キョン「なぜだろう。あいつを選んだ俺です。」
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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:41:29.32 ID:Twg4wTOy0
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ひたすらに慌ただしい日々は続き、ついには高校3年生になった。
喜ばしいことに俺とハルヒは別のクラスになった。
俺が文系でハルヒが理系だから、当然の成り行きだ。
朝比奈さんは卒業してしまった。鶴屋さんもだ。
朝比奈さんも鶴屋さんも同じ東京の私大に通っている。仲のいいことだ。
SOS団は新入団員もなく、俺とハルヒ、長門、古泉の4人になった。
ハルヒは朝比奈さんがいなくなってさびしそうではあったが、あまり変わりはなかった。
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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:42:52.12 ID:Twg4wTOy0
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だが、あの5人でバタバタするのが楽しかったのだろう。
一人欠けても駄目なのだ。
なにかのバランスが狂い、活動は精彩の欠けるものとなった。
それにともない、SOS団の活動も減っていった。
俺も新しいクラスの連中と交友関係を築くことや、
将来の進路や受験を意識した勉強に追われて、
ハルヒのために割く脳の容量が必然的にせまくなっていった。
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:43:24.33 ID:Twg4wTOy0
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何か物足りないものがあるが、死にそうになるような事態よりはよっぽどましだ。
俺は今までの遅れを取り戻すべく受験のために予備校に通いだし、
毎日3時間の問題演習が日課となった。
SOS団のせいで危機的状況にある我が内申書ではAO,推薦は望むべくもなく、
せめてそれなりの国立大にすべりこむべく努力している。
ハルヒはそんな俺の現状を知ってか知らずか、俺を休日呼び出すこともなく、
部活に出なくなっても何も言わなかった。
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4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:43:48.63 ID:Twg4wTOy0
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ハルヒの社会性は中学時代など考えられないほどにはなった。
クラスにはなじみ、わがままな性格はそのままだが受け入れられていったようだ。
順風満帆というやつだ。
何の問題もなくなっていったようだ。
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5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:44:52.74 ID:Twg4wTOy0
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長門はいつもあの部屋で読書をしている。
あいつほど変化しないものはないな。
蔵書を増やしていっているが、資金はどこから出ているのだろう。
古泉は変わらずあのハンサムスマイルを顔に張り付けて、
しかしハルヒが安定しつつあるせいかのほほんとしている。
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7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:46:01.86 ID:Twg4wTOy0
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俺とハルヒの会話は廊下でたまにすれ違う時くらいだ。
ハルヒはいつもつっかかってきて、俺はそれを受け流す。
時たま反論する。そんな程度だ。
そうしてSOS団は自然消滅してった。
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8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:46:43.22 ID:Twg4wTOy0
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センター試験5教科7科目及び2次試験の対策に追われる日々はひたすら厳しく、
それが時に心地よくもあり、時間の進みはあっという間であった。
俺がSOS団に顔を出さないことに、ハルヒはなぜか何も言ってこなかった。
まさかあいつが今までひっぱりまわして勉強の邪魔をして悪かった、
などという殊勝な考え方をするはずもなく、不気味な静けさだった。
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9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:47:24.49 ID:Twg4wTOy0
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夏休みは講習会、冬休みはセンター対策、その後の自由登校の間の予備校、
そのどこにもハルヒとの接点はなく、何かものさびしいような気がしないでもなかった。
ただ受験生ってのはそういうものなのだよなどと割り切り、日々是決戦を胸に机に向かった。
そうして志望校には届かないが、それなりに満足いくセンターの点数を取り、
ひーこら記述試験対策をしてどうにか現役で大学生になることができた。
家から通える国立大だ、両親も満足だろう。
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11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:48:54.15 ID:Twg4wTOy0
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ハルヒはなんでも留学するらしい。これには驚いた。
ひそかに英語を勉強しており、英会話は問題ないそうだ。
オーストラリアの東工大とも呼ばれる大学へと進むらしい。
学校もなくクラスメートたちと祝勝会、残念会、送別会とほぼ毎日飲みに行き(言っておくがジュースだからな?)、
ハルヒと会ったのは卒業式だった。
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14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:52:08.44 ID:Twg4wTOy0
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「あたし、オーストラリアの大学に9月から行くわ」
「なんで4月じゃないんだ?」
「入学式が9月なのよ」
「そうなのか」
などといった大したことないやりとりだった。
俺はSOS団に顔を出せなくて悪かったな、
ほっておいてくれたおかげで受験勉強に集中できた、
ありがとう、などという柄でもない、
もしかすると人類史上初めてとなる俺からのハルヒへの心からの感謝の意を述べた。
だというのにあいつは「そうよ、感謝してよね」などとそっぽを向いて言うだけだった。
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15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:53:03.81 ID:Twg4wTOy0
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そしてハルヒとはそれっきりになった。
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17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:54:12.18 ID:Twg4wTOy0
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卒業して気づいたが俺は、そしてハルヒも、お互いを好いていたはずだ。
しかし俺たちは男女間のアレコレな関係になりたいとは微塵も思わなかったのだ。
俺たちはありきたりな恋人同士などという陳腐な関係で終わりたくなかったんだ。
恋愛、結婚、出産、育児、老後などといううんざりする想像可能な未来なんか見たくもなかった。
劣化し、いがみ合い、すり潰しあうような関係ではありたくなかった。
今はいない君を思う日々ってヤツを、自分と相手に与えたかった。
そして俺たちは離れながらお互いを想いあう。
俺たちはSでありMだった。
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19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:56:00.88 ID:Twg4wTOy0
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筆舌に尽くしがたい、掛け替えのない、最高で最低の高校生活だった。
しかしこれだけは言える。
ハルヒに対する感情は俺の中でいつもフルボリュームで鳴っていた。
終わり。
BGM:ビートルズのハローグッバイ
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20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:56:00.53 ID:cu01xYOxO
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期待して見てます!
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23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:58:47.15 ID:r8vt0oSW0
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>>20
ナイスタイミング
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21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:57:31.31 ID:dLJeP+et0
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オワタ
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22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:57:59.27 ID:1EwCnt8T0
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おいスレタイ
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28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:06:53.44 ID:Twg4wTOy0
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この二人にはこれ以上のハッピーエンドは思いつかないぜ
あとビートルズのHELLO GOODBYって曲にさ、
「君が良いと言ったら俺はダメだと言い、
君が止まれと言ったら俺は進めと言う」
って感じの歌詞があんだよ
まるで二人のことじゃないかと思ったぜ
じゃあの
>>22 ブヒヒwww
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30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:12:11.78 ID:1PS60RiE0
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>>28
過去作とかある?
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31:VIP先生@古文担当 ◆glaJv9oKRo :2008/07/26(土) 02:21:44.23 ID:Twg4wTOy0
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>>30 全然ない 普段は古文スレを立てたりしてる糞コテでゴメン
VIPで古文!! みたいなスレをたまに立ててる
ホントに寝るノシ
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34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:31:01.95 ID:1PS60RiE0
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>>31
そっかーありがとう見かけたら開いてみる
本当に乙でした
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24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 01:59:04.81 ID:Twg4wTOy0
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(;∀;)イイハナシダナー
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27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:05:28.70 ID:oms4xGyXO
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短いながらも楽しませてもらたよ
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29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:11:14.05 ID:dJX6UfNYO
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いいねぇ
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33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:29:17.17 ID:+DgingRI0
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卒業してしばらくダラダラと谷口達と遊んだり
長門や古泉、佐々木とも遊んだ。
朝比奈さんや鶴屋さんともな。
みなハルヒの事には何も触れず
俺からも言わず、微妙な距離感はあった。
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35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:32:57.04 ID:+DgingRI0
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ありきたりな関係、か・・
たしかにありきたりとは程遠い奴だったな。
ハルヒの特別な力のことを言っているんじゃない
あいつに力がなくても
俺は、いやみんな、あいつにどこか惹かれてたんじゃないかな
顔や体うんぬんじゃない。
一人の人間として・・・・
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36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:42:55.93 ID:+DgingRI0
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そして俺もそうだったな。
だったか・・・卒業してからほんの一週間で過去か・・・
この時かなやっぱり違和感を感じたのは
やっと、とも言える。
何かおかしい・・・確かに朝比奈さんが抜け
鶴屋さんがいなくなって、さびしく感じるところまではわかる。
しかしあまりにも拍子抜けだ・・・あのハルヒがだ!
順風満帆?くそ食らえだろ!
・・・・俺もそうだ。ハルヒに出会ってから、
あいつとSOS団を作ってから
平穏なんて言葉は消えたはずだ!
なにをじじいみたいになっちまってんだ!
・・・・おかしい。おかしすぎる。
まるで誰かが平穏なシナリオを俺達に押し付けたみたいに・・・
うん?ハルヒの留学?タイミングよくそんなイベントまでありやがる。
もう会えなくなる・・・何がBGMビートルズのハローグッバイだ!
さっきまで、いや高校三年の俺達は何かが違う?
・・・9月か、後5ヶ月でなんとかしろってことか?
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37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:43:49.21 ID:v2DCfWVQ0
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続き?
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38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:49:40.32 ID:+DgingRI0
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俺のこの違和感はまるで見当はずれかもしれない。
俺とハルヒは大人になり、SOS団に魅力を感じにくくなって
受験で追われて会わなくなった。ただそれだけなのかもしれない。
留学もあいつの本当にしたいことで、
俺もあいつをいい思い出にしようと本当に思っていたのかもしれない・・・・
クソっ!じゃあなんだこの感じ!?
そうだな例えれば、1年の夏休み無限ループのあれか・・・
いやあれよりは小さい、本当にふっと沸いてきたような、気の迷いか?
大学に対する不安や期待のせいなのか!?
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39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 02:51:17.65 ID:+DgingRI0
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いやそれはないな。あんだけドタバタした日々を送ってて
いまさらそれはないそんな繊細さは当に捨てた。
今までの俺の行動は操られていた?
わからん、わからんがひとつだけ確かなことがある。
このまま別れたくない。大人ぶって本当に大事なものを捨てるなんて
馬鹿げてるだろう?この先一生抜け殻になるところだったぜ。
・・・動き出そう
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40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 03:13:02.16 ID:+DgingRI0
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ってやっぱり迷惑?かけちまうのは・・・長門だな。
先走って外に出たものの、いく当てもなく
俺は長門のマンションの下に来ていた。
どうする?・・ってとりあえず呼ぶか。
携帯を取り出そうとした時、マンションの自動ドアが開き、
当然といえば当然なのか長門がでてきた。
そうだな長門・・本当に助けて欲しい時はいつもお前は
そばにいてくれたな・・・
長門はいつもの
無表情な顔でこちらへ歩いてきた。
それが訳もなく嬉しかった。
高2のころのまだトラブルだらけの時は普通にずっと一緒だったのにな。
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41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 03:19:28.99 ID:+DgingRI0
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「よう長門、ひさしぶり・・・っても先週あったっけ・・・
先週買った本はもう読んだか?」
・・違う違う。こんな事を言いにきたんじゃない。
「・・・読んだ。」
普通に答えてるし
「そうかー・・・・どこか行くのか?」
何を俺は言っている?
「・・・・駅前。続きを買いに行く」
そうかそうかー・・・続きをねー
「俺も行っていいか?大学始まるまで暇でな。何か本でも読みたい気分なんだ」
本?読みたい気分?そんな気分になったことはない!
少なくとも今は特にだ!
