唯「あいのり!」
代理まじありがとう愛してるちゅっちゅ
初SS投下
けいおんでする必要がないのはご愛敬
人工的な灯りに照らされ、1人の少女がビルの前に佇んでいた。
髪はおろしており、表情を見ることはできない。
妖しい風が吹く。数秒の時間が数時間と錯覚しそうな時が流れる。
彼女は目前のビルを一通り見回し、胸ポケットから長方形の物体を取り出した。
【マグマ】
それは小さく呟くように、だがしかしはっきりと鳴った。
彼女は左腕にそれをあてると、気味悪く体に飲み込まれていく。
途端、体の造形が赤い炎を纏いながら人間とはかけ離れていく。
それは例えば怪人、妖怪、化物……そのすべてが当てはまるといわれても不思議ではなかった。
体のパーツは人間だが、顔つき、体つきなどはマグマを彷彿とさせるように熱く、険しい。
彼女は手をかざす。
力をこめ、手から者を生み出すイメージ。
すると高温の熱が放出され、目前のビルは炎に包まれ大きな音をたて、爆発した。
「あはははははははははは!!!」
彼女の視界が真っ赤に染まった夜、彼女の笑い声は高らかに響いた――
律「最近物騒な事件多いよなー。またドーパント出たらしいじゃん」
澪「今度もビル爆発事件だったっけ……」
紬「死人は出なかったらしいけど……」
梓「流石に怖いですよね。近所ですし。
次はもしかしたらこの学校が狙われるかも……」
澪「へ、へんなこと言うなよ梓!!」
梓「冗談ですよ。
ほら、そんなことより練習しましょう、練習!」
唯「えー、練習するの?」
律「今日はほら、危ないしさ、もうお開きにしないか?」
唯「りっちゃんに賛成! 今日は帰ってお家で休もう!」
梓「なっ……昨日も練習してなかったですし、今日はしますよ!」
澪「梓の言うとおりだ。お茶飲んでばっかりじゃ上達しないぞ」
唯「えー、そんなー」
葉が落ち、殺風景だった木には新しい命が宿る。
その新しい緑の葉が、溶けた雪の水をはじいてとても美しい。
そんな、なんとも平和と思わせる日が続いていた。
……正確には続いていた、のだが。
最近、ドーパントと呼ばれる怪人が出没するようになった。
ガイアメモリという代物が街中に出回っていて、それを使用すると超人になれるという物。
そのガイアメモリを使用した超人がドーパント、と呼ばれる。
そのドーパントが街中を破壊したり、人を攫ったりする事件が相次いでいるのだ。
唯「あずにゃん、ちょっとこっちきて」
梓「なんですか? 小さい声で」
唯が手まねきして気づかれないように梓を呼んだ。
律と澪が騒いでるのを横目に、周りに聞こえないように小さな声で囁く。
唯「そろそろドーパントをあれしないと……もう三件目だよ?」
ドーパントの仕業の事件は三日連続に続いた。
どれも建物を破壊する事件で、加え高熱で物質を溶かした後が発見された。
同じドーパントだろう。
にして欲しかった
唯「幸いまだ死者はないけど、もしガイアメモリの力に飲まれたら……」
梓「あー分りました! わかりましたよ!」
梓は渋々と頷き、はぁ、とため息をついた。
唯「流石あずにゃん!」
ぱぁ、とひまわりの様に明るい笑顔で梓に抱きつく。
頬ずりされ、恥ずかしさを隠す様に梓は言った。
梓「ちょ、抱きつかないでください」
梓(……この人、練習サボりたいだけじゃないかなぁ)
確かにドーパントは退治しなきゃならない。
ガイアメモリは精神を蝕んでいく代物だ。制御装置なしに使い続けると
やがてメモリの力に飲み込まれてしまう。
しかし梓には、唯は練習がサボる為の口実に見えてしまった。
唯(明日から練習すればいいや……えへへ……)
……実際、そうらしい。
唯「ごめん、私用事があるから帰るねー」
梓「私も今日は親の手伝いをしなきゃならないので……すみません」
数秒の間の沈黙。
気まずい空気が流れる中で、律が切り出した。
律「じゃあしょうがないなー! 今日はもう解散ってことで!」
澪「は? ちょ、待てよ律!!」
散らばっていた所持品をすごい速さでカバンの中に入れ、
待ってましたと言わんばかりに部室を出た。
さらに気まずくなった雰囲気の中を逃げるように、唯と梓も続いて部室を出ていく。
澪「…………」
紬「……れ、練習しよっか! ね、澪ちゃん」
澪「う、うん……」
本当にこの部活はストレスが溜まる。またアレで発散しないと。
