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メイド「お帰りくださいませー♪」【後編】

570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 01:27:09.20 ID:rAuc5m7bo

嘘…だろ?


メイド「お帰りくださいませー♪」【前編】



587:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:44:30.21 ID:/R38RgQ1o

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   五十七日目・深夜 病院

男「ここ、だな。店長が運び込まれた病院」

メイド「……店長」

男「この時間じゃ、表は閉まってるな。
 裏に回ろう」

メイド「はい」

 とことこ

 とことこ



588:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:44:57.34 ID:/R38RgQ1o

メイド「……実は、深夜の病院に来るなんて、初めてで」

男「俺は――二回目かな。
 俺をよく使ってくれる編集さんって人が一回、盲腸で運ばれて。
 実は、妹も一回あるんだよ」

メイド「妹ちゃんも、ですか?」

男「ウチの両親がさ、とんでもないロクデナシだったんだよ。
 妹は、年中両親が互いを罵りあう怒鳴り声が響いたり、
 物を投げつけあったりするような環境で育ってな。

 ある時、それがたまらなくなったんだろうな、
 その喧嘩の間に割って入って。
 頭に六針縫う怪我だったよ」



589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:45:23.56 ID:/R38RgQ1o

メイド「そんな、そんなの」

男「ソレが最後のきっかけで、二人は出てったんだ。
 最低限の金だけ入れて、完全に放棄さ。

 残されたのは高校に入っていた俺と、妹。
 さらに、妹に残された傷は頭の縫い痕だけじゃない。
 今でも、大きな音がすると、身をすくませて怯え続けたり、
 会話のキャッチボールに多少不便が残ってる」

メイド「あの口調は、端的だから、性格かなと」



590:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:45:50.89 ID:/R38RgQ1o

男「違う。いや、そうかもしれないが、そうなったのは事件後だ。
 自分がきっかけになって、両親が帰らなくなったと知ったとき、
 アイツは心を閉ざしてな。
 ずっと閉じこもって、会話もしなくなった。
 できなくなったんだ。

 ただ、それでもアイツは努力家だったよ。

 情けない話だが、接し方が分からなくてさ、
 俺は妹も含めた家から逃げるように、バイトを続けてたんだ。

 それなのに、俺が落ち込んだとき、
 わざわざ俺を慰めるために、部屋から出てきてくれたんだ。
 家族が原因で、そんな風に閉じこもらないといられないようになったのに、
 家族の、ほったらかしだったダメ兄貴の俺に、そんな応援をしてくれた。

 なんかもう、自分の不甲斐なさが情けないやら悔しいやらでさ」

メイド「……」



591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:46:19.61 ID:/R38RgQ1o

男「ちゃんと人の顔を見て対話したり、
 学校に行けるようになったり。
 精神科医が、ムリをしすぎじゃないかって心配するくらい努力して、
 妹は、今の妹になったんだ。
 まだあんまり、表情とかは苦手みたいだけどな」

メイド「……大切、なんですね」

男「ああ、大切だよ。
 っと、店長の病室はココか」

 こんこん



592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:46:46.71 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「はい?」

男「失礼しまーす」がちゃっ

メイド「失礼いたします」

店長「よーう! 暗い顔しやがって、どうした。
 初めての二人の店番に疲れたか?」にかっ

男「……」
メイド「その、車に引かれたって……」
男「意識不明の重態って」



593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:47:19.48 ID:/R38RgQ1o

店長「はっ。俺が車に引かれたくらいで、どうにかなるかよ。

 とはいっても、右手は職人の命だからな。
 なんとか、かばったんだが――
 左腕を折るハメになったし、ついでに脳震盪起こしてよ。

 それをポニテが死んだのなんだのと大騒ぎだ。
 医者まで大げさに包帯巻いて、
 まいったぜ」ふりふり

ポニテ「むぅー」



594:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:48:05.66 ID:/R38RgQ1o

男「その、そんなに問題ないって言ってますが、
 どれくらいで治ります?」

店長「全治三ヶ月の骨折らしい。
 ちょっと折れ方が悪かったとか言ってたが、まあ問題ないだろ」

メイド「えっと、どんな意味で問題ないんですか?」

店長「店を続けるのに、だ。
 もっとも、俺がこの腕じゃ、店の商品もいくつか出せないからな。
 しばらく休業か……」

メイド「……もうちょっと」

店長「ん?」



595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:48:34.29 ID:/R38RgQ1o

メイド「もうちょっと、御自分をいたわってください」うるうる

店長「あー、すまん……
 その、珍しい体験をしてな。
 痛いとか辛いとかより、テンション上がっちゃってよ」

男「ぷ、く、ははは、店長らしいですね」

メイド「男さんまで……」

ポニテ「……たぶん、この二人だけじゃなくて、
 男性って、そういう生き物なんだと思う」

メイド「はぁ……」



596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:49:02.01 ID:/R38RgQ1o

店長「ああ、んで、さっきの話の続きだ。
 店が開けられないってのと合わせて、
 話していたホテルの件、あれは断ろうと思ってる。

 ポニテとお前達に任せる事も考えたが、
 ホテル側から提供して欲しいって希望の中には、
 エクレアをはじめとした、俺が出していたものがあるからな」

メイド「ソレに関しては、少し残念ですけど、問題ないですよ。
 命があっただけ、良かったです」



597:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:49:29.93 ID:/R38RgQ1o

店長「大げさだっての。
 男も、悪いな、送別会代わりなんて言ってたのによ」

男「…………」

店長「不満か?」

男「え、あ、はい?」

店長「なんだ、俺が無事だと分かって、そんなに気が抜けたか?」

男「いえ、月がきれいだなーと」
店長「俺の怪我より月のが大事か!」

男「……たまには、仕返ししてみたくなりまして」にやり



598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:49:58.73 ID:/R38RgQ1o

店長「ったく。ウチの店にはロクなやつがいねえ」
メイド「筆頭が何をおっしゃいますか」

店長「ま、そんなわけだが……
 何か質問とかあるか?」

メイド「そうですね。
 休業期間の見の振り方など、少し考えてから相談したいですが、今は」

男「あの、そのホテルの話を断る件についてですけど」

店長「ん?」

男「明日一日、待ってもらえませんか?」



599:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:50:25.89 ID:/R38RgQ1o

店長「待ってどうするんだ?」

男「俺なら、もしかしたら、断らなくてよくできるかもしれません」

店長「……そうか。わかった」

ポニテ「でも、店長」

店長「男が言うんだ。何か考えがあるんだろ。
 それに、一日なら遅れても構わんだろう」

男「たすかります。それから、
 これ、忘れないうちに渡します」

店長「ん? そりゃなんだ?」



600:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:50:53.01 ID:/R38RgQ1o

男「店長の机の上に有った、読みかけっぽい料理雑誌です。

 入院中は暇だって、いぜん入院した知り合いが言ってたんで、
 花束とかケーキよりはコレかなと。

 ま、元気じゃなかったら持って帰るつもりでしたが、
 置いていっても良さそうなので、渡します」すっ

店長「ほー、さすが、気が利くな」ごそごそ

店長「……ま、とりあえず、今日はそろそろ遅い。
 お前らはどうするんだ?」



601:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:51:20.48 ID:/R38RgQ1o

男「あー、外に出てから話そうと思ったんだけど、
 メイド、ウチにとまらないか?

