分の幸せだけを考えればいいんだよ」

仁美「話を逸らさないで!……そうやってあなたは笑って、自分の気持ちに目を背ける。……そうなるだろうと思っていた。だから私は前に進む事も出来なかったのに……」

さやか「……仁美?」

仁美「あなたは臆病者です。人の幸せを願ってるようなことを言って、自分が幸せになれない事の言い訳にしている」

さやか「……そ、それは」

仁美「いつまでそんな事を続けるんですか。この『偽善者』」

さやか「……!!」

さやかは仁美を引っぱたいた

さやか「……いいたい事ばっかいって。あたしがどんな気持ちであんたに恭介を……」

仁美「……!」

仁美はさやかを引っぱたき返す

仁美「その気持ちを話してくれないから!!……いい加減にしてください。あなたのその自分勝手な善意がどれだけ私を傷つけてきたか、考えたことがあるんですの!?」

さやか「……今更だよ。今更、本当の気持ちなんて言えないし、言う気なんてなかった。もう諦めてたのに……!」

仁美「それで私の気持ちも……上条さんの気持ちもないがしろにして。貴方は何がしたいんですか!!」

さやか「……『魔法少女』でもないあんたに、あたしの気持ちがわかるのかよ!!」

さやかは仁美を殴りつける
仁美がそれに応酬する形になって……

まどか「仁美ちゃん!さやかちゃん!やめ」

ほむら「いえ……多分この二人はこれでいい」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「……」

結局仁美以外をほとんど自分が相手する羽目になってしまった
それほど苦でもなかったから別に構わないが……
以前美樹さやかはこの『上条恭介問題』に関して策があるといっていた
美樹さやかがどんな策を用意していたのかは今となっては知りようがないけれど
でも、今この状況はそれほど悪いものとは思えない

ほむら「それにしても、こんな状況化でもしっかり手加減は忘れないのね。美樹さやかは……」

仁美の首筋から、魔女の口づけは既に消えてなくなっていた



593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:11:50.98 ID:tYvV9aiSo

--魔女結界内部--

杏子「……最後のおいしいところだけ持っていきやがって……」

マミ「それは失礼。でも、紅茶を飲んでいるだけというのも退屈なものよ」

マミが使い魔、杏子が魔女を相手する形になっていたが
杏子がとどめに投槍で決めようとしていた直前で、全ての使い魔を倒し終わったマミのマスケット銃の連射が魔女を貫いていた

マミ「……以前に隠し弾を持った魔女にやられたことがあってね。これも同じ類ではないかと思って警戒したんだけど……」

佐倉さんの投槍
仕留めきれなければ、佐倉さんは槍のない完全に無防備な状態を晒す事になってしまう

杏子「あまりに動きがないから、ブラフで撃つつもりだった。ちゃんと反撃を受けた時の対抗策は考えていたよ。……いたんだけどな……」

……まさか、あれだけの人間の心を操作できる魔女が
戦闘面でこんなに弱いとは……

杏子「ま、まぁあんたのリハビリには丁度よかったんじゃないか?」

マミ「そうね。これで感覚にどれぐらい誤差があるかは調整できた。次の魔女戦では万全な状態で挑めると思う」

杏子「そんな事考えながら戦ってたのかよ。あんた」

相変わらず無駄だらけのようで無駄のない戦闘スタイルだ

魔女結界が消えていく
その場にはマミと杏子と、グリーフシードだけが残された

杏子「……悪いな。いつかあたしもそっちにいくだろうから、不平不満はその時に言ってくれ」

マミ「佐倉さん。早く美樹さん達と合流しましょう。魔女の口づけが解けても全ての人間の心がそのまま正常に戻るとは限らない」

杏子「あぁ。わかった」



594:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:16:22.34 ID:tYvV9aiSo

さやか「……ごめん。ちょっとやりすぎた……」

仁美「いえ……でも、本当の話が聞けてよかったですわ……。『魔法少女』、ですか。……ひどい詐欺もあったものですわね」

さやか「でも、そのおかげで恭介の腕は治ったし、あたしはあたしの正義を貫くことが出来てる。……本当にもう、諦めていたつもりだったんだよ?」

仁美「……キュゥべえさん!いらっしゃいますの!!私を魔法少女に変えてください!!願いは『上条さんが二度とヴァイオリンが弾けなくなる事がないようにすること』!」

さやか「!?ひ、仁美。何を言って……」

仁美「貴方の言う石ころになって。魔法少女の宿命を背負って。それで私は上条恭介さんに告白します。……私は貴方と違って上条さんを信じていますから」

さやか「……あたしが、恭介を信じていない……?」

仁美「えぇ。……私は自分が石ころになろうと、願いが何であろうと、それを上条さんが受け止めてくれると信じている。……貴方はどうなんですか?勝手に一人で悩んで、私にも上条さんにも何も言わなかった貴方は。上条さんの事を少しでも信じる事が出来なかったんですか?」

さやか「……」

あたしは……

仁美「……キュゥべえさん?いないんですか?」

さやか「……」

ほむら「……キュゥべえ。仁美に魔法少女になる事は可能なの?」

QB「不可能だ。残念ながら彼女に素質はない。僕を見る事もできない人間の願いを叶える事は出来ないね」

QBは今、まさに仁美の正面にいた
にもかかわらず、仁美にキュゥべえは見えていない

ほむら「……でしょうね。……消えなさい」

QB「僕を呼び出しておいてそれかい。本当にわけがわからないよ」

まどか「……仁美ちゃん……」



595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:19:57.65 ID:tYvV9aiSo

さやか「魔法少女は誰にでもなれるものじゃない。……あたしもよくわかってないけど、素質とか因果の量とか、いろんなものが関係して決まってるみたい」

仁美「……そん……な……じゃぁ、私は永遠にさやかさんと対等には……」

さやか「……後数週間もしたら、最強の魔女が現われる。仁美はなるべく多くの人を説得して、見滝原から避難させてくれないかな」

さやか「そして、最強の魔女を倒したら……そしたら、あたし達も決着をつけよう。あたしと仁美、どっちが恭介を愛しているのかを」

仁美「……さやかさん?じゃぁ」

さやか「ワルプルギスの夜を倒したら、あたしは恭介に告白をする。魔法少女の事も、あたしの思いも全て打ち明ける」

仁美「さやかさん!……負けませんわよ」

さやか「あたしだって!」


杏子「……で、何であの二人はあそこで少年漫画みたいなノリをやっているのか、説明してくれないか?」

マミ「私はどちらかというと、この死屍累々な状況を説明してほしいんだけど……」

まどか「えぇとそれは……あれ、ほむらちゃん……?」

ほむら「……」

これで、最後の問題も解決した
ワルプルギスの夜と戦う上でこれ以上ない状況が、『また』出来上がった
……いや、美樹さやかが戦力になる分、前よりさらに上
もうこれ以上の好機は二度と訪れない
つまり、これが最後の……

ほむら「……」

さやか「なんか恥ずかしいところ見せちゃったね。ほむら……ほむら?」

ほむら「」

さやか「ほむら!!」



596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 17:38:53.11 ID:tYvV9aiSo

第一部の時、魔女結界が出せない状態で外にほっぽりだされたハコの魔女は、他の魔女と比べても格段に弱体化しておりました
さやかちゃんが知らなかったのもそのせい。さやかちゃんがバーサヤカーモードに入った時、実はあの場に確かにいたんだけど
速攻で倒された為さやかちゃんの記憶にすら残りませんでした
一応使い魔も何匹か魔女になっていたけど、第二部辺り共食いが始まったせいでもう絶滅危惧種に……

というのはさておき、仁美編。やろうかやるまいかギリギリまで悩んだけど、いろいろ伏線放りこんでたし、まぁやるかぐらいな
これで後は最終戦を残すのみ!



598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2012/02/19(日) 17:45:28.37 ID:+RQRYLZxo


ワルプル戦でのかっこいいさやかちゃん期待してるよー



599:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/19(日) 19:44:48.76 ID:hurfXQWJo


この仁美は安心して見ていられるな



603:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:32:05.40 ID:i/FYKF2/o

--ほむらの家--

ほむら「……」

さやか「ふぅ……これでよし、と」

あたしはほむらを布団に寝かしつけた

さやか「ここ最近大変な事続いたからね。少し疲れが溜まってたんだよ」

ほむら「……さやか……ごめんなさい」

さやか「いいって。……それより、さ。少し嫌な事聞いてもいいかな」

……勘みたいなものだ。外れている可能性の方が高い
でももし真実だった場合、ワルプルギスの夜との戦いまでにこれを聞いておかないのはまずい

ほむら「……えぇ」

さやか「あたし達4人がこういう風に団結してワルプルギスの夜に挑んだ事、別に初めてってわけじゃない……の?」

ほむら「……えぇそうよ。あなたが上条恭介の事を乗り越えたのだってはじめてではないし、杏子やマミが一緒に戦ってくれたのだって初めてではない」

ほむら「そして、その周でも」

さやか「……」

ほむら「その周でも私は……あいつに勝てなかった」



604:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:33:04.80 ID:i/FYKF2/o

杏子「おいマミ。あいつら残して帰っちまって大丈夫だったのか?」

マミ「私達が集まって問い詰めるような話でもない。美樹さんに任せましょう」

杏子「?何を言ってるんだ?」

マミ「暁美さんは何度もループを繰り返し、その数だけ失敗を繰り返してきたそうよ」

杏子「ん?あぁ、確かさやかがそんな話を言ってたな。……それがどうしたんだ?」

マミ「……そのループの中で暁美さんが私達と力を合わせて戦った未来が一度もないと思う?」

杏子「……どういう意味だ」

マミ「……ワルプルギスの夜はループの回数ごとに強くなっているそうよ。恐らくその私達4人が揃って勝てなかった時よりもさらに」

杏子「……つまりマミは、あたし達はワルプルギスの夜に勝てはしないと、そういいたいのか?」

マミ「少なくとも今まで勝てた未来はないようね」

杏子「……」

マミ「……あなたは元々かざみのの魔法少女。こんな戦いに巻き込まれる理由は」

杏子は槍を召喚し、マミに突きつけた

杏子「それ以上言ったらあの時の決着をここでつける」

マミ「……佐倉さん?」



605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:34:32.44 ID:i/FYKF2/o

杏子「馬鹿にするんじゃねぇ!あたしは誰の意思でもない、あたしの意思でここにいる。その程度の理由であたしが引き下がると本気で思ってるのかよ!!」

マミ「……そう、ね。ちょっとだけ引き下がってくれたらいいかな、って思っただけ」

杏子「……」

杏子は槍をおろし、ため息をついた

杏子「くだらない事言ってんじゃねぇよ……あたしは戦う。あんたが何を言おうとな」

マミ「……あなたがこの戦いに拘る理由は何?」

杏子「あんたには言いたくない」

マミとかつて一緒にすごした
その見滝原をマミごとなくすなんて事はとても耐えられない
それに……美樹さやか。あいつはここで終わっていい奴じゃない
実力に伴わない未熟な正義だけど……あいつはあたしとは違う
かつてあたしが目指せなかった道をあいつなら貫きとおすことが出来る

マミ「……ねぇ、ワルプルギスの夜の作戦会議も兼ねて、今日は私の家に泊まっていかない?」

杏子「明日、さやかとほむらが揃ってから一緒にやりゃいいだろ。……あたしは適当にその辺のホテルに泊まるよ」

マミ「その……いろいろ話したい事があるの。魔女が出てきたせいで話そびれちゃったけど」

杏子「……前にも言ったけど、あたしはあんたと馴れ合う気はない」

マミ「……」

杏子「……」

そんな顔すんなよ
……とくに何も悪い事してないのに、あたしが悪いみたいじゃんか……

杏子「……でもま、一緒に戦うんだからある程度お互いを知っておく必要はあるしな。……今夜だけだぞ」

マミ「佐倉さん……ありがとう」

杏子「別にあたしは何もしていない。……今からホテル探すのも面倒だしな」

……まぁたまにはいいか



606:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:35:24.06 ID:i/FYKF2/o

--ほむらの家--

ほむら「私はあなた達を集めてワルプルギスの夜に挑もうとしていたけど……同時に、揃わなければいいとも思っていたの」

ほむら「だってそうじゃない。全ての力を出し切っても、またあの結末が待っているだけ。でも力が出し切れなければ、次は、次こそは、そう考える事が出来る。その数だけまどかを失ったとしても」

ほむら「……私はとうの昔に全てを諦めていたの。どんなに手をつくしても、どんなに戦力を揃えようとまどかを救えないことは既に理解していた」

さやか「ほむら、落ちついて」

ほむら「私はただ出口のないと分かっている迷路を永遠にさまよっているだけなの。でも、それでも……私はまどかを……」

さやか「ほむら」

あたしはほむらを抱きしめた

さやか「……こうされると、少しだけ落ち着かない?」

ほむら「……」



607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:36:57.22 ID:i/FYKF2/o

ほむら「……もう大丈夫よ」

さやか「……うん」

ほむら「ごめんなさい……情けない姿を見せたわね」

さやか「うぅん。情けなくなんかない。……それに、実を言うとあたしは嬉しいんだ。ほむらって初めて会った時からずっと悩んでたくせに、全然話してくれなかったから。……少しはあたしの事、信用してくれたと思っていいのかな」

ほむら「……失態ね。本当に」

さやか「……むぅ」



608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:37:56.60 ID:i/FYKF2/o

さやか「……でも、多分今までのあたしより、今回のあたしは強いんじゃないかなーと思うんだけど」

ほむら「そうね……」

でも、それすらも誤差の範囲。ワルプルギスの夜に私達は勝てないだろう
それでも……

さやか「……ねぇ、その……負けた時のデータってあるの?」

ほむら「?……ある、けど」

さやか「それを分析しよう。明日杏子やマミさんにもその話をしてさ。ほむらの絶望を全員で見て、その上で打開策を探そう」

ほむら「!?……でも、そんな事をすれば」

さやか「多分マミさんも、杏子も薄々そういうループがあったことは気づいてると思う。これが元々勝ち目なんてほとんどない戦いだって事はとっくに理解してるだろうし」

さやか「でもね。ほむら……あたしは勝つよ。ワルプルギスの夜を倒す。その為にこの世界に来たんだから」

ほむら「……」

さやか「だから、さ。ほむら。そんな絶望的にならなくてもいいんだよ。どーんとさやかちゃんに全て任せてくれたまえ!」

ほむら「……馬鹿ね」

さやか「何だよー!」

ほむら「本当に、馬鹿よ。あなたは」

さやか「……ほむら……?」

ひょっとしたらこの世界なら……そう考えてしまう
それがどれほど危険な事だと理解していても

ほむら「……そうね。私も覚悟を決めないと。ワルプルギスの夜を、この手で倒す。……いつだって私はその為に戦ってきたんだから」

さやか「その意気だよほむら!」

ほむら「……そうね」

多分、私が耐えられるのはこのループで最後となる
……このループで全てを終わらせよう
それがどんな結末になるとしても



609:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:42:09.47 ID:i/FYKF2/o

--魔女結界--

あたし達は影の魔女と相対していた
使い魔の攻撃に邪魔されて中々本体に近づくことが出来ない
……考えようによっては対ワルプルギスの夜にはうってつけの相手と言えるかもしれない

