佐天「蟲が見える能力かぁ」【その2】
- 2010年10月07日 00:25
- SS、とある魔術の禁書目録
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佐天「蟲が見える能力かぁ」の【その2】です。
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133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 00:39:53.59 ID:DIGNS6ya0
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―――。
佐天「―――かなり入り組んでるけど、わかります?」
滝壺「――――――――――、あっちのほうから弱い力場を感じる」
美琴「よしっ、それじゃあ早く―――」
滝壺「あ、第三位は残ってて。帰りの道がわからなくなるから」
佐天「ああ、確かに。無能力者の私の力場より、御坂さんの力場のほうが目印としてはちょうどいいですもんね」
美琴「で、でも私のせいでこうなったんだし私が行くべきじゃ―――」
佐天「いいから、ここにいてください。適材適所ですよ」
美琴「……わかったわよ」
―――。
白井「暗いですの怖いですの何処ですの」
白井「ああお姉さま黒子はここで朽ち果てますのもう助かりませんの能力も上手く使えませんのおしまいですの」メソメソ
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135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 00:42:56.96 ID:DIGNS6ya0
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白井「思えばあの時、足払いをかけられてすっころんだ時に短パンの隙間からわずかにパンツが見えたような気がしますの」
白井「今まで鉄壁だった短パンを、あのような形で破れたというのなら、この生涯に悔いはありませんの」
白井「ああ、さらば愛しき人。この白井黒子、自分を忘れても貴女のことは忘れませんの」
白井「……」
白井「……空しいですの」
白井「……うええええええええええええええええん!!お姉さまー!誰かー!ヘルプミー!!!」
佐天「ヘイ白井さん」
白井「ほうわァッ!?」
滝壺「この人?」
佐天「うん、間違いなく」
白井「さ、さてんさん?」
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137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 00:47:43.72 ID:DIGNS6ya0
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―――。
美琴「……暗い」
美琴「……深い」ゾクッ
美琴「こんな中を、黒子は今頃一人っきり……」
美琴「うぅ……ごめん……ごめんねぇくろこぉ……」
美琴「いっぱい、あやまるからぁ……もっとやさしくするからぁ……だから帰ってきてよぅ……」メソメソ
佐天「おおーい、御坂さーん」
美琴「佐天さんっ?黒子、黒子は?」
白井「お姉さまー!!」
美琴「黒子……黒子ー!!」ひしっ
白井「ああっ、お姉さま!こうして、こうしてもう一度抱擁をかわせる日がこようとは……!黒子感激ですの!!」
美琴「ごめんね黒子、怖い思いさせちゃって……」
白井「いいんですの、こうして今、お姉さまのぬくもりを感じていられるだけで、黒子は、黒子は……!」
滝壺「大団円?」
佐天「かなぁ」
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138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 00:51:43.65 ID:DIGNS6ya0
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―――。
佐天「どうもありがとうございました」
滝壺「気にしないで。私はデウスエクスマキナとしての役を果たしただけ」
佐天「デウス……?なんですか?」
滝壺「物語の収拾がつかなくなった時に現れる神様。正直、最初は妹達との電磁波コンビネーションで探し出そうと
してたんだけど、よく考えたら貴女に妹達のことを知られるわけにもいかなかったので却下。
物語的にどう収拾つければいいか悩んでいたところに、あのレスがきたということ」
佐天「???」
滝壺「わからなくてもいいこと。それじゃあ」
浜面「お、終わったのか」
滝壺「……うん。それで、どうして絹旗と路上で?」
浜面「いや違うんだ、これはプロレスの話をしていたらどうしてもカウンター寝技をかけたいって絹旗が言ってきてな」
絹旗「いえそんなことは超全然言ってません」
浜面「絹旗さンッ!?」
滝壺「……はーまづらぁ」
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139: ◆oDLutFYnAI :2010/09/30(木) 01:01:10.69 ID:DIGNS6ya0
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美琴「怖かったでしょ?今日は一緒に寝よ?」
白井「ああ、ついに、ついに黒子の夢がかなうのですね……まさかお姉さまから誘っていただけるとは」
佐天「んー、疲れた。あ、今回私何も出来なかったなぁ」
佐天「それにしても、虚穴って光脈筋にできるはずなのに……ここ光脈筋?だとしたら、ヌシは……?」
佐天「……うーん、なんだか、何か忘れてる気がするんだけどなぁ。まぁ、いっか。もう夜も遅いし、寝よう」
黒子が虚穴に落っこちました おわり
滝壺さんがいなければ詰んでいた。ありがとう。
四巻あたりの女の子はすごく可愛いと思うんだ。綾にしろ、すずにしろ。錆の話は3巻だけど、そこに出てくる女の子も好き。
え?漆原さんの書く子はみんな同じ顔に見える?それはきっと気のせいだよ。
ごめん俺は寝る。またさるくらったし。本当は、「クソスレ」とか言われてもっと速く落ちる予定だったんだ。硯の話も、やってみたかったんだがな。
最後に酉つけて寝よう。もしこの酉に見覚えのある人がいれば、その、なんかいろいろごめんなさい。
もし明日実習から帰ってきて残ってたら、喜んで続き書くよ。
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173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 19:29:48.27 ID:DIGNS6ya0
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音楽は暁の蛇だっけ?あれとか、籠の中とかもいいよな
記憶食われちゃったお母さんの子供さんが不憫で仕方無さ過ぎる……綺麗な景色の話なのに、すごく辛い。
ちなみに好きな話はクチナワとかナラズの実とかウソブキが出てくる話だよ。新章蟲師とかやってくれねぇかなぁ。
アニメも二期制作してくれねぇかなぁ。映画とかいらなかったからさ。
そんなわけで再開します。保守ありがとうございました。
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174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 19:39:34.73 ID:DIGNS6ya0
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御坂妹「あれから一度書道からは手を引きましたが、よくよく考えれば左手でも字は書けることに、ミサカは気づきました」
御坂妹「よってまた書道を再開しました、とミサカは現状を誰にともなく懇切丁寧に説明します」
