魔王「病んでれ?」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:23:24.30 ID:2M9YCOHw0

昔々ある所に、悪い魔王が君臨しておりました。

魔王という職業は、つまりまあ悪いことをするのがお仕事ですので、悪い魔王であるのは当然でしたが……この魔王は特別度を超して、残虐な魔王でした。

あらゆる非道を尽くし、あらゆる生き物に恐怖を植え付け続けていました。

これまで幾度となく勇者を名乗る人間が、魔王に挑みました。

しかし魔王の力は強大で、誰一人として彼を倒すどころか、まともな傷を負わせることすら出来ませんでした。

これは、そんな風に恐怖を長く蔓延らせ続けた魔王のお話です。

話の始まりは、彼がついにこの世で最も恐ろしい悪事に手を染めてしまった、ある日まで遡ります。


ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れない



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:26:58.96 ID:2M9YCOHw0

魔王「お前がここに連れ去られてきた理由が、分かるだろうか?」

姫「……い、いいえ」

魔王「お前は人の国の中でも、最も美しく、最も気位の高い姫であると聞いた」

姫「そ、そんなことは決して」

魔王「あまり期待はしておらなんだが……確かに、噂以上の美貌だ。気に入った」

姫「え」
魔王「お前を、私のものにしよう」
姫「!?」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:27:36.09 ID:2M9YCOHw0

魔王「芯の強い女を力ずくでモノにする……ふはは……良い暇潰しにはなるだろうよ」

姫「…………」

魔王「ふっ。物も言えぬか。しかしお前に選択の自由は無い。私の意に沿わぬ場合、すぐさま命を」

姫「……分かりました」

魔王「ほう……」

姫「私は今日から、魔王様の物です」

魔王「ふむ、従順な女は好きだ」

姫「……本当ですか?」

魔王「ああ。せいぜい私に気に入られ、命を長らえるよう、努力するがいい」

姫「…………はい、魔王様」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:30:18.66 ID:2M9YCOHw0

魔王「うーん」

側近「どうなされました、魔王様」

魔王「いや。些細なことなのだが」

側近「もう小一時間ほど呻いていらっしゃいますが、本当にそれは些細なお悩みなのですか……?」

魔王「む……実はな……数日前、人間の姫を戯れに浚ってきただろう?」

側近「そういえば。良い玩具が出来たと喜んでおいででしたね」

魔王「ああ」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:30:55.45 ID:2M9YCOHw0

側近「では、お悩みとはその姫についてでして?」

魔王「そうだ。どうも少しばかり困っていてな」

側近「魔王様ともあろうお方が、たかだか人間の小娘一つ思いのままに出来ぬとは。余程強情な女なのでしょうね。ですが、それならそれで、無理矢理にでもモノにしてしまう楽しみというものが」

魔王「いや、その逆だ」
側近「……は?」


姫「魔王様ー!」

魔王「はあ……来たか……」

側近「はい?」



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:32:09.73 ID:2M9YCOHw0

姫「ああ魔王様!お久しぶりですわ!お会いできて光栄でございます!」

魔王「先程、お前の部屋に顔を見せに行った所だと思うのだが」

姫「二時間三十九分も貴方様の吐息を吸えずにいましたのよ。私もう少しで窒息してしまうところでした」

魔王「人間とはそのように特殊な呼吸方法で生きている種族だっただろうか」

姫「あら、魔王様ったら窒息プレイをご所望ですの?もう……それならそうと早ぐうう」

魔王「そのような特殊な性癖は生憎持ち合わせておらぬ故、自分で自分の首を絞める必要はないからな」

姫「げほげほ……きゃっ! 魔王様が私の手を取って直々に止めて下さるだなんて! これはもう真っ昼間から情事に励みたいという合図に違いありませんわね! 朝から寝室を整えていた甲斐がありましたわ! それでは早速」

魔王「それもないので、お前は大人しくしていろ。な?」

姫「はい! ちなみにこの場で押し倒して下さってもかまいませんからね魔王様!」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:33:52.53 ID:2M9YCOHw0

側近「……何なんですか、これは」

魔王「ああ、言っていた姫だ。部屋で大人しくしていろと言っているのだが、一向に聞き入れず、こうして私の部屋までやって来る」

姫「魔王様ぁあん♪」

側近「えっと……問題どころか、ベタ惚れに見えるんですけど」

魔王「いや、どうやらそのようでな。何故か気に入られてしまったようで、何とも附に落ちんというか……何故睨む」

側近「正直のろけ話に喜んで付き合える程、俺も出来た魔物ではありませんので」

魔王「のろけ……になるのかなあ、これは」



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:34:37.18 ID:2M9YCOHw0

姫「……あの、魔王様。そういえばこちらの方は」

魔王「ああ。言っていた、私の側近だ」

側近「どーも」

姫「貴方が側近様!お噂はかねがね伺っております。初めまして。私魔王様の」

側近「はいはい恋人」

姫「専用の……性欲処理道具でございます」

側近「へ」



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:35:29.64 ID:2M9YCOHw0

魔王「ああ、ちなみに、まだそういう風に使ったことは一度もないからな」

姫「もう。毎晩毎晩私が迫っているというのに、その気になって下さらないだなんて……」

魔王「お前を抱くと、何だか後に戻れぬ気がする」

姫「まあ魔王様ったらジョークも上手いんですから。でも、負けまわんわよ私!」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:36:04.76 ID:2M9YCOHw0

側近「何ですか、洗脳しすぎちゃったとか、そんな感じですか?」

魔王「いや、こいつは素でこうだ。変な女だろう?」

側近「変を通り越している気がするんですけど……」

姫「まあ……随分と仲がよろしいのですね、魔王様と側近様」

魔王「ああ。こいつは私の右腕だからな。付き合いも長い」

側近「まあ……確かに長いですねー」

姫「そうですの……」



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:37:20.01 ID:2M9YCOHw0

姫「では今後、よろしくお願い申し上げますわ」

側近「ああはい。よろしく」

姫「そして早速……さようならですわ!!」

側近「へ、う、わぎゃああああああ!?」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:37:47.66 ID:2M9YCOHw0

姫「ちっ……うまく避けましたわね!」

魔王「ああ、気をつけろよ。そいつ、常に刃物を携帯しておるからな」

側近「あっぶねええええええええ!!分かってるなら取り上げるなり何なりして下さい!ってか何故に!?」

姫「男とはいえ魔王様と深い仲だなんて許せませんわ……!私一人で魔王様の性欲処理が出来るだなんて、そんな思い上がりは致しません。魔王様がどんな者を慰み物にしようと、私は魔王様に何の恨みも抱きません……ですが!魔王様を誘惑する者など……万死に値しますわ!!」

側近「そして何か怖い事言ってるんですけどこの人!?どうにかして下さいよ魔王様!!」

魔王「おいこら。私を盾にするでない」

姫「なっ……何故そのような者を庇うのですか魔王様……!!」

魔王「うお」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:38:58.25 ID:2M9YCOHw0

姫の攻撃!

魔王に1のダメージを与えた!



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:40:39.80 ID:2M9YCOHw0

側近「なっ!?なんで大人しく刺されてるんですか貴方は!?」

魔王「いや。見ての通り、この程度の攻撃ならば、私はほとんどダメージを受けぬのでな。問題はないかと放置している」

側近「普通でしたらここでバッドエンドなんですけどね!?」

姫「いやあああああ!魔王様申し訳ございません!私また我を忘れて貴方様を殺ってしまおうとするだなんて……!」

側近「また!?」

魔王「まあ、本日十三回目の刃傷沙汰だが、気にすることではない」

姫「ああ……ありがとうございます魔王様……私のような婢(はしため)にすらお慈悲をかけて下さるだなんて、なんて優しいお方なのでしょう……お慕い申し上げておりますわ魔王様ぁ……」

魔王「分かった分かった。抱きつくな。ダメージ1とはいえ、傷に障るだろう」

側近「えっ、どうしてこの流れでいい笑顔が出来るんですか貴方」



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:41:47.15 ID:2M9YCOHw0

魔王「いや、これはこれで新鮮でありかと思ってな」

側近「恐らくほぼ確実に、それは錯覚でしょう」

姫「あら、側近様。今何かおっしゃいまして……?」

側近「あっ、あんたはいい加減刃物をしまえ!」

魔王「ふっ。都合のいい処理道具でいいと言っておきながら、私に対する欲が強いとは、やはり愉快な女だな」

姫「……私のこと、お気に召しましたか?」

魔王「ああ。しばらくお前で遊んでやるよ」

姫「きゃっ!魔王様ぁん♪」

側近「ええええええ」



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:43:02.56 ID:2M9YCOHw0

その頃、姫を浚われた城では。


勇者「あー……どうすっかね、マジで」


勇者が暇を持て余していました。

姫が誘拐されたということで緊急召集を受けた勇者でしたが、結局指令が出されることは未だなく、ずっと放置されたままでした。

それもこれも姫の素行の怖さから、王様達が救助を渋っているからに他なりませんでした。

勇者を呼んだのも、ひとまず国民へのポーズを取っておこうかという、雑な考えからでした。

しかし勇者にそのような事情が分かるはずもありません。

お城のもてなしは確かに心地よいものではありましたが、延々ニートを強いられているこの状況に甘んじているのも、いささかどうかと思われてきたようです。

勇者なので、その辺りの思考回路は真面目なものでした。



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:43:58.05 ID:2M9YCOHw0

勇者「はー……飯はうまいし、昼まで寝てても文句は言われないし、きれいなメイドはいっぱいいるしで言うことなしなんだがなあ……何で姫を助けてこいって言われねえんだろ」

