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さやか「見滝原の悪夢」【前編】

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:05:09.05 ID:xG3pAjx60

--見滝原中学校の食堂--

仁美「私、上条恭介君の事、お慕いしてましたの」

仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって」

仁美「あなたはどうですか?さやかさん。あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します」

仁美「丸一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「…」


エルム街の悪夢/ フレディ・クルーガー プレミアムフォーマット フィギュア



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:06:15.23 ID:xG3pAjx60

さやか「…うーん…」

さやか「……うーん…」

QB「いつになく悩んでいるね。美樹さやか」

さやか「うわっ!?びっくりしたー。突然出てこないでよ」

QB「君の悩み事、僕なら力になってあげられるかもしれないよ」

さやか「…また契約の話?」

QB「魔法少女になれば、その時の願いで上条恭介の目を君に向けさせる事も、志筑仁美に恭介を諦めさせる事も出来る。そういう意味では、確かに契約も選択の一つと考えることは出来るだろうね」

さやか「…あたしがそんな理由で契約すると思ってるの?」

QB「僕は君の願いについて干渉する権利はない。ただ、君にはいつだってそういう選択が選べるってことは忘れないでほしい」



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:06:49.24 ID:xG3pAjx60

さやか「魔法少女ってそんなに人手不足なの?」

QB「この街には多くの魔法少女がいる。人手不足ってことはないね」

さやか「なら、あたし別にいらないじゃん」

QB「魔女と戦う人間は常に死と隣りあわせだ。少なすぎる事はあっても多すぎるという事はない。それに、君は既に叶えたい願い事を持っているんじゃないのかい?」

さやか「…もう少し考えさせて」

QB「仁美は明日にも告白するんだろう?だったら、君が悩める時間もそんなに残ってはいないと思うんだけどね」

さやか「…わかってるよ…」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:08:14.65 ID:xG3pAjx60

--恭介の家--

恭介「…やぁ…さやか…」

さやか「恭介…」

恭介「何だい、また僕を馬鹿にしに来たのかい?」

さやか「ねぇ、恭介。…もしその腕が治す方法があると知ったら、その為なら何だって賭けられる?」

恭介「…決まってるだろう?僕にとって音楽は全てなんだ。そんな事君が一番知っているはずなのに…そうやってまた君は僕をいじめるんだね」

さやか「その言葉に嘘偽りはない?」

恭介「当然だろ…いい加減にしてくれ!」

さやか「わかった。その言葉だけ聞きたかったんだ…じゃぁね」パタン

恭介「…」

ゴン!

恭介「…くそ!僕は…!さやかに当たってもしょうがないのに…!!」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:08:51.54 ID:xG3pAjx60

QB「決心がついたようだね」

さやか「あたしの願いは恭介の腕を治すこと。叶えられる?」

QB「大丈夫。君の祈りは間違いなく遂げられるだろう…でも、本当にその願いでいいのかい?その願いでは、君が報われないと思うのだけれど」

さやか「何、心配してくれてんの?」

QB「疑問に思っただけさ」

さやか「大丈夫。…あたしはこの願いを叶えたら、見滝原を出て行く」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:10:05.81 ID:xG3pAjx60

さやか「魔法少女になるってことはさ、つまり命がけなんだよね。そんな人間と付き合ってほしいなんて言えないよ」

さやか「でも、仁美と恭介が一緒にいるのは、あたしが耐えられない…だからあたしは見滝原を出て行く。多分、それが一番いいんだと思う」

QB「…それが君の願いだと言うのなら、僕は何も言わない」

さやか「ありがと。キュゥべぇ。…いろいろ引っ掻き回しちゃって、ごめんね」

QB「言っただろう?僕に君の願いを干渉する権利はない」

QB「さて、美樹さやか。改めて聞くけど…本当にいいんだね」

さやか「うん。やって」

QB「受け取るといい。これが君の運命だ」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:10:45.89 ID:xG3pAjx60

まどか「…」

マミ「鹿目さん…どうしたの?何か調子が悪いみたいだけど」

まどか「マミさん…さやかちゃんが、さやかちゃんがいなくなっちゃったんです」

マミ「さやかちゃんって確か…鹿目さんの友達の」

まどか「はい、美樹さやかちゃん。…朝、さやかちゃんの家から電話がかかってきて…昨日の夜から、帰ってないって」

マミ「そんな…キュゥべぇには聞いてみた?」

まどか「キュゥべぇは、『美樹さやかがどこにいるかは知らない』って。探してみるって言ってくれたけど…」

マミ「…鹿目さん。あと数日でワルプルギスの夜が現れる。今、美樹さんを探している余裕は私達にはない」

まどか「…でも!」

マミ「それとも鹿目さんは、見滝原がどうなってもいいっていうの?」

まどか「…!」



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:11:49.78 ID:xG3pAjx60

マミ「ごめんなさい。でも、今のあなたは見滝原を守る魔法少女なの。それだけは自覚して」

まどか「…はい…」

マミ「…キュゥべぇに任せておけば大丈夫。あの子はあれで結構頼りになるんだから。私だってキュウべぇのおかげで助かったのよ」

まどか「マミさん…そうですよね。キュゥべぇがさやかちゃんの為に頑張ってるんだから、私も見滝原の魔法少女として…頑張ってワルプルギスの夜を倒します!」

マミ「その意気よ。鹿目さん」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:12:33.58 ID:xG3pAjx60

--どこかの街の銀行--

強盗A「いいから早く金を出せ!」

銀行員「も、もう少し待ってください。せめて後5分…」

強盗A「もういい…あんた、死にたいってことだよな。それ」

銀行員「っひ!」

?「もう少し待ってあげてもいいんじゃない?短気は損気ってね」

強盗A「あん…何だ餓鬼んちょ。変なコスプレしやがって」

?「コスプレ言うな!さやパンチ!」

強盗A「ベボァ!」

強盗B「な、何だ?」

強盗C「こいつ!」

さやか「…あ、つい手が」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:14:06.93 ID:xG3pAjx60

強盗B「手をあげろ!」

さやか「いやーそのーなんっていうか」

強盗C「いいから早く上げろ!」

さやか「わかりました…なんてね!」ダッシュ!

強盗B「な…ウベボォ!」

強盗C「てめバベェ!」

さやか「ふっふっふ。魔法少女界最速を誇るさやかちゃんのスピードに人間がついてこられるかっての」

QB「君が最速ということはないね。…こんなところで何をやっているんだい?」

さやか「…キュゥべぇ?」

QB「…いいからすぐ外に出て。警察が来たら面倒だ」

さやか「わかった」ヒュン



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:14:40.79 ID:xG3pAjx60

QB「つまり、君は魔女を倒しつつ正義の味方の真似事をしていたと…前例がないわけではないけど、あまりお勧めは出来ないね」

QB「魔女と戦う為の魔力を他の事に使えば、それだけ魔女と戦う時の致死率が高くなる」

さやか「…あんたは、なんだかんだであたしを心配してくれるんだね」

QB「事実を言っているだけさ」

さやか「大丈夫。あたしは自分でこの生き方を選んだんだ。それで魔女に殺されたとしても、後悔なんてしない」

QB「…わかったよ。さやか」

さやか「…ところでキュゥべぇ。あんた、あたしを探してくれてたの?」

QB「そうだよ。時間はかかったけど、なんとか君を見つけることができた」

さやか「…ありがと。キュゥべぇ」

QB「礼を言われる話じゃないさ」



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:15:22.91 ID:xG3pAjx60

--織莉子の家--

織莉子「…」

キリカ「織莉子ー紅茶まだー?」

織莉子「あ…ごめんね。すぐ持っていくから」

キリカ「…ねぇ、織莉子。もうすぐワルプルギスの夜が来るけど…本当に私達、何もしなくていいの?」

織莉子「大丈夫。私の『未来予知』では、巴マミ・鹿目まどかの2人でワルプルギスの夜は倒せる。私達が下手に干渉をして、彼女達の邪魔をしてはいけない」

キリカ「うーん…大勢で挑んだほうが楽だと思うんだけど」

織莉子「キリカ。貴女は見ず知らずの魔法少女と一緒に魔女と戦う事になったら、どうする?」

キリカ「邪魔だから一緒に刻むね」

織莉子「…キリカ、めっ!」ピシィ!

キリカ「痛!」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:16:11.06 ID:xG3pAjx60

キリカ「織莉子ーごめんよー嫌いにならないでー」

織莉子「なら刻むとか言わない!…信用できない魔法少女と一緒に戦うというのは、非常に難しい。私達2人が彼女達と一緒に戦ったほうが、不確定要素が高くなり結果として勝ちの目が確率が薄くなってしまう。今は下手な手は打たないのが最善ね」

キリカ「でも、何もしないなんてさー。私達2人のコンビは、あいつらより断然強いよ!」

織莉子「…もし、巴マミと鹿目まどかが敗れるような事があれば、その時は私達の出番よ。準備だけはしておいて」

キリカ「…わかった!任せておいて!」

織莉子「(…とはいえ、私の『未来予知』では巴マミと鹿目まどかの勝利は確定している。恐れる必要は何もないはず…)」



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:17:02.71 ID:xG3pAjx60

--数日後--

テレビ「見滝原でスーパーセルが発生しました。現場には近づく事すら出来ない状況で…」

さやか「…何これ」

さやか「キュゥべぇ!これは一体どういう事!?」

QB「ワルプルギスの夜が現れたんだよ」

さやか「ワルプルギスの夜?」

QB「最強の魔女さ。今、ワルプルギスの夜と見滝原の魔法少女達が戦っている。もし魔法少女達が負けてしまえば、見滝原に未来はないだろうね」

さやか「…なんでそんな話をだまってたの!」

QB「話せば君は見滝原に帰っただろう?君の実力ではワルプルギスの夜に傷一つつけられない。こんなところでいたずらに魔法少女の犠牲を増やしたくはない」

さやか「…今から見滝原に帰る」

QB「君が帰ったところで、何の力にもなれやしない」

さやか「ワルプルギスの夜と戦えなくても、避難の手助けぐらいは出来る。何の力にもなれないってことはないと思う」

QB「…君がそこまで言うのなら、もう止めはしないさ」

さやか「ごめん。キュゥべぇ」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:17:52.59 ID:xG3pAjx60

--見滝原--

織莉子「キリカ!左!」

キリカ「了解!」ヒョイ

ワルプルギスの夜「アハハハハハ アハハハハハハ」

織莉子「(未来予知を過信した!…未来は絶対ではない事は理解していた。それでも自分が手を加えない限り未来が変わることはないと思っていた)」

織莉子「(…もしその未来予知が魔女によって意図的に見させられたものだとしたら?未来を変えることが出来る能力を持った魔女がいるだとしたら?…未来が変わる理由なんていくらでも考えられたはずなのに…!!)」

マミ「」

まどか「」

織莉子「(…彼女達が殺されたのは、私の責任だ…!)」

キリカ「織莉子!?前!!」

織莉子「…わかっているわ!」スィ

織莉子「(悔やんでも仕方がない。…せめて彼女達の犠牲を無駄にしない為にもワルプルギスの夜は…私達の手で倒す!)」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:18:42.55 ID:xG3pAjx60

さやか「そいっと」

住民「助かったよ…さやかちゃん。これはどういうことだい?家出したと聞いたかと思えばそんな不良みたいな格好して…」

さやか「これにはいろいろ事情が…とにかくここを真っ直ぐいけばもう避難所ですから!気をつけて!」タタッ!

住民「ちょっと!さやかちゃ」

さやか「(ひどい風…魔女を肉眼で捉えられない地点でこれだけの影響が出るなんて…)」

さやか「…とにかく他に逃げ遅れた人がいないか探そう…ってあれって」

恭介「…!!…!!」

さやか「恭介!?どうしてこんな所に」

恭介「…さやか!やっと見つけた!」

ッギュ!

さやか「…え?」

恭介「馬鹿…すごい心配したんだからな」



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:19:59.75 ID:xG3pAjx60

キリカ「一手で…十手!」ザシュスパァ!

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ!!アハハハハハハハ」

キリカ「…ふん。木偶の坊の割に硬いか」ブン!

キリカ「それにしても…ほんっとうに燗にさわる笑い方だね。さぞかし生前は男にも女にも縁がなかったんじゃないかな!」シュン!ヒュン!

織莉子「(…駄目だ。私達では火力が足りなすぎる。もうどの未来でもワルプルギスの夜の最後の一手には届かない。見滝原は壊滅する)」

織莉子「(…せめてキリカだけは…でも、この子は私が死んでしまえばそのまま絶望してしまう。何か方法を考えないと)」



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:21:29.47 ID:xG3pAjx60

さやか「…じゃぁ恭介はいるかどうかもわからないあたしの為にこの風の中一人で探し回ってたの!?」

恭介「…悪い?別に僕が誰を探そうと僕の勝手だろ」

さやか「勝手じゃないよ!…すぐに避難しないと」

恭介「…あんな思わせぶりな事言っていなくなったさやかがいけないんだろ!」
さやか「…恭介?」

恭介「あの日の夜、突然僕の腕は治ったよ。それこそ奇跡か魔法みたいにね。…そしてさやかがいなくなった」

恭介「これをただの偶然と捉えられるほど僕は馬鹿じゃない」

さやか「…それは…」

恭介「それに…今日は流石に僕しか探してないけど、昨日まではさやかのお父さんやお母さん、鹿目さんや『暁美さん』、志筑さんだってみんな君を探し回っていたんだ」

恭介「さやか、何で何も言わずにいなくなったんだよ。僕達がどれだけ心配したか君にわかるかい?」

さやか「…ごめんなさい。あたしそんなつもりで…」

恭介「…いや、僕のほうこそごめん。話したいことはいっぱいあるけど…一緒に避難所に行こう。みんな待ってる」

さやか「…それはできない」

恭介「…どうして?」



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:22:26.76 ID:xG3pAjx60

ワルプルギスの夜「アハハハハハ!アハハハハハハハハハ!」

キリカ「まずい。もう人形が最上部に到達しそうだ」

キリカ「…こうなって来るとあまり形振り構ってはいられないか。魔力全開で叩き込んでそのまま魔女化して纏わりつけば或いは…どうする?織莉子」

ダキィ

キリカ「織莉子…?…嬉しいけど、何で今私を抱きしめるの?」

織莉子「…キリカ。私から貴女に命令します」

キリカ「織莉子?」

織莉子「この世界を守りなさい」

キリカ「…!?」



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/30(金) 19:23:13.04 ID:xG3pAjx60

さやか「あたしは魔法少女だから。みんなの為に最後まで力を尽くさないと」

恭介「…まさか、それが僕の腕を治した対価?」

さやか「…」

恭介「…確かに僕は音楽が全てだった」

恭介「でも、君をそんな風に追い詰めてまで、僕はそれを貫き通したかったわけじゃない!!」

さやか「…恭介。それは違う。あたしは…」

アハハハハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハハハハハハ!!

さやか「…!…あれがワルプルギスの夜…?」

恭介「…さやか?」

ピカ!



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:43:12.42 ID:X3d57kXU0

目を開けた瞬間強烈な激痛が襲い、美樹さやかは慌てて癒しの魔法を使った。
辺りは瓦礫の山。その中でさやかは懸命に恭介を探す。

さやか「恭介!大丈夫!?」

結局のところ、さやかは恭介を探しだす事には成功した。だが……

恭介「」

さやか「……ねぇ、恭介。何で何も喋ってくれないの?さっきのことまだ怒ってるの?」
恭介「」

さやか「ごめんね恭介。でもあたしはさ、恭介のヴァイオリンをもっと多くの人に聞かせたかった。ただそれだけだったんだ」

さやか「追い詰められたのは……そりゃないと言えば嘘になるけどさ。仁美なら仕方がないと思ったんだ。恭介には勿体無いぐらいのいい子なんだよ」

恭介「」

さやか「だからね……恭介……」

恭介「」

さやか「……守れなくて……ごめん……」

恭介は、既に腕しか残っていなかった。



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:43:59.75 ID:X3d57kXU0

さやか「……」

さやか「…」

さやか「このままじゃ……駄目だ」

さやか「……仁美やまどか、ほむらだって生きてるかもしれないんだ。頑張らないと」

さやか「避難所に行こう」



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:44:33.63 ID:X3d57kXU0

--避難所--

避難所は既に地獄絵図であった。
ワルプルギスの夜の攻撃によって壊滅状態になっていたという事もあるが、それだけではない。
施設内を数え切れないほどの魔女が行き来していたのである。

さやか「……これは何!?何でこんなに魔女が」

その時、さやかは立ちすくんでいる人間を発見した。
……否、人間ではない。ソウルジェムを片手に持っている姿は、
紛うこと無き魔法少女だ。

魔法少女「……」

さやか「……!?……大丈夫?しっかりして!」

魔法少女は何も答えないかわりに、さやかに対して微笑みかけた。
そして、彼女のソウルジェムが割れた。

さやか「……え」

キリカ「どいて!」

さやか「!?」



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:45:21.06 ID:X3d57kXU0

そこに現れたのは、片目に眼帯をつけた黒髪ショートの少女。
その両手に装備したかぎ爪は、魔法少女だったものを瞬時に切り裂いていた。

キリカ「成り立てならこんなものか。大したことはないね」

さやか「……あんた、なんて事を!!」

キリカ「……ん?魔女を倒しただけだろ。責められるような事はしていないつもりだけど」

さやか「何を言っているの!あの人は魔法少女で」

キリカ「何かかみ合わないな……」

魔女の鳴き声が聞こえる。

キリカ「魔女が集まってきた。長居は無用だね」

さやか「でも、もしかしたら誰か逃げ遅れた人が」

その言葉に対して、キリカはさらりと告げた。

キリカ「0だよそんなの。全員死んでた」

さやか「!!」



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:46:10.86 ID:X3d57kXU0

結局さやかとキリカは2人で避難所から脱出した。

キリカ「ふー……ドン臭いように見えて、意外と早いね。君」

さやか「そろそろ教えてくれない?あれは何だったのか」

キリカ「いちいち説明しないとわからない馬鹿にも見えないけど」

さやか「……!」

キリカ「見たままの話だよ。ソウルジェムが魔女を産む。私達魔法少女は、皆等しく魔女の卵なのさ」

さやか「……嘘だ!」

キリカ「いや、嘘って言われても……他にあれをどう解釈できるっていうの?」

さやか「……それは」

キリカ「別に受け止められないならそれもいいと思うけどね」

さやか「……つまり、みんな魔法少女達に殺されたっていうの?」

キリカ「『元』ね。……確かにワルプルギスの夜も元魔法少女だったことも考えれば、その解釈は間違ってはいないかな」

さやか「……そん……な」



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:46:48.11 ID:X3d57kXU0

呆然としているさやかに対して、キリカは淡々と会話を続ける。

キリカ「私は見滝原を出る。もうこんな所いる意味もないしね。君はどうするの?」

さやか「……生存者を探す」

キリカ「……本気で言ってるの?」

さやか「どういう意味?」

キリカ「……そりゃ可能性の話をするなら0ではないのかもしれないけど、避難所の惨状を見る限り、とても生きている人間がいるとは、ね」

それは、さやかにとって受け止めることが出来ない現実であり

さやか「……黙れよ」

キリカ「現実が直視できないなら伝えてあげるよ。もう見滝原に生きている人間は」

さやかが怒りで我を忘れるには充分すぎる言葉だった。

さやか「黙れぇええええ!!」

気がつけば、さやかは剣を手に取り、キリカを斬りつけていた。
……少なくともさやかは斬りつけたつもりでいた。だが

キリカ「危ないなぁ」

キリカは美樹さやかの真後ろに立っていた。

さやか「速い!?」

キリカ「君が鈍いんだよ」

キリカの足蹴りがさやかの背中に直撃する。

さやか「ぐ……!」

キリカ「まだ近くに魔女が大勢いるんだよ。こんな状況で私に喧嘩を売るなんて正気なのかい?」

さやか「……」

キリカ「……まぁ、些細か。君が私に勝てるわけないし」



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:47:17.55 ID:X3d57kXU0

戦いは一方的だった。
さやかが懸命に攻撃するも、その全てをキリカは回避し、カウンターにもっていく。
ずっとその繰り返しだ。さやかが既にボロボロなのに対して、キリカは傷一つついていない。

さやか「強い……」

キリカ「こんなのんびりした気持ちで戦うなんて初めてだね」クスクス

さやか「馬鹿にして……!」ギリ!

キリカ「……少しは落ち着いたらどうだい?ここで私を倒しても何もならないことは、君だって理解はしているのだろう?八つ当たりされても困るんだよね」

さやか「……あんたは……」

キリカ「何?」

さやか「あんたは何でそんな簡単に諦められるの!?見滝原に大切な人が一人もいなかったの!?」

キリカ「……いたよ。大切な人が一人」

さやか「だったら……!」

キリカ「私自身が見取ったんだよ。その人の最後を」

さやか「……!!」



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:47:43.36 ID:X3d57kXU0

--回想--

キリカ「織莉子!」

織莉子「この世界の為、私は貴女を守りました。だからあなたにはこの世界を守る義務があります」

織莉子「まず手始めに……魔女になった私を倒しなさい。今の私の魔力を使い、魔女になった瞬間の私に対して拘束をかける」

織莉子「それを貴女が倒し、グリーフシードを手に入れれば、見滝原を脱出する為の魔力が、補充できる」

キリカ「無茶苦茶だよ織莉子!」

織莉子「……いい。キリカ。私の目標を、貴女が引き継ぐの。これは、世界で、貴女にしか、でき、な、」

キリカ「……」

織莉子「もう、このままじゃ、私は、頃氏」

キリカ「……織莉子。君の頼みを私が断るわけないじゃないか」

その言葉を聴き、織莉子は満足げに微笑んだ。
……そして、織莉子のソウルジェムは、砕け散った。

キリカ「……あははははは!」ブゥン!

--回想ここまで--



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:48:16.49 ID:X3d57kXU0

キリカ「後にも先にも私にとって大切なのは彼女一人だ。その彼女にこの世界を守れと言われた。……こんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ」

さやか「……」

さやかの戦意は、既に喪失していた。

キリカ「……どうしたんだい?青い子」

さやか「美樹さやかだよ。……ごめん。あたし自分の事ばっかであんたの事何も考えてなかった」

キリカ「……君の言う事も一理はある。確かに可能性が0でないのならそこに時間をかける事事態は悪いことではないと思う。魔女を全く考慮しなければ、だけどね」

キリカ「ワルプルギスの攻撃で魔法少女が魔女になったというのもあるけど、それ以上に元々いる魔女への影響がまずい。使い魔達が呪いを吸い込んで一斉に魔女になっている。もうこの街の魔女は飽和状態だ」

キリカ「一刻も早く立ち去るべきというのが、私の見解だね」

さやか「……あんたはそれでいいと思う。でもさ、あたしは自分の目でいないって理解するまで諦めたくないんだ。だからあたしは見滝原をもう少し探索しようと思う」

キリカ「そうか、残念だよ」

さやか「……じゃぁ、あたし行くね」



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:50:37.96 ID:X3d57kXU0

さやか「って何でついてくるの!?」

キリカ「最初から手伝わないとはいってなかったよ。この状況下で一人で動きまわりたくはなかったし、仲間は欲しいと思っていたんだ」

キリカ「……要は生存者がいるかどうか確認できればいいんだよね?だったら一人より二人の方が早い。脱出だって一人より二人の方がやりやすい。その辺は利害が一致するんじゃないかな」

さやか「……あんたの名前は?」

キリカ「?……そういえば言ってなかったっけ。キリカだよ。呉キリカ」

さやか「キリカ。……ありがとう」

キリカ「いちいちお礼とかいらないよ。所詮見滝原を出るまでの関係だし。……ま、でも、そうだね。暫くはよろしく、さやか」

さやか「よろしく、キリカ」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 20:52:16.48 ID:X3d57kXU0

キリカという魔法少女がどういう人間なのかはまだわからない。
ただ、親友の約束を守る為に戦い、こうして自分も助けてくれる辺り、
恐らく善人なのだろう。

さやか「じゃぁ、行こう!」

キリカ「その前にこれ」ポン

さやか「……グリーフシード?」

キリカ「さやか、自分のソウルジェムを確認してごらん?」

さやか「……嘘、真っ黒」

キリカ「ソウルジェムが濁ると精神状態にも影響するんだよ。さっき襲い掛かってきた時にちょっと引っかかりを覚えて見てみたら……案の定だ」

さやか「でも、このグリーフシードはキリカの」

キリカ「それはさっき倒した魔女のものだよ。あと、この状況下で誰が倒したとかそういうのも一切気にしないように。多分これからいちいちカウントするのも馬鹿らしくなるだろうし」

さやか「う……で、でも」

キリカ「魔女と戦ってる最中に魔女になった君に後ろから殺されましたなんて展開はごめんだからね」

さやか「……」

恐らく善人なのだろうが、もう少し言い方があるんじゃないかなぁ……と、さやかは思った。



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/26(水) 23:49:07.34 ID:BameyvSX0

--住宅街--

キリカ「首なし死体発見。さっきの首とくっつくかな」

さやか「……」

キリカ「……うん。全然合致しないね。いや、むしろこの右手がさっきの左手と……」

さやか「キリカ……真面目にやってよ……」

キリカ「最初の数時間は真面目にやってたじゃないか。いもしないであろう生存者の呼びかけとかね」

さやか「……」

キリカ「……それで、いつまで続ければいいんだい?こんな事」

さやか「生存者が見つかるまで、だよ」

キリカ「……それは大変だ」

正直、キリカはさやかの事を舐めていた。
数時間探し回ればさやかも現実を直視せざるをえない。
そうなれば、すぐにでも脱出できる。それぐらいに考えていた。
が、一向にさやかが諦める様子はない。
……ひょっとしてひどい思い違いをしていたのではないだろうか。
さやかは本当のところ生存者を探しているのではなく、ただ生存者を探すという行為を続けることで、自分の心を保っているだけなのではないだろうか。

「あたしは自分の目でいないって理解するまで諦めたくないんだ」

聞こえがいいこの言葉も、そういう読みをすると全く別の解釈が見えてくる。
つまりは、ソウルジェムが真っ黒になるまで永遠に見滝原をさまよい続けるという…
さやかを見限る事も視野に入れるべきかもしれないな、そうキリカは考えた。



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/26(水) 23:51:41.94 ID:BameyvSX0

だが、その時

さやか「あれ、ひょっとして人の足!?」

キリカ「死体だろ?その辺に転がってた胴体部分とでもくっつくかもね」

さやか「違うよ!何か動いてる!!」

キリカ「……え?」

そんな馬鹿な……そう思いさやかの方を見ると、確かに動いている。
瓦礫に覆い隠されてしまい足しか見えないが、どうもまだ生きているようだ。

キリカ「まさか……本当に生存者が?」

さやか「待ってて!すぐ助けるから!」

……いや、待て。
この辺はこんな状況になる前は、確か歩道だったはず。
その足は何故スケート靴なんかを履いている?