御坂妹「そこでいっそ道具にもこだわってみようと思いネットで硯を検索しているしだいですが、とミサカは今現在の行動を口頭に―――おや」
御坂妹「……ふむ。ミサカは硯のことはわかりませんが、しかし写真越しでさえ、どこか惹かれるものがありますとミサカはモニタに写された硯をまじまじと眺めます」
御坂妹「値段は……oh、とミサカはあまりの0の多さに驚愕を隠せません」
御坂妹「ということですので」
美琴「何がということなのよ」
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177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 19:45:36.83 ID:DIGNS6ya0
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御坂妹「いえいえ、学園都市に七人しかいない超能力者の中でも第三位に位置する御姉さまでしたら、これくらいちょちょいのちょいかと、とミサカは
オリジナルにたかるつもり満々でおだてます」
美琴「ほんっとアンタたちのその口癖不便よねぇ……はぁ、まあいいわ。どれよ、見せてみなさい」
御坂妹「こちらです、とミサカはページを開きます」
美琴「へー、確かになんだか他とは違う雰囲気を感じるわね」
御坂妹「お姉さまのお子様センスでも理解できいひゃいいひゃい」
美琴「アンタはー!人に物を頼む時はもう少し口を慎みなさい!」
御坂妹「も、もうしわけわりません、とミサカは謝罪します」
美琴「まったく……ん、ほんと。結構いい値するわね」
御坂妹「毎月のお小遣いでは到底買えるものではありません、とミサカは通帳と硯の値段を見比べます」
美琴「うーん……いいわ、買ってあげるわよ」
御坂妹「……言いだした身でこう言うのもなんですが、本当によろしいのですか?とミサカはなんだかやけに優しいお姉さまに確認をとります」
美琴「まぁ私も特に使い道ないままどんどんお金溜まってるしね。これくらいプレゼントしてあげてもいいでしょ」
御坂妹「ミサカの武将忠誠度は100あがりました、とミサカはお姉さまに忠誠を誓います」
美琴「何よそれ」
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178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 19:50:52.84 ID:DIGNS6ya0
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―――。
御坂妹「そんなわけで硯が届きました、とミサカは封を解きます」
御坂妹「おお……実際に目の当たりにして手にとってみると想像以上のものです、とミサカはしげしげと眺めます」
御坂妹「同封の書には、なんでも随分と昔に名のある匠により掘られたものと書いてありますね、とミサカはなるほどだからあれだけ高かったのか、と骨董品値段に納得しました」
御坂妹「では、いざ一筆とらせていただきましょうか、とミサカは少々使うのが勿体ない気もしつつ硯に水を与えます」
御坂妹「やはり、まずはお姉さまへのお礼の手紙でしょうね、とミサカは文面を思案しつつ墨を―――、?」
御坂妹「なんでしょう、今さっき、体の中に冷たいものが入っていったような……?とミサカは首をかしげます」
御坂妹「……まぁ、何かの気のせいでしょう、とミサカは筆をとり、紙面にすべらせます」
御坂妹「……くちゅんっ」
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179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 19:58:29.70 ID:DIGNS6ya0
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御坂妹「む……風邪、でしょうか。とミサカは少し寒気を感じます」
御坂妹「……まぁ、今日は体を温めて寝ましょうか。書き終えた手紙は明日にでも投函しましょう、とミサカは夏も間近だというのに毛布をひっぱりだします」
御坂妹「ふぅ……ではおやすみなさい、とミサカは誰にともなくおやすみの挨拶をして床につきました」
御坂妹「」ブルブルブルブル
御坂妹「な、何故でしょうか……とても寒くて仕方ありません……とミサカは既に布団を五枚も重ね着しているというのになかなか暖まらない体をおかしく思います」
御坂妹「うぅ……」
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181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:04:11.42 ID:DIGNS6ya0
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―――翌朝
医者「まだ10032君が起きてきてない?」
19090「はい、いくら呼んでも返事がなく、とミサカはおいおいアイツ寝坊かよ珍しなと不思議がります」
医者「それは困ったね?ちょっと呼んできてもらってもいいかい?」
19090「了解しました、とミサカは素直にオーダーに従います」
19090「10032、入りますよ?と相変わらず返事がないのでミサカは勝手に10032のプライベートルームに侵入します」
10032「ぅぅ……い、19090ですか、とミサカは布団にくるまりながら尋ねてきた検体番号を確認します」
19090「どうしたのですか、そんなアルマジロみたいな格好をして、とミサカは首をかしげます」
10032「と、とても寒くて……」
19090「寒い?とミサカは夏も近いのにコイツ何言ってんだと訝しがります」
10032「ほんとうなんですよぅ……とミサカは手をさしだします」
19090「どれどれ……つめたっ!?とミサカはまるで氷のような手に驚愕をあらわにします」
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182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:13:31.17 ID:DIGNS6ya0
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19090「こっ、これはどう考えても異常では?とミサカは失礼ながら10032の腋に手を差し込みます」
10032「あうっ」
19090「つめたっ!?ド、ドクター!ドクタァー!!とミサカは医者を呼びに部屋を飛び出します!」
医者「明らかに異常だね?検査してみても、特に何も見当たらない」
10032「」ガチガチガチガチ
打ち止め「そんなに寒いの?ってミサカはミサカは布団にくるまって白湯飲んでる10032に尋ねてみたり」
10032「ありえん」ガチガチガチガチ
打ち止め「うーん、スキャンしてみたけど特になにもなかったし……ってミサカは頭をひねってみたり?」
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184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:22:09.01 ID:DIGNS6ya0
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10032「うう、もうミサカは駄目かもしれません、とミサカは原因不明の病に絶望します」
19090「諦めてはいけません、とミサカは10032を励まします」
打ち止め「そっ、そうだよ!病は気からって言うし、気持ちまで負けちゃだめ、ってミサカもミサカで励ましてみる!」
10032「ふ、ふふ……最後に、これを、とミサカは19090に封書を渡します」
19090「こ、これは……?とミサカは受け取りつつ問い尋ねます」