「・・・別にかまわない・・・」
そう言うとスーッと長門は歩き出した。
俺も後に続くが何もしゃべらなかった。
落ち込む?いや違う。怖かった。自分が喋ろうとすることが喋れない。
それを認めるのが怖かった。
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43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 04:09:06.26 ID:+DgingRI0
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「・・・そういえばハルヒと会ったか?」
やっと出た言葉は本当の俺の言葉だった。それだけでも感動したね。驚いたよ。
ハルヒなんて絶対無理な単語だと思ってたからな。
「・・・・卒業式から会っていない」
寂しげ・・には見えない。いや長門の表情の微妙な変化も、1年まともに会わないと
判別しづらいな。
「そうか・・・・メールや電話もか?」
「ない」
即答だな。
「・・・そうか・・・」
お互いまた無言になり、気まずいまま本屋へついた。
前なら無言でも気まずいなんて感じなかったな。
本も適当に選んで、長門とはそこで別れた。
後で自分が買った本を見たら、まったく興味がない会計学なんて本だったな。
皮肉ぎみに笑っちまったよ。古泉みたいにな・・・・
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58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 10:51:30.76 ID:+DgingRI0
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非常にまずい。メールさえも自由に打てない。
もちろん手紙もだ。
家に帰ってから長門にメールを送ろうとしても、
頭で考えた文とまるで違う文が表示される。
3回目はさすがに携帯を真っ二つに折ろうかと思ったがやめといた。
折るなら自分の指だな、携帯は俺の指に忠実だった。
もちろん古泉にもハルヒにも誰にも無理だった。
分かったことは
1 当たり障りない文なら自由だが、
俺達が3年だった時に関するメールは打てない。
(3年だった時の思い出話はできるが、何か変だった、
等の疑問はまったく違った文を打ってしまう)
2 独り言は自由だが、誰かに聞かれる場合は3年のころの話に制限がかかる。
(まったく関係ないはずの妹や両親にさえ話せなかった)
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61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 11:37:02.99 ID:+DgingRI0
-
「深刻だ・・・・ノイローゼにでもなりそうだな、こりゃ」
これはハルヒお前の力なのか?もう俺達に愛想が尽きたのか?
・・・わからん。俺何も考えずこのまま生きていけばお前は満足なのか?
誰か教えてくれ・・・
翌朝、果てしなく、目覚めが悪い。妹よりはやく起きれた、
そんだけでましだな。
今の状態で妹が俺に飛び込んできたら、本当にまずい怒り方をしそうだ。
飯も食わず外に出ると、気持ちとは裏腹に太陽は輝いていた。
「4月だってのに、暑いな」
・・ふー、まだ諦めるには早いよな。よし今日はとりあえず、
みんなに色々話してみるか。
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62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 11:39:34.06 ID:+DgingRI0
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「古泉か、ちょっと暇か?ああ、あの喫茶店に10時に」
もちろん、メールや会話で核心にせまれないのはわかっている。
後は態度だな・・・期待は薄いが。
古泉にもこの春休みにあっていたが、
よく考えるとそれもおかしい・・・
ハルヒには卒業式以来あってないが、
それ以外の友達にはほぼ会っている、
いや全て俺が誘ってだ。基本的に俺は受身なはずなんだが・・・
こんな精力的になぜ俺が動いたんだ?
俺自身矛盾を感じていた・・?
大体3年のころはほぼ会わずに、
卒業してからみんなを誘う俺の行動は今でも理解できん。
卒業して寂しくて暇か・・・
俺は暇でも一人で大丈夫だと思っていたんだが・・・
春休みから何らかの規制が甘くなったとでもいうのか?うーん・・・・
案の定俺が喫茶店前につくと
いつものポ-カーフェイスは緩やかな動作で俺を迎えてくれた。
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64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 11:54:38.49 ID:+DgingRI0
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「どうしました?こんなに短い頻度で
あなたと二人で会うのは、珍しいですね」
ああそうだな。先週・・俺はこいつとどんな話をしたっけな?
古泉の大学は自由そうだとか(概ね大学は自由だと思ったがな)
最近のゲームや漫画、ドラマなんてありきたりな会話だったな。
「・・・いや、ちょっとな・・・」
言いたいことが言えなくなっているんだ!古泉!
・・・と言ったつもりだったがな
やっぱりでてこないな。わかってはいても脅威だ。
古泉は不審そうに俺を見たが、すぐに営業スマイルに戻っていた。
いいぞ俺を、俺の行動を不審がってくれ。俺にはそれしかできん。
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66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:29:27.06 ID:+DgingRI0
-
何も言わず俺達は喫茶店に入り、二人ともコーヒーを頼んだ。
「最近はどうです?
もうすこしで大学が始まるんではないですか?僕の所は後一週間ですね」
「・・・・・・・・」
長門ばりの無言で古泉を見る。
何も喋らなければ俺がおかしな事を口走ることはないはずだからな。
「・・・どうしました?」
まだまだ余裕そうだな。
「・・・・・っあ・・・・・」
よし今度は、言いかけてやめる思わせぶりな態度ならどうだ!?
「・・困りましたね。会話をしないことには、
僕がまるで独り言を言っているみたいですよ?」
こいつのオーバーリアクションが出ているうちはまだ駄目だな。
-
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:30:33.28 ID:+DgingRI0
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「・・・・・・・!!!」
後は目だ!目力なんて信じてはいないがこの際言ってられん。
誤解されそうなほど古泉の目を見つめる。いや睨むかな?
「ふふっ・・・もしかしたらですが怒っていらっしゃるんですか?
怖い目ですね。」
・・駄目か・・・というか古泉自体は俺達の
「3年生」が疑問になっていないのかもしれん。
確かに俺のこの状況がなければ、俺自身もあの年は平和だったなー、
なんて思っちまいそうだがな。しかし俺は今知ってしまっている。
これが自然じゃない事を。大体俺の意思、言動、行動まで縛るなんて逆効果だ。
ますます怪しい。
「ふー、いや冗談だ。今度ジェスチャ-ゲームでもしようと思ってな」
!!??なんだ?俺は何も言おうとしていない・・・
3年の頃の事も、ハルヒや機関のことも一切言おうとしていない・・・
そもそも俺の口は真一文字になっていたはず?
「そうですか・・・その冗談はわかりにくいですね」
そんな冗談俺がやるかよ・・・今さらだが、本当に驚いたな。
古泉に不審がらせるような行動もある程度やると
勝手に俺が喋りだしちまうのか。
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68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:31:54.95 ID:+DgingRI0
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「まーそういうな。シンカンコンパだっけ?
大学は入ったら急がしそうだからな。
女の子にでも熱い目線でも送ってみるよ」
おいおい俺はアホの谷口かよ!
・・・・腹立つ・・・本当に腹が立ってきた・・・
俺の一年間、いや俺達の一年間を勝手にいじって、
今でも俺を縛る何かにだ!
そう思ったら、勢いをつけて立ち上がっていた。
まだまだこのコーヒーは熱い。
そんな事は百も承知だ。しかし腹が立ってんだよ!
ハルヒが朝比奈さんを自分のおもちゃだって
言い放ったときくらいだな。
・・・・・気づくと俺はコーヒーを頭からかぶっていた。
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69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:35:08.02 ID:+DgingRI0
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「!!!っっぅっあああああっつーうううううううう!!!!」
・・・・忘れられんね。
無茶苦茶熱がってる俺を
ポカーンとした目で見つめてる古泉を。
・・・春だから、俺はおかしくなったとでも思ってんだろうな
・・・・まじなにやってんだ俺?
いや俺が操られてやったんじゃないけどな。それだけましか。
ひとしきり熱がって店員さんもやってきたがなんとか制した。
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70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:38:05.42 ID:+DgingRI0
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「はっははは!これもコンパでうけると思ってな!どうだびっくりしたか!」
・・・・・言ってない俺こんなこと言ってない・・・・
どんな言い訳だよ!
「・・・・・・・・・あ・・・・な・・・た・・・・も?・・・・」
っえ?なんか古泉が言った?
「じゃあそう言うわけで俺は行くぜ!ここは俺のおごりでいいぜ!」
くそー!ちゃんと聞きたかったが、
勝手に俺の口と脚は動き出しやがる。
気持ちとは裏腹にさっさと店を出ようとしている俺。
・・・これじゃ俺なんていえねえな。
もはや半分、半分以上俺じゃねえな。
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71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 12:39:21.11 ID:+DgingRI0
-
店を出る瞬間ちらりと古泉を見るとあいつらしくなく、
深刻な顔をしていた。
まあ目の前で旧友が狂ったらそんな顔もするだろうが、
どうかな?俺にはそうは見えなかった。
あいつもだ。あいつもわかったんだ。
いやわかっていたのか?
俺の行動の不気味さでわかったのかは知らんがな。
あ、な、た、も・・・確かにこう言ったはずだ。
それに続くのは多分こうじゃないのか古泉。
あなたも何かおかしいと思っていたのですか?
ふー、しばらくぶりに言うぞ?言っていいよな?
「やれやれ」
まだまだこれからだな。
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76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 13:46:12.35 ID:+DgingRI0
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さて、長門、古泉ときたら
わが愛しのエンジェル朝比奈さんしかいないな
先週会った時は髪を少し茶色く染めて大人っぽくなっていたな
10時半か・・・起きているだろうか?春休みなのは一緒だしな
「・・・あ、もしもし朝比奈さん!先週あったばかりでなんですが
今お暇ですか?・・・ええ・・はい・・じゃああの公園で、はい
長門の家のそばの、はい、お待ちしてます!」
ふーとりあえず呼べたな。いつもなら喫茶店だが。
しばらくはあそこには入りたくないな。
不思議公園・・・そういっても差し支えないだろう
すべてがここにある・・・なーんてな
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77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 13:55:49.03 ID:+DgingRI0
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所在なげにベンチに座って
朝比奈さんに何を言うか
考えていると
「お待たせしました!キョン君」
うーん可愛い・・・こんなこと思っている場合じゃなくても
やっぱりな、それは変わらんよ
「いえいえ、先週ぶりです」
「うふ、先週ぶりですー」
ぺこっと頭を下げる。
・・・・見とれてる場合じゃないな
しかし、先週は会ってもこんな感想はなかったはずだ
こんなに綺麗な朝比奈さんに久しぶりにあっても
心はいたって平坦そのもの
平坦というよりも冷静、というよりも冷酷、かな?
もちろん態度は紳士的に振舞ってたはずだがな
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78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 14:03:36.35 ID:+DgingRI0
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朝比奈さんはもちろん、ハルヒに対する気持ちにもそうだが、
元々俺は男が好きなわけじゃない。
女の子が好きなのは男の本能であり
可愛ければなおさらだ。
精神的に不能でもあったわけだな
俺の高校3年生は。
横に朝比奈さんはちょこんと座る。
「・・あー、えーと、どうです最近は未来に帰ったりしてます」
おお!これは案外いい質問なんではないか?
俺の状況を顧みると、未来に異変が起きてるはずなんだ。
未来に異変が起きれば朝比奈さんにも・・・
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79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 14:11:02.70 ID:+DgingRI0
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「えー、どうしたんですか?詳しくは禁則事項ですが、たまに帰ってますよ」
にっこりと笑う朝比奈さん。
まあ朝比奈さんの様子を見れば
未来に異常なんてないことはわかっていたがな。
「そうですか・・・ハルヒにはあってますか?」
結局長門への質問とおなじだな。
「えーと、卒業式いらいですよ?」
長門の答えと一緒だな。
朝比奈さんは俺達の卒業式にきてくれて
5人で最後に遊んだっけ。
・・・・遊んだっけ?なーんかおぼろげだな。
本当に久しぶりな5人が集まったのに忘れてるなんて
俺は健忘症?・・・じゃねえよな。
これもなんか制限されてんだな。
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80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 14:17:23.72 ID:+DgingRI0
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しかしなぜだ!?ハルヒが留学しても未来は変わらん
ってことは規定事項になるぞ?
・・・・まさか未来から俺達の行動が制限されている?