キリカ「さやか。様子がおかしい。少し離れて様子をみよう」

さやか「このままじゃ死んじゃうかもしれないんだよ!早く助けないと!」

キリカ「そういう意味じゃなくて……」

その時キリカは気づいた。
その足のすぐ近くに、同じようにスケート靴を履いた集団がいる事を。
彼らは埋まっている足と同様の靴を履いており、下半身より上が存在しなかった。
そしてそのすぐ後ろには地面に落ちた蜘蛛のように歩き回る首のない六本手の人間が……

キリカ「さやか!それは魔女の使い魔だ!!」

さやか「……?」

振り向いたさやかを見て、キリカはようやく自分の愚かさを悟った。
さやかの首には特徴的な意匠……『魔女のくちづけ』が描かれていたのだ。



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/26(水) 23:52:33.13 ID:BameyvSX0

キリカ「全く世話のやける……!!」

さやか「キリカ…?」

キリカ「……本来は結界を蜘蛛の糸のように構成して空中から襲うタイプの魔女なのかな。そういえば避難所にいた魔女達も結界を張っていなかったな……何か理由でもあるのかもしれないな」

さやか「何をしようとしているの?キリカ」

キリカ「そうだね。君には早く正気に戻れと言いたいけど、一度魔女の口づけに捉われたら自力での回復は難しいか。なら……」

キリカ「当然、大元を叩くのみだね!」

キリカは衝撃波を繰り出した。その魔女本来のスタイルで戦えればまた違ったのかもしれないが、地面に這い蹲ってる状態では逃げ道がない。
が、

さやか「キリカ?その人はまだ生きているんだよ?」

その攻撃はさやかによって防がれた。



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/26(水) 23:56:41.09 ID:BameyvSX0

さやかのスピードは厄介だ。
さやかと一対一で戦った時、技術面は置いといて、キリカの『速度低下』をかけてもある程度その能力を維持していたスピードは非常に脅威だった。
もっともさやかの場合、ワンパターンに突進を繰り返すからひたすらにカウンターをとるだけで事はすんだが、今回のように防御主体の戦い方をされるとまた状況が変わってくる。
つまりはさやかを無視して魔女を攻撃するというのが極めて難しいのだ。

キリカ「……仕方ない。さやか、短い付き合いだったけど、つまらなくはなかったよ」

一手で十手
キリカは必殺の一撃を放った。
これならば、さやかを貫通してそのまま魔女も貫ける。……が、放ったものの、一向に衝撃波が現れない。

さやか「キリカ、折角生き残った人を攻撃しちゃいけないよ……?そんなことしたら、殺さないと」

キリカ「しくじった?こんな時に!!」

さやか「……もらったぁ!!」

さやかの剣がキリカを貫いた。
貫かれた状態でキリカはさやかを抱きしめる形をとりながら後方に飛ぶ。

さやか「…?」

キリカ「こんな三文芝居、さやかぐらいにしか通用しないんじゃないかな」

キリカの能力は『速度低下』だ。
当然それは技の発動についても例外ではない。

キリカが後ろに飛び跳ねるのと、必殺の衝撃波が魔女に飛んでいくのはほぼ同時であった。



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 00:02:01.11 ID:Ww0r+5IO0

さやか「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

キリカ「自分の意思で攻撃したなら怒りもするけどね。魔女のくちづけに関してはどうしようもない。取り敢えず魔女本体に怒りはぶつけたし、気にする必要はないよ」

さやか「でも、あたしキリカに迷わいたたたた……何するんだ!」

キリカ「ほっぺたをつねった。これでおあいこってことで」

さやか「……キリカ、そういうのってちょっとずるいよ……」

キリカ「こずるい手は得意な方でさ。それより、治癒魔法とか持ってないかな。グリーフシードでもいいんだけど、少し回復に時間かかるし」

ほとんど冗談で言ったのだが、

さやか「うん。任せて」

さやかは治癒魔法の使い手だったらしい。
……なるほど。つまりはその再生能力でワルプルギスの夜の攻撃をのりきったのか。

キリカ「あのさ。さやか」

さやか「……何?」

キリカ「生存者探索。まだ諦められない?」

さやか「……ごめん」

キリカ「……まぁいいさ」

さやか「本当にごめん。キリカ」

無論、キリカは見滝原から脱出して織莉子の意思をつがなければならない。
その為にはさやかには何としてでも生存者探索を諦めてもらなければならないし、かなり強引な手段をとる必要もあるかもしれない。
……というより、このままでは確実にそうなるだろう。その時さやかがどうでるか……

今の時点で考えて答えが出るものでもない。
なので、取り敢えず今はこう伝えることにした。

キリカ「ま、飽きるまでは付き合うよ」



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:34:49.32 ID:Ww0r+5IO0

--夜--

キリカ「結局見つかったのは死体だけだったね」

さやか「・・・・・・まだ探してない所もいっぱいある。諦めるのは早いよ」

キリカ「そうかい。・・・・・・あの辺がいいかな」

さやか「キリカ、何してるの?」

キリカ「今日の寝床探しだよ。あの家とかうまい具合に形が残ってるし、そのまま使わせてもらおう」

さやか「でもそれって不法侵入・・・・・・」

キリカ「この状況下で気にする必要はないんじゃないかな」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:36:58.71 ID:Ww0r+5IO0

--誰かの家の中--

キリカ「冷蔵庫の中見てみなよ!ケーキが入ってるよ!!」

さやか「キリカはしゃぎすぎ!!・・・・・・でもすごい、綺麗な部屋・・・・・・」

キリカ「しかしここまで綺麗に残ってるとなると・・・・・・案外この部屋は元魔法少女の部屋だったのかもしれないね」

さやか「え?」

キリカ「用心深い魔法少女の中には、自分の家に結界を張っている子もいる。寝ている時に魔女に襲われたら大変だしね・・・・・・そのおかげで、ワルプルギスの攻撃を食らってもここまで綺麗に残ったのかもしれない」

さやか「・・・・・・ひょっとするとうまくこういうところに逃げ込んだ子が!」

キリカ「ワルプルギスの攻撃を予測して事前に魔法少女の家に忍び込んだ子ねぇ・・・・・・いないいない」

さやか「むむむ・・・・・・」

キリカ「しかし本当に不思議な部屋だ・・・・・・この三角形のテーブルとか、侵入者撃退用かな」

さやか「それはないと思う」

キリカ「あの花瓶はきっとボタンを押すと発射・・・・・・」

さやか「絶対ない」



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:38:28.37 ID:Ww0r+5IO0

キリカ「冗談はさておいて、念のため結界は張っておくか」

さやか「ねぇ、キリカ」

キリカ「なんだい?」

さやか「その・・・・・・本当にごめん。刺したとこ、痛くない?」

キリカ「・・・・・・流石にそろそろ答えるのが面倒になってきたんだけど。君の回復魔法が効いたからほら、見ての通り傷一つない」ピラピラ

さやか「でも、刺した時は痛かったんじゃ・・・・・・」

キリカ「・・・・・・そういえばちゃんと説明してなかったね」

キリカ「魔法少女は魂をソウルジェムに変換させられる。言うならば肉体は外付けのハードウェアみたいな扱いになっている」

キリカ「これを利用して、ソウルジェムと肉体の感覚を一部遮断する事が可能になるんだ。今回私が使っていたのは『痛覚遮断』だね。正確に言えば刺された部分が把握できる程度の傷みは残していたけど、まぁこれで君の攻撃に関する痛みはほぼ完全にシャットアウトしてたというわけさ」

さやか「そんな・・・・・・自分の体を物みたいに」

キリカ「別に魔法少女じゃなくても体は物だろう。大事なのはその物を使って何を為すかだと私は考えているけどね」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:43:58.97 ID:Ww0r+5IO0

さやか「・・・・・・キリカは、魔法少女ソウルジェムに変化させられていて、最後は魔女になるって話。最初から知ってたの?」

キリカ「ん?いや、織莉子から教えてもらったよ」

さやか「その、キリカは魔法少女が魔女になると知った時どう思った?」

キリカ「葬式がいらないから手軽でいいなぁと思ったね」

さやか「真面目に答えてよ・・・・・・」

キリカ「割と本気だったんだけど・・・・・・そうだなぁ。確か、これが織莉子の為にどんな役に立つだろうって考えた気がする」

さやか「え?」

キリカ「例えば私が魔女になって織莉子がその内に逃げれば、時間稼ぎぐらいにはなるじゃないか。他にもうまく魔女としての性質をコントロールできれば、織莉子の敵となっている存在を狙い撃ちで撃退する事が出来るかもしれない」

キリカ「いうなれば『魔女』とは魔法少女の持つ最後の切り札。そう私は解釈したね」



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:45:43.04 ID:Ww0r+5IO0

さやか「でも、こんな石っころにされちゃったんだよ!私達!しかもそれでいつか魔女になるなんてそんな事!」

キリカ「石ころにされたとか魔女になるとかそんな事は些細な事だ。もう一度言うけど、大事なの事はそれによって手に入れた力で何をするかということじゃないの?」

キリカ「私はその力を今まで織莉子の為にどうするかという事だけを考えて使ってきた。織莉子は死んでしまったけど・・・・・・だからこそ、今後は織莉子の願いの為にこの力を使っていきたい。私はそう考えているよ」

さやか「・・・・・・キリカは、強いね」

キリカ「私は強くなんかない。だからあんな願いを・・・・・・ってそれはいいか。そもそも私より、織莉子の方がよっぽど凄かったよ。織莉子は全てを知って、その上で世界の為に戦っていたんだから」

さやか「世界の為に?」

キリカ「そうさ。・・・・・・案外、君と似たとこはあったのかもしれないね。もっとも織莉子がそういう所で精神的にブレたりしたのは見た事がなかったけれど」

キリカ「織莉子が精神的にブレるのは・・・料理とか、掃除中とか・・・・・・意外と多かったかも」

さやか「えぇと・・・・・・ドジっ娘?」

キリカ「かなりね。でも、それでも彼女は一生懸命だったし尊敬できた。・・・・・・案外その辺なのかな。彼女に惹かれたのは」

さやか「好きだったんだね。その人のこと」

キリカ「そんな言葉では表せないぐらいにね。彼女は私の全てだった。それぐらいに、大切な人だったんだ」



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:46:28.44 ID:Ww0r+5IO0

キリカ「・・・・・・大切な人といえば、聞いていなかった」

さやか「?何を?」

キリカ「さやかの大切な人の話さ。私に大切な人がいるか聞いたぐらいなんだから、当然君にもいるわけだよね」

さやか「・・・・・・うん。いるし、いたよ」

キリカ「私だって喋ったんだから、今度は君の話を教えてくれよ」

さやか「・・・・・・わかった。じゃぁまず恭介との出会いから・・・・・・」

キリカ「・・・・・・出会いって・・・・・・嫌な予感が」

--省略--



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:50:02.36 ID:Ww0r+5IO0

キリカ「まさか生い立ちから話しはじめるとは・・・・・・」

さやか「で、その時にほむらが勉強についていけなくてあたしがノートを」

キリカ「うん。大体わかった。つまり恭介、まどか、仁美、ほむら。その辺が君の大切な人なんだね」

さやか「うん。恭介は死んじゃったけど・・・・・・まどかや仁美やほむらは生きてるかもしれない。特にまどかはなんだかんだで生き残ってそうな気がするんだよ。あの子、いい子だし、何かちゃっかり誰かに助けられたりしてさ」

キリカ「・・・・・・ふむ」

キリカ「そうだね。ひょっとしたら生きているのかもしれない」

さやか「そうだよ、だからあたしは、決して諦めない!」

キリカ「・・・・・・さて、そろそろ遅いし、君は少し休んだほうがいい」

さやか「キリカは?」

キリカ「外の様子を見てくる。少し街を回っていて気になる事があってね」

さやか「気になる事?」

キリカ「今の段階では何ともいえない。確証が得られたら話すよ」

さやか「・・・あたしもついて行」

キリカ「魔女の口づけを喰らったり、その前にも私にボコボコにされたりで肉体も精神も相当やられてるんだから、君は少し多めに休んでおいたほうがいい。まだ先は長いんだから」

さやか「う・・・・・・」

キリカ「今君に倒れられるのは、私としても困るんだよ」

さやか「・・・・・・わかった」

キリカ「素直でよろしい」



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:54:42.66 ID:Ww0r+5IO0

--外--

キリカ「キュゥべえ!」

QB「気づいていたんだね」

キリカ「こんなに魔女が大量発生しているんだ。エントロピー回収業者の君がいないわけがない」

QB「確かにワルプルギスの夜のおかげで僕としては大助かりさ。まだまだノルマにはほど遠いけどね」

キリカ「ときに、君とちょっとした取引がしたいんだけど、いいかな」

QB「相談?君が僕に何を」

キリカ「美樹さやかの希望から絶望への相転移、それによって発生するエントロピー・・・・・・欲しくないかい?」

QB「詳しく聞きたいね」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/27(木) 22:56:07.39 ID:Ww0r+5IO0

--家の中--

さやか「何かキリカに迷惑かけてばっかりだなぁ、あたし・・・・・・せめてもっと強くならないと」

さやか「・・・・・・そういえば、さっきから気になってたけど、あのノートなんだろう」

さやか「・・・・・・持ち主に悪いけど、ちょっとだけなら・・・・・・いいよね」

さやか「・・・・・・『必殺技帳』・・・・・・何でそんなものを」

さやか「どれどれ・・・・・・」

さやか「・・・・・・!!?こ、これは!?」



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:43:41.83 ID:F95Hs19w0

--早朝--

キリカ「流石に一晩では無理があったか」

キリカ「まぁ、今夜には準備が完了するかな。後は実行に移すのみ・・・・・・だけど」

キリカ「・・・・・・全てが徒労に終わればいい。私はそう考えているのか・・・・・・」

--家の中--

キリカ「さやかがいない!?・・・・・・特に戦闘のあった形跡もない。自発的に出て行ったと考えるべきか。・・・・・・何かをつかまれたかな」

キリカ「仕方ない。それならそれで一人で脱出する手段を」

チュドォォォォォォォンン!!

キリカ「・・・・・・爆発!?」



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:44:52.10 ID:F95Hs19w0

--外--

キリカ「確かこの辺で・・・・・・さやか!!」

さやか「キリカァ・・・・・・ごめん。グリーフシードを・・・・・・」

キリカ「さやか!魔女にやられたの!?」

さやか「いや、自分に・・・・・・」

キリカ「・・・・・・?」


キリカ「今はこれだけ魔女がいるからね。グリーフシードなんて貴重品でもなんでもないんだけど・・・・・・何故こうなったか、詳しく説明してもらいたいな」

さやか「その・・・・・・まずは、これを・・・・・・」

キリカ「・・・・・・『必殺技帳』?何これ」

さやか「それの22ページ辺りを読んでみて」

キリカ「どれどれ・・・・・・『遠距離を征するものは魔女を征する』・・・・・・何だこれは」

さやか「魔女戦において、いかに遠距離戦が有利かって事がその辺にずぅっとかかれてるんだ」

キリカ「・・・・・・まぁ理屈ではある。近距離タイプは常に相手の攻撃を受け流しつつ敵に接近しなければならないリスクがあるのに対して、遠距離タイプはダメージを受けず封殺させる事も可能だ」

キリカ「こと、対魔女戦においては近距離より遠距離が有利というのは、実のところ私も考えたことがあるよ。・・・・・・遠距離攻撃を持っているなら、だけど。さやか、君にそんなものあった?」

さやか「実は、ある」

キリカ「ふむ」



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:47:31.60 ID:F95Hs19w0

さやか「これで、とどめだぁああ!!」ピシュゥゥゥン!!ドカァアアアアアン!!

キリカ「一発目にとどめもなにもない・・・・・・ってこれは!?」

さやか「実はこの剣。トリガを引くと刀身だけ飛ぶように設計されているんだ。一応爆砕させないように飛ばす事も可能だよ」

キリカ「間違っても私が戦ってる近くで爆発させないでくれよ。・・・・・・しかしスペツナズナイフとは、また随分トリッキーな」

さやか「スペツナズナイフ?」

キリカ「旧ソ連の特殊部隊が使っていた刀身の射出が可能なナイフさ。主に不意打ち・奇襲に使われていたらしいよ。・・・・・・その遠距離攻撃、射程・攻撃力は充分実戦に耐えられる域に見える。前に私と戦った時は何故使わなかったんだい?」

さやか「あたしは近接戦の方が性にあってるし、そもそもキリカの場合照準を合わせてる暇もなかったよ」

キリカ「ふむ・・・・・・。でも、さっきの爆発はそれじゃないよね。今の君の起こしたものと比べても、もう少し大きかったはず」

さやか「答えはそのノートの126ページ目を見てほしい」

キリカ「随分長いノートだねっと・・・・・・」

キリカ「・・・・・・」

キリカ「(何てもの書き残してるんだあの黄色!!)」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:49:36.80 ID:F95Hs19w0

キリカ「(鹿目まどかについてはのっていないか・・・・・・しかしよくもまぁこんなものを)」

さやか「一晩中練習してやっとこの剣の照準を合わせられるようになってきたから、ためしにその魔法を使ってみようと思ったら暴発しちゃってさ・・・・・・それで、こんな感じに」

キリカ「一晩程度でそんな武器の照準合わせられるようになるのはそれはそれで凄いけど・・・・・・そうだね。その魔法について少し解説をしてあげよう」

さやか「キリカ、知ってるの?」

キリカ「私も結構な新入りだけど、その魔法は知ってる。というか、魔法少女界隈では相当に有名なものらしい」

キリカ「武器に対して魔力を集中させ、そのエネルギーをそのまま敵に向けて射出する。言葉で言えばそれぐらい簡単な魔法さ。実際この魔法を使おうとした魔法少女は結構な数がいたらしい」

さやか「そうなんだ」

キリカ「噂では、それで死傷者が出たとも言われている」

さやか「え」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:52:29.44 ID:F95Hs19w0

キリカ「この魔法を使うには、集めた巨大な魔力に耐えられるだけの巨大な受け皿が必要だ。ようするにそれだけの膨大な魔力をコントロールするだけの技術が要求される」

キリカ「そこを理解していなかった魔法少女達がポンッだよ。そんなギャグ漫画みたいな怪我ですんだ君は幸せものだ。自分の頑丈さに感謝したほうがいい」

さやか「・・・・・・」

キリカ「ま、君のスタイルに遠距離攻撃を加えるってのは正しいと思うし、そういう意味じゃその剣の射出を使いこなせるようなレベルに持っていくのはいいと思う。ただ、その魔法はまだ君に扱えるような代物ではない」

さやか「・・・・・・なら、キリカには扱えるの?」

キリカ「無理だね。だから手数を増やす方向で考えたのが、『一手で十手』というわけさ」

キリカ「まぁ技術を積んでから再挑戦すればいい。何、案外君ならすぐにできるようになるかもしれないよ」

さやか「え・・・・・・そ、そうかな」

キリカ「多分その魔法、『正義を信じる心』とか『悪を許さない心』とかそういうものが大切な気がするし。君にぴったりだよ。うん」

さやか「・・・・・・何か馬鹿にされてる気がする」



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:55:09.44 ID:F95Hs19w0

キリカ「さてっと。そろそろ怒ってもいいかな」

さやか「ん?」

キリカ「ちゃんと休めって言ったじゃないかこの馬鹿!」ポカ!

さやか「痛!何だよ!キリカだって寝てないじゃんか!」

キリカ「私は慣れてるからいいけど、君がそんな事をやったら・・・・・・ちゃんと教えなかった私のミスでもあるのか。例によってソウルジェムを見てごらん」

さやか「さっきグリーフシード使ったばっかだしまだ全然・・・・・・ってあれ?」

キリカ「ソウルジェムが濁ると精神状態に影響を及ぼすように、精神状態に影響が及ぶとソウルジェムにも影響が出来るんだ。つまり今の君は寝不足によりソウルジェムの濁りが早まっているというわけ」

キリカ「いくら外付けハードウェアといっても、魔法少女はこの外付けハードウェアが正常に機能していないと生きていけないんだから。ちゃんと大切にしないと駄目だよ」

さやか「でも、回復魔法を使えば」

キリカ「寝不足解消とかそんな事を願いにした魔法少女の回復魔法なら何とかなるだろうね。で、そんな願いを君はしたのかな?」

さやか「そりゃ・・・・・・違うけど」

キリカ「とにかく早く寝る。今日の活動は昼から!」

さやか「でも生存者を」

キリカ「いきなり仲間が背後で魔女になられたら」

さやか「わかったよ・・・・・・」



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:57:30.31 ID:F95Hs19w0

--昼--

キリカ「さやか、起きて」

さやか「恭介・・・・・・行かないで、恭介・・・・・・」

キリカ「ていやぁ!」パコ!

さやか「痛!・・・・・・キリカ?」

キリカ「そろそろ行くよ」

さやか「あ・・・・・・うん」

キリカ「これ、使う?」ポン

さやか「・・・・・・薬?」

キリカ「睡眠薬だよ。夢すら見られずぐっすり寝られる類のね」

さやか「・・・・・・ありがとう。でも、何でこんなものを」

キリカ「いや、鬱病とかが即死要因になりやすい魔法少女界において、意外とこの手の薬を持ってる子はいるよ」

さやか「・・・・・・ごめん。変なこと聞いた」

キリカ「(もっとも私が持ってるのは別目的だけど、それを言ったらさやかに怒られそうだし、黙っておこう)」



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 08:59:37.16 ID:F95Hs19w0

キリカ「この家が残ってるのは・・・・・・単純に作りがいいからかな」

さやか「・・・・・・恭介の家だよ。ここは」

キリカ「あぁ、君の大切な人の・・・・・・大丈夫?」

さやか「うん。大丈夫。行こう」

--恭介の家--

さやか「・・・・・・ない!恭介のヴァイオリンがない!!」

キリカ「知り合いに見てもらうのが一番だと思ったけど、これで確定だね」

さやか「・・・・・・キリカ?」

キリカ「昨日の夜、気になる事があるって言っただろう?昨日探し回った家々の中にも同じように貴重品が盗まれているような箇所があったんだ」

キリカ「とはいえ本人でもなし、断言できるような証拠はなかったんだけど・・・・・・これで確定だ。今この街には空き巣が徘徊してる。そしてこんな状況下でわざわざ空き巣を働ける余力があるとすればそれは・・・・・・」

さやか「魔法少女・・・・・・!」

キリカ「運が回ってきたかもしれない。もしその魔法少女がまだ見滝原に残っていて、味方につけることが出来れば」

さやか「街の人達から物を盗むなんて、絶対に許せない!!」

キリカ「・・・・・・ん?」



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 09:03:32.99 ID:F95Hs19w0

キリカ「確かに道徳的にはどうかと思うけど、今はそんな事を言っている場合じゃないし・・・・・・上条恭介のヴァイオリンなら、まぁ織莉子がこんな時の為に残したお金があるから、交渉次第で」

さやか「そういう問題じゃない!!」

キリカ「・・・・・・なら、どういう問題だっていうんだい、君は」

さやか「泥棒だよ!みんなが大変な事になっちゃったのに、平然とそんな事をやってる連中をキリカは許せるの!?」

キリカ「許すも何も・・・・・・正直、どうでもいいね」

さやか「キリカだって、織莉子さんの物が盗まれたら怒るんじゃないの!?」

キリカ「言ってる事が無茶苦茶だ・・・・・多分怒る。でもそれと現状分析は全く別に考えるべきだと思うよ。今は一人でも多くの仲間が欲しい」

さやか「そんな奴と仲間になんかなりたくない!!」

キリカ「君のくだらない正義感でこれだけの好機を見逃せっていうのかい!?」

さやか「・・・・・・キリカ、そんな風に考えてたんだ」



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 09:06:47.12 ID:F95Hs19w0

さやか「もういい。生存者はあたし一人で探すよ。キリカは空き巣を働いてる魔法少女と一緒にいればいい」

キリカ「・・・・・ふん。好きにすればいいさ」

さやか「バイバイ、キリカ」

キリカ「・・・・・・」

キリカ「・・・・・・キュゥべぇ」

QB「はいはい。今度は何だい?」

キリカ「空き巣に来ている子は、『佐倉杏子』。そして佐倉杏子は現時間においても見滝原の中にいる。それで間違いない?」

QB「その通りだ。何故わかったんだい?」

キリカ「勘みたいなものだよ」

QB「なるほどね」

QB「まぁ、僕としては君が美樹さやかのエントロピーを取り出す事を忘れないでくれていれば構わない。そのかわりに僕は君に情報を提供する。そういう取引だからね」

キリカ「一応はやるよ。でも、今回に関して言えば結果はあまり保障できないかもしれない」

QB「確かに、今の君を見る限りあまり期待はできそうもないね」モワン

キリカ「・・・・・・成功しようと失敗しようとどっちでもいいってところか。相変わらず何を考えているのか読みにくい・・・・・・或いは何も考えていないのか?」

キリカ「さて・・・・・・どうする?もし佐倉杏子が私の知る通りの人物なら、美樹さやかを捨てれば確実に協力は取り付けられる。逆に美樹さやかにつくなら、相当に分の悪い賭けをしなければならない」

キリカ「・・・・・・考えるまでもないか」



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 09:12:19.21 ID:F95Hs19w0

杏子「そんなところで何してるんだい?」

さやか「・・・・・・あんたが空き巣の犯人?そんな小さい子まで誑かして!!」

ゆま『キョーコ。後もう一人。近くで様子を伺っている』

杏子『ありがと、ゆま』

杏子「・・・・・・で、あたしが空き巣をやっていたらどうだっていうんだい?」

さやか「今すぐやめろ。やめないなら・・・・・・!!」

杏子「へぇ、あんたがあたしに?・・・・・・やめときな。あんたじゃ無理だ」

さやか「・・・・・・あんたが盗んだものは、街の人達がとても大切にしていたものなのかもしれないんだよ!!」

さやか「あのヴァイオリンだって・・・・・・あのヴァイオリンを恭介は一度は諦めて、それでも諦められてなんていなくて、やっと手が治って、それでやっと前に進めたはずだったのに・・・・・・!!」

杏子「・・・・・・で?そんなお涙頂戴の話がどうしたって?」

さやか「・・・・・・あんたは!!」



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 09:14:46.19 ID:F95Hs19w0

ゆま『キョーコ。このお姉ちゃん悪い人じゃ・・・・・・』

杏子『ゆまはもう一人の方の警戒を頼む。あたしはこいつを叩く』

ゆま『・・・・・・わかった』

さやか「あんたは・・・・・・あんただけは、絶対に許せない!!」

杏子「来なよ。遊んでやるから」

さやか「馬鹿にし」

シュン!!

ゆま「・・・・・・は、速い!?キョーコ!!」

キィィン!!

杏子「・・・・・・衝撃波!あたしの動きを止めに来ただけ!?・・・・・・ゆま!!」

ゆま「大丈夫!キョーコの足手まといにはならない!!」

キリカ「・・・・・・このタイミングで仕掛けても無駄か」

スト

さやか「キリカ・・・・・・あんた何をしに」

キリカ「本当は今の衝撃波のタイミングで一気にしとめにいって欲しかったんだけどね」

キリカ「・・・・・・さやかとしては不本意だろうけど、私も参戦させてもらうよ。佐倉杏子は君一人でどうにかなる相手じゃない」

さやか「でも、あんたは」

キリカ「くだらない正義感といった事だけは訂正する。今回、君の正義は間違えていない。ただ単純に正義の話をするのなら、間違えているのはあいつらだ」

さやか「・・・・・・キリカ?」



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 09:23:58.00 ID:F95Hs19w0

杏子「また、うざいのが出てきたね」

キリカ「言うね小悪党。巴マミの為に何もするわけでもなく、のうのうとすごしていたくせに」

杏子「・・・・・・!てめぇ!!」

さやか「・・・・・・巴マミ?誰?」

キリカ「どうせ巴マミが死んだかどうか諦め切れなくてここまできたってところじゃないのかい?で、あれば教えてあげるよ。巴マミは死んだ。私が死体まで確認しているんだから間違いない」

杏子「・・・・・・!!」

ゆま「キョーコ!落ち着いて!」

さやか「え?え?」

キリカ「大体、あの時君は何をしていたのかな?そこの青いのですら救助活動ぐらいはやっていたというのに、当時コンビを組んでいたはずの君はそこの緑とおままごとってわけか。いやぁ、本当に馬鹿だね。これでは巴マミもうかばれない」

さやか「キリカ!よくわからないけど何か言いすぎだよ!!」

杏子「・・・・・・うぜぇ」

ゆま「キョーコ!キョーコー!!!」

キリカ「(さて、取り敢えず挑発はしてみたけど、これで佐倉杏子が冷静さを欠いてくれれば多少は勝機がうまれるか・・・・・・?)」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:16:53.40 ID:F95Hs19w0

さやか「キリカ・・・・・・」

キリカ「これだけ派手に挑発かませば、今更私だけ除け者って展開にはならないよね」

さやか「・・・・・・何で?キリカはあたしなんていらないと」

キリカ「正直、今回の戦いに利は何もない。・・・・・・でも、君の正義感ではここは通すべきだと判断したんだろう?ならもう仕方がないさ」

さやか「・・・・・・」

キリカ「ま、こういう事は、慣れてる。織莉子ともよくぶつかったしね」

杏子「さて・・・・・・覚悟は出来たか?」

キリカ「覚悟?君が刻まれる覚悟、かな」

杏子「・・・・・・っへ」

キリカ「・・・・・・」

まず動いたのはキリカ。
キリカのかぎ爪は一直線に佐倉杏子を目指し、しかし杏子はそれを後退して回避する。

キリカ「!?」

そして、杏子が後ろに下がったことにより、必然的に前衛になった千歳ゆま。
もう既にゆまは衝撃波を打つ体制に入っている。

キリカ「しま・・・!!」

さやか「キリカ!!」

しかし、もうこの時点でさやかも攻撃の態勢に入っていた。
近距離での斬撃ではなく、遠距離からの攻撃。
刀身の射出ではなく、投剣。
これに対し、ゆまはそれを防ぐ形をとらざるをえない。

キリカ「爆砕しない方って今の?また随分原始的な」

さやか「キリカ、油断しないで!」

杏子「油断しているのはどっちだよ」

さやか「!?」

キリカがゆまとの間合いを詰めた段階で、
杏子は既にさやかへと間合いを詰めていた。
最初から佐倉杏子はキリカではなくさやかを狙い撃ちにするつもりだったのだ。

キリカ「(あれだけ挑発してのらないなんて・・・・・・。いや、むしろ挑発した事で逆にこちらの行動が読まれたのか)」

これにより状況はゆまとキリカ、杏子とさやかが一対一で向かい合う構図となる。

キリカ「(仕方がない。こっちの緑を速攻で蹴散らしてさやかに参戦しよう)」

キリカはゆまに向かって速度低下をかける。
が、それをゆまは何かが見えているかのような動きで回避した。

キリカ「・・・・・・馬鹿な!?」

思わずキリカは声をあげた。
魔法を別の魔法にキャンセルされるならわかる。
だが、不可視の魔法を回避できるとすれば・・・・・・

キリカ「魔力察知か!?」



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:19:30.49 ID:F95Hs19w0

『魔力察知』
巴マミという魔法少女が、別の魔法少女に対して契約前の段階で、
その潜在能力を言い当てたという事があったらしい。
これの応用で本来不可視の魔力を形として認識する技術。
無論こんなものは巴マミクラスの強大な魔力がなければ使えるような代物ではない。
しかし、それをこの幼い緑の魔法少女はやってのけた。

キリカ「君、名前は?」

ゆま「・・・?ゆまは、千歳ゆまだよ。お姉ちゃんは?」

キリカ「・・・・・・呉キリカ」

キリカ「ゆま。君は強いね。なら私も全力で応じるしかなさそうだ」

ゆま「・・・!!」

慌ててゆまが防御の体制をとる。
・・・・・・魔力は化け物だが、経験はさやか並ってところか。
キリカはここで攻撃に全ての力を注ぎ込む。

キリカ「一手で二十手。線ではなく面による攻撃。君の防御ごと弾き飛ばしてあげよう」



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:22:28.07 ID:F95Hs19w0

杏子「とっととくたばれこのウスノロ!!」

杏子の多節槍による中間距離からの連撃。しかしこれをさやかは回避と投剣を駆使してぎりぎり凌いでいた。
無論本調子の佐倉杏子なら、この守りはあっけなく崩すことも可能だろう。だが、明らかに杏子は焦っており、それにより本来の調子が出せなくなっている。

さやか「・・・・・・あの子のことがそんなに心配?」

その言葉に対して、杏子は投槍で答えた。
これをさやかは片方の剣ではじき、そしてもう片方の剣のトリガを引いた。

杏子「!?」

予想外の攻撃だったが、杏子はなんとかそれを回避する。
・・・・・・正確には命中していなかったのだが、それでも杏子に回避という動作をとらせることには成功した。
さやかは迷わず間合いを詰める。二刀流から一刀流に切り替えての上段からの斬撃。
だが、この判断が既に佐倉杏子の術中にはまってしまった。

杏子「トーシロが!」

斬撃を完全に回避され、横からの槍一閃。近距離を狙っていたのは佐倉杏子も同じだったのだ。



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:25:02.74 ID:F95Hs19w0

キリカは悩んでいた。
このままこの攻撃をゆまに当てるべきか。それとも、予定通り佐倉杏子の方に向けて放ち、さやかを援護するか。
キリカの見る限り、さやかは今確実に押されていた。
杏子の横一閃を受けて以降さやかは防戦一方。
スピードも明らかに落ちている。
だが、それがおかしい。
自分と戦った時は芸もなく突進を繰り返すだけだったが、それでも速度が落ちるなんてことはなかったのだ。
つまり、何か狙いがある。ここで杏子を攻撃するのは、逆にさやかの策を崩す事にはならないか・・・・・・。

ゆま「あの!」

キリカ「?」

ゆま「巴マミの事、知ってるの?」

キリカ「私は聞いただけだよ。ま、私にはいくつか情報網があってね」

それは織莉子であったり、キュゥべえであったりするわけだが。

ゆま「・・・・・・マミは、キョーコの師匠だったんだ。でも、キョーコはその人と喧嘩別れをして、でもずっと仲直りをしたかったんだよ」

キリカ「・・・・・・」

ゆま「キョーコはマミが死んでずっと苦しんでた!ただの異常気象としか言われてなくても、マミの安否の確認しにいくべきだったとか、そんな風にずっと自分を追い詰めて・・・・・・!!」

キリカ「・・・・・・あちらもそろそろ終わりそうだ。そしたら、少し話をしようか」

ゆま「・・・・・・?」

ゆまの方を見つつ、照準は佐倉杏子に合わせる。
ソウルジェムは狙わない。だが、戦闘不能は狙う。
全員が生存出来れば、交渉の道はまだ残されているのかもしれない。



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:27:42.91 ID:F95Hs19w0

杏子「流石に拍子抜けだね!」

さやか「ぐっ!!」

佐倉杏子の中間距離からの多節槍。もうさやかにそれを避けるだけの気力はない。
ただ、さやかには思惑があった。
昨日の夜に読んだ必殺技帳に書かれていた一つの剣技。
速度向上の魔法を自身にかけ、そのまま相手を斬る必殺技。
まだ完全にマスターしたわけではないし、そんな未完成な技がこの赤い魔法少女に通用するとは思えない。・・・・・・普通ならば。
現状、さやかは自らの速度を意図的に落としている。
全てはその必殺の一撃の速度を、その速度以上のものに体感させる為に。

杏子「これで、終わりだよ!」

さやか「必殺・・・・・・」

さやか「スクワルタトーレ!!!」

蒼い光が、佐倉杏子を貫いた。



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:32:43.87 ID:F95Hs19w0

さやか「やった・・・・・・!!」

杏子「今のは良かった」

さやか「!?」

さやかの後ろ首に槍が突きつけられる。

さやか「そんな!?だってあたしは確かに・・・・・・」

杏子「幻覚だよ。あんたの一撃は完全に読めてた。読めてさえいれば当然その対応策は練るさ」

杏子「・・・・・・あんたはどうする。まだ続けるかい?眼帯」

キリカ「・・・・・・正直、君に勝つ手段は思いつかない。私は降参だ。さやかも、もういいよね」

さやか「・・・・・・まだだ」

キリカ「さやか・・・・・・」

さやか「まだ負けて(てぇーい)(バッ!)・・・・・・きゃあああ!!」

さやか「ななななんでスカートめくるんだよ!!」

ゆま「お姉ちゃんは誤解してるよ!キョーコは悪い魔法少女じゃない!!」

さやか「空き巣する魔法少女のどこが悪くないんだよ!!」

ゆま「うるさい!キョーコをこれ以上いじめるならあたしが許さない!!」

さやか「こ、こいつぅぅうううう!!」

杏子「・・・・・・終わりで、いいよな?」

キリカ「あぁ、うん。もういいんじゃないかな」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 20:38:13.90 ID:F95Hs19w0

今日はここまで!