さやか「くらえ!!」

あたしの刀身発射が炸裂するも、使い魔を突破することが出来ない

さやか「とすると遠距離からの大技か、近距離に接近して……」

杏子「……どいてな。ここはあたしがやる」

さやか「え?」

杏子が一気に影の魔女に突進をかけた
当然それに対し使い魔が迎撃を図る

さやか「!?……ほむら!マミさん!杏子の援護を!!」

ほむらの機関銃、マミさんのマスケット銃、あたしの投剣で杏子のサポートをかける
ただ、それでも杏子への使い魔の攻撃は防ぎきることができない
一匹の使い魔の攻撃が、杏子を貫いた

さやか「杏……」

……いや、これは

さやか「あいつ、また無茶を!!」

杏子の幻術魔法だ
使い魔の攻撃は何もない地面を貫いた

杏子「……ぐ!!」

頭がミキサーでかき混ぜられているんじゃないかというぐらいの痛み
それでも、ロッソファンタズマをワルプルギスの夜までにせめて使える領域まで持っていかなければ
勝てない相手に勝つ為に、手数は増やしておく必要がある

杏子「……でも、今度は気絶せずにすんだか。少しずつマシにはなってるな」

杏子の槍は影の魔女に到達し、そのまま首を跳ね飛ばした



610:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:43:24.26 ID:i/FYKF2/o

さやか「杏子、大丈夫?」

杏子「大丈夫だよ……一人までなら、充分使うことが出来そうだ。ワルプルギスまでにあんたの幻術技程度の域までは到達させたいところだな」

さやか「……あたしは一年かかったんだけどね……」

まぁ元々の願いで使えた杏子と、あたしでは差がある。……そう考えよう

マミ「……」

佐倉さんのロッソファンタズマ
……考えれば分かるはずだったのだ
あんな出来事があったら、佐倉さんがあの技が使えなくなる事ぐらい
それなのに私はあんな事を

杏子「あんたもそこで変な落ち込み方するんじゃねぇ。勝手に使えなくなってそのまま放置してたあたしの責任なんだからさ」

マミ「……佐倉さん」

ほむら「それにしても、凄い技ね。美樹さやかに使われた時も思ったけど……本物と寸分の見分けもつかない」

さやか「あたしのはコピー品。……この技の極致はそんなものじゃない」

五感全てを支配したロッソファンタズマは、実質複数人の杏子が同時に襲い掛かってくるのと大差ない
あれを破る手段は、あたしには見つけられなかった

杏子「……ま、今のこれは必殺技と呼ぶにはちょっと頼りないかもな」

さやか「それで負けたあたしの立場は……」

杏子「あれはあんたが技を出し惜しむから悪いんだろ?……いつか、再戦しようぜ。今度は負けねぇよ」

さやか「む……」

マミ「勝った奴はいない、負けたと思った奴がいただけだ……なんてね」

杏子「わけわかんねぇよ」



611:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:44:48.87 ID:i/FYKF2/o

--ほむらの家--

ほむら「……これで、今いる見滝原の大方狩りつくした事になる」

さやか「そこそこにグリーフシードも溜まったね」

杏子「……じゃぁま、作戦会議といくか」

さやか「その事なんだけど……」

マミ「暁美さん。私達が死んだ時のデータを見せてくれる?」

さやほむ「!?」

杏子「……また、ストレートに言ったな」

マミ「遠まわしに言うよりはいいと思って。それに美樹さんとも、そういう話をしているかと思っていたけれど?」

さやか「お見通しですか……」

ほむら「……先に言っておくけど、すごく後悔する事になると思う。……それでもいいのね」

マミ「覚悟は出来ているつもりよ」

杏子「あたしもなー。ま、どーせ碌な死に方はしないと思ってたし」

ほむら「じゃぁ……」



612:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:46:37.59 ID:i/FYKF2/o

杏子「……マミ……」

マミ「ごめんなさい、佐倉さん……」

さやか「いやほら、別の世界だし……それいったら、あたしなんて……」

杏子「……なるほど、確かにこれは結構へこむな」

ほむら「……これらは同時に、私の失敗の記録でもある。助けられたはずの貴方達を、私は助けることが出来なかった」

さやか「……なんてことは置いといて!ワルプルギスの夜対策だよ!!ちゃんとワルプルギスの夜まで辿り着いてやられたパターンを探さないと」

杏子「……何だかんだであたしとマミが結構生き残ってるんだな」

さやか「あたしは……」

杏子「……別の世界なんだろ。あんたが気にする事じゃない。てか自分でそう言ってたじゃねーか」

さやか「そうなんだけどね。でもこれは……」

あたしがワルプルギスの夜に辿り着いてやられるパターン
①何もできないままに炎攻撃を耐え切れず死亡
②何もできないままに剣を使い魔に弾き飛ばされ、そのまま使い魔に殺され死亡
③何もできないままに(ry

さやか「そういえば、昔キュゥべえに『君の実力ではワルプルギスの夜に傷一つつけられない』って言われたっけ……」

そりゃ強くなったワルプルギスの夜と当時のあたしが戦えばこんなものか

杏子「……気になるのはこのマミのやられ方だな」

マミ「えぇ、私も気になってた」

拘束魔法を使い、その隙をつかれ死亡

ほむら「……まどかが弓で注意をひきつけ、巴マミが拘束魔法を使う。そして私が時間停止でとどめを狙う。……この連携を狙ったところを巴マミの拘束魔法が破られたことで全てが破綻し、巴マミは……。別に気になるところは何もないと思うけど」

マミ「……あのワルプルギスの夜を相手に何故拘束魔法を使ったの?炎攻撃も、使い魔攻撃も、何も止めることが出来ないのに」

杏子「ワルプルギスの夜がわざわざマミのリボンを引き裂いているのも気にはなるな。ただ単にうざいからってだけかもしれないが……」

ほむら「……言われてみれば」

いつもどおりの連携攻撃。それぐらいに考えていた
でも、もしその時の巴マミが何かしらのワルプルギスの夜の情報を持っていたとしたら

マミ「……魔女を倒す方法は一般的に2つある。一つはその魔女の願いを満たす事。もう一つは、その魔女の存在そのものを否定する事……つまりは実力行使ね」

マミ「……ワルプルギスの夜は舞台装置の魔女。この歯車を止める事がこの魔女の存在を否定する事に繋がるとすれば……」



613:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:49:41.47 ID:i/FYKF2/o

マミ「私のリボン。佐倉さんの多節槍の二重掛けで何とかこの歯車を止められない?」

ほむら「恐らく無理だと思うけど、弱らせた状態なら或いは……」

さやか「ちょっと待って。拘束魔法ならあたしも使える」

さやかは自分の剣を召喚し、多節剣モードに切り替える

杏子「そんな技まで隠し持ってたのかよ……」

さやか「一応言うけど杏子との戦いでこれを使わなかったのは、単純に無謀だと判断したからだよ」

杏子の多節槍は万能すぎる。あたしのにわか多節剣で挑めば逆に窮地に立たされる

ほむら「……まず出会いがしらにありったけの攻撃をぶつける。その上で拘束魔法を使い、再度連続で攻撃を食らわせる……作戦としてはこんなところかしらね」

さやか「や、多分それだけでは無理」

ほむら「根拠は?」

さやか「出会いがしらにありったけの攻撃をかます方法は、実はあたしもやってる。しかもタイミングをずらして永久に攻撃をし続けられるようなフォーメーションで」

あの時、キリカが考案した作戦第一案がそれだった
だが……

さやか「途中で使い魔に邪魔をされる。奴らはワルプルギスの夜からの命令で動いているみたいだけど、ほぼ独立してると言えるレベルの動きが可能みたい」

いくらワルプルギスの夜を拘束しても、攻撃を加えても使い魔との戦いは避けられない
となるとその作戦は途中で破綻する

ほむら「でも、市街地に入られてしまえば避難所がある。避難所に突入されてしまえば打つ手はない」

さやか「む……」

確かにそれはそうだ



614:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:53:20.47 ID:i/FYKF2/o

杏子「そもそも何でワルプルギスの夜は避難所を狙うんだ?」

ほむら「多分……こいつは人の多いところに向かって動いているんだと思う。理由は……さやかの友人の資料だと、『公演を多くの客に見せる為』となっているわね」

杏子「はた迷惑な話だなぁ……」

さやか「えぇと……これか。『ダメージを受けるとワルプルギスの夜の劇場内に雑音が入る』これがあたし達が攻撃するまで反撃してこなかった理由か……」

さやか「後、この魔女は過去に死んだ魔法少女を使って攻撃してくる。あたしが戦った時は……まどかとマミさんと、織莉子っていう……あたしの友達の魔法少女の親友が襲ってきた」

杏子「……胸糞悪い魔女だな。本当に」

さやか「さらにやっかいな事に、あいつは別のパラレル世界から死んだ魔法少女を呼び出せるみたい。最終的にあたしたちは7人の魔法少女を相手する羽目になった」

マミ「7人?」

さやか「うん。……織莉子にキリカ。まどかにあたしに杏子にマミさんに……」

ほむら「……私、かしら?」

さやか「……そう、その7人。ただそこまで連携がうまいわけではなかったし、今回はほむらが出てくる事はありえないから実質6人。あたし達4人で崩せないほどの相手ではない」

さやか「ただ、問題は今回市街地が戦場として使いにくいということ」

マミ「何とか避難所以外に誘導できれば……」

ほむら「それが出来るなら苦労はしないわ」

さやか「とはいえ短期決戦は不可能に近い。……最初に大技を当てて、拘束。これで無理なら市街地での戦闘も覚悟するしかない。避難所に近づかれそうになったら大技を当ててワルプルギスの夜の本体を弾き飛ばし、避難所から遠ざける」

杏子「……それぐらいしかないだろうな。……別世界のあたし達が出てきた後、それをいかにうまくやるかが問題だが」

さやか「……誰かが大技を撃つ時に誰かがその人のカバーに回る。これを臨機応変にやってくぐらいしかないと思う」



615:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 00:53:58.21 ID:i/FYKF2/o

杏子「結局厳しい戦いには違いないか」

さやか「でも、絶対勝つよ。その為にあたしはここにいる」

ほむら「私だってそうよ。今度こそ、あいつとの決着をつける」

マミ「私達も同じよ。……では、細部を詰めましょうか。打倒ワルプルギスの夜。前人未踏の快挙を、私達の手で成し遂げる」



616:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/24(金) 01:04:42.90 ID:i/FYKF2/o

作戦回
次回か次々回で一応完結……かな

ちなみにこのさやか、速度低下がない状態で考えると杏子よりちょっと強いぐらいのレベルである
それが対杏子補正で異常に強くなってあーなった
一年後杏子とさやかの場合、お互いにお互いを知り尽くしていた為勝負しても決着がつかなかったという
ワンサウザンドウォーズ



622:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:08:27.24 ID:yr6Sh+pdo

--避難所--

仁美「信用してくれなかった人が多くて……」

さやか「むしろあんな無茶振りによくここまで対応してくれたよ。……でも、出来れば仁美も避難してほしかったんだけどなぁ」

仁美「あら、まどかさんだけ残って私だけ避難するなんてできませんわ」

まどか「仁美ちゃん……ごめんね」

仁美「私が好きでやっていることですから」

さやか「……まどかを避難させることが出来ないってのがなぁ……」

ほむらの話によると、まどかを避難させた場合ワルプルギスの出現位置が予測不能になるらしい
……何故ワルプルギスの夜の出現位置にまどかが関わってるのかは分からないけど
ある種の魔力に惹かれる性質でもあるのだろうか

まどか「さやかちゃん……頑張って!」

さやか「任せて!まどか!」

仁美「さやかさん。これが終わったら私達の勝負ですわよ」

さやか「……勿論!こんなところで負けてなんかいられない!」



623:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:09:29.16 ID:yr6Sh+pdo

--避難所外--

ほむら「……終わった?」

さやか「ほむら……せめてまどかに挨拶ぐらいしてもいいじゃんか……」

まどか、絶対ほむらの事も待ってたと思うんだけどなぁ……

ほむら「私は言葉ではなく、行動で示す。……今度こそ、ワルプルギスの夜を倒す」

さやか「……うん。ま、あたしにどーんと任せておきなさい!」

ほむら「頼りにしてるわ」

さやか「おう!まかせ……ほむら、大丈夫?」

ほむらにそんな毒もなく返されると逆に不安が……

ほむら「あなたは私をどういう目で見ているの……あなたに頼っているのは本当よ。勿論佐倉杏子や巴マミも。もしワルプルギスの夜を倒すとしたら、結局あなた達に頼るしかないわけだし」

さやか「うん。……そりゃまぁ、そうなんだけど」

ほむら「馬鹿言ってないで早くいくわよ。……マミも、杏子も待ってる」



624:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:10:18.47 ID:yr6Sh+pdo

--ワルプルギスの夜発生予測地点--

杏子「遅ぇぞ。ボンクラ共」

さやか「ごめんごめん。話が長くなっちゃって」

杏子「全く……少しは緊張しろよ。あんたは」

さやか「緊張はしてるけど、しすぎるのも問題かなーと……」

マミ「後数分といったところかしら……魔力がどんどん大きくなっていくのを感じる。出現する頃にはこれがどこまで膨れあがっているのか」

ほむら「……どの道、倒さなければならない相手よ」

マミ「えぇ……そうね。どんな強大な敵であっても、私達がやるべきことは変わらない」



………そして
ワルプルギスの夜が訪れる



625:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:12:12.15 ID:yr6Sh+pdo

ほむら「打ち合わせ通りに!」

さやか「あいよ!」

マミ「任せて」

杏子「よし!」

杏子の投槍、マミさんとあたしのティロ・フィナーレ、ほむらの重火器
それらの全てをコンビネーションでワルプルギスの夜にぶつける
基本戦術はキリカとやった時と特に変わるものではないが、
今回遠距離のスペシャリストが2人もいる為、以前のそれとは初撃の威力が比較にならない
……とはいえ、当然これだけで倒せるほど甘い相手ではない
次の手を打ちにいく