10032「お姉さまへの手紙です……もう、ミサカからは渡せそうにないので、どうかこれをお姉さまに、とミサカは最後のお願いをします」
打ち止め「だめー!あきらめちゃだめー!ってミサカはミサカは10032の手をさすってみたり!どう?あったかい?」
10032「ああ、上位個体の優しさが身に染みます……と、ミサカ、は―――がくっ」
打ち止め「うあああああー!10032-!!」
医者「はいはいふざけてないで。白湯のおかわりもってきたからね?」
10032「かたじけねぇ……とミサカは温かなお湯を体に含みます」コクコク
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186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:26:37.98 ID:DIGNS6ya0
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10032「ともかく、どうかそれをお姉さまに渡してきてくれませんか?とミサカは普通に懇願します」
19090「それは構いませんが、どうして手紙を?とミサカは普通のメールではない辺りに違和感を覚えます」
10032「ああ、それはお姉さまに買っていただいた硯を使って一筆したためたからですね、とミサカは懇切丁寧に説明します」
19090「硯?」
19090「―――ということで、こうしてミサカが参上したしだいであります」
美琴「ちょっ……それって大変じゃないの!あのリアルゲコ太でもわからないんでしょ!?」
19090「ええ、まあ」
美琴「……あー、まって。こういう不思議なことって、だいたい……」
佐天「というわけで呼ばれました」
19090「誰?とミサカはなを尋ねます」
打ち止め「どちらさまー?ってミサカはミサカはお尋ねしてみたり」
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187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:30:08.37 ID:DIGNS6ya0
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佐天「うおお……御坂さんがいっぱい……どういうことなの」
美琴「あんまり深く聞かないでもらえると助かるんだけどね」
佐天「なら、そのように……それで、妹さんが大変なんでしたっけ」
美琴「まあ私も詳しくわかんないんだけど、直接会ってみてあげて」
佐天「わっかりましたー」
10032「おや、お久しぶりですねとミサカは布団の中から失礼します」
佐天「久しぶり、ですかね?どうしたんですか、この夏間近な季節にアルマジロになって」
10032「それがですねかくかくしかじか」
佐天「まるまるうまうま……はぁー、体温が下がり続けてる、と」
美琴「どう?何か心当たりある?」
佐天「いえ、話を聞いただけじゃ……ただ、妹さんの中から蟲の声が聞こえてくるのは確かなんですよね。
妹さん、それっていつごろからの症状ですか?」
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188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:37:02.32 ID:DIGNS6ya0
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御坂妹「確か、お姉さまにその手紙を書いたあとくらいからでしたか、とミサカは記憶をさぐります」
佐天「手紙?」
美琴「ああ、これのことね。まだ読んでないけど」
御坂妹「まだ読んでくれていないのですか……とミサカはうなだれます」
美琴「アンタが元気になったら、アンタの前で読んであげるわよ」
佐天「けど、手紙を書いて……?うーん、それだけじゃどうにも……」
御坂妹「……そういえば、墨をすった時になにか冷たいものが体の中にはいっていったような気がします、とミサカはふと思い出します」
佐天「墨をするって……えっと、硯ですか?」
美琴「硯って、この前の?」
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189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:40:29.04 ID:DIGNS6ya0
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――――。
美琴「これね、例の硯」
佐天「へー、綺麗な黒色ですね」
美琴「ほんとねー。で、どう?何かわかる?」
佐天「……蟲の気配はします。おそらくこれで間違いないと思いますけど、ただ……」
美琴「ただ?」
佐天「……声が聞こえてこないんですよね。それに、今までは見たら何の蟲かわかったのに、これはわからないんですよ」
美琴「えっと……どういうこと?」
佐天「蟲の声です。妹さんの体の中からは確かに聞こえてたのに、ここからは何も聞こえない。
それに、今までは何故か知りませんけど蟲を見ればその蟲の名前と対処法を思いだしたんですけど」
美琴「これはさっぱりわからない、ってこと?」
佐天「はい……うーん、どういうことだろ」
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191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 20:51:55.44 ID:DIGNS6ya0
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―――。
佐天「とにかく、私はこの硯をもうちょっと調べてみます。何かわかったらすぐに連絡しますから」
美琴「ん、ありがと。でもさ、」
10032「寒っ。夏なのに冬の気分を味わえるなんて、とミサカはプラス思考でとらえますがやはり寒いものは寒いので白湯をすすります」ズズズ
美琴「……あんまり長くは、さ」
佐天「……そうですね。出来る限り迅速に調査します」
美琴「うん、お願い。
佐天「―――とは言ったモノの、どうしたもんかねー」
佐天「硯自体に蟲の気配があることは確かだから、これが原因なんだろうけど……声が聞こえないってどういうこと」
佐天「妹さんの体の中からは、かすかだけど確かに声がしたのに」
佐天「……うーん」
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195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 21:08:35.73 ID:DIGNS6ya0
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――――それから三日が経った。
一日のほとんどの時間、硯と向かい合っていたがなんの策も見つからず。
その間にも、妹さんの体温は下がり続ける一方だった。
色々な薬でなんとか体温を維持しているそうだが、もともとそう薬を投与できる体でも無いらしく、限界は近いらしい。
佐天「くそっ……どういうことなんだろ……」
佐天「あれから適当な蟲を捕まえて聞いてみても、ろくな返事は帰ってこないし……」
佐天「……蟲払いなんて、骸草の時みたいに、そう難しいもんじゃないって思ってたのに……」
―――思い返されるのはあの夜こと。
河の中にすむ巨大な蟲。
あれは、私のことを確か、
佐天「……えさ、か。人間がほかの生き物を食べるように、蟲だって私達を食べることだってあるんだ」
佐天「……いや、待て。そもそも、蟲の餌ってなに?骸草はたしか、生物の死骸が餌だった。野錆もそうだった。
ウロのエサはわかんないけど、あの虚穴を見るとそういう空間が食べ物なんだろうし」
佐天「ナガレモノに関しては自然現象と同じでエサなんてなくて雨とかと一緒に動いてる……
そうだ、蟲は私の常識になんて当てはまらない生態を持ってるんだから、その辺りから考えていかないと解決の糸口はつかめない」
