勇者「倒しに来たぞ魔王!!」魔王「また来たのか…」
- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/29(月) 02:07:28.02 ID:iYdgyGgaO
代理
ID:FibJPjCV0
⇒勇者のくせになまいきだ
代行感謝ー
魔王「一度殺したのにまた来るとは性懲りもない奴じゃな…」
勇者「ふん、噂に聞いたのと全然違う美女だったから油断したんだ」
魔王「び、美女とか言うな!!」
勇者「殺した相手に何照れてるんだよ」
魔王「わしは別に殺すつもりはなかったんじゃがな、正当防衛じゃ」
勇者「それはそうかもしれないけどさぁ…」
魔王「じゃろう? それに確かめたいこともあったしの」
勇者「確かめたいこと?」
魔王「なあ勇者よ……お主はなぜ、生きておる?」
勇者「なぜ生きているからって…世界を救うため?」
魔王「違う、そういうことじゃない。意味とかじゃない」
勇者「はあ? 意味がわからん…」
魔王「わしはお主を、殺したぞ? なのになぜ、生きておる?」
勇者「そりゃ俺が死んでもお城に転送されて生き返るからだろ」
魔王「本当に?」
勇者「現にこうして生きてるじゃないか」
魔王「ふむ、なるほどな。…報告通りだな」
勇者「なにが」
魔王「いやいや魔族がの。勇者が殺しても生き返るこんなのおかしいーっての」
勇者「蘇生するのは別におかしいことじゃないだろう?」
魔王「確かに、蘇生自体は大変高度な技だが死した命を生き返らせることができる」
勇者「だろう?」
魔王「…わしはこの蘇生自体好きじゃないんじゃがの、ずるいし」
勇者「は?」
魔王「いや…じゃが魔法でも修復不可能な傷を受けてしまうと蘇生は不可能じゃ」
勇者「だから、そうなる前に城に転送されるんだろ?」
魔王「……されておらぬよ」
勇者「は?」
魔王「されておらぬと、言ったのじゃ」
勇者「ど、どういうことだ?」
魔王「部下の魔族はのー、お主を殺したあとひき肉にしたらしい」
勇者「ええー」
魔王「肉片はその後部下の魔族が美味しく頂きました」
勇者「食された…」
魔王「この行為はお主を殺した魔族すべてが行っておる」
勇者「俺そんなに美味しそうなの?」
魔王「というか、魔族のほとんどが肉食じゃし」
勇者「お前もか?」
魔王「わしはグルメじゃから、人肉など硬くて食えんわ」
勇者「グルメって……つか、それ本当か?」
魔王「本当とは?」
勇者「だって俺はこうしてお城から生き返ってきたわけだし」
魔王「うむ、わしもそんなことあるわけなかろーもんと思ってたんじゃがな」
勇者(もんって…つか俺は何で平然と対談してるんだ…)
魔王「勇者一味の肉じゃなかったのか、と」
勇者「そうなんだろ。だって俺たちは死ぬたびに城で生き返ったぞ」
魔王「そこでわしは部下の魔族が言ってたことが正しいかどうか試してみることにした」
勇者「試してみた? 肉片にしたのか」
魔王「それじゃと入れ替えられても判別がつかないじゃろ」
勇者「そうか…なら…」
魔王「うむ、ここに用意しておる」
勇者「……! !? お、俺の、し、死体…?」
魔王「こうして、証明されたの。不自然な生き返りが」
勇者「……」
魔王「ふむ、ショックで言葉も出んか。まあ自分の死体なんて普通見ぬしな」
勇者「あ、いや、ちょっと考え事。ちょっと驚いたが慣れたわ」
魔王「え、ええ? 順応性高いの、お主…」
勇者「まあそうじゃなきゃ勇者なんてやってられんわ」
魔王「むむ…なんとなく釈然とせんの」
勇者「まあ変わりものだと言う自覚もある」
魔王「そうじゃな…一度お主を殺したわしともこうして喋ってくれとるしな…」
勇者(ああ、変な状況と言う自覚はあったのか…)
魔王「そう言うなら、わしも変わりものじゃがな」
勇者「違いはない」
魔王「して勇者よ、改めて訊くがお主はなぜ、生きておる?」
勇者「…いや、わからん。俺はこうして生きてるし、だがその死体はどう見ても俺だし」
魔王「そうじゃの…わしも長いこと生きているがこのような現象は知らん」
勇者「…いや、どうせその死体も幻覚かなんかだろ?」
魔王「なんじゃと?」
勇者「何故か話しこんでしまったが、どうせそれも俺を油断させるため…」
魔王「ち、違う違う」
勇者「さあ、戦闘をはじめるぞ魔王!」
魔王「やじゃ」
勇者「…や!? な、なんで!?」
魔王「わし平和主義者じゃしー」
勇者「いや俺思いっきり殺されたし、死体そこにあるし」
魔王「正当防衛じゃし、それに死体は幻覚なんじゃろ?」
勇者「う…、そうだ、が、幻覚には見えない…てか俺幻覚効かないしな…」
魔王「じゃろ、お主の不可解な生き返りは紛れもなく起こっておる」
勇者「じゃあ一体どういうことなんだよそれは」
魔王「わからぬ」
勇者「…なら仕方ない、いささか喉につっかえるものはあるがこのまま戦闘を――」
魔王「まあ待て勇者よ」
勇者「な、なんだよ…」
魔王「わしはこの謎を解明したい」
勇者「それは、俺もそうだが」
魔王「じゃろう? いくらなんでもこれはおかしい。魔法でも解明できるものか?」
勇者「それは…」
魔王「なら人間お得意の科学とやらか? それでこの謎は解明されるのか?」
勇者「俺の知る科学じゃ…わからない」
魔王「そうじゃろう、思えば勇者、お前の世界には謎が多い」
勇者「俺の世界…?」
魔王「なあ勇者よ。死んだら必ずお城で生き返る勇者よ」
勇者「……」
魔王「わしと一緒に、世界の不思議を解明せんか?」
世界不思議発見か、胸熱だな
勇者「不思議だって?」
魔王「わしは別に世界が征服したいわけじゃない、証拠に戦争もしてない」
勇者「…確かに、魔族側が人間領を侵略することはほとんどなかったな」
魔王「戦争なんて、ないほうがいい。最低限の戦いがあればそれでいい」
魔王「魔王と勇者が殺しあうなんて、古い時代は終わったんじゃ」
魔王「ま、勇者の方から攻めてきたので、仕方なく迎え撃ったがの」
勇者「悪かったな、古くて」
