滝壺「早く体晶を飲まなきゃ…」ブルブル

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:31:24.26 ID:dI2gCLDA0

初めまして

※注意事項※
アイテム仲良しSS
だけど浜面がいない
ほのぼのと少しシリアス
こいつちょっとキャラ違うんじゃね?
SS初挑戦

頼む!たってくれ!



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:32:42.60 ID:N91tBzdbO

>>1乙!感動した



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:33:18.68 ID:dI2gCLDA0

~滝壺ルーム~

滝壺「むぎのからもらった体晶がたんすの中に少し残ってたはず……、あった!」ガサゴソ

絹旗「滝壺さん! 入りますよー!…!!」ガチャ

滝壺「!!…きぬはた。見つかっちゃったね」

絹旗「滝壺さん、超何やってんですか! それ体晶ですよね! 
これ以上体晶を使ったらどうなるか分からないんですよ!」

滝壺「それでも私は体晶を使ったときの高揚感が忘れられない。これで死ぬなら本望だよ」アーン

絹旗「滝壺さん! 超やめて下さい!!」ガシッ

滝壺「きぬはた止めないで。いつも応援してあげてるんだから、私のことも応援して」ジタバタ

絹旗「もう超意味分かんないですって!」

絹旗「麦野! フレンダー! 誰でもいいから超来てください!!」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:34:30.88 ID:dI2gCLDA0

~リビングルーム~

麦野「滝壺、もうこれで何回目だと思ってるの?」

滝壺「ゴメンむぎの。それでも私は体晶を使ったときの高揚感が忘れられない。
これで死ぬなら本望だよ」ブルブル

麦野「はぁ……。絹旗が止めたから良かったものの、誰も来なかったらアンタ死んでたかもしれないのよ」

フレンダ「結局ギリギリセーフって訳よ」

滝壺「それでも私は体晶をry」ブルブル

絹旗「滝壺さん、さっきから同じことしか言ってません。体晶中毒って超怖いです」ブルブル



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:35:54.24 ID:dI2gCLDA0

麦野「アンタに体晶を使わせたのは私だけど、こうなったら遠慮なく言わせてもらうわ」

フレンダ「麦野はいつも遠慮なんかしないじゃないの」

麦野「フレンダ、後でお仕置き確定だから」

フレンダ「えっ?」

絹旗「超自業自得です」

麦野「……滝壺、アイテムを抜けなさい」

絹旗「麦野、それは超酷すぎじゃないですか! せっかく今まで一緒に頑張ってきたのに」ガタッ

フレンダ「そうよ! 私だってまだ死にたくないわけよ!」ガタッ

麦野「絹旗、落ち着きなさい。それとフレンダ、少し黙りなさい。まだ死にたくないんでしょ?」ニコ

フレンダ「……」ブルブル



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:37:19.11 ID:dI2gCLDA0

麦野「滝壺、アイテムの中での自分の役割って分かる?」

滝壺「えーと、……体晶を飲む人?」

麦野・フレンダ「「…」」

絹旗「滝壺さん、今私たちは超真面目な話をしてるんです。これ以上麦野を怒らせたくなかったらもう少し考えて発言してください」

麦野「もう一度聞くわ。滝壺、アンタのアイテム内での役割は何?」

滝壺「うーん、前の任務の時むぎのは私を切り札って言ってた」

麦野「そう、アンタは切り札。私は大将。フレンダはかませで、絹旗はツッコミ」

絹旗「私だけ役割のベクトルが超違うじゃないですか!」

フレンダ「“私だけって”って何よ! 私なんてかませ扱いよ! あんまりじゃない!」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:38:34.19 ID:dI2gCLDA0

麦野「切り札っていうのはね、いざという時に使えないのならそれはもう切り札じゃないの」

麦野「だからね、滝壺。その役割を果たせないんだったら、すぐにアイテムを抜けて頂戴。その方がお互いのためだから」

絹旗「麦野の言い分は分かりますが、私たちは一緒に頑張ってきた仲間じゃないですか!
   それなのに体調が悪いから抜けろだなんて超酷いです!」

麦野「力がなくても生きていけるほど、学園都市の暗部は甘くないわよ? 
絹旗、アンタは酷いって言うけど、このまま私たちが一緒にいても辛いだけなのよ。滝壺も、私たちもね」

絹旗「でも滝壺さんの気持ちはどうなるんですか!はぐれ者同士が曲がりなりにも居場所を見つけられてうまくやって来れたのに!
いくら麦野がリーダーだからって他人の人生を決める権利は持ってないですよ!」

フレンダ「確かに決断を下すにはちょっと早いかもね。麦野のことは大好きだけど、今回は絹旗の意見に賛同するわ」

絹旗(フレンダが初めて真面目な意見をしましたね……)



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:40:04.80 ID:dI2gCLDA0

麦野「だそうよ。滝壺、アンタはどうしたいの? まだ体晶を使いたいっていうの?」

滝壺「それでも私は……、ううん。私はみんなと一緒にいたい、いたいよ。でも……」ウルッ

絹旗「滝壺さん……」

フレンダ「麦野、ほら滝壺もこう言ってることだし」

麦野「それじゃあ滝壺、もう分かるわね?」

滝壺「うん、ごめんみんな。もう体晶は絶対に使わない。使いたいなんて言わない」

麦野「やっと分かってくれたのね」

滝壺「うん、今まで迷惑かけてごめんね」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:41:30.55 ID:dI2gCLDA0

フレンダ「全く最初はどうなるかと思ったわよ。」

絹旗「そうですよ、いきなり麦野がアイテムぬけろーだなんて言い出すんですから。でもこれでやっとスタート地点に立てますね」

滝壺「すたーとちてん?」

麦野「それじゃあ発表するわね! 『第1回滝壺更生プロジェクト ~私たちの超応援受けとって欲しい訳よ!!』  始動よ!!」

フレンダ「ちなみに副題は私命名って訳よ」

絹旗「勝手に“超”を使わないでください!」

麦野「これ声に出すと超恥ずかしいわね……」

絹旗「麦野まで!」

麦野「……と、その前に。フレンダ、ちょっとこっちにいらっしゃい」ニコニコ

フレンダ「麦野! さっきはごめんなさい! もう言わないからゆるしてー!!」ドゲザ



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:43:05.05 ID:dI2gCLDA0

絹旗「それにしても麦野の演技超上手かったですね。本気にしちゃいましたよ」

麦野「そのくらいしないと滝壺は体晶のこと諦めてくれないでしょ?
   せっかく計画立てたのに本人がその気になってくれなきゃ意味ないのよ」

麦野「それに滝壺が死んじゃったら困るしね」ボソッ

フレンダ「あら、麦野も意外と仲間思いじゃないの」

麦野「戦力的な意味でよ! 滝壺居ないと戦力半減なんだから1日でも早く現場復帰してくれないと///」カァー

麦野「でも体晶飲ませたの私だし、居なくなったらすこーしだけ寂しいかもしれないしね」フンッ

絹旗「麦野も超素直じゃないですね」

フレンダ「そこがまたソソルんだけど……」ジュルリ

滝壺「みんなありがとう。私がんばるよ」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:44:35.80 ID:dI2gCLDA0

麦野「それじゃあ発表するわね! まず滝壺には以下の5つの約束事項を守ってもらうわ!
   題して『五箇条の超滝壺包囲網』! ……ナニコレ?」

フレンダ「またまた私命名って訳よ! ちなみに内容も私が考えたわ」

絹旗「また勝手に“超”を使って! フレンダ、超許しません!」

滝壺「別に“超”はきぬはた専用とかじゃないからね」

麦野「フレンダってネーミングセンス無いわね。次は私が決めようかしら」

フレンダ「うっ…。でも結局大切なのは内容って訳よ! 麦野、早くリーダー自ら内容を読み上げてバッチリきめるのよ!」

麦野「私に指図するんじゃないわよ! まったくしょうがないわね」

絹旗「二人とも世にも珍しい滝壺さんのツッコミをスルーですか!」

滝壺「(´・ω・`)」



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:45:46.19 ID:dI2gCLDA0

麦野「えーと…、『第1条 体晶中毒が治るまで絶対に体晶を使うべからず』。あら、当たり前のことだけど意外に真面目に考えてるのね」

フレンダ「エッヘン! なのよ!」フンス

絹旗「滝壺さんは復唱して、絶対に忘れないようにしてください」

滝壺「『第1条 体晶中毒が治るまで絶対に体晶を使うべからず』。でもどうしようもなかったら少しくらい……」

絹旗「もう超しっかりしてくださいよ! さっきの約束はどうしたんですか」

麦野・フレ「「もーいっかーい」」

滝壺「『第1条 体晶中毒が治るまで絶対に体晶を使うべからず』」

滝壺「うん、治るまで使わないよ」



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:46:53.49 ID:dI2gCLDA0

麦野「よろしい! じゃーつぎー」

麦野「『第2条 ひと時も一人になるべからず』。はい、フレンダ補足」

フレンダ「3人で交代しつつ24時間滝壺を見張る訳よ」

滝壺「そこまでしなくても大丈夫だよ。……たぶん」

絹旗「今までの滝壺さんを見てたら超信用できませんね」

滝壺「私は大丈夫だけど、みんなが大変じゃないかな?」

フレンダ「見張るっていってもただ一緒にいるだけだから、おしゃべりも出来るし大丈夫じゃない?」

麦野「ちなみに交代するのは時間帯責任者だから、1日8時間しか会えないわけじゃないから安心しなさい。
  もちろんお出かけもおっけーよ、楽しそうでしょ?」

絹旗「そうですよ、一緒に遊ぶって考えれば超楽しみです。」
   それよりプライベートな時間が無くなっちゃいますけど、滝壺さんは本当にいいんですか?」

麦野「そうよ。当分オ×ニー出来ないわよ?滝壺、アンタ月に何回ぐらいするの?」ニヤニヤ

滝壺「えっと、ゴニョゴニョ回くらい…かな……///」カァー

絹旗「はいはい。滝壺さんも真面目に答えなくていいですから、早く復唱してください」ハァ

滝壺「『第2条 ひと時も一人になるべからず』。うん、これからみんなとずっと一緒の生活かぁ…。
恥ずかしいけどこれからの生活がちょっと楽しみだな♪」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:48:09.67 ID:dI2gCLDA0

麦野「はい次。『第3条 中毒症状が表れたら須らく近くの者に報告すべし』。まぁ辛くなったら言いなさいってことね」

フレンダ「そういえば滝壺、体の震えはもう止まったの?」

滝壺「今は少しおちついたみたい。でも1日に1回くらいは辛くなるかな。体晶を使っちゃえばしばらくは大丈夫なんだけど」

絹旗「これからは私たちが超付いてますから、遠慮なく言ってくださいよ! ずっと手握っててあげます!」ワキワキ

麦野「そうね。もうこれは皆の問題なんだから、皆で乗り越えなきゃね」

フレンダ「アイテムがさらに強く結ばれた訳よ。もう暗部ナンバー1組織も夢じゃないわ」

滝壺「『第3条 中毒症状が現れたら須らく近くの者に報告すべし』。うん、みんなが付いていてくれるなら私がんばれそう」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:49:33.47 ID:dI2gCLDA0

麦野「『第4条 体晶をもたず、作らず、持ち込ませず』? 内容かぶってるけど、要は持ってくるなってことね」

フレンダ「訳よ!」

絹旗「それは非核3原則だろ!と私はきちんと役割を果たします。……というか体晶って私たちでも作れるものなんでしょうか?」

滝壺「私はむぎのからもらった物しか持ってなかったかな」

麦野「私はまぁ、ゴニョゴニョして手に入れただけよ?」チラ

絹旗「入手ルートを話したら滝壺さん一人で抜け出して取りに行きかねないですからね。さすが麦野、超徹底してます」

フレンダ「そこがまたいいんだけどねー」ジュルリ

麦野「……」

滝壺「『第4条 体晶をもたず、作らず、持ち込ませず』。これ守るの私じゃないよね?まぁいいか」



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:51:13.32 ID:6xSWQ4na0

フレンダwww



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:51:28.18 ID:dI2gCLDA0

麦野「らすとー、『第5条 鯖缶を1日3個購入すべし』…。フレンダー? ちょっと詳しく聞かせないさーい」ガシッ

フレンダ「ちょっとした遊び心だった訳よ! 謝るから頭つかんで持ち上げないで!」ジタバタ

滝壺「『第5条 サバ缶を1日3個購入すべ…

絹旗「滝壺さん、これは超無視でいいですって!」

フレンダ「本当はこっちな訳よ」ペラッ

麦野「えーとなになに、『第5条 何があっても麦野、フレンダ、絹旗の3人を信用すべし』。
   うん、いいじゃない! さっきのは取り消しにしてあげる」

フレンダ「もう遅いわよ…」ボロッ

絹旗「締めとしては申し分ないですね! フレンダもやれば出来る子です!」

滝壺「『第5条 何があっても麦野、フレンダ、絹旗の3人を信用すべし』。……、みんなありがと…」ウルッ



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:53:13.52 ID:dI2gCLDA0

麦野「念のためこれは冷蔵庫に貼っておくわね。と、次は私たちの誓約ね」ビシッ

麦野「はい、フレンダから!」

フレンダ「私から!? えーっと、滝壺。いつも応援してもらってるけど、今度は私が応援する番ね。
     この私が付いてるんだから結局安心って訳よ!だから早く良くなって、それからはもっと楽しくやるわよ!
     トップバッターとか厳しすぎるわ!」

滝壺「うん、私もその時を楽しみにしてる。1番なのにがんばったね、ふれんだ」

フレンダ「滝壺…。やっぱりアナタがいなくちゃアイテムはダメね!」

麦野「はい次、絹旗!」

絹旗「フレンダのは誓約と違うです!…えと、私も滝壺さんに励ましてもらってる立場ですけど、今回はしっかりと支えますから!
治ったときには滝壺さんに一番感謝されるくらいの仕事ぶりを発揮してみせますので、私の活躍を超見ていてください!
   今から私は超絹旗です、よろしくです! これ超恥ずかしいですね///」

滝壺「頼りにしてるよ。こちらこそよろしく、超きぬはた」

フレンダ「しっかりきめてくれるじゃない…。私も2番目だったらあのくらい…」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:54:43.37 ID:dI2gCLDA0

麦野「文句言わない! 最後は私ね」

麦野「滝壺が中毒に苦しんでいる大部分が私のせいだけど、取り返しが付かなくなる前に気付けて良かった……。
過度な能力行使を強要したり、それを理解したうえで止めさせなかったり、謝らなければいけないことはたくさんあるわ。
   でも謝るだけじゃなく、この思いで良い結果を導いてみせる。期待しててちょうだい!
第4位の私が本気出せば中毒なんかすぐ直せるんだから!!」

滝壺「私は大丈夫だよ。とは言えないけど、麦野もあんまり自分を追い詰めないでね。これからも一緒にがんばろ」

フレ・絹旗「「…」」

フレンダ「……こ、この麦野偽物よ! 優しすぎるわ!!」

麦野「あァ? フレンダァ、今お前なんか言ったかよォッ!!」ギロッ

絹旗「私も超疑いましたが、やっぱ本物です!」

麦野「二人まとめて半分こにしてやらぁ!! 逃げてんじゃねーぞ、てめぇらから喧嘩売っといてよぉ!!」

バシューン キャー ドカーン ワケヨー 

滝壺「なんだかいつもより楽しいな」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:56:35.67 ID:dI2gCLDA0

  ◇   ◇   ◇

~アイテムアジト玄関~

麦野「さて、もう夜だしいつものファミレスにご飯食べに行きましょ?」ガチャ

麦野「滝壺、体調は大丈夫そう?」

滝壺「うん、今は調子いいみたい」

フレンダ「私は今にも死にそうって訳よ…」ボロッ

絹旗「窒素装甲がなければ死んでました。麦野超怖いです」グスッ

麦野「今日は疲れたし、ごはん食べ終わってゆっくりしたらすぐに寝るわよ。ところで今日は誰が滝壺と寝る?」

絹・フレ「「!!」」

絹旗「…はい! 私滝壺さんと超寝たいです!」ビシィッ

フレンダ「私こそが初夜の相手に相応しいって訳よ!」

麦野「やっぱりリーダーとして最初は私よね?」

麦・フレ・絹「「「え?」」」



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:57:58.45 ID:dI2gCLDA0

絹旗「フレンダの言い方はちょっとえっちぃです! だから滝壺さんは任せられません!」

フレンダ「別にこれくらい普通よ! それより麦野! リーダーが最初とか言ってるけど、さっき私に無茶振りした訳よ!
     だから結局今回も私が最初ね!」

麦野「何訳わかんない事言ってんの! リーダーは最高権限者だからなんでも決められるに決まってるじゃない!」

フレンダ「じゃあ何で最初に「だれがたきつぼとねるー」とか聞いたのよ!
     その時点で私たち、……いや私にも選択権が与えられたはずよ!」

絹旗「何で超言い直してるんですか!私にも選択権はあります! だから私が……、じゃなくて!
   これじゃ埒が明かないので滝壺さんに決めてもらいましょう!」

滝壺「みんなで寝ればいいんじゃないの?」

麦・フレ・絹「「「それはダメ! 一人決めて!!」」」

滝壺「うーん、……それじゃきぬはた。さっきの誓約が一番かっこよかったから」



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:58:49.33 ID:dI2gCLDA0

麦野「だぁ、くっそがぁぁぁああああああああああ! ……でも滝壺がそう言うならしょうがないわよね」

フレンダ「まぁ悔しいけどあれはなかなかだったわ、不意打ちだったのに」

絹旗「えと、滝壺さん。不束者ですが、よろしくお願いします///」

滝壺「うん、よろしく」

麦野「結婚初夜みたいな会話ね。激しくするのもいいけど、なるべく静かにしなさいよ?」ケラケラ

フレンダ「麦野、周りに他の歩行者いるんだけど…」

麦野「もう今さらでしょ」

フレンダ「それもそうね」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/05(土) 23:59:58.95 ID:dI2gCLDA0

麦野「お、着いたわよー。今日はエレガンスシャケ弁セットにしよー♪」

絹旗「今日は、って麦野はいっつもそれじゃないですか!っていうか何でそんなメニューがファミレスにあるんですか!」

滝壺「きぬはた、その疑問は今さら過ぎるよ」

フレンダ「私もいつも通りって訳よ♪」

   ◇   ◇   ◇

某ファミレス店長「当店では一部のお客様の持ち込みを防ぐため、シャケ弁だけでなくサイドメニューとして高級鯖缶もご用意させて頂いております。
当初は持ち込みをご遠慮頂くようお声を掛けさせて頂いておりましたが、「あぁ?ここは飯食う所だろうがぁ?だったら私がここでシャケ弁食うことに文句付けんじゃねーよ!」、
「それなら鯖缶もオッケーな訳よ!」などというお返事を頂くばかりで一向にこちらの言い分を聞き入れてくださりませんでした。
そのため特別メニューとして一部のお客様にご提供しております。なお通常のメニュー表には記載しておりませんので、一般のお客様のご注文はご遠慮くださいませ。
今後とも当店を御贔屓にして頂ければ幸いです」ピキピキ

某ファミレス店員(この人何もない所に向かってしゃべってんだけど、大丈夫か?)



