唯「ギコギコギコギコギコ」 【第二部】
すいません
まあ気長に待つよ
高校3年の夏。
私達は例によってムギちゃんに別荘を提供してもらい、そこで合宿をする事にした。
街中から電車を二回乗り継ぎ、約2時間。その後バスで30分。
海に面したその別荘に決めたのは、私とりっちゃんの
唯律「海!絶対海がいい!!」
という強い希望によるものだった。
ムギちゃんは最後くらい大きい別荘を使わせてあげたかったと言っていた。
紬「海があるところなら、もっといい別荘があったんだけど…今年も予約で埋まってたの。ごめんなさい…」
ムギちゃんは今年も謝っていたが、5人で使うには広すぎるくらいの別荘だ。
誰もムギちゃんを責めるはずもなく、みんなムギちゃんへの感謝の言葉を口にした。
唯「うおー!」
私とりっちゃんはお決まりのセリフを口にすると、我先にと服を脱ぎだした。
着いたらすぐに泳げるように、服の下には新調した水着を装着済みだった。
律「ほらー!みんな行くぞー!!」
澪「こら!練習が先だろ!今年こそは絶対に譲らないからな!!」
梓「そうですよ!去年の二の舞は嫌です!!」
唯「えぇー?あしょびたい!!」
すでにビーチ用のゴムボール、イルカの浮き袋には空気を入れていて、後は砂浜と海水があれば、すぐにでも遊べる状態だった。
当然、私とりっちゃんも折れない。
律「えー?んじゃあ多数決な!民主的に!」
唯「あっははははははは♪」
律「うっふふふふふふふ♪」
唯「そーれー♪」
律「えいやー♪」
澪「あーあ…結局今年もコレかぁ…」
そうぼやいてた澪ちゃんも、10分もしないうちに私達の輪に入る事になった。
私はパラソルの下でちょこんと体育座りをしているあずにゃんの手をとった。
唯「あずにゃんも一緒に遊ぼうよ~♪」
唯「泳ご泳ご~♪」
去年のあずにゃんなら、「けっこうです!」と言って私の誘いを一蹴していただろう。
しかし今年はすでに部員と打ち解けているため、すんなりと了承してくれた。
その後も結局は去年までと同じ。
時間忘れて遊んでしまった私達は、練習する時間もほとんど無く、練習は食事の後という事になった。
梓「ご飯食べたら必ず練習しますからね!」
頭のてっぺんからつま先まで真っ黒に日焼けしたあずにゃんは、私を睨みながらそう言った。
頭は元々黒かったけど。
唯「うん!するする~♪」
それを串に刺して食べる。
唯「んまい!」
律「やっぱ夏はBBQに限るな~」
澪「あつつ…」
唯「はい!あずにゃん、あーん…」
梓「あ、あーん…」
猫に餌付けするように、私はあずにゃんの口に、私の吐息で冷ましておいた肉を入れて上げた
梓「おいひいでふ…///」
唯「エヘヘ」
紬「ウフフ…これだけでお腹いっぱいになりそう///」
練習を後回しにした事で、ご立腹だったあずにゃんの機嫌も、どうやらなおったようだ。
律「食い終わったら何するー?」
唯「お風呂!露天風呂入りたい!」
当然の反論だ。
約束を反故にされたあずにゃんは、再び仏頂面をしていた。
この時、澪ちゃんは珍しく反論しなかった。
後で聞いた話によると、最後の合宿で喧嘩はしたくなかったらしい。
海水浴以降、澪ちゃんは私とりっちゃんの要望をきく事に専念していたようだ。
唯「お風呂あがったら必ず練習するから!」
梓「そんな…約束が違いますよ…」
怒りを通り越して、今にも泣き出しそうなあずにゃんを、私はいつも通り抱きしめた。
こういう時のあずにゃんの扱いに、私は慣れていた。
大体の事はこれで丸く収まる。
梓「わ…わかりました…」
どうやら今回も上手くいったようだ。
夏虫の声が心地良く響く露天風呂。
満天の空に匹敵するのではと見まがうほど、広い浴場だった。
唯「さ、あずにゃん、入ろ?」
梓「は、はい…」
私はあずにゃんがまたヘソを曲げないように、ずっとそばにいて機嫌をとっていた。
それ自体は苦でないし、自分が可愛がっている後輩のそばにいると、私も気分が良かった。