まさかな・・・横で不思議そうな顔で俺を見つめる
朝比奈さんを見ればわかる。
これだけは確信がある。
朝比奈さんが俺達に嘘はない。
この前提が覆るなら俺は裸で日本一週でもなんでもしてやるよ。
-
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 14:38:07.06 ID:+DgingRI0
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「ハルヒ・・・9月に留学するの知ってますよね?」
ここから攻めるか。
「・・・はい。あ、でも・・・うーん・・」
なんだ歯切れが悪い?なにかあるな・・・
「どうしました?まさか留学しないとか?」
確かに未来から色々聞いてる可能性はあるか?
「ううん。違うの。なんかおかしいなって思って・・・
うまく言えないけど」
・・・それだよ朝比奈さん・・・それが聞きたかった
朝比奈さんにも制限はあるだろう。だからうまく言えなんだろう
なんかおかしい・・・それにつきるが
俺が言おうとしてもいえないんだよな
朝比奈さんにたいする制限は俺や古泉とは違うのかもな
「俺もそう思います。なにかおかしい・・おかしいですよ」
い、い、言えた?・・朝比奈さんが言ったことを
後追いしたからか?
しかしなにか確実に掴んだような・・・進んだような・・
やっぱりこうなってしまうのか
-
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 14:53:03.00 ID:+DgingRI0
-
「朝比奈さん・・・・あれをお願いします」
時間移動という言葉がでてこないが、わかってくれるだろう
「・・・いつにしますか?」
さすがわかっている。
「高校・・・・いやいいです帰りましょう、さようなら」
なんだそりゃ!!俺の体がまた動いていく・・・脚は早歩きだ。
くっ抑えようと思っても・・・・逆に走り出してるぞ!
「キョン君!!」
遠くで朝比奈さんの声が聞こえてくるが
朝比奈さんの足では追いつけないだろう
しかも俺の足は朝比奈さんが見つけられないような
裏路地にばかり向いてやがる・・・・
こりゃ・・・まいった・・・
-
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 15:07:15.92 ID:+DgingRI0
-
大体!!疲れてんだぞ!いかげんとまれ!
俺の馬鹿足!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はあはあ・・・やべえ・・・こいつ殺すきか・・・
マラソン選手でもこんなペースじゃ、1キロが限界だろ
・・・・いっそ車にでも突っ込ませろよ・・クソッ!
おいおい!おあつらえ向きだな・・・いい感じでトラックが
走ってくる・・・・ふっん・・・足は一直線に向かってるな
・・・負けた、死ぬ、死んだなこりゃ。
甘く見ていた。俺は死なないと思ってたな。
鍵?そうだなハルヒにとって俺はもう鍵じゃないのかもな
確かに俺が死んでも未来は続く。
未来に影響なんてこれっぽちもねえか。
すまん、古泉。最後に見た俺があんなんで
ごめんなさい、朝比奈さん。話の途中でこんなことになって
すまん、長門。お前に恩返し何一つできなくて
すまん、ハルヒ。勉強なんて、大学なんて
・・・いやもしかしたら会社や金、地位なんて
死ぬことに比べたら
本当にどうでもよかったんだな
こんなこと、死ぬ前にならなけりゃ気づけなかったよ
目の前に光が、強い光が・・・
-
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 15:24:20.36 ID:+DgingRI0
-
首がものすごい勢いで曲がる
うわー吹っ飛んだなー俺
ガードレールに背中から突っ込む
・・・・・・・・・・
さすがに死んだだろう。
・・・・・・・・・・
意識は・・・意識はある?
痛みは・・・痛みはない?
俺の体・・・傷一つない?
どうなってやがる
見回してすぐにわかったね
「・・・お前に蹴り飛ばされるのも2回目だな」
そうだな呼び捨てじゃ恐れ多い。長門様だな長門様。
跪いて、足でもなめたい気分だぜ。
「私のミス。もう少し早く気づいていれば・・・・」
いやいや長門様十分だよ。
そうだな俺が脇役なら
ヒーローは遅れてくるもんだよな。
-
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 15:36:55.15 ID:+DgingRI0
-
「・・・長門様・・・ありがとな・・・本気で死を覚悟したよ」
息は少し落ち着いてきたな。
「長門様?その呼び方はあなたらしくない・・・・大丈夫?」
思わず様つけちまったな
「大丈夫だよ、長門・・・・
それよりどうなってるのか、
お前にはわかってるのか?」
口振りからわかっているとは思うが
どこまでわかってるかによるな
「私達には特別な制限がかかっている・・・・」
「・・・・・・・・・・・ってそれだけ?」
「・・・・・・そう・・・・・・・・・・」
「・・・・・・そう・・・・・・・・・・」
思わず長門のまねしちまったよ。
どうしたもんかね
-
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 16:38:04.37 ID:+DgingRI0
-
あ!そうだ朝比奈さんどうしたかな?
「長門!朝比奈さんどこにいるか知らないか?」
帰っててもおかしくはないな
「・・・・ここから約400メートル先にいる」
400?また中途半端な
・・・公園からここまで多分1キロ以上あるぞ?
公園からは離れたんだな。
「よし、ちょっと迎えに行こう」
さっきまでの走りが足にはきてるが
朝比奈さんのためなら弱音ははけん!
長門は音もなく俺の走りについてきてるし
-
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 16:38:26.75 ID:+DgingRI0
-
「・・・はあ・・はあ・・次の道はどっちだ?」
「そこを右に曲がり100メートル先にいる」
「オッケー!」
あまりにも平然としてるから
おんぶしてくれ!ッて言ったらしてくれそうだが
さすがに意地があるしな。
おっいたいた、泣いてらっしゃるな・・・妹と同じ泣き顔だな
「あっ!!キョンくーんー!
・・ううっグシュっ・・・キョンくーんー・・・」
朝比奈さんは必死に探してくれたんだろう。
あちこち傷だらけで迷子の迷子の子猫ちゃんだな。
いやそうじゃなくて・・・
うーん・・抱きしめたいがそんなことしてる場合じゃないな
「はぁ・・はぁ・・・すいません朝比奈さん。ちょっとあれが、これで」
まだ言葉が出ないか。
あれがこれって、ちゃんとした言葉にもなってねーぞ
-
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 16:49:01.55 ID:+DgingRI0
-
「うう、よかった。キョン君目が少し怖かったから
・・・・急にいっちゃうし・・・」
ああ不安にさせるよなそりゃ。
目が怖かったか。どんな目をしてたんだ俺?
「ええ・・それについては・・・
長門・・・・・・・・・・できないか?」
(俺の言いたい言葉が、言える様にできないか?)
くそ!そりゃ、これは頼めないか
「・・・可能。今喋れるようにする」
えっ?わかったの?・・・いやわかるか。あの空白だらけの
俺の言葉聞けば。
長門はいつもの高速で何かを囁きだした。
それと同時に俺の頭を片手で掴み高速で揺らしだした。
・・・・なんで!?
-
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 16:55:04.72 ID:+DgingRI0
-
「ふええ??長門さん??キョン君??」
ああ朝比奈さん気持ちはわかります。
俺も酔って頭がグラングランします。
一瞬長門も操られてるのかな?とか考えましたよ、ええ。
「ななななんあああああああああ
ああああっがあああああとおおおおさっまままああ?」
やばいやばい・・・高速早口がお経に聞こえる・・・・
1分くらいかな揺らされてたのマジだ、マジで酔ったぜ
「・・・・長門様?その呼び方はあなたらしくない・・・・大丈夫?」
大丈夫じゃねえよ、ははっ
「おおう、だっ、大丈夫だぜ・・・・」
-
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 17:02:55.55 ID:+DgingRI0
-
「ふー・・落ち着いてきたな。なー長門もう大丈夫なんだな?」
やっと3人は公園に戻り一息ついていた。
ああ、朝比奈さんもやられてたな
キョン君助けてー!と言ってたが
止めるわけにいかんしな。
お気の毒だがしかたないんだろう。
おまけといっちゃなんだが
長門自身もやってたな。
シュールすぎて思い出したくないが。
「大丈夫。私達の頭には
高密度のICDSチップが埋め込まれていた」
・・・ふーん・・・って!マジかよ!
「ふー、やれやれ・・・・一応聞くがなんだそれは?」
-
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 17:37:00.86 ID:+DgingRI0
-
「・・・・簡単に言うとこの星の物体ではない
未来永劫この星には現れない」
はいはい、長門にしては簡単だな。
シャミセンの目にいる奴もにたようなもんか?
まあ、俺に何を言っても
わかるわけないのは
自明の理ってやつだしな?
復活した朝比奈さんもきょとんとしてるしな
「それで、そのチップは人を操る癖でもあるのか?」
癖っていうのはおかしいだろうが気にしてもしょうがない
「・・・そう、人だけじゃなく、
あらゆる生命体をいのままに動かせる。
・・・これはそれを模倣したものだと考えられる。」
うん?
「模倣?マネっていうか、コピーっていうか偽者?」
「・・・偽者と呼ぶには精巧過ぎる。
高密度のICDSチップにしては
粗雑。本物なら、私でも、思念体でも解除不可能。
銀河系の生態を乱す恐れから、3000年前から
宇宙全土にわたり廃棄処分済み」
・・・うーん頭おかしくなるな、さすがに
-
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 17:45:47.89 ID:+DgingRI0
-
「ほへー・・凄いですねー・・」
あの、朝比奈さんそれだけですか?・・・
「うーん・・・まあいい。
そういうものがあった!
あったとしよう!
問題はなぜ俺たちの頭の中に
そんな危険物質があるんだ!?
全員手術でもされてるのか!?」
「・・・脳のわずかな隙間に
ナノマール程の物質を埋め込むことは
私にも可能。他のインターフェイスにも可能。
原始的手術と呼ばれる行為をせずにできる。」
-
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 17:53:11.17 ID:+DgingRI0
-
ナノマール?聞いたこともないな。
「・・・ナノマールは単位の名称。近い将来
この星にも出現する。」
あ、聞いてないのに教えてくれた。
「・・・ただ・・思念体及びインターフェイスに
高密度のICDSチップは模倣できない。
天蓋領域にも、この星の未来人にも・・・
できるとしたら・・・・涼宮ハルヒ及び佐々木理子」
-
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 17:58:49.47 ID:+DgingRI0
-
ハルヒか佐々木か・・・・
いやここだ。最初からの違和感はここで
やっと繋がるんだな。
ハルヒじゃない。
なんていうんだ朝比奈さんも言ってたけど
おかしいんだ。ハルヒがそんなことを
するとは、いや無意識でもありえない・・・・
ここを間違うとすべてがアウトになる気がする。
じゃあ佐々木?
いや、それもない。あいつは高校2年の春
偽SOS団とでも言おうか・・・
まあ俺らと敵対するところまではいったが
ちゃんと和解できたはずだ・・・・
できたよな?できたはずなんだ・・・
「佐々木を呼んでみよう」
-
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:04:33.41 ID:+DgingRI0
-
「いやまてよ・・・古泉もよばんとな」
古泉は俺の電話にすぐに出た。
公園に呼び出すと
開口一番
「どうしたんです?さっきの今で
・・またコーヒー芸を見せられるんでしょうか」
皮肉はやめろ。俺だって忘れたいんだ・・・
まあお前には、とりあえず長門クラッシュを
うけてもらおう。
みんな受けたんだ、耐えてくれ。
今日4度目となる長門アイアンクローには
さすがの古泉も笑いは消えていた。
-
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:29:22.74 ID:+DgingRI0
-
「・・・・まだ頭がくらくらしますよ・・・
もしかして僕をいじめる日ですか?
・・・・冗談です。何かの制御でもはずしたんですね?」
えらく物分りがいいな
「古泉、もしかして機関に何か聞いてるのか?」
こいつならありそうだな
「いえ、なにも。
機関自体は平穏そのものですよ。
1年間神人は活動してませんし、ね」
含み笑いはやめろって。
「1年間ね・・ありえるのか?
お前はハルヒの専門医だろ?」
「・・・ありえませんね。
悪夢でさえ神人はでるんですよ?