勇者「おいそれと助けに行けない事情でもあるのかねえ。確かに魔王は強いって話だが……姫を助けて魔王を倒したとあっちゃ、俺の名声がますます上がっちまうな。うんうん、楽しみすぎる」

勇者「さてと。このままぐうたらしてるか、こっそり逃げるか、こっそり助けに行くか。いい加減決めねえとなあ、本当」

??「あの、すみません」

勇者「ああ?」


そんな風に腐っている勇者へと声をかけたのは、身なりの良い一人の青年でした。



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:45:13.34 ID:2M9YCOHw0

??「勇者様、でいらっしゃいますね?」

勇者「そうだが……あんたは?」

王子「僕は隣の国の王子です。姫が魔王に浚われたと聞きつけ参りました」

勇者「うお……王族の方でしたか!これは失礼しました」

王子「いえ、お気になさらず。しかし勇者様、どうしてまだこの城に留まっておられるのですか?姫の救出を頼まれたと聞きますが」

勇者「いや、それがまだ出発の命令が出ないんですよ。どうしてですかねえ」

王子「そう……ですか」



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:45:50.96 ID:2M9YCOHw0

勇者「あれ、王子。なんか顔色が悪いようですけど、大丈夫ですか?」

王子「あ、ああ平気です。それより、勇者様にお願いがあります」

勇者「何でしょう?」

王子「お願いします……命令なんて待たずに、早く姫を助けて下さい。彼女は僕の婚約者なんです」

勇者「な」

王子「こうしている間にも、姫が魔王にどのような仕打ちを受けているかと思うと僕はいても立ってもいられず……。ですからどうかお願いします。王様には僕から申し上げておきます。早く姫を……助けてあげて下さい」

勇者「あー、そういうことですか」



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/01(土) 01:46:54.59 ID:2M9YCOHw0

王子「お願いします!勇者様以外に頼れる人なんて」

勇者「分かりましたよ。そうまで言われちゃ断れねえ。喜んで行ってきます」

王子「本当ですか!?ありがとうございます!!」

勇者「まあ、そろそろ勝手に行っちまおうかと思っていたくらいですから。姫を無事お助けすることを誓います。そんじゃ、これから行ってきますわ。良い知らせを期待しといて下さいよ!」

王子「はい!よろしくお願いします勇者様!」



王子「はあ……これで良し、っと」

王子「正直、あれが虐げられているとは思えないけど……ここで死なれると、困るしなあ。不本意だけど」



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:02:09.28 ID:Ok64JyCV0

魔王「うむ……うむ」

側近「……最近、随分とご機嫌ですね」

魔王「ああ。聞いてく」

側近「嫌です」

魔王「む、つれないな」

側近「どうせまたあの女のことでしょう」

魔王「当然だ。あれほど面白い玩具は久々だからな」



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:03:10.55 ID:Ok64JyCV0

側近「聞かされる方の身にもなって頂きたいのですが……何ですか、また夜中目が覚めたら、刃物持ったあの人が側に立っていたとかですか?」

魔王「ああ、この前のあれは私が他の女を抱いていないか気になって、居ても立ってもいられなくなったらしい。どうだ、可愛い奴だろう?」

側近「そろそろ感性を疑いますね。で、今度は何なんですか」

魔王「うむ。私付きのメイド全ての首を切って欲しいと懇願しておってな。嫉妬心もここまで来るかといったものだ」

側近「ちょっ、一大人事じゃないですか。やめて下さいよ、そんな面倒なことは」

魔王「勿論だ。いくら何でも、断首台に送るには少々多い人数だからな」

側近「そっちのクビかよ畜生……」



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:04:04.03 ID:Ok64JyCV0

側近「聞かされる方の身にもなって頂きたいのですが……何ですか、また夜中目が覚めたら、刃物持ったあの人が側に立っていたとかですか?」

魔王「ああ、この前のあれは私が他の女を抱いていないか気になって、居ても立ってもいられなくなったらしい。どうだ、可愛い奴だろう?」

側近「そろそろ感性を疑いますね。で、今度は何なんですか」

魔王「うむ。私付きのメイド全ての首を切って欲しいと懇願しておってな。嫉妬心もここまで来るかといったものだ」

側近「ちょっ、一大人事じゃないですか。やめて下さいよ、そんな面倒なことは」

魔王「勿論だ。いくら何でも、断首台に送るには少々多い人数だからな」

側近「そっちのクビかよ畜生……」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:05:06.47 ID:Ok64JyCV0

おっと重複すまん。


魔王「とりあえず、常についている者を変えるという案で落ち着いた」

側近「何の解決にもなっていないような気がしますけど……それで本当にあれが満足したのですか?」

魔王「ああ、当然だ。そろそろ着替えて来る頃かと……来たか。入れ」

姫「失礼いたします、魔王様」

側近「へ? 何であなたそんな格好…………ああ」

魔王「何だその残念そうな目は。こいつがメイドになって私に奉仕したいとせがむから」

側近「はいはい。あーマジやってらんねー」



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:06:41.48 ID:Ok64JyCV0

姫「私、下女など初めての経験ですが、精一杯頑張りますわ。これなら公務中も魔王様のお側に置いて頂ける上、あらゆる場面でのご奉仕が可能ですものね。下とか、下とか、下とか……うふふ」

側近「顔赤らめて何言ってんだあんた」

魔王「とりあえず、まともな仕事から覚えていってくれ」

姫「はい!魔王様!まずは掃除から参りたいと思います!」

魔王「ああ。頼む」

姫「ええもう!私頑張りますわ!」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:07:47.50 ID:Ok64JyCV0

姫「私、下女など初めての経験ですが、精一杯頑張りますわ。これなら公務中も魔王様のお側に置いて頂ける上、あらゆる場面でのご奉仕が可能ですものね。下とか、下とか、下とか……うふふ」

側近「顔赤らめて何言ってんだあんた」

魔王「とりあえず、まともな仕事から覚えていってくれ」

姫「はい!魔王様!まずは掃除から参りたいと思います!」

魔王「ああ。頼む」

姫「ええもう!私頑張りますわ!」



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:08:36.50 ID:Ok64JyCV0

すんません連投しまくりだ…


側近「はあ」

魔王「どうだ、いい玩具だろう」

側近「え」

魔王「何だ」

側近「玩具なんですか?やっぱり?」

魔王「当然だ。飽きたら捨てる」

側近「その割に……妙に可愛がっていらっしゃるような」

魔王「何を言うか。雑な扱いをするとすぐ壊れ」

姫「まおーさまあん♪」



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:10:02.26 ID:Ok64JyCV0

側近「うわああああああ魔王様あああああ!?」

魔王「……なんだお前、いきなり」

姫「うふふ……ねえ魔王様……」

魔王「ちょっと待て、まずは話し合おう。私を連打で刺したところで何の解決も見えてはこないと思うぞ」

姫「では魔王様……これは一体、何でしょうか」

魔王「何ってお前、それはただの」

姫「お手紙ですわね……こんなに沢山、しかも女性から……魔王様ったらもう、本当に」



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:11:52.84 ID:Ok64JyCV0

側近「だっ、だから何で避けないんですか!?」

魔王「面倒だからに決まっているだろう」

側近「すみませんちょっと理解の範疇を超えています!」

姫「許せません!許せませんわこの女共!何ですのこの文面!『愛しています』だの『昨夜はお楽しみでしたね』だの、魔王様に色目を使うだなんて罪深い!万死に値しますわ!!今すぐこの剣で始末して回りたい気分です!!」

