佐々木「……もしもし」
佐々木「やぁキョン、実は君に話しておきたい事があってね」
キョン「ほう、何だ?」
佐々木「いや、その…出来れば直接会って話したいんだけど」
キョン「そか。別に俺は構わないぜ」
佐々木「そ、そう。じゃあ今週の日曜に駅前の喫茶店で」
キョン「時間は?」
佐々木「そうだね。11時くらいで」
キョン「OK。分かった。じゃあな」
…………
……
~日曜日・喫茶店~
佐々木「少し早く来すぎたかな」
佐々木「いや、でも折角キョンに会えるんだしこんな時間も悪くない」
佐々木「……」
佐々木「まだかな」ソワソワ
佐々木「!」
キョン「……」キョロキョロ
キョン「お!」
佐々木「やぁ、君が予定時間より前に来るなんて珍しいね」
キョン「相手がお前だからな。何時も言いだした時間よりもかなり
早くから居るし」
佐々木「そ、そうか」
佐々木「君はせっかちだね。折角久し振りにこうして顔を合わせたっていうのに」
キョン「そう言えばそうだな。すまん」
佐々木「いやいや、謝らないでくれ。呼び出したのは僕なんだから」
キョン「ふむ。そうだな」
佐々木「よし。じゃあ出掛けようか」
キョン「出掛けるって、何処にだよ?」
佐々木「何処にって?決まってるよ」
佐々木「遊園地さ!」
キョン「さて、到着した訳だが」
佐々木「キョン、キョン!早く早く!」ソワソワ
キョン「張り切り過ぎだろ」
佐々木「ハヤクー」
キョン「!何時の間にあんな遠くへ」
キョン「へいへい、今行きますよっと」
キョン「お前はなに遊園地でそんなに興奮してるんだよ、子供か?」
佐々木「なっ、失礼な?」ソワソワ
キョン「イヤでもホラ。そんなに目ぇ輝かせながらソワソワされても
説得力ねぇよ」
佐々木「ソワソワするのは仕方ないさ。何せ遊園地なんて生まれて初めてだからね」ソワソワ
キョン「えっ?」
思うけど」
キョン「……あぁ、そういえばそうだったな」
キョン(それにこいつ、こんな所に一緒に来る友達もいなかったんだっけ)
佐々木「今日は思いっきり満喫しなくちゃ!」ピャー
キョン「だからオイ待てよ!」ピャー
キョン「まぁ妥当かな」
佐々木「では早速」ピャー
キョン「やれやれ」
アナウンス「皆さま、眼の前にあるレバーを降ろして、しっかり掴まってください」
佐々木「わくわく」
キョン(……本当に子供みたいだな)
アナウンス「それでは逝ってらっしゃーい」
キョン「ふむ。臨場感あるな」
佐々木「あれ?ジェットコースターってスピード感のある乗り物じゃなかったっけ」
佐々木「こんなトロッコがレール登るだけなの?」
ガタガタガタガタ
キョン「ま、今に分かるさ」
佐々木「?」
ガタガタ……ガタ
キョン「ここからだぞ佐々木。口あけてると舌噛むかもな」
佐々木「へ?」
ガタ ガタ ピャーーーーーーーーーー
佐々木「~~~~~~~~~」
キョン「おおおおおおおおおおおおお!?」
キョン(想像以上に速ええええ)
佐々木「~~~~~~~~~~」
キョン(ジェットコースター初めてでこのスピードだともう乗れなくなるかもな)
佐々木「……ふふふふふふふふ」
キョン(笑いだした?)
ピャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
佐々木「あははっははははははははっは」
佐々木「もっと、もっと速くー」
キョン(こいつ将来スピード狂になる可能性がある…nあああああああああああ!?)
ピャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
佐々木「あははははははははははははははははははははははははははははは」
……
アナウンス「到着でーす。又の御来場お待ちしておりまーす」
キョン「ふぅ……」ヨロヨロ
佐々木「楽しかった。ね、キョン?」
キョン「あ、ああ」
佐々木「帰りにもう一回乗ろうね」
キョン「ヒッ」ヨロヨロ
キョン「…死にそうだ」
佐々木「あっ!あれ!あれに乗ろう」
キョン「メリー…ゴーランド…だと?」
佐々木「さあ行くよ!キョン」
グイッ
キョン「今日の佐々木はハルヒみたいだ…」
キョン「ちょ、ちょっと落ち着け佐々木!周りを良く見ろ」
佐々木「?」
キョン「メリーゴーランドなんて、小さいお子様用の乗り物だ。お前が乗ると
かなり変な絵になるぞ。それでも良いのか?」
佐々木「くっくっキョン。君は何を言っているんだい?」
佐々木「”良い”に決まってるだろう」
キョン「……」
キョン「もはや何言っても駄目か」
佐々木「うーん…流石に二人一緒に乗るのは無理か」
キョン「そのようだな」
佐々木「仕方ない。先に乗るからキョンも後から追いかけて来てね」
キョン「廻ってるから追いつけないけどな」
佐々木「楽しかったらここも後でもう一回乗りにこようね!」
キョン「こんな公開レイプ一回だけにして下さい!お願いします!」ダッ
……
佐々木「楽しかったねキョン」
キョン「俺は周囲からの目が痛かったよ」
佐々木「さて次は…」
キョン「ん、なぁ佐々木そろそろ先に飯にしないか?」
キョン「昼時のピークになるとどこも一杯で入れなくなる」
佐々木「それもそうだね。何処に入る?」
キョン「ま、適当にレストランか?」
佐々木「遊園地ならではってのは無いの?」
キョン「お前は地方の遊園地に何を求めてるんだよ」
支援
佐々木「それにしても遊園地は素晴らしいね」
キョン「まぁそうだな」
佐々木「こんなに楽しい所ならもっと沢山来たかったよ」
キョン「?これからも来れるだろ?」
佐々木「そうだね。また来れると…良いな」
キョン「?」
キョン「俺はパスタでいいや」
佐々木「じゃ、僕もそれで」
キョン「おいおい、別に同じのじゃなくても他にも旨そうなの」
佐々木「良いじゃないか。たまには」
キョン「まぁお前がそれで良いなら良いけどさ」
佐々木「はい。パスタ二つ」
キョン「一つはミートソースで」
佐々木「二つともそれでお願いします」
ウェイトレス「かしこまりました」
キョン「おいおい」
佐々木「えへへへ」
キョン「ま、いいか」
キョン「ん?」
佐々木「パスタ好きだよね」
キョン「まぁな」
佐々木「昔、一緒に買い物行った時もパスタ食べてたし」
キョン「そうだったか?よく覚えてるな」
ウェイトレス「お待たせしました。パスタ二つ。ミートソースになります」
佐々木「ふふ」
…………
……
佐々木「午後はお化け屋敷からスタート!」
キョン「テンション高いな」
佐々木「GO!」ピャー
キョン「だから待てと言っているだろう」
佐々木「ハヤクー」ピャー
キョン「やれやれ」
キョン「中々怖そうだな」
佐々木「何やってるんだい。入り口で突っ立ってないで早く中に入ろう!」
キョン「あ、ああ」
佐々木「暗いね」
キョン「ああ」
佐々木「いかにもって感じだね」
キョン「ああ」
佐々木「キョン?」
キョン「ああ」
キョン(何で客の通るルートに普通にマネキンとか蝋人形とか置いてあんだよ!)