1年間悪い夢を見ない・・・
なくはないですが
タイミング的に見てできすぎていますね」
タイミングか・・・
-
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:34:01.21 ID:+DgingRI0
-
「お前はわかっていたのか?
俺たちの高校3年の不自然さに」
やっと、やっと言えた
・・・まあそれだけなんだが
感動するぜ。
「ええ」
なにー!!
「ついさっきですがね」
さっき?
「さっき?どういうことだ?」
「あなたに会ってからですよ。
あなたが何か言おうとしているとき
どんどん思い出していったんです。
いえ、忘れていたわけではないのですから
思い出すというのは変ですね」
さっきか・・・俺の目力?・・・いやそれはないか
-
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:37:31.94 ID:+DgingRI0
-
「あの当時は不自然に思わなかった
・・・それがまた不自然なんですよ。
そして今になって、あなたが
不自然な行為をしている。
そこでやっと僕達の
1年は不自然そのものだと
わかったんです。
・・・それをあなたに言おうとしても
口に出せませんでしたけどね。」
-
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:46:19.21 ID:+DgingRI0
-
古泉に俺たちの頭のなかのチップのことを
かいつまんで話した。
そしてチップはハルヒか佐々木しか
作りえないだろうということを
「それであなたはどう思っているんですか?」
ふん、その顔はわかってるじゃねーか!
「俺はどちらもそんなことはしていないと思ってるよ」
もちろん根拠0だがな。
「いいと思います。それで
あなたがきっかけなんではないでしょうか?
私達が不思議に気づけたのは。
どちらにしても、あなたについて行きますよ
あなたが間違った答えを出すとは思えませんので
・・・もちろん負けるともね」
プレッシャーだな。ハルヒの超馬鹿力は今回はなしだぞ?
実際死にかけたしな。
それでも仲間はいる。
ハルヒが消えたあの時も最初は一人だったが
お前らといれば、負ける気は、不思議としないしな
-
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:51:28.25 ID:+DgingRI0
-
しかし俺と会ってから
古泉は不自然さにきづいたのか・・・
「朝比奈さん!あなたも今まではおかしいと
思ってなかったんですか?ハルヒの留学とかあの1年間とか・・」
「はひ!おお、思ってなかったです!
・・・けど今日キョン君に会って気づきました。
チップのせいだったんですね」
-
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 18:59:05.35 ID:+DgingRI0
-
「・・・私も、昨日あなたに会ってから
エラーが発生した。
原因不明により、他のインターフェイスと
思念体に支援を求め
チップを発見できた。
模倣品とはいえ、恐ろしく優秀。思念体も脅威を感じている」
あの思念体もかよ・・・って会った事はないけどよ。
「・・・けど待てよ?そんな優秀なチップが
俺の頭にあって、なぜ俺は違和感を感じたんだ?
俺のだけバグでもあったのか?」
バグが広まったのか?
「・・・・SOSかもしれませんね・・・涼宮さんからの」
冗談ではなさそうな顔で古泉が呟く。
-
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 19:04:45.81 ID:+DgingRI0
-
「・・・可能性はある。どちらにせよ
彼女達二人にしかできないと思念体及び
私は考えている・・・あなたは他に
誰を思い浮かべている?」
・・・いーや誰も。
わかんねえな。そんな神を超える大神なんてさ。
「とりあえず、佐々木をこの場に呼んでみる。
いいかみんな?」
・・・満場一致だな
戦うわけじゃねえが、緊張するのは確かだな。
-
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 19:42:09.08 ID:+DgingRI0
-
こうして俺たちは5人集まった。
なにかがずれれば
俺たちはこの5人でSOS団だったかもな
どうかな、佐々木じゃ
リーダーシップを取れないから、いや取らないから
無理かもな。
高校2年の春も、結局のところ
そういう佐々木らしさが俺たちを救ったんだけどな。
「ふー、もう昼過ぎだな。みんなちょっと
飯でも食いにいかないか?」
・・・いやわかってるって
けどな大事な話だからこそ
体力勝負だからさ。
-
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 19:46:28.63 ID:+DgingRI0
-
レストランにぞろぞろ俺たちは入っていった。
どこか緊張しているなみんな。
まあ長門はふわふわ歩いてるが
朝比奈さんは違う意味でふわふわそわそわしていた。
古泉はスマイルに陰りが見えるし、
佐々木は・・・・どうなんだろう?
居心地は悪くなさそうだが
よくもないだろうな。
なんせ大事な話がある、って呼び出しといて
みんないるってのは我ながらどうなんだろうな?
-
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 19:54:28.71 ID:+DgingRI0
-
一通りオーダーをした後
案の定というか、俺しっかりしろ!というか
佐々木が口を開いた。
「・・・そろそろ大事な話とやらを
聞かせてくれないかな?それとも食べてからがいいのかな?
いや時間がないわけでも、居心地が悪いわけでもないけど
なにか、気になってね」
ですよねー。
「ああ、いや、うーん、食べながらでもいいかな。
緊張して話せば相手の思う壺な気がしてな」
これは本当だ。
「相手?これまた厄介事かい?
最近はずっと平和だと前に喜んでいたのに」
先週のことか・・
「ああ。喜んでいたな・・・あの時はだ。
けどそれが本当の俺じゃなかったとしたら?」
「キョンらしくないね。いや、らしいのかな?
一体何があったんだい?」
-
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 20:07:28.76 ID:+DgingRI0
-
俺は古泉にした話を、また佐々木に話した。
佐々木はあの1年に俺とたまに会っていたから
俺の高3を知っていたから、話は通じやすかった。
朝比奈さんにも俺たちのあの頃を
わかりやすく説明した。
長い、長いぞ俺!コーヒかぶってはにらめっこし
走っては死にそうになり。そして極めつめの長い喋り・・・
今日一日で1年分頑張ったんじゃねえかな?
朝比奈さんは俺が死にそうだったことを
聞くと泣きそうな目になって震えていた。
「・・・なるほど。キョン、不謹慎だけど
キョンらしいね。」
まあな本当に俺も思うよ。
俺はハルヒやみんなのために走り回る、団員1だからな。
-
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 20:28:12.41 ID:+DgingRI0
-
「で、だ、佐々木・・・何か知らないか?」
うーんいきなり核心過ぎるか?
朝比奈さんと古泉は慌てふためいてる。
長門さえも目を見開いている。
まずいのか?いきなりアウトか?
「・・・ふふっ、そのチップは涼宮さんと僕しか
作れない。そして君は、君達は涼宮さんを信じたい。
そうすれば簡単だね・・・・犯人は僕だ!」
・・・・・
「ふっふっふっ・・・はっはっはっはーっははああっはっは!」
いや笑っちまうな。
「クスッ、くっくっくっ、
キョン、残念ながら、まったく僕にはわからないよ。
君もそう確信していたみたいだね」
-
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 20:38:49.32 ID:+DgingRI0
-
「ああ、何でだろうな?
まあお前がそんなに粘着質な人間とは
どうしても思えないからな。
まして誰かを殺してまで
欲しいものがあるとは思えん」
「・・・まあ概ね正解かな。そう、君とは高校2年から
親交がまた始まって、3年もそうは変わらずにいた。
確かにいまさら僕がキョンや君達にちょっかいを
かけるのは考えにくいね。
まあ無意識はいつまでたっても無意識とはいえね
そして僕の力は徐々になくなっているよ
もう僕がそんな高度なものを生み出すことは
できないと思うよ」
佐々木は長門に笑いかけた。
-
141:1ではない:2008/07/26(土) 20:53:06.29 ID:+DgingRI0
-
これから急に仕事に出かけねばならない・・・残念だ
帰ってくるのは明日の午前11時くらいになりそうです
さすがに残ってるとは思えん。
みなさん、ありがとうごめんなさいさようなら
-
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 20:54:29.48 ID:hwkbfDTj0
-
おつおつお
-
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 20:57:03.92 ID:0EJ9QChi0
-
乙
だがこのwktkを抱えた俺たちが
このスレをそう簡単に落とさせると思うか?
-
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 21:02:38.70 ID:K3vIign+0
-
面白かったよ 朝までならまかせろ
-
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 21:06:17.80 ID:JEvIRi++0
-
残してみせる
-
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 22:54:14.48 ID:8msoiFnQ0
-
ほっしゅっしゅ!
-
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/26(土) 23:45:45.17 ID:RmPx/8obO
-
みんな耐えるんだ
ほしゅ
-
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/27(日) 12:03:37.70 ID:ru7T/stiO
-
おはようほしゅ
-
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/27(日) 16:30:17.68 ID:+Dt0uEG00
-
ホシュホッシュ
-
345:保守ありがとうございます!:2008/07/28(月) 00:31:22.72 ID:ZnF5d3Ec0
-
俺はチラッと長門を見ると
長門は透明に透き通るような目で佐々木を見つめていた。
俺の目線に気づくとコクンとわずかにうなずいた。
「わかってくれたかな?協力したいのはやまやまだけどね・・・
それはともかく・・・なんて言うのかな
・・・さっきから、誰かが見ているね・・・・」
おいおいおい!平然と何を!?
辺りを見回しても、勿論誰もいなかった。
朝比奈さんなんかパニックを起こしている。
-
349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 00:36:39.95 ID:Vjec97Uw0
-
待ってたぜ……ッ!
-
350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 00:37:01.57 ID:G2s/wlv50
-
はうあ来たあああああああああ!
-
353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 00:41:42.73 ID:gc1gskJs0
-
なーにまだ3日落ちには猶予があるさ
-
355:反省しています:2008/07/28(月) 00:47:05.84 ID:ZnF5d3Ec0
-
「長門・・どうだ?なにかいるか?」
小声でたずねるも。
「・・・・何もいない。一般人以外感じない」
うーんそうか・・・
「・・・そうは思えないね。はっきりと感じたよ。
あれはそう・・・敵意だね。キョン・・・・
いまさらだけど、相手は只者じゃないようだよ?」
しかし、長門は何も感じなかった・・・俺は長門の力を
疑ったりすることは、絶対無い。
まあこれだけ助けられてれば、当然だな。
-
363:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 01:09:10.11 ID:ZnF5d3Ec0
-
「長門、危険は感じないんだな?」
長門に再度確認する。
「・・・・・・・・不明。」
不明?長門が?
「な、長門?さっきは何もいないって?」
どうも挙動不審だな。長門にしては。
なんかぼんやりしてるのは、思念体と会話中か?
「・・・・ICDSチップがないとはいえ、
何らかの規制がないとは
断言できない。私の力不足・・・・
この状況下では佐々木理子の判断を優先する」
な、なるほど・・あんまり、しょんぼりするなよ。
「・・・さっきも言ったとおり、
僕に力はほとんどないけどね。
・・・・・・そろそろ僕は帰らないと・・・
どうやらキョン、あまり僕は力になれなかったようだね」
佐々木までしょんぼりしてるようだ。
-
369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 01:24:57.06 ID:ZnF5d3Ec0
-
「いや、そんな事ないって。ありがとな。
なんかあったら、また電話していいか?」
あまり佐々木を巻き込むのは違う気がした。
佐々木は力をなくすことを望んだんだ。
争いや、いざこざを嫌う佐々木には必要ないからな。
「もちろん・・それじゃあキョン・・・みなさん、失礼するよ。」
佐々木は頭を下げて、歩いていった。
俺たちは店を出て、4人でまた公園に戻ってきていた。
もう夕方か・・
「どうします?涼宮さんに連絡をとるというのも
ひとつの方法ですが・・・」
うーんどうなんだろうな?いや・・・
うん?佐々木が向こうから歩いてくるのが見えた。
さっき別れたばかりで・・・
「どうした?」
わざわざ探してくれたのか?
-
372:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 01:46:53.63 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・少しね・・・・・」
なんか様子が変だな。
「大丈夫か?顔色が悪いけど・」
・・・・まさかいきなりナイフでぶすり!はないよな
もうナイフはこりごりだぞ?