やっと、終わりが、見えた
うまくいけば今週中に終わる気がする。・・・・・・第一部が



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/10/30(日) 20:39:23.94 ID:ytonxKPA0



全何部構成の予定なの?



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 21:01:42.69 ID:F95Hs19w0

>>88
全三部構成
元々三部だけを話にして、一部、二部を設定だけで終わらせようと思ってたんだけど、いろいろ無理があったので断念
そこで、逆に一部を一つの話として纏めて見ようと思って投下を始めたのがこのSS
一応一部だけでもしっかり完結する(はずだ)し、何か一部でやめときゃよかったのにと俺が思ってしまいそうな感もあるけど、折角だし二部までは挑戦してみようかなぁと
三部はまぁ、二部が完結するようなら、やってしまいそうな気はする



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/30(日) 22:42:28.43 ID:82GcI2dw0

>>1乙 盛り上がってまいりました 期待してる



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:11:45.69 ID:0sLMXYfK0

--夜--

さやか「・・・というわけで、女の子のスカートをめくっちゃ駄目なんだよ。ゆまちゃん」

ゆま「うんわかった!さやかお姉ちゃん!」

さやか「・・・くぅぅぅぅいい子だぁああ!!」ダキィ

ゆま「わ、さ、さやかお姉ちゃん」

キリカ「何かすごく仲良くなってるね」

杏子「精神年齢近そうだもんなぁ。あの二人」

さやか「む・・・・・・、あんな赤い奴捨てて、あたしと一緒にいよう?」

ゆま「・・・・・・ごめん。さやかお姉ちゃんも好きだけど、キョーコはもっと大好き!」

さやか「ぐぐ・・・・・・」

杏子「子供は残酷だねぇ」

さやか「うるさい!今度こそ決着つけるか!?」

杏子「今のあんたじゃ何度やっても結果は同じだよ」

キリカ「確かに、あの幻覚技を破れないと・・・・・・そういえば、あれってひょっとして『ロッソファンタズマ』?」

杏子「・・・・・・あんた、何か独自の情報網でも持っているのかい?」

キリカ「いや、途中の家にあった『必殺技帳』に書いてあった。ほら、これ」

杏子「・・・・・・マミのやつ、何でこんなもん書いてるんだよ・・・・・・」

キリカ「さぁ?」

さやか「あたしの『スクワルタトーレ』もその本に書いてあった技だよ」

杏子「・・・・・・イタリア語の時点でまさかとは思っていたけどさ・・・・・・あたしのあれはただの『幻覚技』だ。『ロッソ・ファンタズマ』と名乗れるような代物じゃない」

キリカ「性質は似たようなものに見えたけどね」

杏子「まぁな。・・・・・・いつかきっと、取り戻してみせるさ」



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:13:28.78 ID:0sLMXYfK0

ゆま「Zzz」

さやか「うーん。ゆまちゃんは本当にかわいいなぁ、それにひきかえ・・・・・・」

杏子「あーうぜぇ。超うぜぇ」

杏子「・・・・・・そういや、あんた。戦闘前に結構好き勝手言ってくれたよな」

キリカ「ん?あぁ、言ったね。・・・・・・君を怒らせる為に言ったんだけど、全く効果がなかった」

杏子「いや、効果はあったよ。ただ、それをそのまま戦いに反映させない程度には、いろいろ経験したのさ」

キリカ「・・・・・・なるほど、ね」

キリカ「一応言っておくと、あれは君の事情を全く考えないからこそ言えた挑発だし、いちいち気にしなくていいよ」

杏子「いや、結構的は射ていたよ。・・・・・・ゆまが巨大な魔力を感じ取ってはいたんだ。だけど、あたしは巴マミなら大丈夫とか、今更どんな面して会うんだとか、あたしが死んだらゆまはどうするとか、そんな事ばっか考えちまって・・・・・・結局動けなかった」

杏子「・・・・・・なぁ、知ってたら教えてほしいんだけどさ」

キリカ「なんだい?」

杏子「巴マミは、出会えたのか?あいつにふさわしい仲間に」

キリカ「・・・・・・その質問の答えになるかどうかはわからないけど、巴マミには相棒がいた。あの二人は多分、見滝原で二番目ぐらいには強かったと思うよ」

杏子「・・・・・・そうか。・・・・・・二番目?一番目は?」

キリカ「私と織莉子さ!」

杏子「突っ込まないぞ。・・・・・・それだけが気がかりだったんだ。良かった」



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:16:48.61 ID:0sLMXYfK0

キリカ「さやか、どうしたのさ」

さやか「いや、その・・・・・・あんた、そこまで悪い奴じゃなかったんだね」

杏子「あんたの悪い奴がどういうものかわかんないけど、空き巣やってる時点で充分悪党だろう」

キリカ「小悪党ぐらいじゃないかな」

杏子「茶化すな。・・・・・・こいつの言ったとおりだ。あんたの正義は間違えてない。窃盗は悪だ。だから許さない。正義ってのはそうあるべきさ」

さやか「・・・・・・ねぇ、巴マミってどんな人だったの?」

杏子「正義の味方にして、見滝原最強だな。あいつに勝てる奴なんて想像がつかなかった」

キリカ「最強は織莉子だけどね」

杏子「あんたの言う織莉子ってのがどれぐらいか分からないけど、本調子のあいつに勝てる奴なんかいないよ。・・・・・・精神状態がやたら揺らいで本調子が出し切れないところがあるのが、結構問題ではあったんだけどさ」

キリカ「それでも、織莉子の『未来予知』には通用しないさ」

杏子「食い下がるなぁ、あんたも。まぁ少なくともあたしの知る限りでは最強の魔法少女だったな。能力とかそういう類の強さではなく、ただ強かったんだ」

さやか「・・・・・・あんたがそこまで言うなんて、凄い魔法少女だったんだね」

杏子「あぁそうさ。・・・・・・どうせワルプルギスの夜だって、ついうっかりで負けたんだぜ。あいつ。普通に本気出してりゃどんな魔女だってマミの奴に勝てるもんか」



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:19:39.23 ID:0sLMXYfK0

杏子「さて、あたしとゆまは明日、見滝原を出る。もうあらかた盗れるものは盗ったしな」

さやか「・・・・・・あんたはどうしていちいちあたしに喧嘩うるのさ!」

杏子「別にそういうつもりで言ったわけでもなかったんだけどな」

キリカ「そろそろ、じゃないかな」

さやか「ん?」

キリカ「もう、無理だよ。実は昨日の夜のうちに街から出るルートを探してみたけど、多分明日の朝ぐらいが『限度』だ。これ以上魔女に増えられたら、とても対応しきれない」

さやか「・・・・・・」

キリカ「佐倉杏子達と一緒に、街の外に出るべきだ。4人がかりなら、なんとかアレも突破できる」

さやか「・・・・・・3人で行ってくれないかな。キリカだって杏子やゆまちゃんがいればもう脱出できる。あたしがいる必要なんてない」

キリカ「さやか!!」

杏子「・・・・・・生きている人間はあたしも探した。ゆまもな」

さやか「!!」

杏子「ゆまの魔力探知は人間がいるかどうかぐらいは大よそつかめる。・・・・・・この街にはもう、人間はいない。いるのは魔法少女と、魔女だけだ」

さやか「・・・・・・あたしは、自分の目で見るまで諦めない」

杏子「そうかい。なら、あたしから言える事ももう何もない」



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:22:20.53 ID:0sLMXYfK0

やか「・・・・・・あたし寝る。・・・・・・少し疲れた」

キリカ「あまり眠れていないんだ。仕方ないよ。・・・・・・渡した睡眠薬を使うといい。深い睡眠に入れるだけで、随分疲れもとれるはずだ」

さやか「・・・・・・ありがと。使わせてもらうよ」


キリカ「・・・・・・さて、それじゃぁ脱出計画を練ろうか」

杏子「それでいいのか?あんたは」

キリカ「ん?何がだい?」

杏子「いや、あいつ・・・・・・さやかの事だよ。あんた、あいつの事結構気に入っているように見えたけどな」

キリカ「私にとっての一番は、織莉子だけだよ」

杏子「・・・・・・?いや、そういう話じゃなくて」

キリカ「そういう話なんだよ、これは」

杏子「・・・・・・そうか」

キリカ「明日の朝、説得はしてみる。それで応じないようなら置いていく。もともとこの街の中限定での仲だったんだ。いなくなったところで何も感じないね」

杏子「・・・・・・」



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 00:23:58.17 ID:0sLMXYfK0

キリカ「さて・・・・・・と」



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:26:34.20 ID:0sLMXYfK0

--朝--

さやか「視界がぼやける・・・・・・キリカの睡眠薬、しっかり使ったのにな・・・・・・」

キリカ「おはよう。さやか」

さやか「あ、キリカ・・・・・・もうおきてたの?」

キリカ「君に見せておきたいものがあるんだ」



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:28:50.41 ID:0sLMXYfK0

さやか「・・・・・・何、これ」

キリカ「探し回ったよ。『君の大切なものの死体』。全部揃ってよかった」

キリカ「鹿目まどか。志筑仁美。暁美ほむら。親族一同もついでに探しておいた。後はクラスメイトの皆様。・・・・・・いくつかパーツがかけてるけどね。ま、これで全部だ」

さやか「あ・・・・・・」

キリカ「君が信じた希望、探していた大切な仲間、それはワルプルギスの夜によって既に全て失っていたのさ」

さやか「あはは・・・」ペタン

キリカ「どうしたんだい?さやか。全部見つかってよかったじゃないか」

さやか「・・・・・・あたしさ。別の街で正義の味方とかやっててさ。でも、見滝原のみんなはそんな中でもきっと幸せにやってるって、そう信じていたからやってこれたんだ」

キリカ「・・・・・・」

さやか「こんな事になってから気づくなんて、馬鹿だよね。あたしにとって・・・・・・あたしにとって本当に守りたかったのは、この街だったんだ・・・・・・」

キリカ「(・・・・・・やはり駄目、か)」



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:29:47.37 ID:0sLMXYfK0

キリカ「・・・・・・いいかい、さやか。よく聞くんだ」

さやか「・・・・・・?」

キリカ「この人達は誰にやられたと思う?」

さやか「え・・・・・・ワルプルギスの夜?」

キリカ「そう、ワルプルギスの夜、つまり魔女だ。人間を食いつぶす化け物さ。・・・・・・憎くないかい?」

さやか「・・・・・・え?」

キリカ「君の全てを奴らは奪ったんだ。君は奴らに復讐する権利がある」

さやか「・・・・・・権利?」

キリカ「そう、権利だ。君はこれだけの事をやった魔女が許せるか?」

さやか「・・・・・・許せない」

キリカ「そう、許せない。ならば幸いにして、君には力がある。その憎しみを余すところなく奴らにぶつけるんだ」

さやか「・・・・・・ぶつける、そう、か」

キリカ「そうさ。憎むべきは全て、君の全てを台無しにした魔女なんだ。違うかい?」

さやか「・・・・・・うん。そうだ。その通りだよ。キリカ」

キリカ「(簡単に誘導できそうだな。流石さやか。単純馬鹿だ)」



105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:30:54.54 ID:0sLMXYfK0

杏子「・・・・・・結局、説得はできたのか?」

キリカ「ご覧の通りね」

さやか「キリカ?魔女はどこなの?はやく殺そうよ」

キリカ「さやか、もう少し待つんだ。ここから先に行けばすぐに大量の奴らに出会える。そしたらめいいっぱい殺せるよ」

さやか「あはは」

ゆま「・・・・・・さやかお姉ちゃん?」

杏子「・・・・・・おい、なんだよこれ」

キリカ「何だって?」

杏子「てめぇ、こいつに何をした!!」

キリカ『念話で喋ってくれ。あまりさやかに聞かれたくない』



106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:31:50.63 ID:0sLMXYfK0

キリカ『別に何をしたわけじゃない。さやかを導いてあげたんだよ』

杏子『導いてって・・・・・・どういう意味だ!』

キリカ『簡単な心理誘導だよ。普通に生きてたらまず引っかからない。でも、自分の全てが崩れていたら、あっけなくかかる事もある、そういう類のね』

杏子『・・・・・・あんたまさか!?』

キリカ『さやかの探していた大切な人。その全ての死体を見せてあげた。多少悲劇的になるよう、演出はさせてもらったけどね』

杏子「てめぇ!!!!」ガシィ!!

さやか「いきなり何してるの?・・・・・・そうだ、魔法少女が魔女になるんだから、今殺しちゃってもいいんじゃない?」

キリカ「さやか、それは駄目だ。魔女になるまでゆっくり待つんだよ」

キリカ『大体こういう事は、君の方が専業だろ。『聖女様』?』

杏子「!!!!!!」



107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:32:21.50 ID:0sLMXYfK0

キリカ「にしても、魔法少女の魔女化のほうはそれほど驚かないんだね」

杏子「ここに来るまでに散々見てきた。今、そんな話はどうでもいい」

杏子『・・・・・・いつから、こんな事を考えていた?』

キリカ『最初さやかに会った時に喧嘩になってさ。その時思ったんだよ。こいつは使えるって。そもそもワルプルギスの夜に生身で耐え切るほどの強度だ。ソウルジェムさえ回復させておけば、いい囮になる』

キリカ『最初の計画は、さやかを魔女の真っ只中に放り出し、それを陽動にして私は逃げる。それぐらいの単純な策だったんだよ』

キリカ『ところが、どうにもさやかは生存者を見つけるまで外に出たくないという』

キリカ『正直焦ったね。まぁ私一人で脱出してしまうという手もあったんだけど、やはり安全性は担保したい。そこで思いついたのが今回の作戦さ』

キリカ『これだけ魔女を殺したいと思うように仕向けてしまえば、魔女を殺してる分にはソウルジェムも中々濁らない。囮としてはうってつけだろう?』

キリカ『ま、うまく外に脱出させることが出来たなら、適当に魔女にする方針でキュゥべえとの取引材料にしてしまうもよし、君みたいな幻惑系魔法少女に頼んで駒に仕立て上げるもよし、どちらにしろ私にとっては実にうまい話だ』

杏子『もういい、充分だ』

キリカ『そう。ま、君も頑張って働いてね。私の脱出の為に』

キリカ「さぁ、さやか。そろそろ行くよ。思う存分魔女を殺すんだ」

さやか「うん!キリカ!」



108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:33:02.46 ID:0sLMXYfK0

杏子「・・・・・・ゆま。最悪、キリカとさやかは見捨てるぞ」

ゆま「キョーコ!何でそんな・・・・・・」

杏子「さやかはもう無理だ。・・・・・・そして多分、キリカもその死に惹かれてる。こっちまで巻き込まれるのはごめんだ」

ゆま「・・・・・・キョーコ?」

杏子「・・・・・・」



109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:34:29.23 ID:0sLMXYfK0

薔薇の魔女。影の魔女。箱の魔女。お菓子の魔女。鎧の魔女。猫の魔女。玩具の魔女。
ありとあらゆる魔女がそこには集結していた。
まるで外に出るのは決して許さない。そういった何者かの意思があるかのような配置だ。

キリカ「・・・・・・まさか。魔女にそこまでの意思があるわけがない。多少弱気になっているのかな」

さやか「あはははははは!!!」

さやかは一気に突進していった。最初にキリカと戦った時と同じようなやり方。
ただ、怒りに任せた真正面に突進するだけの戦法。

キリカ「・・・・・・もう少し頭を使ってくれるといいんだけどね。ま、フォローしつつ、かな」

杏子「おい、キリカ。何で囮を助けながら戦ってるんだ?」

キリカ「ん?やばくなったら見捨てるさ。でも、そこまで焦る必要もない」

杏子「・・・・・・あんたは・・・・・・」

杏子「分かった。あたしはゆまをフォローしつつ戦うから、そっちの援護にはあまりまわれない。悪いけどね」

キリカ「別に構わないさ」



110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:35:36.99 ID:0sLMXYfK0

戦局は劣勢だった。
杏子はゆまのフォローをしつつ、ゆまの攻撃を生かすような戦い方をしている。
対してキリカはさやかが完全に防御を無視して突進している為、
さやかの盾となるような戦い方しか出来ていない。
そしてさやか自身にそれほどの攻撃力がない以上、実質さやかとキリカはお互いの持ち味を殺してしまっている。
これでは、それこそキリカとさやかは囮程度にしか使いようがない。

杏子「・・・・・・何としてでもさやかを脱出させたかったのかもな。キリカは」

ゆま「キョーコ?」

杏子「・・・・・・なんでもない」

杏子は、この時点でキリカとさやかを見捨てることにした。
自分にとって大切なものはゆまだ。それだけは何としても守りきらなければならない。



111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:36:29.43 ID:0sLMXYfK0

さやかは最早傷だらけだ。
それなのにいつまでも笑い続けている。
恐らく痛覚遮断を使っているのだろう。・・・・・・痛覚遮断を使うと感覚が鈍るから、状況を見て使えって教えるべきだったかな。
いや、教えたところでこんな状態じゃ使いようがないか。

キリカ「・・・っつ!」

影の魔女の攻撃か。・・・・・・あの砲台戦法は厄介だ。
しかし・・・・・・心なしか自分の動きが鈍くなっているように感じる。
そういえばソウルジェムの濁りも心なしか早い。
特に身体的に影響が出るような事をやっているはずもないのに。

衝撃波を飛ばそうにも・・・・・・あの鎧の魔女が邪魔か。
あのぬいぐるみは・・・・・・ぬいぐるみ?何だあれ。

さやか「あはははは!死ね!死ね!」

さやかがそのぬいぐるみを切り裂こうとした時、ぬいぐるみの口から蛇のようなものが現れ、

キリカは咄嗟にさやかを庇っていた



112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:37:54.65 ID:0sLMXYfK0

・・・・・・つまりはこういうことか。
いつの間にか、私はさやかに対して情を持っていたらしい。
織莉子以外に私が情を持つなんて、ありえないと思っていた。
たまに感じていた感覚も、全てこんな状況になれば消え去ると思っていた。
・・・・・・甘かった。人に興味がないフリをして生活していたのが長かった分、
そういう感覚を軽視していた。
というか、そんな生活が長かったからこそ、逆に情を持った時自分がどうなるかは、既にサンプルケースがあったじゃないか。
織莉子に対する自分を見て、私は何も学べていなかったのか。

キリカ「・・・ま、片腕をとられた程度ですんだのは奇跡だったね。ただ、もうほぼ手詰まりかな」

・・・・・・さやかに衝撃波でも当てて、杏子のところまで弾き飛ばすか。
なんだかんだで情に熱そうな人みたいだし、ひょっとしたら助けてくれるかもしれない。
・・・・・・どうせあんな適当な心理誘導だ。憎しみがどうとかいったって、そんなものはそれこそそういう能力をもった魔法少女が念入りに暗示でもかけない限り、誰か周りに支えてくれる人がいさえすれば少しずつ癒されるはず。
さやかはまだ、生き延びる望みはある。私はもう無理そうだけど。

・・・・・・それはそれとして、あの世で織莉子にどんないいわけをしたものか。
ちょっといい案が思い浮かばないな。



113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:38:47.45 ID:0sLMXYfK0

杏子やゆまが戦っている。あっちも相当に傷だらけみたいだ。
魔女になったら殺してあげるのにな。
そんな事を考えながら、あたしは目の前の魔女を斬りつける。
ふとキリカの方を見ると、キリカの手と足がなくなっていた。
・・・・・・まぁいい。あたしは魔女さえ殺せれば満足なんだ。
この憎しみを魔女にぶつければ・・・・・・

あれ?

そもそもあたしはそんな風な戦い方をする魔法少女だったっけ?
それは確かにみんなを殺した魔女は確かに憎いけど・・・・・・
でも、それって今戦っている仲間を見殺しにしてまでやることだっけ。
・・・・・・いや、待て待て。いろいろおかしい。
大体わたしの根幹はなんだ?こんな憎しみに任せて魔女を倒すことだったか?
・・・・・・違うだろう。あたしの剣は本来・・・・・・



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:39:29.26 ID:0sLMXYfK0

お菓子の魔女が口を開いた。
キリカには動くための足がない。かろうじて片手が残っているが、もうそれも満足には動かせていない。
ただ、キリカはぼんやりとその口を見つめ・・・・・・

その時、いくつもの青い刀身がお菓子の魔女の口の中に吸い込まれていった。

さやか「それでも食べてろ!!」

お菓子の魔女の中で大爆発が起こる。その隙を見てさやかはキリカを背負った。

さやか「ゆまちゃんパス!!」

さやかはキリカ思いっきりゆまに向かってぶん投げる
ゆまは慌ててキリカを受け取り、キリカに回復魔法をかける。
状況が見えていないのはキリカだ。

キリカ「え・・・・・・何でさやかが私を助けて・・・・・・?」

杏子「あんたが思っていたより、さやかがずっと強かったってことだろ?」


さやか「さて・・・・・・と」

さやかは痛覚遮断を解除した

さやか「っつううううう!!」

キリカ「・・・・・・!?何をやっているんだ!さやか!」

さやか「・・・・・・よし!目が覚めた!さやかちゃん完全復活だ!!」

さやかは不敵に微笑んだ。



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:41:37.34 ID:0sLMXYfK0

キリカ「ゆま!ごめん、早く戻らないと」

杏子「ほんの少しでいいから待て。・・・・・・ゆまの回復が待てないとか、どんだけ追い詰められてるんだよ」

杏子「それにほら、あいつを見てみろ。結構普通に戦えてるぞ」


さやか「でぇやぁ・・・ってよっと」

さやかは鎧の魔女の斬撃を、お菓子の魔女の手前で回避した。
その結果として、鎧の魔女の剣がそのままそのお菓子の魔女を切り裂く。
さらに影の魔女の攻撃が、鎧の魔女を貫いた。
その影の魔女を、さやかの放った刀身が貫く。
この時点で、さやかを狙っているのは薔薇の魔女。あの鞭のような攻撃は、自分の後ろにいる魔女に誘導できそうだな。そうさやかは考えていた。



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:42:56.75 ID:0sLMXYfK0

ゆま「さやかお姉ちゃん凄い!あれだけの魔女をあんな簡単に!!」

杏子「・・・・・・ひたすらに魔女の同士打ちを狙ってるんだな。なるほど、魔女同士の連携はひどいものなんだから、あーいう戦い方でいいのか」

キリカ「さやかはどこであんな戦い方を・・・・・・」

杏子「さぁなー。でもあいつ、結構自分勝手な正義感で好き放題喧嘩うってるみたいだし、結構やばい連中を相手にした事もあったんじゃないか?」

杏子の指摘は事実その通りで、さやかはワルプルギス前に正義の味方をやっている最中、強盗だのヤクザだのを相手に戦う事も多かった。
その為、一対多の戦いには慣れていたのである。しかも、人間は連携を考えて動くし、魔女だって使い魔達とは連携をとるものもいるが、魔女同士となると、それがまったく成立していない。
こうなると、そういった戦いに慣れているものにとっては独壇場となる。

ゆま「回復完了!」

キリカ「・・・・・・さやかに一つ問わなきゃいけないことがある。・・・・・・行ってくる」

杏子「まったく・・・・・・今度は無茶すんなよ」



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:44:19.50 ID:0sLMXYfK0

キリカ「さやか!一つ聞きたい!」

さやか「キリカ?こんな時にどうしたの?」

キリカ「何故戻れた?君は魔女を憎んでいた。そう考えていたからこそ、あの心理誘導は通用したはずだ」

さやか「ん・・・えぇと、そりゃ確かに魔女を憎んではいたけどさ」

さやか「それって守るべき人間を捨ててまでやる事じゃないよね」

キリカ「君の守る人間はもう全員死んでしまったじゃないか!」

さやか「そういう事言わないでよ!・・・・・・今はいるじゃん。守るべき人間」

キリカ「・・・・・・」

さやか「キリカに、杏子に、ゆまちゃん」

キリカ「!・・・・・・そんな行きずりの仲間を!?」

さやか「そりゃキリカは何考えてるかよくわかんないし、杏子は小悪党っぽいし、ゆまちゃんは可愛いけどさ。じゃぁここで死んでいいかっていったらそれは違う」

さやか「だから、それは充分に守る理由たりえる」

キリカ「そ、そんな生き方通用しない!この街を出たら君はどうするんだ!!」

さやか「新しい守る対象を探すよ。多分、そういう事が必要な人って結構いると思うし」

キリカ「無茶苦茶だ!守られる人間に裏切られるかもしれない!自分が何を守っているかわからなくなるかもしれない!そんな生き方したらソウルジェムがもたない!!」

さやか「うーん・・・・・・裏切られたらそりゃしょんぼりするし、何を守っているのかわからなくなるかもしれない。後悔なんてずっとするような人生になるのかなーとは思うよ」

さやか「でも、そんな生き方を、あたしが選びたいんだからしょうがないじゃないか」

キリカ「・・・・・・!!」

さやか「ほら、また魔女が来るよ!」



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:45:20.11 ID:0sLMXYfK0

キリカ「・・・ふふふ、くふふふふ、あはははははは!!」

さやか「キリカ!?」

キリカ「面白い!君は本当に面白馬鹿だね!いいじゃん、やってみなよ!!どうせどっかで挫折するだろうけどね!!」

さやか「そういう事言うな!・・・・・・あと、キリカ。朝のあれ、後で説教ね」

キリカ「いいさ!ここを生き延びられたら説教でも何でも聴いてやるよ!!」

杏子「これでやっとまともに連携がとれるな」

さやか「・・・・・・杏子!」

ゆま「キョーコ!もうさやかお姉ちゃん達を見捨てる必要ないんだよね!!」

杏子「ゆ、ゆま。・・・・・・あ、あぁ。まぁな」

さやか「杏子も説教ね」

杏子「いや、あたしの場合仕方ねーだろ!あんたらがあんな」

キリカ「さて、そろそろ馬鹿はやめといて・・・・・・あれ、どうしようか」

杏子「誰が・・・・・・っとまぁ、確かに、こんな事言ってる場合じゃないよな」

さやか「・・・・・・うん」



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:46:19.42 ID:0sLMXYfK0

影の魔女10体。
それが魔女達の最終防波堤だった。
近寄ることすらできない。
さやかの投剣も、杏子の槍も、ゆまやキリカの衝撃波も全て弾かれた。
完全なる防御。同士打ちを狙うにも、まず近寄れないことにはどうしようもない。