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196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 21:14:49.40 ID:DIGNS6ya0
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佐天「考えろ考えろ……妹さんは体が冷える、って言ってた。体の中にいる蟲の声は、どこか喜んでいるように聞こえたから……
あの蟲は、体温を食べてる、つまり熱を食べてるってことだよね」
佐天「熱を餌にする蟲、か……何か、これで思いだせないかな……」
佐天「――――」
佐天「――――駄目、かぁ」
佐天「やっぱり実際に蟲を見ないとダメか……けど、こうやってずっと眺めてても全然……ぁ」
佐天「そうだよ……妹さんは墨をすった時、って言ってたじゃんか。だったら、私もそれを試してみないと」
佐天「そういうわけで試してみたら、なんか出てきたでござる」
佐天「えっと、これは……雲喰み、そうだ雲喰みだった」
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197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 21:19:05.09 ID:DIGNS6ya0
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―――。
佐天「―――というわけで、雲と同じ高さ、だいたい2千~3千メートルの高さまで持っていけば蟲は抜けるはずです。
もしくは、気圧をそれくらいの高さと同じレベルにまで下げるって方法もありますけど」
医者「わかった、ならそれをためしてみよう」
御坂妹「とまぁ、なんやかんやありまして、蟲はぬけました、とミサカはお世話かけましたと頭をさげます」
佐天「こちらこそ、時間かけちゃってすみません」
美琴「佐天さんはよくやってくれたわよ」
佐天「そうですかね。あ、これ硯ですけど、どうします?」
美琴「それって、すったらまた出てくるのよね?」
佐天「ええまあ、まだ蟲の気配ありますから」
美琴「だったら使えないじゃない……勿体ないけど、これはもう捨てるくらいしか」
御坂妹「それは駄目です、とミサカはお姉さまの提案を却下します」
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198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 21:23:49.95 ID:DIGNS6ya0
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美琴「え?でも使えないんじゃ意味ないし……たしかに観賞用としておいておく分にはいいかもしれないけど、また何があるかわかんないわよ?」
御坂妹「そういうことではなくてですね。だって、これはお姉さまからの折角のプレゼントですから、とミサカは硯を抱きしめます」
美琴「――――ぁ」
美琴「―――そっか」
佐天「うーん、だったら今からその蟲全部出しちゃいますか」
美琴「え?」
御坂妹「え?」
御坂妹「ひとつすっては父のためー、ふたつすっては母のためー、まぁミサカに母親なんていないんですけどね、とミサカ複製ジョークを―――むぐ」
美琴「それは佐天さんには秘密だから」
御坂妹「おっとそうでしたね……それにしても、墨をすることで蟲が出てくるのなら全て出しきるまですろうとは、とミサカは当然といえば当然な案に関心します」
美琴「口から入ってこないようにマスクもしたしね。私達には見えないけど、蟲は出て言ってるの?」
佐天「はい、どんどん出てってますよ。みんな久しぶりの食事だーって喜んでます」
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200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 21:29:15.85 ID:DIGNS6ya0
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蟲「」モクモク
佐天「あはは、今は夏だからそんなに急いで食べなくても大丈夫なのに」
蟲「」モクモク
佐天「……嬉しそうだなぁ。こうやってみてると、蟲も私達と変わらないな」
佐天「生きる為に生きて、食事を喜んで」
佐天「―――あのとき骸草を殺しちゃったけど、もっと他の方法もあったのかな」
佐天「あれも、頑張って生きてたんだよね。全部殺しちゃう必要なんて、なかったんだよね」
佐天「……まぁ」
佐天「こんなこと、もうどうにもならないことだけど」
あの人が死に際に作った硯がここに来てよみがえったようです おわり
三巻に出てくる女の子ってかぁいいよね。なんでだろ。釣り目ぎみだからかな。
しげが手紙渡してるとことかかわゆす。ハァハァ
こんなんでよければ次>>203 僕はご飯を食べてくる
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214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 22:34:37.57 ID:DIGNS6ya0
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打ち止め「うわーいアナタと一緒に出かけるなんて久しぶり!ってミサカはミサカははしゃいでみたり!」
一通「デパートで暴れるンじゃねェ」
打ち止め「あ、ほらほら、あの貝殻すっごく綺麗だよってミサカはミサカは展示品を眺めてみる!」
一通「ただの貝殻じゃねェか」
打ち止め「でもでもミサカは海って見たことないから、こういうのもあんまり見たことないんだよってミサカはミサカは貝殻を手にとってみたり」
一通「こら、展示品に触るな」
店員「よろしいですよー。どうぞ手にとってみてください」
一通「あ、そうなンですか、すいませン」
打ち止め「わぁーなんで巻貝ってこんなとんがりあるんだろってミサカはミサカは首をかしげてみたり」
店員「耳にあてると潮の音がしますよー」
打ち止め「ええっ、ほんと?ってミサカはミサカはさっそく言われた通りにしてみる!」
一通「ンな非科学的なことがあるか……」
「」~♪
打ち止め「」
一通「……ン?どォした打ち止め、鯉の真似か?」
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217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 22:39:28.11 ID:DIGNS6ya0
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打ち止め「―――!―――!」パクパク
一通「おォ、演技派じゃねェか」
打ち止め「――――――!」パクパクパクパク
一通「……オイ、そろそろ普通に喋らねェと怒るぞ」
打ち止め「―――!」パウパウッ
一通「……打ち止め?」
御坂妹「なるほどなるほど、とミサカはMNWによって上位個体の言いたいことを把握しました」
一通「コイツは何て言ってンだ?つーかふざけてンのかコイツ」
御坂妹「いえいえ、どうやら喋り方を忘れてしまったそうです、とミサカは目の前の白髪もやs……いえ、なんでもありません」
一通「喋り方を忘れただァ?ンなもン、歩き方を忘れたって言ってるよォなモンじゃねェか」
御坂妹「しかし実際にそう言って―――そう考えているのですから仕方ありません、とミサカは上位個体を身下げます」
打ち止め「……」パクオアク
一通「一体どォいうことだよ……」
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218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 22:43:41.41 ID:DIGNS6ya0
