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咲「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」【前編】

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 21:49:34.00 ID:TRe0YZqU0

咲「ええっ? お姉ちゃんが事故に遭った!?」

ハギヨシ「はい。彼女は現在、我々龍門渕グループの息のかかった病院に搬送されています。
今から私がその病院までお送りいたします」

咲「は、はい…よろしくお願いします」

バタンッ ブロロロロロロロロ…

咲(お姉ちゃん、どうか無事でいて…!)



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 21:53:45.21 ID:TRe0YZqU0

長野の病院

透華「お待ちしておりましたわ!」

咲「りゅーもんさん! お姉ちゃんはどうなったんですか!?」

透華「ご安心なさい、そこの病室で眠っていますわ」

照「スー…スー…」

咲「ケガは大丈夫なんですか?」

透華「医師によれば、命に別状はないとのことですわ」

咲「よかった…」

透華「ただ一つ問題がありますの」



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 21:59:08.40 ID:TRe0YZqU0

透華「彼女は事故のショックで、深い昏睡状態ですの。ヘタをすれば一生このまま…」

咲「そんな……何とかならないんですか?」

透華「この龍門渕の医療技術は世界一ですから、方法がないわけではないですわ。
ただ非常に特殊な手術になるので、かかる費用は莫大でしてよ?」

咲「そうなると、ウチはお金少ないし、たぶん払えないですよ…」

透華「そこで、あなたに提案がありますの。 ある条件と引き換えに、手術費をタダにしてさしあげますわ」

咲「そ、その条件って一体……?」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:05:02.64 ID:TRe0YZqU0

透華「あなたに、白糸台高校にスパイとして潜入してもらいたいのですわ」

咲「ええっ!? お姉ちゃんの高校にですか?」

透華「知っての通り、我が龍門渕高校は県代表としてインターハイに出場します」

先日の県予選で、咲の清澄高校は決勝まで勝ち上がったものの、
天江衣を筆頭とする龍門渕の圧倒的な力の前に敗北を喫していた。

そんなわけで、今年の長野の代表は龍門渕高校なのである。



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:08:06.27 ID:1d9U3UxF0

どらえもん!バトルドームもでt



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:49:23.81 ID:Gw64iMc7O

>>7 
わかるwww



387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:54:52.95 ID:tA3WotfP0

>>7
あれなんで途切れるんだろうなw



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:12:32.60 ID:TRe0YZqU0

透華「全国で一番の強敵になるであろう、白糸台のレギュラーメンバーの情報を、
あなたに収集してほしいのですわ」

咲「でも、私にスパイなんて無理ですよ」

透華「この作戦はあなたにしか出来ないのですわ。 何故なら……」


透華「今からあなたと宮永照の顔を交換するのですから」

咲「ええっ!?」



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:16:18.33 ID:TRe0YZqU0

透華「より正確にいえば、顔の表面の皮膚をはがして移植するのですわ。
我が龍門渕の技術をもってすれば、簡単な事ですの」

咲「そんな無茶な……」

透華「体格は似ているし、声は小型変声機を喉に埋め込んで変えますの。
なにより、あなたは姉の性格を熟知している……これほどの適任者はいませんわ!!」

咲「でも…でも…」

透華「それとも、自分の姉がこのままでいいですの?」

咲「そ、それは…」

透華「どうなんですの!?」

咲「……わ、わかりましたよぅ」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:23:49.69 ID:TRe0YZqU0

こうして、姉妹の顔を交換するという前代未聞の手術が行われた。

手術後――

透華「さあ、鏡を見て」

照(咲)「わっ……お姉ちゃん?」

透華「どうかしら、自分の姉になった感想は?」

照(咲)「すごい……これ、私なんですよね?」

透華「移植による拒絶反応もなんとか押さえられましたわ。さすがは姉妹ってトコかしら」

照(咲)「………」ニパー

透華「何やってるんですの、気持ち悪い」

照(咲)「エヘヘ、お姉ちゃんの顔で笑ってみたくて」



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:30:04.84 ID:TRe0YZqU0

透華「期限は一週間、それが過ぎたら迎えの者をよこしますわ」

照「お父さんたちには何て説明したんですか?」

透華「表向きは、宮永咲は一週間東京へ行くことになっていますの。
そのための根回しも完璧なので、ご安心なさいな!」

照「はい、わかりました」

透華「期待してますわよ! いい情報を持ち帰ってきてくださいまし!!」

こうして宮永照となった咲は、東京へと旅立った。



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:39:55.30 ID:TRe0YZqU0

東京 白糸台高校

照(いかにも名門校って感じの、大きい学校だなぁ)

チラチラ ジロジロ

照(みんなこっちを見てる。お姉ちゃん有名人なんだね……
っていけない、今はわたしが宮永照だったんだ)

そのまま、照となった咲は白糸台で一日を過ごした。
当然のことながら、授業は全然分からなかった。



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:45:08.12 ID:TRe0YZqU0

放課後

照(ここが部室…とっても緊張するよ……)

ここは照たち一軍メンバー専用の練習室らしい。
咲は緊張の面持ちで、その部屋の入り口を開けた。

ガチャ…

部屋の中のソファーに、照以外のメンバー四人が座っていた。



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:52:06.37 ID:TRe0YZqU0

藍色のロングヘアーをした、照と同じ三年の弘世菫。
短い銀髪がボーイッシュな印象を与える二年、亦野誠子。
ソファーの隅っこでお茶を飲んでいるのが、同じく二年の渋谷尭深。
金髪でぷにぷにしたほっぺが特徴の一年生、大星淡。

いずれも照に負けず劣らずのクールな雰囲気を持つ女性たちだった。
彼女たちは照が入って来たのを見ても、特になんの反応も示さない。

一同「………」シーン

照(空気が重苦しい……何か言った方がいいのかな?)

照「あ、えっと……お、オッス……」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:54:55.80 ID:TRe0YZqU0

ガシャァァン!

照「わっ!」

尭深「……すいません、湯のみを落としてしまいました……」

亦野(今の…聞き間違いか…?)

菫(照が……あいさつだと……?)

照「あっ、手伝おうか」

尭深「いえ……先輩の手を煩わせるわけには…」

照「うわっ…」ズルッ

バターン!



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 22:58:37.87 ID:TRe0YZqU0

一同「………」

今度こそ本当に、気まずい空気が部屋に流れた。

淡(照先輩が……インターハイの頂点に立つあの照先輩が……!)

菫(人前でこけたッ……!!)

照(やっちゃったよ…これはさすがにマズイよね……)

咲はよろよろと立ち上がった。

菫「……お、おい大丈夫か?」

照「だ、大丈夫……だ…」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:01:45.36 ID:TRe0YZqU0

菫「ケガとかしてないか?」

照「あ、ああ。心配してくれてありがと……」

菫「!!」ドキッ

菫(照が……私に素直に礼を言った……?)

照(あ、あれ? なんか不思議そうな顔されてる?)

菫(なんなんだ……こんなの狂ってるのに、ちょっと嬉しいこの気持ちは何だ?)



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:05:11.91 ID:TRe0YZqU0

部活中

菫「照、それロンだ」

照「うわっ」ビクッ

菫(くっ、なに今の小動物みたいな反応……かわいいじゃないかっ)

照「このお茶おいしい……な」ズズ…

尭深「ブフッ!」

淡「よ、よかったらケーキもありますけど…」

照「あ……じゃあ、いただきます」

亦野(なん…だと…?)

照「うっ…」ガタンッ

菫「どうした? 急に立ち上がって」

照「ト、トイレ行ってきま……行ってくる!」

タッタッタッタッ…

一同「………」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:09:33.44 ID:TRe0YZqU0

部活終了後

照「じ、じゃあ…私は帰るから……」

菫「ああ…」

バタン! タッタッタッタッ……

亦野「一体何だったんですか、今日の先輩は?」

菫「私にも分からん…何が起きてるのか」

尭深「……昨日、照先輩が事故にあったのを見たって噂を聞きました……
もしかしたら、あれは本当だったのかも……」



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:14:56.24 ID:TRe0YZqU0

菫「すると照は、その事故で頭でも打って気が狂ったのか? いや、それしか考えられない」

亦野「今日の先輩は、いつもの先輩らしくありませんでした。
麻雀だって得意の国士じゃなくて、嶺上開花ばっかりであがるし」

尭深「おまけに物腰はやわらか……普段の近寄りがたい雰囲気はどこ吹く風……」

菫「よく何もない所で転びそうになるし、いつからあいつはドジっ娘に……」

淡「でも今日の照先輩……チョー可愛かったですよね」ゴクッ…



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:19:20.78 ID:TRe0YZqU0

亦野「お、お前なあ……本人に聞かれたら殺されるぞ?
っていうかお前そんなキャラだったのか?」

淡「あ、すいません…つい」

尭深「淡の気持もわかる。普段とのギャップが凄すぎる……」

菫「ああ。私も礼を言われた時は、違和感を感じながらも素直に嬉しかった」

亦野「あの冷徹で、他人に無関心で、いつもそっけない照先輩が………ああ、これが……」

一同(ギャップ萌えってやつか…)



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:22:49.78 ID:TRe0YZqU0

淡「っていうか、私たちがこれほど話し込んだのも、これが初めてじゃないですか?」

菫「いつも照を筆頭として、みんなが重苦しいオーラー出してたから話しにくかったんだよ」

亦野「そうですね。渋谷だってちゃんと喋れるんじゃないか」

尭深「……きっかけがなかっただけ……照先輩も、本当は明るい人なのかも」

亦野(それはひょっとしてギャグで言っているのか!?)

菫「いや、案外そうなのかもな……」

淡「明日からもっと話しかけてみましょうよ!」



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:28:19.54 ID:TRe0YZqU0

翌日、長野の病院

咲(照)「ハッ!?」

咲(照)「ここは…どこだ……?」

咲(照)(ここは病室? そうだ思い出したぞ……私は学校の帰りに事故にあって、それから…)

照がベッドから起き上がると、正面にあった鏡に自分の顔が映った。

咲(照)「ななななななっ、なんだこれは……!」

咲(照)(顔が…私の顔が咲の顔に……?)



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:33:02.91 ID:TRe0YZqU0

咲「なんとか病院から抜け出してこれたが…これからどうすればいいんだ?」

トコトコトコトコ…

和(あれは……宮永さん?)

咲(しかし未だに信じられん……どうして私の顔が咲の顔になってるんだ?)

和「宮永さ―ん!」タッタッタッ…

咲「そうか、これは夢なんだ。そうに違いない」

和「宮永さん、どうしたんですかこんなところで?」

咲「って、こんなリアルな夢があるか……認めたくないが、これは現実だ」

和「あのー、さっきから一人で何をブツブツと……」

咲「ん、 誰だお前?」

和「なっ……」ガーン



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:41:37.92 ID:TRe0YZqU0

和「じょ、冗談はよしてください! 私です、原村和ですよ!」

咲(はっ…! しまった、今は私が咲だったんだ……こいつは友達か?)

咲「ああ…えっと、そう冗談だよ……和……ちゃん?」

和(えっ!? 宮永さん、今私のこと名前で呼んでくれました……)

咲「あの……どうした……の?」

和「な、何でもありません! さ、早く学校へ行きましょう!」キラキラ

ギュッ

咲(えっ、なにこいつ……いきなり手掴んできて気持ち悪い…)



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:44:28.88 ID:TRe0YZqU0

和「それにしても、なんで急に帰ってきたんですか?」

咲「えっ? なにが…」

和「宮永さんたら、さっきからとぼけてばっかり……
お姉さんに会いに、一週間東京に行ったって聞きましたよ」

咲(そうなのか?)

咲「あっ…うん。でもやることないし、帰ってきちゃった」

和「あれほど普段から、お姉さんに会いたがったのにですか?」

咲(………)



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:48:49.58 ID:TRe0YZqU0

和「ところで宮永さん、今日は声がいつもより低くありませんか?」

咲「い、いやちょっと風邪気味でさ…ゴホッゴホッ…」

和「そうですか……マスクぐらいしたほがいいのでは?」

咲「そ、そういえばさ……なんで手ぶらで学校行くの?」

和「もう、からかわないでくださいよ。 私たちは今日から夏休みじゃないですか」

咲「あ、そうだったよね…」

咲(咲の学校はもう夏休みなのか。白糸台とは大違いだな)

和「これからは麻雀に集中できますね」

咲(咲のやつ、麻雀を続けていたか)



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:52:58.39 ID:TRe0YZqU0

麻雀部部室

和「こんにちわ」

咲「……こんにちわ」ボソッ

優希「おっ、咲ちゃんにのどちゃん!」ダッ

和「ゆーき、来てたんですね」

優希「あったり前だじぇ! 二人とも、タコス食うか―?」パクパク

咲(こいつウザいな……おまけにタコス臭いし)



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/21(土) 23:57:14.41 ID:TRe0YZqU0

ガチャッ

京太郎「ういーっす」

咲「きょ、京ちゃん!」ビクッ

京太郎「? どうした咲、そんなに驚いて?」

咲「いや、なんでもない…」

咲(うわっ、京ちゃん麻雀部だったんだ……つい昔のあだ名で呼んじゃったけど、
ツッコまれないってことはこれでいいのか)

優希「なーんか咲ちゃん、挙動不審だじぇ」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:00:50.04 ID:sufaI3Wj0

ガチャッ

まこ「遅れてすまんのー」

久「さーっ始めるわよ!」

優希「染谷先輩に部長、やっと来たじぇ!」

咲(あのワカメが染谷で……おさげが部長か。よし、覚えたぞ)

和「さあ宮永さん、卓に入りましょう」

咲「あ、うん。和ちゃん」

久「あら? いつの間に名前を呼ぶようになったの?」

和「……今朝からです///」

咲(なにっ? そうだったのか…)



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:04:15.60 ID:sufaI3Wj0

咲「ツモ、国士無双」

優希「またかじょ!?」

京太郎「おいおいすげーな。一緒に打ってる和や部長が気の毒だぜ」

優希「むっ、私はどうでもいいのか?」

京太郎「別に…」

優希「なんだとー、犬の分際で!」

ワーワー ドタバタ ドタバタ

咲(弱すぎる……こんなチームじゃ、全国どころか県予選突破も無理だな)



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:07:14.18 ID:sufaI3Wj0

久「ホント強いわね、今日の咲は……大会のときがこれだったらなぁ…」

まこ「おい、それは言っちゃダメじゃろ」

久「ゴメンなさい。ちょっと未練感じちゃった……」

咲(そうか、やっぱりこのチーム負けたんだな。 しかも会話の流れから察するに、
咲が頑張れば勝てた試合らしい……まったく、不甲斐ないやつだ)

咲「すいません部長……でも来年は必ず勝って、部長やみんなを全国へ連れて行きますから!」

京太郎「えっ…咲…?」

久「えーっと、それはどういう意味で言ったのかしら?」



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:11:02.26 ID:sufaI3Wj0

咲「……私、何か間違ったこと言いました?」

優希「おいおい、咲ちゃん……」

まこ「部長は三年じゃから、今年で最後じゃろ?」

咲(なっ……しまった! この二年のワカメがタメ口で話していたから、
てっきり同じ二年だとばかり……つーかこいつ私と同い年かっ!)

咲「あ、すません……そうでしたね…」

京太郎「そうでしたねって……咲お前大丈夫か?」

和(やっぱり今日の宮永さん、どこかおかしいです)

久(……?)



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:15:54.65 ID:sufaI3Wj0

咲(くそっ…さっきから空気が……)

一同「………」シーン

咲(明らかに私に疑惑の眼差しが向けられている……ここにいてもボロを出すだけだ……)

和「………」チラッ

久「………」ジーッ

咲(ああ…帰りたい。そうだ、なにもここにいる必要はないんだ。適当な理由をつけて帰ろう)



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:18:41.63 ID:sufaI3Wj0

ガタッ

咲「あの…私、午後から用事があるので、これで帰りますね」

まこ「今日は初日じゃけ、どのみち午前中で終わりじゃ…」

咲「あっ……そうですか、それじゃ…」

タッタッタッタッタッ…

優希「何だったんだー、今日の咲ちゃんは?」

久「……何かあるわね」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:23:11.50 ID:sufaI3Wj0

タッタッタッタッタッ…

咲「くそっ…完全に疑われてたぞ、私」

咲(まあいい、二度とあそこには戻るまい……すぐにでも東京へ行かないと)

咲「うわ、懐かしい……この道を行けば、前の家に着くはず」

タッタッタッタッタッ…

咲「着いた……昔となにも変わってないな、この家は」



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:28:17.39 ID:sufaI3Wj0

宮永家

ガチャッ

咲「ただいま」

咲(本当に久しぶりに、ただいまなわけだが…)

シーン

咲「お父さんはこの時間帯仕事か。失業はしてないみたいだな」

咲「さて、お金は……これだけあれば十分だな」ガサゴソ



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 00:31:00.31 ID:sufaI3Wj0

龍門渕邸

透華「逃げ出したですって? 宮永照が!?」

ハギヨシ「正確には宮永咲の顔をした宮永照様が、です。先程病院から連絡が」

透華「あの昏睡から目覚めるなんて……麻酔もかけずに手術したのがいけなかったのかしら?」

ハギヨシ「朝方、まだスタッフが出勤していないうちに脱走したようですね。現在、全力で捜索中です」

透華「急ぎなさい! 彼女が宮永咲に接触したら、大変なことになりますわ!」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:01:46.69 ID:sufaI3Wj0

東京 白糸台高校

咲「ふぅ、なんとか戻ってこれたな」

咲(しかしこの顔、この格好で、ここに正面からは入れない……)

照は校舎の外周をぐるりと周った。
そして、麻雀部の部室がある建物へと辿り着いた。

咲(この時間帯は部活の真っ最中のハズ……まずは部室に窓から入って、
みんなにこの顔のことを説明するしかない。菫あたりなら、なんとか信じてくれるかも…)



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:06:25.22 ID:sufaI3Wj0

照は、窓から麻雀部の部室を覗きこんだ。
室中では照と同じチームメイトの四人が、誰かを囲んで談笑していた。

咲(あいつら何か話しているな……あれは………えっ?)

ワイワイ キャッキャッ

照「もうー、やめてよぅー」

咲(あれは…あれは私じゃないか……っ!!!)



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:10:15.04 ID:sufaI3Wj0

菫「それにしても驚いたぞ。お前がそんなに楽しいやつだったとはな」

照「あははっ、自分でもびっくりだよ」

亦野「ほんとほんと、正直この部のクールな雰囲気って苦手で……照先輩はその筆頭でしたから」

菫「お互い知らないうちに壁を作っていたわけだ」

尭深「あっ…照先輩お茶どうぞ」サッ

照「ありがとう、尭深ちゃん」ズズ…



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:14:29.55 ID:sufaI3Wj0

淡「照せんぱーい!」ダキッ

照「うわっ、淡ちゃん!」

淡「ああ、淡ちゃんなんて呼んでもらえる日が来るなんて……
今から先輩のこと、てるてるって呼んでいいですか!?」

照「あ…うん、いいよ」

淡「きゃーやったー! あと私のほっぺ、ぷにぷにーってしてください!」

照「あー、えーっと……こう?」プニプニ

淡「きゃー、気持ちいいーーー!!!」

ワイワイ キャッキャッ



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:17:29.56 ID:sufaI3Wj0

咲「な……んだ……これはっ……」

照は思わず声に出していた。
頭蓋に、百トンの重りが直撃したような衝撃だった。

咲(一体何が起きている? 私の顔をした誰かがあそこにいて、私のフリを……)

ぐるぐると色々な感情が頭を渦巻く。その中でも一番照を混乱させたのは――

咲(なんで、みんなあんな楽しそうなんだ…?)



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:22:15.71 ID:sufaI3Wj0

咲(あれは私の偽物だぞ……偽物が本物以上の機能を持っているわけがない!)

しかし現実では、彼女の偽物は彼女よりも部員たちとずっとうまくやっている。

咲(くそっ、亦野や渋谷はあんな顔して笑えたのか……淡はくっつきすぎだ!
おい菫、今度泊まりに行っていいかとか聞くな!)

そしてなによりも――

咲(私の顔が…あんなに楽しそうに笑ってる……)

そのことが、何故か無性に照の胸を痛くした。



53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:28:50.92 ID:sufaI3Wj0

透華「間に合いませんでしたか…」

照の背後から女性の声がした。

咲「お前、確か龍門渕とかいったか……何の用だ?」

透華「察しはついてると思いますが……あなたたち姉妹の顔を入れ替えたのは、
この私たちでしてよ……」

咲「姉妹の顔を…入れ替えた?」

咲(とすると、あそこにいる私の偽物は…)

咲「咲…お前か…!」



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:33:44.22 ID:sufaI3Wj0

透華「ミッションは中止ですわ…今すぐ二人の顔を元に戻してさしあげます。
もちろん、損害賠償もたっぷりと…」

だが照には、透華の言葉など耳に入っていなかった。

咲(咲…お前はいつも私から何かを奪っていく……私のお年玉、私のプライド……)

咲(私と同等の力を持っていたくせに、いつからか家族麻雀で手を抜くようになった……
そんなお前が私は大嫌いだった)

透華「――ですから裁判沙汰だけはご勘弁を。もっとも話したところで、
誰も信じないような話ですが…って聞いていますの?」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:38:46.54 ID:sufaI3Wj0

咲「顔の件はもういい……何もしないから、あと一週間このままにしてくれ」

透華「ええっ!? 今すぐ元に戻してもいいのですわよ?」

咲「失ったものは戻らない。ならば……」

咲(今度はこっちが奪ってやる番だ)



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:43:07.11 ID:sufaI3Wj0

ピリリリリリ ピリリリリリ

照(電話だ……非通知?)

照「もしもし、宮永照ですが」

『……………』

照「あの、もしもし、悪戯ですか?」

『……お前が宮永照なら、私は宮永咲だ……ブチッ』

ツー ツー

照(今の声……お姉ちゃん?)



