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キョン「あれ?『消失』?」【後篇】

10mai393536

132続きいきます[]:2010/01/31(日) 00:30:21.04 ID:O/pVoljrP
「なるほど。面白いですね」

「特に、お前に見たてたイケメン君が『勉強は全然駄目らしい』ってところがな。」

「そのアンダーソン、でしたか。彼を僕に見たててくれるということは、あなたの中での僕の位置付けは親友……になるわけですね」

……皮肉を込めての俺の発言にも、こいつは上手にカウンターで返してきやがる。


133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 00:46:55.00 ID:O/pVoljrP
「せめて友人にしろ。もしくは知人に」

「親しい友、という意味合いからは、なんらおかしくは無いほどの体験を共にしてたではないですか。
なんでしたら去年の春からこっちに起きた数々の思い出話をここで詳らかに語るというのはどうです」

「よせ。十五分休憩じゃ足らんだろう。それにこの距離でお前の口から訥々とそんなもんは聞きたくない。何の呪詛だ」



135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 01:01:31.61 ID:O/pVoljrP
「呪詛とは手酷い皮肉だ。そうは言っても我々のこれまでの日々はあなたにとっても輝かしいものでしょう?」

「……まあな。そこは認めてやる」

「では二人は親友ということで」

……お前、楽しんでやがるな。なんだその眩しい笑顔は


136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 01:17:14.35 ID:O/pVoljrP
「まあ、お前も読んでみればいいさ。読後の小難しい講釈を聞く気は遠慮しておくけどな。」

「いえ。ですから閲覧は無理でしたよ。僕の携帯からでは対応してないのでしょう」

……なんだ?

「俺、昨日URL送ったっけか……?」

「ええ。電話のすぐ後に。……どうかしましたか?」

怪訝そうな顔で、俺に語りかける古泉。いつも張り付いている笑顔のマスクが少し息を潜めるだけで、悔しいことだが……またなにか起きるんじゃないか?そう思ってしまう。
三限目の開始を告げるベルの音が、やたらに胸に響いた。


142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 02:48:32.09 ID:DRWDHxfY0
支援


143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 02:57:18.44 ID:O/pVoljrP
「次の五分休憩に長門さんの教室に行きましょうか」

俺の携帯に映る『このスレッドは消失しました。。』の文章を見て、古泉はそう提案した。なんでもかんでも長門に意見を仰げば安心だろうという自分を見透かされてるようで、少し情けなく感じた。

「心配ありませんよ。単なるシステムの不具合でしょう。僕の携帯からは閲覧が出来ない、あなたの携帯からは……閲覧は可能でも、たまたまこの時間にスレッドが落ちてしまったのでは?
まぁ念の為、長門さんに調べてもらいましょう。そのほうがあなたの顔色が改善されそうですしね」

俺がどんな顔色してるって?親に心配されてるような、こそばゆさを拭いきれないまま、俺は教室に戻った。


147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 04:20:55.43 ID:2y0NLv/QO
>>145 佐々木か?



166保守ありがとうございます[]:2010/01/31(日) 12:44:18.67 ID:O/pVoljrP
教室に戻る。

ハルヒは右手で頬杖をつき窓の外を見ていた。

教室でのコイツは、机か景色とのにらめっこ以外にやることがないのか?
「よう。起きたか。なんか面白いもんでもあるのか?外に」

「……別にないわよ。窓のすぐ外にそんなのがあるなら不思議探索なんてしないでしょ」

「まぁ…それもそうか」
「どこ行ってたのよ」



169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 13:37:30.19 ID:O/pVoljrP
「古泉のとこだ。俺だけじゃ処理しきれそうもない案件は、副団長に意見を仰ぐのが妥当だと思ってな」

「まだ決まってないの?明日の行き先。あんたあたしが寝てる間なにやってたのよ」

授業だ、授業。

「あんたって将来結婚とかしても、旅行の予定とかたてられなさそう」

「失礼なことを言うな。それぐらいの決断力はあるぞ」

「甲斐性の問題よ。ったく大丈夫なのかしら」

それは明日の行き先の心配なのか俺の行く末の心配なのか。



172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 14:58:26.86 ID:O/pVoljrP
席に着き携帯を開き掲示板に飛ぶ。すっかり慣れた指の動きが止まると、そこには『消失』の文字。
おかしいな……古泉はああ言っていたがなんだか腑に落ちない。ホームルーム前には、まだ残っていたスレッドが古泉と見ようとしたら、またも『消失』していた。
大体『消失』ってなんだ?昨日も思ったんだが『削除』や『期限切れ』の間違いじゃないのか?

妙な既視感から始まったスミス氏の私小説に対するもやもやは、今やすっかり胸の内に嫌な予感として根を張っている。

『異常はない。ただの思い過ごし』

長門のそんな言葉を切望しながら、俺はとりあえず……居眠りを開始した。



174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 15:37:54.92 ID:O/pVoljrP
「……どうなってるんだ」

帰宅した俺は、携帯の画面を見ながら思わず独り言を唸る。

どうでもいいが、こうも携帯いじって掲示板ばっか見てたら、これじゃあ親指中毒なオタクと変わらんな。

あの後、古泉と連れ立って長門の教室に出向いた俺は、「この端末に異常は見られない」という、想像していた通りのご託宣を賜ることができた。
「思い過ごし」
ご丁寧にそう付け足してくれながら。
……心を読まれてんのか。
「長門さんが仰るなら大丈夫でしょう。安心しましたか?」
保護者ぶんな。まぁお前が言う通りだがよ。


175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 16:09:43.16 ID:O/pVoljrP
教室に戻り四時限目を消化した俺は、ハルヒに手を引っ張られ学食へ。

カレーと焼きうどんを奢らされた。炭水化物同士の食べ合わせで、よくもまぁそのスタイルを維持出来るもんだ。おら、ご飯粒付いてんぞ。

放課後になり、部室へ。

黒板の前に『ハルヒ立ち』した団長の
「みんな!明日はキョンが朝一番で行き先をサプライズ一斉送信してくれるらしいわよ!ふっふ。楽しみにしてるわよっ!」
との宣言…というか断言というか…を聞いた後、俺達はいつも通りのスタイルへ。

まず間違いなく校内で一番の贅沢品である朝比奈さんの茶を啜りながら、古泉とチェスに興じる。おい。そろそろ投了しやがれ。
長門は窓際で読書。
ハルヒは団長机でネット。
分厚い本の表紙がパタンと閉じられ、それを合図に五人で坂道を下った。



178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 16:43:13.09 ID:O/pVoljrP
……で、帰宅して携帯を開いた俺の目に飛び込んできたのは……
レス数が690まで伸びた、Mr.Smithの自伝的小説だった。

おかしい。いや、新たに立て直されたスレッドを見る度に首を捻る俺の姿は、はたからみればそれこそおかしいだろうが、そうじゃないんだ。

スレッドの主であるスミス氏の小説が、最初から同じ文章で書き直されているのは当然だが、その他大勢のレスポンスまで『消失』前と一緒というのはどういうことなんだ。
これは、立て直されたものではなく、以前の形のまま復旧したものなのか?
いや、そうに違いないさ。そう考えるのが普通だ。
だが、心中では、せっかく長門によって溶かされたはずの、ばかな疑問がまたも結実しているんだ。
なぜ……

俺が見ている時にだけ、このスレッドは現れるんだ!


179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 17:05:31.19 ID:O/pVoljrP
しかし、どう憤ろうが既に打てる手は打っている…とはいっても長門に調べてもらっただけだが。
長門が異常なしと言うなら間違いはないだろう。
もう『偶然』という利便性と使い勝手の良い言葉で自分を納得させるしかないのか。

もしくは……自分でどうにかするか。

待機灯光の切れた携帯のボタンをクリックして、俺は小説の続きを読み進めた。

もしこのスレッドに、『何か』が潜んでいるなら、目を通し読み切るしかないだろう。

Mr.Smithが行間に込めた『何か』をな。


180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 17:23:33.82 ID:O/pVoljrP
「ふぅ」

携帯を机に置き目頭を押さえる。ここ二日、デジタル画面の見過ぎだな。
そのうち眼鏡が要るようになっちまったら、どうしようか。

似合わんだろうな。

とりあえず、今書いているとこまでを、頭の中であらすじに仕立てて反芻してみるか。



182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 17:43:07.52 ID:O/pVoljrP
スミス氏のいうところの、素敵な五人組が揃って以降、彼らは常に行動を共にしていた。

どっかの誰かさんのように、自分のイニシャル入りの妙な団体を設立したりはしなかったようだが、放課後は共に、図書館やカフェ、ファストフードにゲーセンにカラオケ。様々な場所で、いわゆる青春を楽しんでいて、まぁ結構なことだ。


183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 17:53:14.51 ID:O/pVoljrP
夏は海の近くの旅館に泊まったり、キャンプ先の山の中で遭難しかかったり。冬はスノボ旅行に出掛け、ホテルでは、女子三人プロデュースのドッキリプロジェクトが行われたらしい。
ちなみに11ヶ月の文化祭なんかでは、五人揃ってダンスをやったんだと。

変わらない友情を男女間に添えたまま、五人は仲良く時を過ごしていた、とのこと。

しかし、そんなに可愛い幼なじみや、美人の女の子二人といつも一緒に居て、普通は恋愛になるんじゃないのか?読んでてヤキモキするぞ。まったく。



185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/01/31(日) 18:32:13.85 ID:crJhEr9bO
支援


186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 18:34:26.97 ID:O/pVoljrP
高校に入って最初の大晦日。スミスの家に集まった五人。年があける数時間前に、スミスは『ある事』に気付く。いや『気付いていた“何か”に確信を持った』という方が正しいのか?

こたつ机に向かい合うスミスとアンダーソン。二人は五枚のカードと互いの顔色を変わりばんこに見ながら一喜一憂を続けていた。ポーカーだ。今年最後の対決は白熱していた。負けた方が新年早々一発芸を披露しなければならないからだ。

一度目のカードのチェンジを済ませたスミスの後ろにオードリーがひょこっと座った。
彼女は『スミスより、アンダーソン君の一発芸見てみたいよね。あの整った顔でどんな凄いネタやってくれるんだろ』と言う。

しかしスミスの手札はバラバラだ。唯一戦力になりそうなエースを二枚残して、後の三枚をチェンジする。
最悪はエースのワンペア止まりか。
『俺はステイだ』アンダーソンが二回目のチェンジを放棄する。どうやら手役は随分いいようだ。


187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 18:38:54.11 ID:y9mbud25O
これが文章力ってやつかwww
wktkが止まらないwww


188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 18:44:58.17 ID:O/pVoljrP
『ねぇねぇ。勝てそうなのっ?』

『いや、かなりキツいな。奇跡的にエースが後二枚でもくりゃいいんだがな』

『エース?エースかぁ。エース来たらアンダーソン君の一発芸ね?エース来いエースっ』

まぁこれで引ければ、苦労はしないんだろうが。わざわざスミス氏がピックアップして小説に書くぐらいなんだからな、そこでスミスは見事に……
『きゃあっ!やったぁ!エース引いたっ!二枚っスミス凄いっ』

『……はは』

『はぁ!?マジかよ!おいおいこっちはフルハウスだぜ!?最近、ここぞって時には絶対持っていくよなスミスは。大した引きの強さだ』

『……勝利の女神のお陰だよ』



190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 19:12:41.00 ID:O/pVoljrP
どうやら、スミスは入学からこっち、約一年間、オードリーが後ろで見ている時の自分の勝率が異常に高い事に気付いていたみたいだ。

勿論、背後に勝利の女神を配置したからといっても勝率100%とはいかないが、ポーカーだろうがチェスだろうが将棋だろうがUNOだろうが、耳元で彼女が戦況を尋ねてきて、
一発逆転が必要だ、と答えた場合は絶対に負けることはなかった。

新しい女友達を求めた次の日に、出会ったエイドリアン。
優しい姉が居たらなぁ、と願った次の日に、現れたミラ。
エースよ来い、と念じて揃ったフォーカード。

これらは、ひょっとしてオードリーが、自分も無意識なままに何らかの不思議な力を使い、願いを叶えてるんじゃないのか?