魔王「仕方あるまい、魔族を攻め入るのは、前時代の魔族がそういう認識を植え付けたからじゃ」
魔王「これから徐々に変わればよい、その方がお互い幸せな未来が見える」
勇者「変な魔王だ」
魔王「そう言ったじゃろう?」
魔王「わしは世界を征服する気はないが、世界を解明したいんじゃ」
勇者「解明?」
魔王「うむ。生まれた時からずーっと、ずーーっと、ずーーーっと、城育ち」
魔王「正直飽きたわ、この城から出ればわしの知らないことがたくさんある」
魔王「わしはそれが見たい、この世界のすべてを知りたい」
勇者「見に行けばよかったじゃないか」
魔王「できなかったよ、これでも魔王じゃ、王が城を開けることはできん」
魔王「魔王を継承させようにも相手がおらぬ」
魔王「そこでわしは待った、連れ出してくれる相手を」
勇者「ま、まさか…」
魔王「うむ、勇者よ。わしをここから連れ出してくれ!」
勇者「ゆ、誘拐じゃねーか…」
魔王「囚われのお姫様を連れ出すようなもんじゃ」
勇者「そんな年齢なのか…?」
魔王「また氏にたいのか」
勇者「ごめんなさい生き返るけど痛いものは痛いんです」
魔王「ならよしっ!」
勇者(なんで魔王とこんなフランクに…けど何故か憎めないんだよな…)
魔王「じゃ、行くぞ」
勇者「行くって、どこに」
魔王「そりゃお主、人間の城じゃよ、まずはお主の生き返りを解明しよう」
勇者「…それで、お前をここから連れ出せと」
魔王「うむ!」
勇者「うむじゃねーよ! 豊満な胸を張るな!」
魔王「せ、セクハラじゃぞ!」
勇者「はいはいごめんなさいね、で、つまりお前はあれだろ?」
勇者「自分で出ていくのは問題だから俺に連れ去られたことにするんだろ?」
魔王「うむ! 連れ去られてしまったら仕方ないしの!」
勇者「おっぱいを張るな!!」
魔王「お、おお、お、おぱ、おぱ、おっぱいなどと恥ずかしい!!」
勇者「なにお前ピュアキャラなの? それともアホの子なの?」
魔王「アホとはなんじゃ!」
勇者「いやだって俺が連れ出したことにしてみろ、魔族が人間界に復讐しに来るぞ」
魔王「あ」
勇者「それこそお前の望まない戦争に発展するだろうが」
魔王「お、おおー、ゆ、勇者は実は偉い子なんじゃなー」
勇者「お前は実は馬鹿だったんだな」
魔王「ぐぅ」
勇者「そんな頭で良く謎を解明したいとか言ったな」
魔王「わ、わからんことは気になるじゃろうが」
勇者「知ってるようなことを言うから頭良く見えたけど幻想だったよ」
魔王「ぐぅー…」
勇者「ぐうの音しか出ないな」
魔王「今のは腹の音じゃ」
勇者「さらに食いしんぼうキャラだと!?」
魔王「まあ食事の問題はあとでたらふく勇者に御馳走してもらうことにして」
勇者「そうだな俺も腹減ったしあとで…え!? おごるの!?」
魔王「はてどうしたものか…城の者は勇者が連れ出しやすいように全員出てもらってるし」
勇者「エンカウントなくておかしいと思ったらそんな理由が」
魔王「ううん、どうしようどうしよう」
勇者「というかすでに俺は協力決定なのか」
魔王「なんじゃ、してくれないのか」
勇者「そりゃだって、勇者と魔王だぞ?」
魔王「古臭い古臭い、勇者と魔王が手を組む話など腐るほどあるぞ」
勇者「そうなのか?」
魔王「そうじゃそうじゃ、それに女だと思ってなかったみたいじゃが女魔王もあるあるじゃ」
魔王「それで勇者、お主、わしに協力してくれないか?」
勇者「…まあ、お前が敵意を持ってないのはわかったよ、殺されたけど」
魔王「あ、あれは正当防衛じゃし、部下の報告も確かめたかったし…」
勇者「まあ俺も悪かったよ、話も聞かずに殺そうとして」
勇者「それに、俺が死んでも生き返るのは誰でも知ってるしな」
魔王「生き返り方は謎じゃがな、その謎を解明するためにもわしと」
勇者「ああうんわかった」
魔王「協力してくれるとうれし――え!? ほんとか!」
勇者「おう。俺はみんなの幸せのために生きる勇者だ」
勇者「ここでお前を倒すより、ともに手をとったほうがそうなりそうだ」
勇者「たしかに魔族からの侵略もほとんどない、やっぱ仲いい方がいいよな」
魔王「…わしが言うのもなんじゃが、勇者はお人よしじゃな」
勇者「考えるのがめんどくさいだけだよ、なるようになる」
魔王「えーと、わしがお主を騙してるとは」
勇者「んんー、どうでもいい、ここに来るまで10レベはあげたし」
魔王「10!? お主前の戦闘でも相当レベル高かったじゃろ!?」
勇者「ほら、女魔王に負けたの案外悔しくて必死にレベあげを」
魔王「再び来るのが遅いと思ったら…!」
勇者「それに生き返ると言ってもなるべく死にたくはないしな…」
勇者「うん? そういえばお前俺がまた来た時うんざりしてたよな」
魔王「そ、そうじゃが?」
勇者「そのわりには待ってたような発言を…」
魔王「わーわー! 確かに来てくれないと困ったけどそれはただちょっと困るかなって思っただけでわしはべつに」
勇者「さて、じゃあどうやってお前をここから平和的に連れ出そうか」
魔王「だからわしは外に出る道具としてお主を利用しただけでそれ以上は、ん?」
勇者「普通に連れ出しただけじゃ問題だしな…」
魔王「この際わしの信頼を失う覚悟で置き手紙して城を開けるか…」
勇者「それが一番得策の様な気も――」
??「勇者! 無事か!!」
勇者「せ、戦士!? お前、なんでここに! 王都で待つように言ったろうが!」
戦士「あたしたちを戦いに巻き込みたくないからってそんなの水臭いぜ!」
勇者「いやしかしな、魔王は強いし」
戦士「だいじょうぶだ、どうせ死んだって生き返る」
勇者「そういう考えだからだよ…」
戦士「え?」
勇者「いくら生き返るとは言ったって死ぬのは痛いだろ、死ぬ方も死なれる方も」
勇者「お前、俺が死んでも生き返るからって命を粗末にしたらどう思う」
戦士「そ、それは嫌だ…」
勇者「だろ? だからお前もそうやって命を粗末にすんな」
戦士「わ、わかった…。それで勇者、魔王はどこに? その女性は?」