さやか「一つ、試したいことがある」

キリカ「何だい?」

さやか「あれだよ。『必殺技帳』126ページ」

キリカ「無理・・・・・・でもないな。攻撃威力としてもあの魔女達を突破できる可能性はあるし・・・・・・試してみる価値はある」

杏子「何の話だ?」

キリカ「あの『必殺技帳』の中に、『悪を許さない心』とか『正義を信じる心』とか、そういうのをそのまま具現化したような必殺技がのっていたんだよ。君なら当然知ってる魔法だと思うけど」

杏子「あーあれかー」

ゆま「なになに?」

杏子「ま、すごい技だよ」



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:47:13.98 ID:0sLMXYfK0

キリカ「さやかが魔力を作り出して、杏子が受け皿になる。多分それでこの魔法は成立する」

ゆま「ゆまはー?」

キリカ「ゆまと私は魔法が完成するまで、さやかと杏子を守るんだ!」

ゆま「了解!」

杏子「・・・・・・ま、やるしかないか」



さやか「いくよ、杏子!!」

さやかは巨大な剣を召喚した。
それを杏子がコントロールする。

杏子「・・・・・・結構な魔力じゃん。全くゆまといい、さやかといい、ルーキーってのはこんな奴らばっかなのか」

キリカ「私もルーキー。混ぜておいて」

杏子「あんたは知らん」

キリカ「む・・・・・・」



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:48:48.95 ID:0sLMXYfK0

ゆま「ていぃ!やぁ!!」

キリカ「・・・・・・まだ!?」

さやか「よし、もういける!」

キリカ「ゆま!横に避けろ!!」

ゆま「わかった!!」

杏子「じゃぁ・・・・・・ぶちかますぞ!!」

杏子「ティロ・・・・・・!!」

さやか「・・・・・・フィナーレ!!!!!」

凶悪サイズの刀身が影の魔女達の中心に突き刺さり、爆砕した



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:50:17.41 ID:0sLMXYfK0

さやか「・・・・・・やったの・・・・・・?」

キリカ「まだやってない!奴らが動揺してる今しかチャンスがないんだから、今すぐ突破しないと!!」

杏子「・・・・・・ま、よくやった」

ゆま「さやかお姉ちゃんかっこよかったよ!もちろんキョーコも!!」



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:52:12.07 ID:0sLMXYfK0

--見滝原外--

さやか「・・・・・・やったああああ!」

杏子「全く・・・・・・まさか魔女だらけになってるとか想像もしなかったもんなー。あんたらに出会えて本当によかったよ」

キリカ「私はいろいろ学ぶ事が多かったかな。人の感情って難しいね」

杏子「何キュゥべえみたいな事言ってるんだか・・・・・・」

ゆま「・・・・・・キョーコー!!」

杏子「よしよし・・・・・・よくやったぞ。ゆま」

キリカ「ここからだと、かざみのが近いかな。・・・・・・正直、お腹すいたよ。実はカロリーメイトとかそういうのしか食べてないからさ」

杏子「あたしらはお菓子ばっか食べてたなー」

ゆま「キョーコは普段全然食べさせてくれないし!」

杏子「いいか。お菓子ばっかり食べてると大きくなれないんだぞ」

さやか「どこの保護者だあんたは・・・・・・」

キリカ「『かざみのの赤い保護者』・・・・・・うん、これでいいんじゃない?」

杏子「お前そっち側の人間かよ!!冗談じゃねぇぞ!!」

キリカ「いや、でもきっと他の魔法少女にそんな事言われてるんじゃないかな。この辺の魔法少女に会ったことないけど、間違えない気がする」

さやか「・・・・・・で、どっか食べにいくんじゃないの?」

杏子「そうだなぁ。・・・・・・ジャンクフードでいっか」

ゆま「いこー!」

キリカ「はいはい、・・・・・・いくよさやか」


サヤカチャン ガンバッテ


さやか「!?」

キリカ「・・・・・・どうしたの?さやか」

さやか「・・・・・・いや、何でもない」

さやか「(・・・・・・さようなら、見滝原)」



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:54:30.02 ID:0sLMXYfK0

さやかは金がない。杏子のお金は出所が怪しい。
そこであーだこーだいいあったあげく、結局織莉子のお金をそのまま使えるキリカが払う事になった。

さやか「おいしい・・・!生きて食べれるハンバーガーがこんなにおいしいなんて・・・!!」

キリカ「織莉子のお金だって、実のとこ不正な金であるとかそういう説があったりするんだけど・・・・・・っと織莉子のお父さんを疑うなんて駄目駄目だ私!め!」

杏子「何をやってんだか・・・・・・ゆま、ゆっくり食べろよ」

ゆま「うん。キョーコ。・・・・・・あーん!」

杏子「いや、あーんって・・・・・・これでいいか?あーん」

さやか「おあついですなぁ」

杏子「・・・・・・てめぇ!覚えてろよ!」

さやか「そういえば、これからみんなどうするの?」

杏子「あたしはこのままかざみのに残るよ。いつも泊まってるホテルがあるからな」

ゆま「ゆまもゆまもー」

キリカ「私は適当にこの辺の織莉子の別荘を借りるよ」

杏子「適当にって・・・・・・」

キリカ「大体この辺の町には、どこにでも一つは織莉子の隠れ別荘があるからね」

杏子「待て。どんだけ金持ちだったんだよ。その織莉子って奴は」

キリカ「さやかは?」

さやか「あたしも元いたところに戻るけど・・・・・・うーん。まだ家、残ってるかなぁ」

キリゆまあん「?」

さやか「いやー川の下にダンボールで家作ったら、ここは俺の場所だって別の住民に怒られちゃってさー」

さやか「それで、公園のとある一角を領土にしてる人に一部譲ってもらってたんだけど」

キリゆまあん「・・・・・・」

さやか「いい人だったよ?たまにあたしを何かいやらしい目で見てる気がしたのが少し嫌だったけど。まぁ男の人だししょうがないのかな」

杏子「キリカ」

キリカ「さやか。今日は私の家に泊まろう。いろいろふかぁく君に、一人暮らしについてレクチャーしてあげるから」

さやか「え?何で?」



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:56:52.59 ID:0sLMXYfK0

--夜--~エンディング的な話~

さやか「Zzz」

キリカ「まったく、髪すら洗ってなかったとは。ダンボールハウスねぇ・・・・・・たくましいといえば、その通りなんだろうけど」

キリカ「別荘をあげるといっても納得しないだろうし・・・・・・どっかのアパートでも探してあげようかな」

QB「さやかを魔女にするんじゃなかったのかい?」

キリカ「・・・・・・君か。その件は大失敗だった。ま、そういう事もあるさ」

QB「君には最初から、さやかを魔女にする意思なんてなかったように見えたけどね」

キリカ「大体私は『欲しくはないかい』と聞いただけで、ほんとうにあげるとは一言も言ってないよ」

QB「そんな事だろうとは思っていたよ」

キリカ「・・・・・・がめついなぁ。ワルプルギスの夜で、君は盛大に稼いだんだろう?なら、たかだか一人の魔法少女ぐらい見逃してもいいじゃないか。どの道遅かれ早かれって話になるかもしれないんだし」

QB「ところで、君がさやかに見せた死体。いくつかは完全な偽者だったよね。大体『暁美ほむら』は死んですらいない」

キリカ「さやかには全ての希望を捨ててもらう必要があったからね。暁美ほむらに生きていられるのは、少し都合が悪かったのさ。他にもいくつか死体がなかったものもあったけど、ま、顔を潰してしまえばなかなかバレない。ましてあの精神状態じゃね」

QB「なるほどね」

キリカ「そうだ。さやかを魔女化しなかった代わりと言っては何だけど、君にプレゼントがある」

QB「・・・・・・これは?」

キリカ「織莉子が持っていた切り札の一つ。魔法少女になれるだけの素養を持った子一覧。その1ページさ。どう扱うかは君次第だ」

QB「いいのかい?そんな真似をすればさやかが黙っていない」

キリカ「無論内緒さ。バレたら残りのページについては全て焼却処分するからそのつもりで」

キリカ「・・・・・・君とは、もう少し長く付き合いたいからね。先行投資とでも思ってほしい」

QB「君の考え方が少し分かった気がするよ」



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:57:46.78 ID:0sLMXYfK0

QB「君は好きになった人間の価値観を尊重はするけど、自分自身の価値観については、全く人と相容れる気がない。自分と好きな人間の利益以外は考えないし、その為には道徳なんてものは最初から捨てている」

キリカ「その通りだけど、君にだけは言われたくないね。この利益最優先型異星人」

QB「『変わりたい・・・・・・違う自分になりたい・・・・・・』それが君の願いだったよね。君の願いは確かに成就された。だが、それによって生まれたのは君とは全く違う別の君だ。そんな偽者である事を知ったら、さやかはどう思うだろうね」

キリカ「・・・・・・君は、私を追い詰めたいのかい?少なくとも私は君に対してもう少し利益を提供してあげる気持ちはあるけど、そっちがその気ならこちらだって君とは手を切らせてもらうよ」

QB「別に、ただ疑問だっただけさ。そんな自分のまま生きていける君という人間の感情がね」

キリカ「君に知りたいと思われるなんて光栄だね。私の知る限り、君ほど人の感情を熟知している生物はいない」

QB「僕には人の感情は理解できないよ」

キリカ「だからこそ、君にしか辿り着けない域もあるということさ。感情がないからこそ、だ。そこは君自身も理解できていると私は思っていたけど?」

QB「君とは長い付き合いになりそうだね」



129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 13:04:17.10 ID:0sLMXYfK0

キリカ「そうだ、君は当然他の国の言葉も話せるんだろう。今後、通訳を頼みたいんだけど」

QB「?どういう意味だい?」

キリカ「『ワルプルギスの夜』と今回戦ってみて分かった。奴は強い。でも他にも何かある。奴のルーツ、過去の撃退方法、そもそも自然災害の一種なのか・・・・・・調べなければならない事は山ほどある。それも書物ではなく、実際に『魔法少女』に会わなければ分からないような情報が。・・・・・・君が教えてくれればはやいんだけど、どうせ教える気なんてないんだろう?」

QB「ワルプルギスの夜については、僕もよくわかっていない」

キリカ「過去にワルプルギスの夜を倒した者は?」

QB「倒したともいえるし、倒していないとも言えるね」

キリカ「倒したとして、いかにして倒した?」

QB「僕自身、何がきっかけで倒せたかは理解できていないんだ」

キリカ「ありえる可能性全てを羅列しろ」

QB「その羅列する情報を選定できないから、話す事はできないね。地球の創生からでも話せばいいのかい?」

キリカ「・・・・・・ま、こうなるよね」



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 12:59:12.79 ID:0sLMXYfK0

キリカ「もしかすると私の時代にはもう来ないのかもしれない。ただ・・・・・・予感はある。もし奴が再び現れたなら、その時は織莉子の敵をとらせてもらう」

QB「それは君の感情かい?偽りの君の感情かい?」

キリカ「知らないよ、そんなこと。で、通訳の件、頼めるかな」

QB「構わないよ」

キリカ「なるべく私の意図を読み取ってくれよ。いちいち君の利益を絡まされて通訳に手間取るような展開は避けたい」

QB「保障はできないね」

キリカ「結局最終的には、現地の言葉を覚えていくしかないってことか・・・・・・」



128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 13:00:00.80 ID:0sLMXYfK0

その次の日、キリカは旅立った。
さやか、杏子、ゆまは自分達の街に戻り、それぞれの戦いを続けていくこととなる。

つづく



130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 13:16:14.50 ID:0sLMXYfK0

終わった!第一部完!
・・・・・・何かキリカ目立たせすぎた・・・・・・杏子主人公の頃に、すっげぇちょい役だったから油断してたぜ。くわばらくわばら。



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/03(木) 19:42:16.17 ID:0sLMXYfK0

第一部完って書いたけど、何か自分のSS見ててやり残したことがかなりあった事に気づいたので、その短編だけちょろっとやる。多分3本くらい。
てかエンディングキリきゅべ単品は流石にねぇよなぁ・・・・・・この作品、主人公さやかちゃんなのに



132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/11/04(金) 00:24:13.57 ID:v3oym29t0

>>1乙 いやいやキリカがめちゃくちゃかっこいいんだが
慌てておりこマギカ引っ張り出して再確認したわ



134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:21:53.56 ID:XHqTiikM0

~杏子とさやかの話~

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

杏子がそう叫ぶと同時に2人の分身が生まれた。

ゆま「すごい、キョーコ!」

喜ぶゆまを見て、少し杏子も調子にのってしまう。
よし、今日は3人目まで挑戦してみよう。

杏子「3人目・・・・・・!!」

世界が 暗転した



135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:22:49.26 ID:XHqTiikM0

父親「お前は魔女に魅入られたのか?」

・・・・・・父さん?

父親「娘を魔女に変えられてしまって、何を語れと言うのか!!」

・・・・・・そうだ。今になって思えば父さんの言うとおりだった。
あたしは魔女に変えられてしまった。
それなのにこんな風に生きていて、巴マミを助けることができなくて。

杏子「なんであたしは生きているんだろうな」

ゆま「キョーコ!!!」

杏子「・・・・・・ゆま?・・・・・・しまった!!」



136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:23:36.39 ID:XHqTiikM0

杏子「あたしは、あたしの魔法に魅入られていたのか・・・・・・」

ゆま「キョーコ!しっかりして!!」

杏子「もう大丈夫だ。心配かけた」

ゆま「キョーコ・・・・・・ごめんなさい。ゆまがあんな事いわなければ」

杏子「ゆまのせいじゃないよ。調子にのったあたしが悪い」

それに、このトラウマを乗り越えない限り、ロッソファンタズマの復活はありえない。
一度は捨てた魔法。
だが、ゆまという守るべき対象ができ、杏子にとって生きる目的ができた今となっては事情が変わった。
たとえゆまの回復魔法がどんなに強くても、回復魔法では対処できないような即死系の攻撃は防ぐことができない。
ソウルジェムの秘密が分かった今となってはなおさらだ。
戦う為ではなく、守る為。
杏子は再びロッソファンタズマに手を出した。



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:24:15.46 ID:XHqTiikM0

--夜--

ゆまが眠ったのを確認した杏子は、一人外を歩いていた。

杏子「・・・・・・くそ!昔はあんな簡単にできたのにどうして・・・・・・!!」

トラウマが原因なのは分かっている。
乗りこえなければいけないのもわかっている。
だが、そもそもトラウマを乗り越えるとはどうすればいいのか。

杏子「・・・・・・正義の味方の真似事でもしてみるか?」

かつて自分自身が憧れ、巴マミの中に見た正義の味方。
或いはあの時の自分を取り戻せば、ロッソファンタズマも使えるようになるかもしれない。

杏子「・・・・・馬鹿馬鹿しい」

今更すぎる。
正義は捨てた。巴マミも死んだ。あの時の自分に戻るなんて事、とても自分自身が耐えられない。

さやか「動くな!そこの不審人物!!・・・・・・って杏子じゃん」

杏子「・・・・・・」

そこには当時の自分以上に甘っちょろい正義の味方がいた。



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:25:09.01 ID:XHqTiikM0

さやか「さてはATM強盗を!」

杏子「やってねーよ。何でさやかがかざみのにいるんだよ。人の巣に入るってのが魔法少女にとってどういう意味がわかってんのか?」

さやか「いやまぁ・・・・・・でも、杏子がいるし」

杏子「そりゃあたしは別に構わないさ。ただ、他の魔法少女が黙っていないだろ?」

さやか「最近では杏子の知り合いということで素通りできるようになりました」

杏子「・・・・・・なんだそりゃ」

さやか「この街じゃ有名だよ。『かざみのの赤い保護者』『子連れ狼』連れている子供に手を出すと家族諸共殺されるとかなんとか」

杏子「よし、構えな」

さやか「噂だよ噂!・・・・・・でも実際杏子ってゆまちゃんに手を出したら、そんなきれかたしかねないと思う」

杏子「・・・・・・ま、生かしちゃおかないかもな」



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:26:09.22 ID:XHqTiikM0

杏子「で、結局何でさやかがここにいるんだ?」

さやか「うちの街で無差別殺人を起こした奴が、かざみのにいるって情報が入ってさ。それでついさっき生きているのを後悔させる勢いでボコボコにして自首させてきたところだったんだよ」

杏子「・・・・・・そんな仕事、警察に任せろよ」

さやか「それがその事件を起こした奴の親が偉い人でさ・・・・・・。警察も動きにくかったみたい」

杏子「・・・・・・」

くだらない。一ヶ月前の自分ならそう言っていた。
魔女が人間を食い、その魔女をあたし達が食う。
そんな弱肉強食の世界で、人間同士が殺しあっていたところで知ったことか。
だが・・・・・・もしその殺されたのがゆまだったなら?
あたしはそんな理論を振りかざす事は到底できないだろう。

杏子「・・・・・・用はすんだんだろ。出てけよ」

さやか「む……すぐ出てくつもりだったけど、その言い方はすごい腹がたつ」

杏子「あんたとは見滝原で共闘しただけの関係なんだ。いちいちなれなれしくされても困るってだけだよ」

さやか「……キリカは1日1回電話してくるのになぁ」

杏子「あいつと一緒にするんじゃねぇ。・・・・・・そういや、あいつ、元気なのか?」

さやか「元気そうだよ。・・・・・・たまにすごい事言うけど」

杏子「へぇ、どんな?」

さやか「この前は『全人類皆殺しにすれば、結果的に世界は救済されるんじゃないかな』とか言ってた」

杏子「相変わらずぶっ飛んでるな・・・・・・」



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:28:21.42 ID:XHqTiikM0

さやか「後、『さやかは無理をしすぎる傾向があるから、何かあったら絶対に私か杏子に相談するように』、ってよく言われる」

杏子「あたしに相談されてもな・・・・・・。ただ、あいつの言いたくなる気持ちはなんとなくわかる。さやかの正義はあぶなっかしぃんだよ」

さやか「そりゃまぁ、変な団体とかヤクザとかいろんなものに敵視されてるという自覚はあるけどさ・・・・・・」

杏子「そこじゃないよ。キリカにも言われてただろ?さやかの正義は簡単に揺らぐ。信じていた人間に裏切られたら、さやかはさやかではいられなくなってしまうかもしれない」

さやか「確かにへこむことは多いよ。子供の護衛の仕事したら、その子供にいきなり後ろから刺されたりとか、何か強盗の片棒担がされそうになったりとか。……キリカが聞いてくれなかったら気づかなかったな。あれは」

杏子「……そして、あんた自身がちょろすぎるんだよな……」

さやか「なんだとー!」

杏子「いや、自覚しろよ。本当に」

そりゃキリカも一日一回電話したくなる。



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:31:28.97 ID:XHqTiikM0

さやか「この世界には救いのない絶望や避けようのない悲劇が溢れてる。そんなものに襲われてる人達を助ける為に戦ってる人が、一人ぐらいいてほしい。少なくとも、あたしはそう思う」

さやか「だからあたしはこの生き方を選んだ。やってることは後悔だらけだけど、この事に関しては今のところ後悔はしてないよ」

杏子「……さやかは、そういう強さがあるよな」

もし、昔の自分にそんな強さがあったら、マミと一緒にいられたのだろうか

さやか「うーん……たまに考えるんだけどさ」

さやか「多分あたしって、見滝原で全部失っちゃったから今がある気がするんだよ」

さやか「……少し話をしてもいいかな」

杏子「別に構わないよ。どうせ何かあてがあったわけでもないし」

さやか「……あたし、好きな人がいたんだけど、友達がその人の事好きになっちゃってさ。今住んでるとこってその恋愛から逃げてきて、そのままいついちゃった場所なんだよね」

さやか「もしあの時見滝原にとどまっていたら、ワルプルギスの夜を待つまでもなく魔女化してたんじゃないか。なーんて考えたりする時がある」

杏子「……好きなら、奪いとっちまえば良かったんじゃねぇの?その友達からさ」

さやか「あんたならそうするんだろうけどさ。あたしはできなかった」

さやか「その好きな人が、ヴァイオリニストでさ。でも、事故にあって弾けなくなっちゃって……その事をずっと引きずっていたんだ」

さやか「あたしはそれが見ていられなかった。その人の為になんとかしたいと思った。
その人のヴァイオリンをもう一度聞きたい。そのヴァイオリンをみんなに聞かせてあげたい。そう考えた」

さやか「あたしの魔法少女としての願いは、そういうものだったんだ」



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:33:41.41 ID:XHqTiikM0

さやか「そんな願いをして、その人にそのまま告白なんてできないよ。なんか願いでその人を振り向かせようとしたみたいで、あたし自身が許せない。……ま、その友達には絶対勝てないっていう諦めのような気持ちもあったんだけどね」

さやか「後は、もう知っての通り。見滝原のみんなは死んじゃって、それで全てが真っ白になって……杏子やゆまちゃんに会ったり、キリカに変な事吹き込まれたりいろいろあって今があるわけで」

杏子「何だよ、その願い」

さやか「え?」

杏子「そいつの為に願っておいて、何でいなくなってるんだよ!そんな願い、何の意味もねーじゃんか!!」

さやか「い、いきなりひどい事言うな……。でも、そうかもしれない。その好きな人からも言われたんだ。あたしを追い詰めてまでヴァイオリンを弾きたくなかったって」

杏子「……」

さやか「あたしの願い自体、実は大切な人を傷つけてしまっただけなのかもしれない。そういう風に考える事はあるよ」

杏子「……なぁ、今度はあたしの昔話を聞いてくれるか?」

さやか「ん?何さ、突然」

杏子「大切な人を傷つけるどころか、大切な人を潰してしまった願いの話さ」

杏子は語った。己の過去を。忘れられない過ちを。



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:36:34.95 ID:XHqTiikM0

さやか「……杏子……」

杏子「その時以来、あたしは自分の為だけに魔法を使っていこうと決めた。願いで得た魔法も、いつのまにか使えなくなってた」

さやか「願いで得た魔法が使えなくなる?そんな事が」

杏子「ひどいフラッシュバックが襲うんだよ。……あんたと前に戦った時に幻術を使ったことがあったろ。あれの発展系があたしの魔法だ」

杏子「本来は大量の分身を出して相手をかく乱する。そういう魔法なのさ。あんなちゃちな技じゃない」

さやか「……杏子はさ。その願いをしたことが間違いだったと思ってる?」

杏子「当たり前だろ?あたしの願いが家族をみんな潰しちまったんだ」

さやか「でも、ゆまちゃんは凄い大切にしてるよね。なんだかんだで人の為に魔法を使ってることにならないのかな」

杏子「……何が言いたい」

さやか「……そりゃあんたの願いは家族を滅ぼしてしまった。そういう意味では願いそのものは確かに間違えていたのかもしれない。でも、家族を救いたい、そういう思いからあんたは願い事をしたんだ。その思いは決して間違いなんかじゃない。あたしにはそう思えるんだけど」

杏子「……!」

さやか「……ごめん。なんか説教みたいな言い方になっちゃったね」

杏子「……はは」

さやか「……杏子、どうしたの!涙流して笑い出して……大丈夫?……よかったら一緒に病院まで」

杏子「あたし達魔法少女が病院行ってどうするんだよ。でも……そうか。あんたはそんな風に言ってくれるんだな」

あんな馬鹿だったあたしを、認めてくれるんだな

さやか「……」



144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:37:57.34 ID:XHqTiikM0

さやか「よし、夜遅くなったし、杏子のところに泊まっていこうかな!」

杏子「おい。なんでそうなるんだよ」

さやか「いいじゃん。たまにはさ」

杏子「……あんたの嫌いな、ATM強盗や空き巣で稼いだ金で泊まってるホテルだぞ?」

さやか「今日だけは目をつぶる。……ちょっと今のあんたは放っておけない」

杏子「……さやかにそんな事言われるなんてね」

さやか「てかあんたが悪事をやめてくれればいろいろ解決なんだけど。なんとかならないの?」

杏子「今更あたしの生き方変えろって言われてもな」



145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:39:03.00 ID:XHqTiikM0

杏子「そうだ、あんたに渡さなきゃいけないものがあったんだ」

さやか「何?」

杏子「上条恭介のヴァイオリンだ」

さやか「……!!」

杏子「少し破損がひどかったから修理してもらったが……迷惑だったか?」

さやか「そんな事ない!……ありがとう。ありがとう、杏子」

杏子「……いや、あたしは盗んでいたものを返しただけだしな……」

さやか「少し、弾いてみてもいいかな」

杏子「あんたの好きにすればいい。……でも、あんたヴァイオリンなんて弾けたのか?」

さやか「昔好きな人……恭介に憧れてちょっとだけ……ね」

ギィーギァー

さやか「あれ、確かこんな感じだったはずなのに……」

杏子「……貸してみな」

♪~♪~

さやか「……すごい」

杏子「すごくねぇよ。あんたと同じで、少し昔弾いたことがあるってだけだ。……しっかしいい音でるなぁこれ。上条恭介はプロか何かだったのかい?」

さやか「同じようなものだよ」

杏子「す、すごい奴だったんだな」

さやか「恭介の音はね。すごく綺麗で……どんな大人も子供みたいになっちゃうんだ」

杏子「ふーん。……一度聞いてみたかったな。そいつの弾くヴァイオリン」



146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/06(日) 14:40:19.10 ID:XHqTiikM0

--数日後--

杏子「ロッソファンタズマ!!」

ゆま「1人、2人、3人……やったよキョーコ!。3人いった!!」

さやか「こ、これは……こんな技を出されたら、とても杏子には……」

杏子「……ふぅ」

今更生き方は変えられない。
あの時の願いも、思いも間違っていた。
今でもそう思っている。
でも……その思いを肯定してくれた人がいた。それは、少しだけあたしにとって救いになったのかもしれない。

杏子「多分あんたのおかげだ。ありがとな、さやか」

さやか「ま、負けないよ!!」

杏子「……?」

おしまい



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 18:59:51.07 ID:zv93PzVX0

--1年後--

QB「あと1ヵ月後にワルプルギスの夜が現れる。出現地点は見滝原。ただ、今回のワルプルギスの夜は1年前とは比較にならない。かざみのも、君の街も巻き込まれるだろう」

さやか「……ワルプルギスの夜ってこんなに早く出現するものなの?」

QB「前例はない。こんな事は僕の知る限りはじめてだ。何か理由があるのかもしれないけれど、僕にはわからない。この話はキリカにも杏子にも伝えている。キリカはワルプルギスの夜を調べていたし、何かしらの回答を持っているのかもしれない」

さやか「キリカがワルプルギスの夜を……?」

QB「そういえば、キリカは君にその事を伝えていなかったね。何か理由があったのか、それとも何も考えていなかったのか」

さやか「……」

QB「いずれにせよ。これでまた多くの人命が失われるだろう。戦うか、逃げるか、選ぶのは君達自身だ」



152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:02:05.88 ID:zv93PzVX0

さやか「……選択肢なんかないの、分かりきってるくせに……」

あたしが今住んでいる街も、杏子の街も消える。
見滝原の惨劇が再び訪れる。
そんな事をあたしが許すわけにはいかない。
ただ……勝てるのか?今のあたしがワルプルギスの夜に。
とにかく何とかしてみんなを先に脱出させないと……

が、その心配は杞憂に終わる
政府から住民に直接退去命令がでたのだ



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:03:59.04 ID:zv93PzVX0

キリカからメールで呼び出しがあった。

--織莉子の別荘--

キリカ「ひさしぶりだね。元気にしてた?」

さやか「物凄い頻度で電話かけてるくせに……知っての通り、元気だよ」

キリカ「しかし、これだけ人がいないと寂しいものだね」

さやか「……キリカがやったんじゃないの?これ」

キリカ「こんなこともあろうと、この1年でコネクションを拡大させておいたのさ」

どう拡大すれば国が動くほどまでにコネクションを拡げられるのか

キリカ「ちなみに魔法少女総動員をしかけようと思ったけど……流石に、こんなネタに乗る魔法少女は1人もいなかったな」

さやか「……そう」

キリカ「ま、あの2人を除いて、ではあるけどさ」

杏子「キリカ、ひさしぶりだな。さやか、あんたも来てたか」

さやか「杏子!」

ゆま「キリカお姉ちゃん!ひさしぶり」

キリカ「ゆま。……全然大きくならないね」

ゆま「……」

キリカ「うーん。魔法少女になったら成長が止まるなんて話も聞いたことがないんだけど……やっぱり食生活のバランスの問題なのかな。まったく保護者は何をやっているのやら」

杏子「キリカ。喧嘩うってんなら喧嘩うってるって言え」

さやか「キリカの皮肉に全部付き合ってたらきりがないよ……」



154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:05:13.21 ID:zv93PzVX0

キリカ「さて、それはさておきっと。……来るらしいね。ワルプルギス」

さやか「らしいねって……」

キリカ「もう少し遅くてもよかったんだけどね。笑い方が下品な上に謙虚さもない。彼女にしたくない候補トップ10ぐらいだったんじゃないかな」

さやか「流石にそれは言い過ぎなんじゃないかな……」

杏子「……で?ワルプルギス退治の作戦会議で私達を呼び出したんだろう?」

キリカ「うん。まず、これを見て欲しい。私が調べたワルプルギスの夜のデータだ」

キリカが指をならすと、それは現れた。
宙に無数のパネルが現れ、そこにいくつもの情報が記載されている。

ゆま「すごい……」

杏子「この無意味な演出はさておき、よくここまで調べたな。キリカ」

キリカ「何、それなりに情報提供者もいたしね。……じゃぁま、はじめようか」



155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:07:07.71 ID:zv93PzVX0

さやか「ねぇ、キリカ。何で他の魔法少女は誰も助けにこないんだろう」

キリカ「利が少ないからだよ。今回のワルプルギスの夜は、前回以上の強敵だ。たかだかグリーフシード一つの為に戦う理由がない」

さやか「でも、街がみんな消えちゃうんだよ!」

杏子「魔法少女ってのは何かしらどこか歪んでいるからな。あんたみたいに、一直線の見方ができる奴のほうが少ないのさ」

さやか「……キリカや、杏子や、ゆまはどうなの?」

キリカ「無駄話はここまでにしよう」

さやか「キリカ!」

キリカ「意味のない問いだよそれは。何で私達がそのグリーフシード1つしか手に入らない、利のほぼない戦いに挑もうとしているのか。それは四種四様に理由はある。君の気に入る理由じゃなければいちいちそれに突っかかるつもりかい?」