 妹が会いたがってるし、この時間じゃ電車もない。
 タクシーで帰るなら、この病院からなら、
 ウチの方が近いしな」

メイド「はい、いいですよ。
 私も今日はなんだか、妹ちゃんで遊びたい気分です」

男「ちょっとまて、ウチの妹はオモチャじゃないぞ」

メイド「すみません、目的語が欠けていました。
 妹ちゃんと男で遊びたい気分です♪」

男「二対一とは卑怯だな……」

ポニテ「はいはい。
 夫婦漫才は帰り道でやってもらいましょうか」



602:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:51:47.85 ID:/R38RgQ1o

男「あー、ポニテさんはどうします?」

ポニテ「んー、お店はどうしてきた?」

男「雨戸まで閉めて、
 『店長の入院によりしばらく休業いたします』とだけ」

メイド「大した事がなかったら、始発ではがすとして、
 念のためにそうしてきました」

ポニテ「うんうん、頼りになるー!
 それじゃ、私は今夜はちょっと、
 この部屋に泊まっていこうかな。
 看護師さんのお尻を追いかけないように見張らないと」



603:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:52:13.71 ID:/R38RgQ1o

店長「お、おいおい。
 それができなきゃ、何のための入院だか」

ポニテ「……」にこっ

店長「……大人しくします」

メイド「それじゃ、本家夫婦漫才にあてられないうちに出ましょうか」

男「そうしよう」


 とことこ

 ぱたん



604:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:53:02.13 ID:/R38RgQ1o

店長「……」

ポニテ「……ホントに、良かったの?」

店長「なにがだよ」

ポニテ「全身五箇所も骨折。
 全身打撲。
 ねんざ、すり身……
 頭のソレも、手術までして……」

店長「問題ねぇよ。ちょっと伝え忘れただけだ」

ポニテ「わざとらしいなーもう」

店長「心配させるような必要はねえよ。
 本当に、命に別状ってほどじゃねえんだ」



605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:53:31.80 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「……あんなに頭から血を流したのに」

店長「頭は流血しやすいんだ。
 脳震盪なのも間違いじゃない。
 そこまでのことじゃないんだよ」

ポニテ「だったら、なおさら言っても」

店長「そういうのは粋じゃねえだろ?
 ま、気にするなよ」

ポニテ「むうー」

店長「お、そうだ」ごそごそ

ポニテ「なに?」



606:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:53:58.50 ID:/R38RgQ1o

店長「あのな、コレ、受け取ってくれねえか?」ぽいっ

ポニテ「これ? って、え、えええ?!」

店長「静かにしろよ。夜の病院だぞ」

ポニテ「だ、だ、だって、これ、指輪!」

店長「婚約指輪ってやつだ」

ポニテ「そ、その、これを私に? なんで?」



607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:54:26.98 ID:/R38RgQ1o

店長「……その、な。
 ずっと前から用意は有ったんだ。
 いつ言おう、いつ渡そうってのは」

ポニテ「う、うん」

店長「だがなぁ、店も忙しかったし、
 去年はメイドが来てから客が減ったり増えたりしたろ?」

ポニテ「あー、うん。
 メイドちゃんのメイド姿を目的にね。
 独特の空気のお客様が」

店長「それを怖がった常連さんが減っちまってな。
 収入はゆるやかに下降線をたどり」



608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:54:58.63 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「二人でこっそり、解雇するか話したよね」

店長「まあ、そんな騒ぎもあったし、
 とにかくイロイロで渡せずに、
 あのレシピノートと一緒に引出しに入れてたんだ。
 それを、気を利かせた男が持ってきたらしい。袋に有った」

ポニテ「……」

店長「こうやって一度、
 『ああ、俺、死んだなー』って体験すると、
 後悔がいくつもあるのな」

ポニテ「……そっか」



609:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:55:31.96 ID:/R38RgQ1o

店長「その一番がコレだ。
 ポニテに求婚してない、ってな。

 なんだかんだ、長く隣にいる。
 寂しい夜はまあ、それなりのこともした。
 そんな、なんだかんだがあったのに、
 いや、あったからなのか。

 結局のところ、ズルズル来たわけだ」

ポニテ「……」

店長「で、こないだの発言だ。
 あの挙式の時、迷ったんだ、かなりな。
 俺がいるって、言うかどうか。

 ただ、もっと場所と言葉と時間を選んで、
 ちゃんとした形で、
 俺から伝えるのが正しいと思ってよ」

ポニテ「こんなの、ちゃんとしてないよぉ……」うるうる



610:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:56:10.88 ID:/R38RgQ1o

店長「ちゃんとしようとしたら時間がかかるだろ。
 それじゃ、もしかしたら間に合わないって事に、
 こんな年齢になって、死に掛けなくちゃわからんかった。

 だから、まず渡してみた。
 文句があるなら聞いてやる。
 そんで、ポニテ好みの方法で、改めて渡す」

ポニテ「改めて渡すって、なんだよぉ……」ぐしぐし

店長「……こい」

ポニテ「……」ぐしぐし

店長「……」がばっ

ポニテ「……」きゅっ

店長「なあ、これからも、俺と居てくれよ」



611:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:56:37.73 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「うう、しまらないよぉ」ぐしぐし

店長「しょうがねえ。
 ポニテがわざわざ追っかけてきたのは、
 そんな男なのさ。
 違うか?」

ポニテ「せめて、もうちょっと、
 キメられる人だと思ってた……」

店長「そいつは残念だ。
 これでも精一杯キメたつもりなんだが」

ポニテ「全然、だめだもん……」ぎゅーっ

店長「そうか、だめか」



612:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:57:12.86 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「だめだよ。だめだめ。
 でも、いいよ……しょうがない」じっ

店長 なでなで

ポニテ「ん……」

店長「生まれ変わったら、
 今度はかっこよくやってやらぁ」

ポニテ「……期待してる」きゅっ

店長「よし、そんじゃ手、出せ」

ポニテ「はい」すっ



613:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:57:39.61 ID:/R38RgQ1o

店長「あー、あれだ。
 大切にしてやるよ」

ポニテ「……ばか」

店長「ココはこう、なんかソレっぽいこと言えよ」

ポニテ「……ばーか♪ ふふふふ」

店長「あーもう知らん。てい」ずぽっ

ポニテ「しょうがないから、大切にされてあげる」

店長「おう。
 俺も賞味期限はとっくの彼方だ。
 良くないものにあたったと思って、諦めてくれ」

ポニテ「ホントに、ばーか♪」ちゅっ♪



614:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:58:05.60 ID:/R38RgQ1o

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   五十八日目・朝 女の家

 prrr prrrr

女「ん、んー」ぺたぺた

女「んー」ぎゅっ

女「……電話? 男から?」

女「はい、もしもし」

男<どうも、お世話になってます>

女「こちらこそ」



615:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:58:32.40 ID:/R38RgQ1o

男<あー、その。ちょっとだけ良いか?>

女「なに?」

男<ちょっと話したいことがあるんだが、
 部屋を訪ねさせてくれないか?>

女「男にしたら、すごく、強引ね」

男<ちょっと事情があってな>

女「……しかたないか。
 二時間後に、部屋まで来てくれれば。
 昼には仕事で動くつもりだから、ソレまでだけど」

男<問題ない。じゃ、それで頼む>

女「はい。また後で」

 つーつーつー


女「ホントに、男らしくないというか」

女「何か焦ってる?」



616:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:59:03.74 ID:/R38RgQ1o

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   五十八日目・昼前 女の家

男「お邪魔します……」

女「その、散らかってるけど」

男「急に来させてもらって、ごめん」

女「まあ、大事な話っていうなら仕方ないから。
 椅子にかけてて。
 いまお茶を出すから」

男「あ、お構いなく」

女「たいしたことじゃないし……
 はい。お茶菓子は、一応これくらいなら」

男「ありがと。
 あんまり時間がないんだよな?」



617:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 21:59:32.85 ID:/R38RgQ1o