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!!」

さやか「多節剣!」

杏子「くらいな!」

マミさんとあたしと杏子による三重拘束
だが、これをワルプルギスの夜は意図もたやすく弾き飛ばした

マミ「……く!」

杏子「やるじゃねぇか……」

さやか「流石にまだきついか……!!」

もう少し弱らせないと拘束はきつい
とはいえ、当然ワルプルギスの夜もただひたすらこちらの攻撃を受けてくれるわけではない

さやか「……来た!!」

使い魔達が大量に舞ってきた

さやか「マミさん!」

マミ「えぇ」

マミさんとあたしの剣と銃の大量召喚。出てきた使い魔を片っ端から潰す

マミ「無限の魔弾……といったところかしらね」

杏子「余裕たっぷりだなぁおい……」

マミ「まだ今は……ね」

出現する使い魔を撃破しつつ、空いた隙間を縫ってワルプルギスの夜を狙う
もしくは避難所に接近しようとするところをさやかと杏子が接近戦で迎撃
……以前は見滝原に誰もいなかったため、こちらからワルプルギスの夜に接近する必要があった
そういう意味では今回、避難所まで移動しようとされるのは逆にやりやすいといえるかもしれない

そして幾度目かの攻撃をワルプルギスの夜に当てた時、彼女達が現われた


織莉子(影)「アハハハハハ!」

キリカ(影)「アハハハハ!」

さやか(影)「アハハハハハハハハ!!」

マミ(影)「アハハハハハ!!」

まどか(影)「アハハハハハハハハハハ!!」

杏子(影)「アハハハハハハハ!!」



626:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:13:47.80 ID:yr6Sh+pdo

さやか「ついに来た……」

あの時、キリカと一緒に戦った相手
別の世界のあたし達

マミ「さて、別の世界の私の実力どれほどのものか、見せてもらうわよ」

杏子「自分の相手をする日が来るとはね……!負ける気はしないけどさ」

マミと杏子はそれぞれの影と相対する

さやか「……あたしには二人がかりで来たか」

まどかと……あたし
まどかは以前と特に変わらないから置いといて、あたしは一刀流スタイルか
……あの時キリカに出会って、あいつの影響を受けなければあたしは一刀流に完全に切り替えていたかもしれない

ほむら「私の相手は、あなた達というわけね」

以前にも何回かはここまで辿り着いていたし、予測もしていた
……美国織莉子に、呉キリカ。恐らくはかつて鹿目まどかを彼女達に殺された周の……

ほむら「……容赦はしないし、する気もない」



627:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:15:16.56 ID:yr6Sh+pdo

さやか(影)「アハハハハ!!」

さやかの影による攻撃を、さやかは受け流しつつまどかの影を刀身発射で弾き飛ばす

まどか(影)「キャァ!!」

さやか(影)「グ!!」

さやか「……」

……まどかはまぁ、うん。以前戦ったしどれほどのものか想像はついていた
ただ、あたしは……

さやか「……弱いなぁ……」

いや、一撃一撃は結構重いんだけど
狙いも何もあったものじゃない、ただひたすらに振り回してるだけ
魔女戦ならいざしらず、魔法少女戦でこれは完全な『鴨』だ

さやか「まどか、覚悟……てところでよっと」

さやか(影)「!?」

まどか(影)「キャ・・・」

あたしの影とまどかの影の間に入り
あたしの影の攻撃をまどかの影へと誘導させる
あたしの影はまどかの影へ攻撃しそうとなり慌てて攻撃を止めてしまい、お互いにお見合いするような形となってしまう
当然ここを見逃す気はない
二本の剣を多節剣モードに切り替え二人を拘束し、そのまま剣ごと爆破する

さやか「とはいえ、一瞬で復活しちゃうんだよなぁ……」

さやか(影)「ネェ・・・」

さやか「……?」

さやか(影)「コノセカイッテマモルカチアルノ?ネェ、アナタガオシエテヨ」

さやか「……人に聞くことじゃないよ。それ」

その答えは自分自身で見つけるもの
他人に求めたって何も得られやしない

復活したあたしの影の斬撃を避け、逆にカウンターの形で再び切り捨てる
……あたしが一番楽な相手と戦ってるとみた
明らかにあたしよりきつい相手とあたっているほむら達を援護しよう



628:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:17:38.97 ID:yr6Sh+pdo

マミ「流石私といったところかしら。普通に戦えばそう簡単には崩せそうにないわね。でも……」

マミは自らの影に接近戦を挑む。マミの影はそれを嫌がって遠距離を取ろうとした
その一瞬のブランクを利用し、マミは大砲を召喚する

マミ「ティロ……!!」

マミの影はワルプルギスの夜への射線を塞ぎに行った
マミの影を倒すのに火力は必要ない。故にこれはワルプルギスの夜を狙ったもの……そういう読みをしたのだろう
それをマミは狙った
作り出した大砲を杏子の影に対して投げつける

杏子(影)「ナ・・・!?」

杏子「ナイスマミ!!」

ほぼ互角の戦いを続けていた杏子と杏子の影の均衡が一気に崩れた
杏子の槍が杏子の影を貫く
そしてそのまま投槍に移行し、ワルプルギスの夜を攻撃する

マミ(影)「!?」

マミの影は予測が外れて動揺し、一瞬硬直してしまった
当然それを見逃す巴マミではない
マミの召喚したマスケット銃がマミの影の頭部を貫いた

マミ「……恐らく自分と戦っているという自覚がないのでしょうね」

確かに能力は互角だが、自分の弱点は自分が知り尽くしている
そこを突けるか突けないかというのは、実力差以前の問題だ
今度こそマミは、ティロ・フィナーレをワルプルギスの夜に向かって撃ち放つ



629:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:19:54.14 ID:yr6Sh+pdo

ほむら「……ぐ!!」

時間停止をして銃で攻撃しても、そのことごとくが速度低下・未来予知のあわせ技で避けられる
織莉子とキリカのコンビネーション攻撃
流石に一人でどうにかなるものではない
が、幾度目かの攻撃時、ほむらの攻撃がそのまま織莉子を貫いた

ほむら「……え?」

キリカ(影)「ナニ!?」

さやか「『速度低下』は今となってはあんただけの魔法じゃないよ。キリカ」

キリカから授かったさやかの速度低下
これを使うことで、キリカの影による速度低下は完全に潰される形となる
そうなれば残るは織莉子の未来予知だが、あれはそこまで万能な代物ではない
速度低下さえ潰してしまえば手数で押し切れる

ほむら「……そっちは楽そうね。さやか」

さやか「負ける気がしないね。……気持ちとしては複雑だけどさ」

あたしの影が突進してしまい、それが邪魔でまどかの影が本来の性能を発揮できていない
そのぼろぼろの連携をさらに崩すように動いてあげれば、実質魔力消費0でもこちらの魔法少女2人は倒せそうな気がした
マミさんと杏子は何とかなってるみたいだし、ここはほむらの援護に全力を注ぐ



630:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:21:19.91 ID:yr6Sh+pdo

さやか「拘束魔法……今度はどうだ!!」

幾度目かの束縛
ワルプルギスの夜はそれを再び弾き飛ばすが……

マミ「最初より時間がかかるようになってきてるわね」

杏子「見た目だけだと分からないけど、こういう尺度があるとダメージがわかりやすいな」

さやか「ダメージは確実に通ってる!いけるよ!」

ほむら「……」

まさかあのワルプルギスの夜を相手にここまでやれるなんて

ほむら「ひょっとして、今回は本当に……?」



631:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:22:17.98 ID:yr6Sh+pdo

--避難所--

仁美「……美樹さん達。大丈夫でしょうか……」

まどか「……ごめん仁美ちゃん。ちょっとトイレ」


まどか「……キュゥべえ。今更何の用?」

QB「ひどい言い草だね。……さやか達は頑張ってる。あのワルプルギスの夜を相手に大善戦と言ってもいい」

QB「でもね。ワルプルギスの夜を今までずっと見てきた僕だからいえる。この程度ではワルプルギスの夜は倒せない」

まどか「……え?」



632:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:23:11.00 ID:yr6Sh+pdo

ワルプルギスの夜「ガガガガ」

さやか「……嘘だよ、こんなの……」

杏子「おい、なんだよこれ……」

ほむら「こんなの、私も知らない……!!」

マミ「……でも……そう、ね。考えてもみれば他世界の私達を召喚できるのだから……つまりはこういうことも出来るということになる」

ほむらの繰り返してきたループ
そのループの回数分ワルプルギスの夜は死んでいった魔法少女の魂を吸収していた
ループの中で死んでいった杏子・さやか・マミの数はそれぞれ十を軽く越える
全ての魔法少女の魂の具現化
ワルプルギスの夜はまだ手札を隠していたのだ



633:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:23:56.31 ID:yr6Sh+pdo

--避難所--

QB「まどか、今こそ願いを決める時だよ」

まどか「でも、わたしが契約したら……」

QB「このまま何もしなければ、マミも、杏子も、さやかの命もないだろう。ほむらがどうするのかはしらないけどね」

QB「でも君が契約すれば万が一はある。ワルプルギスの夜を倒し、見滝原を救い、マミも杏子もさやかもひょっとしたら助かるかもしれない。勿論君が魔女となって世界が終わってしまう可能性もあるけど」

QB「でもね。もし真に君が友達の事を思っているのなら、迷うことはないはずだよ」

まどか「……」



634:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:24:46.27 ID:yr6Sh+pdo

さやか「ぐ……!!」

杏子「大丈夫か!さやか!!」

さやか「足をやられたけど、この程度ならすぐに修復できる」

杏子「無理すんな!あたしがフォローにまわるからお前は少し休んでろ!!」

さやか「……まずいね。マミさん達と完全に分断された」

杏子「ハ!……手ごたえがなさすぎると思ってたんだよ。やっぱこれぐらいじゃなきゃなぁ!」

さやか「……杏子」

薄々杏子も気づいているはず
これはとても勝てる相手じゃない
でも、もし勝てなければ見滝原も、キリカも、そしてほむらも

さやか「諦めてたまるか……!!」



635:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:26:39.17 ID:yr6Sh+pdo

マミ「流石にきついわね……!!」

ほむら「……まだよ!まだこの程度……!!」

マミの影達による大砲の連撃
それを何とか寸前で回避する
だが、ほむらはこの状況化で失念していた
ワルプルギスの夜自身の持つ攻撃手段。巨大なビル郡がほむらの頭上へと迫る

ほむら「く、『時間停止』」

……発動しない!?こんな時に……!!

マミ「暁美さん!!」

ほむらはかろうじて直撃は回避したが、足が挟まれてしまい動くことが出来ない
マミの影達はマミとほむら、同時に狙いをつける
……この状況化。仲間の命と自分の命、どちらを優先するべきか
その答えはマミにとって考えるまでもなかった

マミ「暁美さん。後は任せたわよ」

ほむら「巴マミ!あなたはどうして……!!」

マミはほむらの挟んでいた瓦礫を狙い撃った
そしてそのまま影達の砲撃が直撃し


巴マミのソウルジェムは砕け散った



636:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:29:09.42 ID:yr6Sh+pdo

杏子の影達と、さやかの影達の連撃が続く

杏子「通すかよ!!」

今ここを通してしまえばさやかがやられてしまう
ここは何としても

だが、その時横からの銃撃が杏子を襲った

杏子「……何で、そっちにはマミとほむらが」

杏子が見たその先には高笑いをうかべる黒いマミの姿があった
そしてその傍にはマミだったものの体が転がっている

杏子「……そうか。マミはもう逝っちまったか……」

さやか「マミさん、そんな……」

杏子「……さやか。あたしのグリーフシードやるよ。あたしが持ってるより役にたつだろうしさ」

さやか「杏子!?何で」

杏子「……あたしのソウルジェムを見てみなよ」

さやか「……あ」

杏子のソウルジェムにヒビが入っている
今のマミの攻撃は杏子のソウルジェムを掠めていたのだ

杏子「ほんっと狙いつけるのうまいよなぁあいつ……」

杏子「ま、安心しなよ。あんたの怪我が回復させるぐらいまでは、持たせてみせるからさ」

杏子は自らのソウルジェムに魔力を注ぎ込む

さやか「杏子…………」

杏子「防御は苦手なんだけど。全ての魔力を注ぎ込めば壁ぐらいにはなれるだろうさ」

マミ達の影もこっちに迫ってきた
ほむらももうやられてしまったのだろうか
確認しようにも影達が多すぎて確認できない

杏子「さやか……生き残ってくれよ……」

あんたは、マミやかつてあたしが掲げた正義そのものなんだからさ……

さやか「杏子!!」

影達は杏子とさやかを飲み込んだ



637:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:30:35.33 ID:yr6Sh+pdo

ほむら「そん……な……」

血まみれになって倒れている巴マミ
目を開けたまま、事切れた佐倉杏子
折れた剣を片手に横たわる美樹さやか
また、この結末だ
また、私は

ほむらはもう完全に戦意を喪失してしまった
これだけの状況を作り上げても、ワルプルギスの夜は倒せなかった

QB「惜しかったね。ほむら」

ほむら「……キュゥべえ!!」

思わずキュゥべえに銃を向ける

QB「危ないね。もし、鹿目まどかに当たったらどうするんだい?」

ほむら「!?」

まどか「ほむら、ちゃん……」

ほむら「まどか、どうしてここに!!」

まどか「ほむらちゃん……わたし、魔法少女になるよ。今はもう、それに賭けるしかない」

ほむら「まどか……駄目!!」


QB「なら他に手はあるというのかい?このままでは見滝原も何もかもが終わってしまう。でも、鹿目まどかならその運命を変えられるかもしれない」

ほむら「……でも、それでも」

……それでも、何だというのだろう
今回以上の状況はもうありえない。かつて自分でそう言ったじゃないか
もう私にワルプルギスの夜を倒す手段はない
なら、……いっそ魔女になったまどかに救済されてしまうのも、悪くないのかもしれない



638:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:31:29.71 ID:yr6Sh+pdo

……攻撃がやんだ?
もう死んだと思われたか、最早戦力外と見なされたか
……まどかとキュゥべえが見える
このタイミングでキュゥべえはまどかに契約を持ちかけたか
なんとかして阻止しないと……

さやかはその剣をキュゥべえに向ける

『違うだろう?』

……え?

『今狙うべきはキュゥべえではない。鹿目まどかだ』

……!!



639:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:33:03.59 ID:yr6Sh+pdo

『まずは鹿目まどかを殺し、世界の滅亡を回避する』

『そこで呆然としている暁美ほむらの隙を狙い気絶させて、そのまま暁美ほむらを連れ見滝原を脱出する』

『暁美ほむらには適当に希望を持たせるような事を言って次のループにまわしてしまえばいい。見滝原壊滅は以前にもあった事だし、これはもう仕方ない』

『ここで死ぬのは君を必死に守った佐倉杏子の意思にそむくことになるんじゃないのかい?彼女の考えを汲み取るなら、君は何としてでも生き延びてその正義を守り続ける事を最優先に考えるべきなんじゃないかな』

……そうか、あんたならそう考えるのか
確かに今この状況化ならそれは正しすぎるほどに正しいのかもしれない
でも、さ

さやかは剣を投げ放った
狙いはキュゥべえではない
かといって鹿目まどかでもない
まどかとキュゥべえの間
……冷静になって考えればキュゥべえをここで殺したところでまた沸いてでるわけだし、あまり意味を見出せない
と考えると、キュゥべえを無意味に殺すのも考えものだ

悪いけどさ
あたしはまだ、諦めたくない
ほむらも、勿論キリカも、見滝原も、みんなを救う為にここに来たんだ
杏子には悪いと思うけどさ。それでも……ここで折れてしまったら、もうあたしは自分の正義なんて貫けないよ

『面倒な性分だよね、君も』

ごめん

『いや、それでこその君だ。大体君ならそう答えると思って聞いただけだしね』

……え?

『今の行動をもって君の覚悟と受け止めさせてもらう』



640:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:34:27.85 ID:yr6Sh+pdo

『そりゃ客観的に考えて今の状況を君の力で覆すのは難しいだろうさ』

『……君だけの力なら、ね』

それはどういう?

『私の魔法を使えるようになったとちゃんと説明したはずなんだけど。私がワルプルギスの夜と戦う際に使った魔法は『速度低下』だけだったかな?』

……!!

『私に言える事は以上だよ。ま、その、何だ。君ならこの程度の未来は容易く変えられると思うけどな』

……
自分の指を見る
そこにはキリカのソウルジェムの欠片で作った指輪があった
……そうか
あんたはずっとあたしをこんなに近くで見守ってくれてたんだ



641:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:37:44.37 ID:yr6Sh+pdo

さやかは杏子からもらったグリーフシードを自らのソウルジェムに使った

QB「無駄だとわかっているくせに、まだ続ける気かい?美樹さやか」

さやか「うん。別に無駄なんて考えてないけどね」

まどか「さやかちゃん!でも……!!」

さやか「まどか。……今からあたしは全てを賭けてワルプルギスの夜を倒す。だから、まどかが契約する必要なんてない。……あたしを信じて」

まどか「……さやかちゃん……」

さやか「ほむらもだよ。ちょっと諦めるには早すぎる。そこで見てなよ、このさやかちゃんの逆転劇を」

ほむら「さやか……?」

QB「……では、見せてもらうよ。君がワルプルギスの夜を相手にどこまでやれるのかをね」

影達が一斉にこちらの方を向く
でも、影達が備えてなかった分こちらの一手の方が早い

さやか「この世界の杏子とマミさんは返してもらうよ」

マミさんの正義も、杏子の意地も、それはあんたなんかが好き勝手扱っていいものじゃない

さやか「……『時間逆行』!」

マミさんと杏子のソウルジェム・肉体を、破壊される前の状態まで時間を戻す

マミ「……あれ?私」

杏子「……何だ?どうなってるんだ?」

QB「……それでどうするんだい?今更状況を元に戻したことに意味があるとも思えない。それに、今のたった一度で君のソウルジェムは真っ黒じゃないか。もういつ魔女になってもおかしくない」

さやか「そうだね。……でもね。この状態じゃなきゃ使えない魔法もあるんだよ」

それはかつてキリカが使ってみせた技
一発逆転が狙える最後の切り札

ほむら「……それは!!」

さやか「開け!あたしの『絶望』!!!」



642:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:38:55.18 ID:yr6Sh+pdo

コンサートホールの魔女、か
しかしほむらの資料で見てわかってはいたが、凄いとこだなぁ
こんなところで恭介の演奏が聞けたらどんなに……
いやいやいや!それって恭介を魔女結界に引きずりこむってことじゃん
それに……この魔女結界はどうも、恭介は絶対引きずりこめないようになっているらしい
それは魔女としては悲しいことなんだろうけど、あたしにとっては救いでもある

などと感傷に浸っている場合ではない
魔女結界を作りあげる事には成功した
ならば後はもう、最後までやり通すだけだ


さやか「……演奏開始!」



643:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:40:53.55 ID:yr6Sh+pdo

ワルプルギスの夜
ダメージを受けるとワルプルギスの夜の劇場内に雑音が入り、それを嫌がってあたし達を攻撃してくるらしい
……ということは、何もそれは攻撃に拘る必要はない
幸いにして、ここはコンサートホールという性質上、全方位から雑音を出す事が可能だ
もっともそれはワルプルギスの夜にとって雑音というだけで、演奏そのものは結構あたし好みのものではある

さやか「へぇ……いい趣味してるじゃん。あたし魔女」

それはとても悲しい音色ではあるけれど、聞くものを惹きつける
もっともそんな事をワルプルギスの夜も、周りの魔法少女達も理解をしてくれはしなかったが

ワルプルギスの夜はこの音楽がどのように流れているか正しく理解できていないようだ
……所詮魔女
ワルプルギスの夜は音の出所を、コンサートホールそのものと捉えた
実際には音の反響のせいでコンサートホール全体から聞こえてるだけなのに
そして、その程度ではあたしの魔女結界は揺るがない
コンサートホールの破壊に魔法少女達を裂いてしまい、ワルプルギスの夜の防御が手薄になる
……これを待っていた

さやか「廻れ!運命の車輪!!」

冷徹に廻り続ける運命の車輪
それは決して未来へと廻ることもない、何も届かない、何も知ることはない
その運命そのものをワルプルギスの夜の歯車とは逆に回転させ、複雑にからみ合わせる

……散々拘束魔法を使って痛めつけた今なら、たとえワルプルギスの夜であろうと

ワルプルギスの夜「アハ・・・アハハ・・・・・・」

ワルプルギスの夜の歯車がついに停止した



644:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:42:59.71 ID:yr6Sh+pdo

ワルプルギスの夜が観客席に落下した

さやか「演奏中はお静かに……なんてね」

あたしは剣を召喚する
……後はワルプルギスの夜にとどめを刺すだけだ

さやか「……ブル・ファンタズマ!」

痛覚は完全に遮断する
回復魔法も当然停止
魔法は極力節約し、ただワルプルギスの夜への攻撃に全てを集中させる
散漫となった魔法少女達の攻撃を潜り抜け、ワルプルギスの夜の元へと到達した

さやか「終わりだ!ワルプルギス!!」

連続して斬りつける
魔法少女達が慌ててワルプルギスの夜を庇おうとこちらに攻撃してくるので、さらにそれもうまく回避し、ワルプルギスの夜本体へとぶつける
後はもう、時間との勝負だ
あたしが魔女になるか、ワルプルギスが終わるのが早いか

だが、ワルプルギスの夜にはまだ最後の力が残っていた

さやか「……人形が最上部に到達してなくてもそれ!撃てるのかよ!!」

魔力がワルプルギスの夜に集中する
間違いない。この魔女結界ごとあたしをかき消すつもりだ

さやか「……まだだ」

確かにこの攻撃は脅威だ
……でも、もしこれに耐え切れれば?
魔力を使い果たしたワルプルギスの夜は、もう打つ手は残されていないはず
……この一撃を耐え切りさえすれば、あたしの勝ちだ!

さやかは結界を張る
あまりこれに自信はないけど、ないよりはマシ

さやか「さぁこい、ワルプルギスの夜!!」

マミ「無茶苦茶ね」

杏子「てかあたし達ほったらかして何やってんだよ」

ほむら「……本当に愚かね。あなたは」

さやか「……って杏子、マミさん、ほむら!?」



645:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:44:04.69 ID:yr6Sh+pdo

杏子「ま、よくあそこからここまで持っていったよ。……結界魔法ならあたし達も使える。そんな半端なものよりよっぽどマシなのがな」

マミ「ワルプルギスの夜の攻撃が防ぎきれるかは怪しいけど、試してみる価値はあるわね」

さやか「杏子、マミさん。こんなことに付き合わなくても……って痛!」

ほむらに殴られた

ほむら「これはあなたの戦いでもあるのでしょうけど、私達の戦いでもあるの。一人で全てを決めようなんて考えないで」

さやか「……ほむら」

ほむら「……かつて、私は魔法少女に契約した時願った。『まどかに守られる私じゃなくて、まどかを守れる私になりたい』とね。そして手に入れたのがこの盾。……ワルプルギスの夜の攻撃。たとえそれがいかなものであろうと」

あの時の私の願いを、覆せるほどのものであるはずがない……!!



646:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:47:00.94 ID:yr6Sh+pdo

最後の一撃を放ったワルプルギスの夜にもう力は残されていなかった

生み出した魔法少女や使い魔達は維持できず消え去り
炎も、重力操作も使えない
まさにその性質そのものの存在へと成り果てた

さやか「……これで本当に、おしまいだ」

さやかはその剣を手に取り、ワルプルギスの夜の歯車へとつき立てた
ワルプルギスの夜の歯車は全体にヒビが入り、砕け散った
……ワルプルギスの夜の最期だ

マミ「……やったわね」

杏子「あぁ……最期はあっけないもんだったな……」

ほむら「……さやか。早くグリーフシードを使いなさい。このままじゃあなたは魔女に……!?」

さやか「や……もう無理だよ。さすがにこれを出せるほどまで引きずり込まれちゃったら、元に戻る事は出来ない」

マミ「……え?」

杏子「おい!!」

さやか「でも運がよかったというか、何と言うか……」

さやかの姿は少しずつ消え去ろうとしていた

ほむら「これはどういう……」

さやか「パラドックス……なのかな。あたしがいた未来にワルプルギスの夜がいたから、あたしはこの世界に来た。でも、この世界でワルプルギスの夜を倒してしまえば、あたし達のいた世界にワルプルギスの夜はもう現われるはずはない。そうなると、あたしがここに存在する事事態が矛盾する」

さやか「どうなるのかなと思ってたけど……これなら魔女になる心配もないね」

ほむら「さやか!……そんなことって」

杏子「……ちょっと待った。だとすると何でほむらまで消えかかってるんだよ」

ほむら「……え?」

さやか「……あれ?」

マミ「私達も消えかかっているわね……」

さやか「……」

ワルプルギスの夜は過去も未来も飛び回っている可能性がある。そうなると因果破綻の行き着く先は、相当に大きい

かつての友人の言葉、もしそれが真実だとするならばその行き着く先は

さやか「……宇宙の再構築?」


おしまい



647:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 11:54:32.97 ID:yr6Sh+pdo

長かった第三部もこれにて無事完結
第一部~第三部までこれで一通り終わったことになります
いやぁ本当に長かったね。これで今度こそこの物語は終わりです。今までご愛読ありがとうございました




な、わけもなく

この物語は急遽三部開始時点ぐらいで、全三部構成+おまけで纏まることになりました
というわけで次回おまけ編!もうほんのちょっとだけ続くよ!
いやGT的な意味ではなく、ある種の蛇足というか、フィナーレというか、そんなの



649:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/26(日) 12:20:06.85 ID:ils11mCY0

うむ、フィナーレが無いとまとまらないな
きっと蛇足にはならないと期待



661:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 21:57:22.28 ID:1vjZYEo0o

--『見滝原の悪夢』エピローグ的な話--


--織莉子の家--

織莉子「……未来が、変わった」

キリカ「……」

当然だ
それが起こる程にこの宇宙は大きく捻じ曲げられた
今私と織莉子がここにいるぐらいだから、それはもう数え切れないほどの矛盾を
この宇宙は抱えている事だろう
……今の状況はありえる可能性の一つとして考えてはいたが 
実のところ到達できるとも思ってなかったし
出来ないなら出来ないでそれでいいとも思っていた
それでも、『あの子』は見事成し遂げたのだ
……非情に危ない橋を渡っていた気もするけど

キリカ「……誉めてあげるべきか、叱るべきか微妙なところだね」

織莉子「キリカ?」

キリカ「……織莉子。一つだけ聞いてもいいかな」

織莉子「何かしら?」

キリカ「今のこの時間。私達は凶悪な魔女が迫っている事を君の未来予知で知ることが出来た」

キリカ「……ところで、その魔女は遙か昔に幾度も出現し、『ワルプルギスの夜』という名前で恐れられてる。これは合ってる?」

織莉子「……ワルプルギスの夜なんて聞いたこともないし、それが過去幾度も出現したという事例もない。キリカ、それは貴女も把握している知識のはずよ」

キリカ「そうだね。私も『ワルプルギスの夜などいなかった』という情報を記憶している。……うん。成程」

何となくこの世界に何が起こったかは把握できた
無論推測でしかないし、間違っている可能性もあるが

織莉子「……帰ったら、その辺りの話を詳しく教えてもらってもいい?貴女がどのような道を歩んでここにいるのかも含めてね」

キリカ「勿論!織莉子の頼みを私が断るわけがないじゃないか。……でもまずは取り合えず」

この舞台劇の幕を引こう



662:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 21:59:47.10 ID:1vjZYEo0o

黒猫「ニャー」

ほむら「エイミー。ありがとう。もうここまででいい」

黒猫「ニャァ?」

ほむら「大丈夫よ。もう、私は自分で歩ける」

黒猫「ニャァ!」

どこかしら満足したような表情を浮かべ、その黒猫は立ち去った

ほむら「……本当にありがとう。エイミー」

エイミーがいなければ、私は今の道を選択することすら出来なかっただろう
それは途方もない道のりではあったけど……
その最果てで、私はもう一人の親友と再び出会うことが出来た

ほむら「……それにしても、まさかまたこの世界に帰って来ることになるなんてね」

かつて私が魔法少女になった世界
……今の私ならば彼女達の助けになる事が出来るはずだ



663:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:01:22.05 ID:1vjZYEo0o

さやか「……ん」

目を覚ますと、そこは見知った景色だった
見滝原が滅んだ後ずっと住み続けた街
……ただ、ここは正確に言うと滅びる少し前
確かキリカに住居を提供してもらう前に使っていた公園で……

さやか「……これは、どういうことだろう」

あたしは確かにワルプルギスの夜を倒し、そこで消滅したはず
とすると、ここは……キリカの言った通りなら宇宙の再構築後の世界ということ?