澪はそう思い、紬といっしょに練習を始めた。
……まぁ、大体事件の状態から分かりますけど」
唯「うん、多分『マグマ』だと思うよー」
二人は唯の家に来ていた。
ある出来事が起こったときから二人はよく唯の部屋でいっしょにいる。
梓「『マグマ』、ですか……」
やっぱり、と梓はセリフの後に告げる。
唯「あ、そうそう。その破壊されたビルの近くに落ちてたものなんだけど……」
立ちあがって自分の机の椅子に座る唯。
机の、引き出しを開けてひとつのDVDを取り出した。
どこか見覚えのある、ホラー映画のDVD。
澪ほどではないが怖いものが苦手な梓は、恐る恐るDVDを手に取った。
数秒パッケージを見て、ある事に気が付く。
梓「こ、これってまさか……」
唯「うん、前にりっちゃんが持ってきたDVD」
もうすぐ文化祭という日に律と澪が口喧嘩になった日。
澪が怖いものを苦手なことをいいことに、律がからかったあの時だ。
梓「でもこれかなり前のですよ?」
唯「うん、まだ決まった訳じゃないけど……
まあ一応、地球の本棚に入ってくれる、かな?」
梓「……わかりました」
梓はそう言って、手に持ったティーカップを机の上に置き、立ち上がった。
意を決したように目を閉じ、力を抜き、無表情になった。
すると梓の視界の一面が本棚に染まった。
ゴゴゴ、と数えきれない無数の棚が一斉に移動して、静止。
梓「キーワードを」
唯「『ガイアメモリ』『マグマ』」
梓の近くまで来た唯がそう言うと、本棚が一斉に動き出した。
少しずつ棚の数が減少していく。
やがて棚の動きは止まり、数個だけが残った。
唯「――最後に『田井中律』」
残った棚から数冊の本が飛び出す。
その数冊の本も同様に少しずつ除外されていき、やがて一冊の本が残った。
梓は2、3歩前に進み本を手に取る。
その本の表紙には『マグマ・ドーパント』と書かれていた。
唯はショックを隠しきれないのかぺたんと座りこみ俯いた。
梓はそんな唯を横目で見て、心配しながら本を読む。
彼女が次のページをめくると、書かれている事に驚き目を見開いた。
梓「ちょ、ちょっと待ってください。律先輩はドーパントじゃない」
唯「え……ほ、本当? よかっ――」
梓「ドーパントは律先輩じゃなくて、澪、先輩です……」
唯の一瞬晴れやかになった表情もまた、梓の声にかき消される。
梓も知り合い……まして部活の先輩ということにショックを隠しきれなかった。
ドーパントはすべて敵。
この街を苦しめる奴は絶対に許さない。
そう決心していた彼女たちだが、流石に堪えたようで、無言の空気が続く。
支援
数分たち、やっと気が落ち着いた時。
唯が何かに気づいたようで机越しに座ってる梓に言った。
唯「なんで、なんで『田井中律』で検索したのに澪ちゃんの事が……?」
梓「親友、だからでしょう。
本に『田井中律の親友の秋山澪がマグマメモリの適合者』って」
唯「そっか……」
唯の小さな望みも水の泡になった。
その言葉を聞いてさらに落胆してしまう唯に、梓は言う。
梓「……行きましょう。マグマ・ドーパントを退治しに」
唯「で、でも……相手は澪ちゃんだよ? そんなことできる訳……!」
梓「澪先輩だからこそ、私たちが助けるんですよ
そもそもドーパント倒しに行くって言ったの、唯先輩ですよ?」
う……と言葉に息詰まる唯。
なんとか言い返そうとするが言葉が見つからない。
梓「……ほら、行きましょう。今なら――」
唯「それでも、澪ちゃんを……友達を傷つけることなんて出来ないよ!」
突然の大声に梓はたじろぐ。
唯の手を取ろうと差し出して手を、パン、とかわいた音をたてて弾かれる。
涙ぐんだ唯の目に圧倒され、言葉も出ない。
唯は大きな音をたててドアを階段を下りていき家から出て行ってしまった。
梓「……私だって、大切な先輩です。傷付けたくない……でも」
敵なんですよ。
誰もいない部屋で一人そうつぶやき、唯の後を追った。
紬「うん、私も楽しかった。じゃあまた明日ね」
澪「うん。また明日」
そう言って紬と澪は駅前で別れた。
先月の真冬の頃に比べて少しは日が暮れるのが遅くなったといえど、
まだ5時30分ごろなのに太陽は沈み、空が薄い藍色に染まっていた。
澪「まだ少し『あの時間』には早いけど……」
携帯で時刻を確認し、呟いた。