何年たってもナイフにはトラウマがのこりそうだしな。
「・・・僕と涼宮さんの力は・・・・世界を願望どおりに
変えるだったよね?」
ああ・・・願望なんて抽象的すぎるとは思うけどな
-
373:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 01:56:11.22 ID:ZnF5d3Ec0
-
「僕がさっきの店にいる時、君達の助けになりたいと
考えた・・けどそれは無理だったね。僕の力が足りないのか、
助けになりたい願望が弱いのか、それはわからないけどね。
・・・・・ただ店を出て数分歩いた時にね、
ふと、頭に浮かんでしまったんだ。
全然脈絡もなく、根拠も証拠もないけどね。
・・・・」
「何のことだ?」
「涼宮さんの、最初の自己紹介を覚えているかい?
以前僕も君から聞いたんだけど」
-
375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 01:59:08.30 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・ああ、何年たっても、覚えているよ。
ただの人間には興味ありません。
この中に、宇宙人、未来人、異世界人、
超能力者がいたらあたしのところにきなさい!以上!・・・だろ?」
実は何回か口に出したことがある。それ位衝撃的だった。
「うん。名言だとは思うよ。
けどね多くの謎があるのはわかるかい?」
と、突然人が降ってきた!
比喩じゃなく、何もない所からだ!
「その先を言うのは待ってもらえますか?」
突然現れて当然のことのように喋りだした。
「あっ!!き、黄緑さん!?」
黄緑さんは、優雅にお辞儀をしてきた。
-
376:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:01:00.95 ID:ZnF5d3Ec0
-
「まっ、まさか・・・黄緑さんが!?」
まさか、この人が?俺たちを引き離して、
変なチップをうめて操っていた?
「いいえ違います。」
あれ?そうなの・・・
長門を見ると、さっきまでのぼんやり感はなく
無表情フェイスで黄緑さんを見ていた。
「・・・・私が呼んだ。」
そうか長門が・・・なぜ?ホワイ?
「どうしてだ?どうも話が見えないが」
呼ぶ流れではないはずだが?
-
377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:02:11.63 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・・私自身はあなた達に近すぎる存在のため、
規制が強く働いている可能性がある。
事実、先ほどの気配も感じなかった。
私自身にICDSチップが埋められていたこと自体が異常。
よって思念体は最大級の警戒を張る方針。
黄緑にも協力してもらう。」
・・お前黄緑さんのこと、呼び捨てなんだー。
いやそれはどうでもいいか。
「黄緑は私と違い、守衛向き。
磁場の異変感知、空間の乱れの制御等も彼女のほうが上。
・・・なにより、SOS団とほぼ接点がなかったため。
あなた達に対する私的感情がない事が重要」
-
380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:07:22.88 ID:HM1inSLL0
-
黄緑の漢字はめんどいからか?
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381:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:08:43.33 ID:ZnF5d3Ec0
-
うーん・・・その言い方だと
長門、お前には俺たちに私的感情があると
認めるようなものじゃないか?
そうだよな。お前がいくら、取り繕っても
わかっちまうんだ。
エラ-?そんな変な言葉使わんでいいぞ。
うぬぼれではなく、俺を守ってくれるときに感じるそれは、
義務感なんてものじゃなく
もっと暖かい、必死さがあるじゃないか。
・・・・おっとそれはそれとして
「なんで俺たちに対して私的感情があると
だめなんだ?」
これは疑問だ。
-
382:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:10:52.42 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・推測でしかありませんが、
ここまで回りくどいことをしてくるからには、
貴方を傷つけたいのではないでしょうか?
最初から、涼宮さん以外を殺してしまう事も
簡単だったはずです・・・・
勿論情報爆発のリスクを考えれば、
しないにこした事はないのでしょうが。」
これには黄緑さんが答えてきた。
-
385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:22:54.35 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・まあそれはいいとして、
佐々木の話は聞けないのか?」
確か自己紹介の話だったな。
「・・・どうやらここも安全じゃないみたいだね。
・・・・よければ僕の閉鎖空間にいかないか?」
佐々木の・・・?懐かしいが自分も入るのか?
あの時は橘さんに入れてもらったな。
「ええそうしましょう。」
黄緑さん、始めからそのつもりだったんだな。
-
386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:24:07.98 ID:ZnF5d3Ec0
-
「それで、どうやって入るんだ?
まさか古泉が入れるのか?」
まさかね
「・・・いえ、僕は涼宮さんの閉鎖空間以外は入れません。」
だろうな。
「・・・じゃあみんな少し協力してくれるかい?」
そう言って佐々木はみんなに手をつながせた。
丸くなって、お遊戯のようだな
・・いやカゴメだな。かーごめ、かーごめか
・・幼稚園のときにやったな。
-
387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:26:13.11 ID:ZnF5d3Ec0
-
「手をつないで円を作る。
すると真ん中に空間ができる。
僕が編み出したんだ、大勢を呼ぶにはこれが効率がいい。
ここまで力が強い人だらけだと、
僕の弱い力でも楽だね、すぐに特殊な磁場ができる。」
・・特殊な磁場か・・・SOS団部室もそんなんが
発生していたらしいな。
朝比奈さんが緊張して口をパクパクさせている。
そうか・・・朝比奈さんは入ったことがないんだよな。
佐々木の閉鎖空間でよかった。神人なんかみたら
気を失いかねん。
まあ長門も、黄緑さんもないはずだが、まったく動じてないな・・
「みんな目をつぶって・・・・・・よし、ついたよ」
・・・確かに見覚えがある。
廃墟でもなく、町はあるが。空は灰色よりで。
空虚だな・・・しかし心は落ち着く・・・不思議空間だな
-
391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:39:29.21 ID:ZnF5d3Ec0
-
「立ち話もなんだね・・・」
佐々木が言うが早いか
6つの椅子がまるで当たり前のように
出てきた。
「座ろうか・・・ここなら、誰にも
邪魔されないはずだからね・・・・
僕も久しぶりだよ。よかった、変わってなくて」
6つの椅子も円状で、つかず離れずといった感じだな。
「・・・キョン・・僕と涼宮さんの違いは何だと思う?
・・・」
色々違う。全部といってもいいだろう。
「・・・違いは自分に力があるか、
知っているかどうかだよ。」
俺の答えを待たずに喋りだした。
「僕に力があることを、
2年前に橘さんに聞かされて
僕はどうなったと思うかい?
・・・古泉君なら分かるんじゃないかな?」
「・・・ええ、分かるかもしれません」
古泉は辛そうになった。
-
392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:44:34.10 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・狂ってしまう。
最初は分からなかったけどね・・・
段々怖くなってきてね。
・・・橘さんの組織は、僕になら
打ち明けても大丈夫だろうと
判断したみたいだけど・・・
残念ながら買いかぶりだったようだね。
自らの容量を超えれば、破裂してしまう
それは誰にだって、何にだって当てはまると思わないかい?」
-
394:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 02:50:25.67 ID:ZnF5d3Ec0
-
「僕が自ら、君達との争いを避けたのもそのせいだね・・・
橘さん達は残念そうだったけどね。
・・・けど本音を言わせてもらえば、
僕にこんな力があることを知らせて欲しくなかった。
・・・人には知らなくてもいいことがある・・・
だからこそ、君達は涼宮さんには全てを話せないんじゃないかな?
やはりリスクが高すぎるね・・・・
ああそういえば、前にキョンは全てを話たんだったね」
-
402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 03:33:45.71 ID:ZnF5d3Ec0
-
「それも、長門さんの力や、
古泉君が閉鎖空間に案内すれば
すぐに信じざるを得なかったはずだね。
けどそんなことはしない・・・しなかった。
それでいいと思うよ。・・・さっきの話に戻ろうか。
彼女は未来人、宇宙人、超能力者と出会い遊びたかった。
そして実際にかなった。そこまではいいね・・・
けど・・・異世界人はどうなったんだろうね?
・・・あっキョンが異世界人という話ではないよ。
単純な話なんだ。彼女は一瞬でも願った。
未来人、異世界人、宇宙人、超能力者が私の前に現れるようにと・・」
-
406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 03:46:39.03 ID:ZnF5d3Ec0
-
「そして願いはかなった・・・あ、どちらが先かは
この際どちらでもいいと思うよ。
この件に関しては、藤原君や橘さんも
かなり議論していたからね。
彼女が願ったから、宇宙人ができたのか。
それとも元々、地球以外にも生命体は存在していたのか。
彼女の・・・いや僕も、かな?力はまぎれもなく
本物であることに変わりはないからね。
未来人・・・分かりやすいよね。
未来から来た人。少なくとも、タイムマシーン・・のようなものができればいい、
想像しやすいよね。」
-
415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 04:18:48.70 ID:ZnF5d3Ec0
-
「超能力者・・これもこの国で生きていれば、想像しやすいね。
僕らが子供のころから、あらゆるメディア、媒体で僕らは目にする。
テレビでも漫画でも小説でも・・・
古泉君が閉鎖空間でしか魔法を使えないのは、
涼宮さんらしいのかな?
橘さんたちは現実空間でも、使っていたのは、君達は
実際に目にしたよね。あれは、僕に全てを打ち明けてから
使えるようになったそうだよ。
今では、どうかな?僕はもう望んでないから、使えるとは
思えないけどね。
実際この閉鎖空間も僕の意思がなければ
僕以外は誰も入れないようにしたよ。」
-
416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 04:23:50.22 ID:ZnF5d3Ec0
-
「宇宙人・・・これも僕らが小さな頃、
はやった映画があったね。
さすがに可愛い女の子が、
宇宙人っていうのは、彼女の趣味の問題だね・・・・
あっ!九曜さんも彼女に引かれてやってきたらしいよ
一応敵対組織になったのも涼宮さんの
願望の影響だね。
誰も怪我をしたりしないで、戦争ごっこなんて
誰しも思ったことがあるんじゃないかな?
頭脳明晰であらゆることに長けていて、体も強い。
そして少し表情に乏しいイメージかな?中には人間そっくりに
体を変えれたりする。そんな宇宙人たちと戦う話も多いからね
・・・気分を悪くしたらごめんなさい」
佐々木は長門と黄緑さんに頭を下げた。
長門は固まったままで、黄緑さんは、少し微笑んだ。
-
418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 04:31:49.73 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・異世界人・・・異世界人はどうなのかな?
・・・・想像もできないね。幽霊のことでもなさそうだし、
かといって普通の人間とは思えないし・・・
それは恐らく彼女もそうなんじゃないかな?