さやか「……!」

キリカ「まったく……1年前から少しは成長してきていたと思っていたのに」

さやか「ごめん……」

杏子「こいつは基本孤独だったんだよ。誰も正義なんて掲げるような魔法少女はいなかったからな。そこは察してやれ」

キリカ「ん?杏子やゆまは正義の味方だろう?」

杏子「誰がだ!」

キリカ「ダークヒーローなんて言葉もあるんだよ」

杏子「そりゃどちらかというとあんただ!」

キリカ「む……」

さやか「その、悪かったからさ。話を進めようよ」



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:10:12.76 ID:zv93PzVX0

キリカ「……ワルプルギスの夜に弱点はない。正確に言うと弱点はあるが、今回それを使う事はできない」

さやか「どういう事?」

キリカ「それを説明するには、まずワルプルギスの夜がどういう魔女かを説明しなくてはいけない」

キリカ「ワルプルギスの夜は、『舞台装置の魔女』。いま、その舞台で演劇されている題目は『ファウスト』。奴の目的は全人類をその『ファウスト』の世界に引きずり込むのが目的だ」

さやか「……ファウスト?戯曲の?」

杏子「それで、ワルプルギスの夜か……」

ゆま「???ファウストって?」

キリカ「残念な男が死んだら、昔の女に救済されましたって話だよ」

さやか「……待て。それはいくらなんでもはしょりすぎだ」

キリカ「詳しい話は『ファウスト』を読んでくれ。その辺に転がってる。……すこし、ゆまには……というより、いろんな人にとってあれは難解というか、結構げんなりするストーリーだけどね」

キリカ「今回の話で重要なのは、このファウストにおける最後の救済についてだ」



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:12:39.33 ID:zv93PzVX0

キリカ「ファウスト第二部、第五幕。メフィストフェレスとの契約に従い主人公ファウストはその魂を奪われそうになる。だが、それは天使達によって阻止され、かつてファウストが愛した女性、グレートヒェンの祈りによって救われる」

キリカ「……が、この舞台はそれがおこらない。結末に辿り着けない。ゆえにこの舞台を終わらせるには、誰かこの魔女でない別の誰かが終わらせてあげる必要がある」

キリカ「……グレートヒェンによる救済を行う。これがワルプルギスの夜の弱点さ」

さやか「……つまり、どうすればいいと?」

キリカ「簡単な話さ。救済を訪れさせるだけの願いと素養を持った子を連れていってあげればいい。その子がこの魔女を倒せばその子は救済の魔女、いわゆるグレートヒェンになって舞台は終焉する」

キリカ「ただし、そんな結末を選べば、世界そのものが終幕を迎えかねない。その魔女はワルプルギスの夜以上の脅威となるだろう。さらに、ワルプルギスの夜は『舞台装置の魔女』だ。舞台が一度終わったぐらいで劇場が破壊されることはありえない」

キリカ「つまり、この弱点は絶対突いてはいけない類のものなのさ……さて、君達の願い事を一つずつ確認していきたい。君達は何を願いに魔法少女になった?」



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:15:41.62 ID:zv93PzVX0

キリカ「……とどめを刺すべきは、私だね。ゆまは論外。さやかや杏子も人の為の願いというのが危ない。私なら、あれは正真正銘の自分の為の願いだったから、少なくとも救済の魔女なんてものになる心配はない」

さやか「……キリカの願いって何だったの?」

キリカ「自分の為の願い、さ」

杏子「おい、あんた。人に願いを聞いておいて自分だけ言わないっていうのはないんじゃないか?」

さやか「杏子!」

キリカ「……変わりたい。違う自分になりたい。これが私の願いさ。織莉子に振り向いてもらう自信がなかった私は、振り向いてもらえる自分になれるよう、そんな契約をしたんだ」

杏子「……」

さやか「……」

ゆま「……」

キリカ「幻滅したかい?今まで君たちが見ていた私は、偽者だったんだ」

さやか「……そんなことない。誰かに振り向いてもらいたいって気持ちは、あたしにも分かる」

ゆま「……私も」

杏子「……あたしの願いの根底だって、本質的にはそれなのかもしれない」

キリカ「……ごめん。その、少しだけ不安だったんだ。そう言ってもらえるといろいろ救われるよ」

さやか「大体キリカはキリカ。それに本物も偽者もないさ!」

キリカ「君は本当にシンプル思考だね。ちょっと羨ましいかな」

さやか「……このこのー!」

キリカ「痛い痛い」

杏子「そろそろ話を続けないか?」



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:19:52.38 ID:zv93PzVX0

杏子「とどめを刺すのがあんただとして……だ。肝心の策はあるのかい?」

キリカ「一応、とどめをさせるだけの切り札はある。ただ……恐らくこのワルプルギスの夜は、以前より比較にならないほど強くなっている。それを撃てるだけの状況に持っていくのは、厳しいかもしれない」

杏子「キュゥべえの話でも気になってたんだけどさ……何でワルプルギスの夜が以前より強くなってるんだい?」

キリカ「どうもワルプルギスの夜というのは、出現する度にその場所の呪いを吸い取って強くなっていくものらしい。ただ……以前に現れたわずか一回でこれだけの力の格差が発生したというのは、過去の事例から重ね合わせても少し考えにくい」

さやか「どういう事?」

キリカ「一つ仮説にすらならない仮説はある……1年前のあの日、ワルプルギスの夜は平行世界でも同じように出現していた可能性がある」

ゆま「平行世界?」

杏子「……何を言っているんだ?」

キリカ「多世界解釈。つまりはワルプルギスの夜はパラレルワールドを移動していたんじゃないか?という説さ。なんらかの理由で、ワルプルギスの夜は1年前のあの時間に固定されていた。その時間をなんども別世界をいききすることになり、魔女としての力をここまで蓄えてしまった。また、その影響でその時間の周辺は非常にワルプルギスの夜が出現しやすい時間帯と化してしまい、それが今回の早期出現の原因となった……とかね」

さやか「でも、キリカはそのパラレルワールドを見たわけじゃないんだよね」

キリカ「そうだね。見てはいない。ゆえにこれは一つの仮説にもならない仮説なわけだ……どの道、考えても答えはでないところか」



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:21:21.58 ID:zv93PzVX0

キリカ「後はワルプルギスの夜自体の攻撃方法か。前回のワルプルギスの夜で私が確認されているのは、炎、黒い光線、あとは地震、暴風等の自然現象だね。ビルを飛ばしてきたりとかもあったか。使い魔も出してはいたが、抱きついてくるのが面倒なぐらいで、直接的な攻撃はなかった。近寄られたら対処するぐらいでいいのかもしれない」

キリカ「ただ、今回強くなってこれ以外の攻撃が増えているかもしれない。あくまで私が見た限りの情報ということで、こちらはとどめておいてくれ」

キリカ「話としては以上だ」



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:25:36.93 ID:zv93PzVX0

ゆま「つまり、どういうこと?」

杏子「要約すると、だ」


世界の救済に近い願い事・素養を持った魔法少女はワルプルギスの夜を倒しやすい。ただ、その魔法少女が魔女になってしまうので、その魔法少女で倒すのは駄目。

・ワルプルギスの夜は出現するたびに強くなっている。
多世界移動しているかもしれないけど、そっちは確証なし

・ワルプルギスの夜の攻撃方法は炎、黒い光線、地震・暴風等の自然現象、建造物の投撃、使い魔の抱きつき戦法等。ただし今回のワルプルギスの夜は攻撃手段が増えている可能性がある


杏子「こんなとこかな」

キリカ「……うん。まぁそんなとこ」

さやか「となると……結局キリカがとどめを刺すまで、力押しでもってくしかないってことか」

キリカ「ま、この4人で連携を強めれば勝算はあるかもしれない。私だってあの時と比べれば相当強くなってるはずだしね。……君達がどの程度の実力になっているのかはわかってないけど」

さやか「あたし達からしても、キリカがあの後どれぐらい強くなったのか分かっていないわけで……ま、これからしばらく特訓だね」



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:26:54.84 ID:zv93PzVX0

----そして、一ヶ月の月日が流れた



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:28:28.81 ID:zv93PzVX0

--見滝原--

ゆま「あっちこっちにグリーフシードが転がってる……」

杏子「魔女も昔と比べるとほとんどいないな」

さやか「これはどういうことなんだろう」

キリカ「充分に予測できた話だと思うけどな」

キリカ「希望と絶望は差し引き0。それが魔法少女世界の基本原理だ」

キリカ「……絶望を生み出すには、当然それ相応の希望が必要となる。見滝原はあの後人間も侵入不可能な立ち入り禁止区域となった。あの後魔女が獲物にできるものなんて、たまに訪れる魔法少女ぐらいだ」

キリカ「そうなれば、魔女はそのエネルギーをどうやって手に入れればいい?……とも食いだよ。そうやって魔女はどんどんグリーフシード化して、数を減らしていったというわけさ」

キリカ「無論、今残ってる魔女はそうやった戦いを勝ち抜いてきた言うならば猛者だ。決して油断はできない。……それはさておいて落ちてるグリーフシードはしっかり回収していこう。こっから先消耗戦になるだろうしね」



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:30:01.22 ID:zv93PzVX0

杏子「まぁそりゃ簡単にはいかないよな」

さやか「何でワルプルギス出現予測地点だけあんなに魔女が……」

キリカ「ワルプルギスの夜を歓迎でもしてるつもり…なのかね。ちょっとあれは私にもわからないな」

ゆま「どうしよう」

キリカ「どうするも何も……ワルプルギス戦で他の魔女まで相手にするわけにもいかない。やるしかないね」

さやか「じゃぁま、いきますか!」

キリカ「さやか。試してみる?」

さやか「OK。いくよキリカ!」

キリカ「二手で!」

さやか「百手!」

さやキリ「スクワルタトーレ・インフィニート!!」

青と黒
2つの光が複雑に交差し、魔女達を貫く



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 19:43:54.99 ID:zv93PzVX0

うっかり下げたまま書き込んでしまった……まぁ、sagaを忘れるよりはマシか
怒涛の説明、そして第一部で折角綺麗に終わったのに何かいろいろ台無しだよ!という話

短編3つやると言ってましたが、まぁ、うん。残り2つはお蔵入りということで
……いや、二部書きはじめてみたら、あれこれ別にいらなくね?っていう結論に達してしまって……
杏子の話は、幕間的なものということで
2部はなんか想像以上に早く終わりそうな気がしてきた。てか1部の延長戦みたいな感じだなぁ
一ヶ月、あっさり経過させちゃったけど……気が向いたら2部の後にこの辺の話をやるかもしれない



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/11/08(火) 20:46:55.51 ID:rtPAu2F00

二手で百手とか格好良すぎワロタ
乙でした



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/08(火) 21:16:34.91 ID:Q9BHxvUho

乙、第二部キターってなんか絶望的な気配がするんだがががが。
ワルプルの解釈が面白いな。
まどっちの魔女名は本来「クリームヒルト」だけでワルプル倒したからグレートヒェンの姓がついたって事か。



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/09(水) 22:22:57.49 ID:RPZZBqOn0

さやか「今の一撃でどれぐらい倒せたかな!」

キリカ「5人は逝ったかな。もっとも魔女の全体数が全く把握できていないけどね」

杏子「ま、ようは全部倒しちゃえばいいんだろ?こんな奴ら楽勝さ!」

ゆま「杏子、油断しないで!」

杏子「……わかってるよ。ゆま」

杏子「しかし……後ろに影の魔女。前方に鎧の魔女……1年前の再現か」

さやか「なら、こっちも一年前の再現といきますか!みんな、時間稼ぎお願い!」

突進してくる鎧の魔女に対して、キリカ、杏子の連携で向かい打つ
影の魔女の遠距離攻撃に対してはゆまが衝撃波で弾き飛ばす
……対影の魔女対策。見滝原突入前に予め打ち合わせしておいた連携だ
そして、さやかの術が完成する

さやか「前衛2人。退避して!!」

キリカ「意外と早いね」

杏子「ぶっぱなしてやれ!」

さやか「ティロ・フィナーレ!!」

放射される巨大な蒼い刀身
魔女という魔女が消し飛んでいく

キリカ「前よりも威力が増している?」

杏子「あの時に比べればさやか自身の魔力も精度が格段に上がっているからな」

ゆま「せいやぁ!」

さらにゆまの衝撃波が追い討ちで残った魔女を弾き飛ばす

杏子「ま、うちのゆまも負けてないんだけどな」

キリカ「……何もいわないよ」



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/09(水) 22:24:16.51 ID:RPZZBqOn0

その時、一人の魔女がさやかに単身突撃をしかけた

杏子「!!さやか、そいつは気をつけろ!」

その魔女は趣の魔女。杏子にとっては苦い思い出のある強敵だ

さやか「な!?」

さやかは二刀の剣で切り裂く。魔女からどっと血が溢れた

キリカ「……!?さやか、避けて!!」

その血はさやかにまとわりつき、爆ぜた

ゆま「さやかお姉ちゃん!今すぐ」

さやか「大丈夫。今のは予測できた」

ゆま「……え?あれ?」

さやかはいつの間にか別の場所に移動しており、趣の魔女はそのままキリカと杏子の連携攻撃で倒された

杏子「……幻術か!」

さやか「どうだ杏子!名付けてブル・ファンタズマ!」

杏子「たった一人の分身で何をいってるのやら」

さやか「二人まではいけるぞ!」

キリカ「それより……予測できたってどういうこと?そちらのほうが気になったよ」

さやか「え?……うーん。目かな?」

キリカ「……目?」

さやか「何かさ。あたしって相手の目を見ると何となく相手の思考が読み取れるんだよ。今回の場合、突進してきた魔女の『目』が明らかに裏を狙ってる気がしたから、それで幻術魔法を使ったんだ」

キリカ「……両方に眼帯をつけたほうがいいかな」



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/09(水) 22:25:16.67 ID:RPZZBqOn0

さやか達は戦い続け、次第に魔女の数は減っていく
倒されているのもあるが、明らかに魔女が何かが現れるのを察し、場を退いていく

そして、夜が訪れた



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/09(水) 22:28:12.25 ID:RPZZBqOn0

さやか「ついに来た……!」

杏子「さて……やってやろうじゃん!」

ゆま「頑張るよ!」

キリカ「打ち合わせどおりに、一気に仕掛ける!」

まず、キリカが仕掛ける
極限まで増やした爪での衝撃波、ワルプルギスの夜が揺らぐ
さらに、今度は杏子の複数召喚による投槍とゆまの衝撃波
そして最後はさやかの、巨大な剣の大量召喚
つまりは

さやか「ティロ・フィナーレ!!」

ティロフィナーレの連打。現状さやか達4人で遠距離では最大の攻撃力を誇る連続攻撃
だが、これでワルプルギスの夜にとどめがさせるなどとは4人とも考えていない
さやかは撃ち終わった剣に再びマガジンを込め、杏子とゆまは突進の姿勢をとる
キリカはさやかに攻撃をあわせる。ここからの永続攻撃

だが、それは2つの技によって打ち崩された

?「ティロ・フィナーレ!」

?「フィニトラ・フレティア!!」

その2つの魔法はさやかを弾きとばし、杏子とゆまの体制を崩し、キリカの攻撃を踏みとどまらせた
魔法そのものも脅威だが、それ以上にこの2人が今ここで現れたということは、少なくともさやかと杏子の動揺を誘うには充分であった

さやか「……まどか!?」

杏子「何であんたがそこにいるんだよ……巴マミ!!」

まどか「アハハハハハハハ!!アハハハ!!」

マミ「アハハ!アハハハハハハハハ!!」

キリカ「……死んだ魂を呼び出した?か。これは……」

織莉子「・・・アハハハハハハ!!!」

キリカ「……く!!」

死んだ筈の三人の魔法少女
舞台に招かれた魔法少女達は、たださやか達を殺す為に呼び出された
もう、彼女達に意思はない。もう、何も届かない



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:47:22.58 ID:PXMpa3+00

さやか「まどか!あたしだよ!わからないの!!」

杏子「マミ……畜生!マミに何をしやがった!!」

さやかと杏子の声は、銃弾と矢で答えられた

キリカ「さやかと杏子が動けなくなると……厳しいな」

最もキリカ自身、織莉子に碌に攻撃ができていないので何も言えない部分はあるのだが
攻撃していないのではない。攻撃が当たらない
織莉子お得意の未来予知。敵に回すとここまで厄介か

キリカ「こんなところで」

こんなところで終わってしまうのか

ゆま「……終わらない!」

ゆまの一閃がマミとまどかを弾き飛ばした

杏子「マミ!」

さやか「まどか!」

そしてそのまま織莉子へと向かっていく。
が、その動きは織莉子の未来予知によって完全に読まれている。

キリカ「……」

キリカの速度低下を放った。狙いは織莉子ではなく味方であるゆま。
織莉子の攻撃はゆまが来るはずだった場所を狙い、そのまま空を切った。

キリカ「……?これは?」

ひょっとすると……

杏子「ゆま!なんであんな無茶を!」

ゆま「ゆまね……いつかは、今日なのかなと思ってた。あの『魔女』はゆま達には勝てない。それでも、四人一緒なら……そう思ってた」

ゆま「でも、こんなの違う。こんな死に方は嫌だ。だからたとえみんなにどう思われても、ゆまは生きる」

杏子「……ゆま」

ゆま「キョーコ……マミも、まどかも、織莉子も、ワルプルギスも、ゆまが倒すよ」



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:48:17.86 ID:PXMpa3+00

杏子「……ハ!いっぱしきどってんじゃねぇよ。巴マミはあたしが倒す。……そういや、決着もつけてなかったしな」

杏子「正義の味方のあいつがワルプルギスのせいでこんな事させられてるんだ。……解放してやらないとな」

さやか「……でも、まどかはここに……」

キリカ「幻覚のようなものだよ。大体君は既に一年前に見ているはずだ。鹿目まどかがどうなったのかを」

さやか「……」

キリカ「ワルプルギスの夜を倒さない限り、みんなあの中で救われない役者を演じ続けるんだ。……君はそのまま、役者に加わるつもりなのかい?」

さやか「……」



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:51:28.39 ID:PXMpa3+00

杏子「マミ!あの時はお互い本気じゃなかった。今なら決着がつけられそうだよな!あんたとあたし、どっちが上かをさ!!」

マミ「アハハハ!!」

杏子の槍とマミの銃が交差する。『発射』をさせない。『狙い』の段階で潰していく。

さやか「……ごめん。まどか。あたしは前に進む」

さやかの中で全てが納得できたわけではない
まだ、まどかを救う道は残されているかもしれない
でもそのためには、ワルプルギスを倒さなければならない
なら、ここで立ち止まっているわけにはいかない

まどか単体の能力としては、弓矢に多少の追尾性能はあるが、それだけだ
……魔法少女としての経験がまだ浅い

さやか「遅いよ、まどか」

魔法少女になって1ヶ月にも満たない当時のまどかと、魔法少女を1年以上やっているさやか
『狙い』にかける時間から既に差があった。
まどかの弓がさやかを狙う前に、さやかの刀身がまどかを弓を弾き飛ばした

キリカ「ゆま、さっきの突進をもう一回頼むよ」

ゆま「キリカお姉ちゃん…?わかった、いっくよぉ!!」

ゆまは織莉子に向けて突進をかける。当然これは織莉子に読まれ、反撃の手を撃たれる
それに対してキリカは衝撃波を送り、織莉子の攻撃のことごとくを打ち落とす
これによりゆまを攻撃する手段は何もない。織莉子はそのまま回避を選択しようとする
だが、それを読んでいるキリカが回避する方向に向かって速度低下を飛ばす
最終的にゆまへの回避手段を失った織莉子はそのままゆまの攻撃で弾き飛ばされた

キリカ「やっぱりか……この織莉子の未来予知は一手先と十手先しか見ていない。当時の悪癖そのままだ。これだから三、四手辺りでドジふむんだって」

ゆま「……キリカお姉ちゃん?」

キリカ「なんでもない。昔の話さ」



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:53:13.37 ID:PXMpa3+00

杏子「戦術を変えてきたか」

ワルプルギスの夜はマミとまどかと織莉子を後ろに下げ、大量の使い魔達を召喚し、そちらを接近戦に当ててきた
以前キリカがあった時は抱きしめてくる程度だったが、今度の使い魔は杖や槍、様々な武器をもっている

キリカ「或いはあれも魔法少女の成れの果てなのか?」

杏子「こう使い魔が多いと厳しいな……」

一応さやか達は全員遠距離攻撃は使えるものの、基本スタイルは近距離だ
マミやまどか等の遠距離特化型魔法少女に距離を置かれると途端に厳しくなる

さやか「……杏子、一つ仕掛けよう」

杏子「それしかないな」

キリカ「……よし、ゆま。援護にまわるよ」

ゆま「らじゃー!」



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:54:45.88 ID:PXMpa3+00

杏子「ロッソ・ファンタズマ!」

さやか「ブル・ファンタズマ!」

杏子の幾重にもわたる幻影、そしてさやかの2つの幻影がワルプルギスの夜に近づく
杏子の幻影はいくつもまどかやマミの遠距離攻撃に潰されるが、杏子本体には当たらない
さやかは使い魔が大量にいる地点に故意に移動することで、まどかやマミの攻撃を利用し、使い魔を撃破していく

キリカ「姑息だなぁ、相変わらず」

さやか「あんたにだけは言われたくない」

マミ「ハハハ!・・・ハ?」

杏子「よう、巴マミ」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

杏子「……」

それも、杏子の幻影だ

杏子「……なったんだよ。ロッソファンタズマは無敵の魔法技にさ」

杏子の無数の槍が巴マミを貫いた



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:55:56.23 ID:PXMpa3+00

巴マミはワルプルギスの夜の魔力で復活する

が、杏子やさやかは既に空中を浮かぶビルを移動し、ワルプルギスの夜のすぐ近くまで来ている
そして同様に後ろからゆまとキリカも近づく
ワルプルギスの夜を、詰めた

さやか「スクワルタトーレ!!」

キリカ「一手で十手!」

杏子「ロッソファンタズマ!!」

ゆま「え?…えぇと、ていやぁ!!!」

4人の攻撃がワルプルギスの夜に襲い掛かる



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:57:21.55 ID:PXMpa3+00

壮絶な連続攻撃
召喚された使い魔や魔法少女達も必死でさやか達を引き離そうとするも、
ワルプルギスの夜本体に張り付かれては、うかつに攻撃もできない

まどか「フィニトラ・フレティア!!」

さやか「悪いけど、当たれないよ」

さやかの避けた先にいたワルプルギスに、まどかの弓は直撃する

その時、ガクン。という音がなった
ワルプルギスの上で大暴れしている杏子やゆまは状況がつかめていない

さやか「……離れて!」

ワルプルギスが一気に反転しようとしている。杏子やゆまはその衝撃で弾き飛ばされた

キリカ「……!させるか!」

キリカがワルプルギスの夜に速度低下をかける。これでいきなりの全滅は避けられた

さやか「杏子!ゆま!」

まどか「ゴメンネ!サヤカチャン!!」

さやか「……ぐ!」

まどかの弓がさやかを貫いた。さやかはそのまま落下していく
キリカもそれを追いかけるようにワルプルギスから距離をとった



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:58:45.14 ID:PXMpa3+00

キリカ「さやか、大丈夫?」

さやか「かすり傷……とは言わないけど。ゆまちゃんお願い」

ゆま「わかった!」

ゆまはさやかに回復魔法をかけた
ちなみに杏子とゆまは既に回復済みだ

さやか「ふぅ……」

さやか「でも、どうしよう。もう一回あそこまで近寄るのは……もう無理かな」
さっきまでの比にならない使い魔が襲い掛かってくる
これらの対処はできるが、もうワルプルギスの夜への攻撃は難しいだろう

キリカ「ただ、一匹一匹の動きは鈍くなっている。そこそこにあちらも追い詰められてはいるみたいだ」

杏子「……たく、おっしぃなぁ!あと少しだったのに!」



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 22:59:50.69 ID:PXMpa3+00

杏子「ごめんな。ゆま。あんたは置いていくべきだった」

ゆま「キョーコ。怒るよ。……ゆまは、大丈夫だよ。キョーコと一緒に死ぬなら、それでもいい」

さやか「まだ諦めないけどね!後一撃で案外倒せちゃうかもしれないし」

さやかもそう言いつつ、気づいていた。
もう、時間がない。
ワルプルギスの夜のあれが来る。
以前の比にならないほどの威力を伴うであろうあれが。
もう、4人全員助からないだろう。それでも、最後まで意地は通す

杏子「いくぜ、ゆま!」

ゆま「うん。キョーコ!!」

さやか「キリカも……キリカ?」

ただ、他の3人とは明らかに違うものを、キリカは見ていた

キリカ「……ここまで計算どおり。いや、計算以上か」



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:03:26.58 ID:PXMpa3+00

キリカ「よくやってくれたよ。ワルプルギスの夜のダメージは顕著だ。ここまで召喚している使い魔達の能力を落としてくれたなら、やっとあれが発動できる」

杏子「……何か策があるのか?」

キリカ「あるよ。最後の切り札がね」

さやか「キリカの最後の切り札……」

さやかは以前、聞いていた。キリカにとって最後の切り札というのは……

さやか「キリカ!それは駄目だよ!!!」

キリカ「君達はよく動いてくれた。ワルプルギスの夜、予定通りとどめは私に殺らしてもらう」

キリカはソウルジェムを手元に呼び寄せ

ソウルジェムを自らの鍵爪で切り裂いた
ソウルジェムを破壊せず、それでもソウルジェムに大きなヒビが入る
キリカのソウルジェムが濁り始める



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:09:00.38 ID:PXMpa3+00

そういえばさやかに以前問われたことがあった
こんな石っころになってしまった事が嫌だとか確かそんな内容
それに対して私は手に入れた力を何に使うかの方が重要だとかそんな事を言った気がする

ずっと疑問だった
石っころになろうと、所詮は自分の命だ
たかだが自分の命程度のものをどうして他の人はそんなに大切に考えられるのだろう?