三日連続、ドーパントの街破壊事件のせいなのか、
いつもは人でいっぱいのはずのこの大通りに人がほとんどいない。
澪(みんなドーパントの事怖がってるんだろうなぁ……ふふ)
不適に笑い、胸ポケットから『M』と書かれたガイアメモリを手に取る。
偶々澪の横を通り過ぎた男性が、彼女の手にある物に気づいて叫んだ。
右手に持った荷物を落とし、必死で逃げようとする。
この通りにいた数人の人々がそれに気づき、逃げ去っていく。
その声にびっくりした澪は不意に手の中のメモリを落としてしまった。
バレてしまった。
幸いにもあたりは暗いが、この距離で顔を見られていないはずがない。
そう思った澪は落としたガイアメモリを急いで拾い上げる。
【マグマ】
メモリはそう小さく告げた。
口封じ。
世間や律や唯たちにバレない為にもこの男を殺し、口封じをしなければならない。
澪はその考えに至ると、左腕にメモリを差し込み――
唯「澪……ちゃん?」
聞き覚えのある声に澪は後ろを振り向く。
澪「ゆ、唯……」
唯「澪ちゃん、何、してるの……?」
同様してる隙に、男性は落とした荷物などお構いなしに逃げていく。
澪はしまった、と思いながらも後を追うことはできなかった。
唯はそんな澪に質問を続ける。
唯「その手に持ってるメモリは何……?」
澪「あ、ええと、その、これはだな……」
澪「そう! 拾ったんだよ! 下に落ちてたからさぁーハハハ」
そう言ってメモリを右手でプラプラとさせて、唯に近づく。
唯「今すぐそれを捨てて!」
近づいてくる澪を避けるように、後ろに下がりながら大声で叫ぶ。
その声は人がいなくなった通りに響いた。
さっきまで動揺した表情はなくなり、
ニヤニヤとした、不気味な顔で唯に近づいていく。
唯「使い続けるとガイアメモリの力に飲まれて……
もう戻れなくなっちゃうよ?!」
唯は必死に訴える。
しかしその訴えに微動だにしない澪は、無言で少しずつ唯との距離を縮めていく。
唯「お願い……メモリを捨てて、昔の澪ちゃんに戻って!」
澪「唯……」
澪の足が止まった。
さっきまでの気持ちの悪い表情は顔から消え、俯いた。
澪「……くく、あはははははは!!」
俯いていた澪は途端に笑いだした。
いきなり笑いだした澪に、唯は驚きを隠せなかった。
唯「み、澪ちゃん……?」
澪「ははは……ねえ唯」
再び顔をあげて、唯の目をまっすぐ見つめる。
そして胸ポケットからメモリを取り出した。
取り出したメモリの先端に軽く口づけをし、メモリが鳴り響く。
【マグマ】
唯「!!! 澪ちゃ――」
唯の言葉など問答無用で左腕にメモリを差し込む。
不気味な音をたてながら体の形が変わっていく。
と、同時に体から高温の熱を放出し、あたりはすさまじい熱気に包まれた。
そう簡単に捨てれる訳……ないじゃないかああああああああああ!!」
言葉と同時に帯びていた火が強まる。
その力を見せつけるように近くにあった電柱に触れると、
大きな音とともに電柱が爆発し、コンクリートが散らばった。
唯「うぐっ……」
澪「唯……この姿を見たからには――」
澪「生かしちゃおけないな」
澪が両手を下から上にすくい上げるように動かした。
前方に衝撃波が起こり、マグマが唯に向かって突き進む。
唯を追いかけてきた梓がマグマより少し速く唯に届いた。
マグマに当たる前に梓の体は唯にぶつかり、二人とも地面に転がる。
梓「よかった間に合って……」
唯「あ、あずにゃん……! ごめん、私……」
梓「いいですよもう。はい、これ」
唯とぶつかり、地面に転げたせいか梓の右手には血が滴る。
気にせずに梓は唯にベルトのようなものとガイアメモリを3つ差し出した。
梓「もう、メモリ忘れてどうするんですか」
唯「えへへ……ごめんなさい」
梓の手からそれらを受け取り、立ち上がった。
もう、逃げない。そう心に誓って。
梓「当たり前ですよ、澪先輩……いや、マグマ・ドーパント」
梓「私たち前に言いましたよね。
『この街の人を泣かせるドーパントは絶対に許しません』って」
梓「あなたは、人だけじゃなくこの街そのものを泣かしてる」
梓はそう言ってドーパントを睨みつけた。
それが気に食わなかったのか、ドーパントの体の火はいっそう増した。
唯「ごめんね、澪ちゃん……まだ少し気が引けるけど」
唯「もう、逃げない。ちょっと痛いけど我慢してね」