魔王「では、何故剣先を私に向ける」

姫「え?手近にいらっしゃったので」

魔王「ふむ、それは理にかなっているな」

側近「つくづく納得できる要素が見あたらない……!」



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:12:48.46 ID:Ok64JyCV0

姫「こうしてはおれません!今すぐこれらを燃やして参ります!」

魔王「ああ、別に構わぬが」

姫「ご心配には及びませんわ!名前などは後々のためにきちんと控えておきます!」

魔王「いや、火の取り扱いには十分注意しろと」

姫「では失礼します!!」

魔王「行ってしまった……」

側近「よ……よろしいのですか?」

魔王「まあ、これで彼女らとの縁が切れたとしても、遊ぶ女など他に腐る程おるだろうし」

側近「いつ死にますか?」

魔王「生憎その予定はない」



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:13:25.85 ID:Ok64JyCV0

魔王「しかしあの姫は面白いだろう?」

側近「はあ」

魔王「あれほど私を好くとは、多少予定は狂ったが、これはこれで」

側近「あれ、本当に好かれてるんですかね?」

魔王「……は?」

側近「『は?』って」



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:14:08.51 ID:Ok64JyCV0

魔王「しかしあの姫は面白いだろう?」

側近「はあ」

魔王「あれほど私を好くとは、多少予定は狂ったが、これはこれで」

側近「あれ、本当に好かれてるんですかね?」

魔王「……は?」

側近「『は?』って」



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:14:50.14 ID:Ok64JyCV0

姫「ただいま戻りました!」

魔王「む……ああ」

側近「ご苦労さーん」

姫「魔王様! 掃除は一旦片が付きましたわ! 次は不躾な女共を一掃」

魔王「待て。お前、その場で動くな」

姫「え」

魔王「顔に煤が付いている。拭ってやるから動くな」

姫「や、やだもう魔王様ったら……大胆なんですから……」

魔王「ああ、それと。女を討ちに行くその前に、部屋の掃除をもう少し念入りにやってくれると助かるのだが」

姫「はい! 了解致しましたわ魔王様!」

側近「はあ……もう好きにやって下さい。俺はちょっと城の様子を見て来ますんで」



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:15:34.21 ID:Ok64JyCV0

魔王「ふむ。今日は妙に突っ掛かってきたな、あいつ」

姫「きゃっ!側近様ったら、気を利かせて下さいましたのね!」

魔王「ではそういうことにしておくか。しかし、お前」

姫「あっ、掃除でしたら今すぐ」

魔王「いや、その……お前に二三聞きたいことがあるだけだ」

姫「あら、何でしょうか?」

魔王「言っておくが、他意はないからな。純粋にただ暇になったが故の……そう、余興とかその辺りの物だ」

姫「はあ」

魔王「お前は……その……」

姫「はい」

魔王「何故、私を好くのだ?」

姫「あら。魔王様がおっしゃったからに決まっていますわ」

魔王「何」



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:17:41.14 ID:Ok64JyCV0

姫「『私の物になれ』だなんて……今まで生きてきて、あれほど強引なお言葉を頂いたのは初めてでしたの。だから……私」

魔王「わ、分かった分かった。抱き付くな」

姫「きゃっ、私ったらはしたない所をお見せしてしまって」

魔王「……今の攻撃は何だ?」

姫「照れ隠し、というものですわ」

魔王「なるほど。しかし私はお前を浚った魔王だぞ?いいのか?」

姫「あら、ロマンチックではありませんこと?今も昔も現実も物語も、恋なんてアクシデントまみれでなんぼだとお聞きします。ならば拉致監禁から始まる恋があっても、よろしいはずでしょう」

魔王「異様に聞こえが悪いな……しかし、まあいいか」

姫「そうですわ!魔王様は悪逆非道を尽くし、私を精神的にも肉体的にも弄んで下さればいいのです!」

魔王「それは、まあ考えておく」



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:18:25.92 ID:Ok64JyCV0

魔王(惚れている……よな、これは本当に)

魔王(何だ側近の奴め。おかしなことを言いおって。洞察力が足りぬのではないか)

魔王(……まあ、別に、嫌われていようが、何も問題はないのだがな)

魔王(本当に、たかだか人間の女一人ではないか。何故私ともあろう者が……)

魔王(……うむ。気に入っているだの、そのようなことは……ないな)



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:19:01.93 ID:Ok64JyCV0

姫「どうかなさいましたか、魔王様」

魔王「いや、何。うむ。そうだお前、何か欲しい物はないか?」

姫「え?」

魔王「これからはメイドの仕事もさせるわけだし、何か褒美を取らせようかと思ってな。気まぐれに。他意はなく。何でも言え」

姫「魔王様の愛があれば、他には特に……」

魔王「具体的に残るもので頼む。服でも宝石でも、何でも構わん」

姫「どうしてそんなに必死なんですの?」

魔王「いいから。何か贈らせてくれ。でなければ私の気が済まん」

姫「そうですの? でしたら、少々お手間をお掛けしますけど……これを」



50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:20:29.81 ID:Ok64JyCV0

魔王「……何だ、この書類は」

姫「私……ここに魔王様のサインさえ頂ければ……もう他に何もいりません」

魔王「よく分からぬが、無欲な奴だな。そのようなことでいいのか?」

姫「勿論ですわ。さあ魔王様、ペンも朱肉もこのようにご用意しておりますので。さあ早く」

魔王「う、うむ。ほら貸せ」

姫「はいどうぞ♪」

魔王「では早速」



51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:22:17.50 ID:Ok64JyCV0

側近「魔王様ー」

魔王「む、戻ったのか側き」

姫「お死になさい!!」

側近「おっと。いい加減慣れてきたので、動じず避けれます」

姫「気を利かせたかと思いきや絶妙なタイミングを図って邪魔をなさるだなんて……!やっぱり側近様は魔王様のことを!!」

側近「絶対に無いので安心して下さい。魔王様を賭けても構いません」

魔王「おいこらお前」



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:24:21.75 ID:Ok64JyCV0

姫「魔王様に掛けるだなんて何て卑猥な……やはり貴方も魔王様の虜になっていらっしゃいますのね!?」

側近「……ちょっと何とかして下さいよ」

魔王「私は女にしか興味が無いから、安心しろ」

姫「『女』全般……ですって?」

魔王「い、今は女の内でお前にしか興味がない……から」

姫「まあ魔王様ったら♪愛しておりますわ♪」

魔王「あ、ああ……」

側近「そういうのは後でやって頂けますか。魔王様、急な仕事が入りました」

魔王「珍しいな。どのような仕事だ?」

側近「いえ……実は、勇者が攻めて来たようでして」

魔王「何」

姫「まあ……」



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:26:13.87 ID:Ok64JyCV0

側近「そちらの姫様の救助に来たようで。どうなさいますか?」

魔王「決まっている。私自ら捻り潰すまでだ」

側近「へいへい。それじゃあお願いしますよ。勇者を待ち構えるラスボスの間は、既に用意が整っていますので」

魔王「分かった。すぐに行こう」

姫「魔王様、私は……」

魔王「お前は自分の部屋に戻っていろ。決して私が呼ぶまで、決して出て来ぬように」

姫「……はい」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:27:10.28 ID:Ok64JyCV0

魔王「ふむ。手早く、なるべく圧倒的に、捻り潰してくれようか」

側近「随分とやる気ですね」

魔王「当たり前だろう。先日手に入れたばかりの玩具を、飽きる前に手放してなるものか」

側近「のろけですか?大体何なんですか、さっきから持ってらっしゃるその紙切れは」

魔王「む、これか。あいつの無欲の現れだな。何か欲しい物はないかと聞いてやれば、ここにサインが欲しいとだけ」

側近「あの。これ、婚姻届けなんですけど」

魔王「う……」



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:29:11.90 ID:Ok64JyCV0

側近「おお、他は全部自分で書いてますね。後は魔王様のサインで、どこに出しても恥ずかしくない夫婦の証に。こわいなーほんと」

魔王「あいつめ、このような物を……ふん。下らん」

側近「そう言うならこの場で破いて下さい。大事そうに仕舞わないで下さい」

魔王「の、後々何かに役立つやも知れぬだろう」

側近「はあ……それよりそろそろ来ると思いますから、ちゃんと準備して」



勇者「魔王覚悟ぉおお!」

側近「ほら、来ましたよ」

魔王「分かった分かった」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:29:50.90 ID:Ok64JyCV0

魔王「よくぞ殺されに来た。人間」

勇者「魔王!勇者たるこの俺様が直々に姫様を返しに来たぜ!手間掛けさせた詫びとしてとっととくたばるんだな!」

魔王「生憎だがそのような気遣いは出来」

勇者「姫には国で待ってる人がいるんだ!その人達のためにも、俺は決して負けらんねえ!」

魔王「何を言う、あれは私の」

勇者「天国から見ていてくれよ親父!あんたの残したこの剣で、憎き魔王を討ち取る俺の勇姿を!」

魔王「……えーっと」



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:31:34.33 ID:Ok64JyCV0

魔王「なあ。あれと会話が出来ぬのだが」

側近「勇者と魔王なんてそんなものです。ほら、とっととやっちゃって下さい。俺は後ろで見てますから」

魔王「ふむ、そういう物なのか……では、行くぞ人間」

勇者「望むところだっ!!」



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:37:23.51 ID:Ok64JyCV0

勇者「ぜぇ……ぜぇ……くっそ強ぇ……」

魔王「ふむ、まあ準備運動にはなったか」

勇者「くっそ……どんだけHPあるんだてめえ……桁いくつだ!?」

魔王「さあな。気長に測ってみてくれ」


魔王(なんだ、このようなものか)