女「まあ、うん。
 予約とか入れてないし、そこまで急ぐほどじゃないけど、
 今日はちょっと遠い店に行く予定だったから」

男「……そっか。
 その、単刀直入に入ろうと思う」

女「うん」

男「きみに、ケーキを作って欲しい」

女「……私に?」

男「実は昨日、店長が交通事故にあったんだ」

女「っ、それは、大丈夫だったの?」

男「んー、ちょっと空元気って気もしたけど、
 空元気でも出せる程度には元気だった」

女「そっか、よかった……」



618:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:00:04.78 ID:/R38RgQ1o

男「それで、ミンドロウで受けていた、
 あるホテルの仕事があるんだけど、
 店長が左手を骨折してて、製菓が出来ない状態なんだ」

女「それで、私に?」

男「きみなら、出来ると思って」

女「なんか、前にも男にはケーキを作って欲しいって、
 頼まれた気がする」

男「アレルギーの時に、一度」

女「その時にも、私は断ったわ」

男「……」

女「今回も、断る」

男「それはどうしてか、理由を聞かせて欲しいんだ」

女「……引退してるからよ。
 製菓業界から」



619:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:00:31.17 ID:/R38RgQ1o

男「たしかあの時、私には作れないと、そう言ったね」

女「聞こえてたの?」

男「微妙に、だけど、記憶に残ってた。
 なんで作らないじゃなくて、作れないなのかって」

女「別に、そんなのはたいした違いじゃないでしょ」

男「いや、違うはずだ」じーっ

女「そんなの」

男「きみは、『女』っていう名前じゃないから」

■「……」



620:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:00:56.90 ID:/R38RgQ1o

男「ずっと疑問だったんだ。
 最初に話をしたとき、俺の中に何かが強く引っかかった。
 それが何なのか。
 俺は、きみの、技術に対するプライドの高さだと思っていたんだ。
 作り手としての誇り。
 簡単に知った気にならないで欲しいという言葉を、
 そういう意味で捉えていたんだ」

■「そういう意味で、言ったのよ」

男「だが、それだけじゃないはずだ。
 なぜならきみは、作り手じゃないから……」

■「いい加減にしてよ! なんなの、いきなり人の部屋にきて」

男「きみが俺の代筆を断ったときに、
 たしかこう言ったんだ。
 『私の名前を任せられない』って。
 それが、俺の中でずっと引っかかってたんだ」

■「それのどこがおかしいのよ」



621:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:01:22.96 ID:/R38RgQ1o

男「名前を一つのブランドとして考えれば、確かに間違ってない。
 だから俺もずっと、きみが見せたその瞬間の表情と、
 言葉の内側のずれに、気付けなかった。

 あの時君は、自分の名前を汚されることを嫌っていた表情じゃなかった。
 あれは――名前への、愛だった」

■「自分の名前が好きで、何か悪い?」

男「好きか嫌いかじゃない。
 その名前と、その名前を持っていた人への特別な思いが、
 そこに現れていたんだ。
 そしてその名前は」とことこ

■「ちょっと、勝手に触らないで!」

男「この人の名前だろ。
 きみの隣に写って、楽しそうに笑っている、天才パティシエの『女』さんだ」

■ ばっ



622:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:01:52.64 ID:/R38RgQ1o

男「編集さんの伝手を総動員して探して貰ってたんだ。
 『女』さんの、まだパティシエだった頃のインタビューを。
 そこに何か手がかりがあると思って、見つけたよ」

■「……」

男「双子の姉妹がいると。
 そして、ずっとひきこもっていると」

■「私は、ひきこもりなんかじゃない」

男「ひきこもり、だったろ?
 わかるんだよ。
 きみは妹にあってるから、もしかしたら分かってるんじゃないか?
 妹も、自分の世界に、部屋の中にひきこもって、
 過ごしていた時期がある」

■「そんなのが、何よ」

男「喋り方、目の配り方のように、
 それとない仕草が似てるんだ。
 狭い部屋の中で暮らしていたから、体の動作が小さい。
 心を閉ざしていたから、人と話すときについ眼をそらそうとする。

 一概に言える特徴じゃないから、
 雰囲気という言葉が相応しいわけだけど、
 きみの雰囲気は、閉じこもっていた妹と、同じなんだ」

■「そんなの、ただの勘でしょ」



623:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:02:20.07 ID:/R38RgQ1o

男「いや。それだけじゃない。
 俺は、きみのお姉さんが死んだ場所まで行って、
 当時事件を担当した婦警さんと、話もしてきた」

■「なんで、そんな事」

男「……今回請け負った小説で、
 俺は、それを書くつもりだった」

■「……人の、ヒミツを調べて、ばらして、気持ちいいの?!」

男「そんな理由じゃない。
 きみが見たがったからだ!
 きみが俺に、書いて欲しいと云ったんだ!」

■「そんな事、一度だって頼んでないわよ……」



624:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:02:47.01 ID:/R38RgQ1o

男「たった一言だったけど、頼んだよ。
 一日かけて、二人で歩いたあの日にね。
 にせものって」

■「……そんなの」

男「そして、俺に聞いたよね。
 にせものは幸せになれないのねって。
 俺はその答えを、小説という形で――
 店長達がケーキで、人の幸せを作るみたいに、
 俺は自分の書く小説で、きみの幸せを書いて見せようとしたんだ」

■「……なんで、」

男「昔の俺に、似てたからだ」

■「昔の、男?」



625:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:03:15.64 ID:/R38RgQ1o

男「その本……俺の書いたのを読んだなら、知ってると思う。
 俺が、一つの作品でいくつかの出版社をまたいで賞を取って、
 新世代の旗手なんて呼ばれていた事」

■「『名も亡き犬のレクイエム』」

男「あの時に話した、出版社によって作られた人気パティシエの話は、
 おれ自身の体験なんだ」

■「……」

男「その本自体は、たいした作品でもない。
 どこかで見たようなものの張りあわせだ。

 だが、当時の評価者の言葉を借りるなら、
 『たった一つ、人を引きずりこんで離さなくする言葉がある』と、
 そんな理由で、俺を人気作家の座に引きずりあげる計画が作られた」