目の前にいるのは澪じゃない。敵。この街の人々や街を泣かせた怪物。
唯の目にあった迷いは消えた。
すると自動的に体に巻きつき、固定されたと同時に
梓の腰にもまったく同じものが出現し、同じく固定された。
唯「いくよあずにゃん」
梓「ええ、どんとこいです」
そして梓は制服の内ポケットから緑のガイアメモリを取り出す。
【サイクロン】
メモリはそう鳴り響くと、梓は右のメモリスロットに差し込む。
すると突然梓の体は倒れ、唯のドライバーに緑のメモリが浮かんだ
それを確認した唯は先ほど梓に手渡されたメモリの1つ、紫のガイアメモリ。
【ジョーカー】
紫のメモリはジョーカーと鳴り、唯は左のスロットに差し込んだ。
途端に唯の体からは衝撃波が生まれ、形を変えていく。
丁度真ん中で区切られた対照的な姿。
右半分が緑、左半分が紫の体に、マフラーを宿した姿。
額にはVの装飾があり、仮面を被ってる様な姿。人々は
『仮面ライダー』 そう呼んだ。
唯「準備完了!」
左の大きな複眼が光り、唯の声が聞こえる。
今度は右の複眼が光って、梓の声が流れた。
梓「よし、行きましょうか」
左手を前に突き出し、仮面ライダーはこう言った。
「「さぁ、お前の罪を数えろ」」
澪「でも私には関係ない……、お前たちより私のほうが強いからな!!!」
澪「焼き尽くしてやる!」
ゴォ、と炎風が巻き起こり周りを赤く染めていく。
火の粉が飛び交う。視界が真っ赤に染まり、前が見えないほどに。
澪「おおおおおおお!!」
その隙をついて、澪が右手に熱を宿し突撃してくる。
勝った。
澪がそう思った時。
仮面ライダーから突風が巻き起こった。
突然のすさまじい風に周りの火の粉はけし飛ばされ、澪の速度は弱まっていく。
ついには静止し、立ってるのがやっとの状態になる。
唯「とおっ!」
風に乗って仮面ライダーはとび蹴りを繰り出す。
なんの変哲もない、ただの蹴り。
それが突風にのり、風のように速く、岩のように重いものになった。
身動きのとれないドーパントには避けれるはずもなく、直撃する。
ドーパントは怯み、体制を崩した。
唯(よし、今がチャンス――)
唯はそう思い、左足で回し蹴りを繰り出そうとしたときに自分の動きが止まった。
右手が動き、サイクロンのメモリをドライバーから抜き取った。
【ルナ】
サイクロンのメモリを抜いた代わりに挿入したのはルナ。月の記憶。
緑と紫の対照的な色が、黄と紫に変わった。
すると右手が伸びてドーパントの首に絡みつき、思い切り地面に叩きつけた。
再び左の複眼が光り、唯の声が聞こえる。
唯「あ、あずにゃん? メモリ変えるなら一言言ってよー」
梓「あ……すみません」
梓の音声が鳴り響くと同時に今度は右足が伸びて倒れてるドーパントに踵落とし。
火花が散り、うめき声が聞こえる。
しかし、ドーパントはこのチャンスを逃さなかった。
唯「なっ――!」
ドーパントは自分の体の上にある足を両手で捕まえた。
澪「ふふ……このまま力を込めたらどうなると思う?」
チリチリと右足が焦げていく音。
その後に、思い切り爆発した。
「「うああああああっ!!」」
右足に来る今までに経験したことのない痛み。
流石に右足が無くなるまでにはいたらなかったが、戦闘力を低下させるには十分だった。
澪「はは……あははははは!! 無様だな、仮面ライダー!」
澪「……いや、唯と梓、と言うべきか」
高笑いをしながら仮面ライダーに歩み寄る澪……もといマグマ・ドーパント。
やっと思いで立ちあがるが、上手くたてずにすぐバランスを崩してしまう。
梓「か、完全にガイアメモリの力に飲み込まれてますね……」
なんとか立ち上がろうと踏ん張るが、またしても倒れてしまった。
唯「うう……、動いてよ、この右足……!」
激痛を堪え、思い切り右足を持ち上げる。
形としては立てたが、フラフラで、まともに戦える状態ではない。
仮面ライダーは左手でジョカーのメモリを抜き、青いメモリを挿入した。
【トリガー】
【ルナ トリガー】
挿入するはトリガー。ガンマンの記憶。
黄と紫は今度、黄と青に変色し、左手には青い銃を携えている。
澪「諦めろ、もう遅い」
ドーパントが右手を突き出す。
周りの熱が右手に集まり、とてつもない量の熱エネルギーが集中した。
唯(あれを直撃すれば無事じゃ済まない……じゃあこれしか!)