魔王(勇者でこのレベルならば、人間共に姫を奪い返される心配はなさそうだな)

魔王(別にいなくなった所で何ら問題はないのだが)

魔王(ないのだが……人間に出し抜かれるのは不愉快だしな)

魔王(うむ。このまま飽きるまでずっと、あれを側に置いていれたらさぞかし楽しいだろうな)

魔王(……他意はないが)



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:38:49.32 ID:Ok64JyCV0

魔王「ふむ。まあ、楽しませてくれた礼だ。今、楽に殺して」

姫「勇者様!」

魔王・勇者・側近「なっ」

魔王「お、お前何故ここに……そして何故浚った時の衣装に着替えて」

姫「ああ、勇者様おいたわしいお姿に!私を魔王から助けにいらしたばっかりに……あんまりですわ……!」

勇者「ひ、姫様!?あなたが姫様ですか!?」

姫「ええ……ああ、勇者様!!」

勇者「う、うわ」

魔王「お、おい何故そいつに抱き付くんだお前」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:42:03.95 ID:Ok64JyCV0

勇者「姫様……危ないですから離れてくださ」

姫「いいえ!出来ません!」

勇者「姫様……」

姫「ここまでして下さった勇者様と……私もここで散る覚悟です!!」

勇者「なっ、ちょっと、姫様」



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:42:36.31 ID:Ok64JyCV0

魔王「…………何、だと?」

側近「ほら、やっぱり演技だったんですって」

魔王「…………」

側近「いやー、魔王様を欺こうだなんて馬鹿な人間でしたねー。大人しく従っておけばもう少し長生きも……って、あの、魔王様?」

魔王「…………」

側近「聞いてます?」

魔王「…………」



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:43:09.75 ID:Ok64JyCV0

魔王(ほ、本当に今までのことは全て偽りであったというのか?)

魔王(私を愛しているだのと囁いたのも、いつまでも私の側を離れなかったのも、他の女に嫉妬していたのも……全て嘘偽りだったというのか?)

魔王(ぐ……こ、これしきのこと、何ともないはずだ。魔王たる私が人間の女一人に欺かれたところで、痛くも痒くも……それにまだ決まったわけでは)


姫「酷い傷……すさまじい戦いでしたのね」

勇者「え、ええまあ……ほとんどダメージは与えられませんでしたけどね……ははは」

姫「ど、どれくらい奮闘なさったのですか?」

勇者「剣で二三度少し斬りつけただけですよ。情けない話です」

姫「そ、そんなことありませんわ!勇者様はすごいお方です!」

勇者「ちょっ、姫様あんまり俺に触ると血で汚れ」

姫様「構いませんわ。最期の時まで……せめて貴方とこうしていたいのです」

勇者「姫様……」



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:44:14.08 ID:Ok64JyCV0

魔王(そのような者を労るな!触れてくれるな!離れてくれ頼むから!)

魔王(くっ……裏切り者には死をとは言うものの、この人間と姫を同時にあの世に送るのは少しばかり面白くないな)

魔王(とりあえず姫は生かしておいて、後々気が向いたときに始末しよう。うむ、それがいい。何があっても生かしておくべきだ)

魔王(他意などないのだがな断じて!!)



魔王「…………」

側近「あのー、顔色やばいですけど大丈夫ですか?」

魔王「あ、ああ」

側近「じゃあ、とっとと始末してくれますかね。こいつら生かしとくと後々面倒になると思いますんで」

魔王「なっ、ひ、姫も一緒にか!?」

側近「当然でしょう。何言ってるんですかあんた」

魔王「い、嫌だ!別にどうという理由があるわけではないが、それだけは絶対に嫌だ!別に情が移ったとか、別に生かしておきたいとかそういうことではないのだが絶対に何があっても断る!!!」

側近「はー、言うと思った。もういいです。俺が始末しますから」

魔王「ま、待て貴様!」



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:44:48.21 ID:Ok64JyCV0

側近「っつーわけで、最後に言い残すことはあるかい、お二人とも?」

姫「ええ……一つだけ。勇者様」

魔王「おいこら側近!待てと言うに!!」

勇者「ご安心下さい姫様……。姫様だけは、命に代えても」

姫「勇者様、このような理をご存じでしょうか?魔王様に僅かとはいえ傷をつけていいのは……」

勇者「この俺がまも……え、魔王様?」

姫「この、私だけなのだということを!」

魔王・側近・勇者「は?」



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:46:10.95 ID:Ok64JyCV0

姫「くっ……油断しきっていたとはいえ、流石は勇者様ですわね……っ!紙一重でお避けになるなんて!」

勇者「えっ……えええええ!?ちょっと待って下さい姫様!何を」

姫「お黙りなさい死に損ない!私と魔王様の愛を阻むものは、たとえ誰であろうと許しませんわ!成敗してくれます!」

勇者「愛!?魔王様!?一体何をって刃物を置いて落ち着いてください!?」

姫「お待ちなさい!邪魔者は大人しくこの場でお散りなさい!!」



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:47:44.63 ID:Ok64JyCV0

側近「……え?」

魔王「……う、うむ」

側近「な、何ですかこれ」

魔王「とりあえず、言えるのは……」

側近「はあ」

魔王「あいつの始末は、先送りということだろう」

側近「はいはい……嬉しそうにまあ」



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:48:36.98 ID:Ok64JyCV0

勇者「く、くそ!何なんだこれは!?」

魔王「お前が取り戻しに来た、姫だが」

勇者「嘘吐きやがれ!って、そうか偽物か!くそ!危うく騙されるところだったぜ!」

魔王「失礼な。そいつは正真正銘私の」

姫「勇者様覚悟ぉおお!!」

勇者「姫様の偽物なら容赦はしねえぞ!くたばれ偽物め!」

魔王「おっと」



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:49:17.35 ID:Ok64JyCV0

魔王「……無事か」

姫「あ……あ」

魔王「全く。よりにもよって勇者に剣で戦いを挑むなど。無謀すぎる。私が助けに入らなければ今頃お前は」

姫「ま、ま、まお、さま」

魔王「何だ。どうした。どこか怪我でも」

姫「こわかったですわああああん!!」

魔王「う」

側近「はいはいお熱いことで」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:50:32.38 ID:Ok64JyCV0

姫「うっ……うう……油断したところに……これで止めを刺そうと思っておりましたのに……魔王様だけに邪魔者の始末を任せておくだなんて、私我慢ならなくて」

魔王「……相手はプロだ。いくら油断したとしても、女のお前が敵う相手ではない」

姫「うう……ごめんなさいですわ魔王様……お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした……私、どのような罰でもお受けしますわ」

魔王「ふむ……罰か」

姫「どうぞ何なりと。命だろうと差し出す覚悟ですわ」

魔王「では、そうだな。目を瞑れ」

姫「は、はい」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:52:30.33 ID:Ok64JyCV0

姫「ひゃっ……ま、魔王様?」

魔王「何だ。罰に文句でもあるのか?」

姫「いえあの……おでこをぺし、っとしただけですけど……」

魔王「ふん。いいか、次にこのような勝手な真似をしてみろ。今度は二度、叩くからな。覚えておけ」

姫「は、はい……魔王様」

魔王「ふ、ふん。下らん」

側近「あー職場変えてえ」



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:53:01.82 ID:Ok64JyCV0

魔王(はあ……演技で本当に良かった…………ん?)