キョン(まだお化け出てねぇのに怖すぎだろ)
キョン(こんなんで突然何か出たら俺は耐えられん)
お化け「……」ヌッ
佐々木「……」
キョン「…………」
お化け「ばぁ?」
佐々木「ふふっ」
キョン「ぎにゃあああああああああああああああああああああ!?」
キョン「あああああヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁああああああ」
佐々木「キョン!しっかり!可愛いじゃないか!?」
キョン「駄目だあああああああああ」ダッ
キョン「帰るうううううううううううううううう」ピャー
佐々木「ちょっとキョン?待ってよ!」ダッ
お化け「…………可愛い?」
…………
……
佐々木「まったく!」プンスカ
キョン「正直スマンカッタ」
佐々木「駄目だね。許してあげないよ」プイッ
キョン(そうは言っても、もう一度あのお化け屋敷の中に入る勇気は俺には無い)
キョン「今度なにか奢るからさ」
佐々木「ふぅん。君は僕を物で釣る気なんだね?」
キョン「い、いやそういう訳では」
佐々木「今度ね」
キョン「?」
佐々木「今度、もう一度遊園地へ行こう?また別の」
キョン「へ?」
佐々木「それでチャラにしてあげる。奢りでなくて良いから」
キョン「ん、ああ。でもまた遊園地で良いのか?」
佐々木「うん。決定、規定事項だ」
佐々木「うん!よし、では気を取り直して、次はあれにしよう」
キョン「コーヒーカップか」
佐々木「さっ、行くよ?」
キョン「ああ」
…………
……
キョン「今日はかなり遊んだな」
キョン「ジェットコースターにメリーゴーランド、お化け屋敷にコーヒーカップ、
パレードも見たし、バンジージャンプ、キャラクターショー、アトラクション系
も大体メボシイのは見たな」
佐々木「くっくっ。まだだよ」
キョン「?でも、そろそろ遅いし、今からアトラクション系はまた並ぶのしんどいぞ」
佐々木「大丈夫だよ。多分あれはアトラクション系ほどは混んでない」
キョン「?」
佐々木「鈍感だな、君は」
佐々木「遊園地の締めと言えば、観覧車だろう?」
佐々木「そうだと僕は聞いてるんだが」
キョン「誰に?」
佐々木「橘さんに」
キョン「へー、ん?」
キョン(あれ?そういえばこいつ、昔ならいざ知らず、今は橘や藤原、周防がいる)
キョン(別に俺じゃなくてもいつでも遊園地くらい誰か誘ったら一緒に来れたんじゃ)
キョン「なぁ佐々木」
佐々木「さっ、行こう?」
キョン「あ、ああ」
佐々木「わぁ、高い」
キョン「そうだな」
佐々木「見て、人がゴミの様だ」
キョン「そんな台詞言っちゃいけません」
佐々木「くくっ、冗談だよ」
キョン「いや、言ってるから」
キョン「なんだ?」
佐々木「ありがとう」
キョン「おいおい、どうしたんだよ改まって」
佐々木「ううん。君には今まで世話になったなと思ってさ」
キョン「した覚えはないけどな」
佐々木「世話になったさ。君にとっては些細な事かもしれないが、
僕にとっては、大事なことだった。本当に…」
キョン「……」
佐々木「だから、お礼が言いたかった。ありがとうって」
佐々木「…………」
キョン「…………そ、そういえばさ」
キョン「今日、俺にする話って一体何だったんだ?」
佐々木「…………ふふっ」
キョン「な、何故笑う」
佐々木「君があまりに君らしいものだから、つい」
キョン「???」
キョン「ムードって」
佐々木「ま、鋭いと言えば鋭いんだけど、ね」
キョン「だから…」
佐々木「ねぇキョン。今日君を呼んだのは告白するためさ」
キョン「告…白?」
佐々木「うん。告白」
佐々木「君と離れ離れになって、心細かった。寂しかった。苦しかった。辛かった」
キョン「佐々木……」
佐々木「でも、君はSOS団の団員で、涼宮さんが好き、なんだろ?」