さやか「……でも宇宙が再構築したのなら、あたしの記憶も再構築されてないとおかしいはず……だけどなぁ」

とはいえ答えが出ないのなら、考えてもしょうがないか
……待て、それよりもっと重要な事を忘れていないか?
もし、これが見滝原が滅びる前だとするなら

さやか「た、確か街頭にテレビがあったはず!」


テレビ「見滝原でスーパーセルが発生しました。現場には近づくことすら……」

さやか「……まずい」

これはあたしのいた世界
つまりはこの時間、見滝原にワルプルギスの夜が出現している……!!



664:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:03:09.39 ID:1vjZYEo0o

QB「美樹さやか。見滝原に向かうつも」

さやか「ごめんキュゥべえ!あんたと会話してる時間が惜しい!!」

速度向上の魔法を使う
……今まで習得した魔法はそのまま使える
速度低下は……キリカのソウルジェムの欠片が消えてる為使えないみたいだ
流石にあれはこの世界に持ち越せなかったのか
……少し、いやかなり、心細い

さやか「……とにかく急がないと!!」

トップスピードまで上げ、見滝原を目指す

……もしあの状況化にそのまま戻っているとするならば、今戦っている魔法少女はマミさんにまどか。
ワルプルギスの夜の強さはほむらのループ以前のものであるところから
相当な弱体化はしているはずだけど、それでもあの二人だけで勝つことは出来ない
あたし一人が加わっても相当に厳しい相手のはず

……

心の中でごめんなさいと何度も呟きつつ、街の人から携帯電話を奪い取った
……本当にごめんなさい。後で、その、なんとかして返すから
この時期の杏子の電話番号は確か……

杏子「……誰だあんた」

さやか「見滝原の魔法少女。美樹さやか」

杏子「……見滝原……か。で、その見滝原の魔法少女が何のようだよ」

さやか「……『最強の魔女』が見滝原に現われた。このままじゃ巴マミが死ぬ」

杏子「!?」

さやか「……助けてほしい。一緒に戦って欲しい。あたしが伝えたいのはそれだけ」

杏子「おい!何を言って……」

携帯電話がきれた
これだけの高速移動。むしろよく今まで繋がってくれた
……これをただのいたずらだと杏子は捉えないとは思う
仮に捉えたとしても巴マミのことで悩んでいる杏子の決定打にはなるはず
これで杏子が動いてくれるか……いや、動いてくれると信じるしかない



665:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:04:04.89 ID:1vjZYEo0o

ゆま「……キョーコ。どうしたの?」

杏子「……ゆま、準備しろ。今から見滝原に向かう」

ゆま「キョーコ!!」

杏子「見滝原に『最強の魔女』が出たって話らしい。最強って何だよって気はするし、眉唾物に思えるけど……。まぁこんなところで燻ってるのもあたしらしくなかったね」

杏子「……ひさびさにマミの顔を拝みにいくか」

ゆま「うん!!」

最強の魔女とかいうのが本当にいるのかどうかは怪しいものだが、いずれにせよゆまが強大な魔力を感じ取っているのも事実
見滝原には世話になった事もあるし、借りを返すには絶好の機会だ



666:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:06:23.84 ID:1vjZYEo0o

マミ「……強い」

恐ろしい魔力をかなり前から察知していた
そこで鹿目さんと一緒に予測発生区域で構えてはいたけど……

私の魔法も、鹿目さんの魔法もダメージが通っているようには見えない

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

幾度目かの攻撃。今までの魔女なら一撃でしとめられたはずなのに

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」

リボンによる拘束もあっさり弾き飛ばされる
……これ程の相手か……!!

まどか「きゃ!」

魔女の炎がまどかを襲う
弓で狙いに入っていたまどかはそれを回避する事が出来ない

マミ「鹿目さん!」

マミはまどかを庇う形になり……
だが、その時盾をもった魔法少女が魔女の炎を受け止めた

マミ「え!?あなたは!?」

まどか「……ほむら……ちゃん……?」

ほむら「助けにきました。巴さん……まどか!」

今度こそ巴マミを、そしてまどかをこの手で守る!



667:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:08:47.92 ID:1vjZYEo0o

まどか「ほむらちゃんがどうして魔法少女に……!」

ほむら「話は後。今はあいつを倒しましょう」

マミ「……確かに今はこんな所でおしゃべりをしている場合ではない。鹿目さん!構えて!!」

まどか「は、はい!!」


ほむら「あいつの本体は歯車!歯車の方を重点的に狙って!!」

まどか「う、うん!!」

マミ「……これがあの暁美さん?」

魔法少女になった瞬間に才能を開花する子もいるけど、どうもこの子はそういうタイプには思えない
……一体どういうこと?
とはいえこれだけの力を持つ魔法少女が仲間として戦ってくれるのは心強い
今はあの魔女を倒すことだけに集中するべきか

ほむら「……なんて堅さ……!!」

3人による同時遠距離射撃
これでも火力が足りない
……最初で既にこれほどの力の差があったか……!!

使い魔「アハハハハ!!」

ほむら「く、邪魔!!」

まどか「ほむらちゃん!!」

ほむら「大丈夫よ。まどか」

と、その時突然頭の中に情報が入って来る
ビルに潰される自分
それに巻き込まれる形で死ぬまどか
何故かそれが近い未来自分に襲い掛かってくると確信を持って受け入れることが出来た

ほむら「危ないまどか!!」

まどか「え!?」

ほむらはまどかを連れ、その場から退避する
そのすぐ後にワルプルギスの呼んだビルがほむらたちのいた場所を潰していた

ほむら「……あなたの力?今のは」

?「正しく理解していただけたようで僥倖。最も私の手助けなぞなくても今のはなんとかなりそうでしたね」



668:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:12:04.23 ID:1vjZYEo0o

ほむら「……美国織莉子!!」

かつて殺し合い、一度は完敗した相手

織莉子「初めまして。鹿目まどか。巴マミ。暁美ほむら。もっとも暁美ほむら、貴女にとっては『初めまして』というわけでもなさそうね。……私は貴女達と同じ見滝原の魔法少女、美国織莉子。この脅威に対し私達の力も使わせていただきます」

キリカ「……え?私も!?……苦戦しているね魔法少女諸君!私の名前は呉キリカ。正直私からすれば君達がどうなろうと知ったことではないけど、あの舞台装置には思うところがあるし、何より織莉子があいつを倒すというからには当然私も参戦させてもらうよ」

織莉子「キリカ……もう少し言い方をオブラートに」

キリカ「え?……うーん。……」

キリカは数秒悩んで

キリカ「……別世界の話だと考えればほむら以外は直接関係ないんだけど、『あの子』を手助けしてくれた事は感謝してる。これぐらいじゃ全然足りない気もするけど、恩返しってことで」

マミ「……?」

まどか「……全く意味がわからないよ……」

ほむら「……」

心当たりはありすぎるほどにある
彼女の言っている『あの子』とは恐らく

ほむら「美樹さやかのこと?」

まどか「……え!?さやかちゃん!?」

キリカ「大当たり。流石に冴えてるね」

ほむら「……やっぱり」

呉キリカは記憶を継承していると見てよさそうだ
……美樹さやかの持っていたソウルジェムの欠片、……そういえばあれには三つの情報が含まれていたはず。その三つ目の正体が、もしも……

ほむら「あのソウルジェムの欠片。あなたの記憶が含まれていたというところかしら?」

キリカ「!?……いやご明察の通り!君にさやかを託したのはそう間違いではなかったようだ。ちなみに暗号鍵は、『私のソウルジェム』。……正確に言えば複数鍵でいろいろ小細工は入れていたけどね。この世界で私のソウルジェムの存在を認識し、最後の鍵が解かれたというわけさ」

ほむら「……本当に妙な事をいろいろ思いつく魔法少女ね。貴方は」

キリカ「魔女に実弾兵器で挑む君だって相当……少し喋りすぎたかな。あの舞台装置だってそう長く待ってはくれないだろうし、早く倒してしまおう」

ほむら「そうね」

まどか「ほむらちゃん。さやかちゃんが関係してるってどういう事なの!!」

ほむら「ま、まどか落ち着いて……大丈夫。多分さやかも今ここに向かっている真っ最中だから」

まどか「え……まさかさやかちゃんも」

舞台装置の魔女「アハハハハハハハハ!!」

舞台装置の魔女の炎による攻撃が再びまどかを襲う

まどか「!!」

織莉子「させない!!」

織莉子の結界がまどかを包んだ
舞台装置の魔女の攻撃はそれでも完全に防ぎきれるものではなかったが
織莉子の結界が炎を防いでいるうちにほむらがまどかを抱きながら横に回避する

マミ「気をつけて!」

まどか「は、はい!!」



669:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:13:41.90 ID:1vjZYEo0o

美国織莉子が作りだす魔法球。それを足場にし、近接戦を仕掛けるキリカ
その合間を狙うマミとほむら

キリカ「……流石だな。あの二人は私の攻撃の合間をしっかり見て、その上で攻撃してくれている。彼女達に関して心配することはなさそうか。……問題は」

ただ一人。鹿目まどかはキリカの攻撃のタイミングがつかめていない
誤射を恐れてどうしても攻撃が遠慮がちになってしまい本来の力が発揮できない

キリカ「……織莉子!ちょっとだけ離れてもいい?」

織莉子「えぇ!頼んだわ、キリカ」


キリカ「そこの弓使い」

まどか「はははい!!」

キリカ「や、そんなに緊張しなくても……。君、私に遠慮して攻撃を控えてるね」

まどか「え……そ、それは」

キリカ「君は強い。だからこそこの魔女を倒すには君の力がどうしても必要だ。……そこで、なんだけど。君と私で合体技を使ってみようか」

まどか「え!?が、合体技?」

キリカ「やる事は簡単だ。君は私の真後ろから私めがけて狙い打ちしてくれればいい。後は全てこっちでなんとかする」

まどか「え!?で、でもそんな事したら」

キリカ「じゃぁ頼んだよ!!」

キリカは再び前線に跳んで行った

まどか「え、ど、どうしよう」

ほむら「撃ちなさい。まどか」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「大丈夫。あの魔法少女は考えなしにそういう事を言う人間ではない」

美樹さやかの言葉をそのまま信じるなら、だが

マミ「どの道このままあなたの力を出し惜しみしてしまうような状況を続けてしまうのは好ましくないと思う。試してみて」

まどか「マミさん……わかりました!やってみます!!」



670:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:15:39.84 ID:1vjZYEo0o

まどか「フィニトラ・フレティア!」

まどかの矢がキリカを一点に狙う

キリカ「……よし、来た!!」

キリカはそれを回転しながら鍵爪に魔力を吸い取らせる

まどか「……ぇええ!?」

そのままキリカはまどかの魔力を、自身の衝撃波を上乗せして舞台装置の魔女に放った
舞台装置の魔女が大きく揺らぐ

キリカ「うん。やっぱり強いね。狙いも正確。いい魔法少女に育ちそうだ」

織莉子「あらあら。貴女からそんな言葉が聞けるなんて。貴女は人を育てるなんて性分ではなかったはずだけれど」

笑みを浮かべながら織莉子が言う

キリカ「……意地悪言わないでくれよ、織莉子……」

確かに昔の私ならあのまどかを邪魔者としか考えなかったのかもしれない

キリカ「……ほらまどか!!どんどん撃って!!」

まどか「は、はい!!」



671:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:19:57.21 ID:1vjZYEo0o

さやかは今一つ状況がつかめていなかった
杏子が間に合っていないのはまぁ、わかる
だからここにはマミさんとまどかしかいないものと思っていた
実際にはマミさんとまどかの他に、ほむらとキリカと白い魔法少女……多分織莉子さんがいる
しかもあのほむらはひょっとして……

ほむら「遅かったわね。さやか」

さやか「ほむら!?ひょっとしてあのほむらなの!?」

ほむら「他にどのほむらがいるのか聞いてみたいところね」

さやか「……」

そうか、ほむらもあたしと同じ世界出身だ
ならばあたしがここに戻っているならほむらも戻っていても不思議はないのか

まどか「さやかちゃん!!」

さやか「まどか!……無事でよかった!」

思わずまどかに抱きついてしまう
あの時救えなかったまどか
今回あたしは間に合ったんだ

まどか「さやかちゃんこそ……心配したんだよ……」

心配?……そういえばこの世界だとあたし、家出してたんだった……
お父さん、お母さんにも謝らないと

キリカ「感動の再会しているところ悪いけどさ。今が戦いの真っ只中って事を忘れてもらっては困るんだけど」

さやか「え!?……あ、ご、ごめんなさい。……」

キリカ「本当に変わらないな、君は。強くなっても弱いままだ」

さやか「え……キリカ……さん?」

キリカ「考えた挙句が『さん』付けなんだね。『美樹さやか』」

さやか「……!!」

キリカには、あたしの記憶がある!!