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御坂妹「まぁ幸いながら、こういった不思議現象を解決できる人に心あたりがありまして」
一通「誰だそりゃ」
佐天「呼ばれて飛び出てこんにちは」
一通「ン……オマエ、確か」
佐天「え、なに、ナンパですか?いやーんまいっちんぐー」
一通「ブッコロスぞ」
佐天「ひぃっ……あの、妹さん、この人誰なんですか?」
御坂妹「恩人でもあり仇でもあり―――簡単に言えばロリコンです、とミサカは一方通行の紹介を端的に終わらせます」
佐天「oh……」
一通「てめェ」
御坂妹「おや、殺しますか?今までしてきた妹達のように、とミサカはなんとなく古傷をえぐってみます」
一通「……う、うおおおおおおおおおお!!!」だっ
佐天「あっ、どこ行くんですかー?」
御坂妹「放っておいてあげてください、とミサカは涙目になっていた一方通行に(笑)」
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220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 22:51:26.90 ID:DIGNS6ya0
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佐天「……えっと、それで、」
御坂妹「そうでした、ええとですね―――」
御坂妹「―――ということでして、とミサカは説明をしめくくります」
佐天「貝に耳をあてたら、かぁ……うーん、それだけじゃなんとも。ひとまず、その貝が売ってたところまで案内してくれる?」
打ち止め「―――」パクパウッ
打ち止め「……」パウッ
佐天「ああ、あそこね……ん」
佐天「(喧騒にまじってかすかに鳥の声―――これは、なんだったか……)」
打ち止め「―――」パウッ
佐天「この貝を耳にあてたら喋れなくなった、と」
打ち止め「」コクコク
佐天「んー……あぁ、サエズリガイか」
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221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/30(木) 22:56:39.01 ID:DIGNS6ya0
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――――――。
御坂妹「サエズリガイ?」
佐天「そういう名前で呼ばれることもある蟲。鳥みたいな形してるんだけど、貝の中に隠れることもあって、
その貝を耳に当てて間近で声を聞いた人は喋り方を忘れちゃう、つまり喋れなくなっちゃうんだって」
御坂妹「治療方法はあるのですか?とミサカはたずねます」
佐天「すぐに回復する治療方法は無いかな。でも、人の言葉を聞いてれば徐徐に治っていくから、そっちのほうは心配なし」
御坂妹「……そっちのほう?」
佐天「あー……っと。まぁ、気にしないで。それじゃ、あの頭の白い人にもよろしく言っといてね」
御坂妹「はい、どうもありがとうございます、とミサカは負荷深と頭をさげます」
打ち止め「――-!」ぺこー
佐天「……おかしい。あの蟲は、本来海にいるはずなのに」
佐天「しかも貝のなかに入ってるってことは、これからよくないことがあの辺りで起こるってこと―――どういうことなんだろ」
-
246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 11:29:34.87 ID:h1pgtgS60
-
―――。
佐天「(というわけで、気になったんでまたサエズリガイを見に来たわけだけど)」
蟲「」ピィー
蟲「」ピィー
佐天「(増えてる……どっから沸いてくるんだろ……)」
佐天「(ともかく、増えてるってことは何か起こるのはもう少し先ってことか)」
佐天「すみませんこれひとつください」
店員「はーいありがとうございまーす」
佐天「(さすがに人通りの多いところで貝に向かってしゃべるのは危ない人だもんね。この辺りでいいかな)」
佐天「ねぇ、この辺りで何が起こるの?」
蟲「」ピィー
佐天「?何か起こりそうってだけで具体的にはわからない?まぁーそんなもんなのかな」
-
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 11:32:59.86 ID:h1pgtgS60
-
佐天「じゃあさ、あんた達って海に住んでたんじゃないの?なんでこんなところにいるのよ」
蟲「」ピィー
佐天「知らんて」
佐天「蟲にこれ以上期待するのも駄目かー……しょうがない、地道に調査するかな」
佐天「ういはるーっ」
初春「ふぉああああっ!?しょ、正面から堂々スカートまくらないでください!」
佐天「後ろからならいいわけね」
初春「そういう問題でもないんですけど」
佐天「それは置いといて、ちょっと調べてもらいたいことがあるんだけど。こういう貝が売ってる場所って、あそこのデパート以外どっか無いかな」
初春「また随分難題ですねー。うーん、ま、ちょっと待っててください」
-
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 11:47:12.30 ID:h1pgtgS60
-
初春「できましたっ。さっき佐天さんが言った場所で開催されてる「どきっ!懐かしい夏の音フェア」以外に、ここと、ここ。それからこっちにふたつですね」
佐天「こんな細かいことまで……凄いね」
初春「貝殻なんて外からの輸入物ですからね。そっからどこへ流れてるか調べればすぐですよ」
佐天「そんなのを調べられるのが凄いってことよ。ありがと、それじゃちょっと行ってくるね」
初春「はーい」
――――。
佐天「ふむ」
佐天「調べてみたところ、蟲がいたのはあのデパートとそっから一番近い露店で売ってた貝だけか」
佐天「てことは、あの辺りに災害が出るってこと、なんだよね」
佐天「うーん……でも、何が起こるっていうんだろ」
佐天「(そもそもこの蟲は海の災害を感知する蟲だし……てことは、水関係の何か、か?)」
-
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 11:53:19.67 ID:h1pgtgS60
-
佐天「……ああ、もう。水関係たって、一体何が―――」
美琴「んー?どうしたの佐天さん、頭おさえて」
佐天「御坂さん―――こそ、こんなところで何してるんですか?ここあんまり人来ない場所なのに」
美琴「えっ?べ、べつに?なんとなく散歩してたらね!(アイツを追っかけまわしてたら何時の間にか)」
美琴「そういう佐天さんこそ何してるの?」
佐天「ここは私の好きな場所なんですよ。何故か知りませんけど、たまーに来たくなるんですよねぇ」
美琴「ふぅん。それで、頭おさえてどうしたのよ」
佐天「……ん。まあ、御坂さんになら相談してもいいかな」
佐天「―――ということでして」
美琴「また蟲関係ってことね」
佐天「今回は別に、蟲が何かをしてるってわけじゃないですけど」
-
251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:02:11.30 ID:h1pgtgS60
-
佐天「それにしても、水関係の災害なんてこの学園都市で起こるのかな―って思いまして」
美琴「浄水設備は定期的にメンテナンスされてるし、水道だって問題ないはずだもんね」
佐天「けど、蟲が無駄なことするとは思いませんし……うーん……」
美琴「……」
佐天「……、?どうしたんですか、私の顔になんかついてます?」
美琴「ううん、なんていうかさ。佐天さん蟲が見えるようになってからなんか変わったなーって」
佐天「……そうですかね」
美琴「こう言うのもなんだけど、前は特に周りを見て無かったのにさ、」
佐天「あはは、御坂さんに言われたくないですよ」
美琴「……あははは」
佐天「はははは」
美琴「あはははははははははははははは」