勇者「え、あー、こいつはだなー、えーと」
魔王「ふむ……ちちんぷい!」
戦士「はや? ふわぁー…」バタン
勇者「お、おい! お前そんなファンシーな呪文で戦士に何を!?」
魔王「ちょっと催眠術の様なもんじゃ、すぐに目を覚ます」
ふわぁー…
ねる
えー お前これ落ちるぞ勿体無いだろ
眠すぎてヤバいけどもちょっとがんばる
戦士「ううーん」
勇者「戦士! 大丈夫か!」
戦士「魔王様、勇者様、なにか、御用ですか…」
勇者「え?」
魔王「わしは勇者と出かける! しばらくの間魔王代行を頼むぞ!」
戦士「仰せのままに…」
勇者「ええー!?」
魔王「さあいくぞ勇者!! 戦士よ、お前は今日から魔王じゃ!」
戦士「はい…」
勇者「ええー…」
――
魔王「軽い洗脳魔法じゃ、何事もなければひと月ほどで戻る」
勇者「ながっ、副作用とかないだろうな…」
魔王「まあ操られてる間の記憶が抜けるくらいじゃの」
勇者「それならまあ、いいのか…? てか代行なんかでいいのか?」
魔王「いつかちゃんとした手を打つ必要があるが、とりあえず今はな」
勇者「洗脳が切れるひと月の間になんとかしないとか」
魔王「そうじゃな、周りの魔族の目をごまかせるのも同じくらいの期間じゃろ」
勇者「ていうか戦士あんな簡単に洗脳にかかっていいのか…」
魔王「かけたわしも少し驚いておる」
魔王「洗脳魔法は魔力耐性が少しあるだけでかからない難解な魔法なんじゃが」
勇者「ああ、あいつ魔法体制0だからな…」
魔王「今時そんな人間が…よく旅に同行させたの」
勇者「そうは言ってもあいつ剣術はかなり強いんだよなー」
勇者「それに王様が選んでくれた仲間だしな」
魔王「ほう、王が」
勇者「ああ、僧侶も賢者も王様の紹介で出会った」
魔王「ずいぶん対応がいいんじゃな」
勇者「そりゃ国の代表で戦いに行くんだし」
魔王「そうじゃなー、その親身さは同じ王として見習っておこうかの」
勇者「さて、戦士が来たってことは他の奴も近くにいるのかな」
勇者「…いや、あいつらのことだ、ちゃんと王都で待ってるんだろうなあ」
【王都】
勇者「そんなわけで戻ってきたわけだが」
魔王「おー! ここが王都か! すごいのう! この賑わい!」
勇者「静かにしろ、あんま目立つと困るだろう」
魔王「そ、そうじゃな…おお!? あれはなんじゃ!」
勇者「はあ…。で、どうするんだこれから」
魔王「お? おお、そうじゃな、少し試したいことがある」
勇者「試したいこと?」
魔王「うむ、実は仮説があるのじゃ」
勇者「仮説?」
魔王「そうじゃ、それはあとで話す。まずは城の前まで行こう」
【城門前】
勇者「来たぞ」
魔王「なかなか立派な門じゃないか」
勇者「で、どうするんだ?」
魔王「ふむ、ここでは少し目につきすぎる、もう少し人目のつかない場所へっと」
勇者「路地裏なんかに連れ込んでどうするんだ」
魔王「ふむ、ここからなら城の門も見えるし良い位置だな」
勇者「うん、で?」
魔王「先に訊くが勇者、お主、死んだらどのくらいで生き返る?」
勇者「うーん、死んだときの日の傾きとそんなに変わらなかったからたぶん一刻も経たない」
勇者「普通の蘇生魔法も一瞬だしな、転送魔法も一瞬だろうし」
魔王「転送魔法の件はたぶん関係ないがの、まあそれを確かめるためにも」
魔王「勇者、わしがお前を殺すから生き返ったらすぐに城から出て来い、内密にな」
勇者「え、今何て?」
魔王「わしは門を見張る。じゃからお主は生き返ったらすぐ出てくるのじゃぞ」
勇者「ちょ、ちょっとま」
魔王「では、死んでくれ……ボソボソ」
勇者「ちょっとお前死の呪文をそんな耳元で囁くなこんな近くで何度も言われたr」カクン
魔王「お、おお、やっと死んだか、だいぶ魔力を消費したぞ…さすが勇者」
魔王「しかしこの近距離で何十回も唱えてこれか…さすがに破格じゃの…」
――
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない」
勇者「お、俺は…そうか、死んだのか…あの野郎…」
勇者(…まあ死んだのなら仕方ない。言われた通りすぐに外に出るか…)
王「勇者よ――」
勇者「すみません王様俺はこれで!」
――
【城門前裏路地】
勇者「お待たせお前いきなり何しやがんだ」
魔王「…遅かったの」
勇者「あん? 日の傾きからしてやっぱ一刻も経ってないぞ」
魔王「丸一日待ったわ」
勇者「は?」
魔王「ふむ、これはもしかすると…」
勇者「おいどういうことだ――」
魔王「では次じゃ…通り雨が来るの」
勇者「え?」
魔王「また同じように頼むぞ…ボソボソ」
勇者「うわわお前またか本当にやめr」カクン
魔王「……さて、どうなるかな……」
――
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない」
勇者「……またか」
王「勇者よ――」
勇者「王様、俺はこれで」
――
【城門前裏路地】
勇者「あれ? 雨降ってる、さっき降ってなかったのに」
勇者「しかも夜になってるぞ、どうなってる?」
魔王「……ようやく来たか」
勇者「ああ、魔王。……お前、どうしたんだその格好」
魔王「んん、ああ、少し汚れてしまったか…」
勇者「結構、疲れた顔してるな」
魔王「心身ともに疲れ取るよ…いかんせん待つのは辛いのう」
勇者「…今度はどのくらい待った」
魔王「二十日じゃ」
勇者「は?」
魔王「二十日、わしは待ったぞ」
勇者「二十日って…うそだろ?」
魔王「ほんとじゃよ…ふわぁ、ねむい、おなかすいた」
勇者「おい魔王…」
魔王「お金はもってないし、どこか宿に言って御馳走を、いやまず睡眠を」
勇者「二十日もずっとこの場所で?」
魔王「所用で少し移動したりもしたが、基本寝ずにここで門の監視をしておったよ」
勇者「寝ずにって」
魔王「わしが魔王じゃなければ不可能じゃったな」
>>68,67の順番で頼む
勇者「うん? そういや俺の死体はどこだ?」