魔王(いやいや、何故私がこいつのような女一人に、何を執着しているのだか。こいつの代わりなど、他にいくらでもいるだろう)

魔王(……しかし、このように面白い女が、果たして世にどれだけいるかだな)

魔王(何はともあれ……良かった……うん)



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 01:54:39.44 ID:Ok64JyCV0

魔王「いいか、お前は私の物だからな。他の男に助けを求めるなど、演技でも次からは許さぬぞ」

姫「分かりましたわ、魔王様!」

側近「お、こいつまだ生きてますね。どうします?トドメ刺します?」

魔王「ところでこのサインだが……もう少し考えさせてはくれぬか……こういうものはやはり、段階を踏んでだな」

姫「あら、お気付きになってしまわれたのですね。分かりましたわ。最終的には、よろしくお願いしますね。ふふふ」

魔王「か、考えておく……」

側近「聞けよ。じゃあもう俺が始末しておきますよ?よろしいですね?」

姫「あ、お待ちください。その者の処遇ならば、私に少々考えがございます」

側近「はあ。どうします、魔王様」

魔王「そうだな、任せてみるか」

姫「ありがとうございます魔王様♪」

魔王「う、うむ」



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:42:41.98 ID:Ok64JyCV0

それから三日後のことです。

そろそろ、とある人物が悪夢から目覚めようとしていました。


勇者「かっ……ぐっ……う……ば……バカップルかよ!?」

王子「うわあ!?」

勇者「あ、あれ?俺生きてる?何で?」

王子「良かった勇者様!気付かれたのですね!」

勇者「あ、ああ王子……ここは、一体」

王子「城です」

勇者「……あれ、俺魔王城にまだ行ってない?」

王子「い、いえ……勇者様は魔王城に向かわれましたが……その」

勇者「何で目を逸らすんですか」



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:43:30.64 ID:Ok64JyCV0

勇者でした。

魔王に刃向かった者には等しく死が降りかかるはずだというのに、彼は五体満足健康に、不自然なまでにぴんぴんしておりました。

そんな奇跡に対して、王子はとても微妙な笑顔を向けています。なんだか目には意味深な哀れみが込められていました。



王子「城の前に……倒れておりまして。丸三日目を覚まされませんでした」

勇者「えっ、ちょっと待って下さい、俺は確かに魔王城に……あ」

王子「どうかしましたか?」

勇者「そうです!姫様の偽物が出たんですよ!危うく俺は騙されて殺されるとこでした!……いや、でもほんと俺なんで死んでないんだろ。確かに魔王にやられて……」

王子「あ、ああ……なるほど、さ、災難でしたね……」

勇者「……さっきから歯切れ悪いですけど、何かあったんですか?」



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:44:05.95 ID:Ok64JyCV0

勇者「それに三日寝てたってのに、世話するメイドもいないなんて」

王子「ああ、事情があって彼女達には下がってもらいました。そして先ほど仰った姫の偽物ですが……それは本物の姫様でしょう」

勇者「え!?で、でも俺のこと殺しにかかってきたんですよ!?本物ならそんなことするはず」

王子「実は勇者様と同じく、文書を発見いたしまして」

勇者「文書?」

王子「ええ。確かに姫の筆跡で『私は魔王様のものになったので、金輪際実家には戻りません』という旨が書かれておりまして」

勇者「なっ」

王子「言いにくいことですが……おそらく姫は」

勇者「魔王に脅されて……!!」

王子「あ、あー……ではそういうことに」



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:44:47.22 ID:Ok64JyCV0

勇者「くっ……そんな事情も知らず姫様に刃を向けてしまうとは、俺はなんて浅はかなことをしてしまったんだ……くそっ!あの魔王絶対に許せねえ!」

王子「まあ、勇者様は特にそうでしょうねえ」

勇者「で……何でさっきから俺と目を合わそうとしないんですか?」

王子「いやあ、ははは……」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:46:17.55 ID:Ok64JyCV0

勇者「そういえば、俺にも姫様からの手紙って奴を見せて下さいませんか?」

王子「えっ」

勇者「『えっ』って……まさかそんな見せらんないようなものなんですか?」

王子「まあ、今はもう見れませんね。洗ってしまいましたから」

勇者「は?」

王子「勇者様のお体に、直に書かれていましたので」

勇者「……は?」



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:46:46.56 ID:Ok64JyCV0

王子「城門の前に勇者様が裸で気を失っておられたと聞いて驚きましたが……更に全身くまなく書かれている文字が筆跡鑑定の結果姫様からの伝言だと分かり、王様やら家臣やらが続々と見に来られたとか聞いたときはもっと」

勇者「おっとストップです。もういいです。分かっちまいました」

王子「はあ」

勇者「つまり何ですか、俺は気を失っている丸三日間、真っ裸を城中の不特定多数に晒していたと」

王子「いえ。下着一枚のお姿でしたので、まだマシだったかと。さすがに手紙代わりの扱いは可哀想かということになって、昨日からこうやって服を着せてもらっています。ちなみに僕も拝見しました」

勇者「……」

王子「まあ、落ち込むようなモノではなかったと思いますけど。いろんな意味で」

勇者「っだあああああああ!魔王潰す!魔王[ピーーー]!なんだあの陰湿野郎!ぶっころーす!!」

王子「ああ!目覚めてすぐ宿敵への熱意をたぎらせるとはさすが勇者様ですね!」

勇者「もう一回!ちょっと修行してからもう一回魔王討伐に行ってきます!ここまで馬鹿にされて黙ってられませんから!!!」
王子「ふむ……分かりました」



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:48:30.00 ID:Ok64JyCV0

王子「今度は僕もご同行しましょう」

勇者「はい!?」

王子「危険だということは百も承知です。こうなった以上、僕の目的を叶えるためにはこうするしかないのです」

勇者「し、しかし」

王子「お願いします。勇者様だけを危ない目に合わすのは忍びないですし……それにきっと、このままでは、僕は一生姫様の思い出を背負って生きて行かねばなりませんから」

勇者「お、王子……そこまで姫様のことを!分かりました!そこまで仰られるんでしたら、共に姫様を救い出しましょう!!」

王子「え……は、はい」

勇者「えっ、何で急にテンション下がるんですか?」

王子「あはは……そ、それより急ぎましょう」

勇者「ええ!では再び、魔王城に向けて出立!」



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:49:00.45 ID:Ok64JyCV0

と、復讐の鬼が誕生している同時刻。


姫「魔王様ー」

魔王「何だ」

姫「うふふ……呼んでみただけですわ」

魔王「ふん。下らんことをするな」

姫「きゃっ、魔王様ったらつれないんですから」


魔王城では魔王が姫を虐げ、喜んでいました。勇者の存在など、すっかり忘れ去ってしまったかのように。



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/02(日) 20:49:08.47 ID:rbQw+11Go

メ欄にsagaって書くと殺すとかのワードが書けるようになるよ
sag「e」じゃなくてsag「a」ね



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:50:34.29 ID:Ok64JyCV0

>>91
新参にアドバイスありがとう…!


側近「あのー、いい加減仕事して下さいますかねえ」

魔王「何を言う。今立派に、魔王としての職務を果たしているところだろう」

側近「へー。因みにどういったお仕事で?」

魔王「捕虜に恐怖を刻みつけている」

姫「きゃー怖いですわー魔王様ステキー♪」

側近「おおう確かに恐怖ですわ。周囲が」



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:51:44.86 ID:Ok64JyCV0

側近「はー……最近の魔王様より、この人の方がよっぽど魔王らしい事をしますよほんと」

魔王「まあな。この前のあれは、よく思いついたと言えるな」

姫「うふふ……敢えて生きて返すことで屈辱を味合わせ、暗にいつでも殺せるということを臭わせる。魔王様でしたら、こうなさるでしょうと思っただけですわ。そんなに誇れることでは御座いません」