いささか突飛な上に、強引な断定ではあるがスミスはその日、年明けと共にそう確信したのだそうだ。

……これ、どこのラノベだよ。




195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 20:37:34.52 ID:O/pVoljrP
ここまで来ると、もう間違いなく思う。
この物語は俺達の日常に酷似しすぎている。
もはや偶然じゃないだろう……だが長門は『異常はない』という。

こんな二律背反にケリをつけれるほど俺の頭は柔らかく出来ていないぞ。
だが、宇宙人に未来人に超能力者、更にそれを一同に会させた一人の女子高生の存在が屹立とある以上、もう何が起きてもそう驚きはしないさ。

この小説がノンフィクションを模しただけのただの創作であるよりも、俺達SOS団のような微妙な非日常集団がもう一組居る方が面白いだろ?


196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 20:47:42.69 ID:y9mbud25O
面白いぜ
支援せざるおえない


197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 20:49:15.28 ID:9E1tz4DkO
長門の
キモさは
異常


198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 20:52:28.17 ID:RSPDSLFE0
>>197
なんだと!
貴様
いけすかねえ



200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 21:24:48.59 ID:O/pVoljrP
一旦、風呂に入った後、再び携帯を手にする。
メールが一件。古泉だ。
なんだか最近、こいつとの距離が近いな……近いのは顔だけで充分だぞ。
『行き先は、見つかりましたか?』

いかん。すっかり忘れていた。なにせ調べようと携帯を開いたら、ついつい例の小説を見ちまってるからな。
そう思いつつも、指の動きはスミス氏の私小説の方へとページを進むていく。
『Mr.Smithの憂鬱なるとも歓待すべき日々』(レス数824)

おお。随分伸びてるな。
寝る前に……じゃなかったな、明日の目的地を探す前に、もう一読しておくか。


201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 21:35:55.29 ID:O/pVoljrP
話は随分進んでいて、最新の書き込みは、リアルタイムの話に、つまり今日、9月18日の時点での彼らの近況にまで及んでいた。
これはもはやスミス氏の日記代わりになっているな。どこまで書いたら完結するんだ?レス数が1000いったらか?

よし、まとめるか。

二年生になったスミス氏と仲間達は、5月の連休を使い、在住している市内をぐるっと一周、探索したらしいな。
名目はというと、三年前に越してきたエイドリアンを街案内に連れ回す、というのと……なんと言ったらいいものか……

不思議を調査していた、らしい。

マジかよ?


202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 21:45:57.01 ID:O/pVoljrP
どこかで聞いたことがあるにしても程がある話だ。

なにやら、スミス氏の街で、4月の中頃に地元紙に載るような事件が起きたらしい。
どんな事件かというとだな、聞いて驚くなよ?俺はもう随分驚いたからな。
幼なじみのオードリーの卒業した中学校の校庭に、馬鹿でかくて、けったいな落書きがされていたのだそうだ。
どうだ?強烈な既視感が襲ってこないか。

校庭は砂地ではなくアスファルトの地面で、色とりどりのラッカースプレーを使って描かれていたらしい。
意味不明な記号の集まりは、見ようによってはグラフィティアートのようでもあり、スミス達五人の興味を大いに引いたとのことだ。


203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/01/31(日) 21:51:42.75 ID:WXFMteF20
支援



210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/31(日) 23:56:38.28 ID:O/pVoljrP
だが流石に、そんなニュースだけでは、揃いも揃って市内を練り歩いたりはしなかったようだ。

最初に、そのスキャンダラスな情報を持ってきたのは勿論オードリーで、当初は『物好きなヤツも居たもんだ』といった見解が五人の総意。ただオードリーだけは、『あの色使いはもはやアートね』だとか
『なんだか見たことのある記号だわ』と言っていたらしい。



212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 00:11:35.50 ID:+OXWQXREP
ところが、それからしばらくして、五人の総意が軒並み『謎の落書き』に向けられる事態が起きる。
最寄り駅に、ボーリング場、初めて行くラーメン屋に初めて行く服屋、五人が行く先々の建物のシャッターや壁に、謎のスプレー記号が描かれていたのだ。
『偶然にしては凄い』そう口々に言いながらも、五人の心中には『こりゃなにかあるんじゃないか?』という期待が充満していたみたいだ。

ゴールデンウイークの2日前にオードリーが口を開いた。



216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 01:03:13.86 ID:+OXWQXREP
『ねぇ、みんな!ゴールデンウイークに、市内を回ってみない?あの落書きが、一体どんな場所のどんな建物を狙って書かれているか調べたいの!』

一瞬ポカンとするスミス氏と他三人。

『あははー。だめ?かな』

時間の停止はほんとうに一瞬で、三秒後には、みんな笑顔で快諾したらしい。

『いいわね。わたし予定はないから賛成よ』

『別に構わない。私にも興味深い題材の紀行だと思う』

『俺も賛成。ついでにエイドリアンの街案内にもいいと思うぜ。な?スミス』

『ああ。満場一致だな』
『へへっ。ありがとみんな』

うん。似て非なるものとはこのことだ。ウチの不思議団長では、こう朗らかにはいかんぞ。



220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 02:09:55.20 ID:+OXWQXREP
ゴールデンウイーク初日。目的は確立しているものの、行き先はどこでもいい不思議捜査の御一行は、とりあえず隣町に行くことにする。
普段は足を踏み入れない土地に降り立ち、五分ほど歩くやいなや。五人の視界には、閉店した理容室のシャッターに描かれたトリコロールカラーの落書きが飛び込んできた。
予定調和のごとくに、不可解な絵画にお出迎えされた一同は、その後も場所を移す度に色と形を変えていく落書きに合間見えていった。行き当たりばったりにもかかわらず、だ。


221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 02:27:52.35 ID:2eE6KyBMO
力士シール思い出した


223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 02:38:17.49 ID:+OXWQXREP
力士シールって何?


222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 02:36:59.64 ID:+OXWQXREP
三日間で街を回れるだけ回った結果、発見した落書きは15ヶ所にも上る。

ある一定の規則性を保ったカラフルな記号を新しく見つける度に、スミスはメモをとり、アンダーソンは記念撮影をし、ミラは色使いへの感嘆を漏らし、エイドリアンはそれを解読しようと躍起になって……
オードリーは泣きそうな顔をしたり、かと思えば弾けんばかりの笑顔を見せたりと忙しかったのだそうだ。

『まるで、異国に取り残された少女の元に届いた母国語で書かれた手紙をみているかのよう』

そんな趣の雰囲気だったらしい。詩的だな、スミス氏は。



224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 03:03:29.33 ID:+OXWQXREP
結局、三日間に渡っての調査も芳しい結果は出ず(まぁ楽しかったのには間違いなかったようだが)
その後は、今日この日に至るまで、月一回の落書き探しが続いているらしい。

合間に色々なイベントや、エピソードはあるが、掻い摘んだら、こんなところか。



228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 03:38:32.70 ID:qIxKLVi4O
恥じを忍んで、自ら保守してた携帯IDから続き行きます



頭の中での整理を終え、時計を覗く。午後9時過ぎか。いい加減に明日の場所を決めておかないと拙いか。

最後に一度、小説スレッドをリロードする。

少し話が進んでいた。

これまた奇遇なことに、スミス氏達も、どうやら件の落書き探しに出掛けるようだ。

よし、これを読んだら、俺達の方の探索の行き場所を探索するか。


229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 04:04:56.10 ID:qIxKLVi4O
『明日は月に一度の調査及び推理の日だな。最近は俺達五人の間に、暗黙の内にこの日を待ちわびている要な空気の漂いが、目視が出来そうな程にある。
無論、五分の一とはいえ、誰にも負けじと張り切っているのは、あの子……ではなく、この俺だろう。
この認識は、自答を受け入れた末のものとはいえ、やはり幾許か俺を赤面させる。
あの日、夜明けと共に清浄な風を伴いやって来た新年は、愚生の身に張りを入れる初日の輝きと共に、何よりも、俺の、あの子への思いの丈を如実にさせる確信を俺に与えてくれた。
あの子は、日常に潜んだ『何か』……それを明るみに出す力の源泉を内に秘めているのだろう。
俺はあの日、そう元旦にそれを信じたのだ。

生まれいずれた、その日から傍に居た彼女は、俺の為にエースを引き当てた。

早く、会いたい。そう思うようになり、しばしの日々が流れた。

明日、あの子の笑顔がまた『何か』を引き起こす、その因子を創らんが為に、俺も尽力しよう。

明日は、地元から遠く離れた遊園地が目的の場所だ。何かを感受したのかオードリーが決めた行き先だ。
あの極彩色のグラフィティが、願わくば、其処にあることを祈ろう。


230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 04:13:37.50 ID:2eE6KyBMO
頑張れー



232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 04:33:07.14 ID:qIxKLVi4O
ちょうど読み切ったところで、電子音と共に画面が切り替わった。不意をつかれて思わず仰け反ってしまった。

『着信・涼宮ハルヒ』

驚かせやがって。携帯端末用のブラクラかと思ったじゃねえか。


233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 04:33:33.92 ID:hbqYoiVS0
内容は面白いから、もう少しテンポがよければ伸びるんだがなぁ


234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 04:35:21.56 ID:EBUkTAGbO
ペースあげて


235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 04:50:48.34 ID:Va9E/CSQO
いずれたはおかしいだろ
ここまで目立つ間違いなかっただけに



>>235 ありがとう


236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 04:55:23.58 ID:qIxKLVi4O
「もしもし。どうした?」

「キョンっ!ねぇ、あんたもう場所決めたっ!?」
「あー。いや、まだだ。今検索かけようとしてたとこだ。すまん」

「そうっ。やっぱりね!ふっふーん。予想はついてたのよね!喜びなさい!
このあたし、団長自らどうせオタオタしてるに違いないあんたの代わりに飛びっきりの場所を見つけ出してあげたわよっ!」
そりゃありがたいな。しかし、どれだけイイ場所なのか知らんがテンションと声のトーンが高すぎだ。耳が痛いぞ。