さやか「キリ……!」

キリカ「だから、戦いの真っ最中である事を忘れるなと何度言えばいいのかな?私は」

さやか「……うぐ……」

キリカ「少しは成長しているところを見せてほしいね」

さやか「……わかった。このパワーアップしたさやかちゃんの実力!見せてやるさ!!」

いろいろな事があった
言いたい事も聞きたい事も沢山ある
でも、全てはこの舞台を終わらせた上での話だ

キリカ「……うん。今はそれでいい」

織莉子「キリカにとってさやかは大切な人なのね。妬いてしまうわ」

キリカ「……私にとっての一番は織莉子だよ」

そこは揺るがない
でも、さやかだって大切なのもまた事実で
……この答えは後で考えよう

織莉子「ふふ」

実のところ、織莉子は嬉しかった
キリカは閉鎖的で、織莉子しか好きだと言える人がいなかった
今は違う
恐らくは美樹さやかという存在から外に目を開き、世界を認識したのだろう
さっきの鹿目まどかへの対応といい
孤立していたキリカの世界は明らかに大きく広がっている

織莉子「美樹さやかに感謝しないといけませんね」



672:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:21:32.54 ID:1vjZYEo0o

さやかとキリカ。お互いに織莉子とまどかの魔力を利用し、コンビネーションで確実に舞台装置の魔女に傷を負わせていく

まどか「さやかちゃん、すごい……」

マミ「少なくともここ数日で魔法少女になったという動きではないわね」

ほむら「……その辺は後で本人に直接聞くのがいいと思う」

そして、最後の2人が到着した

杏子「おいおい、マミが死にそうって聞いたから来てみたけど、随分余裕そうじゃないか」

ゆま「キョーコ。油断大敵だよ」

杏子「あぁ、勿論分かってるよ。ゆま」

マミ「佐倉さん!それに……子供!?」

ほむら「……揃った。8人全員」

最早これで負ける道理はどこにもない



673:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:23:46.25 ID:1vjZYEo0o

ワルプルギスの夜がひっくり返ろうとする
最期の一撃を放とうとしているのだろうが……

キリカ「往生際が悪いね」

キリカは速度低下を発動させる

さやか「それだけは撃たせるか!!2人共!あの人形を思いっきり攻撃するから援護を!」

杏子「了解!……何か大技を撃つつもりだったみたいだけど、させないよ!」

ゆま「くらえー!!」

さらにさやか・ゆま・杏子の同時攻撃により、人形が強制的に一番下に弾き戻される

ワルプルギスの夜「ハハハ・・・」

キリカ「いい加減君のその高笑いも聞き飽きたよ、舞台装置。いや、あえてこう呼ぼうか。『ワルプルギスの夜』、君に恨みはないけど将来的に君は私の恨みを買う予定でね。つまりは君の命運も」

一手で二十手
キリカの鍵爪が変貌を遂げる

キリカ「これで終いだ」

上からの強烈な一撃
それは舞台装置の魔女を一撃で倒せるほどのものではなかったが
地面にたたきつけることに成功する

まどか・ほむら「いけぇええ!!」

その落下した舞台装置の魔女に対して追い討ちをかける
それでも舞台装置の魔女は人形を上部へと体制を変えようとするが

織莉子「させると思いますか?」

舞台装置の魔女の付近にいくつもの魔力球が展開している
もし人形を移動させようとすれば触れて爆発する位置に
今の舞台装置の魔女の力ではこれを突破するだけの力はない
完全に動きを止めた

マミ「さて……本当にこれで終わりのようね」

満身創痍となった舞台装置の魔女
もう抗うだけの力は残っていない

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

正義の一撃が舞台装置の魔女を打ち砕いた



674:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:26:16.24 ID:1vjZYEo0o

さやか「キリカ……キリカ!!」

キリカ「……」

さやか「え、えぇと……」

呼びかけてみたものの
いざ目の前にすると何を言っていいのか分からない
いろいろ言いたいことがあったはずなのに

キリカ「……ま、その、なんだ」

対するキリカも何を言っていいのかよくわからない
遺言とか言って結構恥ずかしい事も言った気がする
……ま、今思った事を素直に言おう

キリカ「正しく強くなったと思うよ。君は」

さやか「……!キリカぁ!!」

さやかは思いっきりキリカに抱きつき
キリカはその勢いを押さえきれず倒れこんでしまう

さやか「き、キリカ。大丈夫?」

キリカ「全く後先考えないなぁ」

強くなろうと、何も変わらない
多分この子はずっとこのままで成長していくんだろうなぁ……

キリカ「……でもね、今君が今抱きつくべき相手は私ではない事に気づいていないのかな」

さやか「……え」

キリカ「何で私の方が気づいてるんだという気もするけど……この時間、君をずっと探し回っていた人間がいるのを忘れたのかい?さらに、あれだけどんぱちやってれば何が起こったのか確認に来ていても不思議ではないだろうに」

さやか「え?え?」

恭介「……さやか」

さやか「……ぇええ!?」



675:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:28:12.24 ID:1vjZYEo0o

さやか「きょ……恭介!えぇと……これは違うんだよ!」

恭介「……違うって何が?」

さやか「……コスプレ大会!そうそれ!!」

恭介「スーパーセルが引き起こされている中こんなところで火薬を使ってコスプレ大会……」

恭介「……君は馬鹿かい?」

さやか「うぐ!!で、でもこんな嵐の中探し回ってた恭介だって……」

恭介はさやかを抱きしめた

恭介「……すごい心配したんだからな」

さやか「……」

かつてと同じ言葉。あたしはこの言葉に対してまともな事は何一ついえなかった
でも……


貴方はどうなんですか?勝手に一人で悩んで、私にも上条さんにも何も言わなかった貴方は。上条さんの事を少しでも信じる事が出来なかったんですか?


ワルプルギスの夜を倒したら、あたし達の戦いに決着を着ける。
……別の世界の仁美との約束だけど、でもこの世界の仁美だって同じような状況だったら多分同じ事を言ったんだろう

さやか「……ねぇ恭介。大切な話があるんだ。あたしの願いと……そして過ちの話」



676:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/04(日) 22:33:58.02 ID:1vjZYEo0o

エピローグ的な話前半終了
ワルプルさんをみんなでフルボッコする回、でした
次回こそ本当に本当の意味で完結だ!



680:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/05(月) 00:33:29.66 ID:Ww5EdcKro

乙でした
長い道のりだったなぁ。



685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:50:06.29 ID:sBSdqAZqo

--マミの家--

キリカ「……まさかあそこで『でも、いろいろ気持ちの整理もしたいから2日後に改めて話をさせて』と続けるとはね。……2日後の根拠って何?」

さやか「……特にありません」

ほむら「完全にヘタれたわね」

さやか「だっていきなりすぎたし、何よりみんながいる前で話すって完全な公開処刑じゃん!もう仁美だって告白してるだろうし、玉砕するならみんなの見てないところでやりたいよ……」

ほむら「念のため言っておくけど、この周回ではまだ仁美は告白してないわよ」

さやか「……え?そうなの?」

ほむら「友達が謎の失踪を遂げて探し回ってる中告白する度胸がある人がいたら逆に見てみたいわね」

さやか「あ……あー」

マミ「まぁまぁ……今日は美樹さんを攻める為に集まったわけじゃないんだから」

さやか「そ、そうだよ!ワル……舞台装置の魔女を倒したお祝いでみんな集まったんだから」

杏子「ま、そうだよな。ほら、マミ」

マミ「え?私?……えぇと、舞台装置の魔女を無事倒せた事のお祝いということで」

8人「かんぱーい!!」



686:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:51:37.92 ID:sBSdqAZqo

杏子「おいさやか!何がマミが死ぬだよ。てんで余裕だったじゃねぇか」

さやか「8人で戦えばそりゃね……。まどかとマミさんだったら……そういう未来もあったんだよ」

杏子「ふーん……未来ねぇ……」

あたしとほむらとキリカは一通りそれぞれの持っている未来の情報をみんなに話した
織莉子やまどかはあっさり信じたけど、他は半信半疑といったところだ

杏子「……ま、いいさ。確かに2人だけならきつい魔女ではあったしな」

ゆま「キョーコ!おかわりー!」

杏子「こらゆま!ジュースばっかり飲んでないでちゃんとご飯も食べるんだぞ!!」

ゆま「はーい」

さやか「……保護者してるなぁ」


マミ「……そういえば、呉さん。あなたひょっとして見滝原中3年の呉キリカさん?」

キリカ「あれ?君は他クラスの生徒の事まで把握しているのかい?」

マミ「いえ……その……学校に行ってない子がいるって」

キリカ「あぁ、意味も感じなかったからね。……でもま、たまには行ってみてもいいかもね。さやか達をからかいに行く為だけに遊びに行くというのも面白そうだ」

マミ「学校って本来学習の場なんだけどね……」

織莉子「キリカは頭がいいから……それが拗ねてしまった理由でもあると思うのだけど」

キリカ「織莉子!そこはあまり突っ込まないで!」


まどか「……ほむらちゃんなんだよね」

ほむら「えぇ、そうよ。……もう別人に見えると思うけど」

まどか「うぅん。今のほむらちゃん凄くかっこよくなったけど……やっぱりほむらちゃんだよ!優しいし、意思が強いし」

ほむら「……この世界でのあなたも含め、あなたがいなければとっくに崩れていたわ。だから私は……」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「なんでもない。今日は楽しみましょう」



687:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:52:35.17 ID:sBSdqAZqo

ただひたすらに続くドンチャン騒ぎ
やがて一人、また一人と眠りについていき……


--数時間後 マミの家--

ほむら「……」

みんな眠っている
まるで誰かが途中で酒でも混ぜたんじゃないかというぐらいに
……本当に混ざってなかったんだろうか

ほむら「……でも、楽しかった。こんな楽しかったのは本当にひさしぶり。これで……」

--マミの家の外--

ほむら「……」

キリカ「こんばんは、暁美ほむら。いい夜だね」

ほむら「!?どうしてあなたがここに」

キリカ「どうしてって……夜風を浴びたくなったんだよ。どうにもああいうみんなで大騒ぎってのは中々慣れないものでさ」

元々一人っきりの時間の方が多かったし

ほむら「……そういえばあなたに聞きたいことがあったの」

キリカ「何?」

ほむら「この世界。『ワルプルギスの夜』という名前は消えていた。いえ、ワルプルギスの夜が存在したという歴史そのものが消えていた。……どういう事?」

キリカ「そんな事私が知るわけない……けど一応仮説はあるよ。聞く?」

ほむら「えぇ、お願い」



688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:54:04.03 ID:sBSdqAZqo

キリカ「ワルプルギスの夜は君達の手によって倒された。これはあってるよね」

ほむら「えぇ」

キリカ「それが本来ありえないことだったんだよ。ワルプルギスの夜は本来君達を倒して未来の私達の世界に現われる。そこまでが確定されたシナリオだったんだ」

キリカ「ところがそれが君達がワルプルギスの夜を倒したことによって崩れた。……ここからが推測になるけど、もしその後過去や、未来にもワルプルギスの夜が飛んでいて歴史に影響を与えていたとしたら?」

ほむら「……その歴史も消えてなくなる」

キリカ「そう。消えてなくしまうんだよ。……影響範囲がでかすぎる。この修正を解決する手段の一つとして『リセット』が考えられる」

ほむら「……リセット?」

キリカ「そう。ワルプルギスの夜の発端まで話を戻して、その上でそれを基準として歴史を再構成する。過去は残し、未来を完全に消失させる。恐らく今回宇宙に働いたのはそんなところなんじゃないかと思ってる。……本当のところはよくわからないけどね」

ほむら「なら、今回私達が戦ったのは」

キリカ「最強の魔女などと呼ばれる前のワルプルギスの夜さ。あの戦い、私達が勝った瞬間過去が確定されたはずだよ」

ほむら「……でも、そうなると今までワルプルギスの夜が起こした被害は?」

過去に起こった出来事は流石に修正不能なはず

キリカ「恐らく似たような魔女がいたことになったんじゃないかな。ひょっとすると魔女ですらないのかもしれない」

ほむら「未来は?」

キリカ「念のため一年後用心はするつもりだけど。多分何も起こらない。再編された段階で未来は完全に作り直されているとするなら、その作り直された未来を観測している人間が誰もいない以上未来は固定されない」

ほむら「私やさやかがこの世界に戻された理由は?」

キリカ「元々この世界の住民だったからだよ。ワルプルギスの夜との戦いに関わった人間として、本物がいるなら代用品よりかはそちらの方がいい」

ほむら「……仮にそれが事実だとして、私達の記憶が残っている理由は?」

なくなった未来の記憶を私達が持っているというのはおかしいんじゃないだろうか

キリカ「そうだね。わざわざ小細工を入れてた私はともかく……ほむらやさやかの記憶が残っているのは本当に謎だ。……宇宙再編時に因果の中心点にいたから?かな。ちょっとそこはよくわからない」

ほむら「……私は今まで生きていた記憶が消えるなんて嫌」

この何度も巡ってきたいくつもの時間軸の記憶
つらいこともあったけど楽しいことだって確かにあった
これを私が忘れてしまえば、私は私ではなくなる

キリカ「……そういう意思の強さも関係していたのかもしれないね」



689:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:54:44.05 ID:sBSdqAZqo

キリカ「私の仮説はこんなところかな。いくつか間違ってるかもしれないし、少しは合っている事もあるのかもしれない」

ほむら「さやかを過去に送った時、こうなる事がわかっていたの?」

キリカ「……あの時はたださやかを助けたかった。だからさやかに生きる目的を与える必要があると思った」

それはかつて、織莉子が私にしたように

キリカ「……私の話はこれで終わりだ。……さて、本題にうつろうか」

ほむら「……」

キリカ「君はここで何をしようとしていたのかな?」



690:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:55:35.85 ID:sBSdqAZqo

さやか「Zzz……ん……」

キリカ「ほら、起きて」

さやか「え?……キリカ……先輩?」

キリカ「その言い方はやめて。そういう風に呼ばれるのが嫌でわざわざ年齢を明かさなかったのに」

さやか「冗談だよ。キリカはキリカ。今更それを変えるつもりはないよ。……でも、どうしたの?」

キリカ「うん。……暁美ほむらが最後に君をご指名だ」

さやか「ほむらが……最後ってどういうこと!?」

キリカ「最後は最後さ。彼女はこの世界を捨て、時間遡行を行い別の世界へ旅立つつもりだ」

さやか「何でだよ!ほむらのまどかを守るって目的は達成できたんじゃ……!」

キリカ「……それは本人に聞いてくれ。私はもう寝るよ」

さやか「そんな……」



691:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:57:22.07 ID:sBSdqAZqo

--マミの家の外--

さやか「……よう、ほむら」

ほむら「来たわね。美樹さやか」

さやか「そりゃだってあんたが呼んだんじゃないか」

ほむら「えぇ、その通り」

さやか「……何でだよ。あんたの目的はまどかを助けることじゃなかったのかよ」

ほむら「その通りよ」

さやか「じゃぁ何で!!」

ほむら「……今までずっと伏せていた話があったの。聞いてもらってもいいかしら」

さやか「……」

ほむら「それは私が魔女化の真実を知った次のループ世界。巴マミが杏子を撃って、そのマミをまどかが撃った時……あの時もワルプルギスの夜は私達の前に現われた」

ほむら「その戦いで私達は破れ、私もまどかもソウルジェムが濁りきっていた」

ほむら「それで全てが終わるはずだった。でも、まどかは私にグリーフシードを渡してくれて、こう言ったの」

ほむら「『キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を助けて欲しい』と」

さやか「!!」



692:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 10:59:04.30 ID:sBSdqAZqo