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:50:35.57 ID:sufaI3Wj0

長野の病院

透華「変声機を喉に埋め込みましたわ。これであなたは正真正銘、宮永咲ですわ」

咲「よし、あとは妹をなんとしても長野に来させるな。きっちり一週間、東京に滞在させろ」

透華「分かってますわよ。こちらとしても、その方がありがたいですし」

咲(見てろ咲…お前の人間関係をメチャクチャにしてやる……)



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 01:56:00.62 ID:sufaI3Wj0

照(今日の電話…本当にお姉ちゃんだったのかなぁ?)

照(だとしたらマズイよ……お姉ちゃんは、私の顔をしているんだし)

照(でもりゅーもんさんは、今でも宮永照は病院で眠ってるから、安心して任務を続けろって言うし…)

照(いや…もしも、りゅーもんさんがお姉ちゃんとグルだったとしたら!)

照「こうしちゃいられない」

ピッピッピッ プルルルルル…

照「もしもし、私、宮永咲です。信じられないような話があるんですが…」



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:01:37.48 ID:sufaI3Wj0

翌日 京太郎の家

京太郎「さてと、そろそろ部活へ行く時間だな」

ピンポーン

京太郎「ん? こんな朝っぱらから誰だ?」

ガチャッ

京太郎「はい、どちら様で…」

咲「京ちゃん…お、おはよう」

京太郎「咲!?」



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:06:01.20 ID:sufaI3Wj0

京太郎「なんで咲が俺ん家来てんの?」

咲「いや…なんか京ちゃんと部活行こうかなって思って」

京太郎「え? いや、まあ別にいいけど…」

咲「じ、じゃあ…行こ?」

京太郎「お、おう」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:10:03.91 ID:sufaI3Wj0

咲「そ、それでさー」ベタベタ

京太郎「さ、咲…あんまりくっつくなよ……あ、歩きにくいじゃないか…」

咲「そ、そうかなー?」ベタベタ

咲(くそっ…想像以上に恥ずかしいなこれ……だがこれも計画の為だ)

京太郎(こうやって近くで見ると、咲も案外可愛いかもな……)



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:15:54.54 ID:sufaI3Wj0

部室

ガチャッ

京太郎「ち、ちぃーっす」

咲「こんにちわ」ボソッ

優希「来たか! 京太郎に咲ちゃ……えっ?」

優希(咲ちゃんが、京太郎と手をつないでいる?)

まこ「ほぅ…朝から見せつけてくれるのぅ」ニヤニヤ

京太郎「さ…咲が朝から離してくれなくて……///」

咲「くっ……」カァァ



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:19:49.22 ID:sufaI3Wj0

咲(た…耐えろ私……これも咲に復讐するため……)

京太郎「そ、そうだ…和や部長は来てないんですか?」

まこ「さっき連絡があっての…二人とも遅れるそうじゃ」

京太郎「そうですか…」

優希「だったらこの四人で始めるじぇ! おいきょうたろー、いつまで手を握ってるつもりだ!
さっさと離すがいいじぇ!!」

咲「……うるさい、タコス女」ボソッ

優希「じぇ!? ……今何か言ったか咲ちゃん?」

咲「別に何も…」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:23:24.24 ID:sufaI3Wj0

咲「ロン、18000」

優希「じょっ!?」

京太郎「また優希がトビか……これで3回連続だぞ」

優希「くぅ……」

咲「どうしたの優希ちゃん? なんだか今日はひどく弱っちいね」

優希「そんな…咲ちゃんひどいじぇ……」



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:28:42.85 ID:sufaI3Wj0

まこ「おいおい、言いすぎじゃ咲」

咲「……ちっ、ワカメのくせに」ボソッ

まこ「なっ!?」

優希「なんか…今日の咲ちゃん口が悪いじぇ…」

咲「黙れ。タコス臭いんだよ」

優希「」

一同「………」シーン

咲(ふふっ、作戦通りだ……)



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:34:30.43 ID:sufaI3Wj0

ガチャッ

久「みんなやってるー?」

和「遅くなりました」

まこ「お、おーう……二人ともやっと来おったか」

京太郎(部長と和……なんかたくさん買い物袋持ってるけど、ありゃなんだ?)

咲(来たな、ガチレズ女め……よぅし、次の作戦は…)

咲「和ちゃん! 待ってたよ!!」ダッ



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:39:43.12 ID:sufaI3Wj0

和「えっ…どうしたんですか宮永さん? き、急に抱きついてきて…」

和(ああ…宮永さんの髪の匂い……いい匂いです)

咲「だって、和ちゃんがやっと来てくれて、嬉しかったんだもん」

咲(あー、気持ち悪い……何が嬉しくてこんな奇乳女に抱きつかなきゃいけないんだ)

和「そ、その…もう離してくれませんか宮永さん……」ドキドキ

咲「えへへ…もうちょっとだけ……」

優希「ま、待つじぇ!!」



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:45:28.86 ID:sufaI3Wj0

咲「なに、優希ちゃん?」

優希「そんなのおかしいじぇ! さっきは京太郎とイチャイチャしてたくせに、
今度はのどちゃんに抱きつくなんて………二股もいいとこだじょ!」

咲(そうだ、そのセリフを待っていた。ナイスだ、タコス女)

咲「いいじゃん、そのくらい。その時の気分ってものがあるんだからさ。
今は和ちゃんとイチャイチャしたい気分だったんだもん」

優希「そんなこと許されるわけないじぇ!」

咲(ククッ、これで咲は二股かけた最低女としてのレッテルを貼られるんだ……
あいつが帰って来たときが楽しみだな)

咲「ねえ、二人もそう思うよね? 私が気分次第で浮気しようが、全然問題ないよね?」

和「……そうですね」

咲「……はっ!?」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:49:44.95 ID:sufaI3Wj0

咲(な、何を言っているんだ、この淫乱ピンクは? この暑さで脳みそが溶解でもしたのか!?)

和「宮永さんが私と須賀君の両方が好きというなら、それで問題ない気がします」

京太郎「ああ、和がそう言うなら俺も……」

咲(京ちゃんまで……こんなの穢れてる……田舎はみんなこうなのか!?)

和(宮永さん、あからさまにうろたえていますね……)

久(まさかあの話が本当だったとはね……)



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 02:54:35.85 ID:sufaI3Wj0

昨晩

――――――――――

久「顔が入れ替わったですって!?」

照『ええ、だからあれは私のお姉ちゃんなんです』

久「にわかには信じがたい話だけど、確かに昨日の宮永さんはどこかおかしかった…」

照『お願いです、お姉ちゃんが何か変なことをしないよう、見張ってください。
お姉ちゃん、昔からそういうところあるから…』

久「……わかったわ、みんなには私から説明しておくから」

照『ありがとうございます』

――――――――――



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:00:10.52 ID:sufaI3Wj0

まこ(部長から最初話を聞いた時は信じられんかったが…)

和(これではっきりしましたね)

京太郎(考えてみれば咲があんなこと出来るわけないし)

久(さて、どうからかってやろうかしら?)


優希(そんな……二股公認なんて、あり得ないじぇ……)



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:05:16.24 ID:sufaI3Wj0

久「さて、全員そろったことだし……今から打ち上げやりまーす!」

一同「ええっ!?」

咲「麻雀はしないんですか?」

久「そうよ、今日は活動お休み」

咲「でも急に打ち上げって、一体なんの…」

久「細かいコトは気にしない! やるったらやるのよ!」

咲「………チッ」

久(今舌打ちしたわね、この子)



76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:12:24.58 ID:sufaI3Wj0

久「ほら、そのために和と二人で色々買ってきたんだから」

優希「やったー! タコスもあるじぇ!!」

京太郎「ちょ、ちょっと部長……」

久「なに? 須賀君」

京太郎「いきなり打ち上げやるなんて、一体どうしたんすか?」ヒソヒソ

久「分からない? ちょっとあの子を……宮永照をからかってやろうと思ってね」ヒソヒソ

京太郎「照さんをですか?」ヒソヒソ

久「あなたも見てみたくない? インターハイの頂点、宮永照のうろたえる姿を」ヒソヒソ

京太郎「それは…ちょっと見てみたいかも」ヒソヒソ

久「といってもフツーに部活してるだけじゃ、彼女にいいようにやられるだけよ。
だったら、こっちのペースに持ち込んでやれば……」ヒソヒソ

京太郎「なるほど…」ヒソヒソ



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:17:11.03 ID:Iw3St/HOO

スレタイどこかで聞いたことあると思ったらバトルドームか
懐かし過ぎワロス

友だちんちにあって一分で飽きたな



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:18:29.77 ID:sufaI3Wj0

優希「タコスうまいじぇー」バクバクッ

和「ケーキも買ってきましたので、皆さん食べてください」

まこ「おやっ? 酒まであるんかい。いいんか部長?」

久「いいのよ、今日は特別。ほら、咲も飲みなさいよ」

咲「えっ……私はお酒はちょっと……」

久「あら、おっかしいわねー? いつもなら真っ先に飛びつくのに」

京太郎「えっ?」

久「ホラ、みんなも合わせて!」ヒソヒソ

京太郎「あ、ああ…そうだな咲、お前酒大好きじゃないか」

咲(なっ…なんだと!?)



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:27:02.13 ID:sufaI3Wj0

まこ「そうじゃよ、一升瓶ラッパ飲みするのが得意じゃろ?」

和「県予選で負けた後も、ヤケ酒あおってましたよね」

優希「ひょうだったふぇか」バクバクッ

咲(なんてやつだ、しばらく見ないうちに………咲の悪い子、悪い子!!)

久「で、もちろん飲むわよね?」ジッー

咲(今は私が咲なんだ……ここで飲まないと疑われる……)

咲「じ、じゃあ、ちょっとだけなら……」

久「ええー、どうせなら一気にグイッといきましょう、グイッっと」



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:31:28.76 ID:sufaI3Wj0

京太郎「そうだな。得意のイッキ飲みを見せてくれよ」

咲「えっ…でも……」

まこ「イッキ! イッキ!」

一同「イッキ! イッキ!」

まこに合わせて、全員が手拍子を打ち始めた。

咲(くそっ…こいつら……!)

一同「イッキ! イッキ!」

咲「くう~~~っ」



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:36:03.16 ID:sufaI3Wj0

咲「かせっ!」バッ

久「ちょっ、いきなりひったくらなくても……」

咲「」グイッ

まこ「おほっ、ホンマにやりよった」

咲「」ゴクゴクゴク…

久(宮永照は、相当の負けず嫌いってトコかしらね)

咲「ぶっはぁぁぁぁっ!」

優希「本当に全部飲んじゃったじぇ」



83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:41:58.57 ID:sufaI3Wj0

咲「ううっ…目まいがする~」ヨロヨロ…

まこ「さっきは凄かったのぅ。まさか本当にやるとは思わんかった」

咲(クソッ…こいつ、今に見てろよ……)

京太郎「にしても最近の咲の麻雀はバカみたいに強いよなー。まるでお姉さんみたいだぜー」

咲「!!」ギクッ

久(あらあら…あんなに分かりやすく動揺しちゃって……)

咲「そ、そうかなー?(アセアセ)」



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:48:11.21 ID:sufaI3Wj0

京太郎「来年こそ全国に行って、お姉さんに会えるといいな」

咲「お姉ちゃん?」ピクッ

久「そうよ。あなたのお姉さん、宮永照に会えたら何がしたい?」

和(部長…これまたきわどい質問を……)

久(さて、どんな答えが返ってくるかしらね)

咲「………フェイスオフ」

まこ「はっ?」

咲「ちょっとした手術だよ……あいつの……宮永照の顔を……はがしてやるんだ」

和「あっ……」

久「え、えっと………」

咲「ふふっ……冗談、冗談だよ……ちょっとしたジョークだってば……ふふふ」

京太郎(相当キてるな、この人……)



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 03:54:34.00 ID:sufaI3Wj0

一同「………」ズーン

京太郎(気まずい……)

久(場の空気を重くするコトに関してはホント、天才的ね)

咲(あーっ、頭がガンガンする……もうどうにでもなれ)

久(なんとかこの雰囲気を変えないと……)

久「ねえ、もうお腹いっぱいだし、みんなでゲームでもしない?」

優希「やるじぇ! パーティにゲームはつきものだからな!」

久「咲もやるでしょ?」

咲(麻雀か……丁度いい。このイライラを発散させてもらおう……)

咲「ええやりますよ……東風戦ですか? それとも半荘……」



86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 04:00:28.80 ID:sufaI3Wj0

ヒュン ヒュン チーン! チーン!

優希「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!! だじぇ!」ガチャガチャ

まこ「超! エキサイティン!! じゃなっ!」ガチャガチャ

咲(なんで……なんでバトルドームなんかやってるんだ私は……)

久「四人用ゲームといったらこれよねー……あっ、咲ガード甘いわよ!」ガチャガチャ

ヒュン ヒュン チーン! チーン!

優希「咲ちゃん、もう何点入れられたか分からないじぇ」

咲(くっ……こいつら、あからさまに私を一人狙いしてきてるし……)

まこ「さっきの麻雀の勢いはどうしたんじゃ咲?」ニヤニヤ



87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 04:06:41.87 ID:sufaI3Wj0

京太郎(考えてみたらシュールな光景だぜ……麻雀では無敵を誇る照さんが、
バトルドームでボコボコにされてるなんて……)

咲(くそっ、麻雀なら…麻雀なら負けないのに……っ!)

咲「く、くそおおおっ!」ガチャガチャガチャッ

ヒュン ヒュン チーン! チーン!

優希「おっ、咲ちゃん中々やるじぇ」ガチャガチャ

久(プーッ、クスクス……本気になってるわこの人)

まこ(これがインターハイの頂点(笑)か……よぅし、もっとやってやれ……)

三人はますます照への攻撃を強めた。



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 04:14:00.73 ID:sufaI3Wj0

ちょっと休もう
それにしても人少ないから、落ちるかも



89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 04:19:59.10 ID:H3qfHa/z0

俺は見てるぞ



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 05:21:39.16 ID:hTpP8IHU0





94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 05:51:35.33 ID:DjgKupNv0

咲SSとは珍しい



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 07:48:45.72 ID:lBFyGaD9O

保守



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:21:56.70 ID:sufaI3Wj0

保守ありがとう
再開します



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:24:29.71 ID:sufaI3Wj0

ヒュンヒュン ヒュンヒュン チーン! チーン! チーン!

咲「ま、負けてたまるか…うおおおおおおおおおっ!!!」ガチャガチャガチャッ

まこ「咲のやつ、この攻撃をよく凌いでいるのぅ」ガチャガチャ

ヒュンヒュン ヒュンヒュン チーン! チーン! チーン!

久(ゲームも終盤ね……玉の量がハンパないわ)

咲「こなくそおおおおおおおおおっ!!!」ガチャガチャガチャッ

ヒュンヒュン ヒュンヒュン チーン! チーン! チーン!

咲「ああああああああああああああっ!!!!」ガチャガチャガチャガチャッ!


バキィッ!!!

京太郎「こwwwwわwwwしwwwたwwwww」



99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:31:55.84 ID:sufaI3Wj0

咲「ハァ……ハァ……」

久「あーあ、やってくれたわね咲……これ、今となっては結構貴重なのよ?」

まこ「わりゃ、弁償できるのか!?」

優希「っていうか熱くなりすぎてゲーム壊すとか……どこの小学生だじぇ」クスクス

咲「くっ……」プルプル

和(ああっ……顔を真っ赤にしてうつむく宮永さん……素敵ですっ……!)



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:38:28.81 ID:sufaI3Wj0

京太郎「さすがの俺でも今のはひくわー」

優希「咲ちゃんはエキサイティン! しすぎちゃったのかー?」クスクス

まこ「高校生にもなって、恥ずかしいのー」ニヤニヤ

咲「ぐっ……」

和「宮永さん、今度私の家で一緒にバトルドームしましょうね」クスクス

久「ねえ今どんな気持かしら、宮永さん?」ニヤニヤ

咲「うっ…」

一同「?」

咲「うわあああああああっ!!! お前たちなんか嫌いだあああああああああっ!!!」

タッタッタッタッタッタッ……バタン!



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:48:12.94 ID:sufaI3Wj0

京太郎「ありゃりゃ、飛び出していっちゃいましたね」

久「ちょっとやりすぎたかしら?」

まこ「いやいや、むしろここまで宮永照を追い込んだバトルドーム恐るべし……」

優希「ふえっ!? それはどういうことだじぇ?」

和「ゆーきは聞いてなかったんですか? 実はかくかくしかじか…」

優希「そうだったのかー。つまりあの二股容認宣言は、全部演技だったわけだな?
私はてっきり、のどちゃんが淫乱メス豚化したとばかり……」

和「SOA」

久「さて、問題はこの後彼女をどうするかだけど……」



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 09:55:37.80 ID:sufaI3Wj0

旧校舎 女子トイレ

咲「ううっ、ちくしょう……みんなで私をバカにして……ヒック、ヒック」

咲(……あれ? 最初は私が咲のフリして、清澄のやつらをいじめるハズだったのに……どうしてこうなった)

タッタッタッタッタッ…

咲(誰か走ってくる?)

ガチャッ

久「こんな所にいたのね」

咲「く、来るな!」

久「ごめんなさい、さっきは私たちが悪かったわ」

咲「うるさい! 言い訳なんて聞きたくないっ!」

久「私たちは、あなたが宮永照だってことを知ってたの」

咲「……なにっ?」



106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:08:11.70 ID:sufaI3Wj0

咲「どうしてそのことを……」

久「あなた、自分から咲に宣戦布告したそうじゃない」

咲「………」

久(意外に幼稚なのかしらね…)

咲「そうか、バレたんじゃしょうがない……もう煮るなり焼くなり好きにしろ。私は疲れた……」

久「別にあなたをどうこうするつもりはないわよ。ただ、もう元に戻った方がいいんじゃないかしら?」

咲「……そうだな」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:14:55.99 ID:sufaI3Wj0

咲「――と、いうわけだ。元に戻してくれ」

透華『ええっ? まだ期限まで四日ありますのよ?』

咲「気が変わったんだ。もう復讐はやめだ。私には向いてなかったんだ」

透華『……失敗したんですのね』

咲「う、うるさいっ! とにかく元に…… 」

透華『それはムリですわ』



108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:19:32.25 ID:sufaI3Wj0

咲「どうして?」

透華『今病院には手術を行えるスタッフがいませんの。みんな昨日から休暇をとってまして…』

咲「呼び戻せばいいだろ?」

透華『あなたが一週間くれと言ったから、私はそのように手配したのですわ。
少しは自分の言ったことに責任を持ってくださいまし!』

咲「ぐっ……確かにそうだけど……」

透華『ではまた四日後に連絡しますから……それまでごきげんよう!』

咲「あっ……き、切るなっ!」

『ガチャッ……ツー、ツー』

咲「………」



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:20:14.73 ID:t8S9xVvC0





111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:26:22.61 ID:sufaI3Wj0

久「どうだった?」

咲「四日後まではムリだって…」

咲(東京にも帰れず、ここでも正体がバレてしまって……私の居場所は一体どこに……)

久「それなら、その日までここにいればいじゃない」



112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:29:38.32 ID:sufaI3Wj0

咲「えっ……だけど、私は咲の偽物で……」

久「いーのよ。細かいコトは気にしない」

和「少しワイルドな宮永さんも新鮮です」

咲「私……ここにいていいのか……?」

優希「歓迎するじぇ!」

京太郎「照さん、東京行ってからの話とか聞かせてくださいよ」

まこ「これから楽しくなりそうじゃ」



114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:37:56.78 ID:sufaI3Wj0

東京 とあるカラオケ店

ピリリリリリ ピリリリリリ

照「あっ、電話だ……ちょっと出てくるね」

菫「ああ」

淡「早く戻ってきてくださいね―」

バタンッ

照「りゅーもんさん、なんですか?」

透華『情報収集は順調ですの?』

照「ええ、バッチリですけど……」

透華『どうかしましたの?』

照「いや…ここでの生活があんまりに楽しいので……もうちょっとこのままでもいいかなーって」

透華(ふむふむ……こちらとしても、長くスパイを続けてくれるのは、ありがたいですわね)



115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:48:10.37 ID:sufaI3Wj0

二週間後

ピリリリリリ ピリリリリリ

透華『もしもし、龍門渕透華ですわ』

咲「おい…まだなのか?」

透華『ですから、スタッフが不慮の事故に遭いまして……回復まではもうちょっとですわ』

咲「……あっそう」

透華『?』

咲「手術の目処がたったら、すぐに電話をくれ。それじゃあ…」ピッ



116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:52:14.15 ID:sufaI3Wj0

久「どうだった?」

咲「まだ手術はムリだって…」

久「そう」

咲「ああ…」

久「……」

咲「……」

久「怒らないの? まだ延期になってるのよ?」

咲「……っ」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 10:57:03.63 ID:sufaI3Wj0

久「それとも、ひょっとしてここにいるのが楽しくなったとか?」ニヤニヤ

咲「そ、そんなことないっ! あー、早く東京に帰りたいな―!」

久「もう、素直じゃないんだから」

まこ(相変わらずこの人はおもしろいのぅ…)

ガチャッ

優希「おーっす、だじぇ!」

まこ「おっ、一年生が来たようじゃな」

京太郎「咲……じゃなくて照さん、今日も来てますね」

和(ああっ……どことなく気だるげな表情の宮永さん……今日も素敵です)



119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:01:54.23 ID:sufaI3Wj0

優希「さて、今日もアレをやるかー!」

和「またですか? よく飽きませんね」

まこ「もはや何部か分からなくなってきたのぅ」

久「いいんじゃない? 最近は宮永さんも強くなってきたことだしね」

咲「………次は負けないぞ」



120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:06:34.18 ID:sufaI3Wj0

ヒュン ヒュン チーン! チーン!