■「そんな事が、本当にあるなんて」



626:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:03:42.49 ID:/R38RgQ1o

男「若い男の書いた、斬新な表現と人間らしさにあふれた作品、って言う評価だったか。
 その時はまるで夢のようだった。

 自分が作ったものが、まるでものすごく良いものだったように、評価されたんだ。
 評価者たちの言葉は、忘れたいのに、忘れられない」

■「……」

男「だが、そうして作られた新時代の旗手という名声は、
 その選ばれた理由によって、奪われた」

■「それは?」

男「たった一節。
 俺の中にあった、吐き出せない気持ち。
 どうしようもない憧れと、そこへの諦め。
 それを全部煮詰めて、作った言葉。

 『どうせいつかは後悔するんだ、どうせだったら、自分のしたい後悔を選べ。
 生きたいように生きて、●にたいように●ね。
 自分の選んだ後悔を抱いて、
 せめてその後悔を選んだ事だけ、後悔しないように朽ちていけ』」

■「まるで、死ぬために生きるような」



627:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:04:54.41 ID:/R38RgQ1o

男「ああ、当時の俺はそうだった。
 両親は毎日のように喧嘩を繰り返し、
 とうとう妹を死なせかけて、
 互いにバツが悪そうな顔をして救急車も呼ばずに部屋を出ていった!

 遺された妹を抱きしめても、返事もない。
 高校生だった俺は、たった一人の大切と思える家族を守りたいと思っても、
 ただ助けを待つことしか出来なかった。

 そんな、両親の身勝手さに、自分の弱さに絶望した!」ぜ、はぁ

■「……」



628:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:05:24.89 ID:/R38RgQ1o

男「そして両親は戻らず、妹と二人きりになった。
 しかも妹は、両親に殺されかけたことと、
 自分がその両親が出て行く契機になったことを悔やんで、
 部屋から一歩も出てこなくなった……

 兄として、男として、人として、


 崩れ落ちていく妹を前に、
 俺は何をすればよかったんだろうな。

 何も出来なかった。
 ただただ、壊れていく姿を前にすることしか出来なくて、
 とうとう俺は、生活費を稼ぐためなんてもっともらしい理由で、
 逃げ出したんだ。

 何日も家に帰らないで、
 一人ぼっちの妹を家において、
 忙しいから仕方ないと自分に言い訳をしていた。

 何のために生きるんだ?
 自分には何ができるんだ?
 どうしたら、自分を、そして妹を笑顔にできるんだ?
 どんな相応しい理由があって、
 俺も、妹も、笑顔をうばれなくちゃならなかった?

 毎日のように降り積もる疑問と、
 その疑問に答えが出ないことへの自己嫌悪だ。

 ●ねばいい。

 ずっとずっと、心の中でつぶやき続けていた。

 ●ねばいい。

 もう、この命になんて、何の価値もないって」



629:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:06:16.36 ID:/R38RgQ1o

■「それなのに、どうして小説だったの?」

男「……好きだったからだよ。
 家族がそんな風になる前は。

 いつもいつも、小説とかマンガを読んでいたんだ。
 こんな風に格好良い大人になりたい。
 人を助ける姿にあこがれて、
 笑顔を作る背中を追いかけて、
 頼りにされる人間になりたいと願った。

 俺にとって、小説の中の登場人物は……
 ひいては、小説そのものが、
 笑顔と、夢と、希望と、憧れの塊だった。

 だから、そんなある日さ。
 バイトを終えて深夜に帰った時、
 扉を開けて家に入ったところで、
 食事を取りに出てきていた妹の目を見て、思ったんだ。

 悲しそうで、苦しそうで、辛そうで、怯えて、
 何にも頼ることなんか出来ないと諦めながら、
 それでも何かに頼らないといけない自分を嫌悪した瞳だった。

 俺がたとえば抱きしめても、
 どんなに金を稼いで有名な医者に見せても、
 ここまで壊れたら、もう元には戻らないって、わかった。

 だから、決めたんだ。
 もしまだ妹を大切にしたいと思う心があるなら、
 ―― 小説を書こう、と。
 そんな力が、小説にあると思ったから。

 どんな方向にでもいい、
 生きる力を手に入れてくれるようなものを書きたかった。

 長い時間をかけて考えて、
 自分が本当は自由なんだって気付けるように、
 『今の状況が嫌だと思うなら、手段を問わない覚悟があれば変えられる』
 って事を、伝えるような内容を作ろうと決めて、
 一本だけ、妹のために、書いたんだ。

 もっとも、それが本当にそんな物を伝えられるか分からなかったから、
 とりあえずプロに見てもらおうと、
 選評(新人賞などで送った原稿に対する選者の意見)がもらえる賞に送ったんだ。

 そうしたら、それが大騒ぎにつながったのさ」



630:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:07:07.09 ID:/R38RgQ1o

■「妹ちゃんは、それを読んでどう?」

男「出版された本を渡して、読んでもらったよ。
 ……泣いてた」

■「……」

男「閉じこもっていた部屋から出て、
 俺の前に来て、
 悲しいことを云わないでほしいと、泣いたんだ。

 悲しい顔をしないで欲しいと思って書いた小説が、
 何より妹を悲しませたんだ。
 悲しみに沈んでいられないくらい強く……

 結果的には、妹はそれから徐々に部屋から出るようになった。

 学校の同級生だった子も会いに来てくれて、
 少しずつ勉強して、高校へも通える事になった。

 妹は、結果的に立ち上がった。
 ただ、そうじゃない人も居た。

 一時期、中高生の自殺が流行した時期があるのを、知ってるか?」

■「……そういえば、ニュースでちらっと」



631:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:07:39.66 ID:/R38RgQ1o

男「その中高生が読んでいたのが、俺の、その小説だった。
 暴力的な描写がいけなかった。
 軍や戦争を描いたのがいけなかった。
 不道徳的な言葉が使われていたと。

 とにかく理由をつけて叩くマスコミを前に、
 俺をその新時代の旗手として持ち上げようと考えた選者が、
 真っ先に俺を叩くほうに回った。

 お前が殺したと。

 人生を狂わせたと。

 責め続ける言葉に耐え切れなくなって、
 俺は、ペンネームを捨てて、書かないことを選んだ。
 はずだった」

■「それじゃあ、なんで今は、書いてるの?」

男「きっと、やっぱり小説が好きだからさ。
 どんな事を言われても、
 どんな結果を見せられようと、
 俺は小説を嫌いになれなかったんだ。

 そんなときに、今の編集さんと会ったんだ。
 大ファンです、どんな形でもいいから、書いてくださいって頼まれて、
 俺はその言葉に飛びついて、今に至るよ」



632:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:08:06.61 ID:/R38RgQ1o

■「……」

男「……これが、にせものの人気者になった、俺の話だ。
 ただまあ、付け加えるなら」

■「?」

男「どうやら、妹以外にも、少しは救えた人がいるらしい」

■「…………よかったね」なでなで

男「……俺の話は終わりだ。
 そして、俺は、こんな俺に、きみがどこか似てると思ったんだ」

■「……似てるといえば、似てるかもしれない。
 もう、全部調べたみたいだから言っちゃえば、
 そうです、私は『女』じゃないです」

男 こくり



633:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:08:36.85 ID:/R38RgQ1o

■「勉強も、運動も、製菓の才能も、
 人の何倍も持ってて、
 性格まで、妹の私がかなわないと思うくらい、
 ステキだったお姉ちゃん。
 私は周りから、そんなお姉ちゃんじゃなくて、
 でがらしみたいに何もできないアンタが●ねばいいのにって、言われたの」