側近「エグイなあ、正直」

魔王「いや、謙遜するな。さすがは私の玩具だ。誉めて遣わすぞ」

姫「ありがたき幸せで御座いますわ。魔王様♪」

魔王「う、うむ……」



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:52:19.57 ID:Ok64JyCV0

姫「あら、お茶が無くなりましたね。お代りを持って参りますわ」

魔王「ああ、頼む」

側近「行ってらっしゃいませ」

姫「では、失礼しますわ」



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:53:54.93 ID:Ok64JyCV0

魔王「ふむ、あれもメイドとしての自覚が出てきたようだな」

側近「いやあ、もう突っ込むの面倒なんで放置します」

魔王「何だ、いいから申してみるがいい。今の私はすこぶる機嫌がいい」

側近「今ってーか、あの人が来てからずっとご機嫌だと思うんですけど」

魔王「そうか?」

側近「ああもう本当、こうなったら言いますけどね。いい加減にして下さい」

魔王「何がだ」

側近「あの姫さんのことですよ」

魔王「む?」

側近「もう素直に可愛がってイチャイチャして下さいよ」

魔王「……何の話だ?」



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:54:26.48 ID:Ok64JyCV0

側近「いい加減にしてくださいほんと。何と言いますか、見てると心が荒むんですよ。中途半端なんだか振り切ってるのか分かんなくて、非常に目によろしくない」

魔王「そう言われてもな。あれはただの、私専用の玩具に過ぎぬ。ペットですらないのだぞ、可愛がる必要がどこにある」

側近「じゃあ俺の目を見て、もう一度そのセリフを仰って下さいますか」

魔王「……面倒だ」

側近「あーもう、別に認めちゃってもいいじゃないですか。あの人のこと、好きなんでしょう?」

魔王「なっ……急にす、好きとかそういう事を言うな。意味が分からん!」

側近「何ですかそのうろたえよう。思春期ですか、いい年して」



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:55:04.15 ID:Ok64JyCV0

魔王「女など力で従わせる物だろうに。私は魔王だぞ。恐怖の権化なのだぞ。その私に向かって、何と生温いことを申すのだか」

側近「その恐怖とやらを、最近とんとお見かけしていない気がします」

魔王「何を言うか。日々あいつを虐げて、見せつけているだろう」

側近「えっ。具体的には?」



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:55:54.81 ID:Ok64JyCV0

魔王「そうだな、メイドとしての手際の悪さをいびったり」

側近「懇切丁寧に色々教えてやりながらですよね。叱るにしてもからかう感じですし」

魔王「家族が恋しいだろうなどと、言葉でなぶってみたり」

側近「魔王様の隣がいいっていう、いつもの流れを言わせたいだけかと思ってました」

魔王「ご、拷問など」

側近「頻繁にやってらっしゃるデコピン辺りを指すおつもりでしたら、聞き流しましょう」



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:56:49.79 ID:Ok64JyCV0

魔王「と、とにかく!私はあれを可愛がってなどおらぬ!好いてもおらぬぞ!この前助けたのも、今死なすのは勿体ないと感じたまでだ!!玩具としてな!!」

側近「この後に及んで……。じゃあ、あの勇者裸にひん剥いて手紙代わりにしようって鬼畜な提案を全力で阻止しようとしたのはどこの誰ですか」

魔王「う……ま、まあ、あれは色々と……その」

側近「他の男の裸なんか見せたくないんですよねー。最後の下着だけは死守できて良かったですねー」

魔王「そ、そんなことはないぞ!断じて!!ただ私の持ち物が、何というか……そ、損なわれるのを防いだというか!!」

側近「……はいはい」

魔王「その暖かい眼差しをやめろ!私は魔王だぞ!?」



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:58:28.23 ID:Ok64JyCV0

側近「まー、最初はどうかと思いましたが、お似合いって言えないこともないと思いますよ」

魔王「……ふん」

側近「だから、常時表情に溢れ出てるんですってば。今みたいに」

魔王「な、何がだ!?」

側近「鏡、お持ちしましょうか?」

魔王「いらぬ!」



101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 20:59:17.09 ID:Ok64JyCV0

魔王「この際だからはっきり言っておく!あれは私を好いているのかも知れぬが、私があれに情を移すことは絶対にないからな!第一、何故私があのような女を好かねばならぬ!そのような理由も道理も、あるはずがない!!」

側近「そんな頑なになる必要がどこにあるんですか」

姫「いえ、全くその通りですわ。私が勝手に魔王様をお慕い申し上げているだけですのに。魔王様は私を虐げ抜き、使い捨てて下さればよいだけの話ですのよ」

魔王「ほら見ろ姫もこう言っ……て」

側近「お帰りなさいませ」

姫「ただ今戻りました」



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 21:00:07.90 ID:Ok64JyCV0

魔王「お、おい……」

姫「魔王様。お待たせしました。今代わりのお茶をお煎れしますわね」

魔王「あ、ああ……と、ところでお前、さっきの話、いつから聞いていた?」

姫「先ほど戻ったところですので、あまり詳しくは……。魔王様が私を好きになることなど絶対にない、みたいな部分しか耳にしておりません」

側近「おお、図ったようにいいタイミングですね魔王様」

魔王「ひ、姫、今のはその……極論というか、私も多少言い過ぎたと言うか……」



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 21:03:57.39 ID:Ok64JyCV0

姫「構いませんのよ魔王様。私は貴方様の玩具として天寿をまっとうできれば本望で御座います。飽きるまで、お側に置いて下さるというお言葉だけで、とても幸せです」

魔王「あ、あの、な……」

姫「そして最期は魔王様の手に掛かって散る……ああ!なんて素晴らしい人生計画でしょうか!魔王様!出来るだけ惨たらしく、魔王様のお心に残るような終わりを私に」

魔王「やめろ」

姫「は、はい?」

魔王「いいか。私はまだお前に飽きてやるつもりもないし、殺して楽にしてやるつもりもないからな。軽々しくそのようなことを口にするではない」

姫「も……申し訳ありません魔王様……どうか出来の悪い玩具に罰を……」

魔王「う、うむ……」

姫「きゃっ三回もおでこを痛めつけてくださるなんて……ありがとうございます魔王様」



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/02(日) 21:04:30.09 ID:Ok64JyCV0

魔王「では、これに懲りたら、二度とそのようなことを言うでないぞ」

姫「はい魔王様♪」

側近「だから……実にエグイ、そういうのをどうにかして下さいと俺は……!」

姫「あら、側近様は具合でも悪いのですか?なんだかお顔の色が優れませんけれども」

魔王「放っておけ。お前は私の世話だけしていればいいのだ」

姫「まあ、魔王様ったらワガママなんですからもうっ!」



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:00:48.82 ID:Vieocasm0

─夜


魔王「やれやれ……」

魔王(一体どうしろと言うのだ)

魔王(女など、皆ていの良い道具でしかないと思っていたが……)

魔王(何かは分からぬが、あいつは違う。違うと……思う。私としては、だが)

魔王(ただ、その違いを認めたとしても……どうすべきなのだろうか)

魔王(私は魔王ではあるし……あれは人間で、単なる私の玩具であるし……)

魔王(うむ……ややこしく考えても仕方がない。このままでいいだろう)

魔王(婚姻届だの何だと言われても、ずっと先送りにしておけば……このままの距離だ。それが一番だろう。何より楽だ)



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:01:34.47 ID:Vieocasm0

魔王「愛だの恋だの……私にはよく分からぬしな」

姫「まあ……魔王様ったらロマンチストですのね」

魔王「!?」

姫「ふふふ……お先に失礼しておりました」

魔王「お、お前!人のベッドに潜って何をしているのだ!?」

姫「最近寒くなってきたことでしょう?寝所を暖めておきましたの」

魔王「な、何だ……そういうことなら、まあ」

姫「そして、今夜こそは……」

魔王「こそは?」

姫「お夜伽のお相手を、務めることが出来ればと……」

魔王「ぐっ…………落ちつけ私!先程の独白を忘れたか!!」

姫「何の話ですの?」



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:02:11.47 ID:Vieocasm0

姫「精一杯魔王様のために、私どんなプレイでも喜んで応じる所存ですわ!お楽しみくださいませ魔王様!」

魔王「それとも……お前の包み隠さないその心意気を、多少見習うべきなのだろうかなあ」

姫「ほら、魔王様よく分からないこと仰っていないで。早く私の『初めて』を奪って下さいまし!さあ!」

魔王「いやだから待てと言う……ちょっと待てお前、まさか」

姫「恥ずかしながら生娘で御座います」

魔王「なっ……」

姫「魔王様……」

魔王「ちょ、ちょっと待ておま……うっ……」

姫「やっぱりちょっと恥ずかしいですけども……魔王様に何もかも捧げると誓ったのですから、これくらいは……当然でしょうし」

魔王「だ、だから」

姫「さあ魔王様!乱暴に!何のお気遣いもなく!容赦なく!どうぞ私をお使いくだ」

魔王「やめろ!!」

姫「ひ」



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:03:45.33 ID:Vieocasm0

魔王「前に言ったはずだ……お前を抱く気はないと」

姫「で、ですが魔王様……私は魔王様の物として、お役に立ちたいと……」

魔王「こういう趣向は好まん。下がれ」

姫「……」

魔王「どうした、下がれと言っている」

姫「……ちゃんと、叱って下さらないのですね」

魔王「……下がれ」

姫「はい、魔王様……。お休みなさいませ」

魔王「……お休み」



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:04:21.50 ID:Vieocasm0

次の日朝です。

昨日までとは打って変わって、魔王は朝からどんよりと、見事なまでに落ち込んでいました。


側近「で?」

魔王「朝から……顔を合わせていない……あいつも部屋から出て来ようと、せぬ……」

側近「事情を全部聞いた上でぶっちゃけてしまうと、俺はどうでもいいです」

魔王「貴様!私がこれほど落ち込んでいると言うのに何だその反応は!」

側近「いや、だってそれ、ただ夜這いに怖じ気付いただけなんじゃ」

魔王「違う!断じて違う!」



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:05:52.12 ID:Vieocasm0

魔王「あれが悪いのだぞ。貞操観念が抜け落ちているわ、人の決意を無遠慮に崩しにかかるわで……全く!あの馬鹿者め!」

側近「魔王様が貞操観念とか、そういうのを語っちゃダメだと思うんです」

魔王「喧しいわ!」

側近「大体、そんなに気になるなら適当に謝ればいいだけの話ではないですか」

魔王「な、何故私があいつに頭を下げねばならぬのだ!?」

側近「怒鳴りつけて悪かった、とか顔に書いてありますから」

魔王「くっ……これはあれだ!気の迷いだ!」

側近「はあ。でも、いいんじゃないですか?その気の迷いって奴に乗っちゃっても。色恋沙汰の羞恥心なんて一瞬ですよ。その後はヤバい薬みたいに何が何だか分からなくなってくると思いますから」