かつて、私は全てが嫌いであり、興味がなかったフリをしていた。
まぁ実のところ妬んでいただけで、私を気にしてくれる人なんかいないという自信のなさの現われだったわけだけれど
……或いはこの自信のなさが、そのまま自分に対する価値観になっていったのかもしれない
それとももっと昔に何かあったのか……

願いによって手に入れた『速度低下』
私は自身のコンプレックスであった動きの鈍さを解消させ、自信を得ることができた。
これによって私は変われたのか、それとも願いによって私が変わったのかはわからない。どちらにしろ、私は以前より前向きに、物怖じせず人と話せるようになった
だが、結局私の私自身に対する価値観はそのままだ
役に立たない駒から役にたつ駒に変わった程度
それは本当に変われたといえるのだろうか



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:10:41.18 ID:PXMpa3+00

キリカ「なんて答えが、案外ここにあるかもしれないと思ってたんだけどね」

GRAVE YARD。そう書かれた立て札に、中にあるのは殺風景な部屋
そして、自分と織莉子の2つの墓標

キリカ「……魔女は確か、一番手に入れたいものが手に入らないと聞く。……織莉子の墓は分かるとしても、私の墓……か」

或いは世界の救済なぞお前達には成し遂げられないという意味合いなのか
だとしたらお笑いだ
私は今からその救済を成し遂げるのだから

何故人は自分を大切に考えられるのか?その答えは結局よくわからないままだ
まぁでもそれでいいのだろう。こうしてあれを倒せるのは、今の価値観のおかげでもあるのだから

キリカ「しかし、墓場で笑い続けるというのは少し不謹慎じゃないのかい?お客人。それでも大切なお客様には無礼がないようにしなければいけないんだっけ?」

相対するはワルプルギスの夜、使い魔、魔法少女の魂
ただ、こちらももてなしの準備は充分だ

キリカ「ではご堪能を。私の『絶望』、とくと味わうがいい。『最強の魔女』」

キリカの使い魔が一斉にワルプルギスの夜へと襲い掛かった



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:11:48.53 ID:PXMpa3+00

杏子「ワルプルギスの夜が消えた……どういうことだ?」

さやか「キリカは使ったんだよ。最後の切り札……魔女の力を」

杏子「……!……確かに魔女の結界を使えば、ワルプルギスの夜のあれは防げるかもしれない。でもそんな事をすればキリカは……」

杏子「……あれの攻撃を防げるとしても、あれを倒しきるだけの武器はないはず。それともまだ何かあるのか?……」



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:14:04.64 ID:PXMpa3+00

キリカは自らの墓標に腰をかけた
単純に立っているのがきつくなってきたわけだけど
まぁ今からの術式を構築するのに支障があるわけでもない

キリカ「強いから結界に隠れる必要がないってのも理屈だけどさ。魔女の結界って言うのは自分の願いとか人生とか、そういうものの結晶なわけさ。それを捨てておいてよくも『最強の魔女』なんて名乗れるよね。君も」

もしワルプルギスの夜が結界を持っていたら、見滝原の他の魔女たちと同様に、私の結界は形すら保てなかっただろう

キリカ「……や、そう名づけたのは別の誰かなのか。確か君の性質は『無力』だっけ。うん、実に今の君をよく現しているね」

キリカの結界の影響か、ワルプルギスの夜の魔力が正常に通達されていない
使い魔も魔法少女も動きがさらに散漫になっている
そしてキリカの使い魔は質より量だ。その圧倒的数でワルプルギスの夜をねじ伏せる
使い魔も、魔法少女も、そしてワルプルギスもこれに全く対処が仕切れていない

織莉子「アハハハハハハ!!」

キリカ「しかし、こうして織莉子がここにいる時点で私の願いはある意味成就していることになるんじゃないかな。そうなると魔女の一番大切なものが手に入らないというのもまた微妙な……手に入ってはいないのだからいいのかな」

そんなどうでもいいことを話しつつ、術式は確実に構築する
魔女の結界に閉じ込め、その中でワルプルギスの夜の最終攻撃を撃たせる
魔女の結界は魔女が倒されない限り消えることはない
ひっくり返される文明は、私の結界の世界だけだ
まずこれで見滝原の惨事の再来は防げる
が、ここまでいったなら当然その上を目指すべきだろう



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:15:25.11 ID:PXMpa3+00

何者も成し遂げられなかったというワルプルギスの夜打倒
……倒せないのであれば止めてしまえばいいのだ

自分の持つ速度低下の延長線上にある速度の永久停止

無論自分の魔力量では足りないが、そこは魔女結界
ようは魔法少女としての希望のエネルギーに、魔女の絶望のエネルギーを足して撃てばいい

ワルプルギスの夜の炎がキリカに襲いかかる
キリカはそれを使い魔を使って防ぐ
巴マミのティロ・フィナーレ、鹿目まどこあのフィニトラ・フレティアもキリカには届かない

キリカ「そんな偽りの正義で、私の絶望が倒せるものか」

ワルプルギスの夜「……ガガガガガガ!!」

キリカ「……なんだ?」

ワルプルギスの夜が小刻みに震える
そして、新たな魔法少女が召喚された。その姿は……

キリカ「……なんだ、これは」

さやか「アハハハハハ!!」

杏子「アハハハハハハハハハハ!!」

キリカ「ハハハハハハハ!!」

ほむら「アハハハハ!!」



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:16:47.38 ID:PXMpa3+00

キリカは必死に使い魔を召喚する。
しかし、ワルプルギスの使い魔だけならいざしらず、相手の魔法少女は7人

キリカ「さやかの遠距離攻撃や、杏子がロッソファンタズマがないだけましか……でも、これは一体?」

ふと、よぎる。
パラレルワールド説。
これらはひょっとして、別の世界で死んだ杏子やさやかなのではないか
そして、あの盾の魔法少女は恐らく……

キリカ「まだだ。あと少しで術式が完成する、そうすれば……」

キリカの使い魔を突き破り、さやかの剣がキリカのソウルジェムに襲い掛かる。

キリカ「……君か」

さやか「アハハハハハハ!!」

さやか「さっぱり状況はわかんないけどやらせるかぁああああ!!」

さやかの剣をさやかが防いだ

キリカ「……え?」



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:17:21.61 ID:PXMpa3+00

キリカ「さやか、何でここにいるんだ」

さやか「キリカが苦戦してるんじゃないかと思ってさ。案の定じゃん。来て見てよかったよ」

さやか「それにしても……いやーあたしが増えているとは思わなかった。あれは杏子?キリカもいるし、もう一人は……誰?まぁ、いずれにしても、あたしとキリカの敵じゃぁないね」

キリカ「そういう事じゃない!!」



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:18:49.89 ID:PXMpa3+00

キリカ「何故ここに来た?まさか私の命が救える可能性があるとか、そんな事を考えてきたんじゃないよね。もしそうなら、君は一年前から何も変わっていない。本当に救えないよ」

さやか「……一年前と変わってないのはキリカだって同じだよ」

キリカ「……?」

さやか「キリカはいつだってそう。一年前の見滝原でだってあたしに一切黙って自分勝手に動きまわってるし、終わったらあたしに相談もせずに旅に出ちゃうし。今回だってそうだよ。魔女化するなら、一言言ってくれてもいいのにさ」

キリカ「……言ったら間違えなく止めてたろう。君は」

さやか「止めはしなかったかもしれないけど、一緒にいたいと言ったと思う」

キリカ「……さやか?」

さやか「……キリカ。あんたが命を張っててさ。それでのうのうと生き延びて、そういうのは嫌なんだよ。それならあたしはここで死ぬ道を選ぶ」

キリカ「……君は」

さやか「それに、キリカ一人にワルプルギスをもってかれるのも癪だしね」

キリカ「……」

ふと気づいた。
……人を大切に思うのなら、自分を大切にしないといけない。
そうでなければ自分を大切に思う人が、その分まで自分を大切にしようと考えてしまう
そうなれば結末は……
なるほど、これが答えだったのかもしれない。……気づくのが遅すぎた

キリカ「ひょっとすると、織莉子が死んだのも私の責任なのかもしれないね」

さやか「?」



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:19:41.52 ID:PXMpa3+00

襲い掛かる7人の魔法少女。
さやかはキリカの使い魔をうまく使いつつ、巧みにそれをさばく。
だが、そう長くはもたないだろう。

キリカ「……」

だが、キリカは術式を新たに再構成する。速度停止ではなく、さらにその向こう側へ

キリカ「さやか。君に一つ頼み事をさせてほしい」

さやか「……ここから出てけとか、そういうのは嫌だよ」

キリカ「私も助かる。君も助かる。うまくいけば見滝原住民全員復活も夢じゃない。そんな手札を私は持っている」

さやか「…!??」



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:22:04.31 ID:PXMpa3+00

キリカ「『時間逆行』。ワルプルギスの夜と君を1年前まで戻す。もっともその世界は私達の知る世界ではないかもしれないけど、そんな事は問題にならない」
キリカ「大事なことは、ここにいる私達が既に今のワルプルギスの夜と遭遇しているという事実だ。もし、君が1年前のワルプルギスの夜を倒したりした場合、今のワルプルギスの夜はどうなると思う?」

さやか「えぇと……どうなるの?」

キリカ「……君は……まぁいいけどね。当然因果破綻が発生するはずなんだ。既にワルプルギスの夜は死んでいるのに、今ワルプルギスの夜が現れるはずはない」

キリカ「さらに言うと、ワルプルギスの夜って随分昔から出ているみたいだけどさ。『ファウスト』をゲーテが書いたのってそこまで昔じゃないはずなんだよ」

キリカ「にも関わらず昔にも出現しているという事は……ワルプルギスの夜は過去も未来も飛び回っている可能性がある」

キリカ「そうなると、因果破綻の行き着く先は、相当に大きい。それこそ見滝原の住民全員復活なんてこともありえるぐらいに」

さやか「でも……そんな事したら、大変な事になりそうな気が」

キリカ「ま、宇宙の再構築ぐらいは発生するかもね」

さやか「スケールでかいね!」

キリカ「時間移動ってそれぐらいスケールの大きな話なんだよ」



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:25:55.49 ID:PXMpa3+00

キリカ「少なくとも私は助かるはず。ワルプルギスの夜がどんな道を辿っているのであれ、その前に倒されてしまえばここのワルプルギスの夜は存在しなくなるわけだから」

キリカ「で、だ。さやか。挑戦してみる気はないかい?私が挑戦してみたい気持ちもあったんだけど、あいにくこの魔法、自分には撃てないしね」

さやか「でも…1年前でも、あたしに勝てるのかな。……こんな化け物」

キリカ「これよりはいくらか弱体化しているはず。それに」

キリカ「君の行った先には、私達と同じ時間を生きていた、君の良く知る人物がいるはずだよ」

さやか「……?」

キリカ「疑問ではあったんだ。その魔法少女の願い、キュゥべえに確認したけど、もし正しく叶えられたとすればあの場で彼女も戦っていなければおかしい事になる。ただ、そんな魔法少女の名前は私自身全く聞いたことがなかった。そんな事が起こりえるのか……」

キリカ「そのことと、今回ワルプルギスの夜に召喚された魔法少女を見る限り、パラレルワールドというのもそれなりに現実味を帯びてくる。一年前にワルプルギスの夜が固定されてしまったのも、ひょっとするとこの辺りが原因かもしれない」

さやか「その魔法少女って?」

キリカ「行くのであれば、行った先で君が確かめるといい。……ま、私はちょっと後ろめたさもあって言いにくいというのもある」

さやか「……?」

キリカ「……辿り着く先は因果の最終地点。彼女の最後の戦いだ。どうもこの世界において彼女は結局負けてしまったみたいだけれど……。案外君ならその運命を変えられるかもしれないね」

キリカ「さて、どうする?」

さやか「わかった。やってみるよ。ワルプルギスの夜に勝てるかわからないけど……それでも頑張る。キリカを助けてみせる」

キリカ「……魔女というのは一番大切なものは手に入らないようにできているらしい。だけど」

二番目ぐらいは救えたっていいはずだ

さやか「……キリカ?」

キリカ「これを持っていくといい」

さやか「石?」

キリカ「さっき私がソウルジェムを切り裂いた時にできた欠片だよ。いくつか魔法もかけといたし、何かの役にたつかもしれない」

さやか「……わかった。大事にする」



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:28:16.30 ID:PXMpa3+00

さやかの剣が弾き飛ばされた
魔力も底を突きかけている
だが、ここでキリカの術が完成した

キリカ「いくよ!呉キリカ、最後にして最大の魔法だ!!」

まず、時間逆行。その基本となる術式を残り全ての魔力を使って放つ。
無論それだけでは魔力の総量が足りなすぎるので、速度低下を使い、発動のタイミングを遅らせる。ここで、キリカのソウルジェムは完全に砕け散った

さやか「キリカ!」

だが、そこからが本番だ。これにより発生する希望から絶望への総転移。宇宙の寿命すら延ばせる力。これをキュゥべえのところに行く前に、こっちで総取りする
そして魔女化したキリカ、こちらについてもそのエネルギーを全て自らの放った魔術に吸収させる
キリカの一年。元々速度低下の魔法を持っていただけあって、時間逆行までの理論については簡単に辿り着いた
問題はそのエネルギーをどうやって確保するか、だ
これに対してキリカが出した答えがこの方法であり、その為の術式に1年を費やした
希望と絶望、そして希望から絶望への相転移
キリカの全てをかけた魔法が、今解き放たれる

『時間逆行』

ワルプルギスの夜の逆行に巻き込まれるようにさやかの空間も捻じ曲がる
薄れ行く意識の中、さやかは最後にキリカの顔を見た
既に魂は消え、肉体だけとなったそれは、確かに笑っていた



196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:30:21.12 ID:PXMpa3+00

--エピローグ (改変されてしまうかもしれない出来事)--

ゆま「あの魔女、弱かったね……」

杏子「全ての魔力を使い果たした後って感じだったな……」

杏子の手にしたグリーフシード。これは恐らく、呉キリカのものだ

結局ワルプルギスの夜を、キリカは倒せたのか
さやかはどうなってしまったのか
それはもう佐倉杏子には分からない
さやかがキリカを助けに行くといった時、杏子もゆまも行こうとしたのだ
だが、さやかは自分の街を頼むと杏子達に頼み、一人で行ってしまった

かくしてワルプルギスの夜の脅威は去った
第二の見滝原の悲劇は、避けられたのだ

杏子「……畜生!あいつら……」

ゆま「……キリカお姉ちゃん。さやかお姉ちゃん……」

QB「やってくれたね。キリカに、さやかも」

杏子「……キュゥべえ!てめぇ今更!!」

QB「まったく……僕達の手に入れるはずのエネルギーまで使って、どんな魔法を使ったのやら」

杏子「……?」

QB「ま、君達はここからが大変だよ。見滝原の悪夢の再来だ」

ワルプルギスの夜が現れ、離れていた魔女
それらが、少しずつ間合いをつめている

杏子「ハ!あんな奴ら今のあたし達の相手になるかよ!」

ゆま「キョーコ!」

杏子「ゆま、生き抜くよ!あいつらの分まで!」

--おしまい--



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 23:46:25.42 ID:PXMpa3+00

おっしまい!
いやぁ何とか綺麗に……纏まってない……ような……
二手で百手は実のとこ、このSSを書く前から考えていたネタだったりする
いや、何かスピードタイプの2人の合体技とか熱いよねーとか思ってた
……こんな展開になるとか思いもしなかったけどな!
まぁでも二部でキリカ最後持ってくとこだけは考えてたので、一部であんま目立たせたくなかったんだけど、その結果があれだよ!w

ちなみに設定の頃は確か織莉子が生き残ってて、魔女を人間が見えるような試作兵器作っちゃって、それで魔法少女の存在意義がなくなり魔法少女達が狩られる時代が遠からず来る事になる
そんな中ワルプルギスの夜が現れ、魔法少女達はそれぞれの死に場所を選ぶ為、ワルプルギスの夜に挑む。そこでさやかちゃんがワルプルギスの夜の空間移動に巻き込まれ……とかそんなだった
最初に織莉子が死んだ時点でもう方向性全然違うよ!って話なわけで

とにかく、今までご愛読ありがとうございました!
読んでくれたり、コメントくれる人いなかったら絶対途中で終わってた
大事な事だから二度言うぜ。本当にありがとうございました


こっそり三部とかはじめるかもしれないけど、それはそれということで



201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/11/12(土) 23:48:51.50 ID:ob8fLubBo

燃えるねー乙



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/13(日) 09:31:31.20 ID:Qm6v3kpDO

乙でした
キリカがここまで輝くとは…
魔女化したしオリコの元にむかえないのかな…



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/22(火) 23:59:11.80 ID:tfKA9j0a0

まどか「おはよう!仁美ちゃん!さやかちゃん!」

仁美「おはよう、まどかさん」

さやか「……」

まどか「……さやかちゃん?」

仁美「大丈夫ですか……?お体の調子でも……」

さやか「うぅん大丈夫!ちょっと目にゴミが入っちゃってさぁ!あはは……」

まどか「さやかちゃん……?」



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/22(火) 23:59:53.61 ID:tfKA9j0a0

和子「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?はい、中沢君!」

中沢「えっ、えっと……どっちでもいいんじゃないかと」

和子「その通り!どっちでもよろしい!」

さやか「……変わらないなぁ」

まどか「さやかちゃん。なんか今日、変だよ?」

さやか「え!?……いや、ちょっと……」

和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

さやか「あ、ほらまどか!転校生だってさ!」

まどか「……」



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:01:11.82 ID:bTtFtOF40

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

さやか「……誰?」

まどか「……さやかちゃん?」

ほむら「……」ジロ

まどか「…え?」

さやか「まどか。……あの転校生には気をつけて」

まどか「……え?」



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:02:50.27 ID:bTtFtOF40

--休憩時間--

仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」

さやか「……そうだね。普通の人間には見えない。……まどか、あんな奴に狙われる心当たりは……ないよね」

まどか「さやかちゃん、狙われるって……」


ほむら「ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。保健室に行かせて貰えるかしら」

女子A「え?あ、じゃあたしが案内してあげる」

女子B「あたしも行く行く」

ほむら「いえ、おかまいなく。係の人にお願いしますから」

ほむら「鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健係よね」

ほむら「連れてって貰える?保健室」

まどか「え?えっと……」

さやか「……まどか、あたしも体調悪くなった。保健室連れてってもらえないかな」

まどか「さ、さやかちゃん……」

ほむら「……」



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:05:02.18 ID:bTtFtOF40

まどか「私が保健係って……どうして」

ほむら「早乙女先生から聞いたの」

まどか「そ、そうなんだ」

さやか「じゃぁそれを早乙女先生に確認させてもらうけどいい?」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「……あなたの好きにするといい」

まどか「えっと保健室は……」

ほむら「こっちよね」

さやか「すごいね転校生。保険係とか全くいらないじゃん。気分が悪いってのも何か嘘っぽいし」

まどか「さやかちゃん!いい加減にして!」

ほむら「……」



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:08:20.87 ID:bTtFtOF40

まどか「ごめんね、暁美さん。……さやかちゃん、どうしたの?普段はこんな事しないのに……」

さやか「あたしは別に何も悪いことなんか」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「……ごめんまどか。……暁美さんも」

ほむら「……ほむらでいいわ」

まどか「え?」

ほむら「呼び方、ほむらでいい」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「あぁ、えっと……変わった名前だよね」

ほむら「……」

まどか「変な意味じゃなくてね。その、カッコいいなぁなんて」

ほむら「鹿目まどか。あなたは自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

まどか「え……?えっと……。私は、大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

まどか「え……?」

ほむら「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

まどか「……」

ほむら「美樹さやか。あなたもよ」

さやか「……何さ」

ほむら「本当に大切な人の事を考えるなら、ただ、その人の傍に居てあげればいい。自分を捨てる必要なんて、ない」

さやか「……!!」

ほむら「まどかに言った話、それは全てあなたにも言えることよ」

さやか「……」



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:09:20.25 ID:bTtFtOF40

--授業中(数学)--

ほむら「……」カキカキカキ

オオーーー

先生「……正解だ。次の問題を……美樹さやか」

さやか「え?は、はい」カキカキカキ

ナン…ダト…?

先生「……正解!?」

ほむら「……!!??」

まどか「さやかちゃん!保健室!」

さやか「いや、何でだよ!!」

--授業中(体育_走り高跳び)--

ほむら「……」ピョン

先生「県内記録じゃないの?これ……」

さやか「……授業中に魔法?」

まどか「さやかちゃん、次だよ!」

さやか「あ、うん」ピョン バキィ!

さやか「いたた……県内記録の高さのまま飛んだらこうなるか……」

まどか「よかった……いつものさやかちゃんだ」

さやか「いやだから何でだよ!!」



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:11:54.43 ID:bTtFtOF40

--放課後--

さやか「『今とは違う自分になろうなんて考えるな。さもなければ全てを失うことになる』か……」

まどか「わけわかんないよね」

さやか「……まどか、魔法少女って知ってる?」

まどか「魔法少女って……たまにテレビでやってる?」

さやか「……ごめん。知らないならいいや」

仁美「まどかさん。本当に暁美さんとは初対面ですの?」

まどか「うん…常識的にはそうなんだけど」

まどか「……あのね…昨夜あの子と夢の中で会った…ような…」

さやか「夢?どんな?」

まどか「えぇと大きな歯車のついた人形が……」

さやか「……ワルプルギスの夜!?」

まどか「わるぷるぎすのよる?」

仁美「……ヨーロッパのお祭り、でしたかしら?」

さやか「まどか!その夢を詳しく!!!!」

まどか「さ、さやかちゃん。揺さぶらないででで」

仁美「さやかさん落ち着いて!!」



219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:13:08.66 ID:bTtFtOF40

まどか「……ほとんど覚えてないけど、たしかこんな夢だった……と思う」

さやか「……別の世界のまどかの出来事だった、とか」

まどか「え?」

さやか「いくつもの平行世界が存在するとするならば、そのどれかの世界のまどかが体験した一つの結末だったのかもしれないよ」

まどか「へ、平行世界って……」

仁美「さやかさん。それは流石に……」

さやか「……悪い。あたし変な電波受信してるみたい」

まどか「さやかちゃん。しっかりしてよぉ……」

仁美「こほん。……もしかしたら、本当は暁美さんと会ったことがあるのかもしれませんわ」

まどか「え?」

仁美「まどかさん自身は覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていて、それが夢に出てきたのかもしれません」

さやか「確かにそっちのほうが現実的かも」

まどか「そうなのかな……」



220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:14:48.00 ID:bTtFtOF40

まどか「あれ、さやかちゃん。上条君のCDは……?」

さやか「あー……今日はいいや。真っ直ぐ帰るよ」

まどか「……わかった。じゃぁまたね。さやかちゃん」

さやか「またね、まどか」




?『助けて』

まどか「え……?」

?『僕を、助けて』

まどか「誰か、助けをよんでる……?」



221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:15:56.58 ID:bTtFtOF40

まどか「どこにいるの?あなた……誰?」

QB「助けて……」

まどか「あなたなの?」

QB「助けて……」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

まどか「だってこの子、怪我してる」

まどか「ダメだよ、ひどいことしないで!」

ほむら「あなたには関係無い」

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

ほむら「……あなたは傷つけたくないけど、どかないというのなら」

さやか「そこまでだよ。転校生」

まどか「え?……さやか、ちゃん?……その格好は?」

ほむら「……あなたは……」



222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:16:50.46 ID:bTtFtOF40

ほむら「あなたが何故、魔法少女に?」

まどか「魔法少女?」

さやか「……あんたが何者なのか、あたしには分からない。でもこれだけは言える」

さやか「まどかを傷つけようとするのなら、あんたはあたしの敵だ!!」

ほむら「……!」



223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/23(水) 00:39:33.83 ID:bTtFtOF40

というOPでしたとさ
本編第一話にここまでのさやかを放り込むとどうなるか的な話
……まぁ、うん。ここからいろいろ変わっていく……はず
三部は、一部二部とは相当に毛色の違う……てかほぼ別の話になると思う
見滝原復活しちゃったしな!


実のところ二部終了後のコメの多さに結構びびった
……今回三部書くにあたって何度か一部二部見直したりしたけど、
確かに、びっくりするほどキリカさん大活躍だな!w
実のとこ、キリカの性格が掴めなくて、おりこ本編でキリカが出てるシーンだけやたら見直したりした結果、あんなキャラになったという……
まぁでもおりこ本編でもこの子凄いベクトルで輝いてたし、そう間違えてはいない……と思う。多分



224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2011/11/23(水) 00:41:07.57 ID:HErPAmgso

おっつん
これからwktkする日々が続くな



231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:32:08.97 ID:LeB5Kmze0

暁美ほむらについて、さやかは三つの可能性を考えていた
一つはこの平行世界では、暁美ほむらが全く別の人生を歩んでいる可能性
一つは全くの別人が暁美ほむらに摩り替わっている可能性
そしてもう一つが、キリカの言っていた、自分と同じ世界の良く知る人物である可能性
以前見滝原壊滅時、暁美ほむらの死体をさやかは確認していたが、
その死体は顔面が潰されており、とても本人だと断定できるようなものではなかった
……死体のでっちあげぐらい、キリカならやる
後ろめたいと言っていた理由も、これで説明がつくし

だが、その三つのいずれであろうと、まどかを傷つけようとした以上、さやかとしては現時点において転校生が敵であると考えざるをえなかった

さやかは二つの剣を召喚し、その内の一本の剣を暁美ほむらの頭上に投げつけた

ほむら「……」

ほむらはそれに対して回避行動をとる。そこで二刀流スタイルから一刀に切り替えたさやかは、一気に突撃する
だが、これは暁美ほむらに横に回避され、逆に背後を晒すこととなったさやかは、後ろから盾の横一閃の直撃を受ける
……この攻撃方法は、初めての杏子との戦いでさやか自身が使い、失敗したものだ
ただ、その時のさやかと今のさやかでは手札の数に大きな差がある

ほむら「……消えた?」

さやか「幻術だよ!」

杏子のロッソファンタズマから考案した、さやかのブル・ファンタズマ
杏子に言わせれば分身が2人までしか出せない必殺技とも呼べない代物だが、それでも囮としては、充分に使える
本当のさやかはその分身の後方
盾が回避されたほむらは、逆に完全に無防備な姿をさやかにさらすこととなってしまう
今までの平行世界でのさやかの戦術から動きを読んでいたほむらにとって、
これは完全に裏をかかれる形となった
……が、ほむらにはこの局面を一発で覆せる魔法がある
ほむらは自身の盾に手を触れ、時間停止を使った



232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:35:18.30 ID:LeB5Kmze0

ほむら「……」

時間の停止した世界。ほむらはさやかの背後に移動しつつ思考していた
今までこれほど早期にさやかが魔法少女になっていることはなかった
今の幻術を見る限り、この世界の美樹さやかは願いそのものが違うのかもしれない
……いずれにせよ、今はキュゥべえを鹿目まどかから引き離す事が先決だ
美樹さやかには早々に気絶してもらおう
さやかの背後をとったほむらは、時間を再び動かした

ほむらの盾による攻撃がさやかの背後へと襲いかかる
しかし、まるでそれを予測していたかのように召喚されたさやかの剣によって、ほむらの攻撃は弾かれた

ほむら「……!?」

呉キリカの速度低下、佐倉杏子の幻術
この2人の魔法少女に鍛えられたさやかにとって、
死角をとられる状況は日常茶飯事であった
当然その中で対抗策も身につけている
目の前のほむらが消えた瞬間、さやかは攻撃から死角への防御に一瞬で方針を転換していた

自身の剣の弾かれた音からさやかはほむらの位置を瞬時に察知し、
反転しながらほむらに向けて剣を放つ
これをほむらは背後に跳びつつ、盾で防御する
だが、これもさやかの予測範疇
投げた剣の数個をほむらの盾に辿り着く寸前で軌道変化させる

ほむら「……!」

その動きに対応しきれず、ほむらの盾は弾きとばされた
さらにさやかは投剣での追い討ちを仕掛ける

ここに来てほむらは、相手が巴マミ、佐倉杏子クラスの相手だと認識した
全力で挑まなければやられる
そう考えたほむらは、盾とは別のところに隠していた一丁の銃を取り出した



233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:36:27.87 ID:LeB5Kmze0

さやか「……な!?」

ほむらの取り出した銃はデザートイーグル.50AE
自動式拳銃の中では世界最高を誇るとまで言われる代物だ
過去に暴力団との抗争に何回か巻き込まれているさやかは、その威力を痛いほど味わってきている
魔力を帯びさらにその力を増した銃弾は、さやかの剣を弾き飛ばしつつ、さやか自身にまで襲いかかる

さやか「……どっからそんなものもってきたんだよ!」

さやかは再び攻撃から防御に転換した
これほどの遠距離武器を平然と出してくる相手に、まどかを守りながら戦いきれるのか?
本当ならまどかをすぐにでもこの場から逃がしたいのだが……



234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:38:26.18 ID:LeB5Kmze0

だが、さやかがまどかを守るべくほむらとまどかの間に移動したと同時に、ほむらの攻撃は止んだ

さやか「……?」

ほむら「……何故、あなたがここにいるの?」

さやか「……魔女の気配を追いかけてきたら、何故かまどかとあんたがここにいたんだよ」

まどかに逃げろと言えなかった理由がこれだ
逃げた先に魔女がいれば、そのまままどかは魔女によって殺されてしまうだろう

ほむら「私はその白いのさえ渡してもらえればそれでいい。他に用はない」

まどか「だ、駄目だよ!この子、放っておけない!」

ほむら「……そう」

さやか「……」

……まさか、あたしが転校生の銃弾を避けてまどかに当たる事を危惧して攻撃を止めた?
ここまでの戦闘で、転校生はまどかを攻撃していない
それどころか、まどかへ攻撃しないように配慮している様子すら見える
……さっきの発言はただの脅しで、本当はまどかを攻撃する気なんてなかったのかもしれない
だとすると……

さやか「目的は何?キュゥべえへの復讐?」

ほむら「……あなたに話す必要はないわ」

さやか「……ノートを貸してあげようと頑張った恩も忘れやがって」

ほむら「あれは志筑仁美のノートであってあなたのものでは……!?」

この世界、さやかからほむらにノートを貸したなんて事は当然ない
まして、仁美のノートをこっそりほむらに渡したなんて事も

さやか「……やっぱりあんたは……」

ほむら「そんな……まさか……!?」

まどか「……?」



235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:40:39.28 ID:LeB5Kmze0

その時、空間が歪んだ

ほむら「……!?こんな時に……」

さやか「……あっちから来たか!まどか、気をつけて!」

まどか「え?え?」

ほむらは再度盾を召喚した
さやかも剣を構えなおす

さやか「薔薇の魔女の使い魔か……」

ほむら「……」

まどか「なに、これ」

さやか「まどかは、あたしの後ろにいて」

さやか「転校……ほむら。左半分任せていい?あたしが右半分を片付ける」

ほむら「……わかったわ」

ほむらは盾からミニミ軽機関銃を取り出した
……本当にどこからそんなものを持ってきているのだろう
さやかは疑問に思ったが今は深く考えないこととし、空中に無数の剣を召喚した

ほむら「……!?これはまるで……」

さやか「いっけぇえええ!!」

さやかの刀身が一斉に発射された
発射された刀身は着弾点で爆発を引き起こし、使い魔達は木っ端微塵に弾けとんだ

ほむら「……美樹さやかが、これほどの魔力を?」

さやか「ほむら!左半分!」

ほむら「え、えぇ」

使い魔は瞬く間もなく消滅した

まどか「ふ、二人とも、すごい……」



236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:42:41.73 ID:LeB5Kmze0

魔女結界解けていく最中、さやかは再び剣をほむらに向けた
ほむらもさやかに銃を向ける
……だが、お互いに戦意はほぼ喪失していた

さやか「……もう一度聞いてもいいかな。ほむらは何故、こんな事を?」

ほむら「その白いの……キュゥべえとまどかが接触する前にケリをつけたかったの。……でも、もう手遅れね」

さやか「?」

?「私の友達に何をしているの?」

そこには、マスケット銃をもった魔法少女が立っていた

ほむら「巴マミ……」

さやか「巴、マミ?」

巴マミについては、キリカから一通り話を聞いている
まどかと一緒にワルプルギスの夜と戦い、敗れ去った魔法少女
かつてあたしが熟読した『必殺技帳』の作者で、相当な魔力を持った魔法少女だったらしい
杏子がいうところの見滝原最強で、正義の味方
さっきの魔女を探していたのか。それとも……

マミ「あなたは私の友達を守ってくれたのよね?」

さやか「友達……キュゥべえの事?」

マミ「そうよ」

さやか「……まぁ、結果的には、そういう事になると思う」

まどかが持っていたから守ってしまっただけであって、別にキュゥべえを守る気は全くなかったのだけれど

マミ「なら、私が相手にすべきは貴方のようね。私の友達にこれだけの事をして、覚悟は出来てる?」

そういうと、マミはほむらに対してマスケット銃を構えた

ほむら「……」

さやか「ほ、ほむら!待っ……!」

ほむらは立ち去った



237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/24(木) 00:44:21.88 ID:LeB5Kmze0

マミ「自己紹介はいらないかもしれないけど……私の名前は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中の三年生。そしてキュゥべえと契約した魔法少女よ」