男「そんな……」

■「だから、死んだ方を入れ替えたの。
 私が『女』になって、死んだ『女』が私だったことにして。
 お姉ちゃんの人生を汚さないように、
 ギリギリの線で生きてきたの」

男「それが、あの本か」

■「私には、お姉ちゃんみたいなお菓子は、作れないから。
 私でも出来そうなことを、
 食べる事をがんばった結果が、あの本」



634:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:09:05.91 ID:/R38RgQ1o

男「小説というものへの希望だけで、
 この世をふらつき続ける生霊と」

■「お姉ちゃんの名前を借りることで生きる意味を手に入れたのに、
 お姉ちゃんと同じことが出来ないから、
 この世をふらつくしかない生霊」

男「似てるだろ?」

■「……似てないよ」

男「……似てないか」

■「でも似てるかも」

男 そっ

■ きゅぅ

男 にこっ

■「……手、温かい」

男「……そっちこそ」

■「まだ、死んでないからね」

男「生霊、だからな」



635:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:09:48.64 ID:/R38RgQ1o

■「ただし、男には生きる手段があるよね。
 置いて来た名前でもう一度立ち向かうって、手段が」

男「きみだってある」

■「……本当に?」

男「君が、職人になればいい。
 本物に――本物以上になればいい。
 人を笑顔にさせるお菓子を作るんだ」

■「それは、『女』の言葉で」

男「違うよ。俺は、きみの真実を聞いた。
 『…………好きですよ。ずっと作ってましたから』
 ってね」



636:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:10:14.65 ID:/R38RgQ1o

■「だから、それは『女』としての言葉だったんです」

男「確かにそう聞こえるけどさ。
 きみの本を、書いた文章を読めば分かる。

 信じられないほどたくさんのお菓子と向き合ってきたこと。
 他の人が気付かないほど深くまで見つめてきたこと。
 そして、それを実際に作ってみたこと。

 あのノートに書かれていたお菓子は、
 全部ではないかもしれないけれど、
 作ったんだよな。
 すきだから」

■「……」



637:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:10:48.12 ID:/R38RgQ1o

男「あのお店で働いて一番思ったのは、
 自分はいままでいかに、
 味わう事を忘れていたか、だった。

 オリジナルのケーキを作ってみろって言われた時にさ、
 ふっと、浮かんできたんだ。

 ぷりっとしたハリのある果肉がたっぷり詰まった、
 甘い香りを漂わせる枇杷の、
 口の中一杯に広がる果汁と食感。

 どっしりとした甘みと共に、
 それでいてしつこく感じさせないさわやかな酸味、
 そしてぷちぷちと弾ける楽しい音の響きを持ったアンコール。
 
 口の中に二つの甘みの共演の中に、
 どんな味が欲しいだろう。

 そこには力強さが無くちゃいけない。
 このケーキ全体を包んで、
 香りも、甘みも引き締めた上で、
 全てを引き立たせる役者として、甘みと苦味の強いチョコレート。

 口の中で演奏されるフォルティッシモの交響曲は、
 たしかに力強く魅力にあふれているけれど、
 そればかりでは優しくない。

 そこで、甘さを控えた生クリームと、
 わずかながら絶妙に色調を変える効果を持つ、
 フランボワーズのムース……」

■ ごくっ



638:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:11:15.11 ID:/R38RgQ1o

男「そしてそれを作るときは、
 自分の中にある、こうしたい、という味とのすり合わせになる。

 どれだけの量の砂糖を加えるか。
 ペーストに使う果物の量。

 時にそれは食感のため、スポンジの硬さの調節だったり、
 生クリームの舌触りを合わせることだったりする。

 ただ、その自分の中にその味を、
 いかに正確に用意できるかは、
 今まで味わってきたものに、依存するんだ。

 自分の中の味の辞典をいかに充実させるか。
 それが、壁の一つなんだと、俺は思う」

■「……そして私は、
 『女』としての名前を守るために」

男「一万個のお菓子を食べた。
 その味の辞典を持っていて、
 美味しいお菓子が作れないなんて事はないさ」



639:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:11:51.28 ID:/R38RgQ1o

■「でも、私には絶対的な経験が、プロと比べたら少ないから」

男「なに。
 技術ならポニテさんが教えてくれる。
 俺も、メイドもいる」

■「……」

男「コレは、きみが、自分として生きるための、チャンスなんだ」

■「私が、自分として生きる」

男「俺の目の前にいるのは、誰だよ」

■「私は」

男「好きなんだろ、お菓子が。
 憧れてたんだろ、そのお菓子が作る笑顔に」

■「うん」



女「私は『女』じゃないよ。
 今度こそ自分の名前として、
 私は、女って、名乗る」



640:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:12:25.08 ID:/R38RgQ1o

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[追加シーン for 妹すきーたち]