咲「………」ガチャガチャッ

どうしてだろう、最初はあれほど元に戻りたかったのに。
気が付けばここで、清澄の連中とバトルドームを囲む日々が楽しいと思えるようになってしまった。

咲(ああ、そうか……)

ここは殺伐とした白糸台の部活よりも、ほんの少しだけ居心地がいい。
顔が替わって、環境が変わって初めて気付くこともある。



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:15:15.72 ID:sufaI3Wj0

咲「こういうのも悪くない」ボソッ

久「えっ? 何か言った?」ガチャガチャ

咲「いや……なんでもない」ガチャガチャ

ヒュン ヒュン チーン! チーン!


咲(願わくば、このエキサイティン!な日々をもう少しだけ……)


     宮永姉妹のフェイス/オフ  完


次回  池田「ここが…風越女子……!」



125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:17:05.56 ID:0jCNhvIdO

おつ



126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:18:48.96 ID:sufaI3Wj0

ここは風越女子高校麻雀部

「タフ気取りとアホ勇者専用の三年制学院」の異名を持つ、六年連続全国出場の名門校

そんな風越に憧れて、今年もまた大量の新入生が入部してきた

その中に、彼女の姿もあった――



128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:22:53.17 ID:sufaI3Wj0

風越女子高校麻雀部 新入部員歓迎会

コーチ「風越女子麻雀部コーチの久保貴子だ。試合中は発声以外の一切の無駄口をきくな。
『裏目った…』だのとぼやく暇があったら、前と後に“サー”をつけろ。分かったかクソッタレども?」

新入生「さ、さーいえっさー…」

コーチ「ふざけるな、大声出せ! タマ落としたか!?」

新入生「サー、イエッサー!」



132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:29:14.67 ID:sufaI3Wj0

コーチ「てめえ等メス豚どもが私の訓練に耐え切れたなら……」

コーチ「各人が正真正銘の雀士となる。朝から晩まで麻雀に祈りを捧げる死の司祭だ」

コーチ「その日まではウジ虫だ! 地球で最下等の生命体だ!」

コーチ「お前らは人間ではない! 雀ゴロどものクソをかき集めたほどの値打ちしかない!」

コーチ「お前らは厳しい私を嫌うだろう。だが憎めば、それだけ学ぶ……」

コーチ「私は厳しいが公平だ。差別は許さん」

コーチ「スイーツ、ネクラ、チビ、デブ、ブス………色々いるだろうが」

コーチ「全て―――ここでは全て、平等に価値がない!!」



133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:31:25.50 ID:sufaI3Wj0

コーチ「私の使命は役立たずを刈り取ることだ。 愛する風越の害虫を!」

コーチ「分かったか、クソ虫ども!!」

新入生「サー、イエッサー!」

コーチ「血抜きでもされたか? 大声出せ!!」

新入生「サー、イエッサーッ!!!」



134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:40:19.50 ID:sufaI3Wj0

コーチ「おい、そこの公家顔。名前は?」

深堀「深堀純代です、サー!!」

コーチ「 今日からからお前の名前はドムだ! “風越のドム” どうだ、いい響きだろ?」

深堀「サー、イエッサー!!」

コーチ「聞いて驚くなよドム、うちの部室にはなぁ……ガンダムのDVDは∀までしか置いてねえ!!」

深堀「サー、イエッサー!!」

池田「SEED以降ないとか笑わせるし…」ボソッ

コーチ「…誰だ?」



135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:48:49.92 ID:sufaI3Wj0

コーチ「どこのクソだ!? TBSの手先の在日ども! そんなに00の劇場版が嬉しいか!?」

新入生「………」シーン

コーチ「返事なし? 透明マントかぶったハリーでもいんのか!?」

新入生「………」

コーチ「いい根性だ! てめえ等全員、全ての牌が盲牌出来るようになるまでシゴき倒してやる!!
誰が一番多くケツの穴に牌を入れられるか、今からテストしてやる!!」



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:55:42.59 ID:sufaI3Wj0

ツカツカツカ…

コーチ「お前か、腐れ種厨は?」ガシッ

未春「サー、ノー、サー!」フルフル

コーチ「腐女子が! お前だろ臆病者!!」

未春「サー、ノー、サー!」

池田「自分です、サー!」

未春「!」

コーチ「そっちのクソか…」サッ



138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 11:56:21.65 ID:sfhJtwJd0

もっと咲SSは増えるべき
アニメは終わっちまったけど原作がとても盛り上がってる。全国キャラ可愛いです



139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 12:01:34.57 ID:sufaI3Wj0

コーチ「勇気あるファッキン・コメディアン、勘違いのネコミミ野郎。 正直なのは感心だ……」

コーチ「気に入った、家に来て私の飼い猫とファックしていいぞ」

ドゴォッ!

池田「うぐぉっ!!」

コーチ「御無礼!! 右ストレートです!!」

池田「ゲホッ、ゲホッ!!」

コーチ「身の程知らずめ、じっくりかわいがってやる!! 泣いたり笑ったりできなくしてやる!!!」

池田「うぅ…」

コーチ「さっさと立て!」

池田「………」ヨロヨロ~

コーチ「今度無駄口叩いてみろ、クビ切って喉に雀牌流し込むぞ!」

池田「さ…サー、イエッサー!」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 12:10:19.87 ID:sufaI3Wj0

コーチ「何故ここに入部した?」

池田「強くなりたいからです、サー!」

コーチ「全国に行きたいのか?」

池田「サー、イエッサー!」

コーチ「では戦争の顔をしろ!」

池田「はっ…」

コーチ「麻雀する時の顔だ! よく見てろ…」

スゥ…


コーチ「イケダァァァァァァァァァッッッッ!!!!!!!!!!!!」



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 12:15:22.07 ID:sufaI3Wj0

コーチ「これがツモる時の顔だ、やってみろ!」

池田「に…にやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

コーチ「ふざけんな、そんなんで敵を殺せるか!! 気合い入れろ!!」


池田「に゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!!!!!」


コーチ「迫力なし、練習しとけ」

池田「サー、イエッサー!!」



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 12:38:25.77 ID:sufaI3Wj0

ツカツカツカツカ…

コーチ「お前の言い訳は?」

未春「い、言い訳ですか?」

コーチ「アホ相手に質問するのは私の役だ!」

未春「サー、イエッサー!」

コーチ「不安か?」

未春「サー、イエッサー!」

コーチ「私のせいか?」

未春「サー…」



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:05:32.39 ID:sufaI3Wj0

コーチ「何だてめえ? 私が凡夫に見えるってか!?」

未春「サー、ノー、サー!」

コーチ「お前スカート丈はいくつだ?」

未春「膝上18センチです、サー!」

コーチ「股は常にオープンリーチってか……誘ってんのか?」

未春「サー、ノー、サー!」

コーチ「黙れ! ママのわれめにポンして、パパのリーチ棒がぶっ刺さった結果がお前だ!!
どこの出身だ!?」

未春「県内出身です、サー!」



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:14:55.82 ID:sufaI3Wj0

コーチ「この県に生息してるのはノーパン露出狂とガチレズだけだぞ、このアバズレ!!
ガチレズには見えんから、ノーパン野郎か? お前もはいてないんだろ!?」

未春「サー、イエッサー!」

コーチ「チ○コ大好きか?」

未春「サー、ノー、サー!」

コーチ「部活動もそこそこに、裏じゃ男漁りに精を出すクソビッチが!! しっかり見張るぞ!!」



145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:19:27.09 ID:sufaI3Wj0

ツカツカツカツカ…

池田(ま、またこっち来たし…)

コーチ「親御さんが産み損なったみたいだな」

池田「………」ビクビク

コーチ「お前の顔を見てると嫌になる! 現代美術の醜さだ! 福本作品の登場人物か!?」

池田「サー、ノー、サー!」

コーチ「名前はダメギか?」

池田「池田華菜です、サー!」

コーチ「池田ァ? ひょっとして犬作先生の御子息の方ですかァ!? 」

池田「サー、ノー、サー!」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:31:25.91 ID:sufaI3Wj0

コーチ「てめえも男の前でしっぽフリフリか?」

池田「サー、ノー、サー!」

コーチ「嘘を付け! そのしっぽは飾りか!?」

池田「サー、ノー、サー!」

コーチ「名前が気にくわん、宗教家かAV女優の名だ」

コーチ「今から池田ァ!と呼ぶ」

池田「サー、イエッサー…」

池田(って、あんまし変わってないんじゃ…)

コーチ「可笑しいかァ? 池田ァ!!」

池田「い、いえ…決してそんなことは……」

コーチ「その胸クソ悪いしたり顔を今すぐやめろ!」



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:39:12.99 ID:sufaI3Wj0

池田「………」ムズムズ

コーチ「早く顔面に伝えろ!」

池田「頑張ってます、サー」

コーチ「池田ァ、三秒やる…三秒だぞ、マヌケ! そのウザ顔をこれ以上続ける気なら、
今からてめえの家に乗り込んで、全自動卓に硬化ベークライト流し込むぞ!!」

池田「そ、それだけは…」

コーチ「1! 2!」

池田「うっ…」

コーチ「3!」

池田「できません、サー」

コーチ「上等だァ! ひざまずけクソ猫が!!」



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:48:32.49 ID:sufaI3Wj0

コーチ「てめえに一足先に風越の練習を体験させてやる」

ガッ!!

池田(!! く、首が……)

コーチ「オラァ! この状態で先輩たちを応援するんだよ!!」ギリギリギリ…

池田「くっ…がっ……」

コーチ「『頑張れ、かぜこしー!』って言ってみろ!!」ギリギリギリ…

池田「がっ…がんば…れ…」



150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 13:55:35.21 ID:sufaI3Wj0

コーチ「ふざけんのも大概にしろ!! 全然聞こえねえぞ!?」

池田「…がんばれっ…かぜこじ……」

コーチ「クソッタレが! ネコミミもげたか!?」

池田「…がんばれっ!!……がぜごじぃぃぃっ!!!」

コーチ「よし! 立て!」

池田「ッ…ゼェ…ゼェ…」

コーチ「ケツの穴を引き締めろ! ガラスの牌をひねり出せ!
……さもねえと、てめえのケツ穴が嶺上開花だ!!」

池田「………」



151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 14:08:19.87 ID:sufaI3Wj0

こうして、地獄の練習の日々が始まったのだった

コーチ「ランニング行くぞォ!!」

全員「サー、イエッサー!」

タッタッタッタッタッ…

コーチ「日の出と共に起きだして~♪」

全員「走れと言われて一日走る~」

コーチ「臨海女子はサノバビッチ~♪」

全員「梅毒、毛ジラミ、ばらまく売女~」



152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 14:17:46.82 ID:sufaI3Wj0

コーチ「小島武夫が大好きな~♪」

全員「私が誰だか教えてよ~」

コーチ「風越女子麻雀部!!」

全員「私の愛する麻雀部!!」

コーチ「私の部活!」

全員「私たちの部活!」

コーチ「てめえ等の部活!」

全員「麻雀部!!」



153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 14:25:04.36 ID:sufaI3Wj0

コーチ「よし!ろくでなしのルーキーどもはまず牌拾いから始めろ!! 落ちてる牌を拾ったら、
ピッカピカに磨きあげるんだ。ワシズ様がガラス牌と勘違いするくらいになぁ!!」

池田(ハァ…ハァ…こんなの地獄だし…)フキフキ

コーチ「池田ァ!! 何ちんたら磨いてんだ!!
ジジイのファックの方がまだ気合いが入ってるぞ!!!」

池田「サー…イエッサー…」

コーチ「トロトロしやがって……生まれつきか? それとも努力してそうなったのか!?
そんな調子じゃ、試合出来るようになる前に引退しちまうぞボケ!!」

池田「サー、イエッサーッ!!!」



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 14:34:47.39 ID:sufaI3Wj0

それから一ヶ月後、ついに新入生の実力を測るための部内対戦が行われた

そして―――

部員A「いきなり部内ランキング五位? 三年を差し置いて、あの新入生が?」

部員B「ってコトは、いきなりレギュラー入りってわけ?」

未春「す、凄いよ! やったね池田さん!!」

池田「えへへー、もっとほめてだし…」

未春「同学年の中では最強……おまけにレギュラー入りなんて、凄すぎてもう言葉にならないよ」

池田「でも聞いてよ―、実はあそこで役満テンパっててさー。もしあがれてたら…」

コーチ「イケダァ!!!」



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 14:46:04.84 ID:sufaI3Wj0

池田「ひっ、コーチ…」

コーチ「よく聞け池田ァ…私がこの世でたった一つ我慢出来ねえのはなァ…」

コーチ「『あの時こうしてればあがれてたのに…』とか言うヤツだァ!!!」

池田「さ、サー、イエッサー!!」

コーチ「部内五位だか何だか知らねえが、インターハイのクソ地獄の中では、
てめえは床を這いずり回る便所虫の如き存在なんだよ!!」

コーチ「少しは身の程を知れ、ド下手クソが!!」

池田「サー、イエッサー!!」



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:01:32.33 ID:sufaI3Wj0

コーチ「だいたいさっきのチーピン切りは何だァ?」

池田「サー…」

コーチ「あの状況であれを切るのがフツーなのか、このド低能!!
本番でもあのクソ判断で、チーム全体を地獄に引きずり込むつもりか!?」

池田「サー、ノー、サー!」

コーチ「死ぬなら一人で死ね!! 今すぐ死ね!!」

池田「サー、ノー、サー!」

コーチ「おかしいのはお前か? それともこの私か!?」

池田「サー、ノーサー!」



157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:13:15.68 ID:sufaI3Wj0

コーチ「いいかお前ら……池田は、あの状況下で何の迷いもなくチーピンを切った。
その間お前たちは何をしていた……?」

コーチ「これは全てお前らの怠慢、監督責任である! よって今から全員腕立て!!
………回数は、今日振り込んだ点数分だ!!」

全員「サー、イエッサー!!」バッ

コーチ「口を開けろ、池田ァ!!」

池田「」ガパッ

コーチ「そんなに点棒が欲しけりゃくれてやる! 存分に味わえ!!」グシャ!!

池田「ウガッ!! モゴゴ…」

コーチ「始め!!」

全員「1! 2! 3! 4!……」



158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:23:44.91 ID:sufaI3Wj0

それから――

コーチ「池田ァ!! そんなミエミエの手に何振り込んでんだァ!!」

池田「ひぃ…サー、イエッサー!!」

コーチ「全員、今の振り込み分腕立て!!」

全員「サー、イエッサー!!」

――――――――――

部員C「チッ…池田がミスする度に、こっちまでとばっちりなんて…」ヒソヒソ

部員D「レギュラー入りしてからますます頻度増えたしね―」ヒソヒソ

部員E「私なんて筋肉付きすぎて、アマレス部から勧誘受けたよ」ムキムキ

ヒソヒソ…ヒソヒソ…

池田「うぅ……グスグス」



159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:35:27.22 ID:sufaI3Wj0

コーチ「よし、今日はここまで! 二分後にボリス・コール(清掃開始)!!」

サラサラサラサラ…

未春「あのぅ…福路先輩」

福路「なぁに?吉留さん」

未春「いいんですよ、掃除手伝わなくても。こういうのはランキング低い一年の仕事ですから」

福路「あらあら気にしないで。私は好きでやってるだけだから」

未春「はぁ…」

福路「どうしたの、浮かない顔して? 悩み事なら相談に乗るわ」

未春「私の事じゃなくて、池田さんの事なんですが……」



160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:44:00.09 ID:sufaI3Wj0

今見てる人いるかな?
ちょっくら休憩します
もう咲SSは需要ないのかもね



161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:46:44.38 ID:iEATUjdOO

穴が空くほど見てます



162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 15:52:25.14 ID:0XBp6L7iO

見てるぜ
変に合いの手入れたらうざいから黙ってるんだぜ



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 16:16:13.36 ID:2X6vlGp80

咲SSなんて久々だから読みふけってしまった



165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 16:44:45.25 ID:+oWGfd5c0

面白い
続けてくれ



170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:01:28.03 ID:sufaI3Wj0

未春「正直、今の池田さんは見るに堪えられません…」

福路「…そうね」

未春「コーチだけでなく部員からも疎まれて、プレッシャーは相当なものだと…」

福路「…そう」

未春「このまま彼女が精神的に追い詰められていくのは……」

福路「……っ」ゾクゾクッ

未春「!? どうしたんですか?」

福路「いえ、何でもないわ……彼女はもう少しこのままでいいと思うの」

未春「で、ですが…」

福路「私も最初はこんな感じだったわ。意外となるようになるものよ」



171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:09:46.76 ID:sufaI3Wj0

―――――――――――

福路「ロン」

コーチ「またか池田ァ! トビ寸前だぞ!!」

池田「うっ………」

未春(池田さん……レイプ目……)

コーチ「全員腕立て伏せ用意!!」

マタダヨ…ヒソヒソ…イケダノセイデ…ヒソヒソ

池田(うぅ、なんでこんな目に……)

ヤメテホシーヨネー…ヒソヒソ…タイブシナイカナー…ヒソヒソ

池田(や、やめろ…そんな目でこっち見るなし……)

ムリヤリニデモオイダス?…ヒソヒソ…ソレイイネー…ヒソヒソ

池田(いやだ…いやだ…華菜ちゃんは……負けたくないィィィィ!!)



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:17:22.28 ID:sufaI3Wj0

池田「ツモ……リーチ一発平和純全三色一盃口……ドラ3、32000」

深堀「また数え役満!?」

未春「これで池田さんの逆転トップだ!!」

福路「あらあら、凄いわ池田さん」

コーチ「見事だ! お前の取り得をようやく発見したぞ!!」

池田「………」ボーッ



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:22:10.68 ID:sufaI3Wj0

県予選当日

麻雀部の部員たちは、この日に合わせて全員頭を丸刈りにされ、校庭に整列していた。

コーチ「ブタ娘どもは風越を愛しているか!?」

全員「生涯忠誠! 命を懸けて! ガンホー! ガンホー! ガンホー!」

コーチ「私たちの商売は何だ、お嬢様方?」

全員「殺しだ! 殺しだ! 殺しだ!」

コーチ「これからお前らは何をしに行くんだ?」

全員「殺しだ! 殺しだ! 殺しだ!」

コーチ「よし、行くぞォ!!」

池田「………」ボーッ



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:28:45.81 ID:sufaI3Wj0

コーチ「スカしたチャラ男はもういらない~♪」

全員「私の理想は阿佐田哲也~」

コーチ「もしも徹マンで倒れたら~♪」

全員「ヒロポン打って帰還する~」


――今、この私、池田華菜は、県予選とかいう最高にクソッタレな戦場に来ている

ここを突破したところで第二、第三のクソ地獄が待ちかまえているのだろう

その先どこまでいけるのかは誰にも分からない……



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:37:34.35 ID:sufaI3Wj0

なかなか進まないトーナメントにイライラしつつも、決勝までは……もうすぐ

今もこのクソ溜めの中を這い回りつつ、なんとか生きている

もう恐れるものはなにもない―――ハズだし……


池田(決勝の相手は龍門渕とかいう無名校か……こりゃ楽勝だし……)


コーチ「巡り合いは~♪」

全員「ざんこくーすぎーてーこーわーいー」テーレテレン


      フルメタル・イケダァ! 完

次回  透華「思い出づくりですわ!」



176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:43:05.22 ID:sufaI3Wj0

県予選後の龍門渕

衣「………」ショボーン

純「衣のやつ落ち込んでんな―」

一「清澄に負けて、東京行けなくなっちゃったからね」

智紀「衣は自分のせいで負けたと思っている……
つまり、自分のせいで東京に行けなくなったとも考えている」

透華「気にすることないですわっ!」



177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:46:34.42 ID:sufaI3Wj0

衣「トーカ…」

透華「確かに東京には行けなくなりましたが、そうなれば
かわりに別の場所に行けばいいのですわ!!」

衣「で、でも…」

透華「それに、別に東京でなくとも思い出は作れますのよ?」

衣「トーカ……」

純「で、一体どこへ行こうってんだ?」

透華「今流行りのヨハネスブルグですわ!!」



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 19:53:18.11 ID:sufaI3Wj0

ヨハネスブルグ 中央駅

純「ってことで来ちまったわけだが…」

一「具体的にどういう場所なのここ?」

智紀「パソコンでデータを取り寄せてみた」

一「なになに……法に縛られたくないアナタにオススメ、今世紀最後の楽園ヨハネスブルグ。
この地球上で唯一の、真に自由が保障された街……」

純「USJなんて目じゃない、スリルと興奮に満ち溢れたアクシデントの数々があなたを襲う。
到着と同時に、駅で現地の人々があなたを熱烈歓迎……なんだこれ?」

透華「よく分からないですけど、とにかくとっても楽しい遊園地のような場所らしいですの」

衣「わーい、衣は遊園地大好きだぞ!」



183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:15:58.36 ID:sufaI3Wj0

透華「この駅から二百メートルほどの場所に宿を確保しましたわ。ひとまずそこへ向かいましょう」

ウォォォォォォォォォォォ

純「ん?」

ドドドドドドドドド…

一「なにあの人たち? もの凄い重武装なんだけど」

透華「この国の特殊部隊かなにかでしょう」

衣「事件でもあったのかな?」


現地人『ウォォォォォォォォォォォ』ドドドドドドドドドドドドドドド…


智紀「こっちに向かってくる…」



184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:21:41.07 ID:sufaI3Wj0

一分後

現地人『ヒャハーッ!!!!!』

ズドドドドドドドドドドドドドド…


衣「ゲホッ、ゲホッ…何だったんだ今のは」

透華「荷物を全部奪われましたわ…」ボロッ

智紀「メガネまで盗られた」

一「まるで嵐みたな勢いだったよ……」

純「熱烈歓迎ってそういうことかよっ…」



185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:27:30.61 ID:sufaI3Wj0

透華「と、とにかく! 一刻も早く宿に着いて、警察に電話しましょう!」

一「それがいいね、急ごう!」

タッタッタッタッ…


五分後

透華「着きましたわ!」

一「ねえ透華、本当にここでいいの?」

透華「地図だとここで間違いありませんわ」

一「じゃあさ、なんでここ燃えてるの……」



186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:33:00.21 ID:sufaI3Wj0

ゴォォォォォォォォ

透華「嘘…ここらで一番いい宿を予約したのに…」ヘナヘナ…

ズドドドドドド… パーン、パーン ワーワー キャー

純「つーか襲撃受けてるぞここ……」

一「ホテルマンがバズーカで応戦してるね」

ドカーン! バリーン! ズダダダダダダダ…

智紀「……これからどうする?」



187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:41:25.01 ID:sufaI3Wj0

黒人A「ヘイ、イエロー!」

透華「げっ、また黒人共ですわ」

純「俺たちはもう何も盗られるモン持ってねーよ!」

黒人B「へへ、俺たちは金目当てじゃネーヨ」

一「ま、まさか…」



188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:45:14.21 ID:sufaI3Wj0

黒人C「金目のモノ持ってねえ連中にやることといったら、ひとつしかねーだろ」

衣「ひ、ひいっ」

黒人D「声出しても無駄だぜ…こっちはナイフも持ってるしなぁ」スチャ

黒人E「動くなよ…動くと死ぬぞ……」

黒人F「へっへっへっ…覚悟しろ」ザッ…

透華「い、いやぁああああああああ!! 犯されますわああああああ!!!」



189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:49:26.31 ID:sufaI3Wj0

黒人G「どけ! てめえになんか興味ねえんだよ!!」ドカッ

透華「えっ?」

黒人H「俺たちが興味あるのは……そこの男だ」

純「えっ、俺か……?」

黒人I「ぐふふ、なかなかいい男じゃねえか…そそられるぜ」

純「いや俺は…」

黒人J「全員かかれぇ!!!」



190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 20:53:19.53 ID:sufaI3Wj0