魔王「私に指図するでない!ええいクソ!苛々する!このまま手近な国でも二、三滅ぼしてくれようか!!」

側近「俺は好きにして下さいとしか言えませんが。丁度いいストレス発散相手がまた来たようですよ」

魔王「……この前の勇者か?」

側近「ええ、それともう一人いるようですが……特に強いってわけでもなさそうです」

魔王「ふん。どの道私には手も足も出ぬだろう。分かった。この怒り、全て奴らにぶつけててくれようぞ……!」

側近「すっげー釈然としませんが、まあお仕事頑張って下さい」



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:06:26.07 ID:Vieocasm0

勇者「王子!大丈夫ですか?」

王子「は、はい!勇者様、やっぱりお強いんですね」

勇者「いやまあ、この辺はまだ雑魚ですからね。魔王とは比べ物になりません」

王子「やはり魔王はそれほどに強いのですね……今頃聞くのも何ですが、果たして勝算はあるのですか?」

勇者「まあ前回は直接魔王のところまで乗り込んじまったんで、今回は色々回り道して、姫を探そうかと。今優先すべきは魔王討伐よりそちらですしね」

王子「そうですね……」

勇者「まあ、早いとこ見つけてこんな場所とはおさらばした」



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:07:13.66 ID:Vieocasm0

勇者「……おーう」

姫「くっ……またしても避けられてしまうとは、一生の不覚!」

勇者「出たああああああ!!」

王子「姫!?」

姫「魔王様のお城での数々の無礼、許せませんわ!今度こそ私が葬り去って」

勇者「くっ……やっぱり操られてるってことか……姫を傷つけるわけにはいかねえし……」

王子「いや、僕としては全然構いませんけど」

勇者「は!?何言ってるんですか!?」

姫「ごちゃごちゃうるさいですわよ!とっととお死になさい!」

勇者「うおっ」



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:09:26.08 ID:Vieocasm0

勇者「ふう。ま、なんとか無傷で捕まえましたけど」

姫「くっ……離しなさいこの無礼者!」

勇者「助けに来たってのに、酷い言いぐさだなあ」

姫「助けなどいりませんわ!私はもう魔王様の物ですのよ!手紙にもちゃんと」

勇者「分かりました分かりました。さて王子、帰りましょうか……王子?」

姫「あら」



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:09:56.68 ID:Vieocasm0

王子「お久しぶりですね、姫」

姫「どこかで見た顔かと思えば、貴方」

王子「ええ、貴方の婚約者です」

姫「確かそうでしたわね。今となっては昔の話ですけど」

勇者「は!?昔!?じゃあ今は」

姫「私とは縁もゆかりもない方ですわよ。第一、婚約を一方的に破棄なされたのは王子の方ですし」

勇者「ちょっとどういうことですか王子!婚約者で、姫が心配だから俺に救出を頼んだんじゃあ!?」

王子「正確には元婚約者で……姫に今死なれてしまうと、僕が困るからですよ」

勇者「い、意味が分かりません!一体何が目的なんですか!?大体何で刃物なんか構える必要が!?おろして下さい王子!」

姫「相変わらず変な方ですわねえ」

王子「黙れ悪魔!!」



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:10:54.32 ID:Vieocasm0

勇者「えええ……ほんともう、何なんですか」

王子「王子は知らないから、そんなことが言えるんですよ……この女が幼い頃から、僕にどんなことをしたのか……!」

勇者「あんた何かやったんですか?」

姫「何って……将来伴侶となる方とはいえ、私の愛を受け入れてくれるとは限りませんし。気を引くために色々と可愛らしいことを」

勇者「こう言ってますけど」

王子「可愛らしい!?あの嫌がらせの数々が!?」



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:11:26.45 ID:Vieocasm0

王子「僕が他の女性と喋るだけで死んでやるだの何だのと暴れるし、挙げ句の果てに毎日のように大量の手紙を送りつけて、同量の返事を書かなければ刃物を持って乗り込んでくる始末で……!それ以外にも色々と生活に介入してきて……こいつのせいで、僕の人生はめちゃくちゃになったんだ!」

勇者「うわあ。としか俺には言いようが……」

王子「やっと縁談を白紙に戻せた頃には女性恐怖症を煩うはめになっているしで!僕は長男なんだぞ!一体どうしてくれるんだ!」

姫「だって、私の愛を受け入れて下さらないのですもの。そのような器の小さい殿方、やっぱり私お断りですわ」

勇者「……つまり王子の目的って」

王子「この女に復讐するまで、死んでもらっては困るのです。さしずめこっそり僕の国に連れ帰り、死ぬまで牢に繋いでおくくらいは許されるかと」

勇者「こっえええええ!!嫌ですよそんな犯罪の片棒担ぐの!俺勇者なんですよ!?」

姫「私は別に構いませんけども」

勇者「あんたも何言ってるんだ!?いくら操られてるからって、抵抗ぐらいしろよ!!」

姫「ですから、私操られてなどおりませんわ!失礼ですわね!」



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:12:20.77 ID:Vieocasm0

王子「まさか、本当に魔王を……?」

姫「ええ、私は魔王様に愛と忠誠を誓っておりますのよ」

勇者「えー、マジですか……ますますややこしいことに」

王子「『私の物になれ』と言われたから、と書いてはいたけど……どれだけ君は愛とやらの矛先に飢えているんだ。よりにもよって魔王なんか」

姫「黙りなさい!魔王様は貴方なんかと違って、私の愛にも動じない懐の大きなお方ですわ!悪く言うことはこの私が許しませんわよ!!」



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:13:22.95 ID:Vieocasm0

王子「でもその魔王とやら。君がこうして捕まっているというのに、取り返しにすら来ないじゃないか」

姫「……与えるだけの愛でも、私満足ですもの」

王子「なんだ、やっぱり君の一方通行じゃないか」

姫「ふん」

王子「どうせここでも同じなんだろう?君の愛に答えてくれるような物好き。例え魔物だろうが、この世界のどこにもいないのさ」

姫「構いませんわ。私は魔王様を愛しております。魔王様に必要とされなくても、その気持ちは変わりません。魔王様のお役に立てず、興味すら抱かれなくなった今……自ら舞台から退くのが筋と言うものでしょう」

王子「だから死ぬ気で僕たちを討ちに来たってわけか。そう。だったら……」

勇者「ちょっと王子!?」

姫「な」



128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:14:28.03 ID:Vieocasm0

王子「気が変わったよ。お望み通り、ここで殺してやる」

勇者「駄目ですって!そんなの俺が許しません!」

王子「そんな女庇う必要なんてありません勇者様!どいて下さい!!」

勇者「だから俺は勇者だって言ってるでしょうが!!」

姫「ふ、ふん!でしたら早くおやりなさいな!魔王様に捨てられた今、この世に未練などありませんわ!!」

勇者「ちょっと話がややこしくなるからあんたは黙って」




魔王「何をしておるか貴様ら!!!?」



129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:17:11.64 ID:Vieocasm0

勇者「ぐはあっ」

王子「勇者様!?」

姫「あ……!」

魔王「大丈夫か!?怪我はないか!?こいつらに何をされた!?」

姫「あ、あの魔王様」

魔王「どうした!どこか痛むのか!?待ってろ今回復魔法をかけてやるからな!!」

姫「魔王様……私が、いらなくなったのでは」

魔王「バカを言うな!むしろお前以外に必要な物など何もない!!」

姫「ま、魔王様……」

側近「あんまり到着が遅いんで、様子を見に来たんですよ。正解でしたね、魔王様」

魔王「ええいおのれ人間共め!一度ならず二度までも私の姫に危害を加えようなどとは!!何度殺められようとも許される罪ではないぞ!覚悟は出来ておるのだろうな!?」



130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:17:45.64 ID:Vieocasm0

勇者「ぐ……ぜ、全然話が違うじゃないか……あんた魔王に捨てられたって……」

姫「そう思っていたのですけど……どうやら私の勘違いだったようですわね。魔王様大好きですわー♪」

魔王「あ、ああ……」

勇者「畜生やっぱりバカップルか……」

王子「何て物好きな……」



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:19:01.66 ID:Vieocasm0

魔王「む。そういえば、そちらの人間は始めて見る顔だな」

王子「……初めまして。そちらの姫の元婚約者です」

魔王「…………おい、お前」

姫「ご心配なさらず!全く進展なくあっさり終わった未練のない殿方ですわ!」

魔王「それならまあ、[ピーーー]だけでいいかな」

側近「随分とまあ開き直りましたねえ」



132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:19:38.73 ID:Vieocasm0

王子「魔王……本当にその女なんかを、愛しているとでも言うのか」

魔王「当たり前だ」

姫「魔王様……」

王子「四六時中付きまとわれて、鬱陶しくないのか。愛だの何だの声高に一方的に叫び続け、うるさいとは思わないのか。お前のような立場なら、女など腐るほどいるというのに、何故そいつなんだ」