   五十八日目・夜 男の部屋

男 ぎしっ

男「うー、つかれたー」

 こんこんこん

男「ん? 開いてるぞ」

 かちゃっ

妹「入るね」

男「どうした?
 珍しいな、こんな時間に来るなんて」



641:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:12:50.24 ID:/R38RgQ1o

妹「疲れて、見えたから」

妹 ぎしっ

妹「背中、向けて」

男「こうか?」

妹 ぎゅっぎゅ

男「おー、うわ、いたいなー。
 いたいけど、なんかほぐれてる」

妹「……今日は」ぎゅっぎゅ

男「ん?」

妹「女さんと、会ったの?」ぎゅっぎゅ



642:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:13:17.22 ID:/R38RgQ1o

男「ああ。
 店長が怪我した代わりに、
 うちの菓子を作ってくれないか、って」

妹「女さん、なんて?」ぎゅっぎゅ

男「最初は断られたよ。
 ただ、話し合って、作ってもらえる事になった」

妹「……その時に、昔の話を?」ぎゅっぎゅ

男「え?」

妹「男が、昔みたいな顔、してた」ぎゅっぎゅ

男「昔みたいって、どんなだよ」

妹「つらそうな顔。
 テレビで、叩かれたときの事、思い出した?」ぎゅっぎゅ



643:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:13:47.56 ID:/R38RgQ1o

男「あー、そこ、ちょっと痛い……
 思い出したし、話したよ」

妹「我慢。こりすぎ。
 ……ごめんね」ぎゅっぎゅ

男「うう、痛いことへのごめんねだよな?」

妹「……」ぎゅぎゅー

男「ぐはぁっ」

妹「あんな言葉を作るほど、
 追い詰めさせたこと」ぎゅっぎゅ

男「……たしかに、妹のためだったけどさ。
 追い詰めたのは、結果的に俺だよ。
 妹が追い詰められていく時に、何もできなかった」

妹「私を見て、辛そうな顔の男を見るのが、辛かった」ぎゅっぎゅ

男「……」



644:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:14:13.37 ID:/R38RgQ1o

妹「たがいに、しっぽをかんでた」ぎゅっぎゅ

男「そっか」

妹「……マッサージ、疲れた。
 体、癒された?」

男 くいっ、くいっ

男「おー、肩が軽くなった」

妹 こくり

男「マッサージ、うまいのな」

妹「コーチに習った」

男「そっか、体のメンテってわけだ」

妹「うん。……次は、心のメンテ」

男「ん?」



645:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:14:41.97 ID:/R38RgQ1o

妹 ごそごそ

男「なにしてるんだ? ベッドのなかでごそごそ」

妹「男も、ベッドの中に」

男 ごそっ

妹「……」ぎゅっ

男「え、もしかして、な、なあ。
 抱きついてくれるのは、嬉しいんだが」

妹「……抱きしめてる」

男「……抱きしめてくれてるのは、嬉しいが。
 なんで、裸なんだ? 裸、だよな」

妹 ごそごそ

男「ちょっ、人の服の中に入るなよ」

妹 ぎゅっ



646:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:15:13.34 ID:/R38RgQ1o

男「お、おい……」

妹「直接触れ合うと、癒されるって」

男「いや、癒されるというか、落ち着かない」

妹「落ち着けばいい」

男「……ムリだろ」

妹「なんで?」

男「いや、その。
 妹ももう高校生だからな」

妹「……」

男「出ているところは出ていたり、
 なんだりかんだり。
 ええい、何を言ってるんだ俺は」

妹 ぎゅぅっ

男「……」



647:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:15:40.01 ID:/R38RgQ1o

妹「兄妹」

男「……普通の兄妹はしないぞ? たぶん」

妹「仲のいい、兄妹」

男「そっか」

妹「温かい」

男「そりゃな」

妹「触れ合うって、幸せ」

男「……」おそるおそる、ぎゅ

妹「もっと」

男 ぎゅぅっ



648:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:16:05.82 ID:/R38RgQ1o

妹「腕の中は、落ち着く」

男「……そうか」なでなで

妹「気持ちいい」

男「撫でるの、うまいらしいな」なでなで

妹「よく分からないけど、幸せ」

男 なでなで

妹「……えい」さすさす

男「ちょ、おい、くすぐったいぞ」

妹「男の背中、大きい」

男「それはな。大人だし」



649:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:16:31.94 ID:/R38RgQ1o

妹「……抱きしめて、安心感」

男「そりゃ良かった」

妹「……なでて」

男 なでなで

妹 うと、うと

男「眠いか?」なでなで

妹「ん」うとうと

男「じゃ、そろそろ部屋に……」なでなで

妹「……今日はココで」ぎゅっ



650:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:16:58.31 ID:/R38RgQ1o

男「え、まさか」

妹「こうやって、寝る」

男「いや、それは兄妹でも」

妹「寝る」ぎゅぅっ

男「……今晩だけな」なで

妹「うん」

男 なでなで

妹 うと、うと

男 なでなで

妹 すぅすぅ

男「ありがと」



651:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:17:45.12 ID:/R38RgQ1o

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   五十九日目・朝 洋菓子喫茶ミンドロウ

ポニテ「……そっか、そういう事情だったんだ」

メイド「……」

女「その、ずっとだましてて、ごめん」

メイド「女さん」

女「はい」

メイド「改めて、よろしくですよ」にこっ

男「そんなわけで、
 味に関しては女がいれば完全に再現が出来るはずだ。
 後は、その味を再現するための技術を、
 付け焼刃だけど、身につけてもらう」

ポニテ「うわ、男くんって、実はかなりスパルタ?」

男「いえいえ、そちらのメイドに比べると、
 俺なんてとても優しいほうで」

メイド「む、私はいつでも親切で優しいですよ」

女「それは、ウソだと思う……」



652:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:18:11.27 ID:/R38RgQ1o

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   六十日目・朝 洋菓子喫茶ミンドロウ

ポニテ「そう、焼き菓子がその色になるタイミングは
 その日の温度、湿度によって変わるから、
 最後はきちんと自分の目で、
 思い描いた色になるタイミングでオーブンを開くんだよ」

女「はいっ」


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   六十一日目・昼 洋菓子喫茶ミンドロウ

メイド「飴は熱くても冷まそうとしたらダメですよ!
 その温度でも扱えるようになるまで、今日は特訓です」

女「はいっ」



653:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:18:41.81 ID:/R38RgQ1o

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   六十二日目・夕方 洋菓子喫茶ミンドロウ

男「そうそう、生クリームのデコレーションの終わりは、
 きゅっとひねって、すっと切る。
 この動作が体になじまないと、
 デコレーション自体できないよ。
 それから、手が触れてクリームが温まると緩むから、
 出来る限り触れる面積を減らそう」

女「はいっ」

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   六十三日目・夜 洋菓子喫茶ミンドロウ

ポニテ「違うよ。ビスキュイ生地を仕立てる時は、
 先にマヨネーズみたいになるまで、
 砂糖を入れた卵黄をしっかりとあわ立てること。
 それからメレンゲを立てて、卵黄とあわせるの」

女「はいっ」


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   六十四日目・朝 洋菓子喫茶ミンドロウ

メイド「マカロンを焼くときは、忘れがちだけど、
 途中で一度オーブンをあけて、
 中の蒸気を抜くのをわすれないでくださいね。
 それがさっくりとしたあの食感につながります」

女「はいっ」



654:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:19:07.52 ID:/R38RgQ1o

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   六十五日目・朝 洋菓子喫茶ミンドロウ


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   六十六日目・昼 洋菓子喫茶ミンドロウ


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   六十七日目・夕 洋菓子喫茶ミンドロウ


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   六十八日目・夜 洋菓子喫茶ミンドロウ


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   六十九日目・早朝 洋菓子喫茶ミンドロウ



655:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:19:33.65 ID:/R38RgQ1o

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   七十日目・深夜 洋菓子喫茶ミンドロウ

三人「「「いただきまーす」」」

男 さくっ、ばくっ、ばくっ

メイド くしゅ、まぐまぐまぐまぐ

ポニテ ざくっ、もっきゅもっきゅもっきゅ

三人 バタバタバタバタ

男「うまい! 本当にうまいよ、これ!」

メイド「クロワッサン、
 ショソン・オ・ボム(アップルパイ)
 エクレール・オ・ショコラ(チョコレートエクレア)
 この三つを食べることで、その職人の技量がわかりますが……」