純に二十人近くの男たちが殺到した。

純「うわぁぁぁぁぁっ!!」

黒人K「ん……なんだ胸があるぞ。 コイツ女だぜ!!」

黒人L「ちっ、なんだ女かよっ! 俺たちは男にしか興味ねえつーの!!」

黒人M「命拾いしたなぁ、ジャップ共!!」

そう言って黒人たちは嵐のように去っていった。



191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:00:14.18 ID:sufaI3Wj0

一「なんとか助かったね…」

純「俺は色々と大切なものを失った気分だ…」ショボーン

透華「それよりこれからどうすればいいですの? お金がないから宿にも泊まれないですし…」

智紀「かといって野宿は危険」

衣「うわーん、家に帰りたいよぅ」グスグス

透華「衣…」

一「そうだ…ボクに任せて!」



192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:07:52.40 ID:sufaI3Wj0

透華たちは、ヨハネスブルグでも比較的裕福な層が集まる地域に赴いた。
そこで一が大道芸を披露し始めたのだ。

一「さあさあ、寄ってらっしやい見てらっしゃい! 国広一のおもしろ奇術ショーでーす!」

一(これで見物料を稼げれば…)

しかし、街の人々は一の手品に見向きもしない。かなりレベルの高いショーなのだが。

一(そんな…一人の客もこないなんて……)



193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:16:30.27 ID:sufaI3Wj0

男「そんなんじゃ客は集まらねえよ」

一に白人の男が声をかけた。

透華「きいーっ、はじめのショーがつまらないとでも云うのですの?」

男「ここじゃもっと凄い手品が、毎日のように見れるからな」

一「それって一体どんなものなの?」

男「人ひとりを丸ごと消しちまう手品さ。骨も残らねえんだぜ…」

全員「………」



194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:23:34.55 ID:sufaI3Wj0

透華「お金を稼ぐのはあきらめるしかないですわね…」

衣「じゃあ、今夜どこで寝るのだ?」

智紀「裏路地のゴミ捨て場。ここから使えそうなものを探す」

純「つっても、カスみたいなモンばっかだな……使えるものがまるでないぜ」

智紀「ヨハネスブルグは世界有数のエコ大国……使えるものはとことん使い倒す。
生ゴミすら、彼らにとっては貴重な食料」



195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:29:28.23 ID:sufaI3Wj0

純「けっきょく地面に雑魚寝か」

一「あれ、でもこの地面……なんだか生温かいよ?」

むにゅ

智紀「この感触……人間…?」

透華「きゃああああああ!? 死体が転がってますわぁぁ!!」



196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 21:33:01.31 ID:sufaI3Wj0

純「ゴミ捨て場に人間の死体って……本当にどうなってるんだこの国……」

一「まだ温かいってことは、ついさっき殺されたってことだよね」

衣「ころもは…ころもはもう嫌だぞ、こんなの…」

智紀「とりあえず、今夜はここで過ごすしか…」

ザッ…

チンピラ「おいおい、悲鳴を聞いて来てみれば……」



201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:06:12.82 ID:sufaI3Wj0

透華たちの前に、一人の屈強な男が立ちはだかった。
メガネをかけたその男が着ているタンクトップの下からは、はちきれんばかりの筋肉がのぞいている。

純「また黒人かよっ」

透華「落ち着きなさい、相手はたった一人ですわ!!」

いや、よく見ると一人ではない。
男は手に手綱をつけている。どうやら動物を連れているらしい。



202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:14:50.55 ID:sufaI3Wj0

チンピラ「おい、こっちこい」グィッ

そう言って男が手綱を引っ張る。すると暗がりから、一匹の大型動物が姿を現した。

「グルルルルルルルルルルル」

一「ハ、ハイエナだ……」

チンピラ「犬の散歩してたら、こりゃ思わぬ拾いモンだぜ」

透華「く、来るな……ですわ!!」



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:28:42.54 ID:sufaI3Wj0

チンピラ「安心しなよ。優しくしてやるから」

一「この人はさっきみたいなゲイ専じゃないよ!!」

チンピラ「どっちの穴でもイケるぜぇ」

衣「うあ…」

純「チ、チクショー、戦ってやる!!」

チンピラ「ほぅ…じゃあちょっと痛い目みてもらおうか……かかれ!!」

ハイエナ「グワッ!!」バッ

純「うわぁっ!!」



205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:32:56.68 ID:sufaI3Wj0

バキッ!

ハイエナ「キャウン!」ドサッ…

純「………?」

シュタッ

ハギヨシ「御無事ですか、皆様?」

透華「ハ…ハギヨシですの?」

一「どうしてここに!?」

ハギヨシ「お嬢様たちだけでここヨハネスブルグに行ったという情報を耳にし、
急いで後を追わせていただきました。ここは世界の危険地帯ですから」

衣「よかった…これで助かった……」



206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:39:53.64 ID:sufaI3Wj0

チンピラ「おいてめえ、全然よくねえよ……よくも俺の犬を殺しやがったな」

ハギヨシ「皆様下がっていてください。この方は私が相手をします」

チンピラ「上等だ…てめえはぶっ殺す」

ハギヨシ「ではいきますよ…」

チンピラ「かかって来いおらぁああああ!!!!」ダッ



207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:43:22.62 ID:rJaIUjd60

安心のハギヨシ



208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:43:44.99 ID:sfhJtwJd0

ハギヨシ△



209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 22:54:17.74 ID:sufaI3Wj0

ドカッ バキッ メキッ

一「萩原さん頑張ってー!!」

透華「ハギヨシなら安心して任せられますわ!!」

しかし、勝負は一向に付く気配がない。二人とも戦闘力が互角なのだ。

チンピラ「オラオラ、どうしたァ?」ドカッ

ハギヨシ(くっ、思いのほか強いですね……)

ドカッ バキッ グシャッ



210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:02:08.80 ID:sufaI3Wj0

数十分後

チンピラ「ハァ…ハァ…おい…いいかげん倒れろよ……」ヨロヨロ…

ハギヨシ「そ……そちらこそっ……」フラフラ…

純「す、凄げぇ…この勝負一体どっちが勝つんだ!?」

智紀「この勝負には私たちのバージンがかかっている……何としても勝ってもらわねば」

透華「ハギヨシ―、もうちょいですわー!!」

一「萩原さん…お願い勝って……!」

衣「ころもは眠たくなってきたぞ…」



212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:10:04.29 ID:sufaI3Wj0

「おいおい、これはどういうことだ?」

全員「!?」

ザッザッザッザッ…

一「チンピラたちが…」

透華「たくさん集まってきましたわ!!」

ゾロゾロゾロゾロ……

チンピラ「ボ、ボス!」

ボス「なんだこいつらは?」



213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:17:34.60 ID:sufaI3Wj0

チンピラ「遅くなってすいません……この男が案外強くて…」

ボス「けっ、てめえは組織の頭脳労働担当だろうが! ケンカしたこともねえモヤシは引っ込んでろ!!」

チンピラ「はい、すいませんでした!」サッ

一「この人が…弱いだって……?」

ボス「さて…仲間が世話になったみてえだな」ギロッ

透華「ひっ!」

ボス「男一人に女五人か…この人数で輪姦すにはちょっと少ねえが、まあいい」



215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:23:11.70 ID:sufaI3Wj0

ザッザッザッザッ…

ボス「へへ、可愛がってやるぜ」

透華「あああ…とうとうここまでですの…」

智紀「絶対絶命……」

一「くっ…お父さん……!」

ハギヨシ「も、申し訳……ありません…透華お嬢様……」

衣「ころもは…し、死ぬ前に……もう一度、タルタル食べたかったなっ」ガクガク…

チンピラ「じゃあ俺のタルタルたっぷり飲ましてやるよ…」

衣「ひいいいっ!!」


純「伏せろっ!」



216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:30:40.41 ID:sufaI3Wj0

ドッカーン!

チンピラたち「うわぁぁぁぁっ!?」

透華「な、何ですの!?」

透華たちは背後を振り向く。そこにはロケットランチャーを構えた純が立っていた。

ボス「なんだと!?」

透華「純! あなた一体どこでそんなものを!?」

純「さっきのゴミ捨て場に捨ててあったんだ! お前らの分もあるぞ!!」

そう言って純はAKやRPGなどの銃火器を地面にばら撒いた。

一「これだけあれば、あの人数相手でも……」

ボス「上等だ! 数の力を見せつけてやれ!!」

チンピラたち「おおっ!!」

透華「こちらも行きますわよっ!!」



217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:39:54.90 ID:sufaI3Wj0

そして――

ボス「ハァ…ハァ…なかなかやるじゃねえか、お嬢ちゃん」

透華「そっちこそ…いい腕してますわ……」

一時間ほど拳と銃弾を交えた両者の間には、奇妙な友情が芽生えていた。
その場にいる全員がいがみ合うことを忘れ、お互いの健闘を称え合っている。

聞けば彼らはかなり大規模な犯罪グループらしい。
透華たちは彼らのアジトに招待され、その日はそこに泊めてもらった。



218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:46:21.71 ID:sufaI3Wj0

翌日

ボス「なんだ、お前らヨハネスに観光に来たのか?」

透華「ええ。それなのに着いた瞬間、強盗にあうわ、レイプされかけるわ、
泊まろうとしていたホテルは襲撃にあって全焼するわで、もう最悪ですわ!」

ボス「ははは、そいつは災難だったな。 よし、俺たちがこの街の観光案内を手伝ってやるぜ!」

透華「ホントですの!?」

ボス「ああ、とびっきり楽しい観光にしてやるぜ!!」

透華「では楽しみにしてますわ」



219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/22(日) 23:52:21.13 ID:sufaI3Wj0

それから透華たちは略奪団に、ヨハネスブルグの正しい楽しみ方をレクチャーされた。

昼間は外国人旅行客を狙って窃盗を行う。
夜になると宿を襲撃し、駆けつけてきた警察との銃撃戦を楽しんだ。
エイズに利く特効薬と偽って麻薬を売りつけ、裏では警官に賄賂を渡す。
手持ちの武器が無くなったときには、石強盗にもチャレンジした。

いずれも、日本では体験できないスリルな出来事の連続だった。



221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:00:55.41 ID:Tf2Ppk7H0

どうしてこうなった



222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:01:42.25 ID:sufaI3Wj0

そして帰国の日――

純「いやー楽しかった楽しかった」

智紀「ヨハネスブルグはおもしろい…」

一「友達もたくさんできたしね!」

衣「トーカ、来年もまた来こような!」

透華「もちろんですわっ! 私たちはこれから毎年、夏はここに通いますのよ!!」


     透華お嬢様 ヨハネスブルグへ行く  完

次回  睦月「人間の証明」



224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:09:35.39 ID:haQUiOPH0


次回も期待してるわ



225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:12:04.48 ID:05phwhOw0

ここは鶴賀学園

放課後、津山睦月はいつも通り麻雀部の部室へと向かっていた。

睦月「こんにちわー」ガラッ

扉を開けると、そこにはまだ誰もいなかった。

睦月(私が一番乗りか…)



226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:19:48.27 ID:05phwhOw0

睦月(暇だな…)

十五分ほど経ったが誰も来ない。睦月は暇を持て余していた。

睦月(みんな遅いな……カードでも眺めて待つか……)

そう考えて、彼女は部室の机の上に、自身の集めている
プロ麻雀せんべいのおまけカードを並べ始めた。



227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:24:24.72 ID:05phwhOw0

それから程なくして――

ガラッ

蒲原「ワハハ―、一番乗りだー!」

ゆみ「おい、もうちょっと静かに開けろよ」

三年の先輩である加治木と蒲原。
そしてその後ろからは、

モモ「いやー、今日も暑いっすね」

妹尾「この部屋、クーラーがきいてて涼しいですねー」

同学年の妹尾佳織と、後輩の東横桃子も入って来た。



228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:29:12.13 ID:05phwhOw0

睦月「あっ、みんなこんにちわ」

睦月はすかさず彼女らにあいさつしたのだが――

蒲原「もーゆみちんは細かいトコこだわるなー」

ゆみ「こういう性分なんだよ。ところで睦月のやつはまだ来てないのか?」

睦月「えっ?」



231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:39:54.88 ID:05phwhOw0

睦月「ちょっと先輩、からかうのはよしてくださいよ」

妹尾「そういえば、今日は掃除当番がないから早く来れるって言ってましたけど」

睦月「か、佳織まで……私はここにいるよ」

ゆみ「まあいい、取り敢えずこの四人で始めるか」

睦月「待ってください、悪い冗談ですよ……ホントに怒りますよ?」

モモ「はいっす、早く始めましょう!」

睦月「………」



232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:43:51.01 ID:05phwhOw0

睦月(何だ? 何でこんなにナチュラルにハブられてるんだ私…)

睦月(新手のイジメ? いや、そんなまさか……)

蒲原「あれ? 誰だー、こんなところにプロ雀士カードおいたのは?」

睦月「!!」



233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:48:52.40 ID:05phwhOw0

睦月「あっ、それ私のです!」

ゆみ「部員の誰かが置いて行ったのか?」

妹尾「私じゃありませんよー」

モモ「私もカード集める趣味はないっす」

睦月「だから私のですってば」

蒲原「とりあえず、邪魔だから片付けますか―」ガサガサッ

睦月「ああっ、もうちょっと丁寧に扱ってくださいよ!」

蒲原「大体、今どきカード集めとか古いよなー」

睦月「………」



234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 00:57:32.53 ID:05phwhOw0

モモ「さー始めるっすよ―」

妹尾「今日は負けませんよ」

睦月「む、無視しないでくださいよぅ…」

ゆみ「蒲原、それロンだ」

蒲原「ワハハー、相変わらずゆみちんは強いな―」

睦月(どうなっているんだ……まるで姿が見えていないような)

睦月(常日頃から、自分でも存在感が薄いと感じていたが、まさか本当に見えなくなった?
いやそんなバカな……)



236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:09:39.68 ID:05phwhOw0

蒲原「そーいえばさー」

ゆみ「何だ蒲原」

蒲原「ここだけの話、むっきーって影薄いよなー」

睦月「!!」

ゆみ「おいお前何てことを…」

蒲原「いやだからここだけの話だって」

睦月「………」



237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:13:08.18 ID:05phwhOw0

蒲原「佳織もそう思うだろー?」

妹尾「ええっ? わ、私に振らないでよー」

蒲原「どうなんだー?」

妹尾「え…えっと……まぁ、たまにいるのを忘れることがあるけど……」

睦月「そ、そんな…」

蒲原「だろー? 正直モモよりもステルスだと思うんだよなー」



238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:18:17.32 ID:05phwhOw0

モモ「私よりステルスっすか…?」

蒲原「モモの場合、ステルス自体が一種の個性だからな―」

モモ「まぁ確かにそうっすね」

蒲原「その点、むっきーの場合は個性がないっていうか……地味なんだよなー」

モモ「確かに遠慮がちで、どっちかっていうと消極的なタイプっぽいっすよね」

蒲原「あの性格じゃ、私たち以外に友達いるのか心配だなー」

睦月「くっ……」



239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:28:17.70 ID:05phwhOw0

睦月(ひどい、ひどすぎる…あんまりだ! いくらそうだとしても、
本人のいないところで陰口を叩くなんて許せない……!)

蒲原「麻雀にしても特徴のない打ち方だし……ホントに個性ないなー」

妹尾「智美ちゃん、言いすぎだよ。いくら本人がいないからって……」

蒲原「強いて言えば、個性がないのが個性ってトコかなー?」


睦月「っ………!!」



241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:35:42.18 ID:05phwhOw0

睦月「うあああああっ!!!」ダッ

睦月は大声を上げながら、蒲原めがけて一直線に突進した。

蒲原「あれ? むっきーいたの……」

睦月「うらあっ!」ガッ

蒲原「ぐはっ…」

睦月は両腕に渾身の力を込め、まるで万力のように蒲原の首を締めあげた。



242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:42:59.74 ID:05phwhOw0

睦月「誰が無個性だ! あんただって、その笑いがなきゃ私と似たようなものでしょう!?」ギリギリ

蒲原「ぐっ……がっ……」

睦月「二度と笑えないようにしてやる……!」ギリギリ

睦月は首を絞める力をさらに強める。

だがそこで邪魔が入った。

ゆみ「やめろ睦月!!」



244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:50:37.73 ID:05phwhOw0

睦月「邪魔しないでください先輩! こいつだけは許せないんです…」ギリギリ

ゆみ「妹尾とモモも手伝え! 睦月を引きはがすんだ!!」

モモ「は、はいっす!」

三人によって、睦月は蒲原から無理やり引きはがされた。

津山「うわぁぁぁぁ、離せ―!!」ジタバタ

ゆみ「大丈夫か、蒲原?」



245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 01:57:31.83 ID:05phwhOw0

蒲原「ゼェ…ゼェ……な、なんとか……」

睦月「邪魔しないでって言ってるじゃないですか!」ジタバタ

モモ「うわっ、すごい力っす!」

ゆみ「ダメだ、わたしたちじゃ押さえきれない!」

妹尾「誰か……誰か力を貸してくださーい!!」

その時、幸いにも部室の近くを教師二人組が通りかかった。
加治木たちは彼らに助けを求め、二人は睦月を取り押さえた。



246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:06:00.11 ID:05phwhOw0

教師A「こらっ、大人しくしろ!」

睦月「 離してくださいっ!! この、離せ―!!」ジタバタ

教師B「このまま教務室に連れていくぞ!」

ガラガラッ…ピシャン!

モモ「ふー、大変だったっすね―」

ゆみ「ああ、まさか普段おとなしい睦月があんなことをするなんて……」

妹尾「それにしても、どうして津山さんは急に暴れたんでしょうか?」

蒲原「さっきの話、ひょっとして聞かれてたのかな?」



248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:13:26.87 ID:05phwhOw0

教務室

睦月「はーなーせー!!」ジタバタ

教師A「おい、暴れるのをやめんか!」

教師B「生徒手帳によると、彼女の所属は二年D組ですね」

教師A「D組は田辺先生のクラスでしたな……おーい田辺先生、こっちに来ていただけますか?」

担任「はい、何でしょう?」

教師A「あなたのクラスの生徒が問題を起こしましてね」

睦月「違うんです先生! これには理由があって…」

担任「あー……あなた誰だったかしら?」

睦月「なっ…」



249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:21:56.70 ID:05phwhOw0

教師B「えーっとですねえ……生徒手帳にはD組所属って書いてあるんですが……」

教師A「もしかして間違ってますか? 名前は津山睦月ですよ」

担任「ちょっと待ってください、今名簿を……津山…津山睦月……
ああーはいはい、確かに私のクラスですねえ」

睦月「………」

担任「困りますよ、えーっと……津山さん、一体何を…」

睦月「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バッ



251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:30:01.19 ID:05phwhOw0

教師A「うわっ、なんて力だ!!」

睦月は力ずくで、教師二人の拘束を振りほどいた。

睦月「自分の生徒の顔ぐらい覚えてください!」

バキッ

担任「ぎゃっ」

教師B「こいつ担任を殴ったぞ! 取り押さえろっ」

睦月「うおぉぉぉっ!」ドカッ バキッ

教師B「うわっ……誰か彼女を止めろぉ!!」



252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:40:45.22 ID:05phwhOw0

教師C「止まるんだ!!」

ガタイのいい体育教師が、睦月に向かっていく。
だが彼女は、彼をやすやすと投げ飛ばした。

ドガッシャァァァァン!!