佐天「……ごめんなさい」
-
252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:06:38.64 ID:h1pgtgS60
-
美琴「ま、まあそれは置いといて!今の佐天さんはこうやって休日潰してまでいろいろ調べ回ってるじゃない」
佐天「んー……まぁ、蟲が見えるのは私だけですし。とくにたいした意味なんてないですよ」
美琴「そうなの?」
佐天「意識したことはないですねぇ―――さって、それじゃそろそろ帰りますね」
美琴「ああ、送ってわよ」
佐天「えっ、悪いですよ」
美琴「帰り道はほとんど方向同じだからね。一人じゃ危ないわよ」
佐天「それじゃ、お言葉に甘えまして」
―――。
佐天「お―――『全天候型プール近日オープン』かぁ。こんなところにプールが出来るなんて珍しですね」
美琴「あー、これはレジャー施設って言うより競技練習用にお金持ってる学校がたてて、ついでに一般客もとってお金稼ごうってことらしいわよ」
佐天「なにそれいやらしい」
-
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:17:22.65 ID:h1pgtgS60
-
美琴「学生に奨学金として学園都市が支払う⇒学生が娯楽として学園都市にお金を落とす。って図式ね」
佐天「うぅーん、なんだかなぁ……」
―――。
佐天「ふぅ―――(さて、どうしたもんかなー)」
佐天「……津波、大嵐、毒物混入―――水の災害だと、公害もいれてこのあたり、か。氾濫か、汚染か」
佐天「どちらにせよ、この学園都市じゃ起こるとも考えづらいし―――ああ、もう。いいや、今日は寝よう」
―――。
――――――。
――――――――――。
行き詰ってるみたいだな。
「……。誰?」
-
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:20:23.72 ID:h1pgtgS60
-
いいか、お前はまだ蟲のことを理解しきれていない。
「いや、だから誰よ」
やつらは俺達人間より生命に近い―――今風に言いかえれば、この星の触角と言ってもいいだろ。
「……?何を言って―――」
その辺りを考えてやれ、そうすりゃおのずと答えは出てくるはずだ。
「いや、ちょっ―――」
――――。
――――――。
佐天「夢かっ!?」バッ
佐天「あ……夢、だったのかな」
佐天「けど……なんだか、凄く懐かしい感じがしたっけ。あぁー、こういう夢を見るとなんだか鬱になるなぁー」
-
256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:23:54.62 ID:h1pgtgS60
-
佐天「……蟲のことを理解してない、か」
佐天「……、――――――ふむ」
佐天「(サエズリガイが貝にこもってる以上、確実に何かが起こる)」
佐天「(けど、この学園都市で災害なんて―――いや、この学園都市だからこそ、起こりうる問題が、あるのかな)」
佐天「――――――、ぁ。もしかして、」
――――。
蟲「」ピィー
蟲「」ピィー
蟲「」ピィー
蟲「」ピィ
蟲「」ピ
蟲「」
蟲「」
蟲「」
佐天「……蟲の声が止んだ。急がないと……!」
-
257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:29:34.38 ID:h1pgtgS60
-
打ち止め「あ、あの時のお姉ちゃんだ!ってミサカはミサカは挨拶しに行ってみたり」
佐天「っとぉ、あ、ああ、打ち止めちゃんか。それから白髪の人」
一通「白髪の人とか言うな。その節は随分世話になったな」
佐天「いや、私は何もしてませんよ。それじゃっ!」
打ち止め「どうしたのーそんなに急いで、ってミサカはミサカはたずねてみる」
佐天「え?ええっと、説明してる暇はないけどこの辺りこれから危なくなるから、すぐ遠くへ避難して!」
一通「?何言ってやがる」
佐天「いいから、こっちは間に合うかどうかわかんないから!」
一通「……ちょっと話してみろ」
佐天「え?無理ですって、話したところでどうしようもないですもん」
一通「それはオマエが決めることじゃなくて俺が決めることだろォが。俺を誰だと思ってやがる」
佐天「白髪の人」
一通「チクショウ」
-
261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:37:30.90 ID:h1pgtgS60
-
打ち止め「こんなんだけど、確かに能力は凄いからちょっと話してみたらいいと思うよってミサカはミサカh」
佐天「ん、じゃあこの辺りで何が壊れればこの範囲内にまで水害が引き起こされるか、わかりますか?わからないですよね?」
一通「ちょっと待て」カチッ
一通「―――あのプールだな。確かもう水が入ってンだろ。他にも予備の水が備えてあるだろォから、それが破壊されりゃ
圧力だとかその他諸々―――それこそオマエに言ったところでわからねェよォな要因が絡まって大災害になるな」
佐天「なっ―――」
打ち止め「驚いた?何を隠そうこの人こそ学園都市の第一位なんだよってミサカはミサカはアナタのことを紹介してみたり」
一通「よせやい」
佐天「第一位って……あ、いや、それはいいとして、さっきの話は本当ですか?」
一通「第一位の演算力舐めンな。まァ、コイツがひっきりなしにあのプールの情報を話してきてたから出来た演算だがな」
打ち止め「でもでも、あのプールほんとに凄いんだよってミサカはミサカh」
一通「ンで?それがどォしたンだよ。まさか今からあのプールが壊れるって言うんじゃないだろォな」
佐天「……残念ながら。少なくとも、一時間以内に」
-
262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:41:26.21 ID:h1pgtgS60
-
一通「はァ?馬鹿なこと言ってンじゃねェよ」
佐天「馬鹿なことじゃないですってば!ああもうっ、早く白井さんに連絡して風紀委員総出で避難させてもらわないと……!」
ゴォンッ
佐天「っ」ビクッ
打ち止め「うわっ、今の音なに?ってミサカはミサカは耳を塞いでみたり」
佐天「……まさか、もう、」
ゴォォン
打ち止め「なんだか金属が折れるような―――って、何処行くのサテンってミサカはミサカはいきなり走りだした云々」
一通「……ちっ」
-
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:46:35.25 ID:h1pgtgS60
-
―――。
佐天「……っ。水が漏れてる……!」
一通「ふゥン、オマエの言ってたことは本当だったのか。予知能力者か?」
佐天「白髪の人……なんでここに」
一通「おい白髪の人やめろ。―――何、オマエの言ってることが本当だってンなら、今からこっから水が溢れてくるンだろ?」
佐天「そうですよ、だから逃げろって―――」
ガゴンッ
佐天「―――ぁ」
一通「決壊しちまったなァ」
佐天「な―――何を悠長に……!」
一通「まァ見てろよ」
-
264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 12:50:34.29 ID:h1pgtgS60
-
―――――――。
打ち止め「はぁっ、はぁっ、もう、いきなり走りださないでよってミサカはミサカは息を切らしながら―――うわあなにこれ」
佐天「水が、球体にまとめられて……?」
一通「ま、こンなとこか。あとはコイツをどっかにやりゃいいンだろ?―――自転ショット」
佐天「とぁっ!?水が凄い勢いでどっか飛んでった?!」
一通「終わりだ。これでいいンだろ?」
佐天「え……あ、はい」
打ち止め「へへー驚いた?何をかくそうこの人の能力はベクトル操作d<省略されました。続きを読むには>ってミサカはミサカは
この人のことを自慢してみたり!」
一通「よせやい」
佐天「これが第一位か……!」
-
265:さるくらた。昼間にやるもんじゃねえな:2010/10/01(金) 13:02:03.73 ID:h1pgtgS60
-
一通「さァて、ちょっと仕事が出来ちまったな……打ち止め、悪ィが先に帰っててくれ」