「よく聞きなさいよっ。あたしの駅から、各駅停車で十個ぐらい南下したとこにある遊園地知ってるでしょ!そこに決定よ!」

『あたしの駅』とはなんだ。あの駅はお前の私物かよ。涼宮駅、なんて名前じゃなかっただろ……って、おい!
「今なんて言った?」

「だから!遊・園・地!寝ぼけてんじゃないでしょうね」

……マジかよ。これこそ偶然だよな。それとも最近の高校生は『不思議探索』目的で遊園地行くのが流行ってんのかよ。


237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 05:02:20.48 ID:UQazuYE1O
がんばれ



239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 05:22:59.80 ID:hbqYoiVS0
支援


240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 05:41:11.18 ID:qIxKLVi4O
「キョン。聞いてんの!」

「ああ。聞いてるよ。おいハルヒ。なんで遊園地なんだ?」

「なによ。嫌なの?」

「そういうわけじゃないけどな。そのチョイスはひょっとして、昨日教えた掲示板から引っ張り出したのか?」




251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 10:48:47.58 ID:qIxKLVi4O
まさか、こいつもスミス氏の小説を読んだんじゃないだろうな。読んで、偶さか目に入ってきた小説に天啓を得たり、とばかりに遊園地を行き先に指定した……なんともあり得そうで頭が痛くなるな。

「違うわよ」

そうかい。頭痛の種は存外にあっさりと消された。そりゃあ良かったよ。
「じゃあ、どこからの思い付きなんだ?ただ行きたいだけじゃないだろうな」

「ま、それもあるわね。二日の猶予で絞り込みすら出来てないあんたに文句言われる筋合いはないけど?」



253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 11:03:51.96 ID:qIxKLVi4O
「別に文句がある、とは言ってないけどな」

「ちゃんと理由はあるわよ。これは、とある消息筋からの情報なんだけど、その遊園地は昔ある小説の中に実名で登場したことがあるらしいのよね」

どの消息筋だよ。怪しい都市伝説引っさげてきやがって。思念体とでもアクセスしてんのかお前は。後、その小説の作者はMr.Smithってんじゃないだろうな。

「でね、その物語の中で園内の一つの乗り物が爆発する描写があんのよ。それ以降、現実でもアトラクションに故障や不備が多々起こるようになったのよ!」

「おいおい。物騒だな。そりゃただの園側の不祥事じゃないのか」

そんな噂がまことしやかに囁かれてて、経営は大丈夫なのか。俺は絶対に、ジェットコースターとかは乗らんからな。



255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 11:15:45.31 ID:qIxKLVi4O
「とにかく!明日は遊園地!これはもう決定事項なんだからね。かなり距離があるから集合は明日の朝8時に駅前!
あんたはこの要項をみんなにメールで回すこと。あ、それと明日はもし遅れたら、立ち食い蕎麦奢らせた後バンジーもやらせるからね。気合い入れて起きなさい!」

「……はいよ。電話切ったらすぐ寝るよ」

「そうしなさい♪じゃ、おやすみっ」

「あぁ。おやすみ」


256P2に戻ります[]:2010/02/01(月) 11:34:58.62 ID:+OXWQXREP
「ふぅ……」

電話を切った俺は若干深い溜め息を洩らした。
ハルヒとの電話は無駄にエネルギーを消費するな。アイツは電話でも元気全開だからな。声を聞いてるだけでも残りのHPが削られていく気分だ。

まぁ俺の人知れず漏らされる嘆息の理由は、それだけじゃないのは分かってくれるだろう。

『あっちの』五人も、『こっちの』五人も、明日は遊園地…か。

これはもはや、古泉が言うような『面白い符合』では済まん偶然だ。

一瞬、真面目に同じ遊園地じゃないだろうな?と思っちまった。
俺達の街では、少なくとも謎の落書きが横行しちゃいないから、それはないだろうが。
そういや、地方のニュースでも、そんな出来事は最近聞かなかったがな。俺が見落としてるだけなんだろうとは思うけれど。
せめてスミス氏御一行の向かう遊園地の名称が分かれば、このモヤモヤは解消されるのにな……
そんな淡い願いと共に、掲示板のスミススレッドを閲覧したが、小説は更新されてはいなかった。
はぁ。とりあえず、団員達にメールを一括送信して……寝るか。


257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 11:55:54.86 ID:+OXWQXREP
次の日の朝。

いつも通り……とは意地でも口にしたくはないのだが。まぁいつも通り、集合時間は守ったものの一番到着の遅かった俺はハルヒの『遅い!罰金』に寝ぼけた頭を揺すられ、蕎麦を奢らされた。

どうでもいいが、五人揃って棒立ちで蕎麦をすする姿はかなりシュールで面白かったな。こら長門、替え玉頼むな。

各駅に停車する鈍行電車に揺すられながら、目的の遊園地のある駅まで、しばしのフリータイム。
長門は文庫本。ハルヒと朝比奈さんは遊園地のパンフレットを見ながら、なんだかんだ言ってる。今キョンとかバンジーとかって聞こえたな。もう忘れろって。
古泉はハルヒに言われ、携帯で取得出来る園の割引クーポンを取得しようとせっせとボタンをいじっている。
手持ち無沙汰になった俺はというと、これまたいつも通りの手順で掲示板にアクセスするが……やはりな。そこには
『このスレッドは消失しました。。』

今、スミス氏の小説が閲覧可能だったならば、俺はすぐにでも古泉か長門に見せていただろう。

そういう条件下では、スレッドが消失するらしい。どういう仕組みなんだか。



259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 12:22:54.89 ID:+OXWQXREP
電車に揺られること約二時間後、目的の駅に到着した俺達は更に五分ほど歩く。お。見えてきた。アレだな。

その遊園地は、まぁ景気の良い頃には全国の家族連れ達がこぞって押し寄せる人気を博し、近年では国民総出でその存在を忘れれ去る運動でも催されたのか?と思わせる衰退振りを発揮した所だった。
土曜日とはいえ、開園したばかりの園内には人影もまばらで、なんとも言えない寂寥感がそこここに窺えた。

エントランスを潜った俺達は、古泉の手元にあるパンフレットに目を向け、どういう順路で周るかを話合っていた。

「あっあっ。あたしお馬さんに乗りたいです」
大好きなアニメをテレビの最前列に陣取って見入っている子供のような瞳で朝比奈さんがリクエストする。うん可愛い。可愛いよ。

「ここって乗馬もできるのか。そりゃ凄いな」

「違いますよ。メリーゴーラウンドのことでしょう?朝比奈さん」

「はい。それです。馬車と白馬が一緒にくるくる廻る乗り物です」
ああ、なるほどね。

「では、園内を時計周りですね。それでよろしいですか涼宮さん」

ん?てっきり、後ろで仁王立ちでもして園内を眺めて『まぁまぁね』とか言ってんだろうと思っていたハルヒは、少し離れた場所で、俺達と真逆の方向…エントランスゲートをジッと見つめていた。


260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 12:34:05.59 ID:+OXWQXREP
「何やってんだ?」

俺の問い掛けにも、返事はなし。視線の先を追うと、どうやら入り口でチケットのモギリをやっている若い男女を見ているみたいだ。暇な時間帯も相まってか、二人の店員はとても楽しそうにお喋りをしていた。電話ボックスを一回り広げたようなガラス張りの建物の中で。

「なんだ?モギリやりたいのかよ。俺も子供の時はアレやってみたかったな」

ゴニョゴニョと何事かを呟くと、勢い良く振り返ったハルヒ。びっくりするだろうが。『付き合ってんのかな』とかなんとか聞こえた気がしたな。コイツあーいうのに憧れたりするのか?そりゃないか。
しばし俺の顔をジッと見た後に、視点を背景にズラし『まぁまぁね!』と言うとハルヒは、大股で俺を追い越し、『さぁ遊ぶわよー』と元気よく唸った。
やれやれ。



264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:05:16.43 ID:+OXWQXREP
時間も早いということで、俺達は園内のアトラクションを一つの取りこぼしもなく廻ることにした。
2つを除いてな。一つは当たり前だがバンジージャンプである。頑なに俺を飛ばせようとするハルヒと、断固として反対する俺。2人の舌戦は30分にも及び……まぁなんとも無為な時間だったことだ。
最終的には、俺が昼飯を奢るという形でケリが付いた。こんなにも『一応の終止符が打たれた』という言葉が似合う状況はないぞ。また財布が薄っぺらくなるな。

ちなみに俺達が言い合ってる最中、何の助け舟も寄越さなかった、いけ好かんニヤケ面の超能力者は、長門と朝比奈さんをエスコートする形で、ソフトクリームに舌鼓を打ってやがったらしい。
くそったれめ。お前が飛べば良かったんだよ。球体になっての飛行は慣れたもんだろうが。

「ま!仕方ないわね!昼ご飯で手を打ってあげるわ」
笑顔でそう言うと、「ほらっ行くわよっ」と俺の手を引っ張り走り出すハルヒ。なんかデジャヴュだな…とか思ってたんだが、なんのことはない。昨日も手を引っ張って学食連れていかれたな。

2日も連チャンで昼飯奢らされる男子高校生……いじめられっ子かよ俺は。


265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:13:27.23 ID:+OXWQXREP
で、園内のコンプリート達成から零れたもう一つの乗り物は観覧車だった。これはまぁ、零れたというよりは、後回しにされたという方が正しいか。
観覧車は園内をグルッと一周すると、丁度中間ぐらいで乗ることが出来るんだが、ハルヒいわく今日のメインイベントなので、最後にするらしい。
ここが舞台となった小説で爆発したのが観覧車なんだと。縁起でもないな。


266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:14:12.53 ID:GR2JHn9RO
支援


267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:35:54.22 ID:+OXWQXREP
午前中の二時間で、約半分のアトラクションを消化した。

朝比奈さん待望のメリーゴーラウンドでは、白馬に箱乗りするハルヒと、いつもの無表情で馬車に乗ったせいで文化祭の魔女の格好を思わず回想させた長門の、動と静の対比が少し笑えたな。

コーヒーカップでは、案の定回転速度を上げまくるハルヒと、きゃーきゃー悲鳴を上げまくる朝比奈さん。

ゲームコーナーでは、某早撃ち0.3秒の顎髭とハットの似合うクールなガンマンよろしく、射的の景品を片っ端から狙撃していく長門。他にも新しい筐体があるにも関わらず、やたらにテトリスに執着を見せる古泉。
あー後言うのが少し恥ずかしいがプリクラも撮ったな。五人で入ると狭いのなんの。


268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:38:10.48 ID:+OXWQXREP
基本的には、どのコーナーでも毎回係員相手に「この遊園地ってある日を境に呪われてるんでしょ!機械は正常に動いてんのっ!?」と宣うハルヒ。
何に乗っても読書時となんら変わりない無表情な長門。
何に乗ってもわーきゃーと、男性係員を思わず振り向かせる可愛らしい悲鳴を上げる朝比奈さん。古泉は……まぁいいや。いつものスマイルでした。
といった四者四様のいつもの感じで、園内を制覇していった。

俺か?まぁ、な。楽しかったさ。少しの間スミス氏のことを忘れるくらいにはな。


269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:46:34.88 ID:+OXWQXREP
昼。ハルヒの提案で、数ある飲食コーナーを各々個人で周り、買い集めた物を外に設置されたテーブルで食べよう、ということになった。
あまり特筆したくもないが、出資は勿論俺だ。全員に千円づつ配ると、みんな思い思いに散らばって行った。十分後に再集合とのこと。
俺は無難にホットドッグとコーラを五本づつ購入して、一足先にテーブルに座った。