投げ飛ばされた教師が、ドアを突き破ってすっ飛んでいく。

それを見た他の教師が怯んだ隙に、睦月は教務室を飛び出した。



253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 02:47:50.90 ID:05phwhOw0

教師A「大変なことになったぞ。他の生徒に危害を加えるかもしれん」

教師たちは手分けして彼女を探すことに決め、同時に全校放送を流した。

放送『校内に残っている生徒に連絡します。部活動を中止して、
直ちに付近の教室に入りなさい。廊下には出ないように。繰り返します…』


モモ「何すかね、この放送は?」

妹尾「不審者でも入って来たんでしょうか?」

ゆみ「さっきの事といい、今日は嫌なことばかり起こるな」



261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 08:31:39.33 ID:05phwhOw0

ガチャッ

ゆみ「一応扉にカギも掛けたし、これで安心だろう」

モモ「それにしても、さっきはびっくりしたっすねー」

ゆみ「蒲原のバカのせいだ。あとで睦月に謝らなければ」

妹尾「でも凄かったですよ」

ゆみ「何がだ?」

妹尾「あんなに存在感がある津山さん、初めてで…」

ガタン!



262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 08:35:10.98 ID:05phwhOw0

次の瞬間、天井のダクトカバーが外れ落ち、室内に津山睦月が飛び降りてきた。

睦月「………」キッ

唖然とする一同を、睦月は怒りの形相で睨みつけた。

ゆみ「睦月、お前……」

睦月「うむァ!」バキッ

何か言いかけた加治木を問答無用で殴り倒す。

ドギャァァァァン!

ゆみ「うぐっ……」

吹っ飛ばされたゆみは机の角に頭をしたたかに打ちつけ、動かなくなった。



263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 08:42:18.12 ID:05phwhOw0

佳織「加治木せんぱ…」

睦月「ひどいよ佳織……友達だと思ってたのに」

妹尾「ひっ…」

睦月「人の悪口言うのって、そんなに楽しい?」スッ

そう言いながら睦月は、用務員室から盗んできたナタを取り出す。

妹尾「…………ブクブク」バタンッ

ギラギラと光る刃先を向けられただけで、佳織は泡を吹いて卒倒した。



264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 08:58:16.13 ID:05phwhOw0

モモ(やばいことになったっす……)

モモは加治木が殴り倒された瞬間、ステルスを発動していた。
実際は佳織の横に棒立ちしているだけだったが、もう何人も彼女の姿を認識できないはずだった。

睦月「さぁて、次は…」

モモ「………」ブルブル

モモ(ふ、震えるな私……このままむっちゃん先輩が部室を出て行くのを待てば……)

ぴとっ、とモモの首筋に、ナタの冷たい刃先が付きつけられた。



265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 09:04:10.80 ID:05phwhOw0

モモ「な……んで……私が見えてるっすか?」

睦月「簡単だよ、自分より存在感のある人を見つけることなんて」

モモ「そ、そんな……」

睦月「それより蒲原先輩はどこに行った? ここにはいないみたいだけど」

モモ「さっき……一応、保健室に行ってくるって……」

睦月「ふーん」



266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 09:11:35.21 ID:05phwhOw0

ドンドン!

教師A「いたぞ、この教室だ!」

教師B「はやくカギを!」

モモ(よかった、先生たちだ……早く助けてほしいっす!)

睦月「………」ギロッ

モモ「ひっ……!」

睦月「みんなに伝えるんだ……もう空気とは呼ばせないって」

そう言い残すと、睦月は部室の窓から外へ飛び出した。



267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 09:21:21.41 ID:05phwhOw0

睦月は鶴賀学園を囲む山の中へと逃げ込んだ。
教師たちは警察に通報した。
なにせ、大の大人が数人がかりでも捕まえられない女が、刃物を持って逃走しているのだ。

十分もしないうちに、警察がたくさん集まって来た。
警察犬が導入され、大規模な山狩りが始まろうとしていた。



269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 09:31:06.84 ID:05phwhOw0

睦月(ハァ…ハァ…まさかこんなことになるなんて)

茂みの中で、睦月は息をひそめていた。
遠くから犬の鳴き声がする。やがて、自分を探している大人たちの姿が見えた。

睦月(警察があんなにたくさん……鉄砲持ってる人もいる)

捜索には警察の他、地元の猟友会のメンバーも加わっていた。

睦月(くそっ、これじゃあまるで、私が凶暴な野生動物みたいじゃないか!!)

警察「犯人は凶暴らしいぞ。捕まえる為なら、多少は手荒なことをしてもかまわん」

睦月(なるほど……そっちがその気なら、私も精一杯やってやる!)



270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 09:41:14.94 ID:05phwhOw0

睦月は狩人の一人に忍び寄った。
存在感の薄さがここでは功を成し、相手は全く気付いていない。

睦月「うむァ!」ドギャ

狩人「ぐぁっ」

首に手刃をくらわせると、一発で相手は気絶した。

睦月(今のうちに装備を頂こう)

睦月は狩人のライフルと弾を奪い取った。その時――

ワン、ワンワン! ワンワン!

睦月(しまった、見つかった!)



279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 13:43:44.61 ID:05phwhOw0

警察「いたぞ、いたぞおおおおぉぉぉ!!!」

睦月の匂いを嗅ぎつけた警察犬、その後ろからは大人たちが、
一斉に彼女を追いかけ始めた。

睦月(まずい、逃げなくては……!)

ザザザザザザッ

茂みをかき分け、睦月は必死で走る。背後からは、犬や大人たちの声。

警察「確保しろー!」

狩人「ワシらが捕まえれば、テレビに出れるぞ!」

睦月(くそっ……そんな理由で捕まってたまるか!)

やがて茂みが少なくなり、道が開けてきた。
そして彼女の目に飛び込んできたのは―――

睦月(行き止まり!?)



280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 13:55:40.68 ID:05phwhOw0

いや、正確には行き止まりではなかった。

睦月の目下に広がっていたのは、一面の崖だった。

ゴォォォォォッ

睦月「うっ……」

彼女は一瞬躊躇したものの、

睦月(いや、ここで捕まってたまるか!)

意を決して崖を降り始めた。



282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 13:59:20.46 ID:05phwhOw0

睦月「むう……」

岩にへばり付きながら、おそるおそる崖を降りて行く。

バラバラバラバラバラ……

睦月「むっ?」

遠くから、耳をつんざくようなローターの回転音が聞こえてきた。

警察のヘリだ。

ヘリ『もうあきらめろ、おとなしく投降するんだ!』



283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:10:59.26 ID:05phwhOw0

ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!

睦月「うわっ!」グラグラ

ローターの風圧がすさまじい。ただでさえバランスをとるのに必死なのに、
ヘリの接近で風がびゅうびゅう吹きつけてくる。

睦月(このままじゃ落ちてしまう……!)

バラバラバラバラバラバラバラバラ……

ヘリ『もう逃げられないぞ!』

睦月(頼むからあっちに行って……私を殺す気ですか?)

ヘリ『さあ観念するんだ!』

ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!!

睦月「う、うむァァァァァッ!!!」ビュッ

苦し紛れに、睦月はポケットに入っていた麻雀牌をヘリに投げつけた。



284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:18:39.90 ID:05phwhOw0

バリィン!

ヘリ『うわっ』

牌は操縦席付近のガラスに命中した。ガラスが割れ、破片が飛び散る。
驚いたパイロットは、思わず操縦桿を放してしまった。

キュイーン キュイーン キュイーン

あっという間にヘリはコントロールを失い、でたらめに機体が回転し始める。
そしてそのままどんどん高度を落とし、ついには崖下に墜落した。

ガシャァァァァン!!!

墜落したヘリから黒煙が上がる。
乗っている人がどうなったのか、睦月のいる場所からは分からなかった。

睦月(やってしまった……とうとうヘリまで墜落させるなんて)



286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:24:47.10 ID:05phwhOw0

警察は青くなって撤退命令を出した。
逃走犯は銃を所持しているばかりか、ヘリまで墜落させたのだ。

警察『隣県からも応援を寄こしてください! 私たちだけじゃ手に負えません!』

県境は封鎖され、町には検問が設けられた。
機動隊にまで出動命令が出された。

たった一人の少女を捕まえるために――



287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:30:19.15 ID:05phwhOw0

睦月(どうする……これからどうすればいい?)

睦月は苦悩していた。
自分の予想以上に、事が大きくなりすぎている。
もし今から投降したとしても、もう普通の生活には戻れないだろう。

睦月(くそっ……元はといえば蒲原先輩が悪いんじゃないか!)

追い詰められた思考の片隅に、全ての元凶である先輩の顔が浮かんでくる。

睦月(捕まる前に……何としても彼女だけは……)



289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:41:42.17 ID:05phwhOw0

睦月は山を下った。
降りた先はサービスエリアだった。車やトラックが何台も駐車してある。

運転手「♪~」

ちょうど一人の運転手が、口笛を吹きながらトイレから出てきた。
睦月は彼に銃を突きつけた。

睦月「動くな」チャキ

運転手「ひぃっ」

睦月「車のキーを渡してください。そうすれば乱暴はしません」

運転手「わ、わかった…」



290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:48:35.36 ID:05phwhOw0

睦月が手に入れたのは、トラックのカギだった。

睦月(運転できるかな……まあ、なんとかなるだろう)

ブォォォォォォォン!

エンジンを起動させ、睦月はトラックを走らせた。
このまま町から逃げるのではなく、あえて町の方へと走っていった。



291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 14:55:46.55 ID:05phwhOw0

睦月「むっ……検問か」

案の上、町の入り口は検問で封鎖されていた。
だがそんなものは意に介さず、睦月はアクセルを踏み込んだ。

警察「うわぁぁぁぁ止まれぇぇぇぇ」

当然止まるはずもなく、トラックは検問に突っ込んだ。

ドガシャァァァァン!

バリケードを破壊し、強引に睦月は町へと侵入した。



292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:00:39.82 ID:05phwhOw0

ファン ファン ファン ファン

警察『そこのトラック、止まるんだ!』

今度はパトカーが何台も追いかけてきた。

睦月「やっかいな……まとめて始末しよう」

睦月は町中のガソリンスタンド目指して、トラックを走らせた。



294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:05:28.04 ID:05phwhOw0

やがてガソリンスタンドが見えてきた。睦月はアクセルをさらに踏み込んだ。

警察「なんだ? あいつ、あのまま突っ込む気か?」

トラックは一向に減速しようとしない。このままでは正面からスタンドに突っ込んでしまう。

警察「死ぬ気か?」

そして、トラックは猛スピードでスタンドに突っ込み、ようやく停止した。



295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:11:01.96 ID:05phwhOw0

警察「ようし! 全車、トラックを包囲しろ!!」

パトカーがトラックの周りに輪を描くように停車した。
車両を盾に、警官たちが銃を構える。

警察『もう逃げられないぞ! 武器を捨てて出て来い!!』

だが五分、十分と経っても、トラックからは誰も出てこない。
その間にも、次々と警察の増援が駆けつけてきた。



296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:17:02.03 ID:05phwhOw0

警察「ええぃ、突撃しろ!」

包囲から三十分後、しびれを切らした警官たちは、ついにトラックへと突入をかけた。
盾をもった機動隊が二十人、その後ろからは数十人の警官たちが、銃を構えてトラックに近寄る。

バシュゥゥゥン!

車内に催涙弾が撃ち込まれる。
それを合図として、機動隊が荒々しくトラックのドアをぶち破り、突入したのだが―――

機動隊員「誰もいないぞ……」

トラックの中はもぬけの殻だった。



297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:27:54.69 ID:05phwhOw0

警察「いつの間に逃げたんだ? 早く探せ!!」

犯人が忽然と消えたことで、現場は大混乱に陥った。

警察「トラックの中になにか手がかりが残ってないか?」

そこで機動隊員が、トラックの中に残れた一枚のメモ用紙を見つけた。

そこには、こう走り書きされていた。
―――死にたくなければ早く逃げろ。

機動隊員「ま、まさか…」



298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:35:44.27 ID:05phwhOw0

機動隊員「おい、みんな逃げろ!! 爆発するぞ!!」

警察「なんだって!?」

考えてもみれば、ここはガソリンスタンドなのだ。
もし犯人が、今にも銃を構えてここを狙ってるとしたら――

警察「に、逃げろおぉぉぉぉ!!」

パニックに駆られ、全員が逃げ出した。



299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:41:52.59 ID:05phwhOw0

睦月「うむ、計画通り…」

津山睦月はデパートの屋上から、眼下のガソリンスタンドを眺めていた。
まるで蜘蛛の子を散らすように、警官隊が逃げて行く。

今の彼女の存在感の薄さを持ってすれば、警察に完全包囲されたこの状況でも、
トラックから気付かれないように脱出するのはわけないことだった。

睦月(存在感のなさがこんなところで役立つなんて、皮肉だな……)

警察が全員避難したのを確認すると、彼女はスタンドのタンクを狙って発砲した。

ドゴォォォォォォン!!!!!

ガソリンに火花が引火し、大爆発を起こした。
その爆発はトラックはおろか、周囲を包囲していた警察車両ごと吹っ飛ばすほどの威力だった。



301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:49:31.01 ID:05phwhOw0

睦月(これは戦争……そして私の存在証明でもある……私は今、確かに存在してるんだ!)

睦月は、今度は電柱にむかってライフルを発砲した。
電線が断線し、町のいたるところで停電が起きる。

睦月(準備は整った。次に行くところは決まっている……)

彼女はライフルを背負うと、ゆっくりと歩き始めた。



302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 15:59:08.36 ID:05phwhOw0

とある病院

ゆみ「ハッ……!」

刑事「おや、目が覚めましたか加治木ゆみさん」

ゆみ「ここは……どこですか?」

刑事「市内の病院です。あなたは津山さんに襲われて、気絶したんですよ」

ゆみ「そうだ思い出した……睦月はどうなったんです?」

刑事「津山さんはあなたたちを襲った後、学校外に逃走しました。
それから銃を奪い、追跡隊のヘリを墜落させ、ついさっきは数十台の警察車両を爆破したところです」

ゆみ「まさか……にわかには信じがたい話ですね」

刑事「とても女子学生とは思えませんよ。そして、彼女は現在も逃走中です」



303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:02:56.77 ID:05phwhOw0

刑事「せめて、彼女が現れる場所が分かれば……」

ゆみ「刑事さん、部活の他のみんなはどうしたんです?」

刑事「彼女たちには簡単な事情聴取を行なった後で、家に帰しましたよ」

ゆみ「……刑事さん、私には彼女が次に行くところの見当がつきます」

刑事「えっ? それは本当ですか!?」

ゆみ「ええ、急がないと手遅れになるかもしれません」



304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:14:47.05 ID:05phwhOw0

蒲原「ワハハ―、困ったな―」

ここは蒲原智美の自宅。両親はまだ帰っておらず、家には彼女一人だけだ。

蒲原「この停電じゃ、何もできないぞ」

ガタッ

蒲原「!!」ビクッ

同じ部屋の中で、何かが動いたような音がした。

蒲原「な、なんだ今の……」



305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:23:14.60 ID:05phwhOw0

ガタッ

またしても物音。今度は近い。

蒲原「一体何だよ……誰かいるのか?」ビクビク…

シーン

蒲原(……気のせいか?)

さっきのは自分の勘違いだろうと、蒲原がほっと一息ついたその時――

ガシッ

睦月「こ ん ば ん わ」



306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:28:19.79 ID:05phwhOw0

蒲原「ひっ……む、むっきー」

睦月「うらぁああああ!!!」バキッ

ドシャァァァァ

蒲原「がはっ!」

睦月「あなたに会うためだけに、この町に帰ってきました。さあ罪を償ってもらいますよ……」ガチャ



307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:32:43.14 ID:05phwhOw0

ゆみ「やめろっ!!」

睦月「!!」

ゆみ「もうやめるんだ睦月…」

睦月「先輩…どうしてここに」


ファンファンファンファン

けたたましいサイレンの音が聞こえてくる。
大量のパトカーが、蒲原の家の前で停車した。



308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:35:42.59 ID:05phwhOw0

ゆみ「お前がここに来るのは分かっていた。だからこの場所を警察にも教えた」

睦月「ちっ…」バッ

睦月は蒲原から手を離すと、ライフルに弾を込め始めた。

ゆみ「戦うだけムダだ。もう建物は包囲されている」

睦月は部屋の窓から外を見た。
今まで見たことのない数の警官が、家の周囲を完全に包囲していた。

ゆみ「二百人の警官が外にいる。これ以上抵抗すると殺されるぞ…」



309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:42:29.99 ID:05phwhOw0

ゆみ「あきらめろ、もう終わったんだ」

睦月「………」

ゆみ「もう終わりだ!!」

睦月「何も終わってない! 何も!!」

睦月は声を限りに叫んだ。

睦月「いや…まだ始まってすらないんだ! わたしの時代は……」

ゆみ「睦月、辛いのは分かるが……」

睦月「先輩に分かるもんですか! 空気キャラの宿命……苦しみが!!」



310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:50:17.83 ID:05phwhOw0

睦月「県予選だって私なりに精一杯戦ったんだ! でも終わってみれば、
一人だけ大した活躍してないだの存在感がないだの、言われたい放題だった!」

ゆみ「もう終わったことだ」

睦月「先輩はいいですよ! 大将戦の活躍で、ファンが大勢できたじゃないですか。
でも私は違う!! 世間じゃ未だにネタキャラ扱いだ!!」

ゆみ「そんなことは……」

睦月「大会の時はまだよかったですよ……あの時は、礼節ってものがありました。
予選を勝ち抜くために、五人でお互いに協力して、支え合っていました」

睦月「それなのに大会が終わった途端、私の必要性はどんどん薄れていった!
みんながちやほやされる中、 一人だけ蚊帳の外で………
まるで私には、ネタ以外の需要がないとでも言わんばかりに!!」

ゆみ「………」

睦月「いつから私は牌投げの名人になったんだ!!」

そう言って、睦月は手にしていたライフルを窓に叩きつけた。



311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:54:55.80 ID:05phwhOw0

ガシャーン!

けたたましい音を立てながら、窓ガラスが砕け散った。

睦月「なんて惨めなんだ……一体どうしてこうなった……」

睦月は堪え切れずに泣き出した。

睦月「ううっ……どうして私だけ……グス…ヒック…」

ゆみ「………」



313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 16:59:53.15 ID:05phwhOw0

睦月「グスッ……上柿恵……覚えてますか?」

ゆみ「……誰だ?」

睦月「ほら、清澄と一回戦で戦った……『あたしゃ、大将に託しますよ』が口癖の
千曲東高校の一年生です……」

ゆみ(そういえば、そんなのがいたような……)

睦月「登場した当初は……その容姿や独特の口調がコアな人気を呼んで、
某巨大掲示板に専用スレが立つほどでした……」

睦月「でも……県予選が終わってから……全国編のキャラが登場し始めると、
みんなそっちに夢中になった。次第に彼女の話題は減っていって……今じゃ誰も彼女を覚えていません」

睦月「そして、今度は私がそうなる番かもしれない………」



314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:08:00.68 ID:05phwhOw0

睦月「目が覚めて、自分が本当に存在してるのか分からなくなる時があるんです」

ゆみ「………」

睦月「誰にも話しかけられない時もありあます……丸一日……時には一週間も」

睦月「私には忘れられない……消えていったキャラたちが……」

睦月「私は…私はそんなふうになりたくない……空気には…なりたくないんです……うぅ」

そこまで言うと、睦月は加治木にすがりついた。そして、彼女の腕の中で静かに泣き続けた。

空気キャラの苦悩―――
それが理解できない加治木は、ただ彼女の肩を優しく抱いてやることしかできなかった。



318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:16:12.73 ID:05phwhOw0

津山睦月は警察に投降した。
「イッツ・ア・ロングロード」が流れる中、加治木と一緒にサイレンと群衆の中を歩いた。
彼女は手錠を掛けられ、パトカーに乗せられた。

今回の事件では、奇跡的に一人の死者も出なかった。
墜落したヘリの乗組員も一命を取り留めたらしい。



319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:23:17.69 ID:05phwhOw0

睦月は特殊な施設に送られることになった。
だが、彼女は決して頭がおかしくなったわけではない。
自身の存在証明――そういう明確な動機で戦ったにすぎなかった。

なお彼女はこの後、その類稀なる戦闘能力を買われて
軍の特殊部隊にスカウトされることとなるのだが、それはまた別のお話――


     むっきー 怒りのアフタースクール 完

次回  神代「すべての相手に……敵意をもってあたりましょう」



322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:30:54.24 ID:05phwhOw0

古来より、人間と悪魔はいつ終わるともしれぬ闘いを繰り広げてきた。
そして21世紀になった今でも人知れず、それは続いている。

ここ日本でも、現代科学では説明不可能な邪悪な霊体、すなわち悪魔に闘いを挑む少女たちがいた。

日本版エクソシストと呼べるであろう、彼女たちの名は――
永水女子、神代一族である!