魔王「二体とも隠してある…とりあえず寝たい、詳しくはあとでも良いか?」
勇者「ああ、じゃあ宿屋に行くか…」
――
【宿屋部屋1・翌日】
魔王「ふぅ、良く寝た良く食べた!」
勇者「…グルメの口にあって良かったよ」
魔王「うむうむ、満足満足」
勇者「それで、教えてくれよ。二十日の謎、死体のこと」
魔王「そうじゃの、といってもわしもまだ事実しか観測しておらん」
勇者「それでいいさ、で二十日経ったってどういうことだ」
魔王「言葉の通りじゃ、二十日間お主は出てこんかった」
勇者「俺はお前に言われた通りすぐ外に出たぞ」
魔王「なるほど」
勇者「しかも出てみれば雨は降ってるし夜になってる」
魔王「それはお主が死んだ時夜だったのと、雨が降っていたからじゃろう」
勇者「どういうことだ」
魔王「まず、お主が二回目に死んだ際、わしはまずお主を眠らせた」
魔王「その後、雨が降り、わしは雨がやむ少し前にお主を殺した、夜のことじゃ」
魔王「最初の蘇生には丸一日かかった、何事もなければお主は翌日の夜出てくるはずじゃ」
魔王「じゃが、そうはならんかった」
勇者「なんでだよ」
魔王「たぶん、雨が降らなかったからじゃな」
勇者「雨が…?」
魔王「お主が死んだ状況と同じ状況で生き返らせる必要があったんじゃろ」
魔王「蘇生がすぐ行われていると錯覚させるために」
勇者「信じられない…、そんなの、すぐばれるだろ」
魔王「じゃが事実じゃ。確かにむちゃくちゃじゃの、日付の概念は覆せん」
魔王「おそらく、蘇生してすぐ旅に出る勇者くらいしか騙せん」
勇者「確かに、日付なんか気にしてなかったしな…」
魔王「そんなすぐ崩れかねない不和を抱えながらも、蘇生がすぐ行われてると錯覚させる必要があった」
勇者「なぜだ…」
魔王「んー、たぶん、蘇生の秘密を知られたくないから…じゃろう」
勇者「秘密って…ただ、精霊の加護を借りて魂を呼び戻してるんじゃ」
魔王「それだと、死体が残る説明がつかん」
勇者「そうだ、俺の死体は?」
魔王「氷結魔法で完全に氷漬けにした後、転移魔法で氷山のほら穴に隠しておる」
勇者「大掛かりだな…」
魔王「絶対に見つかってほしくないものじゃからの、それに腐らせたくもない」
魔王「検証したいことがあるからの」
勇者「検証?」
魔王「うむ、では行こうか……転移魔法」
【氷山の洞穴】
勇者「二体とも俺の死体だな」
魔王「同一人物の死体二つなどめったにお目にかかれんな」
勇者「めったどころじゃない」
ペース遅くね?
>>1
大丈夫か?
すまんぼーっとしてた
勇者「で、どうするんだ?」
魔王「まずは氷結魔法を解いて…持ち物を調べる」ゴソゴソ
勇者「持ち物って言っても金くらいしか持ってないぞ」
魔王「それじゃよ、お主二人分のサイフの中身じゃ」
勇者「中身?」
魔王「お主が死んでも所持金は変わらんのじゃろ?」
勇者「え、あー、どうだろう、いちいちチェックしないし覚えてない」
魔王「……まあ、減ろうが増えようが死んでもお金は所持してるじゃろ」
勇者「まあな」
魔王「じゃが、死体は変わらずここにある、お金も持ったままじゃ」
勇者「そっか、死体が残ったままなら金を持ってるのはおかしいよな」
魔王「……ふむ、やはり同じ数だけ硬貨が残っておる、それも種類もぴったしじゃ」
勇者「これはつまり、蘇生の度に同じ金を持たされてるってことか」
魔王「そうなるの、服や武器は見ただけでわかるがこんな細かいところまで…」
魔王「どうやって数や状態を確認しておるのか……もしや危ないか?」
魔王「……いや、こうしてわしが蘇生の謎について調べられている以上は最悪の可能性はないか」
勇者「最悪の可能性?」
魔王「いやしかし罠か…? …確かめる必要があるな」
勇者「おい、魔王?」
魔王「よし、次じゃ」
勇者「は?」
魔王「今度は城に潜入するぞ」
勇者「え?」
魔王「その前にやることがあるがな」
【王都・僧侶の家】
僧侶「……勇者、もうひと月以上も連絡がない」
僧侶「わたしも、戦士のように行くべきかな…」
僧侶「勇者に何かあったらわたし…だってわたし勇者が――」
勇者「おいすー」
僧侶「きゃあああ勇者!? なぜここに! いえおかえりなさい!」
勇者「おちつけ僧侶」
僧侶「れれれれ冷静ですよわたしは!? 戻ってきたということは魔王を討ち取ったんですね!」
勇者「いや、実はまだ」
僧侶「え?」
勇者「ちょっと話したいことが合ってな」
賢者「やほー、僧侶ちゃん」
魔王「知恵と力を借りようとしたらまさかハーレムパーティとは勇者というやつは…」
僧侶「賢者さん!! …と、誰?」
――
僧侶「……そんなことが」
賢者「私も最初聞いた時は信じられなかったけどねー」
勇者「だけどこいつが言ってることは本当だ」
僧侶「死体も見せられましたし、信じるしかないですね」
魔王「というか魔王に対して全然敵意ないの。隠すつもりが勇者がばらすし」
魔王「いやこのほうが話が進めやすいんじゃが、なんか釈然とせぬ…」
勇者「勇者一行は変わりものなんだよ」
魔王「王道を進む者たちは都合の良いものということかの…」
賢者「ご都合主義万歳じゃない、人生楽なのがいいわ」
魔王「賢者らしからぬセリフじゃの…」
僧侶「勇者さんが言うなら、わたしはそれに従うだけです」
賢者「それに、みんながハッピーになる道があるならそれを進もうじゃない」
魔王「……正しく勇者一行、じゃの」
僧侶「それで、お城に侵入するとは?」
魔王「死体は残される、城に運ばれた者もなし。そうなると城の中で何かある」
賢者「そう考えるのが自然ね」
勇者「しかし城の中っつっても一通り調べ……いや、地下があるな」
魔王「地下?」
僧侶「あー、そういえば地下室だけはどうしても入れてくれませんでしたね」
賢者「きっとすっごいお宝がざっくざっくあるに違いないわねおっとよだれが」
魔王「煩悩の多い賢者じゃの…」
賢者「しかし、ここまで考えるなんて魔王ちゃんやるねえ」
魔王「ちゃん付けするな!」