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:01:10.24 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

~しばらくして滝壺ルーム~

絹旗「うわー、これが滝壺さんのベッドですか。超緊張します///」

滝壺「部屋には何度も来てるじゃない。それに私たち女の子同士だよ?」

絹旗「ふかふかです。それにいいにおい……」

滝壺「私も恥ずかしくなるからそれ以上はやめよう。それじゃもう寝るよ?」

絹旗「せっかくのお泊りなのにもう寝ちゃうんですか? ……それですね、色々あって疲れたのでもう寝ましょう」バフッ

絹旗(滝壺さんの体調も気遣わないといけないし)

滝壺「きぬはた、そっち布団足りてる?」

絹旗「超大丈夫です。それより滝壺さんも寒くないですか?」

滝壺「今は大丈夫。でもシングルベッドだからもっとくっつかないと風邪ひくかもしれないよ。もっとこっちおいで」ニジリニジリ

絹旗「滝壺さん! ちょっと! これ以上はこっち来ないでください!」カァー

滝壺「?」ニジリニジリ

絹旗「わわっ! 恥ずかしくてもうダメですー///」プシュー



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:02:09.68 ID:NT1QB1E60

滝壺「きぬはたは何と戦ってるの?」

絹旗「自分自身と、……ですかね? それより実は必ず誰かが滝壺と一緒に居るようにしようって言い出したのは麦野なんですよ」

滝壺「そうだったんだ。むぎのには悪いことしちゃったかな?」

絹旗「麦野は少しくらい“おあずけ”を覚えたほうがいいので超大丈夫です。
   それより私がバラしたってことは麦野には内緒ですよ?絹/旗にされちゃいますから」シー

滝壺「あはは。内緒にしとくから大丈夫だよ」シー

絹旗「ふぅ、これで何とか滝壺さんの快気祝いに参加できそうです。体調の方はどうですか? 苦しくないですか?」

滝壺「うん、今はなんだか大丈夫みたい。なんでかな? きぬはたが一緒にいてくれるからなのかな?」



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:03:04.03 ID:NT1QB1E60

絹旗「あはは、超光栄ですね。大丈夫そうなら安心して眠れます。実はさっきから何度も瞼が落ちてきて、開いても開いても……スピー」

滝壺「おつかれさま、きぬはた。きぬはたが居てくれるからすごく安心して眠れそう」

滝壺「いつもは苦しくて寒くて長い夜なのに、今日は気分が良くてあったかくてすぐ朝になっちゃいそう」

滝壺「明日も今日みたいに苦しくならずに、みんなと楽しく過ごせたらいいな」

滝壺「おやすみ、きぬはた、ふれんだ、むぎの。今日はありがとね」



第1回滝壺更生プロジェクト 1日目終了



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:06:04.11 ID:NT1QB1E60

   ◆   ◆   ◆

2日目朝

~In滝壺ルーム~

チュンチュン
滝壺「うーん、…朝だね。昨日は久しぶりにゆっくり眠れた。ありがとうきぬはた」

絹旗「滝壺さーん」ムニャムニャ

フレンダ「たきつぼー」ムニャムニャ

滝壺「…?なんでふれんだまで居るんだろう?まぁいいや。ふれんだもありがとう」ヨシヨシ

フレンダ「えへー」ニヨニヨ

…トントントントン

滝壺「…キッチンの方から音が聞こえる。むぎのももう起きてるのかな?」

滝壺「あさごはん、私も手伝いに行かなきゃ」ガチャ



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:07:11.35 ID:NT1QB1E60

~キッチン~

麦野「あら? 滝壺おはよう。早いわね」

滝壺「おはようむぎの。昨日はぐっすり眠れたよ」

麦野「体調の方はどうかしら?」

滝壺「大丈夫……だと思う。それよりあさごはん、手伝おうか?」

麦野「そうね。体調が良いなら手伝ってもらおうかしら? まずはお皿を持ってきてちょうだい」

滝壺「今日のメニューは、お味噌汁と鮭のムニエル…」

滝壺「じゃあこれとこれと、これかな。……?」ガチャガチャ

麦野「それだけじゃ物足りないから、滝壺には卵焼きもお願いするわ。うんと甘いやつね! その方が絹旗も喜ぶから」

麦野「……滝壺? 聞いてる?」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:08:03.45 ID:NT1QB1E60

~滝壺ルーム~

絹旗「うーん、……滝壺さん超あったかいです♪」ギュー

フレンダ「結局滝壺は私のものって訳よ♪」ギュー

絹旗・フレ「「……♪」」

絹旗「でもなんだかちょっと小さいです……」パチッ

フレンダ「でも起伏が少ない気がするわ……」パチッ

絹旗・フレ「「!?」」ズザザッ

絹旗「なんでフレンダがここに居るんですか! 昨日は私の番だったんですよ! 超ずるいです!」

フレンダ「私の気持ちの前ではそんなの関係ないわ! ……それに絹旗! ちょっと小さいって何よ!」

絹旗「フレンダこそ起伏が少ないって何ですか!」ムキー



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:09:23.71 ID:NT1QB1E60

フレンダ「ほんとの事だからそれはしょうがないでしょ? ……それより私が小さいって、アンタからは言われたくないわー!」ムキー

絹旗「ふふーん、それだってほんとの事でしょう? 事実は超変わらないです」フンス

フレンダ「ふん、絹旗のくせにいい度胸ね……。アンタとは一度やり合いたいって思ってた訳よ…。
     寝起きだったからって言い訳は聞かないわよ?」スチャ

絹旗「珍しくフレンダと気が合いましたね。私もちょうど同じことを思ってました。
   そっちこそ本気じゃなかった、……なんて後で言っても超遅いですからね?」ビシッ

フレンダ「くらえ!」ヒュン

絹旗「利かんです!」ガキィ

バリーン!!

絹旗・フレ「「!?」」

絹旗「お皿の割れる音!? ……キッチンの方からです!」

フレンダ「そういえば滝壺が居ない! こんなことしてる場合じゃないわ! 決着は後回しって訳よ!」

絹旗「そんなことフレンダに言われなくても超分かってます! ほら、超行きますよ!」ガチ



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:10:49.82 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

~キッチン~

麦野「こら! やめなさい滝壺」ガシッ

滝壺「むぎの放して! もう私にはこれしかないんだよ!」ジタバタ

絹旗「麦野! 滝壺さん! どうしたんですか? お皿の割れた音が…!」バタバタ

麦野「二人とも! ちょっと手伝ってちょうだい!」

滝壺「お願い。放して……」ジタバタ

フレンダ「滝壺、それ体晶よね?」

絹旗「私達との約束、もう忘れちゃったんですか?」

麦野「ううん、滝壺は約束を破ってなんかないわ…」

滝壺「これ、こむぎこだもん……」グスッ

フレ・絹旗「「え!?」」



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:12:25.88 ID:NT1QB1E60

麦野「そう、滝壺が食べようとしてるのは小麦粉。小麦粉を見たとたん食べ始めて、電波過ぎて意味分かんないわ…」ハァ

滝壺「だから止めないで! これで少しは楽になるかもしれないの」ジタバタ

絹旗「麦野、止めなくていいのでは?」

フレンダ「そうよね……。特に害もないし」ネー

麦野「良い訳ないでしょ! ムニエル作れなくなっちゃうじゃないの!
   ……じゃなくて! 小麦粉だけ食べて体にいい訳ないでしょ!」

フレンダ「それもそうね。とりあえず止めましょうか?」

絹旗「うーん、そうですね」

滝壺「きぬはた、ふれんだ、……裏切り者」ボソッ

絹旗「超酷いです! 聞こえてますよ」

滝壺「うわー、止めてみんな! 放してー!」ジタバタ

ギャー バタバタ ドスン



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:13:40.25 ID:NT1QB1E60

麦野「それで皆で粉まみれなんて本当笑っちゃうわ……」

絹旗「もう! 滝壺さんのせいですよ! 超反省してください!」プンプン

滝壺「ごめん。でもなんだか我慢できなくなって」ブルブル

フレンダ「発作が発生してるわ! 滝壺大丈夫?」

滝壺「こむぎこ飲んだら治るかも」ブルブル

絹旗「超大丈夫そうですね! でも発作はやっぱりかわいそうです」

フレンダ「ちょっと小麦粉飲ませてみる?」

滝壺「ふれんだ、大好き」ニコ

フレンダ「はうっ! この笑顔反則ね……」ドキドキ



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:15:07.66 ID:NT1QB1E60

麦野「ダメよ、フレンダ。今度は小麦粉中毒になるかもしれないわ」

滝壺「うー」ムー

絹旗「とりあえず落ち着いたら朝ごはん食べましょう。それにして急に発作が来ましたね。本当に大丈夫なんでしょうか?」

麦野「とりあえず絹旗は心配だから滝壺に付いててあげて。それとフレンダ、朝食の準備手伝ってちょうだい?」

フレンダ「麦野のためなら何でもするって訳よ!」

滝壺(じゃあ今の内に……)コソコソ

絹旗「何やってるんですか! 滝壺さんは私とこっちでお話です!」

滝壺(またばれちゃった。きぬはた鋭いね……)



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:16:05.93 ID:NT1QB1E60

絹旗「辛いからっていくらなんでも小麦粉を食べようだなんて……」ガミガミ

滝壺「うー」セイザ

麦野「♪」ジュー

フレンダ「♪」ヨソイヨソイ

絹旗「それにいつも滝壺さんは突拍子もないことをやり過ぎです。
   何も無い所で寝たり、超意味分からない電波を受信したり。そもそも私たちアイテムは」

滝壺(長い)

麦野「二人ともご飯出来たわよー」

フレンダ「わけよー」



54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:17:23.88 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

~リビングルーム~

麦野「研究者たちの話によると、そもそも体晶自体に依存性はないんだって」

絹旗「それじゃ滝壺さんは何故あんなにも体晶を欲しているんですか?」

フレンダ「ひっとふぉれはへいひんてきな……」ムグムグ

麦野「コラ! ちゃんと飲み込んでからしゃべりなさい。でも多分アンタの言いたいことはあってるわ」

絹旗「モグモグ。あっ、これ甘くておいしいです♪」つ卵焼き

滝壺「モグモグ」ブルブル



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:19:06.98 ID:NT1QB1E60

麦野「滝壺はあの高揚感が忘れられないって言ってたわね? だから滝壺は精神的に体晶に依存しているのよ」

フレンダ「結局体晶を使ったときの感じが良くて、また使いたくなったってことよね?」

絹旗「何でちょっとえっちく言うんですか!」

麦野「まぁ言い方はともかくフレンダの言うとおりだわ」

麦野「体晶の毒自体は今のままじゃ抜けないけど悪化はしない。依存症とも言える症状もしばらくすれば良くなると思う。
   どちらも体晶を使わなかったら、っていう前提があるけどね」

絹旗「滝壺さん聞きましたか? なんだか希望が見えてきましたよ!」

滝壺「モグモグ。大丈夫、聞いてたよ。それで私はどのくらい体晶を使えないの?」

フレンダ「結局体晶に未練があるのね……。呆れたわ」ハァ



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:20:23.07 ID:NT1QB1E60

麦野「うーん……。発作が出なくなるまでだけど、大体1ヶ月ぐらいらしいわ」

麦野「だからその間滝壺は体晶使うの禁止ね!」

滝壺「長い」ムー

絹旗「そういえば、任務の時滝壺さんはどうするんですか? 一人には出来ないですし、
   かといって戦場に一緒にいるのも危ないですし。誰かに超預かってもらいますか?」

麦野「いいえ、連れて行って私が守るわ。何があってもね」キリッ

フレンダ「キャー麦野! 私のことも守って!!」

麦野「いい加減にうざい」ビーム

フレンダ「にょわぁぁぁ!」

滝壺「むぎの、かっこいい……」ポー



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:21:26.56 ID:NT1QB1E60

麦野「それじゃご飯も食べ終わったことだし、本格的に計画の方を進めるわよ!
   滝壺が体晶中毒になってからどう変わったか分かるかしら?」

滝壺「…」ボー

麦野(自分のことなのに、コイツ聞いちゃいねぇ…)

絹旗「滝壺さん、発作は治まったみたいですけどずっとボーっとしてますね。やっぱり体晶中毒って超怖いです」

フレンダ「もともとあんな感じじゃなかった? だから、もっとボーっとするようになった、とかじゃない?」

麦野「正解! ますますボーっとするようになった。でもそれじゃ体晶のことばっかり考えちゃうでしょ?
   だから他の事に集中させて、少しでも体晶から意識を逸らさせようってのが第1のプランだわ」

絹旗「でもどうやって? 滝壺さんって何が好きでしたっけ?」

フレンダ「ボーっとすること? 寝ること? ……どっちもダメじゃない!」



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:22:11.03 ID:NT1QB1E60

麦野「私もそれしか思いつかないから何か案を出してちょうだい」

滝壺「お昼寝」

絹旗「じゃあ映画鑑賞なんてどうでしょう? 超名作をすぐに用意できますよ!」

フレンダ「アナタの言う名作って世間では駄作でしょ。そんなの見ても面白くないわ」

絹旗「フレンダはあの良さが分からないんですか? あの序盤の期待感が一瞬で崩れるラストの展開を!
   ラブストーリーの中盤でいきなり宇宙人が出てくる意味不明な展開を! そんなの人生9割損してると言えます!
   ご飯食べてる時も、皆でおしゃべりしてる時も私よりも9割損した状態で生きてるんですよ! とても正気の沙汰じゃないです!」

フレンダ「意味分かんないわ……。むしろ損してるのはアナタの方じゃないの?」ヤレヤレ

麦野「うん、却下ね」ヤレヤレ



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:23:15.75 ID:NT1QB1E60

絹旗「それじゃあフレンダはいい案が思いつくんですか? 私の意見を一方的に否定して、何も思いつきませーんじゃ話にならないですよ?」プンプン

フレンダ「それじゃぬいぐるみ作りなんてどうかしら?」

麦野「あら、意外に良い案出すじゃない。女の子の暇つぶしにはピッタリね」

絹旗「ぐぬぬ……。フレンダ、意外にやりますね」

フレンダ「滝壺、どうかしら? ボーっとしてるんじゃなくて、一緒にぬいぐるみ作らない?」

滝壺「……うん? ぬいぐるみ?爆弾入りのじゃなくて普通の?」

フレンダ「私って常時爆弾入りのぬいぐるみを作ってるイメージなのかしら……。えーと、結局時間を持て余してるならどうかしら?って訳よ」

滝壺「おもしろそう。でもやったことないから教えてね?」

フレンダ「当り前よ!手とり足とり他の所も取って、色々と教えてあげるわ…」ジュルリ

絹旗「さっきからフレンダはおかしいです!私が一緒に作りながら見張ってるので滝壺さんは超安心してください!」



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:24:17.35 ID:NT1QB1E60

フレンダ「麦野もどう? みんなでやりましょう」

麦野「残念だけど私はこれから少し用があるから出かけるわ。二人とも、その間滝壺の事お願いできるかしら?」

絹旗「分かりました。滝壺さんのことは私に超任せてください。フレンダの魔の手からしっかりと守ってみせます!」

フレンダ「今日はやけに突っかかってくるじゃない? やっぱり決着付けた方がよさそうね」

絹旗「良いでしょう? 麦野、悪いですけど出掛けるのちょっと待ってください。すぐに終わります」

麦野「こらこら、二人とも体に風穴開けたくなかったらやめときなさい。私は別にかまわないけど?」フフフ

フレ・絹旗「「ごめんなさい……」」ブルブル



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:25:08.37 ID:NT1QB1E60

滝壺「むぎの、行っちゃうの?」ウルウル

麦野「晩御飯までには帰ってくるから安心しなさい」ナデナデ

滝壺「うん。待ってる」

麦野「それとそこの二人!仲良くしてなきゃ、体の穴増やすから覚悟しときなさい」ギロリ

絹旗・フレ「「フレンダ(絹旗)大好き!」」ダキッ

麦野「……よし! じゃ、行ってくるわ」ガチャバタン

絹旗・フレ「「……」」

絹旗「早く離れてください」

フレンダ「そっちこそ」

滝壺「そんなこと言ってまだくっついてるなんて、やっぱり二人とも仲良しなんだね」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:26:05.47 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「結局用意したのはコレよ!」

つ布、ボタン、糸、針、綿

絹旗「針と糸で布をつなぎ合わせて綿を詰めて、……ボタンは何でしょう?」

滝壺「おへそ」

フレンダ「アナタ達、ぬいぐるみをのっぺらぼうにしたいのかしら? ボタンは目よ!」

絹旗「うっ! そっちでしたか。てっきり私もおへそかと……」

滝壺「ふれんだ、おへそも付けていい?」

フレンダ「良いわよ。それよりまずはやり方を説明するわね!」

滝壺「ふれんだ先生よろしくね」

絹旗「フレンダに教えを請うのは癪ですが、見てるだけではつまらないので私にも教えて下さい」ムー

フレンダ「しょうがないわね。私の偉大さを教えてあげるわ!」



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:27:05.66 ID:NT1QB1E60

フレンダ「最初にね、布をひっくり返して繋ぎ合わせるの。布は適切な形に切ってあるからそのままでいいわよ」

絹旗「何でひっくり返して縫うんですか? そのまま縫った方が早くできそうです」

フレンダ「そのまま縫うとぬいぐるみがフランケン・シュタインみたいになっちゃうのよ。
     だからひっくり返して縫って、最後に元に戻して縫い目を目立たなくするのよ」キラキラ

滝壺「ふむふむ」コクコク

絹旗「なんだかフレンダが超輝いてます……」

フレンダ「それで次は形作りね。まず体の部分から作っていって、足、腕、頭をそれぞれ作って、そのままの順番で縫い付けていくわよ。
     この順序を守らないとぬいぐるみがゲテモノになるから気をつけてね。それと体の部分を作るときにおへそを付けるからそれも気をつけて」