323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:35:36.86 ID:05phwhOw0

CASE1 清澄高校 Mさん

薄墨「ここが今回の依頼ですか―」

神代「ええ、なんでもここの麻雀部の部員に悪魔がとり憑いたとか」

薄墨「ここはもの凄いド田舎ですー。こんな所にいる悪魔なんて、
どうせ下級クラスに決まってますよー。さっさと終わらせて帰るです」

神代「油断してはいけませんよ。相手がどんなに下級の悪魔であれ、
危険なことに変わりはありません」

薄墨「それに、今回はもろもろの事情で私たち二人だけしかいないですしねー」

神代「その通りです。二人で力を合わせて頑張りましょう」



324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:39:20.40 ID:05phwhOw0

清澄麻雀部部室

久「あなたたちが噂のエクソシストね」

神代「はい。それで悪魔にとり憑かれた方はどこに……」

久「今部室のベットに拘束しているわ」

ガタ、ガタガタッ

まこ「ウガァァァァァァァァッ!!! ハナセーッ!!!」ジタバタ

神代「まあ…これはひどい」



327:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:43:59.40 ID:05phwhOw0

久「さあみんな、神の使いの方々が来てくれたからにはもう安心よ」

まこ「キリストノセフレドモガキタダトッ!? アノヨデ、ファックシテヤロウカ?」

神代「いいえ、私たちはただの巫女です」

まこ「グゥゥゥゥゥ……」ギロッ

薄墨「ひどい顔ですねー。これは確実に悪魔にとり憑かれてますよー」

久「えっ……彼女は元々ああいう顔なんだけど……」

神代「それで、彼女はいつからこうなったんですか?」

優希「私が説明するじぇ!」

薄墨「使い魔みたいな子が現れましたよー」



328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:45:59.94 ID:7cWqX/SI0

>薄墨「使い魔みたいな子が現れましたよー」

誰に説明してんだよwwwwwww



329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:52:26.72 ID:05phwhOw0

優希「昨日染谷先輩と、最近出番が少ないな―って話してたら、急に苦しみ始めてそれで…」

京太郎「なんつーことを話してるんだお前らは」

優希「話をしながら、二人でタコスを食べてたんだじぇ。もしかしたらそのタコスの中に、
悪魔が潜んでたのかもしれないじぇ……」

まこ「ウガーッ!! デバンフヤセーッ! デバンフヤセーッ!!」ジタバタ

咲「いや……原因は別のところにあるんじゃないかなー?」



331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 17:57:21.50 ID:05phwhOw0

神代「おおよその事情は把握しました……恐らく彼女にとり憑いてるのはマイナーデビルの類でしょう」

京太郎「なんですかそれ?」

神代「悪魔の中でも下級中の下級、そしてマイナーな故、
いつしか仲間にすらその存在を忘れ去られてしまった、可哀そうな悪魔たちです。
今となっては名前すら分からぬため、俗にこう呼ばれています」

まこ「マイナーッテ、イウナ―!! 」ジタバタジタバタ

薄墨「さて、正体もわかったところで、さっそく悪魔払いといきますかー」

神代「そうですね。初美、聖水の用意を」

薄墨「はいはいー」

優希「おっ、なんだかそれっぽくなってきたじぇー」



332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:03:09.37 ID:g+9FrHuV0

聖水キタコレ!



333:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:06:30.82 ID:05phwhOw0

十分後、部室にタライに入った大量の聖水が運び込まれた。
神代が持ってきた聖水の量があまりにも多いため、清澄麻雀部員が全員で搬入を手伝った。

京太郎「これで最後か…」ドカッ

神代「すみませんね。手伝ってもらって…」

和「ふぅ…凄い量です」

久「で、これをどうするの?」

薄墨「今からこれを彼女にぶっかけるのですよ―」



335:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:12:12.39 ID:05phwhOw0

薄墨「えいやっ」

ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ブフッ!」

神代「そーれ」

ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ゲホッ!」

薄墨「さぁ皆さんも御一緒に!」

咲「は、はい…」

言われるがまま、咲たちも、タライ一杯の水をまこにぶっかけ始めた。

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ガハッ…ヤメ……」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

久(なんかドリフのコントでこういうの見た気がするなぁ…)



336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:18:12.65 ID:05phwhOw0

ビチャビチャ…

優希「部室が水浸しだじぇ…」

まこ「ウガッー! クソッタレガァァァァァッ!!」ジタバタ

咲「全然きいてないみたいなんですケド……」

久「あのー、今のはどんな効果があったんです?」

薄墨「うーん、もしこれが彼女の悪ふざけだった場合、今ので正気にかえるんですけどね―」

神代「これでもやめないとなると、本物がとり憑いてましたか……」

久「……あなたたち、疑ってたの?」



337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:22:23.02 ID:Tf2Ppk7H0

ワロタwwwwwww



338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:31:09.22 ID:05phwhOw0

神代「こういうのは9割方、本人の自作自演ですから」

薄墨「難しい年頃なのですよー」

まこ「ナメヤッガッテ……」

全員「?」

まこ「オレハホンモノノアクマダーッ!!」

ブチブチブチッ

和「あれだけ厳重な拘束を、いとも簡単に……」

まこ「ゲハハハハハハハハハッ!!!」シュタッ

まこはベットから飛び降りて四つん這いになると、そのままの姿勢で天井に張り付いた。



339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:37:48.37 ID:05phwhOw0

京太郎「うわっ、んなバカな…」

まこ「グハハハッ!! ニンゲンフゼイニ、コンナコトガデキルカ?」

シャカシャカシャカシャカ……

まこはそのまま、天井をゴキブリのように素早く移動し始めた。

咲「うわっ、気食悪っ!!」

和「SOA! SOA!」

神代「このまま外にでも出たら大変です……初美、十字架を!」

薄墨「はいですー」バッ

優希「出たっ!エクソシスト御用達のアイテムだじぇ!」

久「っていうかあなたたち、巫女よね……」



340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 18:40:33.75 ID:05phwhOw0

薄墨「くらうがいいです! 邪悪な悪魔め!!」ブンッ

初美は鉛でできた十字架を、まこに向かってぶん投げた。

和「そういう使い方ですか?」ガーン

ゴツンッ

まこ「グハッ…」

京太郎「よっしゃ、クリーンヒット!」

十字架を額にもろにくらったまこは、天井から落下した。

神代「今です! みんなで押さえつけましょう!」



342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:05:34.25 ID:05phwhOw0

神代の二人に咲たち五人の、総勢七人がかりでまこを押さえつけた。

まこ「ガァァァァッ、クソッタレドモォォォォッ!!!」ジタバタ

和「凄い力です!押さえつけらえませんよ!」

久「頑張るのよ!」

まこ「ブゥッ!」

押さえつけに抵抗してか、まこが口から緑色の液体を吐き出した。

咲「うわっ、汚っ!!」

優希「うげぇぇ…ワカメの腐った匂いがするじぇ……」



344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:14:43.66 ID:05phwhOw0

神代「皆さんそのまま押さえつけてください。今から悪魔祓いの呪文を詠唱します」

久「もはや何でもありね…」

神代「エコエコアザラク、エコエコザメラク…」ブツブツ…

まこ「チックショォォォォ、ハナセーッ!!!」

京太郎「みんな、絶対離すなよ!」

咲「う、うん!」

まこ「クソガァァァッ!!!」

グルッ

突如として、まこの首が180度回転した。

咲「き、きゃっ…」

京太郎「うわああああああああああっ!!!」

あまりの出来事に、その場にいた全員が、思わずまこを押さえつけていた手を離してしまった。



345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:22:43.83 ID:05phwhOw0

まこ「ゲハハハハハッハッ、バカドモメ! テヲハナシタラ、コッチノモノ……」

神代「ふんっ!」

バキバキッ

まこ「ぎゃああっ!」

まこの180度回転した首を、神代が力ずくでさらに180度回転させ、もとの位置にもどした。

まこ「………」バタッ

神代「ふぅ……これくらいのことで動揺してはいけませんよ」

全員「………」ポカーン

薄墨「今回も凄絶な戦いだったですねー」



346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:29:34.81 ID:05phwhOw0

優希「染谷先輩は気絶しているみたいだじぇ……多分」

和「心なしか、首が変な方向に曲がっているような……」

薄墨「さあ、これで悪魔は去りました―。もう二度とこの人にとり憑こうとは思わないでしょう」

神代「もしとり憑いたとしても、その時はまた私たちが来て退治します」

久「はぁ……もう来ないでほしいわ…」

神代「それで、少し気になることがあるんですが……」



348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:38:48.14 ID:05phwhOw0

CASE2 清澄高校 Yさん

優希「えっ? 私!?」

神代「染谷さんはこの子のタコスを食べた後におかしくなった……
つまり、この子にも悪魔がとり憑いている恐れがあります」

優希「そんな……私はこの通りフツーだじょ? 悪魔なんて……」

薄墨「そうやって嘘をついて惑わすのが、悪魔の常套手段ですー。
みんな騙されてはいけませんよー? この子にはやっぱり悪魔がとり憑いてますねー」

久「そ、そうなの……?」

神代「さあ、みなさん聖水の準備を」

薄墨「第二ラウンド開始なのです―」



349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:48:27.80 ID:05phwhOw0

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「きゃっ…」

神代「悪霊退散…悪霊退散…」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「ちょ…待っ……」

咲「ごめんね優希ちゃん…」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「みんな…やめて……」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

和「これもゆーきのためです…」



352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 19:59:56.09 ID:05phwhOw0

ビチャビチャ…

優希「ううっ……寒い……寒いよぉ……」ブルブル

薄墨「今回は大分ききめがあったみたいですねー」

神代「しかし油断はできません。全ての悪魔に殺意をもってあたらねば…」ゴゴゴゴゴゴゴ

久「ちょ、ちょっと…」

神代「初美、ありったけの十字架を」

薄墨「持て来たもの全部使っちゃいましょう」



353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:10:21.43 ID:05phwhOw0

神代たちは、自分たち持ってきた袋の中から十字架や護符に五寸釘、
通販で売っているようなパワーストーンや得体のしれないペンダントなど、
古今東西ありとあらゆるオカルトグッズを取り出すと、優希に投げつけ始めた。

薄墨「そーれ! そーれ!」ヒュンヒュン

バシッバシッ

優希「いたっ…痛いじぇ……やめて……」

ゴンッ!

優希「ぎゃうっ…!」

特大サイズの十字架が優希の頭部に命中し、彼女は動かなくなった。

神代「まだ死んだふりかもしれません。もっと投げましょう」



356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:20:40.50 ID:05phwhOw0

小一時間後

優希「ピクッ……ピクッ……」

薄墨「ふぅー、なんとか成敗したです」

神代「聞けば彼女は毎日狂ったようにタコスを食べていたとか。これは間違いなく悪魔の仕業ですね」

久「は、はぁ…よく分かりましたから、もう帰って…」

神代「まだです。まだ終わってません」

久「はい!?」



357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:25:42.92 ID:05phwhOw0

CASE3 その他全員

咲「カン……嶺上開花!」

神代「カンした後に必ず嶺上開花であがるなんて……これはどう考えても異常です」

咲「えっ…そんな……」

薄墨「悪魔の仕業と考えるのが妥当ですねー。彼女も悪魔祓いの必要がありますよ―」

咲「や、やめてー!!」



358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:31:42.85 ID:05phwhOw0

薄墨「それからあなたもですー」

和「わ、私ですか?」

薄墨「聞けばあなたは私よりふたつも年下だとか……それなのに、そのおっぱいはなんですかー!?」

和「え、ええええっ!?」

薄墨「間違いないです、その双丘には悪魔が潜んでいる……今すぐ退散させるのです!!」

和「い、いやあああああああああっ!!!」



360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:40:43.57 ID:05phwhOw0

神代「ついでにあなたも……年の割に老けていませんか?
老化を促進させる悪魔がとり憑いている可能性が……」

久「よ、余計なお世話……」

薄墨「とりあえず、ここにいる全員をまとめて祓っちゃいましょう」

京太郎「ちょ…オレは関係な……」

神代「覚悟はよろしいですか? それでは始めます」

全員「ぎゃああああああああああああああ!!!」

四人の悲鳴は、それから一日中、清澄に響き渡っていたという。



361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:45:11.25 ID:05phwhOw0

薄墨「ふぅ…今回もハードな仕事だったです」

神代「そうですね。 しかしこれで清澄も、何の不安もなくインターハイに出場できることでしょう」

薄墨「そして全国で我々としのぎを削るわけですねー」

神代「ええ、私も今から楽しみです」



362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 20:55:24.67 ID:05phwhOw0

12月にはクリスマス。かと思いきや、正月は神社に初詣。
教会で結婚式をあげ、死んだら寺の墓に入る。
様々な宗教がごった煮状態で混在している不思議な国、それが日本。

そのどさくさに紛れて、神の仕事を(有償で)代行する少女たち――
神代一族の闘いは、これからも続く!


      エクソシスト神代  完

次回  一「もともと特別なオンリーワン~♪」



364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 21:18:16.84 ID:i/JFBzrN0





371:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:28:48.63 ID:05phwhOw0

とある式場

透華「な、何かとても緊張しますわね…」

一「そう? ボクはやっとこの日がきて、とっても幸せだよ。透華は?」

透華「も、もちろん私だって嬉しいですわ! でも、やっぱり恥ずかしい…」

一「普段は目立ちたがり屋なのに。でもボクは透華のそういうところも……」

バタンッ

純「おい、二人とも何してんだ? もうみんな待ちくたびれてるぜ?」

透華「ああっ、もうこんな時間ですの? 話に夢中で気が付きませんでしたわ!!」

純「透華は相変わらずどこか抜けてるよな―。 国広君も大変だろうに」

透華「余計なお世話ですわ!」

一「はは、せっかく来てくれたみんなを待たせちゃ悪いね。 さ、行こうか透華」

透華「ええ、はじめ…」



373:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:37:20.92 ID:05phwhOw0

テーレーレーレーレー

レポーター『こちら長野県の式場からライブ中継でお送りしています。
IPS細胞研究の世界的権威である国広一氏の結婚披露宴が、今盛大に執り行われようとしています
………あっ、今二人が出てきました!』

一「みんな、今日はボクたちの式に集まってくれてありがとう」

ワーワー キャー

衣「二人ともおめでとう」

優希「幸せになれよ―」

池田「お似合いのカップルだし―」

モモ「ブーケをこっちに投げてくれっすー」



374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:44:10.14 ID:05phwhOw0

透華「///」

一「見てよ透華、みんながボクたちを祝福してくれるんだ」

透華「ええ、私今とっても幸せですわ」

一「ふふ、ボクもだよ透…」

ズドンッ

透華「!?」



375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:49:39.93 ID:05phwhOw0

一「ぐはっ…」バタンッ

透華「き、きゃああああっ!! はじめ……はじめぇぇぇぇぇぇぇ!!」

一同「うわあああああああっ!!!」

レポーター『た、大変なことが起きてしまいました! 国広氏が、たった今我々の目の前で射殺されました!!』

ワーワー キャー

レポーター『犯人はまだどこかに潜んでいるのでしょうか? それとも、もうどこかに逃げてしまったのか?
会場は大混乱に陥っています!!』


???「この世界の国広一も抹殺完了……残るは110人か……」



376:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:51:36.63 ID:Bz5NsG9t0

超展開www



377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/23(月) 23:56:27.00 ID:05phwhOw0

ニューヨーク とある刑務所

ガラガラッ

ポリスメン「出な、釈放だ」

一(やっとか……)

ポリスメン「もう13回も公然わいせつで捕まってんだから少しは懲りろよ。
いくらここが自由の国だからって、お前の服装はクレイジーすぎるんだよ、ハジメ」

一「はい…お世話になりました」

ポリスメン「もう戻ってくるなよ―」



378:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:12:56.72 ID:xrMCxg510

ひと気のないストリートを、一はとぼとぼと歩いていた。

一「この国でもボクのスタイルは理解されないのか……もうアフリカにでも行こうかな」

コツ…コツ…コツッ…

一(ん? 誰か後ろからボクの後をつけてきてる?)

コツ…コツ…コツ…

一(強盗かな? でもロスじゃあるまいし……)

???「動くな」チャキ



379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:16:48.98 ID:xrMCxg510

一(あちゃー、やっぱ強盗だったか)

???「そのままゆっくりとこっちを向くんだ」

一「はいはい…」クルッ

一(うわっ、この人覆面被ってるよ……暑くないのかなぁ)

???「その顔……国広一で間違いないな」

一「えっ? どうしてボクの名前を知ってるの!?」

???「知ってるさ。なんせ君は……」

そう言いながら強盗は覆面を脱ぎ捨てた。

一(1)「16番目のボクだからね!」



380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:24:14.37 ID:xrMCxg510

一(16)「なっ……ボクと同じ顔をしてる?」

一(1)「そりゃ当然さ。なんせボクと君は同一人物だもの」

一(16)「バカな…こんなことがあるわけ……」

一(1)「まあいいさ。ボクの目的は君を始末することなんだ…」チャキ

一(16)「ま、待て! 自分自身をを殺すのか?」

一(1)「そうだよ。もう2~15番目の世界のボクは殺した……次は君の番だ」

一(16)「い、言ってる意味がわからな…」

一(1)「じゃあね」

バンバンッ



382:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:31:44.73 ID:xrMCxg510

この世には、全部で125の多次元宇宙が存在する―――

21世紀になって、ある世界がその事実を突き止めた。
その世界はMVA(多次元宇宙捜査局)なる組織を設立し、他世界の調査に乗り出した。
その調査で判明した事実――それは全ての世界にそれぞれ違う自分が存在するということ。

全宇宙に125人もいる自分。これはその頂点を目指す、少女たちの軌跡―――



383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:41:09.33 ID:xrMCxg510

16番目の世界

一(1)「ふぅ片付いた。人が来る前に次の宇宙に移動しなきゃ…」ピッ ピッ

一(1)は左腕につけている装置を操作した。
見た目は腕時計のようだが、異なる宇宙へ繋がるワームホールを開き、
装着者を分解して転送、目標の世界で再構築するという、とんでもなくハイテクな装置だった。

一(1)「そういえば、この世界のボクの特技ってなんだったんだろう?
次からはそれを聞いてから殺すことにするか……」



385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 00:50:02.66 ID:xrMCxg510

一(23)「ボクはハジメ・クニヒロ。この街のシェリフさ!」

ズドンッ

一(38)「どけどけー! 長野最強の愚連隊総長、ドラゴンヘッド国広様のお通りだー!!」ブオンブオーン

ズドンッ

一(54)「ワタシを知らないアルか? もうオスカーを二つも受賞した天才子役、国広一を…」

ズドンッ

一(62)「オレかぁ? 9つの国で死刑判決を受けた隻眼の一といえば、知らないやつは…」

ズドンッ

一(77)「ボクは勇者クニヒロ。コロモ姫を助け出すために、サキ大魔王を倒しに行く途中なんだ」

ズドンッ



388:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:01:13.22 ID:xrMCxg510

92番目の世界

モモ「――はい、はい了解っす。通信終わり」ピッ

深堀「で、今度はどんな事件?」

モモ「軍の基地が襲撃されたみたいっす。犯人はたった一人で、瞬く間に基地を制圧したとか」

京太郎「おいおいマジかよ……そんなやつ相手にしたくねえなあ」

一「京太郎、それじゃあボクらの存在意義がなくなっちゃうでしょ」

モモ「こういう時のためのAチームっすよ」



389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:10:26.49 ID:xrMCxg510

紹介しよう!!

天才策略家で戦闘の達人であるリーダーの国広一。
甘いマスクを武器にミサイルからブラジャーまで何でも調達する須賀京太郎。
類稀なるステルス能力を持つ潜入の天才、東横桃子。
“コング”の異名を持つ、素手での格闘術に長けた深堀純代。

彼らこそが、恐らくこの地球上で最強の部隊、特攻野郎Aチームだ!!



391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:18:02.56 ID:xrMCxg510

軍の基地

深堀「着いた。ここか…」

京太郎「衛星の監視データを見る限り、犯人はまだここにいるみたいだな」

モモ「リーダー、今回はどんな作戦でいくっすか?」

一「相手は一人だ、いつも通りにやればいいよ。京太郎とコングが敵を引き付けて、その隙にモモが狙撃。
シンプルだけど、今までこの作戦が失敗したことはない」

京太郎「モモのステルスは完璧だからな。頼りにしてるぜ」

モモ「わかったっす」

一「よし、作戦開始だ」



392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:29:36.85 ID:xrMCxg510

モモ『こちらモモ、所定の位置についたっす。いつでもいけるっすよ』

一「了解、京太郎とコングの方はどう?」

京太郎『待ってくれ、今移動中だ……おっと、前方に誰か……』

一「……どうしたの?」

京太郎『どうやら敵さんの方から近付いてきたみたいだ。これより陽動を開始する』

一「わかった。油断しないでよ」

京太郎『任せとけって』



393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:37:25.00 ID:xrMCxg510

京太郎「やいそこのお前、止まりやがれ!」

一(1)「ん?」

深堀「お遊びは終わり…」

京太郎「俺たち世界最強のAチームが相手だ。お前に勝ち目はねえぜ」

一(1)「へえ……試してみる?」

京太郎(ん? なんかコイツ、リーダーに顔が似ている気が……)

一(1)「じゃあ行くよ」



394:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:46:40.13 ID:xrMCxg510

京太郎「おいおい、武器も持たずに何を言って……」ドッ

ズブシャァァァァァッ

京太郎「はっ……?」

ドサッ

一(1)「遅い」

深堀(バカな……今の動き、全く見えなかったぞ……それに、手刀で体を貫いただと!?)

一(1)「ボクが武器を持たないのは、そんなもの必要ないからさ」

深堀「く、くそおおおおおおお!!!」

ブンッ!!



395:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 01:50:46.66 ID:xrMCxg510

ガシッ

一(1)「この程度なの?」

深堀(そんな……こんなひょろい女に、私の拳が片手で受け止められた?)

一(1)「えいっ」

バキッ

深堀「ぐああああああああ!!! う、腕が……」

一(1)「もろいな……」



396:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:02:34.05 ID:xrMCxg510

モモ「……っ」

モモ(なんなんすかアイツ……あの体格でコングさんより力があるなんて……化け物っすよ)

一(1)「もう一本いっとこうか」

深堀「く、クソがっ……」

モモ(落ち着け私……アイツがコングさんに注意を向けてる今なら、確実に仕留められる…!)

モモ(照準は完璧………今っす!)

パーン!



397:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:06:30.96 ID:xrMCxg510

モモ「やった! 倒し……」

一(1)「へえ……スナイパーがいたんだ。気付かなかったよ」

モモ「……えっ?」

一(1)「今そっちに行くよ」ヒュッ

そう言って一(1)はその場からジャンプした。
その跳躍力は凄まじく、桃子が陣取った15メートルの高台まで、一気に辿り着いた。

モモ「はっ……」

一(1)「じゃあね」

ゴキッ



398:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:12:08.27 ID:xrMCxg510

一(92)「京太郎、コング、応答して」

『ピーピー ガー』

一(92)「モモ、今どうなってるの?」

『ピーピー ガー』

一(92)「くそ、応答がない……みんな倒されたのか? いやまさか…」

一(1)「そのまさかだよ」

一(92)「なっ……」



399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:19:29.18 ID:xrMCxg510

一(1)「世界最強とかいう割には、手応えのない相手だったよ。君の部下は」

一(92)「くそ、これでもくらえ!!」チャキッ

ズドドドドドドドドドッ

一(1)「ふん…」ヒュンヒュンヒュン

一(92)「なっ……弾を避けた!?」

一(1)「どいつもこいつもいい加減にしてよ……もはやボクに銃弾なんて当たらないんだ」

一(92)「お、お前その顔……」



400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:26:11.24 ID:xrMCxg510

一(1)「ふふ、わかるかい? ボクはもう一人の君自身さ」

一(92)「バカな…同じ人間がいるなんてそんな……」

一(1)「説明しても理解できないだろうね。君たちの世界じゃ他の宇宙を観測出来ないんだから」

一(92)「他の宇宙…?」

一(1)「いわばパラレルワールドさ。125の宇宙、125人の自分……
ボクはその中の頂点、『ザ・ワン』になるんだ。そのために……死んでよ」

一(92)「くっ…」


透華(1)「そこまでですわっ!!」



401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:33:08.15 ID:xrMCxg510

一(1)「MVA!? どうやってこの場所を突き止めたんだ!?」

透華(1)「動くな、ですわっ! あなたを逮捕します!」

一(1)「ちっ、マズイな。やっかいな奴らが来た…」ピッピッ

透華(1)「!! はじめが逃げますわ! 誰か彼女を止め…」

一(1)「ちょっと遅かったね。また別の世界で会おうよ!」

バシバジバジ……バシュゥゥゥゥゥン!

透華(1)「消えた……別の宇宙に逃げられてしまいましたわ」


一(92)「い、一体何が起きてるんだ…」ポカーン



402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:40:36.68 ID:xrMCxg510

透華(1)「――というわけなのですわ」

一(92)「宇宙が全部で125あって、自分も125人いるっていうのはわかったよ。
でもなんで彼女は……一番目の世界のボクは、他の自分を殺そうと思ったの?」

透華(1)「はじめは……元は私たちと同じ、MVAの職員だったのですけれど……
ある日、彼女は気付いてしまったのですわ。この世界の恐ろしい仕組みに」

一(92)「恐ろしい仕組みって?」

透華(1)「もし自分が他世界の自分を殺した場合、その自分が持っていた基礎能力や特技を
吸収する事ができるのですわ」

一(92)「ど、どうしてそんな仕組みになってるの!?」

透華(1)「それは私たちにも分かりませんわ……神様がいたら問い詰めたいところでしてよ」



404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 02:54:59.22 ID:xrMCxg510

透華(1)「とにかく、彼女は自分以外の全員を倒して、全能の存在――ザ・ワンになろうとしてるのですわ」

一(92)「ボクもあやうく殺されるところだったってわけか……」

透華(1)「こうしている間にも、彼女は他の世界の自分を殺しにいってるに違いありませんわ。
はやく止めなくては……」

一(92)「それじゃあボクも君たちに同行するよ」

透華(1)「それは危険ですわ! みすみす自分から敵を探しに行くなんて…」

一(92)「遅かれ早かれ、ボクは狙われる運命にあるんだ。だったら君たちといた方が安全かなって」

透華(1)「なるほど……一理ありますわね」

一(92)「それに部下を殺されて黙っていられるほど、ボクは大人しくないんでね」



405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 03:01:26.20 ID:xrMCxg510

一(1)「さて、MVAの追手が来る前に、出来るだけパワーアップしておかなきゃね」


一(93)「えーナンパですかぁー? ボク昨日二時間しか寝てないんでぇー、早く家に帰りた…」

ゴキッ

一(100)「ねえねえ、お姉さんと楽しいコトしない?」

ズシャァァッ

一(106)「お願いです、どうか食べ物を恵んでくださ…」

メキッ

一(110)「働いたら負けかなと思っている。ちなみに今日も三万スッてしま…」

ブスッ

一(118)「はい…何でも言うことを聞きます御主人さま……だからぶたないで……」

グシャッ

一(124)「えっ? ボク男の子なんだけど……」

ズドン、ズドンッ



411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 08:55:43.32 ID:xrMCxg510

125番目の世界 

龍門渕邸

衣「わーい、衣の親番だーっ」

純「平和だねえ…」

智紀「同感…」

一「大会も終わって、することなくなっちゃったからね」

透華「はじめの言うとおりですわ。この退屈な日常に、何か刺激が欲しいところですわね」


一(1)「へえ……じゃあこんなのはどう?」



413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:04:44.00 ID:xrMCxg510

ズドンズドンッ

透華「かはっ!」

純「ぐあっ!?」

ズドンズドンズドンッ

智紀「うぐっ…」

衣「ぎゃぁっ!!」

ハギヨシ「うっ……」

バタッ、バタッ、バタン……

一(1)「ははっ……ちょっと刺激が強すぎたかな?」

一「 な、何なんだ君は……ボクと同じ顔…?」



414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:10:36.31 ID:xrMCxg510

(1)「ボクはもうひとりの君で………もういいやこの説明。とにかく、君を殺しに来た」

一「ボクを…? だったら何で、透華や他のみんなも殺したんだ!?」

一(1)「いやゴメンよ。昔の同僚に似てたもんで、ついね……」

一「うう…グスッ……透華……みんなぁ……」

一(1)「泣いてるところ悪いけど、時間がないんだ。さっさとこの世に別れを告げてくれよ」

一「くそっ……お前を殺してやる……」

一(1)「あはははっ、立場が逆じゃない? 今から殺されるのは、君なんだよ!?」

透華(1)「させませんわっ!!」



415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:16:10.60 ID:xrMCxg510

ズドンッ

一(1)「!?」ガシッ

純(1)「よしっ!」

智紀(1)「電磁捕獲ネットが命中……今まであれを逃れられた人間は……」

一(1)「ボクが初めてかい?」バキバキッ

純(1)「なにっ……あれを破るなんて……」

ハギヨシ(1)「透華お嬢様、彼女は……」

透華(1)「ええ、わかっていますわ。恐らく今のはじめは、123人分のパワーを持つ、
限りなく全能に近い存在……」

一(1)「ははっ、抵抗しても無駄だって分かってもらえたかな?」



416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:20:45.55 ID:xrMCxg510

一(1)「あと二人、あと二人殺せば……ボクは神に等しい存在になれるんだ」

透華(1)「そんなことさせませんわっ!」

一(1)「まずは手始めにこいつを……あれ、いない?」

一(92)「バカめ! お前が話に夢中になってる間に、この世界のボクは救出したさ!!」

純(1)「でかしたっ! 92番目の国広君!!」

一「ボクがさらにもう一人? 透華たちが生きてる? 一体どうなってるんだ…」ポカーン



418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:30:02.45 ID:xrMCxg510

一(1)「で、これからどうするの? 君たちとボクが戦ったって、勝敗は明らかでしょう?」

透華(1)「そうですわね。だったら……」

ピッ ピッ

透華(1)「逃げるが勝ちですわっ!!」

一(1)「なっ!?」

バシバジバジ……バシュゥゥゥゥゥン!

一(1)「92番目と125番目のボクを連れて、他の宇宙に逃げたか……
いいさ、それならこっちにも考えがある……」



419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:35:04.22 ID:xrMCxg510

透華(1)「――というわけで、かくかくしかじかなのですわ」

一「なるほどね……こうして実際に体験している以上、信じないわけにはいかないな」

透華(1)「飲み込みが早くて助かりますわ」

一(それにしても、透華はどの世界でも変わらないんだな……相変わらずボクに優しくしてくれる)

一(92)「それで、これからどうするつもりなの?」

透華(1)「さっき見たとおり、もはや彼女は私たちの手にも負えなくなりましたわ。
しばらくはこうして、世界を逃げ回るしか……」

ピーピーピー

衣(1)『トーカ、聞こえるか?』

透華(1)「衣からの通信ですわ!」



420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:43:10.28 ID:xrMCxg510

一「そういえば姿が見えないと思ってたけど、一番目の世界の衣は何をしているの?」

透華(1)「衣はMVAの局長でしてよ。今は125の宇宙を同時に監視して、
はじめ(1)の正確な位置を捕捉しているのですわ」

衣(1)『トーカ、今大変なことが起きているのだ』

透華(1)「一体なんですの?」

衣(1)『はじめのやつは今、125の世界を無差別に行き来しては、
徹底的な破壊の限りを尽くしているんだ。もうどのくらいの被害がでたのか、見当もつかない…』

透華(1)「なんですって!?」



421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:45:32.62 ID:xrMCxg510

一(92)「なるほどね、これは警告だ。ボクたちにさっさと戦えと言っているんだ」

透華「その通りみたいですわね。まだ92番と125番目の世界は、襲われていないようですし」

一(92)「ボクはもう覚悟は出来てるよ。やつと刺し違えても倒してやるさ。
問題はもう一人のボクの方だけど……」

一「………」

透華(1)「はじめ…」

一「ボクは……大切な友達をあいつに殺された。
あいつだけは許せない、たとえ自分自身だったとしても!!」



422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 09:48:15.80 ID:xrMCxg510

一(92)「決まりだね。次の世界で、やつを迎え撃とう」

透華(1)「二人が決めたというのなら、我々はそれを全力でサポートさせていただきますわ」

一「ねえ、質問なんだけど。もしザ・ワンが誕生したら、一体どうなるの?」

透華(1)「それが分からないから怖いのですわ。もしかしたら全宇宙のバランスが崩れて、
世界が崩壊するかもしれない……なんとしても誕生を阻止せねば」

一「なるほど。それじゃ、万が一にも誰かが勝ち残っちゃいけないわけだ……」

透華(1)「そうですわね…そうなりますわ……」



430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:10:39.31 ID:xrMCxg510

一「いいよ、ボクも覚悟は決まった。あいつを道連れに、ボクもこの世から消え去るさ」

透華(1)「はじめ……」

一「………」

一(92)「あのー、ちょっといいかな……」

透華(1)「なんですの?」

一「自分に言うのもなんだけど……こういうシーンで口をはさむのは野暮ってもんじゃない?」

一(92)「まあまあ……ボクにいい考えがあるんだ。上手くいくかどうか分からないけどね」



433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:20:10.33 ID:xrMCxg510

一「なるほど……確かにやってみる価値はあるね」

一(92)「だろ? これなら、一見無敵に見えるやつを倒せるかも」

透華(1)「それに、二人とも生き残れるかもしれませんわ!」

一「でも、君一人にすごく負担のかかる作戦だけど……」

一(92)「いいよ、こういうのは慣れてる。君の方こそしくじるなよ」

一「うん、わかったよ」

一(92)「1が一人でどれだけ大きくなろうとも、1足す1には敵わないってことを教えてやろう」



434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:29:29.01 ID:xrMCxg510

92番目の世界 軍の基地

一(1)「ふぅん…決戦の場所にここを選ぶとはね」

透華(1)「鬼ごっこは終わりにしますわ。あなたの野望はここで終わりですわよ!」

一(1)「何言ってんだか……みんなここで死ぬのに」

透華(1)「総員、撃ち方始めっ!!」

ズダダダダダダダダダダッ



435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:36:51.98 ID:xrMCxg510

一(1)「だから無駄だって……」スッスッスッ

凄まじい量の弾丸の嵐を、一(1)は苦も無く回避していった。
もはや常人の反射神経とスピードを軽く凌駕している。

一(1)(ザコは無視だ……本命を狙おう)

透華(1)「みんなっ、はじめたちを守るのですわ!」

全員「おおっ!!」ダッ

一(1)「邪魔」スッ

純(1)「うわあああああっ!?」

一(1)が軽く触れただけで、MVAの職員たちは数十メートルの彼方まで、すっ飛ばされていった。



436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:44:46.81 ID:xrMCxg510

透華(1)「私たちが時間を稼ぎますから、二人は基地の中に逃げなさい!」

一(92)「わかった。行こう、もう一人のボク」

一「うん……」

タッタッタッタッタッ…

一(92)「この基地は複雑に入り組んでるんだ。やつもこっちを見失うかも…」

シュタッ

一(1)「残念でした、もう来ちゃったよ」

一「そんなっ……あの人数を、こんな短時間で倒したっていうのか?」



437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:51:48.60 ID:xrMCxg510

一(1)「ここで二人まとめて葬ってあげるよ」シュッ

一(92)「危ないっ!」バッ

一「うわっ!」

ブォォォォォォンッ

一(1)のパンチが空を切る。その風圧だけで、二人の一は吹っ飛ばされた。

一(1)「92番目のボクはいい反射神経してるね。でも125番目をかばいながらじゃ、きついんじゃないの?」

一(92)「もう一人のボク……君は逃げろ」

一「えっ? で、でも……」

一(92)「やつの言うとおりだ。君は今、足手まといにしかならない。早く逃げて」

一「……わかった」



438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 15:58:58.58 ID:xrMCxg510

タッタッタッタッタッ…

一(1)「これで一対一か。まあどっちにしても変わらないんだけどね」

一(92)「減らず口を……」ジャキッ

ズドドドドドドドドドドドッ

一(1)「実はさあ…もう避ける必要もないんだよね……」

ガガガガガガガガッ…

一(92)(銃撃を……片手で防いでいる……?)



439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:08:56.86 ID:xrMCxg510

一(1)「あははははっ! ちょっと痛いかも!」

そう言って、一(1)が猛烈なスピードで、一(92)に肉薄した。

一(92)「くそっ……これならどうだ!?」シュッ

一(92)は懐からナイフを抜くと、そのまま突っ込んでくる一(1)に突き立てた。

ガギィンッ!

鈍い金属音。一(1)の肉体に触れた途端、ナイフはばっきりと折れてしまった。



440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:23:58.12 ID:xrMCxg510

一(1)「もうあきらめなよ。123対1じゃあ、最初から勝負にならないんだから」スッ

一(92)「くっ……」

一(1)「バーン」

一(1)がしたのは、ただの軽いデコピンだった。
たったそれだけで、一(92)がとっさに盾にした銃は砕け散り、一(92)自身も、衝撃で吹き飛ばされた。

ドガッ!

一(92)「ぐふっ…」

二十メートルほど離れた壁に激突し、一(92)は力なく倒れ伏した。

一(1)「ははっ……やった、やったぞ! あともう一人だ!!」



441:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:32:19.32 ID:xrMCxg510

一「そこまでだ!」

一(1)「ん?」

一「もうお前の好きにはさせない……お前はここで終わりだっ!!」

一(1)「あれーっ、逃げたんじゃないの? 最後の獲物が自分から殺されに来るなんて……」

一「もうひとりのボクは囮さ……ボクがコイツを操作する時間を稼ぐためのね」

一(1)「コイツ?」

一「これ、なーんだ?」ヒラッ



442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:38:12.16 ID:xrMCxg510

一(1)「なっ……それは!」

一が持っていたのは腕時計のような装置だった。
さっきまで、一(1)が腕に装着していたものだ。

一「確かこれを付けてると、別の宇宙に行けるんだっけ? 随分便利な道具だね―」

一(1)「お前…いつの間に……」

一「言ってなかった? ボクの特技は手品なんだけど」

一(1)「手品って……それってただのスリだろ!? 返せよっ!!」

一「言われなくても返してあげるよ。ほら……」ポイッ



443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:43:42.70 ID:xrMCxg510

一(1)「ばっ……大切に扱え! 精密機械だぞっ!?」

一(1)は慌てて装置を拾い上げた。

一「ふふっ……」

バジバジバジ…

一(1)「な、なんだ…?」

バジバジバジバジ…

一(1)「転送が始まってる?」



444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 16:51:18.62 ID:xrMCxg510

徐々に、一(1)の体が消えつつあった。異なる次元へと転送されているのだ。

一(1)「くそっ…お前一体どこに座標をセットしたんだ?」

一「さあね? メチャクチャにやったから分かんないや」

一(1)「バ、バカ! 座標の計算を少しでも間違うと大変なことに……」

一「そんなのボクの知ったことじゃないね」

バジバジバジバジ…

一(1)(まだだ…今ならまだ間に合う……装置をリセットして……)

一「今だ! もう一人のボク!!」



445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:01:39.27 ID:xrMCxg510

一(92)「言われなくても分かってるよ…」チャキ

パーン!

一(1)「なっ……」

バリンッ!

二十メートル先から放たれた弾丸は、見事に一(1)の腕の装置に命中した。

一(1)「よ…よくも……いや、気にすることはない……MVAの連中から奪えば……」

一「そんなことやってる余裕はないと思うよ?」

バジバジバジバジ…

一(1)(装置が壊れたのに……転送が止まらない……!)

一(92)「消え去れええええええええ!!!」

一(1)「う、うわああああああああっ!!!!」

バシュゥゥゥゥゥン!



446:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:08:14.19 ID:xrMCxg510

一(92)「や……やった……あいつを倒したぞ……」バタッ

一「だ、大丈夫!?」ダッ

一(92)「予備の拳銃持っててよかったよ……」

一「もう喋らないで! 体がボロボロじゃないか……」

一(92)「やつを……どこへ送ったんだい?」

一「宇宙と宇宙の挟間だよ。おかげで座標計算に手間取っちゃって……」

一(92)「ははっ…じゃあ二度と戻ってこれないだろうな」



447:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:13:49.03 ID:xrMCxg510

一(92)「これでやつは消えた。ボクも君も直接は手を下してない……
ザ・ワンは誕生せずにすんだ……」

一「しっかりするんだ! 今MVPの人たちが治療してくれるって……」

一(92)「……奇妙だよ。自分自身に看取られて逝くなんてさ……」

一「もう一人のボク!!」

一(92)「せめて……この世界で死ねてよかった……」ガクッ…



449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:19:44.91 ID:xrMCxg510

1番目の世界

透華(1)「ありがとう……宇宙の危機は救われましたわ」

一「礼なら92番目のボクに言ってよ……彼女こそ英雄さ」

透華(1)「あなたはこれからどうしますの?ここからなら、あなたを好きな世界へ送れますのよ?」

一「……そうなの?」

透華(1)「特例処置ですわ! 125の世界の中には、あなたのいた世界に似ている世界もあることでしょう」

一「ふぅん、なるほどね」

透華(1)「あ、あの……もしよろしければ、この世界で私たちと暮らすことも出来ましてよ?
あ、あくまで、あなたが望めばの話ですけど……」

一「透華……」



450:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:32:23.09 ID:xrMCxg510

一「気持ちはすごく嬉しいよ……でも、ボクを元の世界に帰してほしい」

透華(1)「はじめ……それでよろしいんですの?」

一「92番目のボクは、自分の世界を死に場所に選んだ……その時気付いたんだ」

透華(1)「………」

一「125の宇宙には、125の自分がいて、それぞれ125の人生があった。
125の自分なんていうけど、それはよく似た他人に過ぎない………
たとえ何が起きようとも……ボクの居場所はあの世界ただ一つなんだ」



451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:40:31.37 ID:xrMCxg510

智紀(1)「では、国広一を元の世界に戻す……本当にいいの?」

一「うん、ありがとう、ともきー」

透華(1)「はじめ……」

一「じゃあね、透華……君に会えてよかった」

透華(1)「……私たち、またどこかで会えたらいいですわね」

一「……きっとね」

バシバジバジ…

一(さようなら、透華……みんな……)

バシュゥゥゥゥゥン!