マミ「さて……キュゥべえをこちらに返してもらえる?」

まどか「あ、はい」

さやか「待って。まどか」

まどか「え?」

さやかはキュゥべえに回復魔法を使った

マミ「……治癒魔法。それもかなり高度なものね」

さやか「……そうなんですか?」

前は自分を遙かに超えた治癒魔法の使い手がいたので、全くそんな実感はなかったが

QB「ありがとう。でも……美樹さやか。何故君が魔法少女になっているんだい?僕は君と契約した覚えはないのだけれど。これはさっきの暁美ほむらにも言えるけどね」

マミ「……あなたは何者?あの魔法少女について何を知っているの?」

さやか「あたしの素性については伏せさせてもらう。……それを言えるほど、あたしはあなたを信用していない」

マミ「……そう。まぁ、無理にとは言わないけど」

さやか「……あの魔法少女、暁美ほむらは昔の友人です。……今は、よくわかりません」

マミ「昔の友人……ね」



256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:17:34.25 ID:BDCJ0rCW0

マミ「まぁ、キュゥべえを助けてくれたことには感謝するわ」

さやか「……どうも」

ただ、これは良かったのか悪かったのか……

QB「……僕の名前はキュゥべえ。鹿目まどか。僕、君にお願いがあって来たんだ」

まどか「お……お願い?」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

さやか「……」

まどかにはキュゥべえが見えていた
ほむらは多分、キュゥべえとまどかの契約を阻止したいのだろう
あたしは……あたしはこんな世界にまどかを引き入れたくない
何としてでもまどかの契約を阻止したい
……でもそれは、まどかの意思とは無関係の話だ



257:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:19:46.68 ID:BDCJ0rCW0

--マミの家--

巴マミ……マミさんとキュゥべえは、まどかに対して魔法少女の説明をしてくれている
……重要な内容が随分省かれている気はするけれども
マミさんが隠していると考えるよりは、単純に知らないと考えるべきなのだろう
キュゥべえからあれを知らされた魔法少女は、あたしの知る限り、いない
……後でまどかには、補足で説明しておこう

さやか「しかし、何というおいしいケーキ……」

そういえば以前、キリカとこの家にお邪魔した時にも冷蔵庫に別のケーキが入っていたっけ
あの時、マミさんはもう死んでいて……
『必殺技帳』、今もどっかにしまってるのかな

マミ「美樹さん。ケーキをおいしいと言ってくれるのは嬉しいけど、ちゃんと話聞いてる?」

さやか「え、あぁはい!……でも、あたしはほとんど知ってる話ですし」

というより、杏子からほぼ全く同じ話を聞いた
あの一年、杏子とはぶつかった事は多かったけど、それでも大切な事はしっかり教えてくれた
決して気の抜ける相手ではなかったけど、それでもいい友人……だったんだと思う
杏子があたしの事をどう見ていたのかまでは分からないけど

マミ「知っている知識であっても、新しい発見があるかもしれない。ただ同じ意見として聞き流すのはあまり誉められた話ではないわ」

さやか「……すいません」

それも、杏子に言われたなぁ……この言葉に対して当時のあたしは自分なりに魔法少女を続けてきた意地もあって杏子に反発してしまった
それをキリカに電話で話したら、逆にキリカに馬鹿にされたっけ……
……思い出して、少し涙が出そうになる
あの世界のキリカも、杏子も、この世界にはいないのだ

マミ「……そこで提案なんだけど、鹿目さん。しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

まどか「えっ!?」

さやか「……な!?」

マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ」

マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

さやか「待ってください」



258:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:22:12.56 ID:BDCJ0rCW0

マミ「どうしたの、美樹さん」

さやか「あたしは反対です。魔女との戦いに一般人を連れていくなんて危険すぎる」

マミ「私が守るから大丈夫。……なんだったらあなたもついてくればいいじゃない」

さやか「……」

この人は魔女との戦いで、自分が絶対死なないとでも考えているのだろうか

さやか「……まどか。一つ聞いてもいいかな」

まどか「な、何、さやかちゃん」

さやか「まどかはさ。顔を食われたり、生きながら両腕、両足をもぎ取られたり、溶かされて骨だけになったりする覚悟ってある?」

まどか「え……」

マミ「美樹さん!!」

さやか「マミさんがどれほど強い魔法少女かわからない。でも、たとえ相手がどんなに弱い魔女であっても、常に魔女に殺される可能性はついてくる。
もし仮にあたしがついていったとしても、結局それ自体は変わらない」

さやか「あたしもマミさんも殺されてしまったら、まどかが生き抜く方法はない。だから確認しただけだよ。何かおかしい事ある?」

マミ「それは……」

さやか「まどかが契約するかどうかについてまであたしが口を挟む権利はないと思う。でも、それが魔女に襲われてそうせざるをえない状況に追い詰められてなんて事だけは、あたしはごめんだ」

まどか「さ、さやかちゃん」

人も、魔法少女も、死ぬ時は簡単に死ぬ
危険を冒してまでと言っているにも関わらず、その最も基本的な考え方がマミさんからは抜けている
元から強かったのか、今が強すぎて忘れてしまったのか……
いずれにせよ、とてもこの人にまどかを任せられない

さやか「……残りの魔法少女に関する話はあたしからまどかに聞かせる。この件について、あんたにもう用はない」

さやか「行くよ、まどか」

まどか「さ、さやかちゃん!待って!!」

マミ「……」



259:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:24:04.13 ID:BDCJ0rCW0

--帰り道--

……自分の言葉が間違えていたとは思わない
決して譲ってはいけない一線。そうであったとも思っている
……でも……自分以上に長く魔法少女をやっているはずのマミさんが、何故そんな結論に辿り着いたのか
……正義の味方は孤独だ
他の魔法少女の誰からも理解してもらえないし、理解してもらう必要もない
そんな道を歩まなければならない
それでも自分は、理解してくれる友人がいた
時に利害さえ合えば一緒に戦ってくれる仲間がいた
……マミさんはどうだったんだろう
ただ一人、孤独のままあたし以上の年数を正義の味方として歩んでいたんだとしたら……
ひょっとして、マミさんは同じ思いで戦ってくれる魔法少女が欲しかったんじゃないだろうか
だとすれば、あたしはそんな思いを踏みにじってしまった?
正義の味方の辛さはあたしだっていくらかは分かっていたはずなのに

さやか「最低だ。あたし……」

今すぐ戻ってマミさんに謝るべきか?
でも何を?
そもそも、自分の言葉は間違っていない
そう自分が考えている以上、マミさんに歩み寄る道がない
大体マミさんのプライドをズタボロに引き裂いておいて、今更何を言うのか

まどか「……さやかちゃんは、わたしが魔法少女になる事反対……なのかな」

さやか「……まどか?」

……そうだ。あたしがマミさんの代わりに、魔法少女について教えると言ったんだ。
まどかにいろいろ伝えてあげないと……



260:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:27:42.38 ID:BDCJ0rCW0

さやか「……あたしは反対だよ。こんな危険な事、まどかにやらせたくない」

まどか「……そ、そうだよね」

さやか「でも、さっきも言ったけど、それでも魔法少女になりたいって言うなら、あたしにまどかを止める権利はない」

まどか「……」

さやか「魔女の元に連れて行くなんてのは論外だけど……マミさんの言っていた事はそういう意味じゃそこまで間違えてはいないと思う。結局魔法少女になるかどうかも、何を願うかもまどか自身の問題だよ」

まどか「……さやかちゃんは、どんな願いで魔法少女になったの?」

さやか「あたしの願いなんて……考えるまでもないじゃん」

当時、そこまでの考えはあたしにはなかった
でも、例えソウルジェムの真実を知っていたとして、あたしはやはりこの願いを叶えただろう

まどか「上条、君?」

さやか「正解!……ただ、昔仲間だった魔法少女のいうところによると、魔法ってのは自分の為に叶える方がいいとは言ってた。そうすれば全て自分のせい。後悔なんてあるわけないって」

まどか「自分の為……」

さやか「ま、あたしの願いも、あたしが恭介のヴァイオリンをもう一回聴きたかったってのが理由だしね。自分の為の願いでもあったわけでさ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「でもね。それは同時に恭介を諦めるって事とイコールにもなっているんだよ。少なくともあたしにとっては」

まどか「え?」

さやか「理由は三つある。一つはそんな願いをして、恩人として取り入るなんて行為を、あたしは絶対に許せない」

まどか「でもさやかちゃんは上条君の為に」

さやか「……恭介をあたしに振り向かせたい。正直に言えば、あたしの願いにそんな思いが少しもなかったわけじゃないんだ」

まどか「……」

さやか「……そしてもう一つ。こっちの方が魔法少女としては重要な話になる。……『ソウルジェムの真実』。マミさんが伝えなかった話」

さやか「あたし達魔法少女は、魂をソウルジェムという形に変えられる。その瞬間、肉体はただの外付けハードウェアという扱いになる。……まぁ、あたしは今、この石ころが本体になってるってこと」

まどか「……え?」

さやか「これは口で言っても分かりにくいから、実演するね。そうだなぁ…」

丁度草むらがある。あの辺なら大丈夫だろう

さやか「まどか。あたしが倒れたのを確認したらしっかり脈を確認しておいて。後、……ちゃんと目立つように光らせておくから、絶対に取って来てね。頼んだよ」

まどか「え?え?」

さやか「じゃぁいきますか。……ピッチャーさやか!第一球!投げたぁ!!」

ソウルジェムを草むらにむけて放り投げた
意識が暗転する



261:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:28:45.88 ID:BDCJ0rCW0

…ちゃん!さやかちゃん!!

さやか「ん……流石に第二球はやりたくないなぁ」

まどか「さやかちゃん!」

おもいっきりまどかに頬をひっぱたかれた

さやか「……いたた……まどか?」

まどか「今の説明をするのに、どうして投げる必要があったの?」

さやか「え?……そりゃ、実演だし。魂であるソウルジェムが外付けハードウェアとしてる肉体から離れるとこーなりますよーという……」

まどか「充分分かったよ……さやかちゃんが、自分の命をどれだけ粗末に考えているのかも含めて」

さやか「……いや、まどかなら絶対大丈夫という信頼があっての」

まどか「こんな事は金輪際、絶対にやめて。約束して」

さやか「……は、はい」

思わず気圧されてしまった

まどか「……さやかちゃん、本当に死んじゃったかと思ったよ……」

そしてまどかに泣きながら抱きしめられてしまった

さやか「……ごめん、まどか」



262:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:30:34.18 ID:BDCJ0rCW0

さやか「でも今の説明をするとどうやっても最終的にこの流れに辿り着くんだから、じゃぁ最初からやっちゃえばいいじゃんっていう考えもないこともなくてですね」

まどか「そこはちゃんと説明してからやってよ!……それに、何も投げなくても、わたしがどこか安全なところに置いて、そこからさやかちゃんに離れてもらってとか、いろいろやり方があったと思う」

……言われてみれば

さやか「……まぁ、でも今のでわかったよね。ソウルジェムが魂にされる意味。肉体が外付けハードウェアにされるって意味。……そして、あたしが恭介を諦めている理由。こんな石ころになっちゃって、今更恭介に告白なんてできないよ」

それは、多分キリカなら鼻で笑うぐらいの理由
でも、あたしにとっては非常に重要なことだ
……まぁ、この真実を知った時、恭介は既にこの世にいなかったのだけれど

まどか「……」



263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:33:20.07 ID:BDCJ0rCW0

さやか「後、もう一つ。最初に持ってきてもいいぐらいの簡単な理由だったんだけど……」

さやか「魔法少女はあっさり死ぬ。あたしだって、今日帰りに魔女と戦ってあっさり命を落とすかもしれない。そんな身の上で、恋人とか……ねぇ」

まどか「あっさり命を落とすとか言わないでよぉ……」

またまどかに泣かれてしまった
……さっきの実演。魔法少女の命はこれぐらいあっけないというのを見せる意味合いもあったんだけど……やりすぎてしまったかもしれない

さやか「まどか。でも、それが魔法少女なんだよ」

さやか「今日保健室に行く時ほむらが言ってたのも多分その事なんだろうけどさ。魔法少女になるって事は、全てを失うけど、その変わりに願いを叶えるってことなんだ」

さやか「だからちゃんと考えなきゃいけない。誰の意思でもない、まどかの意思で。魔法少女になるべきか否か。魔法少女になるというなら、全てを犠牲にしてまで何を願うか」

まどか「わかったよ。わかったよさやかちゃん……」

……自分の片腕一本落として外付けハードウェアだから大丈夫的な実演も考えていたんだけど……今それをやったら、まどかとの友情に深刻な影響を与えてしまいそうな気がする

さやか「分かればよろしい。さやかちゃん流魔法少女説明コース第一はこれで終了!第二はもっとハードだぞー」

まどか「……もう、充分だよ」

さやか「……そっか」

まぁ、これでまどかが思いとどまるなら、それでもいい



264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:34:43.07 ID:BDCJ0rCW0

まどか「マミさん……ソウルジェムの話、知ってて教えてくれなかったのかな」

さやか「多分知らないんだと思う。キュゥべえ、基本この話は教えてくれないんだよ」

まどか「……そんなの、あんまりだよ……」

さやか「……まぁ、キュゥべえにもキュゥべえなりの理由があった……ような……」

確かエントロピーだとか、宇宙がどうだとか……

さやか「今の話、マミさんには内緒だよ。……タイミングを見て、あたしから話す」

ソウルジェムが本体
実にショッキングな内容ではあるものの、それを知っているかいないかは魔法少女の生死を大幅に分ける
ソウルジェムさえ守りきればある程度無敵だし、痛覚をいじれるというのは非常に大きい
何よりワルプルギスの夜と戦おうなんて時に、この事実を知らないで挑むのは危なすぎる
……その前にマミさんと仲直りしないと、か

まどか「……ところで、さやかちゃん」

さやか「何、まどか」

まどか「さやかちゃんって随分昔から魔法少女をやってる風な言い方してたよね」

さやか「え?……まぁ、うん。一年ちょっとぐらいだけど」

まどか「上条君の怪我治ってないし、そもそもその時まだ上条君怪我してないよね」

さやか「……あ」



265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/27(日) 15:38:22.82 ID:BDCJ0rCW0

まどか「さやかちゃんの話、全然辻褄があってない。でも、今までの話が嘘だとも思えない。……どういうこと?」

まどか「そもそも今日、朝からおかしかったよね。あたし達と会った瞬間涙ぐんだり、先生に向かって変わらないなぁとか言ったり、ほむらちゃんを見た時物凄い警戒したり、他いろいろ」

さやか「ま、まどか、落ち着いて……」

まどか「ちゃんと説明してよ。さやかちゃんに、何があったの?」

……さっき、やりすぎたから、かな
まどかが、凄く怒っているような……

さやか「えぇと……説明しなきゃ、駄目?」

まどか「駄目」

さやか「絶対に?」

まどか「絶対に」

さやか「信じられないような内容だけど」

まどか「さやかちゃんが嘘を言わないなら、ちゃんと信じるよ」

それはどうやって判断するんだろう……

さやか「……内容的に、さっきのソウルジェムの秘密とかどうでもよくなるぐらいハードだけど、それでもいい?」

まどか「え……、だ、大丈夫だよ!」

さやか「……本当に?」

まどか「本当に!本当だよ!!」

……なるべくやわらかめに話そう

さやか「わかったよ。とはいえ、どこから話せばいいのか……」

さやか「とりあえず。うん。……あたし、実は未来から来たんだよ」

まどか「」

さやか「びっくりした?それとも信じられない?……まぁ、これは聞くも涙、語るも涙な話でさ……」

なるべくやさしめに、話した
あたしがやってきた事
一ヵ月後、見滝原に何が起こるのか
その後一年、あたしがどんな風に生きていったのかを



301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:30:13.66 ID:WHUgstMa0

まどか「……そんな話って……」」

さやか「……とても信用できる話じゃないよね」

まどか「……うぅん。さやかちゃんはそういう嘘つかないし、信じるよ。でも……」

まどか「……じゃぁわたし達、みんな死んじゃうの?」

さやか「そうならない為にあたしがここにいる。まぁ仲間にもあてはあるし、なんとかなるよ」

まどか「あてって……話に出てきた、キリカさん?」

さやか「そもそもこの世界でキリカは魔法少女になっているかどうかも怪しいけど……そっちじゃなくてさ。ほむらだよ。暁美ほむら」

まどか「え……で、でもさやかちゃん。ほむらちゃんと喧嘩になっちゃって」

さやか「ほむらが何を考えているのかはよくわからない。でも、まどかを助けたいって気持ちは一緒みたいだし、多分仲間になってくれる」

キリカの話だと、ワルプルギスの夜とずっと戦っていたみたいだし

さやか「それに、ゆまちゃんや織莉子さんはわからないけど……佐倉杏子がいる。マミさんだってちゃんと仲直りすれば仲間になってくれるかもしれないし。ワルプルギスの夜が弱体化してるって事も考慮すれば、4人でも充分倒せる相手だと思う」

まどか「……わたしも契約すれば」

さやか「……まどか!」

まどか「でも、ワルプルギスの夜って凄い強い魔女なんだよね。見滝原全てをどうにかしちゃうぐらいに。だったら、わたしも戦いたい!」

さやか「……まどか……契約するとして、叶えたい願いは何?」

まどか「そんなの決まってるよ。さやかちゃんの力になりたい!!こんな役立たずなわたしでも、さやかちゃんの力になれるならそれでいいいひゃいいひゃい!」

さやか「自分を粗末にしてるのはどっちだー!!」

さやかはまどかのほっぺたをつねった



302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:31:06.95 ID:WHUgstMa0

さやか「大体考えてもみてよ。あたしの為にまどかが魔法少女になったりして、それでまどかが傷ついていくのをあたしが耐えられると思う?それこそワルプルギスの夜が来る前に魔女化しちゃうよ。」

そもそもまどかの場合、ワルプルギスの夜の弱点にばっちり当てはまってしまい、見滝原壊滅どころの話じゃ話がすまない気がする……

まどか「……」

さやか「それに……なんで、自分の事が役立たずだとか思ってるのさ」

まどか「だって……わたしって鈍くさいし、何の取り柄もないし」

さやか「……」

まどか「人に自慢できる才能も何もなくて……さやかちゃんみたいになれたらって」

さやか「まどか。まどかを馬鹿にするなら、それがたとえまどかであっても、許さないよ」

まどか「!」

さやか「……ごめん、言い過ぎた」

さやか「でも……さ。あんたは優しくて、いつも人の支えになってくれる。……今だってそうだよ。ソウルジェムの秘密も知った。魔女化に事実も知った。……最後に絶望しかないとわかっているのに、あたしの為に全てを捨てようとした」

さやか「そんな事が出来る奴を何の取り柄もない奴なんて、あたしにはとても言えない」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「だから、その優しさをこんなところで使わないでよ。……まどかにはもっと長く生きてほしいんだ。それで、その優しさをもっといろんな人に分けてあげてほしい」

あの日までずっと、まどかがあたしに分けてくれていたように

まどか「さ、さやかちゃん。その言い方じゃまるで……」

さやか「魔法少女って、2年もやっていればベテランと言われる世界なんだよ。……それってどういう意味だと思う?」

まどか「……」

さやか「つまりは、その程度しか生きられないんだよ。魔女にやられるのか、魔女になるのか。同じ魔法少女に殺されるかもしれないし、案外ヤクザや米軍にズドンとかもあるかもしれない」

まどか「そんなの、嫌だよ」

さやか「……まぁでも、10年20年生きる人も稀にいるらしいけどね!あたしもそんな風に生きてみたいかな」

多分あたしの生き方じゃ、長生きは難しいだろうけど

さやか「……ま、ワルプルギスの夜はあたしがさくっとやっつけちゃうからさ。その後、ゆっくり考えなよ。全てを犠牲にしてまで、魔法少女になる必要があるかどうか」

さやか「駄目、かな」

まどか「……わかったよ、さやかちゃん」



303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:32:39.93 ID:WHUgstMa0

さやか「……じゃぁ、あたしはこっちだから。また明日、だね」

まどか「……さやかちゃん!」

さやか「な、何?」

まどか「さやかちゃんはさやかちゃんだよ!石でもなんでもさやかちゃんなんだからね!絶対自分を投げたりなんかしちゃ駄目なんだからね!!」

さやか「……す、ストレートな」

というか、まだ根にもってたのかまどか……

まどか「ご、ごめん」

さやか「……ううん。ありがとう。うん。そうだよね。もう少し自分を大切にしなきゃ、だよね」

杏子もゆまも、キリカだって何かあれば戻ってくるだろうから、最悪あたしがいなくなってもなんとかなる
そう考えていて、いつの間にか命の大切さとかそういった事を忘れてしまっていたのかもしれないな

……にしても、あいつ。ずっと近くにいたんだからまどかがあたしのソウルジェムを探していたのを、手伝ってあげてもよかっただろうに……



304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:37:16.41 ID:WHUgstMa0

さやか「さて、と」

ワルプルギスの夜までそれほど時間はない。そうなると今日中にやらなきゃいけない事がいくつかある

さやか「織莉子さんの住所は、確かキリカに前にもらってたはず……」

杏子のお菓子の隠し場所、ほむらでいうと、多分あの盾
魔法少女は、大抵物を格納できるスペースを持ち合わせている
ちなみにあたしの場合、それがマントの中だったりする
魔法少女化して、マントの中から以前キリカに教えてもらった、織莉子の住所の書いてあるメモを取り出した

さやか「よし、行ってみるか」

?「その必要はないわ」

さやか「……最後まで、出てこないつもりかと思ったよ。ほむら」

ほむら「……呉キリカ。美国織莉子。2人に会いに行く必要はない」

さやか「どういう意味?」

ほむら「……この2人が魔法少女になれば、まどかを殺そうとする。だから、魔法少女にさせるわけにはいかなかった」

さやか「……」

ほむら「……彼女達の魔法少女化は、私が阻止した。彼女達が魔法少女になる事は、もうない」

さやか「2点聞きたい。1点目。まどかを殺そうとするってどういう事?」

ほむら「この世界のまどかの魔力は非常に高い。最強の魔法少女になって……最悪の魔女になる。美国織莉子と呉キリカは、それを防ぐ為にまどかを殺してしまう。……それだけは、避けなければいけない」

さやか「待ってよ。あたしのいた世界ではまどかはそこまでの魔力を持っていなかったはずだよ」

ほむら「あなたがいた世界と、この世界は違う。……巴マミにでも確認しなさい。彼女は相手の魔力を正確に測れる力をもっているはずだから」

さやか「……2点目。どうやって、キリカ達の魔法少女化を阻止したの」

ほむら「美国織莉子の願いは、『私が生きる意味を知りたい』。呉キリカの願いは、『違う自分になりたい』。願いの内容だけ聞けば全く異なる2つの願いだけれど、その思いをかなえる方法は別に魔法少女に拘る必要はないの」

さやか「……キリカと織莉子をくっつける?」

ほむら「呉キリカの願いをかなえるのはそれで充分。彼女の魔法少女化は、実はタイミング良く線路に置石一つ置くだけで阻止することができる」

さやか「……え?どういうこと?」

ほむら「ようは美国織莉子が呉キリカを発見するだけの時間があればいいの。美国織莉子が呉キリカを忘れていることなど、あるわけがないのだから」

さやか「……全然話が見えないのだけれど」

ほむら「むしろ問題は美国織莉子の方。あの父親が誰に恨まれていて、誰に陥れられそうになっているか、探すのに苦労したわ……」

さやか「……全然わかんないけど、つまりあの二人の願いは魔法少女にならずして、叶えられたってこと?」

ほむら「……少なくとも、あの2人が魔法少女なるだけの理由は、もうなくなった」

さやか「……そっか」



305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:38:33.03 ID:WHUgstMa0

さやか「ゆまって知ってる?千歳ゆま」

ほむら「彼女は高い魔力を持っていても、ワルプルギスの夜と戦うには技術が不足している。……彼女の両親には非常に問題があり家庭内暴力を繰り返されていた。何もしなければ最後は両親が魔女に殺され、彼女は佐倉杏子に出会うのだけれど……」

ほむら「千歳ゆまは今、児童養護施設に預けられている。彼女の願いは佐倉杏子を助ける事。佐倉杏子と会わなければ、彼女が魔法少女となる事はない」

さやか「……趣の魔女、は?」

ほむら「あれはもう始末したわ。確かに強い魔女ではあるけれど、対抗策さえ知っていればそれほど脅威ではない」

さやか「……ほむら、頑張ってたんだね」

おもわずほむらの頭をなでてしまった
そして思いっきり振り払われた

ほむら「やめて」

さやか「つ、つれないなぁ……」

ほむら「……あなたに聞いて欲しい事がある」

さやか「奇遇だね。あたしもほむらに聞いてほしい事があったんだ」

さやほむ「ワルプルギスの夜を一緒に倒してほしい」

さやか「だよね」

ほむら「……えぇ」



306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 14:56:29.65 ID:WHUgstMa0

キリカ再登場期待していた人、本当にごめんなさい
……やっと謝れた。いやぁここまで辿り着くのが長かった。しかしまだ本編時間一日もたっていないという現状。
さやか草むらフォローと、ほむらとさやかの戻った時間のギャップによりうまれた差分とかそんな回。

さやか、一応考えなしに投げたわけじゃないんだよ。ほむらが隠れてるの知ってて、だから『ピッチャー』なんて微妙な表現したりしてたとかそんな事情があったり
まぁ、まどかからすればひょっとしてソウルジェムを見つけてもさやかは復活しないかもとかそんな気持ちまでよぎってただろうし、きれて当然の場面ではある
ついでにこのSSだと、魔法=自分の願いと直結しているという設定
さやかの回復は、恭介の腕が治せる程度
ゆまの回復は、杏子の四股切断がなんとかできる程度
ほむらの時間遡行は、まどかとの出会いがやり直せる程度
とかそんな風



310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/03(土) 20:10:14.74 ID:Ml0DvZUao


オリキリ出ないのは寂しいけどしょうがないのか……。



316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:36:12.13 ID:LE1rHS1b0

--ほむらの家--

さやか「す、すごい部屋だ……」

ほむら「いつから私の尾行に気づいていたの?」

さやか「え?……えぇと、マミさんの家を出て少ししてから……かな」

さやか「まぁ、マミさんの家にあたし達がいた段階からほむらは確実にどこかで監視していると考えていたから、尾行に気づくのもそれほど難しくはなかったよ」

ほむら「……何故、そう考えたの?」

さやか「いや、だってほむらってまどかの契約阻止が目的なんだよね」

ほむら「……えぇ、そうよ。あの子を魔法少女になんかさせない」

さやか「なら、マミさんの部屋の中にあたし達がいた時間。あの場で契約される危険性を考慮すれば、ほむらとしては監視せざるをえなかったんじゃないかなって」

ほむら「……」

さやか「……実のところ、あの部屋盗聴器でも仕掛けてあったんじゃないかと、あたしはふんでいた」

ほむら「……でも、盗聴器だけ仕掛けていても、そこに私が干渉できなければどうしようもない」

さやか「でも、ほむらの能力って『時間操作』だよね」

ほむら「!?何故それを?」

さやか「今のはカマかけ」

ほむら「……」

さやか「ごめん。……ただ、あたしの幻術技に対してあまり対応できてなかったじゃん。同じ幻術使いならあれを見切るのはそこまで難しくないんだよ。そうなると、あんな風に死角をとれる技が、あたしの知ってる限り時間系ぐらいしかなかったってだけ」

ほむら「……あなたとの戦いで使ったのは『時間停止』。時間を止めて、その間にあなたの死角に移動したの」

さやか「……『時間停止』!?キリカの上位互換ぐらいに考えてたけど、そんな能力を……」

さやか「そうすると、死角なんてとらずとも、そのままとどめも狙えたってことか」

ほむら「いろいろ制約はあるの。それにそれを言い始めるなら、私とまどかが話していた時、あなたの武器の性質を考えれば、あそこで私を狙う事もできたはず」

さやか「……ソウルジェムの真実を知っているかどうか、あの段階では判断できなかったし。もし本物のほむらだったら殺すわけにはいかないし、そもそもあたしは人を殺したりとか、そういう事はしない主義なんだよ」

ほむら「……甘いわね」

さやか「……ほむらだって、あのデザートイーグル。明らかにあたしのソウルジェムからはずして狙ってたじゃん」

ほむら「あなたの投剣もね。大体刀身爆破の方が、ソウルジェムを狙うなら理想的なはず」

……つまりあの局面。お互い本気で、相手を殺さないで事態の収拾させる方法を探していたという……

さやか「……ちなみに、能力発動条件は盾に触れる事、であってる?」

ほむら「正解よ。やたら盾を狙ってきたのもそこに気づいていたからだったのね……なるべくばれないように使ったつもりだったのだけれど」

さやか「むしろそれが気づいた理由。ばれないようにやろうとされれば、当然そこに何かあるっていう目星ぐらいつける。……あたしの幻術で焦っていたんだろうけど、ちょっと露骨すぎたね」

……今話をしているのが本当にあの美樹さやかなのか?
思わず、ほむらはそう考えてしまった



317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:40:44.86 ID:LE1rHS1b0

さやか「話を戻すよ。盗聴器さえ仕掛けていれば、後は勘付かれないほど遠い距離にいたとしても関係がなくなる。それっぽい会話になったところで、『時間停止』で近寄って、ご破算にさせてしまえばいい」

ほむら「……私の『時間停止』は制限がある。いつまでも時間が止められるというものではない」

さやか「そうなんだ。……とすると、マミさんの部屋の構造、あのすごい大きな窓」

さやか「……あの辺りから考えて、ほむらは遠くから狙撃銃で狙いをつけていた?とか」

盗聴器で音を、狙撃銃の照準器で映像を捉える
……魔法少女同士の争いで狙撃銃を持ってこられる展開なんて、常識的に考えてほぼありえないと思ってもいいような気はするけれど、ことほむらの使っている武器を考えれば、それぐらいの常識は覆してくるのではないかとさやかは考えた

ほむら「……まどかとの話を聞いた限り、あなたは呉キリカと、佐倉杏子から教えを受けたのよね」

さやか「こういうノウハウはどちらかというとキリカかな。『魔法少女は魔法以外への対処ができていない子が多い』とか、『ベテランの魔法少女は、その行動全てに意味がある。常に一つ一つの行動について解釈をしながら戦え』とか、『舞台を演出しろ。相手の感情を操作することで、相手の行動もある程度限定させることができる』とか……」

さやか「まぁ最後のは『でも君には無理だろうから、せめて相手の狙いを読み取りながら戦うようにすること。この手の手合いは、それを逆手に取られていたなんて展開に弱かったりするから』って続く」

そういえば初めて杏子と戦った時も、わざと挑発したって言ってたなぁ
杏子はそれにのせられたふりをして、逆にゆまちゃんの攻撃へと誘導していた

ほむら「……すごい魔法少女になっていたのね。呉キリカは」

さやか「うーん……魔法少女になる前から結構凄い人だったんじゃないかな。キリカは。魔法少女としての経験はあたしと同じぐらいのはずだったんだし」



318:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:44:05.45 ID:LE1rHS1b0

ただ、こうなってくるとほむらとしては一つ疑問があった。
そこまで思慮が及ぶのであれば、あの愚行が逆に納得いかなくなる

ほむら「なんであの時、あなたはソウルジェムを草むらにむかって投げたの?」

さやか「あぁ、あれ?あれはほむらがいるから大丈夫だと思っていたし。……あの場面。ほむらにさりげなく出てきやすい状況を作ることで、まどかとほむらをうまくくっつけるという狙いもあったんだよ」

ほむら「今更、あの子と慣れあう気はない」

……実はまどかの見つけやすい位置に、さやかのソウルジェムを移動させたりはしていたが

さやか「でも、ほむらはまどかに」

ほむら「何故、私なら大丈夫だと判断したの?少なくともそこまで信じられる判断材料はあの時点ではなかったはず」

ほむらがさやかの世界にいたほむらである事がわかったとしても
それが信用に足る人物であるという保障はどこにもない
そこがほむらはひっかかっていた

さやか「ん?だって親友じゃん。親友を信用しないでどうするのさ」

ほむら「………他には?」

さやか「……それだけ」

ほむら「ちょっと待って。本当に、それだけなの?」

まさか、ただ過去に親友だったからというだけで、信用したと?