勇者「ほんと、お前は馬鹿なのか偉いのかわからないよなあ」
【王城地下入口前通路】
賢者「そんなこんなで地下入口前ね」
魔王「あっさり来たの…」
勇者「無駄な描写は省くに限る」
魔王「メタメタしいのう…」
僧侶「それで、どうするんですか?」
勇者「見張りの兵士がいるなあ」
魔王「幻覚魔法を兵士に、透過魔法と消音魔法をわしらにかけよう」
賢者「おっと、じゃあ私も手伝うよ」
僧侶「あ、わ、私も」
魔王「かまわぬよっと…ほい、では行くかの」
賢者「ひゅー、一瞬で同時にとは」
僧侶「これが魔王……」
【王城地下一階】
勇者「なんか…」
賢者「雰囲気が違うわね、鉄の通路…?」
僧侶「こんな作りの建物、はじめてです」
魔王「ここだけ文化水準が違う気がするのう」
勇者「……」
魔王「やはり何かが、秘められておる。そう感じるわ」
賢者「そうねえ」
僧侶「奥に続く扉がありますよ」
勇者「入ってみよう」
僧侶「広い部屋ですね……あれ?」
賢者「何かしら」
魔王「なんじゃあれは」
勇者「大量の……鉄の箱?」
魔王「箱と言うか…細長く丸っこいのう、かなり大きなサイズじゃし」
僧侶「人ぐらいなら入る大きさですね。何が入ってるんでしょう…こんなにたくさん」
賢者「百は…越えてるわね、五百…でも足りないか」
勇者「開けてみるか」
僧侶「大丈夫ですかね?」
賢者「私ら勇者一行は今まで好き勝手色んなもの開けてきたじゃない」
僧侶「そ、そうですけど」
魔王「まるで強盗じゃな…」
勇者「まあ、この鉄の箱に秘密が隠されてるかもしれないんだ」
僧侶「そうですね…では、開けてみましょう」
魔王「この箱で秘密が解けるのか…否か…」ガチャ…
勇者「……な、」
賢者「……これは」
僧侶「……ど、どうして」
魔王「……そういうことか」
勇者「なんで…」
魔王「なるほど、の…」
勇者「俺が、眠ってるんだよ…」
【宿屋大部屋】
魔王「さて、一度抜け出してきたわけじゃが」
勇者「……」
賢者「うーん、ちょっと、参ってるわ」
賢者「なんで…なんでわたしたちがあんなに…」
魔王「あの箱の中には勇者、賢者、僧侶、戦士が眠っておった、それも何体も」
魔王「全部を調べることはできなかったがたぶん、全ての箱が勇者一行で埋まっておる」
勇者「……そうだな」
僧侶「これが、生き返りの秘密ですか…?」
賢者「そうね…、つまり私たちは…」
勇者「ああ。俺たちはどんな方法か、最初から多くの代わりが用意されていた」
魔王「そしていかなる方法か記憶と状態を引き継いで、そのうちの一体が蘇る」
勇者「これが、俺たちが死体を残したまま生き返る、秘密だ」
魔王「といっても、謎はまだある」
僧侶「それって…」
賢者「どうやって私たちの代わりを用意しているのか」
勇者「それに、記憶の引き継ぎ、持ち物の把握、だな」
魔王「勇者一行の全てが監視、把握されてるわけではない、と思う」
僧侶「どうしてですか?」
賢者「あれだけ隠してたものを知ろうとしてる間に何も起こってないしね」
魔王「見逃されてる可能性もある、あるいはもっとよからぬ企みがあるか」
勇者「あれだけの技術力があるんだ、箱を開けたことがバレててもおかしくないな」
僧侶「えぇ…」
勇者「怯えんなよ僧侶、仮にバレてても俺がちゃんと守ってやる」
僧侶「勇者さん…」
賢者「こんなとこでフラグたてないでくださーい」
魔王「大事な話の中でふざけるでない勇者!!」
勇者「え? え?」
魔王「…まあ、その件については大丈夫じゃろ」
勇者「バレてないのか?」
魔王「いや、バレとるじゃろ、そりゃ」
僧侶「ええ!?」
魔王「何を驚く、さっき勇者が言ったようにあの技術力じゃ」
魔王「バレとると考えて間違いはないじゃろ」
魔王「ただ、勇者一行の行動は十中八九監視されてはない」
勇者「それはさっき賢者が言った通りか」
魔王「うむ」
僧侶「そ、それでバレてるのに何が大丈夫なんですか?」
魔王「侵入され、箱が開けられたのはバレておる、じゃが」
賢者「ああなるほど、誰がやったかはバレてないってことね」
魔王「うむ、そのための透過魔法じゃ」
魔王「幻覚と違い、わしらが透明になる魔法じゃ、見破られはせん」
魔王「姿が見えるのは、わしとわしの魔法をかけられた者同士だけじゃ」
僧侶「な、なるほど。それなら大丈夫ですね」
勇者「となると、どうやって残された謎を解明する?」
魔王「おそらく残りの謎はわしらが考えてもわからぬだろう」
魔王「あれはわしらの及ばぬ技術の先にあるものじゃ」
賢者「魔法で出来る範囲を超えてるものね」
魔王「魔法で解決できないものがあるとはのう…」
勇者「意外と多いぜ、生きてるとな」
魔王「やはり世界は、広いのう」
僧侶「考えてもわからないなら、どうします…?」
魔王「うむ、お主らも知りたいだろう、自分たちの秘密を」
賢者「好奇心は猫をも殺すけど、知らなきゃ死んでも死ねないわねぇ」
勇者「しかも、その死に関係する秘密だしな」
魔王「それでは、知りに行くとしようか」
魔王「お主らは、何故生きているのか。あのお主らは何なのか」
魔王「その他もろもろの秘密を、解明するとしようじゃないか」
勇者「……格好良く言ってるけどお前興味本位だろ?」
魔王「うむ!」
勇者「……はぁ」
賢者「秘密を暴きに行くなら戦士ちゃん呼ばなくていいのかしら?」
勇者「あいつはいいだろ、馬鹿だし」
僧侶「馬鹿ですしね」
賢者「そっか、馬鹿だもんね」
魔王「お主らひどいのう…それじゃあその戦士にかけた術が解ける前に、決着をつけるかの」
勇者「で、秘密を解明するってどこに行くんだ」
魔王「そりゃ城じゃろ」
勇者「何をしに」
魔王「王から謎を訊き出しにじゃ!」
勇者「馬鹿か」
賢者「馬鹿ね」
僧侶「馬鹿ですね」
魔王「お主らやっぱりひどい!」
勇者「隠してたことだぞ、適当にはぐらかされる」
魔王「あ、そうじゃな」
勇者「馬鹿って言うか、変なとこで抜けてるんだよな、お前」
魔王さんの外見って妖艶なお姉さんでよいの?