ポニテ「ほんとに、店長が作ったのみたい……」



656:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:20:01.03 ID:/R38RgQ1o

女「出来るだけ、味の感覚は似せてみたけど」

男「正直言って、俺には違いがわからないくらいだ。
 初めて食べたときに、
 この店で働きたいって強く思ったときの、あの味!」

メイド「悔しいけど、私が作ったのより、上ですよ、これ」

ポニテ「うんうん。私もコレ、保証する。
 特にショソン・オ・ボムについては、
 店長以上の味だと思う」

男「……これなら、例のホテルで、文句なんか言わせないだろ」

メイド「ほんとに、これほど上達するんですね……」



657:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:21:05.63 ID:/R38RgQ1o

男「そりゃな。女の部屋は壁中全部、お菓子の本だ。
 そしてさらに、今まで他の誰よりも食べてきた経験があるし、
 こっそりと一人で作ってたんだ。

 基本、コツ、裏技、見た目の工夫、適切な量についての考え……
 そして何より大切な、お菓子を愛する気持ちと、
 それを食べた人に笑顔になってほしいという気持ち。

 必要なパズルのピースが全部あったから、
 後は手を動かしてハメていくだけだったんだよ」

女「その、手を動かすチャンスをくれたのは、男だけどね」にぱっ

男「俺は、ただ背中を押しただけだけどな」にこっ

ポニテ「あらら?」そーっ

メイド「むぅー……」

ポニテ「くすくす」

 
男「ホテルのレセプションまであと二日だ。
 万全に備えて臨もう」



658:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:21:37.09 ID:/R38RgQ1o

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   七十二日目・昼 ホテルラウンジ入口

女「いま、この扉の向こうに、大勢の偉い人がいて、
 さっきの戦場みたいな厨房で作られた料理を、
 たべてるんだよね」

男「そうだな。
 各界の著名人たちが並ぶ席だ」

女「その、本当に、大丈夫かな」

メイド「大丈夫ですよ。
 女さんの作ったデセールは、最高です」



659:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:22:00.49 ID:/R38RgQ1o

ポニテ「病院に持ってった時の店長の反応、
 見せられれば良かったですね」

男「どんな反応でした?」

ポニテ「そりゃもう、
 俺は今から退院する。
 負けてられねぇって言い出して」

男「まだ腕がつながってないのに……よくやるよ」

メイド「店長らしいですね、本当に、ふふ」



660:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:23:11.74 ID:/R38RgQ1o

女「……」

男「大丈夫。
 女がどれだけいっぱい食べたかも、
 どれだけ好きかも、
 俺達が知ってる」そっ

女 きゅっ

男 こくん

メイド「でも、職人の意地があるんで、負けたとは言いませんけどね」

ポニテ うんうん

男「デセールはそのテーブルの最後に登場する主役だ。
 この一皿が、その日を決める。
 食卓の最後を華やかに飾ってやろう」



661:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:24:05.48 ID:/R38RgQ1o

司会(扉の向こう)「それではそろそろ、
 お待ちかねのデザートを運んでいただきます。
 では、オープン!!」

 ずああっ

女「それじゃ、笑顔を作る仕事を、始めましょう」にこっ

 ぱちぱちぱちぱち



662:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:24:32.80 ID:/R38RgQ1o

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   半年後・夜 温泉宿

妹「……ないっていったのに」

男「どこがないんだよ。
 兄妹ではじめての旅行。
 紅葉の季節に山の中の温泉だ。
 最高だろ?」

妹「……ない」

男「だから何がないんだよ」

妹「……若さ」

男 ぐさっ

妹「……面白み」

男 ぐさっ

妹「……工夫」

男 ぐさっ



663:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:25:00.69 ID:/R38RgQ1o

妹「……でも、温泉は嫌いじゃない」

男「うう、なんか、涙がとまらん……」

妹「ご飯も、美味しかった」

男「ああ、確かに、山菜とか川魚とか、
 どれもすごい、幸せな味だったな。
 メイドと女も悔しがってるだろうな」

妹「お酒飲んで体調不良は、自業自得」

男「ま、明日には到着するだろ」

妹「今夜は、二人でのんびり」

男「そうだな」



664:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:25:42.78 ID:/R38RgQ1o

妹「男の再デビュー祝い。おめでとう」

男「ありがと。
 でも、女との共著って形だがな」

妹「それでも、先生の再デビューに喜んでくれた人もいる」

男「メイドな。
 騙しましたねって、まだ言ってるからな」

妹「知らなかったとはいえ、
 人生を変えた相手をこき下ろしてしまった、って」

男「あいつもひねくれてるからな。
 気にしてないとか、だましたわけじゃないとか言っても聞きやしない。
 挙句の果てに『ご主人さまになってください』だからな」

妹「メイドご飯はおいしいから、歓迎」

男「いや、いろいろまずいだろ」

妹「女も、いりびたり」

男「女もな。生き霊仲間だからって、もうほとんどウチに住んでるし」

妹「家族が増えて、うれしい」



665:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:26:13.61 ID:/R38RgQ1o

男「……そうか」

妹「でも、重婚は犯罪」

男「いや、そういう感情とか関係じゃないだろ」

妹「鈍感は罪」

男「さすが女子高生か、そういう話ばっかりじゃないよ」

妹「つける薬がない」

男「ま、それでも、
 みんな一緒に笑顔でいられるから、
 今は幸せだな」

妹「うん。ずっと一緒」

男「そうだな」

妹「~♪」

男「お」

妹「?」

男「今の笑顔、可愛かった」にこっ

妹「……ない」(/////



666:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:26:41.88 ID:/R38RgQ1o

------------------------------------------------------------
   半年後・深夜 温泉宿 

男 ぐぅぐぅ

妹「……」

男 ぐぅぐぅ

妹「……枕が違うと寝られないって、ホント」

男 ぐぅぐぅ

妹 じー

男 ぐぅぐぅ

妹 こそこそ

男「ん……」

妹 ぎゅうっ

男「ん?」



667:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:27:09.25 ID:/R38RgQ1o

妹「枕が違って寝れないから、腕枕」

男「……ん」すっ

妹 そっ

男 くぅくぅ

妹「……♪」

 がさがさ

女「もう寝てるよね……」ぼそぼそ

メイド「だから言ったんですよ、近道はダメですって」ぼそぼそ

女「でもほら、地図だと突っ切ればいけたし」ぼそぼそ

メイド「そういう時には大きい道で」ぼそぼそ

女「……しっ、もう寝てるみたいだから。
 布団敷いてあるし、寝ちゃおう」ぼそぼそ

メイド「そうですね。とりあえずたくさん歩いて疲れました……」ぼそぼそ



668:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:27:47.07 ID:/R38RgQ1o

女「……あれ? 布団は四つ。
 中身があるのは一つ……?」ぼそぼそ

妹「っ……」すぅすぅ

メイド「え、あ、妹ちゃん、ご主人様と寝てる……」ぼそぼそ
女「まあ、兄妹だし」ごそごそ

メイド「って、言いながらなんで女さんもご主人さまの横に!」ぼそぼそ

女「ほら、生霊仲間だから」ぼそぼそ
女「男の体温って、なんか安らぐなー」ぼそぼそ

メイド「……い、妹ちゃんが寝てるなら、どかして私も」ごそごそ

妹「……」すぅすぅ、ぎゅぅ

メイド「……離れない、くっ。女さん、私のとなりをくれてあげます」ぼそぼそ

女「遠慮しておく」ぎゅぅ



669:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:28:21.27 ID:/R38RgQ1o

メイド「私はメイドとして、温めて差し上げる必要があるんですっ」ごそごそ

女「いいよ、私が代わりにやっておくから」ぼそぼそ

メイド「いえいえ、生霊さんより私の方が」

男「……なあ、おまえら」

二人 びくっ

妹「……」すぅすぅ

男「なんで蒲団が人数分あるのに、ここで寝ようとするんだよ……」

女「それは、そのー」

メイド「[ピーーー]なら今しかないと思いまして☆」

男「……だ、だめだ。まだ妹が、一人立ちするまでは。
 って、妹まで来てるのか」

妹「……」すぅすぅ



670:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:28:47.93 ID:/R38RgQ1o

男「ほら、遊んでないでさっさと寝よう。
 明日は山菜取りの体験で朝が早いんだ」

メイド「うう、ご主人さまがなんだかつれなく……」

男「眠いしな。
 また明日もあるし、そのまた明日もあるんだ。
 ずっと一緒だろ?」

女「……うん」

メイド「ご主人様のお心のままに♪」

男「じゃ、ねる。おやすみ」

女「仕方無い、私も自分の所で普通に寝るよ。おやすみ」

メイド「ご主人様に怒られる前に、私も寝ますね。おやすみなさい」

三人 すぅすぅ

妹「……ケーキみたいに甘ったるくて、胸やけしそう」くすっ


Fin



671:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:29:20.79 ID:/R38RgQ1o

The ghost writer and ten thousand cakes is over.

Scripted by 1 ( @bienyaku

And Special Thanks for You.

The end of story.
But To be continued at The World.



672:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 22:30:35.60 ID:G1PvSiHho

え?


え?



673:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県):2011/03/23(水) 22:32:06.98 ID:rdfEcOGEo