歩きっぱなしだったから、ゆっくり座れる椅子が恋しかったぜ。

食料をテーブルに置いた俺は、もはや無意識に携帯を取り出し掲示板の扉をノックした。


270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 13:54:39.80 ID:+OXWQXREP
『Mr.Smithの憂鬱なるとも歓待すべき日々』(レス数900)

おっ。やはり今は俺一人だからか、スレッドが見れる。
ついに総レス数が900の大台だな。

スミス氏達はどんな遊園地紀行を楽しんでいるだろうか。何だか遠く離れた所で同じことをやってるヤツらが居ると思うと親近感が湧くな。

スミス氏も飯を奢らせれているのか?下らないことが頭をよぎる。

最新の書き込みに目を通した。


271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 13:56:07.50 ID:GDHeDapC0
支援


272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 13:56:50.07 ID:vNVInVvpP
面白くなってきた支援


273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:10:30.55 ID:50zWeMzyO
奢りすぎでかわいそう
支援


274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:14:57.38 ID:HC6CQwdHO
キョンの資金元について考察


275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:17:40.09 ID:+OXWQXREP
『眼前で、これ以上ないと思わせるような笑顔を振りまき、オードリー達三人の女子がハンマーを振るっている。
土竜叩きを、こんなにも目を細めて眺める日がやって来ようとは、夢にも思わなかったな。
俺の隣では、我が親友スミスが揃って笑顔で、土竜と奮闘する彼女等を見守っている。
……が俺と目を合わせるやいなや、先程までとはやや相違認められる、薄い瞳にて視線の言葉をぶつけてくる。『
おいスミス、あそこだ』と。
成る丈、気配の変化を…勿論女子達にも、斜向かいの標的にも気取られないように、細心の注意を払いながら、チラリと見やる。
居る。あの男だな。
やはり、如何にあり得る奇跡だと確言できる事柄とはいえ、こうもピンポイントに当たりを掴むあの子には、驚嘆し賞賛を惜しめないな。
俺達五人から、10メートルは離れた自販機の裏……太いデニムに赤いパーカーを羽織った若い美男子。
腰には大きいポシェット。中身はもう見当は付く。ラッカースプレーだろう。
あの子の興味を引いて止まない…巷間のアーティスト、記号を使役するパブロ……噂の落書きの創作者が其処に居た』


276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:32:32.87 ID:+OXWQXREP
「おぉ…。マジかよ」

携帯を握る手に思わず力を込めながら、俺は気持ち悪い独り言を呟く。
急展開だ。スミス氏達はついに、探し求めていた『何か』の、それも謎を作っていた張本人に出くわしたらしい。凄いぞオードリー。こりゃハルヒにも負けてないな。

ここで、はたと気がつく。
スミス氏も今、遊園地ってことは、これはリアルタイムで書かれてるのか?
そんなことが可能か?
どれだけ早打ちなんだスミス氏は。
書き込み時間は何時だ? 『 12:35』
うん?リアルタイム……みたいだな。

いや待て待て。
『12:35』だと?俺は、焦って携帯の時間表示を見る。
『12:05』

なんだよ、これ!


277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:43:11.41 ID:+OXWQXREP
携帯から目を離した俺は、上空を仰ぎ見て首をぶんぶん回しながら、園内に設置された柱時計を探す。あった。
時刻は確かに、12時を5分回ったところだ。

再び、携帯に目を落とす。
レス数900 ◆Mr.Smith 書き込み時間12:35

おかしいぞ。何だ?
三十分時間がズレてる。この掲示板の書き込みは、どんな板だろうと総じてリアルタイムに反映されるはずだ。1~2分の誤差はともかく、三十分は異常だ。

頭の中で必死に言い聞かせる。『おいおい、何焦ってんだ。こんなのサーバーのバグか運営の不備に決まってるじゃないか』と。
だが、頭では分かっているはずなのに、心臓はパーツが一本狂っちまったかのようにバクバク鳴ってやがる。冷や汗が背中を伝うのが、分かった。


278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 14:50:08.49 ID:1lQa1GFH0
支援


279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 15:13:08.03 ID:+OXWQXREP
震える手で、書き込みを最新のものへとリロードする。くそ。何だってこんなに胸が高鳴ってんだ。
画面が薄く光、書き換えられる。

レス数901◆Mr.Smith
書き込み時間12:42
『ゲームコーナーを離れた俺達は、園内の中央に設置されている軽食コーナーにて昼食を摂ることにした。数ある電子機器との格闘を終える頃には、美麗な落書き青年は姿を消していた。眉根を』顰める俺に、アンダーソンが耳打ちする』

「スミス。大丈夫だ。ある程度は、移動した方角を押さえてある。それより見ろ」

『顎の動作のみで、俺に自販機を指し示すアンダーソン……成る程。赤い自販機の側面は、俺達がゲームに興じる僅か十分足らずの内に、青と黄色の記号アートで埋め尽くされていた。
オードリーはまだ気付いていない。これを報せれるべきか否か。思案に明けくれながら、歩を進めている内に、雑多な人並みに賑わう広場に到着した。
まぁなる様になれ、だな』



281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 15:15:59.93 ID:+OXWQXREP
『豊富な品揃えのファストフード群の中の、文字通り食指が動いた大きなピザを購入し、俺達は席に就いた。
他愛なき、しかし愛でるべき平々凡々とした会話と、ピザの咀嚼に口を動かしながら、食後の動向について思案明け暮れていると、不意に耳に入ってきたオードリーの
『あっ!』という叫びに幾分か肝を冷やされる。
落書き魔が彼女に見つかってしまったか?そう思い顔を上げる』

「ビックリしたぁ。今ちょっと揺れたよね」

「震度2くらいだと思われるわ。心配ない」

『なんだ。地震か。オードリーとエイドリアンの交わす言葉で、ようのこと気が付かされる。少々思考を奮わせすぎていたようだな。アンダーソンが笑いながら話し掛けてくる。』

「何だよ。スミス。ボーっとして。三人の内誰かに抱き付いて欲しかったのか?」

『その台詞を皮切りに、テーブル上を朗らかな笑い声が行き交う。本当にコイツは頭の良い出来るヤツだ……俺の緊張感を、彼女等に露見さす事なく解いてくれた親友の顔を一瞥しながら、俺はそう思った』


282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/01(月) 15:21:57.42 ID:CfSfzAGA0
支援


283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 15:37:36.51 ID:+OXWQXREP
数回まばたきを繰り返し、首まで振ってから、書き込みされた時間を確認するが……やはり、三十分時間が早い。

相変わらず動悸が早い。コーラを一口飲み喉を潤し、一息つく。
今のところは、俺が勝手にあたふたしているだけであって、なんの問題もないのは理解してる。
してるんだが……

如何せん、この不思議な現象を目の当たりにしているのが俺独り、というのが、どうも心臓に悪い。
御存知の通り、俺はごく普通の人間だ。平凡の極みを地で行ってるといっても過言ではないだろう。
そんな俺が、これまでに巻き込まれたトンデモ体験を上手く掻いくぐってこれたのは、長門や古泉、朝比奈さん達という、非現実的属性を有するヤツらと、協力しあっていたからだ。

それが急に、何の助力も助言も得られない立場に突き落とされたんだ。
そりゃ不安にもなるぜ。
なら古泉か長門に相談すればいいと思うよな?

でも、予測はついてるんだ。それをしてしまったら、またもスレッドは消失してしまうだろう。
後な、これは予測ではなく何の宛てもない推測なんだが……
次にスレッドが消え失せてしまったら、もう一生見れないような、そんな予感がするんだ。

スミス氏の意志なのか、それとも本当に偶然なのかは、知る術もないんだが…………
俺が選ばれて、俺にだけ見せたい『物語』があるのなら……そんな状況、汲み取ってやりたいだろ?

日常に見え隠れする『何か』をたまには独り占めしたいもんだぜ。
男ならさ。


284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 16:00:43.70 ID:+OXWQXREP
「早いじゃないっ!」

不意に後ろから……常々思うんだが、コイツは俺に対して色んな意味で不意打ちが多すぎるぞ!
大声と共に肩をはたかれた俺は、椅子から飛び上がり、ひっくり返った声を上げながら携帯をポケットに入れた。

「……何て声出してんのよ。『ほわぁっ』て何よ『ほわぁっ』て」

「いきなり、後ろから声掛けるからだろうが」

ただでさえ心臓が踊ってるのに、今ので余計酷くなったぞ。バンジーを中止にしたのに、なんだって陸でこんなにドキドキせにゃならんのだ。

「……あんた最近しょっちゅう携帯いじってるわよね……誰と連絡とってんのよ」

両手に持ったナシゴレンの皿をテーブルに置きながらハルヒがジト目で言う。睨むなって。

「別に誰とも連絡取ってねぇよ。調べ物だ」

「ふーん。あっそ。怪しいもんよね。そんな勢いでポケットに隠して。別に興味ないけど」

……まぁ、さっきの行動は確かに、みっともなかったしワザとらしすぎたな。何してんのか聞いて欲しくてやったかのような隠して方だったな。
「興味ないなら、放っておけよ」

「……むぅぅ」

がたん!と音をたてて座ったハルヒは、腕と脚を組み、アヒル口をソッポに向けた。

なんつー分かり易い不機嫌スタイルだ。また古泉に何か言われるな……


285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 16:13:14.47 ID:+OXWQXREP
間もなくして、古泉達も戻り、昼食が始まった。
一応、みんなが揃うまえにハルヒには「わりぃ。機嫌治せよ」とは言ってみたが、
返ってきたのはドスの効いた睨みと「やっぱバンジーやらせるんだった」という空恐ろしい言葉だけだった。
今日はもうハルヒのまえで携帯はいじらない方がいいかもな……

ポテトとサンドウィッチを携えて戻って来た古泉は、俺達の微妙な空気を察するなり、いつもの、両手を肩の高さで広げる『困ったものです』のポーズをとって苦笑いした。
食い物持ったままやってもダサいだけだぞ。


286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 16:32:35.65 ID:+OXWQXREP
長門の買って来たナンカレーと、朝比奈さんセレクトのサラダとハンバーガーが更に食卓が賑わせる。
午後からのルート確認や、最後の観覧車に乗る時間を話し合いながら、手と口を動かしていると…………
またしても、俺の心臓だけに狙いを定めたとしか思えない現象が起きた。……無理は承知だが予測しておくべきだったな。なら、ズボンに汚すこともなかっただろう。

「きゃああっ!」

今日何回目か分からない朝比奈さんの叫び声。ハルヒと古泉と、勿論俺も、口々に声を出す。

マジかよ!地震だっ。

慌てた俺はカレーをズボンにベッタリと引っ掛けてしまう、買って来た当の本人の長門だけは、眉一つ動かさずに、カレーを食い続けて、一言。

「この国に置ける数値で算出するならば震度は2、マグニチュードは3.5問題ない。津波の心配も皆無。震源地はここから約23キロ西部の海域」

……お前はテレビのテロップか。

「皆さん大丈夫ですか?久しぶりの地震だったので些か驚きましたね」

「ふぅぅ。もう大丈夫ですかぁ?」

「結構、揺れたわね。キョン、あんたカレー零してるわよ……顔色もカレーみたいよ」

どんな顔色だ!と突っ込む余裕は既になかった。
時計を見る。12:45……あぁ、やっぱりか。


287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 16:47:55.52 ID:+OXWQXREP
「キョン君大丈夫ですか?」

「情けないわねー。男の癖に一番ビビってんじゃないの。ほら、これでズボン拭きなさい」

「あ、ああ…すまん……」

ハルヒ曰わくスパイシーで茶色な顔色になったまま立ち尽くしていた俺は手渡されたティッシュペーパーでズボンを拭いながら、考えていた。

小説に書かれていた通りの時間に地震が起きやがった。リアルタイムだから当たり前だってか?
いや違う。
『こっち』と『あっち』では何故か三十分の誤差があるんだ。
スミス氏の居る所でも地震が起きたんだろう。それはいいさ。地震大国日本だからな。だがそれが表記されたのは、三十分前だぞ?普通に考えたら、これは三十分後の地震の予知になる。

だが残念、更に非現実的な考えが既に頭の中に陣取っていやがるからな。
聞きたいか?オーケー。きっと、スミス氏の居る場所と俺達の居る場所は時間の流れが違うんだ!彼らは俺達より三十分の未来を生きてるのさ!