シャワーでその日の汚れを落とした後、お湯で濡れないように私は髪を後ろで束ねた。
その横であずにゃんは、黒く長い髪をタオルの中におさめようと、格闘している。
梓「あっ…」
手元を違えたのか、あずにゃんの髪を包むはずのタオルは地面に落ち、その髪はばさりと解け、横にいた私の肩を滑らかにかすめていった。
去年の夏。
合宿の夜。
布団の中。
隣にあずにゃんがいる。
私はあずにゃんの身体を触り、あずにゃんは私の身体を触っている。
髪の匂い。感触。
ツインテールから解放された髪のそれは、あの時私の身体全体を繭のように包んでいた。
今まで忘れていた記憶。
情事と呼ぶには幼稚な行為だったが、今あずにゃんの髪を通してあの時私の五感が捉えた感覚が、私の中に舞い戻ってきた。
梓「…?唯先輩?どうしたんですか?」
俺は寝るけど
頑張れ~
梓「…?ありがとうございます…?」
私はタオルを拾ってあずにゃんに渡すと、その髪を触りたいがために、束ねるのを手伝った。
梓「すいません、唯先輩。じゃ、行きましょう」
礼を言われた私は、肺と臍のあたりが重くなるのを感じた。
陳腐な言い方をすれば、罪悪感というやつだろう。
私が髪を束ねるのを手伝ったのは、あずにゃんのためではない。
この軽音部に似つかわしくない、鉄錆の様に汚れた欲望を満たすためだ。
今まで私の中に無かった欲望。あの夜ですら、そんなものは無かったはずだ。
それが今になって芽生えてきた理由はわからなかったが、とにかくこの時私のあずにゃんに対する見方が変わっていた事をはっきりと自覚した。
唯「うん、ありがとう。使わせてもらうね」
あずにゃんは髪をシャンプーの泡だらけにして、目に泡が入らないよう薄目にしながら私にシャンプーを手渡した。
シャンプーのノズルを押すと、うっすらと桃色がかった液体がどろりと私の手の平に飛び出した。
それを両手で混ぜ合わせ、十分に泡立ててから、濡らしておいた自分の頭に当てる。
私はシャンプーが沁みないよう、目を閉じた。
視覚が奪われた事によって、触覚と嗅覚が鋭敏になっていく。
そうすると、シャンプーの香りに私の神経が満たされていくのわかった。
日が昇るようにゆっくりと、しかし確実に、柑橘系のその香りは広がっていった。
あの時と同じ匂いだ。
先程蘇った記憶は、よりいっそう鮮明になり、激情を伴っていった。
寝るのは第二部投下し終えてからだよな?
全身の産毛が総立ちになり、意識が遠のいて行くような錯覚に襲われた。
頭を洗う手は止まり、堅い木の枝のような指の強張りも感じた。
梓「唯先輩、何やってるんですか?」
わずかに残った私の理性が、あずにゃんの言葉を耳に入れないように無駄な抵抗をした。
あずにゃんの声が骨の芯まで響き、電流の様に全身を駆け巡った。
――ダメ…。今あずにゃんの声を聞いたら、おかしくなる…。
理性の声か、良心の叫びか…今にも消えてなくなりそうなその声に、私は必死で耳を済ませた。
梓「シャンプー沁みたんですか?…しょうがないですね、流してあげますから」
もしかしたら4部構成になっちまうかもしんない
梓「はい。頭は流しましたよ。目を洗うんで顔を上げてくださいよ」
私は無言で、あずにゃんに言われるままに顔を上げた。
あずにゃんは私の顔にシャワーから放出される41度のお湯をかけ続ける。
梓「ちょっと目を開けてください。そんな風に閉じてたら洗い流せませんよ…」
その言葉に従って目を開けると、ぷつぷつと開いたシャワーのヘッドから流れるお湯が見えた。
霞んだ視界の中、私の顔にお湯はかけ続けられる。
梓「ちょ…ちょっと!いつまでやってるんですか?もう…」
そう言うとあずにゃんはシャワーを止めた。
キュッという音と共に、噴出していたお湯は止まった。
梓「唯先輩、大丈夫ですか…?」
2、3度瞬きをすると、目に溜まっていた水は落ち、はっきりとその姿を見る事ができた。
私が目を瞑っていたのは、せいぜい2、3分てところだろう。