滝壺「これが腕のパーツ? これが頭? ……この余ってるのは何?」

絹旗「どうせフレンダのことだからミスですよ。完璧なフレンダなんて想像つかないです」

フレンダ「超違うわ! 耳よ、耳! 結局今日作るのはウサギさんって訳よ!」

絹旗「フレンダ、昨日から勝手に“超”を使って! 超許さんです!」プンプン

滝壺「きぬはた、ちょっと静かにしよ」

絹旗「超反省します」シュン



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:28:03.12 ID:NT1QB1E60

滝壺「う~ん、難しい……」チクチク

絹旗「確かにコレは難しいです……。フレンダは大きな依頼のたびにたくさん作ってるなんて凄いですね、爆弾入りですけど」チクチク

フレンダ「それほどでもない。一瞬の油断が命取り」チクチク

絹旗「フレンダからブロンティズムを感じます! ……痛っ!」チクッ

滝壺「縫ってるときに騒ぐからだよ? ほら、きぬはた手貸して」つバンソウコウ

絹旗「うぅ、超痛いです……」

滝壺「……。これでよし」クルクル

絹旗「滝壺さん! 超ありがとうございます!」パアァ

フレンダ「……」ブスッ

フレンダ「にょわぁぁぁ! 痛いー!!」

絹旗「フレンダは何やってんですか……」ヤレヤレ



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:29:04.05 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「ようやくみんな完成ね!」

滝壺「うさぎさん、できた」モフモフ

絹旗「3時間もかかるなんて。それにちょっとだけふとっちょになっちゃいました……。でもフレンダが作るのはいつも綺麗です。
   それにたくさん。なにかコツみたいなものがあるんですか?」

フレンダ「あら? いつもはミシンの大活躍って訳よ! 仕上げは手縫いだけど」シレッ

絹旗「!! だったら私たちに貸してくれても良かったじゃないですか! そうすればもう少し綺麗に出来たかもしれませんし…」

フレンダ「絹旗は分かってないわねぇ。一生懸命作ったから愛着が湧くじゃない」

絹旗「いつもは爆弾詰め込んで爆発させてるくせに超言いますね」

フレンダ「うるさい! 滝壺を見てみなさいよ」ビシッ

滝壺「うさぎさん、かわいい///」ナデナデ

絹旗「確かにそう言われてみればそうです。フレンダもたまには超良いこと言いますね…」モフモフ



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:29:59.06 ID:NT1QB1E60

滝壺「おなかすいた」グー

フレンダ「確かにもうお昼ね。麦野はいないし、どこかに食べに行きましょうか?」

滝壺「うさぎさんのおへそ、もぐもぐ」モグモグ

フレンダ「こらっ! 滝壺止めなさい!」バシッ

絹旗「たまにはファミレスじゃないとこにしましょう! 滝壺さんは何が良いですか?」

滝壺「うーん、久しぶりに和食でもどうかな?」モフモフ

フレンダ「良いわよ。後で話したら麦野がうらやましがりそうね」

絹旗「また今度は皆で行けばいいんですよ!」

滝壺「うさぎさんもいっしょ」ギュー



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:31:21.82 ID:NT1QB1E60

フレンダ「気に入ってもらえて、私も教えた甲斐があったってもんよ」

絹旗「そうと決まれば出発です!」

絹旗「確かファミレスの先の角を曲がった先にありましたよね?」

フレンダ「そこで良いわ。近くにあったのに一度も行ったことなかったのよね」

絹旗「いつ任務の連絡があるか分からないですからね」

滝壺「それにファミレスじゃなきゃ持ち込みできないし」

絹旗「ファミレスでも持ち込みは超ダメですよ。何度も怒られたじゃないですか……。最近はもう何も言われないですけど」

フレンダ「えっ! 持ってっちゃダメなの!?」つサバ缶



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:33:25.96 ID:NT1QB1E60

~リビングルーム~

絹旗「はぁー、超おいしかったです!」

フレンダ「さっきから同じこと何回言ってるのよ。いやでもあのサバの煮込み加減は素晴らしかったわ。
     やっぱり特殊な製法を用いていて……」ブツブツ

滝壺「……ご飯食べたらちょっと眠くなっちゃったな」ウトウト

絹旗「私も午後から特に予定ないですから一緒にお昼寝しましょうか? フレンダはどうしますか?」

フレンダ「その製法をサバ缶に応用できれば、ふっくらふわふわなサバ缶の製造も……。え?何?」

絹旗「私は滝壺さんと寝ますけど、フレンダはどうしますか?」

フレンダ「!? アンタたちそんな関係だったの? やっぱり初夜を奪われたのが痛かったわ。
     私は除け者だから、さっきから絹旗の態度が冷たいのも納得な訳よ」

絹旗「超そんなんじゃないですよ! フレンダは相変わらずえっちぃです……」

フレンダ「絹旗がお子様なだけよ。……って滝壺はもう寝ちゃってるじゃない!」

滝壺「……くー」ウサギサンダッコ

絹旗「じゃあ私たちも寝ましょうか」ゴロン

絹旗・フレ「「おやすみなさーい」」



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:34:07.37 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

…きつぼ。……たきつぼ、起きなさい。

滝壺「うーん……。あっ、むぎの。おかえり」コシコシ

麦野「いつまでも寝てたら風邪引くわよ? ほら! アンタたちも起きなさいよ」バシバシ

絹旗「うー、麦野お帰りなさい。でも起こし方が超お母さんです……」フワワ

フレンダ「むぎのー、お土産買って来てくれたー?」ダラーン

麦野「後で見せてあげるわ。それよりご飯買って来たから食べましょう?」

滝壺「今日のめにゅーはなに?」

麦野「シャケ弁よ!!」

絹旗「やっぱそうだと思いました……」ヤレヤレ

フレンダ「というか本当にお土産あるのね」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:35:02.11 ID:NT1QB1E60

絹旗「それで今日は何をしに出かけてたんですか?」モグモグ

麦野「体晶をくれた研究者から詳しい話を聞き出しに行ってたのよ」ズズー

フレンダ「それで何か新しいことは分かったの?」モグモグ

麦野「いや全然。向こうも体晶の副作用についてはよく分からないんだって。
   【原子崩し】使って口割らせたからあれ以上は本当に知らないみたいよ」

絹旗「研究者も超気の毒ですね……」

フレンダ「まぁしょうがないわよ」

滝壺「シャケの皮おいしい」モグモグ

絹旗「滝壺さんは二人が滝壺さんの話をしてるのに全然興味なさそうですね。超大物です」モグモグ



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:36:16.91 ID:NT1QB1E60

麦野「そういえば、今日は3人でちゃんと仲良く出来たかしら?」

滝壺「うん。二人ともケンカせずに楽しくやれたよ。ほら」つ うさぐるみ

麦野「あら、かわいく出来たじゃないの。二人とも良くやったわ! ご褒美上げなきゃね!」モフモフ

フレンダ「さっき言ってたお土産が満を持して登場って訳よ!」ワクワク

絹旗「何でしょう! 超楽しみです」ワクワク

麦野「これよ!!」つ ジャージ

滝壺「あっ。私のと色違いだ」

絹旗「えっ! 何でジャージなんですか? てっきり私はC級映画のDVDかと」

フレンダ「私も高級サバ缶だと思ってたわけよ!」

麦野「二人ともジャージ持ってないでしょ? だからこれ着て明日から皆で早朝ラニングするわよ!」

絹旗「突拍子もないですね…」

フレンダ「朝くらいゆっくりしたい訳よ…」

麦野「突拍子もなくない!それに4人そろってアイテムでしょうが!」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:37:04.31 ID:NT1QB1E60

絹旗「まさかランニングも滝壺さん厚生計画の第2のプランですか?」

麦野「ヤク中の厚生に必要なのは周りの助けと規則正しい生活と適度な運動だって聞いたのよ」

麦野「だから明日から皆で走るわよー! えいえいおー!」オー

フレンダ「ヤク中って、体晶中毒も同じようなものなのかしら?」ボソボソ

絹旗「さぁ? でもランニング自体は健康的で悪いことじゃないですよ。麦野の陰謀を感じますが…」ボソボソ

フレンダ「結局麦野は自分のダイエットに滝壺を利用してるだけね」ボソボソ

絹旗「それには私も超同意です。この前だってふとももがー(泣)、って言ってましたしね」ニヤニヤ

麦野「おい、テメーらは愉快に何を話してんだぁ?」ピキピキ

フレ・絹旗「「何も話してないわよ!(ないです!)」」

麦野「……それなら良いけどよぉ、次はこうなるからな?」ビーム

ジュ!

絹旗「あっ!さっき作ったフレンダのうさぐるみが“うさ/ぐるみ”になっちゃいました!下半身だけちょっと長いです!」

フレンダ「何か嫌なことを思い出した訳よ!自分でも良く分からないけど!」ゾワゾワ

滝壺「それは遠い所に居るもう一人のふれんだのお話…」

麦野「ふふふ……」ニヤッ



76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:38:03.23 ID:NT1QB1E60

麦野「それじゃあ明日も早いことだし、今日はもう寝ましょう」

フレンダ「滝壺! 今日は私と寝るんだよね?」

麦野「あら? 私と寝るのよね?」

絹旗「フレンダ、さっき怖い思いしばかりなのに変わり身が超早いですね……」

滝壺「今日もどっちか選ばなきゃダメ?」

麦野・フレ「「ダメ!!」」

滝壺「うーん……、じゃあ今日はむぎの。色々調べに行ってくれたし」

麦野「おっしゃーらー!!」ヨッシャー

フレンダ「結局私は最後って訳よ……」ズーン



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:39:04.32 ID:NT1QB1E60

滝壺「ふれんだ、今日は楽しかったよ。ありがとう。だからそんなに気を落とさないで」ナデナデ

フレンダ「滝壺……。アナタ天使だったのね」ウルウル

絹旗「そういえば私のジャージは何色になるんですか?」

麦野「あらごめん。滝壺と寝ることばっか考えてて忘れてたわ。はい、アンタはグリーンよ!」つグリーンジャージ

絹旗「ありがとうございます!」ワーイ

麦野「フレンダ。はい、アンタはホワイト」つホワートジャージ

フレンダ「麦野愛してるわ!」

麦野「それで私はイエローね!」

滝壺「私はピンク」



79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:40:02.31 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

~滝壺ルーム~

滝壺「むぎの、あったかーい♪」ギュー

麦野「そんなにくっついたら寝られないでしょ。……だからあと少しだけよ?」

滝壺「はーい」

麦野「体の方は大丈夫?」

滝壺「うん。むぎのたちのおかげで明日もがんばれそう」

麦野「アンタ、辛いはずなのにどうしてそんなに元気なのよ」

滝壺「? うーん、辛いっていうか、時々寂しくなるんだ。一人で寝てるときに真っ暗な中で横になってると、急にね」

滝壺「体晶を使うとその気持ちが小さくなるから、今まで体晶を使ってたのかな? でも今はみんなが一緒に寝てくれるから大丈夫」



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:40:57.53 ID:NT1QB1E60

麦野「普通その状態だったらそうは言ってられないわよ? 滝壺は強いわね、能力が使えなくても。
   私から能力取り上げたら何も残らないのにね……」

滝壺「能力なんて関係ないよ? むぎのはむぎのだもん」

麦野「……、ハッ! レベル4のアンタがレベル5の私に向かってその言葉とは喧嘩売ってるようなもんよ?」

滝壺「むぎの、怒らせちゃったかな? そんなつもりで言ったんじゃなくて、えと…」アセアセ

麦野「あはは、アンタかわいいわねー!」

麦野「それにね、怒ってないわよ。むしろ目が覚めたわ」

麦野「今までは私は滝壺のことを【能力追跡】としてしか見てなかった。コイツは一人の“能力者”として役に立つから必要だってね。
   だから過度な能力の行使を強制したり、無理やり引っ張りまわしたりもした。……でも今は違うわ。今の滝壺の言葉で目が覚めた。
   滝壺は一人の“人間”としてアイテムに必要なんだってね」

滝壺「むぎの……」



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:42:15.53 ID:NT1QB1E60

麦野「滝壺は滝壺という女の子であって、能力なんてものはおまけに過ぎない。だから能力なんてなくても強い」

麦野「こんな当たり前のことどうして気付かなかったのかしら? いや気付かないふりをしてたのね。
   私は人間を“能力者”として強いか弱いかでしか見てなくて、そうやって自分を高い位置に置いて満足してた。
   ずっと自分に嘘をついて生きてきたのね……。だから少し正直になるわ」

麦野「滝壺。……今までの事、もう1回謝ってもいい?」

滝壺「私はむぎのに謝られるようなことされてないよ?でもむぎのがそうしたいなら、私は何も言わない」

麦野「悪いわね、私の自己満足に付き合ってもらっちゃって。それじゃ改めて…」

麦野「ごめんね、滝壺。私が間違ってた」

滝壺「うん、もう私は気にしてないよ。……なんだかむぎの変ったね」

麦野「そう? じゃあこの前の絹旗みたく、私も今から超麦野になろうかしら?」

滝壺「あはは、よろしくね超むぎの」



83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:43:05.74 ID:NT1QB1E60

麦野「悪いわね、滝壺。あんなに無茶させたのに、許してもらって……」

滝壺「むぎのは優しくなったけど、優しさの使い方が少し変だね」

麦野「そうね、私もなんだかおかしい気がするわ。こういうときはなんて言えば良いのかしら?」

滝壺「こういうときはね、“ありがとう”って言えばいいんだよ」

麦野「“ありがとう”かぁ……。そういえば最後に心の底からそう思ったのはいつかしら?
   でもそんなことはどうでもいいわ。もう私は昔の私じゃないんだから」

滝壺「ほら、はやくむぎの」

麦野「待たせたわね。それじゃ、行くわよ」


麦野「“ありがとう”、滝壺」


滝壺「えへへ。こちらこそ“ありがとう”、むぎの」



95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 00:59:25.10 ID:p/sPkvykO

麦野「こらこら。アンタから“ありがとう”もらったらまた返さないといけなくなって止まらなくじゃない」

滝壺「あはは。そうだね」

麦野「そうよ。こんな恥ずかしいセリフ何度も言わせる気なの?」

滝壺「私が言いたいだけだよ。むぎのも同じだよね?」

麦野「ばれちゃったか……。“ありがとう”って良い言葉ね。たった5文字なのに気持ちが伝わる。また言ってもいいかしら?」

滝壺「いつでも待ってる。でも“ありがとう”だけじゃなくて、どんな言葉でも私はうれしいからね」

麦野「それじゃあ、今の気持ちがばれたついでに私の野望について
もばらしておこうかしら」

滝壺「むぎのの野望?」

麦野「そうよ。私の野望」

麦野「実はね、私………



第1回滝壺更生プロジェクト 2日目終了

携帯経由の荒業、とりあえずキリの良いところまで



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:01:04.62 ID:NT1QB1E60

   ◆   ◆   ◆

~3日目朝 絹旗ルーム~

絹旗「……」スヤスヤ

麦野「絹旗、起きて着替えなさい!走りに行くわよ!」ガチャ

絹旗「えっ! 麦野ですか……。うーん、まだ6時前じゃないですか。いくらなんでも早すぎます……」チラッ

麦野「ほら昨日言ったでしょ? 4人でアイテムでしょって。あの滝壺でももう起きてるわよ?」

絹旗「そうですけど、もう少し寝たいです……」モゾモゾ

麦野「……。後3秒で起きなきゃ絹/旗な」

麦野「…3、2、…1……」

絹旗「分かりました! 超起きますって!」



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:02:12.14 ID:NT1QB1E60

~フレンダルーム~

滝壺「ふれんだ。朝だよ、走りに行くよ?」ユサユサ

フレンダ「うぬー、滝壺? 一緒に寝に来たの? いいわよ、ほら早く入ってちょうだい」ガバッ

滝壺「!! 待ってふれんだ。そうじゃなくて起こしにに来たの。むぎのも待ってるし起きて。
   ……えっ! ちょっと変なとこ触らないで///」ジタバタ

フレンダ「麦野なんてオバサンほっといて私のところに来なさいよ!」グイグイ

滝壺「ふれんだ、放して! そうじゃないと…」アセアセ

フレンダ「そうじゃないとなに? もしかして私止まらなくなっちゃうよー、とか? にゃはは♪」

滝壺「ううん。そうじゃないと、むぎのが……」

麦野「ふれんだー?滝壺に何してるのかにゃーん? あと私のことなんて言ったのかにゃーん?
   私もうオバサンだから良く聞こえなかったにゃー」ヒョコ

フレンダ「………あれー? 私そんなこと言ったかなー? 全く覚えていない訳よ、って」チラッ

麦野「フレンダは全裸で私たちの走るコースを10周な」ボソッ

フレンダ「」

絹旗「自業自得です」フワワ



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:07:31.79 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

絹旗「うう、超寒いです」ブルブル

麦野「確かに冬の朝は厳しいわ」

滝壺「でも走ればあったかくなる? のかな?」

フレンダ「なる、訳よ? っていうかならなきゃ困るわ」

麦野「ジャージの着用を許可してあげたんだから感謝しなさいよ?」

フレンダ「むしろお願いしなかったらマジ全裸だったの!?」

滝壺「そうだったら今頃フレンダは土の中だね」

絹旗「まだ病院くらいじゃないですか? どのみちその後すぐに土の中ですけど」

フレンダ「どっちも嫌よ!」

麦野「……。ほら? これ貸したげるから行くわよ?」ベリベリ

滝壺「! これは貼るホッカイロ」

フレンダ「やっぱりオバサンね……」ボソッ

麦野「やっぱフレンダは全裸な」

フレンダ「」



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:10:38.50 ID:NT1QB1E60

麦野「…」タッタッタッタ

絹旗「…」タッタッタッタ

フレンダ「…」タッタッタッタ

滝壺「…」タッタッタッタ

絹旗(なぜか皆さん無言ですね。ここは私が初陣を……)

絹旗「そういえば麦野はともかく滝壺さんって意外に体力あるんですね」

フレンダ「確かに麦野はともかく、接近戦をこなす私たちと同じペースで走れるなんてビックリね。
     もっとかよわい乙女だと思ってたわよ」

滝壺「ぶい」ビシッ

麦野「私はともかくってどういう意味よ?」

絹旗「いやいや麦野は完璧な人間だから運動も出来て当然かなぁ、って?」

麦野「そうよね。私ったらまた早とちりしてごめんなざい」ニコニコ

フレンダ(ああやってかわせばいい訳ね。勉強になるわ)

絹旗(足太いから筋力超強そうだなーって言わなくて本当に良かったです……)ホッ



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:12:35.72 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「もうすぐアジトに着くわね」