……おら。笑いたきゃ笑えよ。
誰だって、俺みたいな立場に居りゃあ、そんな突飛な考えが、平常時からひねり出せるようになるさ。……やれやれ



289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 17:01:15.86 ID:+OXWQXREP
今、スレ4日で落ちるんですか?


290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 17:16:20.54 ID:+OXWQXREP
食後、トイレに行くと古泉が付いてきた。

「大丈夫ですか?」

「ああ、まぁ帰って洗えば取れるだろ。ほんの少し付いただけだ」

「いえ。あれぐらいの地震にしては、顔色がかなり優れなかったので。何かありましたか?」

「心配すんな。一張羅にカレーがかかったんで、びっくりしただけだ」

「……それならよろしいのですがね。何事か、助けが要るような事態になったなら遠慮せずに申し上げて下さいね」

「ああ」


291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 17:33:31.18 ID:+OXWQXREP
古泉が先に出たのを確認して携帯を開く。
こうも『こっち』と『あっち』の事象がリンクしているならば、一つの指針として見ておいた方がいいかもしれないからな。

あの短い食事の間に、意外にもレス数は950まで伸びていた。ざっと目を通す。

スミス氏一同も、食事を終え、再度園内を巡り始めた。残りのアトラクションをチェックしていってる最中、オードリーは遂に、園内に吹き付けられたスプレーの記号を見つけてしまったみたいだ。


292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 17:40:15.27 ID:+OXWQXREP
「スミス!これ見て!やっぱりここにもあった!」

「あぁ。オードリー、大当たりだな。お前の選択していく場所には、これで全て落書きがされていた」
「うんっ。でもまだ『全て』かどうかは分からないよ。これから先だって……」

「いや。此処までだ。オードリー。この落書き触ってみろ。まだ新しいだろ」
「え……」

「作者が、すぐ近くに居るんだ。そいつと会ってみて……どうするかは好きにすればいい。俺達はオードリーに最後まで付き合うよ」


293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 17:59:19.03 ID:+OXWQXREP
レス数960 ◆Mr.Smith
書き込み時間13:35

『そう。これで『何か』の調査はひとまずの終焉だろう。
記号の意味を問うも良し。落書きを続けた理由を問うも良し。きっとあの子が胸の内に宿している筈の……欲するべき結果が訪れるのだろう。

追い求めていた『何か』に触れた時、その『何か』は果たして如何なる形として、俺達の…俺の目に映るのだろう。

誰か…見てくれているだろうか?これを見ている異なる世界の『キミ』よ。もう少しだけ、お付き合い願いたいな』


294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 18:01:04.46 ID:+OXWQXREP
『異なる世界のキミよ』
か……。

俺が見てるぞ、スミス。

俺は携帯を閉じ、ハルヒ達の元へ向かった。


295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 18:09:47.48 ID:+OXWQXREP
午後からは、残りの三つのアトラクションと、動物との触れ合いコーナーをまわった。

定番の絶叫系、ジェットコースター、ウォータースライダー、バイキングでは、まぁこれまで通りさ。ハシャぐハルヒに泣き叫ぶ朝比奈さん、いたって冷静な長門と、微笑む古泉。あとは月並みな反応の俺。変化がないというのは、喜ばしいのやらそうでないのやら。

せめて古泉だけでも、多少のビビり具合を見せてくれれば笑えたんだけどな。異空間での赤玉直滑降に慣れてるヤツは違うな。ニコニコしてやがった。


296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 18:25:18.14 ID:+OXWQXREP
動物コーナーでは、何かと心的披露の多い俺をほっこりさせてくれる絵図が色々見れて良かったな。ここ、今日のハイライトにしといていいんじゃないか?

鼻をヒクヒクさせて震えるウサギを抱きしめながら「うわぁ可愛いですね」と鈴の鳴るような声で仰る朝比奈さん。ああ、可愛い!確かに可愛いです!(バニーガールを連想したのは内緒な)

長門……なんだ、そのお前の周りに群れを形成する異様な数の猫達は。せっかくだから、立ってないで撫でてやれよ……あと頭にオカメインコが乗ってるぞ。

……らしいというかなんというか、ハルヒは虎を抱いていた。赤ちゃんのな。「うりうり。あたしの匂い覚えとけー。将来大きくなって檻から逃げ出しても、あたしのことだけは襲っちゃ駄目なんだからね」

何を刷り込んでんだか。……まぁ悪い光景ではないけどな。

「おや。涼宮さんに見とれてましたか?」

「うるさいぞ古泉」



299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 19:41:37.13 ID:pxJ8SReY0
遊園地のイメージはもうとっくになくなったけど神戸のポートアイランドを思い出しながら読んでるわ


300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 19:56:25.33 ID:tzv1l+/M0
人がいないなら姫路セントラルパークか鷲羽山ハイランド


313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 23:20:50.88 ID:+OXWQXREP
動物コーナーで予想以上に長居し、時刻は午後4時30分。

俺は古泉と、観覧車近くの自販機の前で、コーヒーを啜っていた。長門と朝比奈さんは、すぐそこに見える土産屋で買い物。
ハルヒはというと、50メートルぐらい離れた券売機の前で初老の係員をとっつかまえて、何やら尋問めいたことをやっていた。
「観覧車なんて乗るのは何年ぶりですかね」

「さあな」

すぐ向こうから、爆発がどうのこうの聞こえてくる。アイツ何聞いてんだか。空き缶を捨てる際に、一応自販機の側面をちらりと見てみたが、謎の記号がスプレーで書かれてはいなかった。
そりゃそうか。

「おや、どちらに?」

「トイレだ。」
「ご一緒しましょうか?」
爽やかな笑顔で連れション宣言はよせ。

「いらん。付いてくんな」



316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 23:39:06.32 ID:+OXWQXREP
レス数965 ◆Mr.Smith
書き込み時間 16:31

『矢張り言うべきではなかったか。無論いずれは教える腹積もりではあったが、如何せん尚早だったようだ。残りの乗り物をチェックしていく道中、まさに心此処にあらずといった風体のオードリー。
見ている残り4人も、胸中には焦燥感が宿り出している様子で、何とも宙ぶらりんな時間が過ぎ行く。ある一定の法則性があるのだろう。園内の落書きを6つ見つけた時点でエイドリアンが口を開く』

「これは、位置関係と等間隔の距離から推測するに、ペンタグラム。
三元構成された小宇宙の三角形を貫くように同じく構成された大宇宙の三角形……恐らく最後の落書きは六角形の中心部だと思われるわ」

「地図を見るには、……観覧車か」
「オードリー、其処に奴は居るだろうな。最後のグラフィティ見に行くか?」
『数秒の逡巡……張りの無い「うん」の一声。俺達は、さながら運命の車輪……観覧車に向かった』



318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/01(月) 23:55:12.60 ID:+OXWQXREP
トイレから出て、自販機の前に戻ると、古泉の姿はなく、代わりに黄色いリボンをヒラヒラさせながらハルヒが立っていた。
「遅いわよ。また携帯いじってたの」
根に持つな。俺だって現代人の端くれだ、携帯ぐらい触らせろよ。

「古泉達は?」

「先に行ったわ。待っててあげたんだから、感謝しなさいよ」

「別に頼んじゃいないだろ」

「……これっ」

自販機に並ぶココアを指差し、得意のアヒル口を見せびらかさんばかりに、作るハルヒ。

「遅かったから、奢りなさい」
へいへい。



322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 02:34:04.40 ID:7ViK7FPgP
レス数970 ◆Mr.Smith
書き込み時間16:55

『観覧車の麓に到着する。夕暮れ時も関係したものか、家族連れやカップル達で其処は中々の賑わいを見せていた。
周囲への目配りを怠らないアンダーソン。こう人が多くては、落書き青年を、視認し張り続けるのも難しいかもしれないな。
そもそも衆人環視のこの状況で、一体何処にどの様な記号絵画を描こうというのか。ミラが提案する。』

「二手に別れて探しましょう?スミス君とオードリーさんは、観覧車に乗って上から捜索。わたし達三人は下界で探すから、もし上空から見つけたら、電話してくれればいいわ。ね?」

『アンダーソンは2つ返事で了解した。「両手に花だ。悪く思うなスミス」と意味深長な笑顔を寄越しながら。
純粋に名案だと思い、その上、恐らく俺達幼なじみ二人を良い雰囲気にしてあげようとする、年上の女性らしい行き過ぎない優しい配慮に、感心する。
この機に、先程より流れている、オードリーの伏した気分を解消させる事が出来ればいいのだがな。
俺の単なる希望的観測なのかもしれないが、やにわに明るくなったかの様に見えたオードリーが俺の手を引く。俺達は観覧車に向かった』


323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 03:04:37.47 ID:SKEyyH4Z0
わくわく


324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 03:08:50.12 ID:7ViK7FPgP
ココアを持ったハルヒと観覧車の麓に着く。相変わらず人が少なく夕暮れ時が余計に閑散とした雰囲気を際立たせていた。
あいつらどこ行ったんだ?
ポケットで携帯が震える。ハルヒがこっちを睨む。お前は携帯に何か恨みでもあんのか。

着信は古泉だった。

「どうも。お先に失礼していますよ」
一番風呂みたいな言い方するな何のことだ。
「上ですよ」
何だ?見上げると、観覧車の四分の一ほどの位置のゴンドラから、朝比奈さんと古泉が手を振っていた。長門も居る。

「両手に花ですいません。待ち切れなかったもので。申し訳ありませんが、そちらは二人でお願いします。涼宮さんにも謝っておいて下さい」

……勝手なことしやがって代われよ。飛び降りてきやがれ。隣に目をやる。
てっきりご立腹かと思ったが、口を真一文字に結んだハルヒは、天を仰ぎながら、少し潤んだ瞳と赤らんだ頬で突っ立っていた。