仮面ライダーは左手にしていた腕時計からメモリを取り出す。
それを左手の銃に差し込んだ。
「「いけぇっ!」」
ドーパントがそれを放つよりも先に銃の引き金を引いた。
そう言って左手で弾丸を振り払おうとするが、目前で弾丸が形状を変えた。
クモの巣のように網を広げ、ドーパントの動きを束縛した。
澪「な、なん……だと?」
気が散り、右手に溜めた熱エネルギーは消滅していく。
梓「捕まえましたよ!」
苦痛を堪え、明るい声でドーパントに語りかける。
ドーパントはじたばた動くが、網は外れない。
唯「あずにゃん、どうしよっか」
梓「もちろん、メモリブレイクです」
そしてメモリスロットに挿入したトリガーメモリを銃に差し込む。
【トリガー マキシマムドライブ】
静かな時が流れ、音声だけが流れた。
銃を両手で構え、右足の痛みを堪え、気持ちを落ち着かせる。
そして仮面ライダーは声を重ね、こう言った
「「トリガーフルバースト」」
銃から黄色の弾丸が打ち出され、変則的な動きをする。
前後左右からの弾丸に、束縛されてるドーパントが動けるはずもなかった。
そして爆発音と共ににメモリが体内から出て、ガラスの様に割れ、砕けた。
澪はぐったりと気絶し、目元には隈ができていた。
梓「……もうすぐ警察が来ます。行きましょう」
右の複眼が光り、梓の声がする。
数秒後、パトカーの音が聞こえ始める。
唯「で、でも……! 澪ちゃんが!」
梓「澪先輩はこれまでにいくつもの罪を犯したんですよ?
……このまま私たちが澪先輩を助ければバレないでしょう。
しかし、それで本当に澪先輩の為になりますか?」
唯「あずにゃん……」
パトカーの音がどんどん近くなる。
唯「それでも……」
梓「…………」
梓「そういうと、思いましたよ」
梓「早く助けましょう! 警察がきますよ!!」
梓はそう複眼を光らせて告げると同時に、澪を抱えた。
そして仮面ライダーは夜の闇に消えていった。
唯「つかれたー……おいすー」
澪「唯おいっす」
紬「こんにちは、唯ちゃん」
梓「唯先輩こんにちはです」
律「よう唯。突然で悪いんだけどさ、澪が変な夢見たって」
紬「今その話をしてたのよ」
唯「へー? どんな話?!」
澪「わ、笑うなよ……?」
唯「笑わないよー! で、どんな夢なの?」
澪「実は昨日な……」
唯「へ? 仮面ライダーってあの近頃噂の?」
澪「うん、しかもその仮面ライダーが唯と梓なんだ」
唯「えぇ……」
律「な? 変だろー? それで今日の朝泣きながら私に電話してきたんだぜwwwwww」
律「『怖かったって』」
澪「なっ……! それは言わない約束だろ律!!」
ギャーギャー
紬「あらあらうふふ」
唯(ごめんそれ夢じゃなくて本当の話だよ……)
梓(それにしてもあのホラーDVDは関係あったのかな……?)
おしまい
話かなり短いけど気にしたら死ぬ
まあ誰も見てないと思うけど付き合ってくれてありがとうございました
短くてよかったと思うよ
久々に良SSを見た
今後の活動に期待する
短いけどよかった