>>147
その辺は自由で、一応少女ではなく女性
魔王「なら拷問して訊き出せばどうじゃ」
勇者「国際問題だな、戦争が起きる」
魔王「わしの身分を隠して」
勇者「俺らの身が危ないだろ…反逆者として始末される」
僧侶「もう二度と生き返ることもないでしょうね…」
魔王「本来、普通の生き物は、生き返ることはないんじゃがの」
賢者「選ばれた一握りの人間だけよね、精霊様の加護をもらえるのは」
魔王「そうじゃな。しかしお前たちの生き返りは精霊とは関係なさそうじゃがの」
魔王「なんだかもっと、そう、まるで真逆じゃ。精霊を侮辱するような、そんな…」
僧侶「わかるんですか?」
勇者「あれを見て意識したからか、俺もなんとなくわかる…。精霊の加護を…自分の魂から感じない」
僧侶「それって…」
勇者「だからと言って魔法を使えないわけじゃないがな」
勇者「なんだろう、精霊が怒ってるような、そんな感じ」
勇者「俺に対してじゃなく、なんだろうな、俺の身体に? わかんね」
僧侶「む、むずかしいです…」
勇者「ま、その話はいいとして、で、どうする?」
魔王「ううむ、秘密を解明する方法…方法…」
魔王「王に訊いてもはぐらかされるのなら、はぐらかせないようにすれば…」
勇者「訊くにしてもバレないよう、人目のつかない場所でだな」
賢者「……ほむーん、考えがあるわ」
魔王「なんじゃ今の」
僧侶「どんな考えですか?」
賢者「うん、それじゃあ誰かに死んでもらうとしようかな」
僧侶「え?」
賢者「ごめんね」
【王城地下奥部屋】
??「……僧侶が死んだか、記憶引き継ぎよし、服の用意よし」ガチャガチャ
??「しかし所持品の報告はまだか・・・・・はやくせねば」ズルズル
【王城地下一階】
勇者「待ちくたびれたぜ、王様」
王様「ゆ、勇者!? それに賢者と、貴様は誰じゃ!」
魔王「探究者とでも名乗っておこうかの」
賢者「やほー、王様」
勇者「王様自ら運んでたとは、部下が信用できないってところか?」
王様「ど、どうしてここに…はっ、先日の侵入者は貴様らか!」
賢者「ご名答ですわ、王様。さて、ご説明をお願いできます?」
賢者「この用意された私たちは?」
賢者「私たちがこうなってる理由は?」
賢者「その他もろもろ、お願いしますわ」
王様「賢者、貴様……裏切ったのか」
賢者「裏切る? なんのことですか?」
王様「き、貴様」
賢者「私の役目は「所持品」を報告することだけ」
賢者「むしろ、裏切られたのは私の方ですよ?」
賢者「なんでいちいち所持品の報告をしなくちゃいけないのか、と思ってましたが」
賢者「しかも高額報酬で、いや助かってましたが」
勇者「やけに羽振りがいいと思ったらお前…」
賢者「さあ王様、ご説明をお願いしますよ。さあ、さあ、さあ!」
王様「ふ、ふははははははは!」
勇者「なんだ…?」
王様「どうせお主らはここで待ち伏せしていれば誰にも見つからないと思ってたのだろう!」
王様「わしが来ないにしても事情の知ってるものが来ると!」
王様「人目につかず、証拠の揃ってるこの場所なら訊き出せると!」
王様「残念だったな! 監視カメラがある!」
王様「先日はステルスを使っていたようだが、わしの目に見えている以上今回は違う!」
王様「映っているならすぐにでも兵士がくる!」
賢者「それはどうでしょうか」
王様「なんじゃと?」
賢者「あ、僧侶ちゃんは返してねっと、ほい!」スイッ
僧侶「ぐーぐー」
賢者「まあ兵士さんが来るまでに、わかりやすく先ほどの質問に対する回答をお願いしますよ」
勇者が魔王と行動してたときも賢者が見張ってたのか
>>161
本編で出ない説明だからここで言っておくとその通り
僧侶の前に賢者が仲間になったのは最初から見てた賢者からのコンタクト
(その時は何も知らないふりをして近づいた)
魔王との接触時は、賢者は不審に思いながらも勇者を信じ余計なことはせず
「所持品」が変更されたときの報告のみを行ってた
王様「ふん、しかしお主ら、こんなことをしてただで済むと」
勇者「思わねーよ、最初は俺らの身が危ないからやめようとも思った、が」
賢者「よーく考えたらどうでもいいのよね」
王様「な、なんじゃと!?」
勇者「だってよ、王様、こんな隠すようなことしてさ、悪いのは王国だろ?」
勇者「だったらそんな王国から狙われるようになってもいいさ、俺は世界を救うための勇者だ」
勇者「悪の味方は、しないんだよ」
王様「き、さま、魔王を倒すだけの道具のくせに――!」
勇者「俺は、そうだな、戦争なんてしないっていうような奴の味方でありたい」
王様「愚か者めが…!」
勇者「それでいいさ、勇者は頭を使う職じゃねー」
賢者「うふふ、戦士ちゃんみたいな言い草ね」
勇者「うるせ」
僧侶と賢者が意識がない時に王様に犯されてるところは想像できた
それより賢者が死んでた場合はどうなるのっと
>>170
賢者は所持品が変わるたび報告を行っていたので
賢者が死んだ後所持品が変わった場合、全滅して蘇っても報告通りになる
つまり減ったり増えたりする
ちなみにパーティーを組んでる状態では全滅するまでクローンの蘇生は始まらないよー
王様「わしを殺すつもりか」
勇者「まさか。ただ、この地下施設は破壊させてもらうけどな」
王様「なんじゃと!? そんなことをすれば貴様ら二度と生き返れなくなるぞ!」
王様「ここには作られた貴様たちがある! それを壊せば生き返れないぞ!!」