漠然としすぎるイメージで、かといってその願いは強かった
・・・・そしてそれは誕生した・・・・
さっき頭に浮かんだんだ・・・もちろん根拠もなにもないけど
確かだと思うよ。真相を知りたいと強く僕が望んだからね。
それには、実体も必要ないし。実体をもってもいい。
不可能なことはないし、なにも可能なこともない。
生まれてきたことに誰も気がつかない・・・・
創造主さえも、ね。
そして自分を生み出した人間は、
超能力者、未来人、宇宙人と楽しそうに遊んでいる・・・」
-
421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 04:37:20.25 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・それは生まれてから、すぐには、動けなかった。
知能も高くなく、
誰かに干渉することもできなかった
・・・あ!彼が生まれたのは、
古泉君や橘さん達が力を持った時と同時だったよ。
つまり涼宮さんが力を持ったときであり、
僕もまたそうだね。
・・生み出されてから数年で彼は随分力をつけたようだね。
やっと自分を生んでくれた人に会おうとしたんだけど、
そのときには遅かった。
もう自分は入り込めなかった。
涼宮さんは満足していたんだ。
不思議探しにね・・・
無意識にでも自分が望んだ世界を満喫していたからね。
彼女が力を持ったのは、中学1年、そして僕もそうだ。
しかし彼女の中学時代は彼女と望みとは逆だったそうだね・・・
不思議なんて現れない。いらいらしてなにも楽しくなかった。
それはなぜだと思う?・・・キョン・・君だよ。
君を好きになったから、不思議なこともやってきたんだよ。
彼女が不思議なことを望んでいなかった、
そういうわけじゃないんだろうね。
彼女の本当の望みは、好 き な 人 と、ともに、
不思議なことをしたかったんだね
・・・・・・けどどうしても理性の虫は消せずに、
彼女の意識の前では、不思議なことは起きなかった。」
-
424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 04:51:39.48 ID:ZnF5d3Ec0
-
けどね、不思議なことは二の次だったんだよ。
彼女は君も知ってのとおり、
可愛い女の子だったんだね。
君といれば、不思議が表面に現れなくても
無意識に満足できた・・・・・
だからこそ彼は君を憎んでいる・・・・
彼の存在意義を奪った存在としてね。
みんなのように、未来からの、指令や、
神人の除去。進化の可能性の探求・・・
そういったものがもてなかったんだね。
けど、今の彼の目的は・・君を苦しめて、涼宮さんの独占だね。
話を聞いて、疑問だったんだよ。なぜ君が先に違和感を感じたのか。
長門さんや、古泉君や、朝比奈さんよりも先にね。
さっき言っただろう?自分の容量を越す力は、破裂を生み出すと・・。
彼は涼宮さんの望んでることをかなえようとなんてしていない。
危険な自我で動いている。
勿論僕の影響もうけない。
長門さんにも感じなかったのも当然さ。
異世界とこの世は抗生物質が違うようだね。
僕も気配だけしか、どんなに願っても感じなかった。
僕が真相を知れたのも、実は彼によってなのかもしれないね。
それがすこし・・怖いね」
-
427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:07:26.31 ID:ZnF5d3Ec0
-
「少し休憩しようか。」
さすがに佐々木に提案する。
あまりにも長く喋らせすぎたな。
・・・佐々木にも悪いことしたな
巻き込みたくないなんて
言っておきながら
SOS団でもなく、
あいつは自分に力がある事に苦しむことも
あったろうに・・・
俺たちは少し思い思いに歩いたり、
考え込んだりした。
-
428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:16:35.69 ID:ZnF5d3Ec0
-
長門はまた座ったままぼんやりしている。
いまさらだが制服じゃないんだな。
普通の青いワンピースだ。
思念体と通信しているのだろうか?
黄緑さんは、ぼんやりしてはいないが
目を閉じて何かを呟いている。
例の高速早口言葉ではない。
異世界人を警戒でもしているのだろうか?
2人並んで座っていると人形のように綺麗だな。
-
430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:24:09.47 ID:ZnF5d3Ec0
-
古泉はふらふら歩き回っていた。
1年閉鎖空間に入ってなかったからな
なにか思うところでもあるのだろうか?
時々こちらを向いて古泉スマイルを浮かべてくる。
弱い・・・あまりにも弱弱しい・・・。
まあわかるよ。疲れてるのは俺も同じだ。
朝比奈さんは少し離れたところから
町の公園(のようなもの)を見ている。
目は遠くを見つめ寂しそうではある。
佐々木は6個のイスからは離れ
また違うイスを出したんだろう
そこに座りぼんやり空を見ている
この空間がすきなんだろう。
穏やかで静かな。
-
434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:37:08.95 ID:ZnF5d3Ec0
-
俺も最初のイスに座っていたんだが、
視線を感じふりむくと
朝比奈さんがこっちに向かって
激しくこいこいしていた。
なんだ・・・?
「どうしました?朝比奈さん?」
どうやら焦ってるな。
「キョン-くーん!大変!
今未来から指示があって
10分以内に時間移動しないとならないの!
どうしよう!キョンくーん!!」
手をばたばたさせて、慌ててらっしゃる・・・
-
440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:54:48.80 ID:ZnF5d3Ec0
-
なんでこんな時に!?
第一こんな所でも指示がくんのかよ!
・・・・いや普通に考えれば逆か?
今だからこそか・・・
俺もお願いしようと
朝比奈さんに会ったとき考えてたんだけどな
まあプランもどの時間に行けばいいかも
まったくなかったが
-
441:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 05:55:16.50 ID:ZnF5d3Ec0
-
「ちょっと待っててください!
いつに行くんですか?
俺と二人ですか?」
そこは聞かないとな
「えっと、えっと、二人で・・・・時間は禁則事項・・
え?あれ禁則事項?なんでなんで!?あれー!」
まだパニックか・・・ええーい仕方ない!
行くしかないなら、悩んでる場合じゃなさそうだ!
「わかりました、ちょっと説明してきます!」
ダッシュで事情を説明すると
また俺たちは普通の空間に戻った。
「じゃあ、すまん!ちょっと行ってくる!」
何が何だか説明できないが
みんな察してくれたようだ
「それでは一回解散しましょう
安心して古泉君と佐々木さんは私達が守ります」
黄緑さんと長門に任せればまあ安心か?
それより俺と朝比奈さんのほうが心配だよな・・・
-
443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 06:02:03.36 ID:ZnF5d3Ec0
-
「よし、オッケーです!早速お願いします」
ばたばたしていた。朝比奈さんも
みんながいなくなると、平静を取り戻したようだ。
「はい!それじゃあ目を閉じてください」
目閉じると案の定、例の頭の揺れに襲われた。
あー頭がいってえ・・・気持ちわりい・・・
帰って寝てえ・・・今日1日ハードすぎる・・・
全ての弱音が頭に浮かんでくるのは
異世界人のせいなのか?
こりゃ元々か・・・
-
444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 06:11:00.94 ID:ZnF5d3Ec0
-
頭の揺れがおさまっても
朝比奈さんは何も言わなかった。
もう目を開けていいんだよな?
恐る恐る目を開けると・・・・
あれ、もといた公園?
朝比奈さんは?・・・いない!?
どうなってんだ!この公園に何がある!?
・・・いや様子が変だな・・・
なんて言っていいのか分からんが
動きがぎこちない、葉っぱや、地面、風さえも
普段の流れとは思えない・・・
そこはまさしく異世界だった。
そう呼んでも差し支えないだろう。
「ごめんなさいね・・こんな所で」
草むらから出てきたのは
分かってはいたが、朝比奈さんだった。
もう顔なじみと言っていいだろうな。
俺自身は会うのは約2年ぶりだな
大人の、朝比奈さん・・・
-
494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 18:35:40.48 ID:ZnF5d3Ec0
-
「朝比奈さん・・・・ここは一体どこですか?
公園なのはわかりますが・・・時間?というか・・・
なにか普段と周りの動きが違いませんか?」
違うというか、違いすぎるというか・・
・・まるでテープの早回しのようだ
と、思ったら巻き戻しのように全てのものが
戻っていく、辺りは暗かったはずが、
少したつと明るくなっていたりする・・・
「キョン君・・・久しぶりね・・・
・・・もう会わないはずだったのに・・・
私がここにいるのは、規定事項では
ないわ。いいえ、私が今まで規定事項だと
あなたに色々お願いしたことも、
私達未来人の勝手な都合・・・だと思う・・」
まあ、正直うすうす感じてはいた。
-
496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 18:49:21.30 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・未来は今、大パニックよ・・・
私がここにいるのも、ぎりぎりでこれたの。
ここはそうね、不確定の時間の狭間、と呼ばれている、
異常な時間帯ね。」
私自身来るのは始めてね。」
やっぱり、ここは異常なのか・・・
けど、待てよ?未来が大パニック?
「・・・未来は一体今どうなっているんですか?」
・・小さい朝比奈さんの話では、未来にこれといって
異常はなかったようなことを言ってましたが・・・」
小さい朝比奈さんはまたもや蚊帳の外なのか?
-
499:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 19:02:34.10 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・どこから話していいのかな?
今私に、禁則事項はないの。
だからこそ余計に、怖くて・・・」
朝比奈さんは、小さく震えていた・・・
大きな朝比奈さんがこんなにも怖がるなんて・・
「・・・まずは、私が知ってる、あなた達の未来の話をしますね。
つまり、それが私達の未来へつながるんだけど・・・」
えー!!ちょ、それはどうなの?
俺は将来どうなってるか、気になるが、聞きたくないような・・・
「本来なら、禁則すぎて、
絶対に言葉が出てこないんだけどね・・・
これから話す事は、勿論、他の人には内緒にして欲しいの・・・
あ、関係している人には話しても、いいのかもしれないけど
・・・・・まず大前提としてICDSチップはこの時代では
発見されなかったはずなの。それが発見されたのは
遠い未来に、古泉君が・・あの、お亡くなりになってからなの・・・」
古泉・・・お前一番先に死ぬんだな・・・
遠い未来ってところが救いだな。
ん?・・チップを発見できなかったって!?
それを現在で発見しちまったら・・・そりゃ未来はパニックか・・・
-
501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 19:16:53.68 ID:ZnF5d3Ec0
-
「それを元に、禁則事項を制御するチップが
未来で作られるわ。人間達だけでは不可能だったから、
長門さんたちの力を借りてね・・・
その時には、結局、なぜチップが埋められていたかも、
解明できなくて、その問題はずっと研究中だったの」
なるほど・・・制御されれば、あの朝比奈さんでも
口を滑らす危険性もないわけか・・・
それにしても長門・・・未来でも超重要人物なんだな。
-
504:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 19:29:47.62 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・私の知っている未来では、キョン君達と涼宮さんは
高校3年生になると少しづつ、疎遠になって・・・
涼宮さんは、予定通り、9月に留学して、留学先の大学で
タイムマシーンの原型の原型を開発するの・・・
そしていずれは、近所に住んでいたハカセ君と
共同で時間移動装置の原型を作って・・・」
・・死んじまうんだな・・ハルヒも
-
505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 19:47:43.20 ID:ZnF5d3Ec0
-
「けど、それはあくまで原型なの。90%以上
時間移動の基礎はできているんだけど、後の10%が
どうしても埋められなくて・・・
とんでもない天才が90%も作り上げたのに
後の10%を固めるまで、長い、長い時間が必要だった・・・」
そうなのか・・・
「・・・つまり、私達の未来では、キョン君達は、
違和感を感じることがなく、生涯を終えていたはずなの・・・・
涼宮さんと、会うことなく・・・
皆亡くなってから、チップを発見したけど、
もう全ては遅かったのね・・・
私達が作ってきた未来は、多分すべて
・・・いや一部なのかもしれないけど
大きく変わると思う・・・これが異世界人の力なのかな?
一本の大きな道は
今、急速に揺らいでるの・・・・」
なんてこった・・・つまりは、俺が気づいちまったからなのか・・・
異世界人の力かなんか知らんが、俺の行動で、朝比奈さんは
・・未来の多くの人が消える・・・?