絹旗「1日目にしては結構遠くまで行きましたね。まさか学区を跨ぐとは思いませんでした」

麦野「行けるところまでは行かないとね。せっかく始めたんだし」

滝壺「限界は人間が決めるもの……」ゼェゼェ

麦野「あら? 滝壺に無理させちゃったかしら?」

絹旗「初日から何やってるんですか! 滝壺さんも辛いなら辛いと一言言ってくださいよ!」

フレンダ「でももうすぐ終わりよ! 滝壺、がんばりましょう!」

滝壺「うん、がんばる」ゼェゼェ

麦野「フレンダはあと9週よ?」

フレンダ「まだその話引っ張るの!?」



108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:14:03.80 ID:NT1QB1E60

麦野「今日は勘弁してあげるわ!その代わり貸し1ね?」

フレンダ「麦野やさしい!」

絹旗(何かおかしい気はしますが、黙っておきましょう)

滝壺(やっぱり我が身が一番かわいい)ゼェゼェ

絹旗「もう着きますけど、最後は皆で一緒にゴールしませんか?」

麦野「良いわね! 並びましょう。よーし、じゃあいっせーのーせ!で行くわよ!」

4人「「「「いっせーのーせ!!」」」」ジャンプ

フレンダ「ゴール!って訳よ! 滝壺がんばったじゃない!」

滝壺「うん、がんばれた……」ゼェゼェ

麦野「これも青春ね」ウンウン



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:16:01.39 ID:NT1QB1E60

絹旗「超汗かいたのでお風呂入りたいです」

麦野「体が冷める前に入りましょう! フレンダ、お風呂沸かしてちょうだい!」

フレンダ「はいはいー♪(こんなので貸し1を清算出来るなら儲けもんって訳よ)」

絹旗「滝壺さん! お背中流しますから一緒に入りましょう!」

麦野「絹旗! 抜け駆けは許さないわ! 私だって滝壺とお風呂入りたいのにー!」

滝壺「もうみんなで入ろう。そうすればみんなしあわせ」

フレンダ(瘤付きだけど滝壺と麦野とお風呂に入れるなんてラッキーだわ)ジュルリ

   ◇   ◇   ◇

某ファミレス店長「大変申し訳ありませんが、入浴についての描写は完全にカットさせていただきます。
人間力の足りない著者の不徳の致す所でございます。どうかご容赦下さい。
また、ついに当店ではシャケ弁・サバ缶をはじめ、他店にはない様々なメニューをご提供させていただくことになりました。是非一度当店へお越しください」

某ファミレス店員(店長また何もない空間に向かって喋ってら……)



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:18:36.23 ID:NT1QB1E60

~リビングルーム~

絹旗「超気持ちよかったですー♪」ポカポカ

絹旗(意外に滝壺さんがないすばでーでした。超悔しいです……)ショボン

フレンダ「結局いつも私はこういう役回りって訳よ」ボロッ

麦野「アンタが抱きついてくるからじゃない! いきなりそんなことされたらビームも出るわよ」

滝壺「あったか♪ お腹すいたからご飯食べよ?」

絹旗「そうですね。今日は誰が作ります?」

麦野「もう作ってあるわよ。暖めるからちょっと待ってちょうだい」

フレンダ「さっすがー麦野! 麦野はいいお嫁さんになるわー。私の所に来て頂戴!」

麦野「でもアンタは抱きついた罰として朝ごはん抜きね。勝手にサバ缶でも食ってろ」ニコッ

フレンダ「」



112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:20:13.98 ID:NT1QB1E60

絹旗「なんか最近麦野、超優しくないですか?フレンダを除いて」ボソボソ

滝壺「そうだね、ふれんだを除いて。私は昨日なぜか謝られちゃった。今までゴメンて」ボソボソ

絹旗「うわっ!優しすぎて逆に怖いですね。後から反動が来そうです…」ビクビク

滝壺「今朝も私よりも早く起きてご飯作ってくれてたみたい」ボソボソ

フレンダ「私にもデレて欲しい訳よ……」シクシク

絹旗「滝壺さんに引き続き麦野も体晶中毒で頭おかしくなったんですかね?」ボソボソ

滝壺「麦野だけでなく私も怒るよ? とりあえずそれはないと思う、麦野は体晶使ってないし。
   それにAIM拡散力場に不安定な所はないから多分本当に変わったんだと思う」ボソボソ

麦野「そこの三人は隅でコソコソ何してんの? 配膳手伝ってちょうだいよー」パタパタ

絹旗「はーい! すぐに行きます!」

絹旗「とりあえずこれは保留です。ご飯食べましょう。もうお腹と背中がくっついちゃいます」ボソボソ

滝壺「そうだね。私たちも配膳手伝おう」ボソボソ

フレンダ「私は一人でサバ缶食べる……」シクシク



113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:26:09.91 ID:p/sPkvykO

滝壺「おいしい。海の幸の宝石箱やー」モグモグ

麦野「嬉しいけどそのリアクションは止めなさい。あんまりあの人は好きじゃないのよ。
   良い年こいて、きめぇセリフ並べてんじゃねーよって感じ」モグモグ

絹旗(またしゃけですか……。おいしいですけどこう毎日だとさすがに飽きます)モグモグ

フレンダ「女将を呼べッ!」モグモグ

絹旗「そっちの海原はこっちの海原とは超無関係です」

麦野「それにしても疲れたわね……。後で少し寝てもいいかしら?」フワワ

滝壺「むぎのは早起きだったもんね。私も一緒に寝る」

フレンダ「ずるい! 私も私も!」

絹旗「それじゃあ私も寝ます。昨日から寝てばっかりで滝壺さんみたいな生活です」

麦野「じゃあ私とフレンダは食器片付けるから、滝壺と絹旗はリビングに布団敷いてねー」

3人「「「はーい」」」



114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:29:51.69 ID:p/sPkvykO

   ◇   ◇   ◇

麦野「あれー? 何で2枚しか布団敷いてないのー?」

滝壺「私は4枚敷こうって言ったんだけど、絹旗がこれで良いって。何で?」

麦野「こら絹旗!ちょっと説明しなさい!」

絹旗「麦野も滝壺さんと同じ布団で寝たくないですか?」ボソッ

麦野「Good Job」b

滝壺「?」

フレンダ(そういうことね。それじゃあ実質ハズレは一つ。結局私に有利な賭けって訳よ)ニヤニヤ

絹旗(フレンダが何考えてるかなんとなく分かります。超屈辱です
……)ぐぬぬ

麦野「グっとパーで合った人やるわよ! 一回勝負のうらみっこなしね! 行くわよ!」

4人「「「「グっとパーで合った人!!」」」」



115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:32:58.94 ID:p/sPkvykO

麦野(パー)
滝壺(グー)
絹旗(グー)
フレンダ(パー)

麦野「クッッッソォガァァァァァァアァァァ!!」ガンガン

フレンダ「麦野! テーブルに頭をぶつけないで! さすがの私もそこまでされたら傷つく訳よ!」

滝壺「きぬはた、また一緒だね。よろしく」

絹旗「よ、よろしくです///(滝壺さんはいっつも意識すること言いますね。私って超遊ばれてるんでしょうか)」

フレンダ(まぁ滝壺は取られちゃったけど、麦野と寝られるなら本望よ!)

麦野「しょうがないわ…。ほらフレンダこっち来なさい。一緒に寝るわよ?」

フレンダ「………。麦野、悪いけどもう一回言ってもらえる? 録音するから」カチカチ

麦野「やっぱ来んな」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:37:39.49 ID:p/sPkvykO

絹旗「疲れましたー。やっぱり慣れないことはしないほうがいいですねー」フワ-

麦野「そうねー。早起きのつけが早くも回ってきたわー」フワ-

フレンダ「今の発言は滝壺厚生プロジェクトを全否定って訳よ……」

滝壺「私が寝るのはいつもどおり。おやすみ」クカ-

絹旗「超早いです! 超のび太くんです!」

麦野「それじゃ私たちも寝ましょう。もう10時だしお昼には起きたいから2時間くらいしか寝られないわ」

フレンダ「そうね。午後からもプロジェクトがあるから体力回復しないと」

絹旗「滝壺さん抱き枕は安眠のお供です」フワ-

3人「「「おやすみなさーい」」」



119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 01:57:33.61 ID:p/sPkvykO

ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ…

麦野「ふわぁ、携帯鳴ってる。人がせっかく気持ちよく寝てんのに、電話かけてくるたぁどこの馬糞だよ」ノソッ

絹旗「うーん……」

麦野「非通知か。なるほどね」ピッ

麦野「もしもし。何の用かしら? さっさと終わらせてほしいんだけど」

電話の声『あららぁ、ひょっとして寝起き? 機嫌悪そうねー♪』

麦野「うるせぇ。どうせ任務でしょ? さっさと用件だけ伝えてちょうだい」

電話の声『予想通り任務よ。ていうか私がおしゃべりしたいがためにアナタに電話すると思う?』

麦野「フンッ、そんなのこっちも願い下げよ。それより任務の連絡だったよね。私が気短いの知ってるでしょ?」

電話の声『そんなに怒らなくてもいいじゃない。で、任務なんだけど明日から数日間かな? とあるブツを守ってほしいから頼むわ』

麦野「嫌だっつっても行かなきゃいけないんでしょ? だったら行くわよ」

電話の声『素直におっけーもらえて助かるわ。必要な情報は後で携帯に送るからそれ見てねー。じゃねー♪』

麦野「ちょっと待って。聞きたいことあるんだけどいい?」

電話の女『うーん? こいつときたら、相変わらずマイペースね。ま、とりあえず聞いてあげるから話してちょうだい』

麦野「私はアンタの中ではどんなキャラなのよ? んで聞きたい事なんだけど、実は…



120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:00:09.81 ID:NT1QB1E60

旗「麦野、さっきのは仕事の電話ですか?」フワァ

麦野「えぇ、明日からよ。数日間は続くかもしれないわね」

絹旗「前日に連絡とは、珍しく親切ですね。いっつも当日の朝に連絡して車よこして『今からここに行ってもらうわ!乗って!』って調子ですからね。それより肝心の内容は何ですか?」

麦野「とりあえずフレンダと滝壺を起こしてちょうだい。説明はそれからよ」

絹旗「はーい。超起こしてきます」

麦野「お願いね」

絹旗(麦野が久しぶりにピリピリしてますね。そんなに難しい仕事なんでしょうか…)トテトテ

麦野「…」



121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:02:06.04 ID:NT1QB1E60

滝壺「ねむい、まだ11時。もうちょっと寝てて良い?」

絹旗「ダメです。任務の連絡がきたみたいですから、ちゃっちゃと起きてください。ほらフレンダも!」

フレンダ「うーん……。それなら仕方ない、訳よー」ノビー

滝壺「ガイアが私にもっと寝とけと囁いている」

絹旗「滝壺さんはいつもそうですねー」ハァ

フレンダ「じゃあ私が襲っちゃうけどいいってことね♪」ジュルリ

滝壺「やっぱり起きる」ムクリ

絹旗「んじゃこっち来てください。麦野が待ってますから」

フレンダ「いやそれで良いんだけど、良いんだけどさ。結局、なんだか虚しい訳よ……」シクシク



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:04:33.79 ID:NT1QB1E60

麦野「それじゃあ今から明日の任務について説明するわ。明日からしばらくとあるブツの警護をするわよ」

麦野「場所は素粒子工学研究所。何か質問ある?」

絹旗「“しばらく”ってどういうことですか? 具体的な期間はどのくらいなのでしょうか?」

麦野「具体的な期間は分からないわ。何でもそのブツを狙ってるやつらが居て、そいつらを撃退出来たら任務完了みたい。
   だから一向に襲って来ないようだったらそれだけ警護の期間は伸びるわ」

絹旗「自分との戦いってことですね…」

フレンダ「なるほどね。それでその“ブツ”っていうのは?」

麦野「“ピンセット”よ」

3人「「「えっ?」」」

麦野「だから“ピンセット”だって」



123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:07:05.06 ID:NT1QB1E60

絹旗「そんなもののために天下のアイテムが出張るんですか? 上の連中もとうとう頭おかしくなったんですかね?」ハァ

フレンダ「逆にそこまでして守らなきゃいけないピンセットを見てみたいわ」

滝壺「きっと少し前に流行ったデコレーションされたピンセットだと思う。略してデコピン」

絹旗「デコピン……。滝壺さんはやっぱり凄まじいセンスを持ってます。なんですか? 超有名女優プロデュースのデコピンとかですか?」

フレンダ「にゃはは♪ そんで麦野、そのデコピンの正体は何? いくらなんでも何かの通称よね?」

麦野「うーん、私も詳しく分からないんだけど、学園都市の機密に関わるものでね。どうやら素粒子なんかを掴めちゃうものらしいわ」

麦野「だから他の暗部組織と交戦になる可能性もある。だから今日はしっかり準備して、明日は心して任務に向かうわよ!」

フレンダ「あったりまえよ! 早く終わらせて給料でおいしいものでも食べに行きましょう」

滝壺「おー」

絹旗「…」



124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:09:12.59 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

~フレンダルーム~

フレンダ「やっと私の番が回ってきたわー」ゴローン

滝壺「そういえば、ふれんだとこうやって二人で話すこともあまりないよね」

フレンダ「麦野も絹旗も滝壺にべったりだからねー。でも今は私だけのものって訳よー」ギュー

滝壺「あはは。くすぐったいからやめて、ふれんだ」

フレンダ「滝壺はお母さんみたいな存在だから甘えたくなっちゃうのよねー?」

滝壺「ちょっと変な感じだけど、そう言われると何だかうれしいな」

フレンダ「滝壺とももっと仲良くしたいんだけど、絹旗の奴がいつも邪魔して……」

滝壺「そういえばふれんだはきぬはたのこと、あんまり好きじゃないの?」



125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:12:34.96 ID:NT1QB1E60

フレンダ「うーん、私はアイツのこと嫌いじゃないけど、絹旗はどう思ってるのかな?
     いつも言い争いになるから嫌われてるかも、って思っちゃうとそっけない態度になっちゃうのよね……」

滝壺「きぬはたもきっとふれんだと同じ。お互いに素直になれないだけだよ?」

フレンダ「素直になれないだけ、ねぇ……。最初は単なる仕事仲間だと思ってたけど、いつの間にかここが私たちの“居場所”、皆が“家族”って訳ね♪」

滝壺「家族かぁ……。私がお母さんだったらふれんだは何になるのかな?」

フレンダ「私はお父さんって訳よ! 本当は麦野がお父さんって言いたいけど、あれは我儘な長女ってとこかしら?」

滝壺「あはは。麦野はすぐムキになる所があるからピッタリだね。残った絹旗はかわいい末っ子かな?」

フレンダ「年齢的にもピッタリね! 後はペット兼パシリが欲しいけど、当分は4人家族で仲良くやっていきたいわ」

滝壺「それじゃあ明日は皆を守ってね、お父さん?」



126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:14:57.01 ID:NT1QB1E60

フレンダ「任せときなさい! 私は能力なんて使わなくても強いんだから!」

滝壺「よろしくね、ふれんだ。……そういえば今日の麦野の様子が少し変じゃなかった?」

フレンダ「そういえばそうね。お昼の時も何だか仏頂面だったし、やけに入念に準備してたし。おかげで優雅な午後のひと時があっという間だったわよ」

滝壺「きぬはたも『久しぶりに麦野が超ピリピリしてます』って言ってた。もしかして昨日の夜のことが原因かな?」

フレンダ「昨日の夜のこと? 寝る前に何かあったの?」

滝壺「うん。麦野の野望を教えてもらった」

フレンダ「麦野の野望? 世界のシャケ弁を制覇するとかそんなのしか思いつかないわよ…」

滝壺「口止めされてるから言えないけど、もっと真面目なことかな。多分あの様子だと明日くらいに教えてくれると思う」



127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:16:57.75 ID:NT1QB1E60

フレンダ「ふーん……。じゃあ我儘な長女が何を言い出すか楽しみにしておくわ」

滝壺「うん。きっと嬉しいことだと思うよ?」

フレンダ「……? 本当はもっと話したいけど、明日も早いからもう寝るわよ?」

滝壺「そうだね。お昼寝もあんまり出来なかったし」

フレンダ「結局午後も準備で潰れて遊べなかったし。明日は早朝出発だからランニングは無しよね?」

滝壺「ないと思う。どのみち早起きだけど……。それじゃおやすみ」スピー

フレンダ「はや! ほんとにのび太くんね。私も寝よ。おやすみ」

滝壺(ありがとう、みんな。今日も無事に過ごせたのはみんなのおかげだよ)

滝壺(明日は久しぶりの任務だけどよろしくね)スゥ



第1回滝壺更生プロジェクト 3日目終了



128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:20:11.39 ID:NT1QB1E60

   ◆   ◆   ◆

第1回滝壺更生プロジェクト 4日目朝

~キャンピングカー~

電話の声『よっし♪今日も張り切っていきまっしょーい!』

滝壺「おー」

電話の声『おーい、掛け声一人だけじゃなーい?ほらもっと声出して!はい!』

麦野「そんなのは良いから確認事項だけ伝えて頂戴」ムスッ

絹旗(うわー。超機嫌悪いです……)

フレンダ(これは麦野に従った方がいい訳よ)

フレンダ「そうよ。掛け声とかなくても、結局私たちはもう気合入ってるから大丈夫な訳よ。それより話があったから連絡してきたんでしょ?」



129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:22:24.47 ID:NT1QB1E60

電話の声『つれないわねー……。ま、そんなことより連絡ね!今向かってるのは昨日伝えた通り素粒子工学研究所。
     研究員はすでに退避させてあるから全面的にアナタたちにお願いするわね。ここまでおっけー?』

絹旗「分かりました。施設内部のマップはこれから送ってくれるんですよね?」

電話の声『ええ、ちょっと待ってちょうだいね……。はい、今送った。今確かに送ったわ。話の続きはこれを見ながら話すわね』

麦野「案外広い研究所ね。それに周りに何もないから四方向から攻められる可能性がある。まぁ私がいれば大丈夫だけど……」

電話の声『そう! そこはアナタたちを信じてるから大丈夫! 複数の組織から同時に攻撃を仕掛けられたら厳しいけど、1対1ならまず大丈夫でしょ。
     そんでこの真ん中にある部屋の中に例のブツがある。とりあえず奪われなければいいから場所は移動させてもいいわよ』

滝壺「敵に関する情報はないの?」



131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:41:43.99 ID:8sFuFMmq0

電話の声『うーん? 実は【スクール】っていう組織が“ピンセット”を狙ってるって言う情報は掴んでるんだけど、その【スクール】に関する情報はほとんどないのよ。
     それでもアイテムには第4位の【原子崩し】と【能力追跡】がいるからほとんどの場合は何とかなるでしょ。あははー♪』