キョン「俺は…」
佐々木「だから、僕は君が彼女と付き合う前に、最後に我儘言いに来たんだよ」
キョン「ちょっと…」
ゴウンゴウンゴウン
佐々木「おや、どうやら終わったみたいだね」
佐々木「許してあげる。……当然、遊園地の約束も無かった事で構わない」
キョン「おい、佐々木!」
佐々木「今日はありがとう。僕の我儘に付き合ってくれて。楽しかった」
キョン「だから待てって!」
佐々木「見送りは良いよ。一人で帰れる」
佐々木「じゃあね」タッ
藤原 「……待って貰おう」ガシッ
キョン「なっ?」
藤原 「お前には追わせない」
キョン「どけよ!」
藤原 「無理な相談だ」
キョン「何で邪魔する?」
藤原 「佐々木がこれを望んだからだ」
キョン「????佐々木が?」
藤原 「残念ながら今は説明出来ん。しかし、いずれ解る時が来るさ」
キョン「訳わかんねぇよ」
藤原 「そろそろ良いか……じゃあな」タッ
キョン「おい、待て!」
キョン「……くそっ!何だってんだ」
…………………………
……………………
………………
…………
……
キョン(あれから一週間たったけど、相変わらず佐々木から連絡は来ない。
こっちからは何回掛けても繋がらない)
キョン(着信拒否にでもされたりしてる?それとも何かに巻き込まれてるのか?)」
キョン(どちらにせよ一週間も連絡がとれないのは長過ぎる)
キョン「……佐々木」
キョン「ハルヒか……あぁ、ちょっとな」
ハルヒ「風邪ならちゃんと休みなさいよ?今年の風邪は酷いらしいから」
キョン「ん、分かってる。ありがとな」
ハルヒ「べ、別にあんたの体を思ってる訳じゃなくて、私にうつされたら困るから
言ってんのよ。勘違いしないで」
キョン「そか」
ハルヒ「う~~~調子狂うわね」
しかも何このイライラする感じ
キョン「ハルヒ、今日の団活、俺ちょっと休むかも」
ハルヒ「良いわ。今日は活動中止にしようと思ってたし」
キョン「そか」(丁度良い。色々聞いて来よう)
ハルヒ「それより早く直して明日は来るのよ?」
キョン「ああ」
…………
……
キョン「なぁ古泉」
古泉 「おや、どうしましたか?」
キョン「佐々木の事について、ちょっと」
古泉 「ふむ」
キョン「場所変えるか?」
古泉 「構いませんよ。閉鎖空間も発生する事はもうありませんし」
キョン「!!!!!!!どういう事だ?」
キョン「ハルヒの機嫌を左右するような会話は避けるべきなんじゃなかったのか?」
古泉 「???」
キョン「だから!佐々木の話をハルヒが居るかもしれない学校でするのは止めようって、
お前が言いだしたんじゃないか!」
古泉 「ん?おや?何処かずれてますね」
キョン「だから何が?」
古泉 「佐々木団のメンバーと、我々機関、未来人、宇宙人が協定を結んだのは
ご存知ですか?」
キョン「???」
古泉 「おや、佐々木さんから聞いている物とばかり思っていましたが」
キョン「そうだよ、別にそんな話は後で良いんだ。佐々木は?佐々木はどうしてる?」
古泉 「佐々木さん……ですか」
キョン「ああ」
古泉 「彼女は……お亡くなりになりました。一週間ほど前に」
キョン「なん……だと?」
古泉 「いいえ」
キョン「嘘だよな」
古泉 「残念ですが」
キョン「嘘だって…言ってくれよ」
古泉 「真実です」
キョン「どういう事だよ!!!!!!!!!」
キョン「一週間前?俺はあいつと一緒に居たんだぞ!!!!」
キョン「あいつはずっと笑ってた!!!!遊園地初めてだからすごくドキドキするって!!!」
キョン「笑ってたんだ!!!!!!なんで死んでんだよ!!!オカシイだろ!!!!」
古泉 「…………」
キョン「嘘だ嘘だ嘘だ。嘘だっ!!!!」
何だよ指一本で探して打ってんのか?