打ち止め「んー?うん、わかったよってミサカはミサカは素直にしたがってみたり」
一通「よーしいい子だ」ナデナデ
plllplll
土御門『俺だ』
一通「仕事だろ、わかってる。今回は後手に回っちまったなァ」
土御門『お前が近くにいて幸いだったさ。わかってるなら、頼むぞ』
一通「あァ、さくっと片づけてくる」
佐天「お―――蟲が飛び立ったか」
佐天「てことは、もう大丈夫ってことね―――はぁ、疲れたー」
-
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 13:07:29.78 ID:h1pgtgS60
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佐天「いやぁ、今回は疲れた、けど結局あの蟲がどうしてあんな場所にいたのかわかんないままだったなぁ」
佐天「ま、終わったことだからいいけどね」
佐天「ふぅ、今回はちょっと疲れちゃった」
佐天「それにしても、あの時の夢なんだったのかなー」
囀る貝はこの街から出られないようです おわり
「囀る貝」は好きな話のひとつ。蟲師は全体的に好きな話多いけどさ。
あの救われる感じがたまらねぇな……上で佐天さんは身を滅ぼしそうって書かれてたけど、だとしたら腐酒とか口にしそうだな。
あれがあれば、人間の体の自由は奪えるし。よし、一番最後にこれ書こうか。
んで、まあこんな感じでよければもうちょっと書く。さるも喰らったし>>272あたりと遠めで
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288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 16:17:16.31 ID:h1pgtgS60
-
TV≪―――の不可思議な事故もすでに20名に達しようとし、警備員や風紀委員は調査を進めていますが進展はなく―――≫
佐天「……またこの、何もないところから人が落ちてくる事件かー。確か、蟲が見えるようになってからずっとだな」
佐天「蟲の仕業なんだろうけれど……よっし」
佐天「いっちょ調査にでも行ってみますか」
佐天「初春の話じゃあの事件で死んだ人は、みんなこの辺りで姿を消してる……って、またこの自然公園かぁ」
佐天「確かにここが一番緑がおおくて蟲もいるけど、ここの池にはあの蟲が住んでるからなー。怖い怖い」
佐天「ま、気をつけて調べよう」
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290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 16:22:43.47 ID:h1pgtgS60
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佐天「それにしても、ほんっとに大きな公園。ぶらぶらしてるだけじゃ一日潰れちゃうな」
佐天「池ももはや湖って言ってもいいくらいの大きさで―――って、何してるんだろ」
研究員「なんかの病気かね」
研究員2「けどだとしたら、この池の魚全部がこうなるはずだろ。この区画だけってのはおかしい」
研究員「ですよねぇ。突然変異か何かですかね」
研究員2「アルビノってんならわかるが、目の色が緑色だからなぁ」
佐天「白衣着てるし、研究所の人か……うわっ、何あの魚。真っ白できもちわるっ」
佐天「しかも片目潰れてるし……―――、あれ」
佐天「なんだろ、この感じ……覚えて、ない、のか……?」
佐天「……まぁ、いっか。蟲が見えるようになってからこういうことはよくあったし」
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291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 16:29:29.91 ID:h1pgtgS60
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―――。
佐天「ん、暗くなってきた。そろそろ帰らなきゃまずいか」
佐天「夜に蟲にあうと怖いからねー。特に池にすむ蟲とか」
―――。
佐天「―――よし、宿題おわり。明日も調査に……あれ?」
佐天「あれー?携帯どこいったんだろ……まさか落とした?うわぁ、最悪だ」
佐天「けど慌てない慌てない、っと。こういうときこそサービスを使う時。GPSと機種番号で―――お、出た出た」カチャカチャ
佐天「ああ、あそこの自然公園ね。時間は……10時かー。うーん……明日でも別に―――」
TV≪―――今晩から明日の朝にかけて雨が降ると―――≫
佐天「―――よくないか。仕方ない、とりにいきますか」
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292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 16:33:16.06 ID:h1pgtgS60
-
―――。
佐天「この辺り―――あったあった。どこも壊れてないみたいだね」
佐天「はぁー、無能力者の私の奨学金だと携帯買うのも一苦労だからねー。助かったたすか―――」ゾクリ
佐天「……!」
常闇「」
佐天「……街灯の光があるのに、どうしてあそこだけあんなに暗く―――」
佐天「―――駄目だ、近づいちゃ。あれは、きっと凄く危ない」
常闇「」
佐天「……?あれ……なんで、だろ。あの蟲から、別の蟲の声がする」
佐天「―――近づきすぎないように、慎重に」ソロソロ
-
295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 16:38:08.23 ID:h1pgtgS60
-
佐天「……あれは、あの闇は、たしか―――そう、だ。常闇、だったっけ」
佐天「……あれ?確か、常闇には、もうひとつ……ああっ、くそ。なんでかな、思いだせそうなのに思いだせない」
常闇「」
銀蠱「」ボウッ
佐天「?常闇が光り出した……おかしいな、常闇にはあんな性質ないはずなのに」
佐天「ぅ……眩しい――――――ぁ、消えた」
佐天「……なんだったんだろ、あれ」
-
304:すまんあんまりに展開が思いつかなくて寝てた:2010/10/01(金) 20:12:31.89 ID:h1pgtgS60
-
―――翌日
佐天「さーてそれじゃ今日も頑張って調査に行きますか」
佐天「―――うぅん、ほかの蟲に聞いても駄目か」
佐天「というかあいつらめ、言うことはだいたい『お腹すいた』とかばっかなんだもん」
佐天「こう言うのもなんだけど蟲は蟲かー」
佐天「仕方ない、あんまり森の中へ入っていくのは嫌だけど、進展なさそうだし行ってみますか。日もまだ高いし」
佐天「迷った……」
-
305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:21:53.92 ID:h1pgtgS60
-
佐天「く……さほど広くないと油断していた……」
佐天「とは言っても学園都市内のただの公園―――方角を変えず直進すればどこかに出るはず」
佐天「こっちに直進してみるかな」
佐天「ふぅ……慣れてないと歩きづらい。もともと道の無い場所を歩いてるんだから、余計に体力をとられる」
佐天「それにしても、おかしいな。さっきまでまだ日が高かったと思ったのに、随分暗くなってきた」
佐天「思ったよりも時間がかかってるのかな。急がないと」
佐天「はぁー……はぁー……おかしい……もう随分歩いたのに、全く出られない……」
佐天「辺りも完全に真っ暗になっちゃったし、何の光も見えなくなっちゃったな」
佐天「……何の光、も?」
-
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:25:22.95 ID:h1pgtgS60
-
佐天「蟲の光さえない……そんなことって、あるわけが―――ぁ」
佐天「―――しまった。なんで気付かなかったんだろ」