325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 03:13:15.63 ID:DeYv+ymvP
いいなぁ、、



327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 04:51:52.77 ID:7ViK7FPgP
レス数975 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:20

『十五分近く並んだ俺達は、ようやく黄色いゴンドラに乗れた。観覧車に乗るのは何年振りだろうか。
扉が閉められ、ゆっくりと円を描く上昇運動が開始される。
対面の幼なじみは窓に口付けせんばかりに引っ付き外を眺めている。素直に可愛いな…と思った。俺は横顔に語り掛ける。』
「次の絵は何処に書くんだろうな」

「……うん」

『か細い声が返ってくる。こっちに向き直った彼女が俺を見据えながら喋り出した』

「ねぇ…」




329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 06:03:27.28 ID:7ViK7FPgP
「ねぇ……これって一周するのに、何分ぐらいかかるの?」
「さあな。7~8分じゃないか?」

黄色いゴンドラに乗った俺とハルヒは、互いに別の窓から外を見ながら言葉を交わした。てっきり「なんであんたなんかと相乗りしなきゃなんないのよ」……なんて詰られると思っていたんだがな。
「今ちょうど有希達はあたしたちの真上ぐらいね。今なら爆発しても大丈夫じゃない?まだ低い所だし」

「代わりに朝比奈さん達が危ないだろうが。向こうは今てっぺんなんだぞ。落ちたら即死だ。」
「有希と古泉君が助けるわよ」

窓ガラスに内緒話でもしたいのかと思わせる距離で、ハルヒがハァッと息を吐く。ガラスが白く曇る。
「あっ、海」

振り向いた勢いを弱めることなくパタパタと俺の隣に膝立ちになるハルヒ。あんま揺らすなよ。

「キョン……上まで行って、動き止まったら、どうする?」
遠くの海を見つめながらハルヒが問う。恐ろしいことを言うなよ。本当に停止したらどうすんだ。
「ん……まぁ、お前と居るなら大丈夫そうだ」

「……なによ。それ」
……まずった。今のは変な意味に聞こえるぞ。おい黙るなよ。せめて『馬鹿じゃないの?』ぐらい言えって。そこはかとなく漂いだす沈黙。
三秒後にそれを破ったのは、携帯の着信音だった。何だ?冷やかしなら遠慮するぞ、ニヤケ野郎め。
「……あんたホントに電話好きよね。せめてドライブモードにしなさいよっ!ほらっ!貸しなさいっ馬鹿キョン!」

「やめろって!馬鹿!揺れるだろうが!どうせ古泉だろ!お前が文句言ってやれよ」
座った膝の上に乗りかかり俺の携帯を奪ったハルヒは、着信画面を見て糸が切れたように静かになった。おら、返せって。携帯を奪い返す。
着信は、佐々木からだった。


330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 06:06:49.30 ID:DeYv+ymvP
最悪w


331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 06:42:25.68 ID:lcH1gsK90
当て馬っぷりに定評のある佐々木登場



337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 11:55:33.38 ID:7ViK7FPgP
レス数980 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:25

「あの記号の意味ってなんなんだろ」

「そうだな……見当もつかないが……書いてる張本人に丁寧に質問すれば教えてくれるさ」

「……最初はね、本当に気になってた。あの記号はあたし達に対するメッセージなのかもしれないって。
始めて見て、興味を惹かれて、次からは行く先々で出逢っちゃうから……なんだかソワソワした。まるで、恋みたいだなって思ったの」

『膝の上で握り締められた、彼女の両手が小刻みに震えている。俺は出来うる限り頭を空にし、集中して耳を傾けた。彼女が……『何か』を伝うようとしているから』

「さっき…スミスがこれで最後だって言った時何だか凄く言いようのない寂しさを感じた……。
それで分かったの。あたしが本当に楽しんでいたのは、落書き自体じゃなくて、みんなと『何か』を探してる時間。だからスミス」

『夕暮れの柔らかな光線をたっぷりと湛えて、言葉と共に放つ様に彼女が言う』

「いつもそばに居てくれてありがとう」

『俺の……方こそ。そう動いた筈の口は、パクパクと上下するだけで、声帯は依然として沈黙を保ったままだ。
浮かぶ夕日の傍ら、このまま時間が止まればいい…そう思っていた俺を乗せたゴンドラは……頂点に差し掛かり、ガタンという音とともに停止した』


338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 12:24:42.87 ID:fidDM/qmO
支援



340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 12:51:40.27 ID:7ViK7FPgP
「もしもし。どうした?」

「やぁ。随分鳴らしたよ。たて込んでいたかな?」
「…まぁな。良いタイミングだったとは言い難い」
「くっくっ。悪かった……涼宮さんと一緒かい?」
「なんで分かるんだ」
「女の勘…と言ったら納得してくれるかな?忙しい様だし理論的な講釈を聞かせて君を煩わせるのも後が怖そうだ。
なに、大した用向きではなかったんだ。キョンの家の前を通りかかったので、お茶にでも誘おうとしただけさ。
先約があるなら大人しく退散しておこう。それじゃあ涼宮さんに宜しく」
滑舌よくそう言い切ると佐々木はあっさりと電話を切った。通話時間35秒。必要最低限、とはアイツの為にある言葉かもしれないな。

「悪い。もうドライブモードにしといてやるよ。……おいハルヒ」

背を向けて夕日を見つめながら口を閉ざすハルヒ。座ったまま顔を覗き込んでみる。柿色の日の光以外はシャットアウトしたかのような光沢の瞳は、この世のどんなものにも靡かないような強さが宿っていた。願いを灯しているようにも……見えた。
「ハルヒ……夕日にお願い事でもしてんのか」

返事はない。代わりに、ゴトン、という鈍い音がしてゴンドラが揺れる。
…おいマジかよ。
俺とハルヒを乗せた黄色いゴンドラは、観覧車のてっぺんに到着を合図にしたかのように停止した。


341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 13:29:38.22 ID:vH1wp5QI0
wktkw



343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 14:27:00.16 ID:6p2BVTGn0
wktkwtkkwt


344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 14:31:59.51 ID:7ViK7FPgP
レス数985 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:30
「なに…?止まった…嘘っ」
『橙の陽光に照らされた観覧車は車輪からオブジェへと姿を変えた。時が止まればいい…まさか願いを聞き入れてくれたというのかオードリー。
静寂も束の間、外からざわめきと悲鳴が聞こえだす。馬鹿な事を考えてる場合じゃないな。下界を見下ろす。係員がわらわらと制御室に集る。一体何があったんだ?』

「スミスっ…」

『否…落ち着けスミス。俺はオードリーの手を握り、可能なまでのなだらかな声を、手渡す様に』

「大丈夫だ。すぐに直る。特等席だ景色を楽しもう」
『……俺は駄目だな。なんとも力の無さが露呈し、情けなくなる。捻り出した、繕う為の言の葉も彼女の口元を少しばかり緩ませるのが精々だ。目は怯えている。
ゴンドラを悪戯に揺らさんかのような他の客達の悲鳴が、各々の恐怖心に拍車をかける。俺は携帯を取り出しアンダーソンに掛ける。
右手は彼女と繋がったままだ。伝わる震えとコール音が交差する』
「もしもしスミス!大丈夫か?」
「ああ、少しばかり空気が薄いが景色は抜群だ。どうなってる?」
「それだけ冗談が言えるなら一安心だ。今、下に居る。俺達は丁度降りられたところだ。どうやら、制御係のコンピューターがおかしくなってるらしい。
原因は不明みたいだ……大丈夫だ。すぐに動くさ。俺達は、例え観覧車が崩れてもここに居るからな!幼なじみを守ってやれよ」
『ありがとう親友よ。俺のそれとは違い、溢れんばかりの力の込められた言葉が俺の芯に根付く。この芯の熱が、右手を伝わって彼女にも行き渡れば良いのにな。俺は携帯を彼女に翳す』
「オードリー!心配するな!終わったら笑い話が一つ増えるだけだ」
「オードリーさん?ミラです。怖がらないでね。2人っきりの個室、楽しんでね?」
「わたし。心配はいらない。早急に原因の調査と除去は済む筈よ」
「……ありがとう、みんなっ」
『顔に仄かな明るさが戻ったオードリーが、窓越しに、下界の仲間達を愛おしそうに眺めながら、右手を強く握り締めてくる。俺も強く握り返し、見下ろす。
刹那。俺の目が、他の何物よりも、禍々しくそれで居て不遜に細かな胎動を続ける赤い十字架を捉える。あれは……何だ……?
観覧車の麓に出来た人塵から距離をとった場所に……笑いながら両手を広げた赤いパーカー赤いフードの男が、居た』


345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 15:26:31.83 ID:7ViK7FPgP
なにかが零れ落ちそうなぐらいに目を見開いたハルヒが、窓の下と俺の顔を交互に見て呟く。
「嘘でしょ?ホントに止まったの?」
……みたいだな。これは、あれか?目の前の神様的少女の願いが、またも俺を巻き込む形で叶っちまったのか?勘弁しろよ
「ちょっと、どうすんのよキョン!」
「俺に聞いてどうすんだ。あんまり動くな。ほら、ここ座れ」
どんな状況でも自己主張をやめないアヒル口を作りながらハルヒが隣に座る。「ぬぅぅ」とか言いながら。……で、どうすりゃいいんだ。電話が鳴る。着信古泉。履歴がお前で埋まっちまうぞ。

「もしもし。お二人とも無事ですか?」
「どこが無事なんだよ。息苦しいったらないぞ。色んな意味でな」
「それだけ毒づけるなら、どうやら大丈夫のようですね。僕達の方は心配ありません。今し方大地に降り立ったところです」
「みたいだな。で、どうなってるんだ?」
「どうやら制御係コンピューターが原因不明の異常を来したようですね……ということにしましょうか?」
…やれやれ。ということは……
「ご想像通り、例の力でしょう。長門さんが2人のゴンドラから小規模の情報フレアを捉えました。プロテクトは強固。干渉は不可。
羨ましいです。よっぽど2人っきりになりたかったのでしょう」

俺は隣のハルヒをチラ見する。目が合う。
「何よ」

なんでもねぇよ。ちょっとは、しんなりしろよ


346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 15:28:26.41 ID:7ViK7FPgP
「ということですので、当面はあなた次第です。後ろから抱き付き耳元でアイラービューはいかがでしょうか?
それでは、我等の団長を宜しくお願いします。そうですね、流石は涼宮さん、見事に不可思議な現象を引き寄せましたね、感服です……とお伝え下さい。あ、朝比奈さんに替わりますね」

さっさとそうしてくれ。
「キョン君、大丈夫ですか?落ち着いて、落ちないで下さいねっ。あのあの、涼宮さんを守ってあげてね。長門さんに替わります」
ダブルで変な事言わないで下さいよ。

「わたし。心配はいらない。有事の時は、わたしが2人を守る」
ありがとよ。心強いぜ。
電話を切り、携帯を左手で玩ぶ。ハルヒの目に付かないように、画面を見ずにボタンを操作しながら掲示板に繋げる……なんとなく、だがな。

ふと気付くと、ハルヒが俺の袖をギュッと握っていた。……怖いのか?