しかし、あずにゃんを見るのは何百年ぶりに思えた。
それほど私は、あずにゃんを渇望していた。
梓「…?どうしたんですか?」
私にじっと見つめられたあずにゃんが、不思議そうな顔をして覗き込んできた。
私は立ち上がって、あずにゃんの小さい身体を抱きしめた。
膝に置いていたタオルがベチャリと音を立てて床に落ちた。
突然の出来事に驚いたのか、あずにゃんの身体は強張っていた。
私はその身体を抱く力を、さらに強めた。
私は無言で腕に力を込めた。
梓「ちょっ…や…!な…何ですか唯せんぱっ…苦しいですよ…!」
それでも私はあずにゃんから離れようとしなかった。
今まで何度もこういう事はあったが、今回の私は明らかに異常だという事にあずにゃんも気づいたのか、引き離そうとする小さい手が力を強めた。
梓「や…やだっ…!やめて…唯先輩やめて…っ!!」
私達の様子がおかしい事に気づいたりっちゃんが、近づいてくる。
律「お、おい。お前ら何やってんだ?」
あずにゃんはまだ私を引き離そうとしていた。
私はあずにゃんの抵抗を無視して、痛がるのも構わずに抱きしめ続けた。
梓「あ…あ……」
一瞬、あずにゃんの力が緩んだのがわかった。
何かを悟ったような…私の欲望に気づいたのか、もしかしたら、私同様、去年の記憶がフラッシュバックしたのかもしれない。
どっちしろ、身の危険を本気で感じたのは間違いなかった。
梓「やだ!!いや!!うわあああああああ!!いやああああああああっ!!!」
あずにゃんは、今度は癇癪を起こした赤子のように大声を上げて、泣きながら抵抗しはじめた。
私の肩、背中、腰を引っかき、死に物狂いで私から離れようとした。
澪「唯!もうやめてやれよ!梓怖がってるぞ!?」
梓「ぎゃああああああ!!いやああああああ!!やだああ!!やだああああっ!!!」
律「バカ!やめろよ唯!!」
梓「うあああああああっ!!やだっやだあああああ!!!」
すでにあずにゃんは絶叫に近い声をあげていた。
満天の星空の下、あずにゃんの声が響き渡り、夜空に吸い込まれていく。
私はりっちゃん達の制止も聞かず、あずにゃんの細い身体を、渇望してやまなかった身体を抱きしめ続けた。
律「いい加減にしろよ!離れろって!!」
りっちゃんが私とあずにゃんの身体の間に割って入ろうとしたが、私は力緩めなかった。
ムギちゃんもそれに加わり、無言の私と絶叫するあずにゃんとで揉み合いになった。
離れてはくっつき、離れてはくっつきを繰り返す私とあずにゃんの身体。
何度目かの身体の別離の後、突然あずにゃんの声は止んだ。
澪ちゃんの平手打ちの後、私は理性を取り戻した。
視線を下に落とすと、私の足元にあずにゃんが倒れている。
長い髪で顔は覆われている。
床の石畳に赤い濁りができている。
その濁りは少し上に設置されたシャワーのハンドルの(お湯を出す赤いものと水を出す赤いものの)丁度真ん中あたりまで続いている。
りっちゃんとムギちゃんの顔が、みるみる青ざめていくのがわかった。
唯「あずにゃん…?」
その呼びかけに答える者はいなかった。
りっちゃんも、澪ちゃんも、ムギちゃんも答えなかった。
あずにゃんも。
紬「…あ、梓ちゃん!大丈夫!?」
紬「りっちゃん!そ…蘇生…応急処置しないと!!手伝って!!」
律「あ…ム、ムギ…」
紬「りっちゃん!!」
律「わ…わかった!!」
ムギちゃんがあずにゃんの胸のあたりに、組んだ手の平をあてがい、体全体の体重をかけて押し込んだ。
何度かそれを繰り返した後、りっちゃんが息を深く吸い込み、あずにゃんの鼻をおさえながら、口から直接空気を送り込んだ。
紬「うっ…うう…ううううう…」
律「…マジかよ…」
澪「嘘だろ…なんだよ…こんな…」
唯「あ…あ…私…私…」
つまりこういう事だ。
あずにゃんに欲情して理性を失った私はずにゃんを抱きしめた。
それに本能的に恐怖したあずにゃんは抵抗し、止めに入ったりっちゃん達と揉み合いになった。
その時に何かの弾みであずにゃんはシャワーの蛇口あたりで頭を強く打った。