勇者「作られたね…やっぱ、俺たちは作られた存在か」
賢者「たぶん、元の身体はあったけどみんな複製なんでしょうね」
勇者「俺たちは偽物……わかってたが、面といわれるとさすがにへこむな」
魔王「それでも本物だろうよ。お前たちの意志がある限りはな」
勇者「精霊が怒るわけだ、人間の複製なんて生命の冒涜だよな」
勇者「何度も生き返って考えが麻痺してたけどさ、やっぱひとつの命で精いっぱい生きるべきなんだ」
勇者「だって、みんなそうやって生きている」
勇者「だからここにあるものは全部、必要ないよ」
勇者「ここにあるものは全部壊す、それで気ままな旅して自由に生きるよ」
勇者「戦うだけの旅だったし、色んな事を知る旅に出たい」
王様「……ふ、ふははは! 出来ると思うか?」
勇者「なんだって?」
王様「ここを抜け出してもすぐ指名手配をかけてやる!」
王様「気ままな旅なぞ出来はしない!!」
勇者「いや、できるさ」
王様「なに? ……しかし、兵士はまだか、いくらなんでも遅すぎる…」
賢者「ああ、気付いてないんじゃない?」
王様「なに?」
魔王「この部屋の生命全てに透過魔法と消音魔法がかかっておる」
魔王「そのカメラとやらには映らぬよ」
王様「じゃ、じゃがわしの目には確かに――」
勇者「王様、この魔法はかけられた者同士なら見えるんだ」
魔王「兵士は常に監視するわけにもいかぬだろう、動かず飲まずなんて魔王でもあるまいしな」
魔王「おそらく異常があるときのみ注意深く監視するのではないか?」
魔王「扉が開いたり、あの箱が開いたりな」
魔王「しかも貴様自ら動くなら信用もされてなさそうじゃ、わざわざ見まい、どうでもいいじゃろ」
魔王「それにちゃーんと扉も箱も動かし終わったあとに魔法をかけたからな」
魔王「急に人の姿が消えるを見られたら焦るだろうから、そこは賭けじゃった」
魔王「じゃが来ないとなると――」
勇者「どうやら作戦成功みたいだな。ま、来ても負ける気はしないが騒ぎにはなりたくないしな」
魔王「といってもいつまでも騙せるものではないだろうがの」
魔王「というわけでそろそろ締めるとするかの、ほれ起きろ僧侶」
僧侶「ゆ、勇者さんー…」
勇者「ん? 俺がなんだって?」
僧侶「ううーん、へ、え、いやなんでもないれす!!」
魔王「寝ぼけるな! 終わりは全員集合と決まっておる!」ポカポカ
僧侶「痛いです痛いです! じゃあ戦士さんは!? 戦士さんは!?」
魔王「ちゃんと起きておけよ、とりあえずこの謎を大団円で終えるぞ」
僧侶「無視ですか…って、秘密がわかったんですね!」
魔王「おおむね予想通りじゃったよ」
勇者「僧侶には後で話した方が…」
魔王「そうじゃの、とりあえずこの王をとっとと始末じゃの」
王様「し、始末…!」
魔王「殺しはしないと言ったじゃろう」
魔王「ぶっちゃけお主わしと喋りかぶっとるからとっとと退場じゃ」スッ
王様「ひっ」
魔王「一時の間じゃが、洗脳させてもらおう。そしてこの隠しごとすべてを国民に発表じゃ」
勇者「できるのか? 戦士ほど馬鹿じゃないぜ、この人は」
魔王「できるよ」
勇者「できるなら最初からすれば楽だったろう」
魔王「できるかどうかわからんかったがな、見てわかったよ。精霊に嫌われすぎたの、人間の王よ」
魔王「この者は魔力耐性が0を通り越してマイナスじゃ、余裕でかかる」
王様「そ、そんなことをすればわしは――!」
魔王「どうなるんじゃろうな、だがどうでもいい」
魔王「貴様のようなものにまかせるよりは、この国も良い国になっていくじゃろう」
魔王「では、残された最後の謎、わしらが及ばぬ技術の先!」
魔王「それを自ら民衆の前で語り、物語から退場せよ!」
――――
――
クローン。王は勇者一行を作り出していた技術をそう言った。
元いた才能ある少年と少女を魔王を討伐するための道具として複製したと。
複製することによって、たとえ蘇生不可能な状態からでも何度でも蘇らせることができた。
そうしたある意味不死と呼べる存在を使って魔界を侵略することが王の目的だった。
記憶の引き継ぎについてはクローン同士の脳を特殊な電波でリンクさせていたらしい。
死と共に記憶を電子というデータに置き換えクローンの脳へ飛ばすというた細工もされていた。
これらのことを行った技術は、王国以外は持ち得ぬものだった。
そうして作られたクローンは与えられた役目通りに行動するように仕向けられた。
王国は町村の住人や、勇者一行の一人などに勇者の旅路を誘導、監視、報告をさせていた。
物語に支障を加えないためか、それらの人は多くを知らされていなかったが。
王国が用意した「勇者一行」は、王国が用意した「シナリオ」をなぞり、王国が用意した「舞台」で動いていた。
すべては魔界を「世界救済」という名の下に掌握するために。
だが、そのシナリオは崩れ去った。
とにもかくにも、王は精霊の怒りに触れる研究を行っていた。
それは国民の怒りにも触れ、王は王としての役目を終えることになった。
国は王に全ての責任をなすりつけ、その後どうなったかはわからない。
ただ、勇者一行のクローンデータは王の手によって破棄されており、二度とそのクローン生まれることはないだろう。
そして及ばぬ技術の先は、世界全てに伝わった。
この出来事により、短期間で文明の水準が大幅に上がることになる。
――
――――
勇者「思ったんだけどな」
魔王「うむ」