「ハルヒ、みんながお前によろしくだとよ。あいつらはどうも俺より団長様の方ばかりを心配してやがる節があるな。やれやれだ」
「……当たり前でしょ馬鹿キョン」
下を向いたまま、力ない座り方で言うハルヒ。俺は袖を掴んだハルヒの左手の小指を解き、軽く握った。……しつこいようだが、なんとなく、な。


347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 15:28:34.78 ID:DeYv+ymvP
はるひかわいい


348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 15:56:44.12 ID:6p2BVTGn0
支援


349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 16:11:44.41 ID:+vQ+0V2q0
wktk


350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 16:38:09.98 ID:7ViK7FPgP
レス数990 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:33

『思わず息を呑む。下界に佇む赤い麗人は、己の尊ぶべき全ての物を受け入れんとする様に、諸手をピンと張り、笑っていた。静止した観覧車を見て享楽している。
背筋を怖気が疾走する。あれは……己の集大成である作品を眺めている顔だ。好く言えば達成感を味わう芸術家。悪く言えば創生された背徳の作品に凶兆を見いださんとする狂人に見えた。
アイツが……観覧車の制御系統を弄り、停止させたのか?
どういうことだ?
奴は俺達の好奇心を後援していてくれている、大我のアーティストではなかったのか?』


351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 17:05:28.07 ID:bdzyzFJ80
??



353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 17:37:50.70 ID:7ViK7FPgP
レス数901 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:35

「あっ……あれ」

『オードリーが、声を上げる。その目には、狂瀾の落書き魔が。否…狂瀾と断定してしまうのは早計か。あの不祥の笑顔は、隣の彼女には、どう映っているのか。』
「ひょっとして、あれが…落書きの……?」

「ああ。御明察だな」

「あれ…が…?何だか…怖い……あっ」

『押し黙る。どうしたんだ?まさか…オードリー。考えているのか?俺と…同じ事を』

「ねぇ…ひょっとして…この観覧車止まったのって、あの人のせい?何で?
何だかそんな気がする。やだ…怖いよ。ねぇ…スミスっ。まだ動かないのっ?機械の不具合なら、もうそろそろ治ってるんじゃないのっ?」
「オードリー……」
『俺は、カクカクと震える彼女の左手を両手で掴む。今、目の前で安寧を手放しつつある幼なじみを俺は……助ける事が出来ないのか?探し続けていた『何か』が享受し難いモノであったが故に、彼女は……』
「ごめんっ…ごめんなさい。どうしよっ。あたしが…落書きを調べようなんて言ったからっ…遊園地行こうなんてっ、言ったから…こんなことに…」


354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 18:06:36.27 ID:7ViK7FPgP
レス数902 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:37

「…そうかもしれない。だがそんなことない」

『俺の放つ訳のわからない言葉に、オードリーが、顔を上げ、キョトンとする。その拍子涙が零れていた。
地上数十メートルの黄色い個室に共に居る時であろうが、自室で独り膝を抱えている時であろうが、君が泣いてるいるのに指をくわえて見ているなんて、あってはならないんだ』

「そうかも、と言ったのはアイツが観覧車の機械に細工して停止させた件だ。俺もそう思っていた。理由は無いがな。そう想わせる『何か』がアイツには見える。
そんなことはない、と言ったのは、オードリーが自分が悪い…といった件だ。俺達はみんな、楽しいから、街の落書きの原因と結果を究明しようとした。
だが、だからと言ってその結果起きた事を遡ってわざわざ自分を責めなくて良いさ。何度も言うが、俺達はみんな、お前と居るのが楽しかったから…嬉しかったから、行動を共にしているんだ。

連帯責任だと言っているんじゃないぞ?別に誰も悪くないし、こういう状況も悪くない…俺はそう言いたいんだ」



358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 18:27:50.68 ID:7ViK7FPgP
レス数903 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:40

『不思議と、周囲の叫喚が聞こえなくなっていた。ゴンドラの中に響くのは俺の声と、彼女の息遣い、そして床に落ちる清廉な水滴の音だけであった。俺は続ける』

「高校に入って久方振りにお前と遊べて嬉しかった。ポーカーも旅行も落書き調査も、全てが楽しかった。
可愛らしい女の子とも一辺に2人も友人になれた。みんな……オードリー、お前が集めたんだ。俺も含めてな。
お前には人を寄せ集める魅力があるんだよ。
不思議な力があるんだよ。俺は……そう信じている。願えば叶う事もある。
お前と居ると『何か』起きそうで、俺はこうも浮つくんだ!
だから……オードリー。
信じて…願ってくれ。

明日、過去になった今日の今が……晴れて愉快な思い出になると」



361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:08:12.67 ID:7ViK7FPgP
レス数904 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:44

「スミス……ありがとう。」

『繋いだ手を顔の前まで持ち上げ、見やる。この手を通じて……伝わってくれただろうか?…想いは。
オードリーが、くすりと微笑む。溢れ、零れた水量の分を補填するに充分な眩い笑顔だ。
手が解かれた。両手でゴシゴシと目を擦る』

「ごめんね。ありがとう。あたし、みんなが…スミスが居れば大丈夫」

『ガタンっ。やっと幕間は終わったようだ。
緩やかな速度でゴンドラは動き出す。
願いは…叶ったようだな。』

「やったぁ!スミスっ。動いたよっ」

「あぁ。ほら座りな。後、半周……景色を見て『何か』探そう」

「うんっ」

『遥か向こうから、大地を暖かく照らす太陽。俺にとってはその偉大なる天体とも相違なく見える晴れやかな笑顔で、オードリーが隣に座る。
手は繋がれたまま。心地良い下降に身を任せた俺は、宥恕の目で下界を見る。

赤い落書き魔は居なくなっていた』


362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:20:13.23 ID:7ViK7FPgP
レス905 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:48

「スミス!」

『しばらく振りの大地への凱旋を果たす。迎え入れてくれたのは、親友の熱い包容であった。』

「この野郎、無事で何よりだ!何分も2人っきりで夕焼け観賞洒落込みやがって。オードリーちゃんも、無事で良かったよ」

「ふふっ。それどっちの意味?みんな、心配かけてごめんねっ。それと……」

『俺、アンダーソン、エイドリアン、ミラ。順に見渡したオードリーは、どんなに謹厳な人間だろうと見るだけで蕩けてしまいそうな笑顔で高らかに言う』

「いつも、ありがとう!」


363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 19:35:52.49 ID:QhjDtHC+0
支援


364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:37:07.95 ID:KIyHlJBi0
見てるぞ


366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:40:54.68 ID:nOWkxjHj0
なぜ急に書き込み数が90xに?俺が見落としてるのか

支援


367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 19:45:08.57 ID:UDWegQt90
>>366
しー!!!


368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:52:31.43 ID:QhjDtHC+0
>>366
加筆してたら足らなくなったんじゃないの


369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 19:54:47.31 ID:7ViK7FPgP
レス数906 ◆Mr.Smith
書き込み時間 17:50

『取り敢えず、広場のテーブルに移動した俺達は、数分前の出来事の各々の感想や、推測を語り合った』

「しかし、焦ったな。まさかフリーズするとは思わなかったな。係員も焦りまくってたぜ。しかし、止まったのも不思議だが急に動き出したのも不思議だ。
システムをどう触ってもお手上げ状態だったのに、いきなり直ったみたいだったぜ?ホッとはしていたけど、首を傾げてる係員も多かった」

「あぁ。それはな、きっと願ったからだな。強く念じれば『何か』が起きるんだ」
「なんだそりゃ」
『俺はオードリーの方に視線を投げかける。口元の微笑で、彼女も返事をくれた。』
「でも物騒ね?上から見つけた落書き魔さん。本当に彼の仕業なのかしら」
「確信はないですけどね」「いえ。恐らく落書き魔の仕業だと思われるわ。確率九割で」

『授業中の如くに、丁寧な挙手をしたエイドリアンが、考察を披露しだした』
「まず、係員に聞き及んだ話では、観覧車を制御するコンピューターの画面が、見たことの無い記号のアップ画像でフリーズしていたらしい。恐らくはハッキング。
これが理由の内の一つ。更に、先程、停止した観覧車を遠くから見て初めて気付いたのだけど、観覧車には、既にスプレーで絵が描かれていたわ」
「マジ?」

「マジ。絵とは言っても数十のゴンドラの側面に線を引き一周させただけの物。
それが、さっきの位置で停止する事により、上下が正しくなったので、観覧車の運転を止めたのだと思う。
あの時間だったのは、たまたま、今日描かれたペンタグラムの6つの点の落書きが完成したのが、停止の少し前だったから。
意図までは計り兼ねるけれど、落書き魔は、形成した六角形とその中心に描かれた絵が嵌め合わさって初めて完成される作品に着手していた……のだと思われる」
「はは……そうですか……」


370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 20:22:29.11 ID:7ViK7FPgP
レス数907 Mr.Smith
書き込み時間 18:00

『帰路に就く。帰りの電車は、駅に到着すると、丁度出発の二分前だった。席も空いていて、座るなり、俺とオードリーを除く三人は口々に疲れたと言って、ウトウトと舟を漕ぎ出し、十分と経たぬ間に眠ってしまった。』

「みんな寝ちゃった。一番疲れてるのあたし達なのにね」
「そうだな。眠くないか?」
「大丈夫……スミス。手、繋いでいい?」
「ああ」
「今日は2人っきりが多いね。……願ったからかな」
「……かもしれないな」

『繋いだ手と手に、春も夏も秋も冬も呑み込んだ、暖かさが灯る。
この温度を永劫に大切にしていきたいと想った。只の幼なじみは、いつの間にか、それ以上で有りながら、決してそれ以下でもない『何か』に姿を変えていた様だ。
想いや。願いが。
そうさせたのかもしれないな。
窓の外、流れ行く景色と時間を眺めながら、俺は『何か』が離れて行かない様にと、強く強く力と願いを込めた』


371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 20:30:15.00 ID:7ViK7FPgP
すいません、途中からのレス数901~は990番代のミスです
なので次が998です


 



1001以下、名無しにかわりましてELEPHANTがお送りします[]:0000/00/00(象) 00:00:00.00 ID:tmg24news
どうも。管理人です。
レス数を直そうと思いましたが、後々この件はバグということになるので
そのままにしてあります。  

 


375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 21:01:11.48 ID:7ViK7FPgP


「喉乾いた」

「無茶言うな。飛び降りて買って来いっていうのか」

「あーあ。長いゴム紐があったら、下でみくるちゃんにココア持っててもらって、キョンにバンジーキャッチさせるのに」
「お前はどれだけ、俺にバンジーをさせたいんだよ」

依然として、置物のままの観覧車の最上位で俺達は座っている。

古泉曰わく、ハルヒのトンデモパワーが発動しているらしいが、こいつは何がしたいんだ……。
ハルヒが聞いたという、小説の展開を追っている…とかじゃないだろうな。最後には爆発が待っていたら、笑えないぞ。
やれやれ。
あっ、そうだ。
「ハルヒ。お前、トイレは大丈夫か?」

「馬鹿キョン!何気持ち悪いこと聞いてんのよ!さっき行ったから大丈夫よ」
くそ。作戦失敗か。

「はぁ。後、何時間こうしてなきゃならないんだ」

「………」

ハルヒが袖を離し、またも窓の外を向いた。どうせ口元はアヒルさんだろうな。



 
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 21:36:53.43 ID:6IVLPsvv0
長門の母乳は