その結果、あずにゃんは今石畳の上で動かなくなった。
陳腐だった。馬鹿げていた。私が引き起こしたこんな下らない事故のせいで、私達は中野梓という後輩を失った。
と言いたいところだが即死か
紬「うっ…うっく…うあ…ああ…」
律「梓…梓ぁ…」
唯「あずにゃん…」
唯「あ…いや…」
唯「いやああああああああああああ!!!!」
唯「やだっ!!やだよ!!あずにゃん!!ダメだよぉっ!!!」
唯「ごめんなさい!ごめんなさいあずにゃん!!もうあんな事しないから!!」
唯「あずにゃ…」
唯「うあ…うああああああああああああん…」
ひとしきり泣いた後、私達を冷静にしてくれたのはりっちゃんだった。
律「…な、なあ…どうする…?」
既に「それ」は起こってしまったのだ。
ああすれば良かった、こうしなければ良かったなどと言い合っても仕方が無い。
私達は現実を受け入れる事も出来ないままだったが、次の選択を迫られていた。
澪「…や、やっぱり警察に言うべきか?」
唯「…」
紬「でもそしたら、みんな捕まっちゃうのかな…?」
唯「で、でもあずにゃんをこんな風にしたのは私だし…みんなは悪くないよ…?」
唯「…それは…」
私は先程まで私の中を駆け巡っていた記憶、欲望、その全てをみんなに話した。
もちろん、話したくない事もあった。
しかし、今私が置かれた状況は、私一人で処理出来るものではなかった。
私は皆に頼るしかなかった。
何より、この事故を起こしてしまった以上、隠し事をする権利など私には無いという自責の念があった。
澪「…そうか…」
唯「…ごめんなさい…。本当にごめんなさい…」
紬「…起きてしまった以上、仕方ないわ…。これから私達がどうするか考えましょう…」
律「あぁ…。悲しむのも、唯を責めるのもその後だ…」
澪「過失とはいえ、唯は確実に捕まるだろうな…。私達が共謀扱いにされる可能性もあるし…」
紬「事故だと証明できるとも限らないからね…」
唯「…うぅ」
律「あ、救急車は?もしかしたらまだ助かるかも…」
澪「それでもし助からなかったら唯は捕まるよ…。助かっても殺人未遂…か?法律はよくわからないけど…」
紬「…どの道梓ちゃんは助からないわ。もう心停止から二時間以上たっちゃってるし…」
澪「…そうだな」
唯「ごめんなさい…」
紬「警察に言うのはナシね…」
澪「うん…」
律「え?さすがにそれは…」
澪「…梓は…死んだ…。梓はもういない…これは動かしようのない事実だ」
澪「これで唯まで捕まったらどうなる?」
律「…部活どころじゃなくなるな…」
紬「ええ。私達も唯ちゃんと梓ちゃんがいないままこれから生きていく事になるよね」
澪「それは私達にとって何のメリットにもならない…って事」
律「今は部活とか言ってる場合じゃないだろ…」
澪「律、部活だけじゃない。残りの人生全部、梓と唯の穴を抱えたまま生きる事になるんだ」
紬「でも通報しなければ…少なくとも唯ちゃんだけは守れるよ…」
澪「…そういうこと。大変だろうけど…」
律「…そ、そんな…。いつかバレるに決まってるって…」
澪「ここはムギのプライベートビーチにある別荘だ。別荘を借りる客以外はまず立ち寄る事はないはず」
紬「家の者に無理を言えば、しばらく人を入れないようにする事も…出来ると思う…」
律「ここに梓を隠すのか…?」
澪「ここらには森もあるし、海もある。隠し場所なんていくらでもある…」
律「…」
律「…」
澪「それとも梓が死んだ事を通報して、唯は逮捕、軽音部は廃部、私達も退学、お先真っ暗だよ…」
澪「それでいいの?」
律「…いや…だ…。でも…お前ら罪悪感はねーのかよ…」
紬「もちろんあるわ…。でもそれとこれは別の話よ…」
律「…」
澪「…決まりだな」
紬「…うん」
律「唯もそれでいいのか…?」
唯「…」
唯「…良くない」
澪「…償ってどーするの?梓が生き返るわけじゃないし、唯の人生が…私達の人生が元に戻るわけでもないだろ」