文句があるなら見るな
…………
……
キョン「…ふぅ」
古泉 「落ち着きましたか?」
キョン「なんとか……いや、落ち着いては、ないかもな」
古泉 「そうですか。では…どうしますか?」
キョン「聞かせてくれ。俺が聞かなくちゃ、多分駄目だと思う」
古泉 「分かりました。では少々噛み砕いてご説明します。元々は神候補が二人居た所為で
この様になったのだと、機関は推測しています。……我々は今まで涼宮さんこそが
この世で唯一の神だと信じて疑っていなかったのですが、佐々木さんの登場によって
少々認識を改めざるを得なくなってしまって…」
キョン「もう一人の…神候補」
程度にしか思っていませんでした」
古泉 「しかし、ここ最近涼宮さんの力が異常なまでに弱まりだしました」
キョン「そういえば、そんなこと言ってたな」
古泉 「ええ。そして僕達機関のメンバーは思いました。あぁ神の力もここまでか、と」
ですが、この認識が間違いでした、何と涼宮さんから失われたと思われていた
力が、そのまま佐々木さんに流れたんです」
キョン「もしかして…」
古泉 「はい。どうやら、彼女たち二人の力は、二人で分散して漸くバランスが取れていた
らしく、佐々木さんは、全ての力を涼宮さんから受け取り、制御しきれなくなって
お亡くなりになりました」
キョン「なんだよ、それ!!!」
キョン「だったら、佐々木が死ななくても良かったじゃないか!」
キョン「ハルヒと二人!仲良く二人で力を持っていたら死ななくても済んだんじゃねえかよ!」
古泉 「……」
キョン「おい!古泉、俺が言ってるのは間違ってるのか?」
古泉 「……」
キョン「なんとか言えよ!!!古泉!!!!!!」
キョン「!!!」
古泉 「あなたは間違っていません。……ですがその選択肢は彼女は選べなかったんですよ」
キョン「!?」
古泉 「もし、その選択肢を選んでいたら、あなたが死ぬ事になったからです」
キョン「どういう…事だ?」
古泉 「そのままの、意味です」
キョン「ああ」
古泉 「それは、そのままの意味でもあるんですよ」
古泉 「涼宮さんや佐々木さんが扉だとすると、あなたは鍵なんです」
古泉 「たまたま似たような二つの扉のを鍵穴を一つの鍵で無理矢理開け閉めしていた、ね。
元来、鍵というのは、ペアとなっている鍵穴を開ける為の物です。それ以外の鍵穴
には入りません」
キョン「……」
古泉 「しかし、ここで大きな問題が発生しました。非常に良く似た鍵穴を持つ扉が、もう
一つあったんです」
何故か入ってしまった」
キョン「……」
古泉 「もう、お解りでしょう?幾ら鍵穴に入って鍵を開ける事に成功した
としても、その鍵は本来ペアである鍵では無い」
古泉 「無理を続けるとその内、鍵は壊れてしまいます」
古泉 「いえ、もしかしたら、もう壊れる一歩手前だったのかもしれません」
キョン「佐々木は…俺の為に……」
僕にも解りません」
古泉 「ただ、佐々木さんはあなたがこの世界から消えないように…」
キョン「……古泉」
古泉 「はい」
キョン「その話、佐々木に関する部分はもう、終わりか?」
古泉 「ええ、まぁ」
キョン「……そっか」
キョン「その話、続きはまた今度で良いか?」
古泉 「あなたが聞きたいと思った時に訪ねて下されば、いつでも」
キョン「そうか、すまん。今日は……もう、帰るよ」
古泉 「分かりました。では」
キョン「あぁ、じゃあな」
キョン(橘は初め、佐々木こそが神になるべきだと息巻いていた)
キョン(だったら、あの頃はまだ誰もこんな結末を)
キョン(それとも、佐々木は既に…もしかしたら分かっていたのかも知れない。
だからあのタイミングで、あの状況下で…)
キョン「…………分かんねえ。分かんねえよ!佐々木!」
藤原 「ふっくっく。酷い面だな、現地人」
キョン「!!!!!!」
藤原 「どうやら漸く佐々木の考えを聞いたようだな」
キョン「お前、なんであの時邪魔をした?俺が、俺があいつの側に!!!」
藤原 「もう忘れたのか?言った筈だ。佐々木が望んだ事だと」
キョン「!!!!!」
キョン「…………そうだった、な」
藤原 「ふん」
キョン「それで…一体何の用だよ」
キョン「何だと、てめえ」
藤原 「それと、佐々木の遺書を渡しに来てやったのさ」
キョン「…遺書」
藤原 「ああ、そうさ。これで漸く僕のここでの仕事も終わりだ」
キョン「未来に帰るのか」
藤原 「お前には関係ない事だ。さっさと受け取れ」
キョン「分かってるよ」ガサッ
怒ってる?悲しんでる?苦しんでる?悔んでる?…それとも、責めてる?