麦野「まぁ、なんとかしてみせるわ。役立たずの上司に代わってね」

絹旗「そうですよ。私たちだって便利屋じゃないんですから、そういう部分はちゃんとしてください」

電話の声『ごめんごめん。でも逆に情報がないってことは気楽にやれるんじゃない? ってことで許して』

フレンダ「情報がないってことは、新興組織かなー? 麦野はどう思う?」

麦野「一概にそうとは決めつけられないわ。アイテムと同等かそれ以上の機密レベルを持つ組織の可能性もある。
   でも例え相手の正体が分からないのだとしても私たちは全力で向かえばいいのよ。相手の対策が取れないのは厳しいけど…」

絹旗「それでシリコンバーンを100個も用意したんですか?」

麦野「うっさい! 足りなくなるよりかはいいでしょ! 何日続くか分かんないんだし!」



132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:43:21.03 ID:8sFuFMmq0

電話の声『そうね。油断大敵ってよく言うし、まぁアナタたちに一任するわ!
     決してめんどくさくなったわけじゃなく、アナタたちを信用してるんだからね!』

滝壺「見え見えの嘘」

電話の声『うっ……。そんじゃ、そういうわけだから後は頼むわ!』

麦野「ちょっと待って!昨日の話の続きよ」

絹旗「昨日の続きって何かあったんですか?」

フレンダ「ひょっとして麦野の野望ってやつ?」

麦野「!? 滝壺、アンタしゃべったわね!」

滝壺「ごめん。でも野望があるって話だけだよ、内容は何も……」

麦野「まぁ、良いわ。それでね。私……」



133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:45:26.51 ID:8sFuFMmq0

麦野「アイテムを解散しようと思うの」


絹旗・フレ「「!?」」

絹旗「ちょっと待ってください!アイテム解散ってどういうことですか!ちゃんと説明してください!!」

フレンダ「滝壺のことで本当の意味でやっと一つになれたのに!このタイミングは最悪って訳よ!」

麦野「アイテムが解散しても私たちは一緒に居られなくなるわけじゃないわ。ここ数日間の生活を振り返ってこう思ったのよ。
   暗部から足を洗って、皆で普通の生活をしたいなってね」

絹旗「確かにそれは超魅力的な話ですけど、そんなことは可能なんですか?私たちは暗部から抜け出してもいいんですか?」

電話の声『こいつときたら、昨日いきなり変なこと言い出して正直困ったわ。ま、本当はアナタたちほどの戦力は手放したくないんだけどねー。
     でも、上の許可も下りたし大丈夫よー』

麦野「そう。だから私はこれを最後にして暗部から抜け出そうと思うの。アンタたちは付いてきてくれるかしら?」



134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:47:18.68 ID:8sFuFMmq0

滝壺「私は付いてくって決めたよ」

絹旗「そういう訳なら私も一緒に行きます」

フレンダ「そろそろ混ぜろよ」キリッ

麦野「ありがとう。そんじゃそういう訳だから」

電話の声『はいはい、とりあえず今回の依頼は必ず成功させてよね!それが暗部を抜ける条件なんだから!』

麦野「アンタにも迷惑かけちゃったわね…。私らしくないけどお礼くらい言っとくわ。今までありがとう」

電話の声『もう今更よ。「もう暗部やめるから」なんて聞かされたときは吐きそうになったわ。
     でも今回の依頼だけはしっかりこなしてよ。それにこの任務を成功させないと意味なんだから、お礼はまた今度にしてちょうだい』

滝壺「ありがとう、電話の人」

電話の声『フン!もういいわよ。んじゃ切るわ。がんばりなさいよねー!』ブチッ



135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:49:39.89 ID:8sFuFMmq0

フレンダ「麦野…」

麦野「私も情けないわね。死ぬ覚悟、仲間を失う覚悟はとうの昔に済ませたのに今さら止めたいなんて。はぁ、でもやっと肩の荷が下りたわ」

絹旗「でもその気持ちは超分かりますよ。今の生活も楽しいですけど、これからの生活はもっと楽しそうです!
   前みたいに学校行って、放課後は皆で集まっておしゃべりして……」

フレンダ「でもその前に滝壺の体晶中毒を治さないとね。いつまでも体晶欲しいとか言ってたら学校なんて行かせられないわよ!」

滝壺「うー。ふれんだだってサバ缶中毒治さないと学校行けないんだよ?」

フレンダ「サバ缶中毒って何よ! 聞いたことないわ! そんなこと言ったら麦野はシャケ弁中毒って訳よ!」

麦野「私はシャケ弁を愛しているの。アンタと一緒にしないでちょうだい?」

絹旗「なんだか私だけ超蚊帳の外ですね。やっぱり個性が弱いんでしょうか……」シュン

下っ端1「目的地に到着しましたよ?(落ち込む最愛ちゃんも可愛いよ!)」



136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:51:33.39 ID:8sFuFMmq0

麦野「そう。それじゃ私たちは中に入るからアナタたちは荷物を降ろして持ってきてね?」

下っ端2「はい! 喜んで!(ドSむぎのん堪らん、踏んでほしい!)」

フレンダ「とりあえずここにあるもの全部お願いするわよ。私たちは中心部に行くからそこまでよろしく。
     それより麦野。荷物がやけに多いけどこれ全部運ばせるの? っていうか多すぎじゃない?」

麦野「長い戦いになるんだからこれくらいの準備はしなきゃ。それに絶対に失敗できないしね。でもさすがに多すぎるか。
   シリコンバーンも10個ぐらいにしとこ」ガチャ

麦野「そこのお前! とりあえず必要なものはこっちで選別するから、車を路肩に止めて残りはその中に置いといて。
   必要になるかもしれないから」

下っ端1「分かりました!(車置いとけって、俺らどうやって帰ればいいの…)」

滝壺「あっ、私のうさぎさんまである。それにこれはむぎのがいつも抱いて寝てるぬいぐるみ?」

絹旗「超無駄な荷物ばっかじゃないですか……」ハァ

麦野「うるさい! 私にはみーちゃんが必要なの///」カァ

下っ端2(みーちゃんとか、むぎのん可愛すぎだろjk)



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:54:39.40 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

~研究所中心部~

麦野「それじゃとりあえず作戦の説明ね!」

麦野「今回の任務は長期戦になる可能性があるわ。だからこの中心部を拠点として、交代で見回りをしながら“ピンセット”の護衛をする。
   滝壺は体晶を使えないから基本的にここにいることにして、残りの3人で護衛1人と見回り2人を回す」

フレンダ「それじゃトランシーバー3つ用意しなきゃね。持ってきた?」

絹旗「それは問題ないです。なぜか麦野が5つも用意してましたから」

麦野「壊れたりしたら困るじゃない。今回は失敗できないんだしー」

滝壺「交代の順番はどうやって決めるの?」

麦野「それはこれを使って決めるわ!」つ人生ゲーム

フレ・滝壺・絹旗「「「人生ゲーム!?(ですか!?)」」」



138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 02:57:17.18 ID:8sFuFMmq0

下っ端1「荷物運び終わりました!(俺も混ざって人生ゲームやりてー)」

下っ端2「俺らはとりあえず上がりでいいんでしょうか?(むぎのんとリアル人生ゲームしてー)」

麦野「そうね。悪いんだけど、車がないから歩いて帰ってちょうだい」

下っ端1・2「「はい(この素っ気なさがまた…)」」バタバタ

麦野「それじゃ邪魔者もいなくなったし、早速ゲームスタートよ! 順番はルーレットを回して大きい数字を出したヒトから大きいね」

絹旗「邪魔者とか超ヒドイですね……。まぁ気持ちは分からんでもないですが」

フレンダ「結局、私が一番って訳よ!」カラカラ

フレンダ「…6。高くもなく低くもなく微妙な数字ね」

絹旗「超フレンダっぽい数字です」



139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:00:19.73 ID:8sFuFMmq0

滝壺「次は私」カラカラ

絹旗「むむむ、9ですか。滝壺さん、なかなかやりますね。次は満を持して私の番です!」カラカラ

絹旗「2!? うわぁー! 超終わってます!!」ジタバタ

麦野「きっと日ごろの行いのせいね。さて日ごろの行いがいい私は…」カラカラ

麦野「ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 何で1なのよぉ!!」ビーム

滝壺「むぎの、ビームで壁壊さないで」

フレンダ「きっと日ごろの行いのせいな訳よ」

麦野「フレンダは銀行係ね」ニコッ

フレンダ「それだけは、それだけはぁ……」ガクッ

滝壺「大丈夫だよ、ふれんだ。私は無理矢理銀行係をやらされるふれんだを応援してる。手伝わないけどね」

絹旗「私も応援してあげます。手伝わないですけど」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:02:56.07 ID:8sFuFMmq0

フレンダ「二人とも結局自分が一番かわいいって訳ね…」

滝壺「じゃあ私の番だね」カラカラ

滝壺「7だから、…【超能力者になる】?何これ?」

麦野「実はこれ!学園都市上層部謹製の“人生ゲームIn学園都市 -科学サイドのNo.1を目指せ!!-”なのよ!
   学園都市に縁のある様々なワードが取り上げられている優れものよ。ちなみに暗部落ちとかもあるから気をつけなさい。
   報酬は高かったりするけど、その代わりにゴール出来ずに死ぬかもしれないわ」

フレンダ「うっ、自分の今の姿と重なっていい気がしないわね…」

絹旗「ということは、何気に滝壺さんは超エリートコースなんですね」

麦野「そうね!次はフレンダよ!さっさと回しなさい!」

フレンダ「おりゃー!!」カラカラ

絹旗「超気合入ってます」

フレンダ「3ね…。まぁ最初だしこんなもんよ。それで私の職業は、…【アンチスキルになる】!
     中流階級な訳よ!ゴージャスかつセレブリティー溢れる私には似合わないわ!」ムキー

麦野「ちっ、つまねぇ。そこは実験の犠牲になって死ぬ所だろうが」ハァ

フレンダ「ひどっ!?ていうか1回目からゲームオーバーとか笑えないにも程があるわよ!
     それにそんなコマあるわけ……、あるわ!!2出したら即死な訳よ!!」



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:05:12.08 ID:8sFuFMmq0

絹旗「そんな揺さぶりにもめげず、次は私です。行きますよー!」カラカラ

滝壺「きぬはたも気合入ってるね」

絹旗「うーん、5ですか。職業は【研究者になる】!ピンキリですが何気に高所得者の仲間入りです!」

麦野「アンタたちやるじゃない…。でも私はさらに上!10を出して統括理事会になるわ!どらぁー!!」カラカラカラカラ

麦野「…1かよ!しかも【スキルアウトになる】とかマジなんなのよ、このゲーム!!
   コマのすみっこに“お先真っ暗(笑)”とかケンカ売ってんのかァ!!」

滝壺・絹旗・フレ(((きっと日ごろの行いのせい(です)(な訳よ)))



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:08:13.71 ID:8sFuFMmq0

絹旗「6…。【子供が生まれる。出産祝いとして他の全員から5000ずつもらう】ほら! さっさとよこしてください!」

麦野「絹旗の奴、クッソウゼェ…」つ5000

フレンダ「4…。【アイテム・幻想御手を2000で購入できる】。よっしゃ! 買った!!
     ひさしぶりにまともなマスに止まれて助かったわ!」

麦野「2…。【スキルアウトに絡まれる。4000渡して見逃してもらう】! テメーもスキルアウトだろうが!!
   闘えよ! ×××付いてんだろうが!!」

絹旗「色々突っ込みどころが多いゲームですね……。幻想御手がチンピラのカツアゲの金額よりも出産祝いよりも安いとか、どんだけ治安悪い社会なんですか」

滝壺「【能力者はレベルが1上がる】。……レベル6になったら、何かあったっけ?」

絹旗「国から報奨金50000だそうです。滝壺さんがラスボスでしたか」

フレンダ「えーと【絶対能力進化実験に何故か巻き込まれて入院。治療費2000を支払い、1回休み】。さっきから超不幸って訳よぉー!!」ウワーン

絹旗「あっ! 私もようやく家が買えるみたいです。マンションですが、贅沢は言えません。今はしがない研究者ですからね…」

麦野「十分おいしい思いしてんじゃないのよ。私は、と。……ちっくしょぉぉぉぉ!! 暗部入りしちまったぁぁぁ!! これじゃ現実と同じじゃねーかよォ!!」



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:11:17.34 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

最終結果 1位滝壺 2位絹旗 3位フレンダ 4位麦野(途中リタイア)

麦野「なんでこの私が任務しくじって真っ二つにされて死んでんのよ!!
   1位を取れなかったならまだしも、ゴール出来なかったとかありえねぇだろぉがァ!!」

絹旗「麦野は熱くなりすぎなんですよ。もう少し力を抜けばいい結果が出たかもしれませんよ?」

フレンダ「滝壺はなんでそんなに運がいいのよ? 何か秘訣でもあるの?」

滝壺「私は南南西からの信号通りにルーレットを回しただけ。“さっきより若干強めに回しとけェ”とか“あンまり強く回すなよォ”とか信号が来てる」

フレンダ「結局、参考にならない訳よ……」

絹旗「それで最初の見回りはフレンダと麦野でいいんですか?というかゲームの結果はそうなってるので、嫌とは言えませんけど」

麦野「えっ? 順位の高かったアンタとフレンダが見回りだけど?」シレッ



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:13:38.79 ID:ZfF9YffP0

ID変わってる?
鳥つけた方が良いんじゃね?支援



145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:13:42.20 ID:8sFuFMmq0

絹旗「超子供ですか!? 最初に順番で決めるとちゃんと…」

麦野「うん。だから順番で決めたじゃない。“順位の高かった二人が見回り”よ? 何か文句ある?」

フレンダ(私はどっちの味方しても結局見回りだから黙っとこ)

絹旗「はぁ……。確かにきちんと決めなかった私が悪いですけど。
   じゃあフレンダと二手に分かれて見回り行って来ますので、その間滝壺さんをお願いしますよ」

麦野「やったー♪ よろしくねー! 滝壺ー、今から何するー?」

フレンダ「交代だからね! 1時間したら戻ってくるからね! 滝壺に変なことしたら許さないわよ!」

絹旗「麦野はフレンダじゃないからそんなことしないです。それより私は北に行くので、フレンダは南に行って下さい」トテトテ

滝壺「こらっ、麦野。わがまま言っちゃダメでしょ」

麦野「あーん! 怒ってる滝壺もカワイイわー♪」ダキッ

フレンダ「麦野! 滝壺に抱きついて何してんのよ!」

麦野「いやアンタは早く行きなさいよ」



146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:16:10.81 ID:8sFuFMmq0

>>144
拠点移動しました。トリはもう今更なので良いかなと

   ◇   ◇   ◇

??「それで中の様子はどうだ?」

????「やっぱり【アイテム】の奴らが出張ってきてるわね。仲良く人生ゲームやってるわ」

??「はぁ? 何やってんだアイツら…店。俺たち【スクール】が奪いに来るって情報は入ってんじゃねぇのか?」

????「あっ! 今第4位が悔しがってそこかしこにビーム放ってるわ。一気に乗り込んで力押しで制圧したほうがいいんじゃない?
     “ピンセット”を壊されたらせっかくの計画が水の泡よ?」

??「力押しってのはどうも美しさに欠けるが、保険を用意しない戦いってのも悪くねぇな。
   それに決着が早いことに越したことはねぇしな」

????「フフ……。アナタの能力があれば何でも出来るでしょ?」

垣根「あぁ、俺の【未元物質】に常識は通用しねえ」

垣根「アイテムの奴らなんざ一瞬でぶっ潰してやるよ。アレイスターの野郎の前菜にはもったいないが、この戦いを楽しむことにするか」

心理定規「それじゃ私は南から入るから、アナタは北からね。少しでも私の負担を減らしてちょうだいな。
     私の【心理定規】はもともと戦闘用じゃないんだから」

垣根「くくく……。せいぜいがんばれよ、第4位」

心理定規(聞いちゃいないわね……)



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:19:08.85 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

~研究所南部~

フレンダ「ふー。それにしても麦野はわがままねー。でもそこがまた良いんだけどね」ジュルリ

フレンダ「でも一人で見回りってのも詰まらないわね……。絹旗でも居れば少しはマシだったかしら?」

心理定規「あら? それなら私たちの作戦に付き合ってもらえないかしら?」

フレンダ「!?ス クールの襲撃! 思ったより早かったじゃない!」

心理定規「あのオバサンがビームぶっ放してるからよ。目的の物を壊されたらたまったものじゃないわ。
     だから少し予定を早めて突入したってわけ」

フレンダ「あっそ。それじゃ早速死んでちょうだい!」シュバッ

心理定規「あら? アナタは能力じゃなくて小道具で戦うタイプだったかしら。ま、そんなこと私にはあまり関係ないけどね」キーン

フレンダ「ぐっ! 爆弾を投げられない!(どうして?目の前の女は確かに敵なのに!何故か投げちゃいけない相手な気がする!!)」

心理定規「フフフ……、優しいのねアナタ。ついでに“ピンセット”の所までエスコートしてもらえるかしら? 私たち“仲間”でしょ?」



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:21:29.81 ID:8sFuFMmq0

フレンダ「なるほど。アンタ、精神感応系の能力者だったのね。それも人に対する感情を操作するような……」

心理定規「ご名答。でもそんなことわかった所で私の優位は動かないけど? さぁ早く案内してちょうだいな、私は気は短い方なの。
     それに早くしないとあの人に殺されちゃうわよ?」

フレンダ「……アンタは2つミスを犯したわ」

心理定規「? なんですって?」

フレンダ「それは“ピンセット”の奪取を急ぎすぎたこと」

フレンダ「そして私たちの情報収集を怠ったことよ!」ヒュン

心理定規「なんで“仲間”相手に爆弾を投げ……」

バガン!!

フレンダ「結局、私は“仕事”よりも“家族”を優先する良いパパだったって訳よ!
     私たちはアナタが思ったよりも強い絆で結ばれてるわ!」



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 03:24:42.54 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

研究所北部にて

バガン

絹旗「!? 南の方から爆発音が! 【スクール】の襲撃ですか!」

絹旗「とりあえず麦野に連絡を取らないと!」ピッ

ピーガガガ…

絹旗「あれ? 超最悪のタイミングです! こんな時にトランシーバーが故障するなんて!」バシバシ

垣根「いいや、故障じゃねぇよ。電波を通さない物質が周りにあったら、使えなくなる。ここはもうテメェの知る場所じゃねぇ、それだけだ」

絹旗「くっ! 何者ですか!?」

垣根「そう聞かれたら【スクール】の垣根帝督と答えるしかないな。お前は【暗闇の五月計画】の残骸とでも呼べばいいか?」



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:01:52.70 ID:8sFuFMmq0

絹旗「……(こいつ、私たちに詳しいみたいですね。情報が握られてるとしたら、少しでも早く麦野に報告して対策を練らないと)」ザッ
絹旗(それに垣根帝督って言う名前……。どこかで聞いたことがあるような気がします)

垣根「おいおい。構えを取るなんて、俺と戦う気か? 笑わせるなよ大能力者が」

絹旗「アナタのようなエセホスト相手に逃げろとでも? そんなことしたらもっと怖い人にオシオキされちゃいますからね」

垣根「ハンッ! そこまで言われちゃさすがの俺も逃がしてやる気は失せるってもんだな。……後悔するなよ?」

絹旗「そっちこそ…」

ビュン!