魔王「何。こいつが一番面白かったからに決まっているだろう。第一……」

王子「……何だ」

魔王「女一人の愛くらい受け止めてやれずに、何が男か。刺されるくらいの愛情表現、可愛いものだろう」

王子「くっ……話しが通じない!勇者様!」

勇者「はい?」

王子「今こそ悪を成敗する時です!やちゃって下さい!」

勇者「姫もそうだろうけど、あんたも十分わがままだわ…………いやー、申し訳ないんですけど、実は今の攻撃でHPほとんど削られちまいまして」

王子「でしたら今すぐ回復を」

勇者「それがアイテムもMPも尽きてましてねえ。元々魔王と戦わずに済まそうと思ってすぐに飛んできましたから、ちゃんと所持品揃えてなくって」

王子「……まさか」

勇者「あはは。王子、社会勉強になりましたね。これがいわゆる……」



133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:20:30.46 ID:Vieocasm0

魔王「では、そろそろ覚悟はいいな……貴様等」

勇者「『詰み』、ってやつですよ」

王子「うわああああああ!?」

魔王「この世に生まれ出たことを後悔するがいい!」



134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:21:01.96 ID:Vieocasm0

側近「おーおー、二匹とも仲良くきれいにのびてますね。ご苦労様です魔王様」

魔王「ああ」

姫「魔王様……私」

魔王「……すまなかった」

姫「え」

魔王「さ、昨夜はきつい言い方をしてしまい、すまなかった……お前にはもっと自分を大事にしてもらいたくて……な」

姫「そんな!私の方こそ、先走ったことをしてしまい……申し訳ございませんでした」

魔王「……ほら」

姫「これは……」

魔王「お前が……この前欲しがっていたサインだ。どうか受け取って、私のことを許して欲しい」

姫「……魔王様」

魔王「うむ」



135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:21:57.18 ID:Vieocasm0

姫の攻撃!

魔王に1のダメージを与えた!



136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:23:16.26 ID:Vieocasm0

姫「浮気は、許しませんわよ?」

魔王「勿論だとも」

側近「ははは、いい話ですねー」



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:24:08.83 ID:Vieocasm0

数日後─


魔王「うむうむ」

側近「ご機嫌ですねえ」

魔王「当たり前だろう。新婚だぞ新婚。どうすれば気分が重くなると言うのだ」

側近「色々すっ飛ばしてる気もしま」



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:24:36.25 ID:Vieocasm0

姫「何か仰いまして、側近様?」

側近「いいえ、何もありませんですよ。奥方様」

姫「い、いやですわ奥方様だなんてもう!」

側近「でも、何でまだメイドなんです?もう捕虜ではなくて奥方なんですから、そんな雑務放棄してもいいんですよ?」

魔王「私もそう言っているのだが、こいつがどうしてもと」

姫「旦那様のお世話をするのも妻の勤めですし。それに、他の者に任せている内に何か間違いが起こったらと思うと私……私……!」

側近「あー……そういえば結婚なさってから、お持ちになる刃物の刃渡りが長くなりましたよね」

魔王「まあ、これも愛情が深くなった証だな。うん」

側近「当人様がそれでいいのでしたら、俺はもう何も言いませんよ」



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:25:36.84 ID:Vieocasm0

姫「うふふ。魔王様」

魔王「何だ」

姫「これからもずっと、深く重く、愛しておりますわ」

魔王「知っている」

姫「魔王様は?」

魔王「……それと同じくらい、愛してやる」

姫「まっ、魔王様ったら大胆なんですから♪」



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:26:33.13 ID:Vieocasm0

姫「うふふ。魔王様」

魔王「何だ」

姫「これからもずっと、深く重く、愛しておりますわ」

魔王「知っている」

姫「魔王様は?」

魔王「……それと同じくらい、愛してやる」

姫「まっ、魔王様ったら大胆なんですから♪」



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:28:33.02 ID:Vieocasm0

連投さーせん


姫の攻撃!

かいしんのいちげき!

魔王に2のダメージを与えた!



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:28:59.80 ID:Vieocasm0

魔王「おっと、ダメージが2とは。急所だな」

姫「そろそろ私、魔王様のいい場所が分かって参りましたの」

魔王「ふっ。ならば今後とも精進し、二桁を目指すがいい」

姫「うふふ……もちろんですわ!」

側近「おい誰か胃薬持ってこい」



こうして魔王は新婚生活に忙しく、ありとあらゆる侵略活動を全て凍結させてしまい、世界は平和になりました。

そして姫は魔王に嫁ぎ世界を救った、勇気ある姫君としていつまでも語り継がれることになりました。めでたしめでたし。



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:29:33.05 ID:Vieocasm0

勇者「今度は『結婚しました』……か」

王子「…………」

勇者「まあ気を落とさず。俺も女性恐怖症とやら、治すのに協力しますから」

王子「いえ……いいんです。もう、一生治る気がしませんし……」

勇者「まあ、ちょっと分かる気がしますけど」



144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/10/06(木) 00:30:03.07 ID:Vieocasm0

王子「それに……勇者様」

勇者「はい?何ですか、急に手なんか握ってきて」

王子「僕は思うのです。魔王と人間の間にすら愛が芽生えるのなら、人間同士であればどれだけたやすく愛が増殖するのだろうか、って」

勇者「……は、あ」

王子「そう!人間同士であれば、きっと性別なんて関係」

勇者「俺、用事を思い出したんでこれで失礼します」

王子「ああ!待って下さい勇者様!実は先日裸を拝見したときから胸の高鳴りが押さえられずにいるのです!もう世継ぎなんかいりません!勇者様との愛さえあれば僕の国はきっと安泰です!!」

勇者「んなわけねえだろ!!うわちょっとどこ触ってんだ気色悪い!!」

王子「愛しております勇者様!」

勇者「ぎっ……ぎゃあああああああ!!」




そして勇者のその後の行方は……ようとして知れませんでした。


【終】



147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/06(木) 00:54:43.66 ID:y36kfX0po

いろいろヒデェwwwwwwww

>>1乙!
めっちゃ面白かった!



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/08(土) 21:47:22.27 ID:GPQC/ebSO

お疲れ様でした!
最後wwwwww



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/16(日) 21:07:26.00 ID:QsZRL81IO

GJ!



魔王「病んでれ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1317399804/
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         コメント一覧 (20)

          • 1. 名無し
          • 2011年11月08日 22:41
          • 1お前ら屑><
          • 2. あ
          • 2011年11月08日 23:49
          • うん面白かった
          • 3. す
          • 2011年11月09日 00:36
          • 面白かった~
          • 4. あ
          • 2011年11月09日 03:09
          • 安定感のある面白さ
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年11月09日 09:06
          • 姫が、オーフェンのボギーっぽかった
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年11月09日 09:20
          • アリだな!

            てか最近管理人さんは勇者・魔王系にハマってるのかい?
            更新頻度がハンパねぇ
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年11月09日 11:20
          • アクセスランキングで勇者魔王ばかりが上位にあったから優先して更新してるんでしょ
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年11月09日 15:29
          • おもしろかった

            しかし現実にこんなのいたら耐えれる人間そうそういないだろうな
          • 9. 名無し
          • 2011年11月10日 23:41
          • 5 相思相愛のヤンデレほど愛おしいものはない
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年07月17日 04:17
          • これは面白い
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月14日 14:41
          • 魔王とヤンデレ姫無敵の組み合わせだな。攻撃しても魔王なら死なないしなwww
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年01月18日 01:11
          • ホモォ・・・
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年05月06日 17:04
          • アッーーーー
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月01日 01:25
          • ヤンデレって愛の齟齬から生まれるもの何だよな。つまり相思相愛なら・・・・・・・・・・・・ただのバカップルじゃねいか。

            あと、最後のところを作者がやりたかっただけだろ♂
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年02月23日 21:31
          • 面白かったよ!

            オチもキレイに落ちたね
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年06月26日 03:59
          • アッー!
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年10月21日 01:02
          • 魔王の再生能力だけが姫の重い愛を受け止められるのか…。側近も大変だな(胃とか)
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年04月11日 18:25
          • ホモォwwwww
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年08月14日 22:10
          • 所詮人間のヤンデレも相手が魔王じゃただのイチャラブか…
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年12月12日 16:50
          • さいなら勇者・・・

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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