勇者「あんな大掛かりなことしなくて王様をこっそり洗脳して」
勇者「こっそり教えてもらって、こっそり帰ったらよかったんじゃないだろうか」
魔王「ならんな、謎を知るだけじゃヤじゃもん」
勇者「もんとか言うな」
魔王「謎を知った上で、正しい行動をとる」
魔王「そうしなければ謎が解けても胸のつっかえがとれぬじゃろう!」
魔王「わしはすっきりした気持ちで世界を知って行きたい!」
勇者「わがままだなぁ」
魔王「それにああしなければ王はお前に役割を与えたままじゃったろうしな」
勇者「…そうかね」
魔王「さって、それじゃ世界を見に行こうじゃないか勇者」
勇者「そうだなー、次はどんな謎を解明しに行くんだ?」
魔王「お主の生き返りの秘密は知れたからの、くろーんとかなんとか」
魔王「難しくてあまり理解できてないが…」
勇者「おいおい…、まあ、俺もだが」
魔王「じゃから次はわしのほうの謎じゃ」
勇者「お前の?」
魔王「うむ、わしどう見ても人じゃろ?」
勇者「そうだな」
魔王「人型の魔族でもここまで人の姿を模した魔族はおらぬ」
勇者「で、なぜ人型なのかを知りに行くと」
魔王「うむ! そろそろ戦士のこともなんとかしないといけぬしの…」
僧侶「勇者さーん、魔王さーん」
賢者「待たせたねー」
勇者「お、準備できたか、次の目的は魔王城だぞ」
僧侶「はじめて行く魔王城がまさか魔王討伐のためじゃないとは」
魔王「魔王不在をどうするのかも考えなければな…」
勇者「じゃあ新しい勇者一行として旅に出ますか」
僧侶「勇者一行に魔王、ですか。なんだか面白いですよね」
賢者「ますます勇者くんのハーレムねぇ」
魔王「さぁてお主ら! 世界の不思議を解明しに行こうではないか!」
fin.
おい
戦士
>>199
戦士は魔王城でぼーっとしてるよ
たのしかた
お疲れさまでした!
構成力と文章力のなさに泣いた、矛盾点多いね!
毎回城で生き返る勇者がクローンだったら面白いよね
って思って書いたSSです
誰かこのテーマで良SS書いてくれないかな…俺じゃ無理だったよ!
またSS書くことあると思うんでその時は宜しくお願いします
こんな朝まで読んでくれて本当にありがとうございました!
レスなかったら寝てたわ、マジありがとう!
>>1乙!
おつかれー
お疲れさま
おもしろかった乙
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コメント一覧 (18)
-
- 2011年08月29日 13:55
- 物凄く「アクメツ」勇者だぬ
-
- 2011年08月29日 15:52
- その世界で一つしかない物を勇者が所持していた場合、複製はどうするんだろうね…?
-
- 2011年08月29日 15:59
- 米2
お前のせいでモヤモヤが……
確かに一つの物ってどうするんだろう
複製できるのかね?
-
- 2011年08月29日 18:10
- 文章力云々のまえに、書いてる途中で補足説明とかコメへのレスとかやめてくれ。萎えるわ
-
- 2011年08月29日 21:31
- 漂うワナビ臭
-
- 2011年08月29日 22:45
- まおゆうっぽい
-
- 2011年08月31日 00:24
- まぁ面白かった
-
- 2011年10月22日 22:10
- 面倒くさくなった感がプンプンしているが、
面白かったよ
-
- 2011年11月02日 16:06
- 女魔王は難しいんだな。
-
- 2012年03月07日 18:45
- 女魔王がシューピアリアのシーラに見えたのは俺だけだろうか・・・
-
- 2012年07月30日 12:56
- なぁなぁ~?とりあえず一回死んでからさぁ?その後その死体んとこまで行って持ち物漁ったらさぁ?所有金も二倍になるってことぉ?
-
- 2013年10月13日 20:03
- ※11
そうゆうこと。
-
- 2014年07月24日 15:52
- 戦士(覚醒)「つまりたくさん金を持たせればお金が二倍になっていく…… 一つしかないものもクローンだったりして」
-
- 2015年03月15日 20:08
- ※2
「物語」の中でキーアイテムとなる物の大抵って「世界で一つしかない物」じゃない?
けどその「物語」を作ったのは王様自身だ。勇者一行に疑問を抱かせないように対策はするんじゃね?。
少なくとも「物語に関わる物」は全て代えが効く物にする・できる物にすれば矛盾は多少は小さくなる。
例え本当に世界に一つだけしかない物ないしそれに近い物だとしても王様が使っていた・持っていた技術なら贋作でもかなり本物に近い物は作れそう。それかそもそもそういった物品に勇者一行を近づけさせない「物語」に調整するとかいった方法もあるかも。
んまぁ、魔王を倒した後に魔界を侵略するとして「魔界にしかない物」とかがあったらそこでなにか事が起きるんじゃあないかしらん。ちょうどいい伏線になりそう。
その事も含めればこのSSはまだ伸びしろはあったかも。けど面白かった。
-
- 2015年03月21日 13:21
- 乙
-
- 2015年03月27日 09:28
- 駄肉魔王に違いないw
-
- 2016年01月06日 08:56
- 行き過ぎた科学は魔法となんら変わらない。
-
- 2017年07月20日 18:36
- なんで僧侶ちゃんと賢者ちゃんのクローンを確保しておかないんだよ!