もし、僕に怒っているのなら、ゴメン。
もし、悲しんでくれているのなら、ありがとう。
もし、苦しんでいるのなら、ゴメン。
もし、僕の為に悔んでくれているのなら、ありがとう。
もし、自分を責めているのだとしたら、君に責任はないと言っておかなければいけない。
僕は自分の意志で決めたんだ。誰に言われたからでもない。自分でやると、決めたんだ。
だから君が、気にする必要は何処にもない。自分を責める必要なんて、欠片もない。
僕は君に救われた。君という存在に救われた。
君には分からないかもしれないけれど、君の存在は僕を大きく変えたんだ。
君には分からないかもしれないけれど、僕の心は救われた。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
言葉では言い尽くせないほどに。文字に起こしてみても書き表せれない程に。
僕は君に、感謝しています。
だから、死ぬのはちっとも怖くない。消えてしまうのなんてちっとも怖くない。
君がいない世界なんて、僕はいらない。望まない。
でも、君のいる世界に僕がいなかったとしても、君が居てくれるなら。それだけで
僕は満足だ。
少しばかり、寂しい気もするけれど。少しばかり、淋しい気もするけれど。
それでも、僕は君のいる世界が、君が存在してくれてる世界が大好きだ。
だからどうか僕の分まで幸せになって下さい。
ありきたりのフレーズしか思い浮かばないけれど、私はあなたが大好きです。
追伸
出来れば死ぬ前に一度、遊園地に行ってみたいので勇気を出してキョンを
誘うよ!あっ、これ読んでるって事は、もう誘った後かな?
テンションが変になってるかもしれないけれど、ごめんね?
親愛なるキョンへ
藤原 「中身は僕も知らないが、大方の予想は付く」
キョン「藤原」
藤原 「佐々木は…あいつは、お前と遊園地で遊んで帰った後、ずっと笑顔
だったからな」
キョン「佐々木は、喜んでくれてたのか?」
藤原 「ああ」
キョン「最後、ムードぶち壊すような、多分、この事を、死ぬ事を思い出させちまった
だろう結果になったのに?」
藤原 「死ぬ寸前まで、笑顔だったさ」
キョン「そう、か」
藤原 「なんだ現地人」
キョン「一つ頼みがある」
藤原 「……良いだろう。言ってみろ。内容によっては、引き受けかねるがな」
キョン「ああ…多分。大丈夫だとは思うが、これを 」
…………
………………
???「もしもし」
佐々木「……もしもし」
???「なぁ、佐々木。俺も楽しかったよ」
佐々木「えっ?」
???「思い出、ありがとう」
佐々木「も、もしもし?」
ツーツーツー
佐々木「……もしもし」
佐々木「………………ありがとう、か」
佐々木「こっちこそ、ありがとう。……キョン」
fin
おっつん
質問とか多分ないよね?
それは俺も思ったが、長くなりそうだったので割愛した
短くまとめたかったんだ。すまんね
別にそこまで気にしてないんだからねっ!
佐々木はいい子
悲しいお
待ち受けはもうしばらく佐々木にしてよう
佐々木ってこういう話が似合っちゃうからほんと不憫
こんな話が似合うとかキャラクタ付けできるほど、公式には出てねぇだろ、驚愕マダー
都合いい設定なのに凹むなちくしょう
>>1乙