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:05:03.26 ID:8sFuFMmq0

絹旗「……(こいつ、私たちに詳しいみたいですね。情報が握られてるとしたら、少しでも早く麦野に報告して対策を練らないと)」ザッ

絹旗(それに垣根帝督って言う名前……。どこかで聞いたことがあるような気がします)

垣根「おいおい。構えを取るなんて、俺と戦う気か? 笑わせるなよ大能力者が」

絹旗「アナタのようなエセホスト相手に逃げろとでも? そんなことしたらもっと怖い人にオシオキされちゃいますからね」

垣根「ハンッ! そこまで言われちゃさすがの俺も逃がしてやる気は失せるってもんだな。……後悔するなよ?」

絹旗「そっちこそ…」

ビュン!



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:09:29.97 ID:8sFuFMmq0

しくった・・・

   ◇   ◇   ◇

麦野「ねー、たきつぼぉー。これ着てよぉー」つバニー衣装

滝壺「なんでそんな服持ってきてるの? 道理で荷物が多い訳だね」

麦野「滝壺に着せるために決まってるじゃない? ほらーはやくぅー」フリフリ

滝壺「むぎの、今は任務中なんだから……」

麦野「あら? じゃあ終わったら着てくれるのね!だったらがんばっちゃおー♪」

滝壺「別に良いけどそういう意味じゃなくてね? 私が言っても説得力がないけど、もっと緊張感をもって……」

バガン!!

麦野・滝壺「「!?」」

麦野「爆発音!フレンダが見回りをしてる方からね!」

ザザザー

フレンダ『麦野! 【スクール】からの襲撃を確認! 赤いドレスを来た精神感応系能力者の女と交戦中って訳よ!』



157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:12:59.87 ID:8sFuFMmq0

麦野「精神感応系の能力者……。やっかいな相手ね。それでアンタは無事なの?」

フレンダ『なんとか相手の効果範囲外に抜け出せたみたい。今は物陰から交信してる。あと他の奴もすでに乗り込んできてるみたい!』

麦野「……だとしたら施設の北側も危ない! 滝壺、絹旗に連絡を取って!」

滝壺「うん。分かった」ピッ

麦野「フレンダ、その相手をするのは一人じゃ厳しすぎる。一度こちらに戻ってきて!」

フレンダ『いつもの麦野らしくないわね。今までだったら「出来る限り相手の情報を集めなさい」じゃない? ということで行ってくるわ』

滝壺「むぎの! きぬはたに繋がらない!」

麦野「つっ! 今の聞こえたでしょ? 1回態勢を立て直すわ。戻ってこいフレンダ!」

フレンダ『麦野も分かってるはずよ? 滝壺の心を操られたらまずい。だからこっちは出来る限り引きつけるわ。ついでに絹旗も助けてあげるわよ!』ブツッ

麦野「待ちなさい! クソッ! 切れやがった」

滝壺「きぬはた…。ふれんだ…」



158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:16:32.74 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

絹旗「ぐっ!」ダァン

絹旗(何も無い所から爆発が? 【窒素装甲】で防御してもかなりの衝撃ですね。これは大能力者、もしくは超能力者の可能性があります)ザッ

垣根「そこら辺で止めといた方がいいんじゃないか? ただ俺らは“ピンセット”が手に入れたいだけなんだよ。それを邪魔されちゃ気が変わるってもんだ」

絹旗「おとなしく渡しても、どうせ皆殺しでしょう? 目の前に立った敵は全員殺す、って顔してます」

垣根「“目の前に立った敵は全員殺す”?そんなのは三下のやることだ。本当の悪党たる俺は障害にならなきゃ逃がしてやるって言ってんだよ。
   お前ごとき生かしといても問題ねぇ。どうする?」

絹旗「仮に信用したとしても、逃げるわけにはいきません。この任務だけは絶対に失敗できないんです!」

垣根「まぁどんな理由があるかは俺には分からないが、それは命よりも大切なものなのか?」

絹旗「アナタには理解できないでしょうし、超関係ないです」

垣根「そうか。それじゃあ“ピンセット”をおとなしく渡すつもりもないんだな?」

絹旗「当たり前です! ここで引く理由は私にもありません!」

垣根「じゃあ望み通り殺してやるよ。来な」



159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:20:08.46 ID:8sFuFMmq0

絹旗(さっきは手をかざすだけで爆発を起こされ吹き飛ばされました。あちらの攻撃の種類が不明です。
   それも人ほどの大きさの物を簡単に吹き飛ばせるだけの高位能力)

絹旗(だったらその攻撃を逆手にとればいい!)ダッ

垣根「でかい口叩いたわりには正面きっての特攻か? まぁお前の能力ではそれしか出来ないからしょうがねぇが、芸がねぇな。そらよ!」

絹旗「これはどうです!」ヒュン

バカーン!!

絹旗「窒素缶です。強い衝撃を受ければ爆発し衝撃を与えることが出来ます。アナタの能力を利用させてもらいました。
   至近距離でこんなものが爆発すればしばらくは動けないはず。私を見くびったのがアナタの敗因です。……!?」

垣根「……誰がしばらく動けないって? そんなちっぽけな攻撃じゃ、俺を倒すことなんて夢のまた夢だぜ」

絹旗(微動だにせずあの爆発を防いだ? 能力の系統を確かめるつもりが、ますます分からなくなってしまいました。
   無線の電波を遮断する空間を作り、手をかざすだけで何かを爆発させ、動かずに窒素缶の爆発すらも防ぐことのできる能力ですか?
   最後のは私のような体を守る能力のようですが、それ以外と類似性はないみたいですし……)



160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:26:24.04 ID:8sFuFMmq0

垣根「おいおい。今のが奥の手だったんじゃないだろうな? まだ俺の能力で出来ることの一割も披露してないんだぜ?」

絹旗「くっ! 残念ですが私ではアナタを倒すことは出来ないようです! でも諦めるわけにはいかないんですよ!」

垣根「もうやめとけ。工夫次第でどうにかできるレベルを超えちまってる。最後に教えてやるよ。俺は序列第2位の【未元物質】だ」

絹旗(第2位の【未元物質】! せめてこの情報だけでも麦野に伝えないと! 麦野ならきっとどうにかしてくれる!
   いや、むしろ麦野しかアイツとまともに戦えない!)

垣根「タネ明かしもしたし、お前にはもう消えてもらおうか。最後まで不憫な役回りだったな!」ゴオッ

ヒューン バカン!!

垣根「つっ! いきなり爆弾とは何なんだ? お仲間が助けに来たってわけかよ」



161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:32:08.45 ID:8sFuFMmq0

垣根「砂ぼこりがひでぇな。めんどくせぇ」ブワッ

垣根「……ちっ! 逃げられたか」

心理定規「お邪魔しちゃったかしら? ちょこまかと逃げられちゃってね」ヒョコ

垣根「お前がこっちに来たってことは、さっきの爆弾はフレンダとか言う金髪の女か」

心理定規「ええ。そっちは全く問題なさそうね。私の方は詰めが甘くて少しもらっちゃったわ」

垣根「おいおい大丈夫か? お前はこの作戦の鍵なんだからあんまり無茶して死ぬなよ。そうじゃなくても、……いや何でもねぇ」

心理定規「? ……分かってるわ。それじゃ私は死なない程度に楽しむことにするから」

垣根「じゃあお前にはさっきのガキどもを追ってもらおう。俺の行く方向には絶対に来るなよ? 巻き込まない自信はないからな」

心理定規「了解。で、アナタはどうするの?」

垣根「俺は中枢部へ向かう。第4位と【能力追跡】を直接葬ってやるよ」



163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:38:12.09 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「絹旗! 助けに来たって訳よ! というか私を助けて!」

絹旗「フレンダ! 無事だったんですね! 私は肋骨のあたりが超ヤバいですけど。もうちょっと早く来てくださいよ!」

フレンダ「私がそう簡単にくたばる訳ないわ! それに助けてあげたんだから感謝しなさい」

絹旗「助けてくれたのには素直にお礼を言います。でもフレンダはかませなので、てっきりもうお亡くなりになったかと……」

フレンダ「こんなところに来てまでケンカ売って来なくても良いじゃない! 本当に絹旗はお子様だわ! ……あっ」

絹旗「フレンダも超お子様ですね。まぁとりあえず麦野に連絡しましょう。私たちだけでどうにかできる相手でもなさそうですし」

ザザザザッ

絹旗「麦野! 聞こえますか?」

麦野『絹旗! 聞こえるわよ! アンタ無事だったのね? さっきから連絡付かなくて心配してたんだから! ほら滝壺、連絡が来たわよ』



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 04:42:30.62 ID:8sFuFMmq0

滝壺『きぬはた! 良かった』

絹旗「すみません。敵に電波障害のようなものを撒かれていたみたいです」

フレンダ「結局、私が助けたって訳よ!」

麦野『フレンダも居るのね! アンタは無茶しすぎ! ……でも良くやったわ。後で好きなだけサバ缶食べさせてあげる』

フレンダ「絶対よ! 絶対だからね!」

絹旗「フレンダがどうとかはどうでもいいので超聞いてください!【 スクール】のリーダーの情報がつかめました!
   名前は垣根帝督、序列第2位の【未元物質】です!」

麦野『【未元物質】! あの茶髪野郎ね! ……絹旗も良くやったわ!』

フレンダ「私たちが姿をくらましたから、おそらく敵は中枢部へ向かうはずよ!」

麦野『アイツの能力は良く分からないけど、あとは私が何とかしてみせるわ。アイツを倒せるのは同じく超能力者の私しかいないし』

絹旗「いくら麦野でも滝壺さんを守りながらの戦闘は厳しいんじゃないですか? 私もそちらに向かいます」



168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:00:19.88 ID:8sFuFMmq0

麦野『大丈夫よ。それにもう間に合わないわ、敵が来たみたい。アナタ達はもう1人の方を抑えてちょうだい。
   それにさらに敵に侵入されるかもだから、警戒もよろしくね』ブツッ

絹旗「麦野! ……切れました」

フレンダ「麦野を信じて私たちは私たちの出来ることをするわよ!」

絹旗「それじゃあ“もう1人”の方をどうにかしましょうか。で、その“もう1人”というのは?」

フレンダ「ドレスを着た精神感応系能力者の女って訳よ! 攻撃自体を抑制されるから本当めんどくさい相手よ!」

絹旗「でも逆に考えると能力での攻撃は無いはず。私が防御に徹して時間稼ぎしましょうか?
   そうすれば麦野と第2位のタイマンに持ち込めます」

フレンダ「いや、心を操るという強力な能力なら発動条件も限られてくるはず。おそらくその条件は……」



169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:06:09.60 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

麦野「アンタが垣根帝督ね? 私の仲間が世話になったみたいじゃない?」

垣根「そういうお前は第4位か? それに後ろのそいつは能力を使えない能力追跡だな?」

麦野(滝壺が能力を使えないってことがバレてる。脅しで牽制を掛けることも出来なそうね……)

垣根「パッと見た感じ、近くに“ピンセット”はなさそうだな……。どうせお前ら二人は殺すけど、一応聞いといてやる。
   大人しく渡すつもりはあるか?」

麦野「無いわ。こっちにも引けない理由があるの」

垣根「どいつもこいつも口を揃えて同じことを言いやがる。何がお前らを突き動かすんだ?」

麦野「アンタに言っても分からないでしょうけど、どうせアンタはここで死ぬんだから教えてあげるわ」


麦野「私たちは暗部を辞めて、普通に暮らすのよ。超能力者とか大能力者とか無能力者とか、そんなの関係ない。
   つまらなくて楽しくて、簡単だけど難しくて、失って初めて恋焦がれる。そんな普通の生活を私たちは望んでいるの」



170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:10:37.65 ID:8sFuFMmq0

垣根「へぇ。それがお前らの願いってわけか……。クククッ、笑っちまうな」

麦野「何だって?」

垣根「笑っちまうって言ったんだよ第4位。超能力者のお前が“能力なんて関係ない”だと?
   天下の第4位様はさほど自分の立場が分かってないと見える」

麦野「自分の立場? 私は私、麦野沈利っていう一人の人間だ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ。
   お前ごときが人様の全てを分かったような口聞いてんじゃないわよ!」

垣根「ハンッ! お仲間とのオママゴトで頭がおかしくなっちまったようだな…。
   簡単に人間を殺すお前みたいな下衆にそのセリフは似合わねえ。だからな、その考えが間違っていうことを証明してやるよ! 本気でなぁ!!」バサッ

麦野(白い翼が生えた? あれがアイツの能力、【未元物質】だっていうの!?)

麦野「……お前こそ似合わねぇな、メルヘン野郎」

垣根「心配するな。自覚はある」



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:16:53.85 ID:8sFuFMmq0

垣根「行くぜ! せいぜい楽しませろよ!」ゴォ

麦野「来るわ! 私から離れないで滝壺!」

滝壺「うん」

麦野「くっ!(翼からの衝撃破? ただ一度羽ばたいただけでこれだけの力。第2位の称号は伊達じゃないわね。だったら電子の壁を作って…)」ブワン

垣根「ほう。【原子崩し】はそうやって壁も作れるのか。でもな、その程度だから第4位なんだぜ?」ビュン

麦野(今度は羽の高速掃射!? でもこれならビームで撃ち落とせる!)ビュン ビュン

麦野「次はこっちから行くわよ!」ビュン

垣根「そんな攻撃じゃ俺に傷一つ付けられねぇよ!」バサッ

麦野(ビームを翼で防御した!? しかも少し溶けたくらいで、本体には全くダメージが入ってない)

垣根「……おい第4位。悪いが今の攻撃でお前の能力は完璧に理解した。もうお前の攻撃は絶対に俺に届かねぇ。試してみるか?」

麦野「おもしれぇじゃねぇか!吠え面かくなよォ!」ピキッ

麦野「死ね!これが私の全力だァ!」ビュワーン!!

ゴオッ

垣根「この程度がお前の本気か?話には聞いてたが、やっぱり第4位と俺の間には大きな差があるみてぇだな。
   第3位にも本気だしゃ勝てるってのも、研究者の泣き言だろうよ」バサ

麦野(くっ! 今私が出せる最大出力の攻撃がこうも簡単に防がれるとはね)



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:22:15.26 ID:8sFuFMmq0

麦野「その翼なんでも出来るのね? アンタの能力はその翼を操る能力ってことで良いのかしら?」

垣根「まぁ近くもなく遠くもなくと言ったところだが、残念ながらハズレだ。ちなみに、俺の能力はこんなことも出来るんだぜ?」サラサラ

麦野(1枚の翼が粉になって崩れていく? 何が起こるっていうの? 爆発させるとかその適度の攻撃なら私の能力で防げる…)

垣根「潰れろ、【能力追跡】」ニヤ

滝壺「…うっ。むぎの…」ドサ

麦野「滝壺! この汗の掻き方、まさか体晶中毒の末期症状なの!? ……でもなぜこのタイミングで? まさか!?」バッ

垣根「体晶と同じ反応を起こさせる物質を吸い込んだら、体晶中毒の能力者はどうなると思う?
   まぁ実際には本物の体晶じゃねえから苦しませるのが精いっぱいだがな」

麦野「クソメルヘンが! 私に思い知らせたいなら、私に攻撃すれば良いものを! もう許さなねぇ!!」ビュン

垣根「!? 多方向への同時射出か。でもそんな攻撃通用しねぇ! お前の攻撃は完全に身切ってんだよ!」

ゴオンッ

垣根「……とは言ってもこんな砂ぼこりのなかで戦うのは得策じゃねぇな」バッサ

垣根「チッ、逃げたか。啖呵を切っておきながら追いかけっこかよ……。【アイテム】では今鬼ごっこが大流行ですってか?
   まぁ目的のブツを探しながら、追い詰めてやるとするか。そうすればアイツに掛ける負担も小さくなるだろうしな」



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:27:22.97 ID:8sFuFMmq0

   ◇   ◇   ◇

心理定規「はぁ。さっきから凄い音が聞こえるけど、あの人と第4位が戦ってるのかしらね?
     こっちも早く終わらせたいから、出てきてちょうだいな?」

フレンダ「いつから気付いていたの?」ジャリ

心理定規「うーん、あの人と別れて数分後くらいだったかしらね」

フレンダ「すぐに気づいてた訳ね」

心理定規「当たり前よ。あなたはまだ私の術中にある。この意味が分かるかしら?」

フレンダ「なるほど、アナタに対する私の心の動きですら察知できるのね。だからアナタに向けた殺意にもすぐに気づけたと」

心理定規「そうよ。私もアナタはこの手で始末しないと気が済まないから、少しでもお仲間から引き離させてもらったわ。
     さっき私に付けたキズ、10倍にして返してあげるわ」

フレンダ「それはこっちも助かったわ。アナタの弱点に気付いたのは私だけだから撃破ボーナスを他の奴に取られなくて済む訳よ」

心理定規「撃破ボーナス? 倒した数だけ賞金でももらえるの?」

フレンダ「そうよ。相手が重要であればあるほど、もらえる賞金は大きくなるわ。今回の場合、攻めてきた人数は二人だけど一人は第2位。
     それを差し引いてもアナタを倒せば報酬の1割くらいは本来の分け前にプラスでもらえるんじゃないかしら?」

心理定規「良いわね。うちにも取り入れてくれるよう頼んでみようかしら。でも今回はダメね。アナタを倒しても雀の涙にもならないわ」

フレンダ「結局、その程度の賞金もアナタは手に入れることは出来ないって訳よ! ここで倒れてもらうわ!」バッ



177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:32:50.57 ID:8sFuFMmq0

心理定規「また爆弾? でもアナタは私には投げられない。なぜならば私とアナタの心の距離単位は5。親子よりも近い存在になっている。
     仲間を大切に思うアナタはそんな相手に向かって爆弾を投げられる人間じゃないわ」

フレンダ「…」

心理定規「諦めなさいな。イレギュラーは存在するけれど私の能力はタイマンではほぼ最強。そしてアナタはそのイレギュラーでもない。
     もう勝負は着いたのよ。それともさっきみたいにまた逃げ続ける?」

フレンダ「そうね。もう勝負は着いてる。アナタの負けって形でね」

心理定規「何とでも言えば良いわ。それじゃもう死んでもらうわね」チャキ

フレンダ「拳銃? そんなもの使っても、私が爆弾を服の中に忍ばせてたらアンタも死ぬわよ? 直接体にナイフでも刺した方が良いと思うけど」

心理定規「そう言って私を近づけさせる気? そうやって私を罠にはめるのが私の攻略法なのかしら? ……だったら残念ね。
     アナタが自分の周りにトラップを仕掛けているのは分かってる。それに頭狙えば爆弾で心中することもない。それじゃあね」グッ

バン!!