      「ザ・ワン」  完

次回  コーチ「ここは地球か…?」



452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:44:22.50 ID:fsg6tqfA0





453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 17:55:23.83 ID:xrMCxg510

福与「テレビの前の皆さまご覧ください!! たった今から、風越女子高校の生徒たちが
人類初の恒星間飛行に出発しようとしています!!」

ワーワー キャーッ

コーチ「おうっ、しっかり引率してきてやるぞ!」

福路「コーチ、頼りにしてます」

文堂「お父さーん、お母さーん、行ってまいりまーす!」

未春「だ、大丈夫かなぁ……とっても不安だ……」

深堀「宇宙でも焼き鳥食べたいなあ…」

福与「この五人が一体どんなものを発見して帰ってくるのか、今から私も楽しみで…」

池田「ちょ…ちょっと待つし!!!」



456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 18:07:49.92 ID:xrMCxg510

福与「おおっとォ!? ここで同じ風越女子生徒の池田選手が乱入だァッ!」

池田「なんで華菜ちゃんじゃなくてコーチなんだし!? フツー風越の五人といったら…」

コーチ「うるせえっ、私は引率なんだよ! 子供だけで行かせられるかァ!」

池田「で、でも……華菜ちゃんも恒星間旅行に行きたいし! 連れて行ってくれだし!」

福路「ごめんなさい華菜。このロケットは5人乗りなの……」

未春「カナちゃんの分もお土産持ってくるから、今回は諦めてよ」

池田「いやだっ、嫌だし!! 華菜ちゃんも連れていくしぃぃぃぃ!!!」ジタバタジタバタ

福与「おおっと池田選手、高校二年生にもなって駄々をこね始めたァァァッ! これは見苦しいッ!!」



458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 18:17:03.09 ID:xrMCxg510

コーチ「うるせえっつってんだろうが!」バシッ

池田「ぎゃっ!?」ビターン

福与「決ィまったァァァッ! 久保コーチ得意の平手打ちだァァァッ! 池田選手大丈夫か!?」

コーチ「団体戦で負けた罰だ。てめえは地球に残ってろ」

池田「そ、そんな……」

コーチ「おいてめえら、さっさと出発するぞ」

一同「は、はいっ!!」

池田「ま、待って……」

コーチ「ロケット点火! 発進だァァァァッ!!!」

ズゴォォォォォォォォォォォォ

池田「待って……私も……華菜ちゃんも……」フラフラ…

福与「とうとう池田選手は乗せてもらえぬまま、ロケットは地球を出発しました!!
彼らが帰還するのは今から十年後です。以上、ケネディ宇宙センターからの中継でしたッ!!」



460:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 18:33:17.44 ID:xrMCxg510

こうして池田を地球に置き去りにしたまま、風越の五人は星間飛行へと出発した。
そして様々な発見をし、それらを採取、記録した。

予定では地球への帰還は十年後だったが、そのほとんどは移動時間に費やされ、
彼女たちの実質活動時間は一年にも満たなかった。
宇宙空間を移動している間はコールドスリープに入って眠ったため、
彼女たちは地球を出発してからほとんど年をとらないままだった。

そして、とうとう地球に帰還する日が来た。



461:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 18:52:49.70 ID:xrMCxg510

文堂「はぁ…短いようで長かった。やっと帰れるんですね」

深堀「焼き鳥食べたい……宇宙食はもう飽きた」

未春「カナちゃん元気にしてるかなぁ」

コーチ「お前ら最後まで気を抜くなよ。宇宙旅行は、家に帰るまでが宇宙旅行だ!!」

福路「間もなく大気圏に突入します」



462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 19:12:33.68 ID:xrMCxg510

コーチ「ヒューストン、こちら風越だ。たった今大気圏に突入した。着陸の誘導を頼む」

『ガーガー、ピー、ガガー』

コーチ「ヒューストンどうした? 応答を求む、こちら風越」

『ガガー、ピー、ブツッ』

コーチ「なに!?」

福路「どうしたんですか?」

コーチ「どういうわけかヒューストンが応答しねえ。このままだとマズイぞ」



463:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 19:18:01.83 ID:xrMCxg510

未春「そうか、着陸の時は宇宙センターのコンピューター制御で
安全に着陸する手はずだったから……」

文堂「このままサポートなしじゃ、地上に激突しますよ!!」

コーチ「落ち着け、手動操縦に切り替えろ! 私たちだけで何とかするぞ!!」

文堂「そんなムチャな! 私たちそんな訓練受けてないですよ!!」

コーチ「なにもしねえよりはマシだろうがッ!!」



465:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 19:47:18.52 ID:xrMCxg510

ゴォォォォォォォォォッ

福路「地上まで、あと10秒……9…8…」

ガタガタガタッ

未春「うわわわわっ、操縦桿があばれて…」

コーチ「死んでも離すなァァァッ!!」

深堀「ふんぬおおおおおおおっ」ガッ

文堂「ち、地上です!!」

ドグシャァァァァァァァァァァン!!

全員「うわああああああああぁっ」



466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 20:00:51.22 ID:xrMCxg510

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

未春「う…ううううっ……」

コーチ「お、おい……お前ら生きてるか…?」

文堂「な、なんとか…」ヨロヨロ…

深堀「かろうじて…」

未春「私も……ってきゃあああああああっ!?」

コーチ「何だァ!? 一体どうしたっ!!」

未春「福路先輩が……」



467:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 20:09:45.29 ID:xrMCxg510

福路「………」ガックリ

深堀「死んでる…」

文堂「恐らく激突の衝撃で……」

コーチ「こいつ……墜落しても一人だけ操縦桿を離さなかったのか……」

未春「キャプテンのお陰ですよ……こうしてなんとか着陸できたのは」

コーチ「そうだな……大したやつだったよ福路は……」

全員「………」

コーチ「よしっ、いつまでもウジウジしてられねえ。 外に出るぞ!!」



470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 20:19:54.50 ID:xrMCxg510

ドン! ドン! ガシャン!

未春「ハッチが開きました!」

文堂「ぷっはあ! やっと新鮮な空気を吸える……ってなんですかこれは!?」

外に出た四人の目に飛び込んできたのは、荒廃してすっかり荒れ果てた街の風景だった。
目に見える限りほとんどの建物が倒壊しており、いたる所に瓦礫がうず高く積み上げられている。
まるで核戦争でもした跡のようだった。

コーチ「来る星を間違えたか?」

文堂「でもこの澄んだ空気……ここは間違いなく地球ですよ!」

コーチ「とりあえず街へ探索に行ってみるか」



471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 20:30:51.81 ID:xrMCxg510

四人は廃墟と化した街を歩いた。
ここはまさにゴーストタウンという言葉がぴったりで、人の気配が全くなかった。

深堀「あっ、あそこにコンビニが!」

深堀の指差した先には、もうどこの系列か判別出来ないほど色あせたコンビニがあった。

コーチ「入ってみるか。食料があるかもしれん」



472:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 20:37:37.39 ID:xrMCxg510

文堂「これ……全部腐ってますよ」

深堀「………」ガーン

コーチ「賞味期限が、軒並み10年前のモンばっかじゃねえか」

未春「置いてある新聞とかも、全部10年前の日付ですね……」

コーチ「ということはつまり、私たちが出発した後に何かがあったってことか……」

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!



474:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 21:01:54.53 ID:xrMCxg510

未春「なに…? この音……」

文堂「外から聞こえます! きっと誰かいるんですよ!」

四人はコンビニの外へ出た。

文堂「あっ、あれ見てください! あっちに人がいますよ!!」

未春「ホントだ、三人くらいいますね……しかも馬に乗ってる……」

コーチ「なんだアレは?」



482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 23:44:31.55 ID:xrMCxg510

四人が発見した人間たちは、奇妙な風体をしていた。
中世の鎧のようなものを身にまとい、頭からは猫耳が、お尻からはしっぽが生えている。
三人とも馬に跨っており、手にはライフルや捕獲用の網などを持っている。
まるでこれから狩りでも始めるかのような格好だ。

文堂「コスプレってやつですかね…?」

コーチ「ちっ…まだそんなふざけた文化が残ってやがったか」

未春「っていうかあの顔見覚えが……」

その時、三人のうちの一人が、手にしたブブゼラを吹き鳴らした。

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!



483:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 23:49:21.20 ID:xrMCxg510

それが合図だった。

パーン! パーン!

深堀「えっ…?」ポタポタ…

文堂「ふ、深堀先輩……」

パーン! パーン!

深堀「うぐっ…」

ドシャッ



484:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/24(火) 23:59:38.73 ID:xrMCxg510

文堂「うわあああっ!!!」

コーチ「あいつら、本物撃ってきやがった!!」

未春「ひいいいいいっ」ヘナヘナ~

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!

イケダA「かかれだしっ!」

イケダB&C「おおっ!!」

文堂「こ、こっちに向かってきますよ!!」

コーチ「お前ら逃げろォォォッ!」



485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:09:08.78 ID:SNqXtlOg0

腰を抜かした未春を強引に引っ張り、久保は走り出した。
しかし相手は馬に乗っているのである。逃げ切れるわけがない。

イケダA「待てだしっ!!」

パーン!

コーチ「うわっ!」ドタッ

弾丸が足元をかすめ、バランスを崩した久保と未春は転倒した。

イケダA「命が惜しくば、おとなしくするし」ガチャッ

コーチ「お前…池田か……?」



486:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:16:51.03 ID:SNqXtlOg0

馬上からライフルを構え、こちらに近付いてくるその人物は、
久保の記憶にある池田そのものだった。

イケダA「旧人類の分際で、我々新人類に逆らうなだし」

コーチ「はあっ!? 何言ってんだお前?」

イケダA「生意気なやつだし。やっぱり生け捕りじゃなくて、射殺するし」スチャッ

コーチ「て、てめえ……私を忘れたのか?」

イケダA「はっ? カナちゃんはお前のことなんて知らな……」

コーチ「ふざけるんじゃねえぞ、イケダァァァァァァッ!!!」

イケダA「ひっ!?」ビクッ



488:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:29:35.04 ID:SNqXtlOg0

イケダA(な、なんだし…? 体が勝手に反応して震えてるし…)ガタガタ…

コーチ(何だァ? こいつ急に……)

文堂「うわああああっ、助けてえええええええ!!」

コーチ「文堂ォ!?」

見れば文堂は、残り二人のイケダによって捕獲用ネットで捕らえられていた。
二人のイケダは文堂の入った網を引きずりながら、街の中心部へと帰って行く。

イケダA「おーいっ、待ってくれだしー!!」

久保にライフルを向けていたイケダが、慌ててその後を追っていった。
あとには、茫然とした様子の久保と未春が残された。

コーチ「なんだったんだ今のは……?」



489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:36:40.86 ID:SNqXtlOg0

「驚いたわ。あいつらに、捕まりも殺されもしないなんて……」

コーチ「だ、誰だ!?」バッ

背後から急に声を掛けられ、久保は驚いて振り返った。

そこには久保と同じくらいの年齢の女性が立っていた。

久「私は竹井久。旧人類の生き残りよ」

未春「旧人類……?」

久「とりあえずここは危険よ。地下に潜りましょう」



492:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:43:34.14 ID:SNqXtlOg0

地下

まこ「お帰り、リーダー。そいつらは?」

久「地上で保護したの。私たちの仲間よ」

コーチ「なあ、お前リーダーとか言われてるが…」

久「私はここで生き残った旧人類たちをまとめてるのよ」

未春「その旧人類ってのはどういうことなんですか?」

久「えっ? あなたたち知らないの?」

未春「実は私たち、かくかくしかじかで…」



495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:51:05.40 ID:SNqXtlOg0

久「なるほど、それじゃあ知らなくても無理ないわね」

コーチ「どういうことか説明してくれるか?」

久「あなたたちが出発した直後だったかしら。世界中で突如、イケダと呼ばれる新人類が
出現したのよ。彼女たちは恐ろしい勢いで増えていったわ…」

久の説明によると、そのイケダという新人類は無性生殖によって生み出され、
まるで雨の後のタケノコのように、ボコボコボコボコと増えていったらしい。

久「あとはお決まりのパターンよ。旧人類は圧倒的な数のイケダ軍を前に、
成すすべもなく敗れ去った……今はこうして地下に追いやられてるわ」

未春「そんなことが起きてたなんて……」



496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 00:59:04.98 ID:SNqXtlOg0

久「やつらは旧人類を狩って楽しんでいるのよ……もう何人殺されたことか…」

コーチ「クソがっ……池田の分際で……」ゴゴゴゴゴゴ

久「やつらに見つかって無事逃げおおせた人はいないわ。でもさっきあなたちは…」

未春「あっ、そういえばコーチが叫んだ瞬間、カナちゃん怯んでましたよね」

コーチ「あいつ、昔から私のコト恐れてたからな」

久「なるほど、もしかすると……」



497:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:08:44.23 ID:SNqXtlOg0

コーチ「どうした?」

久「実はね、さっきの無性生殖で生み出されたイケダたちには繁殖能力はないの」

未春「えっ、だったらどうやって増えたんですか?」

久「繁殖能力を持っているのはただ一人……オリジナルの池田華菜よ」

コーチ「なんだと!? やっぱりアイツが…!」

久「イケダたちは、いわば彼女のクローンみたいなものなのよ。
つまり、オリジナルの趣向や苦手なものをそのまま受け継いでいるてわけね」

未春「なるほど、それでコーチの罵声に反応したわけですね」

コーチ「そのオリジナルは今どこにいるんだ?」



498:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:18:40.20 ID:SNqXtlOg0

久「彼女は現在、世界大統領としてホワイトハウスにいるわ。厳重な警備の元にね」

コーチ「だったらやつを殺せば……」

久「ええ、やつらの繁殖は止まる……旧人類にも希望が見えてくるわ」

未春「でも、そんなことが可能なんでしょうか…?」

久「もうすぐ2月22日よ。この日はイケダたちが人類に勝利した、いわゆる独立記念日なの。
この日は世界中で盛大なパーティーが催されるの。当然、警備もいつもより手薄になるわ」

コーチ「その日に奇襲を仕掛けるわけか」

久「そうよ。そこであなたちにも手伝ってほしいの。池田と親交があったあなた達なら、
やつらに対して有効な戦力になるかもしれないから…」



499:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:25:46.05 ID:SNqXtlOg0

未春「………」

久「決めるのはあなたたちよ。ただ、旧人類が勝つチャンスは今しかないと私は考えるわ」

未春「わたし……わたしやります! いくらカナちゃんでも、これはやりすぎだと思うから」

コーチ「よく言った吉留、当然私も参加だ。世界大統領だかなんだか知らねえが、
あの野郎を一発ぶん殴らねえと気が済まねえ」

久「ありがとう二人とも。じゃあ早速作戦を練りましょう」



500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:32:32.01 ID:SNqXtlOg0

そして2月22日、ホワイトハウス前

コーチ「ホントにあっさりここまでたどり着いたな。警備は何やってんだ?」

久「今日は一年に一度、世界中のイケダがバカ騒ぎする日なのよ。
警備も、必要最小限しかいないわ」

コーチ「のん気な奴らだ……それでこそ池田か」

マホ「リーダー、今なら警備の数が少ないようです!」

久「チャンスね……全員突撃よ!!」

全員「おおっ!!」



502:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:42:51.02 ID:SNqXtlOg0

タッタッタッタッタッタッ…

イケダA「ん? なんだし……」

全員「うおおおおおっ!!」

イケダA「きゅ、旧人類どもだしっ! 奴らが攻めて……」

パーン!

イケダA「き……たっ……」ドサッ

パーン! パーン!

イケダB「ぎゃあっ!」

イケダC「やられたし……」バタッ



503:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 01:49:37.48 ID:SNqXtlOg0

イケダD「マズイし……はやく大統領に報告しないと」ピッピッ

久「やつらに報告されちゃマズイわっ!! 誰か止めて!!」

イケダD「へへっ、もう遅……」

コーチ「イケダァァァァァァッ!!!!」

イケダD「ヒィッ!!」ビクゥッ

パーン!

イケダD「ぐはっ…」



504:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:01:40.02 ID:SNqXtlOg0

久「思ったとおりね。久保さんの声は、イケダたちに戦意喪失させる効果がある。
これなら大統領の所にも辿り着けるわ!!!」

マホ「おおっ、やってやるです!!」

久「建物に突入するわよ!」

ドカーン!

正面入り口をぶち破り、久に率いられた旧人類軍がホワイトハウスに突入した。
中にいたイケダたちは突然の奇襲に不意を打たれ、成すすべもなく制圧された。

京太郎「メインハウスは制圧完了。ただし大統領が見当たらねえ。ここにはいないみたいだ」

久「了解。ここはもういいから、あなたたちは他のところを捜索して」



505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:06:22.44 ID:SNqXtlOg0

他の者を捜索に行かせ、制圧が完了したメインハウスに久と未春に久保の三人だけが残った。

コーチ「なんだこの碑文は……池田の池田による池田のための政治だとォ?」

久「それが彼女のモットーよ。彼女は旧人類をモルモット程度にしか見てないの」

コーチ「ちっ、ふざけた世の中になったもんだ」

久「ここワシントンにはイケダ像を祀ったイケダ記念館が。
ニューヨークに行けば、自由のイケダ像とかもあるわよ」

コーチ「それを聞いて、ますますやつをぶん殴りたくなってきたよ」

久「頼りにしてるわよ。池田を倒すカギは、あなたなんだから……」


ザザザザザザザザッ!

「動くなだしっ!!!」



506:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:12:33.15 ID:SNqXtlOg0

ズドン!

久「ぐっ……」ドサッ

未春「竹井さん!」

池田「にゃはははははっ、まんまと引っ掛かったし!
旧人類抵抗軍のリーダーが、自分からのこのこやってくるとは……」

久「罠……だったの……」

コーチ「おいっ、もう喋るな!」

久「久保さん、お願い……人類を……」ガクッ

コーチ「竹井……くっ、池田てめええええええええっ!!!!」



508:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:21:56.86 ID:SNqXtlOg0

池田「おっと動くなだし。お前たちは今、100人のイケダ軍に囲まれてるんだぞ」

池田の言うとおり、久保と未春の周囲を大勢の量産イケダが囲んでいた。
今までどこかで待ち伏せしていたのだろう。
始めから警備は手薄などではなかったのだ。

コーチ「ふん、何人いようが怖くねえぞ。私の一声でこいつらは…」

池田「だったら試してみるか…?」

コーチ「いいだろう……イケダァァァァァァッ!!!!」



509:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:34:36.93 ID:SNqXtlOg0

イケダ軍「………」シーン

イケダ軍は特に慌てふためく様子も見せず、銃を構えたまま微動だにしなかった。
要するに、何も起こらなかったのだ。

コーチ「そんなバカな……」

未春「一体どうして? さっきはちゃんときいたのに……」

池田「バカな二人のために教えてやるし。こいつらは脳を操作して、
余計な情報は遮断するように造られた、完全な私の操り人形なんだし!!」

コーチ「なにィ!?」



511:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:39:11.68 ID:SNqXtlOg0

コーチ「こいつら仮にもお前の仲間だろうが! そんな非人道的なことが許されると思ってるのかァ!?」

池田「ここでは私が王なんだし! だから好き放題しても許されるんだし!!」

コーチ「てめえ……」

池田「そうだ、二人に面白いものを見せてやるし」

未春「面白いもの……?」

池田「私のペットを紹介するし……ブンドー、こっち来るし!!」

コーチ「なん…だと…?」



512:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:43:57.35 ID:SNqXtlOg0

ペタペタペタ…

文堂「にゃあ」

池田「ブンドー、お手」

文堂「……」パシッ

池田「よーしよく出来たし」ナデナデ

コーチ「なん…なんだ……アレは……」

未春(文堂さんの目……完全に生気を失ってる……)

コーチ「池田、てめえまさか…」

池田「連れてきた当初はあんまり言うコト聞かなかったから、こいつも脳を手術したし。
ホラ、今じゃすっかり命令を聞くように……」



513:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:48:59.69 ID:SNqXtlOg0

未春「そんなのってないよカナちゃん!!!」

池田「にゅあっ?」

未春「よくも同じ人間に……あまつさえ昔の友達にそんなことが出来るね!?
カナちゃんは……お前は、人間じゃない!!!」

コーチ「吉留……」

未春「お前の……てめえらの血は何色だぁぁぁぁぁぁっ!!」

池田「うるさい、死ねだし」

バーン!



515:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:56:13.33 ID:SNqXtlOg0

未春「かはっ…」

ドサッ

コーチ「イケダァァァァッッ!! お前昔の親友をあっさりと……」

池田「ふん、笑わせるし! あの時一人だけ宇宙に連れて行ってくれなくて、何が親友だし」

コーチ「てめえやっぱり、あの時のことを…」

池田「さぁコーチ、あんたもそろそろ終わりだし。この華菜ちゃんが直々に処刑してやるし」

その一声で、量産イケダが久保コーチを拘束し、床に押し倒した。

コーチ「チ、チクショオオオオオオッ!! 許さねえぞイケダァァァァッ!!!」ジタバタ

池田「己の無力さを思い知るがいいし! ここでは華菜ちゃんが王なのだから……
にゃははははははははははははははっ!!!」



516:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 02:59:35.14 ID:SNqXtlOg0

池田「にゃはははははっ……うーんむにゃむにゃ……」

コーチ「イケダァァァァッ!!! いつまで寝てんだァ!!!」

池田「うーん…うっさいし……華菜ちゃんに逆らうと処刑するぞ……」

コーチ「ンだとォォォッ!? この野郎ッ!!」ギリギリギリギリ

池田「い、いだだだだだだだだっ……や、やめて……」

コーチ「目は覚めたかァ? 池田ァァァッ!!」

池田「ん………は、はい!コーチ!!」

コーチ「もう勤務時間なんだよ! さっさと行ってこい!!」

池田「はいっ!!」ピュー



517:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 03:04:46.41 ID:SNqXtlOg0

コーチ「ふぅ……それにしても、私たちがいない間に妙なことになってたんだな」


池田の見た夢は、途中までは本当だった。

久保たちが地球を出発後、池田から生み出された新人類イケダは、
瞬く間にその数を爆発的に増やしていった。

しかしイケダが束になったところで人類全体に勝てるわけがなく、反乱は失敗。

その後はコントロールのし易さと、量産が容易で耐久性が高いことなどに目を付けられ、
イケダは世界各地に奴隷労働者として駆り出されたいった。



519:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 03:15:39.47 ID:SNqXtlOg0

この十年間で、世界各地の発展途上国は軒並みGDPが上昇し、
労働力不足問題は解決へと向かっていった。
他にも映画のスタントや、人間には危険な現場での作業などにもイケダは利用され、
高い成果を上げていた。

最近では戦闘力を向上させ、どうにか軍事利用できないかという研究もなされているらしいが、
久保から見ればそれは金の無駄にしか思えなかった。

コーチ「だって元が池田だしなぁ……」

そんな中、最近社会問題となっているのが、用済みになったイケダを路上に放置する、
捨て猫ならぬ捨てイケダの増加だった。

このままでは近い将来、本当に地球がイケダで埋め尽くされる日が来るかもしれない…


     池田の惑星/PLANET OF THE IKEDAS  完

次回  ゆみ「そばにいてくれ…」



524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/25(水) 03:27:33.37 ID:NRjKklCC0





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         コメント一覧 (9)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2010年12月27日 18:42
          • それぞれ元ネタがなんなのか解説してくれたら助かる
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2010年12月28日 21:32
          • 長過ぎ・・・
            途中まで読んで照咲にならなそうだったからやめた
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年05月30日 18:02
          • 麻雀どこいったんだよwwww
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年06月05日 03:09
          • 洋画ネタが多い気がする。
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年08月08日 06:01
          • この時期に永水とか普通に出てるんだな
            本編どんだけ進まないんだ・・・
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年09月10日 03:25
          • 面白いんだけど長すぎる
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年09月12日 10:23
          • 書いた奴は照が大嫌いなのはわかった
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2012年11月13日 18:18
          • 当時は照の描写がまだ少なかったからとんでもねえキャラになってるなwww
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年03月15日 16:52
          • スレタイ…
            やはりあの頃のVIPは雰囲気が違う

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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