佐天「夕焼けにもならず、どんどん暗くなってくなんてありえない……常闇に捕まっちゃったのか、私」
佐天「まずいな、確か、対処法は―――自分の名前を思い出すこと、だ」
佐天「私の、名前は、
?佐天涙子
?左天涙子
?佐天桜子
>>307
-
307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:27:21.93 ID:9htT9L4gO
-
2
-
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:28:14.68 ID:PZaGyVynO
-
1に決まってるだろ
-
309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:28:42.16 ID:PJYIIVH60
-
あちゃー
-
310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:29:46.47 ID:9htT9L4gO
-
きっと第四波動を打ってくれるさ…
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311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:36:59.37 ID:h1pgtgS60
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佐天「―――左天、だっけ」
ギンコさん「落ちつけ、惑わされるな」
佐天「うわっ、誰ですか?」
ギンコさん「通りすがりの蟲師だ。同業者だな。それよりアンタは奴らから指名されちまったんだから
こんなとこで終わってんじゃねえよ」
佐天「……?あの、どういう―――」
ギンコさん「さあ行け。コイツは俺がなんとかしとく」
佐天「え――――」
佐天「夢かっ!?」バッ
佐天「ぁ……と、ここは、」
佐天「公園のベンチ―――そうだ、私、確か常闇に捕まって……う、駄目だ、そこから先が思いだせない」
佐天「名前を思いだしたから抜けられたのかな」
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313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:40:21.66 ID:h1pgtgS60
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佐天「……って、うわ、1時!?まっず、よく危ない人とかに襲われなかったなー私」
常闇「」
佐天「あ……池の方に常闇が来てる」
常闇「」
銀蠱
佐天「……あの光は―――ああ、そうだ。思いだした。名前はないけど、誰かは銀蠱って呼んでたっけ」
佐天「銀蠱……ギンコ……なんだろ、この名前、すごく聞き覚えが―――気のせいかな」
佐天さんがあの蟲師に出会ったようです おわり
すまんあまりに話作れなくてギブアップ。
まだ続けさせてくれるなら>>315
もういいよってんなら腐酒書いて終わる。
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315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:48:04.60 ID:PvbiPkq10
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過労死するまで書かしてやんよ!
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321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:56:14.40 ID:h1pgtgS60
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固法「それじゃ、今日のパトロールはこれまでね」
初春「はいっ、お疲れ様です」
固法「それじゃ支部に帰って今日の報告書書きましょうか―――ん?初春、何か聞こえない?」
初春「はい?……確かに――これは、泣き声、ですかね?」
固法「森の中から?怪我でもしたのかしら、ちょっと見てくるわ」
赤ん坊「あああああああああああああああああ」
固法「赤ん坊……!?なんでこんなとこに……!」
初春「固法せんぱーい、何が―――わぁ、赤ちゃんですね、かわいいー」
固法「馬鹿、かわいいじゃないでしょうが」
初春「あいたっ。そ、そうでした!これってどういうことですかね……」
固法「とにかくここに放っておくわけにもいかないし、支部へ連れていくわよ」
初春「はーい」
-
323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:00:39.52 ID:h1pgtgS60
-
初春「」ウズウズ
固法「……どうしたの、そんなにこっち見て」
初春「私にも抱かせてくださいっ!」
固法「だーめ。赤ちゃんって以外と重いのよ?初春は腕立て10回も出来ないんだから、そんな腕に大切な命を預けられません」
初春「う……それを言われると」
―――。
白井「それで連れ帰ってきたと」
固法「それしかなかったからね」
白井「おおかた不純異性交遊の末出来たけれど育てることが出来ないとして放置したんでしょうね」
固法「まぁそうでしょうね。困ったもんだわ」
初春「それで、その子どうするんですか?」
固法「置き去りの施設へ連絡するわ。それくらいしか出来ることないし。まさか育てるってわけにもいかないでしょ?」
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324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:05:37.97 ID:h1pgtgS60
-
赤ん坊「……ふ、ふええええええええええん」
初春「泣きだしましたよ?」
白井「さっきまでおとなしかったですのに……お腹でも空いているんでしょうか」
固法「ん、困ったわね。白井、悪いけどテレポートで哺乳瓶と乳児用粉ミルク買ってきて」
白井「こっ、この歳で、この都市でそんなもの買うと変な噂がつきそうなのですけれど……常盤台の人間が、とか」
初春「あはは、大丈夫ですよ白井さん。そんな幼児体型で誰も出産しただなんておもいま痛っ!?」
白井「体系のことを貴女に言われると腹が立ちますのよ……そうですの、固法先輩のその豊満なおっぱいならおっぱいがいっぱい出るんじゃありませんの?」
固法「ぶっころすぞ」
白井「ひっ……すみませんですの……」
固法「下らないこと言ってないで早く行ってきなさい」
初春「わーい隙ありー」むにゅっ
固法「初春とて容赦せんっ」べしっ
初春「地面にたたきふせられたっ!?い、痛いです固法先輩……」
固法「全く、ふざけてるからこうなるのよ」ジワ
固法「……じわ?」
-
325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:09:07.25 ID:h1pgtgS60
-
初春「?どうしたんですか胸押さえて。そんなに強く掴んだつもりはあいたたたたたたギブギブギブ!!」
固法「ん……ちょっとトイレ」
固法「母乳が出てる……だと……!」
固法「……どういうことなの」
――――。
白井「そんなこんなであの乳児は施設へ引き取られていきましたの」
初春「元気に育ってくれるといいんですけどねぇ」
白井「一番いいのは捨てた人間が良心の呵責で名乗り上げてくれることですけれど。まあそれはそれで、身勝手な気もしますが」
初春「学生じゃ育てていくお金もないでしょうし……どうしたんですか固法先輩、さっきから胸押さえて黙りっぱなしで」
固法「え?い、いやぁ、なんでもないわよ?あ、そうだ、急用思い出したから報告書おねがい!ごめんね?」
白井「はぁ……まぁ、いつも遅くまで残ってくださるからそれくらいはいいですけれど」
固法「ありがと、じゃあお先に」