-
508:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 20:16:06.78 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・すいません・・なんて言っていいか・・
俺のせいで・・・」
どうすればいい?・・・今更おそいのかも知れないけど
全てを知らない振りして、長門にチップをまた埋めてもらって
ハルヒと永遠に別れるしかないのか?・・・・
「ううん。違うの・・・私の立場の人間が
本来なら絶対口にするべきじゃない、言葉だけど
全ては私達のエゴなの。
未来人を守る・・そのために、
現代に生きている人間の心や行為を縛るなんて、
やっぱりおかしいものね・・・
大切なのは今、今どう生きるかだもんね。
だから、未来は一つじゃなく・・・・
いくつも枝分かれしていて、当たり前なの・・・」
-
509:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 20:17:40.27 ID:ZnF5d3Ec0
-
「それを無理して、一つにしようとしたから・・・
こんなにパニックになってしまうのね・・・・
もしかしたら新しい未来は、
そういうことをもっと整備しているかもしれない・・・
時間移動をしても、何も変えることはできない、
何も伝える事もできない、そういう制御をするべきかも・・・
・・時間移動自体も違った形で応用して
過去や未来に行ったりする事は
できなくするべきなのかもしれない・・・」
-
510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 20:19:56.29 ID:ZnF5d3Ec0
-
「あのね、時間移動装置は、応用で物でもできるの、
一瞬のうちに、地球の反対まで、物を送る事だって・・・
それはすごいと思わない?・・・いらない物なんて
なくなるわ。食べ物も飲み物も、必要な国に一瞬で送れて・・・
涼宮さんは物凄い発明家なの・・・
そういう人間は、実は涼宮さんだけじゃなく
歴史の中に何人も、何人もいたってことが研究されているわ。
飛行機や、電気・・・ダイナマイトもそうね。
彼らは天才であると同時に、自分の願望を実現させる力があったの
力の強弱はあるけどね。
・・・これは私個人の考えかもしれないけど、もしかしたら
誰しも持っているのかもね・・・
奇跡みたいな奇跡を起こせる力が・・・」
・・・・多分禁則事項だらけの事を聞いてる気がするな、今更か・・・
-
521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:16:40.89 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・あっ、そうだ!忘れないうちに
これを渡しておくわね」
なんだ?これは・・・
前に長門がくれた銃みたいな
注射みたいだが・・・
あの時は暴走した長門を長門自身が治すという感じだったな。
「・・・異世界人に効果があるピストルよ・・・
長門さんが、作ったの。古泉君の頭にチップを見つけたときから
長い、長い年月をかけてね・・・
彼女にはわかったのね・・
もしかしたらこういう日が来るかもしれないことが
以前、鶴屋さんの山から見つけた、オーパーツを覚えてる?
あれを元にして作ったそうよ・・」
-
522:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:17:59.06 ID:ZnF5d3Ec0
-
あれか・・・長門、すげーな
・・頑張ったんだな。
お前が、長い年月をかけたって事は、そうとう高度だってことだろ?
俺はそれを大事に受け取った。
「・・長く喋っちゃたね・・・正真正銘、
キョン君ともう会えないのかもしれないから・・・
最後に言っておくね。
異世界人を生み出した、涼宮さんには
何も責任はないの・・・誰だって、思い描いたこと位あるはずよ?
夢のような出来事を・・・男の子なら、
かめはめは?って言うのかな?
未来でも皆が知ってるすごい漫画なんだから・・・
そう、もし治すとしたら、
暴走する力を直さないといけないのかもね・・・
自分が無意識に撃ったかめはめはが、
勝手に地球をぐるぐる回って、大切な人や、
自分を傷つけたらいやでしょう?
・・それと同じね。
キョン君・・・明るい未来にしてね・・・
未来人の都合じゃなく、現代に生きる人間として
・・ずっと本当はこれを言いたかった気がしているの」
朝比奈さん・・・けど、そうするとあなたは、消えて、しまうんじゃ・・・
-
525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:23:44.79 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・・頑張って・・・」
朝比奈さんはゆっくり俺に近づくと、
ゆっくり俺に、キスをしてきた・・・・
なんてこったい・・・
「セカンドキス・・・貰っちゃったかな?・・
キョン君・・・キョン君とみんなに、
明るい未来が待ってますように・・・」
朝比奈さん、当たり前かもしれないけど、
俺がハルヒとキスをして戻ったことを知っているんだな・・・
俺から体を離すと・・・ゆっくり、ゆっくり
朝比奈さんは、消えていった。
-
526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:24:36.51 ID:ZnF5d3Ec0
-
「朝比奈さん!!」
必死に手を伸ばしても触れられない・・・
朝比奈さん・・・・
気がつくと、俺は公園のベンチに座っていた。
周りを見ても、朝比奈さんは、どこにもいなかった。
小さい朝比奈さんも大きな朝比奈さんも。
目の前から歩いてくる、小さな影も、
気にできないほど俺は涙をながしていた。
「うっ!うっう・・・うう・・・」
そんな俺を長門は優しく抱きしめてくれた。
「朝比奈さん・・・・・・・・」
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527:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:25:32.76 ID:3LURi4i+0
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うおおおおおおおおおおおお
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531:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:45:46.68 ID:ZnF5d3Ec0
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二人で手をつないで歩く・・・
どちらともなくだ。
泣き顔を見られた後じゃ恥ずかしくもない。
二人はなにも喋らなかったが、何も変な感じはしなかった。
「・・・みんなここにいる」
長門のマンションの前に着くとやっと長門は口を開いた。
「そうか・・」
おれもやっと言葉をだした。
「みんな、ここに泊まる・・・あなたもそうするべき」
そうだな・・・
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532:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:47:02.99 ID:ZnF5d3Ec0
-
そんな事態ではないのかもしれないが、
家に電話をいれると、すんなり泊まりは容認してくれた。
妹は俺の元気のなさを心配していたが、
大丈夫だよ・・・まだ折れていない・・・つもりだよ。
マンションの中につくと、古泉、佐々木はぼんやりテレビを見ていた。
「あれ?黄緑さんは?」
古泉に聞くと
「お帰りなさい・・・ちょっと出かけていますよ。」
・・お前も知ってるんだな・・・朝比奈さんはいないことを。
本当は口に出して聞きたいのかもしれないけど
俺の目の周りを見れば一目瞭然なのかもな・・・
古泉の優しい雰囲気に少し感謝した。
-
536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 21:58:37.06 ID:ZnF5d3Ec0
-
しかし、話さないわけにもいかず
、俺はさっきの出来事を話した。
朝比奈さんがどうなったかは、言えなかったが、
察してくれただろう。
長門は貰ったピストルを手に取ると解析しだしたようだ。
話し終わると倒れこむように、俺は眠りについた。
1年分の一日、まさにそんな日だったな・・・
目を覚ますと、みんなは起きていて、これからについて話しあった。
用意されていた朝食も
食べる気なんてさらさら、起きなかったが、詰め込むように、流し込んだ。
朝食の後4人でまた、佐々木の閉鎖空間に入った。
-
544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 22:40:02.53 ID:ZnF5d3Ec0
-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・以上が作戦の概要・・・ただ成功する可能性は、未知数・・・
あなたの答えを聞かせて欲しい・・・」
全てを話し終えると長門は静かに聞いてきた。
「・・・ああ。それでいい・・・未来は元々、未知なものだからな・・・」
それが朝比奈さんの、意思でもある・・・
「・・・そう・・・」
「・・・そう・・・だろ?」
デジャブのようなやり取りをする。
-
554:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 23:29:52.17 ID:ZnF5d3Ec0
-
「わかった・・・僕も微力ながら、応援するよ・・・最後までね」
佐々木・・・
「ええ、昨日も仰いましたが、あなたにまかせますよ・・・・」
古泉・・・
「・・・涼宮ハルヒの現在位置は不明。
異世界人の行動を予測する限り、無事であると考えられる。
彼女の力は、相手には通用しない・・・それは佐々木理子も同じく・・・
もし出し抜ける可能性があるのなら、相手の慢心。
負けるはずがないと考えている相手は一瞬硬直するはず。
そこをつけなければ、永遠に勝ち目は生まれない。
・・・・ただあなたが負けても私は・・・私達は何一つあなたを
責めることはない・・・・・頑張って・・・」
お前が頑張ってか・・・よっぽどだな・・・嬉しいけどな。
-
564:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/28(月) 23:54:35.12 ID:ZnF5d3Ec0
-
「・・・ああ。わかったよ・・・よし!じゃあ行くか!!」
そして俺たちは、現実世界に戻った。
何気ない風を装い、俺は一人町を歩く。
狙われているなんておくびにも出さずにな・・・
ここらへんも随分変わったな・・・ハルヒと歩かなくなって。
気がつくと、商店街はこじんまりしていた。
そうだな、あいつがここを歩き回るだけで、
町全体に活気が生まれていたようなものだ。
-
566:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:06:45.20 ID:vFBmzovq0
-
おや?・・・・ハルヒ?
忘れもしないハルヒが元気なころの、ずんずん歩き・・・
ずいぶん古典的な罠だな・・・
まあ罠と知っても、追いかける、俺の立場もどうかと思うけどな。
ハルヒは、俺にまるで気がついていないような
動きで町の外れのほうに歩いていく。
俺もそれを必死で追っていく・・・
「ハルヒ!!」
大声で叫んでも、あたりの人間がびっくりするだけだった。
この野郎!まだ走らせ足りねえのか!?
-
567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:08:46.34 ID:vFBmzovq0
-
ハルヒが裏通りを右に入る。
少し遅れて、俺も入る。
裏通りに入ると、今度はハルヒの後姿がぎりぎりで見える。
それをまた追う・・・
段々と見たことがない、場所に出始め、徐々に
暗くなっていく。
回りくどいな・・・もうどこからがこの世界だったのかわからん
そして、道の行き止まりに出る。ハルヒは後姿のまま壁を見つめている。
「はあ、はあ・・・いい加減鬼ごっこはやめてもらいたいね・・」
後姿は下を向き、徐々に周りは光を失っていく。
佐々木の世界に似ているが、
雰囲気はだんぜんあっちのほうが俺に合ってるな。
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568:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:12:08.04 ID:vFBmzovq0
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真っ暗な世界。宇宙空間だな。まるっきり。
ハルヒ、のようなものは向こうをむいたまま
動かない。俺も距離を置いて立ち止まる。
「・・・よう異世界人。散々やってくれたな・・・
1年丸ごと飛ばしちまうなんてな」
その言葉に反応したのだろうか、
それはゆっくりこちらに顔を向けた。
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569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:14:44.42 ID:vFBmzovq0
-
正確には顔を180度回し、体は逆を向いたままだったが・・・
「げっ!・・・悪趣味だな・・・・・お前は。」
こちらを向いたハルヒは、綺麗な顔をしているが
勿論ハルヒではない。
「やあ、キョン・・やっと会えたね・・・私はずっと君に会いたかったよ」
声はハルヒのままか・・マジで許せねえな。
「・・・その顔やめろ。マジで切れそうになる・・」
俺はポケットから銃を取り出す。
-
572:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:22:09.91 ID:vFBmzovq0
-
「やあ、物騒だね。オーパーツが原型か・・・
撃てるものなら、撃て、と言いたいけど
・・君は躊躇なく撃ちそうだね。
止めておくよ。お気に召さないなら、これなんかはどうかな?」
言うが早いか、それは朝比奈さんの顔になった。
てめえ!!
気づくと、俺はそれに向かい引き金を引いていた。
銃弾は真っ直ぐに相手の眉間を貫き、
朝比奈さんを真似した異世界人はやっと、体の向きをこちらに向けた。
「酷いです・・・キョン君・・・私を・・・
二度も殺しましたね!!!」
瞬間、眉間の穴から血が吹き出て、顔が血だらけになっていた。
-
573:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:23:07.10 ID:V0r5fLqb0
-
ぎゃああああああああああああああああああああああああ
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577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:30:11.97 ID:vFBmzovq0
-
くそっ!
引き金を2度、3度引き、どんどんそれに命中させる・・・
「・・キョン君・・・やめてください・・」
それは撃たれても、撃たれてもまるで影響がないように、
ただ血だらけになり、朝比奈さんの原型とは
かけ離れるまで、ぼろぼろになってもまだ喋り続けた。
「はあ・・・はあ・・・・・いい加減にしろ!!
当たってねえんだろ!?」
どこまでもおちょくりやがって!
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585:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:43:30.43 ID:vFBmzovq0
-
言った瞬間、奴の顔の血も消え、朝比奈さんは・・・とうとう俺の顔になった。
まだ、ましだな・・・俺を撃つってほうが。
「わかっていたのか?ふん。あたるわけがない。
異世界とつながっていれば、一瞬でここの世界から離れられる・・・
まだやる気か?確かにそれをまともに食らえば、俺でもやばいかもな。
お前が、いや、お前らが俺を誘ったつもりだろうが、
そんな事は、わかっていて、誘き出されてやったんだよ・・・」
・・・やっぱり自分の声と姿をした奴に嫌味を言われると、
無性に腹が立つな。
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586:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:44:24.99 ID:vFBmzovq0
-
「ああそうかい。お前は凄いですねー。
勝手に暴走して、勝手にチップだかなんだか埋め込んで・・
結局は嫉妬だろ?」
俺も負けじと嫌味ったらしく挑発してやるよ。
「・・・なんだと?なんて言った!!