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:38:35.09 ID:8sFuFMmq0

心理定規「うっ!? ……アナタは窒素装甲」

フレンダ「アンタの能力は対象の人間の心を操るもの。だったら結局、アンタに知覚されてない人間の攻撃だったら届くって訳よ!」

絹旗「だからフレンダがアナタに1対1だと思いこませ、その隙を私が後ろから突かせてもらいました。
   いくら強力な能力でも、私たち【アイテム】には敵じゃないです」

心理定規「最初からもう1人居たってこと? 私を騙したの…ね……」ドサッ


絹旗「ふうっ、何とかなりましたね」

フレンダ「何とかなりましたね、……っじゃないわよ! もう少しで私撃たれてたのよ!」

絹旗「いやー、間に合ったんだから超結果おーらいじゃないですか」

フレンダ「いやアンタはことの重大さを理解していないのよ! 第一絹旗はいつも…」

ザザザザー

絹旗「あっ! 麦野から連絡です。さっそくあの忌々しいエセホストを倒したとかいう連絡ですかね?」

フレンダ「人の話は最後まで聞け!」

麦野『…てんのよ!』



179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:44:32.47 ID:8sFuFMmq0

絹旗「フレンダ超うるさいですよ! ちょっと黙っててください! ……すみません麦野、ちょっと聞こえないです」

麦野『あの男どうなってんの! 全く攻撃が利かないんだけど!』

絹旗「麦野でも、…ダメでしたか……」

フレンダ「麦野……」

麦野『私はまだ負けてないわ! というか、アイツは何なのよ! 私もどうかと思うけど、アイツは常識通じなすぎ!』

滝壺『…落ち着いて、むぎの。むぎのは、…いつも熱くなりすぎ…だよ?さっき、…きぬはたにも言われ…てたでしょ?』

滝壺『…だから、落ち着いて。…みんなで作戦考えよ?』

麦野『……』

絹旗「そうですね。とりあえず私がさっき戦った時の話でも……。っと、その前に滝壺さんの呼吸が荒いみたいですが、大丈夫なんですか?」

麦野『あのクソメルヘンが体晶に近い物体を散布したらしいの。だから滝壺の症状が一気に悪化して、末期症状に陥っちゃったみたい』

フレンダ「じゃあすぐに病院に連れて行かなきゃ!」

絹旗「でもこんな時に病院になんて、って言ってる場合じゃないですね。麦野、残念ですがここは素直に引きましょう」



180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 05:49:12.62 ID:8sFuFMmq0

麦野『確かにね……。この状況で戦うにはあまりにも厳しすぎる。具体的な対策も思いつかないし、ここは引くしか……』

滝壺『ダメだよ…。ここで引いたら、せっかくのチャンスを…不意にすることになる…』

絹旗「でもそんなこと言ってる場合じゃないですよ!このままだと、滝壺さん、死んじゃうかもしれないんですよ!?」

フレンダ「もしそれで“ピンセット”を守りぬけても、滝壺が死んじゃったら私たちは実質負けよ。だったら…」

滝壺『むぎのは2日前に私に言ったこと、…覚えてる?』

滝壺『「私に無理やり能力を使わせた」って、…だから「ごめん」って。でも…それは間違ってるよ。だって私もアイテムの…メンバーなんだよ?』

滝壺『だから私もみんなの…役に立ちたい。私も一緒に戦いたい。私が足を引っ張るなんてこと、…したくない。
   私は【アイテム】の…切り札なんだから』


眠くなってきた
とりあえず切りの好い所まで投下します
こんなSSでも良ければ、夜まで保守とかお願いできませんかね?



181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 06:01:06.01 ID:8sFuFMmq0

麦野『もういいのよ。きっとまた暗部抜けのチャンスはやってくると思うし、ダメでも皆で追手から逃げればいい。だから少しくらい休みましょう?』

滝壺『ううん、私の気持ちは…それだけじゃない。私は皆を信じてる、…絶対に勝てるって。私は皆を信頼してる。
   私も足を…引っ張らない。だから…戦おう』

絹旗「滝壺さん……」

フレンダ「第5条ね。滝壺は昔からガンコなところがあるのよねー。麦野?」

麦野『滝壺にここまで言わせて逃げるだなんてもう出来ないわね……。いいじゃない、やってやるわ!』

麦野『それじゃ、絹旗! さっき戦った時の情報を教えてれる?』

絹旗「はい! 正直言ってあまり情報は得られなかったんですが、電波の妨害、謎の爆発、高い防御性能の3点を確認出来ました」

麦野『私たちの時も似たようなものね。こっちは翼が生えて、衝撃破、最大出力の攻撃をも防ぐ翼での防御。
   あとは物質の散布ね。どう思う?』



182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 06:06:22.60 ID:8sFuFMmq0

絹旗「私の時は翼なんか生えてませんでした。ますます訳わかんないですね……」

フレンダ「私は直接見た訳じゃないからよく分からないけど、その情報から考えると“好きな性質の物質を作る能力”ってのが妥当じゃないかしら?」

麦野『“好きな性質の物質を作る能力”? 能力名からもそんな感じするけど、どうかしら?』

絹旗「……あー!! 超思い出しました!」

フレンダ「いきなり大声出すんじゃないわよ! 後ろでのびてる女が起きたらどうするのよ!」

絹旗「麦野は私の過去について知ってますか? 気にしてないので、ぶっちゃけてください」

麦野『まぁ、知ってるわよ……。【暗闇の五月計画】だったかしら? それがどうかしたの?』

絹旗「そうです! その時聞いたことがあるんですよ! 私の能力は第1位の演算パターンを元に最適化されたんですが、その過程で第2位も予備候補に挙げられてたんです!」

麦野『それじゃあ、あいつの能力の正体が?』

絹旗「はい! 第2位【未元物質】は“この世に存在しない物質を作る”能力です! フレンダの予想は超アタリです!」



183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 06:11:57.66 ID:8sFuFMmq0

フレンダ「絹旗! お手柄じゃないの! たまには絹旗も役に立つのね!」

絹旗「それがさっき助けてもらった人間のセリフですか! それにそれだけじゃないんですよ!」

麦野『それだけじゃない? どういうこと?』

絹旗「第2位の弱点です! 実は【未元物質】という能力は第1位の【一方通行】よりも一部では高く評価されてるんです。
   でも垣根が第2位なのには理由があって…」

フレンダ「そんなことはどうでもいいから、もったいぶらずに早く言ってよ」

絹旗「フレンダはいちいちうるさいですね……。それで第1位と第2位の間にある絶対的な壁。それは演算能力なんです!」

滝壺『でも私たちよりも…演算能力は高いはず。それで肝心の攻略法は?』

絹旗「それはですね!…演算能力が弱点って訳だから、それは、えーっと……」

フレンダ「結局、絹旗は絹旗って訳よ……」ハァ



184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 06:17:19.55 ID:8sFuFMmq0

麦野『いや見つけたわよ、アイツの攻略法』

フレンダ「麦野! さすがね、どっかの誰かと違って」チラッ

絹旗「ぐぬぬ……」

麦野『ちなみにこの作戦は私一人じゃ成り立たない。アンタたちにも役に立ってもらうわよ!』

絹旗「任せてください! まだまだ私は戦えます!」

フレンダ「私は麦野のためなら何だって出来るわ! 何でも言ってちょうだい!」

滝壺『私も?』

麦野『ええ。でもアンタは切り札よ。なるべくその状況にならないようにするわ』

滝壺『分かった。その時はがんばるよ』

麦野『それじゃ、作戦の説明をするわね!』

   ◇   ◇   ◇



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 14:30:06.42 ID:NT1QB1E60

垣根帝督は暗い研究所の中を、至る所を眺めながらもう20分も歩き続けている
退屈だ、あいつらは何をやっているんだ、そして心理定規は…
そんな思いがぐるぐると頭の中で回る
しかし退屈が極限状態に陥る寸前、ようやく目の前に麦野沈利が現れた

垣根「ようやくお出ましか、第4位。てっきりもう尻尾巻いて帰ったのかと思ったぜ…」

麦野「うるせぇよ、メルヘン野郎。お前程度の小物相手にこの私が逃げるわけねえだろうが」

ザザザッ

フレンダ『麦野!こっちは女の方と戦闘中って訳よ!でも戦況は芳しくないわ!絹旗を助っ人に呼んでちょうだい!…麦野!聞いてる?麦野!』

麦野「…」バキッ

垣根「おいおい、いきなりトランシーバーぶっ壊して仲間を見捨てる気か?
   さっきまで仲間と一緒に楽しく暮らすとか言ってた奴がそんな真似とは、よほど俺を笑い死にさせたいと見える」

麦野「そうね。悔しいけどアンタの言ったとおりだったわ。所詮仲間なんて代えの利く道具に過ぎなかったわ」

垣根「そんなことを言いながら【能力追跡】はしっかりと逃がしてやがるし、何を考えてやがるんだ?」

麦野「フン!ただ巻き込みたくないだけよ」

垣根「良いだろう。来いよ」バサッ

麦野「さっきは滝壺が居たから本気出せなかったしね。今度遠慮なく行かせてもらうわ!」



205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 14:38:44.83 ID:NT1QB1E60

ダッ
 麦野は垣根に向かうのではなく、後方へと走った
 そして3mほど先の曲がり角でその姿が消える

垣根「……また鬼ごっこか? いい加減にこっちは飽きてんだよ!」ビュン

 垣根は麦野の行動に飽き飽きしつつも、未元物質で出来た翼をはためかせ後を追う

垣根「なんだこりゃ?」

 角を曲がった垣根の前に全く予想しなかった光景が広がる
 そこには優に20を超える直方体が乱雑に置かれていた

麦野「この中のどれか一つが本物の“ピンセット”よ? ちなみに私もどれが本物か分からないわ」

垣根「20個も30個もダミーを用意して何がしたい? 
   撹乱のつもりだろうが、お前を殺して一つ一つ確認していけばどうってことはねえ。逆に在り処を教えてくれて助かったな」



206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 14:45:46.27 ID:NT1QB1E60

麦野「私が教えなかったらどうするつもりだったの?」

垣根「そん時はお前を殺した後に残ったメンバーに心理定規の能力でしゃべらせて終わり、って感じだな。どの道お前らはもう積んでんだよ」

麦野「そうかしら? 私にはまだ勝ち目があるように思うけど?
   例えばここで私がアンタを殺して、フレンダがその心理定規とか言う奴を殺せば任務終了よ?」

垣根「お前にこの俺が殺せると思ってんのか? 助けを呼ぼうにも、こんな薄暗い世界にヒーローなんてものはやってこないんだぜ?」

麦野「…てやるわ」

垣根「あん?よく聞こえねえぞ?怖じ気づいたのか、第4位」


麦野「だったら、私がヒーローになってやるって言ったんだよ!」

 ついに学園都市の頂点に立つ超能力者同士がぶつかる



207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 14:52:48.95 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

絹旗「ふう。とりあえずこれで準備はおっけーです。あとは麦野を信じるだけですね」

滝壺「きぬはた。早かったね」

絹旗「滝壺さんとフレンダですか? そちらは準備できましたか? それと体の方は?」

滝壺「どっちも大丈夫。それに私は保険だから準備することは少ないし」

フレンダ「当たり前よ! もう麦野への連絡は済ませたし、この私がミスをするなんて、……ことはよくあることだけど、今回はいくらなんでも失敗できないわ!」

絹旗「そうですね、今回だけは何があっても失敗できない……。それにしても麦野も良くこんな突拍子も無い作戦思いつきましたね」

フレンダ「結局、さすがは私の麦野って訳よ! 天下のレベル5の頭脳を舐めちゃいけないわね。あと滝壺も!
     滝壺がああ言ってくれなかったら、本当に私たちは逃げてたかもしれないわよ」

絹旗「滝壺さんさまさまですね。では、私はそろそろ所定の位置に行くことにします。
   私が消耗していることを見抜いて一番楽な役をくれたのに、間に合わなかったじゃ麦野に半分こにされちゃいますからね」

フレンダ「そうね。勝負は一瞬、その一瞬で全てが決まる。健闘を祈るわ!」スッ

絹旗「なんですか? その手は?」

フレンダ「握手よ、握手!滝壺と二人でしたかったんだけど、仕方がないから絹旗も混ぜてあげるわ。
     アンタとはいがみ合ってばかりだったけど、最後ぐらい認めてやんなきゃと思ってね」



209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 14:58:58.48 ID:NT1QB1E60

滝壺「ふれんだ、それは死亡フラグって言うんだよ」

絹旗「フレンダの死亡フラグに私たちも巻き込まないでくださいよ」

フレンダ「二人とも酷い!!」

滝壺「冗談だよ。ほらきぬはたも」スッ

絹旗「フレンダが超かわいそうなのでして上げますよ。本当はしたくないんですけど、超仕方なくですからね!」スッ

滝壺「ほらね、ふれんだ」

フレンダ「あはは。結局、滝壺は何でもお見通しって訳ね」

絹旗「? ……二人して何で超ニヤニヤしてるんですか? こんな時も緊張感ないですね」ムー

フレンダ「すぐに拗ねる所……。アンタはこんな時でも変わらないわね!」ギュ

絹旗「フレンダは超らしくないですね」ギュ

滝壺「私はみんなを信じてるよ」ギュ



210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:05:23.11 ID:NT1QB1E60

フレンダ「フン! それじゃあね。よっこらせ」ズシッ

絹旗「あっ! それと……」

フレンダ「何よ」

絹旗「これからもよろしく頼みますね」

フレンダ「!? まぁ気が向いたらね!」プイッ

絹旗「それじゃ私たちも行きましょうか」

滝壺「うん。きぬはたも気をつけて」

絹旗「私は超大丈夫です。滝壺さんも、いざというときは頼みますよ!」

滝壺「任せて。それじゃ」

絹旗「……」



211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:11:53.24 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

垣根「オマエがヒーローか。いいじゃねえか、お姫様を守って見せろ!」

麦野「お姫様とか、お前は心底メルヘンなんだな。……じゃあ私は魔法の薬でも使わせてもらおうかしらね」スッ

垣根「なんだそりゃ? ……まさか体晶か?」

麦野(滝壺たちとの約束、破っちゃったから、後で謝らないとね)

麦野「正解。もうなりふり構ってらんないのよ」サー

 麦野が体晶を飲んだ瞬間、全身からあらゆる方向へ、何万本もの光線が一斉に発射される

垣根「ちっ。オマエと心中するつもりはないから、すぐに終わらすぜ」ビュン

 垣根は未元物質を固めた羽を掃射するが、圧倒的なエネルギー量を誇る光線の前ではそれもかき消されてしまう

麦野「くらえ!」

  垣根が怯んだ一瞬の隙を突いて、麦野は多方向へ発射していた光線を垣根へと集中させる

垣根「体晶で強化しようが、オマエの攻撃は俺にきかねえよ!」バシュン

麦野「(出力をただ上げただけじゃダメか)だったらこれはどうかしら!」

 垣根に光線を防がれた麦野は、光線の照準を垣根から、予想外の物へと向けた



212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:21:13.17 ID:NT1QB1E60

 それは“ピンセット”と思われる直方体に向けてだった

垣根「!? 血迷ったか! “ピンセット”に向かってビームを撃つとは、任務を遂行させる気がなくなったのか?」

麦野「ハズレね……」

 麦野はそう呟くと、別の直方体へと体を向ける
 先ほど光線を浴びた直方体は無残にも溶けて中身が露出している

麦野(ここが第1の綱渡り。きちんと全部守ってちょうだいよ、垣根帝督……)

垣根(くっそ!無視して本体を攻撃したいんだが、こっちの目的は“ピンセット”を手に入れることだ。
   別に第4位が死のうが生きてようがどうでもいい!それに、アイツは本当にどれが本物か分からないのか?
   ハズレだけを狙って撃ってる可能性もある。はたまた本物は他の場所に隠されている可能性もある)

垣根(だが、そんなこと考えてちゃキリがねぇ。だったら、この中にあるらしい本物を守ることが最優先だ!
   本当にこの中にあって壊されちゃいました、なんてことになったら笑えねぇ)

 垣根は発射される麦野の光線を翼で次々に受け止め、直方体一つ一つを守っていく
 麦野の照準を合わせる速度が遅いことが幸いし、垣根の高い能力ならば全て受けきれる



213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:31:36.58 ID:NT1QB1E60

麦野(よし! 防戦に回ってくれたわね! 頼むわよ、フレンダ!)

フレンダ(ようやく私の出番って訳よ。この役割を与えてくれた麦野の期待に答えてみせるわ!)

バカン!!
 そこに別の方向から爆弾が投下される

垣根(ちっ誰だ、爆弾放ってる奴は! フレンダとか言う奴は心理定規と交戦中だから【能力追跡】か【窒素装甲】か。
   どちらにしよめんどくせえことには変わりねぇな。第4位のビームと爆弾の両方から守らなきゃならねぇ)

 しかし垣根は麦野の光線を翼で受け止めながら、羽の掃射で投げられた爆弾が爆発する前にを処理していく

麦野(やっぱりこの程度の連撃じゃあ、アイツは止まらないわね……。
   でもこれで第2の綱渡りは突破! そしてこのまま続けていればだんだんと余裕のない状態になるはず!)
 
 二人の行動は垣根を余裕のない状態へと追い詰めていく

垣根(ちっくしょ! このままじゃ埒が明かねぇ。どうにかして突破しねぇとな……)

 しかし、そこで麦野からの光線が途絶える

垣根(おや、ビームが止んだ。体晶の副作用か? そもそも第4位に何の資質もねぇだろうしな。だったら…)

垣根(爆弾が投げられた方向から逆算して先にもう1人を殺す!)