さやか「そ、そんな……じゃぁそのまどかとの約束を果たす為には」

ほむら「この世界のまどかはもう契約している。私はまどかとの約束を守る為、止まるわけにはいかない」

さやか「……じゃぁ、この世界のまどかはどうなるんだよ!見捨ててもいいって話になるの!?」

ほむら「それをあなたにお願いしたいの。……この世界のまどかを、あなたに任せたい」

さやか「ふざけないでよ!何で、あんたはそんな事を……」

ほむら「ごめんなさい。でも、あなたなら……絶望の淵で完全に諦めていた私を救ってくれたあなたなら、まどかを任せられる」

ほむら「私がこうやって次の世界に行こうと決意できたのも、あなたのおかげなのよ」

さやか「そんなのあたしは……!!」

あたしはそんなの望んでなかった
ほむらやみんなと、もっとずっと一緒に戦っていけるって……

ほむら「勝手な話なのは分かってる。でも……お願い」

さやか「……」

嫌だ
ほむらと離れたくない
折角別の世界にまで行ってもう一度出会えた親友なんだ
それにここで別れればもう二度と会う事はない
……でも、ほむらだってそんな事は分かっているはず
その上でこの話をあたしにしてくれたんだ
なら……あたしがすべき事はここで駄々をこねることじゃない……

さやか「わかったよほむら。まどかの事はあたしに任せて!」

ほむら「ありがとうさやか」

さやか「でも……まどかには会っていかないの?」

ほむら「まどかとこの話をしたら、多分私は踏みとどまってしまう。……この話はあなたぐらいで丁度いいのよ」

さやか「どういう意味だよそれ!」

ほむら「ふふ」

さやか「……何かほむらが笑ったのを凄いひさしぶりに見た気がする」

というより、結局別の世界ではほむらの笑った顔を見ていなかったような

ほむら「えぇ、笑えるようになったのよ。あなたのおかげでね」

さやか「言うじゃんか」

ほむら「貴方には言われっぱなしだったしね」

さやか「……むー」



693:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 11:00:27.42 ID:sBSdqAZqo

ほむら「一応言うけど……まどかもマミも杏子もゆまもソウルジェムの真実を知らない。いつ何時知られてもいいように、知らせるなら細心の注意を払うようにね」

さやか「うん。わかってる。ほむらこそ……ワルプルギスの夜がいなくなったとはいえ、大変な事には違いないんだから。頑張って」

ほむら「えぇ、私もわかってるわ。……じゃぁ」

さやか「うん」

ほむら「……あなたにまた会えて本当に嬉しかった」

どうしようもない絶望も抗えない運命も跳ね除けられる事を見ることが出来た
もう二度と会うことはないだろうけど
私はこの世界のあなたを忘れることはないだろう

さやか「……あたしもだよ。あんたに会えてよかった」

いくつもの世界を移動しまどかの為に一生懸命戦ってくれた
ほむらがいなかったらあのワルプルギスの夜だってどうしようもなかった
……あたしはほむらの為に、何かできたんだろうか

ほむら「じゃぁ……さようなら」

そう言ってほむらはにっこり微笑むと
盾に触れ時間を遡行した



694:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 11:01:26.44 ID:sBSdqAZqo

キリカ「……大丈夫かい?さやか」

さやか「キリカ……寝たんじゃなかったの?」

キリカ「20秒寝た。……ま、少しだけ気になってさ」

キリカはさやかを抱きしめる

さやか「……あたしは、少しぐらいほむらの力になれていたのかな」

キリカ「なれてなきゃ会えてよかったなんていわないよ。……君の思いは確かに届いていた。よく頑張った。さやか」

キリカ「……もう泣いて、いいんだよ」

さやか「う……うああああああああ!!」

さやかの泣き声が、夜の闇に響き渡った



695:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 11:02:38.06 ID:sBSdqAZqo

その後、あたし達は見滝原とかざみの、あたしが住んでいた街の3つを管轄することになった
その事や、ソウルジェムの真実とかでいろいろ紆余曲折あったけど……
今もなんとか、魔法少女をやれている

さやか「……今頃ほむらも別の世界で頑張っているのかな」

ふとそんな風に時々思いだす
あの時もう一度出会えた親友の事を

恭介「さやか、どうしたんだい?」

さやか「ん?……うぅん。ちょっと昔の事を思い出してただけ」

恭介「……暁美さんの事?」

さやか「うん」

恭介「……止めなかった事を後悔しているのかい?」

さやか「まさか。ほむらが行くと決めたんだ。むしろ止めちゃいけなかったんだと思ってる」

恭介「……そうか」

一応恭介と付き合ってる……事にはなっている
なっているというのは、あたしが付き合い始めてすぐに仁美も告白したからである

「恋愛に先も後もありませんわ」

とは仁美談
一応恭介は断ったらしいのだが
結構しつこくアプローチを続けているらしい
……流石は我がライバル。恐るべし

さやか「……恭介。ちょっと先に帰ってもらってもいいかな」

恭介「……!魔女かい?」

さやか「それも結構大型みたい。他のみんなと連絡をとって撃破する」

恭介「わかった。……さやか、気をつけて」

さやか「任せて!!」

かくして今日もあたしは魔女を狩る
ひょっとすると今日には命を落としてしまうかもしれないし
意外と何十年も長生きできたりするのかもしれない
ま、あたしなりに頑張ろう
キリカがキリカの道を突き進むように
ほむらがほむらの道を歩んでいったように
あたしはあたしの道を貫く
自分の生き方を貫いたならそれがどんな結末であろうと

さやか「後悔なんてあるわけない!」

--『見滝原の悪夢』おしまい--



696:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 11:37:43.88 ID:InN6TCUDO

書き込んで良いのかな?

これ以上ない最高の乙!
最上級のさやカッコいい&キリカッコいいスレでした。
ほむほむ塑行はちと惜しいけど仕方ないね……。
長い間お疲れさま



697:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 11:39:40.65 ID:YxqZQ5yO0

完結おつです!
まどか魔法少女になってるけどほむらどうすんだろ、と思ってたら……
でもまあ納得の展開。さやかちゃんカッコよかった!



701:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/07(水) 13:12:24.17 ID:sBSdqAZqo

PCが実にタイミングよく吹っ飛んでたので今更後書き


元々三部のエピローグ用の話だったけど
よくよく考えると二部と一部のエピローグにもなっちゃってるんだよなぁということで
おまけという形で分けさせてもらいました
蛇足といえば蛇足。一応フィナーレパート
前編でのワルプルさんフルボッコは、正直俺、ワルプルさんにそんな恨みあったっけ?と思わないでもなかった
ワルプルさんに合掌
そしてひさびさのキリカさん。やっぱ使ってて楽しいキャラだなーと思った
後編に関して言えば、いろいろ考えたけどほむらがあれで止まるわけがないんだよなぁ……
さやか、ほむらはそれぞれの道を歩みだしました。そんなエンディング
ちなみにさやかと仁美に関しては、実のとここの二日後にさやかが話をしたのは魔法少女の話だけで告白はせず、
さらにいろいろひと悶着あったあげく、最終的にさやかが先に告白という設定が……
ま、いろいろあったんだよ!


これにて見滝原の悪夢も無事完結となりました
ま、本音暴露すると、三部絶対途中で自分の心が折れると思ってたww
いやー何とかなるもんだね!読んでいただいた読者に感謝の気持ちでいっぱいだよ
ちなみに一二部は『見滝原の悪夢』だったけど、本来三部は『強くてニューさやか』というタイトルでした
実際滅茶苦茶強かったしなーマミさん紅茶トラップに引っかかったけど
マミさんといえば、あの話。実は一部後半ぐらいに考えていたシナリオだったりする。当時はお蔵入り予定でしたが
キリカの裏切りシーンも本当は前後編分ける予定だったけど、何か後味悪すぎるという理由でくっつけたという事情があったり
あの時の気配りがマミさんの時もできていれば……ま、次回の反省材料ということで


次本編キャラ出す話をやるならPSP版発売後かな
マミさんの過去とかいろいろ明らかになるらしいし、それらを思いっきり取り入れてなんか作りたいものだ


最後に皆様。今までお付き合いいただいて本当にありがとうございました
何か二部の終わりにも言ったし上の方でも書いたけど、読んでくれた人のおかげでここまで書けたよ
三部は途中で心が折れるという理由で没ってたネタでもあったしねww
またSS速報だったりVIPだったり安価で1レスだったりで出会うことがあるかもしれませんが、
その時はまたよろしくお願いします
以上!本当に今までありがとうございました!



702:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/03/07(水) 13:15:20.02 ID:TVmq4zKAO

お疲れ様でした
面白かった



710:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/08(木) 00:26:52.89 ID:lsrcGDmMo

乙乙!
次も期待してますぜ



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         コメント一覧 (107)

          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:06
          • さやかっこいい
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:16
          • たまには活躍したっていいじゃない

              魔法少女だもの

                             さやか
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 00:10
          • メアリースーか
            じゃあ読まん
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 00:46
          • ハッピーエンドだけど
            ほむらはまた迷路に戻るのか
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 01:18
          • いっきに読了した
            さやか頑張ったな…
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 02:05
          • >>11 ワルプルギスの夜はもう居ない訳だし、今回の経験が有ればまどかを救うのはそう難しくない気がするよ
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 03:32
          • 終わるのがもったいなく感じるくらい面白かった
            次回作期待してる
            …意地悪なこと言うとトリつけてほしかったなー
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 04:35
          • 5 おもしろかったよ
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 07:52
          • 5 終わりかよ・・・

            もっと続いて欲しかった
            キリカさんまじいい女
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 09:16
          • 力作だねぇ。面白かった。
            けど、最後の最後にループしちゃったら
            また因果がどうのこうのとはならんのか?
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 15:03
          • なかなかの完成度
            まあSSなんだからある程度のキャラ贔屓は仕方ない
            さやかやキリカの活躍が楽しめて良かった
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 15:48
          • 俺的には「俺」とか「男」でやってもらったほうがよかった

            メンタル強くて戦闘力も他キャラに劣らなくて機転も利くとかもはやさやかの魅力が何も残ってない
            さやかは好きだけどこういうふうにマンセー気味にされるのは嫌だ
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 16:36
          • 5 メアリー・スーでもちゃんと納得できるなら別に構わない
            納得は何より優先するぜ。
            こんな緻密に練られた作品をメアリー・スーの一言で全否定するのも違うし

            さやかだけじゃなくて皆歴戦の猛者の貫禄があったな
            なぜかはこの魔女が一番可愛らしかったw
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 16:37
          • 書き終わる度に言い訳しなくてもいいのに・・・
            自身持って書いておk おつでした
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 17:22
          • 5 満足した、作者乙
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 17:57
          • まあメアリー・スーが無理な人には無理なSSだろうな
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 18:45
          • ※19
            元スレ読むとわかるけどさやかのメンタルはかなり脆いけど
            キリカとほむらのメンタルケアで持ってる状態が長く続いてた
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 18:51
          • メアリー・スーか…

            オリキャラじゃないだけマシだよ
            むしろさやかちゃん大活躍で感動したよ
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 19:16
          • メアリースー言ってる奴は本当に読んだのか怪しいな・・・

            さやかの戦闘能力については完全に虚の経験をつんだらーのインタ通りだし(だからさらに経験積んでる過去組で一番弱い、ループ後でもキリカ、ほむらのバックアップ無しなら何度か死んでる)、精神状況についてはいつ魔女化するかわからなくて怖いとスレ住民に言われるほどだし
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 19:56
          • 正直過去に戻らんで良かった
            どんだけキリカは万能なんだよ

            メアリースーがなんなのかは知らんがこのさやかとキリカがオリキャラレベルなのは確か
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:08
          • 正直さやかやキリカがオリキャラ臭いけどSSならこんなもんだよ。

            作者が自分の好きなキャラ贔屓しちゃうのは仕方ない。
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:16
          • 本編で語られてない部分を雑誌や特典やらで少しずつ虚が小出しするせいで
            知られてない設定とか多すぎるから読者様の間で意識の齟齬がうまれるのは仕方の無い気がしてくる

            さやかの魔法少女としての素質とかさやかの性格とか特にインタ系で語られてる部分だから知らん奴のが多いだろうし、まどかやほむらの性格とかも本編以外で語られすぎだし
            そういう意味ではよく色んなところから公式設定拾ってきたssだなーと思う

            マミさん、杏子はオリマギからの設定
            ほむらは虚インタから設定いくつか拾ってきてたり、割と知られてない設定の宝庫なssだったな
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:21
          • 元スレのスレ民の理解の速さがヤバイな
            ここはこの設定拾ってきてるんだなーとか

            えっそんな設定あんの!?ってレベル
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:42
          • やっぱり強くてニューゲームはワクワクするよね
          • 32. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 21:35
          • ブラボー!おお ブラボー!
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 21:58
          • メアリースーはQBで散々見たから慣れた
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 22:00
          • メアリー・スーってオリキャラが無双する話のことだぞ?
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 22:23
          • オリキャラじゃなくても何の理由付けもなく特別扱いされてればメアリー・スー

            普通なら
            俺「・・・」ニコッ
            さやか「おえっ」

            メアリー・スーだと
            俺「・・・」ニコッ
            さやか「・・・///」
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:07
          • SS読む時くらい現実から離れようぜ…
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:26
          • ※35
            とっても分かりやすい例えだ
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:29
          • SSでメアリー・スーを意識し出したら面白いものもつまらなくなりそう
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:30
          • ※35
            おいばかやめろはやくもこのコメント欄は終了ですね
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:31
          • なんだメアリー・スーか(キリッ
            バカの一つ覚えみたいにみんな書いててわろた
          • 41. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:33
          • さやかちゃんやキリカが強いのはそういうSSだからであって、作者がホントに贔屓してんのはマミさんだと思うけどなこれ。読んでてつくづくこの人マミさん好きなんだなーって思った

            ワルプルタコ殴りはトランクスが未来に帰って初期セルをフルボッコする感じに似てた
          • 42. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:34
          • さやかちゃんを活躍させるにはメアリー入れないと無理だししょうがないんじゃない?読んでないけど
          • 43. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:52
          • マミさんかっこよすぎる
          • 44. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 23:56
          • ローゼンのころは数が少なくなってきたら外野は保守と支援に徹して
            感想もポジティブなものが多かったのにけいおん辺りから
            アンチが自演してんのかってほどネガティブなレスや感想が増えた気がする
          • 45. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 00:01
          • さやか厨としては感涙ものでした。さやかちゃん可愛いよさやかちゃん!
          • 46. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 00:33
          • エルム街の悪夢とのクロスかと思ったら違うのか
          • 47. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 02:36
          • メアリー・スーが何かわからなかったので調べてみたけど・・・
            このSSは「突拍子もなくご都合主義に」万能なキャラが
            原作舞台を引っ掻き回すメアリー・スーとは別物だろう。