ただの人間の分際で!!
お前のような下等なただの人間が何を言ってんだ!!
ああ!?」
・・・おお怖いな俺・・チンピラにでもなれるな・・
-
596:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:53:12.79 ID:vFBmzovq0
-
「何度でも言ってやるよ!
お前はただの嫉妬野郎だよ!
人の恋路を邪魔するやつは、馬にけられて死ね!」
本当に死ね!
「クソがっ!!てめえなんか
涼宮ハルヒに選ばれただけの
何もできねえ単なる無力な細胞の塊なんだよ!
宇宙人も超能力者も未来人も所詮俺にはおよばねえ!!」
あああああ!!?なんだー!!?てめえ!!
-
600:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:55:42.05 ID:vFBmzovq0
-
「うるせえ!!超人ぶりやがって!
あいつが俺を選んだだけじゃねえんだよ!
俺 も だ!俺もあいつを選んだんだよ!
わけのわからん力で振り回して、
じゃじゃ馬で、素直じゃなくて、厄介者でも・・・
・・俺にもわからねえが、俺だ!俺が選んだんだよ!
こちとら、世界中全てを敵にまわしても、あいつを選んだんだ!
てめえみたいな覚悟もない嫉妬豚と比べんな!!」
本気で興奮しすぎてるな・・・俺・・
-
603:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 00:57:52.81 ID:vFBmzovq0
-
「・・・もういい!お前は死んどけ!!!」
!!!来た!!!姿は見えない・・・物音も気配もまったくない!!
集中しろ!全てをかけろ!
・・ハルヒ・・・ハルヒ!!!
ハルヒの笑い顔が、
怒り顔が、
寂しげな顔が・・・
全てが頭に浮かんでくる!
「そこだ!!!!!」
・・・・・衝撃・・・・
銃声・・・
金属音・・・
そして、うめき声・・・・
-
607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:04:25.39 ID:vFBmzovq0
-
「・・・・なんでだ・・・なんで、お前は?」
姿をとどめることが出来ないんだろう・・・
俺の顔が醜く壊れていく。
「・・・思念体を、長門をあんま、なめんなよ?
あいつがこの銃だけで、お前を倒せるなんて思うかよ。
オーパーツは一つじゃない。未来の朝比奈さんがくれたオーパーツと
この現代のオーパーツ2つあったんだよ・・・」
-
610:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:13:03.01 ID:vFBmzovq0
-
「なっ!・・・しかしお前はその銃しか・・・」
心底驚いてるな。
「・・・お前の専売特許だろ?何も持たなくてもいいじゃねえか・・・
俺の頭の中には、現代のオーパーツが入ってんだよ。
長門が改良してな・・」
長門・・・俺じゃないな、かっこつけても、結局お前に頼っちまったな。
お前のおかげだよ・・・
未来の長門、現在の長門・・・
お前の勝ちだよ
「・・・頭の中?・・・」
もう足が消えていっている・・・長くはないみたいだな・・
-
611:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:15:01.09 ID:vFBmzovq0
-
「ああ。お前に対抗できるのは、オーパーツだけ。
しかし銃はよけられちまう。
・・方法は一つしかねえな・・・カウンターだよ
お前が飛び道具で来ない限り・・・・決まるな。
お前は俺を、俺たちをなめていた。
簡単に殺さなかったのもそれだろう?
挑発すれば自ら俺を殺すと考えてな・・・
頭の中のオーパーツはお前には感知できないとよ・・・
思念体の威信にかける・・・
そこまで言わしたのは、多分お前だけだよ
銃は見える分、俺の体の内部までは疑わないと思ったがな」
「・・・成る程な・・・切り札が2つか・・・やるじゃないか・・・」
もう頭しか残っていない・・・
何よりもくぐった修羅場の差だな・・・俺も含めて
なんど死にそうになったか・・・
-
613:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:16:57.89 ID:vFBmzovq0
-
「ただ、お前が俺を殺す瞬間に、
俺の頭の中のオーパーツが発動しても、
足止めにしかならないのも
わかっていた・・・俺の体の内部に入れて、
なおかつ破壊力をつけるには
時間も技術力も現代にはないからな・・・
だから瞬間を狙って、もう一つの銃でお前を撃つ必要があった。
それが一番厄介でな
・・・・一歩間違うと、俺に攻撃した瞬間、お前が
すぐに俺から離れちまう。一瞬の硬直じゃ、何発も打てねえしな。
何よりも、俺に攻撃してくる角度だ・・
後ろから来るのは予測できても、どこを狙ってくるかによるしな・・・
だから最後は・・・・・勘だ!」
言い切った、俺、言い切ったぞ!
-
617:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:30:13.67 ID:vFBmzovq0
-
「勘!?そんなことで・・・・」
心底驚いてるな・・・
「そうかな?そんな事お前にわかんのかい?
人の願いは奇跡みたいな奇跡をおこせるんだとよ・・・」
ね、朝比奈さん・・・
「佐々木、ハルヒ、古泉、長門、朝比奈さん・・・それだけじゃない
みんなが俺の無事をどこかで祈ってくれてるんだろう・・・
お前一人で勝てるわけねえよ・・・」
みんな・・・本当に、ありがとう・・・
-
621:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:32:12.46 ID:vFBmzovq0
-
「・・・・そうかい。けど何でだろうな悪い気はしねえな・・・
安心しろ、俺が消えれば異世界人は未来永劫もう現れねえ。
ここは俺の世界でもあったからな・・・
チップも消えるだろう・・・・
あいつをハルヒを・・・・・・・・・よろしくな・・・・」
・・・・・・・・消えちまった・・・・・・
あいつも、可愛そうなやつだったのは確かだよな・・・
ハルヒが大好きだったんだから・・・・・
多分俺と同じくらい、だな。
さよなら、異世界の俺・・・・
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626:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:38:34.93 ID:vFBmzovq0
-
・・・・さて後日談を少し語らせてもらおうか。
後日談と言うには長いかもしれないな。
裏路地でぼんやりしている俺が
最初に見つけたのは、小さな朝比奈さんだった・・
えええええ!!?????
「キョンくーん・・・キョンくーん・・・・」
いつか見た、子猫のような声で俺を探していた。
「朝比奈さん!!」
俺は駆け寄ると思わず抱きしめた。
わたわた暴れてるけど、関係あるか!
-
627:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:39:39.39 ID:vFBmzovq0
-
「あた!!キョン君!!??どうしたんですか!??
あの日公園で私達どうしたんでしたっけ???」
泣きじゃくる俺には説明できなかった・・・
またいつかちゃんと説明しよう・・・
泣き止んだ俺達の前には
当たり前のように古泉と長門が現れた。
うっ!・・見られたかな?・・・まあいいかこいつらなら。
-
628:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:40:18.94 ID:vFBmzovq0
-
「・・・誤解していましたね・・・あなたはやっぱり
普通の人ではありませんでした・・・・
とんでもない強運と度胸をお持ちですね」
開口一番古泉は興奮気味だ・・・ええい!顔が近い!!
「・・・・それは的確・・・
あなたに対する情報を書き換える必要があるかもしれない」
・・長門・・・まあ、好きにしてくれ・・・
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636:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:43:13.81 ID:vFBmzovq0
-
4人が集まり、さてこれからどうするか?と思った瞬間
これまた当たり前のように俺の携帯が鳴り響いた・・・
涼宮ハルヒ・・・・俺の最愛の人の名がそこには写されていた・・・
「あっキョン!?なんだか知んないけど
私あんたに全然会ってなかった気がするわ!!
頭きたから、みんな呼んでパーティよ!!!!」
耳にきーんと来たぜ・・・・
-
638:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:44:11.41 ID:vFBmzovq0
-
後日談の後日談・・・・・
結局ハルヒは留学するのは変わらなかった。
あいつはいつか、俺にはまったく理解できない
論文のようなもの書いていたな・・・
俺の恋愛小説とはかけ離れたレベルの・・・
あいつ自身、そういう道に進むのは本望だったんだろうな。
これで大きな朝比奈さんも小さな朝比奈さんも安泰だろう・・?
元の未来と多分大きく違うのは、
しょっちゅう俺のところに電話してくるところかな?
あー・・・留学する前にあいつに告白した描写は
もろもろの事情によって断じて話せん!!
・・俺とハルヒだけの一生の秘密だ。
・・・そして・・・今度の冬休み・・・
ついにSOS団初海外ロケ!!
が決定した。(ハルヒ曰く)
やれやれ・・・羽目を外し過ぎるなよ?
付き合うけどな・・・一生・・・な・・・
{完}
-
645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:46:16.48 ID:ca9SDOcrO
-
>>1乙!!早く驚愕だせwwwww
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652:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:48:14.89 ID:YJpXSDpwO
-
久々に面白かった乙
できれば驚愕を出していただけるとありがたいんですが…
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654:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:48:32.33 ID:6fIVca2SO
-
乙!最高のSSをありがとう!
-
655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:50:03.58 ID:QOBnFGswO
-
そうなんだよな
凄いのは>>1じゃないってことなんだよな
構想とかは前々からあったのかな
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656:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:50:38.15 ID:V0r5fLqb0
-
このSSは久々の大当たりだよ
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659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/29(火) 01:53:03.67 ID:+X3J7dC20
-
乙!
最初から張り付いてたが
完結してくれてありがとう!
面白かったぜ!
「涼宮ハルヒの憂鬱」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (13)
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- 2011年05月24日 20:15
- 古泉のヤツかと思ったら三年前のSSで全然違ったでござる
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- 2011年05月24日 20:40
- なんか表しづらいけど、物語が急に変わるのと、文が詰まっているから、少し読みづらかったっす。
書こうとしていた話は良かった。
@1
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- 2011年05月24日 20:48
- キョンかっけぇぇぇ
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- 2011年05月24日 20:55
- そうか、頭の中に、オーパーツが!
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- 2011年05月24日 21:34
- キョンのレベルが頑張って進学できる国公立てどこだよww
モデルの高校ならセンター6割とれるのも上位1割程度な気がするが
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- 2011年05月24日 21:38
- 俺は寧ろ>>1の分から違和感無く繋いで自分のストーリーに持って行ってるように見えて感心した。しかも相当よく出来てるし。
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- 2011年05月25日 02:49
- 最初のやつも、独特の気持ちいい余韻があったもんだから、
なんか台無しにされた気分になった…
いや確かにめっちゃ面白かったんだけど
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- 2011年05月25日 07:24
- レスにもあったけど自分がスレ立てたわけでもないのに
よく他人の話の途中から引き継いでこんなに面白く展開・終結させられるもんだ
びっくりだ
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- 2011年05月25日 18:56
- ハラショー!
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- 2011年05月25日 23:09
- 後半の作者、がんばって原作っぽい書き方にしようとしてるけど、あんまり上手くなくて微笑ましい・・・なんて考えるのがバカらしいぐらい、素晴らしかった。
即興だろ? それでこれだけのものを書くなんて、タダ者じゃねーわ。
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- 2011年05月26日 02:22
- 引き継ぎの形でこんなキレイに書けるとかすごいよな
面白かったよ
是非また書いてくれ
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- 2015年01月08日 03:39
- すげえ、引き継ぎでここまで書けるとは…
時空移動は物にも適用できる、飛行機、誰でも大なり小なり願望実現能力を持ってるって行に感動したな
こういう考え方ができる書き手に憧れる
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- 2016年05月13日 02:17
- 青い人凄すぎ!