 垣根はその一瞬を見逃さず、爆弾が投げられた方向へ自らの翼を向け一気に切りかかる
 それは容赦も躊躇いもなく完全に相手に殺意を向けた、必殺の一撃だった
 しかしそこにいた人物に垣根は攻撃を加えることは出来ない
 なぜならば…



214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:40:14.91 ID:NT1QB1E60

垣根(なっ! コイツは心理定規! 別のガキと戦ってるはずじゃ……)

 垣根が攻撃を仕掛けた相手は心理定規だった
 しかし心理定規が垣根に向け爆弾を投げつけていた訳ではない
 実際に爆弾を投げてきたのはフレンダだが、麦野の攻撃が止んだ瞬間、フレンダは心理定規を盾にしたのだった
 これが第3の綱渡り。心理定規もろともフレンダに攻撃を加えられたらアイテムの敗北となる
 そしてさらなる刺客が現れる

絹旗「おりゃー!! ……麦野! 今です!」

 絹旗は【窒素装甲】で腕力を補い、大きな風呂敷包みを垣根の真上へと放り投げる
 空中で風呂敷はほどけ、中に入っていたシリコンバーンはバラバラと空中に散らばる
 絹旗は一人研究所外の車へ戻り、必要な物資を届ける役割を果たしていた

麦野「任せて!」

 麦野の攻撃が止んだのは体晶の拒絶反応に見舞われた訳ではなく、能力を使って垣根の真上へと飛ぶためであった
 垣根は全身全霊を掛けた攻撃を止めたために反応できない

麦野(上空から本気でぶっ放す!死になさい、第2位!)

 麦野は体晶で強化された光線をシリコンバーンを通して垣根へ射出しようとする
 垣根は翼での防御ならば麦野の攻撃を防ぐことは出来るが、未元物質で覆っているとはいえ生身で受けたらひとたまりもない
 麦野の放った渾身の一撃は複数のシリコンバーンによって網目を縫うように変化し、その翼をくぐり抜け本体へと向かう
 それがこの攻撃の筋書きだった
 この一撃のために麦野たちは様々な要素を積み上げ、垣根が演算を出来ない状況を作り出した
 “演算の出来ない状況を作る”、それがただ一つの【未元物質】の絶対的な防御を攻略する方法だった



215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 15:48:35.83 ID:NT1QB1E60

 そして第4の綱渡り。この一撃の前に麦野の体は体晶の侵食に耐えられるかどうか
 しかし無常にも最後の瞬間にそれは訪れる。麦野は体の中でドクンと何かが弾けた

麦野(……ぐっ!? こんなときに)

 この瞬間、麦野に体晶の拒絶反応が襲いかかる
 当然そんな状態で完璧な照準など合わせることは出来ない
 そこに【アイテムの切り札】が舞い降りる

滝壺「大丈夫だよ、むぎの」

 本来滝壺は体晶無しでは能力の行使は不可能だった
 体晶の副作用に苦しみながらも、それに頼らざるを得なかった
 しかし仲間の窮地に滝壺は自分の能力の本質に気づく

滝壺(私の能力、ずっと不思議だった。なぜ誰かを探す力なのか、なぜ誰かの世界に足を踏み入れる力なのか……。
   でもやっと気づいた。私はずっと、誰かの心の中に居たかった。そう願っていんだ!)

 滝壺は理解する、どうすれば仲間を助けられるのか、どうすれば仲間の役に立てるのかを
 たった一度の奇跡かもしれない。だが確かにこの瞬間、能力追跡は誰の力も借りることなく己の脚のみで立ち上がる

滝壺「私は命を懸けて私たちを守ってくれるむぎのを応援してる」

 麦野は感じた
 自分の頭の中を操られるような気持ちの悪い感覚ではなく、誰かに抱きしめられるような温かい感覚を
 麦野は気づいた
 それがずっと求めてきた本当の仲間の温かさだと

 そしてついにその一撃が放たれる



217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:02:30.28 ID:NT1QB1E60

 細く尖った光線は翼を掻き分け、垣根を取り囲み命を狩る
 凄まじい衝撃が起こり、砂ぼこりが舞う
 麦野は自らの攻撃で吹き飛ばされ、地面に叩き付けられる
 その衝撃に体は大きく揺れ、目の前もうまく見えない

 しかし、その中でも3人は手繰り寄せられるかのように麦野の元へと集まった

絹旗「麦野! しっかりしてください!」

フレンダ「麦野、死んじゃ嫌だからー!」ウワーン

麦野「大げさよ、大丈夫。……なんて言えないわね。それより滝壺は大丈夫? アンタ、能力使ったでしょ」

滝壺「うん、でも私は大丈夫。麦野、こんな時ぐらい自分の心配をしようよ」

絹旗「もう二人とも超無茶しすぎです! 麦野が体晶使うのも筋書きになかったじゃないですか!」

フレンダ「あはは、滝壺は本当にお母さんだわ! それで、アイツは倒せたのかしら?」

絹旗(フレンダ、それは超死亡フラグなんですけど……)



218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:10:43.04 ID:NT1QB1E60

 次の瞬間、垣根を中心として広がっていた砂ぼこりは一瞬の内に払いのけられる
 砂ぼこりが晴れた先にいたのは、体中から血を流しながらも立つ垣根帝督だった

垣根「おもしれぇ! 第4位! オマエおもしれぇよ!!」

フレンダ「くそっ! あの攻撃を受けても死なないとか…」

滝壺「化け物…」

垣根「殺すのは惜しいがなぁ、俺の目的を邪魔する奴は一人残らず殺してやるよォ!!」ゴォ
 
 垣根は自らの怒りで体を震わす
 6枚の翼は爆発的に変化し、数十メートル先まで展開する
 神々しい光を放つも、同時に無機質さをも秘める翼を前に絹旗は声を上げた

絹旗「逃げましょう! あの作戦でも倒せなかったなら、もう無理です!」

フレンダ「だったら直ぐに行くわよ! 絹旗は滝壺をお願い! 私は麦野を! ……麦野?」

垣根「へぇ…、まずはオマエからか。第4位!」

 垣根に背を向ける三人に対して、麦野は一人立ち上がり垣根に立ち向かう



219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:16:22.74 ID:NT1QB1E60

垣根「さすがは【アイテム】のリーダーだな。だが、安心しろ。すぐに他の奴も追わせてやるよォ!!」

麦野「まだ闘うつもり? こっちには体晶を使った第4位と体晶無しでも能力が使える【能力追跡】が居るんだけど?」

絹旗「麦野! 何やってんですか!? もうここは私が脚止めしますから!
   フレンダは二人をお願いします!」

垣根「何だ? ハッタリか? ……まぁハッタリかどうかは試せばすぐに分かるよな!」バサッ

 変質した垣根は初めての獲物を求めて麦野へと振りかざす

滝壺「麦野!」

垣根「とはいえ、心理定規も捕まっている状況じゃ、分が悪いことは確かだな……。
   でもな、お前達を殺すこと、心理定規を取り返すこと。両方あわせて1秒もかからないぜ?」

麦野「そうね。でも滝壺の能力でアンタの【自分だけの現実】に干渉すればアンタは能力を使えない。
   その隙に私がビームを叩き込めば死ぬのはそっちよ?」

フレンダ「……そうよ! それに少しでも動いたら心理定規の命は無いわ! 試してみてもいいけど?」ジャキ

垣根「……」

麦野「……」



220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:22:44.74 ID:NT1QB1E60

垣根「いいぜ。見逃してやろう」

フレンダ「麦野!」

垣根「だが、交換条件がある!」

麦野「なに?」

絹旗「まさか“ピンセット”を出せ!とかじゃないですよね……」

垣根「ソイツを、……心理定規を返してくれないか?」

麦野「!? ……何? 第2位は仲間を使い捨てるくせして、この子がそんなに大事なの?」

垣根「……。ソイツが居なくなったら今後の活動に支障をきたすからな。
   ソイツさえ返してもらえれば、お前らを見逃すことを約束しよう。加えて、ブツも預けといてやる」

麦野「いいわ。信用してあげる。フレンダ」

フレンダ「分かったわ、麦野」

 フレンダは心理定規を抱えながら、警戒しつつも垣根の元に向かい彼女を渡す
 垣根はフレンダには目もくれず心理定規だけを見つめ、受け取った



222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:30:01.30 ID:NT1QB1E60

垣根「おい。大丈夫か?」ユサユサ

心理定規「うーん……。ごめんなさい。邪魔…しちゃったみたいね……」

垣根「気にするな。ほら、帰るぞ。立てるか? 肩を貸してやる」

心理定規「何とか立てそうよ。ありがとう」

垣根「……そうだ。第4位、最後に忠告してやる」

麦野「何かしら?」

垣根「お前の理想は叶いやしない。なぜならばここは学園都市だからだ。
   お前が麦野沈利だという人間である以前に、お前は【原子崩し】なんだ。
   その事実を絶対に忘れるな。きっとお前はいつかその事実に直面することになる」

麦野「肝に銘じておくわ。でも、私は絶対に夢を叶えてみせる」

垣根「フンッ! 絶対に後悔するなよ? じゃあな。いつかこの借りは返しに行く」



223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:38:26.04 ID:NT1QB1E60

絹旗「はぁ……。やっと終わりましたね。それにしても麦野! ビックリさせないで下さい!
   いきなり超強そうになった第2位に対してハッタリかましに行くなんて! こっちはもう全員満身創痍じゃないですか!」

フレンダ「そうよ! あの女を返してもアイツが攻撃してきたらどうするつもりだったのよ!
     まず最初にやられるの私じゃないの!」

麦野「大丈夫よ。だったら戦闘中にアンタも一緒に叩き殺されてるわよ?」

フレンダ「まぁそうだけど……」

滝壺「ふれんだにあの子を殺すって言われたとき、かきねのパーソナルリアリティは物凄く不安定だった。
   きっと動揺してたんだと思う、あの子を殺されるかもしれないって思って」

麦野「きっとアイツもああ言ってたけど、心のどこかで望んでるのかもしれないわね。
   いや、アイツだけじゃない。私たちを含め、暗部の連中にはどこかしらその思いがあるはず。
   超能力者だからって特別扱いされずに、本当の仲間が出来る世界を望む、その思いがね」



225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:44:29.02 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

垣根「わりぃ……、失敗しちまった。これでしばらく計画が止まっちまうな」

心理定規「らしくないわね、私に謝るなんて。それに今回の失敗は完全に私のミスよ。覚悟は出来てるわ」

垣根「いや、お前を一人で出歩かせた俺のミスだ。アイツらの力を過小評価していた」

心理定規「あら? 明日は雨どころか、槍でも降るのかしらね?」

垣根「うっせえ! ……ていうかお前、体は大丈夫なのか?」

心理定規「気絶させられただけみたいだから思ったより平気よ。私にはアナタの方が重症に見えるわ。体中から血が出てるじゃない」

垣根「俺は大丈夫だ。【未元物質】で傷口を覆っているからな」

心理定規「相変わらず何でもありの能力ね」

垣根「ああ。俺の【未元物質】に常識は通用しねえんだよ」



226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:52:51.38 ID:NT1QB1E60

   ◇   ◇   ◇

滝壺「さっきのむぎの、とってもかっこよかったよ」

フレンダ「そうよね! 『だったら、私がヒーローになってやるって言ったんだよ!』って、超痺れたわよ」

麦野「止めてちょうだい!何だか恥ずかしいし、それに結局滝壺に助けてもらっちゃっしね。
   だから私はヒーローである資格はないわ」

滝壺「そんなことないよ。私にとって、むぎのはヒーローだよ」

絹旗「滝壺さん、ズルイです!麦野は私のヒーローですよ!」

麦野「ありがと。でもいつかアンタ達にも本当のヒーローがやってきてくれるわ。
   それまでだったら、私が代わりになってあげるわよ///」

フレンダ「白馬の王子様って奴ね! 滝壺には来てくれると思うけど、絹旗には来てくれないんじゃない?」

絹旗「さっき和解したばっかなのにもう悪口ですか! 超許さんです!」

滝壺「むぎのはどんな人がいいの?」

麦野「ヒーローの話?……だったら、私を2回殺しても生きていられるくらいの男かしらね?」

滝壺「はぁ…。むぎのは行き遅れ決定だ…ね……」フラッ



227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 16:59:12.53 ID:NT1QB1E60

麦野「滝壺!」ガシッ

滝壺「ちょっと眠くなっちゃったな…」ウトウト

麦野「しょうがないわね……。私がおぶってあげる」

絹旗「麦野超ずるいですよ! 私も滝壺さんをおんぶしたいです! というか麦野も今にも倒れそうじゃないですか」

フレンダ「じゃあ麦野は私につかまって! ほら!」ジュルリ

麦野「そんな心配しなくても大丈夫よ。最後の攻撃の時滝壺が助けてくれた。だから今は私に滝壺を任せて。
   フレンダのお世話になりたくないしね」

絹旗「まぁそういうことなら、残念ですが麦野に譲りますよ」

フレンダ「結局、最後までデレなかった訳よ……」シクシク

滝壺「麦野あったかい……」フワワ

麦野「滝壺。体の調子はどう?」



237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 19:00:12.38 ID:NT1QB1E60



滝壺「なんだか眠い。麦野の背中が心地いいからかな? 少し寝てもいい?」

麦野「眠いね……。はぁ…、良いわよ。私が責任もって守ってあげるわ」

絹旗「私もいますよ! それにしても滝壺さん超大物ですね」

フレンダ「ほんと滝壺はだらしないんだから。どこでも寝るし」

滝壺「でも寝る前に、みんなに伝えたいことがあるの」

麦野「あら、滝壺の方から? 急に改まってどうしたのかしら?」

絹旗「そうですよ。滝壺さん、麦野ほどじゃないけど結構ズバズバ言うタイプじゃないですか?」

フレンダ「あららー、きぬはたぁ? そんなこと言うと今に麦野が「きーぬはたぁ」って………、あれ? 来ない?」



228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 17:05:15.19 ID:NT1QB1E60

滝壺「“ありがとう”、みんな」

麦野「何言ってるのよ。こちらこそ“ありがとう”よ」

絹旗「“ありがとうございます!” いつも助けてくれて、そして今回も助けてもらって」

フレンダ「結局私も“ありがとう”って訳よ!」

滝壺「あはは、そうなったらまた私も“ありがとう”返さなくちゃね」

麦野「あはは! そうね。だからこれからもずっと一緒に居るわよ? 一人になんかさせないんだから!」

絹旗「私もずっと一緒です! 一人だけ中学校ですけど」

フレンダ「そうよねー? 絹旗は超子供だからねー?」

絹旗「また“超”を勝手に使って! 今度こそ超懲らしめてやります!」ウガー



229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 17:15:52.85 ID:NT1QB1E60

麦野「ほら、明日からずっと楽しい毎日よ? 久しぶりに学校行って、放課後はカフェでだべって、夜遅くまで遊んで。
   それこそ寝るのが惜しくなっちゃうくらいに」

滝壺「そうだね。私も明日からの生活が楽しみだな。だから私が眠ってても、また起こしてくれるよね?」

絹旗「いっつもそうじゃないですか! もう! 滝壺さんは超ねぼすけさんですね!」

麦野「そうよ。滝壺はどこでも寝るからね。今日もこんな所で寝ようとして」

滝壺「今日はとても疲れたからね」

フレンダ「それは私たちも一緒よ。でも今日だけは許してあげるわ。ねっ、麦野?」

麦野「しょうがないわね…。じゃあお休み、滝壺」

滝壺「うん、お休み。みんな」

 ここは少女たちがお互いを信頼し合い明日を見据える世界
 もし麦野がもう少し優しかったら
 もし滝壺がもう少し早く気づけたら
 もし絹旗がもう少し強かったら
 もしフレンダがもう少し仲間思いだったら
 元の世界でも違った物語が続いていたかもしれない
 そしてこちらの世界でも物語は紡がれていくだろう
 新たなるヒーローを加え、彼女たちの理想の世界へと続く物語が



230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 17:27:57.15 ID:NT1QB1E60

絹旗「……っていう映画撮りましょうよ!」

麦野「良いわね! 面白そう!」

滝壺「えー、私病気の人の役なの? やだなー」

フレンダ「主役なのに贅沢って訳よ! 私なんて空気読めないキャラになってるじゃない!」

浜面「俺なんて全く登場してないぞ! 未元物質の野郎はめちゃくちゃ活躍してるのによォ!」

絹旗「浜面は超浜面なのでずっと裏方です。ちなみに彼のギャラは1千万で、浜面のギャラは1万です」

浜面「千分の1ィ!? 俺っていつもこんな感じだわ…」

麦野「それじゃ、さっそく明日から撮るわよー!!」

みんな「おー!!」


垣根「おいおい心理定規! 俺超イケてんな! 窒素装甲の奴もやりゃできるじゃねぇか!」

心理定規「そうね」ペラペラ

垣根「だろ? …で、お前は何でさっきから札束数えてんだ? 1千万くらいありそうだけど」

心理定規「ふふふ……。さぁ、何ででしょうね?」

垣根「?」



231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 17:29:53.95 ID:NT1QB1E60

これでおわりです
何とか完結させられてよかった・・・
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました



235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 18:40:17.59 ID:hnWJsdkJO

完全に書きためてから投下、PCが規制されたらもしもしで投下、挙げ句にはわざわざネカフェまでいって投下、ホンマにSS投稿者の鑑やでぇ






236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 18:41:45.24 ID:NT1QB1E60

まだ残ってる
最後に完全なオナニー

むぎのんって原作だと火力バカみたいなポジションで、レベル5の頭脳があるのに生かされていないなー
だったら、むぎのんに頭脳プレーをさせよう
ていとくんって原作だとかませですぐ殺されちゃうなー
でもかっこいい悪役やらせたら面白そう

こういう思いでこのSSを書きました
それが少しでも伝わったらいいな

支援してくれた方、保守してくれた方
ありがとうございました
ではこれで失礼



239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 19:28:17.73 ID:A7CqUlsPO

乙のん



240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 19:29:46.95 ID:8m47bCoI0

乙!



241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/06(日) 19:40:37.67 ID:5aHCNiMk0

乙じゃん

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲(6)

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          • 1.  
          • 2011年02月07日 15:06
          • 麻薬はいかんぞ麻薬は。代わりに気持ち良くなる薬をやろう
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年02月08日 00:43
          • タイトルからギャグ物だと思ったらいい話だった
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2011年02月08日 14:19
          • 面白かった
          • 4. ああああ
          • 2011年02月09日 07:06
          • よかった!
            スパイラル思い出した
          • 5. き
          • 2011年02月10日 21:59
          • 超乙です!次があるなら楽しみにしてます。
          • 6. エレ速
          • 2011年02月24日 21:42
          • 面白かった!乙!
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年04月21日 09:01
          • 5 状況は二転三転する。
            全く先とオチが読めない。
            それが面白い。
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年06月25日 14:40
          • 体晶=餅

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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