            むしろ公式発表された資料を注意深く調べて「その範囲内で可能な限り」
            さやかの強化ほか諸々のifを盛り込んだ構想が練られているし
            そのifを成立させるための道筋・背景もしっかりと用意されてる。

            良作というか意欲作というか力作だと思う。
          • 48. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 10:28
          • 本気で言ってる恥ずかしい子はさすがにいないんじゃないかなって…
          • 49. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 10:59
          • スルースキル足りねえな
          • 50. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 11:17
          • なんでいちいちメアリースー発言に反応して力作だのなんだの言っちゃうのよ

            おもしろいと思ったのをメアリースーってだけで否定されたから?
          • 51. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 13:59
          • 単に「つまらなかった」って言っても仕方ないだろ?
            「メアリースー(みたい)でつまらなかった」の方が批判としてはまだまし
            むしろ力作()とか言っちゃう方がねえ
          • 52. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 14:03
          • 気持ち悪いコメント欄だなー
            もうラフに楽しんでた人は別のアニメにいってまどかに残ってる人は…
          • 53. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 15:21
          • しきりに「もうまどかSSは・・・」とか「もうまどかに残ってる人は・・・」とか言うやつはなんだ?
          • 54. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 15:40
          • 5 なげえww

            けど面白かった。通して見るぐらい惹かれたな
            キリカの活躍が見れてよかったけど他の全員のキャラもよかった
          • 55. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 21:47
          • こんなにさやかっこいいSS初めて見たわ
          • 56. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 21:54
          • ※51
            これは力作だよ。面白かった


            面白かったもんを面白かったっつって何がおかしいの?馬鹿かお前
          • 57. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 22:17
          • 1 まあ力作なのは確実だな。
            名作でも傑作でもない・・・
          • 58. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月11日 05:35
          • いやぁえがった。結局一気に読んじまった。だからもうこんな時間。どうしてくれる!!
          • 59. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月11日 19:36
          • 5 凄く長いSSだったがその分読むのが楽しかった.次回作期待してます!お疲れ様でした
          • 60. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月11日 22:41
          • 5 感想は主観だから違ってもいい
            俺はすげえ面白かった!!
            読み応えあったしよく考えてるな、と感心したぜ!
          • 61. スーパーメテオシューティングスター☆高坂DX
          • 2012年05月12日 01:57
          • 5 いやあ最高だった!!この作品に出逢えた事への感謝を込めて最高評価だ
          • 62. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月12日 07:46
          • いやはや……脱帽だった!

            本当に細かい所までよく書かれてたし、キャラクターの感情や関係も形を護りつつ程好く調整されてたし、SS自体ifのような物なんだからそう見ていけば最高に良かった。
            実際設定自体も逸脱はほぼしてなかったし純粋に楽しめる話だったと思う。

            ……しかし、あれだな、ワルプルギス(強)は熱かったしワルプルギスは何というか可哀想になったなw
          • 63. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月13日 18:03
          • 5 もう、さぁ他人の意見を参考にするのはいいけど、振り回されるのはやめようぜ
            自分が面白いと思ったのは、面白いでいいし、つまらないなら、つまらないでいい
            俺は好きだぜ。ありがとな!!
          • 64. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月14日 13:17
          • 2 いくらなんでもさやかを美化しすぎ
          • 65. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月14日 18:38
          • 5 あの後のほむらの続きが気になるな
          • 66. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月14日 19:41
          • 5 乙乙
            漫画で読んでみたいな
          • 67. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月14日 22:34
          • 3 さやか信者はキャラの原型を留めていなくても
            活躍させればよろこぶんだな
            まあ、長々と妄想を垂れ続けられる胆力には感心した
          • 68. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月15日 00:22
          • まぁ原作の「魔法少女の奇跡」を過大解釈したらこんなのもアリなんじゃないの?
          • 69. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月19日 13:43
          • これだけの人数を動かすのは大変だろうな
            いろんな意味で面白かった
          • 70. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月20日 02:50
          • これだけの人数を動かしてほぼ全員に見せ場作るのは大したものだよ。
            面白かったお疲れ様。
          • 71. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月20日 08:20
          • さやか好きだけどこれは無いわ。

            青い髪したオリキャラは出てきたけどさやかは出てこなかったね。
          • 72. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月21日 08:53
          • 3 面白いんだけどね
            もったいない…
          • 73. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月21日 23:47

          • 感謝だ かなり楽しかった
          • 74. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月23日 04:55
          • めちゃくちゃ面白かった!
            ここまでさやかが活躍するのは見たことがない
            というかここまで練りこまれた話がなかったと思う
            長い話だけど一気に読んでしまった
            そのくらい引き込まれた

            さやかちゃんかわいい!素晴らしかった!乙
          • 75. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月23日 12:26
          • 作者さんが自作自演でマンセーしてんのかな?

            正直こんなんさやかじゃねえよ。
            さやかの魅力全部台無しにして無理やりスパさやにされても萎える。

            さやかが好きな人ほど逆に受け付けられないだろ、このSS。
          • 76. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月26日 04:46
          • むぅ…やはりコメ欄はSS読んだ直後に併せて読むもんじゃないな。
            人それぞれ批判もあって当然だとは思うけど、やっぱ楽しんだあとに読んじゃうと
            「それもそうなんだよなぁ」とか色々考えちゃって読後感がモニョるw

            気にするな!って話だけどね
          • 77. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月26日 08:56
          • 4 文句無しに面白い
            マジで
            これを力作と言わずして何を力作と呼べば良いのか?
          • 78. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年06月08日 00:16
          • 4 原作キャラをそのまま動かしても面白くないしある程度の改変はやむなし
            普通に好きだよこういうハッピーエンドってやつ。
            まあ少々さやかちゃんが強すぎるのはアレだがねww
          • 79. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年06月24日 14:22
          • 物語の構成はよく練られていたし、場面毎の解説もわかりやすかった

            前編の>>123にて「サヤカチャン ガンバッテ」って台詞があるけど、
            これって原作のまど神様なのか?
          • 80. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年07月13日 15:12
          • 5 鳥肌たった。さやかは、一本気のある正義の味方になると輝く。正直、立ち居値が違えば一番、主人公になりえた女の子だったはず。
            なのに、アニメはもう・・・許すまし、うろぶち(-_-#)
          • 81. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年08月21日 12:38
          • メアリースーなんて入ってたか?
            さやかは元々素質は杏子と同格以上なんだろ?
            特にチートだとは思えない
            キリカはかなり都合に合わせた設定が付加されてたからチートと言われても仕方が無いが
            でもキリカの性格も能力もよく書かれてたし納得できた
            このキリカが1番好きだな
          • 82. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年08月21日 12:57
          • ※76 モニョるとかキモいから使うなよ

            メアリースーとかこんなのさやかじゃryって人は単にさやかアンチで読んでも居ない人か、アニメ見ただけの公式設定を全く知らない人だろ
            さやかアンチも公式設定知らない人も多い、俺も設定殆ど知らなかったし
            批判は良いけどこのSSに、ではなく単にさやかに向かってる人ばっか
            ちゃんと読めば作者はマミ厨だと分かる筈なのに、読んでないのバレバレ
            虚淵曰くさやかは主人公補正なしの主人公だし、まあキリカは確かにチートだな
          • 83. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年09月07日 23:02
          • 面白かった

            結局ほむらは別世界への移動を繰り返すってことかな。移動した先のまどかがあのまどかかどうかを確かめる手段無いし。
          • 84. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年09月11日 21:04
          • いや、俺はさやかが好きだよ。

            ただ、このキリカとさやかはオリキャラ臭が拭えないんだよな。
            無理矢理能力詰め込みまくって、原型が無くなっちゃった。
            好きな分コレジャナイ感が拭えない。

            正直さやかじゃなくても良かったなあ。
          • 85. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年09月21日 06:22
          • 設定完全に網羅してるとわかるけど、所々の物がさやかのがやり易かったと思われ
            特に感情描写付近が

            ただそこらへんTBS、公式インタ、おりマギ等から引っ張ってきてるからにわかファンには違和感感じるかもね
          • 86. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年10月22日 03:33
          • キリカやゆまとかキャラ知らないけど面白かった。

            ページ数見て長っ!!って思ったけど一気に読んだ。

            さやか好きだからハッピーエンドで嬉しい。ただほむらはやっぱり戻るのか。。。

            ほむらにも幸せになってもらいたい。
          • 87. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年10月31日 20:30
          • 5 読み応えも読後感もすごい スレSSでここまで充足感を得られるってのもなかなかないよ
          • 88. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月07日 15:53
          • 5 マミと杏子は主人公気質じゃない。
            まどかはただ強いだけ、というか話のきっかけというだけ。

            実質まどマギらまどか中心のほむら主人公の話。
            という自己解釈

            では主人公で無いと打ち破れない死亡フラグばっかり建てるさやかは?

            その答えがココにあった。マジGJ
          • 89. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月08日 02:41
          • メアリーメアリーうるせえな

            作中乗り越えられなかったモノを乗り越えるとなんでもメアリーか。
            だったら数多く存在するワルP撃破SSも全部メアリーですね?

            他の作品でも言える、本来生き残らなかった奴をSSで生き残らせたり、
            犠牲無しで倒せなかった奴を倒せたりしたらメアリーか?

            まあここでメアリーメアリー連呼してる真の思考停(AA略は他のSSでも同じ事を言ってるんだろうな

            楽しめないなら立ち去るべき、鬱作品の二次創作の大半はご都合主義で成り立ってるんだよ
          • 90. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月13日 13:58
          • ※89

            キャラがメアリーにしか見えない奴ってメアリーに浸かり過ぎてるんだってさ。
          • 91. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月16日 01:44
          • 5 原作設定網羅した上で見ればさやかの強さに特に違和感はないと思うけどなぁ
            原作にはなかった主人公補正はあったけど作品のベクトルが違えば無理のあるレベルじゃないし
            まどマギに少年漫画的要素を組み込めばこんな感じかなってIFで凄く良かったと思う
            次回作にも期待
          • 92. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月16日 03:58
          • さやかは主人公でも無いのに主人公でしか折れない死亡フラグを立てすぎたのが作中の死亡原因

            裏を返せば彼女は根っからの主人公気質
          • 93. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月22日 23:00
          • 5 凄い…キャラクター総登場な上、全員に見せ場がある。
            どんだけ力作なんだよ。
            その後のほむらの奮闘も気になる。
            この作者さんが他になに書いたのかも気になるわ
          • 94. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月06日 12:43
          • さやかちゃんの成長の過程がしっかり書いてあるからメアリー臭はあんまり感じないなあ。
          • 95. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年07月01日 14:19
          • 5 凄い
          • 96. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年09月13日 02:21
          • 最悪の絶望から生き残って1年自分より強い相手と戦い努力したらこれくらい強くなっても不思議じゃないしif物なら充分行ける。スピンオフさやか主人公で公式やらないかな~
          • 97. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年09月13日 23:40
          • 読むの2回目でも楽しめたわ
            個人的には完成度かなり高いと思う
            ページ数多かったのに夢中で読めたわ
            作者様本当にありがとうございます!

            あとお菓子の魔女と戦っている時の
            マミさんがかなり格好いいわ
          • 98. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月27日 05:13
          • コメント19←こいつが叛逆見たらどうなるんだろうな
            コメント20、馬鹿はなんでもメアリースーとかいう妙な用語(どういうものかは知っているが)で片付けちゃうからなー
            そもそも元の由来考えたらこの作品がメアリースー()とは違うってわかるはずなんだが用語の一人歩きかはたまた馬鹿の誤用か
          • 99. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月27日 05:19
          • 51、57は馬鹿丸出し、67はこいつも叛逆でファビョるパターンか・・・
          • 100. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月27日 05:23
          • 71、75、84も設定知らないにわかだろうね
            叛逆でファビョry
            82、まあキリカは魔女なのに(自我ないのに)おりこ守るぐらいなので何をしても驚かないな
            89よう俺
          • 101. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月27日 05:30
          • 5 なんかあれだね、例をあげるとしたらシュタゲ的展開にも似てるね(アンチいたらすまんがわかりやすい例として)
            タイムリープに協力者がいるという状態が作れたところ、再構築した先でまた戻る理由があったところとか。
            前者はさやかやほむらにとってのキリカ、ほむらにとってのさやかかな?シュタゲでいう所のマイフォークだのスプーンだのの紅莉栖
            タイムリープもので暗い話だと大体ルーパーの心が消耗するので理解者が出てくれるのは希望だし、燃える展開でもある。
            パクリとか参考にしなくても思いつくとは思うが王道でもあるが使い古されていない、飽きがない(この程度で飽きてたらいまさらループは流行らない)展開。それ以外にも色々いい点はあるがコメント欄にあるため割愛
          • 102. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月21日 14:22
          • これ非常に好きなんだが、「永遠と」は有り得ない!絶対に駄目だ。
            馬鹿なのかわざとなのか…
            単なる誤字ではなく助詞がおかしいところも多々あるから基本の部分で力不足。
          • 103. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年03月29日 08:10
          • 5 さやかが主人公補正をもったらこうなるんだな
            ほんとさやかちゃんマジ主人公
          • 104. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年08月24日 05:20
          • 5 何かさやかばっかりメアリースーみたいな扱いになってるけど、これの本当のチートキャラは明らかにキリカだろ
            このさやかの場合メンタルと戦闘技術がすごいというより、すごくなるだけの時間と頼りになる師匠、そして、キリカが残したソウルジェムの欠片があったからだし、メンタルについてはそれでもまだ不安定な所も散見してたしな。

            ところで、これってほむほむがループした世界でもし一回でもワルプルに負けたらまた平衡世界が生まれて宇宙改変が起こってしまうような気が・・・、それとも、ほむらが過去に戻った時点で改変が起こらなかったから、ほむらも次の世界で成功してハッピーエンドって解釈なのかな?

            それはさておき、素晴らしい長編かつ良作でした。
          • 105. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年01月07日 05:41
          • 完璧だわ、言うことねぇ……。
          • 106. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年11月22日 06:37
          • 青い子がここまで活躍するのを見たのははじめて、というか発想がなかった
            お調子者ですぐ魔女化で戦力は微妙…だいたいのSSでもそういう扱い多かったしキリカもおりこべったり以外のキャラで見たのははじめてな気がする
            意外な設定でとにかく楽しめた
          • 107. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2021年08月08日 02:56
          • 数年ぶりに読み返したくなってまた来た。
            原作の流れを変えるために原作で一番足引っ張ってるキャラを
            どうにか強化するifを突っ込んだわけだけど
            そのifが結果大きくなりすぎたって感はあるねぇ。
            これを完結させたんだから大したものだよなぁ…

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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