380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 21:49:07.24 ID:1+RUYLQt0
でーないぞ


382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 21:51:09.46 ID:7ViK7FPgP
>>379-380 何やってんのwww


381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 21:50:08.78 ID:7ViK7FPgP
「今日、携帯触ってたの、全部佐々木さんだったわけ?」

「いや違う。調べ物だと言わなかったか?今日はさっきの電話だけだな」

「今日『は』ね……。ま、『親友』だもんね」

「ああ。まあな」

静けさがゴンドラ内の空気に滞留する。だらだらと時間が過ぎて行く。こうも静かだと一秒単位で意識してしまうな。
いつまで、このままなんだろう。
そっぽを向いたまま、ハルヒが呟いた。


 
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:08:54.43 ID:7ViK7FPgP
「……さっき……観覧車止マレっ!て思ったら、本当に止まった」

サラリと何を言ってくれてんだコイツは。なんだ、その能力の自覚症状を匂わせる台詞は。
何て返せばいいんだ。

「あー……ぐうぜ」
「あんたは?」
「え?」
「思った?止マレって。もうさ……」

一呼吸、間が空く。窓の外に語りかけているかのようなハルヒの言葉が、四角い空間に反響する。椅子の上に置いた俺の手の中指が、ハルヒの薬指に触れる。
さっきまでは、袖を掴まれていたぐらいなのに、今は指の先が当たるだけで、何だか緊張してしまう。続きの声が聞こえてくる。
「……もう、降りたい?キョン。キョンはどうなの?」

俺は……。どうなんだ?ハルヒの背中を見ながら、考える。『止まれ』とか『降りたい』だとかいうことより、もっと大きな質問をされているかのように、俺は考える。
俺は……。瞬間、何故だろう?俺の意識は左手の携帯にとらわれた。
音もさせずに、ボタンを静かに押す。そこには…


384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:10:48.76 ID:7ViK7FPgP
『レス998 ◆Mr.Smith

これで、俺の一人語りは終わりだ。如何だっただろうか?元より見せる為と云うよりは、衝動に任せて、否、駆られて書いた物である。
読んでいる人々に取って一つの娯楽としての価値が生じれば、これ程有り難い事もない。
本当に何故に、文学も生齧りの身でこんな物を仕上げたのかは、甚だ疑問だ。
誰かが……見ている気がしたのだ……と云う他はない。

未だ見ぬ君よ……君が『僅かながらも待ち望んでいる何か』は……君の隣に訪れたたろうか?』


385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:24:03.81 ID:7ViK7FPgP
俺の隣……。
ハルヒが……居る。

突如、俺の脳裏に様々な出来事がフラッシュバックした。
嵐の孤島に終わらない夏休み、奇天烈な映画撮影や部室での鍋。その他にも、細かな出来事が光の速さの如くに。そして……光速の回想の締め括りは、目の前のコイツを……『涼宮ハルヒを消失』した、去年の冬の出来事だった。

『待ち望んでいる何か』
回想とクロスオーバーする、俺とは違うスミスの言葉。


ああ。そうだよな。
俺は……。


「ああっ!キョンっ!イルカよっイルカ!今、絶対イルカ跳ねたっ!」


386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 22:25:15.98 ID:UDWegQt90
支援


387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:39:19.32 ID:7ViK7FPgP
顔と両手を窓に貼り付け、興奮気味にハルヒが叫んだ。

「あんた今見てなかった?この辺でもイルカって居るのね。群れから離れたのかしら」

輝石ばりの複雑な組織で、自己発光する瞳を、景色と、こちらとに交互に振り返らせながら、はしゃいでいる。
やれやれ。
「ハルヒ。俺は……俺もこのまま止まってるのも悪くない。お前のそばに居ると……」

本当に、目まぐるしい程に、不思議で非常識で奇天烈なことが起きてばかりだ。でも……そうだったな。『それ』は、俺がずっと待ち望んでいた『何か』だ。

「……何よ」

「……本当に飽きない。欠伸する間も惜しいぐらいにな。ハルヒ以外の他の誰かじゃ、こうは行かないな」

「……ふん」

「ハルヒ」
「何よ?馬鹿キョン」


「ありがとよ」


388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:45:24.12 ID:7ViK7FPgP
ガタンっ、という機会音と共に、観覧車がゆっくりと下降を始めた。

「あっ。動いたわね」

「やれやれ、だな」

「キョンっ!」

「何だ」

「ありがとう……」

「あ…おぅ」

「……って、感謝するのはいいけど!そういう団長への感謝の心意気は普段から常に持ち合わせときなさいよ!後……あたし以外には、あんまり持ち合わせなくていいからね」

「……へいへい」

「あー喉乾いたっ!キョン、降りたら」

「ココアだろ?やれやれ」
「よろしいっ♪」


 
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 22:59:07.70 ID:7ViK7FPgP
やっとのこと、しばらく振りの地面に降り立った。あぁ、大地は偉大だ。
三人が駆け寄って来る。朝比奈さんは、目を潤ませながら「無事で良かったです。お疲れ様」と、思わず抱き締めてさしあげたくなる労いの言葉を掛けてくれた。
長門は無表情……なんだが、まぁ俺の思い過ごしかもしれんが、幾分ホッとしたような雰囲気が出ていなかったこともなかったな。
「ご無事で何よりです。景色のいい天上の閉鎖空間は如何でしたか」などと、ニヤニヤしながら語りかけてくる古泉は…後頭部をひっぱたいてやりたかったな。

平謝りの係員をあしらった俺達は
「ココア買ってから本日の反省会よ!」と、上機嫌で、ズンズン推進して行くハルヒに付いて昼飯を食べたテーブルに向かった。


391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:00:42.24 ID:ep1oGAlC0
このほうがハルヒらしいか


392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:13:30.75 ID:7ViK7FPgP
言うまでもなく、ココアと、おまけにワッフルまで奢らされた後、テーブルに着席した俺達は、反省会を開始した。
まぁ何を反省することもなく、主に話の俎上に上がったのは、イルカの話だったがな。途中、トイレに抜けた俺は。染み付いた癖のように、携帯を開いて掲示板に繋げた。
『Mr.Smithの憂鬱なるとも歓待すべき日々(レス数998)』

あれだけ勢いがあったのに、クライマックスに来て、レスがぱったり止まっていた。
それに、990を回ってからは、他者からの書き込みがシャットアウトされたかの様に、スミスの書き込みだけだった。




あ、あと、バグだろうな。途中で990番代が900番台になってたな。


393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 23:19:09.13 ID:iil7R+vW0
バグなら仕方がないな


394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:23:11.53 ID:7ViK7FPgP
ふと思い立ち、俺は携帯のボタンを押し進める。

……よし。こんなもんか。


『レス数999 ◆雑用

読破した。大変だったな。
『待ち望んでいる何か』は気付いたら隣に居てやがったよ。

面白かったが、『100テラバイトの笑顔』はやめとけ。』


395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:27:16.18 ID:7ViK7FPgP
どうせ、書き込みの規制が掛かってんだろうな。
そう思っていたが、目に映ったのは『書き込み完了しました』のメッセージだった。

用を足し、手を洗い乾かす。トイレを出たところで、リロード。


396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/02(火) 23:32:09.27 ID:jJgV2iNv0
wktk


397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:33:27.86 ID:7ViK7FPgP
レス数1000 ◆Mr.Smith

読了ありがとう。

まだ見ぬ 異なる世界の……俺よ。

そちらの『何か』を大事にしてくれ。

こちらの『何か』は、黄色いカチューシャとポニーテールの似合う、女神様だ。

後、『100テラ』への突っ込みは余計なお世話だな。世間には笑顔の比喩に『100ワット』なんてのを用いる奴が居るらしいからな。

では。


 
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/02(火) 23:37:39.86 ID:7ViK7FPgP
テーブルのところに戻ると、ハルヒ達は既に帰宅の準備が万端だった。何て奴らだ。

「馬鹿キョン!遅いわよ!」

俺は人生で一体、後何回『馬鹿』と『遅い』のセットの罵声を浴びせられるんだろうな。


 
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:00:58.20 ID:GOh50YVhP
帰路に就く。
電車は空いていて、5人横並びに座ることができた。

……結局何だったんだろうな。あのスレッドは。
この世には、俺の左隣に並び座る三人みたいな奴らがいるんだから、やはり、この世界とよく似た創りの異世界があったりするのだろうか?

そうだとしたら……あの私小説は……俺へのアドバイスめいた物なのか、あるいはただの自慢話なのか……。

もしくは、『そっちの世界の女神様はどうよ?」といった興味故だったのか。
俺の右肩に持たれ掛かって寝息をたてるハルヒを見ながら、そんなことを思った。

まぁ、なかなか面白かったし、そんな異世界があってもいいもんかもな。
……俺も、帰ったら書いてみるかな。

2ちゃんねるのvipとかいうなんでもありの掲示板にでもな。

それを見た、また別の奴らにも、『日々探し求めている何か』が見つかるかもしれないな。

おしまい


402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:02:46.86 ID:KMLkCXPC0
激しく乙!


403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:03:42.61 ID:pueuot/W0
>>1

上の方でわからなかったアンダーソンの語源(?)を教えてくれたら嬉しい


 
 
>>403
アンダーソンは、映画マトリックスの主人公ネオ・アンダーソンからから取っています。
おおざっぱですがネオ・アンダーソンも限定的な空間で特殊な力を発揮するので、ガチホモっふと被りますね。
相方が、スミスと、こちらもマトリックスの敵の名前だったので丁度いいかなーと思いまして


404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:03:56.69 ID:86OO5m5h0
お疲れさま、久しぶりにいいスレにであったよ


405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:04:57.28 ID:GOh50YVhP
終わりです。

だらだらと、すいませんでした。

ペースが遅かったので、保守、支援、書き込み全てありがたかったです。
誤用とミス指摘もありがとうございました。


 
 
 
 
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:22:44.12 ID:GnaPh2740
乙、楽しかった


412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:36:07.39 ID:i/lwFmnF0



413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/03(水) 00:43:02.65 ID:zBLrBrA60
面白かったよ>>1


414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:48:46.48 ID:H6Pj2pT80
乙ー
久々に良いハルヒSSを読んだ気がする


415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/03(水) 00:52:42.32 ID:wv5YjKYH0
乙、こういうのも何か久々な感じだ

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         コメント一覧 (5)

          • 1. 読書する暇潰し屋
          • 2010年08月20日 18:26
          • すばらしいな
          • 2. あ
          • 2010年11月11日 23:57
          • 面白かった!
            しかしガチホモっふはやめろwwwww
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年07月17日 12:34
          • 三年以上前の物に細かいツッコミすんのもアレだが、
            六角形なら、ペンタじゃなくてヘキサだよな
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年12月08日 01:51
          • 誤用でなく琴線に触れるSSだったわ…

            ストーリーと雰囲気が物凄く好み
            良い青春モノって感じ
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年04月03日 04:45
          • 途中ちょっとテンポ悪かったが、ストーリーは楽しかった!

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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