唯「でも…!ひ、ひ…人殺しなんだからそれも罰なんだよ、きっと…」
澪「私達が寂れた人生を送る事は、梓も望んでないだろ。梓は唯に憧れて入部したくらいだし」
唯「それは論点のすり替えだよ…。今となっては、あずにゃんの気持ちなんてわからないんだし…」
律「…」
紬「わかったわ。唯ちゃんの悪ふざけのせいで私達も人生棒にふるわ。唯ちゃんの人生ももう終わり。ついでに憂ちゃんの人生にも影を落とす事になるわね」
紬「さ、通報して?」
唯「……」
律「ムギ!そういう言い方はないだろ!」
律「梓が死んだ時点で最善も何もないだろ!」
澪「ああそうだよ。梓が死ななけりゃそれが最高だよ」
紬「でも死んじゃったものは仕方ないでしょ…。私達はその上で最善の選択をしなきゃいけないのよ…」
澪「こんな事故で、私達と唯の人生がめちゃくちゃになるなんて私は絶対イヤだ」
律「隠したってそれは同じだろ!」
澪「同じじゃないよ!少なくとも憂ちゃんや聡、和やさわちゃんにまで嫌な思いをさせる事はない!!」
律「そうじゃない!唯は罪を償いたいと思ってるんだ!それを尊重するのが先だ!」
澪「その時、律は唯を恨まないって言い切れるか!?私は無理だ!きっと唯を恨んじゃうよ!」
律「…そ、それは…」
澪「私は唯と友達でいたい!唯を恨むなんて嫌だ!だったら私は唯の荷物を唯と一緒に抱えて生きるほうを選ぶ!!」
律「そんな事言って、自分の身を守りたいだけだろ!」
澪「そうだよ!確かに自分の身は守りたい!でも唯もみんなも守りたい!!何でわかんないんだよ!!」
紬「澪ちゃん…ちょっと落ち着こう?私達に今一番必要なのは平常心よ…」
紬「唯ちゃんも、さっき酷い事言っちゃってごめんね?」
唯「…ううん、私のせいなんだし…」
紬「私は、みんなが仲良くしてる軽音部が好き…。こんな風に言い合いをするのは嫌だよ…」
澪「…そうだな。ごめん」
紬「…私はまだみんなと一緒にいたい。一緒にお茶して、練習して、ライブして…それが許されない事だとしても、私はそれを一番望んでるわ…」
紬「みんなはどう…?」
律「…」
律「…わかった…。いいよ。隠すなら私も…それでいいよ…」
唯「り、りっちゃん…」
唯「…」
唯「できないよ…。隠すとしたら、みんなを一生巻き込む事になるし…」
澪「…もう巻き込まれてるよ。通報しようがしまいがそれは変わらない。今はそういう次元の話はとっくに過ぎてるんだ」
唯「…でも…」
紬「どうせ巻き込まれてるなら、ちょっとでも希望が残されてるほうに行きたいわ」
澪「それに唯の荷物なら、私達は喜んで持つよ。私達は唯が大好きなんだから」
律「そう…だな…。私も…唯を守りたい…」
唯「……」
唯「……」
唯「…わかったよ」
唯「うん…。ごめんねみんな…ありがとう…」
この時点で、澪ちゃんとムギちゃんが私達の行動指標になり始めていた。
正直に言って、この時もまだ内心では、私は隠す事に賛成できなかった。
が、私が原因である以上、自分の意見を通すのは身勝手な気がした。
それに澪ちゃんとムギちゃんなら…本当に隠し通せてしまうのでは、と期待してしまったのも事実だ。
矢張り私も所詮自分の身が一番可愛かったのだろう。
そしてこの時、不慮の事故は悪意を持った事件になった。
尤も、首尾よくコレが明るみに出る事がなければ、事故でも事件でもないのだろうが。
第二部 完
4部構成になりそうです。
OUTは知らん…。シリアス書くと大体既存作品と被ってしまうなぁw
そして批判を承知でこの言葉を使わせて頂きます。
朝まで残ってたら続き書く
一応後々必要な情報だけを書いてます。
確かに自分で書いてて唯にしては頭良すぎだと思うw
あと4時半から憧れの武道館ライブがあるので、途中からもしもしになると思う
なん…だと…?
コメント一覧 (2)
-
- 2014年07月07日 17:52
- 2期が全国放送になるとは思いもよらず
-
- 2015年05月05日 15:36
- 第二部