あれ…
もう終わりか…



676:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/23(水) 22:36:33.53 ID:ExaP0wKgo

>>1乙!!!


ハーレムエンドはみんなが幸せでいいね



677:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/23(水) 22:47:27.94 ID:ehZNHtJHo

乙カレー、テンポもよくて良かったです!



679:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県):2011/03/23(水) 23:03:11.49 ID:rdfEcOGEo

乙でした~
次作も期待してるぞ



681:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県):2011/03/23(水) 23:03:17.90 ID:8Prk0SLSo


やっぱりハーレムエンドは最高だな



683:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 23:08:37.66 ID:VV9DjR4Yo

お疲れ様でしたー

ハーレムエンドのその先をくやしく



688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 23:43:47.42 ID:M6srnI6C0

乙です。超乙です。
すげえ面白かった有難う、有難う…!
そしてハーレムエンドとか何これ俺得すぎる。
幸せになれよ…メイド…(ノ∀`・゚・。いやもう十分幸せなんだろうけどそれ以上にな。



691:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2011/03/24(木) 00:31:40.48 ID:lcDlwOoOo

このスレ開いてよかった
しかし終わりか。寂しいな



698:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/03/24(木) 02:53:54.81 ID:RiH4fFo8o

おつかれ。

今回も楽しませてもらった



701:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 06:33:53.03 ID:WGiidnzDO

超乙です。
投下量も多いし、質の高い作品で、面白かったです。



704:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 15:48:36.94 ID:jUhw8a+00

激しく>>1乙!
すばらしい作品だった

日ごろの楽しみが一つ減ったが
それを差し引いても幸せな気分だぜ

良い作品をありがとう!



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         コメント一覧 (29)

          • 1.  
          • 2011年12月22日 10:46
          • 終わりか、少し寂しいな
          • 2.    
          • 2011年12月22日 23:02
          • これ読むの三回目だけどホントいい作品だと思う、、、SFロボの他に何か書いてないのかなぁ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年12月23日 01:54
          • 前も読んだけど、つい読み直してしまった。優しいお話だよね。辻村深月っぽい?

            ただ文体が気持ち悪いってか重度のオタク臭さがプンプンするにがすごい残念だ。
          • 4. フォルクス
          • 2011年12月23日 01:57
          • 5 凄く楽しかったです。
          • 5. 名無し
          • 2011年12月23日 02:35
          • 昔のママレを思い出した

            面白かった
          • 6. ななし
          • 2011年12月23日 05:19
          • 読めば読むほど御園るしあっぽかった
            表現の仕方とか出てくる人が本質的に似たり寄ったりな思考を持ってるところとか何度も同じ単語が出てくる辺りとか
            でも違う人だった‥(笑)

            とりあえず、好きだ
            シャワールームも読む
          • 7. 名無し
          • 2011年12月23日 09:07
          • 5 うまく言えんが「厚い」話だった
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年12月23日 10:30
          • 4 くそっ、ケーキ買ってきちまった
          • 9. こけ
          • 2011年12月23日 23:14
          • まとめ依頼した者ですがありがとうございます
            VIP以外なのに申し訳ないです
          • 10. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
          • 2011年12月24日 01:10
          • 5 乙!!
            世界観に引き込まれて、話終わって寂しく感じるssなんて久々だったぜ
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年12月27日 04:05
          • ケーキ食いてぇェェェ
          • 12. 名無し
          • 2012年01月02日 11:23
          • 5 面白い。最高
          • 13. ぴーぽこー
          • 2012年01月04日 14:36
          • 5 (つд`)暇つぶしに読んでみたら素晴らしい作品だった!ハラショー!
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年02月12日 02:13
          • 5 女もメイドも妹も大好きだったから、ハーレムハッピーエンドでほっとした。
            ミンドロウのメンツも大好き。お客さん含め。
            あと、男が煩悩を鎮めるために般若心経を唱えていたのが面白かったw

            御馳走様でした<(_ _)>
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年03月07日 07:36
          • 5 もうほんと感動して涙が半端ないです
            素晴らしい作品と作者にありがとう
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年03月12日 03:17
          • 5 うん、何回読んでも面白い。
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年04月16日 18:03
          • ちょこちょこ手直しすれば普通に売れるんじゃね?って気のする作品でしたね
            なんていうか、ご馳走様でした
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年04月22日 05:48
          • 5 乙でした
            ほんと泣きそうになってしまった
            ぜひまた何か書いていただきたい
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月29日 01:32
          • 5 涎が出てきた


            結局、男の仕事はどうなったんだろうか
          • 20. なぁし
          • 2013年12月24日 21:04
          • 5 続編希望って言いたい
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANT MANがお送りします
          • 2014年02月23日 21:55
          • 店長復帰後とか
            男と女のパートナーシップとか
            ホテルの話とか
            妹・女・メイドの三つ巴とか
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月26日 00:59
          • やー、最高
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年06月02日 23:57
          • 半年後~って出た時に「あ、投げたな」と思いました☆

            そこまではとても面白かったです。
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月11日 20:40
          • 4 とりあえずケーキ食べたい

            最後がちょっとぶん投げ気味かな……
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年12月08日 16:57
          • 男が店を辞めるとこ書いて欲しかったな
            あと欲を言えばメイドに人生変えてくれた作家だとバレるところも
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月11日 22:03
          • 5
            うむ
            うむ!
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年07月28日 02:11
          • 少しラノベっぽいな
            面白かったけど
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年05月02日 21:13
          • 俺が40ページをフルで、しかも何度も読み返すということはなかなかない。
            引き込まれる
            乙です
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年06月23日 17:44
          • やっぱり接客業って嫌だなあって思う

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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