さやか「……一応、あの後マミさんとの会話中に狙わなかったとか、あたしとまどかが二人きりになっても殺しにかかってこなかったとか、そういう理由もないことはなかったけどさ。そもそもほむらがあたしと一緒にいたほむらだと分かった時点で、疑う必要もないかなー……と」

ほむら「……」

元々美樹さやかは敵対した相手にはやたら厳しくあたるくせに、
友人になると途端に優しくなり、相手の行動を全て好意的に捉えてしまったり、無条件で相手を信用してしまうところはあった
呉キリカや佐倉杏子が指導しても、そこはそのまま残ってしまったということか……

ほむら「……あまり、人を信用するものではないわ」

さやか「でも、ほむらは変わったように見えて、実は結構昔のままに見えるけどな。相変わらずまどか至上主義みたいだし」

ほむら「そう見せかけているだけかもしれない。それに、別にあなたのことまで、私は気を遣うつもりはない」

さやか「……こんな話をしている時点で、結構気を遣ってると思うけど」

ほむら「……ここに関してこれ以上問答しても無駄ね」

この甘さは、少し用心する必要はあるかもしれない
そう、ほむらは考えた



319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:47:40.06 ID:LE1rHS1b0

さやか「……気になってた事があるんだけどさ。ほむら」

ほむら「何?」

さやか「髪型変えて眼鏡とったのはまぁ戦いやすさを考慮してって事だと思うけど……雰囲気、随分変わったよね」

ほむら「……何度も何度も時間を繰り返して、その数だけ失敗してきた。その中で性格も変わっていった。それだけの話よ」

さやか「それだけって……」

ほむら「……そういえば、あなたは最初会った時から私を警戒していたわね」

さやか「……ごめん」

ほむら「わたしだって、あなたが数学の問題をすらすら解いた時に、危うく時間遡行するところだったわ」

さやか「まじかよ!」

ほむら「冗談よ。この時間遡行は一ヶ月たたないと使えないし。……ただ、そうね。思わずワルプルギスの夜が来たのかと思って外を見てしまったわ」

さやか「どういう意味だよ!」

ほむら「気になるといえば……美樹さやかのそれ」

さやか「ん?指輪?」

ほむら「何故、指輪が2つあるの?」

さやか「あぁ……まどかとの話、聞いていたんだよね」

ほむら「……えぇ。聞いていたわ。……ひょっとしてそれって」

さやか「キリカのソウルジェムの欠片。それをあたしの魔法で指輪にしてるんだよ」

ほむら「そう……あなたの時代の呉キリカの魔法がかかっているのよね」

さやか「……うん。そう聞いたけど……使い方もろくに説明しなかったからなぁ、あいつ……」

ほむら「少し調べさせてもらってもいい?このコンピューターと接続してみる」

さやか「接続って……そんな事できるの?」

ほむら「できるわ。少しその欠片を貸してもらってもいい?」

さやか「……壊さないでね」

ほむら「……どの定義をもって壊さないというのか難しい代物だけど……わかったわ」



320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:48:38.73 ID:LE1rHS1b0

ほむらが奥でいろいろ設定をしている

さやか「それにしても……いろいろあるなー。見滝原の魔女のデータまで勢ぞろいだ」

さやか「……これがキーボードか、どれどれ……」

さやか「……いた、お菓子の魔女。こいつは嫌な魔女だったなー」

さやか「影の魔女に、鎧の魔女もいるな。……あれ、こいつ知らないな。人魚の魔女か。これに関してのみ妙に詳細なデータがあるけれど……って消えた!?」

ほむら「何を見ているの」

さやか「や、ほむらが設定してる間暇だったからちょっといろいろ調べてみようかと」

ほむら「変にいじらないで。あなたが触ると壊れそうだし」

さやか「そんな漫画じゃあるまいし……」

ほむら「……接続はできた。データを解析するわ」



321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:51:41.18 ID:LE1rHS1b0

ほむら「……これは、ワルプルギスの夜のデータ!?」

さやか「キリカ、あの一瞬でそんなもの……いや、キリカの事だからそういう展開も最初から予測していた……!?」

ほむら「知らないデータも多いわね……すごい。ここまで調べあげるなんて」

さやか「なんか、ヨーロッパまで行って資料を集めたとか行ってたよ」

ほむら「……呉キリカ。……魔法少女にならない方がいい事がわかっていても、少し惜しいわね……」

さやか「ほむら。思っていても、それは……」

ほむら「ごめんなさい。……このデータは使えるわね。コピーさせてもらう」

ほむら「……含まれているデータは3つ。抽出できるのはワルプルギスの夜のデータのみね。後は暗号化されている」

さやか「……暗号化?」

ほむら「必要な鍵がなければ抽出できないような仕組みの事よ。……ソウルジェムの欠片にデータを仕込んだり、それに暗号化を行う事事態とんでもない事だけど」

ほむら「ただ……2個の暗号化ファイルのうちの1個はひょっとすると……」

ほむら「……なるほど」

さやか「何かわかったの?」

ほむら「美樹さやか。その欠片を一度指輪に戻して」

さやか「え、……はい、戻したよ」

ほむら「それに魔力を注ぎ込んでみて」

さやか「……え?魔力って言われても」

ほむら「そのソウルジェムの欠片自体に、回復魔法辺りをかけてみなさい」

さやか「それでソウルジェムが復活することなんて」

ほむら「そういうことじゃない。いいから、やってみて」

さやか「うん。……ってえ!??」

ほむら「わかった?」

さやか「なんか頭の中に情報が……」

ほむら「暗号鍵の一つは、あなたの魔法よ」



322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 22:58:14.73 ID:LE1rHS1b0

?『偶然見つけられたのか、誰かに助けてもらったのかは知らないけどね。この中には私の魔法の基本構成を入れてある。これで君はソウルジェムの欠片を系由して、私の魔法を使う事が可能になったはずだ。私の『速度低下』、それなりに便利だから、うまく使うといい』

?『後、このソウルジェムの欠片にはワルプルギスの夜のデータが含まれている。君には絶対使いこなせないだろうから、暁美ほむらにでも渡してしまうといい。それとももう渡しているのかな?……このデータを先に見ている可能性もあるので一応いっておくと、まさか髪型が変わったとか、眼鏡を外したとかその程度の情報で、暁美ほむらを別人だとか誤認しないように。あれは私達の時代にいた暁美ほむらそのものだ。多少性格は変わっているかもしれないが、まぁそういう事は往々にしてある。君だって1年前と比べればいろいろ変わってはいるだろう?』

?『間違っても喧嘩売ったりしないように。……そこが一番不安だな。さやか、基本喧嘩っぱやいから。とにかく状況をしっかり見極めた上で行動を起こす事。意見が多少食い違ったからっていきなり喧嘩売るのではなく、相手の話を全部聞いた上で判断する事。喧嘩しないですみそうなら、そちらの道を選択する事……私の予想では、君は暁美ほむらとも、巴マミともぶつかりそうな気がするんだよ。この情報を先に見ているなら大丈夫だとは思うけど……いや、見ていても駄目かな』

?『巴マミといえば、その頃の巴マミはキュゥべえと一緒に行動しているはずだ。ま、改めて話をするまでもないだろうけど、キュゥべえは魔法少女が魔女になった際に発生するエネルギーを集めている。ただ、あいつの行動原理を見る限り、魔女化よりか、人を魔法少女に変える事の方を優先する傾向があるね。質より量って考え方なのかな。この辺はキュゥべえとも話した事があるけど、結局はぐらかされてしまったな』

?『何が言いたいかといえば、キュゥべえは魔法少女の契約の為なら嘘こそつかないけど、それ以外なら結構えぐい手も平気で使うということさ。あいつの利益とぶつかるような事があった場合、あいつの言葉は途端に信用できないものとなる。あいつの断定口調は信用できるけど、断定しない場合は情報の信用性は低く扱うこと。……キュゥべえの人心操作術はいろいろ学べる事も多いんだけど、君の場合そこから得られるものは、あまりないだろうなぁ……ま、この辺は聞き流してくれ』

?『……最後の3つ目は、どうだろう。そもそもデータとしてうまく入っているのかな。一応この情報打ち込み時には、最後の魔法を発動した段階で上書きするような仕組みは作っているけれど……ま、データとして含まれていないなら。この部分も忘れてくれ。』

?『だらだらと書き残してみたけど、これ使う事あるのかな……。まぁ、使わないですむなら、それに越したことはないんだけど。ちなみに、今ワルプルギスの夜と抗戦中。使い魔達もうまくやれているし、多分最後の魔法は無事発動するだろう。……基本私の嫌な予感は当たらないだろうし、この情報を残す意味あまりないんだろうな。ワルプルギスの夜が来るとかそんな予感がぴたりと当たっちゃったから、神経質になっているのかな。……最後の魔法発動時に消去しよう。万が一にでもこれを見られるのは、少し恥ずかしい』

?『以下、情報の上書き部分。まさか本当に来るとはね……。結果的に、恥ずかしいと書いたことが恥ずかしくなってしまったね!まぁ君に自分の命の大切さとかそんな事は教えなかったし、大体にして自分の命の重さとか一切考えた事なかったけど……実のところ、少し今はわかった気はするんだよ。それこそ恥ずかしいから言わないけど』

?『とはいえ、大体言いたい事は全て書き残してるし……あぁ、最後の三つ目。あれはデータとしては含まれているだろうけど、無視していいよ。……消せと言ってるわけじゃないよ。無視しろ、だからね』

?『うーん……やっぱ遺言かな。……命を粗末にするな。かな。命を大切にする人間に対しては、逆に命を粗末に扱えって言うんだけどね。こんな所来ちゃってる時点で君にはやっぱこちらであっているのだろう。つまりは、命を使うなら状況を見ろって話。私としてはここが命の使いどころだと判断したけど……君が来るとわかっていたら間違っても使わなかっただろうな!いや、怒っているというよりは、ある程度予想はしていたくせに後悔してしまっている自分への……この辺はよく纏まらないな』

?『っと、そろそろわれる。そうだな……折角だから絶対普段言わないような事を……。一応、私は君に頼っていたんだよ。実のところ、世界の救済と言っても何をやっていいかわからなくてさ。君の意見は結構参考にしていたんだ。君の言葉がなければ、私は今頃世界人類皆殺し計画を練っていたと思う、といえば分かるかな。それぐらいに私の正義は的を外れていたのさ』

?『だから、そうだね。君と出会えた事は私の人生にとってはプラスだった。かけがえのないほどに。織莉子が一番なのは揺るがないけど、ま、君は二番目ぐらいにはいたと思う。こっから先いろいろ大変だろうけど、健闘を祈るよ』



323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:04:58.72 ID:LE1rHS1b0

さやか「キリカの奴、最後にわざわざこんなメッセージ残してたのかよ……あはは……」

ほむら「さやか……」

さやか「何が二番目だよ。何が頼っていただよ。そんな事、あいつ生きてる内に一言も言わなかったじゃないか……」

ほむら「……」

さやか「……あたしは何もできなかった!キリカを助けにいったのに、結局またキリカに助けられて!キリカの為に何もしてやる事はできなかった!!」

ほむら「それは違う。この世界のワルプルギスの夜を倒せば、救えるとキリカは言った。それならば、あなたのできることはまだあるはず」

さやか「……何、慰めてくれてるの」

ほむら「本人が言った事実よ。これに関しては私も同意見。パラレルではなく純粋に時間を戻しているのであれば、確かにそのパラドックスは発生するはず。……ワルプルギスの夜を倒しさえすれば、あなたの世界のキリカは復活する」

ほむら「一緒に倒しましょう。ワルプルギスの夜を」

さやか「……ほむらぁあ!」

さやかはほむらに抱きつき、泣きじゃくった
それを無碍に振り払う事は、ほむらには出来なかった



324:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:07:17.81 ID:LE1rHS1b0

さやか「その、ごめん……」

ほむら「別に洗濯すればいいし……少しは落ち着いた?」

さやか「うん……もう大丈夫」

ほむら「では、そろそろ本題に入りましょうか。……今後、どういう行動をとっていくか」

さやか「その事だけど……マミさんと、佐倉杏子。この2人は味方につけるべきだと思う」

ほむら「佐倉杏子に関しては賛成だけど……巴マミは、判断が難しいところね」

さやか「というと?」

ほむら「魔女化の真実を隠し通せるなら問題ない。ただ、もし隠し通せなければ……最悪、巴マミは敵に回る」

さやか「……どういう事?」

ほむら「……そういえば、あなたも正義の味方思考よね。ソウルジェムが魔女を産む事を知ってどう思……いえ、なんでもないわ」

さやか「そこまで言って止めても……成程。魔法少女が魔女となるんだから、魔法少女も倒してしまえって考え方?」

ほむら「……そうよ」

さやか「魔女を倒した事で救えた人数が、自分が魔女となったことで犠牲となる人数を上回ればいいんじゃないかな」

ほむら「……その発想は、いろんな意味でなかったわ」

さやか「冗談だよ……。実はそれ、キリカとも話をした事があるんだけどさ」

さやか「ゾンビ映画で、ゾンビになる前の善良な一般市民を殺す奴は害悪以外の何者でもないよね。と言われた」

ほむら「その発想も、すごいわね……」

さやか「そりゃいつかは魔女になるかもしれないけど……それはそれとして、そこまでに何ができるか、だと思うんだよ。少なくとも、あたしはそう考えてる」

ほむら「『いつかは、今じゃない』か……」

さやか「あ、それゆまちゃん理論」

ほむら「あなたの世界でも言っていたのね」

さやか「というか、そんな事を杏子は言われたらしいよ」



325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:10:59.94 ID:LE1rHS1b0

さやか「まぁ、少なくとも魔女化の真実が分かったからといって、魔法少女を殺すって発想はあたしはないと思う。そりゃ少しは考えた事もあるけどさ」

ほむら「……魔女化の真実を知る状況によっては、巴マミはその考え方をもって暴走し、味方殺しを始めるの」

さやか「そ、それは……。ちなみに、その状況というのは」

ほむら「それは…………仲間内に、魔女が発生した時は大抵そのパターンね」

ほむら「敵の魔法少女が魔女になった場合は、まだそれなりに理性を保ってくれるケースも多いわ。その状況化であれば、説得も聞くこともある。……でも、これも敵味方纏めて皆殺しってケースもあったわね」

さやか「……最初に話してしまって、しっかり説得するというのは」

ほむら「あなたは人から魔女化の事を説明されて、納得できる?」

さやか「まどかやほむらや杏子やキリカやゆまちゃんに言われれば、信じる」

ほむら「で、巴マミから言われたら?」

さやか「……確かに、仲間になったばかりの人間にそれを言われて、とても信用できる話じゃない、か」

ほむら「戦力としては、欲しい。でもその戦力が敵に回られる事を考えると、判断が難しい。それが、巴マミという魔法少女なのよ」

さやか「うーん……取り敢えず明日会いに行く予定だし、ちょっとあたし自身、いろいろ探りは入れてみるよ」

ほむら「さっき喧嘩したのに?」

さやか「やっぱ聞いてたんじゃん……仲直りと、ほったらかしにした魔女の討伐。マミさんの実力も、この目で見てみたいし」

ほむら「そうね。……巴マミの実力は、初めて見るなら誰しもが感動するほどのものだ、とだけ言っておくわ」

さやか「……」

ひょっとしてほむらも、マミさんを師事していた時期があったりするんだろうか……



326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:12:52.67 ID:LE1rHS1b0

さやか「じゃ、そろそろ帰るね。まだやる事もあるし」

ほむら「こんな時間にやる事……ね」

ほむら「……上条恭介の、治療?」

さやか「正解」

ほむら「……仁美の事は、知ってるはずよね」

さやか「ん?仁美が恭介が好きってことは知ってるよ」

ほむら「多分また同じ事を言われると思うのだけれど、あなたはそれに対して何か対策を打っているの?」

さやか「……そこまでに、グリーフシードを集めまくる事、かな」

ほむら「……手の怪我が治らなくても、退院自体はしてしまうのよね……」

さやか「ま、大丈夫だよ。恭介が仁美と付き合うのはショックだけどさ。でも、それ以上に」

あれを繰り返す方が、もっと嫌だ

ほむら「……気をつけて。恋愛の悩みは、魔女化の理由としては、かなり多い部類に入る」

さやか「一応策がない事はないんだよ。結構自信もある。まぁ成功しても、グリーフシード大量消費展開は間逃れないだろうけど……また泣きついてもいい?」

ほむら「まどかに頼みなさい。あの子の方が、あなたの傷を癒してあげられる」

さやか「つれないなぁ……」



327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:14:24.11 ID:LE1rHS1b0

--恭介のいる病院--

さやか「この手の隠密行動も随分慣れたよなぁ……と、ここだ」

恭介「Zzz」

さやか「……恭介のヴァイオリン。また聞きたいけど」

恭介に近づいても、恭介と一緒になる事は出来ない
なら、近くにいればいるほど、辛くなってしまう

さやか「ひょっとしたら、ほむらにとってのまどかも同じ感じなのかな」

さやか「……考えても仕方ない。回復魔法っと」

願わくば、この世界ではこの魔法が無駄にはならないように



328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:19:28.22 ID:LE1rHS1b0

--マミさんの家--

マミ「……」

QB「美樹さやかの言っていた事は気にしなくていいと思うよ。少なくとも今日のレベルの魔女なら、君が負けるなんて事はありえない」

マミ「うぅん。美樹さんの言っていた事は正しい。一般人を危険に晒すなんて、私は魔法少女失格ね……」

マミ「決めた。明日美樹さんに会って、ちゃんと謝る」

QB「……ワルプルギスの夜がもうすぐ現れるって事は前に話したよね」

マミ「えぇ。それがどうしたの?」

QB「君と一緒に、暁美ほむらや美樹さやか、それに佐倉杏子が一緒に戦ったとしても、ワルプルギスの夜の打倒は、難しいだろう」

マミ「……!?」

QB「そうなれば、君達は死に、見滝原は壊滅する。多くの人間が犠牲になるだろうね」

マミ「……そん、な」

QB「鹿目まどかの素質は君も気づいているだろう?あの力があれば、ワルプルギスの夜を倒す事は充分に可能だ」

マミ「……でも、鹿目さんは」

QB「見滝原住民全ての命がかかっているんだよ」

マミ「……鹿目さんを犠牲にしろと?」

QB「別にそこまでは言ってないよ。ただ、鹿目まどかが魔法少女となれば、多くの人間を助けることができる。もし彼女が最終的に自分の意思でそれを望むのであれば、拒否するのもおかしな話なんじゃないかな」

マミ「……」



329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/04(日) 23:58:03.98 ID:LE1rHS1b0

一日目しゅーりょー!
長かったー

ほむらは多分、本編でもすごい裏で頑張っていたんだと思う
あまり報われなかったけど……
オリキリ展開は……まぁ、考えてなかったわけではないんだけどね
さやかVSキリカ さやか、織莉子の家に侵入、廊下にてキリカと戦いに。キリカさやかにいろいろ仕掛けるも、全てさやかに読まれて負ける。が、キリカとしては既に勝負をする前から策は仕込んでいた。即ち自分のいる廊下ごと爆破……しようとして逆にさやかが結界を張ってキリカを庇おうとしたり、その前にそれを事前に察知した織莉子が廊下に現れて涙ながらに怒られたり、そんな展開
……それでも良かったような気はしつつ、まぁ3部はまどマギで行こうと思ってたし、結局当初プランで。てか流石にあの7人揃ってたら、ワルプルさんに勝ちの目が見えない



332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/05(月) 00:44:29.76 ID:2udIQ0eL0

本編再構成ものの中で一番好きです、この作品

さやかちゃん大好きなんで



344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/12/06(火) 22:25:25.17 ID:ShxnzacH0

ほむらが盾に触れるのって時間停止じゃなくて巻き戻しの時じゃね?
と些細な疑問がわいたがどうだっけ



346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/12/07(水) 06:41:54.43 ID:q4GZzltl0

>>344
『私の魔法少女としての能力 それは、時間操作だった。小盾に触れると、盾の中の砂時計が傾き、現実の時間を止めてくれる。私だけを時間から外してくれる。』
まどマギ小説版下巻P174より抜粋

という小説版の記載を、このSSでは『盾にほむらが触れない限りにおいて時間停止は発動できない』という解釈をして、設定としてる



351:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/08(木) 07:37:53.01 ID:9+WUBEUB0

アニメ版は、第6話のさやかのソウルジェム追いかけるシーンを見る限り、多分触れてない
漫画版は第10話のほむら魔女初撃破シーンを見る限り、こちらも多分触れてない
プロダクションノートやガイドブックは今読み直してみたけど、恐らく明記そのものがないんじゃないかな。こちらはちゃんと調べたらどこかにあるのかもしれないけど、俺には発見できなかった
インタビューは言わずもがな
ゆえに、この盾に触れなきゃいけない設定は小説版独自のものな気はする
……小説版の方も俺の解釈ミス落ちはある気はしないでもない

>>346の書き方が悪くて申し訳ないが、このSSはアニメ・漫画・小説・インタビューから好きな設定を取捨選択してさらに二次設定を放り込むような設定構築方法をとっている
その中から、このSSでは小説版の設定を使っているという話
盾に触れなきゃいけない設定を使った理由は、まぁ印象に残ってたからぐらいの理由しかない
この設定を使わないとなると、さやかVSほむらはまた違った展開になったとは思うよ。まぁお互い倒す気がない時点で、結末はあまりかわらないとも思う。すぐに薔薇魔女イベント発生しちゃうし

……まぁSS内設定矛盾とかも、そろそろいくつか発生してそうな気はするなww



352:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ:2011/12/08(木) 10:01:29.76 ID:pTPcLYTho


こまけえことはいいんだよ!

さやか「見滝原の悪夢」【後編】



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         コメント一覧 (30)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 20:01
          • これ毎日楽しみにしてたわ
            読み返してもやっぱ面白い
            さやかちゃんさやさや
            キリカさん最高です
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 20:04
          • おお、これまとめてくれたんだ。チートさやかちゃんとキリカがカッコイイんだよな
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 21:01
          • ヤベェ…皆が超カッコいい
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 21:38
          • しっかり練られてるなぁ……大作だ、そして面白い……キリカ好きってのも有るんだけどな

            いやぁ後半が楽しみだね
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 22:24
          • こういうマンセーっぽいのはクロスオーバーかおりこ組だけにしてくれ
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:06
          • こんなにも輝く青は初めて見た
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:06
          • さやかが活躍する世界線も良いものだな
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:23
          • 5 超好みのSS。


            だけどたしかほむらの時間逆行は、1ヶ月たたなきゃ使えないってのは違った気が。
            実際まどポでは途中で戻ってたし(まどかルート)
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:42
          • 一ヶ月分の時間を止められて、使い切ったら時間遡行できますって感じだよね
            SSだからどうでもいいけど
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月08日 23:49
          • ほむらってどうでもいいと思われてるのか、設定知らない奴多いよな
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 00:26
          • つかまどマギ自体設定が曖昧すぎな上にインタビューとかでの発表しかないから知らんやつのほうが多い

            知らんやつ多いからどうでもいいと思われてるって思っちゃうのはおかしい
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 00:30
          • 設定を知っていれば知っているほど書きにくい、読んでてもひっかかるのが二次創作ってもんよ
            SSは名前と顔くらいしか知らない方が一番楽しめるのかも知れん
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 00:34
          • 5 丁寧でいてちょっと驚くほどぶっ飛んでる展開、こういうの大好きだ
            某傑作SSを量産してた書き手さんを思い出すけど違う人かな
            どっちにしろ物語に引き込まれる
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 07:59
          • ※11
            うろたんの言うことがそのつど変わるから設定が定まってないのも多いんだよな
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 13:04
          • キリカが活躍している
            それだけでこのSSを読むには十分な理由だ
            さやかが主人公としてこれだけ活躍する話も稀少
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 19:22
          • ※8
            一応虚てんてーは一ヶ月たたないとーとは言ってる
            あとゲームは虚シナリオほとんど監修してない罠かつ本編とは一切関係ない発言あり・・・なんのためのゲームだ!

            しかし過去組のキリカ、杏子、ゆまが一年の経験値積みのせいでてループ後の杏子が弱く見える不思議!
            ゆまのおかげで過去編で杏子が固有魔法使えるようになってるのも大きいかな
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:25
          • ※14
            最近の一番ぶっ飛んだ虚淵発言は
            ほむらは他のキャラを苦しめるために作った云々だな

            前のインタビュー発言と微妙に矛盾してるキガス
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:30
          • ※17
            言っちゃ悪いけどキチガイじみた発言だな
            性根が腐ってるというか・・・人格を疑う
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月09日 20:35
          • ※18
            恐ろしいのは原文のままだと(笑)
            とか最期についてるんだぜ・・・

            (虚)優しくやわらかいキャラデザインの女の子をボロボロに傷つけるため、ほむらを提示しましたね(笑)

            あれ・・・最初の方のインタにハッピーエンド目指してたとかいってなかったっすか!? ねぇ虚先生!?
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月10日 00:45
          • ソロモンの悪夢かと思ったら違った
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月11日 01:59
          • つい読み耽ってしまったwww
            さやか目線の話は面白い
            崩壊見滝原はラクーンシティで変換した
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月11日 07:42
          • 5 管理人乙です.まさに俺好みのさやかちゃんSSだ!長いけど読みがいがある!いざ,後編へ...眠いw
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月12日 06:09
          • 読み終わったけどまさかの4人組だったな、外伝組と本編組の関係とか結構いい感じだったし要所要所に燃える展開があってヤバかった

            ……さやかの思考がちょっと切嗣っぽいとは思ったがまぁどちらもウロブチたがら違和感は無いなw
            "魔法少女は魔法以外には~"は実際あり得そうだし……対策している子の方が少ないんじゃなかろうか?
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年07月13日 12:26
          • 5 超熱い。やっぱさやかちゃんは主人公気質あるよな。本編じゃ、不幸かつ不遇だったけど、正義を貫こうとする姿勢は崩さなかった。やっぱりさ、愛と正義が勝つストーリって良いじゃん?
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年08月21日 12:32
          • ※18 物語を作る上で必要な事だろ…
            現実の人間に言ったなら分かるが自分が作るキャラの設定を語って人格疑うとかキチガイとかおまえの方がこえーよ、大袈裟すぎ
            物語に人殺しを登場させてそのキャラを語ると性根が腐ってる事になるなら創作者は皆キチガイだな
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月07日 13:06
          • 全てを知り、覚悟を決め、強くなったさやかはこうも頼もしいものか。
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年12月15日 23:06
          • さやかは主人公補正のない主人公とか言われてたしこの展開は燃える
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月21日 02:31
          • 久し振りに読み返したけど面白い。
            てか最初の時間軸、銀行強盗が出たり無差別さつじん出たりと物騒だな
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月27日 03:27
          • 5 なにこの円環さやか並みのできる青


            まあ虚淵もだけど竜騎士やZUNみたいなそこそこ名のある同人作家(同人レベルなので名前あげさせてもらったがプロとして活動してる人にもいる)も設定は曖昧にわざとしたりしてるけどね、意外と矛盾点まとめると解釈の仕方によってはまとまるもんなんだよね
            考察厨()共はその点上手いからみて納得できる案を採用するかこまけえことはでスルーしなwww
            まどポは設定の補足と矛盾両方あるがまどポ基準だとキャラ強さ議論スレのゴミ共がキレそうだよなーデミ下げするクズばかりだし
            まあスピンオフ(おりマギとか)まで同人扱いする低能もいるからきにすんなやwww
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月21日 13:41
          • 少年漫画的なのは多いけどこれは青年誌みたいだな

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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